WO2019138715A1 - ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法 - Google Patents

ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法 Download PDF

Info

Publication number
WO2019138715A1
WO2019138715A1 PCT/JP2018/043667 JP2018043667W WO2019138715A1 WO 2019138715 A1 WO2019138715 A1 WO 2019138715A1 JP 2018043667 W JP2018043667 W JP 2018043667W WO 2019138715 A1 WO2019138715 A1 WO 2019138715A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
head
module
nozzle
relative position
adjustment
Prior art date
Application number
PCT/JP2018/043667
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
漠 西川
Original Assignee
富士フイルム株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 富士フイルム株式会社 filed Critical 富士フイルム株式会社
Publication of WO2019138715A1 publication Critical patent/WO2019138715A1/ja

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

同一色を記録する多重配置された複数本のインクジェットヘッドバーを備えるインクジェット記録装置において各ヘッドモジュールの相対位置を適切に調整し得るヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法を提供する。本発明の一態様のヘッドモジュール調整方法は、用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定し、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値に基づいて、インクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの位置を調整することにより、ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める。

Description

ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法
 本発明はヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法に係り、シングルパス方式のインクジェット記録装置に用いられるラインヘッドを構成するヘッドモジュールの位置を調整する技術及びインクジェットを用いた画像記録技術に関する。
 インクジェット記録装置においては一般的に、ノズルの不吐、若しくは飛行曲がりなどの吐出不良による白スジ又は濃いスジ等のバンディングの発生を抑制することが求められる。特にシングルパス方式のインクジェット記録装置では1つのノズルの不良によって簡単にスジが発生してしまうため、より精細なスジ補正が求められる。スジ補正の技術は、例えば、特許文献1に記載されているように、シングルパス方式のインクジェット記録装置の場合、不良ノズルを事前にマスク化し、近接ノズルを用いて記録を補う補正処理を行うことが一般的である。
 一方で、近年のシングルパス方式の産業用インクジェット分野の動向として、より高い生産性が求められている。生産性を大きく向上させるため、ラインヘッドを多重化する方法が知られている(特許文献2参照)。同一色の記録を行うラインヘッドを用紙搬送方向に複数配置した構成を有するインクジェット記録装置は、画像の記録を各ラインヘッドで分担できるため、画像の記録を高速化できる。また、多重配置する複数のラインヘッド間でドットの記録位置を、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に相対的にずらすことにより、個々のラインヘッドの持つノズル配列密度を超える記録解像度を実現し得る。
特開2008-179092号公報 特開2005-238556号公報 特許第5940183号公報 特開2010-42596号公報
 シングルパス方式のインクジェット記録装置において、同一色のラインヘッドを用紙搬送方向に多重化して画像の記録を行う場合、複数のラインヘッドを組み合わせて記録されるドットの配置パターンを記録領域内で均一に揃えるためには、ヘッド間の相対位置を高精度に調整する必要がある。
 例えば、1200dpiの記録解像度を持つインクジェットヘッドを用紙搬送方向に2つ並べた多重配置のインクジェット記録装置の場合、各ヘッドがそれぞれ1200dpiのドット間隔を持つ格子パターンでドットを記録し得る。そのため2つのヘッドの格子パターンを重ね合わせて構成される画素の格子(ドットを配置可能な打滴点の格子)を用いて画像の記録を行う際には、少なくとも1200dpiのドット間隔である21.2マイクロメートル[μm]以内の範囲に、ドットの記録位置を制御しなければ、1200dpi×2のドット配置の格子パターンが崩れることは明白である。なお、「dpi」は、dot per inch を意味し、1インチあたりのドット(点)の数を表す単位表記である。
 一方で、シングルパス方式のインクジェット記録装置に用いられるラインヘッドは、複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて1本のインクジェットヘッドバーとして構成されることが多い(特許文献3-4参照)。各ヘッドモジュールは、ヘッドの反り及び/又は収縮などの影響により、ノズル間ピッチ、及び吐出方向などの特性がヘッドモジュールごとに微妙に異なる。また、1つのヘッドモジュール内において、局所的に吐出方向が変化する場合もあり得る。
 したがって、ラインヘッドを多重化する場合、ヘッドモジュールごとの特性を踏まえて、ラインヘッドごとにヘッドモジュール間の相対位置の調整を行い、かつ、多重配置するラインヘッド間での相対位置の調整を行う、という非常に複雑かつ高精度な調整を必要する。
 ヘッドモジュールの取付位置の調整に関して、特許文献3には、隣り合うヘッドモジュールの間隔が許容範囲内に収まり、かつ、各インクジェットヘッドバーの記録領域幅が同じになるように、各インクジェットヘッドバーのヘッドモジュール取り付け位置を調整することが示されている。また、特許文献3には、各色のインクジェットヘッドバー間でレジストレーションのズレが最小限になるように、各インクジェットヘッドバーのヘッドモジュール取り付け位置を調整することが示されている。レジストレーションのズレとは、ドットの相対的な記録位置の関係のズレをいう。
 しかし、特許文献3に記載された内容は、各色単一のインクジェットヘッドバーに関するヘッドモジュールの調整技術であり、特許文献3には、より高精度に調整が求められる多重配置の構成に関する記載はない。
 特許文献4には、ヘッドユニットにおける少なくとも2つのノズル列を用いて用紙にラインパターンを複数回記録し、その記録結果を基に、ヘッドの角度、及び位置のズレ量の調整を行う方法が記載されている。「ヘッドユニット」という用語は、「ヘッドモジュール」に対応する用語と理解される。
 しかし、特許文献4に記載された方法は、一般的な調整方法に過ぎず、ヘッドモジュール内での局所的なドットの記録位置のズレに関しては考慮されていない。
 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、同一色を記録する多重配置された複数本のインクジェットヘッドバーを備えるインクジェット記録装置において、ヘッドモジュールのごとの特性のばらつきを考慮して、各ヘッドモジュールの相対位置を適切に調整し得るヘッドモジュール位置調整方法、調整支援装置及びプログラムを提供することを目的の1つとする。
 また、本発明は複数本のインクジェットヘッドバーにおける各ヘッドモジュールのバー内及びバー間の相対位置を高精度に調整することにより、高品質な画像の記録が可能なインクジェット記録装置を提供すること、並びに、高品質な画像を記録した印刷物が得られる印刷物製造方法を提供することを他の目的の1つとする。
 本明細書では、表記の簡略化のために、インクジェットヘッドバーを「バー」と略記し、ヘッドモジュールを「モジュール」と略記する場合がある。また、「インクジェットヘッドバー及び/又はヘッドモジュールを包括する概念の用語として「ヘッド」と記載する場合がある。
 本開示は、次の発明態様を提供する。
 態様1に係るヘッドモジュール位置調整方法は、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置におけるヘッドモジュールの位置を調整するヘッドモジュール位置調整方法であって、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定するステップと、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値に基づいて、インクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの位置を調整することにより、ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収めるステップと、を含むヘッドモジュール位置調整方法である。
 ヘッドモジュール内の複数箇所で測定されたノズル相対位置の代表値は、ヘッドモジュール内での局所的な特性のばらつきを緩和した数値となる。態様1によれば、ノズル相対位置の代表値を用いてモジュール単位で相対位置の評価を行い、各ヘッドモジュールにおけるバー間のノズル相対位置の代表値が目標範囲に収まるように、各バー内における各ヘッドモジュールの位置を調整することができる。
 これにより、バー間のヘッドモジュールの相対位置のズレは、ヘッドモジュールの繋ぎ合わせよって累積されずに、バーの記録領域にわたってノズル相対位置を均一化し得る。ヘッドモジュールの相対位置のズレが累積しないということは、モジュール単位で相対位置のズレがリセットされていると理解してよい。
 用紙搬送方向をY方向、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向をX方向とするXY座標系を導入して方向と位置関係を表現する場合、ノズル相対位置は、X方向のノズル相対位置と、Y方向のノズル相対位置とがあり得る。X方向のノズル相対位置を基に、X方向のモジュール位置を調整することができる。Y方向のノズル相対位置を基に、Y方向のモジュール位置を調整することができる。X方向及びY方向のうちいずれか1方向のみについてモジュール位置を調整してもよいし、2方向のそれぞれのモジュール位置を調整してもよい。
 態様2は、態様1のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェットヘッドバーを構成する複数個のヘッドモジュールの各々についてのノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める構成であってよい。
 態様2によれば、インクジェットヘッドバーの記録領域にわたってノズル相対位置のばらつきを抑えることができる。
 態様3は、態様1又は態様2のヘッドモジュール位置調整方法において、代表値がノズル相対位置の平均値である構成であってよい。
 代表値は、平均値の他にも、中央値若しくはヒストグラムの最頻値などを用いることができる。
 態様4は、態様1から態様3のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、目標範囲の目標値が0である構成であってよい。
 調整目標とするノズル相対位置の理想位置を「0」と定めることができる。
 態様5は、態様1から態様4のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、目標範囲が、単一のインクジェットヘッドバーで構成される記録解像度の1画素以内である構成であってよい。
 例えば、1本のインクジェットバー単独での記録解像度が1200dpiである場合、1画素のサイズは1200dpiのドット間隔、すなわち、21.2μmである。
 態様6は、態様1から態様5のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、目標範囲が、単一のインクジェットヘッドバーで構成される記録解像度の0.5画素以内である構成であってよい。
 態様7は、態様1から態様6のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェット記録装置は、ヘッドモジュールごとに、ノズルによって記録されるドットの位置を、用紙搬送方向、及び用紙搬送方向に直交する用紙幅方向のうち少なくとも1つの方向に移動させる位置調整機構を少なくとも1つ備えており、ノズル相対位置の代表値に基づいて、ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収めるための、位置調整機構による移動方向及び移動量を決定する構成であってよい。
 態様8は、様1から態様7のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、用紙搬送方向をY方向とし、Y方向に直交する用紙幅方向をX方向とする場合に、ノズル相対位置は、X方向の相対的な位置のズレを表すX方向ノズル相対位置を含み、X方向ノズル相対位置の代表値に基づいて、ヘッドモジュールのX方向の位置を調整することにより、X方向ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める構成であってよい。
 態様9は、態様1から態様7のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、用紙搬送方向をY方向とし、Y方向に直交する用紙幅方向をX方向とする場合に、ノズル相対位置は、Y方向の相対的な位置のズレを表すY方向ノズル相対位置を含み、Y方向ノズル相対位置の代表値に基づいて、ヘッドモジュールのY方向の位置を調整することにより、Y方向ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める構成であってよい。
 態様10は、態様1から態様9のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェットヘッドバーを構成している複数個のヘッドモジュールのうち、基準とする位置のヘッドモジュールについて、ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める調整を行う第1の調整ステップと、基準とする位置以外のヘッドモジュールについて、ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める調整を行う第2の調整ステップと、を含み、第2の調整ステップは、用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士で、それぞれのヘッドモジュールを逆方向へ等量移動させることにより、ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収める構成であってよい。
 態様11に係るヘッドモジュール位置調整方法は、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置におけるヘッドモジュールの位置を調整するヘッドモジュール位置調整方法であって、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られるノズル相対位置の情報を取得するステップと、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値に基づいて、インクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの移動方向及び移動量を調整することにより、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値の総和を目標範囲に収め、かつ、インクジェットヘッドバーごとの隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の総和を0にする調整を行うステップと、を含むヘッドモジュール位置調整方法である。
 モジュール間距離の基準距離からの偏差は、隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離から基準距離を減算した差分として求めることができる。態様11において、各インクジェットヘッドバーにおける各ヘッドモジュール間のモジュール間距離の基準距離からの偏差を測定して得られる情報を取得するステップを含んでよい。態様11によれば、バー間でノズル相対位置を均一に揃えることができる。
 態様12は、態様11のヘッドモジュール位置調整方法において、代表値がノズル相対位置の平均値である構成であってよい。
 態様13は、態様11又は態様12のヘッドモジュール位置調整方法において、目標範囲の目標値が0である構成であってよい。
 態様14は、態様1から態様13のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェットヘッドバーごとに、インクジェットヘッドバーの単独での記録解像度が均一に向かう方向へ、規定の許容範囲内で、ヘッドモジュールを移動させて隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離を調整するステップを含む構成であってよい。
 態様14によれば、予め定められた規定の許容範囲内に、ヘッドモジュールの移動量を制限してモジュール間距離を調整することができる。
 態様15は、態様1から態様14のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、複数のインクジェットヘッドバーを用いてラインパターンを記録して、ラインパターンのライン間隔を測定することにより、ノズル相対位置を測定する構成であってよい。
 態様16は、態様1から態様14のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、複数のインクジェットヘッドバーを用いてドット群を記録して、ドット群のドット間隔を測定することにより、ノズル相対位置を測定する構成であってよい。
 態様17は、態様1から態様14のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、複数のインクジェットヘッドバーを用いて用紙の同じ領域にラインパターンを記録して、記録されたパターンの濃度を測定することにより、ノズル相対位置を測定する構成であってよい。
 態様18は、態様17のヘッドモジュール位置調整方法において、濃度が最大、若しくは、最小となる位置にヘッドモジュールを調整する構成であってよい。
 態様19は、態様1から態様18のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェット記録装置は、複数色の各色についてインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されており、各色の記録幅全域において、ノズル相対位置を、単一のインクジェットヘッドバーにより構成される記録解像度の1画素以内に収める構成であってよい。
 態様20は、態様1から態様18のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェット記録装置は、複数色の各色についてインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されており、各色の記録幅全域において、ノズル相対位置を、単一のインクジェットヘッドバーにより構成される記録解像度の0.5画素以内に収める構成であってよい。
 態様21は、態様1から態様20のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法において、インクジェット記録装置は、複数のインクジェットヘッドバーのうちのいずれか1つのインクジェットヘッドバーにおいて不良ノズルが発生した場合に、他のインクジェットヘッドバーのノズルを用いて不良ノズルの記録を補う補正を行う構成であってよい。
 例えば、複数のインクジェットヘッドバーのうちのいずれか1つのインクジェットヘッドバーにおいて不良ノズルが発生した場合に、他のインクジェットヘッドバーの用紙搬送方向において重複する位置の近隣ノズルの打滴率、若しくは滴量を変化させて、不良ノズルの補正を行うことができる。
 態様1から態様21の各態様に係るヘッドモジュール位置調整方法は、インクジェット記録装置を製造するプロセスの工程に適用することができる。つまり、本開示のヘッドモジュール位置調整方法は、インクジェット記録装置の製造方法として解釈することができる。
 態様22に係るインクジェット記録装置は、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられるシングルパス方式のインクジェット記録装置であって、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置され、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置が記録領域にわたって目標範囲に収まっているインクジェット記録装置である。
 態様22において、インクジェットヘッドバーの記録幅の全域にわたりノズル相対位置が、一定の目標値の範囲に収まっていることが好ましい。
 態様23は、態様22のインクジェット記録装置において、インクジェットヘッドバーの各ノズルからの吐出を制御する制御部を更に備え、制御部は、複数のインクジェットヘッドバーのうちのいずれか1つのインクジェットヘッドバーにおいて不良ノズルが発生した場合、他のインクジェットヘッドバーのノズルを用いて不良ノズルの記録を補う補正を行う構成であってよい。
 態様22又は態様23のインクジェット記録装置において、態様1から態様21にて特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、ヘッドモジュール位置調整方法において特定される処理や動作のステップの要素は、これに対応する処理や動作を担う手段としての処理部や機能部の要素として把握することができる。
 態様24に係る調整支援装置は、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置におけるヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する調整支援装置であって、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られるノズル相対位置の情報を取得する情報取得部と、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値を目標範囲に収めるために必要なインクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する調整目標値算出部と、調整目標値算出部によって算出された調整目標値を出力する出力部と、を備える調整支援装置である。
 態様24によれば、作業者は、調整支援装置から出力される調整目標値に従い、各ヘッドモジュールの位置を調整することができる。
 態様25に係る調整支援装置は、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置におけるヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する調整支援装置であって、インクジェットヘッドバーごとの隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の情報を取得するモジュール間距離情報取得部と、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られるノズル相対位置の情報を取得するノズル相対位置情報取得部と、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値の総和を目標範囲に収め、かつ、インクジェットヘッドバーごとの隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の総和を0にするために必要なインクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する調整目標値算出部と、調整目標値算出部によって算出された調整目標値を出力する出力部と、を備える調整支援装置である。
 態様25によれば、作業者は、調整支援装置から出力される調整目標値に従い、各ヘッドモジュールの位置を調整することが可能である。
 態様24又は態様25の調整支援装置において、態様1から態様21にて特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、ヘッドモジュール位置調整方法において特定される処理や動作のステップの要素は、これに対応する処理や動作を担う手段としての処理部や機能部の要素として把握することができる。
 態様26に係るプログラムは、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置におけるヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、コンピュータに、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られるノズル相対位置の情報を取得する機能と、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値を目標範囲に収めるために必要なインクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する機能と、算出された調整目標値を出力する機能と、を実現させるプログラムである。
 態様27に係るプログラムは、複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしてのインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置におけるヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、コンピュータに、インクジェットヘッドバーごとの隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の情報を取得する機能と、用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られるノズル相対位置の情報を取得する機能と、複数箇所から測定されたノズル相対位置を基に算出されるノズル相対位置の代表値の総和を目標範囲に収め、かつ、インクジェットヘッドバーごとの隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の総和を0にするために必要なインクジェットヘッドバーごとのヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する機能と、算出された調整目標値を出力する機能と、を実現させるプログラムである。
 態様26又は態様27のプログラムにおいて、態様1から態様21にて特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、ヘッドモジュール位置調整方法において特定される処理や動作のステップの要素は、これに対応する処理や動作の機能を実現するプログラムの要素として把握することができる。
 態様28に係る印刷物製造方法は、態様1から21のいずれか一態様のヘッドモジュール位置調整方法を用いてヘッドモジュールの位置が調整されたインクジェット記録装置を用いて用紙に画像を記録することにより印刷物を製造する印刷物製造方法である。
 本発明によれば、同一色を記録する多重配置された複数本のインクジェットヘッドバーを備えるインクジェット記録装置において、各ヘッドモジュールの相対位置を適切に調整することができる。
 また、本発明によれば、高品質な画像の記録が可能なインクジェット記録装置を提供することができ、高品質な画像を記録した印刷物を得ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。 図2は、図1に示すインクジェット記録装置の平面図である。 図3は、インクジェットヘッドバーの概略構成を示す底面図である。 図4は、ヘッドモジュールのノズル面の構成例を概略的に示す図である。 図5は、インクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 図6は、多重配置された2本のインクジェットヘッドバーによって記録されるドットの配置を示す格子パターンの例を示した説明図である。 図7は、ドットの相対位置と粒状性の関係を解析したシミュレーションの結果を示すグラフである。 図8は、図7に示した粒状性解析のシミュレーションの際の条件に用いたドット配置におけるドットの相対的な位置関係を示す説明図である。 図9は、ヘッドモジュールの吐出特性の例を示した概念図である。 図10は、図9に示すヘッドモジュールを用いて記録されるラインパターンの例を示す図である。 図11は、多重配置された2本のバーの各々によってラインパターンのライン間隔が、ヘッドモジュール間で均一である場合の例を示す説明図である。 図12は、多重配置された2本のバーの各々によってラインパターンのライン間隔が、ヘッドモジュール間で異なる場合の例を示す説明図である。 図13は、モジュールΔxの用語定義を説明するための説明図である。 図14は、モジュールΔyの用語定義を説明するための説明図である。 図15は、ノズルΔxの測定に用いるテストチャートの一例を示す図である。 図16は、図15の中の一部を拡大した拡大図である。 図17は、ノズルΔx及びノズルΔyの測定に用いる測定用パターンの例を示す図である。 図18は、多重配置されたインクジェットヘッドバー間の相対的な位置関係を調整する調整手順の具体例1を示すフローチャートである。 図19は、図18のフローチャートに示される調整の過程を模式的に示した説明図である。 図20は、図18及び図19で説明した調整のシーケンスにて調整を実施した際の調整値の推移の例を示す図表である。 図21は、多重配置されたインクジェットヘッドバー間の相対的な位置関係を調整する調整手順の具体例2を示すフローチャートである。 図22は、図21のフローチャートに示される調整の過程を模式的に示した説明図である。 図23は、5モジュールの場合における調整の過程を模式的に示した説明図である。 図24は、5モジュールの場合における調整値の推移の例を示す図表である。 図25は、図24に示した図表の「Step.5」の部分を、「Step.5-1」と「Step.5-2」の2段階の手順に分解した場合の調整値の推移を示す図表である。 図26は、用紙に記録されたパターンの濃度を基にドット間の相対位置を測定する例を示す説明図である。 図27は、本発明の実施形態に係る調整支援装置が備える機能を示すブロック図である。 図28は、インクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドバーの配置構成の例を示す図である。 図29は、インクジェットヘッドバーを構成するヘッドモジュールの他の形態例を示す平面図である。
 以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
 《インクジェット記録装置の構成例》
 図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。図2は、図1に示すインクジェット記録装置の平面図である。インクジェット記録装置1は、用紙Pに所望の画像をシングルパス方式で記録するデジタル印刷装置である。
 インクジェット記録装置1は、用紙Pを搬送する用紙搬送部10と、用紙Pに画像を記録するインクジェット記録部20と、用紙Pに記録された画像を読み取る画像読取部30と、を備える。また、インクジェット記録装置1は、用紙搬送部10に用紙Pを供給する給紙部40と、画像記録後の用紙Pが排紙される排紙部50と、を備える。
 用紙搬送部10は、記録媒体としての用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。本例の用紙搬送部10は、走行するベルト11の表面に用紙Pを吸着させて、用紙Pを搬送する吸着ベルト搬送機構である。ベルト11は、無端状ベルトで構成され、駆動ローラー12及び従動ローラー13に巻き掛けられる。駆動ローラー12には、ベルト駆動モーター14が接続される。ベルト駆動モーター14によって駆動ローラー12を回転させることにより、ベルト11が走行する。用紙Pは、負圧を利用して、ベルト11に吸着される。ベルト11は、多数の吸引穴を有する。ベルト11の内側には、ベルト11を内側から吸引するための吸引ユニット16が備えられる。吸引ユニット16を用いてベルト11の内側からの吸引を行うことにより、用紙Pがベルト11の表面に吸着される。
 インクジェット記録部20は、ベルト11によって搬送される用紙Pに対してインクジェット方式で画像を記録する。インクジェット記録部20は、同一色のインクを吐出する複数本のインクジェットヘッドバー21A、21Bを含む。ここでは、説明を簡単にするために、同一色のインク滴を吐出する2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bを備える例を示すが、インクジェット記録部20に複数配置されるインクジェットヘッドバーの本数、及び、使用するインクの色の組み合わせについては特に限定されない。例えば、インクジェット記録部20は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各インク色について、同一色のインク滴を吐出する2本以上のインクジェットヘッドバーを備えていてもよい。
 インクジェットヘッドバー21A、21Bの各々は、インクの液滴を用紙Pに向けて吐出し、色材を用紙Pに付着させて、用紙Pに所望の画像を記録する。インクジェットヘッドバー21A、21Bの各々は、用紙幅に対応する有効記録幅を有するラインヘッドである。ラインヘッドは、「ページワイドヘッド」とも呼ばれる。
 2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bは、ベルト11による用紙Pの搬送路上に一定の間隔をもって配置される。また、2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bは、ベルト11による用紙Pの搬送方向に対して直交して配置される。ベルト11による用紙搬送方向を「Y方向」といい、Y方向と直交する用紙幅方向を「X方向」という。なお、2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bのそれぞれが用紙搬送方向に対して直交して配置されるため、2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bは、用紙幅方向に沿って互いに平行に配置される。
 2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bは、それぞれ複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成される。この点については図3及び図4を用いて後述する。
 ベルト11によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でインクジェットヘッドバー21A及びインクジェットヘッドバー21Bの少なくとも一方からインクの液滴が吐出されて、吐出された液滴が用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像が記録される。
 画像読取部30は、用紙Pに記録された画像を読み取る。画像読取部30には、画像読取装置31が備えられる。画像読取装置31は、インクジェット記録部20によって用紙Pに記録された画像を光学的に読み取り、その読取画像を示す電子画像データを生成する装置である。画像読取装置31は、用紙Pに記録された画像を撮像して画像情報を示す電気信号に変換する撮像デバイスを含む。画像読取装置31は、撮像デバイスの他、読み取り対象を照明する照明光学系及び撮像デバイスから得られる信号を処理してデジタル画像データを生成する信号処理回路を含んでよい。
 画像読取装置31は、例えば、ラインスキャナーで構成され、ベルト11によって搬送される用紙Pから画像を読み取る。この場合、画像読取装置31は、撮像デバイスとしてCCD(Charge-Coupled Device)リニアイメージセンサが用いられる。なお、CCDリニアイメージセンサに代えて、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)リニアイメージセンサを用いることもできる。
 給紙部40は、公知の給紙装置を備え、トレーに積層された用紙Pを一枚ずつ分離して、用紙搬送部10に供給する。
 排紙部50は、画像が記録された用紙Pを用紙搬送部10から受け取り、トレーに集積する。
 《インクジェットヘッドバーの構成例》
 2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bの構成は同じなので、ここでは、インクジェットヘッドバー21Aの構成について説明する。
 図3は、インクジェットヘッドバーの概略構成を示す底面図である。図3は、インクジェットヘッドバー21Aをノズル面側から見た図である。インクジェットヘッドバー21Aは、複数個のヘッドモジュール22Aを繋ぎ合わせて長尺化することにより1本のバー状に構成されたフルライン型のインクジェットヘッドである。本例では各ヘッドモジュール22Aは、同じ構造を有する。
 インクジェットヘッドバー21Aを構成するヘッドモジュール22Aの個数は、特に制限はなく、必要とされる記録領域幅に応じて、2以上の適宜の数であってよい。1本のインクジェットヘッドバー21Aを構成するヘッドモジュール22Aの個数は、好ましくは、3以上であり、さらに好ましくは、5以上である。例えば、インクジェットヘッドバー21Aは、17個のヘッドモジュール22Aを繋ぎ合わせて構成することができる。各ヘッドモジュール22Aは、ベースフレーム23Aに取り付けられて一体化される。
 ベースフレーム23Aは、バー形状を有し、ヘッドモジュール22Aの設置数に応じた数のヘッドモジュール取付部(不図示)を有する。ヘッドモジュール取付部は、ベースフレーム23Aの長手方向に沿って一定の間隔で備えられる。ベースフレーム23Aの長手方向とは、インクジェットヘッドバー21Aの長手方向であり、図3中のX方向である。ヘッドモジュール22Aは、ヘッドモジュール取付部に着脱可能かつ位置調整可能に取り付けられる。すなわち、ヘッドモジュール取付部は、ヘッドモジュール22Aを着脱自在に保持する保持機構を有し、かつ、保持したヘッドモジュール22Aの位置を微調整する位置調整機構を有する。これにより、ヘッドモジュール22Aを個別に交換でき、かつ、取り付けられたヘッドモジュール22Aの位置を個別に調整できる。
 位置調整機構は、ヘッドモジュール22AのX方向の位置を調整するX方向調整機構と、ヘッドモジュール22AのY方向の位置を調整するY方向調整機構とを含む。X方向調整機構を用いることによって、X方向に隣り合うヘッドモジュール22Aの間隔を調整できる。また、Y方向調整機構を用いることによって、隣り合うヘッドモジュール22AのY方向の相対位置を調整できる。なお、位置調整機構の構成例については、例えば、特許文献3に記載されている構成などを採用し得る。
 図4は、ヘッドモジュールのノズル面の構成例を概略的に示す図である。ヘッドモジュール22Aは、ノズル面24Aに複数のノズル25Aを有する。各ヘッドモジュール22Aは、ベースフレーム23Aに取り付けられることにより、それぞれのノズル面24Aが同一面上に位置する。
 複数のノズル25Aは、所望の記録解像度を実現するように配置される。図4の例では、複数のノズル25Aがマトリクス状に配列されており、この二次元ノズル配列により、X方向について所望の記録解像度、例えば、1200dpiが実現されている。
 二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズルをX方向に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、X方向について、所望の記録解像度を達成するノズル密度で各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。
 「概ね等間隔」とは、インクジェットヘッドによって記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差及び/又は着弾干渉による用紙上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列は実質的なノズル列に相当する。投影ノズル列を考慮すると、X方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。本明細書において、ノズルの位置関係を記述する場合、特に断らない限り、投影ノズル列(実質的なノズル列)における位置関係を意味するものとする。
 ヘッドモジュール22Aにおけるノズル25Aの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
 なお、複数のノズル25Aが行方向及び列方向の各方向に並ぶ二次元ノズル配列において、列方向は行方向に対して斜めに交差する方向であってよく、また、行方向とX方向は非平行であってもよい。
 《ヘッドモジュール22Aの吐出方式について》
 ヘッドモジュール22Aのイジェクタは、液体を吐出するノズル25Aと、ノズル25Aに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。吐出エネルギー発生素子として、例えば、圧電素子を用いることができる。イジェクタのノズル25Aから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。インクジェットヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
 《インクジェット記録装置の制御系》
 図5は、インクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、制御部100によって全体の動作が統括制御される。制御部100は、コンピュータを用いて構成される。制御部100は、図示せぬCPUとメモリを含む。制御部100は、所定の制御プログラムを実行して、各部の動作を制御する。
 制御部100は、用紙Pが一枚ずつ給紙されるように給紙部40を制御し、かつ、給紙された用紙Pが一定の速度で搬送されるように用紙搬送部10を制御する。また、制御部100は、搬送される用紙Pに所望の画像が記録されるようにインクジェット記録部20を制御し、かつ、記録された画像を読み取るように画像読取部30を制御する。更に、制御部100は、記録済みの用紙Pが、所定位置に集積されるように排紙部50を制御する。制御部100は、画像データの処理を含む各種演算処理を行う演算部として機能する。
 制御部100には、インクジェット記録装置1を操作するための操作部101、各種情報を表示するための表示部102、外部機器と通信するための通信部103、制御に必要なプログラム、各種データ等を記憶するための記憶部104等が接続される。
 操作部101には、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、或いは音声入力装置、又はこれら入力装置の適宜の組み合わせなどを採用することができる。
 表示部102は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(organic electro-luminescence:OEL)ディスプレイ、若しくは、プロジェクタ、又はこれらの適宜の組み合わせであってよい。
 通信部103には、有線又は無線の通信インターフェースを採用し得る。
 記憶部104は、例えば、ハードディスク装置、半導体メモリ、若しくは、光ディスクその他の外部記憶装置、又はこれらの適宜の組み合わせなど、各種の記憶装置を採用し得る。
 インクジェット記録部20を用いて用紙Pに記録する画像のデータは、通信部103を介して、図示せぬホストコンピュータその他の外部機器から取得される。制御部100は、取得した画像データから記録用のデータであるドットデータを生成する画像処理部を含む。画像処理部は、色分解処理部、色変換処理部、補正処理部、及びハーフトーン処理部を含んで構成される。画像処理部において、例えば、入力画像データに対してRGBの各色に分解する色分解処理、RGBデータをCMYKデータに変換する色変換処理、ガンマ補正、ムラ補正等の各種補正処理、並びに、各色の画素ごとの階調値を元の階調値未満の階調値に変換するハーフトーン処理が施される。画像処理部が実施する補正処理には、不良ノズルに起因する画像欠陥を抑制するスジ補正の処理が含まれる。
 入力画像データは連続階調の画像データである。入力画像データの一例として、0から255のデジタル値で表されるラスターデータが挙げられる。ハーフトーン処理の結果として得られるドットデータは、二値でもよいし、三値以上ハーフトーン処理前の階調値未満の多値でもよい。画像処理部の処理機能の一部又は全部は、制御部100とは別のプロセッサによって実現されてもよい。
 制御部100は、画像処理部によって生成した記録用のデータに基づいて、インクジェットヘッドバー21A、21Bのインク吐出動作を制御する。すなわち、制御部100は、画像処理部による処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の吐出タイミング、インク吐出量が決められ、各画素位置の吐出タイミング、インク吐出量に応じた駆動電圧、及び各画素の吐出タイミングを決める制御信号を生成する。制御部100にて生成された制御信号がインクジェットヘッドバー21A、21Bに供給され、インクジェットヘッドバー21A、21Bから吐出させたインクによってドットが形成される。
 インクジェット記録装置1は、画像を記録する際に、2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bを同時に使用したり、交互に使用したりすることができる。また、一方のインクジェットヘッドバーのノズルに吐出不良が生じた場合には、他方のインクジェットヘッドバーからの吐出で補完することもできる。すなわち、吐出不良が生じた不良ノズルを不吐化し、他方のインクジェットヘッドバーの対応するノズルを用いて補正することができる。「不吐化」は、不良ノズルをドットの記録に使用しないように使用不能化すること、すなわち「マスク化」と同義である。インクジェット記録装置1は、例えば、不良ノズルを不吐化して、他のインクジェットヘッドバーの用紙搬送方向において重複する位置の近隣ノズルの打滴率、若しくは滴量を変化させて、不良ノズルの記録を補う補正機能を有する。
 《多重配置されたインクジェットヘッドバー間でドットの相対位置を調整する必要性》
 以下、表記を簡略化するために、多重配置された2本のインクジェットヘッドバーのうち一方のバーを第1バー、他方のバーを第2バーと称して区別する。例えば、図1に示したインクジェットヘッドバー21Aが第1バー、インクジェットヘッドバー21Bが第2バーである。
 〈多重配置された各バーによって記録されるドットの相対位置と粒状性の関係〉
 図6は、多重配置された2本のバーによって記録されるドットの配置を示す格子パターンの例を示した説明図である。図6では、図示を簡略化するために、第1バー61Aと第2バー61Bの各々のノズル25A、25Bについて、それぞれX方向に1列に並ぶノズル列を示した。第1バー61Aと第2バー61Bの各々は、例えば、1200dpiの記録解像度を有するものとする。図6には、第1バー61Aと第2バー61Bの各々によって紙面上に記録されるドットの設計上理想的な配置パターンを組み合わせた1200dpi×2の格子パターンの例が示されている。
 図6中、白丸によって表された各ドット62Aは、第1バー61Aによって記録される1200dpiの格子パターンに属するドットを示している。図6中、グレーに塗りつぶした各ドット62Bは、第2バー61Bによって記録される1200dpiの格子パターンに属するドットを示している。図6に示したように、第1バー61Aによって記録されるドット62Aの格子パターンのセルの中央に、第2バー61Bによって記録されるドット62Bが配置されるような位置関係である場合に、最も粒状性が良好なドットパターンが得られる。
 なお、図6に示したように、第1バー61Aによって記録されるドット62Aの格子パターンのセルの中央に、第2バー61Bによって記録されるドット62Bが配置されるような位置関係にあるドット配置を、「千鳥(スタッガード:staggered)配置」という。
 第1バー61Aによって記録されるドット62Aと、第2バー61Bによって記録されるドット62Bの相対位置が千鳥配置からずれていくと、粒状性が悪化する。
 図7は、第1バーのドット位置と、第2バーのドット位置の相対的な位置関係を様々に変えて、粒状性を解析した際のシミュレーションの結果を示すグラフである。すなわち、図7は、第1バーと第2バーのそれぞれが1200dpiの記録解像度を持つ場合に、これら2つのバーを用いてドットを配列させたときに、ドットの相対位置によって粒状性がどの程度変化するかをシミュレーションした結果である。図7の横軸は明度、縦軸は粒状性を示す。
 図8は、図7に示した粒状性解析のシミュレーションの際の条件に用いた第1バーのドット位置と、第2バーのドット位置の相対的な位置関係を示している。図8に示したセルの四隅は第1バー61Aのドット位置である。第2バー61Bのドット位置を、セルの中央から多段階に変化させて、それぞれのドットパターンについて粒状性を解析した結果が図7に示すグラフである。
 図7のグラフG1は、第2バー61Bのドット位置がセルの中央にある場合(つまり、千鳥配置の場合)の粒状性を示す。図7のグラフG2は、第2バー61Bのドット位置が、セルの中央から比較的近い距離の範囲内にあるときの粒状性を示している。第2バー61Bのドット位置がセルの中央からX方向及びY方向の各方向について「±5.3μm」以内の範囲にあるときは、グラフG1と比較して粒状の差が視認されない程度である。
 図7のグラフG3は、第2バー61Bのドット位置が、セルの中央から比較的遠い距離の範囲内にあるときの粒状性を示している。第2バー61Bのドット位置がセルの中央からX方向及びY方向の各方向について「±5.3μm」を超える範囲にあるときは、グラフ
G1及びG1と比較して粒状の差が視認され得る。
 このような解析結果は、図8において破線の枠で囲んだ範囲に示したように、ある範囲内にドットの相対位置ズレを抑えることで、粒状性の悪化を抑えることが可能であることを示している。
 〈ヘッドモジュールの局所的なドット記録位置のズレについて〉
 図9は、ヘッドモジュールの吐出特性の例を示した概念図である。図9には、ヘッドモジュール22Aの持つ局所的なドット記録位置のズレの一例が示されている。図9においてヘッドモジュール22Aのノズル面24Aから出る矢印は、その位置のノズルから吐出されたインク滴の吐出方向を示している。図9に例示したヘッドモジュール22Aは、局所的に吐出方向が変化している。図9に示すヘッドモジュール22Aを用いて用紙Pの紙面上に記録されるラインパターンの例を図10に示す。
 図10には、比較のために、設計上の理想的な吐出特性を持つヘッドモジュールによって紙面上に記録されるラインパターンLP0の例も示されている。図10の下段に示したラインパターン70が図9のヘッドモジュール22Aによって記録されたラインパターンである。図9及び図10に示すように、ヘッドモジュールの一部分がX方向に一様に曲がって吐出される。若しくは、ヘッドモジュールの一部分のノズル間ピッチが設計上の理想的なノズル間ピッチに比べて短いと理解してもよい。
 図9に例示したヘッドモジュールは、設計上の理想的なヘッドモジュールと比べて、記録可能幅(X方向のノズル列の全長)が同じであるものの、ノズル列の一部分について局所的にドット記録位置がズレている。なお、図には示さないが、個々のヘッドモジュールは、設計上の理想的なヘッドモジュールと比べて、記録可能幅が短いもの、又は、長いものなど、様々な特性のものがあり得る。
 〈バー間でのドット記録位置のズレによる画素の入れ替わりについて〉
 ここでバーの多重化で問題となる「画素の入れ替わり」について説明する。まず、画素の入れ替わりが発生しない理想的なケースを説明する。
 図11には、第1バーの各ノズルによって記録されるラインパターンと、第2バーの各ノズルによって記録されるラインパターンのそれぞれのライン間隔が、ヘッドモジュール間で均一である場合の例が示されている。図11は、設計上の理想的な状態に相当する。この場合、第1バーによって記録されるラインパターン71のライン位置は、画素番号1、3、5、7、9・・・に対応している。
 第2バーによって記録されるラインパターン72のライン位置は、画素番号2、4、5、7、9・・・に対応している。
 第1バーによって記録されるラインパターン71と、第2バーによって記録されるラインパターン72とを合成すると、その合成されたラインパターン73のライン位置は、画素番号1、2、3、4・・・という具合に、第1バーによって記録されるラインと、第2バーによって記録されるラインが交互にX方向に一定のライン間隔で配置されるものとなる。
 図12には、第1バーの各ノズルによって記録されるラインパターンと、第2バーの各ノズルによって記録されるラインパターンのそれぞれのライン間隔が、ヘッドモジュール間で異なる場合の例が示されている。
 ここでは説明を簡単にするために、第1バーによって記録されるラインパターン81のライン間隔に比べて、第2バーによって記録されるラインパターン82のライン間隔が短い例が示されている。つまり、図12の例は、第1バーを構成しているヘッドモジュールのノズル間ピッチに比べて、第2バーを構成しているヘッドモジュールのノズル間ピッチが小さい例に相当する。
 この場合、第1バーによって記録されるラインパターン81と、第2バーによって記録されるラインパターン82とを合成すると、その合成されたラインパターン83において、矢印Cで示すライン位置のところで画素の入れ替わり(画素番号の入れ替わり)が起こる。
 このような画素の入れ替わりが起きると、ドットの配置パターン(格子パターン)が崩れ、良好な画像の記録が困難となる。また、例えば、画素の入れ替わりが起きた際に、不吐補正を他方のバーで行おうとすると、ノズル位置と画素の位置関係が複雑になり、非常に高度な処理が必要となる。
 〈多重配置のバー間での不吐補正について〉
 例えば、2本のバーのうち一方のバーで不良ノズルが発生した場合、一般的なスジ補正の技術では、その不良ノズルを不吐化し、同一バー内の近接ノズルの打滴率を上げることや、大滴を利用することでスジの視認性を抑える補正が行われる。このように不良ノズルを不吐化して、他の近接ノズルによって記録を補う補正方法は「不吐補正」と呼ばれる。
 しかし、バーを多重化した場合、不吐化したノズルの最近接ノズルは、画素番号の入れ替わりが起きない限り、他方のバーのノズルとなる。
 つまり、より良好な不吐補正を行う観点からも、画素番号の入れ替わりが起きない範囲にドットの相対位置を制御することが望まれる。
 《課題の整理》
 複数のモジュールを繋ぎ合わせてラインヘッドを構成する場合、バーごとに所定の記録解像度を実現するように、バー内の各モジュールのモジュール間距離を調整することが必要である。その一方で、実際のヘッドモジュールは、モジュールごとに、ノズル間ピッチや吐出方向などの特性が異なるため、仮に、バー内でのモジュール間距離が規定の許容範囲内に収まるように、それぞれのバーにおいて個別にモジュール間距離を調整してしまうと、モジュールごとの特性に起因するドットの記録位置のずれがバーの端部にいくほど蓄積されていく。
 その結果、多重配置のバー同士で画素番号の入れ替わりがおき、ドットパターンが乱れてしまう。仮に、1モジュールについて5μmの記録位置のズレがある場合、この5μmのズレがバー全体で累積(積算)されると、17モジュールでは最大80μmのズレとなる。
 バーの多重化の際には、バー内におけるモジュール間距離の管理だけでなく、バー間での対応するノズル同士によるドットの記録位置のズレを管理する必要がある。なお、バー間でのドットの記録位置のズレは、簡易的にはバー間で対応する「ノズル間のズレ」と理解することができる。
 《用語の定義》
 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド調整方法について具体的な説明する前に、主な用語を定義しておく。
 (1)「モジュールΔx」について
 バー内において隣り合うヘッドモジュール同士のモジュール間距離には、X方向及びY方向の各方向についてそれぞれ基準距離と許容範囲が定められている。X方向のモジュール間距離に関して、設計上の理想的な基準距離を「X方向モジュール間基準距離」という。実際のバーにおけるX方向のモジュール間距離とX方向モジュール間基準距離との差分を「モジュールΔx」という。モジュールΔxは、X方向のモジュール間距離のX方向モジュール間基準距離からの偏差に相当しており、「X方向モジュール間距離偏差」と理解してよい。図13にモジュールΔxの定義に関する説明図を示す。
 X方向のモジュール間距離をdmx、X方向モジュール間基準距離をSmxとすると、モジュールΔxは次式、
 モジュールΔx=dmx-Smxの関係となる。
 モジュールΔxは、X方向のモジュール間距離がX方向モジュール間基準距離よりも大きい場合に正の値となる。モジュールΔxは、X方向のモジュール間距離がX方向モジュール間基準距離よりも小さい場合に負の値となる。つまり、モジュールΔxは、モジュール間距離がX方向モジュール間基準距離から遠ざかるとプラスの値、X方向モジュール間基準距離よりも近づくとマイナスの値となる。
 1つのバーを構成しているヘッドモジュールの数をNとすると、モジュールΔxは、(N-1)箇所のモジュール繋ぎ部分についてそれぞれ存在する。
 なお、X方向のモジュール間距離については、設計上の許容範囲が定められており、この許容範囲を「X方向モジュール間許容範囲」という。
 (2)「ノズルΔx」について
 多重配置されたバー間での対応するノズルによって記録されるドットの紙面上における記録位置のX方向ズレを「ノズルΔx」という。ノズルΔxは、Y方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間のX方向の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置である。ノズルΔxは、X方向ノズル相対位置に相当する。ノズルΔxは、いずれか一方のバーのノズルによって記録されるドットを基準にして、X軸のプラス方向にドットの位置がずれている場合に正の値、マイナス方向にドットの位置がずれている場合に負の値をとるよう正負の符号が定義される。なお、図13では、簡易的に、ノズルΔxをノズル間のX方向のズレとして示している。
 (3)「モジュールΔy」について
 Y方向についても同様に、「モジュールΔy」と「ノズルΔy」を定義する。Y方向のモジュール間距離に関して、設計上の理想的な基準距離を「Y方向モジュール間基準距離」という。実際のバーにおけるY方向のモジュール間距離とY方向モジュール間基準距離との差分を「モジュールΔy」という。モジュールΔyは、Y方向のモジュール間距離のY方向モジュール間基準距離から偏差に相当しており、「Y方向モジュール間距離偏差」と理解してよい。図14にモジュールΔyの定義に関する説明図を示す。
 Y方向のモジュール間距離をdmy、Y方向モジュール間基準距離をSmyとすると、モジュールΔyは次式、
 モジュールΔy=dmy-Smyの関係となる。
 モジュールΔyは、Y方向のモジュール間距離がY方向モジュール間基準距離よりも大きい場合に正の値となる。モジュールΔyは、Y方向のモジュール間距離がY方向モジュール間基準距離よりも小さい場合に負の値となる。
 なお、Y方向のモジュール間距離については、設計上の許容範囲が定められており、この許容範囲を「Y方向モジュール間許容範囲」という。
 (4)「ノズルΔy」について
 多重配置されたバー間での対応するノズルによって記録されるドットの紙面上におけるドット位置のY方向のズレを「ノズルΔy」という。ノズルΔyは、Y方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録するヘッドモジュール同士の対応するノズルによって記録されるドット間のY方向の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置である。ノズルΔyは、Y方向ノズル相対位置に相当する。ノズルΔyは、いずれか一方のバーのノズルによって記録されるドットを基準にして、Y軸のプラス方向にドットの位置がずれている場合に正の値、マイナス方向にドットの位置がずれている場合に負の値をとるよう、正負の符号が定義される。
 《本発明の実施形態に係るヘッドモジュール位置調整方法の概要》
 本実施形態に係るヘッドモジュール位置調整方法は、ノズルΔx及びノズルΔyの各々を、バー間の印字幅全域に渡って所定の範囲内に抑えるように調整するものである。
 基本的には、モジュールΔx及びモジュールΔyの各々を、バー単位で記録解像度を均一に保つように調整するのではなく、バー間の相対位置を合わせて、多重化したバーの組み合わせ(合成)により構成される記録解像度を均一にするための調整部としてモジュール間距離の調整を行うという考え方に基づく調整方法である。
 例えば、図9に示したようにモジュールの一部分がX方向に一様に曲がって吐出される場合、若しくはノズル間ピッチが規定のピッチよりも短い場合、同一バー内で記録解像度が揃うようにモジュールΔxを調整したのでは、バー間のドット相対位置ズレであるノズルΔxを補正することはできない。
 この点、本実施形態では、モジュール内の複数箇所でノズルΔxを測定し、複数箇所から得られたノズルΔxの平均値を、そのモジュールにおけるノズルΔxの代表値として用い、モジュールごとのノズルΔx平均値を用いて、バー内のモジュール間距離を調整することにより、モジュールの単位でノズルΔx平均値を均一に揃える。これにより、モジュールごとの記録位置のズレが累積されずに、多重化したバー全体で、ノズルΔxを許容範囲に抑えることができる。
 その後、必要に応じて、同一バー内のモジュール間のモジュールΔxを、ノズルΔxの許容範囲内で、同一バー内の記録解像度が揃う方向へ調整しても良い。
 上述したノズルΔx及びモジュールΔxに関する説明は、Y方向のノズルΔy及びモジュールΔyについても同様である。
 つまり、Y方向については、モジュール内の複数箇所でノズルΔyを測定し、複数箇所から得られたノズルΔyの平均値を、そのモジュールにおけるノズルΔyの代表値として用い、モジュールごとのノズルΔy平均値を用いて、バー内のモジュール間距離を調整することにより、モジュールの単位でノズルΔy平均値を均一に揃える。これにより、多重化したバー全体で、ノズルΔyを許容範囲に抑えることができる。
 その後、必要に応じて、同一バー内のモジュール間のモジュールΔyを、ノズルΔyの許容範囲内で、同一バー内の記録解像度が揃う方向へ調整しても良い。
 なお、ノズルΔx及びノズルΔyのそれぞれの平均値の算出に際して、サンプル中の異常値を除外するなど、統計演算において平均値の精度を高めるために行われる一般的な処理を加えてもよい。また、本例では、代表値としての平均値を用いているが、平均値に代えて、中央値、又は、ヒストグラムの最頻値などを用いてもよい。
 本実施形態において、ノズルΔx及びノズルΔyのそれぞれの許容範囲とは、画像番号の入れ替わりを防止する観点から、各バーで記録されるドットの記録解像度の1画素以内、望ましくは、図7及び図8のシミュレーション結果が示すように粒状性の差が視認できないレベルで収まる0.5画素以内を指す。
 《ノズルΔx及びΔyの測定方法》
 ノズルΔx及びノズルΔyの各々を測定するためには、不良ノズルの影響を除くために、複数のノズルを用いて記録されたライン、若しくは、ドット群にから算出されたものを使用することが望ましい。
 〈ノズルΔxの測定例1〉
 ノズルΔxは、例えば、所定のテストチャートを記録して測定する。すなわち、所定のテストチャートを記録し、記録結果を画像読取部30で読み取り、読み取ったテストチャートの画像を解析して、各バー間のノズルΔxを測定する。
 図15は、ノズルΔxを測定する際に用いるテストチャートの一例を示す図である。図16は、図15の中の破線で示す枠で囲った領域を拡大した拡大図である。
 図15では、図示の便宜上、第1バーであるインクジェットヘッドバー21A及び第2バーであるインクジェットヘッドバー21Bのそれぞれについて2つのモジュールのみを示す。第1バーのヘッドモジュールを符号22Aで示し、第2バーのヘッドモジュールを符号22Bで示す。図15は、複数のライン群によってノズルΔxを測定する場合のテストチャートTCの一例を示している。テストチャートTCの上段は、第1バーによって記録されるラインL1であり、下段は、第2バーによって記録されるラインL2である。
 図15に例示したラインパターンでは、各ラインのx位置をそれぞれ測定し、そのバー間での差分の相対位置がノズル△xiとなる。「i」は、モジュール内のノズル位置を示すインデックスである。図16では、「i」、「i+1」、「i+2」及び「i+3」の4箇所の位置でノズルΔxi、ノズルΔxi+1、ノズルΔxi+2、及び、ノズルΔxi+3が測定される様子が示されている。
 ノズルΔxの値は、基準となるノズルに対して、ノズル並び正方向にずれている場合を正、逆方向にずれている場合を負で表記する。基準となるノズルは、ここでは第1バーのノズルとする。
 複数のノズルΔxiの平均値を一要素として、モジュール内で複数箇所測定することで、モジュール内の局所的なズレを平均化することができる。望ましくは対象モジュールの記録幅に渡って、均等に測定箇所をサンプリングするとよく、モジュール内の全ノズルのノズルΔxiを求めて平均値を算出してもよい。
 図15及び図16に示す例では、ヘッドモジュールごとに、モジュール内の複数箇所でノズルΔxiを測定する。「i」は、モジュール内のノズル位置を示すインデックスである。図16では、「i」、「i+1」、「i+2」及び「i+3」の4箇所の位置でノズルΔxi、ノズルΔxi+1、ノズルΔxi+2、及び、ノズルΔxi+3が測定される様子が示されている。
図15に示す例は、ノズルΔxの測定箇所として、1モジュール内の左端部エリア、中央左寄りエリア、中央右寄りエリア、及び右端部エリアの4つの測定エリアについて各測定エリア内で4箇所、合計4×4=16箇所でノズルΔxiを測定する例である。
 モジュール内の局所的なドットの記録位置のばらつきを緩和して、モジュールを代表するノズルΔxの代表値を得る観点から、複数の測定箇所は、1モジュール内の記録幅に渡って満遍なく分布していることが好ましい。図15に示す例では、4つの測定エリアがモジュール内においてX方向に等間隔で分布しており、測定エリア内の4つの測定箇所も測定エリア内においてX方向に等間隔で分布している。
 このようにして、ヘッドモジュールごとに複数のノズルを用いて、複数のラインを記録し、ヘッドモジュール内の複数箇所でノズルΔxiを測定する。
 〈ノズルΔx及びノズルΔyの測定例2〉
 図17に、複数のノズルを用いて記録されたドット群からノズルΔx及びノズルΔyを測定する他の方法の例を示す。図17は、ノズルΔx及びノズルΔyを測定する際に用いられる測定用パターンの例である。図17の上段に示した4個のドットは、第1バーであるインクジェットヘッドバー21Aのノズルを用いて記録されたドットの位置を示している。各ドットは同じモジュール内の異なるノズルによって記録されたものである。
 図17の下段に示した4個のドットは、第2バーであるインクジェットヘッドバー21Bのノズルを用いて記録されたドットの位置を示している。各ドットは同じモジュール内の異なるノズルによって記録されたものである。
 図15及び図16で説明したラインパターンに代えて、図17に示すようなドット群を含む測定用パターンを用いて、ドット間隔を測定することにより、ノズルΔx及びノズルΔyを測定してもよい。
 図17のように、Y方向に所定のオフセットをつけて用紙上にドットを記録することにより、ドット同士が重なり合うこと無く、ノズルΔyを測定することができる。第1バーの打滴タイミングと第2バーの打滴タイミングとに所定の時間差を与えることにより、ドットのY方向の位置について、所定のオフセットを与えることができる。
 図17に示した4ドット×2列のドット群から、バー間で対応する4箇所のノズル間のノズルΔxi及びノズルΔyiをそれぞれ測定し得る。図17では、4ドット×2列のドット群のみを示したが、図15で例示したように、測定箇所は、各モジュールの記録幅に渡って、多数箇所設定され得る。
 なお、Y方向に関しては、各ヘッドモジュールがノズルごとにY方向調整機構を持つ場合、若しくはモジュール内に複数のY方向調整機構を持つ場合は、そのY方向調整機構単位でノズルΔyが最小になるように調整してもよい。
 しかし、ヘッドモジュールがノズルごとにY方向調整機構を持つ構成、或いは、モジュール内に複数のY方向調整機構を持つ構成は、稀であり、一般的な装置構成の場合、モジュール単位でのY方向調整機構しか持たない。モジュール単位で単一のY方向調整機構しか持たない装置構成の場合は、X方向の調整と同様に、モジュール単位の取り扱いとするのがよい。
 《モジュールΔx及びモジュールΔyの測定方法》
 モジュールΔx及びモジュールΔyの各々についても、所定のテストチャートを記録することで測定できる。テストチャートはテストパターンと同義である。モジュールΔx及びモジュールΔyの測定方法としては、例えば、特開2014-83720号公報に記載されている方法を用いることができる。或いはまた、モジュールΔx及びモジュールΔyの測定方法は、上記の他、ノズル面をカメラで撮像し、得られた画像データを解析して、モジュールΔx及びモジュールΔyを測定することもできる。
 また、インクジェットヘッドバーにおいて、各モジュールの位置及び/又はモジュール間距離を検出するセンサを設け、そのセンサの信号を基に、モジュールΔxやモジュールΔyを把握してもよい。
 《調整手順の具体例1》
 図18及び図19を用いて、調整手順の具体例1について説明する。X方向の調整とY方向の調整は、基本的に同様であるため、以下の説明ではX方向の調整のみについて説明する。「モジュールΔx」と「ノズルΔx」を用いるX方向の調整の説明内容は、モジュールΔxを「モジュールΔy」に、ノズルΔxを「ノズルΔy」にそれぞれ置き換えることにより、Y方向の調整に適用される。
 また、説明を簡単にするために、2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bが、それぞれ3つのヘッドモジュールで構成される場合を例示する(図19参照)。
 図18及び図19に示す例では、バーの中央のモジュールを中心に、まず、中央のモジュールについてノズルΔxを目標範囲に合わせ、その後、この中央のモジュールを基準として周辺モジュールのモジュール位置を調整する。
 図18は、多重配置されたインクジェットヘッドバー間の相対的な位置関係を調整する調整手順の具体例1を示すフローチャートである。図19は、図18のフローチャートに示される調整の過程を模式的に示した説明図である。図19において、第1バーであるインクジェットヘッドバー21Aを構成している3つのモジュールについて左からモジュールMA1、モジュールMA2、及びモジュールMA3と呼ぶ。また、第2バーであるインクジェットヘッドバー21Bを構成している3つのモジュールについて左からモジュールMB1、モジュールMB2、及びモジュールMB3と呼ぶ。
 図19では第1バーを構成しているモジュールMA1、モジュールMA2、及びモジュールMA3の各々が、第2バーを構成しているモジュールMB1、モジュールMB2、及びモジュールMB3の各々よりも小さい場合を例示している。「モジュールが小さい」ということは、記録幅が小さいこと、及びノズル間ピッチが狭いことを意味している。図19において各モジュール内に付した白線は、各モジュールの中心位置を示している。
 図18のステップS1において、まず、バーの中央に位置するモジュールMA2、MB2について複数箇所でノズルΔxを測定する。例えば、図15又は図17で例示したような所定のテストチャートを記録し、その記録結果を画像読取装置31によって読み取ることにより、制御部100が読み取ったテストチャートの画像を解析してノズルΔxを測定する。バーの中央に位置するモジュールMA2、MB2は「基準とする位置のヘッドモジュール」の一例である。ステップS1は「測定ステップ」の一例である。
 次に、ステップS2において、ステップS1から得られたノズルΔxの平均値が目標範囲に収まるように、中央のモジュールのモジュールΔxを調整する。ステップS2では、中央のモジュールMA2、MB2の少なくとも一方を移動させることにより、バー内で隣り合うモジュールとの間のモジュールΔxを調整する。ステップS2は「第1の調整ステップ」の一例である。
 2本のバーのうち、一方のバーを基準にして他方のバーの中央のモジュールのみを動かしてもよいし、2本のバーの各々の中央のモジュールを動かしてもよい。X方向調整機構を用いてモジュールをX方向に動かしてモジュールの位置を調整すると、隣り合うモジュールとの間のモジュールΔxが変化する。
 図19の符号201は、ステップS2の調整後の状態を示している。ステップS2では、中央のモジュールMA2、若しくはモジュールMB2、又はこれらの両方を動かして、モジュールMA2とモジュールMB2の中心位置を一致させる。
 次に、図18のステップS3において、中央のモジュールの隣りのモジュールについてモジュールΔxを調整する。ステップS3では、第1バーにおける中央のモジュールMA2の隣りのモジュールMA1、MA3の各々をX方向に移動させて、第1バー全体でバー内のノズル間ピッチが概ね理想的な状態になるように各モジュール間のモジュールΔxを調整する。
 また、第2バーについても同様に、第2バーにおける中央のモジュールMA2の隣りのモジュールMB1、MB3の各々を方向に移動させて、第2バー全体でバー内のノズル間ピッチが概ね理想的な状態になるように各モジュール間のモジュールΔxを調整する。
 図19の符号202は、ステップS3による調整後の状態を示している。符号202の状態は、符号201の状態と比べて、モジュールMA1が図19の右方向に、モジュールMA3が左方向に、モジュールMB1が左方向に、モジュールMB3が左方向に、それぞれ移動したものとなっている。
 図19の符号202に示す状態は、バー単独でみるとノズル間ピッチが整ったものとなっているが、2本のバーを複合的に見ると、望ましいドット配置が得られるものとはなっていない。
 次に、図18のステップS4において中央のモジュールの隣りのモジュール内での各バー間におけるノズルΔxを複数箇所で測定する。つまり、モジュールMA1とモジュールMB1についてモジュール内の複数箇所でノズルΔxを測定する。また、モジュールMA3とモジュールMB3についてモジュール内の複数箇所でノズルΔxを測定する。
 そして、ステップS5において、ステップS4の測定結果を基に、モジュール単位でノズルΔxの平均値が「0」になるようにバーごとに、対応するモジュールを逆方向へ等量移動させてモジュールΔxを調整する。モジュールMA1、MB1、MA3及びMB3は、「基準とする位置以外のヘッドモジュール」の一例である。
 すなわち、モジュールMA1とモジュールMB1についてモジュール内の複数箇所から測定されたノズルΔxの平均値が0になるように、モジュールMA1とモジュールMB1を互いに逆方向へ等量移動させて、モジュールMA1とモジュールMA2の間のモジュールΔxを調整し、かつ、モジュールMB1とモジュールMB2の間のモジュールΔxを調整する。同様に、モジュールMA3とモジュールMB3についてモジュール内の複数箇所から測定されたノズルΔxの平均値が0になるように、モジュールMA3とモジュールMB3を互いに逆方向へ等量移動させて、モジュールMA2とモジュールMA3の間のモジュールΔxを調整し、かつ、モジュールMB2とモジュールMB3の間のモジュールΔxを調整する。なお、逆方向へ等量移動させる理由は、各モジュールの移動量の絶対値を最小限に抑えるためである。ステップS5は「第2の調整ステップ」の一例である。
 図19の符号203は、ステップS5による調整後の状態を示している。符号203の状態は、符号202の状態と比べて、モジュールMA1が図19の左方向に、モジュールMB1が右方向に、モジュールMA3が左方向に、モジュールMB3が右方向に、それぞれ移動したものとなっている。ステップS5の調整によって、各モジュールの中心位置が一致したものとなる。
 次に図18のステップS6において、各バーのモジュールΔxは規定範囲内であるか否かの判定を行う。規定範囲は、予めX方向の調整可能範囲として定められている調整許容範囲である。ステップS6の判定結果が「Yes判定」である場合は、図18の調整フローを終了する。
 ステップS6の判定結果が「No判定」である場合、各バーのモジュールΔxが規定範囲を超える場合は、ステップS7に進む。
 ステップS7では、各バーに搭載されたモジュールを、モジュールΔxが規定範囲に収まる方向へシフトする。なお、ステップS7における最大調整幅は、ステップS5で調整したノズルΔxの許容範囲内とする。ステップS7の後、図18の調整フローを終了する。
 図19の符号204は、ステップS7による調整後の状態を示している。符号204の状態は、符号203の状態と比べて、モジュールMA1が図19の右方向に、モジュールMB1が左方向に、モジュールMA3が右方向に、モジュールMB3が左方向に、それぞれ僅かにシフトしたものとなっている。
 図20は、図18及び図19で説明した調整のシーケンスにて調整を実施した際の各ステップ(S2、S3、S5、S7)における調整値の推移の例を示す図表である。図20において、モジュールΔx1(1-2)は、第1バーにおけるモジュールMA1とMA2の間のモジュールΔxを示す。モジュールΔx1(2-3)は、第1バーにおけるモジュールMA2とMA3の間のモジュールΔxを示す。モジュールΔx2(1-2)は、第2バーにおけるモジュールMB1とモジュールMB2との間のモジュールΔxを示し、モジュールΔx2(2-3)は、第2バーにおけるモジュールMB2とモジュールMB3との間のモジュールΔxを示している。モジュールΔxの値に関して、バー内で記録解像度が揃う位置を基準位置の「0」とした。数値の単位は、マイクロメートル[μm]である。
 「モジュール番号」は、各バーを構成している複数個のモジュールの並び順によるモジュール位置を表している。図19の左からモジュール番号1、モジュール番号2、モジュール番号3である。
 図20におけるノズルΔx1は、モジュール番号1のモジュールMA1、MB1の複数箇所から得られるノズルΔxの平均値を示す。ノズルΔx2は、モジュール番号2のモジュールMA2、MB2の複数箇所から得られるノズルΔxの平均値を示す。ノズルΔx3は、モジュール番号3のモジュールMA3、MB3の複数箇所から得られるノズルΔxの平均値を示す。
 「Step.2」は、図18のステップS2で調整された状態、つまり、図19の符号20
1の状態を示す。「Step.3」は、図18のステップS3で調整された状態、つまり、図
19の符号202の状態を示す。「Step.3」は、各モジュール間のモジュールΔxを「0」にした状態である。
 「Step.5」は、図18のステップS5で調整された状態、つまり、図19の符号20
3の状態を示す。「Step.5」は、各モジュールのノズルΔxを「0」にした状態である。「Step.7」は、図18のステップS7で調整された状態、つまり、図19の符号204の状態を示す。図20に示した例の「Step.7」は、モジュールΔxの大きさが「2」を超える箇所を、「2」へ修正した後の状態を示している。ここでいう「2」は、規定範囲の一例である。すなわち、本例の場合、モジュールΔxについては、「-2」から「+2」の範囲が調整可能域であり、マイナス方向の「-2」、プラス方向の「+2」が調整の制限値となっている。
 《調整手順の具体例2》
 図18から図20で説明した具体例1では、調整の過程をステップS1~S7に分解して説明したが、図21に示すように、測定したノズルΔx及びモジュールΔxの値を用いて、演算処理によって、最終的な調整目標値を算出して、その算出した調整目標値に従い一度に調整を完了させてもよい。
 図21は、多重配置されたインクジェットヘッドバー間の相対的な位置関係を調整する調整手順の具体例2を示すフローチャートである。図22は、図21のフローチャートに示される調整の過程を模式的に示した説明図である。
 図21のステップS10において、各バーにおける各モジュール間のモジュールΔxを測定する。
 次に、ステップS11において、バー内の各モジュールについて複数箇所でノズルΔxを測定する。なお、ステップS10とステップS11の順番は入れ替え可能である。
 次に、ステップS12において、バー内の中央のモジュールについて複数箇所で測定したノズルΔxの平均値が目標範囲に収まるように、バー間で中央のモジュールのモジュールΔxを調整する。図22の符号211は、ステップS12による調整後の状態を示している。すなわち、ステップS12では、図22の符号211に示すように、中央のモジュールMA2、MB2の少なくとも一方を移動させることにより、バー内で隣り合うモジュールとの間のモジュールΔxを調整する。
 次に、図21のステップS13において、各バーのモジュールΔxの総和が「0」、かつ、ノズルΔxの総和が「0」となるように、モジュールを移動させる。図22の符号212は、ステップS13による調整後の状態を示している。符号212の状態は、符号211の状態と比べて、モジュールMA1が図22の左方向に、モジュールMB1が右方向に、モジュールMA3が左方向に、モジュールMB3が右方向に、それぞれ移動したものとなっている。ステップS13の調整によって、各モジュールの中心位置が一致したものとなる。
 次に図21のステップS14において、各バーのモジュールΔxは規定範囲内であるか否かの判定を行う。規定範囲は、予めX方向の調整可能範囲として定められている調整許容範囲である。ステップS14の判定結果が「Yes判定」である場合は、図21の調整フローを終了する。
 ステップS14の判定結果が「No判定」である場合、つまり各バーのモジュールΔxが規定範囲を超える場合は、ステップS15に進む。
 ステップS15では、各バーに搭載されたモジュールを、モジュールΔxが規定範囲に収まる方向へシフトする。ステップS14及びステップS15の処理は、図18のステップS6及びステップS7と同様の処理である。
 ステップS15の後、図21の調整フローを終了する。
 図22の符号213は、ステップS15による調整後の状態を示している。符号213の状態は、符号212の状態と比べて、モジュールMA1が図22の右方向に、モジュールMB1が左方向に、モジュールMA3が左方向に、モジュールMB3が右方向に、それぞれ僅かにシフトしたものとなっている。
 《調整手順の具体例3》
 次に、各バーにおけるモジュールの個数が5モジュールである場合の調整例を説明する。具体例3における調整手順のフローチャートは、例えば、図18に従う。図23は、5モジュールの場合における調整の過程を模式的に示した説明図である。また、図24は、5モジュールの場合における調整値の推移の例を示す図表である。
 図23の符号221は、ステップS2の調整後の状態を示している。ステップS2では、中央のモジュールMA3、若しくはモジュールMB3、又はこれらの両方を動かして、モジュールMA3とモジュールMB3の中心位置を一致させる。
 図23の符号222は、ステップS3による調整後の状態を示している。図23の符号223は、ステップS5による調整後の状態を示している。図23の符号224は、ステップS7による調整後の状態を示している。
 図24では、理解の助けとするために、中央の3モジュールの相対位置は、図20の例と同じ値とした。図24において、記号の表記ルールは、図20と同様である。図24中のモジュールΔx1(3-4)は、図23のモジュールMA3とMA4の間のモジュールΔxを示す。モジュールΔx1(4-5)は、図23のモジュールMA4とMA5の間のモジュールΔxを示す。
 図24中のモジュールΔx2(3-4)は、図23のモジュールMB3とMB4の間のモジュールΔxを示す。モジュールΔx2(4-5)は、図23のモジュールMB4とMB5の間のモジュールΔxを示す。
 図25の「Step.5」の状態では、モジュールΔxの総和が「0」、かつ、ノズルΔxの総和が「0」になっている。
 図25は、図24に示した図表の「Step.5」の部分を、「Step.5-1」と「Step.5-2」
の2段階の手順に分解した場合の調整値の推移を示す図表である。
 「Step.5-1」は、5モジュールにおける中央両端のモジュール(モジュール番号2と
4)の各々のノズルΔxを「0」にした状態を示している。
 「Step.5-2」は、バー両端のモジュール(モジュール番号1と5)の各々のノズルΔ
xを「0」にした状態を示している。
 「Step.5-1」→「Step.5-2」の段階的な調整手順を経て、図24の「Step.5」の状態に到達し得る。
 《他の適用例1》
 図18から図25を用いて例示した調整のシーケンスでは、中央のモジュールを基準にして調整を行う例を説明したが、基準とするモジュールは、中央のモジュールに限らず、適宜、選択することができる。
 《他の適用例2》
 本開示のヘッドモジュール位置調整方法によれば、モジュール単位で相対位置のズレをリセットするため、モジュール数が増えた場合にも、同様に調整を実施することができる。また、図18から図25を用いて例示した調整のシーケンスの中では、ノズルΔxが「0」となるように合わせているが、図6から図8で説明したとおり、千鳥配置を理想のドット配置として目指す場合、ノズルΔx及びノズルΔyに関しては、千鳥配置でズレている状態が理想位置となる。この場合、この目標とする理想位置を「0」として読み替えることとする。
 また、図18から図25を用いて説明した具体例1~3では、用紙搬送方向に重複する位置にバー間のモジュールを配置したが、ムラやスジの原因となるモジュール繋ぎ位置をバー間でずらす構成にしても、調整方法の原理は同じである。
 《他の適用例3》
 上述した具体例1~3では、調整のプロセスを分解して説明したが、実際の調整作業においては、初期状態におけるモジュールΔxとノズルΔxの情報を基に、最終的な調整目標値を算出することができ、算出された調整目標値に従って、調整作業を行うことができる。例えば、図20又は図24の「Step.2」に示した数値の情報を初期値として与えると、「Step.5」及び/又は「Step.7」に示した調整値を算出することができる。
 《濃度を用いたノズルΔxの測定方法》
 図15から図17で説明したライン、又はドットの間隔を測定する例に代えて、「濃度」を用いてモジュールの位置調整を行うことができる。図26に示すように、第1バーを用いて記録される記録位置と、第2バーを用いて記録される記録位置とが、用紙搬送方向に重なる場合と、X方向にズレている場合とでは、空間におけるラインの埋まり方が異なり、濃度が変化する。
 図26の符号91は、第1バーによって記録されるラインパターンを示している。図26の符号92は、第2バーによって記録されるラインパターンを示している。第1バーと第2バーを両方用いて、用紙上の同じ領域にこれらのラインパターン91、92を記録為た場合に、ノズルΔxが0の場合は、符号93に示すように、各ラインの位置が重なり合う。その一方、ノズルΔxがズレている場合は、符号94に示すように、各ラインの位置が重なり合わずに、ラインが記録される。符号93のパターンの平均濃度と、符号94のパターンの平均濃度を比較すると、符号93の方が、濃度が低いものになる。
 ノズルΔxが0の場合に濃度は最小になり、一方のラインパターンのライン間隔の中央に他方のラインパターンのラインが入るノズルΔxの場合に、濃度は最大になり得る。濃度の測定値とノズルΔxとを対応付けることが可能である。
 《一部のヘッドモジュールを交換した場合の処理》
 複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドでは、一部で不具合が生じた際に、ヘッドモジュール単位で交換できる。ヘッドモジュールを交換した場合は、交換前と同じ位置にヘッドモジュールを取り付けてもよいし、また、両側でモジュールΔxが均等になるように位置調整して取り付けてもよい。更に、取り付けた後にノズルΔxを測定し、ノズルΔxが許容範囲に収まるように、微調整してもよい。
 《インクジェット記録装置の他の例》
 本発明は、複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたライン型のインクジェットヘッドを複数備えたインクジェット記録装置の全般に広く適用できる。したがって、そのメディアの種類、搬送形態等は、特に限定されない。例えば、用紙搬送機構はベルト搬送方式に限らず、ドラム搬送方式の構成であってもよい。
 《調整支援装置の構成例》
 図27は、本発明の実施形態に係る調整支援装置の構成を示すブロック図である。調整支援装置は、インクジェット記録装置に搭載された各インクジェットヘッドバーの各ヘッドモジュールの調整目標値を自動的に算出してその結果を出力する装置として構成される。
 調整支援装置300は、1台若しくは複数台のコンピュータとプログラムを用いて実現することができる。調整支援装置300は、インクジェット記録装置1とは別体の装置として構成することができる。また、調整支援装置300の演算機能は、インクジェット記録装置1の制御部100の機能に組み込まれてもよい。
 調整支援装置300は、信号処理装置310と、表示部320と、操作部322とを含む。表示部320と操作部322は、図5で説明した表示部102と操作部101であってもよい。
 信号処理装置310は、データ取得部312と、ノズルΔx測定部313と、モジュールΔx測定部314と、調整目標値算出部315と、データ記憶部316と、出力部317とを含む。
 データ取得部312は、画像読取装置31からテストチャートの読取データを取得するインターフェースである。データ取得部312は、信号入力端子であってもよいし、通信インターフェースであってもよい。
 ノズルΔx測定部313は、ノズルΔx測定用の所定のテストチャートの記録結果を解析して、各インクジェットヘッドバーのモジュールごとのノズルΔxを測定する。ノズルΔx測定部313は、複数箇所から測定されたノズルΔxの平均値を算出することができる。テストチャートの記録結果は、画像データとして、画像読取装置31から取得される。ノズルΔx測定部313は「情報取得部」及び「ノズル相対位置情報取得部」の一例である。
 モジュールΔx測定部314は、モジュールΔx測定用の所定のテストチャートの記録結果を解析して、各インクジェットヘッドバーの各モジュール間のモジュールΔxを測定する。モジュールΔx測定部314は、例えば、特開2014-83720号公報に記載の方法を用いて、モジュールΔxを測定し、モジュールΔxの情報を取得する。モジュールΔx測定部314は「モジュール間距離情報取得部」の一例である。
 調整目標値算出部315は、モジュールΔx及びノズルΔxの情報に基づいて、ヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する。調整目標値算出部315は、モジュールごとの複数箇所から測定されたノズルΔxを基に算出されたノズルΔxの代表値を目標範囲に収めるために必要なヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する。例えば、図21のフローチャートで説明したように、モジュールΔxの総和が「0」、かつ、ノズルΔxの総和が「0」となるような、移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する。調整目標値を算出することは、モジュールの移動方向及び移動量を決定することの一例である。
 出力部317は、調整目標値算出部315で算出された調整目標値の情報を、所定の出力先に応じた信号形式で出力する。本実施の形態では、表示部320に出力する。
 データ記憶部316は、演算に必要な各種データを記憶する記憶装置である。データ記憶部316は、メモリなどの半導体記憶装置であってもよいし、ハードディスク装置などの磁気記憶装置であってもよく、これらの適宜の組み合わせであってもよい。
 なお、ノズルΔx測定部313、モジュールΔx測定部314及び調整目標値算出部315の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)318を用いて実現してよい。
 表示部320と操作部322は、ユーザインターフェースとして機能する。表示部320は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(organic electro-luminescence:OEL)
ディスプレイ、若しくは、プロジェクタなどの表示装置、又はこれらの適宜の組み合わせを用いて構成される。表示部320は、信号処理装置310の処理に必要な各種設定情報、及び、処理結果を示す情報などの各種情報を表示し得る。
 操作部322は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンなどの入力装置、若しくは、音声入力装置、又はこれらの適宜の組み合わせを用いて構成される。ユーザは、操作部322を用いて各種の指示及び/又は情報を入力することができる。信号処理装置310は、操作部322から入力された指示及び/又は情報に応じて各種処理を実行し得る。
 ユーザは、表示部320に表示された情報に基づいて、各ヘッドモジュールの位置を調整する作業を行うことができる。
 調整支援装置300を用いることにより、ヘッドモジュールの調整作業に必要な調整目標値の情報を簡単に得られる。
 〈変形例1〉
 図27に示す実施形態では、画像読取装置31から得られるテストチャートの読取データを基に、ノズルΔx及びモジュールΔxの情報を自動的に取得する構成としているが、ノズルΔx及びモジュールΔxの情報を、他の装置によって生成し、その情報のみを取得する構成としてもよい。
 〈変形例2〉
 また、調整目標値の算出結果は、表示部102に出力する構成に限らない。例えば、調整目標値の算出結果を用紙に記録して出力してもよい。
 〈変形例3〉
 また、各ヘッドモジュールの位置を自動で調整する機能を備えたインクジェット装置の場合、算出した調整目標値に基づいて、自動でモジュール位置を調整する制御を実施してもよい。例えば、アクチュエータによって各ヘッドモジュールの位置を調整できるインクジェットヘッドバーについては、調整目標値に基づいてアクチュエータの駆動を制御して、各ヘッドモジュールの位置を自動的に調整する構成としてもよい。
 《インクジェットヘッドバーの配置構成の例》
 これまで2本のインクジェットヘッドバー21A、21Bの例を説明したが、使用するインクの色の種類に応じて、色ごとに、それぞれバーを多重化する構成を採用することができる。図28は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の4色のインクを用いるインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドバーの配置形態の一例を模式的に示した平面透視図である。
 例えば、CMYKの4色のインクを用いるインクジェット記録装置の場合、図28に示すように、各色について、それぞれ2本のインクジェットヘッドバー21K1、21K2、21C1、21C2、21M1、21M2、21Y1、21Y2を備える。
 なお、インクの色数(色種の数)及びインクジェットヘッドバーの配列順については特に限定されない。
 複数色の各色についてインクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されている構成において、既に説明したヘッドモジュール調整方法を適用して、各色のバーの記録幅全域において、ノズルΔxを、単一のインクジェットヘッドバーにより構成される記録解像度の1画素以内に収める。より好ましくは、各色のバーの記録幅全域において、ノズルΔxを、単一のインクジェットヘッドバーにより構成される記録解像度の0.5画素以内に収める。
 《ヘッドモジュールの形態例》
 上述の実施形態においては、図に示すような、平面視において平行四辺形のヘッドモジュールをX方向に複数個並べて配置したインクジェットヘッドバーの形態を説明したが、インクジェットヘッドバーの構成は、この例に限らない。
 図29は、ヘッドモジュールの他の形態例を示す平面図である。例えば、図29の符号401に示すように、平行四辺形のヘッドモジュールの長辺をX方向に対して傾斜させた姿勢で配置したインクジェットヘッドバーを用いてもよい。
 図29の符号402に示すように、平面視で四角形のヘッドモジュールを、一部が重なるように、オーバーラップさせて配置したインクジェットヘッドバーを用いることができる。
 また、図20の符号403に示すような、台形のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたインクジェットヘッドバーを用いることができる。
 《本発明の実施形態による利点》
 上述した本発明の実施形態によれば、次のような利点がある。
 (1)モジュール内の複数箇所でノズルΔx及び/又はノズルΔyを測定するため、モジュール内部の局所的な吐出特性の変化を考慮して、最適な調整目標値を得ることができる。
 (2)同一色のバー間で記録領域にわたってノズルΔx及び/又はノズルΔyが均一になるように各モジュールの位置を調整するため、画素の入れ替わりが発生せず、良好な画像を記録することができる。
 (3)同一色のバーを用いて画像の記録を高速化することができ生産性を向上させることができる。
 《各処理部及び制御部のハードウェア構成について》
 図5で説明した制御部100及び図27で説明した調整支援装置300のデータ取得部312、ノズルΔx測定部313、モジュールΔx測定部314、調整目標値算出部315、及び出力部317などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
 各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
 1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、或いは、CPUとFPGAの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
 更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
 《コンピュータに調整支援機能を実現させるためのプログラムについて》
 上述の実施形態で説明した調整支援装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを光ディスクや磁気ディスクその他のコンピュータ可読媒体(有体物たる非一時的な情報記憶媒体)に記録し、情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。このような情報記憶媒体にプログラムを記憶させて提供する態様に代えて、インターネットなどの通信ネットワークを利用してプログラム信号をダウンロードサービスとして提供することも可能である。
 また、実施形態に係る調整支援装置の機能をアプリケーションサーバとして提供し、通信ネットワークを通じて処理機能を提供するサービスを行うことも可能である。
 さらに、このプログラムをコンピュータに組み込むことにより、コンピュータに画像処理装置の各機能を実現させることができ、上述の実施形態で説明した画像処理機能を実現することができる。
 また、本実施形態で説明した画像処理機能を含む印刷制御を実現するためのプログラムの一部又は全部をホストコンピュータなどの上位制御装置に組み込む態様や、インクジェット記録装置側の中央演算処理装置(CPU)の動作プログラムとして適用することも可能である。
 《インクジェット記録装置を用いた印刷物製造方法について》
 本開示のヘッドモジュール位置調整方法を用いてヘッドモジュールの位置が調整されたインクジェット記録装置を用いて用紙に画像を記録することにより印刷物を製造することができる。この印刷物製造方法によれば、高品質な画像が記録された印刷物を得ることができる。
 《実施形態及び変形例等の組み合わせについて》
 上述の実施形態で説明した構成や変形例で説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。
 《用紙について》
 「用紙」は、画像の記録に用いられる媒体である。用紙という用語は、記録媒体、記録用紙、印刷用紙、印刷媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものの概念を含む。用紙の材質や形状等は、特に限定されず、シール用紙、樹脂シート、フィルム、布、不織布、その他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。用紙は、枚葉の媒体に限らず、連続紙などの連続媒体であってもよい。また、枚葉の用紙は、予め規定のサイズに整えられたカット紙に限らず、連続媒体から随時、規定のサイズに裁断して得られるものであってもよい。
 「インクジェット記録装置」という用語は、インクジェット方式で画像の記録を行う印刷機、プリンタ、印字装置、印刷装置、画像形成装置、画像記録装置、画像出力装置、或いは、描画装置などの用語の概念を含む。
 「画像」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、ラインパターン、ドットパターン、その他の各種パターン、テストチャート、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
 画像の「記録」とは、画像の形成、印刷、印字、描画、及びプリントなどの用語の概念を含む。
 また、「画像」は、色材を含有するインクによって形成されるものに限らず、インク付与前に用紙に付与される処理液、及び/又はインク付与後に用紙に付与されるニス等その他の機能性材料によって形成される画像であってもよい。
 本明細書における「直交」又は「垂直」という用語には、90°未満の角度、又は90°を超える角度をなして交差する態様のうち、実質的に90°の角度をなして交差する場合と同様の作用効果を発生させる態様が含まれる。本明細書における「平行」という用語には、厳密には非平行である態様のうち、平行である場合と概ね同様の作用効果が得られる実質的に平行とみなし得る態様が含まれる。
 本明細書における「均一」という用語には、厳密には均一でない態様のうち、均一である場合と概ね同様の作用効果が得られる実質的に「均一」とみなし得る態様が含まれる。
 《その他》
 以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、又は削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で同等関連分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。
1 インクジェット記録装置
10 用紙搬送部
11 ベルト
12 駆動ローラー
13 従動ローラー
14 ベルト駆動モーター
16 吸引ユニット
20 インクジェット記録部
21A インクジェットヘッドバー
21B インクジェットヘッドバー
21C1 インクジェットヘッドバー
21C2 インクジェットヘッドバー
21K1 インクジェットヘッドバー
21K2 インクジェットヘッドバー
21M1 インクジェットヘッドバー
21M2 インクジェットヘッドバー
21Y1 インクジェットヘッドバー
21Y2 インクジェットヘッドバー
22A、22B ヘッドモジュール
23A ベースフレーム
24A ノズル面
25A ノズル
25B ノズル
30 画像読取部
31 画像読取装置
40 給紙部
50 排紙部
61A 第1バー
61B 第2バー
62A ドット
62B ドット
70、71、72、73 ラインパターン
81、82、83 ラインパターン
91、92 ラインパターン
100 制御部
101 操作部
102 表示部
103 通信部
104 記憶部
300 調整支援装置
310 信号処理装置
312 データ取得部
313 ノズルΔx測定部
314 モジュールΔx測定部
315 調整目標値算出部
316 データ記憶部
317 出力部
320 表示部
322 操作部
L1 ライン
L2 ライン
LP0 ラインパターンMA1 モジュール
MA2 モジュール
MA3 モジュール
MA4 モジュール
MA5 モジュール
MB1 モジュール
MB2 モジュール
MB3 モジュール
MB4 モジュール
MB5 モジュール
P 用紙
TC テストチャート
S1~S7 調整手順を示すステップ
S11~S15 調整手順を示すステップ

Claims (28)

  1.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置における前記ヘッドモジュールの位置を調整するヘッドモジュール位置調整方法であって、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、前記ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定するステップと、
     前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値に基づいて、前記インクジェットヘッドバーごとの前記ヘッドモジュールの位置を調整することにより、前記ノズル相対位置の前記代表値を目標範囲に収めるステップと、
     を含むヘッドモジュール位置調整方法。
  2.  前記インクジェットヘッドバーを構成する前記複数個のヘッドモジュールの各々についての前記ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収める請求項1に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  3.  前記代表値が前記ノズル相対位置の平均値である請求項1又は2に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  4.  前記目標範囲の目標値が0である請求項1から3のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  5.  前記目標範囲が、単一の前記インクジェットヘッドバーで構成される記録解像度の1画素以内である請求項1から4のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  6.  前記目標範囲が、単一の前記インクジェットヘッドバーで構成される記録解像度の0.5画素以内である請求項1から5のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  7.  前記インクジェット記録装置は、前記ヘッドモジュールごとに、前記ノズルによって記録されるドットの位置を、前記用紙搬送方向、及び前記用紙搬送方向に直交する用紙幅方向のうち少なくとも1つの方向に移動させる位置調整機構を少なくとも1つ備えており、
     前記ノズル相対位置の前記代表値に基づいて、前記ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収めるための、前記位置調整機構による移動方向及び移動量を決定する請求項1から6のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  8.  前記用紙搬送方向をY方向とし、前記Y方向に直交する用紙幅方向をX方向とする場合に、
     前記ノズル相対位置は、前記X方向の相対的な位置のズレを表すX方向ノズル相対位置を含み、
     前記X方向ノズル相対位置の前記代表値に基づいて、前記ヘッドモジュールの前記X方向の位置を調整することにより、前記X方向ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収める請求項1から7のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  9.  前記用紙搬送方向をY方向とし、前記Y方向に直交する用紙幅方向をX方向とする場合に、
     前記ノズル相対位置は、前記Y方向の相対的な位置のズレを表すY方向ノズル相対位置を含み、
     前記Y方向ノズル相対位置の前記代表値に基づいて、前記ヘッドモジュールの前記Y方向の位置を調整することにより、前記Y方向ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収める請求項1から7のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  10.  前記インクジェットヘッドバーを構成している前記複数個の前記ヘッドモジュールのうち、基準とする位置の前記ヘッドモジュールについて、前記ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収める前記調整を行う第1の調整ステップと、
     前記基準とする位置以外の前記ヘッドモジュールについて、前記ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収める前記調整を行う第2の調整ステップと、
     を含み、
     前記第2の調整ステップは、前記用紙の前記重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士で、それぞれの前記ヘッドモジュールを逆方向へ等量移動させることにより、前記ノズル相対位置の前記代表値を前記目標範囲に収める請求項1から9のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  11.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置における前記ヘッドモジュールの位置を調整するヘッドモジュール位置調整方法であって、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、前記ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られる前記ノズル相対位置の情報を取得するステップと、
     前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値に基づいて、前記インクジェットヘッドバーごとの前記ヘッドモジュールの移動方向及び移動量を調整することにより、前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値の総和を目標範囲に収め、かつ、前記インクジェットヘッドバーごとの隣り合う前記ヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の総和を0にする調整を行うステップと、
     を含むヘッドモジュール位置調整方法。
  12.  前記代表値が前記ノズル相対位置の平均値である請求項11に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  13.  前記目標範囲の目標値が0である請求項11又は12に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  14.  前記インクジェットヘッドバーごとに、前記インクジェットヘッドバーの単独での記録解像度が均一に向かう方向へ、規定の許容範囲内で、前記ヘッドモジュールを移動させて隣り合う前記ヘッドモジュール同士のモジュール間距離を調整するステップを含む請求項1から13のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  15.  複数の前記インクジェットヘッドバーを用いてラインパターンを記録して、前記ラインパターンのライン間隔を測定することにより、前記ノズル相対位置を測定する請求項1から14のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  16.  複数の前記インクジェットヘッドバーを用いてドット群を記録して、前記ドット群のドット間隔を測定することにより、前記ノズル相対位置を測定する請求項1から14のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  17.  複数の前記インクジェットヘッドバーを用いて前記用紙の同じ領域にラインパターンを記録して、前記記録されたパターンの濃度を測定することにより、前記ノズル相対位置を測定する請求項1から14のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  18.  前記濃度が最大、若しくは、最小となる位置に前記ヘッドモジュールを調整する請求項17に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  19.  前記インクジェット記録装置は、複数色の各色について前記インクジェットヘッドバーが前記用紙搬送方向に複数配置されており、
     前記各色の記録幅全域において、前記ノズル相対位置を、単一の前記インクジェットヘッドバーにより構成される記録解像度の1画素以内に収める請求項1から18のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  20.  前記インクジェット記録装置は、複数色の各色について前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されており、
     前記各色の記録幅全域において、前記ノズル相対位置を、単一の前記インクジェットヘッドバーにより構成される記録解像度の0.5画素以内に収める請求項1から18のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  21.  前記インクジェット記録装置は、複数の前記インクジェットヘッドバーのうちのいずれか1つのインクジェットヘッドバーにおいて不良ノズルが発生した場合に、他のインクジェットヘッドバーのノズルを用いて前記不良ノズルの記録を補う補正を行う請求項1から20のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法。
  22.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられるシングルパス方式のインクジェット記録装置であって、
     同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置され、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置が記録領域にわたって目標範囲に収まっているインクジェット記録装置。
  23.  前記インクジェットヘッドバーの各ノズルからの吐出を制御する制御部を更に備え、
     前記制御部は、複数の前記インクジェットヘッドバーのうちのいずれか1つのインクジェットヘッドバーにおいて不良ノズルが発生した場合、他のインクジェットヘッドバーのノズルを用いて前記不良ノズルの記録を補う補正を行う請求項22に記載のインクジェット記録装置。
  24.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置における前記ヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する調整支援装置であって、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、前記ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られる前記ノズル相対位置の情報を取得する情報取得部と、
     前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値の前記代表値を目標範囲に収めるために必要な前記インクジェットヘッドバーごとの前記ヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する調整目標値算出部と、
     前記調整目標値算出部によって算出された前記調整目標値を出力する出力部と、
     を備える調整支援装置。
  25.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置における前記ヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する調整支援装置であって、
     前記インクジェットヘッドバーごとの隣り合う前記ヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の情報を取得するモジュール間距離情報取得部と、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、前記ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られる前記ノズル相対位置の情報を取得するノズル相対位置情報取得部と、
     前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値の総和を目標範囲に収め、かつ、前記インクジェットヘッドバーごとの隣り合う前記ヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の総和を0にするために必要な前記インクジェットヘッドバーごとの前記ヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する調整目標値算出部と、
     前記調整目標値算出部によって算出された前記調整目標値を出力する出力部と、
     を備える調整支援装置。
  26.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置における前記ヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
     コンピュータに、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、前記ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られる前記ノズル相対位置の情報を取得する機能と、
     前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値を目標範囲に収めるために必要な前記インクジェットヘッドバーごとの前記ヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する機能と、
     前記算出された前記調整目標値を出力する機能と
     を実現させるプログラム。
  27.  複数のノズルが配列されたノズル面を有する複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されるインクジェットヘッドバーが用いられ、同一色の記録を行うラインヘッドとしての前記インクジェットヘッドバーが用紙搬送方向に複数配置されるシングルパス方式のインクジェット記録装置における前記ヘッドモジュールの位置関係の調整を支援する調整支援装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
     コンピュータに、
     前記インクジェットヘッドバーごとの隣り合う前記ヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の情報を取得する機能と、
     前記用紙搬送方向に搬送される用紙の重複するエリアを記録する前記ヘッドモジュール同士の対応する前記ノズルによって記録されるドット間の相対的な位置のズレを表すノズル相対位置を、前記ヘッドモジュールの範囲内の複数箇所で測定して得られる前記ノズル相対位置の情報を取得する機能と、
     前記複数箇所から測定された前記ノズル相対位置を基に算出される前記ノズル相対位置の代表値の総和を目標範囲に収め、かつ、前記インクジェットヘッドバーごとの隣り合う前記ヘッドモジュール同士のモジュール間距離の基準距離からの偏差の総和を0にするために必要な前記インクジェットヘッドバーごとの前記ヘッドモジュールの移動方向及び移動量を示す調整目標値を算出する機能と、
     前記算出された前記調整目標値を出力する機能と、
     を実現させるプログラム。
  28.  請求項1から21のいずれか一項に記載のヘッドモジュール位置調整方法を用いて前記ヘッドモジュールの位置が調整された前記インクジェット記録装置を用いて前記用紙に画像を記録することにより印刷物を製造する印刷物製造方法。
PCT/JP2018/043667 2018-01-09 2018-11-28 ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法 WO2019138715A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018001266A JP2021053803A (ja) 2018-01-09 2018-01-09 ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法
JP2018-001266 2018-01-09

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2019138715A1 true WO2019138715A1 (ja) 2019-07-18

Family

ID=67218977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2018/043667 WO2019138715A1 (ja) 2018-01-09 2018-11-28 ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021053803A (ja)
WO (1) WO2019138715A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7413849B2 (ja) 2020-03-09 2024-01-16 ブラザー工業株式会社 液体吐出装置、その制御方法及びコンピュータプログラム

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050219344A1 (en) * 2002-02-19 2005-10-06 Polaroid Corporation Technique for printing a color image
JP2010158817A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Canon Finetech Inc 記録装置および記録ヘッド
JP2011201051A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Fujifilm Corp 微細パターン位置検出方法及び装置、不良ノズル検出方法及び装置、及び液体吐出方法及び装置
JP2013237166A (ja) * 2012-05-11 2013-11-28 Fujifilm Corp 画像記録装置及び画像記録方法
JP2015066851A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 株式会社Screenホールディングス 印刷装置及びその段差ずれ補正方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050219344A1 (en) * 2002-02-19 2005-10-06 Polaroid Corporation Technique for printing a color image
JP2010158817A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Canon Finetech Inc 記録装置および記録ヘッド
JP2011201051A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Fujifilm Corp 微細パターン位置検出方法及び装置、不良ノズル検出方法及び装置、及び液体吐出方法及び装置
JP2013237166A (ja) * 2012-05-11 2013-11-28 Fujifilm Corp 画像記録装置及び画像記録方法
JP2015066851A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 株式会社Screenホールディングス 印刷装置及びその段差ずれ補正方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7413849B2 (ja) 2020-03-09 2024-01-16 ブラザー工業株式会社 液体吐出装置、その制御方法及びコンピュータプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021053803A (ja) 2021-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3305532B1 (en) Image inspection device, image inspection method, program, and ink jet printing system
US8740339B2 (en) Defective recording element detecting apparatus, defective recording element detecting method, and image forming apparatus
JP7216185B2 (ja) 画像処理方法及び装置、プログラム並びに画像形成装置
JP2013147003A (ja) 吐出不良検出方法及び装置、画像処理装置、プログラム、並びに印刷システム
JP2007190862A (ja) 画像記録装置及び画像記録方法
JP2012147126A (ja) 濃度むら補正値算出方法及び画像処理方法並びに画像処理装置
JP6042295B2 (ja) 記録ヘッド及びその製造方法並びに記録装置
JP2017013513A (ja) インクジェット印刷システム及びその不吐補正方法並びにプログラム
JP5468633B2 (ja) インクジェット記録装置、画像処理装置及び方法、並びにプログラム
JP2013169756A (ja) インクジェットプリンタおよび補正値取得方法
JP2017189884A (ja) 液体吐出装置の製造方法、液体吐出装置、およびデバイスドライバー
WO2019138715A1 (ja) ヘッドモジュール位置調整方法、インクジェット記録装置、調整支援装置、プログラム並びに印刷物製造方法
JP6113102B2 (ja) 位置ズレオーダの検出方法、画像の位置ズレの補正方法、スジムラ補正テーブルの作成方法、及びスジムラ補正方法
JP2014050060A (ja) 画像読取装置、及び、インクジェット記録装置
JP6018994B2 (ja) インクジェット印刷システム及びその不吐補正方法並びにプログラム
WO2019012759A1 (ja) 画像処理装置及び方法、プログラム並びに画像記録装置
JP2017148943A (ja) 印刷制御装置、印刷制御方法、そのためのコンピュータープログラム
WO2019130838A1 (ja) インクジェット記録装置、そのインクジェットヘッド調整方法、そのインクジェットヘッド調整支援装置、及び、そのインクジェットヘッド調整支援プログラム
JP5883313B2 (ja) 画像記録装置、補正係数取得方法および画像記録方法
JP6196181B2 (ja) スジムラ補正用チャート
JP2015131403A (ja) 液体吐出装置、印刷システム、および、液体吐出方法
WO2018235386A1 (ja) 画像処理装置及び方法、ディザマスクのセット、並びに画像記録装置
CN111497473B (zh) 图像形成装置以及图像形成控制方法
JP7020211B2 (ja) データ出力設定調整方法、画像データ処理装置及び画像形成装置
JP2000255045A (ja) インターレース式プリンタおよびインターレース式プリント方法

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 18900067

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 18900067

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: JP