WO2019045017A1 - 電磁装置 - Google Patents

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Abstract

電動機には、外側界磁部と内側界磁部との間の電機子に三相のコイルが設けられ、外側界磁部及び内側界磁部には、ハルバッハ磁石配列が用いられている。ハルバッハ磁石配列の各々は、3の倍数に2を加えた数の何れか一つが分割数とされ、電気角1周期を分割数で除した角度ずつ着磁方向が順に変更されて永久磁石が配列されている。これにより、電動機は、トルクリップルが抑制される。

Description

電磁装置
  本発明は、回転電機などの電磁装置に関する。
 回転電動機、発電機などの回転電機やリニアモータなどの電磁装置には、永久磁石のN極とS極とが交互に配列されて界磁(N-S配列界磁)が用いられたものがある。N-S配列界磁では、配列された磁石の両側に磁場が生じるため、永久磁石によって発生する磁場を有効に活用できない。
 これに対し、界磁により生じる磁場を高める永久磁石の配列方法には、ハルバッハ磁石配列がある。ハルバッハ磁石配列は、永久磁石の磁極(着磁方向)を90°ずつ回転させながら配列する磁石配列方法であり、磁石配列の一側に強い磁場を生じさせることができる。
 また、特開2009-201343号公報及び特開2010-154688号公報には、2組のハルバッハ磁石配列を、互いの磁場が強めあうように配置して、永久磁石が発生する磁場を有効に利用できる界磁(デュアルハルバッハ配列界磁)が提案されている。
 ところで、回転子に生じるトルクリップルは、電動機に発生する振動及び騒音の一因となる。また、トルクリップルは、電動機を駆動源とする駆動装置において電動機によって移動される移動部材の停止位置や動作精度に影響を及ぼす。このため、回転電機(電動機)等においては、トルクリップルの抑制が望まれている。
 ここから、特開2007-014110号公報の回転電機では、巻線を有する固定子にロータコアが支持され、ロータコアの外周にロータコアの周方向に主磁石と補助磁石とが交互に配置された回転子が設けられており、回転子の主磁石がロータコアの径方向に着磁され、補助磁石が径方向以外(径方向に対して90°)に着磁されている。この回転電機では、トルクリップルの抑制を図るために、補助磁石の固定子側の面の周方向幅Wsと、補助磁石の径方向厚さtとが、0<Ws<1.5tを満たすようにするか、補助磁石の周方向両端面のなす角度θsの磁極ピッチθpに対する比の値θs/θpと、補助磁石の径方向厚さtの回転子の半径rに対する比の値t/rとが、0<θs/θp<1.9t<rを満たすようにしている。
 しかし、永久磁石の着磁方向を90°ずつ回転させて配列したハルバッハ配列界磁では、界磁表面近傍の磁束密度分布において5次の高調波成分の振幅が大きくなる。このため、上記ハルバッハ配列界磁では、磁束密度分布に含まれる高調波成分と電機子のコイルに通電される交流電流との相互作用によってトルクリップルが発生してしまう。
 一方、デュアルハルバッハ配列界磁を用いる電動機では、低速回転時において、高効率で高調波成分の極めて少ない状態で高い出力トルクが得られるが、高速回転時において逆起電力が大きくなる。このため、デュアルハルバッハ配列界磁を用いる電動機を駆動する電源には、高速回転時に発生する逆起電力を超える出力電圧が必要となる。
 また、デュアルハルバッハ配列界磁を用いる電動機では、デュアルハルバッハ配列界磁をロータ側とすると共に、電機子コイルをステータ側として用いるのが一般的となっている。このため、電動機のロータは、アウターロータとインナーロータとを一体にした二重円筒構造となっている。また、アウターロータとインナーロータとの間には、電機子コイルが配置されるため、ロータは、大型で片持ち構造となっている。これにより、デュアルハルバッハ配列界磁を用いた電動機では、ロータの構造が複雑であり、高速回転時において、振動や騒音が発生する懸念がある。
 また、デュアルハルバッハ配列界磁を用いた電動機では、二重円筒構造のロータ内に電機子コイルが配置されており、排熱が難しく、電機子コイルの発熱等が問題となることがある。
 本発明の一実施形態は、電磁装置において、トルクリップルの抑制を目的とする。また、本発明の一実施形態は、電磁装置において、安定した出力が得られると共に、排熱の問題の解消を目的とする。
 本発明の電磁装置は、以下の態様を含む。
 第1の態様の電磁装置は、三相のコイルが設けられた電機子と、3の倍数に2を加えた数の何れか一つを分割数とし、前記コイルの電流の電気角1周期を前記分割数で除した角度ずつ着磁方向が順に変更されて複数の永久磁石が所定方向に配列された界磁と、を備え、前記電機子及び前記界磁の一方が他方に対して前記永久磁石の配列方向に相対移動される。
 第2の態様の電磁装置は、第1の態様の電磁装置において、前記コイルが空芯である。
 第3の態様の電磁装置は、第1又は第2の態様の電磁装置において、前記界磁は、2組の前記永久磁石の配列が所定の間隙を介して対向され、該間隙内に前記電機子が配設されている。
 第4の態様の電磁装置は、第3の態様の電磁装置において、前記界磁は、2組の前記永久磁石の配列により各々が円筒状とされた外側界磁及び内側界磁が形成され、前記内側界磁と前記外側界磁との前記間隙において、該間隙の中心線の外側の空間体積と前記中心線の内側の空間体積との比が、前記外側界磁の体積と前記内側界磁の体積との比と同様にされている。
 第5の態様の電磁装置は、第1又は第2の態様の電磁装置において、磁性材料によって形成された円筒状の内部に前記回転子が相対回転可能に配置された固定子と、を備え、前記電機子は、前記三相のコイルの各々が前記固定子の内周面に周方向に設けられている。
 第6の態様の電磁装置は、第5の態様の電磁装置において、前記界磁の外周面と前記固定子の内周面との間のギャップ長Gが、前記界磁の極ピッチτより小さくされている。
 第7の態様の電磁装置は、第5又は第6の態様の電磁装置において、前記界磁を形成する前記永久磁石の扇形状断面において、径方向の外側円弧長と径方向の内側円弧長との平均値が、径方向の外側円弧半径と径方向の内側円弧半径との差よりも小さくされている。
 第8の態様の電磁装置は、第1から第7の何れか1の態様の電磁装置において、前記コイルの巻線がリッツ線である。
 本発明の態様によれば、電動機等においてトルクリップルを抑制できる、という効果を有する。
 また、本発明の態様では、コイルが空芯とされることで、コギングトルクを抑制できる。
 さらに、本発明の態様では、コイルが配置される固定子に磁性材料が用いられることで、コイルの外周側から冷却可能となるので、排熱が容易となる、という効果を有する。
 また、本発明の態様では、界磁の外周面と固定子の内周面との間のギャップ長Gを界磁の極ピッチτより小さくすることで、逆起電力を抑制できて、高回転までトルクを出力できる。
 本発明の態様によれば、コイルにリッツ線が用いられることで、電流損失の増大を抑制できて、コイルの発熱を抑制できる。
第1の実施形態に係る電動機の主要部を示す軸方向視の平面図である。 界磁及び電機子を示す展開図である。 一般的なハルバッハ配列界磁の主要部を示す展開図である。 実施例1に係る界磁の磁束及び磁束密度の分布図である。 実施例2に係る界磁の磁束及び磁束密度の分布図である。 比較例1に係る界磁の磁束及び磁束密度の分布図である。 比較例2に係る界磁の磁束及び磁束密度の分布図である。 比較例3に係る界磁の磁束及び磁束密度の分布図である。 比較例4に係る界磁の磁束及び磁束密度の分布図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の電気角に対する磁束密度の変化を示す線図である。 実施例2、比較例3及び比較例4の電気角に対する磁束密度の変化を示す線図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の空間高調波の次数に対する振幅を示す線図である。 実施例2、比較例3及び比較例4の空間高調波の次数に対する振幅を示す線図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の時間に対するトルクの直流成分比を示す線図である。 実施例2、比較例3及び比較例4の時間に対するトルクの直流成分比を示す線図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の空間高調波の次数に対する振幅(振幅比率)を示す線図である。 実施例2、比較例3及び比較例4の空間高調波の次数に対する振幅(振幅比率)を示す線図である。 第2の実施形態に係る電動機の概略構成を示す主要部の平面図である。 ハルバッハ磁石配列の概略構成を示す展開図である。 鏡像法を説明する概略図であり、正負の点電荷の間の電気力線の概略を示している。 鏡像法を説明する概略図であり、点電荷と導体との電気力線の概略を示している。 シングルハルバッハ配列界磁における磁束密度及び磁束の分布を示す概略図である。 デュアルハルバッハ配列界磁における磁束密度及び磁束の分布を示す概略図である。 第2の実施形態における電動機の界磁部の軸方向視の平面図である。 第2の実施形態の比較例に係る電動機の界磁部の軸方向視の平面図である。 外筒部の厚さに対する最大磁束密度の変化の概略を示す線図である。 第2の実施形態に係る電動機における磁束密度及び磁束の分布を示す概略図である。
 以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
 図1には、第1の実施形態に係る電磁装置としての三相交流電動機(以下、電動機10という)の主要部が軸方向視の平面図にて示されている。電動機10は、界磁12及び電機子14を備えており、界磁12及び電機子14が図示しないケーシング(筐体)内に収容されている。
 界磁12は、各々が略円筒状とされた外側界磁部16及び内側界磁部18により形成されており、外側界磁部16が外側界磁を構成し、内側界磁部18が内側界磁を構成している。外側界磁部16の内径は、内側界磁部18の外径よりも大きくされており、界磁12は、外側界磁部16と内側界磁部18とが同軸とされて、外側界磁部16内に内側界磁部18が収容されて一体とされている。また、電機子14は、略円筒状に形成されており、電機子14は、内径が内側界磁部18の外径よりも大きくされていると共に、外径が外側界磁部16の内径よりも小さくされている。
 電動機10は、電機子14が界磁12(外側界磁部16及び内側界磁部18)と同軸とされ、外側界磁部16と内側界磁部18との間に収容されており、電動機10は、電機子14に対して界磁12が相対回転可能とされてケーシングに支持されている。
 図2には、電動機10の主要部の径方向断面が軸方向視の展開図にて示されており、図3には、一般的なハルバッハ配列界磁50の主要部が展開図にて示されている。なお、図面では、符号NによりN極が示され、符号SによりS極が示されると共に、着磁方向が矢印にて示され、磁力線が破線にて示されている。また、図面では、矢印xによりハルバッハ磁石配列における電気角方向が示され、矢印yにより電動機10のトルク発生に寄与する磁力線方向が示されている。電動機10においては、矢印yが界磁12及び電機子14の径外方に対応され、矢印xが界磁12及び電機子14の周方向一側に対応されている。
 図2に示すように、電機子14には、複数のコイル20が設けられている。コイル20は、コア入りであってもよいが、空芯コイルであることがより好ましく、第1の実施形態では、各コイル20を空芯としている。コイル20は、U相のコイル20U、V相のコイル20V及びW相のコイル20Wが一組とされて、複数組が電機子14の周方向に配列されている。コイル20には、電動機10に供給される所定電圧の三相交流電力に応じて三相の交流電流が流れる。この際、コイル20U、20V、20Wには、電気角1周期の範囲で、位相が120°ずつずれた交流電流が流れる。なお、コイル20(20U、20V、20W)は、同相電流が流れるコイル群によって構成されてもよい。
 界磁12には、外側界磁部16及び内側界磁部18によって外側界磁部16と内側界磁部18との間に磁場が形成されており、電動機10は、コイル20に三相交流電流が流れることで、界磁12と電機子14とが相対移動されている。
 界磁12は、外側界磁部16及び内側界磁部18の各々にハルバッハ磁石配列が適用されたデュアルハルバッハ配列界磁とされている。外側界磁部16及び内側界磁部18に適用されるハルバッハ磁石配列においては、断面矩形の複数の永久磁石を配列する際、着磁方向を所定角度ずつ変更して形成することができる。この際、電気角1周期(2π=360°)を3以上の整数で除した角度(分割した角度)を設定角度Δとし、設定角度Δずつ着磁方向が順に変更されて永久磁石が配列される。
 一般に、ハルバッハ磁石配列における分割数mとしては、m=4(4分割)が適用されており、図3には、分割数m=4のハルバッハ配列界磁50が示されている。ハルバッハ配列界磁50には、ハルバッハ磁石配列(シングルハルバッハ磁石配列)52が設けられている。ハルバッハ磁石配列52では、複数の永久磁石(磁石)54が用いられ、磁石54が分割数mから設定された設定角度Δ(Δ=90°)で着磁方向が変更されて配列されている。磁石54としては、例えば直方体状(着磁方向に平行な断面の一辺が長さaの正方形)が好ましく、また、磁石54は、緊密に接するように配列されることが好ましい。
 ハルバッハ磁石配列52では、着磁方向が配列方向と交差する方向の一側に向けられた磁石54Aに対して、配列方向両側の磁石54B、54Cの着磁方向が磁石54A側に向けられている。また、磁石54B、54Cの磁石54Aとは反対側に隣接する磁石54D、54Eは、着磁方向が磁石54Aの着磁方向とは反対方向に向けられている。なお、磁石54Dの磁石54Bとは反対側には、着磁方向が磁石54Bとは反対側に向けられた磁石54(磁石54Cと同様の磁石54)が配置され、磁石54Eの磁石54Cとは反対側には、着磁方向が磁石54Cとは反対側に向けられた磁石54(磁石54Bと同様の磁石54)が配置される(何れも図示省略)。
 これにより、ハルバッハ磁石配列52では、磁石54Aの着磁方向とは反対方向の磁場の強さが抑制されて、磁石54Aの着磁方向に、磁石54Aの着磁方向とは反対側に比して強い磁場が形成される。
 ここで、第1の実施形態に係る外側界磁部16及び内側界磁部18では、電気角1周期の分割数m(mは正の整数)として、3の倍数に2を加えた数の何れか一つを適用している(m=3・n+2、但し、nは、正の整数の何れか一つ)。外側界磁部16及び内側界磁部18では、分割数mから設定角度Δが設定され(θ=360°/m)、設定角度Δから各永久磁石の着磁方向(着磁方向の傾き)が設定されている。
 これにより、界磁12には、分割数mが、m=5、8、11、14、17、20、23、・・・のうちの何れか一つが適用される。また、設定角度Δは、分割数m=5ではΔ=72°、分割数m=8ではΔ=45°、分割数m=11ではΔ=32.7°、・・・・に設定される。
 図2には、分割数m=5とされた界磁12が示されている。界磁12には、外側界磁部16にハルバッハ磁石配列22が適用され、内側界磁部18にハルバッハ磁石配列24が適用されている。なお、磁束を回転させる開始点は、y軸に平行な位置である必要はなく、y軸に対して任意の角度を開始点として差し支えない。
 ハルバッハ磁石配列22、24には、複数の永久磁石(磁石)26が用いられる。磁石26としては、磁石54と同様に、略直方体状(断面の一辺が長さaの略正方形状)が好ましく、ハルバッハ磁石配列22、24は、磁石26が緊密に接するように配列されている。
 磁石26としては、着磁方向が正方形断面の一辺を基準として、基準とした一辺に沿うように着磁された磁石26Aが用いられる。また、磁石26としては、設定角度Δ=72°から、基準とした一辺に対して着磁方向が角度θ=72°で傾斜するように着磁された磁石26B、及び基準とした一辺に対して着磁方向が角度θ=144°(又は36°でもよい)で傾斜するように着磁された磁石26Cが用いられる。さらに、磁石26としては、基準とした一辺に対して着磁方向が角度θ=216°(又は-144°)で傾斜するように着磁された磁石26D、及び基準とした一辺に対して着磁方向が角度θ=288°(又は-72°でもよい)で傾斜するように着磁された磁石26Eが用いられている。
 ハルバッハ磁石配列24では、着磁方向がハルバッハ磁石配列22側に向けられて磁石26Aが配置され、磁石26Aの一側に磁石26E、26D、26C、26Aが順に配列されると共に、磁石26Aの他側に磁石26B、26C、26D、26Eが順に配列されている。また、ハルバッハ磁石配列22では、着磁方向がハルバッハ磁石配列24側とは反対側に向けられて磁石26Aが配置され、磁石26Aの一側に磁石26E、26D、26C、26Bが順に配列されると共に、磁石26Aの他側に磁石26B、26C、26D、26Eが順に配列されている。さらに、磁石26A~26Eの各々は、配列方向に沿う断面形状が同様の断面形状にされている。
 界磁12は、ハルバッハ磁石配列22(内側界磁部18)の磁石26Aとハルバッハ磁石配列24(外側界磁部16)の磁石26Aとが対向され、対向する着磁面が所定のギャップ長Cとされてハルバッハ磁石配列22、24が配置されている。ギャップ長Cは、ハルバッハ磁石配列22の磁石26の着磁面とハルバッハ磁石配列24の磁石26の着磁面との間隙としている。
 電機子14(コイル20)の径方向厚さtは、ハルバッハ磁石配列22、24の間で、着磁面との間に所定の間隙が得られる厚さとされている。また、コイル20周面と着磁面との間隔(ギャップg)は、磁石26の1辺の長さaよりも狭い間隔にされている。第1の実施形態では、ギャップgを長さaの1/2以下(g≦(a/2))としており、電機子14のコイル20を形成する最外周の導線が磁石26表面(着磁面)に近接していることが好ましい。
 このように構成されている電動機10は、界磁12にデュアルハルバッハ配列界磁が適用されている。2組のハルバッハ配列界磁(シングルハルバッハ配列界磁)が所定の間隙で対向されたデュアルハルバッハ配列界磁においては、間隙の中心位置をギャップ中心(図2の一点鎖線参照)とすると、ギャップ中心から一方のハルバッハ配列界磁の間の空間体積とギャップ中心から他方のハルバッハ配列界磁の間の空間体積との比が、一方のハルバッハ配列界磁の体積と他方のハルバッハ配列界磁の体積との比と同様(等しい)となっている。
 ここで、外側界磁部16及び内側界磁部18は、2組のハルバッハ配列界磁の各々が等積変形されて略円筒形状に形成されている。このため、等積変形されて各々が筒形状とされた外側界磁部16及び内側界磁部18との間においても、ギャップ中心から外側界磁部16の間の空間体積とギャップ中心から内側界磁部18の間の空間体積(容積)との比が、外側界磁部16の体積と内側界磁部18の体積との比と同様(略等しい)となる関係が保持される。これにより、界磁12には、複数の永久磁石が直線状に配列されたデュアルハルバッハ配列界磁と同等の磁場が、外側界磁部16と内側界磁部18との間に形成され、界磁12は、デュアルハルバッハ配列界磁とされている。
 電動機10では、界磁12がデュアルハルバッハ配列界磁とされていることで、コイル20(電機子14)の相対移動領域(外側界磁部16と内側界磁部18との間の領域)の磁場が高められている。また、電動機10では、コイル20が外側界磁部16及び内側界磁部18の界磁表面に近接されているので、コイル20と鎖交する磁束が大きくされている。このため、電動機10は、コイル20が界磁表面と離れている(ギャップgがg>(a/2))場合に比して、大きな出力トルクが得られる。
 さらに、電動機10では、コイル20が空芯コイルとされていることで、コイル20のインダクタンスを小さくできて、コイル20に生じる逆起電力を抑制できるので、定格回転数を高くできる。しかも、電動機10では、コイル20を空芯コイルとすることで、コギングトルクの発生を防止できる。
 ところで、三相同期電動機においては、電気角1周期当たりの磁束密度に含まれる空間高調波成分のうちで、3の倍数となる次数(3次、6次、・・・)の空間高調波成分に起因するトルクリップルが発生しない(抑制されている)ことが知られている。また、空間高調波成分の振幅は、トルクリップルに影響し、空間高調波成分のうちで低次数の空間高調波成分の振幅は、高次数の空間高調波成分の振幅より大きいことから、特に、低次数の空間高調波成分は、トルクリップルに影響する。
 また、ハルバッハ磁石配列を適用した界磁では、電気角1周期における分割数mから磁石の配列数が定まる(分割数mと同様)。この際、磁場内における磁束密度の変化(電気角方向の変化)には、高調波成分(空間高調波成分)が含まれる。ハルバッハ磁石配列における空間高調波成分は、分割数(磁石の分割数)mの倍数kに1を加えた(m・k+1、但し、kは正の整数)次数において振幅が大きくなる。例えば、分割数m=4の場合、5次(k=1)及び9次(k=2)の空間高調波成分の振幅が大きくなる。
 一般に、ハルバッハ配列界磁は、電気角1周期(2π)をm分割した回転角(設定角度Δ)ごとに永久磁石(磁石26)の磁極が配列方向に回転される構成となっている。このハルバッハ配列界磁において、f(s)が任意の1個の永久磁石のラプラス空間における二次元磁束分布、H(s)がハルバッハ配列界磁の磁場空間分布、H(jω)が磁場空間分布H(s)の周波数表現であるとする。
 この場合、磁場空間分布H(s)は、(1)式で表され、磁場空間分布H(s)の周波数表現H(jω)は、(2)式で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 ここで、kを非負の整数(0以上の整数)として、ωが(3)式を満たすときに特異点が存在する。この条件を満たすωは、(4)式となり、ハルバッハ配列界磁においては、次数が(k・m+1)の空間高調波が存在する。但し、m=0は、基本波であり、高調波は、mが正数となる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 ここから、ハルバッハ配列界磁においては、分割数mを、m=3・n+2(但し、nは、正の整数)とすることで、第1高調波(k=1)を3の倍数とすることができる。また、三相同期電動機においては、この高調波成分に起因するトルクリップルが、三相の巻線間で相殺できる。
 第1の実施形態では、分割数m=3・n+2(但し、nは、正の整数の何れか一つ)としている。これにより、三相交流電力を使用する電動機10においては、ハルバッハ磁石配列を用いた界磁(ハルバッハ配列界磁)におけるトルクリップルに影響する空間高調波成分の発生を抑制でき、トルクリップルを抑制できる。
 図4A、図4B、及び図5A~図5Dには、第1の実施形態におけるシミュレーション結果を示す。シミュレーションでは、有限要素法を適用した磁界解析によりデュアルハルバッハ配列界磁における磁束(磁束線)の分布及び磁束密度を求めている。図4A、図4B、及び図5A~図5Dには、磁束線の分布が示されると共に、磁束密度(磁場の強さ)の分布が正規化されて示されている。なお、図4A、図4B、及び図5A~図5Dには、界磁(デュアルハルバッハ配列界磁)を形成する磁石の概略形状(外形)が二点鎖線にて示されている。
 ここで、分割数m=3・n+2を満たすハルバッハ配列界磁(デュアルハルバッハ配列界磁)としての分割数m=5の界磁12を実施例1、及び分割数m=8の界磁30を実施例2としており、図4Aには、実施例1が示され、図4Bには、実施例2が示されている。
 また、第1の実施形態では、分割数m=4の界磁40を比較例1、分割数m=6の界磁42を比較例2、分割数m=7の界磁44を比較例3、分割数m=9の界磁46を比較例4としている。図5Aには比較例1が示され、図5Bには比較例2が示され、図5Cには比較例3が示され、図5Dには比較例4が示されている。なお、界磁30、40~46は、界磁12と同様に、分割数mから設定された設定角度Δに基づいた角度θとなる着磁方向が得られるように着磁された磁石26が用いられている。
 図4A、図4B、及び図5A~図5Dに示すように、実施例1、実施例2及び比較例1~比較例4では、ハルバッハ磁石配列の間隙(ギャップ長Cのギャップ)の中央位置において、磁束密度が電気角方向に正弦波状に変化している。このため、実施例1、実施例2及び比較例1~比較例4では、デュアルハルバッハ配列界磁の特性が得られている。
 しかし、デュアルハルバッハ配列界磁を形成するハルバッハ磁石配列においては、界磁表面(着磁面)近傍(磁石26の1辺の長さaの1/2以内の距離位置)において、磁束密度分布に高調波成分(空間高調波成分)が含まれる。このため、電動機10では、コイル20が界磁表面に近接されていると、トルクリップルが生じてしまう。
 図6A及び図6Bには、電気角1周期の範囲(-180°~180°の範囲)における電気角[deg]に対する磁束密度[T:tesla]の変化が示されている。磁束密度の変化は、図4A、図4B、及び図5A~図5Dの各々において、コイル(図示省略)に鎖交する磁束(y方向の磁束)のハルバッハ磁石配列の着磁面から所定距離位置における密度(磁束密度)の電気角方向(矢印x方向)の変化をフーリエ変換することで求めている。
 なお、所定距離は、通常の製造精度において、より大きい出力トルクが得られ、かつ動作時にコイルと着磁面とが接触しない間隔で、コイルを配置する際の着磁面に対するコイルの距離であり、ここでは、一例として0.5mmとしている。また、図6Aには、実施例1、比較例1、及び比較例2が示され、図6Bには、実施例2、比較例3及び比較例4が示されている。
 図6A及び図6Bに示すように、実施例1、実施例2及び比較例1~比較例4の間では、磁束密度の変化に高調波成分(空間高調波成分)が含まれることで、磁束密度の変化に相違が生じる。
 図7A及び図7Bには、磁束密度の変化から界磁表面(着磁面)近傍における空間高調波成分の次数ごとの振幅(A)が示されている。なお、図7Aには、実施例1、比較例1、及び比較例2が示され、図7Bには、実施例2、比較例3及び比較例4が示されている。
 図7Aに示すように、比較例1では、5次、9次及び13次の空間高調波成分の振幅が他の次数より大きく現れ、実施例1では、6次及び11次の空間高調波成分の振幅が他の次数より大きく現れ、比較例2では、7次及び13次の空間高調波成分の振幅が他の次数より大きく現れている。また、図7Bに示すように、比較例3では、8次及び15次の空間高調波成分の振幅が他の次数より大きく現れ、実施例2では、9次及び17次の空間高調波成分の振幅が他の次数より大きく現れ、比較例4では、10次の空間高調波成分の振幅が他の次数より大きく現れている。
 これらの空間高調波成分の次数は、上述した如く、分割数mに対して(m・k+1、但し、kは正の整数)の次数に該当する。したがって、ハルバッハ磁石配列における空間高調波成分は、分割数(磁石の分割数)mの倍数kに1を加えた(m・k+1、但し、kは正の整数)次数の振幅が大きくなる。
 一方、図8A及び図8Bには、実施例1、実施例2及び比較例1~比較例4のシミュレーションにおいて、直流成分で正規化した時間に対するトルクの直流成分比[p.u.]が示されている。また、図9A及び図9Bには、トルクの直流成分比の時間変化に含まれる電気角1周期当たりの高調波(空間高調波)の振幅比率が示されている。なお、図8A及び図9Aには、実施例1、比較例1、及び比較例2が示され、図8B及び図9Bには、実施例2、比較例3及び比較例4が示されている。
 図8A及び図8Bに示すように、トルク変動は、実施例1に比して、比較例1及び比較例2が大きく、実施例2に比して、比較例3及び比較例4が大きくなっている。ここで、全高調波ひずみ率THD[%]は、実施例1(分割数m=5)が、0.173、及び実施例2(分割数m=8)が、0.068であった。これに対して、全高調波ひずみ率THD[%]は、比較例1(分割数m=4)が、1.687、比較例2(分割数m=6)が、0.472、比較例3(分割数m=7)が、1.213、及び比較例4(分割数m=9)が、0.897であった。
 また、図9A及び図9Bに示すように、比較例1及び比較例2では、6次の空間高調波成分の振幅が大きくなっており、比較例3及び比較例4では、9次の空間高調波成分の振幅が大きくなっている。このため、比較例1及び比較例2では、6次の空間高調波成分に起因したトルクリップルが生じており、比較例3及び比較例4では、9次の空間高調波成分に起因したトルクリップルが生じているといえる。したがって、ハルバッハ磁石配列においては、着磁面に近接する位置において、トルクリップルが生じる。
 ここで、三相同期電動機においては、電気角1周期当たりの磁束密度に含まれる空間高調波成分のうちで、3の倍数となる次数の空間高調波成分に起因するトルクリップルが抑制される。このため、分割数m=5の実施例1及び分割数m=8の実施例2では、6次及び9次の空間高調波成分が大きくなっている。これにより、実施例1及び実施例2では、トルクリップルが抑制される。したがって、デュアルハルバッハ配列界磁が適用された電動機10では、電気角1周期の分割数m(mは正の整数)として、3の倍数に2を加えた数(m=3・n+2、但し、nは、正の整数の何れか一つ)を適用することで、トルクリップルが抑制される。
 また、電動機では、ハルバッハ磁石配列を形成する複数の磁石26について、配列方向に沿う断面形状に相違が生じると、空間高調波成分が生じて、トルクリップルが生じる。これに対して、第1の実施形態では、複数の磁石26の各々について、配列方向に沿った断面における断面形状を同様の形状としているので、より空間高調波成分を抑制できてトルクリップルの発生を抑制できる。
 また、ハルバッハ磁石配列(ハルバッハ磁石配列22、24等)では、界磁表面近傍(磁石の着磁面近傍)から磁石の正方形断面の1辺長さ(長さa)の1/2以上離れると、空間高調波成分が急激に減少する。このため、コイル20と界磁表面とのギャップgをg>(a/2)とすることで、トルクリップルを抑制できる可能性がある。しかし、コイル20と界磁表面とのギャップgをg>(a/2)とすることで、コイル20と界磁表面とのギャップgをg≦(a/2)の場合に比して、出力トルクが低下する。
 これに対して、電気角1周期の分割数m(mは正の整数)として、3の倍数に2を加えた数(m=3・n+2、但し、nは、正の整数の何れか一つ)が適用されることで、電動機10では、コイル20と界磁表面とのギャップgをg>(a/2)とした場合に限らず、ギャップgをg≦(a/2)とした場合にもトルクリップルが抑制される。したがって、電動機10では、出力トルクを高くするために、コイル20が界磁表面に近接(g≦a/2)してもトルクリップルが抑制されて、振動や振動に起因する騒音の発生が抑制される。
 また、シングルハルバッハ磁石配列においても、界磁表面近傍(磁石の着磁面近傍)から磁石の正方形断面の1辺長さ(長さa)の1/2以内の位置においては、デュアルハルバッハ磁石配列と同様の空間高調波成分が存在する。したがって、シングルハルバッハ磁石配列を用いた界磁においても、電気角1周期の分割数m(mは正の整数)として、3の倍数に2を加えた数(m=3・n+2、但し、nは、正の整数)の何れか一つを適用することで、界磁表面近傍における空間高調波成分を抑制できて、トルクリップルを抑制できる。
 このようにハルバッハ磁石配列が用いられた電動機10は、トルクリップルを高精度で抑制できるので、各種の位置決め用モータ(位置決め用サーボモータ)として使用することで、位置決めを高精度にできる。また、高速回転が要求されるモータ(電動機)では、定格回転数に達するまでに機械的共振周波数を通過することになるが、トルクリップルが抑制されることで、機械的共振周波数を通過する際の振動が抑制される。このため、電動機を研磨機や高速回転機器に使用することで、電動機10が加振源となることがないので、装置の振動や振動に起因する騒音の発生を抑制できる。
〔第2の実施形態〕
 次に、本発明の第2の実施形態について詳細に説明する。
 図10には、第2の実施形態に係る電磁装置及び回転電機としての三相交流電動機(以下、電動機60という)の主要部の概略構成が軸方向視の平面図にて示されている。
 電動機60は、回転子としての外径柱状のロータ62、及び電機子を構成する固定子としての略円筒状のステータ64を備えている。電動機60は、ロータ62とステータ64とが同軸にされており、ロータ62は、ステータ64内に配置されて、ステータ64に回転自在に支持されている。
 ロータ62の外周部には、界磁部66が設けられている。また、ステータ64には、磁路形成部としての円筒状の外筒部68が設けられており、外筒部68は、磁性材料(強磁性材料)としての電磁鋼板製の継鉄とされて断面リング状に形成されている。また、ステータ64には、外筒部68の内周面に電機子を構成する複数のコイル20が取り付けられており、コイル20は、U相のコイル20U、V相のコイル20V及びW相のコイル20Wが一組とされている。電動機60は、複数組のコイル20が外筒部68の内周において周方向に所定の間隔で配置された集中巻きにされている。コイル20は、空芯とされて、導線としてのリッツ線が巻回されて形成されている。コイル20は、リッツ線が用いられることで、導線内における渦電流の発生が抑制されて、発熱が抑制されている。
 コイル20には、電動機10に供給される所定電圧の三相交流電力が供給される。この際、各組のコイル20U、20V、20Wには、電気角1周期の範囲で、位相が120°ずつずれた交流電流が流れる。
 電動機60には、界磁部66によって磁場が形成されており、電動機60では、磁場内においてコイル20(20U、20V、20W)に三相交流電流が流れることで、ステータ64に対してロータ62が周方向に回転される。この際、ロータ62は、三相交流電流の周波数に応じた回転数で回転される。
 ここで、ロータ62の界磁部66及びステータ64の外筒部68を詳細に説明する。
 第2の実施形態に係る界磁部66には、ハルバッハ磁石配列が適用されている。ハルバッハ磁石配列には、シングルハルバッハ磁石配列(シングルハルバッハ配列界磁)及びデュアルハルバッハ磁石配列(デュアルハルバッハ配列界磁)があり、電動機60では、界磁部66にシングルハルバッハ磁石配列が適用されている。
 三相交流電動機では、界磁部66の表面(着磁面)とコイル20とが近接されることで、コイル20に鎖交する鎖交磁束数を大きくできて、出力トルクを大きくできる。しかし、界磁部66の表面近傍においては、空間高調波成分が大きくなっており、空間高調波成分に起因するトルクリップが生じ易い。また、空間高調波成分の振幅は、トルクリップルに影響し、空間高調波成分のうちで低次数の空間高調波成分の振幅は、高次数の空間高調波成分の振幅より大きいことから、特に、低次数の空間高調波成分がトルクリップルに影響する。
 また、三相同期電動機においては、電気角1周期当たりの磁束密度に含まれる空間高調波成分のうちで、3の倍数となる次数(3次、6次、・・・)の空間高調波成分に起因するトルクリップルが抑制される。ここから、電動機60には、分割数mを3以上の何れか一つの数(正数)としたシングルハルバッハ磁石配列が適用されることが好ましい。また、電動機60には、分割数m(mは正の整数)が、3の倍数に2を加えた数の何れか一つを適用されることが好ましい(m=3・n+2、nは、正数。例えば、m=5、8、11等)。
 電動機60は、界磁部66のハルバッハ磁石配列において、分割数mを3の倍数に2を加えた数の何れか一つが適用される。これにより、電動機60は、界磁部66の表面近傍における空間高調波成分が抑制され、トルクリップルが一層効果的に抑制される。
 ただし、第2の実施形態では、説明を簡略化するために、界磁部66のシングルハルバッハ磁石配列について、分割数mを3の倍数に2を加えた数ではなく、分割数mを3以上の数である4(分割数m=4)を適用して説明する。
 図11には、界磁部66に適用されるシングルハルバッハ磁石配列が平行型とされた展開図にて示されており、図11を参照しながらハルバッハ磁石配列(シングルハルバッハ磁石配列及びデュアルハルバッハ磁石配列)を説明する。なお、図面では、矢印xによりハルバッハ磁石配列における電気角方向の一方向が示され、矢印yにより電動機60のトルク発生に寄与する磁力線方向が示されている。電動機60においては、ロータ62及びステータ64の径方向外側が矢印yとされ、ロータ62及びステータ64の周方向の一側が矢印xとされている。
 ハルバッハ磁石配列では、磁石54が断面略矩形(略立方体状)とされており、ハルバッハ磁石配列では、磁石54の着磁方向を所定角度ずつ変更して配列されている。この際、電気角1周期(2π=360°)を3以上の整数nで除した角度(分割した角度)を設定角度Δとし、磁石54は、設定角度Δずつ着磁方向が順に変更されて配列されている。
 界磁部66は、一例として分割数m=4とされて、ハルバッハ磁石配列における設定角度Δが90°(Δ=90°=360°/4)とされている。分割数m=4のシングルハルバッハ磁石配列とされた界磁部66には、磁石54が設定角度Δ(Δ=90°)で着磁方向が順に変更されて配列され、かつ互いに緊密に接するように配列されている。
 シングルハルバッハ配列界磁では、着磁方向が配列方向と交差する方向の一側に向けられた磁石54Aに対して、配列方向両側の磁石54B、54Cの着磁方向が磁石54A側に向けられている。また、磁石54B、54Cの磁石54Aとは反対側に隣接する磁石54D、54Eは、着磁方向が磁石54Aの着磁方向とは反対方向に向けられている。なお、磁石54Dの磁石54Bとは反対側には、着磁方向が磁石54Bとは反対側に向けられた磁石54(磁石54Cと同様の磁石54)が配置され、磁石54Eの磁石54Cとは反対側には、着磁方向が磁石54Cとは反対側に向けられた磁石54(磁石54Bと同様の磁石54)が配置される(何れも図示省略)。
 これにより、シングルハルバッハ配列界磁では、磁石54Aの着磁方向とは反対方向の磁場の強さが抑制されて、磁石54Aの着磁方向に、磁石54Aの着磁方向とは反対側に比して強い磁場が形成される。
 また、デュアルハルバッハ磁石配列(デュアルハルバッハ配列界磁)は、シングルハルバッハ配列界磁が所定の間隔(第1の実施形態おけるギャップ長Cに相当)を隔てて対向されて構成されている。この際、一方のシングルハルバッハ配列界磁の磁石54AのN極に、他方のシングルハルバッハ配列界磁の磁石54AのS極が対向される。また、他方のシングルハルバッハ配列界磁では、対向する強い磁場が形成される側が一方のシングルハルバッハ配列界磁に向いた側となるため、磁石54B及び磁石54Cが磁石54Aに対して入れ替えられて配置される。
 これにより、デュアルハルバッハ配列界磁では、一対のシングルハルバッハ配列界磁の間に、一つのシングルハルバッハ配列界磁に比して強い磁場が形成される。回転電機においては、一対のシングルハルバッハ配列界磁の一方が、径方向内側(インナーロータ側)に配置され、一対のシングルハルバッハ配列界磁の他方が、径方向外側(アウターロータ側)に配置される二重円筒構造とされる。
 一方、図12A及び図12Bには、鏡像法(電気映像法)の概略構成が示されており、図12Aは、正負の点電荷+q、-qが距離2g’にて対向された状態が示され、図12Bは、正の点電荷+qと導体(完全導体)74とが距離g’にて対向された状態が示されている。
 図12Aにおいて、点電荷+qと点電荷-qとの間の電気力線は、点電荷+qと点電荷-qとの中心位置(ギャップ中心位置)において対称(面対称)となる。この状態で、点電荷+q、-qの中心位置から一方を導体74に置き換えると、電気力線は。元の場合の電気力線と等しくなる(図12B参照)。
 この鏡像法は、磁界についても同様の性質が成り立ち、磁界においては、導体74に磁性材料(強磁性材料)が置き換えられる。したがって、デュアルハルバッハ配列界磁では、一対のシングルハルバッハ配列界磁の中間位置において、一方のシングルハルバッハ配列界磁を磁性材料に置き換えることができる。
 図10に示すように、ロータ62は、全周がステータ64の外筒部68によって囲われており、界磁部66の外周面が外筒部68の内周面に対向されている。このため、界磁部66(界磁部66の外周面)と外筒部68の内周面との間隔をギャップ長Gとした場合、界磁部66と外筒部68との間には、ギャップ長2G(第1の実施形態のギャップ長Cに相当)としてシングルハルバッハ配列界磁を対で配置したデュアルハルバッハ配列界磁と同様の磁束分布が得られる。
 図13Aには、ロータ62の界磁部66とステータ64の外筒部68とを直線状に展開した状態における磁束密度及び磁束の分布の概略が示されている。また、図13Bには、比較例としてのデュアルハルバッハ配列界磁を適用した電動機76の界磁部78を直線状に展開した状態における磁束密度及び磁束の分布の概略が示されている。なお、図13Aにおいては、界磁部66(の着磁面)と外筒部68(の表面)との間隔をギャップ長Gとしている。
 電動機76における界磁部78のデュアルハルバッハ配列界磁は、界磁部66と同様に複数の磁石54(54A~54E)によって構成されたシングルハルバッハ配列界磁を対で設けており、一対のシングルハルバッハ配列界磁の間隔は、ギャップ長2G(ギャップ長Gの2倍)とされている。
 図13Aに示すように、界磁部66に磁性材料を用いた外筒部68は、デュアルハルバッハ配列界磁にける一対のシングルハルバッハ配列界磁のギャップ中心Gc(図13B参照)に配置されている。これにより、界磁部66と外筒部68との間の磁束密度の分布及び磁束の分布は、電動機76の界磁部78におけるギャップ中心Gcの一方のシングルハルバッハ配列界磁との間における磁束密度の分布及び磁束の分布と同様となっている。
 図10に示すように、ステータ64のコイル20は、外筒部68の界磁部66側の面に配置されて、外筒部68に取り付けられている。これにより、コイル20は、界磁部66によって形成される磁場内を、界磁部66に対して周方向に相対移動可能にされている。
 ここで、電動機60におけるギャップ長Gを説明する。図14Aには、シングルハルバッハ配列界磁を適用した電動機60の主要部が軸方向視の平面図にて示されており、図14Bには、比較対象としてのデュアルハルバッハ配列界磁(図13B参照)を適用した電動機76の主要部が軸方向視の平面図にて示されている。
 図14Aに示すように、電動機60には、ロータ62にシングルハルバッハ磁石配列が適用された界磁部66が設けられ、界磁部66の径方向外側に、ステータ64の外筒部(磁性材料)68が設けられている。
 これに対して、図14Bに示すように、電動機76のロータ80は、インナーロータ80A及びアウターロータ80Bが設けられた二重円筒構造とされており、ロータ80は、インナーロータ80A及びアウターロータ80Bが一体に回転される。また、電動機76には、インナーロータ80Aとアウターロータ80Bとの間に三相のコイル(図示省略)が配置される。インナーロータ80Aには、シングルハルバッハ配列界磁が適用された界磁部78Aが設けられ、アウターロータ80Bには、シングルハルバッハ配列界磁が適用された界磁部78Bが設けられている。界磁部78A、78Bは、基本的構成が界磁部66と同様にされた円筒型とされている。
 電動機60及び電動機76では、シングルハルバッハ配列界磁の各々を形成する磁石54の数が同数とされており、ロータ62、80は、1周が分割数Nmで分割されて、各々の分割位置に磁石54が配置されている。なお、電気角1周期分の磁石54の数は、電気角1周期の分割数mと同数とされており、シングルハルバッハ配列界磁が電気角N周期分であることで、ロータ62、80の各々における磁石54の数は、Nmとなっている。
 デュアルハルバッハ配列界磁は、断面正方形(立方体)の磁石54を基準に平行型から円筒型に変形されている。この変形の際、y方向磁束密度分布の底をギャップ中心Gcからずらさないように等積変形する。
 等積変形では、αiを内側の界磁部78Aの磁石54の径方向断面と変形前の同部の断面積比、αoを外側の界磁部78Bの磁石54の径方向断面と変形前の同部の断面積比、Sgを界磁部78A及び界磁部78Bにおける磁石の径方向断面の総面積の1/2、a’を内側の界磁部78Aの磁石54及び外側の界磁部78Bの磁石54の径方向における平均断面積に対するギャップの径方向断面の面積の比、lmを変形前の断面正方形の磁石54に換算した場合の一辺の長さとすると、以下の(5)式から(12)式の関係を満たす。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 すなわち、所定の間隙でハルバッハ配列界磁(シングルハルバッハ配列界磁)が対向されたデュアルハルバッハ配列界磁においては、ギャップ中心Gcから一方のハルバッハ配列界磁の間の空間体積とギャップ中心Gcから他方のハルバッハ配列界磁の間の空間体積との比が、一方のハルバッハ配列界磁の体積と他方のハルバッハ配列界磁の体積との比と同様(等しい)となっている。
 したがって、等積変形されて各々が円筒状とされた界磁部78A、78Bとの間においても、ギャップ中心Gcから界磁部78Bの間の空間体積(容積)とギャップ中心Gcから界磁部78Aの間の空間体積(容積)との比が、界磁部78Bの体積と界磁部78Aの体積との比と同様(略等しい)となる関係が保持される。
 デュアルハルバッハ配列界磁において等積変形された各永久磁石の断面は、径方向の外側円弧長が径方向の内側円弧長より長い扇形状とされる。また、等積変形において、径方向内側の界磁部78Aの永久磁石は、扇状断面において、径方向の外側円弧長と径方向の内側円弧長との平均値が、径方向の外側円弧半径Riと径方向の内側円弧半径Rnとの差よりも小さくされている。
 ここから、lm、Ro、Ri、Rg、Rhは、以下の(13)式から(17)式の関係を満たす。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 ここで、電動機76において、主な変数は、Rc0、Nm、a’とすることができる。この際、a’は、磁石54の総質量に対して最大磁束鎖交数とするための値であり、電動機76ごとに定められる。
 このようにして設定された電動機76の各値(特に、Rh、Ri、Rc0)を用いることで、電動機60の界磁部66に対する外筒部68の内周面の位置を設定することができる。また、ギャップ長Gは、G=(Rc0-Ri)=(Rg-Ri)/2として得られる。
 一方、一組のハルバッハ磁石配列における極ピッチτは、分割数mと磁石54の一辺の長さlmから、τ=n・lm/2となる。また、1周分の分割数Nm、ギャップ中心Gcの半径Rc0から、ギャップ中心Gcにおける極ピッチτは、τ=(n・π・Rc0)/Nmとして得られる。
 ここで、デュアルハルバッハ磁石配列では、ギャップ中心Gcにおいて、最大の鎖交磁束数が得られるギャップ長2Gが、極ピッチτの0.5~2.0倍の範囲(0.5・τ≦2G≦2.0・τ)とされており、上記関係式によって設定されるギャップ長2Gも極ピッチτの0.5~2.0倍の範囲に含まれる。
 ここから、電動機60におけるギャップ長Gは、極ピッチτの0.25倍以上から1.0倍以下(0.25・τ≦G≦1.0・τ)とすることができ、ギャップ長Gは、極ピッチτより小さいことがより好ましい。
 一方、ステータ64の外筒部68の径方向の厚さlyは、外筒部68の内部の最大磁束密度が界磁部66の磁束密度に達しない厚さ(寸法)とされている。
 ここで、図15には、磁性材料(電磁鋼板)における厚さlyに対する磁性材料内部の最大磁束密度Bの関係が示されている。磁性材料では、厚さlyが厚くなるにしたがって最大磁束密度Bが小さくなる。ここから、界磁部66により形成される磁束密度が飽和磁束密度Bmaxに達しないように、外筒部68の厚さlyを飽和磁束密度Bmaxに対する厚さlysよりも厚く(ly>lys)設定すればよい。
 このように構成されている電動機60では、ロータ62の界磁部66によって形成される磁場中に配置されて、ステータ64に設けられたコイル20(20U、20V、20W)に所定電圧の三相の交流電流(交流電力)が供給されることで、ロータ62が回転される。
 ここで、電動機60では、コイル20が空芯コイルとされていることで、コイル20のインダクタンスを小さくできて、コイル20に生じる逆起電力を抑制できるので、定格回転数を高くできる。しかも、電動機60は、コイル20が空芯コイルとされていることで、コギングトルクの発生が防止される。
 ところで、電動機60では、界磁部66がシングルハルバッハ配列界磁とされており、この界磁部66が磁性材料を用いた外筒部68に収容されている。図16には、電動機60においてロータ62とステータ64との間に形成される磁束密度の分布及び磁束の分布の概略が示されている。
 図16に示すように、コイル20が配置される界磁部66と外筒部68との間には、デュアルハルバッハ配列界磁におけるシングルハルバッハ配列磁界とギャップ中心Gcとの間に生じる磁場(磁束密度及び磁束の分布)が形成される。
 デュアルハルバッハ配列界磁では、ギャップ中心位置(ギャップ中心Gc)において磁束分布に対称性を有しており、鏡像法の適用が可能になる。このため、ギャップ中心位置の径方向内側の空間又は径方向外側の空間を磁性材料に置き換えることで、シングルハルバッハ配列界磁と磁性材料とにより、デュアルハルバッハ配列界磁に近似する磁束分布が得られる。
 これにより、シングルハルバッハ配列界磁を用いている電動機60では、デュアルハルバッハ配列界磁を用いた場合と同様の磁場が形成でき、電動機60には、トルクリップルが少ないというデュアルハルバッハ配列界磁が持つ効果が得られる。
 また、デュアルハルバッハ配列界磁では、ギャップ中心位置における磁束密度が正弦波状に変化し、空間高調波成分が極めて少ない領域となっている。電動機60は、デュアルハルバッハ配列界磁において空間高調波の極めて少ない領域に磁性材料を用いた外筒部68が設けられており、電動機60では、空間高調波成分に起因するトルクリップが抑制されている。この際、外筒部68の厚さlyを磁気飽和の生じない厚さにすることで、電動機60では、磁気飽和に起因する空間高調波成分の発生を外筒部68が抑制できる。したがって、電動機60は、トルクリップルやコギングトルクに起因する振動及び振動に起因する騒音等の発生が抑制され、低回転域からが抑制され高回転域までの全域において安定した出力が得られる。
 また、電動機60では、ギャップ長Gが、デュアルハルバッハ配列界磁を用いた電動機76のギャップ長の半分となっており、コイル20に鎖交する磁束鎖交数が半分となっている。このため、電動機60は、同じ入力電流に対して出力トルクが半分になるが、始動時と同じトルクを発生させながら回転数が上昇する場合、逆起電力は、電動機76における逆起電力の半分となる。しかし、電動機60では、電源電圧が同じ場合、電動機76に比して倍の回転数までトルクを発生させることができるので、電動機76と同等の出力を得ることができる。
 一方、電動機76では、コイルの外側にアウターロータ80Bが設けられ、このアウターロータ80Bが回転される。このため、電動機86では、ロータ80(アウターロータ80B)の外側にケーシング(筐体)が設けられる。
 これに対して、電動機60は、回転されるロータ62がステータ64の外筒部68に収容されている。このため、電動機60は、ステータ64を形成する外筒部68をケーシングとして用いることができるので、小型化及び部品数の削減ができて、低コスト化を図ることができる。しかも、電動機60では、シングルハルバッハ配列界磁が用いられており、デュアルハルバッハ配列界磁が用いた電動機76に比して、磁石54の数を削減できて、より低コスト化を図ることができる。
 一般に、径方向断面が相似形状であり、かつ軸方向長さの同じ電動機では、出力(トルク)が相似比率の3乗に比例して大きくできる。このため、電動機60の径方向の大きさを大きくできる余裕があり、電動機60は、径方向の大きさを大きくすることで、出力を大きくできる可能性がある。即ち、電動機60は、電動機76よりも大きな出力/体積比を得ることが期待できる。
 また、電動機60は、空芯のコイル20を用いることで、逆起電力が抑制されている。このため、電動機60は、インバータ制御が行なわれる場合でも、インバータスイッチング素子の発熱を抑制できる共に、高い応答性が得られる。しかも、電動機60は、外筒部68が固定されているので、冷却フィンや冷却パイプ等を用いて外筒部68を冷却できるので、外筒部68の内側も冷却できる。このため、電動機60は、発熱をより効果的に抑制できて、短時間に大きなトルクを出力することが可能になる。
 このような電動機60は、車両において、力行モードでは駆動源として動作し、減速モードでは回生用発電機として動作するように用いられる場合、力行モードと減速モード(回生モード)の切り換わりにおいて電流の向きが逆転しても、コイル20に蓄積される磁気エネルギーを小さくできる。このため、電流の切り換わり時の誘導電圧を小さくできるので、電動機60を駆動するための駆動回路を電動機60が損傷させてしまうのを抑制できる。しかも、力行モード及び回生モードの切り換え時間を短くできる。これにより、車両において、レスポンスの良好な運転特性を提供できる。
 なお、第1の実施形態及び第2の実施形態では、回転電機としての電動機(三相交流電動機)10、60を例に説明した。しかしながら、電磁装置は、発電機(三相発電機)等の回転電機であってもよく、電磁装置は、三相のリニア同期モータやリニア発電機などであってもよい。
 日本国特許出願2017-165468号及び2017-219530号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願及びその技術規格には、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (8)

  1.  三相のコイルが設けられた電機子と、
     3の倍数に2を加えた数の何れか一つを分割数とし、前記コイルの電流の電気角1周期を前記分割数で除した角度ずつ着磁方向が順に変更されて複数の永久磁石が所定方向に配列された界磁と、
     を備え、前記電機子及び前記界磁の一方が他方に対して前記永久磁石の配列方向に相対移動される電磁装置。
  2.  前記コイルが空芯である請求項1に記載の電磁装置。
  3.  前記界磁は、2組の前記永久磁石の配列が所定の間隙を介して対向され、該間隙内に前記電機子が配設された請求項1又は請求項2に記載の電磁装置。
  4.  前記界磁は、2組の前記永久磁石の配列により各々が円筒状とされた外側界磁及び内側界磁が形成され、前記内側界磁と前記外側界磁との前記間隙において、該間隙の中心線の外側の空間体積と前記中心線の内側の空間体積との比が、前記外側界磁の体積と前記内側界磁の体積との比と同様にされた請求項3に記載の電磁装置。
  5.  前記界磁が設けられた回転子と、
     磁性材料によって形成された円筒状の内部に前記回転子が相対回転可能に配置された固定子と、
     を備え、前記電機子は、前記三相のコイルの各々が前記固定子の内周面に周方向に設けられた請求項2に記載の電磁装置。
  6.  前記界磁の外周面と前記固定子の内周面との間のギャップ長Gが、前記界磁の極ピッチτより小さくされている請求項5に記載の電磁装置。
  7.  前記界磁を形成する前記永久磁石の扇形状断面において、径方向の外側円弧長と径方向の内側円弧長との平均値が、径方向の外側円弧半径と径方向の内側円弧半径との差よりも小さくされている請求項5又は請求項6に記載の電磁装置。
  8.  前記コイルの巻線がリッツ線である請求項1から請求項7の何れか1項記載の電磁装置。
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