WO2019244282A1 - 非水電解液二次電池用正極及び非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

非水電解液二次電池用正極(1)は、リチウムとニッケルを含む正極活物質体(2)と、正極活物質体(2)同士を連結し、導電材(4)を含む連結部(5)と、水溶性又は水分散性のバインダー(3)と、集電体(6)とを有し、プレス加工されている。電子顕微鏡により撮影された非水電解液二次電池用正極(1)の断面のバインダー(3)が映っていない電子顕微鏡画像において、連結部(5)の断面が、大空隙率領域(5b)と、正極活物質体(2)の表面に沿って配置され、空隙率が大空隙率領域(5b)の空隙率よりも小さい小空隙率領域(5a)を含む。

Description

非水電解液二次電池用正極及び非水電解液二次電池
 本発明は、リチウムとニッケルを含む正極活物質を使用した非水電解液二次電池用正極及び非水電解液二次電池に関する。
 既存の非水電解液二次電池の正極には、リチウム(Li)を含む正極活物質が使用されている。近年、正極活物質として、リチウムとニッケル(Ni)を含む正極活物質が注目されている(例えば特許文献1参照)。ニッケルを含む正極活物質を使用することによって、非水電解液二次電池の充放電容量が高くなる。
特開2012-169166号公報
 リチウムとニッケルを含む正極活物質を使用した非水電解液二次電池の電池特性をさらに高めつつ、耐久性も高めたいという要望がある。電池特性とは、例えば、充放電効率である。
 本発明は、リチウムとニッケルを含む正極活物質を使用した従来の非水電解液二次電池用正極に比べて、電池特性を高めつつ、電池の耐久性を高めることができる、リチウムとニッケルを含む正極活物質を使用した非水電解液二次電池用正極を提供することを目的とする。
 特許文献1の非水電解液二次電池用正極は、有機溶媒系バインダーが使用されている。リチウムとニッケルを含む正極活物質を用いた非水電解液二次電池用正極としては、水分散性又は水溶性のバインダーを用いたものも開発されているが、ニッケルを高濃度で含むものは実用化には至っていない。
 本願発明者らは、リチウムとニッケルを含む正極活物質を含む従来の非水電解液二次電池用正極について研究した。従来の有機溶媒系バインダーを用いた正極、又は、従来の水分散性又は水溶性のバインダーを用いた正極において、正極活物質体同士が、導電材を含む連結部によって連結されている。ここで、正極活物質体とは、正極活物質の一次粒子が凝集したものである。また、ここでの連結部に含まれる導電材とは、直径又は厚さが1μm以下の導電性を有する物質である。以下の説明における導電材も、直径又は厚さが1μm以下の導電性を有する物質を意味する。従来の正極の連結部は、導電材やバインダーなどを含む。従来の正極の断面のバインダーが映っていない電子顕微鏡画像において、従来の正極の連結部は、ほぼ導電材だけで構成されている。従来の正極の断面のバインダーが映っていない電子顕微鏡画像において、連結部に、導電材同士の隙間が存在する。
 本願発明者らは、水溶性又は水分散性バインダーを用いた非水電解液二次電池用正極を材料や手順を変えて作製してみた。その結果、正極の断面のバインダーが映っていない電子顕微鏡画像において、連結部が、従来の連結部と同程度の空隙率を有する部分と、正極活物質体の表面に沿って配置された空隙率の小さい部分とを有するような非水電解液二次電池用正極を作製することができた。正極の断面のバインダーが映っていない電子顕微鏡画像において、空隙率の大きい部分は、従来と同様、ほぼ導電材だけで構成される。一方、正極の断面のバインダーが映っていない電子顕微鏡画像において、空隙率の小さい部分は、導電材と導電材以外の物質で構成される。
 従来、リチウムイオンの移動の自由度の確保のためには、連結部に電解液が入り込むことが可能な隙間があることが良いと考えられていた。つまり、従来、電池の充放電効率の向上のためには、連結部全体の空隙率は大きい方が良いと考えられていた。ところが、本願発明者らは、連結部に、従来の連結部と同程度の空隙率を有する部分と、正極活物質体の表面に沿って配置された空隙率の小さい部分の両方が存在することで、従来の正極よりも電池特性を高められることに気付いた。さらに、連結部が、正極活物質体の表面に沿って配置された空隙率の小さい部分を有することで、従来の正極よりも電池の耐久性を高められることに気付いた。
 連結部における空隙率の小さい部分は、電解液が浸み込みにくい。しかし、連結部が、空隙率の大きい部分と空隙率の小さい部分の両方を有することで、連結部への電解液の浸み込みやすさを確保できることがわかった。そのため、リチウムイオンの移動の自由度を従来の正極と同程度に確保できることがわかった。
 さらに、連結部が空隙率の小さい部分を有していることで、電池の充電時及び放電時に正極活物質体が膨張又は収縮しても、連結部における導電材同士の連結が、従来の正極よりも切れにくくなることがわかった。それにより、連結部による電子の伝導性が向上して、電池の電極抵抗が低くなる。
 これらの結果、従来の非水電解液二次電池よりも、充放電効率が向上する。
 連結部の正極活物質体の表面に沿った部分が、導電材と導電材以外の物質で構成されている。それにより、正極活物質体の一部が連結部の正極活物質体の表面に沿った部分に固定された状態となる。そのため、電池の充電時及び放電時に正極活物質体が膨張又は収縮しても、正極活物質体のクラックが、従来の正極よりも生じにくいことがわかった。クラックが生じた正極活物質体は電池の充電及び放電に寄与できない。したがって、正極活物質体のクラックの発生が抑制されたことで、電池の使用による充放電効率の低下が抑制される。また、従来の非水電解液二次電池に比べて、正極活物質体のクラックの発生による正極の劣化を抑制できる。
 また、連結部の正極活物質体の表面に沿った部分の空隙率が小さいことで、電解液が連結部を通って正極活物質体の表面に接しにくくなる。つまり、連結部に対する電解液の浸みこみやすさを確保しつつ、電解液が連結部を通って正極活物質体に接触するのを抑制できる。電解液が正極活物質体に接しにくいことにより、高電圧で電池が使用される場合でも電解液が電気分解しにくくなる。よって、従来の非水電解液二次電池に比べて、高電圧で使用しても、電解液の電気分解による電池の劣化を抑制できる。
 (1)本発明の非水電解液二次電池用正極は、リチウムとニッケルを含む正極活物質粒子が凝集した正極活物質体と、直径又は厚さが1μm以下の導電材を含み、前記導電材以外に導電性を有する物質を含まず、前記正極活物質体同士を連結する連結部と、水溶性又は水分散性のバインダーと、集電体とを有し、プレス加工された非水電解液二次電池用正極である。電子顕微鏡により撮影された前記非水電解液二次電池用正極の断面の前記バインダーが映っていない少なくとも1つの電子顕微鏡画像において、それぞれ、前記連結部の断面が、大空隙率領域と、前記正極活物質体の表面に沿って配置され、空隙率が前記大空隙率領域の空隙率よりも小さい小空隙率領域とを含む。
 空隙率の小さい小空隙率領域には、電解液が浸み込みにくい。しかし、少なくとも1つの電子顕微鏡画像において、連結部の断面は、空隙率の小さい小空隙率領域と、空隙率の大きい大空隙率領域とを含む。空隙率の大きい大空隙率領域には、電解液が浸み込みやすい。そのため、連結部が小空隙率領域を有していても、リチウムイオンの移動の自由度を従来の正極と同程度に確保できることがわかった。
 さらに、連結部が空隙率の小さい小空隙率領域を含んでいることで、電池の充電時及び放電時に正極活物質体が膨張又は収縮しても、連結部における導電材同士の連結が、従来の正極よりも切れにくくなる。それにより、連結部による電子の伝導性が向上して、電池の電極抵抗が低くなる。
 これらの結果、従来の非水電解液二次電池よりも、充放電効率が向上する。
 導電材を使用する以上は、連結部の空隙率が、従来の正極の連結部の空隙率より極端に大きくなることはない。したがって、大空隙率領域の空隙率は、従来の連結部の空隙率と同程度であって、小空隙率領域の空隙率は、従来の連結部の空隙率より小さい。そのため、小空隙率領域は、導電材と導電材以外の物質で構成される。小空隙率領域の少なくとも一部は、連結部の正極活物質体の表面に沿って配置される。つまり、連結部の正極活物質体の表面に沿った部分が、導電材と導電材以外の物質で構成される。それにより、正極活物質体の一部は小空隙率領域に固定された状態となる。そのため、電池の充電時及び放電時に正極活物質体が膨張又は収縮しても、正極活物質体のクラックが従来の正極よりも生じにくい。したがって、正極活物質体のクラックの発生が抑制されたことで、電池の使用による充放電効率の低下が抑制される。また、従来の非水電解液二次電池に比べて、正極活物質体のクラックの発生による正極の劣化を抑制できる。
 また、連結部の正極活物質体の表面に沿った部分の空隙率が小さいことにより、電解液が連結部を通って正極活物質体の表面に接しにくくなる。つまり、連結部に対する電解液の浸みこみやすさを確保しつつ、電解液が連結部を通って正極活物質体に接触するのを抑制できる。電解液が正極活物質体に接しにくいことにより、高電圧で電池が使用される場合でも電解液が電気分解しにくくなる。よって、従来の非水電解液二次電池に比べて、高電圧で使用しても、電解液の電気分解による電池の劣化を抑制できる。
 以上により、正極の断面において、連結部の断面が、正極活物質体の表面に沿って配置された空隙率の小さい小空隙率領域を含むことで、リチウムとニッケルを含む正極活物質体を使用した従来の非水電解液二次電池用正極に比べて、電池特性を高めつつ、電池の耐久性を高めることができる。
 (2)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積及び前記大空隙率領域の面積が、それぞれ、前記直径が1μm以下の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。前記連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積及び前記大空隙率領域の面積が、それぞれ、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。
 上記構成によると、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積及び大空隙率領域の面積がある程度大きい。よって、小空隙率領域及び大空隙率領域を有することにより得られる効果を、より確実に得ることができる。
 (3)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記大空隙率領域が、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含み、且つ、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積が、前記大空隙率領域における、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む前記領域の面積以上である。前記連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記大空隙率領域が、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含み、且つ、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積が、前記大空隙率領域における、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む前記領域の面積以上である。
 上記構成によると、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積及び大空隙率領域の面積がある程度大きい。よって、小空隙率領域及び大空隙率領域を有することにより得られる効果を、より確実に得ることができる。
 (4)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像に含まれる第1の電子顕微鏡画像における前記小空隙率領域の前記空隙率が、前記第1の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率、及び、前記第1の電子顕微鏡画像と電子像の種類及び加速電圧が同じであって撮影対象が異なる前記非水電解液二次電池用正極の断面が撮影された前記バインダーの映っていない第2の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の少なくとも一方より小さい。
 正極の断面の電子顕微鏡画像(第1の電子顕微鏡画像及び第2の電子顕微鏡画像)には、正極活物質体同士の間の空隙、正極活物質体と連結部との間の空隙、及び、連結部の一部と連結部の他の部分との間の空隙が存在する。そのため、電子顕微鏡画像における集電体と正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率は、ゼロよりもある程度大きい。第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率は、第1の電子顕微鏡画像又は第1の電子顕微鏡画像と異なる第2の電子顕微鏡画像における有効領域の空隙率より小さい。よって、小空隙率領域の空隙率は、大き過ぎない。それにより、連結部における導電材同士の連結が切れにくくなるため、充放電効率を高められる。さらに、正極活物質体にクラックが発生しにくくなるため、正極の劣化を抑制できる。加えて、電解液が電気分解しにくくなるため、電池の劣化を抑制できる。
 (5)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(4)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第1の電子顕微鏡画像における前記小空隙率領域の前記空隙率が、前記第1の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の2/3、及び、前記第2の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の2/3の少なくとも一方以下である。
 上記構成によると、第1の電子顕微鏡画像おける小空隙率領域の空隙率が、第1の電子顕微鏡画像又は第1の電子微鏡画像と異なる第2の電子顕微鏡画像における有効領域の空隙率の2/3以下である。そのため、小空隙率領域の空隙率は大き過ぎない。それにより、連結部における導電材同士の連結が切れにくくなるため、充放電効率を高められる。さらに、正極活物質体にクラックが発生しにくくなるため、正極の劣化を抑制できる。加えて、電解液が電気分解しにくくなるため、電池の劣化を抑制できる。
 (6)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像に含まれる第3の前記電子顕微鏡画像における前記大空隙率領域の前記空隙率が、前記第3の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率、及び、前記第3の電子顕微鏡画像と電子像の種類及び加速電圧が同じであって撮影対象が異なる前記非水電解液二次電池用正極の断面が撮影された前記バインダーの映っていない第4の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の少なくとも一方以上である。
 正極の断面の電子顕微鏡画像(第3の電子顕微鏡画像及び第4の電子顕微鏡画像)には、正極活物質体同士の間の空隙、正極活物質体と連結部との間の空隙、及び、連結部の一部と連結部の他の部分との間の空隙が存在する。そのため、電子顕微鏡画像における集電体と正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率は、ゼロよりも大きいものの、極端に大きくなることはない。第3の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率は、第3の電子顕微鏡画像又は第3の電子顕微鏡画像と異なる第4の電子顕微鏡画像における有効領域の空隙率以上である。よって、大空隙率領域の空隙率は、小さ過ぎない。それにより、連結部に電解液が浸みこみやすくなるため、連結部におけるリチウムイオンの移動の自由度を確保できる。よって、小空隙率領域による電池の充放電効率の向上を妨げない。
 (7)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(6)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像に含まれる第5の電子顕微鏡画像における前記小空隙率領域の前記空隙率が、前記第5の電子顕微鏡画像における前記大空隙率領域の前記空隙率の半分以下である。
 上記構成によると、第5の電子顕微鏡画像おいて、小空隙率領域の空隙率が大空隙率領域の空隙率の半分以下である。そのため、小空隙率領域の空隙率は大き過ぎない。それにより、連結部における導電材同士の連結が切れにくくなるため、充放電効率を高められる。さらに、正極活物質体にクラックが発生しにくくなるため、正極の劣化を抑制できる。加えて、電解液が電気分解しにくくなるため、電池の劣化を抑制できる。
 また、第5の電子顕微鏡画像おいて、小空隙率領域の空隙率が大空隙率領域の空隙率の半分以下であるとは、言い換えると、第5の電子顕微鏡画像において、大空隙率領域の空隙率が小空隙率領域の空隙率の2倍以上である。したがって、大空隙率領域の空隙率は、小さ過ぎない。それにより、連結部に電解液が浸みこみやすくなるため、連結部におけるリチウムイオンの移動の自由度を確保できる。よって、小空隙率領域による電池の充放電効率の向上を妨げない。
 (8)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(7)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。少なくとも1つの前記電子顕微鏡画像において、前記小空隙率領域の前記空隙率が、5%未満である。
 上記構成によると、小空隙率領域の空隙率は、大き過ぎない。それにより、連結部における導電材同士の連結が切れにくくなるため、充放電効率を高められる。さらに、正極活物質体にクラックが発生しにくくなるため、正極の劣化を抑制できる。加えて、電解液が電気分解しにくくなるため、電池の劣化を抑制できる。
 (9)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(8)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。少なくとも1つの前記電子顕微鏡画像において、前記大空隙率領域の前記空隙率が、5%以上である。
 上記構成によると、大空隙率領域の前記空隙率は、小さ過ぎない。それにより、連結部に電解液が浸みこみやすくなるため、連結部におけるリチウムイオンの移動の自由度を確保できる。よって、小空隙率領域による電池の充放電効率の向上を妨げない。
 (10)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(9)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記空隙率が、前記前記電子顕微鏡画像に対して、前記電子顕微鏡画像を空隙を示す暗領域と空隙でない部分を示す明領域に区別する二値化処理して得られる、前記暗領域の面積が占める割合である。
 電子顕微鏡画像を、空隙を示す暗領域と空隙でない領域を示す明領域に区別する二値化処理することによって、電子顕微鏡画像の所定の領域に占める暗領域の面積の割合を算出できる。大空隙率領域に占める暗領域の面積の比率は、大空隙率領域の空隙率として使用できる。小空隙率領域に占める暗領域の面積の比率は、小空隙率領域の空隙率として使用できる。
 (11)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(10)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記電子顕微鏡画像は、1,000倍以上8,000倍以下の拡大倍率で撮影された画像である。
 電子顕微鏡画像の拡大倍率が、1,000倍以上8,000倍以下であることにより、電子顕微鏡画像から画像処理等によって、大空隙率領域の空隙率及び小空隙率領域の空隙率を求めやすい。
 (12)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(11)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記非水電解液二次電池用正極の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の前記電子顕微鏡画像において、それぞれ、前記連結部の断面が、前記大空隙率領域と前記小空隙率領域を含む。
 この構成によると、正極の1つの断面の離れた複数箇所又は複数の断面において、それぞれ、連結部の断面が、大空隙率領域と小空隙率領域を含む。よって、連結部の小空隙率領域及び大空隙率領域は、電子顕微鏡画像の撮影の仕方によって偶然にできたものではない。
 (13)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(12)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記正極活物質粒子に含まれる金属元素に占めるニッケルの割合が、50モル%以上である。
 この構成によると、非水電解液二次電池用正極を用いた非水電解液二次電池の充放電容量をより高めることができる。
 (14)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(13)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記正極活物質粒子に含まれる金属元素に占めるニッケルの割合が、80モル%以上である。
 この構成によると、非水電解液二次電池用正極を用いた非水電解液二次電池の充放電容量をより一層高めることができる。
 (15)本発明の非水電解液二次電池は、上述の(1)~(14)のいずれかの非水電解液二次電池用正極と、負極と、非水電解液とを備えることを特徴とする。
 (16)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(15)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域及び前記大空隙率領域が、それぞれ、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含む。前記連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域及び前記大空隙率領域が、それぞれ、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含む。
 上記構成によると、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積及び大空隙率領域の面積がある程度大きい。また、電子顕微鏡画像において、小空隙率領域で、導電材の各々を特定しにくい場合でも、小空隙率領域の面積をある程度大きくすることができる。よって、小空隙率領域及び大空隙率領域を有することにより得られる効果を、より確実に得ることができる。
 (17)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(16)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記正極がシート状である。直径3mmの円筒形マンドレルを使用し、JIS K5600-5-1に準拠した耐屈曲性試験において、前記正極活物質体及び前記連結部が前記集電体から剥離されないような接続強度で、前記正極活物質体及び前記連結部が前記集電体に接続されている。
 この構成によると、非水電解液二次電池の製造過程及び使用時に、正極活物質体及び連結部が集電体から剥離しにくい。また、剥離の要因となる集電体の腐食が生じていない。これらにより、非水電解液二次電池用正極を用いた非水電解液二次電池の充放電効率の低下を抑制できる。よって、非水電解液二次電池の耐久性が高い。なお、「JIS K5600-5-1に準拠した耐屈曲性試験」とは、塗膜の機械的性質に関する試験方法の一種であって、円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験である。
 (18)本発明の1つの観点によると、本発明の非水電解液二次電池用正極は、上記(1)~(17)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記非水電解液二次電池用正極を用いてハーフセルを作製した場合に、前記ハーフセルの25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量が、前記正極活物質粒子の材質、前記正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径に依存する最大放電容量の90%以上である。
 この構成によると、非水電解液二次電池用正極を用いて作製されたハーフセルの正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量は、実用化に十分に耐えることができるレベルである。
 <用語の定義>
 本発明において、「正極活物質粒子」とは、正極活物質の一次粒子である。本発明において、「正極活物質体」とは、正極活物質の一次粒子が凝集して形成された二次粒子である。
 本発明において、「直径又は厚さが1μm以下の導電材」は、直径が1μm以下であり且つ厚さが1μmを超える導電材であってもよく、直径が1μmを超え且つ厚さが1μm以下である導電材であってもよく、直径が1μm以下であり且つ厚さが1μm以下である導電材であってもよい。
 本発明において、「直径が1μm以下の導電材」は、直径が1μm以下である、導電性を有する物質である。導電材の直径は、非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像に映った導電材の直径でもよく、非水電解液二次電池用正極の表面の電子顕微鏡画像に映った導電材の粒径でもよい。導電材の直径を測定する場合、導電材が映った電子顕微鏡画像を用いることにより、導電材の直径を測定してもよい。導電材の直径を測定する場合、電子顕微鏡画像を用いる方法以外の方法により、導電材の直径を測定してもよい。なお、導電材の二次元の形状は、円形状でもよく、円形状でなくてもよい。例えば、非水電解液二次電池用正極の表面および/または断面の電子顕微鏡画像に映った導電材は、円形状でもよく、円形状でなくてもよい。また、導電材の三次元の形状は、球状でもよく、球状でなくてもよい。導電材の二次元の形状が円形状でない場合および/または導電材の三次元の形状が球状でない場合、導電材の直径として、例えば、導電材と同一体積に相当する球の直径を用いてもよく、導電材のある面における外形の最大長さを用いてもよい。
 直径が1μm以下の導電材が、導電材の径方向に対して直交する方向に厚さを有する場合、「直径が1μm以下の導電材」は、厚さが1μmを超える導電材でもよく、厚さが1μm以下の導電材でもよい。直径が1μm以下の導電材が、導電材の径方向に対して交差する方向に長尺である場合、「直径が1μm以下の導電材」は、長手方向長さが1μmを超える導電材でもよく、長手方向長さが1μm以下の導電材でもよい。導電材の径方向に対して交差する方向に長尺であるとは、例えば、導電材の径方向に対して直交する方向に長尺であることでもよい。
 本発明において、「厚さが1μm以下の導電材」は、最大厚さが1μm以下である、導電性を有する物質である。導電材が平面を有する場合、導電材の厚さは平面に対して直交する方向の長さである。例えば、非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像に導電材の側面又は断面が映っており、この側面又は断面が導電材の上記平面に対して直交する側面又は断面である場合、非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像に映った導電材の前記側面又は断面の厚さが導電材の厚さである。導電材の厚さを測定する場合、電子顕微鏡画像を用いる方法以外の方法により、導電材の厚さを測定してもよい。
 「直径が1μm以下の導電材」は、例えば、カーボンブラック、微小なグラファイト及びカーボンナノチューブである。「厚さが1μm以下の導電材」は、例えば、グラフェンである。連結部に、直径又は厚さが1μm以下の導電材が1種類だけ含まれていてもよい。連結部に、直径又は厚さが1μm以下の導電材が2種類以上含まれていてもよい。例えば、連結部に、カーボンブラック、微小なグラファイト、カーボンナノチューブ及びグラフェンから選択されるいずれか1種類または2種類以上の導電材が含まれていてもよい。
 「直径が1μm以下の導電材」がカーボンブラックである場合、カーボンブラックは、ドメインでもよく、アグリゲートでもよい。アグリゲートは、ドメインが凝集した凝集体である。アグリゲートは複数のドメインが鎖状に連結したストラクチャー構造である。ドメインが球状である場合、ドメインの直径として、球の直径を用いることができる。ドメインが球状でない場合、ドメインの直径として、例えば、ドメインと同一体積に相当する球の直径を用いてもよく、ドメインの最大長さを用いてもよい。ドメインの直径としてドメインの最大長さを用いる場合、ドメインの最大長さは1μm以下である。アグリゲートが球状である場合、アグリゲートの直径として、球の直径を用いることができる。アグリゲートが球状でない場合、アグリゲートの直径として、例えば、そのアグリゲートと同一体積に相当する球の直径を用いてもよく、アグリゲートの最大長さを用いてもよい。アグリゲートの直径は、1μm以下である。アグリゲートの直径としてアグリゲートの最大長さを用いる場合、アグリゲートの最大長さは1μm以下である。
 連結部において、ドメインは、ドメイン単独で存在してもよく、アグリゲートの一部として存在してもよく、アグロメレートの一部として存在してもよい。アグロメレートとは、アグリゲートが凝集した凝集体である。連結部において、アグリゲートは、アグリゲート単独で存在してもよく、アグロメレートの一部として存在してもよい。
 微小なグラファイトが球状である場合、微小なグラファイトの直径として、球の直径を用いてもよい。微小なグラファイトが球状でない場合、微小なグラファイトの直径として、例えば、そのグラファイトと同一体積に相当する球の直径を用いてもよく、グラファイトの最大長さを用いてもよい。微小なグラファイトの直径は、1μm以下である。微小なグラファイトの直径として微小なグラファイトの最大長さを用いる場合、微小なグラファイトの最大長さが1μm以下である。
 カーボンナノチューブは、単層あるいは多層のグラフェンが同軸管状になった物質である。グラフェンは、グラフェンシートと呼ばれることがある。グラフェンは、炭素原子の六員環が平面状に連なった構造を有する。単層あるいは多層のグラフェンが同軸管状になったカーボンナノチューブは、筒状に形成されている。カーボンナノチューブの筒の直径は1μm以下であるため、カーボンナノチューブは「直径が1μm以下の導電材」である。なお、導電材が筒状である場合、導電材の筒の軸方向長さは、導電材の直径ではない。したがって、筒状のカーボンナノチューブの軸方向長さは、導電材の直径ではない。
 連結部にカーボンナノチューブが含まれる場合、カーボンナノチューブは、軸が直線状に延在した状態で存在してもよく、軸が直線状でない状態で存在してもよい。軸が直線状でない状態とは、例えば、軸が湾曲した状態でもよく、軸が折れ曲がった状態でもよい。
 カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形が円形である場合、カーボンナノチューブの直径として、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の直径を用いてもよい。この場合、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の直径は、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面の外径である。ここで、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面とは、カーボンナノチューブの各位置において、各位置における軸方向に直交する面である。カーボンナノチューブの軸が直線状である場合、カーボンナノチューブにおけるすべての位置において、軸方向が同じ方向である。カーボンナノチューブの軸が直線状でない場合、カーボンナノチューブにおいて各位置における軸方向が同じ方向でないことがある。
 カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形が円形でない場合、カーボンナノチューブの直径として、例えば、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形に囲まれた面積と同一面積に相当する円の直径を用いてもよく、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の最大長さを用いてもよい。カーボンナノチューブの直径は、1μm以下である。カーボンナノチューブの直径として、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の最大長さを用いる場合、カーボンナノチューブの外形の最大長さは1μm以下である。通常、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの直径は、100nm以下である。通常、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の最大長さは、100nm以下である。カーボンナノチューブとして、例えば軸方向の長さが10μm以下のカーボンナノチューブがある。上述したように、カーボンナノチューブの軸方向長さはカーボンナノチューブの直径でない。したがって、カーボンナノチューブの軸方向の長さは10μmを超えてもよい。カーボンナノチューブの軸方向長さが1μmを超えていても、カーボンナノチューブの直径は1μm以下であるため、カーボンナノチューブは、直径が1μm以下の導電材に含まれる。
 グラフェンは、炭素原子の六員環が平面状に連なった構造を有する。グラフェンは、炭素原子の六員環が平面状に連なった層を1層だけ有するものでもよく、炭素原子の六員環が平面状に連なった層が2層以上積層されたものでもよい。正極作製時のプレス加工などにより、グラフェンは、正極において、炭素原子の六員環が連なった面が集電体と平行になるように配列されていることが多い。したがって、非水電解液二次電池用正極の断面が正極の厚み方向に沿った断面である場合、連結部にグラフェンが含まれているとき、連結部の断面に、グラフェンにおける、炭素原子の六員環が連なった面に交差する側面又は炭素原子の六員環が連なった面に交差する断面が現れることが多い。例えば、非水電解液二次電池用正極の断面が正極の厚み方向に沿った断面である場合、連結部の断面に、グラフェンにおける、炭素原子の六員環が連なった面に直交する側面が現れてもよく、連結部の断面に、グラフェンにおける、炭素原子の六員環が連なった面に直交する断面が現れてもよい。
 グラフェンの厚さは、炭素原子の六員環が平面状に連なった面に直交する方向の最大長さである。グラフェンの厚さは、1μm以下である。したがって、非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像において、連結部の断面に、グラフェンにおける、炭素原子の六員環が連なった面に直交する側面および/または断面が現れた場合、その側面および/または断面において、炭素原子の六員環が連なった面に直交する方向の長さは、1μm以下である。
 炭素原子の六員環が連なった面が円形である場合、グラフェンの直径として、炭素原子の六員環が連なった面の直径を用いることができる。炭素原子の六員環が連なった面が円形でない場合、グラフェンの直径として、例えば、炭素原子の六員環が連なった面と同一面積に相当する円の直径を用いてもよく、炭素原子の六員環が連なった面の最大長さを用いてもよい。グラフェンとして、例えば、炭素原子の六員環が連なった面における直径が10μm以下のグラフェンがある。グラフェンにおいて、炭素原子の六員環が連なった面における直径は1μmを超えてもよい。グラフェンの直径が1μmを超えても、グラフェンの厚さは1μm以下であるため、グラフェンは、「厚さが1μm以下の導電材」である。グラフェンの直径が1μm以下である場合、そのグラフェンは、「直径が1μm以下の導電材」でもあり、「厚さが1μm以下の導電材」でもある。
 本発明において、「直径又は厚さが1μm以下の導電材を含み、前記導電材以外に導電性を有する物質を含まない連結部」とは、連結部は、直径又は厚さが1μm以下の導電材を含むが、直径又は厚さが1μm以下の導電材以外の導電性を有する物質を含まないことである。
 本発明において、「正極活物質体同士を連結する連結部」とは、正極活物質体同士の間に存在し、この2つの正極活物質体に接続された部分だけを指すのではない。連結部は、正極活物質体同士の間に存在し、且つ、この2つの正極活物質体に接続された第1部分と、この第1部分と繋がる第2部分も含む。第2部分は、いずれか2つの正極活物質体の間に配置されつつ、この2つの正極活物質体の一方又は両方に接続されなくてもよい。正極が有する連結部は、1つである。連結部は、独立した複数の部分で構成されていてもよく、全て繋がった1つの物であってもよい。
 本発明において、「水溶性のバインダー」とは、水に溶解可能なバインダーである。本発明において、「水分散性のバインダー」とは、水に分散可能なバインダーである。
 本発明において、「非水電解液」とは、非水溶媒(水を含まない溶媒)に電解質を溶解させた電解液である。本発明において、「二次電池」とは、充電及び放電を繰り返し可能な電池である。本発明において、「非水電解液二次電池」とは、非水電解液を備えた二次電池である。
 本発明において、「非水電解液二次電池用正極の断面」とは、例えば、正極の厚み方向に沿った断面である。正極の厚み方向とは、集電体の厚み方向である。
 本発明において、「バインダーが映っていない電子顕微鏡画像」とは、バインダーが映らないように加速電圧などの撮影条件を適切に設定して電子顕微鏡で撮影した画像である。バインダーの存在しない部分を撮影した画像という意味ではない。
 本発明において、「1つの電子顕微鏡画像において、連結部の断面が、大空隙率領域と小空隙率領域を含む」とは、1つの電子顕微鏡画像において、1つの大空隙率領域に対して、上述の(1)の構成要件を満たす小空隙率領域が、1つだけ存在する場合に限らない。1つの電子顕微鏡画像において、1つの大空隙率領域に対して、上述の(1)の構成要件を満たす小空隙率領域が、複数存在してもよい。複数の小空隙率領域のうちのいずれか2つの小空隙率領域は、部分的に重複してもよい。本発明において、「小空隙率領域」は、上述の(1)の構成要件を満たせば、連結部内に自由に設定できる。つまり、小空隙率領域は、この小空隙率領域と空隙率がほぼ同じ領域に隣り合っていてもよい。また、小空隙率領域は、この小空隙率領域と空隙率が異なる領域に隣り合っていてもよい。小空隙率領域は、この小空隙率領域と空隙率が同じ領域と隣り合わないように設定してもよい。小空隙率領域の少なくとも一部が、連結部以外の物質と隣り合っていてもよい。小空隙率領域の一部が、連結部の他の部分、正極活物質体及びバインダーと隣り合っていなくてもよい。
 本発明において、「1つの電子顕微鏡画像において、連結部の断面が、大空隙率領域と小空隙率領域を含む」とは、1つの電子顕微鏡画像において、1つの小空隙率領域に対して、上述の(1)の構成要件を満たす大空隙率領域が、1つだけ存在する場合に限らない。1つの電子顕微鏡画像において、1つの小空隙率領域に対して、上述の(1)の構成要件を満たす大空隙率領域が、複数存在してもよい。複数の大空隙率領域のうちのいずれか2つの大空隙率領域は、部分的に重複してもよい。本発明において、「大空隙率領域」は、上述の(1)の構成要件を満たせば、連結部内に自由に設定できる。つまり、大空隙率領域は、この大空隙率領域と空隙率がほぼ同じ領域に隣り合っていてもよい。また、大空隙率領域は、この大空隙率領域と空隙率が異なる領域に隣り合っていてもよい。大空隙率領域は、この大空隙率領域と空隙率が同じ領域と隣り合わないように設定してもよい。大空隙率領域の少なくとも一部が、連結部以外の物質と隣り合っていてもよい。大空隙率領域の一部が、連結部の他の部分、正極活物質体及びバインダーと隣り合っていなくてもよい。
 本発明において、「少なくとも1つの電子顕微鏡画像において、それぞれ、連結部の断面が、大空隙率領域と小空隙率領域を含む」とは、1つの電子顕微鏡画像だけにおいて、連結部の断面が、大空隙率領域と小空隙率領域を含む場合を含む。さらに、複数の電子顕微鏡画像において、それぞれ、連結部の断面が、大空隙率領域と小空隙率領域を含む場合を含む。後者の場合、複数の電子顕微鏡画像にそれぞれ存在する小空隙率領域は、同じ領域を撮影したものであってもよく、異なる領域を撮影したものであってもよい。同様に、複数の電子顕微鏡画像でそれぞれ確認される大空隙率領域は、同じ領域を撮影したものであってもよく、異なる領域を撮影したものであってもよい。
 本発明において、「小空隙率領域が正極活物質体の表面に沿って配置される」とは、小空隙率領域がこの正極活物質体に接している状態又は小空隙率領域がこの正極活物質体にほぼ接している状態を指す。小空隙率領域とこの正極活物質体との間には、連結部の一部ではない空隙が存在してもよい。
 本発明において、「小空隙率領域の空隙率」とは、小空隙率領域に占める空隙の面積の比率である。本発明における「大空隙率領域の空隙率」の定義も同様である。本発明において、「電子顕微鏡画像における、集電体と非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率」とは、電子顕微鏡画像における集電体と非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域に占める空隙部分の面積の比率である。これらの空隙率の算出方法は、特に限定されない。「電子顕微鏡画像における、集電体と非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域」とは、正極の断面における集電体と非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域のうち、その電子顕微鏡画像に映っている領域全体のことである。なお、正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー及び集電体だけを含み、正極の断面の電子顕微鏡画像に、正極活物質体及び連結部だけが存在する場合、その電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体における切断位置にない領域及び連結部における切断位置にない領域を含む。空隙は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分を含んでもよく、含まなくてもよい。この場合、正極の断面の電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域及び連結部における切断位置にある領域を含む。空隙でない部分は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分を含んでもよく、含まなくてもよい。
 正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー、集電体、及びこれら以外の他の物質を含み、他の物質が正極の断面の電子顕微鏡画像に映らない場合又は他の物質が正極の断面の電子顕微鏡画像に存在しない場合、正極の断面の電子顕微鏡画像に、正極活物質体及び連結部が存在する。この場合の「空隙」及び「空隙でない部分」の定義も上記と同様である。
 正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー、集電体、及びこれら以外の他の物質を含み、正極の断面の電子顕微鏡画像に、正極活物質体、連結部及び他の物質が存在する場合がある。この場合における、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー及び集電体以外の他の物質とは、例えば、直径又は厚さが1μm以下の導電材ではない、導電性を有する物質である。正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー、集電体、及びこれら以外の他の物質を含み、正極の断面の電子顕微鏡画像に、正極活物質体、連結部及び他の物質が存在する場合、その電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体、連結部及び他の物質の各々における切断位置にない領域を含む。空隙は、正極活物質体、連結部及び他の物質の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分を含んでもよく、含まなくてもよい。この場合、正極の断面の電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域、連結部における切断位置にある領域及び他の物質における切断位置にある領域を含む。空隙でない部分は、正極活物質体、連結部及び他の物質の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分を含んでもよく、含まなくてもよい。
 本発明において、「空隙率が大空隙率領域の空隙率よりも小さい小空隙率領域」とは、1つの電子顕微鏡画像における1つの小空隙率領域の空隙率が、同じ電子顕微鏡画像における1つの大空隙率領域の空隙率よりも小さいことを意味する。1つの電子顕微鏡画像における1つの小空隙率領域の空隙率は、同じ電子顕微鏡画像における2つ以上の大空隙率領域の空隙率よりも小さくてもよい。1つの電子顕微鏡画像における1つの小空隙率領域の空隙率が、同じ電子顕微鏡画像における全ての大空隙率領域の空隙率よりも小さくてもよい。
 1つの電子顕微鏡画像において、連結部の断面が複数の小空隙率領域を有する場合、本発明における「小空隙率領域の空隙率」と他の比率又は数値との大小関係のうち、上述の(1)以外は、少なくとも1つの小空隙率領域について成立する。1つの電子顕微鏡画像に存在する全ての小空隙率領域について、この関係が成立してもよい。
 1つの電子顕微鏡画像において、連結部が複数の大空隙率領域を有する場合、本発明における「大空隙率領域の空隙率」と他の比率又は数値との大小関係のうち、上述の(1)以外は、少なくとも1つの大空隙率領域について成立する。1つの電子顕微鏡画像に存在する全ての大空隙率領域について、この関係が成立してもよい。
 本発明における「少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における小空隙率領域の面積」とは、この小空隙率領域内に空隙が有る場合、空隙を含む面積である。小空隙率領域は、連結部の断面に存在する領域である。したがって、小空隙率領域の面積は、連結部の断面の一部の面積である。本発明における「少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における大空隙率領域の面積」の定義も同様である。
 本発明において、「連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における、前記直径が1μm以下の導電材の平均径」とは、連結部に含まれる直径が1μm以下の導電材の平均径である。連結部が、直径が1μm以下の導電材を1つだけ含む場合、「連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における、前記直径が1μm以下の導電材の平均径」とは、例えば、以下のいずれかのケースが考えられる。第1のケースは、連結部に含まれる導電材の二次元の形状が円形状である場合および/または導電材の三次元の形状が球状である場合、「直径が1μm以下の導電材の平均径」は導電材の直径である。第2のケースは、連結部に含まれる導電材の二次元の形状が円形状でない場合および/または連結部に含まれる導電材の三次元の形状が球状でない場合、「直径が1μm以下の導電材の平均径」は、例えば、連結部に含まれる導電材における平面または断面の外形に囲まれた面積と同一面積に相当する円の直径でもよく、連結部に含まれる導電材の体積と同一体積に相当する球の直径でもよく、連結部に含まれる導電材における平面または断面の最大長さでもよい。連結部が、直径が1μm以下の導電材を複数個含む場合、「連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における、前記直径が1μm以下の導電材の平均径」とは、連結部に含まれる、直径が1μm以下の複数の導電材のなかのいずれか1つの導電材の平均径でもよく、連結部に含まれる、直径が1μm以下の複数の導電材の平均径でもよい。
 本発明において、「連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における、前記直径が1μm以下の導電材の平均径」とは、大空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つまたは複数の導電材の平均径でもよく、小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つまたは複数の導電材の平均径でもよい。
 本発明において、「連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における、前記直径が1μm以下の導電材の平均径」とは、小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の少なくとも1つの導電材と、大空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の少なくとも1つの導電材の平均径でもよい。
 「大空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つの導電材の平均径」および「小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つの導電材の平均径」についても、上述した、連結部が、直径が1μm以下の導電材を1つだけ含む場合において、「連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における、前記直径が1μm以下の導電材の平均径」と同様である。
 本発明において、「電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、直径が1μm以下の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である」とは、以下の4つの態様のいずれであってもよい。第1の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、その小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第2の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における他の小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第3の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における大空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第4の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における大空隙率領域及び小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。
 本発明において、「電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、直径が1μm以下の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である」とは、以下の4つの態様のいずれであってもよい。第1の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、その大空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第2の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における他の大空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第3の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第4の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における大空隙率領域及び小空隙率領域に含まれる、直径が1μm以下の複数の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上である。
 本発明において、「連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」とは、連結部に含まれる厚さが1μm以下の導電材の平均厚さである。連結部が、厚さが1μm以下の導電材を1つだけ含む場合、「連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」とは、例えば、以下のいずれかのケースが考えられる。第1のケースは、連結部に含まれる導電材の厚さが均一である場合、「厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」は導電材の厚さである。第2のケースは、連結部に含まれる導電材の厚さが均一でない場合、「厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」は、連結部に含まれる導電材の最大厚さである。連結部が、厚さが1μm以下の導電材を複数個含む場合、「連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」とは、連結部に含まれる、厚さが1μm以下の複数の導電材のいずれか1つの導電材の平均厚さでもよく、連結部に含まれる、厚さが1μm以下の複数の導電材の平均厚さでもよい。本発明において、「連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」とは、大空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つまたは複数の導電材の平均厚さでもよく、小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つまたは複数の導電材の平均厚さでもよい。
 本発明において、「連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」とは、小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の少なくとも1つの導電材と、大空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の少なくとも1つの導電材の平均厚さでもよい。
 「大空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つの導電材の平均厚さ」および「小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つの導電材の平均厚さ」についても、上述した、連結部が、厚さが1μm以下の導電材を1つだけ含む場合において、「連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さ」と同様である。
 本発明において、「電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、厚さが1μm以下の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である」とは、以下の4つの態様のいずれであってもよい。第1の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、その小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第2の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における他の小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第3の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における大空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第4の態様は、電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における大空隙率領域及び小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。
 本発明において、「電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、厚さが1μm以下の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である」とは、以下の4つの態様のいずれであってもよい。第1の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、その大空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第2の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における他の大空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第3の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の1つ又は複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。第4の態様は、電子顕微鏡画像における大空隙率領域の面積が、電子顕微鏡画像における大空隙率領域及び小空隙率領域に含まれる、厚さが1μm以下の複数の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上である。
 本発明において、「平均径」とは、どのような方法によって算出された平均径でもよい。「平均径」は、例えば、数平均粒径でもよく、体積平均粒径でもよい。本発明において、導電材の「平均厚さ」とは、導電材の「厚さの平均値」である。本発明において、「平均厚さ」とは、どのような方法によって算出された平均厚さでもよい。
 本発明において、「非水電解液二次電池用正極の表面」とは、非水電解液二次電池用正極において正極活物質体及び連結部が存在する面である。「非水電解液二次電池用正極の表面」は、集電体だけが存在する面ではない。
 本発明において、「第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像は、撮影対象が異なる」とは、第2の電子顕微鏡画像の撮影対象の少なくとも一部が、第1の電子顕微鏡画像の撮影対象の少なくとも一部と異なることを意味する。なお、正極の断面の一部を撮影した場合、電子顕微鏡画像の撮影対象とは、その一部分だけをいい、この断面の他の部分は含まない。第1の電子顕微鏡画像の撮影対象の一部のみが、第2の電子顕微鏡画像の撮影対象の全部又は一部と同じであってもよい。第2の電子顕微鏡画像の撮影対象の一部のみが、第1の電子顕微鏡画像の撮影対象の全部又は一部と同じであってもよい。よって、第2の電子顕微鏡画像の撮影対象を含む正極の断面は、第1の電子顕微鏡画像の撮影対象を含む正極の断面と同じでもよく、異なっていてもよい。例えば、第1の電子顕微鏡画像は、第2の電子顕微鏡画像の撮影対象の一部を、第2の電子顕微鏡画像の拡大倍率より大きい拡大倍率で撮影したものであってもよい。
 本発明における「第3の電子顕微鏡画像と第4の電子顕微鏡画像は、電子像の種類及び加速電圧が同じであって撮影対象が異なる」ことの定義も上記と同様である。
 本発明における「第2の電子顕微鏡画像」は、連結部が大空隙率領域と小空隙率領域を有する電子顕微鏡画像であってもよく、連結部が大空隙率領域と小空隙率領域のいずれも有さない電子顕微鏡画像であってもよい。本発明における「第4の電子顕微鏡画像」は、連結部が大空隙率領域と小空隙率領域を有する電子顕微鏡画像であってもよく、連結部が大空隙率領域と小空隙率領域のいずれも有さない電子顕微鏡画像であってもよい。
 本発明における「電子像の種類」は、電子顕微鏡によって検出される信号電子の種類によって決まる。例えば、試料から放出された二次電子が電子顕微鏡によって検出された場合、電子像の種類は二次電子像である。試料から放出された反射電子が電子顕微鏡によって検出された場合、電子像の種類は反射電子像である。
 第3の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第1の電子顕微鏡画像又は第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。第3の電子顕微鏡画像の撮影対象が第1の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じ場合、第4の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第1の電子顕微鏡画像の撮影対象と異なる。この場合、第4の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。第3の電子顕微鏡画像の撮影対象が第1の電子顕微鏡画像の撮影対象と異なる場合、第4の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第1の電子顕微鏡画像又は第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。第3の電子顕微鏡画像の撮影対象が第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じ場合、第4の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と異なる。この場合、第4の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第1の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。第3の電子顕微鏡画像の撮影対象が第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と異なる場合、第4の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第1の電子顕微鏡画像又は第2の電子顕微鏡画像の撮影対象撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。
 第5の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第1の電子顕微鏡画像又は第2の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。第5の電子顕微鏡画像の撮影対象は、第3の電子顕微鏡画像又は第4の電子顕微鏡画像の撮影対象と同じでもよく、異なってもよい。
 本発明において、「電子顕微鏡画像を空隙を示す暗領域と空隙でない部分を示す明領域に区別する二値化処理」とは、電子顕微鏡画像の明度又は輝度を閾値と比較して、電子顕微鏡画像の明度又は輝度を二値化する画像処理である。閾値は、電子顕微鏡画像において明らかに空隙である部分と、明らかに空隙でない部分とを区別できる値であればよい。つまり、電子顕微鏡画像において明らかに空隙である部分を、暗領域に含めてしまうような閾値を使った二値化処理は、本発明における電子顕微鏡画像の二値化処理に含まれない。閾値は、電子顕微鏡画像ごとに変更してもよい。また、異なる電子顕微鏡画像に対して同じ閾値を用いてもよい。閾値は、小空隙率領域の空隙率、大空隙率領域の空隙率及び電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれの算出において変更してもよい。また、小空隙率領域の空隙率、大空隙率領域の空隙率及び電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の算出に同じ閾値を用いてもよい。小空隙率領域の空隙率と大空隙率領域の空隙率を比較する場合、小空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値と大空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。小空隙率領域の空隙率と電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率を比較する場合、小空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値と電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。この場合の両者の閾値は異なっていてもよい。大空隙率領域の空隙率と電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率を比較する場合、大空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値と電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。この場合の両者の閾値は異なっていてもよい。
 正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー及び集電体だけを含む場合、正極の断面の電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含んでいてもよい。正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー及び集電体だけを含む場合、正極の断面の電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含んでいてもよい。
 正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー、集電体、及びこれら以外の他の物質を含み、且つ、他の物質が正極の断面の電子顕微鏡画像に映らない場合における「空隙でない部分」及び「空隙」についても同様である。
 正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー、集電体、及びこれら以外の他の物質を含み、且つ、他の物質が正極の断面の電子顕微鏡画像に映る場合、正極の断面の電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体、連結部及び他の物質の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含んでいてもよい。正極が、正極活物質体、連結部、水溶性又は水分散性のバインダー、集電体、及びこれら以外の他の物質を含み、且つ、他の物質が正極の断面の電子顕微鏡画像に映る場合、正極の断面の電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体、連結部及び他の物質の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含んでいてもよい。
 「電子顕微鏡画像に対して二値化処理する」とは、電子顕微鏡画像全体に対して二値化処理することと、電子顕微鏡画像の一部に対して二値化処理することを含む。
 本発明において、「直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域」とは、直径が1μm以下の導電材を10個以上含むことを目視で確認できる領域である。本発明において、「厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域」とは、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含むことを目視で確認できる領域である。本明細書において、目視で確認できるとは、例えば、電子顕微画像において目視で確認できるものでもよい。1個の導電材として数えられる導電材は、連結部における切断位置に存在していることが目視で確認できるものでもよく、連結部における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが目視で確認できるものでもよい。1個の導電材として数えられる導電材は、切断されているものでもよく、切断されていないものでもよい。
 本発明において、「小空隙率領域が、直径が1μm以下の導電材を含む」とは、小空隙率領域において、直径が1μm以下の導電材を目視で確認することができることである。「大空隙率領域が、直径が1μm以下の導電材を含む」の定義についても、同様である。
 本発明において、「小空隙率領域が、厚さが1μm以下の導電材を含む」とは、小空隙率領域において、厚さが1μm以下の導電材を目視で確認することができることである。「大空隙率領域が、厚さが1μm以下の導電材を含む」の定義についても、同様である。
 本発明において、「25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量」とは、25±2℃の環境下で、0.1Cの定電流定電圧充電(CCCV)を行った後、0.1Cの定電流放電を行った場合の正極活物質粒子重量当たりの放電容量である。ここでの0.1Cの定電流定電圧充電とは、0.1Cの定電流で充電終止電圧まで充電してから、充電終止電圧で充電終止電流まで充電することである。0.1Cの定電流放電とは、0.1Cの定電流で放電終止電圧まで放電することである。0.1Cは、定電流放電した場合に10(=1/0.1)時間で放電終了となる電流値である。充電終止電圧とは、過充電による二次電池の機能低下に至る前の充電を行える充電電圧の最高値である。充電終止電流は、定電圧充電時に充電を終了する最小の充電電流である。放電終止電圧とは、過放電による二次電池の機能低下に至る前の放電を行える放電電圧の最低値である。放電容量とは、電池から取り出された電気量である。本明細書において、放電容量と充電容量の総称を、充放電容量という。充電容量は、電池が蓄えることができる電気量である。本明細書において、放電容量を充電容量により除算した割合を充放電効率という。充放電効率は、下記式によって示される。充放電効率の単位は、「%」である。
 充放電効率=(放電容量÷充電容量)×100
 電池の充放電効率が高い場合、電池の充放電容量を高いまま維持できる。電池の充放電効率が高い場合、電池の充放電容量も高い傾向にあるといえる。
 本明細書において、初回充放電効率とは、初回の充放電における放電容量を、初回の充放電における充電容量により除算した割合である。電池の初回充放電効率が高い場合、電池の充放電容量も高い傾向にあるといえる。
 本発明において、「非水電解液二次電池用正極を用いて作製されたハーフセル」とは、正極として非水電解液二次電池用正極を用い、負極としてリチウムを使用したセルである。以下において、「非水電解液二次電池用正極を用いて作製されたハーフセル」を「正極のハーフセル」又は「正極ハーフセル」と称することがある。
 本発明において、「25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量が、最大放電容量の90%以上である」とは、25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量が、25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量の理論上の最大値の90%以上であることを意味する。本明細書において、25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量の理論上の最大値を、0.1C最大放電容量と称する場合がある。非水電解液二次電池の正極活物質粒子の重量当たりの0.1C最大放電容量は、正極活物質粒子の材質、正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径に依存する。例えば、正極活物質粒子がニッケルとコバルトとマンガンを含む場合、ニッケルの比率が大きいほど、正極活物質粒子の重量当たりの0.1C最大放電容量は大きくなる傾向がある。また、正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径の少なくとも一方の径が小さいほど、0.1C最大放電容量は大きくなる傾向がある。なお、0.1C以外の放電レートの放電容量も、正極活物質粒子の材質、正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径に依存する。
 下記の表1に、正極活物質粒子の種類(材質)ごとの0.1C最大放電容量を示す。表1に示す0.1C最大放電容量は、25±2℃の環境下で、電流0.1C、充電終止電圧4.3V、充電終止電流0.02Cで定電流定電圧充電を行った後、電流0.1C、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った場合の正極活物質粒子重量当たりの放電容量である。表1に示す0.1C最大放電容量は、正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径を特定せずに算出したものである。表1に示す0.1C最大放電容量は、正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径が、正極活物質粒子の材質に応じた一般的な範囲である場合の値である。表1に示す0.1C最大放電容量は、正極のハーフセルを用いて測定された0.1C放電容量である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 ここで、「NCM」は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの略称である。「NCM111」は、ニッケルとコバルトとマンガンを1:1:1の比率で含む。「NCM523」は、ニッケルとコバルトとマンガンを5:2:3の比率で含む。「NCM622」は、ニッケルとコバルトとマンガンを6:2:2の比率で含む。「NCM811」は、ニッケルとコバルトとマンガンを8:1:1の比率で含む。「NCA」は、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムの略称である。表1の「NCA」は、ニッケルとコバルトとアルミニウムを80:15:5で含む。例えば、正極活物質粒子が「NCM111」であって、0.1C放電容量が144mAh/gの場合、正極活物質粒子の径及び正極活物質体の径を特定しなくても、0.1C放電容量が理論上の最大値の90%以上であるといえる。
 正極が表1に示す正極活物質粒子以外の正極活物質粒子を用いて作製された場合、その正極を用いて作製された電池の0.1C最大放電容量を、表1に示す0.1C最大放電容量を用いて求めることができる。
 例えば、「NCM7,1.5,1.5」の0.1C最大放電容量を算出する場合を例に挙げて説明する。「NCM7,1.5,1.5」は、ニッケルとコバルトとマンガンを7:1.5:1.5の比率で含む。理論上、「NCM622」を50wt%と「NCM811」を50wt%とを混合すると、「NCM7,1.5,1.5」が得られる。そのため、以下の式から「NCM7,1.5,1.5」の0.1C最大放電容量を求めることができる。
  「NCM7,1.5,1.5」の0.1C最大放電容量
 =175(NCM622の0.1C最大放電容量の中間値)×0.5+195(NCM811の0.1C最大放電容量の中間値)×0.5
 =185[mAh/g]
 また、任意組成の0.1C最大放電容量を算出する場合について説明する。理論上、任意組成の正極活物質粒子が、「NCM111」をa1[wt%]と、「NCM523」をa2[wt%]と、「NCM622」をa3[wt%]と、「NCM811」をa4[wt%]と、NCAをa5[wt%]とを混合することによって得られる場合、任意組成の正極活物質粒子は以下の式から求められる。
  任意組成の0.1C最大放電容量
 =155(NCM111の0.1C最大放電容量の中間値)×(a1/100)
  +165(NCM523の0.1C最大放電容量の中間値)×(a2/100)
  +175(NCM622の0.1C最大放電容量の中間値)×(a3/100)
  +195(NCM811の0.1C最大放電容量の中間値)×(a4/100)
  +195(NCAの0.1C最大放電容量の中間値)×(a5/100)
 但し、0≦a1<100
    0≦a2<100
    0≦a3<100
    0≦a4<100
    0≦a5<100
    a1+a2+a3+a4+a5=100
 本明細書において、複数の選択肢のうちの少なくとも1つ(一方)とは、複数の選択肢から考えられる全ての組み合わせを含む。複数の選択肢のうちの少なくとも1つ(一方)とは、複数の選択肢のいずれか1つであってもよく、複数の選択肢の全てであってもよい。例えば、AとBとCの少なくとも1つとは、Aのみであってもよく、Bのみであってもよく、Cのみであってもよく、AとBであってもよく、AとCであってもよく、BとCであってもよく、AとBとCであってもよい。
 本発明の非水電解液二次電池用正極及び非水電解液二次電池は、請求の範囲において数を特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される要素を、複数有していてもよい。本発明の非水電解液二次電池用正極及び非水電解液二次電池は、請求の範囲において数を特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される要素を、1つだけ有していてもよい。
 本発明において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)及びこれらの派生語は、列挙されたアイテム及びその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。
 本発明において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合及び支持も含む。さらに、接続された(connected)及び結合された(coupled)は、物理的又は機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
 他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
 本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。
 本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成及び配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する変形例を適宜組み合わせて実施することができる。
 本発明のリチウムとニッケルを含む正極活物質を使用した非水電解液二次電池用正極は、リチウムとニッケルを含む正極活物質を使用した従来の非水電解液二次電池用正極に比べて、電池特性を高めつつ、電池の耐久性を高めることができる。
本発明の実施形態の非水電解液二次電池用正極の斜視図と断面の一部拡大図と電子顕微鏡画像の模式図と従来の非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像の模式図である。 本発明の実施形態の具体例の非水電解液二次電池用正極が適用された非水電解液二次電池の断面斜視図である。 本発明の実施例1の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。 本発明の実施例1の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 本発明の実施例1の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 比較例1の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。 比較例1の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 比較例1の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 比較例2の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。 比較例2の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 比較例2の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 比較例3の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。 比較例3の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。 比較例3の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と一部拡大画像である。
(本発明の実施形態)
 以下、本発明の実施形態の非水電解液二次電池用正極1について、図1を参照しつつ説明する。以下、非水電解液二次電池用正極1を、単に、正極1と称する場合がある。非水電解液二次電池用正極1は、正極活物質体2と、バインダー3と、連結部5と、集電体6とを有する。正極活物質体2は、リチウムとニッケルを含む正極活物質粒子2aが凝集してなる。バインダー3は、水溶性又は水分散性である。連結部5は、正極活物質体2同士を連結している。連結部5は、導電材4を含む。導電材4は、直径又は厚さが1μm以下である、導電性を有する物質である。連結部5は、導電材4以外に導電性を有する物質を含まない。非水電解液二次電池用正極1は、正極1の厚み方向にプレス加工されている。正極1の厚み方向とは、集電体6の厚み方向である。
 図1には、正極1の構成図に加えて、正極1の断面を電子顕微鏡で撮影して得られた電子顕微鏡画像Aの模式図が表示されている。電子顕微鏡画像Aに、バインダー3は映っていない。つまり、電子顕微鏡画像Aは、バインダー3が映らない条件で撮影された画像である。電子顕微鏡画像の撮影条件には、加速電圧、対象物と撮影部との間の距離、撮影倍率、電子像の種類等がある。電子顕微鏡画像Aを含む少なくとも1つの電子顕微鏡画像において、それぞれ、連結部5の断面は、次の条件を満たす大空隙率領域5b及び小空隙率領域5aを含む。小空隙率領域5aは、正極活物質体2の表面に沿って配置されており、その空隙率Raは、大空隙率領域5bの空隙率Rbよりも小さい。
 図1には、比較対象として、リチウムとニッケルを含む正極活物質体22を有する従来の非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像Bの模式図も表示されている。電子顕微鏡画像Bにおいて、正極活物質体22同士を連結する連結部25の断面には、空隙が存在する。連結部25の断面において、連結部25内のどの領域の断面の空隙率もほぼ同じである。連結部25の断面の空隙率は、小空隙率領域5aの空隙率Raよりも大空隙率領域5bの空隙率Rbに近い値である。連結部25の断面の空隙率は、大空隙率領域5bの空隙率Rbとほぼ同じであってもよい。連結部25の断面の空隙率は、大空隙率領域5bの空隙率Rbよりも小空隙率領域5aの空隙率Raに近い値であってもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおいて、空隙率の小さい小空隙率領域5aには、電解液が浸み込みにくい。しかし、連結部5の断面は、空隙率の小さい小空隙率領域5aと、空隙率の大きい大空隙率領域5bとを含む。空隙率の大きい大空隙率領域5bには、電解液が浸み込みやすい。そのため、連結部5が小空隙率領域5aを有していても、リチウムイオンの移動の自由度を従来の正極と同程度に確保できることがわかった。
 さらに、連結部5が空隙率の小さい小空隙率領域5aを含んでいることで、電池の充電時及び放電時に正極活物質体2が膨張又は収縮しても、連結部5における導電材4同士の連結が、従来の正極の連結部25よりも切れにくくなる。それにより、連結部5による電子の伝導性が向上して、電池の電極抵抗が低くなる。
 これらの結果、従来の非水電解液二次電池よりも、充放電効率が向上する。
 導電材4を使用する以上は、連結部5の空隙率が、従来の正極の連結部25の空隙率より極端に大きくなることはない。したがって、大空隙率領域5bの空隙率Rbは、従来の連結部25の空隙率と同程度であって、小空隙率領域5aの空隙率Raは、従来の連結部25の空隙率より小さい。そのため、小空隙率領域5aは、導電材4と導電材4以外の物質で構成される。小空隙率領域5aの少なくとも一部は、連結部5の正極活物質体2の表面に沿って配置される。つまり、連結部5の正極活物質体2の表面に沿った部分が、導電材4と導電材4以外の物質で構成される。それにより、正極活物質体2の一部は小空隙率領域5aに固定された状態となる。そのため、電池の充電時及び放電時に正極活物質体2が膨張又は収縮しても、正極活物質体2のクラックが従来の正極よりも生じにくい。したがって、正極活物質体2のクラックの発生が抑制されたことで、電池の使用による充放電効率の低下が抑制される。また、従来の非水電解液二次電池に比べて、正極活物質体2のクラックの発生による正極1の劣化を抑制できる。
 また、連結部5の正極活物質体2の表面に沿った部分の空隙率が小さいことにより、電解液が連結部5を通って正極活物質体2の表面に接しにくくなる。つまり、連結部5に対する電解液の浸みこみやすさを確保しつつ、電解液が連結部5を通って正極活物質体2に接触するのを抑制できる。電解液が正極活物質体2に接しにくいことにより、高電圧で電池が使用される場合でも電解液が電気分解しにくくなる。よって、従来の非水電解液二次電池に比べて、高電圧で使用しても、電解液の電気分解による電池の劣化を抑制できる。
 以上により、正極1の断面において、連結部5の断面が、正極活物質体2の表面に沿って配置された空隙率の小さい小空隙率領域5aを含むことで、リチウムとニッケルを含む正極活物質体を使用した従来の非水電解液二次電池用正極に比べて、電池特性を高めつつ、電池の耐久性を高めることができる。
 なお、リチウムとニッケルを含む正極活物質を用いた従来の非水電解液二次電池用正極を作製する際にプレス加工することによって、連結部の空隙率が局所的に小さくなる場合がある。しかし、本願発明者らの研究から、プレス加工により連結部の空隙率が局所的に小さくなることによって、連結部に、空隙率の小さい部分が局所的に形成された場合、本発明の実施形態の正極1の効果は得られないことがわかった。
 例えば、プレス加工により、連結部の中央付近に、局所的に空隙率の小さい部分が形成される場合がある。この場合、局所的に空隙率の小さい部分は正極活物質体の表面に沿って配置されないため、連結部において、正極活物質体の表面に沿った部分に電解液が浸み込みやすい。これにより、電解液が正極活物質体の表面に接しやすい。そのため、高電圧で使用した場合、電解液が分解しやすい。したがって、電池が劣化しやすい。
 また、プレス加工により、正極活物質体の表面の近くに、局所的に空隙率の小さい部分が形成される場合がある。しかし、本願発明者らの研究から、この場合も、本発明の実施形態の正極1の効果は得られないことがわかった。
(本発明の実施形態の具体例)
 次に、本発明の実施形態の具体例の非水電解液二次電池用正極1について、図1を参照しつつ説明する。基本的に、本発明の実施形態の具体例は、上述した本発明の実施形態の特徴を全て有している。
 非水電解液二次電池用正極1は、シート状である。非水電解液二次電池用正極1は、正極活物質体2と、バインダー3と、連結部5と、集電体6とを有する。連結部5は、正極活物質体2同士を連結している。連結部5は、複数の導電材4を含む。導電材4は、直径又は厚さが1μm以下である、導電性を有する物質である。連結部5は、導電材4以外に導電性を有する物質を含まない。非水電解液二次電池用正極1は、リチウムイオンを吸蔵可能及び放出可能に構成されている。非水電解液二次電池用正極1は、非水電解液二次電池用正極1の製造過程においてプレス加工されている。非水電解液二次電池用正極1は、正極1の厚み方向にプレス加工されている。
 バインダー3は、正極活物質体2同士を接続している。バインダー3は、連結部5の一部分と、連結部5の他の一部分とを接続している。バインダー3は、正極活物質体2と連結部5を接続している。バインダー3は、正極活物質体2の一部及び連結部5を集電体6に接続している。バインダー3は、水に溶解可能なバインダー又は水に分散可能なバインダーである。以下において、水に溶解可能なバインダー及び水に分散可能なバインダーを水系バインダーと総称することがある。水系バインダーは、例えば、アクリル系樹脂を主成分とするアクリル系バインダーである。
 正極活物質体2は、一次粒子である正極活物質粒子2aが凝集して形成された二次粒子である。正極活物質粒子2a及び正極活物質体2は、粒子状である。正極活物質体2は、リチウムとニッケルを含む複合酸化物を含んでいる。正極活物質体2は、リチウムとニッケルに加えて、他の金属を含んでいてもよい。つまり、正極活物質体2は、リチウムとニッケルと他の金属を含む複合酸化物を含んでいてもよい。
 正極活物質体2のニッケル含有量は、30mol%以上である。正極活物質体2のニッケル含有量は、30mol%でもよく、50mol%でもよく、80mol%でもよい。正極活物質体2のニッケル含有量は、正極活物質粒子2aのニッケル含有量と同じである。正極活物質体2のニッケル含有量とは、正極活物質粒子2aに含まれる金属元素に占めるニッケルの割合である。
 導電材4は、粒子状でもよく、粒子状以外の形状でもよい。導電材4は、球状でもよく、球状以外の形状でもよい。直径が1μm以下の導電材4は、例えば、カーボンブラック、微小なグラファイト及びカーボンナノチューブである。カーボンブラックは、ドメインでもよく、アグリゲートでもよい。厚さが1μm以下の導電材4は、例えば、グラフェンである。連結部5に、1種類の導電材4だけが含まれていてもよく、複数種類の導電材4が含まれていてもよい。
 導電材4の直径は、どのような方法によって算出された直径でもよい。例えば、導電材4がカーボンブラック又は微小なグラファイトである場合、導電材4が球状であるとき、導電材4の直径は球の直径である。導電材4が球状でないとき、導電材4の直径はその導電材4と同一体積に相当する球の直径であってもよく、導電材4の最大長さであってもよい。カーボンブラックの直径は、1μm以下である。カーボンブラックの最大長さは、1μm以下である。微小なグラファイトの直径は、1μm以下である。微小なグラファイトの最大長さは、1μm以下である。
 導電材4が、軸方向に長いカーボンナノチューブである場合、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形が、円形であるとき、カーボンナノチューブの直径として、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の直径を用いることができる。つまり、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形が円形である場合、カーボンナノチューブの直径として、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面の外径を用いることができる。カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形が円形でない場合、カーボンナノチューブの直径として、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形に囲まれた面積と同一面積に相当する円の直径を用いてもよく、カーボンナノチューブの軸方向に直交する面におけるカーボンナノチューブの外形の最大長さを用いてもよい。
 カーボンナノチューブの直径は、1μm以下である。カーボンナノチューブの外形の最大長さは、1μm以下である。
 導電材4の厚さは、どのような方法によって算出された厚さでもよい。例えば、導電材4がグラフェンである場合、グラフェンの厚さは、炭素原子の六員環が平面状に連なった面に直交する方向の最大長さである。グラフェンの厚さは、1μm以下である。正極作製時のプレス加工などにより、グラフェンは、正極において、炭素原子の六員環が連なった面が集電体6と平行になるように配列されていることが多い。したがって、連結部5に含まれる導電材4がグラフェンである場合、正極1の断面の電子顕微鏡画像において、連結部5の断面に、グラフェンの、炭素原子の六員環が連なった面に交差する断面又は炭素原子の六員環が連なった面に交差する側面が現れることが多い。例えば、連結部5の断面に、グラフェンの、炭素原子の六員環が連なった面に直交する断面が現れてもよく、炭素原子の六員環が連なった面に直交する側面が現れてもよい。
 導電材4の直径が1μm以下である場合、その導電材4の厚さは1μmを超えてもよく、その導電材4の厚さは1μm以下でもよい。導電材4の直径が1μm以下である場合、その導電材の長手方向長さが1μmを超えてもよく、その導電材4の長手方向長さが1μm以下でもよい。導電材4の厚さが1μm以下である場合、その導電材4の直径は1μmを超えてもよく、その導電材4の直径は1μm以下でもよい。例えば、グラフェンにおいて、炭素原子の六員環が連なった面の直径又は炭素原子の六員環が連なった面の最大長さは、1μmを超える場合もあり、1μm以下である場合もある。しかし、グラフェンの厚さは1μmであるため、グラフェンは、厚さが1μm以下である導電材4に含まれる。
 集電体6は、アルミニウムを含んでいることが好ましい。集電体6は、例えば、アルミニウム箔であってもよい。集電体6は、例えば、アルミニウムを含むアルミニウム合金の金属箔であってもよい。集電体6は、アルミニウムを含んでいなくてもよい。
 図1には、正極1の断面の電子顕微鏡画像Aの模式図を表示している。電子顕微鏡画像Aは、正極1を厚み方向に沿って切断した断面の画像である。電子顕微鏡画像Aは、バインダー3が映らない条件で撮影された画像である。具体的には、電子顕微鏡画像Aは、加速電圧が5kV以上20kV以下で撮影された画像である。電子顕微鏡画像Aは、例えば、走査型電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡画像でもよく、電界放射型走査電子顕微鏡によって撮影された電子顕微鏡画像でもよい。電子顕微鏡画像Aは二次電子像であるが、電子像の種類は二次電子像に限らない。例えば、電子顕微鏡画像Aは反射電子像でもよい。
 図1の電子顕微鏡画像Aに、複数の正極活物質体2の断面と連結部5の断面が存在する。図1の電子顕微鏡画像Aの模式図において、連結部5は、独立した複数の部分で構成されているが、この構成に限らない。1つの電子顕微鏡画像において、連結部5は、全て繋がった1つの物であってもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおいて、連結部5の断面は、大空隙率領域5bと、正極活物質体2の表面に沿って配置され、その空隙率Raが大空隙率領域5bの空隙率Rbよりも小さい小空隙率領域5aとを含む。電子顕微鏡画像Aにおいて、連結部5の断面は、複数の大空隙率領域5bと複数の小空隙率領域5aとを含む。複数の大空隙率領域5bのいずれかと複数の小空隙率領域5aのいずれかは、隣り合う2つの正極活物質体2の間に配置されている。隣り合う2つの正極活物質体2の間に配置された大空隙率領域5bと小空隙率領域5aは、接していてもよく、接していなくてもよい。隣り合う2つの正極活物質体2の間において、小空隙率領域5aは、大空隙率領域5bより正極1の表面に近い。
 連結部5が、直径が1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの面積及び大空隙率領域5bの面積は、それぞれ、直径が1μm以下の導電材4の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上であることが好ましい。平均径は、どのような方法によって算出された平均径でもよい。
 平均径は、どのような方法によって算出された平均径でもよい。平均径は、例えば、数平均粒径でもよく、体積平均粒径でもよい。
 導電材4の平均径は、大空隙率領域5bに含まれる1つまたは複数の導電材4の平均径でもよい。導電材4の平均径は、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる1つまたは複数の導電材4の平均径でもよい。導電材4の平均径は、大空隙率領域5bに含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4の平均径でもよい。
 導電材4の平均径は、小空隙率領域5aに含まれる1つまたは複数の導電材4の平均径でもよい。導電材4の平均径は、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる1つまたは複数の導電材4の平均径でもよい。導電材4の平均径は、小空隙率領域5aに含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4の平均径でもよい。
 導電材4の平均径は、小空隙率領域5aに含まれる少なくとも1つの導電材4と、大空隙率領域5bに含まれる少なくとも1つの導電材4との平均径でもよい。導電材4の平均径は、小空隙率領域5aに含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4との平均径でもよい。導電材4の平均径は、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4と、大空隙率領域5bに含まれる少なくとも1つの導電材4との平均径でもよい。導電材4の平均径は、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4との平均径でもよい。導電材4の平均径は、連結部5において、小空隙率領域5a、小空隙率領域5a以外の小空隙率領域、大空隙率領域5b及び大空隙率領域5b以外の大空隙率領域の少なくとも1つに含まれる少なくとも1つの導電材4の平均径でもよい。
 連結部5が、厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの面積及び大空隙率領域5bの面積は、それぞれ、厚さが1μm以下の導電材4の平均厚さにその導電材4の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上であることが好ましい。
 平均厚さは、上述したようにどのような方法によって算出された平均径でもよい。平均厚さは、どのような方法によって算出された平均厚さでもよい。
 導電材4の平均厚さは、大空隙率領域5bに含まれる1つまたは複数の導電材4の平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる1つまたは複数の導電材4の平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、大空隙率領域5bに含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4の平均厚さでもよい。
 導電材4の平均厚さは、小空隙率領域5aに含まれる1つまたは複数の導電材4の平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる1つまたは複数の導電材4の平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、小空隙率領域5aに含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4の平均厚さでもよい。
 導電材4の平均厚さは、小空隙率領域5aに含まれる少なくとも1つの導電材4と、大空隙率領域5bに含まれる少なくとも1つの導電材4との平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、小空隙率領域5aに含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる少なくとも1つ導電材4との平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4と、大空隙率領域5bに含まれる少なくとも1つの導電材4との平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、連結部5において小空隙率領域5a以外の小空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4と、連結部5において大空隙率領域5b以外の大空隙率領域に含まれる少なくとも1つの導電材4との平均厚さでもよい。導電材4の平均厚さは、連結部5において、小空隙率領域5a、小空隙率領域5a以外の小空隙率領域、大空隙率領域5b及び大空隙率領域5b以外の大空隙率領域の少なくとも1つに含まれる少なくとも1つの導電材4の平均厚さでもよい。
 連結部5が、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの面積及び大空隙率領域5bの面積は、それぞれ、直径が1μm以下の導電材4の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上であり、且つ、厚さが1μm以下の導電材4の平均厚さにその導電材4の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上であることが好ましい。
 連結部5が、直径が1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、大空隙率領域5bは、直径が1μm以下の導電材4を10個以上含む領域を含むことが好ましい。
 連結部5が、直径が1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの面積は、大空隙率領域5bにおいて、直径が1μm以下の導電材4を10個以上含む領域の面積以上であることが好ましい。電子顕微鏡画像Aにおける小空隙率領域5において、導電材4の各々を特定しにくい場合でも、小空隙率領域5aの面積を、上記面積にすることにより、小空隙率領域5aをある程度大きくすることができる。連結部5が、直径が1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aは、直径が1μm以下の導電材4を10個以上含む領域を含んでもよい。
 連結部5が、厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、大空隙率領域5bは、厚さが1μm以下の導電材4を10個以上含む領域を含むことが好ましい。
 連結部5が、厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの面積は、大空隙率領域5bにおいて、厚さが1μm以下の導電材4を10個以上含む領域の面積以上であることが好ましい。電子顕微鏡画像Aにおける小空隙率領域5において、導電材4の各々を特定しにくい場合でも、小空隙率領域5aの面積を、上記面積にすることにより、小空隙率領域5aをある程度大きくすることができる。連結部5が、厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aは、厚さが1μm以下の導電材4を10個以上含む領域を含んでもよい。
 連結部5が、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、大空隙率領域5bは、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を合計10個以上含む領域を含むことが好ましい。
 連結部5が、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの面積は、大空隙率領域5bにおいて、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を合計10個以上含む領域の面積以上であることが好ましい。連結部5が、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を含む場合、電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aは、直径が1μm以下の導電材4と厚さが1μm以下の導電材4を合計10個以上含む領域を含んでもよい。
 電子顕微鏡画像Aの拡大倍率は、1,000倍以上8,000倍以下が好ましい。電子顕微鏡画像Aの拡大倍率は、例えば、4,000倍であってもよく、6,000倍であってもよい。電子顕微鏡画像Aの拡大倍率は、4,000倍以上が特に好ましい。1つの電子顕微鏡画像Aにおいて、連結部5は、1つ又は複数の大空隙率領域5bを有する。1つの電子顕微鏡画像Aにおいて、連結部5は、1つ又は複数の小空隙率領域5aを有する。電子顕微鏡画像Aにおける小空隙率領域5aの空隙率Raは、ゼロであってもよく、ゼロよりも大きくてもよい。大空隙率領域5bは、正極活物質体2の表面に沿った部分であってもよい。電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aに、導電材4以外の物質が確認される。小空隙率領域5aに、導電材4と導電材4以外の物質が確認されてもよい。
 連結部5のこれらの特徴は、正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)で確認できる。つまり、正極1の断面の離れた複数箇所又は正極1の複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像において、それぞれ、連結部5の断面は、大空隙率領域5bと、小空隙率領域5aとを含む。よって、連結部5の小空隙率領域5aは、電子顕微鏡画像の撮影の仕方によって偶然にできたものではない。複数の電子顕微鏡画像でこの特徴を確認できれば、連結部5の断面に小空隙率領域5aが存在しない電子顕微鏡画像があってもよい。
 大空隙率領域5bの空隙率は、従来の正極の連結部25の断面の空隙率と同程度である。電子顕微鏡画像Aにおいて、大空隙率領域5bには、複数の導電材4が確認される。大空隙率領域5bの空隙は、導電材4と導電材4との間の隙間である。小空隙率領域5aの空隙の最大面積は、大空隙率領域5bの空隙の最大面積より小さい。小空隙率領域5aの空隙の最大面積は、大空隙率領域5bの空隙の最大面積より小さくてもよい。小空隙率領域5aの空隙の最小面積は、大空隙率領域5bの空隙の最小面積より小さくてもよい。小空隙率領域5aは、大空隙率領域5bの空隙の最小面積以上の面積の空隙を含んでいてもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおいて、小空隙率領域5aの空隙率Raは、大空隙率領域5bの空隙率Rbの半分以下であってもよい。この場合、小空隙率領域5aの空隙率Raは大き過ぎない。小空隙率領域5aの空隙率Raが大空隙率領域5bの空隙率Rbの半分以下であるとは、言い換えると、大空隙率領域5bの空隙率Rbが小空隙率領域5aの空隙率Raの2倍以上である。この場合、大空隙率領域5bの空隙率Rbは小さ過ぎない。この関係は、1つの電子顕微鏡画像Aだけでなく、正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)で成立してもよい。少なくとも1つの電子顕微鏡画像でこの関係が成立する場合に、この関係が成立しない電子顕微鏡画像があってもよい。つまり、空隙率Raが空隙率Rbの半分以下となる電子顕微鏡画像と、空隙率Raが空隙率Rbの半分を超える電子顕微鏡画像の両方があってもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおける小空隙率領域5aの空隙率Raは、10%未満であってもよく、5%未満であってもよい。この場合、小空隙率領域5aの空隙率Raは大き過ぎない。正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)において、小空隙率領域5aの空隙率Raが上記数値範囲内であってもよい。また、空隙率Raが10%未満となる電子顕微鏡画像と、空隙率Raが10%以上となる電子顕微鏡画像の両方があってもよい。空隙率Raが5%未満となる電子顕微鏡画像と、空隙率Raが5%以上となる電子顕微鏡画像の両方があってもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおける大空隙率領域5bの空隙率Rbは、5%以上であってもよく、10%以上であってもよい。この場合、大空隙率領域5bの空隙率Rbは小さ過ぎない。正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)において、空隙率Rbが上記数値範囲内であってもよい。また、空隙率Rbが5%以上となる電子顕微鏡画像と、空隙率Rbが5%未満となる電子顕微鏡画像の両方があってもよい。空隙率Rbが10%以上となる電子顕微鏡画像と、空隙率Rbが10%未満となる電子顕微鏡画像の両方があってもよい。
 本実施形態の具体例において、電子顕微鏡画像Aの正極活物質体2の断面には、空隙がほぼ存在しない。正極活物質体2の断面の空隙率はほほゼロである。電子顕微鏡画像Aには、正極活物質体2同士の隙間、正極活物質体2と連結部5との隙間、及び、連結部5の一部と連結部5の他の部分との隙間が存在する。なお、このような隙間の奥には、正極1の断面の電子顕微鏡画像Aで確認できなくても、正極活物質体2又は連結部5が存在する。ここで、正極1の断面の電子顕微鏡画像において、集電体6と非水電解液二次電池用正極1の表面との間の領域を、有効領域と称する。電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcは、ゼロよりある程度大きいものの、極端に大きくなることはない。電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcは、例えば10%程度である。
 電子顕微鏡画像Aにおける小空隙率領域5aの空隙率Raは、電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcより小さくてもよい。上述したように、電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcは、極端に大きくなることはない。そのため、小空隙率領域5aの空隙率Raは大き過ぎない。正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)において、この関係が成立してもよい。この関係が成立する電子顕微鏡画像と、この関係が成立しない電子顕微鏡画像の両方があってもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおける大空隙率領域5bの空隙率Rbは、電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rc以上であってもよい。上述したように、電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcは、ゼロよりもある程度大きい。そのため、大空隙率領域5bの空隙率Rbは小さ過ぎない。正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)において、この関係が成立してもよい。この関係が成立する電子顕微鏡画像と、この関係が成立しない電子顕微鏡画像の両方があってもよい。
 電子顕微鏡画像Aにおける小空隙率領域5aの空隙率Raは、電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcの2/3以下でもよい。上述したように、電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcは、極端に大きくなることはない。そのため、小空隙率領域5aの空隙率Raは大き過ぎない。正極1の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の電子顕微鏡画像(図示せず)において、この関係が成立してもよい。この関係が成立する電子顕微鏡画像と、この関係が成立しない電子顕微鏡画像の両方があってもよい。
 小空隙率領域5aの空隙率Raが大き過ぎないことにより、以下の効果が得られる。連結部5における導電材4同士の連結が切れにくくなるため、充放電効率を高められる。さらに、正極活物質体2にクラックが発生しにくくなるため、正極1の劣化を抑制できる。加えて、電解液が電気分解しにくくなるため、電池の劣化を抑制できる。
 大空隙率領域5bの空隙率Rbが小さ過ぎないことにより、連結部5に電解液が浸みこみやすくなる。それにより、連結部5におけるリチウムイオンの移動の自由度を確保できる。よって、小空隙率領域5aによる電池の充放電効率の向上を妨げない。
 空隙率の算出は、例えば、電子顕微鏡画像Aの二値化処理を利用して行ってもよい。電子顕微鏡画像Aに対して二値化処理を行うことで、電子顕微鏡画像Aを、正極1の断面における空隙を示す暗領域と、空隙でない部分を示す明領域に区別できる。また、この二値化処理を行うことで、暗領域の面積を算出できる。また、明領域の面積を算出することもできる。図1の電子顕微鏡画像Aの模式図において、空隙でない部分とは、正極活物質体2における切断位置にある領域と連結部5における切断位置にある領域である。図1の電子顕微鏡画像Aの模式図において、空隙とは、正極活物質体2における切断位置及び連結部5における切断位置のいずれも視認できない領域である。電子顕微鏡画像Aの大空隙率領域5bの空隙率Rbは、電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる大空隙率領域5bに占める暗領域の面積の比率でもよい。電子顕微鏡画像Aの小空隙率領域5aの空隙率Raは、電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる小空隙率領域5aに占める暗領域の面積の比率でもよい。電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcは、電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる電子顕微鏡画像Aの有効領域に占める暗領域の面積の比率でもよい。空隙率の算出方法は、電子顕微鏡画像Aの二値化処理を利用した方法に限らない。二値化処理を使った算出結果と大幅に異なることが無ければ、二値化処理以外の方法を採用してもよい。
 空隙率の算出に、電子顕微鏡画像Aの二値化処理を利用する場合、以下であることが好ましい。
 小空隙率領域5aの空隙率Raと大空隙率領域5bの空隙率Rbを比較する場合、小空隙率領域5aの空隙率Raの算出に用いる二値化処理の閾値と、大空隙率領域5bの空隙率Rbの算出に用いる二値化処理の閾値は同じであることが好ましい。例えば、電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる小空隙率領域5aの空隙率は、同じ閾値を用いた電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる大空隙率領域5bの空隙率よりも小さい。電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる小空隙率領域5aの空隙率は、同じ閾値を用いた電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる大空隙率領域5bの空隙率の半分以下であることが好ましい。
 小空隙率領域5aの空隙率Raと電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcを比較する場合、小空隙率領域5aの空隙率Raの算出に用いる閾値と電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcの算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。例えば、電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる小空隙率領域5aの空隙率は、同じ閾値を用いた電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率よりも小さいことが好ましい。電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる小空隙率領域5aの空隙率は、同じ閾値を用いた電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率の2/3以下であることが好ましい。
 大空隙率領域5bの空隙率Rbと電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率Rcを比較する場合、大空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値と電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。例えば、電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる大空隙率領域5bの空隙率は、同じ閾値を用いた電子顕微鏡画像Aの二値化処理により得られる電子顕微鏡画像Aの有効領域の空隙率よりも大きいことが好ましい。
 非水電解液二次電池用正極1は、例えば、以下の方法で製造される。
 正極活物質体2と、水溶性又は水分散性のバインダー3と、導電材4と、水を含む溶媒又は分散媒とを混合し、スラリーを作製する。バインダー3が水溶性の場合、溶媒100wt%に対して50wt%以上が水であることが好ましい。作製したスラリーを集電体6に塗布する。その後、スラリーを乾燥させる。スラリーの乾燥温度は、例えば50℃~130℃程度である。得られる正極1が所望の電極密度となるように、乾燥させたスラリー及び集電体6を、集電体6の厚み方向にプレスする。これにより、非水電解液二次電池用正極1が得られる。スラリーは、増粘剤、pH調整剤等の種々の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、スラリーの乾燥温度で揮発しない物質を含んでいる。増粘剤として、例えば、セルロース誘導体、アクリル樹脂等を用いることができる。なお、増粘剤は上記に例示した増粘剤に限定されない。バインダー3及び増粘剤は、電子顕微鏡画像Aに現れない。つまり、電子顕微鏡画像Aは、バインダー3及び増粘剤が映らない条件で撮影された画像である。
 図2は、本発明の実施形態の具体例の非水電解液二次電池用正極1を用いて作製される非水電解液二次電池11の断面模式図である。図2に示す非水電解液二次電池11は、上記実施形態の非水電解液二次電池用正極1を用いて作製される非水電解液二次電池の一例である。
 非水電解液二次電池11は、非水電解液二次電池用正極1と、負極12と、2枚のセパレータ13、容器14と、蓋15と、図示しない非水電解液とを備える。正極1、負極12及び2枚のセパレータ13は、角筒状の容器14に収容されている。正極1、負極12及び2枚のセパレータ13は、角柱状に巻回されている。セパレータ13には非水電解液が含浸されている。容器14の開口は、蓋15によって閉じられている。
 負極12は、リチウムイオンを吸蔵可能及び放出可能に構成されている。負極12は、負極活物質を含む。負極活物質に、例えば、炭素材料、合金及び金属酸化物から選択される1つ又は2つ以上を用いることができる。セパレータ13は、正極1と負極12とを絶縁する。セパレータ13は、電解液を保持可能に構成されている。非水電解液は、非水溶媒(水を含まない溶媒)と電解質とを含む。電解質は水を含まない溶媒に溶解している。負極12、セパレータ13、容器14、蓋15及び非水電解液等には、一般的な非水電解液二次電池に用いられているものを使用することができる。
 非水電解液二次電池11の25±2℃での正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量は、正極活物質粒子2aの材質、正極活物質粒子2aの径及び正極活物質体2の径に依存する最大放電容量の90%以上である。0.1C放電容量が最大放電容量の90%以上である場合、非水電解液二次電池11は実用化に十分に耐えることができるレベルである。
 非水電解液二次電池用正極1を用いて、JIS K5600-5-1に準拠し、直径3mmの円筒形マンドレルを使用した耐屈曲性試験を行った場合、正極活物質体2及び連結部5は集電体6から剥離されない。つまり、非水電解液二次電池用正極1において、正極活物質体2及び連結部5は、この耐屈曲性試験で剥離されないような接続強度で、集電体6に接続されている。そのため、非水電解液二次電池用正極1を用いて非水電解液二次電池11を製造する過程及び非水電解液二次電池11の使用時に、正極活物質体2及び連結部5が集電体6から剥離しにくい。また、剥離の要因となる集電体6の腐食が生じていない。集電体6の腐食がないため、非水電解液二次電池11の耐久性が高い。
 非水電解液二次電池11は、例えば、以下の方法で製造される。
 正極1と負極12の間にセパレータ13が介在するように、正極1、負極12、及び2枚のセパレータを巻回する。そして、巻回したものを容器14に収容する。容器14に非水電解液を注入することにより、セパレータ13に非水電解液を含浸させる。容器14の開口を蓋15により閉じる。
 非水電解液二次電池用正極1が用いられた非水電解液二次電池11は、リチウムとニッケルを含む正極活物質体を使用した従来の非水電解液二次電池に比べて、充放電効率を高めつつ、耐久性を高めることができる。
 本発明は、上述した実施形態及びその具体例に限られるものではなく、請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。以下、本発明の実施形態の変更例について説明する。なお、上述した構成と同じ構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。後述する変更例は、適宜組み合わせて実施可能である。
 本発明において、ある電子顕微鏡画像の大空隙率領域の空隙率は、同じ電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より小さくてもよい。本発明において、ある電子顕微鏡画像の小空隙率領域の空隙率は、同じ電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率以上であってもよい。
 実施形態の具体例において、電子顕微鏡画像Aの正極活物質体2の断面は、空隙を有さない。しかし、本発明の正極活物質体の断面は、空隙を有していてもよい。この場合、電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率は大きくなる。大空隙率領域の空隙率は、電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より小さくてもよい。大空隙率領域の空隙率は、正極活物質体に空隙が無いと仮定して算出される電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率以上であることが好ましい。
 実施形態の具体例の正極1の断面の電子顕微鏡画像Aにおいて、空隙でない部分は、正極活物質体2における切断位置にある領域及び連結部5における切断位置にある領域だけである。しかし、本発明において、正極の断面の電子顕微鏡画像における空隙でない部分とは、この部分に限らない。本発明において、正極の断面の電子顕微鏡画像における空隙でない部分とは、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含んでいてもよい。
 実施形態の具体例の正極1の断面の電子顕微鏡画像Aにおいて、空隙は、正極活物質体2における切断位置及び連結部5における切断位置のいずれも視認できない領域である。本発明において、正極の断面の電子顕微鏡画像における空隙とは、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含んでいてもよい。
 実施形態の具体例では、1つの電子顕微鏡画像において、複数の正極活物質体2の断面と連結部5の断面が存在し、その電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体2における切断位置にある領域及び連結部5における切断位置にある領域であり、空隙は、正極活物質体2における切断位置及び連結部5における切断位置のいずれも視認できない領域である場合について述べた。
 1つの電子顕微鏡画像において、正極活物質体の断面、連結部の断面及びこれら以外の他の物質の断面が映っている場合、その電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域と、連結部における切断位置にある領域と、正極活物質体及び連結部以外の他の物質における切断位置にある領域である。またこの場合、空隙は、正極活物質体における切断位置、連結部における切断位置及び他の物質における切断位置のいずれも視認できない領域である。
 実施形態の具体例では、1つの電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率と同じ電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の大小関係について述べた。
 本発明において、小空隙率領域と大空隙率領域が確認された第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率は、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より小さくてもよい。また、本発明において、小空隙率領域と大空隙率領域が確認された第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率は、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の2/3以下でもよい。但し、第2の電子顕微鏡画像は、正極の断面が撮影されたバインダーの映っていない電子顕微鏡画像であって、第1の電子顕微鏡画像と電子像の種類及び加速電圧が同じで撮影対象が異なる。第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像の拡大倍率は同じであってもよく、異なっていてもよい。第2の電子顕微鏡画像は、小空隙率領域と大空隙率領域が確認されてもよく、確認されなくてもよい。この大小関係が成立する場合、小空隙率領域の空隙率が大き過ぎない。それにより、実施形態の具体例で述べた効果が得られる。1つの第2の電子顕微鏡画像に対して上記の大小関係を満たす第1の電子顕微鏡画像の数は、複数であってもよい。1つの第1の電子顕微鏡画像に対して上記の大小関係を満たす第2の電子顕微鏡画像の数は、複数であってもよい。
 空隙率の算出に電子顕微鏡画像の二値化処理を利用する場合、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値と、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。
 なお、ここでの第2の電子顕微鏡画像は、本発明における第2の電子顕微鏡画像に相当し、ここでの第1の電子顕微鏡画像は、本発明における第1の電子顕微鏡画像に相当する。
 実施形態の具体例では、1つの電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率と同じ電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の大小関係について述べた。
 本発明において、小空隙率領域と大空隙率領域が確認された第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率は、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率以上であってもよい。但し、第2の電子顕微鏡画像は、正極の断面が撮影されたバインダーの映っていない電子顕微鏡画像であって、第1の電子顕微鏡画像と電子像の種類及び加速電圧が同じで撮影対象が異なる。第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像の拡大倍率は同じであってもよく、異なっていてもよい。第2の電子顕微鏡画像は、小空隙率領域と大空隙率領域が確認されてもよく、確認されなくてもよい。この大小関係が成立する場合、大空隙率領域の空隙率が小さ過ぎない。それにより、実施形態の具体例で述べた効果が得られる。1つの第2の電子顕微鏡画像に対して上記の大小関係を満たす第1の電子顕微鏡画像の数は、複数であってもよい。1つの第1の電子顕微鏡画像に対して上記の大小関係を満たす第2の電子顕微鏡画像の数は、複数であってもよい。
 空隙率の算出に電子顕微鏡画像の二値化処理を利用する場合、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率の算出に用いる閾値と、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の算出に用いる閾値は同じであることが好ましい。
 なお、ここでの第2の電子顕微鏡画像は、本発明における第4の電子顕微鏡画像に相当し、ここでの第1の電子顕微鏡画像は、本発明における第3の電子顕微鏡画像に相当する。
 本発明において、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率が、第2の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率より小さくなるような第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 本発明において、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率が、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より小さくなるような第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 本発明において、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率が、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率の2/3以下となるような第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 本発明において、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率が、第2の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の空隙率以上となるような第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 本発明において、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の空隙率が、第2の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率以上となるような第1の電子顕微鏡画像と第2の電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 本発明において、小空隙率領域の空隙率が5%未満となるような電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 本発明において、大空隙率領域の空隙率が5%以上となるような電子顕微鏡画像はなくてもよい。
 上述した第1の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積及び大空隙率領域の面積は、それぞれ、直径が1μm以下の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上であることが好ましい。
 第2の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合についても、同様である。
 導電材の平均径は、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均径でもよく、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均径でもよく、第2の電子顕微鏡画像における小空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均径でもよく、第2の電子顕微鏡画像における大空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均径でもよい。導電材の平均径は、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域、第2の電子顕微鏡画像における小空隙率領域、及び第2の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の少なくとも1つに確認される少なくとも1つの導電材の平均径でもよい。
 上述した第1の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、第1の電子顕微鏡画像において、小空隙率領域の面積及び大空隙率領域の面積は、それぞれ、厚さが1μm以下の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上であることが好ましい。
 第2の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合についても、同様である。
 導電材の平均厚さは、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均厚さでもよく、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均厚さでもよく、第2の電子顕微鏡画像における小空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均厚さでもよく、第2の電子顕微鏡画像における大空隙率領域に確認される少なくとも1つの導電材の平均厚さでもよい。導電材の平均厚さは、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域、第2の電子顕微鏡画像における小空隙率領域、及び第2の電子顕微鏡画像における大空隙率領域の少なくとも1つに確認される少なくとも1つの導電材の平均厚さでもよい。
 上述した第1の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域が、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含むことが好ましい。この場合、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、大空隙率領域において、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域の面積以上であることが好ましい。
 第2の電子顕微鏡画像に存在する連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における大空隙率領域および小空隙率領域についても、同様である。
 上述した第1の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域が、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含むことが好ましい。この場合、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域の面積が、大空隙率領域において、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域の面積以上であることが好ましい。
 第2の電子顕微鏡画像に存在する連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における大空隙率領域および小空隙率領域についても、同様である。
 上述した第1の電子顕微鏡画像に確認される連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、第1の電子顕微鏡画像における大空隙率領域は、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含むことが好ましい。この場合、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域は、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含んでもよい。
 第2の電子顕微鏡画像に存在する連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合における大空隙率領域および小空隙率領域についても、同様である。
 上述した第1の電子顕微鏡画像に存在する連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、第1の電子顕微鏡画像において、大空隙率領域は、厚さが1μm以下の導電材4を10個以上含む領域を含むことが好ましい。この場合、第1の電子顕微鏡画像における小空隙率領域は、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含んでもよい。
 第2の電子顕微鏡画像に存在する連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合における大空隙率領域および小空隙率領域についても、同様である。
 本発明において、非水電解液二次電池用正極は、直径又は厚さが1μm以下の導電材に加えて、直径又は厚さが1μm以下の導電材以外の導電性を有する物質を含んでいてもよい。直径又は厚さが1μm以下の導電材以外の導電性を有する物質は、連結部に含まれない。直径又は厚さが1μm以下の導電材以外の導電性を有する物質は、少なくとも一部が連結部に埋設していてもよく、連結部から独立していてもよい。「直径又は厚さが1μm以下の導電材以外の導電性を有する物質」とは、例えば、直径が1μmを超える球状又は塊状の導電性を有する物質である。
 本発明の実施形態及びその具体例の非水電解液二次電池用正極はシート状である。しかし、本発明の非水電解液二次電池用正極は、シート状以外の形状であってもよい。
 本発明の非水電解液二次電池は、複数の非水電解液二次電池用正極と複数の負極が、セパレータを介して重ねられた構成であってもよい。
 本発明の実施形態の具体例の非水電解液二次電池11の容器14は角筒状であるが、本発明の非水電解液二次電池の容器の形状は角筒状でなくてもよい。例えば、非水電解液二次電池用正極と負極と2枚のセパレータを円柱状に巻回した場合、非水電解液二次電池の容器は円筒状でもよい。
 次に、本発明の実施例1及び比較例1~3の非水電解液二次電池用正極について説明する。実施例1は、図1に示す非水電解液二次電池用正極1の一例である。
 先ず、実施例1の非水電解液二次電池用正極と比較例1の非水電解液二次電池用正極の作製方法について説明する。
 正極活物質体として、ニッケル含有量が80mol%のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(NCA)を用いた。実施例1と比較例1ともに、この正極活物質体を大気中に1日放置した。その後、正極活物質体と、アクリル系バインダーと、アセチレンブラックおよびグラファイトと、溶媒または分散媒としての水と、増粘剤、pH調整剤等の添加剤とを混合することにより、スラリーを作製した。アセチレンブラックは、直径が1μm以下の導電材である。以下において、アセチレンブラックを、単に「導電材」と称することがある。グラファイトは、直径が1μmを超える、導電性を有する物質である。アクリル系バインダーは、水系バインダーの一種である。その後、スラリーを集電体(アルミニウム箔)に塗布した。その後、スラリーを乾燥させた。乾燥させたスラリーと集電体を、集電体の厚み方向にプレス加工した。これにより非水電解液二次電池用正極が得られた。実施例1及び比較例1において、スラリーに混合したpH調整剤の種類や量は異なる。
 本明細書において、大気は、地球の表層をおおう気体であり、且つ、成分、湿度および温度などが人為的に調整されていないものとする。ここで、成分とは、例えば、窒素や酸素等の比率である。また、本明細書において、空気は、大気の成分、湿度および温度などの要素の少なくとも1つが人為的に調整されたものでもよく、人為的に調整されていないものでもよい。大気は、空気の一種である。
 次に、比較例2の非水電解液二次電池用正極の作製方法について説明する。
 正極活物質体として、実施例1及び比較例1と同じく、ニッケル含有量が80mol%のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(NCA)を用いた。この正極活物質体を大気中に1日放置した。その後、正極活物質体と、アクリル系バインダーと、アセチレンブラックおよびグラファイトと、分散媒としての水と、増粘剤、pH調整剤等の添加剤とを混合した。混合時に、炭酸ガスを通気させた。これにより、スラリーを作製した。その後、スラリーを集電体(アルミニウム箔)に塗布した。その後、スラリーを乾燥させた。実施例1及び比較例1の正極と同じ電極密度の正極が得られるように、乾燥させたスラリーと集電体を、集電体の厚み方向にプレス加工した。これにより非水電解液二次電池用正極が得られた。比較例2において、スラリーに混合したpH調整剤の種類や量は、実施例1及び比較例1と異なる。
 次に、比較例3の非水電解液二次電池用正極の作製方法について説明する。
 正極活物質体として、実施例1、比較例1及び比較例2と同じく、ニッケル含有量が80mol%のニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(NCA)を用いた。正極活物質体と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)と、アセチレンブラックおよびグラファイトと、分散媒としてのNMP(N-メチルー2-ピロリドン)とを混合し、スラリーを作製した。PVDFは、有機溶媒系バインダーの一種である。その後、スラリーを集電体(アルミニウム箔)に塗布した。その後、スラリーを乾燥させた。実施例1、比較例1及び比較例2と同じ電極密度の正極が得られるように、乾燥させたスラリーと集電体を、集電体の厚み方向にプレス加工した。これにより非水電解液二次電池用正極が得られた。比較例3の正極の作製は、従来の有機溶媒系バインダーを含む正極を作製する環境とは異なり、低湿度環境において行われた。低湿度環境は、湿度の低い空気が存在する環境である。低湿度環境において、正極活物質は空気中の水とほぼ触れない。それにより、従来の有機溶媒系バインダーを含む正極の作製時とは異なり、スラリー作製前と、スラリー作製中を含む電極作製時に、正極活物質体が大気とほぼ触れなかった。
 実施例1と比較例1~3の非水電解液二次電池用正極を用いて非水電解液二次電池を作製した。作製方法は、本発明の実施形態の具体例で述べた方法と同じである。実施例1と比較例1~3において、負極、セパレータ、及び非水電解液の種類は全て同じとした。
 実施例1と比較例1~3の非水電解液二次電池用正極を用いてハーフセル(単極)のCR2032型コイン電池を作製した。一般的な正極ハーフセル(正極単極)と同じく、負極の代わりに、リチウムを使用した。
 実施例1と比較例1~3の非水電解液二次電池用正極を、トリミングナイフにより正極の厚み方向に沿って切断した。アルゴンイオンミリングにより正極の切断面を加工した。その後、切断面にオスミウム(Os)を蒸着することにより、切断面に導通処理を施した。電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)によって、実施例1と比較例1~3の非水電解液二次電池用正極の切断面(以下では、単に「断面」と呼ぶ)の電子顕微鏡画像を撮影した。実施例1と比較例1~3の撮影条件は全て同じとした。実施例1と比較例1~3の電子顕微鏡画像は、二次電子像である。電界放射型走査電子顕微鏡の加速電圧は、5kVとした。図3~14は、実施例1と比較例1~3の非水電解液二次電池用正極の断面の電子顕微鏡画像である。図3~14に示す電子顕微鏡画像は、拡大倍率が1,000倍及び5,000倍で撮影されたものである。拡大倍率が1,000倍の電子顕微鏡画像は、正極の厚み方向全体が映るように撮影された。拡大倍率が5,000倍の電子顕微鏡画像は、正極の断面における中央部と表面付近の2箇所で撮影された。正極の断面の中央部は、正極の断面において、集電体と正極表面との間の領域である有効領域における厚み方向の中央部である。5,000倍の中央部及び表面付近の2箇所の電子顕微鏡画像の撮影対象は、それぞれ、1,000倍の電子顕微鏡画像の撮影対象の一部である。図3~14の電子顕微鏡画像に、バインダーが映っていない。
 <1>電子顕微鏡画像の画像解析
〈実施例1〉
 図3は、実施例1の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。図4は、実施例1の正極の中央部の断面の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。図5は、実施例1の正極の表面付近の断面の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。1,000倍の電子顕微鏡画像と5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体と、正極活物質体同士を連結する連結部が確認された。各電子顕微鏡画像において、連結部の断面は、大空隙率領域と、正極活物質体の表面に沿って配置された小空隙率領域とを含んでいた。5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、大空隙率領域を線で囲んだ。5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、小空隙率領域を線で囲んだ。各電子顕微鏡画像において、大空隙率領域に、複数の粒状のアセチレンブラックが確認された。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、線で囲んだ小空隙率領域の空隙の最大面積は、線で囲んだ大空隙率領域の空隙の最大面積よりも小さかった。
 図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、線で囲んだ小空隙率領域の空隙の最大面積は、線で囲んだ大空隙率領域の空隙の最大面積よりも小さかった。
 1,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体の断面は、切断位置にある領域だけで構成され、切断位置よりも若干紙面の奥に存在している部分を有さない。各電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域及び連結部における切断位置にある領域を含む。さらに、これらの電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含む。言い換えると、これらの部分が空隙でない部分に含まれるように、二値化処理の閾値を設定する。これらの電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含む。
 図3の電子顕微鏡画像を二値化処理することにより、図3の電子顕微鏡画像における有効領域に占める暗領域の面積の比率を算出した。図4及び図5の電子顕微鏡画像をそれぞれ二値化処理することにより、各電子顕微鏡画像における有効領域、小空隙率領域及び大空隙率領域のそれぞれに占める暗領域の面積の比率を算出した。電子顕微鏡画像の輝度値は、0以上255以下で表した。空隙を示す暗領域と空隙でない部分を示す明領域の境界となる輝度値を、二値化処理の閾値とした。図4及び図5の電子顕微鏡画像のそれぞれにおいて、各電子顕微鏡画像における有効領域、小空隙率領域及び大空隙率領域のそれぞれに占める暗領域の面積の比率を算出するときの二値化処理の閾値は同じにした。さらに、図3~図5に示す電子顕微鏡画像に対して使用する閾値は同じにした。実施例1において、二値化処理で用いた閾値は、輝度値84とした。二値化処理及び暗領域の比率の計算には、画像解析ソフト「ImageJ」を用いた。比較例1~3でも同様のソフトを使用した。以下の説明において、二値化処理によって算出された暗領域の面積の比率を空隙率という。なお、電子顕微鏡画像の輝度値の範囲は、0以上255以下以外の範囲としてもよい。
 参考に、図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、正極活物質体における切断位置にある領域及び連結部における切断位置にある領域以外を全て空隙と仮定したときの電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率を、閾値を変えずに算出した。つまり、正極活物質体における切断位置よりも若干紙面の奥に存在している部分及び連結部における切断位置よりも若干紙面の奥に存在している部分を全て空隙と仮定したときの電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率を算出した。以下では、この方法で算出した有効領域の空隙率を「有効領域の仮想空隙率」と称することがある。表2には、この方法で算出した有効領域の空隙率を「有効領域の仮想空隙率」と示している。具体的には、以下の方法で空隙率を算出した。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分を黒く塗った。この電子顕微鏡画像を二値化処理することにより、電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。電子顕微鏡画像において黒く塗られた部分は、空隙を示す暗領域に含まれる。
 また、同様な方法により、図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。
 表2は、図3~図5に示す各電子顕微鏡画像の二値化処理の結果を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(14.1%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(8.7%)より大きい。
 図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(12.9%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(7.5%)より大きい。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部は、線で囲んだ小空隙率領域を除き、空隙の分布がほぼ均一である。したがって、図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部において線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率は、図4中の線で囲んだ大空隙率領域の空隙率とほぼ同じである。よって、図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部において線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率は、図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた、図4中の線で囲まれた大空隙率領域の空隙率(12.7%)とほぼ同じ(ほぼ12.7%)である。
 図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡電子顕微鏡画像において、連結部は、線で囲んだ小空隙率領域を除き、空隙の分布がほぼ均一である。したがって、図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率は、図5中の線で囲んだ大空隙率領域の空隙率とほぼ同じである。よって、5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率は、図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた、図5中の線で囲まれた大空隙率領域の空隙率(11.4%)とほぼ同じ(ほぼ11.4%)である。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の小空隙率領域の空隙率は、図3の1,000倍、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより小さい。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の小空隙率領域の空隙率は、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより小さい。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の大空隙率領域の空隙率は、図3の1,000倍、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の暗空隙率のそれぞれより大きい。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の大空隙率領域の空隙率は、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより小さい。
 図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部において図4中の線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率(ほぼ12.7%)は、図3の1,000倍、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の暗空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図4の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部において図4中の線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率(ほぼ12.7%)は、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより小さい。
 図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の小空隙率領域の空隙率は、図3の1,000倍、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより小さい。
 また、図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の小空隙率領域の空隙率は、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより小さい。
 図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の大空隙率領域の空隙率は、図3の1,000倍、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の大空隙率領域の空隙率は、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより小さい。
 図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において図5中の線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率(ほぼ11.4%)は、図3の1,000倍、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において図5中の線で囲んだ小空隙率領域を除く部分の空隙率(ほぼ11.4%)は、図4の5,000倍の中央部及び図5の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率(12.9%)のそれぞれより小さい。
 実施例1の正極の作製時に、プレス加工前の正極の断面において、中央部及び表面付近の2箇所の電子顕微鏡画像を観察した。2箇所の電子顕微鏡画像において、連結部の断面は、大空隙率領域と、小空隙率領域とを含んでいた。いずれの電子顕微鏡画像においても、小空隙率領域は、正極活物質体の表面に沿って配置されていた。このことから、プレス加工後に撮影された図3~図5の正極の断面の電子顕微鏡画像において、正極活物質体の表面に沿って配置された小空隙率領域は、プレス加工前に既に存在したことがわかる。したがって、実施例1の正極において、正極活物質体の表面に沿って配置された小空隙率領域は、正極をプレス加工したときに導電材が押し潰されたことによって形成されたものではない。
〈比較例1〉
 図6は、比較例1の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。図7は、比較例1の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。図8は、比較例1の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。1,000倍の電子顕微鏡画像と5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体と、正極活物質体同士を連結する連結部が確認された。各電子顕微鏡画像において、連結部の断面に、空隙が存在した。連結部の断面全体において、空隙の分布はほぼ均一であった。5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の一部分を線で囲んだ。各電子顕微鏡画像において、連結部に、複数の粒状のアセチレンブラックが確認された。
 比較例1の5,000倍の正極の断面の中央部の電子顕微鏡画像における連結部の断面の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積と同程度であった。
 比較例1の5,000倍の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像における連結部の断面の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積と同程度であった。
 1,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体の断面は、切断位置にある領域だけで構成され、切断位置よりも若干紙面の奥に存在している部分を有さない。各電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域及び連結部における切断位置にある領域を含む。さらに、これらの電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含む。言い換えると、これらの領域が空隙でない部分に含まれるように、二値化処理の閾値を設定する。これらの電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含む。
 図6の電子顕微鏡画像を二値化処理することにより、図6の電子顕微鏡画像における有効領域の空隙率を算出した。図7及び図8の電子顕微鏡画像をそれぞれ二値化処理することにより、各電子顕微鏡画像における有効領域及び連結部の一部のそれぞれの空隙率を算出した。電子顕微鏡画像の輝度値は、0以上255以下で表した。図7及び図8の電子顕微鏡画像のそれぞれにおいて、各電子顕微鏡画像における有効領域及び連結部の空隙率を算出するときの二値化処理の閾値は同じにした。さらに、図6~図8に示す電子顕微鏡画像に対して使用する閾値は同じにした。比較例1において、二値化処理で用いた閾値は、輝度値80とした。
 参考に、図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。また、図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。
 表3は、図6~図8に示す各電子顕微鏡画像の二値化処理の結果を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(8.8%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(7.4%)より大きい。
 図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(5.9%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(4.5%)より大きい。
 図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙の分布はほぼ均一である。したがって、図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率は、図7中の線で囲んだ連結部の一部分の空隙率とほぼ同じである。よって、図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙率は、図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた、図7中の線で囲まれた連結部の一部分の空隙率(10.8%)とほぼ同じ(ほぼ10.8%)である。
 図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙の分布はほぼ均一である。したがって、図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率は、図8中の線で囲んだ連結部の一部分の空隙率とほぼ同じである。よって、図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙率は、図8の5,000倍の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた、図8中の線で囲まれた連結部の一部分の空隙率(12.5%)とほぼ同じ(ほぼ12.5%)である。
 図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ10.8%)は、図6の1,000倍、図7の5,000倍の中央部及び図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図7の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ10.8%)は、図7の5,000倍の中央部及び図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより大きい。
 図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ12.5%)は、図6の1,000倍、図7の5,000倍の中央部及び図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ12.5%)は、図7の5,000倍の中央部及び図8の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより大きい。
 比較例1の正極の作製時に、プレス加工前の正極の断面において、中央部及び表面付近の2箇所の電子顕微鏡画像を観察した。2箇所の電子顕微鏡画像において、連結部の断面全体に、空隙が存在した。いずれの電子顕微鏡画像においても、連結部の断面全体の空隙の分布がほぼ均一であった。プレス加工後に撮影された図7及び図8の正極の断面の電子顕微鏡画像においても、連結部の断面全体の空隙の分布がほぼ均一であった。プレス加工後の図7及び図8の電子顕微鏡画像における各空隙の面積は、プレス加工前の2箇所の電子顕微鏡画像における各空隙の面積より小さかった。このことから、比較例1の正極はプレス加工されたことにより、連結部の断面の全体において、空隙がほぼ均一に小さくなったと考えられる。
〈比較例2〉
 図9は、比較例2の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。図10は、比較例2の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。図11は、比較例2の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。1,000倍の電子顕微鏡画像と5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体と、正極活物質体同士を連結する連結部が確認された。各電子顕微鏡画像において、連結部の断面に、空隙が存在した。連結部の断面全体において、空隙の分布はほぼ均一であった。5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の一部分を線で囲んだ。各電子顕微鏡画像において、連結部に、複数の粒状のアセチレンブラックが確認された。
 比較例2の5,000倍の正極の断面の中央部の電子顕微鏡画像における連結部の断面の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積より大きかった。
 比較例2の5,000倍の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像における連結部の断面の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積より大きかった。
 1,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体の断面は、切断位置にある領域だけで構成され、切断位置よりも若干紙面の奥に存在している部分を有さない。各電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域及び連結部における切断位置にある領域を含む。さらに、これらの電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含む。言い換えると、これらの領域が空隙でない部分に含まれるように、二値化処理の閾値を設定する。これらの電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含む。
 図9の電子顕微鏡画像を二値化処理することにより、図9の電子顕微鏡画像における有効領域の空隙率を算出した。図10及び図11の電子顕微鏡画像をそれぞれ二値化処理することにより、各電子顕微鏡画像における有効領域及び連結部の一部のそれぞれに占める暗領域の面積の比率を算出した。電子顕微鏡画像の輝度値は、0以上255以下で表した。図10及び図11の電子顕微鏡画像のそれぞれにおいて、各電子顕微鏡画像における有効領域及び連結部の暗領域の面積の比率を算出するときの二値化処理の閾値は同じにした。さらに、図9~図11に示す電子顕微鏡画像に対して使用する閾値は同じにした。比較例2において、二値化処理で用いた閾値は、輝度値85とした。
 参考に、図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。また、図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。
 表4は、図9~図11に示す各電子顕微鏡画像の二値化処理の結果を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(12.6%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(10.2%)より大きい。
 図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(8.4%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(6.7%)より大きい。
 図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙の分布はほぼ均一である。したがって、図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率は、図10中の線で囲んだ連結部の一部分の空隙率とほぼ同じである。よって、図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙率は、図10の5,000倍の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた、図10中の線で囲まれた連結部の一部分の空隙率(15.7%)とほぼ同じ(ほぼ15.7%)である。
 図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙の分布はほぼ均一である。したがって、図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率は、図11中の線で囲んだ連結部の一部分の空隙率とほぼ同じである。よって、図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙率は、図11の5,000倍の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた、図11中の線で囲まれた連結部の一部分の空隙率(15.0%)とほぼ同じ(ほぼ15.0%)である。
 図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ15.7%)は、図9の1,000倍、図10の5,000倍の中央部及び図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図10の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ15.7%)は、図10の5,000倍の中央部及び図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の正極活物質体の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより大きい。
 図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ15.0%)は、図9の1,000倍、図10の5,000倍の中央部及び図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ15.0%)は、図10の5,000倍の中央部及び図11の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の正極活物質体の有効領域の仮想空隙率のそれぞれより大きい。
 比較例2の正極の作製時に、プレス加工前の正極の断面において、中央部及び表面付近の2箇所の電子顕微鏡画像を観察した。2箇所の電子顕微鏡画像において、連結部の断面全体に、空隙が存在した。いずれの電子顕微鏡画像においても、連結部の断面全体の空隙の分布がほぼ均一であった。プレス加工後に撮影された図10及び図11の正極の断面の電子顕微鏡画像においても、連結部の断面全体の空隙の分布がほぼ均一であった。プレス加工後の図10及び図11の電子顕微鏡画像における各空隙の面積は、プレス加工前の2箇所の電子顕微鏡画像における各空隙の面積より小さかった。このことから、比較例2の正極はプレス加工されたことにより、連結部の断面全体の空隙がほぼ均一に小さくなったと考えられる。
〈比較例3〉
 図12は、比較例3の正極の断面の1,000倍の電子顕微鏡画像である。図13は、比較例3の正極の断面の中央部の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。図14は、比較例3の正極の断面の表面付近の5,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の一部拡大図である。1,000倍の電子顕微鏡画像と5,000倍の中央部及び表面部の電子顕微鏡画像において、正極活物質体と、正極活物質体同士を連結する連結部が確認された。
 1,000倍の電子顕微鏡画像と5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の断面全体における空隙の分布はほぼ均一であった。5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の一部分を線で囲んだ。
 5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部の断面のほぼ全体において空隙の分布はほぼ均一であったが、局所的に空隙率が小さい部分が存在した。5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、空隙の分布がほぼ均一である領域の一部分(第1部分)と、第1部分より空隙率が小さい第2部分及び第3部分を線で囲んだ。
 各電子顕微鏡画像において、連結部に、複数の粒状のアセチレンブラックが確認された。
 比較例3の5,000倍の正極の断面の中央部の電子顕微鏡画像における連結部の断面の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積と同程度であった。
 比較例3の5,000倍の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像における連結部の断面において、第1部分の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積と同程度であった。比較例3の5,000倍の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像における連結部の断面において、第2部分の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積より小さく、実施例1の小空隙率領域の空隙の最大面積と同程度であった。比較例3の5,000倍の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像における連結部の断面において、第3部分の空隙の最大面積は、実施例1の大空隙率領域の空隙の最大面積より小さく、実施例1の小空隙率領域の空隙の最大面積と同程度であった。
 1,000倍の電子顕微鏡画像と、5,000倍の中央部及び表面付近の電子顕微鏡画像において、正極活物質体の断面は、切断位置にある領域だけで構成され、切断位置よりも若干紙面の奥に存在している部分を有さない。各電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体における切断位置にある領域及び連結部における切断位置にある領域を含む。さらに、これらの電子顕微鏡画像において、空隙でない部分は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値より高い部分を含む。言い換えると、これらの領域が空隙でない部分に含まれるように、二値化処理の閾値を設定する。これらの電子顕微鏡画像において、空隙は、正極活物質体及び連結部の各々における切断位置よりも若干紙面の奥に存在していることが視認できる部分であって、画像の輝度又は明度が閾値以下の部分を含む。
 図12の電子顕微鏡画像を二値化処理することにより、図12の電子顕微鏡画像における有効領域の空隙率を算出した。図13の電子顕微鏡画像を二値化処理することにより、図13の電子顕微鏡画像における有効領域及び連結部の一部のそれぞれの空隙率を算出した。図13の電子顕微鏡画像における有効領域及び連結部の暗領域の面積の比率を算出するときの閾値を同じにした。図14の電子顕微鏡画像をそれぞれ二値化処理することにより、図14の電子顕微鏡画像における有効領域、第1部分、第2部分及び第3部分のそれぞれの空隙率を算出した。図14の電子顕微鏡画像における有効領域、第1部分、第2部分及び第3部分の暗領域の面積の比率を算出するときの閾値を同じにした。さらに、図12~図14に示す電子顕微鏡画像に対して使用する閾値は同じにした。比較例3において、二値化処理で用いた閾値は、輝度値82とした。
 参考に、図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。また、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率を算出した。
 表5は、図12~図14に示す各電子顕微鏡画像の二値化処理の結果を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(10.3%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(7.5%)より大きい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、有効領域の仮想空隙率(8.4%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(7.5%)は、画像加工等をせずに同じ閾値を使って算出された有効領域の空隙率(6.2%)より大きい。
 図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙の分布はほぼ均一である。したがって、図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率は、図13中の線で囲んだ連結部の一部分の空隙率とほぼ同じである。よって、図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像において、連結部の空隙率は、図13の5,000倍の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた図13中の線で囲まれた連結部の一部分の空隙率(11.6%)とほぼ同じ(ほぼ11.6%)である。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部は、第2部分及び第3部分を除き、空隙の分布はほぼ均一である。したがって、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において第2部分及び第3部分を除く部分の空隙率は、連結部の第1部分の空隙率とほぼ同じである。よって、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において第2部分及び第3部分を除く部分の空隙率は、図14の5,000倍の電子顕微鏡画像の二値化処理によって得られた連結部の第1部分の空隙率(9.7%)とほぼ同じ(ほぼ9.7%)である。
 図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ11.6%)は、図12の1,000倍、図13の5,000倍の中央部及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図13の5,000倍の中央部表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の空隙率(ほぼ11.6%)は、図13の5,000倍の中央部及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率より大きい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において空隙の分布がほぼ均一である部分の空隙率(ほぼ9.7%)は、図12の1,000倍、図13の5,000倍の中央部及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率のそれぞれより大きい。
 また、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において空隙の分布がほぼ均一である部分の空隙率(ほぼ9.7%)は、図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率より小さい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部において空隙の分布がほぼ均一である部分の空隙率(ほぼ9.7%)は、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率より大きい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の第2部分の空隙率は、図12の1,000倍及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より大きい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の第2部分の空隙率は、図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より小さい。
 また、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の第2部分の空隙率は、図13の5,000倍の中央部及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率より小さい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の第3部分の空隙率は、図12の1,000倍及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より大きい。
 図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の第3部分の空隙率は、図13の5,000倍の中央部の電子顕微鏡画像の有効領域の空隙率より小さい。
 また、図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の連結部の第3部分の空隙率は、図13の5,000倍の中央部及び図14の5,000倍の表面付近の電子顕微鏡画像の有効領域の仮想空隙率より小さい。
 比較例3の正極の作製時に、プレス加工前の正極の断面において、中央部及び表面付近の2箇所の電子顕微鏡画像を観察した。
 プレス加工前の正極の断面の中央部において、連結部の断面全体に、空隙が存在した。プレス加工前の正極の断面の中央部において、連結部の断面全体の空隙の分布はほぼ均一であった。プレス加工後に撮影された図13の正極の断面の中央部の電子顕微鏡画像においても、連結部の断面全体の空隙の分布がほぼ均一であった。プレス加工後の図13の電子顕微鏡画像における各空隙の面積は、プレス加工前の中央部の電子顕微鏡画像における各空隙の面積より小さかった。このことから、比較例3の正極はプレス加工されたことにより、正極の断面の中央部において、連結部の断面の空隙がほぼ均一に小さくなったと考えられる。
 プレス加工前の正極の断面の表面付近において、連結部の断面全体に、空隙が存在した。プレス加工前の正極の断面の表面付近において、連結部の断面全体の空隙の分布はほぼ均一であった。プレス加工後に撮影された図14の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像においても、連結部の断面全体の空隙の分布がほぼ均一であったが、局所的に空隙率が小さい部分が存在した。このことから、比較例3の正極はプレス加工されたときに、正極の断面の表面付近においても、連結部の断面の空隙がほぼ均一に小さくなったが、正極の断面の表面付近において、正極活物質体間の距離が短い領域に存在する連結部の断面に、局所的に空隙率が小さい部分が形成されたと考えられる。そのため、図14の正極の断面の表面付近の電子顕微鏡画像において、連結部に、空隙率が小さい第2部分及び第3部分が局所的に存在したと考えられる。
 なお、連結部の断面全体において、局所的に空隙率が小さい部分を除いた領域の空隙の分布はほぼ均一であった。
 <2>電池性能の評価
 実施例1及び比較例1~3の非水電解液二次電池の性能を評価した。
 <2-1>0.1C放電容量比
 作製したCR2032型電池を用い、実施例1及び比較例1~3の正極ハーフセルの0.1C放電容量を電圧4.3~3.0Vの範囲でそれぞれ測定した。正極ハーフセルの0.1C放電容量は、正極活物質粒子の重量当たりの0.1C放電容量である。それぞれの正極ハーフセルの0.1C放電容量は、25±2℃の環境下で測定した。有機溶媒系バインダーを使用した比較例3の正極ハーフセルの0.1C放電容量を、各材料における0.1C最大放電容量とした。測定された結果に基づいて下記式により0.1C放電容量比を算出した。その結果を表6に示す。
 0.1C放電容量比=(0.1C放電容量/0.1C最大放電容量)×100
 <2-2>0.1C初回充放電効率
 CR2032型電池を用い、実施例1及び比較例1~3の正極ハーフセルの初回の充放電における0.1C充電容量及び0.1C放電容量をそれぞれ測定した。25±2℃の環境下で、電流0.1C、充電終止電圧4.3V及び充電終止電流0.02Cの条件で定電流定電圧充電を行い、0.1C充電容量を測定した。その後、0.1Cの定電流で放電終止電圧3.0Vまで放電させて0.1C放電容量を測定した。測定結果に基づいて下記の式により0.1C初回充放電効率を算出した。その結果を表5に示す。
 0.1C初回充放電効率=(0.1C放電容量÷0.1C充電容量)×100
 <2-3>0.2C充放電効率
 CR2032型電池を用い、実施例1及び比較例1~3の正極ハーフセルの充放電における0.2C充電容量及び0.2C放電容量をそれぞれ測定した。25±2℃の環境下で、初回の0.1C充放電を行った後、電流0.2C、充電終止電圧4.3V及び充電終止電流0.02Cの条件で定電流定電圧充電を行い、0.2C充電容量を測定した。その後、0.2Cの定電流で放電終止電圧3.0Vまで放電させて0.2C放電容量を測定した。測定結果に基づいて下記の式により0.2C充放電効率を算出した。その結果を表5に示す。
 0.2C充放電効率=(0.2C放電容量÷0.2C充電容量)×100
 <2-4>3C/0.2C放電容量比
 CR2032型電池を用い、実施例1及び比較例1~3の正極ハーフセルの0.2C放電容量および3C放電容量を電圧4.3~3.0Vの範囲でそれぞれ測定した。25±2℃の環境下で定電流定電圧充電を行った後、放電終止電圧3.0Vまで放電させて3C放電容量及び0.2C放電容量をそれぞれ測定した。定電流定電圧充電は、電流0.2C、充電終止電圧4.3V及び充電終止電流0.02Cの条件で行った。3C放電容量は、3Cの電流で放電終止電圧まで放電した場合に取り出された電気量である。3Cは、定電流放電した場合に1/3時間で放電終了となる電流値である。0.2C放電容量は、0.2Cの電流で放電終止電圧まで放電した場合に取り出された電気量である。0.2Cは、定電流放電した場合に5(=1/0.2)時間で放電終了となる電流値である。測定結果に基づいて下記の式により3C/0.2C放電容量比を算出した。その結果を表6に示す。
 3C/0.2C放電容量比=(3C放電容量比/0.2C放電容量比)×100
 3C/0.2C放電容量比が小さいほど、正極の抵抗が大きい。
 <2-5>単極20サイクル目の容量維持率
 CR2032型電池を用い、実施例1及び比較例1~3の正極ハーフセル(正極単極)の充電と放電を繰り返す試験を行った。1回の充電と放電を1サイクルとカウントし、各正極ハーフセルにこのサイクルを20回行った。1サイクル目の放電時の放電容量と、20サイクル目の放電時の放電容量を測定した。測定結果に基づいて下記式により容量維持率を算出した。その結果を表6に示す。
 単極20サイクル目の容量維持率=(20サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
 <2-6>屈曲剥離試験
 実施例1及び比較例1~3の正極の屈曲剥離試験を行った。屈曲剥離試験は、JIS K5600-5-1に準拠した耐屈曲性試験を採用した。この試験には、直径3mmの円筒形マンドレルを備えた屈曲試験装置を使用した。試験は以下のような手順で行った。まず、マンドレルが集電体に接するように正極の試料片を試験装置に配置した。その後、マンドレルに沿って正極の試料片を折り曲げた。そして、集電体の剥離の有無を目視で確認した。その結果を表6に示す。
 <2-7>剥離強度
 実施例1及び比較例1~3の正極を使って、剥離試験を行った。正極にテープを貼付けた後、テープを正極から引き剥がした。テープを正極から引き剥がすとき、正極に対するテープの角度が180°となるようにした。正極活物質体及び連結部が集電体から剥離したときの剥離強度を測定した。剥離強度が6[N/m]を超える場合、正極活物質体及び連結部と集電体との接続強度が高い。この場合、電極が腐食していないと判断できる。その結果を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表6から以下のことがわかった。
 連結部が小空隙率領域を含む実施例1の0.1C放電容量比は、90%以上であり、実用化レベルであった。
 連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1の0.1C放電容量比は、90%未満であり、実用化レベルに至らなかった。
 連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例2は、90%以上であり、実用化レベルであった。
 連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例3の0.1C放電容量比は、90%以上であり、実用化レベルであった。
 連結部が小空隙率領域を含む実施例1の0.1C初回充放電効率は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3の0.1C初回充放電効率より高かった。
 連結部が小空隙率領域を含む実施例1の0.2C充放電効率は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3の0.2C充放電効率より高かった。
 連結部が小空隙率領域を含む実施例1の3C/0.2C放電容量比は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1及び比較例2の3C/0.2C放電容量比より高かった。したがって、連結部が小空隙率領域を含む実施例1の正極の抵抗値は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1及び比較例2の正極の抵抗値より低いと推測される。比較例1及び比較例2の正極は、水系バインダーを含む正極である。
 連結部が小空隙率領域を含む実施例1の3C/0.2C放電容量比は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例3の3C/0.2C放電容量比と同じであった。そのため、連結部が小空隙率領域を含む実施例1の正極の抵抗値は、比較例3の正極の抵抗値と同等であると推測される。比較例3の正極は、有機溶媒系バインダーを含む正極である。
 有機溶媒系バインダーを用いて作製された比較例3の正極は、従来の正極を作製する環境とは異なり、低湿度環境下で正極活物質体が空気中の水分とほぼ触れないように細心の注意を払って作製されている。
 従来、リチウムとニッケルを含む正極活物質体は、水に対して不安定であることが知られている。リチウムとニッケル含む正極活物質体は、水と混合することで変質しやすい傾向があることが知られている。また、リチウムとニッケルを含む正極活物質体を空気に曝すと、リチウムとニッケルを含む正極活物質体は空気中の水分によって変質する。空気中の水分により一部が変質した正極活物質体を用いて正極を製造した場合、正極活物質体中には、依然として正極活物質粒子が変質した物質が残っている。正極活物質体中に正極活物質粒子が水分により変質した物質が存在することで、正極の抵抗値は高くなる。
 従来の正極の製造方法により正極を製造した場合、実施例1及び比較例1、2の正極を作製した環境と同様に、正極活物質体が大気に比較的長時間触れている。よって、従来の正極に含まれる正極活物質体中に、正極活物質粒子が水分により変質した物質が存在する。そのため、従来の方法により作製された正極の抵抗値は高い。
 一方、比較例3の正極は、低湿度環境下で正極活物質体が空気中の水分とほぼ触れないように細心の注意を払って作製された。そのため、有機溶媒系バインダーを用いて作製された比較例3の正極の正極活物質体は、従来の、有機溶媒系バインダーを用いて作製された正極の正極活物質体と異なり、水による変質が殆ど生じていない。
 したがって、比較例3の正極の抵抗値は、従来の、有機溶媒系バインダーを用いて作製された正極の抵抗値より低い。
 また、従来の正極の正極活物質体は大気に比較的長時間触れているため、水分による変質の程度が大きいと考えられる。そのため、正極活物質体が水により殆ど変質していない比較例3の正極の抵抗値と、従来の正極の抵抗値は、ある程度の差があると考えられる。
 実施例1の正極の抵抗値は、この比較例3の正極の抵抗値と同等であると推測される。よって、実施例1の正極の抵抗値は、従来の、有機溶媒系バインダーを含む正極の抵抗値より低いと推測される。
 小空隙率領域を含む実施例1の単極20サイクル目の容量維持率は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3の単極20サイクル目の容量維持率より高かった。したがって、小空隙率領域を含む実施例1の正極の耐久性は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3の正極の耐久性より高いことがわかった。
 屈曲剥離試験において、小空隙率領域を含む実施例1と、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3のいずれも、正極活物質体及び連結部が集電体から剥離しなかった。このことから、実施例1及び比較例1~3の正極のいずれも、正極の加工性が高いことがわかった。さらに、剥離試験において、実施例1及び比較例1~3の剥離強度は、6[N/m]を超えた。屈曲剥離試験と剥離試験の結果から、実施例1及び比較例1~3の正極いずれにおいても、正極活物質体及び連結部と集電体との接続強度が高いため、集電体が腐食していないと判断できる。
 上述した電池特性の評価結果から、小空隙率領域を含む実施例1の充放電効率は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3の充放電効率より高いことがわかった。また、小空隙率領域を含む実施例1の電池の耐久性は、連結部の空隙の分布がほぼ均一である比較例1~3の電池の耐久性より高いことがわかった。
 したがって、実施例1は、比較例1~3と比較し、電池特性が高い上に、電池の耐久性が高いことがわかった。
 なお、表6の電池特性の結果から、比較例3は、比較例1及び比較例2より、電池特性が高い上に、耐久性が高いと考えられる。この理由として下記が考えられる。
 比較例1及び比較例2の正極を作製するときは、正極活物質体が大気に比較的長時間触れた。しかし、比較例3の正極は、比較例1及び比較例2の正極を作製した環境と異なり、低湿度環境下で、正極活物質体が空気中の水分とほぼ触れないように細心の注意を払って作製された。したがって、比較例3の正極活物質体は、比較例1及び比較例2の正極活物質体より、大気中の水分に触れた量が少ない。
 また、比較例1及び比較例2の正極は、水系バインダーを用いて作製されているため、比較例1及び比較例2の正極の作製時に、正極活物質体がバインダーに含まれる水に触れている。しかし、比較例3の正極は、水を含まない有機溶媒系バインダーを用いて作製されている。したがって、比較例3の正極活物質体は、バインダーによる水の影響を受けていない。
 上記から、比較例3の正極活物質体は、比較例1及び比較例2の正極活物質体より、水による変質が少ないと考えられる。そのため、比較例3の正極は、比較例1及び比較例2の正極より、電池特性が高い上に、耐久性が高いと考えられる。
 上記から、実施例1は、比較例1および比較例2と比較し、電池特性が高い上に、電池の耐久性が高い。それに加えて、実施例1は、正極活物質体の水による変質の影響が少ない比較例3よりも、電池特性が高い上に、電池の耐久性が高いことがわかった。
 実施例1の正極の断面における連結部は、プレス加工前及びプレス加工後のいずれにおいても、大空隙率領域と小空隙率領域とを含んでいた。小空隙率領域は、正極のプレス加工前とプレス加工後のいずれにおいても、正極活物質体の表面に沿って配置されていた。この連結部を有する実施例1は、プレス加工前及びプレス加工後のいずれも連結部の空隙の分布がほぼ均一であった比較例1~3より、電池特性が高い上に、電池の耐久性が高かった。
 ここで、プレス加工後の比較例3の正極の断面において、連結部の断面に、局所的に空隙率が小さい部分が確認された。しかし、上述した電池特性の結果から、プレス加工後に連結部に局所的に空隙率が小さい部分が確認された比較例3は、プレス加工前及びプレス加工後のいずれも、連結部が大空隙率領域と小空隙率領域とを含む実施例1より、電池特性が低い上に、耐久性が低いことがわかった。
 このことから、プレス加工後の正極の断面において、連結部に、局所的に空隙率が小さい部分が確認されていても、空隙率が小さい部分がプレス加工により形成されたものであるときは、その空隙率が小さい部分は電池特性及び電池の耐久性を向上させることに寄与しないと考えられる。
 電子顕微鏡画像は省略するが、実施例1の正極の中央部及び表面付近の断面の8,000倍の電子顕微鏡画像においても、正極活物質体と連結部を確認することができた。8,000倍の電子顕微鏡画像において、連結部の断面は、大空隙率領域と、小空隙率領域とを含んでいた。8,000倍の電子顕微鏡画像において、大空隙率領域に、複数の粒状のアセチレンブラックが確認された。8,000倍の電子顕微鏡画像において、小空隙率領域の少なくとも一部は、正極活物質体の表面に沿って配置されていた。
 また、測定結果は省略するが、実施例1の正極活物質体のニッケル含有量を80mol%未満に変更した場合でも、正極の断面の電子顕微鏡画像において、正極活物質体と連結部を確認することができた。電子顕微鏡画像において、連結部の断面は、大空隙率領域と、小空隙率領域とを含んでいた。大空隙率領域に、複数の粒状のアセチレンブラックが確認された。電子顕微鏡画像において、小空隙率領域の少なくとも一部は、正極活物質体の表面に沿って配置されていた。
 1   非水電解液二次電池用正極
 2   正極活物質体
 2a  正極活物質粒子
 3   バインダー
 4   導電材
 5   連結部
 5a  大空隙率領域
 5b  小空隙率領域
 6   集電体
 11  非水電解液二次電池
 12  負極
 13  セパレータ
 14  容器
 15  蓋

Claims (15)

  1.  リチウムとニッケルを含む正極活物質粒子が凝集した正極活物質体と、直径又は厚さが1μm以下の導電材を含み、前記導電材以外に導電性を有する物質を含まず、前記正極活物質体同士を連結する連結部と、水溶性又は水分散性のバインダーと、集電体とを有し、プレス加工された非水電解液二次電池用正極であり、
     電子顕微鏡により撮影された前記非水電解液二次電池用正極の断面の前記バインダーが映っていない少なくとも1つの電子顕微鏡画像において、それぞれ、前記連結部の断面が、大空隙率領域と、前記正極活物質体の表面に沿って配置され、空隙率が前記大空隙率領域の空隙率よりも小さい小空隙率領域とを含む、非水電解液二次電池用正極。
  2.  前記連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積及び前記大空隙率領域の面積が、それぞれ、前記直径が1μm以下の導電材の平均径の1/2を2乗したものに円周率を乗じることによって得られた値の10倍以上であり、
     前記連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積及び前記大空隙率領域の面積が、それぞれ、前記厚さが1μm以下の導電材の平均厚さにその導電材の平均径を乗じることによって得られた値の10倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池用正極。
  3.  前記連結部が、直径が1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記大空隙率領域が、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含み、且つ、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積が、前記大空隙率領域における、直径が1μm以下の導電材を10個以上含む前記領域の面積以上であり、
     前記連結部が、厚さが1μm以下の導電材を含む場合、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記大空隙率領域が、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む領域を含み、且つ、前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像の各々における前記小空隙率領域の面積が、前記大空隙率領域における、厚さが1μm以下の導電材を10個以上含む前記領域の面積以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池用正極。
  4.  前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像に含まれる第1の電子顕微鏡画像における前記小空隙率領域の前記空隙率が、
     前記第1の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率、及び、
     前記第1の電子顕微鏡画像と電子像の種類及び加速電圧が同じであって撮影対象が異なる前記非水電解液二次電池用正極の断面が撮影された前記バインダーの映っていない第2の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の少なくとも一方より小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  5.  前記第1の電子顕微鏡画像における前記小空隙率領域の前記空隙率が、
     前記第1の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の2/3、及び、
     前記第2の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の2/3の少なくとも一方以下であることを特徴とする請求項4に記載の非水電解液二次電池用正極。
  6.  前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像に含まれる第3の前記電子顕微鏡画像における前記大空隙率領域の前記空隙率が、
     前記第3の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率、及び、
     前記第3の電子顕微鏡画像と電子像の種類及び加速電圧が同じであって撮影対象が異なる前記非水電解液二次電池用正極の断面が撮影された前記バインダーの映っていない第4の電子顕微鏡画像における、前記集電体と前記非水電解液二次電池用正極の表面との間の領域である有効領域の空隙率の少なくとも一方以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  7.  前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像に含まれる第5の電子顕微鏡画像において、前記小空隙率領域の前記空隙率が、前記第5の電子顕微鏡画像における前記大空隙率領域の前記空隙率の半分以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  8.  少なくとも1つの前記電子顕微鏡画像において、前記小空隙率領域の前記空隙率が、5%未満であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  9.  少なくとも1つの前記電子顕微鏡画像において、前記大空隙率領域の前記空隙率が、5%以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  10.  前記空隙率が、前記電子顕微鏡画像に対して、前記電子顕微鏡画像を空隙を示す暗領域と空隙でない部分を示す明領域に区別する二値化処理して得られる、前記暗領域の面積が占める比率であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  11.  前記少なくとも1つの電子顕微鏡画像が、1,000倍以上8,000倍以下の拡大倍率で撮影された画像であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  12.  前記非水電解液二次電池用正極の1つの断面における少なくとも部分的に一致しない複数箇所又は複数の断面が撮影された複数の前記電子顕微鏡画像において、それぞれ、前記連結部の断面が、前記大空隙率領域と前記小空隙率領域を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電解液二次電池用正極。
  13.  前記正極活物質粒子に含まれる金属元素に占めるニッケルの割合が、50モル%以上であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  14.  前記正極活物質粒子に含まれる金属元素に占めるニッケルの割合が、80モル%以上であることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極。
  15.  請求項1~14のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用正極と、負極と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池。
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