WO2018047917A1 - Hmgタンパク質と抗cd4抗体又は免疫チェックポイント制御剤との組み合わせによる相乗的抗腫瘍効果 - Google Patents

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Abstract

がんに対して有効な新規な治療手段が開示されている。本発明の抗がん剤は、下記有効成分(1)、又は下記有効成分(1)及び(2)の組み合わせを含む:(1) HMGB及びHMGNから選択されるHMGタンパク質、又は生体内で該HMGタンパク質を発現可能な組換えベクター;(2) 細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、細胞毒成分を結合させた抗CD4抗体又はその抗原結合性断片、及び免疫チェックポイント制御剤から選択される少なくとも1種。

Description

HMGタンパク質と抗CD4抗体又は免疫チェックポイント制御剤との組み合わせによる相乗的抗腫瘍効果
 本発明は、HMGタンパク質のがん治療への適用に関し、より具体的には、HMGタンパク質(特にHMGB又はHMGN)によるがんの治療、並びにHMGタンパク質と枯渇性抗CD4抗体又は免疫チェックポイント制御剤との組み合わせによるがんの治療に関する。
 HMGタンパク質はヌクレオソーム結合蛋白のスーパーファミリーで、HMGA, HMGB, HMGNのファミリーに分類される。これらのポリペプチドはDNAに結合することにより遺伝子発現を調節している。また、HMGタンパク質は、感染や傷害によって誘導されるネクローシスのような細胞死、または通常の輸送経路である小胞体-ゴルジ体経路を介さない経路によって細胞外に放出され、炎症応答を誘導することから、アラーミン(alarmin)分子群に分類される。なお、アラーミンタンパクとしてはほかにIL-1αやIL-33のようなサイトカインやHSP(heat shock protein)、S100タンパク質などが知られている。アラーミンタンパクは、Toll様受容体(Toll-like receptor:TLR)に代表されるパターン認識受容体を介した病原体固有に存在するパターン構造(pathogen-associated molecular patterns:PAMPs)の認識にも関係する。
 最近、細胞外に遊離したHMGタンパク質が免疫系の賦活作用分子として作用することが報告された。細胞外に遊離したHMGN1は樹状細胞の浸潤、活性化を通して免疫応答を惹起させる。さらに、活性化された樹状細胞はTh1型のT細胞を誘導して細胞性免疫応答を活性化する。
 しかしながら、がん治療におけるHMGBやHMGNの有効性は依然として不明である。
 例えば、特許文献1には、腫瘍を包含する様々な疾患の治療又は予防にHMGタンパク質、特にHMGA及びHMGBを用いることが記載されている。しかしながら、実施例には、内皮細胞にHMGB1を添加すると濃度依存的に増殖率が高まること、イヌの悪性増殖性疾患に対しHMGB1タンパク質ではなくその阻害剤が好適な治療手段であることを示すデータが記載されており、増殖性疾患の治療にHMGタンパク質の投与が有効であることを示すデータは何ら開示されていない。
 特許文献2には、HMGN1又はHMGN2を皮膚がん等の外皮増殖性疾患の治療に用いることが提案されている。しかしながら、具体的に開示されているデータは、HMGN1欠損マウスで被毛の生長が促進したこと、皮膚のUV感受性が増大したこと、DNA修復が障害されたこと、UV感受性の増大がHMGN1タンパク質の不存在に関係していることを示すデータのみである。皮膚がんの治療にHMGNの投与が有効であることを示したデータは、特許文献2には一切記載されていない。
特表2006-517537号公報 WO 2004/083398
Liu et al., "Intralesional rose bengal in melanoma elicits tumor immunity via activation of dendritic cells by the release of high mobility group box 1." Oncotarget, 2016 May 9. doi: 10.18632/oncotarget.9247 Chan et al., "Alarmins: awaiting a clinical response." The Journal of Clinical Investigation, vol.122, No.8, August 2012, p.2711-2719 Birger et al., "Increased Tumorigenicity and Sensitivity to Ionizing Radiation upon Loss of Chromosomal Protein HMGN1." Cancer Research, 65: (15). August 1, 2005, p.6711-6718 Gabi Gerlitz, "HMGNs, DNA Repair and Cancer." Biochim Biophys Acta. 2010; 1799(1-2): 80-85. Postnikov et al., "Loss of the nucleosome-binding protein HMGN1 affects the rate of N-nitrosodiethylamine induced hepatocarcinogenesis in mice." Mol Cancer Res. 2014 January; 12(1): 82-90. Lee et al., "High mobility group B1 and N1 (HMGB1 and HMGN1) are associated with tumor-infiltrating lymphocytes in HER2-positive breast cancers." Virchows Arch (2015) 467:701-709 De Yang, Michael Bustin and Joost J Oppenheim, "Harnessing the alarmin HMGN1 for anticancer therapy." Immunotherapy, 2015;7(11):1129-31. Published Online: 16 Nov 2015
 本発明は、がんに対して有効な新規な治療手段を提供することを目的とする。
 近年、腫瘍の免疫療法において、抗免疫チェックポイント抗体が著しい臨床効果を示すことが明らかにされ、癌治療に新時代がもたらされた。また、枯渇性抗CD4抗体投与による各種のCD4陽性細胞の一時的なdepletionで著しい抗腫瘍効果が誘導されることも報告されるようになった。
 そこで、本願発明者らは、担癌モデルマウスを用いてHMGNとHMGBの抗免疫チェックポイント抗体、特に抗PD-L1及び抗PD-1抗体との併用効果、並びに抗CD4抗体との併用効果を鋭意検討した。その結果、HMGB1及びHMGN1は、担癌モデルマウスにおいて単独投与では腫瘍の増殖を抑制しないが、枯渇性の抗CD4抗体、又は抗免疫チェックポイント抗体である抗PD-1抗体若しくは抗PD-L1抗体と併用すると腫瘍の増殖を顕著に抑制し、特にHMGN1とこれら抗体との併用では固形腫瘍の完全退縮例も複数見られるという著しい抗腫瘍効果が確認され、本願発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明は、下記有効成分(1)、又は下記有効成分(1)及び(2)の組み合わせを含む抗がん剤を提供する。
(1) HMGB及びHMGNから選択されるHMGタンパク質、又は生体内で該HMGタンパク質を発現可能な組換えベクター
(2) 細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、細胞毒成分を結合させた抗CD4抗体又はその抗原結合性断片、及び免疫チェックポイント制御剤から選択される少なくとも1種
 また、本発明は、それを必要とする対象に対し、上記有効成分(1)を投与すること、又は上記有効成分(1)及び(2)を組み合わせて投与することを含む、がんの治療方法を提供する。
 本発明により、HMGタンパク質と枯渇性の抗CD4抗体又は免疫チェックポイント制御剤との併用による新規ながん療法が提供される。HMGB及びHMGNの中でもとりわけHMGN1の抗腫瘍効果が優れており、腫瘍の完全退縮例も出現するほどの抗腫瘍効果が確認されている。腫瘍内への局所投与だけではなく、腹腔内への全身投与でも高い抗腫瘍効果を得ることができる。また、HMGタンパク質は、単独投与でも有意な抗腫瘍効果が得られる。本発明はがん治療の分野に従来の薬物とは異なる作用機序の薬物を提供するとともに、新規な併用療法を提供するものである。
Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1(10μg/mouse)と抗CD4抗体(200μg/mouse)との併用の効果を調べた結果である。腫瘍体積を経時的に計測した。it: 腫瘍内投与、ip: 腹腔内投与。 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1(10μg/mouse)と抗CD4抗体(200μg/mouse)との併用の効果を調べた結果である。腫瘍移植25日後に腫瘍体積を計測し、各投与群間で比較した。Control群に対する有意差は、*:p<0.05, **:p<0.01。抗CD4抗体単独投与群に対する有意差は、**: p<0.01。(いずれもDunnett) Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1(10μg/mouse)と抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体(200μg/mouse)との併用の効果を調べた結果である。腫瘍体積を経時的に計測した。 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1(10μg/mouse)と抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体(200μg/mouse)との併用の効果を調べた結果である。腫瘍移植24日後に腫瘍体積を計測し、各投与群間で比較した。Control群に対する有意差 **: p< 0.01(Dunnett)。 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1とHMGB1の抗腫瘍効果を比較検討した結果である。HMGタンパク質は、単独で、又は抗CD4抗体若しくは抗PD-L1抗体と併用して投与し、腫瘍体積を経時的に計測した。 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1とHMGB1の抗腫瘍効果を比較検討した結果である。HMGタンパク質は、単独で、又は抗CD4抗体若しくは抗PD-L1抗体と併用して投与した。腫瘍移植33日後に腫瘍体積を計測し、各投与群間で比較した。Control群に対する有意差は、*:p<0.05、**:p<0.01。抗CD4抗体単独投与群に対する有意差は、**: p< 0.01。(いずれもDunnett) Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1の投与量を5通りに変えて抗CD4抗体との併用の効果を調べた結果である(腫瘍体積の経時変化)。 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1の投与量を5通りに変えて抗CD4抗体との併用の効果を調べた結果である。腫瘍移植後29日目に腫瘍体積を測定し、コントロール群と各投与群との間で比較した。Control群に対する有意差 **: p< 0.01(Dunnett) HMGN1を0.016μg/mouseで抗CD4抗体と併用投与したColon26担癌マウス8匹について、個体ごとに腫瘍体積の変化を調べた結果の一例である。81~88:各マウス個体、Mean:マウス8例の平均値、Mean(anti-CD4):抗CD4抗体単独投与群の平均値、Mean(Control):Control群の平均値 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1単独投与の抗腫瘍効果を調べた結果である。腫瘍体積を経時的に計測した。 Colon26担癌マウスにおいて、HMGN1単独投与の抗腫瘍効果を調べた結果である。腫瘍移植26日後に腫瘍体積を計測し、Control群と各投与群との間で比較した。Control群に対する有意差 *: p< 0.05、**: p< 0.01(Dunnett)
 本発明の抗がん剤は、以下の(1)の有効成分、又は(1)及び(2)の有効成分の組み合わせを含む。
(1) HMGB及びHMGNから選択されるHMGタンパク質、又は生体内で該HMGタンパク質を発現可能な発現ベクター
(2) 細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、細胞毒成分を結合させた抗CD4抗体又はその抗原結合性断片、及び免疫チェックポイント制御剤から選択される少なくとも1種
 本発明の抗がん剤は、有効成分として(1)を含み、他の有効成分と組み合わせずに用いられるものであってもよい。あるいは、有効成分(1)及び(2)の組み合わせを含み、各有効成分を組み合わせて投与するためのものであってもよい。
 「有効成分の組み合わせを含む」という語は、複数の有効成分をそれぞれ別個の剤として含む態様、同一製剤中に複数の有効成分を含有する態様の両者を包含する。従って、本発明の抗がん剤は、有効成分(1)と(2)をそれぞれ別個の剤として組み合わせた形態でもよいし、同一製剤中に両者を含有した形態であってもよい。典型的には、本発明の抗がん剤は前者の形態をとる。成分(2)として複数の有効成分を用いる場合も同様であり、同一製剤中に複数の成分(2)を含有した剤を用いても良いが、一般には複数の成分(2)をそれぞれ別個の剤として組み合わせることが好ましい。各有効成分を別個の剤として組み合わせた場合には、各有効成分の投与部位、投与時期、投与回数、投与量などを個別に最適化することができる利点がある。
 「有効成分を組み合わせて投与する」という語は、複数の有効成分を患者に対し同時に、順次に、又は別々に投与することを意味する。順次に投与するとは、1の有効成分の投与が完了した後すぐに続けて次の有効成分の投与を行なうことをいう。別々に投与とは、間隔を空けて複数の有効成分を投与することをいい、例えば同日中に数時間程度以上の間隔を空けて、あるいは1クールの治療期間中の別の日に投与することをいう。同時に投与する場合、別個の剤として製剤された有効成分を同時に投与してもよいし、同一製剤中に複数の成分を含有した剤を投与してもよい。
 「他の有効成分と組み合わせずに投与する」という語は、1クールの治療期間中に他の有効成分を投与せず、当該有効成分のみを投与することをいう。
 1クールとは、抗がん剤分野における一般的な意味の通り、投薬期間と休薬期間を合わせた小単位の期間をいう。単剤療法、多剤併用量のいずれの場合でも、当該抗がん剤を1週間ないしは数週間程度投与する投薬期間と、1週間程度の休薬期間を1クールとし、患者の状態やがんの縮小効果などに応じて医師により決定された回数のクール(通常数クール)を実施するのが一般的である。
 本発明において、「がんの治療」という語には、患者のがんを治療する目的で行われる種々の医療処置が包含される。具体的には、原発がん、再発がん及び転移がんの治療の他、がんの再発及び転移の抑制も包含される。例えば、外科手術によりがん病巣を切除した後の患者に対し、再発防止の目的で本発明の抗がん剤を投与する態様も、「がんの治療」に包含される。従って「抗がん剤」という語には、がん(原発がん、再発がん、転移がん)の治療剤、がんの再発抑制剤、及びがんの転移抑制剤が包含される。
 本発明の抗がん剤が対象とするがんの種類は特に限定されず、固形がん及び血液がん(悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫)を含む種々のがんに対して適用できる。例えば、本発明の抗がん剤は固形がんに対して好ましく使用できる。固形がんの典型的な具体例として、肺がん、乳がん、胃がん、肝がん、大腸がん、舌がん、甲状腺がん、腎臓がん、前立腺がん、子宮がん、子宮頸がん、卵巣がん等の上皮性固形がんや、メラノーマ及びグリオーマ等の、上皮性固形がんには分類されないその他の固形がんを挙げることができる。1つの態様において、本発明が対象とするがんは、皮膚がん以外のがんであり得る。
 HMGタンパク質は、HMGB及びHMGNから選択される。HMGBには、HMGB1、HMGB2、HMGB3、及びHMGB4が包含される。HMGNには、HMGN1、HMGN2、HMGN3、HMGN4及びHMGN5が包含される。これらのHMGタンパク質の配列に関する情報として、ヒトHMGB及びHMGNのデータベース登録番号などの情報を下記表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 本発明におけるHMGタンパク質は、HMGB及びHMGNのいずれでも良い。例えば、HMGタンパク質は、HMGNであるか、又はHMGB1及びHMGN1のいずれかであるか、又はHMGN1であり得る。また表1及び配列表に示したヒト配列は本発明におけるHMGタンパク質の配列の一例であり、少数(例えば1~数個)のアミノ酸残基が相違するアミノ酸配列のHMGタンパク質でも本発明において使用可能である。
 HMGタンパク質は、化学合成や遺伝子工学的手法等の常法により製造できる。本発明で用いるHMGタンパク質はいずれの手法で製造されたものであってもよい。
 化学合成法の具体例としては、例えばFmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等を挙げることができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して常法により合成することもできる。化学合成の場合は、アミノ酸配列のみに基づいて所望のポリペプチドを合成できる。
 遺伝子工学的手法により組換えHMGタンパク質を作製する場合には、公知の遺伝子配列情報に基づいて所望のHMGタンパク質をコードするポリヌクレオチドを調製し、該ポリヌクレオチドを適当な発現ベクターに組み込んで宿主細胞に導入し、該宿主細胞中でタンパク質を発現させ、これを回収すればよい。
 HMGタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、所望のHMGタンパク質を発現する細胞から抽出したRNAを鋳型としたRT-PCRにより、HMGタンパク質のアミノ酸配列をコードするcDNAとして得ることができる。RT-PCRで用いるプライマーは、配列表の配列番号1~36や、上記表1に示した公知の配列情報に基づいて設計すればよい。あるいは、これらの配列情報に基づき、HMGタンパク質をコードするポリヌクレオチド全長を化学合成してもよい。ポリヌクレオチドには、宿主細胞内でのタンパク質の発現量向上などの目的でコドンの最適化を施しても良い。この分野で周知の通り、生物種によって好んで使う同義コドンは異なっており、使用する宿主細胞の種類に応じてコドンを改変することで組換えタンパク質の収率を高めることができる。例えば、配列番号11に示したヒトのHMGN1 cDNA配列を有するポリヌクレオチドを調製し、これを非ヒト細胞で発現させて組換えヒトHMGN1を製造する場合には、使用する非ヒト細胞の種類に応じて、配列番号11の塩基配列を有するポリヌクレオチドにコドンの改変を加えてよい。
 調製したポリヌクレオチドは、適当な発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に導入してタンパク質を発現させ、これを回収することで、所望の組換えHMGタンパク質を得ることができる。宿主細胞としては、HMGタンパク質を発現可能な細胞であれば特に限定されない。原核細胞の例としては大腸菌などが挙げられる。真核細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳動物培養細胞、出芽酵母、分裂酵母、カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞などが挙げられる。また、組換えタンパク質発現系として、これらの細胞発現系に加え、無細胞発現系も知られている。種々の発現ベクター、宿主細胞、試薬類、キットが市販されているので、適宜選択して使用すればよい。
 本発明において、「組換えHMGタンパク質」という語には、様々な培養宿主細胞内で発現させ回収した組換えHMGタンパク質が包含される。特に限定されないが、宿主細胞は、非ヒト細胞、例えば非ヒト真核細胞、又は非ヒト哺乳動物細胞であり得る。哺乳動物細胞であっても非ヒトの細胞で発現させた場合には、ヒト体内で発現されるHMGタンパク質とは異なる糖鎖を有する組換えHMGタンパク質が得られる。原核細胞で発現させた場合には糖鎖を有しない組換えHMGタンパク質が得られる。本発明では、そのような、糖鎖構造が天然のヒトHMGタンパク質とは異なる組換えHMGタンパク質も好ましく用いることができる。
 組換えタンパク質を宿主細胞内で発現させる際には、宿主細胞からの単離精製の便宜やその他の目的のために、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)やHisタグなどの任意のアミノ酸配列がしばしば付加される。本発明における組換えHMGタンパク質という語には、そのような付加配列を有するものも包含される。
 また、タンパク質製剤・ペプチド製剤の分野では、タンパク質ないしペプチドの生体内での安定性向上などの目的で、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を付加したり(Clin Nephrol. 2006 Mar;65(3):180-90.やProc Natl Acad Sci USA. 2005 Sep 6;102(36):12962-7.など)、主としてN末端又はC末端に糖鎖を付加したり(J Am Chem Soc. 2004 Nov 3;126(43):14013-22やAngew Chem Int Ed Engl. 2004 Mar 12;43(12):1516-20など)、アミノ酸残基の少なくとも一部をD体とする(J Pharmacol Exp Ther. 2004 Jun;309(3):1190-7やJ Pharmacol Exp Ther. 2004 Jun;309(3):1183-9.など)等の技術が用いられている。本発明における組換えHMGタンパク質という語には、そのような技術を適用したものも包含される。
 有効成分(1)として、HMGタンパク質を発現可能な組換えベクターを用いる場合には、上記のようにして調製したHMGタンパク質をコードするポリヌクレオチド(典型的にはcDNA)を適当な発現ベクターに組み込んだものを用いればよい。ベクターは、投与対象の患者の細胞内でタンパク質を発現可能なベクターであれば特に限定されず、プラスミドベクターでもウイルスベクターでもよい。遺伝子ワクチンや遺伝子医薬の分野で知られる各種のベクターを用いることができる。
 抗CD4抗体としては、枯渇性抗体、すなわち細胞傷害活性を有する抗体を用いる。抗体が有する細胞傷害活性には、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)と補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)がある。枯渇性抗CD4抗体は、ADCC活性とCDC活性のいずれを有するものであってもよいが、CD4+ 細胞に対し十分に高い殺傷能力を発揮できる、高い細胞傷害活性を有するものを用いる。そのような高い細胞傷害活性を有する抗CD4抗体は、さまざまながんに対して抗がん作用を有することが知られている(例えば、WO 2015/125652 A1)。
 「高い細胞傷害活性」とは、ADCC活性の場合、公知の測定方法を用いてCD4発現細胞に対するADCC活性を測定したときに、ADCC活性を有することが知られている公知の抗CD4抗体6G5やCE9.1よりも高いADCC活性を有することをいう。また、CDC活性の場合、公知の測定方法を用いて、同一の補体を用いた実験系でCD4発現細胞に対するCDC活性を測定したときに、CDC活性を有することが知られている公知の抗CD4抗体OKT4よりも強いCDC活性を示すことをいう。
 抗体のADCC活性やCDC活性を測定方法は、Cancer Immunol. Immunother., 36, 373 (1993)等に記載され公知であり、また市販のキット類も存在する。そのような市販のキットを用いて、公知の抗CD4抗体よりも細胞傷害活性が高いかどうかを評価してよい。市販のキットを用いた細胞傷害活性の測定方法の具体例が下記実施例に記載されている。あるいは、ヒト末梢血単核球と抗CD4抗体を混合して37℃で数時間反応させ、フローサイトメトリー解析により反応液中のCD8+ 細胞に対するCD3+ 細胞の割合を測定し、得られた測定値を、ADCC活性を有しない抗CD4抗体や上記した公知の抗CD4抗体を用いた場合の測定値と比較することにより、抗CD4抗体のADCC活性の強さを評価することができる。
 好ましくは、高い細胞傷害活性を有する抗CD4抗体は、公知の抗CD4抗体6G5やCE9.1の10倍以上、より好ましくは100倍以上のADCC活性を有するか、公知の抗CD4抗体OKT4の10倍以上、より好ましくは100倍以上のCDC活性を有する。ここでいう「10倍以上」とは、例えば、一定量の細胞に対して細胞傷害活性を示す抗体濃度の最小値が、公知の上記抗体のそれの1/10以下であることを意味する。なお、抗CD4抗体のCD4に対するアフィニティーについては、抗体結合活性KDが1×10-9 M程度以下であればよい。
 高い細胞傷害活性を有する抗CD4抗体は、例えば、公知の手法により作出したモノクローナル抗CD4抗体又は既に確立されている公知の抗CD4抗体から、この分野で公知の手法によりその細胞傷害活性を高めることによって作出することができる。また、細胞表面に発現するCD4を特異的に認識し、かつ強力な細胞傷害活性を有する抗CD4抗体も公知であり、例えばWO 2010/074266 A1には、従来の抗CD4抗体よりもADCC活性が高められた抗CD4抗体が開示されている。このような公知の枯渇性抗CD4抗体も好ましく用いることができる。
 モノクローナル抗体の作製方法自体はこの分野で周知の常法である。例えば、周知のハイブリドーマ法により作製する場合、CD4タンパク質ないしはその適当な断片(細胞外領域、例えばCD4のN末より394番目までの領域)を免疫原として用いて動物(ヒトを除く)に免疫し、該動物から脾細胞やリンパ球のような抗体産生細胞を採取し、これをミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを調製し、CD4タンパク質と結合する抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングし、これを増殖させて培養上清から抗CD4モノクローナル抗体を得ることができる。CD4の遺伝子配列、アミノ酸配列及び立体構造等の情報は、公的データベースに登録されており、例えばNCBIのGenBankにはM12807のアクセッション番号で登録されている。免疫原として用いるCD4タンパク質ないしはその適当な断片は、このような配列情報に基づいて周知の遺伝子工学的手法により容易に調製することができる。
 ヒトに投与する場合、枯渇性抗CD4抗体は、ヒトCD4に対するヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体(非ヒト由来抗体のCDR領域をヒト抗体の相当する領域に移植したもの)、又は組換えヒト抗体(非ヒト動物又はヒト細胞株を用いて製造される、ヒトの体内で産生されるものと同じ抗体)であることが望ましい。ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体及び組換えヒト抗体の作製方法も、この分野で周知の方法として確立している。例えば、抗CD4ヒト抗体は、CD4認識を担保するCDR配列断片をカセット改変法にて調製することができる。
 抗体の細胞傷害活性を高める手法も公知であり、いずれの手法を用いてもよい。公知の手法の一例を以下に記載する。
 ADCC活性を増強する方法の一つとして、抗体のFc部分に存在している糖鎖に含まれるフコース(コアフコース)を除去するポテリジェント(登録商標)技術が挙げられる(Yamane-Ohnuki N, Satoh M, Production of therapeutic antibodies with controlled fucosylation, MAbs 2009; 1: 230-236.)。このコアフコースを付加する酵素はFucT-8(Fut-8)と称される遺伝子にコードされているので、Fut-8をノックアウトした動物細胞内で組換え抗体をコードする遺伝子を発現させることにより、ADCC活性が増強された抗体分子を得ることができる(Yamane-Ohnuki N, et al., Establishment of FUT8 knockout Chinese hamster ovary cells: an ideal host cell line for producing completely defucosylated antibodies with enhanced antibody-dependent cellular cytotoxicity, Biotechnol Bioeng 2004; 87: 614-622.)。
 ADCC活性を増強する他の方法として、抗体のFc部位に存在する糖鎖を変換する方法が挙げられる。当該方法では、アンテナ型分岐糖鎖部のGlcNAcをGnT-III遺伝子操作で導入することによりコアフコース付加を回避する(M. Schuster et al., Improved effector functions of a therapeutic monoclonal Lewis Y-specific antibody by glycoform engineering, Cancer Res 2005; 65: 7934-7941.)。このような手法により作出されたADCC活性が増強された抗CD4抗体を用いてもよい。
 CDC活性が増強する方法としては、例えば、アイソタイプIgG1の一部にアイソタイプIgG3の配列を組み合わせてCDC活性を高めるコンプリジェント(登録商標)技術が知られている(Natsume A, In M, Takamura H, et al. Engineered antibodies of IgG1/IgG3 mixed isotype with enhanced cytotoxic activities, Cancer Res. 2008; 68: 3863-3872.)。
 さらに、上記したポテリジェント(登録商標)技術とコンプリジェント(登録商標)技術を組み合わせて抗体の細胞傷害活性を強力に高めるアクリタマブ(登録商標)技術も知られている(Natsume A, et al., Improving effector functions of antibodies for cancer treatment: Enhancing ADCC and CDC, Drug Des Devel Ther. 2009; 3: 7-16)。このような手法でADCC活性及びCDC活性の両者を高めた抗CD4抗体を用いてもよい。
 抗CD4抗体又はその抗原結合性断片に細胞毒成分を結合させたものも、細胞傷害活性を有する抗CD4抗体と同様に有効成分(2)として用いることができる。この場合、細胞毒成分によってCD4陽性細胞が傷害されるので、抗体のエフェクター機能としての細胞傷害活性は必要ではない。細胞毒成分とは、生細胞を破壊する活性を有する物質をいい、生物由来の毒物、化学物質、放射性物質等が包含される。
 抗原結合性断片は、もとの抗体の対応抗原に対する結合性(抗原抗体反応性)を維持している限り、いかなる抗体断片であってもよい。具体例としては、Fab、F(ab')2、scFv等を挙げることができるが、これらに限定されない。FabやF(ab')2は、周知の通り、モノクローナル抗体をパパインやペプシンのようなタンパク分解酵素で処理することにより得ることができる。scFv(single chain fragment of variable region、単鎖抗体)の作製方法も周知であり、例えば、上記の通りに作製したハイブリドーマのmRNAを抽出し、一本鎖cDNAを調製し、免疫グロブリンH鎖及びL鎖に特異的なプライマーを用いてPCRを行なって免疫グロブリンH鎖遺伝子及びL鎖遺伝子を増幅し、これらをリンカーで連結し、適切な制限酵素部位を付与してプラスミドベクターに導入し、該ベクターで大腸菌を形質転換してscFvを発現させ、これを大腸菌から回収することにより、scFvを得ることができる。
 免疫チェックポイント制御剤とは、免疫チェックポイント分子の機能を制御することでT細胞の活性化を促進する物質であり、抑制性の免疫チェックポイント分子に対して阻害的に働く物質と、共刺激性の免疫チェックポイント分子に対して促進的に働く物質とが包含される。「免疫チェックポイント分子」という語には、免疫チェックポイントとして機能する受容体とリガンドの両者が包含される。
 免疫チェックポイントとは、免疫系が自己の体を攻撃しないための免疫逃避機構である。T細胞上には免疫チェックポイント受容体が存在し、抗原提示細胞上に発現しているリガンドと相互作用する。T細胞はMHC分子上に提示された抗原を認識して活性化し、免疫反応を起こすが、並行して生じる免疫チェックポイント受容体-リガンドの相互作用によりT細胞の活性化が調節を受ける。免疫チェックポイント受容体には共刺激性のものと抑制性のものがあり、両者のバランスによってT細胞の活性化及び免疫反応が調節を受けている。
 がん細胞は、抑制性の免疫チェックポイント受容体に対するリガンドを発現し、該受容体を利用して細胞傷害性T細胞による破壊から逃避している。従って、抑制性の受容体に対するアンタゴニストを投与することで、がん細胞による免疫チェックポイント機構の利用を妨害し、CD8+T細胞によるがん細胞の殺傷を促進することができる。近年抗がん剤として実用化が進みつつあるいわゆる免疫チェックポイント阻害剤とは、抑制性の免疫チェックポイント受容体又はそのリガンドを標的とした抗体である。メラノーマ、肺がん、白血病、胃がん、リンパ腫、腎臓がん等を対象に、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体等の開発が進んでいる。
 また、共刺激性の免疫チェックポイント受容体に対するアゴニストを投与することで、免疫反応を促進し、それによりCD8+T細胞によるがん細胞の殺傷を促進することも可能である。
 本発明において、「アンタゴニスト」という語には、受容体とリガンドとの結合による受容体の活性化を妨害する各種の物質が包含される。例えば、受容体に結合して受容体-リガンド間の結合を妨害する物質、及びリガンドに結合して受容体-リガンド間の結合を妨害する物質を挙げることができる。
 例えば、「抑制性の免疫チェックポイント分子に対するアンタゴニスト」は、抑制性の免疫チェックポイント分子(抑制性の受容体又は該受容体のリガンド)と結合するアンタゴニスト性抗体;抑制性の免疫チェックポイントリガンドに基づいて設計された、受容体を活性化しない可溶性のポリペプチド;又は該ポリペプチドを発現可能なベクター等であり得る。対象となる抑制性の免疫チェックポイント分子として、受容体としてはPD-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、BTLA等を挙げることができ、リガンドとしてはPD-L1(PD-1のリガンド)、PD-L2(PD-1のリガンド)、GAL9(TIM-3のリガンド)、HVEM(BTLAのリガンド)等を挙げることができる。抗体の製造方法、化学合成又は遺伝子工学的手法によるポリペプチドの製造方法は、この分野で周知の常法であり、当業者であれば上記のような抑制性の免疫チェックポイント分子に対するアンタゴニストを常法により調製することができる。
 「共刺激性の免疫チェックポイント分子に対するアゴニスト」は、共刺激性の免疫チェックポイント受容体と結合する、アゴニスト活性を有する抗体;共刺激性の免疫チェックポイントリガンドに基づいて設計された、受容体を活性化する作用を有する可溶性のポリペプチド;又は該ポリペプチドを発現可能なベクター等であり得る。対象となる共刺激性の免疫チェックポイント分子として、受容体としてはCD137、OX40、GITR等を挙げることができ、リガンドとしてはCD137L(CD137のリガンド)、OX40L(OX40のリガンド)、TNFSF18(GITRのリガンド)等を挙げることができる。
 免疫チェックポイント制御剤は、免疫チェックポイント分子に対する抗体(本明細書において該抗体を「抗免疫チェックポイント抗体」という)であり得る。抗免疫チェックポイント抗体の具体例を挙げると、アンタゴニスト抗体としては、受容体に結合して該受容体へのリガンドの結合を阻害する、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗LAG-3抗体、抗TIM-3抗体、抗BTLA抗体等を挙げることができ、アゴニスト抗体としては、受容体に結合して下流のシグナル経路を作動させる活性を有する、抗CD137抗体、抗OX40抗体及び抗GITR抗体等を挙げることができる。さらなる具体例として、抑制性の免疫チェックポイント受容体に対するリガンドに結合して該リガンドの受容体への結合を阻害する、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗GAL9抗体、及び抗HVEM抗体等を挙げることができる。
 免疫チェックポイント制御剤の好ましい具体例としては、アンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、アンタゴニスト性抗CTLA-4抗体、アゴニスト性抗CD137抗体、アンタゴニスト性抗LAG-3抗体、アンタゴニスト性抗BTLA抗体、及びアゴニスト性抗GITR抗体から選択される少なくとも1種、特にはアンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、及び抗PD-L2抗体から選択される少なくとも1種を挙げることができる。有効成分(2)のとりわけ好ましい例としては、細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、アンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、及び抗PD-L2抗体から選択される少なくとも1種を挙げることができる。もっとも本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。
 有効成分(1)、又は(1)及び(2)の組み合わせを投与する対象は、がんの治療を必要とする患者である。患者は典型的には哺乳動物、特にはヒトであるが、これに限定されない。がんの治療という語の定義は上記の通りである。
 HMGタンパク質の投与量は、がんの治療に有効な量であればよい。有効量は、腫瘍の大きさや症状、患者の年齢や体重等に応じて適宜選択され得る。特に限定されないが、HMGタンパク質の投与量は、対象に対し1日当たりの有効量として体重1kg当たり0.0001mg~100mg程度であり、例えば0.001mg/kg~10mg/kg程度、0.005mg/kg~5mg/kg程度、0.01mg/kg~5mg/kg程度、又は0.005mg/kg~2mg/kg程度としてよい。HMGタンパク質の腫瘍に対する作用強度はある一定量以上の高用量(例えば0.1mg/kg以上)では用量依存的ではないことが下記実施例において確認されており、投与量を抑えた方が良好な抗腫瘍効果を得ることができることも期待される。1日の投与は1回でもよいし、数回に分けて投与してもよい。また、本発明による治療期間中のHMGタンパク質の投与は1回でもよいし、あるいは数日間毎日、又は数日、数週若しくは数月おきに複数回投与してもよい。
 HMGタンパク質の投与経路は、経口投与でも非経口投与でもよいが、一般には筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与等の非経口投与が好ましい。全身投与でも局所投与でもよい。局所投与の場合、例えば、腫瘍組織内又はその近傍や、腫瘍近傍の所属リンパ節に投与することができる。
 HMGタンパク質を発現可能な組換えベクターを用いる場合の投与量は、腫瘍の大きさや症状などの上記した要因に加え、組換えベクターの生体細胞内での発現効率などもさらに考慮して適宜選択することができる。通常は、体重1kg当たり組換えベクターの重量で0.0001mg~100mg程度、例えば0.001mg/kg~10mg/kg程度である。投与経路としては、プラスミドベクターを用いる場合は、腕に筋肉内投与ないしは皮下投与、その他の背中、尻などの皮膚に皮下投与、あるいは腫瘍組織内又はその近傍や、腫瘍近傍の所属リンパ節に投与し、投与部位でタンパク質を発現、生産させるのが一般的であるが、これに限定されず、公知の遺伝子ワクチンや遺伝子医薬で利用される各種のDDSを用いてもよい。治療期間中の組換えベクターの投与回数は、1回でもよいし、あるいは数日間毎日、又は数日、数週若しくは数月おきに複数回投与してもよい。
 抗CD4抗体の投与量も、腫瘍の大きさや症状、患者の年齢や体重等に応じて適宜選択される。特に限定されないが、その投与量は、対象に対し1日当たりの有効量として体重1kg当たり0.001mg/kg~1000mg/kg程度、例えば0.01mg/kg~100mg/kg程度であり得る。1日の投与は1回でもよいし、数回に分けて投与してもよい。治療期間中の抗CD4抗体の投与は1回でもよいし、あるいは数日間毎日、又は数日、数週若しくは数月おきに複数回投与してもよい。HMGタンパク質ないしは該タンパク質を発現可能な組換えベクターと同一のスケジュールで投与しても良いし、異なるスケジュールで投与してもよい。抗CD4抗体の投与経路は、経口投与でも非経口投与でもよいが、一般には筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与等の非経口投与が好ましい。全身投与でも局所投与でもよいが、全身投与が好ましい。細胞毒成分を結合させた抗CD4抗体又はその抗原結合性断片の投与についても同様である。
 免疫チェックポイント制御剤の投与量も、腫瘍の大きさや症状、患者の年齢や体重等に応じて適宜選択される。公知の免疫チェックポイント阻害剤をがんの治療に用いる場合と同様の投与量、投与経路、投与スケジュールで用いてよく、治療期間中に毎日又は数日おきに複数回投与するのが一般的である。もっとも、有効成分(1)と組み合わせて用いることにより高い抗がん作用が得られるので、公知の免疫チェックポイント阻害剤を通常用いる場合よりも投与量及び投与回数を減らすことも可能である。投与経路は、経口投与でも非経口投与でもよいが、一般には筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与等の非経口投与が好ましい。全身投与でも局所投与でもよいが、全身投与が好ましい。
 有効成分(1)と(2)を組み合わせて投与する場合には、上述した通り、同時に投与しても良いし、順次に又は別々に投与してもよい。順次に又は別々に投与する場合、どちらを先に投与してもよい。下記実施例では、有効成分(2)の投与を先に開始しているが、これに限定されず、有効成分(1)の投与を先に開始してもよい。
 いずれの有効成分も、各投与経路に適した、薬剤的に許容される担体、希釈剤、賦形剤等の添加剤と適宜混合して製剤することができる。製剤形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などの経口剤や、吸入剤、注射剤、座剤、液剤などの非経口剤などを挙げることができる。製剤方法及び使用可能な添加剤は、医薬製剤の分野において周知であり、いずれの方法及び添加剤をも用いることができる。
 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<材料>
担癌マウス:
 7週齢の雄性BALB/c系マウスを1群8匹で使用し、Colon26大腸癌細胞を2x 105 cells /mouseで右側腹部皮下に移植した。
抗体:
 枯渇性抗マウスCD4 抗体(clone GK1.5), 抗マウスPD-1抗体 (clone J43), 抗マウスPD-L1抗体(clone 10F.9G2)はBioXcell社より購入した。
HMG組換えタンパク質:
 マウスHMGB1はCUSABIO社より購入した。ヒト組換えHMGN1はYang et al., J. Exp. Med. Vol. 209, No. 1, pp.157-171に記載された、細菌発現系で発現させたものを用いた。
<方法>
 HMGN1及びHMGB1は、腫瘍移植の9, 14, 17および20日後に10μg/mouseで腫瘍内または腹腔内に投与した。抗CD4抗体は、腫瘍移植の5および9日後に200μg/mouseで腹腔内に投与した。抗マウスPD-L1抗体および抗PD-1抗体は、腫瘍移植の4, 8, 14および18日後に200μg/mouseで腹腔内に投与した。HMGN1の用量反応性試験では、0.4, 2または10μg/mouseで腹腔内に投与した。3~4日毎に固形腫瘍の長径と短径を測定し、以下の計算式で腫瘍体積を算出した。
腫瘍体積(mm3) = (長径; mm) x (短径; mm)2 x 0.5236
<結果>
1.HMGN1と抗CD4抗体との併用効果
 各投与群の腫瘍体積の測定結果を図1及び図2に示す。
 HMGN1は腫瘍内でも腹腔内投与でも体重や毛並に影響しなかった。
 HMGN1は単独では腫瘍内投与でも腹腔内投与でもColon26固形癌増殖にはほとんど抑制作用は認められなかった。しかし、抗CD4抗体との併用では、腫瘍内投与でも腹腔内投与でも有意にColon26固形癌を抑制した(Dunnett、p<0.01)。とりわけ、HMGN1の腫瘍内投与と抗CD4抗体との併用では、8例中2例で腫瘍が拒絶(完全退縮)された。HMGN1の腹腔内投与と抗CD4抗体との併用では、拒絶例は認められず、day20をピークとして抑制作用が最大になった後徐々に腫瘍体積が増大したが(図1)、抗CD4抗体との併用による相乗効果は顕著であり、腫瘍内投与と同等の効果を有すると評価された(図2)。
2.HMGN1と抗PD-L1、抗PD-1抗体との併用効果
 抗CD4抗体との併用では、HMGN1の腹腔内投与でも腫瘍内投与と同等な効果が認められたので、臨床における投与方法を考慮して以後は腹腔内投与で評価することにした。
 HMGN1腹腔内投与と抗PD-L1抗体又は抗PD-1抗体との併用効果を検討した結果を図3、4に示す。抗PD-1抗体との併用では、有意にColon26固形腫瘍の増殖を抑制し、相乗効果が認められた(Dannett、p<0.01)。抗PD-L1抗体の併用ではさらに顕著な抑制効果が認められ、8匹中2匹でColon26固形腫瘍が完全退縮された。
3.HMGタンパク質の抗CD4抗体又は抗PD-L1抗体との併用効果
 他のHMGタンパク質として、HMGB1についても抗腫瘍効果を検討した。結果を図5、6に示す。HMGN1は抗CD4および抗PD-L1抗体と相乗的にColon26固形癌の増殖を抑制したが、HMGB1はHMGN1とは異なる抑制作用を示した。すなわち、HMGB1はHMGN1とは異なり抗PD-L1抗体との併用効果は認められなかった。しかし、抗CD4抗体との併用では、HMGB1の最終投与(day20)以降から固形腫瘍増殖抑制がみられるようになり、8匹中2匹でColon26固形腫瘍を完全退縮させた。
4.HMGN1の抗CD4抗体との併用効果-HMGN1の用量反応性-
 上記の検討では、HMGN1の投与量は10μg/mouseで実施したが、至適投与量および最小薬理作用量を検討する目的で、0.0032、0.016、0.08、0.4、および2μg/mouse の5用量、公比5で腹腔内投与し、上記と同様の実験系で抗CD4抗体との併用効果を調べた。
 その結果、図7, 8に示したように、0.08~2μg/mouseの3用量で抗CD4抗体と相乗的に作用した。興味深いことに0.08μg/mouseの投与量で抗CD4抗体と相乗的に最も強く作用して、1群8匹中の6匹で固形腫瘍を完全退縮させ、再増殖も見られなかった。0.016μg/mouseの投与量では、群の平均値をとると、抗CD4抗体との併用による相乗効果はみられなかったが(図8)、後述する通り、個体別に評価すると腫瘍増殖が抑制される個体がみられた(図9)。0.0032μg/mouseでは群平均でも個体別でも腫瘍増殖の抑制は観察されなかった。したがって、至適用量は0.08μg/mouse付近で、0.016μg付近が腫瘍抑制の最小作用量であり、0.08μg付近まで用量依存的に腫瘍増殖を抑制することが判明した。
 図9は、HMGN1を0.016μg/mouseで抗CD4抗体と併用投与したColon26担癌マウス8匹(No. 81~88)について、個体ごとに腫瘍体積の変化を調べた結果の一例である。8匹中、1匹ではコントロール群の平均値と同等で投与薬物の効果は見られず、2匹では抗CD4抗体単独投与群と同等の結果でHMGN1併用の効果は認められなかったが、残りの5匹(うち1匹はday23までのデータのみ)では顕著な腫瘍増殖の抑制が認められており、HMGN1併用の相乗効果が確認された。この結果は、個体差はあるがHMGN1の用量0.016μgでも併用による相乗効果が得られることを示している。
5.HMGN1単独での抗腫瘍作用
 上記と同様の実験系を用いて、HMGN1単独投与の抗腫瘍効果を調べた。HMGN1の投与量は0.016, 0.08, 0.4, 2 および10μg/mouseの5用量とし、マウス腹腔内に投与した。
 結果を図10, 11に示す。HMGN1単独投与の場合、0.4, 2および10μg/mouseではコントロール群と有意差が認められなかったが、0.016および0.08μg/mouseの腹腔内投与で有意に腫瘍増殖が抑制された。この結果から、HMGN1が単独でも用量によっては一定の抗腫瘍効果を示すことが確認された。

Claims (24)

  1.  下記有効成分(1)、又は下記有効成分(1)及び(2)の組み合わせを含む抗がん剤。
    (1) HMGB及びHMGNから選択されるHMGタンパク質、又は生体内で該HMGタンパク質を発現可能な組換えベクター
    (2) 細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、細胞毒成分を結合させた抗CD4抗体又はその抗原結合性断片、及び免疫チェックポイント制御剤から選択される少なくとも1種
  2.  前記HMGタンパク質がHMGNである、請求項1記載の抗がん剤。
  3.  前記HMGタンパク質がHMGN1である、請求項2記載の抗がん剤。
  4.  前記有効成分(1)が、HMGB及びHMGNから選択されるHMGタンパク質である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の抗がん剤。
  5.  免疫チェックポイント制御剤が、抑制性の免疫チェックポイント分子に対するアンタゴニスト、及び共刺激性の免疫チェックポイント分子に対するアゴニストから選択される少なくとも1種である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の抗がん剤。
  6.  免疫チェックポイント制御剤が少なくとも1種の抗免疫チェックポイント抗体である、請求項5記載の抗がん剤。
  7.  前記抗免疫チェックポイント抗体が、アンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、アンタゴニスト性抗CTLA-4抗体、アゴニスト性抗CD137抗体、アンタゴニスト性抗LAG-3抗体、アンタゴニスト性抗BTLA抗体、及びアゴニスト性抗GITR抗体から選択される少なくとも1種である、請求項6記載の抗がん剤。
  8.  前記有効成分(2)が、細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、アンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、及び抗PD-L2抗体から選択される少なくとも1種である、請求項6記載の抗がん剤。
  9.  前記有効成分(1)を含み、他の有効成分と組み合わせずに用いられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の抗がん剤。
  10.  前記有効成分(1)及び(2)の組み合わせを含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の抗がん剤。
  11.  前記がんが固形がんである、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の抗がん剤。
  12.  それを必要とする対象に対し、下記有効成分(1)を投与すること、又は下記有効成分(1)及び(2)を組み合わせて投与することを含む、がんの治療方法。
    (1) HMGB及びHMGNから選択されるHMGタンパク質、又は生体内で該HMGタンパク質を発現可能な組換えベクター
    (2) 細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、細胞毒成分を結合させた抗CD4抗体又はその抗原結合性断片、及び免疫チェックポイント制御剤から選択される少なくとも1種
  13.  HMGタンパク質が組換えHMGタンパク質である、請求項12記載の方法。
  14.  組換えHMGタンパク質が、非ヒト細胞で発現させた組換えタンパク質である、請求項13記載の方法。
  15.  前記対象がヒトである、請求項12ないし14のいずれか1項に記載の方法。
  16.  HMGタンパク質がHMGNである、請求項12ないし15のいずれか1項に記載の方法。
  17.  HMGタンパク質がHMGN1である、請求項16記載の方法。
  18.  免疫チェックポイント制御剤が、抑制性の免疫チェックポイント分子に対するアンタゴニスト、及び共刺激性の免疫チェックポイント分子に対するアゴニストから選択される少なくとも1種である、請求項12ないし17のいずれか1項に記載の方法。
  19.  免疫チェックポイント制御剤が少なくとも1種の抗免疫チェックポイント抗体である、請求項18記載の方法。
  20.  前記抗免疫チェックポイント抗体が、アンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、アンタゴニスト性抗CTLA-4抗体、アゴニスト性抗CD137抗体、アンタゴニスト性抗LAG-3抗体、アンタゴニスト性抗BTLA抗体、及びアゴニスト性抗GITR抗体から選択される少なくとも1種である、請求項19記載の方法。
  21.  前記有効成分(2)が、細胞傷害活性を有する抗CD4抗体、アンタゴニスト性抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、及び抗PD-L2抗体から選択される少なくとも1種である、請求項19記載の方法。
  22.  前記有効成分(1)が他の有効成分と組み合わせずに投与される、請求項12ないし17のいずれか1項に記載の方法。
  23.  前記有効成分(1)及び(2)を組み合わせて投与することを含む、請求項12ないし21のいずれか1項に記載の方法。
  24.  前記がんが固形がんである、請求項12ないし23のいずれか1項に記載の方法。
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