WO2018163260A1

WO2018163260A1 - 端子挿入装置、ワイヤハーネスの製造方法

Info

Publication number: WO2018163260A1
Application number: PCT/JP2017/008856
Authority: WO
Inventors: 成次堀野; 幸喜高橋; 慎也本田; 悟太田; 真一安部
Original assignee: 株式会社フジクラ
Priority date: 2017-03-06
Filing date: 2017-03-06
Publication date: 2018-09-13

Abstract

先端が、第１端子を有する第１端末部（２１）及び第２端子を有する第２端末部（２２）を含む複数の端末部に分岐した端子付き電線（２０）の、前記第１端末部の電線部分を把持して前記第１端子をコネクタの第１端子収容孔に挿入する第１電線把持部（１１ｂ）を有する第１挿入機構と、前記第２端子を前記コネクタの第２端子収容孔の開口に位置決めする第２位置決め部（１２ａ）と、前記第２端末部の電線部分を把持して前記コネクタに向かって前進移動することにより前記第２端子を前記第２端子収容孔の端子収容位置まで押し込む第２電線把持部（１２ｂ）とを有する第２挿入機構と、第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置(図示位置)と、前記第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置とに調整する電線把持位置調整機構とを備え、前記第１挿入機構は、前記第２電線把持部が前記第１把持位置を把持した状態で前記第１端子を前記第１端子収容孔に挿入し、前記第２挿入機構は、前記第２電線把持部が前記第２把持位置を把持した状態で前記第２端子を前記第２端子収容孔に挿入する。

Description

端子挿入装置、ワイヤハーネスの製造方法

　本発明は、ツイスト線やチューブドワイヤなど先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をそれぞれコネクタに挿入する端子挿入装置、および各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入するワイヤハーネスの製造方法に関する。

　従来、端子付き電線の端子をコネクタに挿入する端子挿入装置として、電線の先端領域（端末部）の電線部分を把持する電線把持部をコネクタに向かって前進移動させることにより、端末部に接続された端子をコネクタの端子収容孔に挿入する端子挿入装置が知られている（例えば、特許文献１を参照）。このような端子挿入装置では、電線把持部の前進移動によって、端子収容孔の端子収容位置（例えば、端子が端子収容孔内のランスに係止される位置）まで確実に端子が押し込まれるようにするため、電線把持部は端子から十分に離間した位置を把持する。

　一方、端子付き電線として、２本の電線が撚られたツイスト線や、複数の電線がシースで被覆されたチューブドワイヤなど、先端が複数の端末部に分岐した集合電線の各端末部にそれぞれ端子が接続された端子付き電線が知られている。このような先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端子をコネクタに挿入してワイヤハーネスを製造する場合、従来の端子挿入装置によって各端子をコネクタに順次挿入するのが困難な場合がある。

　例えば、従来の端子挿入装置によって、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部の各端子をコネクタに順次挿入する場合、端子付き電線の各端末部は、端子挿入装置が備える複数の電線把持部にそれぞれ把持される。このような端子付き電線では、各端末部が電線分岐部で繋がっているため、一の電線把持部の前進移動許容範囲が、他の電線把持部の配置位置や、各端末部の電線部分の電線長によって制限される。
　このため、電線把持部が前進移動するとき、電線把持部の移動範囲が制限されて端末部の端子をコネクタに確実に挿入できなかったり、電線把持部で把持された端末部が引っ張られて破断する可能性があった。なお、端子付き電線の各端末部の電線長を大きくすることで電線把持部の前進移動の許容範囲を大きくすることができるが、この場合、端末部が周囲の部品などに引っ掛かるなどして電線が破断する可能性がある。

日本国特開２００９－１５２１０７号公報

　本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入する端子挿入装置を提供することを第１の目的とする。
　また、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入してワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造方法を提供することを第２の目的とする。

　本発明の一態様に係る端子挿入装置は、先端が、第１端子を有する第１端末部及び第２端子を有する第２端末部を含む複数の端末部に分岐した端子付き電線の前記第１及び第２端子をコネクタの第１及び第２端子収容孔に順次挿入する端子挿入装置であって、前記第１端子を前記第１端子収容孔の開口に位置決めする第１位置決め部と、前記第１端末部の電線部分を把持して前記コネクタに向かって前進移動することにより前記第１端子を前記第１端子収容孔の端子収容位置まで押し込む第１電線把持部とを有する第１挿入機構と、前記第２端子を前記第２端子収容孔の開口に位置決めする第２位置決め部と、前記第２端末部の電線部分を把持して前記コネクタに向かって前進移動することにより前記第２端子を前記第２端子収容孔の端子収容位置まで押し込む第２電線把持部とを有する第２挿入機構と、前記第２電線把持部による電線把持位置を、第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置と、前記第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置とに調整する電線把持位置調整機構と、を備え、前記第１挿入機構は、前記第２電線把持部が前記第１把持位置を把持した状態で前記第１端子を前記第１端子収容孔に挿入し、前記第２挿入機構は、前記第２電線把持部が前記第２把持位置を把持した状態で前記第２端子を前記第２端子収容孔に挿入する。

　「第２電線把持部による電線把持位置を、第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置に調整すること」とは、第２電線把持部と第２端子との間の離間距離が、第１電線把持部と第１端子との間の離間距離よりも小さくなるように、第２電線把持部による電線把持位置を調整することを意味する。また、「第２電線把持部による電線把持位置を、第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置に調整すること」とは、第２電線把持部と第２端子との間の離間距離が、第２電線把持部による第１把持位置と第２端子との間の離間距離よりも大きくなるように、第２電線把持部による電線把持位置を調整することを意味する。

　上記端子挿入装置によれば、第２電線把持部による電線把持位置を、第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置と、第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置とに調整する電線把持位置調整機構を備えている。第１挿入機構は、第２電線把持部が第１把持位置を把持した状態で第１端子をコネクタに挿入し、第２挿入機構は、第２電線把持部が第２把持位置を把持した状態で第２端子を上記コネクタに挿入する。すなわち、第１挿入機構により第１端子がコネクタに挿入されるとき、第１電線把持部は、第１電線把持部の前進移動に伴って第１端子が第１端子収容孔の端子収容位置まで押し込まれるように第１端子から十分に離間した位置を把持するのに対し、第２電線把持部は、第２端子から近い位置（第１把持位置）を把持する。これにより、電線分岐部を経由した第１電線把持部から第２電線把持部（第１把持位置）までの電線長が十分に確保され、第１電線把持部の前進移動が制限されることがない。このため、第１挿入機構により第１端子を第１端子収容孔の端子収容位置まで確実に挿入することができる。また、第２挿入機構により第２端子がコネクタに挿入されるとき、第２電線把持部による電線把持位置が第１把持位置よりも後方に変更され、第２電線把持部は、第２端子から十分に離間した位置（第２把持位置）を把持する。これにより、第２電線把持部（第２把持位置）から第２端子までの電線長が十分に確保され、第２電線把持部の前進移動に伴って第２端子を第２端子収容孔の端子収容位置まで押し込むことができる。このため、第２挿入機構により第２端子を第２端子収容孔の端子収容位置まで確実に挿入することができる。

　なお、上記端子挿入装置において、上記電線把持位置調整機構は、上記第２端末部の電線部分を把持する上記第２電線把持部を把持状態から半把持状態に切替え、上記第２電線把持部をコネクタに対して後退移動させることにより、上記第２電線把持部を上記第１把持位置から上記第２把持位置にスライド移動させ、上記第２電線把持部は、一対の把持部材を有し、一対の上記把持部材のうち少なくとも一方の把持部材の把持面は、把持状態において他方の把持部材の把持面との間に電線部分を挟み込み可能な挟持部と、半把持状態において電線部分を支持して上記第２電線把持部から電線部分が脱落するのを防止する支持部とを有していてもよい。これにより、電線部分を脱落させることなく、上記第２電線把持部による電線把持位置を上記第１把持位置から上記第２把持位置まで電線部分に沿ってスライド移動させることができる。
　また、上記端子挿入装置において、上記第１挿入機構は、上記第１端末部の電線部分を下方へ押下する押下部を有していてもよい。これにより、第１端末部の電線部分に曲り癖がついていても、上記押下部により電線部分が下方に押し下げられるので、第１電線把持部による後退移動が阻害されるのを防止することができる。

　さらに、本発明の他の態様に係るワイヤハーネスの製造方法は、先端が、第１端子を有する第１端末部及び第２端子を有する第２端末部を含む複数の端末部に分岐した電線の前記第１及び第２端子をコネクタの第１及び第２端子収容孔に挿入するワイヤハーネスの製造方法であって、前記第１端末部の電線部分を把持する第１電線把持部を前記コネクタに向かって前進移動させることにより前記第１端子を前記第１端子収容孔の端子収容位置に押し込む第１挿入工程と、前記第２端末部の電線部分を把持する第２電線把持部を前記コネクタに向かって前進移動させることにより前記第２端子を前記第２端子収容孔の端子収容位置に押し込む第２挿入工程と、を含み、前記第１挿入工程では、前記第２電線把持部による電線把持位置が、前記第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置に調整された状態で前記第１電線把持部を前進移動させて前記第１端子を前記第１端子収容孔に挿入し、前記第２挿入工程では、前記第２電線把持部による電線把持位置が変更され、前記第２電線把持部による電線把持位置が、前記第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置に調整された状態で前記第２電線把持部を前進移動させて前記第２端子を前記第２端子収容部に挿入する。

　上記ワイヤハーネスの製造方法によれば、第１挿入工程では、第２電線把持部による電線把持位置が、第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置に調整された状態で第１電線把持部を前進移動させて第１端子を第１端子収容孔に挿入し、第２挿入工程では、第２電線把持部による電線把持位置が変更され、第２電線把持部による電線把持位置が、第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置に調整された状態で第２電線把持部を前進移動させて第２端子を第２端子収容部に挿入する。すなわち、第１挿入工程において、第１電線把持部は、第１電線把持部の前進移動に伴って第１端子が第１端子収容孔の端子収容位置まで押し込まれるように第１端子から十分に離間した位置を把持するのに対し、第２電線把持部は、第２端子から近い位置（第１把持位置）を把持する。これにより、電線分岐部を経由した第１電線把持部から第２電線把持部（第１把持位置）までの電線長が十分に確保され、第１電線把持部の前進移動が制限されることがない。このため、第１端子を第１端子収容孔の端子収容位置まで確実に挿入することができる。また、第２挿入工程において、第２電線把持部による電線把持位置が第１把持位置よりも後方に変更され、第２電線把持部は、第２端子から十分に離間した位置（第２把持位置）を把持する。これにより、第２電線把持部（第２把持位置）から第２端子までの電線長が十分に確保され、第２電線把持部の前進移動に伴って第２端子を第２端子収容孔の端子収容位置まで押し込むことができる。このため、第２端子を第２端子収容孔の端子収容位置まで確実に挿入することができる。

　本発明のいくつかの態様によれば、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入する端子挿入装置を提供することができる。
　また、本発明のいくつかの態様によれば、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入してワイヤハーネスを製造することができる。

本発明の第１実施形態に係る端子挿入装置を示す図である。図１に示す端子挿入装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、第１端子がコネクタに位置決めされた状態を示す。同装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、第１端子がコネクタに挿入された状態を示す。同装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、第２端子がコネクタに位置決めされた状態を示す。同装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、第２端子がコネクタに挿入された状態を示す。同装置を用いて製造されたワイヤハーネスを示す平面図である。第２電線把持部を示す図であり、把持状態を示す。第２電線把持部を示す図であり、半把持状態を示す。第２電線把持部の変形例を示す図であり、把持状態を示す。第２電線把持部の変形例を示す図であり、半把持状態を示す。第１電線把持部の退避動作の説明図である。第１電線把持部の退避動作の説明図であり、第１電線把持部を上昇移動させた状態を示す。第１電線把持部の退避動作の説明図であり、コネクタを下降移動させた状態を示す。第１電線把持部の退避動作の説明図であり、押下部により電線部分を押下した状態を示す図である。本発明の第２実施形態に係る端子挿入装置が備えるワイパー機構を示す図である。ワイパー機構の変形例を示す図である。ワイパー機構のワイパー部材を示す図である。本発明の第３実施形態に係る端子挿入装置が備えるコネクタ回転機構を示す図である。本発明の第４実施形態に係る端子挿入装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、第１端子がコネクタに挿入された状態を示す図である。同装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、端子付き電線を移動させた状態を示す図である。同装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、コネクタを回転させた状態を示す図である。同装置を用いたワイヤハーネスの製造方法の説明図であり、第２端子がコネクタに挿入された状態を示す図である。本発明の第５実施形態に係る端子挿入装置が備える端子ガイド部材を示す平面図である。同端子ガイド部を示す側面図である。

　以下、本発明の実施形態に係る端子挿入装置、ワイヤハーネスの製造方法について、図面を参照して説明する。
　なお、本明細書では、各図に示すＸＹＺ軸座標系における、Ｘ軸方向を左右方向、Ｙ軸方向を前後方向、Ｚ軸方向を上下方向として説明する。また、Ｙ軸正方向の移動を前進移動、Ｙ軸負方向の移動を後退移動、Ｚ軸正方向の移動を上昇移動、Ｚ軸負方向の移動を下降移動として説明する。

（第１実施形態）
　本発明の第１実施形態に係る端子挿入装置１と、この端子挿入装置１を用いたワイヤハーネス２の製造方法について、図１から図７を参照して説明する。
　図１に示すように、本実施形態に係る端子挿入装置１は、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線２０の各端末部２１，２２に接続された各端子２１ａ，２２ａをコネクタ３０の各端子収容孔３１，３２に順次挿入する装置である。

　本実施形態のコネクタ３０は複数の端子収容孔を有する。具体的に、コネクタ３０は第１端子収容孔３１及び第２端子収容孔３２を有し、各端子収容孔には、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線２０の各端末部に接続された各端子２１ａ，２２ａがそれぞれ挿入される。
　なお、コネクタ３０はコネクタ支持部材（図示略）に支持されている。

　本実施形態の端子付き電線２０は、チューブドワイヤの先端が２つの端末部２１，２２に分岐し、これら２つの端末部２１，２２の先端にそれぞれ端子２１ａ，２２ａが接続されている。具体的には、２本の被覆電線がシース２４ａで被覆されたチューブドワイヤ（集合電線）の先端のシース２４ａが剥離され、シース２４ａから露出した２本の被覆電線の端末にそれぞれ端子２１ａ，２２ｂが接続されている。すなわち、チューブドワイヤの電線中間部２４は、シース２４ａで被覆されて１つに纏められ、チューブドワイヤの先端は、シース２４ａの端部（電線分岐部２３）から２本の被覆電線が露出することにより２つに分岐して２つの端末部２１，２２が形成され、各端末部２１，２２には、それぞれ端子２１ａ，２２ａが接続されている。
　なお本実施形態では、２本の被覆電線がシース２４ａで被覆されたチューブドワイヤを用いたが、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線はこれに限定されない。例えば、２本の被覆電線が撚られることにより電線中間部２４が１つに纏められ、これら被覆電線の撚りが解かれることにより先端が２つに分岐しているツイスト線を用いることができる。

　以下、端子付き電線２０の２つの端末部２１，２２のうち一方を第１端末部２１と言い、他方を第２端末部２２と言う。また、以下、第１端末部２１に接続された端子を第１端子２１ａと言い、第２端末部２２に接続された端子を第２端子２２ａと言う。

　本実施形態の端子挿入装置１は、図１に示すように、端子付き電線２０の第１端末部２１に接続された第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１に挿入する第１挿入機構１１と、端子付き電線２０の第２端末部２２に接続された第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２に挿入する第２挿入機構１２とを備える。また、端子付き電線２０の第２端末部２２の電線部分２２ｂを把持する後述の第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置を調整する電線把持位置調整機構（図示略）を備える。

　第１挿入機構１１は、第１端末部２１の第１端子２１ａを把持して第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１の開口３０ａに位置決めする第１端子把持部１１ａ（第１位置決め部）と、第１端末部２１の電線部分２１ｂを把持して第１端子２１ａを第１端子収容孔３１の端子収容位置（第１端子収容孔３１内のランスに第１端子２１ａが係止される位置））まで押し込む第１電線把持部１１ｂとを有する。
　また第２挿入機構１２は、第２端末部２２の第２端子２２ａを把持して第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２の開口３０ａに位置決めする第２端子把持部１２ａ（第２位置決め部）と、第２端末部２２の電線部分２２ｂを把持して第２端子２２ａを第２端子収容孔３２の端子収容位置（第２端子収容孔３２内のランスに第２端子２２ａが係止される位置）まで押し込む第２電線把持部１２ｂとを有する。

　第１端子把持部１１ａ、第１電線把持部１１ｂ、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂは、それぞれ一対の把持部材を有している。
　第１端子把持部１１ａ及び第２端子把持部１２ａは、端子付き電線２０の各端末部２１，２２に接続された各端子２１ａ，２２ａを、それぞれ左右から挟み込んで把持する。また、第１電線把持部１１ｂ及び第２電線把持部１２ｂの各把持部は、端子付き電線２０の各端末部２１，２２の各電線部分２１ｂ，２２ｂを、それぞれ左右から挟み込んで把持する。

　第１挿入機構１１は、第１端子把持部１１ａを左右方向（Ｘ軸方向）、前後方向（Ｙ軸方向）及び上下方向（Ｚ軸方向）に移動させる端子把持部移動機構と、第１端子把持部１１ａを構成する一対の把持部材を開閉する端子把持部開閉機構とを有する。また、第１電線把持部１１ｂを左右方向（Ｘ軸方向）、前後方向（Ｙ軸方向）及び上下方向（Ｚ軸方向）に移動させる電線把持部移動機構と、第１電線把持部１１ｂを構成する一対の把持部材を開閉する電線把持部開閉機構とを有する。
　第１挿入機構１１は、制御部からの動作指令に基づいて、端子把持部開閉機構、電線把持部開閉機構、端子把持部移動機構、及び電線把持部移動機構の駆動を制御することで、第１端子把持部１１ａ及び第１電線把持部１１ｂの各動作（開閉及び移動）を実施し、第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１に挿入する。
　なお、第１端子把持部１１ａ及び第１電線把持部１１ｂのコネクタ３０に対する前進移動や後退移動は、コネクタ３０の第１端子収容孔３１の中心軸に沿って移動する。

　第２挿入機構１２は、第２端子把持部１２ａを左右方向（Ｘ軸方向）、前後方向（Ｙ軸方向）及び上下方向（Ｚ軸方向）に移動させる端子把持部移動機構と、第２端子把持部１２ａを構成する一対の把持部材を開閉する端子把持部開閉機構とを有する。また、第２電線把持部１２ｂを左右方向（Ｘ軸方向）、前後方向（Ｙ軸方向）及び上下方向（Ｚ軸方向）に移動させる電線把持部移動機構と、第２電線把持部１２ｂを構成する一対の把持部材を開閉する電線把持部開閉機構とを有する。
　第２挿入機構１２は、制御部からの動作指令に基づいて、端子把持部開閉機構、電線把持部開閉機構、端子把持部移動機構、及び電線把持部移動機構の駆動を制御することで、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂの各動作（開閉及び移動）を実施し、第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２に挿入する。
　なお、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂのコネクタ３０に対する前進移動や後退移動は、コネクタ３０の第２端子収容孔３２の中心軸に沿って移動する。

　さらに、本実施形態の端子挿入装置１が備える電線把持位置調整機構は、第２電線把持部１２ｂを前後方向（Ｙ軸方向）に移動させる電線把持部移動機構と、第２電線把持部１２ｂを構成する一対の把持部材を開閉する電線把持部開閉機構とを有する。
　電線把持位置調整機構は、制御部からの動作指令に基づいて、電線把持部開閉機構、及び電線把持部移動機構の駆動を制御することで、第２電線把持部１２ｂの各動作（開閉及び移動）を実施し、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置を調整したり変更する。
　なお第２電線把持部１２ｂのコネクタ３０に対する前進移動や後退移動は、コネクタ３０の第２端子収容孔３２の中心軸に沿って移動する。

　図１、図２Ａ～図２Ｄに示すように、端子挿入装置１は、第１端子把持部１１ａと、第１電線把持部１１ｂと、第２端子把持部１２ａと、第２電線把持部１２ｂの各動作によって、端子付き電線２０の第１端末部２１に接続された第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１に挿入するとともに、同端子付き電線２０の第２端末部２２に接続された第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２に挿入し、図３に示すワイヤハーネス２を製造する。
　以下、端子挿入装置１の各動作及び端子挿入装置１を用いたワイヤハーネス２の製造方法について説明する。

　本実施形態の端子挿入装置１は、まず、制御部からの動作指令に基づいて、端子把持部開閉機構、電線把持部開閉機構、端子把持部移動機構、電線把持部移動機構、及び電線把持位置調整機構を駆動させ、各把持部の各動作（開閉及び移動）を実施する。
　図１に示すように、第１挿入機構１１の第１端子把持部１１ａ及び第１電線把持部１１ｂに、端子付き電線２０の第１端末部２１の第１端子２１ａ及び電線部分２１ｂをそれぞれ把持させとともに、第２挿入機構１２の第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂに、同端子付き電線２０の第２端末部２２の第２端子２２ａ及び電線部分２２ｂをそれぞれ把持させる。このとき電線把持位置調整機構により、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置が調整されている。
　また、各把持部を同時に移動させて、コネクタ３０の前方に端子付き電線２０を配置させる。

　本実施形態では、第１端子把持部１１ａ及び第２端子把持部１２ａは、第１端子２１ａ及び第２端子２２ａの後方部分を把持し、双方の端子把持部による端子把持位置が揃っている。これに対し、第１電線把持部１１ｂ及び第２電線把持部１２ｂは、端子からの距離が異なる部分をそれぞれ把持し、双方の電線把持部による電線把持位置が揃っていない。
　具体的には、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置は、第１電線把持部１１ｂによる電線把持位置と比較してより端子に近い位置（第１把持位置）となるように調整されている。すなわち、第１電線把持部１１ｂは、第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１の端子収容位置（第１端子収容孔３１内のランスに第１端子２１ａが係止される位置）まで確実に挿入できるように、第１端子２１ａから十分に離間した位置を把持するのに対し、第２電線把持部１２ｂは、第２端子２２ａの近傍を把持している。

　また本実施形態では、第１端子２１ａがコネクタ３０の第１端子収容孔３１の中心軸上に配置され、第２端子２２ａがコネクタ３０の第２端子収容孔３２の中心軸上に配置されるように、第１端子把持部１１ａ、第１電線把持部１１ｂ、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂが、コネクタ３０の前方の所定位置に移動する。

　続いて端子挿入装置１は、図２Ａ及び図２Ｂに示すように、第１挿入機構１１の駆動によって、第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１に挿入する第１端子挿入動作（第１挿入工程）を実施する。また、第１端子挿入動作（第１挿入工程）の完了後、図２Ｃ及び図２Ｄに示すように、第２挿入機構１２の駆動によって、第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２に挿入する第２端子挿入動作（第２挿入工程）を実施する。

　第１端子挿入動作（第１挿入工程）において、第１挿入機構１１は、制御部からの動作指令に基づいて端子把持部開閉機構、電線把持部開閉機構、端子把持部移動機構、及び電線把持部移動機構の駆動を制御し、第１端子把持部１１ａ及び第１電線把持部１１ｂを動作（開閉及び移動）させる。
　まず、図１に示す状態から、第１端末部２１の第１端子２１ａを把持する第１端子把持部１１ａと、第１端末部２１の電線部分２１ｂを把持する第１電線把持部１１ｂとを、コネクタ３０へ向かって同時に前進移動させる。そして、第１端子２１ａの先端を第１端子収容孔３１に挿入し、第１端子２１ａを第１端子収容孔３１の開口３０ａに位置決めする（図２Ａ参照）。
　その後、第１端子把持部１１ａの開放（開動作）によって第１端子２１ａの把持を解除し、第１端子把持部１１ａを移動して第１電線把持部１１ｂとコネクタ３０との間から第１端子把持部１１ａを退避させる。これにより、第１端子把持部１１ａとの衝突を伴うことなく、第１電線把持部１１ｂのさらなる前進移動が可能となる。

　第１端子把持部１１ａの退避後、第１端末部２１の電線部分２１ｂを把持する第１電線把持部１１ｂを、コネクタ３０に向かってさらに前進移動させる。これにより、第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１の奥の端子収容位置（第１端子収容孔３１内のランスに第１端子２１ａが係止される位置）まで挿入する（図２Ｂ参照）。このとき、第１電線把持部１１ｂは、第１端子２１ａから十分に離間した位置を把持しているのに対し、第２電線把持部１２ｂは、第２端子２２ａから近い位置（第１把持位置）を把持している。
　その後、第１電線把持部１１ｂの開放（開動作）によって電線部分２１ｂの把持を解除し、第１電線把持部１１ｂを退避させる。
　第１端子挿入動作（第１挿入工程）は、第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１の端子収容位置に挿入することで完了する。

　本実施形態の第１端子挿入動作（第１挿入工程）では、第１電線把持部１１ｂの前進移動に伴って第１端子２１ａが第１端子収容孔３１の端子収容位置まで押し込まれるように、第１電線把持部１１ｂは第１端子２１ａから十分に離間した位置を把持しているのに対し、第２電線把持部１２ｂは第２端子２２ａから近い位置（第１把持位置）を把持している。これにより、電線分岐部２３を経由した第１電線把持部１１ｂから第２電線把持部１２ｂ（第１把持位置）までの電線長が十分に確保され、第１電線把持部１１ｂの前進移動が制限されることがない。このため、第１挿入機構１１により第１端子２１ａを第１端子収容孔３１の端子収容位置まで確実に挿入することができる。

　続く第２端子挿入動作（第２挿入工程）において、第２挿入機構１２は、制御部からの動作指令に基づいて端子把持部開閉機構、電線把持部開閉機構、端子把持部移動機構、電線把持部移動機構、及び電線把持位置調整機構の駆動を制御し、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂを動作（開閉及び移動）させる。
　まず、第２端末部２２の第２端子２２ａを把持する第２端子把持部１２ａと、第２端末部２２の電線部分２２ｂを把持する第２電線把持部１２ｂとをコネクタ３０へ向かって同時に前進移動させる。そして、第２端子２２ａの先端を第２端子収容孔３２に挿入し、第２端子２２ａを第２端子収容孔３２の開口３０ａに位置決めする（図２Ｃ参照）。このとき、第２電線把持部１２ｂは、第２端子２２ａから近い位置（第１把持位置）を把持している。

　その後、本実施形態では、電線把持位置調整機構により、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置を変更させる。電線把持位置調整機構は、制御部からの動作指令に基づいて電線把持部開閉機構及び電線把持部移動機構を駆動させ、第２電線把持部１２ｂを動作（開閉及び後退移動）させて、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置を、第２端子２２ａから近い位置（第１把持位置）から、第２端子２２ａから十分に離間した位置（第２把持位置）に変更する。
　その後、第２端子把持部１２ａの開放（開動作）によって第２端子２１ａの把持を解除し、第２端子把持部１２ａを移動して第２電線把持部１２ｂとコネクタ３０との間から第２端子把持部１２ａを退避させる。これにより、第２端子把持部１２ａとの衝突を伴うことなく、第２電線把持部１２ｂのさらなる前進移動が可能となる。

　第２端子把持部１２ａの退避後、第２端末部２２の電線部分２２ｂを把持する第２電線把持部１２ｂを、コネクタ３０に向かってさらに前進移動させる。これにより、第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２の奥の端子収容位置（第２端子収容孔３２内のランスに第２端子２２ａが係止される位置）まで挿入する（図２Ｄ参照）。このとき、第２電線把持部１２ｂは、第２端子２２ａから十分に離間した位置（第２把持位置）を把持している。
　その後、第２電線把持部１２ｂの開放（開動作）によって電線部分２２ｂの把持を解除し、第２電線把持部１２ｂを退避させる。
　第２端子挿入動作（第２挿入工程）は、第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２の端子収容位置に挿入することで完了する。

　本実施形態の第２端子挿入動作（第２挿入工程）では、第２電線把持部１２ｂを前進移動させて第２端子２２ａを第２端子収容孔３２の端子収容位置まで押し込む動作の実施前までに、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置が第１把持位置よりも後方に変更され、第２電線把持部１２ｂは、第２端子２２ａから十分に離間した位置（第２把持位置）を把持する。これにより、第２電線把持部（第２把持位置）から第２端子までの電線長が十分に確保され、第２電線把持部１２ｂの前進移動に伴って第２端子２２ａを第２端子収容孔３２の端子収容位置まで押し込むことができる。このため、第２挿入機構により第２端子２２ａを第２端子収容孔３２の端子収容位置まで確実に挿入することができる。

　本実施形態では、上述した第１端子挿入動作（第１挿入工程）及び第２端子挿入動作（第２挿入工程）を経ることで、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線２０の各端末部２１，２２に接続された各端子２１ａ，２２ａをコネクタ３０の各端子収容孔３１，３２に挿入し、ワイヤハーネス２を製造することができる。

　次に、図４Ａ及び図４Ｂを参照して、本実施形態の第２電線把持部１２ｂを説明する。
　第２電線把持部１２ｂは、第２端末部２２の電線部分２２ｂを左右から挟み込むように把持する一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２から構成され、各把持部材１２ｂ１，１２ｂ２の互いに対向する面（把持面）には、それぞれ電線収容溝１２ｂ３が形成されている。第２端末部２２の電線部分２２ｂは、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２の電線収容溝１２ｂ３に収容されるようにして、第２電線把持部１２ｂに把持される。

　具体的には、第２電線把持部１２ｂは、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２の各把持面に、断面円弧状の内周面を有する電線収容溝１２ｂ３がそれぞれ形成されている。各電線収容溝１２ｂ３の内周面における中央部（断面円弧状の内周面の中央部）が、電線部分２２ｂを左右から挟み込む挟持部として機能する。また、各電線収容溝１２ｂ３の内周面における下部（断面円弧状の内周面の下部）が、電線部分２２ｂの挟み込みが解除されても電線部分２２ｂを下方から支持して、第２電線把持部１２ｂから電線部分２２ｂが脱落するのを防止する支持部として機能する。

　これにより、電線把持部開閉機構の駆動によって一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２が開閉する第２電線把持部１２ｂは、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２で電線部分２２ｂを左右から挟み込んで把持する把持状態（図４Ａ参照）と、把持が解除されても第２電線把持部１２ｂから電線部分２２ｂが脱落しない半把持状態（図４Ｂ参照）と、把持が解除されて第２電線把持部１２ｂから電線部分２２ｂが離脱可能な開放状態（図示略）と、の３つの状態に切替可能となっている。

　図４Ｂに示す半把持状態では、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２による電線部分２２ｂの挟み込みが解除されているため、電線部分２２ｂの延びる方向に沿って第２電線把持部１２ｂ（一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２）を移動させ、電線部分２２ｂに対する第２電線把持部１２ｂの位置を変化させることができる。また半把持状態では、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２によって電線部分２２ｂが下方から支持されているため、第２電線把持部１２ｂ（一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２）の間から電線部分２２ｂを脱落させることなく、第２電線把持部１２ｂを移動させることができる。

　本実施形態の電線把持位置調整機構は、第２端子挿入動作（第２挿入工程）の際、制御部からの動作指令に基づいて電線把持部開閉機構及び電線把持部移動機構を駆動させ、第２電線把持部１２ｂの各動作（開閉及び移動）を実施し、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置を、第２端子２２ａから近い位置（第１把持位置）から、第２端子２２ａから十分に離間した位置（第２把持位置）に変更する。

　本実施形態では、まず、第２端末部２２の第２端子２２ａに近い位置（第１把持位置）を把持する第２電線把持部１２ｂを、把持状態（図４Ａ参照）から半把持状態（図４Ｂ参照）に切替える。その後、半把持状態の第２電線把持部１２ｂを、コネクタ３０に対して後退移動させ、電線部分２２ｂに対する第２電線把持部１２ｂの位置を変化させる。このとき、第２電線把持部１２ｂは、第２端子２２ａから十分に離間した位置まで電線部分２２ｂに沿ってスライド移動する。その後、第２電線把持部１２ｂを半把持状態（図４Ｂ参照）から把持状態（図４Ａ参照）に切替え、第２端子２２ａから十分に離間した位置（第２把持位置）を第２電線把持部１２ｂに把持させる。
　これにより、第２電線把持部１２ｂから電線部分２２ｂが脱落することなく、第２電線把持部１２ｂによる電線把持位置が、第２端子２２ａに近い位置（第１把持位置）から、第２端子２２ａから十分に離間した位置（第２把持位置）に変更される。

　なお、第２電線把持部は、図４Ａ及び図４Ｂに示す構成に限定されない。
　本実施形態では、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２の各把持面に、ぞれぞれ電線収容溝１２ｂ３が形成された第２電線把持部を採用したが、一方の把持面のみに電線収容溝１２ｂ３が形成されたものを採用してもよい。

　続いて、図５Ａ及び図５Ｂを参照して、第２電線把持部の変形例を説明する。
　図５Ａ及び図５Ｂに示すように、変形例の第２電線把持部１２ｂ’では、一対の把持部材１２ｂ１,１２ｂ２の各把持面に、平坦な挟込面１２ｂ４と、挟込面１２ｂ４の下部から相手側の把持部材に向かって突出する支持突部１２ｂ５とがそれぞれ形成されている。

　一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２の各把持面に形成された平坦な挟込面１２ｂ４が、電線部分２２ｂを左右から挟み込む挟込部として機能し、挟込面１２ｂ４の下部から突出する支持突部１２ｂ５が、電線部分２２ｂを下方から支持して電線部分２２ｂが第２電線把持部から脱落するのを防止する支持部として機能する。

　これにより、電線把持部開閉機構の駆動によって一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２が開閉する第２電線把持部１２ｂ’は、一対の把持部材１２ｂ１，１２ｂ２の各把持面に形成された平坦な挟込面１２ｂ４で電線部分２２ｂを左右から挟み込んで把持する把持状態（図５Ａ参照）と、把持が解除されても第２電線把持部１２ｂ’から電線部分２２ｂが脱落しない半把持状態（図５Ｂ参照）と、把持が解除されて第２電線把持部１２ｂ’から電線部分２２ｂが離脱可能な開放状態（図示略）と、の３つの状態に切替可能となっている。

　次に、図６Ａ～図６Ｃ及び図７を参照して、第１電線把持部１１ｂの退避動作を説明する。
　本実施形態の端子挿入装置１は、端子付き電線２０の第１端末部２１の第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１に挿入した後、第１電線把持部１１ｂを開放（開動作）して電線部分２１ｂの把持を解除し、第１電線把持部１１ｂをコネクタ３０から離れる方向に移動させる退避動作を実施する（図６Ａ参照）。
　このとき、コネクタ３０に対する第１端子把持部１１ａの後退移動だけでなく、第１電線把持部１１ｂとコネクタ３０との上下方向の相対移動を含める。これにより、第１電線把持部１１ｂと第１端末部２１の電線部分２１ｂとの干渉（衝突）が回避され、退避動作を円滑に実施することができる。
　なお、第１電線把持部１１ｂとコネクタ３０との上下方向の相対移動は、電線把持部移動機構の駆動によって第１電線把持部１１ｂを上昇移動させたり（図６Ｂ参照）、コネクタ昇降装置（図示略）の駆動によってコネクタ３０を下降移動させたりすることで（図６Ｃ参照）、行うことができる。

　さらに本実施形態の端子挿入装置１は、第１電線把持部１１ｂに把持された電線部分２１ｂを下方へ押し下げる押下部４０を有する（図７参照）。
　押下部４０は、昇降装置（図示略）によって昇降移動し、電線部分２１ｂを把持する第１電線把持部１２ｂよりも後方位置において電線部分２２ｂを押下し、第１電線把持部１１ｂを開放したとき、第１電線把持部１１ｂから電線部分２１ｂを確実に離間させる。これにより、第１電線把持部１１ｂと第１端末部２１の電線部分２１ｂとの干渉（衝突）が回避され、退避動作を円滑に実施することができる。

（第２実施形態）
　次に、本発明の第２実施形態に係る端子挿入装置を説明する。
　本実施形態の端子挿入装置は、第１実施形態に係る端子挿入装置１が備える各機構の他に、さらにワイパー機構を有している。以下、本実施形態の端子挿入装置が備えるワイパー機構について説明する。
　図８Ａは、本実施形態の端子挿入装置が備えるワイパー機構（回転式のワイパー機構）を示し、図８Ｂは、ワイバー機構の変形例（平行移動式のワイパー機構）を示し、図８Ｃは、ワイパー機構のワイパー部材を示す。
　ワイパー機構は、図８Ａ、図８Ｂに示すように、コネクタ３０の端子収容孔の開口３０ａが位置する面（以下、作業面、とも言う）に沿って棒状のワイパー部材５１を移動させることによって、コネクタ３０の端子収容孔に挿入済みの端子から延出する電線を押し退け、端子が挿入されてない端子収容孔の開口３０ａを露呈させるための機構である。

　図８Ａに示すように、本実施形態のワイパー機構５０ａは、棒状のワイパー部材５１を、その長手方向片端の回転軸５２を起点として回転移動させる。コネクタ３０の作業面に沿って回転移動させたワイパー部材５１によって、コネクタ３０に挿入済みの端子から延出する電線を押し退けて、端子が挿入されてない端子収容孔の開口３０ａを露呈させる。

　図８Ｂに示すように、変形例のワイパー機構５０ｂは、上下方向に延びる棒状のワイパー部材５１を左右方向に平行移動させる。コネクタ３０の作業面に沿って平行移動させたワイパー部材５１によって、コネクタ３０に挿入済みの端子から延出する電線を押し退けて、端子が挿入されてない端子収容孔の開口３０ａを露呈させる。

　図８Ｃを参照して、ワイパー機構が備えるワイパー部材５１について説明する。
　本実施形態のワイパー部材５１は、ワイパー部材駆動機構によって回転移動あるいは平行移動されるワイパー部材本体５１ａと、ワイパー部材本体５１ａからの突出寸法が変更可能に設けられたワイパーサブ部材５１ｂとから構成される。ワイパー部材本体５１ａからのワイパーサブ部材５１ｂの突出寸法の変更により、ワイバー機構によって電線を押し退けることができる範囲を変更することができる。

（第３実施形態）
　次に、本発明の第３実施形態に係る端子挿入装置を説明する。
　本実施形態の端子挿入装置は、第１実施形態の端子挿入装置１が備える各機構の他に、さらにコネクタ回転機構を有する。
　以下、図９を参照して、本実施形態の端子挿入装置が備えるコネクタ回転機構について説明する。
　図９に示すように、コネクタ回転機構は、端子収容孔の延びる方向（Ｙ軸方向）に沿った軸（回転中心軸）を中心にコネクタ３０を回転させる機構であり、例えば、コネクタ３０を１８０度回転させて上下反転させるコネクタ回転動作を実施できる。
　本実施形態の端子挿入装置では、コネクタ３０に挿入済の端子から延出する電線が下方に垂れ下がることで、下方に位置する端子収容孔の開口３０ａが電線で塞がれたとき、コネクタ回転機構によりコネクタ３０を回転させることによって、下方に位置する端子収容孔を上方に位置させる。これにより、端子が挿入されてない端子収容孔の開口３０ａが露呈され、端子挿入作業を継続して行うことができる。

（第４実施形態）
　次に、本発明の第４実施形態に係る端子挿入装置及び該端子挿入装置を用いたワイヤハーネス２Ａの製造方法を説明する。
　本実施形態の端子挿入装置は、第１実施形態の端子挿入装置１が備える各機構の他に、第３実施形態と同様、コネクタ回転機構を有する。
　以下、図１０Ａ～図１０Ｄを参照して、本実施形態の端子挿入装置を用いたワイヤハーネス２Ａの製造方法を説明する。

　本実施形態では、まず、図１０Ａに示すように、第１実施形態と同様に第１端子挿入動作（第１挿入工程）を実施し、端子付き電線２０の第１端末部２１に接続された第１端子２１ａをコネクタ３０の第１端子収容孔３１に挿入する。
　その後、コネクタ回転機構によるコネクタ回転動作の実施前に、端子把持部移動機構及び電線把持部移動機構の駆動によって、図１０Ｂに示すように、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂを同時に移動し、端子付き電線２０の電線分岐部２３が、コネクタ３０の回転中心軸上あるいはその近傍に配置されるように位置調整動作を実施する。この位置調整動作により、電線分岐部２３に負荷をかけることなくコネクタ回転動作を実施できる。

　次いで、図１０Ｃに示すように、コネクタ回転機構によってコネクタ３０を１８０度回転させ、コネクタ３０の向きを上下反転するコネクタ回転動作を実施する。
　その後、図１０Ｄに示すように、第１実施形態と同様に第２端子挿入動作（第２挿入工程）を実施し、端子付き電線２０の第２端末部２２に接続された第２端子２２ａをコネクタ３０の第２端子収容孔３２に挿入する。

　本実施形態の端子挿入装置は、第１端子挿入動作、位置調整動作、コネクタ回転動作、第２端子挿入動作をこの順で実施する。
　第１端子挿入動作（第１挿入工程）の後、位置調整動作及びコネクタ回転動作を経てから、第２端子挿入動作（第２挿入工程）を実施することで、端子付き電線２０の各端末部２１，２２に接続された各端子２１ａ，２２ａを、各端子の向きを相違させた状態で、コネクタ３０の各端子収容孔３１，３２に挿入することができる。これにより、コネクタ３０の各端子収容孔３１，３２に挿入された端子２１ａ，２２ａの向きが異なるワイヤハーネス２Ａを製造することができる。

　なお、端子付き電線２０の電線分岐部２３を、コネクタ３０の回転中心軸上あるいはその近傍に配置させる位置調整動作は、第２端子把持部１２ａ及び第２電線把持部１２ｂの移動に限定されない。例えば、コネクタ移動機構によってコネクタ３０を上下左右の何れかの方向に移動する構成も採用可能である。
　コネクタ移動機構によって位置調整動作を実施する場合、第１端子挿入動作（第１挿入工程）の後、コネクタ移動機構の駆動によって、コネクタ３０を上下左右何れかの方向に移動させて、端子付き電線２０の電線分岐部２３をコネクタ３０の回転中心軸上あるいはその近傍に配置させる。

（第５実施形態）
　次に、図１１Ａ及び図１１Ｂを参照して、第５実施形態の端子挿入装置が備える端子ガイド部１３を説明する。
　本実施形態の端子挿入装置は、第１実施形態の端子挿入装置１が備える第１端子把持部１１ａ及び第２端子把持部１２ａに替えて、端子ガイド部１３を採用するものである。
　図１１Ａ及び図１１Ｂに示すように、端子ガイド部１３は、端子付き電線２０の各端末部に接続された各端子（例えば、第１端子２１ａ）を、コネクタ３０の各端子収容孔（例えば、第１端子収容孔３１）の開口に案内するためのテーパ状の案内溝１３ａを有する。

　以上、本発明の好ましい形態を説明してきたが、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

　先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入する端子挿入装置を提供することができる。また、先端が複数の端末部に分岐した端子付き電線の各端末部に接続された各端子をコネクタに挿入してワイヤハーネスを製造することができる。

　１…端子挿入装置
　１１…第１挿入機構
　１１ａ…第１位置決め部（第１端子把持部）
　１１ｂ…第１電線把持部
　１２…第２挿入機構
　１２ａ…第２位置決め部（第２端子把持部）
　１２ｂ…第２電線把持部
　２，２Ａ…ワイヤハーネス
　２０…端子付き電線
　２１…第１端末部
　２１ａ…第１端子
　２１ｂ…（第１端末部の）電線部分
　２２…第２端末部
　２２ａ…第２端子
　２２ｂ…（第２端末部の）電線部分
　２３…電線分岐部
　２４…電線中間部
　２４ａ…シース
　３０…コネクタ
　３０ａ…開口
　３１…第１端子収容孔
　３２…第２端子収容孔
　４０…押下部
　５０ａ，５０ｂ…ワイパー機構
　５１…ワイパー部材

Claims

　先端が、第１端子を有する第１端末部及び第２端子を有する第２端末部を含む複数の端末部に分岐した端子付き電線の前記第１及び第２端子をコネクタの第１及び第２端子収容孔に順次挿入する端子挿入装置であって、
　前記第１端子を前記第１端子収容孔の開口に位置決めする第１位置決め部と、前記第１端末部の電線部分を把持して前記コネクタに向かって前進移動することにより前記第１端子を前記第１端子収容孔の端子収容位置まで押し込む第１電線把持部とを有する第１挿入機構と、
　前記第２端子を前記第２端子収容孔の開口に位置決めする第２位置決め部と、前記第２端末部の電線部分を把持して前記コネクタに向かって前進移動することにより前記第２端子を前記第２端子収容孔の端子収容位置まで押し込む第２電線把持部とを有する第２挿入機構と、
　前記第２電線把持部による電線把持位置を、第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置と、前記第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置とに調整する電線把持位置調整機構と、を備え、
　前記第１挿入機構は、前記第２電線把持部が前記第１把持位置を把持した状態で前記第１端子を前記第１端子収容孔に挿入し、前記第２挿入機構は、前記第２電線把持部が前記第２把持位置を把持した状態で前記第２端子を前記第２端子収容孔に挿入することを特徴とする端子挿入装置。
　前記電線把持位置調整機構は、前記第２端末部の電線部分を把持する前記第２電線把持部を把持状態から半把持状態に切替え、前記第２電線把持部をコネクタに対して後退移動させることにより、前記第２電線把持部を前記第１把持位置から前記第２把持位置にスライド移動させ、
　前記第２電線把持部は、一対の把持部材を有し、
　一対の前記把持部材のうち少なくとも一方の把持部材の把持面は、把持状態において他方の把持部材の把持面との間に電線部分を挟み込み可能な挟持部と、半把持状態において電線部分を支持して前記第２電線把持部から電線部分が脱落するのを防止する支持部とを有することを特徴とする請求項１に記載の端子挿入装置。
　前記第１挿入機構は、第１端末部の電線部分を下方へ押す押下部を有することを特徴とする請求項１又は２に記載の端子挿入装置。
　先端が、第１端子を有する第１端末部及び第２端子を有する第２端末部を含む複数の端末部に分岐した電線の前記第１及び第２端子をコネクタの第１及び第２端子収容孔に挿入するワイヤハーネスの製造方法であって、
　前記第１端末部の電線部分を把持する第１電線把持部を前記コネクタに向かって前進移動させることにより前記第１端子を前記第１端子収容孔の端子収容位置に押し込む第１挿入工程と、
　前記第２端末部の電線部分を把持する第２電線把持部を前記コネクタに向かって前進移動させることにより前記第２端子を前記第２端子収容孔の端子収容位置に押し込む第２挿入工程と、を含み、
　前記第１挿入工程では、前記第２電線把持部による電線把持位置が、前記第１電線把持部の電線把持位置と比較してより端子に近い第１把持位置に調整された状態で前記第１電線把持部を前進移動させて前記第１端子を前記第１端子収容孔に挿入し、
　前記第２挿入工程では、前記第２電線把持部による電線把持位置が変更され、前記第２電線把持部による電線把持位置が、前記第１把持位置と比較してより端子から遠い第２把持位置に調整された状態で前記第２電線把持部を前進移動させて前記第２端子を前記第２端子収容部に挿入することを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。