JP2019194963A - レドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池 - Google Patents

レドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池 Download PDF

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Abstract

【課題】運転温度を制御しなくても安定したセル抵抗率を維持可能なレドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池の提供。【解決手段】本発明のレドックスフロー電池の電極2aは、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を含み、前記カーボン材料は、前記電極の全体に対して、10質量%以上含まれ、前記カーボン材料は、カーボンナノチューブである。レドックスフロー電池200は、前記電解液を前記電極に流入させる導電性の多孔質部材からなる液流入部材1と、前記電極を通過した前記電解液を流出させる液流出部材3とをさらに備える。【選択図】図2

Description

本発明は、レドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池に関する。
大容量蓄電池としてレドックスフロー電池が知られている。レドックスフロー電池は、一般に電解液を隔てるイオン交換膜と、そのイオン交換膜の両側に設けられた電極とを有する。そして、酸化還元により価数が変化する金属イオン(活物質)を含有する電解液を使用して、一方の電極上で酸化反応、他方の電極上で還元反応を同時に進めることにより充放電を行うことができる。
ところで、定置型蓄電池は、コストを考慮した上で導入の可否が判断されるのが一般的である。レドックスフロー電池のコストを決める要素の一つは電流密度である。そして、電流密度を決めるのはセル抵抗率である。セル抵抗率は、電流が流れるすべての要素において発生する抵抗値等を総合した結果として定まる数値であって、例えば、集電板(双極板)の電気抵抗、電極の電気抵抗、電極と集電板の接触抵抗、電極表面での反応抵抗、電解液中での電子移動抵抗、イオン交換膜中の電子移動抵抗等が主なものである。電極表面での反応抵抗は、特に制御し難い。電極表面では、金属イオン(活物質)の価数が変化するときに電子を電極に渡す(又は受け取る)が、その後、価数が変化した金属イオン(を含む電解液)が電極表面から速やかに取り除かれる必要がある。そのため、レドックスフロー電池は、均一かつ一方向に一定の速度で電解液が流れるように構成することが好ましい。また、電極表面での電子の授受は化学反応であるので、その反応性を高めるうえでは電池の運転温度(電極の温度)は高い方が好ましい。
一方で、従来のレドックスフロー電池においては、電池の運転温度の上昇を抑制することが一般的であった。例えば、特許文献1には、電池セルに供給する電解液を収容する電解液タンクの構成を連通された2以上のユニット容器とすることで、放熱性能を上げ、電池の運転温度の上昇を抑制したレドックスフロー電池が提案されている。また、特許文献2及び3には、電解液の流路や電解液の貯蔵部に冷却部を設けることにより、電解液の温度上昇を抑制したレドックスフロー電池が提案されている。
特開2000−30729号公報 特開2017−41452号公報 特開2003−331903号公報 国際公開第2016/159348号
上述した特許文献1〜3に基づくレドックスフロー電池の電極においては、OH基やCOOH基等の官能基を介して反応が行われていると考えられている。そのため、電極での反応性を改善するために、電極の表面にOH基、COOH基等の官能基を積極的に付与することが行われている。しかしながら、電池の運転温度が40℃を超えると、OH基、COOH基等の官能基の分解が起こり始め、反応性が低下することがある。反応性が低下すると、セル抵抗率は上昇する。そのため、レドックスフロー電池では、運転温度を制御して、運転温度の上昇に伴うセル抵抗率の上昇を抑制している。
本発明は、運転温度を制御しなくても安定したセル抵抗率を維持可能なレドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、含有酸素元素量の範囲が0.44±0.10質量%のカーボン材料を電極材として用いることにより、運転温度を制御しなくても、安定した出力性能(セル抵抗率)を維持することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)レドックスフロー電池の電極であって、前記電極は、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を含むレドックスフロー電池の電極。
(2)前記カーボン材料は、前記電極の全体に対して、10質量%以上含まれる、上記(1)に記載のレドックスフロー電池の電極。
(3)前記カーボン材料は、カーボンナノチューブである、上記(1)又は(2)に記載のレドックスフロー電池の電極。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の電極を備え、電解液を循環させて充放電を行う、レドックスフロー電池。
(5)前記電解液を前記電極に流入させる液流入部材と、前記電極を通過した前記電解液を流出させる液流出部材とをさらに備える、上記(4)に記載のレドックスフロー電池。
(6)前記液流入部材は、導電性の多孔質部材からなる、上記(5)に記載のレドックスフロー電池。
(7)集電板と、前記電極を通過した前記電解液を流出させる液流出部材とをさらに備え、前記集電板は、前記電極に対向する対向面に液流入部を形成する、上記(4)に記載のレドックスフロー電池。
(8)前記液流出部材は、導電性の多孔質部材からなる、上記(5)〜(7)のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池。
(9)レドックスフロー電池の電極の製造方法であって、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を準備する準備工程と、前記カーボン材料を溶媒に分散して分散液を得る分散工程と、前記分散液中の前記溶媒を除去して前記カーボン材料を含む電極を形成する形成工程とを備える、レドックスフロー電池の電極の製造方法。
(10)前記カーボン材料の含有酸素元素量が0.54質量%超の場合、前記準備工程の前に、前記カーボン材料を不活性ガス雰囲気下で2500℃以上3500℃以下で加熱する加熱工程をさらに備える、上記(9)に記載のレドックスフロー電池の電極の製造方法。
(11)前記カーボン材料の含有酸素元素量が0.34質量%未満の場合、前記準備工程の前に、前記カーボン材料を硝酸に浸漬する浸漬工程をさらに備える、上記(9)に記載のレドックスフロー電池の電極の製造方法。
本発明によれば、運転温度を制御しなくても安定したセル抵抗率を維持可能なレドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池を提供することができる。
第1の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。 第2の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。 第3の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。 図3に示すレドックスフロー電池を構成する液流入部の内部構造を説明するための図である。 試験例1〜4で測定した、運転温度とレドックスフロー電池のセル抵抗率(相対値)との関係を示すグラフである。 図5に示した試験例1〜4の近似式の傾きと含有酸素元素量との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用したレドックスフロー電池の電極及びその製造方法、並びにレドックスフロー電池について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本実施形態に係るレドックスフロー電池は、電極(以下、「カーボン電極」という場合がある。)を備えるとともに、電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池(以下、「電池」という場合がある。)であって、電極は、含有酸素元素量の範囲が0.44±0.10質量%のカーボン材料(以下「調整カーボン材料」という場合がある)を含む。
一般的には、レドックスフロー電池におけるカーボン電極の反応性を改善するために、カーボン電極の表面にOH基、COOH基等の官能基が付与される。官能基の付与によって、レドックスフロー電池のセル抵抗率は低下するが、電池の運転温度の上昇とともに、セル抵抗率は大きく増加する傾向があり、セル抵抗率は温度変化に対して不安定な特性を示す。セル抵抗率上昇を抑制するには電極に含まれるカーボン材料の含有酸素元素量が低いほど好ましい傾向がある一方で、電池の運転温度が変化(例えば40℃から60℃に変化)した場合には、カーボン材料の含有酸素元素量が低すぎると、安定的に低いセル抵抗率を維持することができず、カーボン材料の含有酸素元素量を適正範囲に調整する必要があることが分かった。
そこで、調整カーボン材料を電極に用いることにより、電池の運転温度が10℃以上、すなわち一般的なカーボン電極では反応性が低下する温度以上であっても、セル抵抗率が安定する。特に、運転温度が上昇してもセル抵抗率は安定しているため、電池の運転温度を制御しなくても安定した出力性能を維持することが可能である。
なお、ここで、カーボン材料の含有酸素元素量は、酸素・窒素分析装置(LECO社製、TC−600)により測定する。また、一般的にレドックスフロー電池の運転温度とは、循環している電解液の温度のことをいう。この電解液の温度については、実際に反応している部分(電極)付近の電解液の温度を測定することは難しいため、後述する流出管12に流入した箇所で測定した電解液の温度とする。
従来のレドックスフロー電池の電極に用いられているカーボン材料の含有酸素元素量は、例えば、カーボン材料がカーボンファイバーである場合、5〜20質量%、カーボン材料がカーボンナノチューブである場合、0.2〜3質量%である。これに対し、本発明の電極に用いられるカーボン材料の含有酸素元素量は、0.44±0.10質量%に制御されている。
電極に用いられる調整カーボン材料としては、特に限定されず、含有酸素元素量が上記範囲内であればカーボンファイバー、活性炭、表面が炭素の6員環からなるグラフェンやカーボンナノチューブ等が挙げられる。調整カーボン材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。ここで、カーボンファイバーや活性炭の表面酸素は、反応点としても作用し得る。これに対し、表面が主に6員環の炭素からなるカーボンナノチューブにおいては、その理由は明らかではないが、酸素が含有されなくても電極反応が良好(むしろ含有酸素元素量が多くなると、セル抵抗率が上がる場合がある)であり、他のカーボン材料に比べて、含有酸素元素量が格段に少なく、含有酸素元素量を所望の範囲に調整しやすい。よって、調整カーボン材料としては、カーボンナノチューブを用いるのが好ましい。
電極には、上記調整カーボン材料が含まれていれば、電極反応は、主にこの調整カーボン材料の表面で行われる。電極の導電性の向上や、強度の向上や、通液性の改善等のために、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%の範囲外のカーボンファイバーや、導電性高分子材料などを含んでいても問題はない。この場合、上記調整カーボン材料は、電解液が電極で均一に反応するよう電極内に均一に混合されているのが好ましい。なお、上記の効果および安定なセル抵抗率を得る点から、上記調整カーボン材料は、電極の全体に対し、好ましくは10質量%〜100質量%、より好ましくは20質量%〜90質量%、さらに好ましくは30質量%〜80質量%含まれる。
また、上記調整カーボン材料がカーボンナノチューブを含む場合、電極の全体に対して、カーボンナノチューブの含有量は、好ましいくは10質量%〜80質量%、より好ましくは20%〜70質量%、さらに好ましくは30質量%〜60質量%である。
電極に含まれるカーボンナノチューブの平均繊維径は、1μm以下、より好ましくは1〜300nm、さらに好ましくは10〜200nm、さらにより好ましくは10〜150nmである。
ここで、カーボンナノチューブの平均繊維径は、透過型電子顕微鏡にて、繊維の種類ごとに無作為に100本以上の繊維の直径を測定し、各々その算術平均値として求めた。
また、電極に含まれるカーボンナノチューブとしては、平均繊維径が異なる複数の種類のカーボンナノチューブを混合する構成としてもよい。その場合、例えば、平均繊維径100〜1000nmの第1のカーボンナノチューブと、平均繊維径30nm以下の第2のカーボンナノチューブとを含むことが好ましい。
電極に含まれるカーボンナノチューブが平均繊維径の異なる複数の種類のカーボンナノチューブを混合して構成される場合、成形された電極を透過型電子顕微鏡で観察し、同一視野において、例えば繊維径が50nmを超えるものを第1のカーボンナノチューブ、繊維径が50nm未満のものを第2のカーボンナノチューブとみなして、それぞれ前述の通りに平均繊維径を算出する。
また、電極に含まれるカーボンナノチューブが平均繊維径の異なる複数の種類のカーボンナノチューブを混合して構成されているかどうかは、成形された電極を透過型電子顕微鏡で観察し、同一視野においてその繊維径分布を測定し、その分布において繊維径のピークが2つ以上あるかどうかで判断することができる。
電極に含まれるカーボンナノチューブにおいて、第1のカーボンナノチューブの平均繊維径は、好ましくは100〜300nm、より好ましくは100〜200nm、さらに好ましくは100〜150nmである。第1のカーボンナノチューブの平均繊維長は、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜25μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。
第2のカーボンナノチューブの平均繊維径は、好ましくは1〜30nm、より好ましくは5〜25nm、さらに好ましくは5〜20nmである。第2のカーボンナノチューブの平均繊維長は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜8μm、さらに好ましくは0.2〜5μmである。
なお、カーボンナノチューブの平均繊維長は、透過型電子顕微鏡にて、繊維の種類ごとに無作為に100本以上の繊維長を測定し、各々その算術平均値として求めることができる。
第1のカーボンナノチューブ及び第2のカーボンナノチューブの平均繊維径がそれぞれ上述の範囲であると、電極が高い強度及び高い導電性を維持できる構造となる。これは、第1のカーボンナノチューブが幹となり、第2のカーボンナノチューブが、複数の第1のカーボンナノチューブ間に枝状に懸架されるためである。例えば、第1のカーボンナノチューブの平均繊維径が100nm以上であると、幹が安定となり電極の構造に割れが生じにくくなり、十分な強度を保つことが容易になる。また、第2のカーボンナノチューブの平均繊維径が30nm以下であると、第2のカーボンナノチューブが十分に第1のカーボンナノチューブに絡まることができ、導電性が向上する。すなわち、このような平均繊維径の異なる2種類のカーボンナノチューブを含む電極を用いることが、レドックスフロー電池のセル抵抗率を低くし、また電流密度を大きくすることができる点で好ましい。
第2のカーボンナノチューブの含有割合は、第1のカーボンナノチューブと第2のカーボンナノチューブとの合計100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは1〜15質量部である。第2のカーボンナノチューブがこの範囲で含まれれば、電極が高い強度及び高い導電性を維持できる構造となる。これは、第2のカーボンナノチューブがこの範囲で含まれていることで、第1のカーボンナノチューブが導電の主材料として機能し、さらに第2のカーボンナノチューブが、それぞれの第1のカーボンナノチューブ間を電気的に繋ぎ、導電を効率的にサポートするためと考えられる。
また、電極は、上述したカーボンナノチューブ以外に、カーボンファイバーをさらに含むことが好ましい。カーボンファイバーの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以下であり、より好ましくは10Ω・cm以下である。カーボンファイバーの体積抵抗率は、日本工業規格 JIS R7609:2007に記載の方法により測定することができる。
カーボンファイバーの平均繊維径は、1μmより大きいことが好ましい。電極に含まれるカーボンナノチューブよりも平均繊維径が太いカーボンファイバーを用いると、電極内により大きな空隙を形成することができ、電解液を電極に通液させた時の圧力損失を小さくすることができる。さらには、良好な導電性を備えることができる。カーボンファイバーの平均繊維径は、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜30μmである。カーボンファイバーの平均繊維長は、好ましくは0.01〜20mm、より好ましくは0.05〜8mm、さらに好ましくは0.1〜1mmである。
次に、レドックスフロー電池の電極の製造方法について説明する。電極の製造方法は、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を準備する準備工程と、カーボン材料を溶媒に分散して分散液を得る分散工程と、分散液中の溶媒を除去してカーボン材料を含む電極を形成する形成工程とを備える。
準備工程では、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を準備する。例えば、カーボン材料の含有酸素元素量が0.54質量%超の場合、電極の製造方法は、準備工程の前に、含有酸素元素量が0.54質量%超のカーボン材料を不活性ガス雰囲気下で2500℃以上3500℃以下で加熱する加熱工程をさらに備える。加熱工程を行うことによって、カーボン材料の含有酸素元素量を0.54質量%超から0.44±0.10質量%に低下することができる。
また、カーボン材料の含有酸素元素量が0.34質量%未満の場合、電極の製造方法は、準備工程の前に、含有酸素元素量が0.34質量%未満のカーボン材料を硝酸(硝酸水溶液)に浸漬する浸漬工程をさらに備える。浸漬工程を行うことによって、カーボン材料の含有酸素元素量を0.34質量%未満から0.44±0.10質量%に増加することができる。
準備工程の後に行われる分散工程では、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を溶媒に添加し、溶媒中にカーボン材料を分散させる。溶媒は、例えば純水、エタノール等が挙げられる。カーボン材料を分散させる装置としては、例えば、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等を用いることができる。調整カーボン材料にカーボンナノチューブが含まれる場合、カーボンナノチューブの損傷を抑えつつカーボンナノチューブを均一に分散しやすいことから、湿式ジェットミルが好ましい。この場合、湿式ジェットミルによる分散を行う前に、湿式分散機等を用いて予備的な混合を行ってもよい。また、調整カーボン材料にカーボンファイバーが含まれる場合、簡便であることから超音波処理を施すことが好ましい。
カーボンナノチューブを含む調整カーボン材料を溶媒に分散させるとき、分散剤を溶媒に加えると、カーボンナノチューブの分散性が向上する。分散剤としては公知のものを用いることができ、水溶性導電性ポリマーはカーボンナノチューブの分散剤として極めて優れた特性を発揮する。
分散工程の後に行われる形成工程では、分散工程で得られた分散液中の溶媒を除去して電極を形成する。例えば、電極が膜状の場合には、スピンキャスト法やスプレー法等によって分散液を基板に塗布して分散液からなる塗膜を基板上に形成した後、塗膜中の溶媒を除去して、電極を形成する。また、電極がシート状の場合には、分散液を濾過して得た残渣をプレス機などによって圧縮してシート状に成形した後、溶媒を除去して、電極を形成する。このようにして、含有酸素元素量が上記範囲内であるカーボン材料を含む電極を得ることができる。
なお、従来は、電池の運転温度が上昇しすぎないように、レドックスフロー電池を構成する部材に放熱機能を持たせたり、冷却機能を持たせたりしていたが、本発明においてはその必要がなく、そのメリットは大きいが、電池の運転温度をモニターするモニター装置や、冷却装置等を設置してもよいことは言うまでもない。
<第1の実施形態>
以下、上記電極を備える第1の実施形態に係るレドックスフロー電池について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。第1の実施形態に係るレドックスフロー電池100は、電極2、集電板20、イオン交換膜30を備える。電極2は、集電板20とイオン交換膜30との間に設けられる。電解液は、流入管11を介して電極2に供給され、流出管12を介して電解液タンクに戻され、循環する。
ここで、レドックスフロー電池100は、イオン交換膜30の両側に、本実施形態に係る電極2をそれぞれ正極及び負極として設けているが、本発明に係るレドックスフロー電池は、いずれか一方にのみ本実施形態に係る電極2を設ける構成でもよい。
なお、本実施形態に係るレドックスフロー電池は、図1では、2枚の集電板20と、イオン交換膜30と、各集電板20及びイオン交換膜30の間に設けられた電極2とを有する単セルが図示されているが、本発明は、これらが直列に複数連なった複数セルからなるレドックスフロー電池に適用されてもよい。なお、図1に示すように、レドックスフロー電池100が単セルで構成されている場合には、2枚の集電板はいずれも端板である。また、レドックスフロー電池100が複数セルで構成されている場合には、各単セルの正極同士および負極同士が電気的に直列に接続され、該接続が正極側集電板と負極側集電板とが表裏で一体になっている集電板(「双極板」ともいう)を備えているセル構成(積層セルまたはセルスタックともいう)のものも含む。
次に、レドックスフロー電池100の電極2、集電板20、イオン交換膜30についてそれぞれ説明する。
[電極]
電極2は、上記の電極であり、含有酸素元素量の範囲が0.44±0.10質量%のカーボン材料を含む。
但し、電極2において、カーボンナノチューブの含有量が電極に対して、20質量%以上である場合、以下の理由から、後述する第2、または第3の実施形態に係るレドックスフロー電池を利用することが好ましい。
カーボンナノチューブは、平均繊維径が1μm以下であり、従来用いられているカーボンファイバーの平均繊維径よりも小さいため、カーボンナノチューブを含むカーボン材料を用いて電極を形成した場合に、電極内の空孔の大きさが小さくなり、緻密な構造になりやすい。そのため、電極を厚さ方向に通過する電解液の通液性が悪くなり、圧力損失が生じやすくなる。そこで、後述する第2、または第3の実施形態に係るレドックスフロー電池のように、通液された電解液を電極に流入させる液流入部材と、電極を通過した電解液を流出させる液流出部材とで、電極を挟んだ構成とすることにより、通液性が改善するため、圧力損失を極力低減することができる。
[集電板]
集電板20は、公知なものを用いることができる。例えば、集電板20は、特許文献4に開示される双極板と同様の材料から構成される。
[イオン交換膜]
イオン交換膜30は、公知の陽イオン交換膜を用いることができる。例えば、イオン交換膜30は、特許文献4に開示されるイオン交換膜と同様の構成を有する。
また、レドックスフロー電池100は、集電板20と電極2との間に電極支持層、導電層などをさらに備えてもよい。また、レドックスフロー電池100は、電極2とイオン交換膜30との間にイオン交換膜保護層、電極支持層、導電層などをさらに備えてもよい。
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。なお、上述した部材と同一構成部材には、同一符号を付し、説明を省略する。
レドックスフロー電池200は、液流入部材1、電極2a、液流出部材3、集電板20a、イオン交換膜30を備える。液流入部材1は、通液された電解液を電極2aに流入させる。液流出部材3は、電極2aを通過した電解液を流出させる。電解液は、流入管11から液流入部材1を介して電極2aに供給され、液流出部材3を介して流出管12から電解液タンクに戻され、電極2aを循環する。
ここで、レドックスフロー電池200において、液流入部材1は、電極2aの集電板20a側に形成され、液流出部材3は、電極2aのイオン交換膜30側に形成されるが、使用態様によっては、液流入部材1を、電極2aのイオン交換膜30側に形成し、液流出部3を電極2aの集電板20a側に形成してもよい。
[電極]
電極2aは、含有酸素元素量の範囲が0.44±0.10質量%のカーボン材料を含む。前記カーボン材料には、カーボンナノチューブを含むことが好ましい。カーボンナノチューブの含有量は電極全体に対して、好ましくは20質量%〜80質量%、より好ましいくは20質量%〜70質量%、さらに好ましくは30質量%〜60質量%である。
[液流出部材]
液流出部材3は、電極2aを通過した電解液が流出管12に流出するために設けられた部材である。液流出部材3を通過した電解液は、流出口3aから流出管12に流出し、図示しない電解液タンクに戻される。
液流出部材3は、電極2aと比較して、電解液が流れやすい構成を有していればよい。液流出部材3は、例えば特許文献4に開示される液流出部材と同じ構成を有する。また、電解液の流れやすさは、特許文献4に記載のダルシー則の透過率により評価することができる。
また、液流出部材3の厚さを増すことにより、液流出部材3を電解液が通過するために必要な圧力をさらに低減することができる。液流出部材3の電池への組み込み後の厚さは、好ましくは0.08mm以上、より好ましくは0.1mm〜0.7mm、さらに好ましくは0.15〜0.5mmである。液流出部材3の電池への組み込み後の厚さが0.08mm以上であれば、電解液を通過させるために必要な圧力を低減することができるので好ましい。液流出部材3の電池への組み込み後の厚さが0.7mm以下であれば、セル抵抗率の増加を抑制できるので好ましい。
また、電極2aを通過後の電解液は、酸化反応又は還元反応が生じた後の電解液が占める割合が高い。このように、液流出部材3が電解液を速やかに流出することで、電極2aの近傍から価数が変化した後のイオンを効率的に除去できるため、反応性を高めることができる。
液流出部材3は、導電性の多孔質部材からなり、特に導電性と耐酸性を有する多孔質シートからなることが好ましい。なお、液流出部材3は、電極2aとイオン交換膜30との間の緩衝材として機能する。そのため、イオン交換膜30に傷等が生じることを抑制でき、且つ電極2aを安定に支持することができる。多孔質シートとして、炭素繊維からなるカーボンペーパが挙げられる。
[液流入部材]
液流入部材1は、流入管11を通して流入口1aから通液された電解液が、電極2aに流入するために設けられた部材である。液流入部材1は、充放電過程において電極2aで生ずる電荷の変化を集電板20aへ伝達する役割も有するため、導電性を有することが好ましい。
液流入部材1は、電極2aと比較して、電解液が流れやすい構成を有することが好ましい。そのため、電解液の流れやすさを上述の液流出部材3と同様に透過率で評価すると、液流入部材1内の透過率が、電極2aの透過率と比べて、100倍以上であることが好ましく、300倍以上であることがより好ましく、1000倍以上であることがさらに好ましい。透過率は、特許文献4に記載のダルシー則の透過率により評価することができる。
液流入部材1により、電解液が電極2aの面に対してより均一且つ垂直的に流れるため、圧力損失が低減される。液流入部材1は、例えば液流出部材3に記載した材料を用いることができる。
第2の実施形態に係るレドックスフロー電池200は、上述した構成を有することで、電解液の通液性の悪い電極2aを用いた場合であっても、圧力損失が少なく、高電流密度化を図ることができる。そして、このようなレドックスフロー電池200においては、運転温度を40℃〜90℃以下に設定することで、電極2aにおける高い反応性を確保することができ、高電流密度化を図ることができる。
<第3の実施形態>
図3は、第3の実施形態に係るレドックスフロー電池の要部を模式的に示す断面図である。図4は、図3に示すレドックスフロー電池を構成する液流入部の内部構造を説明するための図である。なお、簡略化のため、図4では、集電板40を示していない。
第3の実施形態に係るレドックスフロー電池300は、集電板40と液流入部41とが一体化されている。具体的には、図3に示すように、レドックスフロー電池300は、電極2aと、通液された電解液を電極2aに流入する液流入部41を備える集電板40と、電極2aの集電板40に対して反対側に配置され、電極2aを通過した電解液を流出する液流出部材3と、イオン交換膜30とを備える。集電板40は、電極2aに対向する対向面に液流入部41を形成する。液流入部41は、集電板40に形成された凹部に配置され、集電板40と一体化されているため、レドックスフロー電池300の単セルの厚さを薄くすることができる利点がある。
例えば、集電板40に形成された液流入部41は、図4に示されるように、液流入部41A、41Bが並設されてなる。液流入部41(41A、41B)は、それぞれ外枠41aと、電極2aを支持するようにリブ状に形成される支持部材41bと、外枠41aの下方で流入管11と接続される液流入口41cと、外枠41aの長手方向(図中上方向)に電解液を案内する第1の流路41dと、外枠41aの短手方向(図中左右方向)に電解液を案内する第2の流路41eとが形成される。これにより、液排出路は、図4中矢印方向で示されるように、液流入部41の両側面と、液流入部41A、41Bの間と、液流入部41(41A、41B)とに形成され、流入管11から流入された電解液を液流入部41の全面に均一且つ効率的に広げることができる。なお、リブ状の支持部材41bは、集電板40に溝を形成してもよいし、別途部材を設置することで形成してもよい。第3の実施形態では、液流入部41は集電板40と同じ材料を用いることが好ましい。
図4では、集電板40の凹部に、液流入部41A、41Bが並設される形態を示したが、これに限定されないことは言うまでもない。例えば、液流入部は、液流入部41Aのみからなる構成であってもよいし、3つ以上の液流入部41A、41B・・が設置されてなる構成であってもよい。また、液流入部は、液流入口41cを中央部に配置し、放射線状に広がる支持部材41bを備えていてもよい。
また、第3の実施形態に係るレドックスフロー電池300は、液流入部材として、電極2aと集電板40(液流入部41)との間に第2の多孔質シートをさらに備えてもよい。第2の多孔質シートは、導電性を有することが好ましい。レドックスフロー電池300がこのような第2の多孔質シートを備えることにより、電極2aへの電解液の流入量の面内のばらつきをより抑制することができる。特に、支持部材41bを設けた場合には、電極2aへの電解液の流入量の面内のばらつきをより抑制することができる。これは、支持部材41bが存在する部分と第1の流路41d及び第2の流路41eが形成されている部分とでは、電極2aへの電解液の流入量の面内ばらつきが発生することが考えられるためである。第2の多孔質シートには、上述した多孔質シートと同様の透過率のものを用いることができる。
次に、上記した第3の実施形態に係るレドックスフロー電池300について、以下の試験例1〜4を行った。なお、本発明は以下の試験例1〜4のみに限定されるものではない。
<含有酸素元素量の測定条件>
カーボン材料の含有酸素元素量は、酸素・窒素分析装置(LECO社製、TC−600)により測定した。含有酸素元素量の具体的な測定条件は次の通りである。所定量に秤量したカーボン材料を投入したニッケルカプセルを黒鉛坩堝内に設置し、酸素・窒素分析装置を用いて、出力5000Wで加熱した黒鉛坩堝内でカーボン材料を加熱して発生した一酸化炭素及び二酸化炭素を赤外線吸収法で定量した。測定された含有酸素元素量は、カーボン材料の質量に対する酸素原子の質量(%)である。
[試験例1]
(カーボンナノチューブの合成)
縦型加熱炉(内径17cm、長さ150cm)の炉内壁温度を1200℃にして、加熱炉の頂部に取り付けられたスプレーノズルから、4質量%のフェロセンを含有するベンゼンの液体原料20g/分を、100L/分の水素ガスの流量で炉壁に直接噴霧するように供給した。フェロセンは熱分解して鉄微粒子を作り、これがシード(種)となってベンゼンの熱分解で生成した炭素から、炭素繊維を生成成長させ、カーボンナノチューブを得た。このカーボンナノチューブの含有酸素元素量を低減するために、約50gのカーボンナノチューブを窒素ガス雰囲気下1000℃で20分加熱した後、アルゴンガス雰囲気下2800℃で1時間加熱した。得られたカーボンナノチューブについて、含有酸素元素量は0.36質量%、平均繊維径は150nm、平均繊維長は12μmであった。
(電極の作製)
純水に、上記で得られた含有酸素元素量0.36%質量のカーボンナノチューブと、水溶性導電性ポリマーであるポリイソチアナフテンスルホン酸を、カーボンナノチューブ100質量部に対して1質量部を加えた後、この純水を湿式ジェットミルで処理し、カーボンナノチューブの分散液を得た。続いて、この分散液にさらに、平均繊維径7μm、平均繊維長0.13mmのカーボンファイバーを、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバーの合計100質量部に対し50質量部加え、マグネティックスターラーにより撹拌し分散させた。なお、加えたカーボンファイバーの含有酸素元素量は5質量%以上であり、電解液の反応には寄与しないことを確認した上で、カーボンファイバーを分散液に添加した。この分散液を濾紙上で濾過し、濾紙とともに脱水した後、残渣をプレス機により圧縮してさらに乾燥し、カーボンナノチューブを含むシート状の電極2aを作製した。組み込み前の電極2aの平均厚さは0.4mmであった。電極2aの全体に占めるカーボンナノチューブの含有量は50質量%であった。また、カーボンナノチューブの含有酸素元素量は0.36質量%であった。
(集電板・液流入部の作製)
図3のように、カーボンを含むプラスチック成形体からなる集電板40に凹部を形成して、その凹部に図4に示した液流入部41を形成した。また、電極2aと集電板40(液流入部41)の間に設置する第2の多孔質シートとして、カーボンファイバーペーパー(SGL社製:GDL10AA、平均繊維径12μm)を準備した。このカーボンファイバーペーパーの平均厚さは0.35mmであった。
液流入部41は、図4に示すように、外枠41aが2つ並設され、外枠41a内に支持部材41bがリブ状に形成されてなる構成である。具体的には、液流入部41全体の大きさは50mm×50mmとし、大きさ24.5mm×50mmの外枠41aが1mmの幅をあけて2つ並設した。外枠41aの幅は1.5mm、支持部材41bの幅は1mm、第1の流路41dの幅は1mm、第2の流路41eの幅は3mmである。液流入部41の厚さ(外枠41aの高さ)は1mm、支持部材41bの高さは1mmとし、外枠41aと支持部材41bの上面とが同一面となるようにした。第1の流路41d及び第2の流路41eの深さはそれぞれ1mmであった。液流入口41cは0.8mmφの孔を形成して設けた。液流入口41cに流入管11を接続し、液排出路は、図4中矢印方向で図示する排出方向となるよう、液流入部41の両側面と、2つの外枠41aの間と、液流入部41(41A、41B)とに設けた。2つの外枠41aの間に設けた液排出路は、前記の1mm幅の空間を利用したものである。
(液流出部材)
液流出部材3としては、多孔質シートであるカーボンファイバーペーパー(SGL社製:GDL10AA、平均繊維径12μm)を準備した。このカーボンファイバーペーパーの組み込み前の平均厚さは0.35mmであった。なお、上記第2の多孔質シートおよび液流出部材3に用いたカーボンファイバーペーパーは、含有酸素元素量がいずれも5質量%以上であり、作製した電極2aと積層して使用する場合、含有酸素元素量が0.36質量%のカーボンナノチューブを含む電極の表面で電解液の殆どの反応は起こり、カーボンファイバーペーパーの表面では電解液の反応はほぼ起こっていないことを確認した。
(レドックスフロー電池の組み立て)
作製した電極2a、上記カーボンファイバーペーパーからなる第2の多孔質シート、集電板40(液流入部41)、上記カーボンファイバーペーパーからなる液流出部材3を用いて、電池を組み立てた。電極2aについては、集電板40の液流入部41に対向して、24.5mm×50mmの2つの電極を1mmの幅をあけて並列に配置した。
さらに、イオン交換膜30としてナフィオンN115(登録商標、デュポン社製)を用い、上述した構成からなる2つの電極2aをそれぞれ正極、負極として、図示しないフレーム、ガスケット、押し板を介して、図3に示すレドックスフロー電池300を組み立てた。組み立て後の電極2a、カーボンファイバーペーパーの厚さは、それぞれ、0.31mm、0.24mmであった。
また、電解液として、バナジウムイオン(V+3.5、+3価と+4価のバナジウムイオンが等量混合されたものをV+3.5あるいは+3.5価という)濃度1.8Mの硫酸水溶液100mLを2つ用意した。そして、このようにして組み上げたレドックスフロー電池に、チューブポンプでこの電解液をそれぞれ正極と負極に送り込み、100mA/cmの電流密度、電池の運転温度を40℃、45℃、50℃、55℃、60℃とし、充放電を行った。この運転温度は、レドックスフロー電池300の流出口3aに熱電対を設置して測定した。カットオフ電圧は、充電が1.75V、放電が1.0Vとした。1サイクル目は、バナジウムイオンの価数が正極では+3.5価から+5価、負極では+3.5価から+2価に変化したので、約1.5倍の電池容量が出た。100mLの1.8M電解液の電池容量は、およそ計算上は5Ahである。2サイクル目は4.7Ahであった。そして、3サイクル目の充放電曲線を用いてセル抵抗率を計算した。セル抵抗率の算出方法は、カットオフ電圧に達した時間の中点の電圧を読み取り、充電曲線と放電曲線の中点電圧の差を電流密度で割って、さらに2分の1にした値である。図5には、運転温度(40℃、45℃、50℃、55℃、60℃)と、運転温度50℃の時のセル抵抗率を1.0(基準)として算出したセル抵抗率(相対値)との関係をプロットした図を示す。また、図5には、運転温度を横軸、セル抵抗率を縦軸とし、5つのプロットに基づいて近似して得られた式と、含有酸素元素量も併せて示す。
[試験例2]
試験例1と同様にして得られたカーボンナノチューブを、窒素ガス雰囲気下1000℃で20分加熱した後、アルゴンガス雰囲気下2800℃で30分間加熱した。得られたカーボンナノチューブについて、含有酸素元素量は0.70質量%、平均繊維径は150nm、平均繊維長は12μmであった。そして、試験例1で用いたカーボンナノチューブの代わりに、得られたカーボンナノチューブを用いた以外は、試験例1と同様にレドックスフロー電池を組み立て、試験例1と同様にセル抵抗率を算出した。運転温度とセル抵抗率(相対値)との関係を図5に示す。試験例2では、電極2aの全体に占めるカーボンナノチューブの含有量は50質量%であり、カーボンナノチューブの含有酸素元素量は0.70質量%であった。
[試験例3]
市販のカーボンファイバーペーパー(東レ製:TGP−H−120)をアルゴンガス雰囲気下2800℃で1時間加熱して得られた熱処理カーボンファイバーペーパーを電極2aに用いた以外は、試験例1と同様にレドックスフロー電池を組み立て、試験例1と同様にセル抵抗率を算出した。運転温度とセル抵抗率(相対値)との関係を図5に示す。試験例3では、電極2aの全体に占める熱処理カーボンファイバーペーパーの含有量は100質量%、つまり、電極2aは熱処理カーボンファイバーペーパーからなり、熱処理カーボンファイバーペーパーの含有酸素元素量は1.30質量%であった。
[試験例4]
試験例1と同様にして得られたカーボンナノチューブを、窒素ガス雰囲気下1000℃で20分加熱した後、アルゴンガス雰囲気下2800℃で40分間加熱した。得られたカーボンナノチューブについて、含有酸素元素量は0.52質量%、平均繊維径は150nm、平均繊維長は12μmであった。このカーボンナノチューブを第1のカーボンナノチューブ(CNT1)として用いた。また、VGCF−X(商標登録)(昭和電工製)をアルゴンガス雰囲気下2800℃で50分間加熱して得られたカーボンナノチューブ(平均繊維径15nm、平均繊維長3μm)を、第2のカーボンナノチューブ(CNT2)として用いた。第2のカーボンナノチューブの含有酸素元素量を測定した結果0.51質量%であった。電極2aのカーボン材料として、CNT1およびCNTを用いた。具体的には、含有酸素元素量が0.52質量%の第1のカーボンナノチューブ(CNT1)と含有酸素元素量が0.51質量%の第2のカーボンナノチューブ(CNT2)との合計100質量%に対し、90質量%のCNT1及び10質量%のCNT2を純水に添加して混合してカーボンナノチューブの分散液を得た。そして、この分散液を濾過して、試験例1と同様にして、電極2aを作製し、レドックスフロー電池を組み立て、試験例1と同様にセル抵抗率を算出した。試験例4では、電極2aの全体に占めるカーボンナノチューブ(CNT1およびCNT2の合計)の含有量は100質量%、つまり、電極2aはカーボンナノチューブ(CNT1およびCNT2)からなり、カーボンナノチューブの含有酸素元素量(CNT1の含有酸素元素量およびCNT2の含有酸素元素量の平均値)は0.52質量%であった。
図5に示されるように、試験例1及び4では、電池の運転温度に関わらず、セル抵抗率の変動が小さいことが確認された。これに対し、試験例2及び3では、電池の運転温度が40℃の場合にはセル抵抗率が低かったが、運転温度が50℃より高温になるとセル抵抗率が高くなるように大きく変化しているのがわかる。このため、試験例1及び4は、試験例2及び3に比べて、セル抵抗率が運転温度に対して安定であることが確認された。
また、図6は、図5に示した試験例1〜4のそれぞれの近似式の傾きと、試験例1〜4でそれぞれ用いた電極に含まれるカーボン材料の含有酸素元素量との関係をプロットしたものである。さらに、図6には、図5で得られた近似式の傾きを横軸とし、含有酸素元素量を縦軸として、試験例1〜4の4つのプロットに基づいて近似して得られた式も併せて示す。
ここで、図6に示す傾きとは、図5に示すセル抵抗率を電池の運転温度で割った値である。そのため、電池の運転温度が変化した場合、図6に示す傾きが0に近いほど、セル抵抗率の値は安定であることを意味する。すなわち、図6に示す傾きが0に近いほど、電池の運転温度が変化してもセル抵抗率は安定になる。なお、ここでは、傾きが−0.19以上+0.19以下であるレドックスフロー電池を、電池の運転温度に依存せずに安定であると見なした。
図6に示されるように、傾きが−0.19であるときの含有酸素元素量は0.34質量%であり、傾きが+0.19であるときの含有酸素元素量は0.54質量%であった。一方で、上述のように、試験例1の含有酸素元素量が0.36質量%であり、試験例2の含有酸素元素量が0.70質量%であり、試験例3の含有酸素元素量が1.30質量%であり、試験例4の含有酸素元素量が0.52質量%であった。このように、試験例1及び4の含有酸素元素量は、傾き−0.19以上+0.19以下であるときの含有酸素元素量の範囲内(0.34〜0.54質量%)であった。また、傾きが0であるときの含有酸素元素量は0.44質量%であった。
このことから、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を含む電極を用いることにより、電池の運転温度を制御しなくても、セル抵抗率の変動が小さく、安定した出力性能が得られることがわかった。特に、含有酸素元素量が0.44質量%のカーボン材料を含む電極を用いると、セル抵抗率が、電池の運転温度(特に40〜60℃の温度範囲)に対して変化が小さく、安定していることが示唆された。
なお、試験例1〜4では、正極活物質及び負極活物質にバナジウム(V)イオンを用いたバナジウム系レドックスフロー電池について実施したが、これに限定されないことはいうまでもない。正極電解液及び負極電解液は、少なくとも1種以上の電気化学的な活物質を含む水溶液であればよい。電気化学的な活物質としては、例えば、マンガン、チタン、クロム、臭素、鉄、亜鉛、セリウム、鉛等の金属イオンが挙げられる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 液流入部材
2、2a 電極
3 液流出部材
11 流入管
12 流出管
20、20a、40 集電板
30 イオン交換膜
41 液流入部
100、200、300 レドックスフロー電池

Claims (11)

  1. レドックスフロー電池の電極であって、
    前記電極は、含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を含むレドックスフロー電池の電極。
  2. 前記カーボン材料は、前記電極の全体に対して、10質量%以上含まれる、請求項1に記載のレドックスフロー電池の電極。
  3. 前記カーボン材料は、カーボンナノチューブである、請求項1又は2に記載のレドックスフロー電池の電極。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極を備え、電解液を循環させて充放電を行う、レドックスフロー電池。
  5. 前記電解液を前記電極に流入させる液流入部材と、前記電極を通過した前記電解液を流出させる液流出部材とをさらに備える、請求項4に記載のレドックスフロー電池。
  6. 前記液流入部材は、導電性の多孔質部材からなる、請求項5に記載のレドックスフロー電池。
  7. 集電板と、前記電極を通過した前記電解液を流出させる液流出部材とをさらに備え、
    前記集電板は、前記電極に対向する対向面に液流入部を形成する、請求項4に記載のレドックスフロー電池。
  8. 前記液流出部材は、導電性の多孔質部材からなる、請求項5〜7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  9. レドックスフロー電池の電極の製造方法であって、
    含有酸素元素量が0.44±0.10質量%のカーボン材料を準備する準備工程と、
    前記カーボン材料を溶媒に分散して分散液を得る分散工程と、
    前記分散液中の前記溶媒を除去して前記カーボン材料を含む電極を形成する形成工程と、を備える、レドックスフロー電池の電極の製造方法。
  10. 前記カーボン材料の含有酸素元素量が0.54質量%超の場合、前記準備工程の前に、前記カーボン材料を不活性ガス雰囲気下で2500℃以上3500℃以下で加熱する加熱工程をさらに備える、請求項9に記載のレドックスフロー電池の電極の製造方法。
  11. 前記カーボン材料の含有酸素元素量が0.34質量%未満の場合、前記準備工程の前に、前記カーボン材料を硝酸溶液に浸漬する浸漬工程をさらに備える、請求項9に記載のレドックスフロー電池の電極の製造方法。
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