WO2020137319A1

WO2020137319A1 - 回転機の固定子鉄心及びそれを搭載する装置

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Publication number: WO2020137319A1
Application number: PCT/JP2019/046280
Authority: WO
Inventors: 慶一郎額田; 幸弘岡田; 元宇賀治; 猛前川; 祐一吉川
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2018-12-25
Filing date: 2019-11-27
Publication date: 2020-07-02

Abstract

回転機の固定子鉄心は、両端面と円筒外周面とを含む円筒状形状を有するヨーク部と、ヨーク部の内面から突出するティース部とを含む固定子鉄心であって、更には、この固定子鉄心の円筒外周面から突出する複数の凸部と、固定子鉄心の円筒状形状における中心軸のアキシャル方向に複数の凸部の各々を貫通する挿通孔と、を備え、複数の凸部の各々におけるアキシャル方向における寸法は、固定子鉄心における筒状形状の両端面間の寸法よりも短い。

Description

回転機の固定子鉄心及びそれを搭載する装置

　本発明は、回転機の固定子鉄心及びそれを搭載する装置に関する。

　近年、機器の静粛化が希求され、回転機等の部品の低騒音化の要求が顕著になってきた。例えば、特許文献１等には、固定子又は固定子に含む固定子鉄心の外周部に凸部を設け、固定子又は固定子鉄心とこの固定子又は固定子鉄心を支持するフレームとの間に隙間を形成することで、固定子又は固定子鉄心からフレームへの振動の伝達を低減することにより騒音を抑制する技術思想が記載されている。しかし、固定子又は固定子鉄心を支持するフレームとの間に隙間を形成することは、振動の伝播を緩和しているに過ぎず、回転機における振動の発生自体を抑制するものではない。

　例えば、固定子鉄心の共振周波数と回転機の駆動周波数との差が少ない場合、又は、固定子鉄心の共振周波数と回転機の駆動周波数とがほぼ等しい場合は、振動の伝達を抑制するだけでは、回転機の静粛化は不十分であった。

　静粛化を図るための技術としては、固定子フレーム、固定子枠体又は固定子収容環状体などと呼称される外装体と固定子とを、焼きばめ、と呼称される工法によって、一体化すると共に剛性を高めて剛体化し、共振周波数を高める等の手法が知られている。しかしながら、焼きばめ、という工程の追加、又は、この工程に要する設備については、新規な投資が必要になる等の理由で、経営的観点の問題を招くことがある。

特開２００２－２３３１０３号公報

　本発明は、回転機の振動を抑制可能な回転機の固定子鉄心を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明の第１の形態は、両端面と円筒外周面とを含む円筒状形状を有するヨーク部と、ヨーク部の内面から突出するティース部とを含む固定子鉄心であって、更に、円筒外周面から突出する複数の凸部と、固定子鉄心の円筒状形状における中心軸のアキシャル方向と同じ方向に複数の凸部の各々を貫通する挿通孔と、を備え、複数の凸部の各々におけるアキシャル方向の寸法が、固定子鉄心における円筒状形状の両端面間の寸法よりも短い回転機の固定子鉄心である。

　また、本発明の第２の形態は、第１の形態において、複数の凸部の各々は、円筒外周面において固定子鉄心の両端面のうちの一方の端面の側に位置する、回転機の固定子鉄心である。

　また、本発明の第３の形態は、第１の形態において、複数の凸部の各々は、円筒外周面において固定子鉄心の両端面のうちの一方の端面と、固定子鉄心の両端面のうちの他方の端面との間に位置する、回転機の固定子鉄心である。

　また、本発明の第４の形態は、第１の形態において、複数の凸部のうちの一つは、円筒外周面において固定子鉄心の両端面のうちの一方の端面の側に位置し、複数の凸部のうちの別の一つは、円筒外周面において固定子鉄心の両端面のうちの他方の端面の側に位置する、回転機の固定子鉄心である。

　また、本発明の第５の形態は、第１の形態において、複数の凸部は、アキシャル方向に互いに離間する、回転機の固定子鉄心である。

　また、本発明の第６の形態は、第１の形態において、複数の凸部は、円筒外周面の周方向に互いに離間する、回転機の固定子鉄心である。

　また、第７の形態は、第１から第６の形態における回転機の固定子鉄心を搭載する装置である。

　本発明によれば、固定子鉄心の共振周波数と回転機の駆動周波数とを大きく相違させることが可能である。また、本発明によれば、回転機を運転した際の騒音又は振動を抑制することが可能である。

実施の形態１における第１例について固定子部の概要を示す斜視図実施の形態１における第２例について固定子部の概要を示す斜視図実施の形態１における第３例について固定子部の概要を示す斜視図実施の形態１における第１例の固定子部の固定の概要を示す図実施の形態１における第２例の固定子部の固定の概要を示す図実施の形態１における第３例の固定子部の固定の概要を示す図図１の構成において、固定子の回転軸方向長さに対する円筒外周面の割合と、最も低い共振周波数との関係を示す構造解析の結果を示すグラフ比較例における固定子の概要を示す斜視図比較例における固定子部と被固定部と締結ボルトとに関する構成の概要を示す図実施の形態１における固定子部を搭載する装置を示す模式図

　以下、本発明における一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって、本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。

　各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。

　（実施の形態１）
　図１、図２及び図３には、本実施の形態における固定子鉄心７を含む固定子部３の構成例を示す。図１は、実施の形態１における第１例について固定子鉄心７を含む固定子部３の概要を示す斜視図である。図２は、実施の形態１における第２例について固定子鉄心７を含む固定子部３の概要を示す斜視図である。図３は、実施の形態１における第３例について固定子鉄心７を含む固定子部３の概要を示す斜視図である。なお、図１においては、中心軸７ｄ及びアキシャル方向１３を図示している。しかし、図２及び図３においては、中心軸７ｄ及びアキシャル方向１３の図示を省略している。

　本実施の形態における固定子部３は、固定子鉄心７と、固定子巻線（図示せず）と、複数の凸部８と、挿通孔２とを含む。固定子鉄心７は、両端面を有する円筒外周面６を含む円筒状形状を有するヨーク部７ａとヨーク部７ａの内面から突出するティース部９とを含む。固定子巻線（図示せず）は、ティース部９の一部分に巻回される。複数の凸部８は、円筒外周面６から突出する。挿通孔２は、固定子鉄心７の円筒状形状における中心軸７ｄのアキシャル方向１３に複数の凸部８の各々を貫通する。複数の凸部８の各々におけるアキシャル方向１３の寸法が、固定子鉄心７における筒状形状の両端面間の寸法よりも短い。なお、ティース部９の具体的形状は、図示していない固定子巻線の仕様に対して好適な形状であり、且つ、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。

　図４Ａは、実施の形態１における第１例の固定子鉄心７を含む固定子部３の固定の概要を示す図である。図４Ｂは、実施の形態１における第２例の固定子鉄心７を含む固定子部３の固定の概要を示す図である。図４Ｃは、実施の形態１における第３例の固定子鉄心７を含む固定子部３の固定の概要を示す図である。固定子鉄心７を含む固定子部３は、被固定部４が具備する挿嵌穴部１０へ収容される。固定子鉄心７の外表面の一部分である円筒外周面６と、被固定部４が具備する挿嵌穴部１０の内壁面１２とが接する。固定子鉄心７の外表面の一部分である円筒外周面６と挿嵌穴部１０の内壁面１２とが接する構成によって、回転機の固定子部３と被固定部４との固定は、安定化が図られる。固定子鉄心７の凸部８の各々が具備する挿通孔２へ締結ボルト５が挿通され、締結ボルト５を被固定部４へ羅合する。これによって、回転機の固定子部３と、被固定部４とは、強固に固定される。

　なお、固定子鉄心７と、固定子鉄心７の筒内面へ突出するティース部９と、ティース部９の一部分を磁心とする固定子巻線（図示せず）と、を含む構成を、固定子１と記すことが一般的である。また、本実施の形態においては、固定子１と、図示していない何らかの付加物と、を含む構成を、回転機の固定子部３と記す。なお、この付加物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲のものである限り、特に限定はしない。

　固定子部３を含む回転機は、固定子部３に含まれる固定子１が具備するティース部９の先端と空隙を介して回転自在に支承される回転子（図示せず）を配置することによって構成される。ちなみに、回転機は、回転電機、電動機要素、電動機又はモータとも呼称される。

　図１に示す第１例では、固定子部３に含まれる固定子鉄心７の外周面のうち、固定子鉄心７の一方の端面側に、円筒外周面６に含まれる円筒面のみを配置し、複数の凸部８を配置しない。固定子鉄心７の外周面のうち、固定子鉄心７の他方の端面側に複数の凸部８の各々の中心が位置するように、複数の凸部８を配置する。換言すれば、第１例は、複数の凸部８の各々における中心軸７ｄのアキシャル方向１３と同方向の寸法が、固定子鉄心７における筒状形状の両端面間の寸法よりも短い複数の凸部８の各々は、複数の凸部８の各々の中心が固定子鉄心７の円筒外周面６において固定子鉄心７の一方の端面の側に位置する。

　図２に示す第２例では、固定子部３に含まれる固定子鉄心７の外周面のうち、固定子鉄心７の両端側のそれぞれに、円筒外周面６に含まれる円筒面のみを配置し、複数の凸部８は配置しない。固定子鉄心７の両端側を除く中央部に複数の凸部８を配置する。換言すれば、複数の凸部８の各々における中心軸のアキシャル方向と同方向における寸法が、固定子鉄心７における筒状形状の両端面間の寸法よりも短い。更に、複数の凸部８の各々は、固定子鉄心７の円筒外周面６において、固定子鉄心７の一方の端面と、固定子鉄心７の他方の端面との間に位置する。

　図３に示す第３例では、固定子部３に含まれる固定子鉄心７の外周面のうち、固定子鉄心７の両端側のそれぞれに、複数の凸部８を配置し、固定子鉄心７の両端側を除く中央部に円筒外周面６に含まれる円筒面のみを配置する。具体的には、複数の凸部８の各々の筒軸方向の長さが、固定子鉄心７の筒軸方向の長さよりも短い。複数の凸部８において凸部８の各々が、固定子鉄心７の筒軸方向に互いに離間して位置する。筒軸方向に互いに隣接する凸部８の挿通孔２の各々の中心軸を同一の仮想直線上に配置する。

　第３例では、複数の凸部８の各々における中心軸のアキシャル方向と同方向における寸法が、固定子鉄心７における筒状形状の両端面間の寸法よりも短い。更に、複数の凸部８のうちの一つは、固定子鉄心７の円筒外周面において固定子鉄心７の一方の端面の側に位置する。複数の凸部８のうちのもう一つは、固定子鉄心７の円筒外周面において固定子鉄心７の他方の端面の側に位置する。

　固定子１は、電磁鋼板を打ち抜き加工して得られる円環状の固定子コアシートを複数積層した積層体である。円環状の固定子コアシートには、少なくとも２種類の互いに異なる形状のものを用いる。第１種の固定子コアシートは、その外周形状が、実質的に円形形状であり、且つ、円環状の形状を有する。第１種の固定子コアシートを積層した積層体の外周面の一部分が円筒外周面６を構成する。

　第２種の固定子コアシートは、第１種の固定子コアシートの外周形状である円形形状に加えて、この円形形状の外径方向に複数の突出部を有し、この突出部の中心部又はその近傍に孔部を有する。第２種の固定子コアシートを積層した積層体によって、上記の突出部が積層されて凸部８及び挿通孔２が形成される。

　第１種の固定子コアシートを複数積層し且つ一体化して形成する積層体と、第２種の固定子コアシートを複数積層し且つ一体化して形成する積層体とを、適宜組み合わせて積層し且つ一体化して、上述の第１例の固定子部、第２例の固定子部又は第３例の固定子部を形成する。ちなみに、上述の一体化を図るには、積層体の積層面に溶接を施す工法、積層体の積層面に接着剤等を塗布する工法、又は、固定子コアシートの複数個所に一方面では凹み他方面では凸状の膨らむ所謂「カラマセ」と呼称される突起を設けて凹みに対して凸状の膨らみを係合させることで固定子コアシート同士を一体化する工法等が採用される。

　なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、円環状の固定子コアシートには、上述した第１種の固定子コアシート及び第２種の固定子コアシートに加えて、第１種の固定子コアシート及び第２種の固定子コアシートと、とは異なる形状の第３種の固定子コアシート等の複数種の固定子コアシートを、更に組み合わせても良い。

　図４Ａ、図４Ｂ、図４Ｃは、それぞれ、本実施の形態の第１例、第２例、第３例における固定子鉄心７を含む固定子部３と被固定部４と締結ボルト５とに関する構成の概要を示す。固定子鉄心７を含む固定子部３を被固定部４に固定するには、挿通孔２の一方から締結ボルト５を挿通して被固定部４へ螺合することによって固定する。第１例と第２例においては、固定子１の外周面に配置された円筒外周面６が、被固定部４が具備する挿嵌穴部１０の内壁面１２と接して、挿嵌穴部１０によって強固に保持される。第３例においては、固定子１の外周面に配置された複数の凸部８が、被固定部４が具備する挿嵌穴部１０の内壁面１２と接して、挿嵌穴部１０によって強固に保持される。第３例においては、被固定部４が具備する挿嵌穴部１０の内壁面１２は、複数の凸部にだけ接するような、例えば円周形状で形成されていてもよいし、外周方向の円筒外周面６にも接するように、回転軸方向から見て第２種の固定子コアシートの外形に沿うような形状で形成されていても良い。このように挿嵌穴部１０によって固定子鉄心７を強固に保持されることにより、固定子鉄心７を含む固定子部３は、その全体に亘って剛性が高められる。したがって、固定子鉄心７及び固定子部３自体の共振周波数を高めることが可能となる。

　また、この構成により、固定子鉄心７及び固定子部３の剛性を高めることによって、共振周波数を高めることが可能となるとともに、固定子鉄心７及び固定子部３自体の共振周波数と、回転機の駆動周波数とを、大きく相違させることが可能となる。これにより、回転機の運転時の音振動の抑制が図られる。

　この構成の有効性を確認するために、固定子１の有限要素法を用いた構造解析を実施した。図５は、図１の構成において、固定子鉄心７の回転軸方向長さに対する円筒外周面の割合と、最も低い共振周波数（以下、１次共振周波数と呼ぶ）との関係を示す構造解析の結果を示すグラフである。なお、図５の横軸において、円筒外周面の割合が零の値に相当するものは、後述する比較例（図６、図７）の構造である。また、図５の縦軸は、構造解析の結果によって得られた共振周波数の値を相対的に示すものであり、共振周波数の絶対値を示すものではない。

　図５に示す構造解析の結果によれば、固定子鉄心７の外周面に配置した円筒外周面６と被固定部４とで保持面を構成し、この保持面によって固定子鉄心７が強固に保持されることにより、固定子鉄心７の剛性が高まる。結果的に固定子部３全体に亘って剛性が高められることによって、共振周波数が高められる。共振周波数が高められることによって、後述する比較例の回転機におけるよりも高い１次共振周波数が得られると考察する。固定子鉄心７及び固定子部３と被固定部４との構成によって、剛性を高めると共に共振周波数を高め、固定子部３の共振周波数と、回転機の駆動周波数とを、大きく相違させることが可能となる。さらに、回転機の運転時の音振動の抑制も可能である。

　また、本実施の形態による回転機の固定子部を、耐熱性の低い樹脂部品又は熱履歴による歪等が生じ易い歯車等が含まれる装置であり、且つ、焼きばめ、と呼称される工法を採用することが困難な装置等へ搭載することで、装置の静穏化に寄与することも可能である。

　図８は、実施の形態１における固定子部３を搭載する装置２０を示す模式図である。図８に示すように、本実施の形態の回転機の固定子部３は、例えば換気扇などの装置２０に搭載することができる。

　以上のように、本実施の形態の回転機の固定子鉄心７は、両端面と円筒外周面６とを含む円筒状形状を有するヨーク部７ａと、ヨーク部７ａの内面から突出するティース部９と、を含む固定子鉄心７であって、更に、円筒外周面６から突出する複数の凸部８と、固定子鉄心７の円筒状形状における中心軸７ｄのアキシャル方向１３と同じ方向に複数の凸部８の各々を貫通する挿通孔２と、を備え、複数の凸部８の各々におけるアキシャル方向１３の寸法が、固定子鉄心７における筒状形状の両端面間の寸法よりも短い。

　これにより、固定子部３の共振周波数と回転機の駆動周波数とを大きく相違させることが可能である。また、回転機を運転した際の騒音又は振動を抑制することが可能である。

　また、複数の凸部８の各々は、円筒外周面６において固定子鉄心７の両端面のうちの一方の端面の側に位置してもよい。

　また、複数の凸部８の各々は、円筒外周面６において固定子鉄心７の両端面のうちの一方の端面と固定子鉄心７の両端面のうちの他方の端面との間に位置すればよい。

　また、複数の凸部８のうちの一つは、円筒外周面６において固定子鉄心７の両端面のうちの一方の端面の側に位置し、複数の凸部８のうちの別の一つは、円筒外周面６において固定子鉄心７の両端面のうちの他方の端面の側に位置してもよい。

　また、複数の凸部８は、アキシャル方向１３に互いに離間してもよい。

　また、複数の凸部８は、円筒外周面６の周方向に互いに離間してもよい。

　また、装置２０は、本実施の形態の回転機の固定子部３を搭載することができる。

　なお、本実施の形態は一例であり、本発明はこれに限定されず、適宜変更しても良い。また、本実施の形態で言及されていない構成は任意であり、例えば公知の構成を適宜選択しても良い。

　（比較例）
　図６は、比較例における固定子１の概要を示す斜視図である。固定子１は、電磁鋼板を打ち抜き加工して得られる円環状の固定子コアシートを複数積層した積層体である。この固定子コアシートは、外周形状である円形形状に加えて、この円形形状の外径方向に複数の突出部を有し、この突出部の中心部に孔部を有する。この固定子コアシートを積層した積層体である固定子鉄心７によって、突出部が積層されて凸部８及び挿通孔２が形成される。固定子鉄心７は、固定子鉄心７の円筒面よりも固定子鉄心７の外径方向へ突出する複数の凸部８と、被固定部４へ固定子部３を固定する締結ボルト５が複数の凸部８のそれぞれに挿通される挿通孔２を含む。なお、上述の実施の形態と同様に、本比較例の固定子１は、固定子鉄心７が具備するティース部９の一部分を磁心とする固定子巻線（図示せず）を含む。また、固定子１と、図示していない何らかの付加物とを含む構成を、回転機の固定子部３と記す。

　図７は、比較例における固定子部３と被固定部４と締結ボルト５とに関する構成の概要を示す図である。固定子部３を被固定部４に固定するには、固定子部３の挿通孔２の一方から締結ボルト５を挿通して、被固定部４へ螺合する。固定子部３の被固定部４に当接している端面と、被固定部４の側の当接面とで固定部１１が構成される。しかし、固定部１１を含む構成は、所謂、片持ち、と呼称されるものであり、実施の形態に比べて、振動し易い構造である。

　本発明は、例えば、耐熱性の低い樹脂部品又は熱履歴による歪等が生じ易い歯車等を含み、且つ回転機に含まれる固定子部を締結ボルトによって被固定部に固定する構成に、適用可能である。

　１　固定子
　２　挿通孔
　３　固定子部
　４　被固定部
　５　締結ボルト
　６　円筒外周面
　７　固定子鉄心
　７ａ　ヨーク部
　７ｄ　中心軸
　８　凸部
　９　ティース部
　１０　挿嵌穴部
　１１　固定部
　１２　内壁面
　１３　アキシャル方向
　２０　装置

Claims

両端面と円筒外周面とを含む円筒状形状を有するヨーク部と、前記ヨーク部の内面から突出するティース部と、を含む固定子鉄心であって、
更に、前記円筒外周面から突出する複数の凸部と、
前記固定子鉄心の前記円筒状形状における中心軸のアキシャル方向と同じ方向に前記複数の凸部の各々を貫通する挿通孔と、を備え、
前記複数の凸部の各々における前記アキシャル方向の寸法が、前記固定子鉄心における前記円筒状形状の前記両端面間の寸法よりも短い、回転機の固定子鉄心。
前記複数の凸部の各々、前記円筒外周面において前記固定子鉄心の前記両端面のうちの一方の端面の側に位置する、請求項１に記載の回転機の固定子鉄心。
前記複数の凸部の各々は、前記円筒外周面において前記固定子鉄心の前記両端面のうちの一方の端面と前記固定子鉄心の前記両端面のうちの他方の端面との間に位置する、請求項１に記載の回転機の固定子鉄心。
前記複数の凸部のうちの一つは、前記円筒外周面において前記固定子鉄心の前記両端面のうちの一方の端面の側に位置し、
前記複数の凸部のうちの別の一つは、前記円筒外周面において前記固定子鉄心の前記両端面のうちの他方の端面の側に位置する請求項１に記載の回転機の固定子鉄心。
前記複数の凸部は、前記アキシャル方向に互いに離間する、請求項１に記載の回転機の固定子鉄心。
前記複数の凸部は、前記円筒外周面の周方向に互いに離間する、請求項１に記載の回転機の固定子鉄心。
請求項１～６のいずれかに記載の回転機の固定子鉄心を搭載する装置。