JP2021121984A - レドックスフロー電池用電極シート及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池 - Google Patents

レドックスフロー電池用電極シート及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池 Download PDF

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Abstract

【課題】セル抵抗率を低減することができるレドックスフロー電池用電極シートを提供すること。【解決手段】平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブとを含む、レドックスフロー電池用電極シートであって、前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ全体の含有酸素量が0.3質量%以下であり、前記第2カーボンナノチューブの含有酸素量が1.2質量%以下である、レドックスフロー電池用電極シート。【選択図】なし

Description

本発明は、レドックスフロー電池用電極シート及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池に関し、特にカーボンナノチューブを含むレドックスフロー電池用電極シート及びその製造方法、並びにそのレドックスフロー電池用電極シートを含むレドックスフロー電池に関する。
大容量蓄電池としてレドックスフロー電池が知られている。レドックスフロー電池は、一般に電解液を隔てるイオン交換膜と、そのイオン交換膜の両側に設けられた電極とを有する。そして、酸化還元により価数が変化する金属イオン(活物質)を含有する電解液を使用して、一方の電極上で酸化反応、他方の電極上で還元反応を同時に進めることにより充放電を行うことができる。
定置型蓄電池は、小型かつ高出力であることが求められている。そのため、レドックスフロー電池は、高い電流密度が求められる。電流密度に影響する要因の一つとしてセル抵抗率がある。セル抵抗率は、電流が流れるすべての要素において発生する抵抗値等を総合した結果として定まる数値である。セル抵抗率に寄与する要素としては、例えば、集電板の電気抵抗、電極の電気抵抗、電極と集電板の接触抵抗、電極表面での反応抵抗、電解液中でのイオン移動抵抗、イオン交換膜中のプロトン移動抵抗等が主なものである。電極表面での反応抵抗は、特に制御し難い。レドックスフロー電池の電極表面では、活物質である金属イオンの価数が変化するときに電子を電極に渡す(又は受け取る)が、その後、価数が変化した金属イオン(を含む電解液)が電極表面から速やかに取り除かれる必要がある。そのため、レドックスフロー電池は、均一かつ一方向に一定の速度で電解液が流れるように構成することが好ましい。
従来、レドックスフロー電池のカーボン電極では、OH基やCOOH基等の官能基を介して反応が行われていると考えられている。例えば、特許文献1には、電解液との濡れ性を高めて、電気化学反応を良好に行うために、親水性を高めるための熱処理を多孔質板に施すことが開示されている。また、特許文献2には、熱処理以外の表面改質処理として、炭素繊維、黒鉛繊維または炭素繊維/黒鉛繊維(複合繊維)からなる繊維布の表面を、プラズマ処理、光化学処理、またはイオン注入処理することが開示されている。また、特許文献3には、炭素材料から形成される電極を清浄化し、改良された活性触媒部位としての機能を果たす炭素表面を形成させるために、従来の熱処理及び/または化学処理法を電極に施して活性化することが開示されている。また、特許文献4には、電極材料に含まれるカーボンナノチューブの表面を親水化することが開示されている。
特開2017−10809号公報 特許第3167295号公報 国際公開第2013/096276号 国際公開第2015/072452号
上述したように、レドックスフロー電池においては、電極での反応性を改善するために、電極の表面に酸素を含むOH基、COOH基等の官能基を付けている。しかしながら、電極の表面に付着している当該官能基の量が増え過ぎると、電極の親水性が大きくなりすぎ、電荷授受を終えた活物質である金属イオンの電極表面からの移動が遅くなり、セル抵抗率が十分に低下しないことがわかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、セル抵抗率を低減することができるレドックスフロー電池用電極シート及びその製造方法、並びにセル抵抗率が低いレドックスフロー電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
(1)平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブとを含む、レドックスフロー電池用電極シートであって、前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ全体の含有酸素量が0.3質量%以下であり、前記第2カーボンナノチューブの含有酸素量が1.2質量%以下である、レドックスフロー電池用電極シート。
(2)前記第2カーボンナノチューブが、前記カーボンナノチューブ全体に対し、1〜30質量%含まれる、(1)に記載のレドックスフロー電池用電極シート。
(3)前記カーボンナノチューブ全体の含有酸素量が0.2質量%以下である、(1)または(2)に記載のレドックスフロー電池用電極シート。
(4)前記第2カーボンナノチューブの含有酸素量が0.2質量%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のレドックスフロー電池用電極シート。
(5)前記第1カーボンナノチューブの表面に前記第2カーボンナノチューブが付着し、前記第2カーボンナノチューブが、複数の前記第1カーボンナノチューブ間に絡まっている、(1)〜(4)のいずれかに記載のレドックスフロー電池用電極シート。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のレドックスフロー電池用電極シートと、電解液を前記電極シートに流入させる電解液流入部と、前記電極シートとの間で電子の授受を行う集電部と、前記電極シートを通過した前記電解液を流出させる電解液流出部材と、イオン交換膜とを備える、レドックスフロー電池。
(7)平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと、平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブと、を混合する混合工程と、前記混合工程で混合されたカーボンナノチューブをシート状に成形する成形工程とを備える、レドックスフロー電池用電極シートの製造方法であって、前記混合工程の前に、前記第2カーボンナノチューブを、不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気下で、2500℃以上3300℃以下で加熱する酸素低減工程を行う、レドックスフロー電池用電極シートの製造方法。
(8)前記酸素低減工程は、前記第2カーボンナノチューブを、不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気下で、2800℃以上3300℃以下、0.5時間以上加熱する、(7)に記載のレドックスフロー電池用電極シートの製造方法。
(9)前記混合工程では、前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを含む媒体中で、前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを分散させて分散液とし、前記成形工程は、前記分散液から前記媒体を除去し、前記媒体が除去された固形分をシート状に成形する(7)または(8)に記載のレドックスフロー電池用電極シートの製造方法。
本発明によれば、セル抵抗率を低減することができるレドックスフロー電池用電極シート及びその製造方法、並びにセル抵抗率が低いレドックスフロー電池を提供することができる。
本発明の実施形態にかかるレドックスフロー電池用電極シートの製造方法の一例を示すフロー図である。 レドックスフロー電池の構成の一例を示した概略図である。 レドックスフロー電池の電池セルの構成の一例を示した概略図である。 電池セルに含まれる電解液流入部を、集電板側から見た図である。
以下、本発明を適用したレドックスフロー電池用電極シート、その製造方法、及び本発明の一例としての電極シートを用いたレドックスフロー電池について説明する。なお、図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、含有酸素量が少ないカーボンナノチューブを用いたカーボン電極の方が、OH基やCOOH基等の官能基を大量に導入した炭素繊維を用いたカーボン電極よりも優れた特性を示すことが明らかになった。また、カーボンナノチューブを用いたカーボン電極のうち、エッジやベーサル面の欠陥部分に生成される酸素を含む官能基が少ないカーボンナノチューブを用いたカーボン電極が、セル抵抗率を下げて高電流密度を達成できることが明らかになった。親水性を示す官能基が減少したことによって金属イオンの電極表面からの移動が容易になったために、セル抵抗率を低減して高電流密度を達成できたと考えられる。
ここで「酸素」とは、特に断りがなければ、分子としての酸素ではなく、酸素原子を指すものとし、「含有酸素量」とは、対象とするものに含まれる酸素原子の質量基準の含有量(例えば、質量%)を意味する。
カーボンナノチューブの「平均繊維径」は、透過型電子顕微鏡にて、ランダムに抽出した100本の繊維の直径を測定し、それらの算術平均値として求めた値である。また、「平均繊維長」は、透過型電子顕微鏡にて、ランダムに抽出した100本の繊維の長さを測定し、それらの算術平均値として求めた値である。
以下の実施形態において用いられるカーボンナノチューブは、炭素の六員環ネットワーク(グラフェンシート)が管状に形成されたものであれば、単層(single walled nanotube、SWNT)及び多層(multi walled nanotube、MWNT)のいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。
<1.電極シート>
<1−1.カーボンナノチューブの配合>
本実施形態に係るレドックスフロー電池用電極シート(以下、単に「電極シート」ともいう)は、平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブとを含む。電極シートに含まれるカーボンナノチューブは、平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブ及び平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブのみからなることが好ましい。
平均繊維径が大きい第1カーボンナノチューブと平均繊維径が小さい第2カーボンナノチューブとを含むことで、繊維径分布の広いカーボンナノチューブが得られる。繊維径分布の広いカーボンナノチューブは、それぞれのカーボンナノチューブが絡まって付着し、複数の太いカーボンナノチューブが、細いカーボンナノチューブを介して物理的に結び付いたネットワーク(以下、物理的ネットワークとする)を得られやすくなると考えられる。電池に組み込まれ、長期間使用されても、それぞれのカーボンナノチューブの間の結合を維持することができると考えられる。それにより、太いカーボンナノチューブが導電の主材料として機能し、さらに細いカーボンナノチューブが、それぞれの太いカーボンナノチューブ間を電気的に繋ぎ、導電経路を効率的にサポートすると考えられる。さらに、導電性の主となる太いカーボンナノチューブ間の空隙を細いカーボンナノチューブが埋めることができ、より電極の導電性を高めることができると考えられる。電極の導電性を高めると、レドックスフロー電池のセル抵抗率が低下し、大電流での入出力特性を向上させることができる。
上記記載にある「付着」とは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)で電極を観察すると、第1カーボンナノチューブの表面に第2カーボンナノチューブが接触しているように見える状態のことを言う。また、第2カーボンナノチューブの少なくとも一部が、2本以上の第1カーボンナノチューブと交差するような構造が確認できるとき、電極が「絡まった構造を有する」と判断する。
第1カーボンナノチューブの平均繊維径は、好ましくは100〜300nm、より好ましくは100〜200nm、さらに好ましくは100〜150nmである。第1カーボンナノチューブの平均繊維長は、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜25μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。
第2カーボンナノチューブの平均繊維径は、1〜30nm、好ましくは5〜25nm、より好ましくは5〜20nmである。第2カーボンナノチューブの平均繊維長は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜8μm、さらに好ましくは0.2〜5μmである。
第1カーボンナノチューブ及び第2カーボンナノチューブの平均繊維径がそれぞれ上記範囲であると、電極シートとしてより高い強度及び高い導電性を維持できる構造となる。これは、第1カーボンナノチューブが幹となり、第2カーボンナノチューブが、複数の第1カーボンナノチューブ間に枝状に懸架されるためである。第1カーボンナノチューブの平均繊維径が100nm以上であると、幹が安定となり電極の構造に割れが生じにくくなり、十分な強度を保つことが容易になる。第2カーボンナノチューブの平均繊維径が30nm以下であると、第2カーボンナノチューブが十分に第1カーボンナノチューブに絡まることができ、導電性が向上する。
第2カーボンナノチューブの含有量が多ければ、細いカーボンナノチューブの含有量が増加するため、太いカーボンナノチューブを効果的に結びつけることができると考えられる。この観点から、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとの合計量に対する第2カーボンナノチューブの含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
第2カーボンナノチューブの含有量を抑えることで、太いカーボンナノチューブの含有量の低下を防ぎ、電極層は強度及び導電性の低下を抑制することができる。これは、太いカーボンナノチューブによる、電極層の強度及び導電性維持への寄与が大きいためである。この観点から、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとの合計量に対する第2カーボンナノチューブの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとの合計量に対する第2カーボンナノチューブの含有量については、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブの仕込み量をもとに算出可能であるが、電極を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、予め混合比が確定されている電極の観察像と比較することにより、算出してもよい。
<1−2.カーボンナノチューブの含有酸素量>
第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ全体の含有酸素量は、0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。カーボンナノチューブの親水性が上がるのを抑制し、後述する電解液に含まれる反応後のイオンを効率よく電極シートから除去し、排出することで、レドックスフロー電池のセル抵抗率を低減することができるためである。
カーボンナノチューブは、カーボンファイバー等と比較して、含有酸素量が非常に少ないが、カーボンナノチューブの間でも、一般的に、平均繊維径が異なると、含有酸素量が異なる傾向がある。
製造工程上の理由も大きいと考えられるが、平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブは、含有酸素量の少ないものが一般的に入手しやすく、含有酸素量は通常0.3質量%以下である。一方で、平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブの含有酸素量は、通常1.8〜2.5質量%程度である。
このように、平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブは、第1カーボンナノチューブに比べて、含有酸素量が多いのが通常である。そして、このようなカーボンナノチューブを電極材に用いる場合に、カーボンナノチューブの含有酸素量はこれまで全く認識されておらず、コスト上の問題もあることから、カーボンナノチューブの含有酸素量を低減させる処理はなされてこなかった。本発明者らは、第2カーボンナノチューブの含有酸素量を1.2質量%以下に低減させることにより、電極シートを用いたレドックスフロー電池のセル抵抗率を大幅に低減できることを明らかにした。
第1カーボンナノチューブの含有酸素量は、特に限定されないが、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。第1カーボンナノチューブの含有酸素量を少なくすることにより、電極シートを用いたレドックスフロー電池のセル抵抗率が高くなるのを抑制することができる。
第2カーボンナノチューブの含有酸素量は、1.2質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。第2カーボンナノチューブの含有酸素量を少なくすることにより、電極シートを用いたレドックスフロー電池のセル抵抗率を大幅に低減することができる。
なお、カーボンナノチューブの含有酸素量は、昇温脱離ガス分析装置、不活性ガス融解−赤外線吸収測定装置等を用いて、測定することができる(具体的な測定装置の例については実施例にて後述する)。
<1−3.カーボンナノチューブ以外の成分>
電極シートにはカーボンナノチューブ以外のカーボン材料(以下、「他のカーボン材料」とする)を含んでいてもよい。電極シートにおける他のカーボン材料の含有量は、第1カーボンナノチューブ及び第2カーボンナノチューブの合計100質量部に対し、好ましくは400質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。他のカーボン材料が少ない方が、電極シートを用いたレドックスフロー電池のセル抵抗率を低減することができるためである。また、より大きな空隙を電極に付与して電解液の通液性を制御したり、シート状に成形される電極に強度を持たせたりするために、他のカーボン材料は、グラファイト、カーボンファイバー等の導電性のカーボン添加物を含んでいても良い。
電極に含まれる上記カーボン添加物としては、耐酸性、耐酸化性、及びカーボンナノチューブとの混合しやすさから、導電性のカーボンファイバーを含むことが好ましい。カーボンファイバーの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以下であり、より好ましくは10Ω・cm以下である。カーボンファイバーの体積抵抗率は、日本工業規格 JIS R7609:2007に記載の方法により測定することができる。電極シートは、カーボンナノチューブとそれ以外の導電性材料とが占める領域を除いた空間の割合(空隙率)を70体積%以上90体積%以下とすることが好ましい。当該割合(空隙率)を上記範囲にすることによって、電極シートの導電性と電解液の通液性を両立することができる。
電極シートに含まれるカーボンファイバーの平均繊維径は、1μmより大きいことが好ましい。カーボンナノチューブよりも平均繊維径が太いカーボンファイバーを用いると、電解液を電極シートに通液させた時の圧力損失を小さくすることができる。カーボンファイバーの平均繊維径は、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜30μmである。カーボンファイバーの平均繊維長は、好ましくは0.01〜20mm、より好ましくは0.05〜8mm、さらに好ましくは0.1〜1mmである。
電極シートに含まれるカーボンナノチューブ100質量部に対するカーボンファイバーの含有量は、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは70質量部以上である。カーボンファイバーの添加による上記効果を得るためである。また、電極シートに含まれるカーボンナノチューブ100質量部に対するカーボンファイバーの含有量は、好ましくは250質量部以下であり、より好ましくは150質量部以下である。カーボンナノチューブの添加による効果を十分に得るためである。
さらに、電極シートは、水溶性導電性高分子を含んでいてもよい。水溶性導電性高分子は、後述する製造方法において、カーボンナノチューブを媒体中に分散させるときに、カーボンナノチューブの表面を親水化し分散を助ける。ただし、カーボンナノチューブの表面を親水化する程度は、OH基やCOOH基がカーボンナノチューブの表面に直接結合するのに比べると非常に小さい。水溶性導電性高分子としては、スルホン基を有する導電性高分子が好ましく、具体的にはポリイソチアナフテンスルホン酸を挙げることができる。
電極シート中の水溶性導電性高分子の含有量は、電極シート中のカーボンナノチューブの含有量100質量部に対して、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。水溶液中でカーボンナノチューブ及び水溶性導電性高分子を混合して電極を得る場合、水溶性導電性高分子の単分子層がカーボンナノチューブの表面に形成されるので、水溶性導電性高分子は多くの量を必要としないためである。また、電極シート中の水溶性導電性高分子の含有量は、電極シート中のカーボンナノチューブの含有量100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましい。水溶性導電性高分子の添加による上記効果が十分に得られるためである。
<2.電極シートの製造方法>
図1は、本実施形態にかかるレドックスフロー電池用電極シートの製造方法の一例を示したフロー図である。この一例にかかる製造方法は、平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと、平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブとを混合し、媒体中に分散させて分散液を得る混合・分散工程S20と、この分散液を濾過する濾過工程S30と、濾過工程S30によって得られた固形分をシート状に成形する成形工程S40と、カーボンナノチューブ混合物を乾燥する乾燥工程S50と、を含む。また、この例における製造方法では、混合・分散工程S20の前に、必要に応じて第1カーボンナノチューブの含有酸素量を低減する第1酸素低減工程S11及び/または第2カーボンナノチューブの含有酸素量を低減する第2酸素低減工程S12を含んでもよい(図1では、いずれも含む場合を示している)。図1に示される製造工程は、一例であり、必要に応じて、さらに図1に示されていない工程を追加してもよい。
第1酸素低減工程S11では、第1カーボンナノチューブの含有酸素量を、低減させる処理を行う。第1酸素低減工程S11後の第1カーボンナノチューブの含有酸素量は、上で説明した電極シートに含まれる第1カーボンナノチューブの含有酸素量について説明した通りである。なお、上述したように、電極シートの材料として使用される平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブは、通常、含有酸素量が0.3質量%以下で十分低い。このような場合、第1酸素低減工程S11を行わなくてもよい。第1カーボンナノチューブの含有酸素量が、0.3質量%を超える場合は、第1酸素低減工程S11を行うことが好ましい。
第1酸素低減工程S11として、具体的には、第1カーボンナノチューブをアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガス、または還元性ガスの雰囲気下で熱処理することが好ましい。熱処理温度は、2500℃以上であることが好ましく、2600℃以上であることがより好ましく、2700℃以上であることがさらに好ましく、2800℃以上であることが特に好ましい。第1カーボンナノチューブに含まれる酸素を十分に除去するためである。また、熱処理温度は、3300℃以下であることが好ましい。第1カーボンナノチューブの昇華を抑制し、高い収率・歩留まりを確保するためである。熱処理時間については、第1カーボンナノチューブの含有酸素量を低減する点から、上記熱処理温度範囲内で、0.5時間以上保持することが好ましく、2.5時間以上保持することがより好ましく、3時間以上保持することがさらに好ましい。熱処理時間の上限は、特に限定されないが、上記熱処理温度範囲内での保持時間は、3時間以下が好ましい。第1カーボンナノチューブの昇華を抑制し、高い収率・歩留まりを確保すること、及び電気代等の製造コスト削減のためである。
第2酸素低減工程S12では、第2カーボンナノチューブの含有酸素量を、低減させる処理を行う。第2酸素低減工程S12後の第2カーボンナノチューブの含有酸素量は、上で説明した電極シートに含まれる第2カーボンナノチューブの含有酸素量について説明した通りである。なお、原料として用いる第2カーボンナノチューブの酸素含有量が十分に少ない場合は、第2酸素低減工程S12を行わなくてもよい。第2酸素低減工程S12として、具体的には、第2カーボンナノチューブをアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガス、または還元性ガスの雰囲気下で熱処理することが好ましい。熱処理温度及び時間については第1酸素低減工程S11と同様である。
上述したように、平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブの含有酸素量は、一般的に1.8〜2.5質量%程度である。このような場合、第2カーボンナノチューブは、第2酸素低減処理工程S12を行う必要があり、第2カーボンナノチューブの含有酸素量を1.2質量%以下に低減させる。ただし、原料として用いる第2カーボンナノチューブの含有酸素量が1.2質量%以下であれば、第2酸素低減工程S12を行わなくてもよい。
混合・分散工程S20における、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとの合計添加量に対する第2カーボンナノチューブの添加量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとの合計添加量に対する第2カーボンナノチューブの添加量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとの合計量に対する第2カーボンナノチューブの含有量を上記範囲にするためである。
混合・分散工程S20では、第1カーボンナノチューブ及び第2カーボンナノチューブを媒体中に分散させた分散液を作製する。媒体は、液体であり、後述する乾燥工程S50において気化させることができれば特に限定されないが、水であることが好ましく、純水であることがより好ましい。分散液の作製は、湿式ジェットミル等のせん断力、衝撃力を与える装置、超音波照射装置、あるいはこれらを併用して行うことが好ましい。湿式ジェットミルで処理する場合は、水溶液が超高速でノズルを通過することによって乱流による強いせん断力が生じ、そのせん断力で平均繊維径が異なるカーボンナノチューブを十分に分散させることができる。ノズルの圧力は、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150〜250MPaである。この範囲であれば、第1カーボンナノチューブの損傷を抑えつつ、第2カーボンナノチューブを十分に分散させることができる。湿式ジェットミルとしては、例えば、株式会社スギノマシン製スターバースト等を用いることができる。
混合・分散工程S20では、混合する順番は特に限定されず、例えば、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとを乾式混合した後に、媒体を混合し、カーボンナノチューブの分散処理をしてもよく、第1及び第2カーボンナノチューブのいずれか一方を媒体中に分散させた後に、他方を媒体中に分散させてもよく、これらの成分を同時に混合及び分散させてもよい。
濾過工程S30では、混合・分散工程S20によって得られた分散液を濾過し、分散液から媒体を除去し、カーボンナノチューブを含む固形分を回収する。回収された固形分は必要に応じて脱水(脱媒体)してもよい。
成形工程S40では、濾過工程S30によって得られた固形分をシート状に成形し、成形体を作製する。成形方法としては、例えば、プレス成形、ロール成形等が挙げられるがこれに限られない。
乾燥工程S50では、成形工程S40によって得られた成形体を乾燥し、電極シートを得る。乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、真空乾燥、送風室温乾燥等があり、電極シートの性質及び状態を考慮して適宜選択可能である。
得られた電極は、ほぐれたカーボンナノチューブが他のカーボンナノチューブと絡まり、細いカーボンナノチューブが複数の太いカーボンナノチューブに絡まった構造を有する。その結果、製造された電極は、その後の取り扱いの際にも形状を維持することが容易であり、目的とする用途での使用に耐えることができる。形状をより安定に維持するためには、上述したように、電極にカーボンファイバーを加えてもよい。特に大きな形状の電極を形成する場合、電極の強度が強くなり有効である。
<3.レドックスフロー電池の構成>
図2は、レドックスフロー電池1の構成の一例を示した概略図である。本実施形態の電極シートは、後述する正極120及び負極130の電極層として用いられており、詳細については図3を参照しながら後述する。この例で示されるレドックスフロー電池1は、正極電解液としてV5+/V4+を含む溶液(例えば、硫酸バナジウム(V)/(IV)水溶液)を、負極電解液として、V3+/V2+を含む溶液(例えば、硫酸バナジウム(III)/(II)水溶液)を用いているがこれに限られない。レドックスフロー電池1は、電池セル100と、正極タンク200と、正極供給配管210と、正極排出配管220と、正極ポンプ230と、負極タンク300と、負極供給配管310と、負極排出配管320と、負極ポンプ330と、制御部(図示せず)とを備える。なお、ここで示すレドックスフロー電池の構成は一例にすぎず、必要に応じて、インバータ、コンバータ、各種センサ、冷却装置等の構成を加えてもよい。
電池セル100は、ケース110と、正極120と、負極130と、イオン交換膜140とを備える。正極120は、電気配線520に接続され、負極130は電気配線530と接続され、電気配線520及び530は発電機、あるいは外部装置等の負荷に接続されている。以下、充放電時における電池セル100内での反応及び電荷の移動について説明する。電池セル100に含まれる部材の構成の詳細については図3を参照しながら後述する。図2において、イオンの価数変化、プロトンH及び電子eの移動方向を示す矢印は、実線が充電時、点線が放電時の場合を示している。
充電時、正極120においては正極電解液に含まれるイオンがV4+からV5+へと酸化され、負極130においては、負極電解液に含まれるイオンがV3+からV2+へと還元される。したがって、充電時は正極120からは電気配線520を介して電子eが外部に放出され、負極130には、電気配線530を介して電子eが外部から流入する。また、対カチオンとして、プロトンHが電池セル100内で正極120から負極130へとイオン交換膜140を介して移動する。
放電時、負極130においては負極電解液に含まれるイオンがV2+からV3+へと酸化され、正極120においては、正極電解液に含まれるイオンがV5+からV4+へと還元される。したがって、放電時は負極130からは電気配線530を介して電子eが外部に放出され、正極120には、電気配線520を介して電子eが外部から流入する。また、対カチオンとして、プロトンHが電池セル100内で負極130から正極120へとイオン交換膜140を介して移動する。
正極タンク200は、正極電解液を貯蔵する。正極タンク200の容量を後述する負極タンク300の容量とともに大きくすることで、レドックスフロー電池1の充放電容量を大きくすることができる。また、正極タンク200は、複数設けられていてもよい。
正極供給配管210は、正極タンク200、及び電池セル100の正極120に接続される。正極供給配管210は、正極タンク200から正極120へ、正極電解液を輸送するための経路を形成する。
正極排出配管220は、正極タンク200、及び電池セル100の正極120に接続される。正極排出配管220は、正極120から正極タンク200へ、正極電解液を輸送するための経路を形成する。
正極ポンプ230は、正極電解液を、正極タンク200及び正極120を含む経路で循環させる。図2において、正極ポンプ230は、正極供給配管210内に設けられているが、正極電解液を循環させることができる範囲で、図示された場所に限定されない。
負極タンク300は、負極電解液を貯蔵する。負極タンク300は、複数設けられていてもよい。
負極供給配管310は、負極タンク300、及び電池セル100の負極130に接続される。負極供給配管310は、負極タンク300から負極130へ、負極電解液を輸送するための経路を形成する。
負極排出配管320は、負極タンク300、及び電池セル100の負極130に接続される。負極排出配管320は、負極130から負極タンク300へ、負極電解液を輸送するための経路を形成する。
負極ポンプ330は、負極電解液を、負極タンク300及び負極130を含む経路で循環させる。図2において、負極ポンプ330は、負極供給配管310内に設けられているが、正極電解液を循環させることができる範囲で、図示された場所に限定されない。
制御部(図示せず)は、各種入力信号を処理して、レドックスフロー電池1の各部を動作させるための出力信号を送信する。入力信号としては、例えば、各装置に設けられたセンサからの信号、操作部等を介したユーザーからの入力に基づく信号等が挙げられる。信号処理は、CPU等の演算部が、メモリ等の記憶部に格納されたプログラムを実行すること等によって行われる。出力信号は、電気信号により動作可能な各デバイスに送信される。このようなデバイスとしては、例えば、正極ポンプ230、負極ポンプ330が挙げられるが、これらに限られない。
<4.電池セルの構成>
図3は、レドックスフロー電池1に含まれる電池セル100の構成の一例を示した概略図である。電池セル100は、ケース110と、正極120と、負極130と、イオン交換膜140とを備える。
ケース110は、正極120と、負極130と、イオン交換膜140と、正極電解液と、負極電解液とをその内部に収める容器である。ケース110の形状、サイズ等は、レドックスフロー電池1の仕様、設置条件、製品デザイン等に応じて適宜設計可能である。また、ケース110の材質は、正極電解液及び負極電解液の種類、使用環境等に応じて適宜選択可能であり、2層構造等の適用も可能である。
正極120は、正極集電板(集電部)121と、正極電解液流入部122と、正極電極層123と、正極電解液排出部124と、を備える。負極130は、負極集電板(集電部)131と、負極電解液流入部132と、負極電極層133と、負極電解液排出部134と、を備える。
ここで示されているレドックスフロー電池1においては、正極120及び負極130は同じ部材構成を有し、供給される電解液のみが異なる。そのため、ここでは、正極120、負極130の構成について同時に説明し、各構成について以下のように総称することがある。正極120及び負極130を電極120(130)、正極集電板121及び負極集電板131を集電板121(131)、正極電解液流入部122及び負極電解液流入部132を電解液流入部122(132)、正極電極層123及び負極電極層133を電極層123(133)、正極電解液排出部124及び負極電解液排出部134を電解液排出部124(134)とすることがある。また、ここで挙げた構成以外でも正極側と負極側とで同様の構成についてはここで示したように総称することがある。
集電板121(131)は、後述する電極層122(132)から受け取った電子eを、電気配線520(530)を介して外部へ放出し、電気配線520(530)を介して外部から流入した電子eを電極層122(132)に受け渡す集電体である。集電板121(131)は、平板状のものに限られず、仕様等に応じて適宜加工されたもの等を用いることができる。図3に示されている例においては、集電板121(131)の他の電極に対向する側の面(正極集電板121においては負極集電板131に対向する面、負極集電板131においては正極集電板121に対向する側の面)に、後述する電解液流入部122(132)を収納するための凹部が設けられている。集電板121(131)の材質としては、例えば炭素を含有する導電性材料を用いることができる。具体的には、黒鉛とポリオレフィン等の熱可塑性樹脂とからなる導電性プラスチック、又は黒鉛とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらのうち、板状にプレス成形できることを考えると、黒鉛と熱可塑性樹脂とを混練成形した成形材を用いることが好ましく、アセチレンブラックのように導電性の高いカーボンブラックを混ぜてもよい。
電解液流入部122(132)は、集電板121(131)に設けられた上記凹部に設けられ、供給配管210(310)から流入した電解液を、後述する電極層123(133)に通液する。電解液流入部122(132)は、外枠122a(132a)と、支持部材122b(132b)と、底部122c(132c)とを備える。
外枠122a(132a)及び支持部材122b(132b)は、集電板121(131)と電極層123(133)との間に電解液を流すために、これらの部材の間隔を保持する。外枠122a(132a)及び支持部材122b(132b)は、集電板121(131)側から見た場合に電解液の流路を形成する。外枠122a(132a)、支持部材122b(132b)及びこれらの部材によって形成される流路については図4を参照しながら後述する。外枠122a(132a)及び支持部材122b(132b)の材質は、電極層123(133)と集電板121(131)との間で電子の授受を容易にするため導電性を有することが好ましい。外枠122a(132a)及び支持部材122b(132b)は、集電板121(131)と同じ材質としてもよい。また、部品点数削減のために外枠122a(132a)及び支持部材122b(132b)を集電板121(131)と一体化しても良い。
図4は、電池セル100に含まれる電解液流入部122(132)を、集電板121(131)側から見た図である。ここでは上下方向、左右方向は図中の方向と同じであり、紙面手前方向を手前方向、紙面奥方向を奥方向とする。外枠122a(132a)は、長方形の額縁状の形状を有する。外枠122a(132a)の下側の一端に、供給配管210(310)と接続し、電解液を電解液流入部122(132)に導入するための導入孔C1が設けられている。支持部材122b(132b)は、複数設けられており、それぞれ間隔をあけて外枠122a(132a)の左右両側の辺から内側に向かって延びる。図4に示される例においては、導入孔C1から図中上方向に延びる直線上には支持部材122b(132b)は形成されていない。
この構成により、電解液流入部122(132)内において、導入孔C1から上方向に延びる幹流路C2、及び幹流路C2において間隔をなして左右に延びる複数の枝流路C3が形成される。幹流路C2及び枝流路C3の奥側には後述する底部122c(132c)が形成されている。これらの流路C1〜C3により電解液は電解液流入部122(132)内に広範囲に行き渡り、後述する底部122c(132c)を介して、電極層123(133)の広範囲に十分に電解液を供給することができる。
図4に示される例では、外枠122a(132a)及び支持部材122b(132b)の組は、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。この間隔が電解液の排出流路C4を形成する。排出流路C4は、後述する底部122c(132c)、電極層123(133)、及び電解液排出部124(134)を貫通して設けられている。排出流路C4は、排出配管220(320)に接続される。
ここで説明した電解液流入部122(132)の電解液の流路形状は、一例であり、これに限られず、例えば、導入孔C1から流路を放射状に形成させてもよい。また、正極電解液流入部122と負極電解液流入部132で異なる形状の流路を有していてもよい。
再び図3に戻る。底部122c(132c)は、支持部材122b(132b)と後述する電極層123(133)との間に設けられている。この例においては、底部122c(132c)は、集電板121(131)に平行に設けられた平板であるが、これに限られない。底部122c(132c)は電解液を電極層123(133)へと透過させる。底部122c(132c)の材料は、電解液流入部122(132)の電極層123(133)に図中左右方向(正極120においては右方向、負極130においては左方向)の電解液の透過率(以下、透過率については同様の意味で、単に「透過率」とすることもある)と電極層123(133)の同透過率との比を考慮して選択することが好ましい。
ここで、透過率k(m)は、粘度μ(Pa・sec)の電解液を通液させる部材の断面積S(m)、部材の長さL(m)、流量Q(m/sec)で通液した際の部材の液流入側と液流出側との差圧ΔP(Pa)から、次式(1)で表される液体の透過流束(m/sec)の関係(ダルシー則)より算出される。ここで、断面積Sは、通液方向に対して垂直な面における流路の断面積であり、この例では、集電板121(131)または電極層123(133)側から見た電解液流入部122(132)の面積である。
Figure 2021121984
底部122c(132c)の透過率は、電解液流入部122(132)の透過率に与える影響が、上記流路C1〜C4に比べて大きい。そのため、電解液流入部122(132)の透過率を調整するためには、底部122c(132c)の透過率を調整することが好ましい。電解液流入部122(132)の透過率は、電極層123(133)の100倍以上であることが好ましく、300倍以上であることがより好ましく、1000倍以上であることがさらに好ましい。
電解液流入部122(132)の透過率が、電極層123(133)の透過率に対して十分高いと、電解液流入部122(132)内に流入した電解液は、透過率が低い電極層123(133)で堰き止められるため電解液流入部122(132)全面に広がり、電解液の圧力が底部122c(132c)の面内で均等化される。したがって、後述する電極層123(133)を通過する電解液の流れは、シート面内で均一な流れになる。そのため、充放電過程での反応種を電極層123(133)において一斉に且つ効率的に置換することができ、セル抵抗率が低下し、充放電容量が向上する。また、上記のように、電解質流入部122(132)と電極層123(133)の透過率の比を調整することで、電極層123(133)を通過する電解液の流れを電極層123(133)の面に対してより垂直な方向にすることができる。そのため、最も電解液の流れにくい電極層123(133)を電解液が通過する距離を最短(電極層123(133)の厚さ)にすることができ、圧力損失を低減することができる。
底部122c(132c)を構成する部材の電池セル100への組み込み後の厚さは、厚いほど電解液を底部122c(132c)全面に広げるために必要な圧力を低減することができる。そのため、底部122c(132c)の厚さは、0.08mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.15mm以上であることがさらに好ましい。底部122c(132c)を構成する部材の電池セル100への組み込み後の厚さは、薄いほど電極セル100ひいてはレドックスフロー電池1を小型化することができる。そのため、底部122c(132c)の厚さは、0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
底部122c(132c)は、多孔質シートであることが好ましい。多孔質シートは、空隙を有するスポンジ状の部材でも、繊維が絡み合ってなる部材でもよく、繊維が絡み合っている形態として、例えば、織物、不織布、比較的短い繊維を漉いてシート状にしたペーパー等が挙げられる。多孔質シートが、繊維からなる場合、その平均繊維径は1μmより大きい繊維からなることが好ましい。多孔質シートの平均繊維径が1μmより大きければ、多孔質シート内の電解液の通液性を十分確保することができる。
多孔質シートの材質は電解液に対して耐腐食性を有するものであることが好ましい。具体的には、レドックスフロー電池1の電解液は、酸性の溶液を用いることが多い。そのため、多孔質シートは、耐酸性を有することが好ましい。また、多孔質シートは、電極層123(133)での反応により酸化することも考えられるため、耐酸化性を有することが好ましい。多孔質シートが耐酸性又は耐酸化性を有するとは、使用後の多孔質シートが形状を維持しているだけでなく、表面の化学的状態が変化しないことを指す。
また、この多孔質シートの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以下であり、より好ましくは10Ω・cm以下程度である。多孔質シートが導電性を有すれば、底部122c(132c)の導電性を高めることができる。
これらのことから、底部122c(132c)として用いられる多孔質シートを形成する繊維は、耐酸性、耐酸化性、及び導電性を有するものがよい。このような繊維として、例えば、カーボンファイバーがあるが、このような条件を満たしていれば金属であってもよい。
電極層123(133)は、電解液に含まれるイオンの酸化及び還元が行われる部分である。電解液の酸化還元反応については図2を参照しながら上で説明した通りである。電極層123(133)として、本実施形態の電極シートが用いられる。電極層123(133)の設計にあたっては、上記した電極層123(133)の透過率と、電解液流入部122(132)の透過率との比、及び後述する電極層123(133)の透過率と、電解液排出部124(134)の透過率との比を考慮することが好ましい。
電解液排出部124(134)は、電極層123(133)を通過した電解液を、外部に排出する。電解液排出部124(134)を通過した電解液は、排出流路C4及び排出配管220(320)を経由してタンク200(300)に戻される。
電解液排出部124(134)は、電極層123(133)と比較して、透過率を高くすることが好ましい。電極層123(133)の透過率と比較して、電解液排出部124(134)の透過率が十分高ければ、電極層123(133)を通過した電解液は、電解液排出部124(134)に滞留することなく、速やかに、排出流路C4へ排出される。また、電極層123(133)の透過率よりも電解液排出部124(134)の透過率を高くすることにより、電極層123(133)を通過する電解液の流れが電極層123(133)の面に対して垂直な方向に向いている場合、電解液の流れを乱すことなく、電解液排出部124(134)を通過して排出流路C4に排出することができる。これらのことを考慮すると、電解液排出部124(134)の透過率は、電極層123(133)の透過率の50倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。
電解液排出部124(134)が厚くなると、電解液排出部124(134)を電解液が通過するために必要な圧力を低減することができる。そのため、電解液排出部124(134)の厚さは、0.08mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.15mm以上であることがさらに好ましい。電解液排出部124(134)が薄くなると、電極層123(133)とイオン交換膜140との距離が短くなり、イオンの移動距離が短くなるため、レドックスフロー電池1のセル抵抗を低減できる。そのため、電解液排出部124(134)の厚さは、0.7mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
電極層123(133)を通過した後の電解液は、酸化反応又は還元反応が生じた後の電解液が占める割合が高い。そのため、電解液排出部124(134)が電解液を速やかに排出することで、電極層123(133)の近傍から価数が変化した後のイオンを効率的に除去でき、電極層123(133)における、電解液に含まれるイオンの酸化還元の効率を高めることができる。
電解液排出部124(134)は、多孔質部材からなることが好ましい。また、電解液排出部124(134)も底部122c(132c)と同様、耐酸性、耐酸化性、及び導電性が求められるため、多孔質シートを形成する繊維は、耐酸性、耐酸化性、及び導電性を有するものがよい。このような繊維として、例えば、カーボンファイバーがあるが、このような条件を満たしていれば金属であってもよい。
イオン交換膜140は、陽イオン交換膜を用いることができる。具体的には、国際公開第2016/159348号に開示されているものなどがある。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明が奏する効果が得られる範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<1.カーボンナノチューブの酸素低減工程及び含有酸素量の測定>
含有酸素量0.5質量%、平均繊維径150nm、平均繊維長15μmの第1カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、VGCF−H(登録商標))(CNT1)と、含有酸素量1.8質量%、平均繊維径15nm、平均繊維長3μmの第2カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、VGCF−X(登録商標))(CNT2)とを、それぞれ黒鉛化炉を用いて、アルゴンガス雰囲気下、表1に示す熱処理条件で熱処理を行って、第1カーボンナノチューブ及び第2カーボンナノチューブの含有酸素量を低減させた。表1にある通り、第1カーボンナノチューブを熱処理したものをCNT11〜13とし、第2カーボンナノチューブを熱処理したものをCNT21〜23として、熱処理をしていない第1及び第2カーボンナノチューブをそれぞれCNT10及びCNT20とする。それぞれのサンプルの含有酸素量は、酸素・窒素分析装置(LECO社製、TC−600)により測定した。
カーボンナノチューブの含有酸素量の具体的な測定条件は次の通りである。秤量した20mgのサンプル(カーボンナノチューブ)を投入したニッケルカプセルを黒鉛坩堝内に設置し、酸素・窒素分析装置を用いて、出力5000Wで加熱した黒鉛坩堝内でサンプルを加熱して発生した一酸化炭素及び二酸化炭素を赤外線吸収法で定量した。表1に示すそれぞれの熱処理条件で熱処理をしたサンプルのそれぞれの含有酸素量の測定結果を表1に示す。
Figure 2021121984
<2.実施例・比較例>
[実施例1]
第1カーボンナノチューブCNT11と、第2カーボンナノチューブCNT21との合計量に対し、CNT11が90質量%、CNT21が10質量%となるように、CNT11と、CNT21とを純水に添加し、さらに、CNT11とCNT21との合計100質量部に対し、水溶性導電性高分子であるポリイソチアナフテンスルホン酸を1.0質量部加えて混合液を作製した。得られた混合液を湿式ジェットミルで処理し、CNT11及びCNT21を水に分散させた。CNT11及びCNT21が分散した分散液に、平均繊維径7μm、平均繊維長0.13mmのカーボンファイバー(東レ株式会社製、MLD−300)を添加し、混合液とした。CNT11と、CNT21との合計100質量部に対する、カーボンファイバーの添加量は100質量部であった。この混合液をマグネティックスターラーにより撹拌し、カーボンファイバーを分散させた。この分散液を濾紙で濾過し、得られたケーキを濾紙とともに脱水した後、プレス機により圧縮してさらに乾燥し、濾紙を剥がして、カーボンナノチューブを含む電極シートを作製した。熱処理(表1)後のカーボンナノチューブ(CNT)全体の含有酸素量[O]を、それぞれ表1の値に基づいて算出し、表2に示す。
[実施例2〜4及び比較例1,2]
表2に示した種類の第1及び第2カーボンナノチューブを用いて、各成分について表2に示した添加量で、実施例1と同様の工程で電極シートを作製した。
Figure 2021121984
<3.評価用電池セルの作製>
電極シートの評価のために、図3に示される構成を持つ電池セル100を作製した。以下、評価用電池セルの作製方法について説明する。
カーボンプラスチック成形体からなる集電板121(131)の凹部に、図4に示されるような流路C1〜C4として溝を形成し、底部122c(132c)として、多孔質シートであるカーボンファイバーペーパー(SGLカーボン社製:39AA)を用いた。このカーボンファイバーペーパーの厚さは0.37mmであった。
図4における、電解液流入部122(132)の全体の大きさは、50mm×50mmで、その中に24.5mm×50mmの外枠122a(132a)を1mmの幅をあけて左右方向に2つ並べて設けた。外枠122a(132a)の壁の厚さは1.5mm、支持部材122b(132b)の幅は1mm、幹流路C2の幅は1mm、枝流路C2の幅は3mmであった。外枠122a(132a)の高さを1mm、支持部材122b(132b)の高さを0.63mm、底部122c(132c)の厚さを0.37mmとし、外枠122a(132a)と底部122c(132c)とで電極層123(133)側で同一面をなすようにした。導入孔C1として、外枠122a(132a)に0.8mmφの孔を設けた。導入孔C1に供給配管210(310)を接続した。電解液の排出流路C4は、図4中矢印方向に電解液が排出されるよう、2つ並んだ外枠122a(132a)の両側と、2つの外枠122a(132a)の間に設けた。2つの外枠122aの間に設けた排出流路の幅は、1mmとなる。
電極層123(133)として、実施例及び比較例において作製された電極シートを用いた。電極シートは24.5mm×50mmのものを2枚用意し、2個の外枠122a(132a)に囲まれた領域に合わせて、それぞれ、外枠122a(132a)及び底部122c(132c)がなす上記同一面上に置いた。
電解液排出部124(134)として、多孔質シートであるカーボンファイバーペーパー(SGL社製:GDL10AA、平均繊維径12μm)を用いた。このカーボンファイバーペーパーの電池セル100に組み込み前の厚さは0.25mmであった。
さらに、イオン交換膜140としてナフィオンN212(登録商標、デュポン社製)を用い、上述した構成からなる2つの電極ユニットをそれぞれ正極120、負極130として、電池セル100を組み立てた。
<4.電極シートの評価>
正極電解液及び負極電解液としてV3+及びV5+が等モル含まれた(V+3.5とする)バナジウムイオン濃度1.8Mの電解液100mLを2つ用意した。チューブポンプでこれらの電解液をそれぞれ正極と負極に送り込んだ。
セル抵抗率の測定は100mA/cmの電流密度、室温下(25℃)で充放電を行い、3サイクル目の充放電曲線を用いてセル抵抗率を計算した。カットオフ電圧は、充電が1.75V、放電が1.0Vである。セル抵抗率の算出方法は、カットオフ電圧に達した時間の中点の電圧を読み取り、充電曲線と放電曲線の中点電圧の差を電流密度で割って、さらに2分の1にした値である。実施例1〜4及び比較例1,2のそれぞれの電極シートを正極層及び負極層に用いた場合のセル抵抗率を表2に示す。
<5.評価結果>
カーボンナノチューブ全体の含有酸素量[O]が、実施例1〜4及び比較例2より多い0.4質量%の比較例1では、セル抵抗率が高い値を示した。また、比較例2はカーボンナノチューブ全体の含有酸素量[O]が、実施例1と同等の0.3質量%であるが、第2カーボンナノチューブの含有酸素量Y2が1.8質量%であり、比較例2においてもセル抵抗率は高い値を示した。対して、カーボンナノチューブ全体の含有酸素量[O]が0.3質量%以下であり、かつ第2カーボンナノチューブの含有酸素量Y2が1.2質量%以下である実施例1〜4ではいずれも低いセル抵抗率の電池セルが得られた。
したがって、平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブとを含み、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ全体の含有酸素量[O]が0.3質量%以下であり、第2カーボンナノチューブの含有酸素量Y2が1.2質量%以下である、レドックスフロー電池用電極シートにより、レドックスフロー電池のセル抵抗率を低減することができることが分かった。
1:レドックスフロー電池
100:電池セル
120:正極
121:正極集電板
122:正極電解液流入部
123:正極層
124:正極電解液排出部
130:負極
131:負極集電板
132:負極電解液流入部
133:負極層
134:負極電解液排出部
140:イオン交換膜
200:正極タンク
230:正極ポンプ
300:負極タンク
330:負極ポンプ
C1:導入孔
C2:幹流路
C3:枝流路
C4:排出流路

Claims (9)

  1. 平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブとを含む、レドックスフロー電池用電極シートであって、
    前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを含むカーボンナノチューブ全体の含有酸素量が0.3質量%以下であり、
    前記第2カーボンナノチューブの含有酸素量が1.2質量%以下である、レドックスフロー電池用電極シート。
  2. 前記第2カーボンナノチューブが、前記カーボンナノチューブ全体に対し、1〜30質量%含まれる、請求項1に記載のレドックスフロー電池用電極シート。
  3. 前記カーボンナノチューブ全体の含有酸素量が0.2質量%以下である、請求項1または2に記載のレドックスフロー電池用電極シート。
  4. 前記第2カーボンナノチューブの含有酸素量が0.2質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電極シート。
  5. 前記第1カーボンナノチューブの表面に前記第2カーボンナノチューブが付着し、前記第2カーボンナノチューブが、複数の前記第1カーボンナノチューブ間に絡まっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電極シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電極シートと、電解液を前記電極シートに流入させる電解液流入部と、前記電極シートとの間で電子の授受を行う集電部と、前記電極シートを通過した前記電解液を流出させる電解液流出部と、イオン交換膜とを備える、レドックスフロー電池。
  7. 平均繊維径が100〜1000nmの第1カーボンナノチューブと、平均繊維径が1〜30nmの第2カーボンナノチューブと、を混合する混合工程と、前記混合工程で混合されたカーボンナノチューブをシート状に成形する成形工程とを備える、レドックスフロー電池用電極シートの製造方法であって、
    前記混合工程の前に、前記第2カーボンナノチューブを、不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気下で、2500℃以上3300℃以下で加熱する酸素低減工程を行う、レドックスフロー電池用電極シートの製造方法。
  8. 前記酸素低減工程は、前記第2カーボンナノチューブを、不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気下で、2800℃以上3300℃以下、0.5時間以上加熱する、請求項7に記載のレドックスフロー電池用電極シートの製造方法。
  9. 前記混合工程では、前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを含む媒体中で、前記第1カーボンナノチューブと前記第2カーボンナノチューブとを分散させて分散液とし、前記成形工程は、前記分散液から前記媒体を除去し、前記媒体が除去された固形分をシート状に成形する請求項7または8に記載のレドックスフロー電池用電極シートの製造方法。
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