WO2019008709A1

WO2019008709A1 - 挿入補助システム

Info

Publication number: WO2019008709A1
Application number: PCT/JP2017/024691
Authority: WO
Inventors: 謙正新井
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2017-07-05
Filing date: 2017-07-05
Publication date: 2019-01-10
Also published as: US20200146538A1; US11445894B2

Abstract

挿入補助システムは、一方向に曲がる湾曲箇所を有する形状を成して、硬質な先端部を備え弾発性を有する長尺な挿入物が進退し、前記湾曲箇所を前記挿入物が回り込むための間隙に面して前記挿入物の突出方向を規制するガイド面を有する管部材と、前記管部材内で前記間隙を挟み前記ガイド面に対向して配置され、前記挿入物の前記先端部に続く箇所を前記湾曲箇所に当接させるように移動し、前記挿入物を前記ガイド面に沿わせる規制部材と、を有する。

Description

挿入補助システム

　本発明は、観察対象に挿入する軟性の挿入物の突出方向を規制する挿入補助システムに関する。

　軟性内視鏡の挿入部の先端部には、少なくとも照明光を照射する照明用窓と、観察像となる光像を光学的に取り込む観察窓等が設けられている。挿入部の先端部は、これらの窓が配置されるため、外装部材として硬質な材料、例えば金属材料により形成される。また、一般に軟性内視鏡の挿入部は、湾曲させた場合に湾曲状態から元の直線状態に戻る弾発性を有している。

　軟性内視鏡の１つとして、副鼻腔内を観察する内視鏡がある。この副鼻腔用内視鏡の先端部においても、ある長さ（硬質長）を持つ硬質な先端部［硬質部］が設けられている。副鼻腔用内視鏡は、先端を鼻腔口から挿入して、鼻腔内の小口の開口部を通過させて、上顎洞に到達する。例えば、特許文献１により提案されているシステムは、軟性内視鏡を蝶形骨洞に挿入して観察・処置する技術が提案されている。

特許第４９５８５５０号公報

　前述した蝶形骨洞の観察においては、軟性内視鏡をストレートに挿入することができる。一方、上顎洞や前頭洞の開口部は、鼻腔口から見て側方に配されている。このため、上顎洞や前頭洞の開口部から軟性内視鏡を挿入する場合には、軟性内視鏡の先端部にガイド部材等の何らかの手段を用いて、挿入部を屈曲させながら開口部から挿入することとなる。特許文献１には、閉塞する副鼻腔の開口部をガイドカテーテルを用いて拡大して挿入する技術が提案されている。

　屈曲させるためのガイド部材の１つとして、湾曲部を有するパイプ形状のガイド部材を用いた場合、軟性内視鏡の硬質な先端部を湾曲箇所を通過させるためには、先端部が回り込むための先端部の硬質長に応じた間隙（クリアランス）が必要となる。　
　このガイド部材は、間隙が増加することで、軟性内視鏡の進行方向を定めるための湾曲するガイド面の近傍は幅（断面積）が太くなり、ガイド部材の先端開口に向かう先細の絞り形状となっている。このため、軟性内視鏡はガイド部材の間隙内で、挿入部が有する弾発性により、直線形状に戻る作用が働き、ガイド部材の内壁面であるガイド面から離れてしまう。内視鏡の挿入部が意図しない方向に向かって突出する。

　本発明の実施形態に係る挿入補助システムは、一方向に曲がる湾曲箇所を有する形状を成して、硬質な先端部を備え弾発性を有する長尺な挿入物が進退し、前記湾曲箇所を前記挿入物が回り込むための間隙に面して前記挿入物の突出方向を規制するガイド面を有する管部材と、前記管部材内で前記間隙を挟み前記ガイド面に対向して配置され、前記挿入物の前記先端部に続く箇所を前記湾曲箇所に当接させるように移動し、前記挿入物を前記ガイド面に沿わせる規制部材と、を有する。

図１は、本発明の第１の実施形態に係る挿入補助システムを軟性内視鏡に適用した概念的な構成を示す図である。図２Ａは、軟性の挿入物の挿入補助システムにおける軟性内視鏡１の挿入部が進行する一態様を示す図である。図２Ｂは、挿入補助システムのガイド管の先端に軟性内視鏡１の挿入部が停止する態様を示す図である。図２Ｃは、挿入補助システムのガイド管内で挿入物規制部を迫り出した態様を示す図である。図２Ｄは、挿入補助システムのガイド管の先端から突出方向が規制された軟性内視鏡１の挿入部を突出させた態様を示す図である。図２Ｅは、図２ＢのＡ－Ａにおける挿入補助システムの断面形状を示す断面図である。図２Ｆは、図２ＣのＢ－Ｂにおける挿入補助システムの断面形状を示す断面図である。図３Ａは、第２の実施形態に係る挿入補助システムを軟性内視鏡に適用した概念的な構成を示す図である。図３Ｂは、挿入補助システムのガイド管部内で挿入物規制部を膨張した態様を示す図である。図４Ａは、第３の実施形態に係る挿入補助システムを軟性内視鏡に適用した概念的な構成を示す図である。図４Ｂは、挿入補助システムのガイド管部内で挿入物規制部を突き出した態様を示す図である。

　以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。　
　［第１の実施形態］　
　第１の実施形態に係る挿入補助システムについて説明する。　
　この挿入補助システム２による補助対象は、長尺な軟性の挿入物であり、少なくとも体腔内や管腔内に挿入される、内視鏡、カテーテル及びガイドワイヤ等を含んでいる。以下の実施形態における長尺な軟性とは、長手軸方向に柔軟性や可撓性を有していることを示唆し、径方向は、柔軟でも剛性であってもよい。軟性の挿入物の先端には、硬質部材からなり任意の長さ（硬質長）を有する硬質部が設けられている。内視鏡の硬質部においては、少なくとも照明光を照射する照明用窓と、観察像となる光像を光学的に取り込む観察窓等が設けられている。また、実施形態における挿入補助システム２の補助対象は、挿入側の先端部に能動的に湾曲する湾曲機構を搭載していない機器であることが好ましい。

　さらに、軟性の挿入物は、湾曲させた際に、その湾曲状態からある程度の直線状態に戻ろうとする弾発性（復元力）を有する機器が好適する。本実施形態における弾発性とは、力を加えたときに適度に変形しやすく、また、その変形からの戻り性がよい性質とする。また、補助対象は、生体物に対する医療機器や観察機器だけではなく、硬質部材からなる配管構造物やエンジン等の機器の内部機構に挿入されて先端に撮像部等や観察窓が設けられた長尺な観察機器及び、ワイヤ等の長尺な部材にも容易に適用できる。

　以下の本実施形態では、挿入補助システム２による補助対象を体腔内や管腔内に挿入される軟性内視鏡１を例として説明する。軟性内視鏡１は、前述した弾発性又は復元力を有している。軟性内視鏡１は、副鼻腔を観察する副鼻腔用内視鏡を含んでいる。図１は、第１の実施形態に係る挿入補助システム２を軟性内視鏡１に適用した概念的な構成を示す図、図２Ａは、軟性内視鏡１の挿入部が進行する一態様を示す図、図２Ｂは、ガイド管３の先端に軟性内視鏡１の挿入部が停止する態様を示す図、図２Ｃは、ガイド管３内で挿入物規制部５が迫り出した態様を示す図、図２Ｄは、ガイド管３の先端から軟性内視鏡１の挿入部１１を突出させた態様を示す図、図２Ｅは、図２ＢのＡ－Ａにおける挿入補助システム２の断面形状を示す断面図、及び図２Ｆは、図２ＣのＢ－Ｂにおける挿入補助システム２の断面形状を示す断面図である。

　図１に示すように、軟性内視鏡１は、公知な構成であり、軟性の挿入部１１と、挿入部１１と一体的に連結される軟性内視鏡本体１２と、画像処理を含む制御を行う制御部１３と、撮像した観察画像を含む画像情報を表示する表示部１４とで構成される。

　挿入部１１の先端部１１ａは、前述したように、少なくとも照明用窓と観察窓等を有する。この先端部１１ａ［硬質部］は、各窓が配置される構造であるため、外装部材として硬質な材料、例えば金属材料で形成される円筒部材が用いられている。挿入部１１内には、図示しないが、少なくとも照明光を導光するライトガイド及び撮影光像を透過する光ファイバが貫通するように設けられている。

　軟性内視鏡本体１２内には、ＣＣＤやＣＭＯＳ等の撮像素子を有する撮像部（図示せず）が設けられており、光ファイバにより伝播された撮影光像を結像し光電変換により映像信号に変換して制御部１３に送出される。制御部１３は、映像信号に対して、種々の画像処理を施し、表示部１４に表示させる。

　本実施形態の挿入補助システム２は、軟性内視鏡１の挿入部１１を挿通させ、後述するガイド面３ｂ３を有するガイド３［管部材］と、ガイド管３内に設けられる帯形状を成す挿入物規制部５［規制部材］と、挿入物規制部５の迫り出し操作及び挿入部１１の押し込み及び引き抜きの移動操作を行う操作部４と、を備えている。以下の説明で、ガイド管３において、軟性内視鏡１が突出する開口部３ｃが設けられた側を先端側とし、操作部４に連結する側を基端側と称している。

　ガイド管３は、金属材料や硬質樹脂材料を用いて、長手方向と交差する一方に曲がる湾曲箇所を持つ略Ｌ形のパイプに形成される。ガイド管３は、操作部４から延出する基端側の直線部分３ａと、この直線部分３ａから先端側の湾曲部分を含むガイド部分３ｂとで構成される。図１に示すように、ガイド管３の直線部分３ａは、補助対象となる軟性内視鏡１の挿入部１１が抵抗なく挿通する径（断面の大きさ）を有している。尚、ガイド管３の断面形状と断面の大きさは、補助対象の軟性の挿入物に基づいて適宜、設定される。また、ガイド管３により規制される突出方向は、補助対象や観察対象によって、適宜設定される。例えば、副鼻腔の上顎洞を観察する軟性内視鏡であれば、ガイド管３の長手方向に対して１１０°程度に湾曲させることが好ましい。

　ガイド部分３ｂは、挿入部１１の先端部１１ａが湾曲箇所を通過する際に、硬質な先端部１１ａが回り込むためには、前述したように間隙（クリアランス）３ｅが必要となる。間隙３ｅは、挿入部１１の硬質な先端部１１ａの長さ、即ち硬質部分の長さ（硬質長）に応じて、図２Ｆに示すような横断面が、ガイド管３の長手方向の先端側に拡がる長穴形状となっている。この間隙３ｅを設けたことにより、ガイド部分３ｂは、図２Ｅに示すような先端の円形状の開口部３ｃに向かう先細の絞り形状となる、縦方向に薄い厚さのボトル形状となっている。

　このガイド部分３ｂは、間隙３ｅを含み、挿入部１１が突出される方向への回り込みを行う湾曲部分３ｂ１［第２湾曲部］と、湾曲部分３ｂ１から開口部３ｃまで直線的に先細の絞り形状となる直線部分［突出方向規制部］３ｂ２とで形成される。直線部分３ｂ２は、少なくとも挿入部１１の先端部１１ａの硬質部が宛がわれる長さ（硬質長）を持つように形成されている。これは、硬質な先端部１１ａと挿入部の軟性部との境目が湾曲部分３ｂ１に掛からないようにすることで、挿入物規制部５による規制時に、その境目に負荷が掛かることを防止する。この例では、ガイド管３の開口部３ｃの先端に、挿入部１１の先端部１１ａの先端を揃えることで、硬質な先端部１１ａと挿入部の軟性部との境目が直線部分３ｂ２に当接するように設定されている。

　また、ガイド部分３ｂの内面において、挿入物規制部５により押された挿入部１１が当接する面であり、且つ挿入部１１の突出方向が定められる面をガイド面３ｂ３とする。具体的には、ガイド面３ｂ３は、湾曲部分３ｂ１と直線部分３ｂ２とにおける先端側の内面となる。本実施形態では、ガイド面３ｂ３と対向するガイド部分３ｂの内面（基端側）は、直線的な半円筒面を成し、挿入物規制部５が張り付くように収容される、規制部材収容面３ｄ［第１湾曲部］として設けられている。尚、規制部材収容面３ｄにおける所定の湾曲率よりも、湾曲部分３ｂ１の湾曲率の方が大きくなっている。

　挿入物規制部５は、金属薄板や樹脂板を用いた帯形状でガイド管３の内径と同等な曲面又は、平坦面を成し、可撓性及び反発性を有する部材である。挿入物規制部５は、ガイド管３内を貫通するように配置されており、図１及図２Ｅに示すように、一端は規制部材収容面３ｄ側のガイド管３の開口部３ｃにおいて、固定部６により開閉可能に固定される。また、挿入物規制部５の他端は、ガイド管３内を貫通して操作部４の後述する規制部操作子Ｓ２に連結している。挿入物規制部５は、操作部４の規制部操作子Ｓ２を後述するようにスライド操作することで、図２Ｃに示すように規制部材収容面３ｄから離れて、先端側に迫り出すように移動する。

　操作部４は、例えば、円筒形状を成す筐体を備える。この筐体は、操作者が把持しやすい形状であればよく、例えば、後述する操作子の反対側の面に指掛け用の複数の凹みを設けるなど、円筒形状に限定されるものではない。操作部４の筐体の先端側には、ガイド管３が設けられ、後端側には、軟性内視鏡１の挿入部１１等の軟性の挿入物を内部に引き入れるための導入口４ａが設けられている。

　さらに、操作部４は、ガイド管３が延び出ている側（前方側）に、挿入部１１の押し込み及び引き抜きの移動操作を行うための挿入部操作子Ｓ１と、後方側に挿入物規制部５の迫り出し操作を行う規制部操作子Ｓ２を配置している。本実施形態の挿入部操作子Ｓ１及び規制部操作子Ｓ２は、共に、ガイド管３に向かう長手方向に沿って、前後にスライド移動して操作を行う。挿入部操作子Ｓ１は、操作部４内に図示しないクランプ機構を備えており、挿入部１１を挟持させりたり、その挟持を解除したりできる。クランプ機構は、一般的な簡易な構成でよく、例えば、張り出して対峙する２本のアームが弾性部材により狭まるように付勢される構成である。挿入部１１をこれらのアームで挟持して、弾性力で挟持状態を維持する。挿入部操作子Ｓ１をスライド移動することで、挟持されている挿入部１１の押し込み及び引き抜きの移動が行われる。

　図２Ａ乃至図２Ｄを参照して、操作部４の操作による挿入部１１の押し込み及び引き抜きの移動と、挿入物規制部５による挿入部１１の突出方向の規制について説明する。　
　まず、図２Ａに示すように、操作部４の後端側に設けられた導入口４ａから軟性内視鏡１の挿入部１１を差し入れる。挿入部１１は、操作者の差し入れ動作により操作部４及びガイド管３の内部を通過させて、挿入部操作子Ｓ１の図示しないクランプ機構に導かれる。さらに、挿入部１１を推し進めて、図２Ａに示すように、挿入部１１の先端部１１ａがガイド面３ｂ３に当接する。尚、挿入部１１は、クランプ機構に到達した後は、挿入部操作子Ｓ１の操作により挟持して、ガイド管３内を推し進めて、ガイド面３ｂ３に当接させてもよい。

　挿入部１１の先端部１１ａがガイド面３ｂ３に当接した後、挿入部操作子Ｓ１の操作により挟持されて、ガイド面３ｂ３に先端部１１ａの先端を接触させながらガイド管３内を推し進められ、図２Ｂ［第１形態］に示すように、先端部１１ａの先端がガイド管３の開口部３ｃの先端に達したときに、挿入部１１の押し込み操作を停止する。

　次に、操作部４の規制部操作子Ｓ２をスライド操作すると、ガイド管３の直線部分３ａから挿入物規制部５が迫り出すように押し出されて、挿入物規制部５は、図２Ｃ［第２形態］に示すように、湾曲部分を維持したまま、固定部６を支点として開き、挿入部１１を推し進めて、挿入部１１をガイド面３ｂ３に沿うように全体的に当接させる。この挿入物規制部５の当接により、軟性内視鏡１の挿入部１１の突出方向がガイド面３ｂ３の面方向と平行になるように規制される。

　続いて、図２Ｄに示すように、操作部４の挿入部操作子Ｓ１の操作により図示しないクランプ機構により挟持されている挿入部１１がガイド管３内を推し進められ、ガイド管３の開口部３ｃから挿入物規制部５によりガイド面３ｂ３に規制された方向ｎに挿入部１１が突出される。

　次に、図１を参照して、本実施形態の挿入補助システム２における挿入物規制部５による作用及び効果について説明する。　
　本実施形態において、ガイド管３には、挿入部１１の硬質な先端部１１ａが進行方向を変えるために必要となる間隙３ｅを設けている。図１に示すように、挿入物規制部５が規制部材収容面３ｄに接触するように収容され、突出方向に対する規制支援が無い状態において、挿入部１１は、ガイド管３の開口部３ｃにより先端部１１ａの位置が規定されている。しかし、先端部１１ａに続く挿入部１１の軟性部分は弾発性により、元の直線状態に戻ろうとして、間隙３ｅ内ではガイド面３ｂ３から離れた状態となる。このように状態において、挿入部１１をガイド面３ｂ３に当接しようとして、操作部４の操作により挿入部１１を、さらに送り出しても、ガイド面３ｂ３に一旦向かって移動するが弾発性により元に位置に戻ってしまい、その反動でガイド管３の開口部３ｃから先端部１１ａが後述する予測しない方向に突出される結果となる。

　ガイド管３のガイド面３ｂ３に規制されるべき挿入部１１の突出方向は、ガイド面３ｂ３の面方向と平行する方向である。図１においては、挿入部１１は、突出方向ｎの方向に突出する設定となる。例えば、鼻腔内の開口部を通過させる場合には、本来、突出方向ｎが向かう前方に開口部ｑが配置されるように、挿入補助システム２の位置決めを行う。しかしながら、前述したように、挿入部１１は、間隙３ｅ内で弾発性に影響された傾き（姿勢）となっている。このため、図１において、操作部４の操作により挿入部１１を送り出すと、実際には、挿入部１１の直線状態となっている部分の中心軸方向ｍに突出することとなり、前方に開口部ｑが配置されていないと、開口部ｑ内に挿入されない。このように、操作者の認識とは、ずれた位置ｐに突出する。特に、弾発性の大きさの違いにより、間隙３ｅ内における挿入部１１の姿勢（傾き加減）も異なっているため、突出する方向も異なり、予測することは難しい。即ち、観察対象の開口部に軟性内視鏡１の挿入部１１を挿入できる位置に挿入補助システム２を配置することが難しいことを示唆している。

　これに対して、本実施形態では、図２Ｃに示すように、挿入物規制部５を迫り出して挿入部１１をガイド面３ｂ３に宛がい、突出する方向を規制することにより、操作者が認識している位置に挿入部１１が突出されるため、迷うこと無く、観察対象の開口部（例えば、副鼻腔の開口部）に対する挿入補助システム２の位置決めを行うことができる。

　また、挿入物規制部５は、形状が長手方向に配置される帯形状の平坦な薄板であり、且つガイド管３の直線部分３ａの内壁面に接するように収容されている。このため、移動する挿入部１１が挿入物規制部５に接しても、挿入部１１の押し込み及び引き抜きの移動を阻害しない。挿入物規制部５は、可撓性及び弾発性を有しており、挿入部１１（軟性の挿入物）の周面に対して、平坦な凹曲面で宛がわれるように接触するため、挿入部１１の外周面を傷等の損傷を与えることが無い。

　尚、本実施形態では、挿入物規制部５が挿入部１１をガイド面３ｂ３に当接するまで迫り出したが、ガイド面３ｂ３に当接する前の任意の位置で停止することで、ガイド面３ｂ３で規制される突出方向の角度よりも少ない任意の角度に突出方向を調整することも可能である。さらに、本実施形態の挿入補助システム２は、ガイド面３ｂ３に対して規制規制部５が片側から押し込むような機構であるため、ガイド管３の開口部３ｃが細い形状を維持でき、観察対象箇所までの挿入補助システム２の挿入性を損なうことがない。

　［第２の実施形態］　
　次に、図３Ａ及び図３Ｂを参照して、第２の実施形態に係る軟性の挿入物に適用する挿入補助システム２について説明する。図３Ａは、第２の実施形態に係る挿入補助システム２の概念的な構成を示す図、図３Ｂは、挿入補助システム２による突出方向を規制している一態様を示す図である。尚、第２の実施形態の構成部位について、前述した第１の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その説明は省略する。

　本実施形態では、挿入物規制部２２をゴム等の伸縮する弾性体を帯状の膜に形成する。挿入物規制部２２は、ガイド管３の内壁面（規制部材収容面３ｄ）に対して、挿入物規制部２２の帯状の先端は、固定部６で水密となるように貼り付けて固定する。また、挿入物規制部２２の帯状の両側部分は、ガイド管３の直線部分３ａを操作部４に至るまで水密に貼り付ける。操作部４内には、前後に貫通する図示しないパイプ又はチューブを配管して、挿入物規制部２２の帯状の後端をパイプの先端側に水密となるように固定する。このパイプの後端は、操作部４の外部に露出して図示しない注入口として設けられる。ここで、パイプは、金属材料又は硬質樹脂材料で形成され、チューブは可撓性を有する軟性樹脂材料で形成されることを想定しており、共に断面形状は、適宜選択すればよい。

　この注入口にシリンジ２３を差し入れて、プランジャーを押し液体２４を注入すると、液体２４はパイプを通じて、挿入物規制部２２に至る。さらに、液体２４はガイド管３の内壁面と挿入物規制部２２との間に入り込み、図３Ｂに示すように、バルーン状に膨らむ。このバルーン状に膨張した挿入物規制部２２は、挿入部１１を推し進めて、挿入部１１をガイド面３ｂ３に沿うように全体的に当接させる。この挿入物規制部２２の当接により、軟性内視鏡１の挿入部１１の突出方向がガイド面３ｂ３の面方向と平行になるように規制される。

　また、シリンジ２３のプランシャーを引き戻すことで、挿入物規制部２２内の液体は、シリンジ２３内に回収される。この液体の回収に伴い、膨張していた挿入物規制部２２は、収縮してガイド管３の内壁面に密着する。この時、挿入物規制部２２の弾性力は、収縮による液体２４の排出に作用する。尚、本実施形態では、シリンジを用いた構成であったが電動ポンプを用いて、液体の注入及び回収を行ってもよい。また、挿入物規制部２２への注入物は、液体に限定されるものではなく、何らかの流体であればよく、例えば、空気等の気体又は、金属材料や樹脂材料からなる微小な小粒体であってもよい。

　さらに、変形例として、液体２４に代わって、磁性流体からなる流体を用いて、図３Ｂに示す挿入物規制部２２を膨張させてもよい。磁性流体の磁力により挿入部１１の先端部１１ａの硬質部分（金属製）を、ガイド管３の開口部３ｃに吸着固定してもよい。例えば、軟性内視鏡１で副鼻腔を観察するために、挿入方向から屈曲した位置の開口部に挿入部１１の先端部１１ａを挿入する例で説明する。

　ガイド管３の開口部３ｃを副鼻腔の開口部に近づける際に、挿入補助システム２を色々な方向に回しながら挿入するため、挿入前に設定されたガイド管３の開口部３ｃに対する先端部１１ａの位置にずれが発生することも想定される。例えば、挿入部１１の先端部１１ａが開口部３ｃ内に引き込まれる位置ずれが発生した場合には、先端部１１ａの撮像画像に開口部３ｃ内が映り込んで観察視野が狭くなる。再度、挿入部１１をガイド管３に押し込み、位置調整する必要がある。ここで、磁性流体を使用することで、先端部１１ａが開口部３ｃに磁力で吸着固定されているため、位置ずれが発生し難いという効果を奏する。但し、磁性流体の磁力は、挿入部操作子Ｓ１の操作による挿入部１１の移動が可能な範囲の強さとする。

　尚、本実施形態においても、操作部４内に挿入部１１を挟持する図示しないクランプ機構が設けられており、挿入部操作子Ｓ１の操作により挿入部１１を挟持し、ガイド管３内を推し進めて、ガイド管３の開口部３ｃから任意の長さを突出させることができる。また、同様に、挿入部操作子Ｓ１の操作により挿入部１１を挟持した状態で、突出している挿入部をガイド管３の開口部３ｃ内に引き込むこともできる。

　以上説明した本実施形態においては、前述した第１の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。さらに、本実施形態の挿入物規制部２２は、液体（流体）を注入した膨張により軟性内視鏡１の挿入部１１をガイド管３のガイド面３ｂ３に当接させている。このため、挿入部１１側の接触面に凹凸があったとしても挿入物規制部２２が均一な押圧で接触する。よって、挿入部１１の硬質な先端部１１ａと、先端部１１ａに続く軟性な挿入部との境目に対しても集中すること無く分散した押圧で挿入部１１をガイド管３のガイド面３ｂ３に当接させることができる。

　［第３の実施形態］　
　次に、図４Ａ及び図４Ｂを参照して、第３の実施形態に係る軟性の挿入物に適用する挿入補助システム２について説明する。図４Ａは、第３の実施形態に係る挿入補助システム２の概念的な構成を示す図、図４Ｂは、挿入補助システム２による突出方向を規制している一態様を示す図である。尚、第３の実施形態の構成部位について、前述した第１の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その説明は省略する。

　本実施形態では、挿入物規制部３２として、金属材料又は硬質樹脂材料により帯形状に形成され、ガイド管３の直線部分３ａをスライド移動する可動ガイドを用いる。　
　挿入物規制部３２は、図４Ａに示すように、先端部分がガイド部分３ｂの湾曲部分３ｂ１の湾曲形状に沿うように反り返って湾曲形状となっている。この挿入物規制部３２の基端側は、ガイド管３の直線部分３ａを貫通して、操作部４の規制部操作子Ｓ２に連結されている。

　挿入物規制部３２の先端部は、少なくとも挿入部１１に損傷や無理な曲げが生じないように、湾曲部分３ｂ１に合わせた高さを有している。好ましくは、挿入物規制部３２の先端部の高さは、湾曲部分３ｂ１の湾曲の弧が最も深くなる中央付近に達して、硬質部の先端部より基端側の挿入部１１の軟性な部分をガイド面３ｂ３に当接させて、浮き上がりが無いようにすることが望まれる。

　図４Ｂに示すように、規制部操作子Ｓ２をスライド操作して、挿入物規制部３２により軟性内視鏡１の挿入部１１をガイド面３ｂ３に向かい推し進め、挿入物規制部３２の先端部で挿入部１１をガイド面３ｂ３に当接させる。この時、規制部操作子Ｓ２の摺動範囲を決めておくことで、規制部操作子Ｓ２の先端部が最も先端まで移動させても、軟性内視鏡１の挿入部１１の側面をガイド面３ｂ３に当接させるが、挿入部１１に過負荷やストレスが掛かる前に停止する。尚、挿入物規制部３２の先端部を、例えば樹脂材等、弾性変形可能な素材で板状に形成されてもよい。先端部による挿入部１１の外周面に押し付けが過負荷となった場合に、弾性変形して負荷を逃して挿入部１１へストレスを与えることを防止できる。尚、本実施形態においても、操作部４内に挿入部１１を挟持する図示しないクランプ機構が設けられており、挿入部操作子Ｓ１の操作により挿入部１１を挟持し、ガイド管３内を推し進めて、ガイド管３の開口部３ｃから任意の長さを突出させることができる。また、同様に、挿入部操作子Ｓ１の操作により挿入部１１を挟持した状態で、突出している挿入部をガイド管３の開口部３ｃ内に引き込むこともできる。

　以上説明した本実施形態においては、前述した第１の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。また、本実施形態は、前述した第１、第２の実施形態の構成よりも簡易な構成である。さらに、本実施形態の挿入補助システム２の挿入物規制部３２は、軟性内視鏡の挿入部を推し進めて、ガイド面３ｂ３に当接する前の任意の位置で停止することで、ガイド面３ｂ３で規制される突出方向の角度よりも少ない任意の角度に調整することも可能である。

　以上説明した本発明の各実施形態は、開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。

Claims

　一方向に曲がる湾曲箇所を有する形状を成して、硬質な先端部を備え弾発性を有する長尺な挿入物が内部を進退し、前記湾曲箇所で前記挿入物が回り込むための間隙に面して前記挿入物の突出方向を規制するガイド面を有する管部材と、
　前記管部材内で前記間隙を挟み前記ガイド面に対向して配置され、前記挿入物の前記先端部に続く箇所を前記湾曲箇所に当接させるように移動し、前記挿入物を前記ガイド面に沿わせる規制部材と、
を具備する挿入補助システム。
　前記管部材の一端に連結され、
　前記挿入物を前記管部材内で進退させて、前記管部材の他端の開口部から前記挿入物を突出させる第１の操作子と、
　前記規制部材を前記ガイド面に向かうように移動させる第２の操作子と、
を備える操作部を具備する請求項１に記載の挿入補助システム。
　前記規制部材は、帯状で可撓性を有し、前記管部材を貫通するように配置されて、
　前記規制部材の一端は、前記管部材の前記開口部に支点として固定され、前記規制部材の他端は前記第２の操作子に接続され、
　前記第２の操作子の操作により前記規制部材が前記間隙側に迫り出し、前記挿入物を前記ガイド面に沿わせる、請求項２に記載の挿入補助システム。
　前記規制部材は、前記管部材内を貫通するように配置されて、周囲が前記管部材に水密に密着して固定される帯状で伸縮する弾性部材により形成され、中央側の非密着部分に流体を注入して、前記間隙側に膨張させて、前記挿入物を前記ガイド面に沿わせる、請求項２に記載の挿入補助システム。
　前記規制部材は、前記ガイド面の湾曲状態に沿った湾曲形状の先端を有する帯状の硬質部材により形成されて、前記管部材を貫通するように配置され、、後端は前記第２の操作部に接続され、　前記第２の操作子の操作により、前記規制部材は、前記間隙側に移動して前記挿入物を前記先端で推し進めて、前記挿入物の前記硬質な先端部に続く箇所を前記湾曲箇所に当接させて、前記挿入物を前記ガイド面に沿わせる、請求項２に記載の挿入補助システム。
　前記挿入物は、副鼻腔用内視鏡を含む軟性内視鏡、カテーテル及びガイドワイヤを含む、請求項１に記載の挿入補助システム。
　先端に硬質部を有する長尺な挿入物を先端から突出可能な開口部、及び前記挿入物を挿入可能な管路を有し、一方向に湾曲する湾曲箇所を有する管部材であって、前記湾曲箇所の近傍において、前記挿入物の先端を前記開口部まで挿入した際に、前記管部材との間に隙間ができるように、所定の湾曲率を有する第１湾曲部、及び前記管路の径が前記開口部の径よりも大きくなるように前記所定の湾曲率よりも大きな湾曲率を有する第２湾曲部を有し、前記開口部に向かうにつれて先細形状となるガイド管と、
　前記ガイド管の先端の前記開口部から基端に沿って設けられた部材であって、前記第１湾曲部に沿うように設けられた状態である第１形態と、前記挿入物を前記ガイド管の内壁面に押し付けることで、前記挿入物を前記第２湾曲部に沿わせるように、前記第２湾曲部に平行な状態である第２形態と、を切り替え可能な規制部材と、
を備える挿入補助システム。