WO2019167156A1 - 配線形成装置および配線形成方法 - Google Patents
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Abstract
金属微粒子を含有する金属含有液を塗布する塗布装置と、レーザ光を照射する照射装置と、制御装置とを備え、制御装置が、絶縁性の支持体または基板上に金属含有液を塗布し、レーザ強度分布における最大強度から当該最大強度の1/e2の強度までの距離が250μm以上であるレーザ光を、塗布された金属含有液に照射するように、塗布装置と照射装置との作動を制御することで、金属含有液を焼成させて配線を形成する配線形成装置。
Description
本発明は、金属微粒子を含有する金属含有液を焼成することで、配線を形成する配線形成装置などに関する。
近年、下記特許文献に記載されているように、金属微粒子を含有する金属含有液を焼成することで、配線を形成する技術が開発されている。
上記特許文献に記載されている技術を利用して、配線が形成される際には、適切な金属含有液の焼成が望まれている。このため、本発明の課題は、適切な金属含有液の焼成を担保することである。
上記課題を解決するために、本明細書は、金属微粒子を含有する金属含有液を塗布する塗布装置と、レーザ光を照射する照射装置と、制御装置とを備え、前記制御装置が、絶縁性の支持体または基板上に前記金属含有液を塗布し、レーザ強度分布における最大強度から当該最大強度の1/e2の強度までの距離が250μm以上であるレーザ光を、塗布された前記金属含有液に照射するように、前記塗布装置と前記照射装置との作動を制御することで、前記金属含有液を焼成させて配線を形成する配線形成装置を開示する。
上記課題を解決するために、本明細書は、金属微粒子を含む金属含有液を、絶縁性の支持体または基板上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程において塗布された前記金属含有液に、レーザ強度分布における最大強度から当該最大強度の1/e2の強度までの距離が250μm以上であるレーザ光を照射する照射工程とを含み、前記照射工程におけるレーザ光の照射により、前記金属含有液を焼成させて配線を形成する配線形成方法を開示する。
本開示によれば、スポット径が大きなレーザにより金属含有液が焼成されることで、適切な金属含有液の焼成が担保される。
図1に回路形成装置10を示す。回路形成装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、制御装置(図2参照)26とを備える。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24とは、回路形成装置10のベース28の上に配置されている。ベース28は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース28の長手方向をX軸方向、ベース28の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とステージ52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されており、X軸方向に移動可能とされている。そして、Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのY軸スライドレール50には、ステージ52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース28上の任意の位置に移動する。
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置(図2参照)64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面に基板が載置される。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置された基板のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、基板が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60を昇降させる。
第1造形ユニット22は、ステージ52の基台60に載置された基板(図3参照)70の上に配線を造形するユニットであり、第1印刷部72と、乾燥部73と、焼成部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(図2参照)76を有しており、基台60に載置された基板70の上に、金属インクを線状に吐出する。金属インクは、金属の微粒子が溶剤中に分散されたものである。なお、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから導電性材料を吐出する。
乾燥部73は、赤外線ランプ(図2参照)77を有している。赤外線ランプ77は、赤外線を照射する装置であり、後に詳しく説明するように、金属インク等の乾燥に用いられる。また、焼成部74は、レーザ照射装置(図2参照)78を有している。レーザ照射装置78は、基板70の上に吐出された金属インクにレーザを照射する装置であり、レーザが照射された金属インクは焼成し、配線が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶剤の気化や金属微粒子保護膜の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクが焼成することで、金属製の配線が形成される。
また、第2造形ユニット24は、ステージ52の基台60に載置された基板70の上に樹脂層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(図2参照)88を有しており、基台60に載置された基板70の上に紫外線硬化樹脂を吐出する。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させノズルから吐出するサーマル方式でもよい。
硬化部86は、平坦化装置(図2参照)90と照射装置(図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって基板70の上に吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、基板70の上に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板70の上に吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、樹脂層が造形される。
また、制御装置26は、図2に示すように、コントローラ120と、複数の駆動回路122とを備えている。複数の駆動回路122は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、赤外線ランプ77、レーザ照射装置78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24の作動が、コントローラ120によって制御される。
回路形成装置10では、上述した構成によって、基板70の上に回路パターンが形成される。具体的には、ステージ52の基台60に基板70がセットされ、そのステージ52が、第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、図3に示すように、基板70の上に樹脂積層体130が形成される。樹脂積層体130は、インクジェットヘッド88からの紫外線硬化樹脂の吐出と、吐出された紫外線硬化樹脂への照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることにより形成される。
詳しくは、第2造形ユニット24の第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、基板70の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、硬化部86において、紫外線硬化樹脂の膜厚が均一となるように、紫外線硬化樹脂が平坦化装置90によって平坦化される。そして、照射装置92が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板70の上に薄膜状の樹脂層132が形成される。
続いて、インクジェットヘッド88が、その薄膜状の樹脂層132の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、平坦化装置90によって薄膜状の紫外線硬化樹脂が平坦化され、照射装置92が、その薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで、薄膜状の樹脂層132の上に薄膜状の樹脂層132が積層される。このように、薄膜状の樹脂層132の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線の照射とが繰り返され、複数の樹脂層132が積層されることで、樹脂積層体130が形成される。
上述した手順により樹脂積層体130が形成されると、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、樹脂積層体130の上面に金属インクを、回路パターンに応じて線状に吐出する。なお、回路パターンは、配線を形成するための配線形成データとしてコントローラ120に記憶されており、その配線形成データに基づいて、インクジェットヘッド76が制御されることで、金属インクが回路パターンに応じて吐出される。
続いて、回路パターンに応じて吐出された金属インクに、第1造形ユニット22の乾燥部73において、赤外線ランプ77によって赤外線が照射される。これにより、滴下された金属インクに含まれる溶剤が気化し、滴下された金属インクは乾燥した状態となる。そして、第1造形ユニット22の焼成部74において、レーザ照射装置78が、金属インクにレーザを照射する。これにより、金属インクが焼成し、図4に示すように、樹脂積層体130の上に配線136が形成される。
このように、回路形成装置10では、紫外線硬化樹脂の硬化によって樹脂積層体130が形成され、金属インクの焼成によって配線136が形成されることで、基板70の上に回路パターンが形成される。ただし、金属インクは、上述したように、金属の微粒子が溶剤中に分散されたものであり、レーザの照射によって、溶剤の気化や金属微粒子保護膜の分解等が行われる。そして、金属微粒子が接触または融着をすることで、金属インクが焼成し、配線が形成される。このため、レーザ照射時に、金属インクに溶剤が多く残存していると、溶剤が十分に蒸散する前に金属微粒子が焼結することで、溶剤,金属微粒子保護膜が金属微粒子間に残留する虞がある。また、急激な体積収縮により、焼成した金属微粒子にクラックが生じる虞がある。さらに言えば、残存する溶剤の突沸によって、溶剤の飛散などが生じる虞もある。このようなことに鑑みて、金属インクにレーザが照射される前に、赤外線ランプ77によって、金属インクに赤外線が照射され、金属インクに含まれる溶剤の気化が行われている。
しかしながら、赤外線ランプ77による赤外線の照射時間などを考慮すると、赤外線ランプ77による溶剤の気化が十分に行われない場合もある。そこで、回路形成装置10では、金属インクに照射されるレーザのビームプロファイル、具体的には、レーザのスポット径および、レーザの強度分布等を調整することで、金属インクの焼成前に、金属インクに含まれる溶剤を気化させ、金属インクの適切な焼成を担保している。
具体的に、レーザの強度分布には、トップハット型の強度分布と、ガウシアン型の強度分布とがある。トップハット型の強度分布では、図5に示すように、レーザの照射位置に関わらず、レーザ強度が概ね均一とされている。なお、照射位置(=0)は、照射されるレーザの中心を示しており、照射位置(=±r)は、照射されるレーザの外縁を示している。
なお、照射されるレーザの外縁は明確でないため、レーザの外縁は、最大強度の1/e2の強度のレーザが照射される箇所と定義される。また、最大強度のレーザは、当然、レーザの照射範囲の中心(照射位置(=0))に照射される。このため、強度分布において、最大強度のレーザの照射位置(=0)から、最大強度の1/e2の強度のレーザの照射位置(=±r)までの距離を半径とする円の内部に、最大強度の1/e2以上の強度のレーザが照射される。このため、その円の内部が、レーザの照射範囲となり、その円の直径(=2r)がレーザのスポット径となる。
なお、レーザのスポット径は、D4σ幅,D86幅,有効ビーム径,ナイフエッジ幅と言い換えることも可能である。具体的には、例えば、D86幅は、ビームプロファイルの重心を中心として、ビームパワーの86%が含まれる円の直径として定義される。このため、ビームプロファイルの重心から円形に領域を増加させていき、領域内のトータルのビームパワーが86%になったところで、円の直径を算出する。そして、この直径がD86幅となる。
また、例えば、有効ビーム径は、測定されたビームのピーク強度に対して特定のパーセンテージ以上の強度をもつすべてのピクセルの面積と等しい面積の円の直径として定義される。このため、例えば、特定のパーセンテージとして、70%が選択された場合に、ピーク強度の70%の強度以上の全てのピクセルの総数が、有効ビーム径の計算に用いられる。そして、ピクセルの総数が演算されると、センサーのピクセルピッチは既知であるため、このピクセル総数と同じ面積の円に置き換えられ、その円の直径が有効ビーム径となる。
このため、図5に示すトップハット型の強度分布を有するレーザ(以下、「トップハットレーザ」と記載する)は、スポット径が2rのレーザであり、スポット径の内部の全域に亘って、概ね均一な強度のレーザである。つまり、トップハットレーザでは、レーザの外縁部においても、レーザの中心部と同等の強度のレーザが照射される。また、金属インクにレーザが照射される際に、レーザの外縁が、まず、金属インクに照射され、その後に、レーザの中心部が金属インクに照射される。このため、トップハットレーザが金属インクに照射されると、レーザの外縁が金属インクに照射された際、つまり、金属インクにレーザが照射されて直ぐに、高強度のレーザが金属インクに照射される。これにより、トップハットレーザが照射された金属インクでは、温度が急上昇し、溶剤が除去される前に、金属微粒子が焼成する虞がある。つまり、トップハットレーザの照射では、溶剤が残留した状態で金属微粒子が焼成される虞があり、金属インクの適切な焼成を担保することができない。
一方で、ガウシアン型の強度分布では、図6に示すように、レーザの中心に近いほど、レーザ強度は高く、レーザの中心から離れるほど、レーザ強度は低い。つまり、ガウシアン型の強度分布では、レーザの外縁に近いほど強度が低下する。このため、図6に示すガウシアン型の強度分布を有するレーザ(以下、「ガウシアンレーザ」と記載する)では、レーザの外縁部において、レーザの中心部より低い強度のレーザが照射され、その低強度のレーザの照射の後に、レーザの中心部において、高強度のレーザが照射される。これにより、レーザ照射による金属インクの温度上昇を緩やかにすることが可能となり、金属微粒子の焼成前に、金属インクの溶剤を気化させることが可能となる。
ただし、図6に示す強度分布のガウシアンレーザでは、スポット径(=2r)が非常に小さいため、レーザ外縁部の強度変化の勾配が大きく、レーザ外縁部において、レーザ強度が急激に高くなる。このため、スポット径の小さいガウシアンレーザでは、レーザ照射による金属インクの急激な温度上昇を適切に抑制し難い。そこで、スポット径の大きなガウシアンレーザを用いることで、レーザ照射による金属インクの急激な温度上昇を適切に抑制することが可能となる。
詳しくは、スポット径の大きなガウシアンレーザの強度分布では、図7に示すように、スポット径(=2r)が大きいため、レーザ外縁部の強度変化の勾配が小さく、レーザ外縁部において、レーザ強度は緩やかに変化する。このため、スポット径の大きいガウシアンレーザを用いることで、レーザ照射による金属インクの急激な温度上昇を適切に抑制することが可能となる。これにより、レーザ外縁部の金属インクへの照射により、金属インクの溶剤を気化させ、その後に、レーザ中心部の金属インクへの照射により、金属微粒子を焼成させることで、金属インクの適切な焼成が担保される。
ここで、金属インクの適切な焼成を担保することが可能なスポット径の具体的な数値について説明する。まず、アクリル樹脂板の上に、0.14mm(幅)×5mm(長さ)×1μm(厚さ)のサイズの金属インクがインクジェットヘッド76により塗布される。なお、そのサイズの金属インクは、4回に分けて塗布され、金属インクが塗布される毎に、赤外線ランプ77により、赤外線が所定時間、照射される。そして、その金属インクに、スポット径が250μmのガウシアンレーザと、スポット径が500μmのガウシアンレーザと、スポット径が1000μmのガウシアンレーザとの何れかのレーザが照射され、配線が形成される。
なお、レーザ照射時の諸条件を下記に示す。
走査速度:1mm/sec
照射距離(レーザ照射装置78のレーザレンズ面と金属インクとの間の距離)
:10mm(スポット径が500μmのガウシアンレーザ)
:20mm(スポット径が1000μmのガウシアンレーザ)
ビーム品質:M2=1.3
レーザの種類:ファイバーレーザ
金属インクの金属微粒子の直径:8~15nm
走査速度:1mm/sec
照射距離(レーザ照射装置78のレーザレンズ面と金属インクとの間の距離)
:10mm(スポット径が500μmのガウシアンレーザ)
:20mm(スポット径が1000μmのガウシアンレーザ)
ビーム品質:M2=1.3
レーザの種類:ファイバーレーザ
金属インクの金属微粒子の直径:8~15nm
そして、配線が形成されると、形成された配線に対して、外観検査,スクラッチ検査,テープ剥離検査が実行される。外観検査は、形成された配線を目視にて確認する検査であり、クラックの有無,配線の膨張の有無などが検査される。スクラッチ検査は、形成された配線を擦る検査であり、金属インクの適切な金属化,配線の強度などが検査される。テープ剥離検査は、形成された配線にテープが貼着され、そのテープを剥離する検査であり、配線の剥離の有無,配線の強度等が検査される。そして、それらの検査結果に基づいて、形成された配線が、焼成不足,合格,焼成過剰の何れに該当するかが判断される。その判断結果を、図8に示す。
なお、スポット径が250μmのガウシアンレーザの照射時において、レーザのパワー密度(W/mm2)は、30~110(W/mm2)の範囲で変更され、変更されたパワー密度毎の配線に対して、上記判断が行われる。また、スポット径が500μmのガウシアンレーザの照射時において、レーザのパワー密度(W/mm2)は、10~120(W/mm2)の範囲で変更され、変更されたパワー密度毎の配線に対して、上記判断が行われる。また、スポット径が1000μmのガウシアンレーザの照射時において、レーザのパワー密度(W/mm2)は、5~30(W/mm2)の範囲で変更され、変更されたパワー密度毎の配線に対して、上記判断が行われる。
図8から解るように、スポット径が250μmのガウシアンレーザでは、パワー密度(W/mm2)を変更させても、金属インクを適切に焼成できない。一方、スポット径が500μm、若しくは、1000μmのガウシアンレーザでは、パワー密度(W/mm2)を変更させた場合に、所定の範囲のパワー密度(W/mm2)において、金属インクを適切に焼成することができる。詳しくは、スポット径が500μmのガウシアンレーザでは、パワー密度(W/mm2)が56~64(W/mm2)である場合に、金属インクを適切に焼成することができる。また、スポット径が1000μmのガウシアンレーザでは、パワー密度(W/mm2)が12~24(W/mm2)である場合に、金属インクを適切に焼成することができる。
このように、スポット径が500μm以上のガウシアンレーザを用いることで、金属インクを適切に焼成することが可能となる。つまり、図7に示すように、レーザの強度分布において、最大強度のレーザの照射位置(=0)から、最大強度の1/e2の強度のレーザの照射位置(=±r)までの距離が250μm以上となるガウシアンレーザを用いることで、金属インクの適切な焼成を担保することができる。
また、スポット径が500μm以上のガウシアンレーザを用いた場合に、金属インクを適切に焼成可能なパワー密度の範囲を指標する値として、焼成レンジ幅H(%)を、下記式に従って演算した。
H={(XMAX-Xmin)/2}/{(XMAX+Xmin)/2}
なお、XMAXは、金属インクを適切に焼成することができた際の最大のパワー密度(W/mm2)であり、スポット径が500μmのガウシアンレーザでは、64(W/mm2)、スポット径が1000μmのガウシアンレーザでは、24(W/mm2)である。また、Xminは、金属インクを適切に焼成することができた際の最小のパワー密度(W/mm2)であり、スポット径が500μmのガウシアンレーザでは、56(W/mm2)、スポット径が1000μmのガウシアンレーザでは、12(W/mm2)である。
H={(XMAX-Xmin)/2}/{(XMAX+Xmin)/2}
なお、XMAXは、金属インクを適切に焼成することができた際の最大のパワー密度(W/mm2)であり、スポット径が500μmのガウシアンレーザでは、64(W/mm2)、スポット径が1000μmのガウシアンレーザでは、24(W/mm2)である。また、Xminは、金属インクを適切に焼成することができた際の最小のパワー密度(W/mm2)であり、スポット径が500μmのガウシアンレーザでは、56(W/mm2)、スポット径が1000μmのガウシアンレーザでは、12(W/mm2)である。
このため、スポット径が500μmのガウシアンレーザでの焼成レンジ幅H(%)は6.6%と演算され、スポット径が1000μmのガウシアンレーザでの焼成レンジ幅H(%)は33.3%と演算される。なお、スポット径が250μmのガウシアンレーザでの焼成レンジ幅H(%)は、上記式に従って演算できないが、スポット径が250μmのガウシアンレーザでの焼成レンジ幅H(%)は0%とする。そして、演算された焼成レンジ幅H(%)を、スポット径毎にプロットしたグラフを、図9に示す。
なお、焼成レンジ幅H(%)は、金属インクを適切に焼成可能なパワー密度の平均値{(XMAX+Xmin)/2}に対する、金属インクを適切に焼成可能なパワー密度の幅{(XMAX-Xmin)/2}の比率である。このため、焼成レンジ幅H(%)は、数値が大きいほど、金属インクを適切に焼成可能なパワー密度の範囲が広いことを示している。このことから、金属インクを適切に焼成可能なパワー密度の範囲は、スポット径が1000μmのガウシアンレーザを用いることで、スポット径が500μmのガウシアンレーザを用いる場合と比較して、4倍広くなることが解る。つまり、大きなスポット径のガウシアンレーザを用いるほど、パワー密度に誤差が生じても、適切に金属インクを焼成することができる。これにより、レーザ焼成時における外乱、例えば、照射距離,走査速度,パワー密度等の誤差などが生じた場合であっても、その外乱の影響による焼成不足,焼成過剰などを防止することが可能となる。つまり、焼成時のロバスト性が向上し、高精度の装置を用いなくても、適切な金属インクの焼成を担保することが可能となる。
ちなみに、上記実施例において、回路形成装置10は、配線形成装置の一例である。制御装置26は、制御装置の一例である。インクジェットヘッド76は、塗布装置の一例である。レーザ照射装置78は、照射装置及び、ファイバーレーザ照射装置の一例である。樹脂積層体130は、支持体の一例である。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、ガウシアンレーザを照射するレーザ照射装置78の種類として、ファイバーレーザが採用されているが、種々のレーザ、具体的には、例えば、Nd:ロッド(YAG)レーザ、Yb:ディスク(YAG)レーザ、YAGレーザ第2高調波、YAGレーザ第3高調波、エキシマレーザ、アルゴンレーザなどが採用されてもよい。
また、上記実施例では、レーザ強度分布として、強度ピークが1つのガウシアン型の強度分布(図7参照)が採用されているが、強度ピークが複数の強度分布が採用されてもよい。
また、上記実施例では、配線136が樹脂積層体130の上に形成されているが、基板70の上に直接的に形成されてもよい。
また、上記実施例では、金属インクが線状に塗布され、線状の配線が形成されているが、本明細書での配線は、電気を通電させるものを意味しており、配線の形状は具体的に限定されない。このため、金属インクがドット状に塗布され、ドット状の金属インクの焼成により形成されるパッドも、当然、配線に含まれる。
また、上記実施例では、赤外線ランプ77により乾燥された後に金属インクの焼成が行われているが、スポット径が500μm以上のガウシアンレーザを用いることで、赤外線ランプ77による金属インクの乾燥を行うことなく、金属インクの焼成を行うことができる。ただし、焼成時のロバスト性を考慮すると、赤外線ランプ77により乾燥された後に金属インクが焼成されることが好ましい。
10:回路形成装置(配線形成装置) 26:制御装置 76:インクジェットヘッド(塗布装置) 78:レーザ照射装置(照射装置)(ファイバーレーザ照射装置)
Claims (4)
- 金属微粒子を含有する金属含有液を塗布する塗布装置と、
レーザ光を照射する照射装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
絶縁性の支持体または基板上に前記金属含有液を塗布し、レーザ強度分布における最大強度から当該最大強度の1/e2の強度までの距離が250μm以上であるレーザ光を、塗布された前記金属含有液に照射するように、前記塗布装置と前記照射装置との作動を制御することで、前記金属含有液を焼成させて配線を形成する配線形成装置。 - 前記レーザ光が、ガウシアンレーザ光である請求項1に記載の配線形成装置。
- 前記照射装置が、ファイバーレーザ照射装置である請求項1または請求項2に記載の配線形成装置。
- 金属微粒子を含む金属含有液を、絶縁性の支持体または基板上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された前記金属含有液に、レーザ強度分布における最大強度から当該最大強度の1/e2の強度までの距離が250μm以上であるレーザ光を照射する照射工程と
を含み、
前記照射工程におけるレーザ光の照射により、前記金属含有液を焼成させて配線を形成する配線形成方法。
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