WO2020136888A1

WO2020136888A1 - 処置具

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Publication number: WO2020136888A1
Application number: PCT/JP2018/048542
Authority: WO
Inventors: 央士朗北村; 千博田中
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2018-12-28
Filing date: 2018-12-28
Publication date: 2020-07-02
Also published as: US20210315602A1

Abstract

処置具１は、第１の軸Ａｘに沿って延在したシース６と、シース６に設けられ、供給された電力に応じて生体組織に対してエネルギを付与するエンドエフェクタと、シース６が挿通されるとともに、ユーザ操作に応じてシース６とともに第１の軸Ａｘを中心として回転可能な第１の操作部５と、第１の軸Ａｘを中心として第１の操作部５を回転可能に支持するハウジング２と、少なくともハウジング２内及び第１の操作部５内に配線され、エンドエフェクタ１０と電気的に接続し、電力の供給経路となる導線ＣＡと、少なくとも一部がハウジング２内に位置するとともに、シース６及び第１の操作部５とともに第１の軸Ａｘを中心として回転可能とし、ハウジング２内において導線ＣＡが巻き付けられる回転部材７と、を備える。

Description

処置具

　本発明は、処置具に関する。

　従来、生体組織における処置の対象となる部位（以下、対象部位と記載）に対してエネルギを付与することによって当該対象部位を処置する処置具が知られている（例えば、特許文献１参照）。
　特許文献１に記載の処置具（双極鉗子）は、シャフトと、エンドエフェクタ（エンドエフェクタアセンブリ）と、第１の操作部（回転アセンブリ）と、ハウジングと、導線（ケーブル導線）とを備える。ここで、シャフトは、第１の軸に沿って延在している。エンドエフェクタは、供給された電力に応じて生体組織に対してエネルギを付与する。第１の操作部は、シャフトが挿通されるとともに、ユーザ操作に応じてシャフトとともに第１の軸を中心として回転可能とする。ハウジングは、第１の軸を中心として第１の操作部を回転可能に支持する。導線は、ハウジング内、第１の操作部内、及びシャフト内に配線され、エンドエフェクタと電気的に接続し、上述した電力の供給経路となる。

　また、特許文献１に記載の処置具では、ユーザ操作に応じてシャフト及び第１の操作部が回転した際に、導線に対して過度な張力が発生することによって断線することを回避するために、導線を第１の操作部内で巻き付けた構成を採用している。

特許第４３５０３７９号公報

　しかしながら、特許文献１に記載の処置具では、導線を第１の操作部内で巻き付けた構成とするためには、当該第１の操作部内に比較的に大きな配線スペースが必要となる。すなわち、第１の操作部が大型化してしまい、当該第１の操作部の操作性を損なう、という問題がある。

　本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させることができる処置具を提供することを目的とする。

　上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処置具は、第１の軸に沿って延在したシースと、前記シースに設けられ、供給された電力に応じて生体組織に対してエネルギを付与するエンドエフェクタと、前記シースが挿通されるとともに、ユーザ操作に応じて前記シースとともに前記第１の軸を中心として回転可能な第１の操作部と、前記第１の軸を中心として前記第１の操作部を回転可能に支持するハウジングと、少なくとも前記ハウジング内及び前記第１の操作部内に配線され、前記エンドエフェクタと電気的に接続し、前記電力の供給経路となる導線と、少なくとも一部が前記ハウジング内に位置するとともに、前記シース及び前記第１の操作部とともに前記第１の軸を中心として回転可能とし、前記ハウジング内において前記導線が巻き付けられる回転部材と、を備える。

　本発明に係る処置具によれば、操作性を向上させることができる。

図１は、実施の形態に係る処置具の構成を説明する図である。図２は、実施の形態に係る処置具の構成を説明する図である。図３は、実施の形態に係る処置具の構成を説明する図である。図４は、導線の配線経路を説明する図である。図５は、導線の配線経路を説明する図である。

　以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態（以下、実施の形態）について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。

　〔処置具の構成〕
　図１ないし図３は、本実施の形態に係る処置具１の構成を説明する図である。具体的に、図１は、処置具１の全体構成を示す図である。図２は、ハウジング２内の構成を示す図である。図３は、処置具１の先端部分を示す図である。
　なお、図１及び図２では、互いに直交するＸ軸、Ｙ軸、及びＺ軸のＸＹＺ座標軸を用いている。Ｘ軸は、シース６の中心軸Ａｘ（図１，図２）に平行な軸である。なお、中心軸Ａｘは、本発明に係る第１の軸に相当する。Ｙ軸は、図１及び図２の紙面に直交する軸である。Ｚ軸は、図１及び図２の上下方向に沿う軸である。また、以下では、中心軸Ａｘに沿う一方側（＋Ｘ軸側）を先端側Ａｒ１と記載し、他方側（－Ｘ軸側）を基端側Ａｒ２と記載する。

　処置具１は、生体組織における処置の対象となる部位（以下、対象部位と記載）に対して処置エネルギを付与することによって、当該対象部位を処置する。当該処置とは、例えば、対象部位の凝固及び切開を意味する。この処置具１は、図１ないし図３に示すように、ハウジング２（図１，図２）と、可動ハンドル３（図１，図２）と、スイッチ４（図１，図２）と、回転ノブ５（図１，図２）と、シース６と、回転部材７（図２）と、コイルバネ８（図２）と、屈曲操作部９（図１，図２）と、エンドエフェクタ１０（図１，図３）と、導線ＣＡ（図１，図２）とを備える。

　ハウジング２は、処置具１全体を支持する。このハウジング２は、図１または図２に示すように、中心軸Ａｘと同軸となる略円筒状のハウジング本体２１と、当該ハウジング本体２１から－Ｚ軸側（図１，図２中、下方側）に延在し、術者等の操作者によって把持される固定ハンドル２２とを備える。

　可動ハンドル３は、術者等の操作者による閉操作及び開操作をそれぞれ受け付ける。この可動ハンドル３は、図２に示すように、ハンドルベース３１と、ハンドル本体３２と、ハンドル接続部３３とを備える。
　ハンドルベース３１は、ハウジング２内に位置する。そして、ハンドルベース３１における＋Ｚ軸側（図２中、上方側）の部分は、ハウジング２に対して、Ｙ軸に平行となる第１の回転軸Ｒｘ１（図２）を中心として回転可能に軸支されている。また、ハンドルベース３１における＋Ｚ軸側の端部には、二股に分岐した状態で＋Ｚ軸側に向けてそれぞれ突出し、回転部材７を構成するスライダ７４（図２）を挟んだ状態でＹ軸方向に沿って互いに対向する一対の係合部３１１（図２）が設けられている。これら一対の係合部３１１は、当該スライダ７４に対して係合する部分である。なお、図２では、一対の係合部３１１のうち、＋Ｙ軸方向（図２の紙面奥方向）の係合部３１１のみ図示している。

　ハンドル本体３２は、術者等の操作者による閉操作及び開操作をそれぞれ受け付ける部分であり、図１または図２に示すように、ハウジング２の外部に位置する。
　ハンドル接続部３３は、図２に示すように、ハウジング２の内外を跨いで配設され、ハンドルベース３１とハンドル本体３２とを接続する部分である。
　そして、可動ハンドル３は、術者等の操作者による閉操作を受け付けた場合には、第１の回転軸Ｒｘ１を中心として図２中、反時計回りに回転する。一方、可動ハンドル３は、術者等の操作者による開操作を受け付けた場合には、第１の回転軸Ｒｘ１を中心として図２中、時計回りに回転する。

　スイッチ４は、図１または図２に示すように、固定ハンドル２２における先端側Ａｒ１の側面から外部に露出した状態で設けられている。そして、スイッチ４は、術者等の操作者による出力開始操作を受け付ける。当該出力開始操作は、対象部位に対する処置エネルギの付与を開始する操作である。

　回転ノブ５は、本発明に係る第１の操作部に相当する。この回転ノブ５は、中心軸Ａｘに沿って延在した略円筒形状を有し、当該中心軸Ａｘと同軸となる姿勢で配設される。より具体的に、回転ノブ５は、基端側Ａｒ２の端部がハウジング本体２１における先端側Ａｒ１の先端開口部２１１（図２）に挿通された状態で、中心軸Ａｘを中心として回転可能に当該ハウジング本体２１によって支持されている。そして、回転ノブ５は、術者等の操作者による回転操作を受け付ける。当該回転操作によって、回転ノブ５は、ハウジング本体２１に対して、中心軸Ａｘを中心として回転する。

　シース６は、全体略円筒形状を有する。このシース６の先端側Ａｒ１の端部には、図３に示すように、エンドエフェクタ１０が設けられている。また、シース６は、基端側Ａｒ２の端部が回転ノブ５内に挿通されるとともに、当該回転ノブ５の内面に対して溶接等によって固定されている。すなわち、シース６及びエンドエフェクタ１０は、術者等の操作者による回転ノブ５への回転操作に応じて、当該回転ノブ５とともに中心軸Ａｘを中心として回転する。

　回転部材７は、術者等の操作者による回転ノブ５への回転操作に応じて、当該回転ノブ５とともに中心軸Ａｘを中心として回転する。この回転部材７は、図２に示すように、第１の保持部材７１と、駆動機構７２と、スライダ受け７３と、スライダ７４と、開閉機構７５と、第２の保持部材７６とを備える。

　第１の保持部材７１は、本発明に係る第２の回転部材に相当する。この第１の保持部材７１は、図２に示すように、中心軸Ａｘに沿って延在した円筒形状を有し、当該中心軸Ａｘと同軸となる姿勢で配設される。より具体的に、第１の保持部材７１は、回転ノブ５及びハウジング本体２１を跨ぐ状態で当該回転ノブ５内及び当該ハウジング本体２１内に挿通されている。また、第１の保持部材７１における先端側Ａｒ１の端部は、回転ノブ５の内面に対して溶接等によって固定されている。すなわち、第１の保持部材７１は、術者等の操作者による回転ノブ５への回転操作に応じて、当該回転ノブ５とともに中心軸Ａｘを中心として回転する。
　以上説明した第１の保持部材７１は、その内部において、駆動機構７２の一部、及び開閉機構７５の一部をそれぞれ保持する。
　なお、駆動機構７２の構成については、屈曲操作部９の構成と併せて説明する。

　スライダ受け７３は、本発明に係る第１の回転部材に相当する。このスライダ受け７３は、図２に示すように、中心軸Ａｘに沿って延在した円筒形状を有し、当該中心軸Ａｘと同軸となる姿勢で配設される。より具体的に、スライダ受け７３は、コイルバネ８内に挿通されるとともに、内部に第１の保持部材７１が挿通された状態で、当該第１の保持部材７１に対して中心軸Ａｘに沿って移動可能に配設されている。ここで、スライダ受け７３における先端側Ａｒ１の端部は、第１の保持部材７１に対して中心軸Ａｘに沿う移動が許容されつつ、中心軸Ａｘを中心とした回転が規制された状態で、第１のピンＰｉ１（図２）によって第１の保持部材７１内に保持された開閉機構７５に対して固定されている。すなわち、スライダ受け７３は、術者等の操作者による回転ノブ５への回転操作に応じて、当該回転ノブ５及び第１の保持部材７１とともに中心軸Ａｘを中心として回転する。
　このスライダ受け７３には、図２に示すように、外周面から突出するとともに、中心軸Ａｘを囲む周方向の全周に亘って延在した張出部７３１が設けられている。

　スライダ７４は、図２に示すように、略円筒形状を有し、当該中心軸Ａｘと同軸となる姿勢で配設される。より具体的に、スライダ７４は、内部にスライダ受け７３が挿通された状態で、当該スライダ受け７３に対して中心軸Ａｘに沿って移動可能に配設されている。また、スライダ７４は、上述したように、一対の係合部３１１によって可動ハンドル３に対して係合する。

　ここで、コイルバネ８は、術者等の操作者による可動ハンドル３への閉操作及び開操作に応じて、エンドエフェクタ１０を構成する第１，第２の把持部材１２，１３（図１，図３）のうち、第２の把持部材１３に対して駆動力を付与する機能を有する。当該駆動力は、第１の把持部材１２に対して第２の把持部材１３を開閉するための駆動力である。すなわち、コイルバネ８は、本発明に係る弾性部材に相当する。このコイルバネ８は、図２に示すように、内部にスライダ受け７３が挿通されるとともに、張出部７３１とスライダ７４とに挟まれた状態で配設されている。
　なお、本発明に係る弾性部材としては、中心軸Ａｘを囲む環形状を有し、上述した機能を有していれば、コイルバネ８に限らず、例えば、皿ばね等を採用しても構わない。

　開閉機構７５は、第１の把持部材１２に対して第２の把持部材１３を開閉する機構である。この開閉機構７５は、図２に示すように、開閉接続部７５１と、伝達軸部７５２とを備える。
　開閉接続部７５１は、第１のピンＰｉ１によってスライダ受け７３に対して固定される部分であり、中心軸Ａｘに沿って移動可能に第１の保持部材７１内に保持されている。
　伝達軸部７５２は、中心軸Ａｘに沿って延在した長尺部材であり、シース６内に挿通されている。そして、伝達軸部７５２における基端側Ａｒ２の端部は、シース６外に突出し、第１の保持部材７１内に挿通されるとともに、開閉接続部７５１に対して固定されている。すなわち、伝達軸部７５２は、開閉接続部７５１とともに中心軸Ａｘに沿って移動可能とする。また、伝達軸部７５２における先端側Ａｒ１の端部は、第２の把持部材１３と機械的に接続する。

　そして、スライダ７４、スライダ受け７３、及び開閉機構７５は、術者等の操作者による可動ハンドル３への操作に応じて、以下に示すように動作する。
　スライダ７４は、術者等の操作者による可動ハンドル３への閉操作に応じて、一対の係合部３１１によって、中心軸Ａｘに沿って先端側Ａｒ１に押し込まれる。また、スライダ受け７３は、コイルバネ８を経由することによって、スライダ７４から先端側Ａｒ１に向けて押圧力（第１の把持部材１２に対して第２の把持部材１３を開閉するための駆動力）を受ける。さらに、開閉機構７５は、スライダ受け７３に連動して、中心軸Ａｘに沿って先端側Ａｒ１に移動する。そして、開閉機構７５は、当該駆動力を第２の把持部材１３に対して付与（伝達）する。これによって、第２の把持部材１３は、第２の回転軸Ｒｘ２（図３）を中心として第１の把持部材１２に近接する方向（閉じる方向）に回転する。

　一方、術者等の操作者による可動ハンドル３への開操作が行われると、スライダ７４、スライダ受け７３、及び開閉機構７５は、上記とは逆方向に動作する。これによって、第２の把持部材１３は、第２の回転軸Ｒｘ２を中心として第１の把持部材１２から離間する方向（開く方向）に回転する。
　以上のように、第２の把持部材１３は、術者等の操作者による可動ハンドル３への操作に応じて第１の把持部材１２に対して開閉する。

　第２の保持部材７６は、屈曲操作部９を保持する部材である。この第２の保持部材７６は、図２に示すように、嵌合部７６１と、保持部材本体７６２とを備える。
　嵌合部７６１は、図２に示すように、スライダ受け７３の内径寸法と略同一の外径寸法を有する円筒状に形成され、当該スライダ受け７３内に嵌合することによって、当該スライダ受け７３に対して連結する。すなわち、第２の保持部材７６は、術者等の操作者による回転ノブ５への回転操作に応じて、当該回転ノブ５及びスライダ受け７３とともに中心軸Ａｘを中心として回転する。

　保持部材本体７６２は、図２に示すように、スライダ受け７３の外径寸法よりも大きい外径寸法を有する略円筒状に形成され、嵌合部７６１と同軸となる姿勢で当該嵌合部７６１に対して一体形成されている。そして、保持部材本体７６２は、その内部において屈曲操作部９を保持するとともに、ハウジング本体２１における基端側Ａｒ２の基端開口部２１２（図２）からハウジング本体２１外部に露出する。
　すなわち、第２の保持部材７６は、回転部材７の基端に位置するとともに、スライダ受け７３と連結しているため、本発明に係る第３の回転部材に相当する。また、第２の保持部材７６は、本発明に係る回転部材の基端部に相当する。

　屈曲操作部９は、本発明に係る第２の操作部に相当する。この屈曲操作部９は、図２に示すように、屈曲操作部本体９１と、回転変換部９２とを備える。
　屈曲操作部本体９１は、図２に示すように、全体略円柱形状を有する。また、屈曲操作部本体９１の中心軸上には、円柱状の第２のピンＰｉ２が挿通されている。さらに、屈曲操作部本体９１は、第２のピンＰｉ２によって、当該第２のピンＰｉ２を中心として回転可能に保持部材本体７６２内に保持されている。この状態では、屈曲操作部本体９１は、中心軸Ａｘ上に位置する。そして、屈曲操作部本体９１は、術者等の操作者による屈曲操作を受け付ける。当該屈曲操作によって、屈曲操作部本体９１は、保持部材本体７６２に対して、第２のピンＰｉ２を中心として回転する。

　回転変換部９２は、屈曲操作部本体９１及び駆動機構７２に対してそれぞれ連結する。そして、回転変換部９２は、術者等の操作者による屈曲操作部本体９１への屈曲操作に応じた第２のピンＰｉ２を中心とした回転を、中心軸Ａｘを中心とした回転に変換する。すなわち、回転変換部９２は、当該屈曲操作に応じて、中心軸Ａｘを中心として回転する。この回転変換部９２としては、傘歯車等を例示することができる。

　駆動機構７２は、シース６に対してエンドエフェクタ１０を屈曲させる機構である。この駆動機構７２は、図２に示すように、回転軸部７２１と、第１，第２の駆動部７２２，７２３と、第１，第２のロッド７２４，７２５（図４参照）とを備える。
　回転軸部７２１は、中心軸Ａｘに沿って延在した円柱状の長尺部材であり、中心軸Ａｘと同軸となる姿勢で第１の保持部材７１内に挿通されている。また、回転軸部７２１における基端側Ａｒ２の端部は、回転変換部９２に対して固定されている。すなわち、回転軸部７２１は、術者等の操作者による屈曲操作部本体９１への屈曲操作に応じて、回転変換部９２とともに中心軸Ａｘを中心として回転する。

　第１，第２の駆動部７２２，７２３は、回転軸部７２１に対してそれぞれ連結する。そして、第１，第２の駆動部７２２，７２３は、回転軸部７２１における中心軸Ａｘを中心とした回転にそれぞれ連動し、中心軸Ａｘに沿って互いに逆方向に移動可能に第１の保持部材７１内に保持されている。なお、第１，第２の駆動部７２２，７２３と回転軸部７２１との連結構造としては、互いに逆ネジとなる螺合構造を例示することができる。

　第１，第２のロッド７２４，７２５は、中心軸Ａｘに沿ってそれぞれ延在した長尺部材であり、シース６内にそれぞれ挿通されている。そして、第１のロッド７２４における基端側Ａｒ２の端部は、シース６外に突出し、第１の保持部材７１内に挿通されるとともに、第１の駆動部７２２に対して固定されている。一方、第２のロッド７２５における基端側Ａｒ２の端部は、シース６外に突出し、第１の保持部材７１内に挿通されるとともに、第２の駆動部７２３に対して固定されている。すなわち、第１，第２のロッド７２４，７２５は、第１，第２の駆動部７２２，７２３とともに中心軸Ａｘに沿って移動可能とする。また、第１，第２のロッド７２４，７２５における先端側Ａｒ１の各端部は、エンドエフェクタ１０を構成するエンドエフェクタベース１１（図１，図３）と機械的に接続する。

　そして、駆動機構７２は、術者等の操作者による屈曲操作部本体９１への屈曲操作に応じて、以下に示すように動作する。
　術者等の操作者によって屈曲操作部本体９１が第２のピンＰｉ２を中心として第１の方向に回転（屈曲操作）された場合には、当該操作力は、屈曲操作部本体９１から回転変換部９２、回転軸部７２１、及び第１，第２の駆動部７２２，７２３を経由することによって、第１，第２のロッド７２４，７２５に伝達される。そして、第１のロッド７２４は、中心軸Ａｘに沿って先端側Ａｒ１に向けて移動し、エンドエフェクタ１０を先端側Ａｒ１に向けて押し込む。一方、第２のロッド７２５は、中心軸Ａｘに沿って基端側Ａｒ２に向けて移動し、エンドエフェクタベース１１を基端側Ａｒ２に向けて引き込む。これによって、エンドエフェクタ１０は、シース６に対して、第３の回転軸Ｒｘ３（図３）を中心として第１の屈曲方向Ａｒ３（図３）に回転する。

　一方、術者等の操作者によって屈曲操作部本体９１が第２のピンＰｉ２を中心として上述した第１の方向とは逆方向である第２の方向に回転（屈曲操作）された場合には、第１，第２のロッド７２４，７２５は、上記とは逆方向にそれぞれ動作する。これによって、エンドエフェクタ１０は、シース６に対して、第３の回転軸Ｒｘ３を中心として第１の屈曲方向Ａｒ３とは逆方向である第２の屈曲方向Ａｒ４（図３）に回転する。

　エンドエフェクタ１０は、図１または図３に示すように、エンドエフェクタベース１１と、第１，第２の把持部材１２，１３とを備える。
　エンドエフェクタベース１１は、筒形状を有する。そして、エンドエフェクタベース１１は、当該筒形状の一端側（基端側Ａｒ２の端部）が第２の回転軸Ｒｘ２を中心として回転可能にシース６における先端側Ａｒ１の端部に対して軸支されている。
　第１の把持部材１２は、エンドエフェクタベース１１の一部を先端側に延在させた長尺形状を有する。一方、第２の把持部材１３は、第１の把持部材１２と同様の長尺形状を有し、基端側Ａｒ２の端部が第３の回転軸Ｒｘ３を中心として回転可能にエンドエフェクタベース１１に対して軸支されている。そして、第２の把持部材１３は、上述したように、術者等の操作者による可動ハンドル３への操作に応じて第１の把持部材１２に対して開閉し、当該第１の把持部材１２に対して対象部位を把持可能とする。

　そして、エンドエフェクタ１０は、第１，第２の把持部材１２，１３の間で対象部位を把持した状態で、供給された電力に応じて当該対象部位に対して処置エネルギを付与することによって当該対象部位を処置する。ここで、当該電力は、術者等の操作者によるスイッチ４への出力開始操作に応じて、導線ＣＡを経由することによって、エンドエフェクタ１０に対して供給される。
　なお、供給された電力に応じて当該処置エネルギを発生させる構成としては、図示を省略したが、以下に示すヒータや、一対の電極を例示することができる。

　ヒータは、供給された電力に応じて発熱するシートヒータであって、第１，第２の把持部材１２，１３の少なくとも一方の内部に配設される。当該ヒータは、例えば、ポリイミド等の絶縁材料によって構成されたシート状の基板上に通電によって発熱する電気抵抗パターンが蒸着等によって形成されたものである。そして、エンドエフェクタは、当該ヒータからの熱を第１，第２の把持部材１２，１３の間に把持された対象部位に対して伝達させることによって、当該対象部位を処置する。
　以上のように、当該ヒータを用いた構成では、対象部位に付与する処置エネルギとして熱エネルギを採用することとなる。

　一対の電極のうち、一方の電極は、第１の把持部材１２に設けられる。また、他方の電極は、第２の把持部材１３に設けられる。そして、当該一対の電極に対して電力（高周波電力）が供給されると、第１，第２の把持部材１２，１３の間に把持された対象部位には、高周波電流が流れることによってジュール熱が発生する。これによって、当該対象部位は、処置される。
　以上のように、当該一対の電極を用いた構成では、対象部位に付与する処置エネルギとして高周波エネルギを採用することとなる。

　導線ＣＡは、外部の制御装置（図示略）と電気的に接続するとともに、固定ハンドル２２における－Ｚ軸側の端部からハウジング２内に引き回される。そして、導線ＣＡは、当該固定ハンドル２２における－Ｚ軸側の端部から、ハウジング２内及び回転ノブ５内を辿った後、シース６内に引き回され、エンドエフェクタ１０（上述したヒータや一対の電極等）と電気的に接続する。すなわち、導線ＣＡは、外部の制御装置（図示略）からエンドエフェクタ１０（上述したヒータや一対の電極等）に対して供給する電力の供給経路となる。
　以下、導線ＣＡにおけるハウジング２内及び回転ノブ５内における配線経路について説明する。

　〔ケーブルの配線経路について〕
　図４及び図５は、導線ＣＡの配線経路を説明する図である。
　なお、図２では、説明の便宜上、固定ハンドル２２における－Ｚ軸側の端部から、第２の保持部材７６に近接する位置までの導線ＣＡの配線経路のみを図示している。そして、図４及び図５では、当該第２の保持部材７６に近接する位置からシース６内に至るまでの配線経路を示している。

　ここで、保持部材本体７６２の外周面には、図２、図４または図５に示すように、中心軸Ａｘを囲む周方向の全周に亘って延在した環状の凹部７６３が設けられている。また、ハウジング２には、図２に示すように、中心軸Ａｘを囲む周方向に沿って延在し、凹部７６３に挿通される突起部２３が設けられている。そして、凹部７６３に突起部２３が挿通された状態では、凹部７６３内に特定の空間Ｓｐ（図２，図４，図５）が形成される。
　また、第１の保持部材７１とスライダ受け７３との間には、図４または図５に示すように、基端側Ａｒ２の端面から先端側Ａｒ１の端面まで貫通し、導線ＣＡが配線される貫通孔１４１を有する経路設定部材１４が配設されている。当該経路設定部材１４における基端側Ａｒ２の端部は、保持部材本体７６２内に挿通されている。

　そして、第２の保持部材７６に近接する位置まで配線された導線ＣＡは、図４または図５に示すように、空間Ｓｐ内に巻き付けられる。また、当該巻き付けられた導線ＣＡは、凹部７６３の底面から保持部材本体７６２内に貫通した貫通孔（図示略）を経由した後、当該保持部材本体７６２内に挿通される。さらに、当該保持部材本体７６２内に挿通された導線ＣＡは、図４に示すように、経路設定部材１４における基端側Ａｒ２の端面から貫通孔１４１内に挿通され、当該貫通孔１４１を辿って、当該経路設定部材１４における先端側Ａｒ１の端面まで引き回される。そして、経路設定部材１４における先端側Ａｒ１の端面まで引き回された導線ＣＡは、シース６内外を貫通する貫通孔（図示略）を経由した後、当該シース６内に挿通され、エンドエフェクタ１０（上述したヒータや一対の電極等）と電気的に接続する。

　以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
　本実施の形態に係る処置具１では、導線ＣＡは、ハウジング２内において回転部材７に対して巻き付けられている。このため、術者等の操作者による回転ノブ５への操作に応じて当該回転ノブ５とともにシース６等が中心軸Ａｘを中心として回転した際に、導線ＣＡにおける回転部材７に対して巻き付けられた部分は、当該巻き付けが緩む方向に状態を変更する第１の動作、または、再度、元の状態に戻る第２の動作を行う。すなわち、当該第１，第２の動作によって、導線ＣＡに対して過度な張力が発生することを回避することができ、導線ＣＡが断線することを抑制することができる。

　特に、導線ＣＡは、回転ノブ５とともに中心軸Ａｘを中心として回転する回転部材７に対して巻き付けられている。このため、当該巻き付けられた部分は、回転部材７とともに中心軸Ａｘを中心として回転することとなり、回転部材７における外周面に摺れてしまうことを抑制することができる。このため、回転ノブ５とともに中心軸Ａｘを中心として回転しない部材に対して導線ＣＡを巻き付けた構成と比較して、導線ＣＡの断線をより一層、抑制することができる。

　また、導線ＣＡは、回転ノブ５内ではなく、ハウジング２内において回転部材７に対して巻き付けられている。このため、回転ノブ５内に導線ＣＡの配線スペースを余計に設ける必要がなく、当該回転ノブ５の小型化を図ることができる。したがって、女性外科医等の手の小さい操作者でも回転ノブ５を操作し易い構成を実現することができ、操作性を向上させることができる。

　また、本実施の形態に係る処置具１では、回転部材７（第１の保持部材７１及びスライダ受け７３）は、コイルバネ８内に挿通されている。さらに、導線ＣＡは、回転部材７を構成する第１の保持部材７１とスライダ受け７３との間に配設された経路設定部材１４における貫通孔１４１を通る。また、第１の保持部材７１内には、駆動機構７２が配設されている。
　このため、第１の保持部材７１、駆動機構７２、スライダ受け７３、及び導線ＣＡをコイルバネ８における環状の内側に纏めて配設することができ、当該コイルバネ８における環状の外側に当該各部材７１～７３，ＣＡを配設するスペースを設ける必要がない。すなわち、ハウジング２の小型化を図ることができる。したがって、女性外科医等の手の小さい操作者でも処置具１を持ち易い構成を実現することができ、操作性をさらに向上させることができる。

　特に、導線ＣＡを第１の保持部材７１とスライダ受け７３との間に通すことによって、導線ＣＡが可動ハンドル３における一対の係合部３１１と機械的に干渉することを回避することができる。すなわち、導線ＣＡと一対の係合部３１１との機械的な干渉を回避することによって、当該導線ＣＡの断線をより一層、抑制することができる。

　また、本実施の形態に係る処置具１では、導線ＣＡは、回転部材７に設けられた凹部７６３とハウジング２に設けられた突起部２３とによって構成される空間Ｓｐ内に巻き付けられている。
　このため、当該巻き付けられた部分を当該空間Ｓｐ内に留めることができ、当該巻き付けられた部分が上述した第１，第２の動作を行う際に周囲の部材に引っ掛かってしまうことを回避することができる。したがって、導線ＣＡの断線をより一層、抑制することができる。

　また、本実施の形態に係る処置具１では、中心軸Ａｘ上で、かつ、基端側Ａｒ２の端部には、医師等の操作者による屈曲操作を受け付ける屈曲操作部９が設けられている。すなわち、本実施の形態に係る処置具１では、屈曲操作部９が上記の位置に設けられていることから、導線ＣＡを上記の位置から引き出すことができない構造となっている。そして、当該構造では、導線ＣＡを中心軸Ａｘから離間した位置（本実施の形態では、固定ハンドル２２における－Ｚ軸側の端部）から引き出す必要があり、術者等の操作者による回転ノブ５への操作に応じて導線ＣＡに対して張力が発生し易い構造となっている。
　このため、上記の構造に対して、本願発明を採用することによって、導線ＣＡの断線を抑制しつつ、操作性を向上させることができる、という効果を好適に実現することができる。

（その他の実施形態）
　ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
　上述した実施の形態では、導線ＣＡは、シース６内を辿った後、エンドエフェクタ１０（上述したヒータや一対の電極等）に対して、直接、電気的に接続されていたが、これに限らない。導線ＣＡがシース６等の他の部材を経由することによってエンドエフェクタ１０と電気的に接続されていれば、シース６内に導線ＣＡを配線していない構成を採用しても構わない。

　上述した実施の形態では、導線ＣＡは、保持部材本体７６２の外周面に巻き付けられていたが、これに限らず、例えば、保持部材本体７６２よりも径寸法の小さい嵌合部７６１の外周面に巻き付けた構成を採用しても構わない。
　上述した実施の形態では、導線ＣＡの本数について言及していないが、複数本の導線ＣＡが配線される構成であっても構わない。
　上述した実施の形態において、本発明に係る第２の操作部としては、屈曲操作部９に限らず、中心軸Ａｘ上で、かつ、基端側Ａｒ２の端部に配設されるとともに、ユーザ操作を受け付ける操作部であれば、その他の操作部を採用しても構わない。
　上述した実施の形態では、対象部位に対して付与する処置エネルギとして、高周波エネルギや熱エネルギを例示したが、これに限らず、超音波エネルギ等を採用しても構わない。ここで、「対象部位に対して超音波エネルギを付与する」とは、対象部位に対して超音波振動を付与することを意味する。

　１　処置具
　２　ハウジング
　３　可動ハンドル
　４　スイッチ
　５　回転ノブ
　６　シース
　７　回転部材
　８　コイルバネ
　９　屈曲操作部
　１０　エンドエフェクタ
　１１　エンドエフェクタベース
　１２　第１の把持部材
　１３　第２の把持部材
　１４　経路設定部材
　２１　ハウジング本体
　２２　固定ハンドル
　２３　突起部
　３１　ハンドルベース
　３２　ハンドル本体
　３３　ハンドル接続部
　７１　第１の保持部材
　７２　駆動機構
　７３　スライダ受け
　７４　スライダ
　７５　開閉機構
　７６　第２の保持部材
　９１　屈曲操作部本体
　９２　回転変換部
　１４１　貫通孔
　２１１　先端開口部
　２１２　基端開口部
　３１１　係合部
　７２１　回転軸部
　７２２　第１の駆動部
　７２３　第２の駆動部
　７２４　第１のロッド
　７２５　第２のロッド
　７３１　張出部
　７５１　開閉接続部
　７５２　伝達軸部
　７６１　嵌合部
　７６２　保持部材本体
　７６３　凹部
　Ａｒ１　先端側
　Ａｒ２　基端側
　Ａｒ３　第１の屈曲方向
　Ａｒ４　第２の屈曲方向
　Ａｘ　中心軸
　ＣＡ　導線
　Ｐｉ１　第１のピン
　Ｐｉ２　第２のピン
　Ｒｘ１　第１の回転軸
　Ｒｘ２　第２の回転軸
　Ｒｘ３　第３の回転軸
　Ｓｐ　空間

Claims

　第１の軸に沿って延在したシースと、
　前記シースに設けられ、供給された電力に応じて生体組織に対してエネルギを付与するエンドエフェクタと、
　前記シースが挿通されるとともに、ユーザ操作に応じて前記シースとともに前記第１の軸を中心として回転可能な第１の操作部と、
　前記第１の軸を中心として前記第１の操作部を回転可能に支持するハウジングと、
　少なくとも前記ハウジング内及び前記第１の操作部内に配線され、前記エンドエフェクタと電気的に接続し、前記電力の供給経路となる導線と、
　少なくとも一部が前記ハウジング内に位置するとともに、前記シース及び前記第１の操作部とともに前記第１の軸を中心として回転可能とし、前記ハウジング内において前記導線が巻き付けられる回転部材と、を備える処置具。
　前記エンドエフェクタは、
　開閉可能とする一対の把持部材を備え、
　前記処置具は、
　ユーザ操作に応じて移動可能に前記ハウジングによって支持される可動ハンドルと、
　前記ハウジング内に設けられ、前記第１の軸を囲む環形状を有し、前記可動ハンドルの移動に応じて前記一対の把持部材に対して前記一対の把持部材を開閉するための駆動力を付与する弾性部材と、をさらに備え、
　前記回転部材は、
　前記弾性部材内に挿通される請求項１に記載の処置具。
　前記回転部材は、
　前記第１の軸に沿って延在した筒形状を有し、前記弾性部材内に挿通される第１の回転部材と、
　前記第１の軸に沿って延在し、前記第１の回転部材内に配置される第２の回転部材と、を備え、
　前記導線は、
　前記第１の回転部材と前記第２の回転部材との間を通る請求項２に記載の処置具。
　前記回転部材は、
　前記回転部材の基端に位置し、前記第１の回転部材及び前記第２の回転部材の少なくとも一方と連結する第３の回転部材をさらに備え、
　前記導線は、
　前記第３の回転部材における前記第１の軸を囲む周方向に沿う外周面に巻き付けられている請求項３に記載の処置具。
　前記外周面には、
　前記周方向の全周に延在した環状の凹部が設けられ、
　前記導線は、
　前記凹部内に巻き付けられている請求項４に記載の処置具。
　前記ハウジングには、
　前記凹部内に挿通される突起部が設けられている請求項５に記載の処置具。
　前記エンドエフェクタは、
　前記シースに対して屈曲または湾曲可能とし、
　前記回転部材の基端部は、
　前記ハウジングの外部に露出し、
　前記処置具は、
　前記第１の軸上に位置するとともに、ユーザ操作に応じて動作可能に前記基端部によって支持される第２の操作部と、
　前記第２の操作部の動作に応じて前記エンドエフェクタを前記シースに対して屈曲または湾曲させる駆動機構と、をさらに備える請求項１に記載の処置具。
　前記駆動機構は、
　前記回転部材内に設けられている請求項７に記載の処置具。