WO2018181704A1 - 微多孔膜とその製造方法、電池、微多孔膜の評価方法とそれを用いた微多孔膜の製造方法、電池の製造方法、及び評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電池の安全性試験の一つである電池の釘刺し試験において、特に、セパレータが局所的に裂け電極シート(集電体を含む)間の内部短絡が生じ、そのジュール熱発生による温度の急激な上昇を抑制することができる微多孔膜とその製造方法を提供すること。 【解決手段】 棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を順次縮小して尖った先端部をなす棒状体を、所定の条件で、膜に対して棒状体の長さ方向に前記先端部から突刺し、棒状体の外周形状に対応する穴を当該膜に形成した場合に、穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さが、穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下ある、微多孔膜。
Description
本発明は、微多孔膜とその製造方法、電池、微多孔膜の評価方法とそれを用いた微多孔膜の製造方法、電池の製造方法、及び評価装置に関するものである。
微多孔膜は、ろ過膜、透析膜などのフィルター、電池用セパレータや電解コンデンサー用のセパレータなどの種々の分野に用いられる。これらの中でも、ポリオレフィンを樹脂材料とする微多孔膜は、耐薬品性、絶縁性、機械的強度などに優れ、シャットダウン特性を有するため、近年、二次電池用セパレータとして広く用いられる。
二次電池、例えばリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため、パーソナルコンピュータ、携帯電話などに用いる電池として広く使用されている。また、二次電池は、電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用電源としても期待されている。
リチウムイオン電池等のエネルギー密度の高い電池は、例えばデントライト(析出物)などの異物の貫通によって内部で電気的な短絡が生じた場合、構造によっては異常発熱が生じ、火傷、火災等の事故を発生する可能性がある。このため、組み立て後の電池は、いくつかの安全性試験が行われる。電池の安全性試験の一つに電池の釘刺し試験がある。釘刺し試験は、金属製の釘を電池に突き刺し、セパレータを含む内部隔壁を破壊して内部短絡を生じさせ、事故につながるような発熱、発火が生じないかが評価される。
ところで、例えば、ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータは、シャットダウン機能を有する。ポリオレフィン微多孔膜は、電池の異常発熱時には、溶融して無孔化することでイオンの通過を遮断することにより、さらなる発熱を抑制できる。しかしながら、発熱が激しい場合などには、ポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータが収縮や破膜すること等により、正極と負極が直接接触して、短絡を起こすおそれがある。
例えば、特許文献1では、ポリオレフィンを含む多孔質層の少なくとも片面に、耐熱性材料を含む多孔質層が積層された積層多孔質フィルムであって、積層多孔質フィルムの膜抵抗値と耐熱材料の体積値とが特定の式を満足する非水電解質二次電池用の積層多孔質フィルムが開示されており、このフィルムは、釘刺し試験に代表される内部短絡に対する安全性に優れる旨が記載されている。しかしながら、近年、電池の安全性への要求が高まるとともに、より安全性の高いセパレータが求められている。
ところで、微多孔膜の強度を測定する試験の一つとして、突刺し試験が挙げられる。突刺し試験は、例えば、微多孔膜を固定し、先端形状が球形の針を毎秒2mmの速度で微多孔膜に突刺し、針が貫通するまでに微多孔膜に生じる最大応力(突刺強度)を測定する。この突刺し試験は、あくまでも微多孔膜の強度を測定するための手法であり、従って微多孔膜を組み込んだ電池の安全性とは直接的な関連性が低いことが本発明者の知見により得られている。そこで、本発明者が種々の試験を行った結果、電池に組み込む前の微多孔膜に対して、電池の釘刺し試験に用いられるような釘を突刺して、この微多孔膜に形成される穴形状が特定の形状となるような微多孔膜を電池に組み込むことにより、釘刺し試験の結果が良好な電池が得られることが分かった。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、電池の安全性試験の一つである電池の釘刺し試験において、特に、セパレータが局所的に裂け電極シート(集電体を含む)間の内部短絡が生じ、そのジュール熱発生による温度の急激な上昇を抑制することができる微多孔膜とその製造方法を提供することを目的とする。また、電池の釘刺し試験は、電池を組み立てるという工程を含むため、釘刺し試験を行う際は、時間と労力を要するところ、釘を刺した場合の内部短絡に対する安全性について短時間で評価できる評価方法及び評価装置を提供することを目的とする。また、この評価方法を用いて、微多孔膜を製造することにより、安全性に優れた電池を得ることができるセパレータ、及びこのようなセパレータが組み込まれた電池を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の微多孔膜は、棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を順次縮小して尖った先端部をなす棒状体を、所定の条件で、膜に対して棒状体の長さ方向に先端部から突刺し、棒状体の外周形状に対応する穴を当該膜に形成した場合に、穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さが、穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下である。
また、微多孔膜は、膜の少なくとも一方の表面にアルミニウム箔又は銅箔を積層した場合に、亀裂の最大長さが、穴の面方向の長さに対して0%以上20%以下であってもよい。また、微多孔膜は、膜に突刺される棒状体の先端部が四角錐形状であってもよい。また、微多孔膜は、膜の複数個所に棒状体の先端部を突刺して複数の穴を形成した場合に、複数の穴からそれぞれ生じる亀裂のうちの最大長さが、穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下であり、複数の穴は、膜に棒状体の先端部を突刺した後、膜に対して、棒状体の長さ方向と平行な軸周りに棒状体を相対的に回転させた後に棒状体の先端部を突刺して形成されてもよい。また、微多孔膜は、0.01mm/秒以上200mm/秒以下の範囲の速度で膜に向けて移動する棒状体の先端部により突刺されてもよい。また、微多孔膜は、棒状体の先端部を突刺した後の膜を微多孔膜の融点、例えば145℃に30分加熱したときにおける、穴と亀裂とからなる突刺し跡の最大径と、突刺し跡の最小径との差が25%以下であってもよい。また、微多孔膜を用いて、所定のラミネート型電池を作製し、電池の釘刺し試験を行った直後のエネルギー放出率(VT/Ci(V・秒/A/時))と釘刺速度(mm/秒)の積が7(V・mm/A/時)以下であってもよい。
本発明の第2の態様の微多孔膜の製造方法は、上記微多孔膜の製造方法であって、樹脂と溶剤とを溶融混練して樹脂溶液を調製することと、樹脂溶液を押出すると共に冷却してゲル状シートを形成することと、ゲル状シートを延伸することと、延伸後のゲル状シートから溶剤を除去してフィルムとすることと、フィルムを乾燥することと、乾燥後のフィルムを熱固定することと、を含む。
本発明の第3の態様の電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解液と、を備え、セパレータは、上記の微多孔膜を用いる。
本発明の第4の態様の微多孔膜の評価方法は、棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を縮小して先端部をなす棒状体を、所定の条件で、膜に対して棒状体の長さ方向に先端部から突刺し、棒状体の外周形状に対応する穴を形成することと、穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さを計測することと、計測された亀裂の最大長さから、微多孔膜を電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池の状態を評価することと、を含む。
また、上記の微多孔膜の評価方法は、計測された亀裂の最大長さが、穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下であるかによって内部短絡時の電池の状態を評価してもよい。
本発明の第5の態様の微多孔膜の評価方法は、樹脂と溶剤とを溶融混練して樹脂溶液を調製することと、樹脂溶液を押出すると共に冷却してゲル状シートを形成することと、ゲル状シートを延伸することと、延伸後のゲル状シートから溶剤を除去してフィルムとすることと、フィルムを乾燥することと、乾燥後のフィルムを熱固定することと、熱固定したフィルムから切り取られた一部に対して、棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を縮小して先端部をなす棒状体を、所定の条件で、棒状体の長さ方向に先端部から突刺し、棒状体の外周形状に対応する穴を形成することと、穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さを計測することと、計測された亀裂の最大長さから、微多孔膜を電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池の状態を判定することと、得られた判定結果に基づいて微多孔膜を選択すること、を含む。
また、上記の微多孔膜の計測された亀裂の最大長さが、穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下であるかによって上記電池の状態を判定してもよい。
本発明の第6の態様の評価装置は、微多孔膜を保持するテーブルと、棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を縮小して先端部をなす棒状体と、テーブルに保持された微多孔膜に棒状部の先端部を突刺すための突刺駆動部と、棒状部の先端部により形成された穴を撮像する撮像部と、撮像部の撮像結果から、微多孔膜を電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池の状態を判定する判定部と、を備える。
電池の安全性試験の一つである電池の釘刺し試験において、特に、セパレータが局所的に裂け電極シート(集電体を含む)間の内部短絡が生じ、そのジュール熱発生による温度の急激な上昇を抑制することができる微多孔膜とその製造方法を提供できる。また、電池の釘刺し試験は、電池を組み立てるという工程を含むため、釘刺し試験を行う際は、時間と労力を要するところ、本発明は、釘を刺した場合の内部短絡について短時間で評価できる評価方法及び評価装置を提供できる。また、本発明は、この評価方法を用いて、微多孔膜を製造することにより、内部短絡時の急激な温度上昇を抑制することができる電池を得ることができるセパレータ及びこのようなセパレータが組み込まれた電池を提供することを目的とする。
以下、図1~図13を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、微多孔膜の水平面(面方向)に平行な面をXY平面とする。このXY平面に平行な一方向をX方向(左右方向)と表記し、X方向に直交する方向をY方向(前後方向)と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向(上下方向)と表記する。すなわち、微多孔膜の厚み方向がZ方向となる。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の示す方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が-方向である。左右方向については+方向を右方向、-方向を左方向として説明する。前後方向については、+側を奥側、-側を手前側として説明する。Z方向については、+側を上側、-側を下側として説明する。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。
なお、図1、図4及び図5において、微多孔膜は、X方向が微多孔膜におけるMD方向、Y方向が微多孔膜におけるTD方向となるように配置される。また、MD方向(機械方向;Machine Direction)は、微多孔膜が連続製膜される時に巻き取られる方向である。また、TD方向(横方向;幅方向;Transverse Direction)は、微多孔膜を平面で見たときにMD方向に直交する方向である。
(微多孔膜)
図1は、本実施形態の微多孔膜に尖った先端部を有する棒状体を突刺した場合の一例を示す図である。図1(A)及び図1(B)に示すように、微多孔膜1(膜単体)を、所定の棒状体2A(例えば、その先端部3aが四角錐形状を有する)で、棒状体2Aの長さ方向に先端部3aから突刺した場合、棒状体2Aと接する微多孔膜1の周辺部に棒状体2Aの外周形状に対応する穴Hが形成される場合がある。なお、棒状体2Aの具体的形状については後述する。図1(B)に示されるように、棒状体2Aを突刺した際、棒状体2Aの外周形状に対応する穴Hが形成されると共に、更にこの穴Hから面方向におけるいずれかの方向に向かう亀裂4が生じる場合がある。また、棒状体2Aを突刺した際、亀裂4が形成されずに穴Hだけが生じる場合もある(不図示)。以下、棒状体2Aを微多孔膜1に突刺して形成した穴H及びその周囲の形状を観察して評価する試験を「穴形状観察試験」ともいう。
図1は、本実施形態の微多孔膜に尖った先端部を有する棒状体を突刺した場合の一例を示す図である。図1(A)及び図1(B)に示すように、微多孔膜1(膜単体)を、所定の棒状体2A(例えば、その先端部3aが四角錐形状を有する)で、棒状体2Aの長さ方向に先端部3aから突刺した場合、棒状体2Aと接する微多孔膜1の周辺部に棒状体2Aの外周形状に対応する穴Hが形成される場合がある。なお、棒状体2Aの具体的形状については後述する。図1(B)に示されるように、棒状体2Aを突刺した際、棒状体2Aの外周形状に対応する穴Hが形成されると共に、更にこの穴Hから面方向におけるいずれかの方向に向かう亀裂4が生じる場合がある。また、棒状体2Aを突刺した際、亀裂4が形成されずに穴Hだけが生じる場合もある(不図示)。以下、棒状体2Aを微多孔膜1に突刺して形成した穴H及びその周囲の形状を観察して評価する試験を「穴形状観察試験」ともいう。
微多孔膜1は、例えば、図1(A)に示す棒状体2Aを所定の条件で突刺した場合に、棒状体2Aにより形成される穴Hを超えて面方向に生じる亀裂4の最大長さが、穴Hの面方向の長さに対して0%以上18%以下であり、好ましくは0%以上15%以下である。この比率の上限は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは7%以下である。亀裂4の最大長さが上記範囲である場合、微多孔膜1は、電池の釘刺し試験において、内部短絡時の急激な温度上昇を抑制することができる。また、微多孔膜1は、電池用のセパレータとして用いた場合、内部短絡時の急激な温度上昇を抑制し、発火等の発生を抑制することができる。なお、穴Hの面方向の長さとは、例えば、棒状体2Aの棒状部2aの断面が円形である場合、棒状部2aの直径をいい、棒状部2aの外周形状(断面形状)に対応する長さをいう。
図2は、棒状体の一例を示す図である。図2(A)に示すように、棒状体2Aは、棒状に延びる棒状部2aと、一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を順次縮小して尖った形状を有する先端部3aを備える。棒状体2Aは、断面が円形の棒状部2aを有し、先端部3aが四角錐形状に形成される。従って、矢印Aから見た場合、先端部3aは中心から外側に向けて4つの面が中心を囲むように構成される。以下、棒状体2Aについてより詳細に説明する。
棒状体2Aは、棒状に延びる棒状部2aと、当該棒状部2aにおける一端側の端部に、この棒状部2aと一体的に形成された先端部3aと、を備える。棒状部2aは、この棒状部2aの長さ方向に沿って延びる軸方向に対して直交する平面にて切断したとき、棒状部2aの長さ方向に亘って断面形状(以降、「棒状部2aの断面形状」と言う)が真円状となるように構成される。この例では、棒状部2aの断面形状の直径寸法は、8mmとなっている。棒状部2aの断面形状の直径寸法は、1mm以上20mm以下の範囲でもよく、例えば、3mm以上8mm以下の範囲内であってもよい。棒状体2Aは、例えば、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼鋼材)で規定するステンレス鋼(S45C)やSUS303などにより形成されており、従って導電材である。なお、棒状体2Aの形成材料は、特に限定されず、例えば樹脂材料あるいはセラミックスなどの非導電材であっても良い。
棒状体2Aの先端部3aは、棒状部2a側から離れるにつれて、棒状体2Aの長さ方向に直交する断面が順次縮小するように形成される。すなわち、先端部3aは、棒状部2aの長さ方向に沿って延びる軸方向に対して直交する平面にて切断したとき、棒状部2aとの接続部では、既述の棒状部2aの断面形状と同じ形状(真円状)となっており、当該接続部から離れた縮小した部位ではこの先端部3aの長さ方向(棒状部2aの長さ方向)に亘って断面形状が正四角形状となっている。そして、この先端部3aにおける前記断面形状である正四角形状は、棒状部2a側から離れるにつれて各々の辺の長さが小さくなっている。従って、一般的には「四角錐」とは底面が四角形状をなした形状物を指すが、この例では先端部3aは概略四角錐であって且つ底面(棒状部2aとの接続部)が真円状を呈した形状となっている。そして、この先端部3aの頂点(正四角錐の頂点)から先端部3aの底面(棒状部2aと先端部3aとの接続面)における外周円に向かって延びる4本の稜線のうち一の稜線と、当該一の稜線に対して対角線上に位置する他の稜線とのなす角度(先端部3aの頂点の角度)は、例えば30度となっている。
なお、上記した棒状体2Aは一例であって、他の形態でもよい。図2(B)は、棒状体2Aに代えて使用可能な棒状体2Bを示す図である。図2(B)に示す、棒状体2Bは、断面が円形の棒状部2bを有し、先端部3bが円錐形状に形成される。従って、矢印Bから見た場合、先端部3bは中心から外側に向けて曲面により中心を囲むように構成される。
穴形状観察試験に使用可能な棒状体は、図2(A)及び(B)に示す棒状体2A、2Bに限定されない。例えば、胴部(棒状部2a、2b、先端部3a、3b)の断面が四角形または六角形などの多角形状、楕円形状、または長円形状などであってもよい。また、先端部3a、3bの長さ(中心軸に沿った長さ)は任意に設定可能である。
図2(C)は、フィルムの突刺試験等において一般的に用いられるプローブPを示している。図2(C)に示すように、プローブPの先端には、球状部PBが設けられている。このような球状部PBを持つプローブPは、フィルムを突刺す際に球状部PBでフィルムを強く押して破るように作用するため、本実施形態おける棒状体(例、棒状体2A、2B)としては、用いられない。なお、先端に球状部PBを有するプローブPは、電池を貫通させる釘刺し試験用の釘としても、一切、使用されない。本実施形態では先端が尖った棒状体2A、2Bを用いることにより、微多孔膜1に対して容易に破ることが可能となる。その際、棒状体2A、2Bの最大径を超えて生じる亀裂の観察結果を用いて微多孔膜1を電池に組み込んだ際の安全性の評価を行うものである。なお、発明者の検討によると、図2(C)に示すプローブPを用いて、上述したような穴形状観察試験を行っても、電池に組み込んだ際の安全性の評価結果に対応するような形状の変化は生じないことが判明している。
棒状体2Aは、所定の条件で、例えば、2mm/秒の速度で微多孔膜1に突刺される。棒状体2Aは、微多孔膜1の面方向(XY平面方向、X方向、Y方向)に対して垂直に突刺される。また、棒状体2Aを突刺す条件としては、上記の条件以外に、0.01から200mm/秒の範囲でも構わないが、電池釘刺試験と同じ速度の2から80m/秒の範囲が好ましく、この条件を採用することができる。微多孔膜1への棒状体2Aの突刺しは、例えば、後に説明する図9等に示す評価装置100を用いて、所定の条件で行うことができる。
図3(A)及び(B)は、棒状体2Aを突刺した後、その棒状体2Aを引き抜いた後に観察される微多孔膜1の亀裂4を含む突刺し跡の一例を示す図である。亀裂4は、棒状体2Aが突刺されることによって微多孔膜1に穴Hが形成され、更にはこの穴Hが形成されるだけにとどまらずに当該穴Hを起点として微多孔膜1に裂け目が発生することにより生成する場合がある。従って、亀裂4は、微多孔膜1の物理的性質(強度、伸び、裂けやすさ等)によっては、生成する場合もあるし、生成しない場合もある。また、亀裂4が生成した場合であっても、その寸法は微多孔膜1の物理的性質によりまちまちである。ここでは、亀裂4の寸法は、微多孔膜1を平面で見たときに確認される面方向の長さ(XY平面上の長さ)に基づいて測定される。棒状体2Aを突刺した跡は、例えば、図3(A)に示すように、X方向に形成された突刺し跡4aと、Y方向に形成された突刺し跡4bを有する。棒状体2Aを突刺した跡は、例えば、突刺し跡4aと突刺し跡4bとが中央付近で交差して、略十字型(クロス型)の形状を有する。微多孔膜1は、例えば、二軸延伸により製膜した場合、延伸方向に対応した方向(例えば、MD方向及びTD方向)に十字形状の突刺し跡が形成されやすい。従って、既に説明したように、微多孔膜1のMD方向及びTD方向を棒状体2Aの先端部3aの形状(概略四角錘の頂点から外周円に向かって延びる稜線の配置)と合致するように配置することにより、亀裂4が最も大きく形成される。すなわち、棒状体2Aの直径の最大径d(棒状体2Aの外周形状に対応する穴の寸法)を超えて生じる亀裂4の長さは、例えば、棒状体2Aを突刺した跡が十字形状の場合、一方の突刺し跡4aの長さL1を測定し、この測定結果から棒状部2aの直径最大径dを引いた値(L1-d)と、他方の突刺し跡4bの長さL2を測定し、この測定結果から棒状部2aの直径の最大径dを引いた値(L2-d)と、のうちの最大値である。言い換えると、突刺し跡4a及び突刺し跡4bの長さは、例えば、亀裂4の両端部分に位置する先端同士を結んだ直線の長さとすることができる。
既述のように、棒状体2Aの先端部3aは、概略四角錐形状となっていて、当該先端部3aの外周面には4本の稜線が形成される。従って、微多孔膜1に棒状体2Aを突刺したとき、これら稜線が接する部分における微多孔膜1に最も応力が加わりやすくなり、そのためこの稜線に沿って亀裂4が形成される場合もある。すなわち、棒状体2Aが微多孔膜1に押し込まれていくとき、4本の稜線により微多孔膜1の穴が広げられていくので、亀裂4は、先端部3aにおける外周面の稜線の数量及び位置に応じて放射状に形成される。具体的には、前記稜線が4本形成されているので、亀裂4は4本形成される。そして、これら稜線が先端部3aの外周面において等間隔に形成される(棒状体2Aの長さ方向に沿って延びる軸方向に対して直交する平面にて先端部3aを切断したとき、この先端部3aの断面形状が正四角形になっている)ので、亀裂4は右方向に延びる亀裂4と左方向に延びる亀裂4同士が見かけ上一本の亀裂4(突刺し跡4a)となるように形成され、また奥側に延びる亀裂4と手前側に延びる亀裂4同士が見かけ上一本の亀裂4(突刺し跡4b)となるように形成されて、いわば十字型(クロス型)となる。この例では、既述のように、微多孔膜1におけるMD方向、TD方向について、棒状体2Aの先端部3aの稜線が延びる向き(棒状体2Aの先端部3aを微多孔膜1側から見たとき、棒状部2a側から先端部3aの頂点に向かって延びる4本の稜線のうち互いに対向する稜線の組のうち一の組及び他の組がそれぞれ延びる方向)と各々合致するように当該微多孔膜1を配置している。従って、既に記載のように、亀裂4は左右方向及び前後方向に向かって各々形成されるが、このように微多孔膜1を配置しない場合、亀裂4が微多孔膜1のTD方向及びMD方向からずれた向きに形成されることもある。
突刺し跡は、例えば、図3(B)に示すように、X方向のみの突刺し跡4aであってもよい。微多孔膜1は、例えば、一軸延伸により製膜した場合、延伸方向に対応した方向(例えば、MD方向又はTD方向)に単独の突刺し跡が形成されやすい。突刺し跡が単独である場合、棒状部2aの直径最大径dを超えて生じる亀裂4の長さは、突刺し跡4aの長さL1を測定し、この測定結果から棒状部2aの直径最大径dを引いた値(L1-d)である。なお、亀裂は3本や5本以上生じることもある。この場合、棒状部2aの直径最大径dを超えて生じる突刺し跡の長さは、3本以上の亀裂のそれぞれにおける突刺し跡の長さLから棒状部2aの直径の最大径dを引いた値(L-d)うちの最大値となる。
また、棒状体2Aを一度微多孔膜1に突刺して亀裂4の寸法を測定した後、この棒状体2Aを微多孔膜1から抜き出し、先に突刺した位置から棒状体2Aあるいは微多孔膜1を側方(左右方向あるいは前後方向)に移動させると共に、微多孔膜1に対して棒状体2Aを当該棒状体2Aの軸周りに相対的に回転させて、再度この微多孔膜1(既に突刺し試験を行った微多孔膜1と同じ微多孔膜1)に対して突刺し試験を行ってもよい。この場合、微多孔膜1のMD方向及びTD方向を特定しなくとも、正確に亀裂4の最大長さを測定することができる。すなわち、既述のように微多孔膜1に棒状体2Aを突刺した時に生じる亀裂4は、棒状体2Aの先端部3aの外周面における稜線の位置(向き)と微多孔膜1のTD方向、MD方向とを互いに合致させることにより最も大きな寸法となるが、例えば既に任意の形状に切り出された後の微多孔膜1では、TD方向、MD方向を判別しにくい。そのため、このようなTD方向、MD方向の判別が困難な微多孔膜1に対して棒状体2Aを当該棒状体2Aの軸周りに相対的に回転させて再試験を行うことにより、棒状体2Aは、微多孔膜1に対して互いに異なる姿勢(微多孔膜1の本来持つTD方向、MD方向に対する先端部3a外周面の稜線の向き)にて2回突刺されることになる。そのため、TD方向、MD方向が不明な微多孔膜1では、既述の最も大きな寸法が得られる可能性(棒状体2Aの先端部3aの外周面における稜線の向きと微多孔膜1のTD方向、MD方向が合致した状態で試験を行う可能性)が高くなる。なお、微多孔膜1に対して釘を相対的に回転させる角度は任意であり、例えば、0度以上45度以下の一定の角度で回転させることができる。既述の再試験は、多数回(3回以上)行うことが好ましく、このように多数回の再試験を行うことにより、前記最も大きな寸法を得られる可能性が高くなる(微多孔膜1の亀裂4を高い確度で測定できる)。このとき、再試験は、既に行った試験における微多孔膜1に対する棒状体2Aの角度に対して、当該再試験における前記角度を異なる値に設定した上で行うことが好ましい。この場合、棒状体2Aの直径を超えて生じる亀裂の最大長さは、例えば、穴Hの面方向の長さに対して0%以上18%以下であり、好ましくは0%以上12%以下である。また、それぞれの位置(それぞれの角度)における、亀裂4の最大長さのうち、最も小さい亀裂4の最大長さが、穴Hの面方向の長さに対して、好ましくは0%以上7%以下である。
なお、亀裂4の最小値は、穴Hの面方向の長さとほぼ同じか、穴Hの面方向の長さより小さくなる場合がある。例えば、亀裂4の最大長さが穴Hの面方向の長さより大きくなる場合、微多孔膜1の弾性により、亀裂4の最小長さが穴Hの面方向の長さより小さくなることがある。すなわち、微多孔膜1の弾性力が比較的大きい場合、扁平な形状の亀裂4が生成することがある。亀裂4の最小値が穴Hの面方向の長さより小さくなる場合、亀裂4の最小値の下限は、穴Hの面方向の長さ100%に対して、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上である。
図3(C)は、棒状体2Aを突刺して引き抜いた後、紙枠で四辺をテープやクリップで固定された微多孔膜1を145℃に加熱し、棒状体2Aの突刺し跡及び亀裂4により形成された穴H1の一例を示した図を示す。図3(C)に示すように、微多孔膜1がポリエチレン樹脂を含む場合、ポリエチレンの融点より少し高い145℃で加熱することにより、溶融し亀裂4が拡大して、穴H1を形成する。微多孔膜1は、棒状体2Aの直径の最大径dに対する、穴H1の最大径L3と、穴H1の最小径L4との差が、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは17%以下である。なお、棒状体2Aの直径の最大径dに対する、穴H1の最大径L3と、穴H1の最小径L4との差は、(L4-L3)/dで算出することができる。
図4は、少なくとも一方の表面にアルミニウム箔5又は銅箔6を積層した微多孔膜1に、棒状体2Aを突刺した場合を示した図である。微多孔膜1は、図4(A)に示すように、例えば、アルミニウム箔5に棒状体2Aを刺す面とは反対側(-Z側)に積層してもよい。微多孔膜1は、図4(B)に示すように、例えば、一方の面にアルミニウム箔5を積層し、他方の面に銅箔6を積層してもよい。これらの場合、亀裂4の最大長さは、棒状体2Aの直径最大径dに対して好ましくは0%以上20%以下であり、より好ましくは0%以上15%以下である。亀裂4の最大長さが、上記範囲である場合、微多孔膜1は、釘刺し耐性に優れる。また、微多孔膜1は、電池用セパレータとして用いた場合、内部短絡に対する安全性に優れる。微多孔膜1は、少なくとも一方の表面にアルミニウム箔5又は銅箔6を積層して釘刺しを行う場合、電池の釘刺し試験の条件とより類似した条件を再現することができ、より正確に微多孔膜1の釘刺し耐性を測定することができる。微多孔膜1の釘刺し耐性をより正確に評価するという観点から、アルミニウム箔5又は銅箔6は、両面に積層することが好ましい。
図5(A)は、微多孔膜1を用いて作製したラミネート型電池10の一例を示す図であり、図5(B)は、ラミネート型電池10を用いて、電池の釘刺し試験を行った直後のエネルギー放出率の一例を示す図である。ラミネート型電池10は、図5(A)に示すように、例えば、正極シート11、負極シート12がセパレータ13を介して積層された積層体をアルミラミネートフィルム14で包み、内部に電解液を注液した後、封止することで、作製される。なお、ラミネート型電池10は、このような正極、セパレータ、負極の積層体が14、14の間に多数積層されてもよいが、図では説明の簡略化のため前記積層体を一つだけ描画している。セパレータ13は、上記の微多孔膜1を用いる。以下、ラミネート型電池10の製造方法の一例について説明する。なお、上述の穴形状観察試験に用いる棒状体2Aは、この電池の釘刺し試験に用いる釘と同様の釘を用いることができる。
正極シート11の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で作製することができる。正極シート11は、例えば、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、正極導電助剤としてアセチレンブラック、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデンを重量比で92:4:4、プラネタリーミキサーを用いてN-メチル-2-ピロリドン中に分散させた正極スラリーを、アルミ箔上に両面塗布、乾燥、圧延して作製できる。
負極シート12は、特に限定されず、公知の方法で作製することができる。負極シート12は、負極活物質として天然黒鉛、負極導電助剤としてアセチレンブラック、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース、負極結着剤としてスチレン-ブタジエン共重合体を重量比で95:1:4、プラネタリーミキサーを用いて水中に分散させた負極スラリーを、銅箔上に両面塗布、乾燥、圧延して作製できる。
電解液は、公知のものを用いることができるが、例えば、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:7(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を1モル/Lとなるように溶解させた溶液に、添加剤としてビニレンカーボネートを2質量部添加して作製できる。
上記のように作製した正極シート11は、例えば、10cm×20cmに切り出される。このうち、一辺10cm×1.5cmはタブを接続するための未塗布部であり、正極塗布部は10cm×18.5cmである。幅30mm、長さ3cm、厚み0.2mmのアルミ製の正極タブは、正極未塗布部に長さ1cmで超音波溶接される。
上記のように作製した負極シートは、例えば、10.5cm×20.5cmに切り出される。このうち、一辺10cm×1.5cmはタブを接続するための未塗工部であり、負極塗布部は10cm×19cmである。タブと同サイズの銅製の負極タブは、負極未塗布部に超音波溶接される。
セパレータ13は、10.6cm×20.8cmの形状を、30枚分を、山折り、谷折りの繰り返し構造となるように折り返して(つづら折り)、蛇腹状に形成される。セパレータの両面に上記負極と正極を塗布部がセパレータを隔てて重ね、正極塗布部が全て負極塗布部と対向するように配置して電極群を得ることができる。この電極群を1枚の25cm×24cmのアルミラミネートフィルムに挟み込み、電極群の長辺に沿って折り、電極群の長短辺2辺を熱融着し、袋状とする。ここに電解液を注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの長短辺部を熱融着させてラミネート型電池10とする。
上記のように作製したラミネート型電池10の放電容量は、充電レートを0.2C、充電電圧を4.2Vで定電流-定電圧充電を行い、放電レートを0.2C、カットオフ電圧を2.7Vで、約5.5Ahである。作製したラミネート型電池10を、充電レートを0.2C、充電電圧を4.0Vで定電流-定電圧モードで充電する。充電したラミネート型電池10に、室温25℃で、胴部直径8mm、先端角度30°の棒状体(ステンレス鋼)を80mm/秒の速度で、ラミネート型電池10の中心部に向けて垂直に突刺し、貫通させた。貫通後のエネルギー放出(VT/Ci(V・秒/A/時))と釘刺速度(mm/秒)の積(1)を算出する。ここで、Ciは初期放電容量(A・時)、VTは充電カットオフ電圧と釘刺中の電圧との差を、釘刺直後から電池の電圧が最初の極小値となる時間まで、若しくは0Vとなる時間までの積分した値とする。
上記微多孔膜1をセパレータとして用いて、所定のラミネート型電池10を作製し、電池の釘刺し試験を行った直後の上記積(1)で定義されるVT/Ciと釘刺速度の積が7V・mm/A/時以下であり、好ましくは6V・mm/A/時以下である。積(1)が上記範囲である場合、微多孔膜1をセパレータとして用いた電池は、釘刺し試験に耐え得えることができ、安全性により優れる。
(微多孔膜の形成材料)
以下、微多孔膜1の形成材料について説明する。微多孔膜1は、例えば、樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを含むことができる。ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと他のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。
以下、微多孔膜1の形成材料について説明する。微多孔膜1は、例えば、樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを含むことができる。ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと他のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。
ポリエチレンの種類は、特に限定されず、種々のポリエチレンを用いることができ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が用いられる。ポリエチレン系樹脂は、例えば、高密度ポリエチレン(密度:0.920g/cm3以上0.970g/cm3以下)を含む場合、突刺強度がより向上する。これらのポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、例えば1×104以上1×106未満程度であり、好ましくは1×105以上7×105以下、より好ましくは2.5×105以上5×105以下である。
例えば、高密度ポリエチレンの含有量は、ポリオレフィン樹脂成分全体100質量%に対して、例えば40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上である。その上限が、例えば100質量%以下であり、他の成分を含む場合は、例えば90質量%以下である。ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレンを含有した場合、溶融押出特性に優れ、均一な延伸加工特性に優れる。
また、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を含むことができる。超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×106以上であり、好ましくは1×106以上8×106以下で、さらに好ましくは1.3×106以上2.5×106以下である。超高分子量ポリエチレンのMwが上記範囲であると、成形性が良好となる。なお、超高分子量ポリエチレンのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。超高分子量ポリエチレンは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができ、例えばMwの異なる二種以上の超高分子量ポリエチレン同士を混合して用いてもよい。
超高分子量ポリエチレンは、ポリオレフィン樹脂全体に対して、例えば2質量%超60質量%以下含むことができる。例えば、超高分子量ポリエチレンの含有量が、ポリオレフィン樹脂全体に対して、10質量%以上50質量%以下である場合、押出し混練性などの生産性に優れる傾向がある。好ましくは15質量%以上45質量%以下である。ポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリエチレンを含有した場合、微多孔膜1を薄膜化した際にも高い機械的強度、高い空孔率を得ることができ、微多孔膜1の釘刺し耐性に優れる。
ポリプロピレンの種類は、特に限定されず、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα-オレフィン及び/又はジオレフィンとの共重合体(プロピレン共重合体)、あるいはこれらの混合物のいずれでも良いが、機械的強度及び貫通孔径の微小化等の観点から、プロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。ポリオレフィン樹脂成分中のポリプロピレンの含有量は、例えば1質量%以上40質量%以下で、好ましくは2.5質量%以上15質量%以下で、さらに好ましくは2.5質量%以上4質量%以下である。ポリプロピレンを上記範囲で含有することにより、耐熱性が向上する。
なお、ポリオレフィン樹脂成分は、必要に応じて、ポリエチレン及びポリプロピレン以外のその他の樹脂成分を含むことができる。その他の樹脂成分としては、例えば、耐熱性樹脂等を用いることができる。また、ポリオレフィン微多孔膜1は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤や充填剤、結晶造核剤、結晶遅延剤等の各種添加剤を含有させてもよい。酸化防止剤を添加する場合、添加量は好ましくは0.01質量%以上2質量%以下で、さらに好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
(微多孔膜の製造方法)
以下、微多孔膜1の製造方法について説明する。微多孔膜1の製造方法は、上記の特性を有する微多孔膜が得られれば、特に限定されず、公知のポリオレフィン微多孔膜の製造方法を用いることができる。微多孔膜1の製造方法としては、例えば、乾式の製膜方法及び湿式の製膜方法が挙げられる。乾式の製膜方法では、例えば、ポリオレフィン樹脂を溶融押出し、シートを形成する、冷却過程で延伸することにより、球晶を起点とする微細孔を形成させて微多孔膜を得る。湿式の膜方法では、例えば、ポリオレフィン樹脂と膜用溶剤とを溶融混練したポリオレフィン樹脂溶液を溶融押出し、シートを形成した後、冷却過程で高分子ミクロ相分離と成膜用溶剤の抽出とにより微細孔を形成させて微多孔膜を形成する。微多孔膜1の製造方法としては、膜の構造及び物性の制御の容易性の観点から湿式の製膜方法が好ましい。湿式の製膜方法では、例えば、日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号の明細書、国際公開2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。
以下、微多孔膜1の製造方法について説明する。微多孔膜1の製造方法は、上記の特性を有する微多孔膜が得られれば、特に限定されず、公知のポリオレフィン微多孔膜の製造方法を用いることができる。微多孔膜1の製造方法としては、例えば、乾式の製膜方法及び湿式の製膜方法が挙げられる。乾式の製膜方法では、例えば、ポリオレフィン樹脂を溶融押出し、シートを形成する、冷却過程で延伸することにより、球晶を起点とする微細孔を形成させて微多孔膜を得る。湿式の膜方法では、例えば、ポリオレフィン樹脂と膜用溶剤とを溶融混練したポリオレフィン樹脂溶液を溶融押出し、シートを形成した後、冷却過程で高分子ミクロ相分離と成膜用溶剤の抽出とにより微細孔を形成させて微多孔膜を形成する。微多孔膜1の製造方法としては、膜の構造及び物性の制御の容易性の観点から湿式の製膜方法が好ましい。湿式の製膜方法では、例えば、日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号の明細書、国際公開2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。
図6は、実施形態に係る微多孔膜1の製造方法の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートの一部のステップは削除されてもよい。以下、樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いる場合について説明する。
図6に示すように、まず、ポリオレフィン樹脂と溶剤(膜用溶剤)とを溶融混練してポリオレフィン樹脂溶液を調製する(ステップS1)。ポリオレフィン樹脂溶液は、ポリオレフィン樹脂に、適当な膜用溶剤を添加した後、溶融混練して、調製される。溶融混練方法として、例えば日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号の明細書に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。溶融混練方法は公知であるので説明を省略する。
ポリオレフィン樹脂と膜用溶剤との配合割合は、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂20~50質量部に対して、膜溶剤50~80質量部であることが好ましい。さらに好ましくはポリオレフィン樹脂20~40質量部に対して、製膜溶剤60~80質量部である。溶剤としては、例えば、流動パラフィンを用いることができる。ポリオレフィン樹脂は、1種類を単独で用いてもよいが、2種類以上を用いてもよい。中でも、ポリオレフィン樹脂は、上述した高密度ポリエチレン(第1のポリオレフィン)と超高分子量ポリエチレン(第2のポリオレフィン)とを含むことが好ましい。
次いで、冷却してゲル状シートを形成する(ステップS2)。ゲル状シートは、上記で調整したポリオレフィン樹脂溶液を押出機から1つのダイに送給し、シート状に押し出し、冷却して形成される。
押出方法はフラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。押出し温度は140~300℃好ましく、さらに140~250℃好ましく、押出速度は0.2~30m/分が好ましく、さらに0.2~15m/分が好ましい。例えば、ポリオレフィン樹脂溶液の各押出量を調節することにより、最終的な微多孔膜1の膜厚を調節することができる。押出方法としては、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
得られた押出し成形体を冷却することによりゲル状シートを形成する。ゲル状シートの形成方法として、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。冷却は少なくともゲル化温度までは30℃/分以上、さらに50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。冷却は25℃以下まで行うのが好ましい。冷却により、膜用溶剤によって分離されたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が上記範囲内であると結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適したゲル状シートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。
次いで、ゲル状シートを延伸する(ステップS3)。ゲル状シートの延伸は、第1の延伸ともいう。延伸は、少なくとも一軸方向に行う。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。ゲル状シートは、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。
本ステップにおける延伸倍率(面積延伸倍率)は、一軸延伸の場合、2倍以上が好ましく、3~30倍がより好ましい。二軸延伸の場合、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上が特に好ましい。延伸倍率(面積延伸倍率)を9倍以上とすると、突刺強度の向上が期待できる。また、長手及び横手方向(MD及びTD方向)の延伸倍率は、それぞれ3倍以上が好ましく、MD方向とTD方向での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。なお、長手及び横手方向(MD及びTD方向)の延伸倍率の上限は、例えば、それぞれ10倍以下とすることができる。なお、本ステップにおける延伸倍率とは、本ステップ直前のゲル状シートを基準として、次ステップに供される直前のゲル状シートの面積延伸倍率のことをいう。
延伸温度は、ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)~Tcd+30℃の範囲内にするのが好ましく、結晶分散温度(Tcd)+5℃~結晶分散温度(Tcd)+28℃の範囲内にするのがより好ましく、Tcd+10℃~Tcd+26℃の範囲内にするのが特に好ましい。延伸温度が上記範囲内であるとポリオレフィン樹脂延伸による破膜が抑制され、高倍率の延伸ができる。
結晶分散温度(Tcd)は、ASTM D4065による動的粘弾性の温度特性測定により求められる。超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレン及びポリエチレン組成物は約90~100℃の結晶分散温度を有するので、延伸温度の下限は、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは110℃以上であり、より好ましくは112℃以上、さらに好ましくは114℃以上である。また、この延伸温度の上限は、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは117℃以下である。
以上のような延伸によりポリエチレンなどのポリオレフィンラメラ間に開裂が起こり、ポリオレフィン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。延伸により機械的強度が向上するとともに細孔が拡大するが、適切な条件で延伸を行うと、貫通孔径を制御し、さらに薄い膜厚でも高い空孔率を有する事が可能となる。このため、より安全で高性能な電池用セパレータに好適である。
所望の物性に応じて、膜厚方向に温度分布を設けて延伸してもよく、これにより一層機械的強度に優れた多層微多孔膜が得られる。その方法の詳細は日本国特許第3347854号に記載されている。
次いで、上記延伸後のゲル状シートから前記溶剤を除去してフィルムとする(ステップS4)。溶剤の除去は、洗浄溶媒を用いて洗浄を行う。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒およびこれを用いた膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号明細書や日本国特開2002-256099号公報に開示の方法を利用することができる。
次いで、上記膜用溶剤除去後のフィルムを乾燥する(ステップS5)。膜用溶剤を除去した微多孔膜フィルムを、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以下であるのが好ましく、特にTcdより5℃以上低いのが好ましい。乾燥は、微多孔膜フィルムを100質量%(乾燥重量)として、残存洗浄溶媒が5質量%以下になるまで行うのが好ましく、3質量%以下になるまで行うのがより好ましい。残存洗浄溶媒が上記範囲内であると、後段の微多孔膜(フィルム)の延伸工程及び熱処理工程を行ったときに微多孔膜(フィルム)の空孔率が維持され、透過性の悪化が抑制される。
次いで、乾燥後の微多孔膜(フィルム)を再延伸してもよい(ステップS6)。乾燥後の微多孔膜(フィルム)の再延伸は、少なくとも一軸方向に行うことが好ましい。再延伸は、加熱しながら上記と同様にテンター方式、ロール方式法等により行うことができる。再延伸は、一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸及び逐次延伸のいずれでもよいが、同時二軸延伸が好ましい。本ステップにおける延伸温度は、特に限定されないが、通常90℃以上135℃以下であり、より好ましくは95℃以上130℃以下である。
フィルムの再延伸の一軸方向への延伸倍率(面積延伸倍率)は、下限が1.0倍超であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上である。また、上限が2.0倍以下とするのが好ましい。二軸延伸の場合、面積延伸倍率は、下限が1.0倍超であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上である。上限は、2.0倍以下が好適であり、MD方向及びTD方向に各々1.0~2.0倍とし、MD方向とTD方向での延伸倍率が互いに同じでも異なってもよい。なお、本ステップにおける延伸倍率とは、本ステップ直前の微多孔膜(フィルム)を基準として、次ステップに供される直前の微多孔膜の延伸倍率のことをいう。
また、乾燥後の微多孔膜(フィルム)は、熱処理を行われることができる(ステップS7)。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜のTD方向の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。テンター方式又はロール方式により行うのが好ましい。ゲルシート延伸の面積延伸倍率と溶剤除去・乾燥後再延伸の面積延伸倍率の積は、好ましくは25倍以上、さらにゲルシート延伸は同時延伸が良く、MD方向5倍×TD方向5倍が好ましい。さらに溶剤除去・乾燥後再延伸の倍率はMD方向とTD方向のいずれかが1.0以上、1.2以下が良い。この条件では、特に原料樹脂の超高分子量ポリエチレンをポリオレフィン樹脂全体に対し20%以上含有させた微多孔膜(フィルム)においてもより緩和され、電池の釘刺し試験において、セパレータの裂けの抑制に効果的であったと考察している。また、熱緩和処理とは、膜を加熱中にMD方向やTD方向に熱収縮させる熱処理である。その収縮率は好ましくは3.5%以上が良い。熱緩和処理方法としては例えば、日本国特開2002-256099号公報に開示の方法があげられる。ゲルシート延伸の面積延伸倍率と溶剤除去・乾燥後再延伸の面積延伸倍率の積は、好ましくは35倍以上、さらにMD方向とTD方向のいずれかが5倍以上が良い。この条件では、特に原料樹脂の超高分子量ポリエチレンをポリオレフィン樹脂全体に対し30%以上含有させた微多孔膜(フィルム)においてもより緩和され、電池の釘刺し試験において、セパレータの裂けの抑制に効果的であったと考察している。両熱処理の温度は、ポリオレフィン樹脂のTcd~Tmの範囲内が好ましく、高密度ポリエチレン(第1のポリオレフィン)と超高分子量ポリエチレン(第2のポリオレフィン)とを含む微多孔膜の場合、第2のポリオレフィンのTcd~Tmの範囲内が好ましい。微多孔膜の場合乾燥後の延伸温度±5℃の範囲内がより好ましく、微多孔膜の乾燥後の延伸温度±3℃の範囲内が特に好ましい。
微多孔膜は多層であっても良い。また、微多孔膜の巻取り前若しくは後で、さらに、架橋処理および親水化処理を行うこともできる。例えば、微多孔膜に対して、α線、β線、γ線、電子線等の電離放射線の照射することに、架橋処理を行う。電子線の照射の場合、0.1~100Mradの電子線量が好ましく、100~300kVの加速電圧が好ましい。架橋処理により微多孔膜のメルトダウン温度が上昇する。また、親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。無機粒子や耐熱樹脂をコーティングしても良い。
(微多孔膜の物性)
以下、微多孔膜1の物性について、説明する。微多孔膜1の膜厚は、特に限定されないが、例えば、30μm以下である。膜厚は、好ましくは1μm以上30μm以下であり、より好ましくは2μm以上25μm以下、さらに好ましくは3μm以上20μm以下である。膜厚が上記範囲であると、微多孔膜1を電池用セパレータとして使用した場合、電池容量が向上する。微多孔膜1は、薄膜化した際でも、良好な巻き取り性及び塗工性を有する。
以下、微多孔膜1の物性について、説明する。微多孔膜1の膜厚は、特に限定されないが、例えば、30μm以下である。膜厚は、好ましくは1μm以上30μm以下であり、より好ましくは2μm以上25μm以下、さらに好ましくは3μm以上20μm以下である。膜厚が上記範囲であると、微多孔膜1を電池用セパレータとして使用した場合、電池容量が向上する。微多孔膜1は、薄膜化した際でも、良好な巻き取り性及び塗工性を有する。
微多孔膜1の空孔率は、特に限定されないが、例えば、10%以上70%以下である。微多孔膜1を二次電池用セパレータとして用いる場合、微多孔膜1の空孔率の下限は、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上である。空孔率の下限が上記範囲であることにより、電解液の保持量を高め、高いイオン透過性を確保することができる。空孔率は、ポリオレフィン樹脂の構成成分の配合および、延伸工程における延伸倍率などを調節することにより、上記範囲とできる。
また、微多孔膜1の空孔率(%)は、下式(2)で表せる値P以上であることが好ましい。
P値=0.5×d(μm)+20…式(2)
上記式(2)中、dは膜厚(μm)を示す。
P値=0.5×d(μm)+20…式(2)
上記式(2)中、dは膜厚(μm)を示す。
また、微多孔膜1は、空孔率(%)がP値以上であり、かつ、後述する平均流量径が40nm以下であることが好ましい。空孔率及び平均流量径が上記範囲である場合、微多孔膜1は、電池の釘刺し試験において、優れた安全性を達成できる。
なお、空孔率は、微多孔膜の体積V1(cm3)とそれと等価な空孔のない微多孔膜の体積V2(cm3)とを比較した、以下の式(1)によって、測定できる。
空孔率(%)=(V2-V1)/V2×100・・・(1)
ここで、V1=微多孔膜の重量w1(g)/樹脂の密度ρ(g/cm3)
空孔率(%)=(V2-V1)/V2×100・・・(1)
ここで、V1=微多孔膜の重量w1(g)/樹脂の密度ρ(g/cm3)
微多孔膜1は、平均流量径の上限が50nm以下であることが好ましく、15nm以上40nm以下であることがより好ましい。平均流量径は、パームポロメーターを用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定される値である。平均流量径が上記範囲である場合、微多孔膜1は、電池の釘刺し試験や耐電圧に優れ、金属デンドライト成長抑制に効果があり、優れた安全性を達成できる。また、平均流量径が上記範囲である電池用セパレータは、インピーダンス及びガーレー値(透気抵抗度)の上昇や空孔率の低下が抑制され、電池のエネルギー密度および入出力の向上が期待できる。平均流量径は、ポリオレフィン樹脂を含む原料組成を調節したり、ゲル状シートの延伸及び乾燥後の再延伸における延伸倍率などを調節することにより、上記範囲とすることができる。
微多孔膜1のガーレー値は、特に限定されないが、例えば、ガーレー値の下限が40sec/100cm3以上1000sec/100cm3以下である。微多孔膜1の空孔率は、二次電池用セパレータとして用いる場合、好ましくは70sec/100cm3以上500sec/100cm3以下である。ガーレー値が上記範囲であることにより、電池セパレータとして用いた場合、イオン透過性に優れ、インピーダンスが低下し電池入出力が向上する。ガーレー値は、ゲル状シート、乾燥後微多孔膜の延伸条件などを調節することにより、上記範囲とすることができる。ガーレー値は、膜厚T1(μm)の微多孔膜に対して、JIS P-8117に準拠して、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)で測定した値である。
微多孔膜1の突刺強度は大きければ大きいほど良いが、例えば、0.98N以上29N以下であり、好ましくは1.2N以上19.6N以下、より好ましくは1.5N以上15N以下である。突刺強度が上記範囲であることにより、薄膜化した場合においても厚み方向の破膜耐性に優れ、電池用セパレータとして用いた場合、衝撃による破膜、短絡が抑制される。また、熱収縮率とのバランスにも優れる。突刺強度は、ポリオレフィン樹脂中の超高分子量ポリエチレンの含有量、延伸工程における延伸倍率などを調節することにより、上記範囲に制御できる。突刺強度は、先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T1(μm)の微多孔膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重(gf)を測定した。なお、突刺強度の測定に用いる上記針は、先端が球面の形状を有しており(図2(C)参照)、本実施形態で用いられる棒状体2A、2Bとは異なるものである。また、突刺強度は、膜の機械的強度を評価する一つの指標であるが、後述する実施例にも示されるように、突刺強度と、電池の釘刺し試験の評価結果とは直接的な関連は低い。
微多孔膜1のMD方向又はTD方向の引張強度は、例えば、49MPa以上392MPa以下であり、好ましくは98MPa以上294MPa以下である。引張強度が上記範囲であることにより、特に面内方向の破膜耐性に優れる。また、熱収縮率とのバランスにも優れる。引張強度は、幅10mmの短冊状試験片を用いて、ASTM D882に準拠した方法により測定した。
微多孔膜1のMD方向又はTD方向の105℃熱収縮率は、例えば、0%以上20%以下程度である。また、微多孔膜1は、105℃で熱膨張しても良い。例えば、熱収縮率ではマイナスの値となってもよく、-5%以上-0.1%以下程度である。微多孔膜1のMD方向又はTD方向の105℃熱収縮率は、-3%以上10%以下が好ましい。熱収縮率が上記範囲であることにより、微多孔膜を使用した製品の耐熱性、耐久性が向上し、製品の長寿命化が期待できる。微多孔膜1の105℃熱収縮率は、試験片(微多孔膜1)を105℃の温度にて8時間熱処理し、熱処理前の各方向の試験片の大きさ(a1)と熱処理後の試験片の各方向の大きさ(a2)とを測定し、MD方向又はTD方向において、a1を100%としたときの、a2の収縮率を式:[100-(a2/a1)×100](%)により算出した値である。
本実施形態の電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解液と、を備える電池であって、セパレータは、上記微多孔膜1を用いる。正極及び負極はセパレータを介して配置し、それを捲回若しくは積層させて電極体を形成し、この電極体に、例えば、非水系電解液を含浸させる。例えば、正極端子と負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続する。これらを電池ケースに密閉して、電池とすることができる。上記微多孔膜1は、釘刺し耐性に優れるため、電池のセパレータとして用いた場合、電池の釘刺試験において良好な評価結果を示し、安全性に優れる電池を得ることができる。電池の形状は特に限定されず、例えば、円筒型、角型、ラミネート型等のものとすることができる。また、電池は、上述した電池の釘刺し試験用のラミネート型電池10と同様の形状としてもよい。
図7は、実施形態に係る微多孔膜の評価方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明は、微多孔膜の評価方法の一例であって、この方法に限定するものではない。
図7に示すように、まず、所定の尖った先端部を有する棒状体を、所定の条件で、膜に対して先端部から突刺し、棒状体の外周形状に対応する穴を形成する(ステップS11)。例えば、上記のように、棒状体2Aを微多孔膜1に所定の条件で突刺し、棒状体2Aの外周形状に対応する穴Hを形成する。
次いで、穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さを計測する(ステップS12)。亀裂4の最大長さLの測定の方法は、上述した方法と同様の方法で計測できる。
次いで、計測された亀裂の最大長さから、微多孔膜を電池に組み込んだ際の電池の内部短絡時の電池状態(例えば、内部短絡耐性や釘刺し試験における釘刺し耐性)を評価し、判定する(ステップS13)。上記の電池状態の判定は、例えば、予め、所定の条件で作製した微多孔膜1を実際の釘刺し試験を行って、所定の閾値を求め、求めた閾値と比較すること等により行う。
所定の閾値は、例えば、四角錐形状の先端部3aを有する棒状体2Aを棒状体として用いた場合、棒状体2Aの直径に対する、上述の亀裂4の最大長さの15%を設定することができる。例えば、亀裂4の最大長さが15%以下である場合、微多孔膜1を電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池状態が良好であると判定され、一方、亀裂4の最大長さが15%超である場合、微多孔膜1を電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池状態が不良であると判定される。四角錐形状の先端部3aを有する棒状体2Aを棒状体として用いた場合の閾値は、好ましくは10%以下である。所定の閾値は、微多孔膜1の主材料の種類、製造方法、電池の釘刺し試験の条件により、適宜、変更することができる。上記の製造方法を用いて製造された微多孔膜1は、電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池状態が良好であり、例えば、急激な温度上昇(例、熱暴走)を抑制することができ、特に、セパレータが局所的に裂け電極シート(集電体を含む)間の内部短絡が生じ、そのジュール熱発生による急激な温度上昇を抑制することができる。
図8は、実施形態に係る上記評価方法を用いた微多孔膜の製造方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明は、微多孔膜の製造方法の一例であって、この方法に限定するものではない。
図8に示すように、まず、微多孔膜を製造する(ステップS21)。微多孔膜1の製造は、公知の微多孔膜の製造方法を用いることができる。また、上述した微多孔膜1の製造方法(ステップS1~S6)を用いてもよい。
次いで、図8に示すように、微多孔膜1を切り取り(ステップS22)、切り取られた一部に対して、所定の棒状体を、所定の条件で、突刺し、棒状体の外周形状に対応する穴を形成する(ステップ23)。例えば、上記のように、棒状体2Aを、所定の条件で、一部を切り取った微多孔膜1に突刺し、棒状体2Aの外周形状に対応する穴Hを形成する。
次いで、穴の直径を超えて微多孔膜に生じる亀裂の最大長さを計測し(ステップS24)、計測された亀裂の最大長さから微多孔膜を電池に組み込んだ際の内部短絡時の電池状態を判定し(ステップS25)、得られた判定結果に基づいて微多孔膜を選択する(ステップS26)。これらのステップは、上記の評価方法のステップS12、S13と同様である。上記評価方法を用いた微多孔膜の製造方法は、上記ステップを備えることにより、上記の内部短絡時の電池状態(内部短絡に対する耐性)に優れる微多孔膜(セパレータ)を効率よく生産できる。
なお、上記の微多孔膜の評価方法において、棒状体は、先端が尖っており、微多孔膜1を突刺すことができれば、任意の釘を用いることができる。棒状体における前記先端部は、棒状体の長さ方向に沿って延びる軸方向に対して直交する平面で切断したとき、断面形状が既述の正四角形であることに代えて、各辺の長さが互いに異なる四角形、あるいは三角形あるいは多角形でも良いし、楕円形状や真円形状であっても良い。例えば、図2(B)は、棒状体2Bの先端部3bにおける前記断面形状を真円形状に形成した例、すなわち先端部3bを円錐形状となるように構成した例を示している。なお、棒状部の断面形状としては、真円形状以外にも、楕円状、三角形、四角形あるいはそれ以上の多数の角部を持つ多角形であっても良い。また、上記の棒状体を突刺す条件も、任意の条件を用いることができ、例えば、電池の釘刺試験の条件と同様の速度で突刺すことができる。棒状体を突刺す速度は、例えば、2mm/秒の速度に設定される。
また、実施形態の電池の製造方法は、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを備える電池の製造方法であって、上記の評価方法を用いた微多孔膜の製造方法により製造された微多孔膜をセパレータとして用いる。
次に、実施形態に係る評価装置を説明する。図9は、実施形態に係る評価装置100の一例を示す斜視図である。図9では、評価装置100を模式的に示している。評価装置100は、図9に示すように、棒状体2と、ベースBと、テーブル20と、支持部30と、回転駆動部40と、突刺駆動部50と、撮像部60と、判定部70と、を備える。この評価装置100は、微多孔膜1を棒状体2で突刺した場合に形成される突刺し跡から、微多孔膜1の釘刺し耐性を評価することができる。なお、棒状体2は、上述した棒状体2Aと同一の形状を有する。なお、棒状体2は、棒状体2Bと同一の形状を有してもよく、他の形状を有してもよいが、上述したように棒状体2Cは適切ではない。
ベースBは、例えば、評価装置100の最下部に配置される。ベースBは、テーブル20等を支持可能な形状、重量に形成され、形状及び重量は任意に設定可能である。ベースBは、上面の一部から鉛直方向に延びる支柱Mを備える。支柱Mは、例えば円柱状のものが用いられるが、これに限定されない。
テーブル20は、ベースBの上方において支柱Mの中間部分に支持される。テーブル20は、ベースBに対して固定されるが、これに限定されず、ベースBに対して上下方向に移動可能に支持されてもよいし、支柱Mを軸とする回転方向に移動可能に支持されてもよい。テーブル20は、上面の載置部21において微多孔膜1を保持する。載置部21は、例えば、水平な面(XY平面と平行な面)を有し、一部にテーブル20を上下方向に貫通する孔部22を備える。孔部22は、棒状体2を挿通可能な内径に形成される。なお、孔部22は、棒状体2を挿通可能であればテーブル20を貫通していなくてもよい。
また、テーブル20は、孔部22を挟んだ+X側及び-X側のそれぞれに、微多孔膜1を載置部21に保持するための押さえ部材23を備える。押さえ部材23は、微多孔膜1の一部をテーブル20の上面との間で挟み込むことにより微多孔膜1を固定する。なお、微多孔膜1の保持(固定)は、押さえ部材23により微多孔膜1を保持することに限定されない。例えば、微多孔膜1の一部を吸着すること、あるいは微多孔膜1の一部を接着剤等で接着すること、などにより微多孔膜1を載置部21に保持してもよい。また、図示のように、微多孔膜1の+X側及び-X側の端部を押さえ部材23で保持することに限定されず、+Y側及び-Y側を保持してもよく、さらには孔部22を囲むように微多孔膜1の一部を保持してもよい。
支持部30は、テーブル20の上方において支柱Mの上部で支持される。支持部30は、支柱Mを軸として(Z方向の軸周りに)回転可能に支持される。支持部30は、回転駆動部40の駆動力により回転する。回転駆動部40としては、例えば電動モータ等が用いられる。なお、回転駆動部40を備えるか否かは任意であり、回転駆動部40はなくてもよい。回転駆動部40がないものでは、作業者による手作業で支持部30を回転させてもよい。支持部30は、支柱Mから-Y方向に延びる部分と、+X方向に延びる部分とを有するL状に形成される。なお、支持部30の形状は、任意に設定可能である。
支持部30は、-Y方向に延びる部分の下面に、棒状体2を着脱(装着及び取り外し)可能なホルダ31を備える。ホルダ31は、棒状体2の先端部を下方に向けた状態で垂直に保持する。また、ホルダ31は、棒状体2の下方に孔部22が配置するように位置決めされる。ホルダ31は、支持部30に対してZ方向を軸として回転可能に設けられてもよい。例えば、棒状体2の先端が四角錐形状の場合、ホルダ31をZ方向を軸として回転させることにより、棒状体2先端の角部の方向を微多孔膜1のMD方向またはTD方向(従って載置部21上におけるX-Y平面上の任意の方向)に容易に揃えることが可能となる。なお、ホルダ31の回転は不図示の駆動装置によって行ってもよく、また作業者が手作業で行ってもよい。
ホルダ31に保持された棒状体2は、突刺駆動部50の駆動力によりZ方向に昇降する。突刺駆動部50は、例えば電動モータを用いたボールねじ機構、あるいは電動モータを用いたラックアンドピニオン機構、油圧または空圧シリンダ機構、リニアモータなど、各種機構が適用可能である。棒状体2の下降速度や突刺し荷重は突刺駆動部50を調整することにより任意に設定可能である。また、突刺駆動部50は、棒状体2を微多孔膜1に突刺す際の最大荷重等を検出するセンサを備えてもよい。
なお、突刺駆動部50は、棒状体2を昇降させることに代えて、テーブル20を昇降させてもよく、また、棒状体2及びテーブル20の双方を昇降させてもよい。なお、突刺駆動部50を備えるか否かは任意であり、突刺駆動部50はなくてもよい。突刺駆動部50がないものでは、作業者による手作業で支持部30またはテーブル20を昇降させてもよい。
支持部30において、支柱Mから+X方向に延びる部分の下面には撮像部60が配置される。撮像部60は、撮像光学系と、CCDやCMOSなどのイメージセンサとを備え、回転駆動部40により撮像部60が載置部21の上方側に位置するように旋回すると、テーブル20の載置部21における孔部22を含めた近傍を撮像可能である。支柱Mから撮像部60(撮像光学系の光軸)までの距離は、支柱Mから棒状体2(棒状体2の中心軸)までの距離とほぼ同一となるように設定されている。従って、回転駆動部40を駆動して支持部30を回転することにより、テーブル20の孔部22の上方に棒状体2または撮像部60のいずれかを配置することができる。
なお、支持部30の回転位置は、例えば、接触タイプまたは非接触タイプのリミットスイッチにより設定可能である。また、リミットスイッチを用いることに代えて、支持部30の回転量をエンコーダにより計測して支持部30の回転位置を設定してもよく、また、電動モータの駆動軸等が回転した数により支持部30の回転位置を設定してもよい。なお、上記した回転駆動部40及び突刺駆動部50の動作は、不図示の制御装置によって制御されてもよく、また、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。
撮像部60は、例えば、オートフォーカス機構を備え、明るさ・コントラスト・ISO感度などの撮像条件を設定可能である。撮像部60は、判定部70と電気的に接続される。判定部70は、画像処理部71及び演算処理部72を備える。判定部70は、例えば、中央演算処理装置(CPU)や、記憶装置等を含んで構成される。記憶装置には、例えば、各種処理を実行可能なプログラム等が格納されている。なお、判定部70は、評価装置100に搭載されず、例えば、評価装置100に接続されたパーソナルコンピュータであってもよい。この場合、撮像部60の画像データをパーソナルコンピュータに取り込むことにより後の処理を実行する。
画像処理部71は、撮像部60により撮像した画像データを処理する。画像処理部71は、例えば、微多孔膜1において棒状体2の突刺し跡の画像データから所定方向(例えばX方向及びY方向)の突刺し跡長さを2値化処理、エッジ検出処理、またはパターンマッチング処理等により算出する。演算処理部72は、突刺し跡長さから棒状体2の直径を引いた亀裂長さを求め、棒状体2の直径に対する亀裂長さの割合(%)を算出する。さらに、演算処理部72は、棒状体2の直径に対する亀裂長さの割合(%)を、予め設定した閾値と比較して閾値を超える場合は不良、閾値を超えない場合は良の判定を行う。判定結果は、ディスプレイ等の不図示の表示装置に表示させてもよい。また、閾値等の設定にキーボードやマウス、タッチパッド等の不図示の入力装置が使用されてもよい。
以上のように構成された評価装置100の動作について説明する。図10は、評価装置100の動作を示す図である。図10は、-Y方向から見た評価装置100の縦断面図である。先ず、テーブル20の載置部21に微多孔膜1を載せ、押さえ部材23により微多孔膜1をテーブル20上に保持する。続いて、回転駆動部40を駆動して支持部30を回転させ、孔部22の上方に棒状体2を配置する。次いで、図10(A)に示すように、突刺駆動部50を駆動して棒状体2を下降させ、微多孔膜1の一部を棒状体2により突刺す。なお、棒状体2の先端は微多孔膜1を突き抜けて孔部22に挿入した状態となる。
次に、突刺駆動部50を駆動して棒状体2を上昇させた後、回転駆動部40を駆動して支持部30を回転させ、図10(B)に示すように、孔部22の上方に撮像部60を配置する。続いて、撮像部60により微多孔膜1の突刺し跡を撮像する。撮像部60により撮像した画像データは、判定部70により処理され、亀裂長さが棒状体2の直径に対して何%かを算出して閾値と比較し、良否判定を行う。なお、判定部70による判定結果は、不図示のディスプレイ等により表示してもよいし、記憶装置に保存してもよい。
このように、本実施形態の評価装置100によれば、微多孔膜1の釘刺し耐性を容易に評価することができる。なお、上記した評価装置100は、支持部30が回転して棒状体2と撮像部60とのいずれか一方を選択的に孔部22の上方に配置しているが、この構成に限定されない。例えば、支持部30は回転せずに棒状体2を備え、撮像部60は孔部22の上方から外れて配置され、斜め上方から孔部22近傍を撮像するものでもよい。
図11(A)及び(B)は、他の実施形態に係る評価装置200の一例を示す図である。なお、本実施形態において、先に説明した実施形態と同一の構成を有するものは同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。図11(A)及び(B)に示すように、評価装置200は、テーブル20A、支持部30A、及びスライド駆動部90を備える。テーブル20Aは、不図示のフレームにより保持されている。
また、テーブル20Aの載置部21は、複数の(この例では3つの)孔部22A~22Cを備え、各孔部22A~22Cを挟んで押さえ部材23A~23Cが設けられる。孔部22A~22C、及び押さえ部材23A~23Cのそれぞれは、図9に示す孔部22、押さえ部材23と同様である。各孔部22A~22Cは、横並びに(X方向に)互いに距離Lの離間間隔にて配置されている。
支持部30Aは、フレーム80に設けられた横方向(X方向)に延びるガイド81に沿って移動可能に設けられる。支持部30Aの下面において-X側には、ホルダ31を介して棒状体2が保持される。支持部30Aの下面の+X側には、撮像部60が配置される。棒状体2と撮像部60とは、X方向に並んだ状態で、距離Lの間隔で配置される。
スライド駆動部90は、支持部30Aをガイド81に沿って移動させる。スライド駆動部90は、電動モータ用いたボールねじ機構、または電動モータを用いたラックアンドピニオン機構、リニアモータ、油圧または空圧のシリンダ機構等が用いられる。支持部30の移動位置は、例えばエンコーダ等により管理される。なお、スライド駆動部90の動作は不図示の制御装置が制御してもよく、また作業者がマニュアル操作により行ってもよい。
以上のように構成された評価装置200の動作について説明する。先ず、テーブル20Aの載置部21に微多孔膜1を載せ、押さえ部材23A~23Cにより微多孔膜1をテーブル20上に保持する。すなわち、これら押さえ部材23A~23Cにより一枚の(共通の)微多孔膜1が保持されるように、横方向(X方向)に延びる微多孔膜1を載置部21に載せて、押さえ部材23A~23Cを介して各孔部22A~22Cの上方領域に当該一枚の微多孔膜1を位置させる。続いて、スライド駆動部90を駆動して支持部30Aを移動させ、孔部22Aの上方に棒状体2を配置する。次いで、突刺駆動部50を駆動して棒状体2を下降させ、微多孔膜1の一部を棒状体2により突刺す。なお、棒状体2の先端は微多孔膜1を突き抜けて孔部22Aに挿入した状態となる。なお、棒状体2は、棒状体2Bと同一の形状を有してもよく、他の形状を有してもよいが、上述したように棒状体2Cは適切ではない。
次に、突刺駆動部50を駆動して棒状体2を上昇させた後、スライド駆動部90を駆動して支持部30Aを距離Lだけ-X方向に移動させる。これにより、棒状体2は隣の孔部22Bの上方に位置するとともに、撮像部60は孔部22Aの上方に位置する。この状態で撮像部60は孔部22A上の微多孔膜1における突刺し跡を撮像する。なお、撮像部60による撮像の前または撮像中、撮像後のいずれかのタイミングで突刺駆動部50を駆動し、孔部22B上の微多孔膜1に対して棒状体2を突刺す。
次に、棒状体2を上昇させた後、スライド駆動部90を駆動して支持部30Aを距離Lだけ-X方向に移動させる。これにより、棒状体2は隣の孔部22Cの上方に位置するとともに、撮像部60は孔部22Bの上方に位置する。その後、棒状体2の動作や撮像部60の動作は上記と同様である。次に、棒状体2を上昇させた後、スライド駆動部90を駆動して支持部30Aを距離Lだけ-X方向に移動させる。これにより、撮像部60は孔部22Cの上方に位置する。その後、撮像部60の動作は上記と同様である。
図11(A)及び(B)において判定部70は省略しているが、判定部70は、3つの突刺し跡の画像データからそれぞれ所定方向(例えばX方向及びY方向)の突刺し跡長さを計測する。また、判定部70は、これらの突刺し跡長さの最大値を用いて判定を行ってもよく、また、突刺し跡長さの平均値を用いて判定を行ってもよい。なお、上記した一連の動作は、例えば、不図示の制御装置により制御されて自動的に行ってもよく、また、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。
このように、本実施形態の評価装置200によれば、上記した評価装置100と同様に微多孔膜1の釘刺し耐性を容易に評価することができる。また、評価装置200は、微多孔膜1の複数個所に対して棒状体2を突刺した結果を用いて判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。なお、上記した評価装置200は、微多孔膜1の3カ所に棒状体2を突刺すが、これに限定されず、微多孔膜1の2カ所または4カ所以上を突刺すように構成してもよい。
図12は、他の実施形態に係る評価装置300の一例を示す図である。なお、本実施形態において、先に説明した実施形態と同一の構成を有するものは同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。図12に示すように、評価装置300は、複数(この例では3つ)のホルダ31A~31C、及び支持部30Bを備える。支持部30Bは、横方向(X方向)に延びるガイド81に沿って移動可能に設けられ、スライド駆動部90の駆動力によってX方向に移動する。支持部30Bの下面において-X側には、3つのホルダ31A~31Cを介してそれぞれ棒状体2が保持される。支持部30Bの下面の+X側には、撮像部60が配置される。なお、棒状体2は、棒状体2Bと同一の形状を有してもよく、他の形状を有してもよいが、上述したように棒状体2Cは適切ではない。
ホルダ31A~31CはX方向に並んで、例えば距離Lの間隔で配置される。これにより複数の棒状体2は、X方向に並んで距離Lの間隔で配置される。また、+X側の棒状体2と撮像部60とは、X方向に並んだ状態で、例えば距離Lの間隔で配置される。また、突刺駆動部50は、各ホルダ31A~31Cの棒状体2を昇降させる。なお、各ホルダ31A~31Cに保持する棒状体2は、同一のものでもよく、また、異なるものでもよい。
以上のように構成された評価装置300の動作について図13を用いて説明する。図13は、-Y方向から見た評価装置300の縦断面図である。先ず、テーブル20Aの載置部21に微多孔膜1を載せ、押さえ部材23A~23Cにより微多孔膜1をテーブル20上に保持する。すなわち、これら押さえ部材23A~23Cにより一枚の(共通の)微多孔膜1が保持されるように、横方向(X方向)に延びる微多孔膜1を載置部21に載せて、押さえ部材23A~23Cを介して各孔部22A~22Cの上方領域に当該一枚の微多孔膜1を位置させる。続いて、スライド駆動部90を駆動して支持部30Bを移動させ、各孔部22A~22Cの上方にそれぞれ棒状体2を配置する。次いで、突刺駆動部50を駆動して各棒状体2を下降させ、図13(A)に示すように、微多孔膜1の一部を棒状体2により突刺す。棒状体2の下降は、同時でもよく、また、例えば+X側の棒状体2から順番に行ってもよい。
次に、突刺駆動部50を駆動して各棒状体2を上昇させた後、図13(B)に示すように、スライド駆動部90を駆動して支持部30Bを距離Lだけ-X方向に移動させる。これにより、撮像部60は孔部22Aの上方に位置する。この状態で撮像部60は孔部22A上の微多孔膜1における突刺し跡を撮像する。続いて、スライド駆動部90を駆動して支持部30Bを距離Lだけ-X方向に移動させる。これにより、撮像部60は孔部22Bの上方に位置し、孔部22B上の微多孔膜1における突刺し跡を撮像する。続いて、スライド駆動部90を駆動して支持部30Bを距離Lだけ-X方向に移動させる。これにより、撮像部60は孔部22Cの上方に位置し、孔部22C上の微多孔膜1における突刺し跡を撮像する。
判定部70は、図11の評価装置200と同様に、3つの突刺し跡の画像データからそれぞれ突刺し跡長さを計測する。また、判定部70は、これらの突刺し跡長さの最大値を用いて判定を行ってもよく、また、突刺し跡長さの平均値を用いて判定を行ってもよい。なお、上記した一連の動作は、例えば、不図示の制御装置により制御されて自動的に行ってもよく、また、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。
このように、本実施形態の評価装置300によれば、上記した評価装置100と同様に微多孔膜1の釘刺し耐性を容易に評価することができる。また、評価装置300は、微多孔膜1の複数個所に対して棒状体2を突刺した結果を用いて判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。また、複数の棒状体2を用いるので微多孔膜1に対する複数個所の突刺し動作を早期に行うことができる。
なお、上記した評価装置300は、微多孔膜1の3カ所に対して棒状体2を突刺すが、これに限定されず、微多孔膜1の2カ所または4カ所以上を突刺すように構成してもよい。また、撮像部60は1つに限定するものではなく、例えば、棒状体2と同数の3つをX方向に並べて距離Lの間隔で支持部3Bに配置してもよい。これにより、複数の棒状体2による突刺し跡を複数の撮像部60で同時に撮像することができ、早期の判定を行うことができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定され
るものではない。
るものではない。
1.測定方法と評価方法
[膜厚](μm)
微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック)により測定し、平均値を求めた。
[空孔率](%)
微多孔膜の体積V1(cm3)とそれと等価な空孔のない微多孔膜の体積V2(cm3)とを比較した、以下の式によって、測定した。
空孔率(%)=(V2-V1)/V2×100・・・(1)
ここで、V1=微多孔膜の重量w1(g)/樹脂の密度ρ(g/cm3)
[平均流量径]
パームポロメーター(PMI社製、CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定した。Wet-upには表面張力が既知のPMI社製Galwick(商品名)で十分に浸した微多孔膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径を最大孔径とした。平均流量径については、Dry-up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet-up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P
(上記式中、「d(μm)」は微多孔膜の孔径、「γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数とした。
[ガーレー値](透気抵抗度)(sec/100cm3/16μm)
膜厚T1(μm)の微多孔膜に対して、JIS P-8117に準拠して、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)で測定した(sec/100cm3)。
[引張強度]
各方向に対応する引張強度については、幅10mmの短冊状試験片を用いて、ASTM D882に準拠した方法により測定した。
[突刺強度]
先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T1(μm)の微多孔膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を測定した。
[105℃熱収縮率]
試験片を105℃の温度にて8時間熱処理し、熱処理前の各方向の試験片の大きさ(L1)と熱処理後の試験片の各方向の大きさ(L2)とを測定し、各方向において、L1を100%としたときの、L2の収縮率を式:[100-(L2/L1)×100](%)により算出した。
[重量平均分子量(Mw)及び重量平均分子量分布(MwD)]
UHMWPE及びHDPEのMwは以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC-150C
・カラム:昭和電工株式会社製Shodex UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):o-ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0 ml/分
・試料濃度:0.1 wt%(溶解条件:135℃/1h)
・インジェクション量:500μl
・検出器:Waters Corporation製ディファレンシャルリフラクトメーター(RI検出器)
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作成した。
・用いた釘
棒状体は、図2(a)で示した形状(先端角度30°)で当該棒状部2aの径は3mm若しくは8mm、若しくは図2(b)で示した形状(先端角度30°)で当該棒状部2bの径は8mmのSUS303製を用いた。
・用いた突刺し条件
前述の突刺し強度計を用い23~25℃の室温で2mm/秒で突き刺した。
・亀裂の長さの測定方法
CCDカメラで突刺し跡を撮影し、その画像データをコンピュータに取り込み、突刺し跡長さを計測し、それから当該棒状部2a若しくは2bの径を差し引いた。
[突刺し後の高温処理]
・高温処理条件
試験片を紙枠で四辺を両面テープとクリップで固定し、145℃のオーブンに入れた(30分)。
・穴の測定方法
室温でCCDカメラで突刺し跡を撮影し、その画像データをコンピュータに取り込み、突刺し跡長さを計測し、それから当該棒状部2a若しくは2bの径を差し引いた。
[エネルギー放出量]
(ラミネート型電池の作製)
・用いた材料、電池の作製方法
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、正極導電助剤としてアセチレンブラック、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデンを重量比で92:4:4、プラネタリーミキサーを用いてN-メチル-2-ピロリドン中に分散させた正極スラリーを、アルミ箔上に両面塗布、乾燥、圧延して、正極シートを作製した。
負極活物質として天然黒鉛、負極導電助剤としてアセチレンブラック、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース、負極結着剤としてスチレン-ブタジエン共重合体を重量比で95:1:4、プラネタリーミキサーを用いて水中に分散させた負極スラリーを、銅箔上に両面塗布、乾燥、圧延して負極シートを作製した。
電解液は、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=4:6(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を1モル/Lとなるように溶解させた溶液を用いた。
上記のように作製した正極シートを10cm×20cmに切り出し、このうち、一辺10cm×1.5cmはタブを接続するための未塗布部であり、正極塗布部は10cm×18.5cmである。幅30mm、長さ3cm、厚み0.2mmのアルミ製の正極タブは、正極未塗布部に長さ1cmで超音波溶接した。
同様に、負極シートは、10.5cm×20.5cmに切り出し、このうち、一辺10cm×1.5cmはタブを接続するための未塗工部であり、負極塗布部は10cm×19cmである。タブと同サイズの銅製の負極タブは、負極未塗布部に超音波溶接した。
セパレータは、10.6cm×20.8cmの形状を、30枚分を、山折り、谷折りの繰り返し構造となるように折り返してつづら折り状にする。セパレータの両面に上記負極と正極を塗布部がセパレータを隔てて重ね、正極塗布部が全て負極塗布部と対向するように配置して電極群を得ることができる。この電極群を1枚の25cm×24cmのアルミラミネートフィルムに挟み込み、電極群の長辺に沿って折り、電極群の短辺2辺を熱融着し、袋状とする。ここに電解液を注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの長辺部を熱融着させてラミネート型電池とする。放電容量は約5.5Ahである。
(エネルギー放出率の測定、釘刺速度との積の計算)
・測定方法
エネルギー放出率は、電池の釘刺し試験の結果を用い求める。充電カットオフ電圧と釘刺中の電圧との差を、釘刺直後から電池の電圧が最初の極小値となる時間まで、若しくは0Vとなる時間までの積分した値VT(V・秒)を、初期放電容量Ci(A・時)で除した値(V・秒/A/時)である。この値と釘刺速度(mm/秒)の積が重要なパラメータで、請求項に記載している。
初期放電容量Ciは、前述のように作製したラミネート型電池を充放電試験機で、充電レートを0.2C、充電電圧を4.2Vで定電流-定電圧充電を行い、放電レートを0.2C、カットオフ電圧を2.7Vで、測定した。
電池の釘刺し試験は、前述のように作製したラミネート型電池を、充電レートを0.2C、充電電圧を4.0Vで定電流-定電圧モードで充電し、前述と同じ棒状体を用い、室温25℃で、80若しくは40mm/秒の速度で、ラミネート型電池の中心部に向けて垂直に突刺し貫通させ、前期の通り電池の釘刺し試験を行った直後のエネルギー放出率(VT/Ci)と釘刺速度の積(V・mm/A/時)を計算した。
[膜厚](μm)
微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック)により測定し、平均値を求めた。
[空孔率](%)
微多孔膜の体積V1(cm3)とそれと等価な空孔のない微多孔膜の体積V2(cm3)とを比較した、以下の式によって、測定した。
空孔率(%)=(V2-V1)/V2×100・・・(1)
ここで、V1=微多孔膜の重量w1(g)/樹脂の密度ρ(g/cm3)
[平均流量径]
パームポロメーター(PMI社製、CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定した。Wet-upには表面張力が既知のPMI社製Galwick(商品名)で十分に浸した微多孔膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径を最大孔径とした。平均流量径については、Dry-up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet-up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P
(上記式中、「d(μm)」は微多孔膜の孔径、「γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数とした。
[ガーレー値](透気抵抗度)(sec/100cm3/16μm)
膜厚T1(μm)の微多孔膜に対して、JIS P-8117に準拠して、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)で測定した(sec/100cm3)。
[引張強度]
各方向に対応する引張強度については、幅10mmの短冊状試験片を用いて、ASTM D882に準拠した方法により測定した。
[突刺強度]
先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T1(μm)の微多孔膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を測定した。
[105℃熱収縮率]
試験片を105℃の温度にて8時間熱処理し、熱処理前の各方向の試験片の大きさ(L1)と熱処理後の試験片の各方向の大きさ(L2)とを測定し、各方向において、L1を100%としたときの、L2の収縮率を式:[100-(L2/L1)×100](%)により算出した。
[重量平均分子量(Mw)及び重量平均分子量分布(MwD)]
UHMWPE及びHDPEのMwは以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC-150C
・カラム:昭和電工株式会社製Shodex UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):o-ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0 ml/分
・試料濃度:0.1 wt%(溶解条件:135℃/1h)
・インジェクション量:500μl
・検出器:Waters Corporation製ディファレンシャルリフラクトメーター(RI検出器)
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作成した。
・用いた釘
棒状体は、図2(a)で示した形状(先端角度30°)で当該棒状部2aの径は3mm若しくは8mm、若しくは図2(b)で示した形状(先端角度30°)で当該棒状部2bの径は8mmのSUS303製を用いた。
・用いた突刺し条件
前述の突刺し強度計を用い23~25℃の室温で2mm/秒で突き刺した。
・亀裂の長さの測定方法
CCDカメラで突刺し跡を撮影し、その画像データをコンピュータに取り込み、突刺し跡長さを計測し、それから当該棒状部2a若しくは2bの径を差し引いた。
[突刺し後の高温処理]
・高温処理条件
試験片を紙枠で四辺を両面テープとクリップで固定し、145℃のオーブンに入れた(30分)。
・穴の測定方法
室温でCCDカメラで突刺し跡を撮影し、その画像データをコンピュータに取り込み、突刺し跡長さを計測し、それから当該棒状部2a若しくは2bの径を差し引いた。
[エネルギー放出量]
(ラミネート型電池の作製)
・用いた材料、電池の作製方法
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、正極導電助剤としてアセチレンブラック、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデンを重量比で92:4:4、プラネタリーミキサーを用いてN-メチル-2-ピロリドン中に分散させた正極スラリーを、アルミ箔上に両面塗布、乾燥、圧延して、正極シートを作製した。
負極活物質として天然黒鉛、負極導電助剤としてアセチレンブラック、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース、負極結着剤としてスチレン-ブタジエン共重合体を重量比で95:1:4、プラネタリーミキサーを用いて水中に分散させた負極スラリーを、銅箔上に両面塗布、乾燥、圧延して負極シートを作製した。
電解液は、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=4:6(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を1モル/Lとなるように溶解させた溶液を用いた。
上記のように作製した正極シートを10cm×20cmに切り出し、このうち、一辺10cm×1.5cmはタブを接続するための未塗布部であり、正極塗布部は10cm×18.5cmである。幅30mm、長さ3cm、厚み0.2mmのアルミ製の正極タブは、正極未塗布部に長さ1cmで超音波溶接した。
同様に、負極シートは、10.5cm×20.5cmに切り出し、このうち、一辺10cm×1.5cmはタブを接続するための未塗工部であり、負極塗布部は10cm×19cmである。タブと同サイズの銅製の負極タブは、負極未塗布部に超音波溶接した。
セパレータは、10.6cm×20.8cmの形状を、30枚分を、山折り、谷折りの繰り返し構造となるように折り返してつづら折り状にする。セパレータの両面に上記負極と正極を塗布部がセパレータを隔てて重ね、正極塗布部が全て負極塗布部と対向するように配置して電極群を得ることができる。この電極群を1枚の25cm×24cmのアルミラミネートフィルムに挟み込み、電極群の長辺に沿って折り、電極群の短辺2辺を熱融着し、袋状とする。ここに電解液を注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの長辺部を熱融着させてラミネート型電池とする。放電容量は約5.5Ahである。
(エネルギー放出率の測定、釘刺速度との積の計算)
・測定方法
エネルギー放出率は、電池の釘刺し試験の結果を用い求める。充電カットオフ電圧と釘刺中の電圧との差を、釘刺直後から電池の電圧が最初の極小値となる時間まで、若しくは0Vとなる時間までの積分した値VT(V・秒)を、初期放電容量Ci(A・時)で除した値(V・秒/A/時)である。この値と釘刺速度(mm/秒)の積が重要なパラメータで、請求項に記載している。
初期放電容量Ciは、前述のように作製したラミネート型電池を充放電試験機で、充電レートを0.2C、充電電圧を4.2Vで定電流-定電圧充電を行い、放電レートを0.2C、カットオフ電圧を2.7Vで、測定した。
電池の釘刺し試験は、前述のように作製したラミネート型電池を、充電レートを0.2C、充電電圧を4.0Vで定電流-定電圧モードで充電し、前述と同じ棒状体を用い、室温25℃で、80若しくは40mm/秒の速度で、ラミネート型電池の中心部に向けて垂直に突刺し貫通させ、前期の通り電池の釘刺し試験を行った直後のエネルギー放出率(VT/Ci)と釘刺速度の積(V・mm/A/時)を計算した。
(実施例)
実施例1~5は、表1に示す組成で高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとを二軸押出機にて、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。ポリオレフィン樹脂溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押し出した。押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ゲル状シートを、テンター延伸機により110~125℃でMD方向及びTD方向ともに5倍以上9倍以下で同時二軸延伸又は逐次二軸延伸した。延伸ゲル状シートを25℃の塩化メチレン浴中に浸漬し、流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥膜を、テンター方式延伸機を用いて、110~133℃でTD方向に1.0倍以上1.8倍以下で再延伸した。次に、この膜を、テンター方式延伸機を用いて、120~133℃で熱固定処理を行った。作成したポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、評価結果等を表1に記載した。
実施例1~5は、表1に示す組成で高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとを二軸押出機にて、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。ポリオレフィン樹脂溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押し出した。押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ゲル状シートを、テンター延伸機により110~125℃でMD方向及びTD方向ともに5倍以上9倍以下で同時二軸延伸又は逐次二軸延伸した。延伸ゲル状シートを25℃の塩化メチレン浴中に浸漬し、流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥膜を、テンター方式延伸機を用いて、110~133℃でTD方向に1.0倍以上1.8倍以下で再延伸した。次に、この膜を、テンター方式延伸機を用いて、120~133℃で熱固定処理を行った。作成したポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、評価結果等を表1に記載した。
(比較例)
比較例1及び比較例2は、表1に示す組成で高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとを二軸押出機にて、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。ポリオレフィン樹脂溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押し出した。押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ゲル状シートを、テンター延伸機により110~125℃でMD方向及びTD方向ともに5倍以上9倍以下で同時二軸延伸又は逐次二軸延伸した。延伸ゲル状シートを、25℃の塩化メチレン浴中に浸漬し、流動パラフィンを抽出除去し、室温で風乾し、乾燥膜を得た。乾燥膜を、バッチ式延伸機を用いて、110~133℃でTD方向に1.0倍以上1.8倍以下で延伸した。次に、この膜をテンター法により、120~133℃で熱固定処理を行った。作成したポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、評価結果等を表1に記載した。
比較例1及び比較例2は、表1に示す組成で高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとを二軸押出機にて、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。ポリオレフィン樹脂溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押し出した。押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ゲル状シートを、テンター延伸機により110~125℃でMD方向及びTD方向ともに5倍以上9倍以下で同時二軸延伸又は逐次二軸延伸した。延伸ゲル状シートを、25℃の塩化メチレン浴中に浸漬し、流動パラフィンを抽出除去し、室温で風乾し、乾燥膜を得た。乾燥膜を、バッチ式延伸機を用いて、110~133℃でTD方向に1.0倍以上1.8倍以下で延伸した。次に、この膜をテンター法により、120~133℃で熱固定処理を行った。作成したポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、評価結果等を表1に記載した。
比較例3及び比較例4は、ポリプロピレン樹脂を用いてMD方向に一軸延伸を行った微多孔膜からなる市販品を用いた。比較例3と4の評価結果等を表1に記載した。
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、日本国特許出願である特願2017-073109、及び上述の実施形態などで引用した全ての文献、の内容を援用して本文の記載の一部とする。
1……微多孔膜、2、2A、2B……棒状体、2a、2b……棒状部(棒状体)、3a、3b……先端部(棒状体)、4……亀裂、10……ラミネート型電池、20……テーブル、50……突刺駆動部、60……撮像部、70……判定部、100、200、300……評価装置
Claims (14)
- 棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を順次縮小して尖った先端部をなす棒状体を、所定の条件で、膜に対して前記棒状体の長さ方向に前記先端部から突刺し、前記棒状体の外周形状に対応する穴を当該膜に形成した場合に、前記穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さが、前記穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下ある、微多孔膜。
- 前記膜の少なくとも一方の表面にアルミニウム箔又は銅箔を積層した場合に、前記亀裂の最大長さが、前記穴の面方向の長さに対して0%以上20%以下である、請求項1に記載の微多孔膜。
- 前記膜に突刺される前記棒状体の前記先端部が四角錐形状である、請求項1又は請求項2に記載の微多孔膜。
- 前記膜の複数個所に前記棒状体の前記先端部を突刺して複数の前記穴を形成した場合に、複数の前記穴からそれぞれ生じる亀裂のうちの最大長さが、前記穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下であり、
複数の前記穴は、前記膜に前記棒状体の前記先端部を突刺した後、前記膜に対して、前記棒状体の長さ方向と平行な軸周りに前記棒状体を相対的に回転させた後に前記棒状体の前記先端部を突刺して形成される、請求項3に記載の微多孔膜。 - 前記膜は、0.01mm/秒以上200mm/秒以下の範囲の速度で前記膜に向けて移動する前記棒状体の前記先端部により突刺される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の微多孔膜。
- 前記棒状体の前記先端部を突刺した後の前記膜を145℃に30分加熱したときにおける、前記穴と前記亀裂とからなる刺し跡の最大径と、前記突刺し跡の最小径との差が25%以下である、請求項1に記載の微多孔膜。
- 前記微多孔膜を用いて、所定のラミネート型電池を作製し、電池の釘刺し試験を行った直後のエネルギー放出率VT/Ci(V・秒/A/時))と釘刺速度(mm/秒)の積が7(V・mm/A/時)以下である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の微多孔膜。
- 請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の微多孔膜の製造方法であって、
樹脂と溶剤とを溶融混練して樹脂溶液を調製することと、
前記樹脂溶液を押出すると共に冷却してゲル状シートを形成することと、
前記ゲル状シートを延伸することと、
前記延伸後のゲル状シートから前記溶剤を抽出除去してフィルムとすることと、
前記フィルムを乾燥することと、
前記乾燥後のフィルムを熱固定することと、を含む、微多孔膜の製造方法。 - 正極と、負極と、セパレータと、電解液と、を備える電池であって、前記セパレータは、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の微多孔膜を用いる、電池。
- 棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を順次縮小して尖った先端部をなす棒状体を、所定の条件で、膜に対して前記棒状体の長さ方向に前記先端部から突刺し、前記棒状体の外周形状に対応する穴を形成することと、
前記穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さを計測することと、
計測された前記亀裂の最大長さから、前記微多孔膜を電池に組み込んだ際の前記電池の特性を判定することと、を含む、微多孔膜の評価方法。 - 計測された前記亀裂の最大長さが、前記穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下であるかによって内部短絡時の前記電池の状態を評価する、請求項10に記載の微多孔膜の評価方法。
- 樹脂と溶剤とを溶融混練して樹脂溶液を調製することと、
前記樹脂溶液を押出すると共に冷却してゲル状シートを形成することと、
前記ゲル状シートを延伸することと、
前記延伸後のゲル状シートから前記溶剤を抽出除去してフィルムとすることと、
前記フィルムを乾燥することと、
前記乾燥後のフィルムを熱固定することと、
前記熱固定したフィルムから切り取られた一部に対して、棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を縮小して先端部をなす棒状体を、所定の条件で、前記棒状体の長さ方向に前記先端部から突刺し、前記棒状体の外周形状に対応する穴を形成することと、
前記穴を超えて面方向に生じる亀裂の最大長さを計測することと、
計測された前記亀裂の最大長さから、前記微多孔膜を電池に組み込んだ際の内部短絡時の前記電池の状態を判定することと、
得られた判定結果に基づいて微多孔膜を選択すること、を含む、微多孔膜の製造方法。 - 計測された前記亀裂の最大長さが、前記穴の面方向の長さに対して0%以上18%以下であるかによって前記電池の状態を判定する、請求項12に記載の微多孔膜の製造方法。
- 微多孔膜を保持するテーブルと、
棒状に延びると共に一方の端部に向かうにつれて長さ方向に直交する断面を縮小して先端部をなす棒状体と、
前記テーブルに保持された前記微多孔膜に前記棒状体の前記先端部を突刺すための突刺駆動部と、
前記棒状体の前記先端部により形成された穴を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果から、前記微多孔膜を電池に組み込んだ際の内部短絡時の前記電池の状態を判定する判定部と、を備える、評価装置。
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