WO2019131232A1 - レドックスフロー電池の電極およびレドックスフロー電池 - Google Patents

レドックスフロー電池の電極およびレドックスフロー電池 Download PDF

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Abstract

本発明は、電池特性を向上させることができる電極及びこれを用いたレドックスフロー電池を提供する。 本発明のレドックスフロー電池は、電解液が流入する液流入層1と、電解液が流出する液流出層3と、前記液流入層1と前記液流出層3との間に配置される主電極層2とを備え、前記液流出層3の厚さが前記液流入層1の厚さよりも小さい。

Description

レドックスフロー電池の電極およびレドックスフロー電池
 本発明は、レドックスフロー電池の電極およびレドックスフロー電池に関する。
 大容量蓄電池としてレドックスフロー電池が知られている。レドックスフロー電池は、一般に電解液を隔てるイオン交換膜と、そのイオン交換膜の両側に設けられた電極とを有する。そして、酸化還元により価数が変化する活物質である金属イオンを含有する電解液を使用して、一方の電極上で酸化反応、他方の電極上で還元反応を同時に進めることにより充放電を行うことができる。
 ところで、定置型蓄電池は、コストと安全性とを考慮した上で導入の可否が判断されるのが一般的である。レドックスフロー電池のコストは、基本的に電流密度で決まる。流せる電流密度を決めるのはセル抵抗率である。
 また、本出願人は、特許文献1に、カーボンナノチューブを含む導電性シート(主電極層)と、導電性シートの第1面側に形成され、通液された電解液が導電性シートに流入する液流入部材と、導電性シートの第2面側に形成され、通液した電解液が流出する液流出部材とを備える電極材を提案した。この電極材は、液流出部材と液流入部材の面方向のダルシー則透過率を、導電性シートの法線方向のダルシー則透過率よりも大きくすることで、電解液の通液性を改善し、レドックスフロー電池の特性を高めたものである。
国際公開第2016/159348号
 しかしながら、さらなるコストに対する要求から、特許文献1よりさらにセル抵抗率等の電池特性の改善の余地があった。
 本発明は、特許文献1の電極構成の改良によりセル抵抗率をさらに改善することを目的とする。
 本発明者らは、液流入層と液流出層との間に主電極層を備える電極において、液流出層の厚さを液流入層の厚さよりも小さくすることにより、電極での反応効率が向上し、セル抵抗率を低くできることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)電解液が流入する液流入層と、電解液が流出する液流出層と、前記液流入層と前記液流出層との間に配置される主電極層とを備え、前記液流出層の厚さが前記液流入層の厚さよりも小さい、レドックスフロー電池の電極。
(2)前記電極は、前記主電極層の厚さ方向に、前記液流入層側の面から前記液流出層側の面へ向かって前記電解液が通過するように構成される、上記(1)に記載のレドックスフロー電池の電極。
(3)前記液流入層の面方向におけるダルシー則透過率は、前記主電極層の厚さ方向におけるダルシー則透過率よりも大きい、上記(1)または(2)に記載のレドックスフロー電池の電極。
(4)前記主電極層は、平均繊維径が1000nm以下であるカーボンナノチューブを含む導電性シートからなる、上記(1)、(2)または(3)に記載のレドックスフロー電池の電極。
(5)前記液流入層は導電性を有する、上記(1)~(4)のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
(6)前記液流入層の厚さは、0.25mm以上0.60mm以下である、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
(7)前記液流出層の厚さは、0.10mm以上0.35mm以下である、上記(1)~(6)のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
(8)前記液流入層と前記主電極層との間に、整流層をさらに備え、前記整流層は、厚さ方向のダルシー則透過率が、前記液流入層の面方向の透過率よりも小さい、上記(1)~(7)のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
(9)イオン交換膜と、上記(1)~(8)のいずれか1項に記載の電極と、集電板とをこの順に備え、前記電極は、前記液流入層が前記集電板側、前記液流出層が前記イオン交換膜側になるように配置される、レドックスフロー電池。
 本発明によれば、電極構成の適正化により電池特性を向上させることができるという優れた効果がある。
第1の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。 第2の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。 第3の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。
 以下、本発明を適用したレドックスフロー電池の電極及びレドックスフロー電池について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
 <第1の実施形態>
 図1は、本発明の第1の実施形態に係る電極及びレドックスフロー電池の要部の断面構成を模式的に示したものである。レドックスフロー電池100は、図1に示すように、電極(正極・負極)10、集電板20、イオン交換膜30を備える。電極10は、集電板20とイオン交換膜30との間に設けられる。電解液は、後述するように、図示しない電解液タンクから(例えばポンプ輸送によって)流入管11を通して電極10の内部に流入させ、電極10の外部に流出管12を通して流出させて電解液タンクに戻され、電池100内を循環する。
 電極10は、液流入層1、主電極層2、及び液流出層3を備え、主電極層2は、液流入層1と液流出層3との間に配置される。流入管11を通して電極10に供給された電解液は、主電極層2を、厚さ方向に液流入層1側の面から液流出層3側の面へ通過することができる。
 なお、本実施形態に係るレドックスフロー電池100は、図1の構成では、2枚の集電板20、20と、イオン交換膜30と、各集電板20とイオン交換膜30の間にそれぞれ設けられた一対の電極10、10を有する単セルを図示したが、これらが直列に複数連なった複数セルからなるレドックスフロー電池であっても本発明の一実施形態である。さらに、本発明は、他の実施形態として、複数セルからなるレドックスフロー電池(図示せず)において、各セルが電気的に直列に接続され、該接続が正極側集電板と負極側集電板とが表裏で一体になっている集電板(「双極板」ともいう)でなされているもの(「積層セル」ともいう)を含む。
 以下、レドックスフロー電池100の電極10(液流入層1、主電極層2、液流出層3)、集電板20、イオン交換膜30についてそれぞれ説明する。
 [電極]
 (主電極層)
 主電極層2は、平均繊維径1000nm以下のカーボンナノチューブを含む導電性シートからなることが好ましい。カーボンナノチューブの平均繊維径は、好ましくは1~300nm、より好ましくは10~200nm、さらに好ましくは15~150nmである。なおカーボンナノチューブの平均繊維径は、透過型電子顕微鏡にて、繊維の種類ごとに無作為に100本の繊維の直径を測定し、各々その算術平均値として求めた。以下の平均繊維径についても同様の手段で求めた。
 主電極層2に含まれるカーボンナノチューブとしては、平均繊維径が異なる複数の種類のカーボンナノチューブを混合する構成としてもよい。その場合、例えば、平均繊維径100~1000nmの第1のカーボンナノチューブと、平均繊維径30nm以下の第2のカーボンナノチューブとを含むことが好ましい。
 なお、主電極層2を構成するカーボンナノチューブが、平均繊維径の異なる複数の種類のカーボンナノチューブを混合して構成される場合、この主電極層2を透過型電子顕微鏡で観察し、同一視野において繊維径が50nmを超えるものを第1のカーボンナノチューブ、繊維径が50nm未満のものを第2のカーボンナノチューブとみなして、それぞれ前述の通りに平均繊維径を算出する。
 第1のカーボンナノチューブの平均繊維径は、好ましくは100~300nm、より好ましくは100~200nm、さらに好ましくは100~150nmである。平均繊維長は、好ましくは0.1~30μm、より好ましくは0.5~25μm、さらに好ましくは0.5~20μmである。
 第2のカーボンナノチューブの平均繊維径は、好ましくは1~30nm、より好ましくは5~25nm、さらに好ましくは5~20nmである。平均繊維長は、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.2~8μm、さらに好ましくは0.2~5μmである。
 また、第1のカーボンナノチューブ及び第2のカーボンナノチューブの平均繊維径がそれぞれ上述の範囲であると、主電極層2が高い強度及び高い導電性を維持できる構造となる。これは、第1のカーボンナノチューブが幹となり、第2のカーボンナノチューブが、複数の第1のカーボンナノチューブ間に枝状に懸架されるためである。例えば、第1のカーボンナノチューブの平均繊維径が100nm以上であると、幹が安定となり電極の構造に割れが生じにくくなり、十分な強度を保つことが容易になる。一方で、第2のカーボンナノチューブの平均繊維径が30nm以下であると、第2のカーボンナノチューブが十分に第1のカーボンナノチューブに絡まることができ、導電性が向上する。すなわち、このような平均繊維径の異なる2種類のカーボンナノチューブを含む主電極層2を有する電極を用いることが、レドックスフロー電池のセル抵抗率を低くすることができる点で好ましい。
 第2のカーボンナノチューブの含有割合は、第1のカーボンナノチューブと第2のカーボンナノチューブの合計100質量%に対し、好ましくは0.05~30質量%、より好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは1~15質量%である。第2のカーボンナノチューブがこの範囲で含まれれば、主電極層2が高い強度及び高い導電性を維持できる構造となる。これは、第2のカーボンナノチューブがこの範囲で含まれていることで、第1のカーボンナノチューブが導電の主材料として機能し、さらに第2のカーボンナノチューブが、それぞれの第1のカーボンナノチューブ間を電気的に繋ぎ、導電を効率的にサポートするためと考えられる。また、第1のカーボンナノチューブ及び第2のカーボンナノチューブの割合が上記範囲である場合、第2のカーボンナノチューブの少なくとも一部が、2本以上の第1のカーボンナノチューブに跨った構造や、第2のカーボンナノチューブの少なくとも一部が、2本以上の第1のカーボンナノチューブと交差するような構造が形成されやすくなる。さらに1本の第1のカーボンナノチューブに1本の第2のカーボンナノチューブが絡みつく構造も形成されやすくなる。絡みつく構造とは、例えば1本の第2のカーボンナノチューブが2本以上の第1のカーボンナノチューブの表面にまとわりついている状態を言う。絡みつく構造があると、より第1のカーボンナノチューブと第2のカーボンナノチューブの接触箇所が増え、導電パスが増加すると考えられる。このため、上述の通り、セル抵抗率の低下等の効果が期待できる。
 また、主電極層2は、上述したカーボンナノチューブ以外の導電性材料を含んでいてもよい。この導電性材料としては、具体的には、導電性ポリマー、グラファイト、導電性のカーボンファイバー等が挙げられる。耐酸性、耐酸化性、及びカーボンナノチューブとの混合しやすさから導電性のカーボンファイバーを含むことが好ましい。カーボンファイバーの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以下であり、より好ましくは10Ω・cm以下である。カーボンファイバーの体積抵抗率は、日本工業規格 JIS R7609:2007に記載の方法により測定することができる。主電極層2は、カーボンナノチューブとそれ以外の導電性材料とが占める領域を除いた空間の割合(空隙率)は、70質量%以上90質量%以下とすることが好ましい。前記空隙率を上記範囲にすることによって、電極の導電性と電解液の通気性をバランスよく両立することができる。
 主電極層2の構成材料としてカーボンファイバーを用いる場合には、カーボンファイバーの平均繊維径は、1μmより大きいことが好ましい。カーボンナノチューブよりも平均繊維径が太いカーボンファイバーを用いると、主電極層2内により大きな空隙を形成することができ、電解液を電極に通液させた時の圧力損失を小さくすることができる。この場合、電解液を主電極層2に通液させた時の圧力損失を小さくするとともに、良好な導電性を備えることができ、好ましい。カーボンファイバーの平均繊維径は、好ましくは2~100μm、より好ましくは5~30μmである。平均繊維長は、好ましくは0.01~20mm、より好ましくは0.05~8mm、さらに好ましくは0.1~1mmである。
 主電極層2が含むカーボンファイバーの含有量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下がある。この場合、電解液を主電極層2に通液させた時の圧力損失が小さいレドックスフロー電池の電極を得ることができる点で好ましい。
 主電極層2は、水溶性導電性高分子を含んでいてもよい。水溶性導電性高分子は、カーボンナノチューブの表面を親水化することができ、主電極層2をシート化するための分散液を得る時に界面活性剤の働きをすると考えられる。水溶性導電性高分子は、カーボンナノチューブを分散液中で均一に分散でき、空隙率が均一な主電極層2を得ることができる。水溶性導電性高分子としては、スルホン基を有する導電性高分子が好ましく、具体的にはポリイソチアナフテンスルホン酸を挙げることができる。
 水溶性導電性高分子の添加量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
 主電極層2の厚さは、好ましくは0.01~1mm、より好ましくは0.01~0.8mm、さらに好ましくは0.02~0.5mmである。主電極層2の厚さが0.01mm以上であれば、導電性が良好になるので好ましい。主電極層2の厚さが1mm以下であれば、カーボンナノチューブを用いた場合であっても通液抵抗が大きくなり過ぎず、良好な通液性が得られるので好ましい。ここで、主電極層2の厚さは、定圧厚さ測定器(TECLOCK PG-02)により測定する。
 以下、主電極層2の製造方法について説明する。主電極層2は、あらかじめカーボンナノチューブを含む分散液を調製しておいて、濾過による分散媒の除去、もしくは塗布、スピンキャスト、スプレー法等を行った後に分散媒を留去することによりシート状に成形することができる。分散液は大量に使用するので安全性、耐環境負荷を考慮して水を使うのが好ましい。
 カーボンナノチューブを含む分散液を調製する方法は特に限定されない。例えば、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等を用いることができ、特に湿式ジェットミルは、カーボンナノチューブの損傷を抑えつつカーボンナノチューブが均一に分散できることから好ましい。この場合、湿式ジェットミルによる分散を行う前に、湿式分散機等を用いて予備的な混合を行ってもよい。
 なお、主電極層2は、平均繊維径が異なる複数の種類のカーボンナノチューブ及び/又はカーボンファイバーを含む場合、分散媒に平均繊維径が異なる複数の種類のカーボンナノチューブ及び/又はカーボンファイバーを加え、前述の通りに分散液を調製し、成形することができる。
 カーボンナノチューブを含む分散液を調製するとき、分散剤を加えるとカーボンナノチューブが均一に混合しやすくなる。分散剤としては公知のものを用いてもよいが、水溶性導電性ポリマーはカーボンナノチューブの分散剤として極めて優れた特性を発揮する。また、カーボンファイバーは、簡便であることから超音波処理によってカーボンナノチューブの分散液に分散させることが好ましい。
 (液流入層)
 液流入層1は、流入管11を通して流入口1aから通液された電解液を、主電極層2内に流入させるために設けられた層である。そして、この液流入層1は、面方向のダルシー則透過率が主電極層2の厚さ方向のダルシー則透過率よりも大きく、主電極層2と比較して、電解液が流れやすい。また、液流入層1は、充放電過程において主電極層2と集電板20の間の電子の伝達をスムーズにするために、導電性を有することが好ましい。液流入層1は、電極10の構成の一部であるが、電解液の酸化還元反応は、主に主電極層2で起こっており、液流入層1で酸化還元反応が起こっていなくても良い。ここで、液流入層1の面方向とは、液流入層1の厚さ方向に対して直交する面に沿った方向を意味する。
 液流入層1内の面方向の透過率は、主電極層2の厚さ方向の透過率と比較して、例えば10倍以上であることが好ましく、50倍以上であることがより好ましく、100倍以上であることがさらに好ましい。
 ここで、ダルシー則透過率k(m)は、粘度μ(Pa・sec)の電解液を通液させる部材の断面積S(m)、部材の長さL(m)、流量Q(m/sec)で通液した際の部材の液流入側と液流出側との差圧ΔP(Pa)から、次式(1)で表される液体の透過流束(m/sec)の関係より算出される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 
 なお、主電極層2の厚さ方向のダルシー則透過率(以下、「ダルシー則透過率」を単に「透過率」、また「主電極層2の厚さ方向のダルシー則透過率」を単に「透過率」ということがある。)とは、主電極層2の厚さ方向(シート面に対して法線方向)での透過率である。液流入層1の面方向のダルシー則透過率(以下、単に「液流入層1の透過率」ということがある。)とは、主電極層2のシート面と平行な面方向での透過率である。同様に、後述する液流出層3の面方向のダルシー則透過率(以下、単に「液流出層3の透過率」ということがある)とは、主電極層2のシート面と平行な面方向での透過率である。なお、主電極層2の(シート)面は、実際には多数の空隙をもつため、厳密には(シート)面ではないが、本発明では、主電極層2の全体をシートと考え、このとき、シートの主面(表面)に対応する主電極層2の面状部分を、シート面と呼ぶこととする。
 液流入層1内の透過率が、主電極層2の透過率と比較して十分高いと、液流入層1内に流入した電解液は、透過率が低い主電極層2を通過する前に、液流入層1内の全面にわたって広がり、液流入層1内で均圧化される。したがって、主電極層2を通過する電解液の流れは、必然的に主電極層2の面に対してより垂直な方向を向いたシート面内で均一な流れになる。また、電極10において最も電解液の流れにくい主電極層2を電解液が通過する距離を、主電極層2の厚さと同じ最短距離にすることができる。さらに主電極層2を通過する電解液の流れをシート面内で均一にすることができるため、充放電過程での反応種を一斉に且つ効率的に置換することができ、その結果、セル抵抗率が低下し、充放電容量が向上する。
 液流入層1の厚さの下限は、上述したように、主電極層2において電解液の流れをシート面内で均一にする点から、好ましくは0.25mm以上、より好ましくは0.35mm以上、さらに好ましくは0.40mm以上である。液流入層1の厚さが0.25mm以上であれば、上述したように、主電極層2のシート面内で電解液を均一な流れにすることができるので好ましい。一方、液流入層1の厚さの上限は、セルの厚さを厚くし過ぎない点から、好ましくは0.60mm以下、より好ましくは0.45mm以下である。
 液流入層1は、電解液を流通させるため、電解液が流れることができる流路を有するものであれば良い。具体的には多孔質であることが好ましい。この多孔質は、空隙を有するスポンジ状の部材でも、繊維が絡み合ってなる部材でもよい。例えば、比較的長い繊維を織った織物、繊維を織らずに絡み合わせたフェルト、比較的短い繊維を漉いてシート状にしたペーパー等を用いることができる。多孔質の液流入層1が繊維で構成されている場合、その平均繊維径は1μmより大きい繊維からなることが好ましい。平均繊維径が1μmよりも大きいと、多孔質の液流入層1内における電解液の通液性を十分確保することができる。
 液流入層1は、電解液で腐食しないことが好ましい。具体的には、レドックスフロー電池は、酸性の溶液を用いることが多い。そのため、液流入層1は、耐酸性を有することが好ましい。また、液流入層1は、反応により酸化することも考えられるため、耐酸化性を有することが好ましい。耐酸性又は耐酸化性を有するとは、使用後の液流入層1が形状を維持している状態を指す。
 また、この液流入層1は、導電性を有することが好ましい。ここで、導電性とは、体積抵抗率が、好ましくは10Ω・cm以下であり、より好ましくは10Ω・cm以下程度の導電性を意味する。液流入層1が導電性を有すれば、液流入層1内の電気伝導性を高めることができる。例えば、導電性を有する材料からなる繊維を用いて液流入層1を形成する場合は、耐酸性及び耐酸化性のある金属や合金からなる繊維や、カーボンファイバーを用いることができる。
 [液流出層]
 液流出層3は、主電極層2を通過した電解液が、電極10の外部に流出するために設けられた層である。液流出層3を通過した電解液は、流出口3aから流出管12に流出し、図示しない電解液タンクに戻される。
 液流出層3は、面方向のダルシー則透過率とは、主電極層2のシート面と平行な面方向での透過率である(以下、単に「液流出層3の透過率」ということがある)。液流出層3は、液流入層1と同様に、面方向のダルシー則透過率が、主電極層2の厚さ方向のダルシー則透過率よりも大きくなるように導電性の多孔質で構成されていることが好ましい。つまり、液流出層3は、主電極層2と比較して、電解液が流れやすい構成を有する。液流出層3内の面方向のダルシー則透過率は、主電極層2の厚さ方向のダルシー則透過率と比較して、例えば50倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。
 主電極層2の透過率と比較して、液流出層3内の透過率が十分高ければ、主電極層2を通過した電解液は、液流出層3側で滞留することなく、速やかに、流出管12に排出される。液流出層3に電解液が滞留しないということは、この液流出層3を電解液が通過するために必要な圧力が、主電極層2を電解液が通過するために必要な圧力に比べ十分低いことを意味する。すなわち、主電極層2と液流出層3との透過率が上記の関係にあれば、主電極層2を通過する電解液の流れが主電極層2の面に対して垂直な方向に向いている場合、主電極層2内の垂直方向の流れを乱すことなく、液流出層3内を通過して流出管12に排出することができる。
 また、主電極層2を通過後の電解液は、酸化反応又は還元反応が生じた後の電解液が占める割合が高い。ここで、電極反応を効率よく進めるためには、価数が変化した反応後のイオン(活物質)を速やかに流出させること、及びイオン交換膜30を通して、プロトンを速やかに対極側に移動させることが必要となる。例えば、活物質としてバナジウムを含む電解液を用いる場合、充電過程では、正極ではV4+がV5+に、負極ではV3+がV2+に変化する。そのため、この反応後のイオン(V5+及びV2+)を効率的に除去することで、主電極層2に速やかに反応前のイオン(V4+及びV3+)を供給することができ、反応前後のイオンが効率的に置換されるため、反応効率を高めることができる。
さらに、本発明では、液流出層3の厚さを、液流入層1の厚さより小さくすることで、電極反応がより効率よく進むことが明らかとなった。この理由は明らかではないが、液流入層1では、透過率を高められればよいのに対して、液流出層3では、透過率を高めることに加え、主電極層2からイオン交換膜30までの移動距離を短くして、プロトンを速やかにイオン交換膜30まで移動させることができるためと考えられる。すなわち、液流入層1の厚さよりも液流出層3の厚さを小さくすることが、電極反応を効率よく進めるために有効であり、これによって、プロトンが速やかに対極側に移動でき、イオン交換が容易となるため、セル抵抗率の増加を抑制することができる。
 液流出層3の厚さの上限は、好ましくは0.35mm以下、より好ましくは0.25mm以下、さらに好ましくは0.20mm以下である。液流出層3の厚さが0.35mm以下であれば、主電極層2とイオン交換膜30との距離が大きくなり過ぎず(イオンの移動抵抗が大きくなり過ぎず)、セル抵抗率の増加を抑制できるので好ましい。一方、上述したように、液流出層3の厚さの下限は、好ましくは0.10mm以上、より好ましくは0.15mm以上である。液流出層3の厚さが0.10mm以上であれば、電解液を通過させるために必要な圧力を低減することができるので好ましい。
 液流出層3は、電極10の構成の一部であるが、電解液の酸化還元反応は主に主電極層2で起こっており、液流出層3で酸化還元反応が起こっていなくても良い。また液流出層3は電解液を流通させるため、電解液が流れることができる流路を有するものであれば良い。液流出層3の具体的態様は、液流出層3の透過率と主電極層2の透過率とが上述の関係を有する形態であれば特に問わない。液流出層3は、液流入層1と同じ多孔質構造で構成してもよく、液流入層1と異なる多孔質構造で構成してもよい。
 [集電板]
 集電板20は、電極10に対し電子を授受する集電体の役割を有する。集電板20は、通常、板状であり、公知のものを用いることができ、材質としては例えば炭素を含有する導電性材料を用いることができる。具体的には、黒鉛とポリオレフィン等の熱可塑性樹脂とからなる導電性プラスチック、又は黒鉛とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらのうち、板状にプレス成型できることを考えると黒鉛と熱可塑性樹脂とを混練成形した成形材を用いることが好ましい。また、アセチレンブラックのように導電性の高いカーボンブラックを混ぜてもよい。
 [イオン交換膜]
 イオン交換膜30は、電荷担体としてのプロトン(H)は通すが、他のイオンは通さない隔膜である。このイオン交換膜には、公知の陽イオン交換膜を用いることができる。具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子化合物、リン酸等の無機酸をドープさせた高分子化合物、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体等が挙げられる。これらのうち、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体が好ましく、ナフィオン(登録商標)がより好ましい。
 第1の実施形態に係るレドックスフロー電池の電極は、電解液の通液性の悪い主電極層2を用いた場合であっても、液流入層1と液流出層3との厚さが適正化されていることから、流入する電解液が主電極層2全体にわたって均一に広がるとともに、電極反応後の電解液を速やかに電極10の外部に流出させることができるようになる。また、主電極層2とイオン交換膜30との距離が小さくなってイオン交換が容易になることから、セル抵抗率の増加を抑制でき、電池特性を向上させることができる。
 <第2の実施形態>
 図2は、第2の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部構成の断面を模式に示したものである。なお、以下、図中、上述した部材と同一構成部材には、同一符号を付し、説明を省略する。
 図2に示すように、第2の実施形態に係るレドックスフロー電池200の電極10は、さらに、液流入層1と主電極層2との間に、整流層4をさらに備えている。この整流層4は、整流層4の厚さ方向のダルシー則透過率(以下、単に「整流層4の透過率」ということがある。)が、液流入層1の面方向の透過率よりも小さいことが好ましく、より好ましくは、整流層4の厚さ方向のダルシー則透過率が、主電極層2の厚さ方向の透過率よりも大きいことが好ましい。整流層4内の厚さ方向のダルシー則透過率は、液流入層1の面方向の透過率の0.2~0.5倍が好ましく、より好ましくは液流入層1の透過率の0.4~0.8倍、さらに好ましくは0.6~1.0倍である。液流入層1、整流層4、主電極層2の組み合わせは、透過率が、液流入層1(面方向)>整流層4(厚さ方向)>主電極層2(厚さ方向)の順に大きければよく、セル抵抗率と圧力損失とを考慮して、液流入層1、整流層4および主電極層2の透過率の関係が選択される。また、整流層4内の厚さ方向でのダルシー則透過率は、主電極層2の透過率と比較して、500倍以下であることが好ましく、200倍以下であることがより好ましい。
 液流入層1と比較して透過率が小さい整流層4が設置されていると、液流入層1を通過した電解液は、透過率が低い主電極層2を通過する前に、整流層4内の全面に拡がり、液流入層1内の面方向での速度分布がより均一化される。したがって、主電極層2を通過する電解液の流れは、整流層4がない場合に比べ、主電極層2の面に対して垂直な方向を向き、主電極層2の面内でより均一になる。その結果、主電極層2では、より確実に、充放電過程での反応種を一斉に且つ効率的に置換することができ、セル抵抗率が低下し、充放電容量が向上する。
 なお、整流層4の厚さは、液流入層1の厚さよりも薄いことが好ましい。整流層4の厚さは、整流層4内で電解液を均一化する点から、0.10mm以上であることが好ましく、0.15mm以上であることがより好ましい。一方、整流層4の厚さの上限は、セルの厚さを厚くし過ぎない点から、好ましく0.30mm以下であることが好ましく、0.25mm以下であることがより好ましい。
 <第3の実施形態>
 図3は、第3の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部構成の断面を模式に示したものである。
 第3の実施形態に係るレドックスフロー電池300は、集電板40と液流入部41とが一体化されている。液流入部41は、集電板40の凹部に形成され、仕切られた空間からなる流路42と、導電性の多孔質構造からなる液流入層43とで構成されている。液流入層43を、集電板40に形成された凹部に埋設し、集電板40と一体化することにより、レドックスフロー電池の単セルの厚さを薄くすることができる利点がある。また、液流入部41内に流路42を形成することにより、電解液を任意の方向へ導くことができ、液流入層43への電解液の流入量の面内のばらつきをより確実に抑制することができる。
 なお、流路42は、特に限定されないが、例えば、図3に示すように、集電板40の凹部にリブ状に溝を形成し、空間を仕切るようにして形成してもよい。また、流路は、集電板40の凹部の中央に流入口を設け、中央部から複数の流路に分岐させるように溝を形成したり、放射線状に拡がるように溝を形成して、空間を仕切ってもよい。このように形成される溝と溝で区画されて形成される凸部は、液流入層43を支持する機能も果たすことができる。
 以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
 [実施例1]
 (主電極層の作製)
 平均繊維径150nm、平均繊維長15μmの第1のカーボンナノチューブと、平均繊維径15nm、平均繊維長3μmの第2のカーボンナノチューブとを、第1のカーボンナノチューブと第2のカーボンナノチューブの合計100質量%に対し、90質量%の第1のカーボンナノチューブと、10質量%の第2のカーボンナノチューブを純水中で混合し、さらに、第1のカーボンナノチューブと第2のカーボンナノチューブの合計100質量部に対し、1質量部の水溶性導電性高分子であるポリイソチアナフテンスルホン酸を加えて混合液を作製した。得られた混合液を湿式ジェットミルで処理し、カーボンナノチューブの分散液を得た。この分散液にさらに、第1と第2のカーボンナノチューブ及びカーボンファイバーの合計100質量部に対し、50質量部のカーボンファイバー(平均繊維径7μm、平均繊維長0.13mm)を加え、マグネティックスターラーにより撹拌し分散した。この分散液を濾紙上で濾過し、濾紙とともに脱水した後、プレス機により圧縮してさらに乾燥し、カーボンナノチューブを含む主電極層2を作製した。主電極層2の平均厚さは0.4mmであった。主電極層2の厚さ方向の透過率は、2.7×10-13であった。
 なお、主電極層2の透過率は、差圧ΔPと長さLが比例するため、実施例1の電池とは異なる長さLで評価した。作製した主電極層2を30枚重ね、総厚みが1cmとなるよう、両面にφ0.10mmのNiワイヤーからなる60メッシュのNiメッシュシートを配置して圧縮し、断面積1.35cm(幅50mm、高さ2.7mm)、長さ1cmの透過率測定セルの中に設置することにより、主電極層2の透過率を測定した。すなわち、透過率測定セルに水(20°C、粘度=1.002mPa・sec)を透過流束0.5cm/secで通液し、積層した導電性シートによる差圧(出口圧-入口圧)を測定し、透過率を算出した。
 (集電板・液流入部の作製)
 図3に示すように、カーボンプラスチック成形体からなる集電板40の凹部に、液流入部41の流路42として、リブ状の溝を形成し、液流入層43として、多孔質層であり、導電性を有するカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-090を使用。)を準備した。このカーボンファイバーペーパーの平均厚さは0.28mmであり、液流入層43における面方向の透過率は、8.05×10-11であった。
 (液流出層)
 液流出層3としては、多孔質層であり、導電性を有するカーボンファイバーペーパー(SGL社製:1層のGDL29AAを使用。)を準備した。このカーボンファイバーペーパーの平均厚さは0.19mmであり、液流出層3における面方向の透過率は、4.50×10-11であった。
 (電池の組み立て)
 上述した主電極層2、液流入部41(流路42、液流入層43)が付随した集電板40および液流出層3を用いて、電極を組み立てた。
 さらに、イオン交換膜30としてナフィオンN212(登録商標、デュポン社製)を用い、上述した構成からなる二つの電極をそれぞれ正極、負極として、図示しないフレーム、ガスケット、押し板を介してレドックスフロー電池を組み立てた。
 このようにして組み上げたレドックスフロー電池にバナジウムイオン(V3+、V4+)濃度1.8Mの電解液20mLを二つ用意し、電池に送り込む電解液を水浴に入れ、浴温を25℃とし、チューブポンプで電解液をそれぞれ正極と負極に送り込み、正極側集電板及び負極側集電板を電源に接続し、80mA/cmの電流密度で室温下(25℃)にて充放電を行った。カットオフ電圧は充電が1.75V、放電が1.00Vである。初めの1サイクル目は、バナジウムイオンの価数が正極では+5価から+4価、負極では+2価から+3価への変化が加わるので1.26Vの起電力であった。20mlの1.8M電解液の電池容量は、およそ計算上は1Ahである。2サイクル目は0.975Ahであった。3サイクルの充放電曲線を用いてセル抵抗率を計算した。その結果を表1に示す。
 [実施例2]
 液流入層43として、平均厚さ0.56mm、面方向の透過率が8.05×10-11であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:TGP-H-090を2層重ね合わせて作製したもの。)、液流出層3として、平均厚さ0.19mm、面方向の透過率が4.50×10-11であるカーボンファイバーペーパー(SGL社製:1層のGDL29AAを使用。)を用意した。これ以外は、実施例1と同様にしてレドックスフロー電池を組み立て、実施例1と同様にセル抵抗率を算出した。その結果を表1に示す。
 [実施例3]
 液流入層43として、平均厚さ0.56mm、面方向の透過率が8.05×10-11であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:TGP-H-090を2層重ね合わせて作製したもの。)、液流出層3として、平均厚さ0.33mm、面方向の透過率が1.18×10-10であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製: TGP-H-030を3層重ね合わせて作製したもの。)を用意した。これ以外は、実施例1と同様にしてレドックスフロー電池を組み立て、実施例1と同様にセル抵抗率を算出した。その結果を表1に示す。
 [実施例4]
 液流入層43として、平均厚さ0.37mm、面方向の透過率が7.10×10-11であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-120を使用。)、液流出層3として、平均厚さ0.11mm、面方向の透過率が1.18×10-10であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-030を使用。)を用意した。これ以外は、実施例1と同様にしてレドックスフロー電池を組み立て、実施例1と同様にセル抵抗率を算出した。その結果を表1に示す。
 [実施例5]
 液流入層43として、平均厚さ0.28mm、面方向の透過率が8.05×10-11であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-090を使用。)、液流出層3として、平均厚さ0.11mm、面方向の透過率が1.18×10-10であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-030を使用。)を用意し、さらに、液流入層1と主電極層2との間に配設する整流層4として、平均厚さ0.19mm、厚さ方向の透過率が4.50×10-11であるカーボンファイバーペーパー(SGL社製:1層のGDL29AAを使用。)を用意した。これ以外は、実施例1と同様にしてレドックスフロー電池を組み立て、実施例1と同様にセル抵抗率を算出した。その結果を表1に示す。
 [比較例1]
 液流入層43として、平均厚さ0.28mm、面方向の透過率が8.05×10-11であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-090を使用。)、液流出層3として、平均厚さ0.33mm、面方向の透過率が1.18×10-10であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:TGP-H-030を3層重ね合わせて作製したもの。)を用意した。これ以外は、実施例1と同様にしてレドックスフロー電池を組み立て、実施例1と同様にセル抵抗率を算出した。その結果を表1に示す。
 [比較例2]
 液流入層43として、平均厚さ0.28mm、面方向の透過率が8.05×10-11であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:1層のTGP-H-090を使用。)、液流出層3として、平均厚さ0.44mm、面方向の透過率が1.18×10-10であるカーボンファイバーペーパー(東レ株式会社製:TGP-H-030を4層重ね合わせて作製したもの。)を用意した。これ以外は、実施例1と同様にしてレドックスフロー電池を組み立て、実施例1と同様にセル抵抗率を算出した。その結果を表1に示す。なお、表1中のセル抵抗率の数値は、比較例1のセル抵抗率を1.00(基準)としたときの相対値(指数比)で示してある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1の結果から、液流出層の厚さが液流入層の厚さよりも小さい実施例1~5は、いずれも液流出層の厚さが液流入層の厚さよりも大きい比較例1および2に比べて、セル抵抗率が低くなることがわかる。また実施例1~3と比較例1、2の液流入層の透過率と主電極層の透過率の比は同程度であるが、液流出層の厚さが液流入層の厚さよりも小さいほうが、セル抵抗率が小さくなる傾向を呈した。さらに実施例3,4と比較例1、2の液流出層の透過率と主電極層の透過率の比が同じである場合も液流出層の厚さが液流入層の厚さよりも小さいほうが、セル抵抗率が小さくなる傾向を呈した。以上から、液流出層の厚さが液流入層の厚さよりも小さくすることにより、セル抵抗率が低減されたことがわかる。
 1 液流入層
 2 主電極層
 3 液流出層
 4 整流層
 10 電極
 11 流入管
 12 流出管
 20、40 集電板
 41 液流入部
 42 流路
 43 液流入層
 100、200、300 レドックスフロー電池
 

 

Claims (9)

  1.  電解液が流入する液流入層と、電解液が流出する液流出層と、前記液流入層と前記液流出層との間に配置される主電極層とを備え、前記液流出層の厚さが前記液流入層の厚さよりも小さい、レドックスフロー電池の電極。
  2.  前記電極は、前記主電極層の厚さ方向に、前記液流入層側の面から前記液流出層側の面へ向かって前記電解液が通過するように構成される、請求項1に記載のレドックスフロー電池の電極。
  3.  前記液流入層の面方向におけるダルシー則透過率は、前記主電極層の厚さ方向におけるダルシー則透過率よりも大きい、請求項1または2に記載のレドックスフロー電池の電極。
  4.  前記主電極層は、平均繊維径が1000nm以下であるカーボンナノチューブを含む導電性シートからなる、請求項1、2または3に記載のレドックスフロー電池の電極。
  5.  前記液流入層は導電性を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
  6.  前記液流入層の厚さは、0.25mm以上0.60mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
  7.  前記液流出層の厚さは、0.10mm以上0.35mm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
  8.  前記液流入層と前記主電極層との間に、整流層をさらに備え、
     前記整流層は、厚さ方向のダルシー則透過率が、前記液流入層の面方向の透過率よりも小さい、請求項1~7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池の電極。
  9.  イオン交換膜と、請求項1~8のいずれか1項に記載の電極と、集電板とをこの順で備え、前記電極は、前記液流入層が前記集電板側、前記液流出層が前記イオン交換膜側になるように配置される、レドックスフロー電池。
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