WO2017195293A1

WO2017195293A1 - 用紙搬送機、用紙加工装置、及び、用紙搬送方法

Info

Publication number: WO2017195293A1
Application number: PCT/JP2016/063983
Authority: WO
Inventors: 宏生山本; 茂脇本; 悠也須貝; 田渕　秀明
Original assignee: ホリゾン・インターナショナル株式会社
Priority date: 2016-05-11
Filing date: 2016-05-11
Publication date: 2017-11-16

Abstract

用紙搬送機は、用紙の搬送方向Ｙに平行にのびる基準ガイド（１１）と、搬送コンベヤ（１２）とを備えている。搬送コンベヤ（１２）は、複数の孔（１６）を有し、上流側から基準ガイド（１１）に向かって搬送方向Ｙに対し斜めにのびる無端状の搬送ベルト（１５）を備えている。複数の吸引ボックス（２０ａ－２０ｅ）が、搬送ベルト（１５）の長さ方向に並べて配置されている。吸引機構（２３ａ－２３ｅ）が、吸引ボックス（２０ａ－２０ｅ）のそれぞれに対して設けられている。吸引機構（２３ａ－２３ｅ）は、それぞれ、負圧を対応する吸引ボックス（２０ａ－２０ｅ）内に発生させて、エアを吸引ボックス（２０ａ－２０ｅ）内に孔（１６）を通じて取り込む。

Description

用紙搬送機、用紙加工装置、及び、用紙搬送方法

　本発明は、搬送中の用紙の斜行を補正する機構を有する用紙搬送機に関する。本発明は、用紙搬送機を有する用紙加工装置に関する。また、本発明は、用紙搬送機を用いて用紙を搬送する用紙搬送方法に関する。

　用紙加工機は、通常、その前段に配置された用紙搬送機から用紙を受け取り、用紙を加工する。用紙加工機が、用紙折り機や、用紙断裁機であれば、折りナイフ、折りローラまたは断裁刃に対して用紙を正確に位置合わせしなければならない。また、用紙加工機が、画像形成機であれば、その印刷部や複写部に対して用紙を正確に位置合わせしなければならない。そのために、用紙搬送機には、搬送中に用紙が斜行した場合にそれを補正する機構を備えたものがある。

　この種の用紙搬送機は、特許文献２に開示されている。この用紙搬送機は、用紙の搬送方向に平行にのびる基準ガイドと、基準ガイドに隣接して配置された搬送コンベヤとを備えている。搬送コンベヤは、上流側から基準ガイドに向かって搬送方向に対し斜めにのびる無端状の搬送ベルトと、搬送ベルト上で回転可能に保持された複数のボールとを備えている。搬送コンベヤは、用紙をボールの自重によって搬送ベルトに押し付けつつ搬送ベルトによって搬送して、搬送ベルト上で横滑りさせる。それによって、用紙の一側縁がその全長にわたって基準ガイドに当接して、用紙の斜行が補正される。

　この構成によれば、ボールの材質、ボールの個数及びボールの配列パターンを変更することにより、ボール及び搬送ベルト間の摩擦力を調整することができ、材質、厚さ及びサイズ等が異なる用紙に対応可能である。しかしながら、ボールによって用紙に傷や汚れが付くことがある。さらに、異なる用紙毎に、ボールの材質、ボールの個数、及び、ボールの配列パターンを最適に選択するためには、高い熟練度がユーザーに要求される。

　また、特許文献１に開示された用紙搬送機では、搬送コンベヤは、複数のボールに代えて、搬送ベルトの内側に配置されて搬送ベルトの長さ方向にのびる１つの大型の吸引ボックスと、吸引ボックスに接続された減圧機とを備えている。そして、複数の貫通孔が搬送ベルトに形成され、上向きの吸引口が吸引ボックスに形成されている。負圧が減圧機によって吸引ボックス内に発生されると、エアが孔及び吸引口を通って吸引ボックス内に取り込まれる。その結果、用紙は、搬送ベルト上に吸引される。搬送コンベヤは、用紙を搬送ベルト上に吸引しつつ搬送ベルトによって搬送して、搬送ベルト上で横滑りさせる。それによって、特許文献２と同様に、用紙の斜行が補正される。

　この構成によれば、ボールによる用紙へのキズ、汚れといった問題は生じず、またユーザーの作業負担は少ない。しかしながら、１つの大型の吸引ボックスでは、吸引圧（負圧）は、吸引ボックスの上方に位置する用紙の割合に依存して大きく変化する。従って、吸引圧は、用紙の搬送中に安定せず、用紙のサイズによっても変動され、また、吸引ボックスの長さ方向にムラがでる。さらに、吸引圧の調整範囲も狭い。それゆえに、適切に搬送できない用紙は多い。とりわけ、用紙が薄いと、搬送ベルト上で上手く横滑りせず、用紙に皺が形成される。

特開昭６１‐０２６４３号公報ＤＥ１６１１３６２Ａ１

　本発明の目的は、１つの吸引ボックスでは対応できなかった用紙の搬送を可能とする構成の提供にある。

　本発明は、用紙を搬送し、搬送中の前記用紙の斜行を補正する用紙搬送機であって、前記用紙の搬送方向に平行にのびる基準ガイドと、搬送コンベヤと、を備える。前記搬送コンベヤは、複数の孔を有し、上流側から前記基準ガイドに向かって前記搬送方向に対し斜めにのびる無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの長さ方向に並べて設けられた複数の吸引ボックスと、前記吸引ボックスのそれぞれに対して設けられた吸引機構と、を備える。前記吸引ボックスは、それぞれ、前記搬送ベルトの内側で上方を向く吸引口を有している。前記吸引機構は、それぞれ、負圧を対応する前記吸引ボックス内に発生させて、エアを前記吸引ボックス内に前記孔及び前記吸引口を通じて取り込む。

　ある実施形態では、上流側の前記吸引ボックス内に発生される負圧は、下流側の前記吸引ボックス内に発生される負圧よりも大きい。

　別の実施形態では、前記吸引ボックス内に発生される負圧は、上流端の前記吸引ボックスから下流端の前記吸引ボックスへ順番に小さくなっている。

　さらに別の実施形態では、用紙搬送機は、前記吸引ボックスのそれぞれに対して設けられ、対応する前記吸引ボックス内に発生される負圧を設定するための設定部を備える。そして、前記設定部によって設定された負圧が、当該設定部に対応する前記吸引ボックス内に前記吸引機構によって発生される。

　さらに別の実施形態では、用紙搬送機は、前記用紙に関する用紙条件及び前記搬送ベルトに関するベルト条件の少なくともいずれか一方からなる搬送条件を入力するための入力部と、負圧の設定パターンが前記入力部によって入力可能な前記搬送条件毎に記憶された記憶媒体と、を備える。ここで、前記設定パターンは、それぞれ、前記各吸引ボックス内に発生すべき負圧の組合せからなるものである。そして、前記吸引機構は、前記入力部によって入力された前記搬送条件に対応する前記設定パターンの通りに、負圧を前記吸引ボックス内に発生させる。

　また、本発明は、用紙を加工するための用紙加工装置であって、上記の用紙搬送機と、前記用紙搬送機の後段に配置されて、前記用紙搬送機によって搬送された前記用紙を加工する用紙加工機と、を備える。

　また、本発明は、上記の用紙搬送機によって、用紙を搬送し、搬送中の前記用紙の斜行を補正する用紙搬送方法であって、前記用紙を前記吸引機構によって前記搬送ベルト上に吸引しつつ前記搬送ベルトによって搬送することで、前記搬送ベルト上で横滑りさせて、当該用紙の一側縁をその全長にわたって前記基準ガイドに当接させる。

　本発明では、複数の吸引ボックスが、搬送方向に対し斜めにのびる搬送ベルトの長さ方向に並べて設けられており、さらに吸引機構が、吸引ボックスのそれぞれに対して設けられているので、負圧が各吸引ボックス内に独立に発生される。これにより、１つの大型の吸引ボックスによって生じていた上記問題は解消され、従来対応できなかった用紙の搬送が可能になる。

本発明の一実施形態に係る用紙搬送機を備える用紙加工装置を概略的に示す斜視図である。図１の用紙加工装置の側面図である。図１の用紙加工装置の平面図である。図１の用紙加工装置に備えられた用紙搬送機を概略的かつ部分的に示す斜視図である。図４の用紙搬送機の平面図である。図５のＡ－Ａ線断面図である。用紙加工装置（用紙搬送機）のタッチパネル・ディスプレイの表示画面の１つを示す図である。

　以下、添付の図面を参照して、本発明に係る用紙搬送機、用紙加工装置、及び用紙搬送方法の一実施形態について説明する。

　図１‐図３を参照して、用紙加工装置は、用紙Ｓを一枚ずつ供給する給紙機１と、給紙機１の後段に配置され、給紙機１から供給された用紙Ｓを搬送する用紙搬送機２と、用紙搬送機２の後段に配置され、用紙搬送機２から供給された用紙Ｓを加工する用紙加工機３とを備えている。

　給紙機１は、フレーム４に昇降可能に設けられた載置棚５と、フレーム４に支持され、載置棚５の前端上方に配置されたバキュームロータ６とを備えている。用紙Ｓの積層体からなる用紙スタックＴが、載置棚５に置かれている。給紙機１は、載置棚５に置かれた用紙スタックＴの最上位の用紙Ｓをバキュームロータ６によって吸引して用紙搬送機２へ順次送る。

　用紙加工機３は、実施形態では、用紙搬送機２から供給された用紙Ｓを搬送方向Ｙに直角に折る用紙折り機である。用紙加工機３は、フレーム４に取り付けられたバックル７ａ‐７ｄと、バックル７ａ‐７ｄのそれぞれに配置されたストッパ８ａ‐８ｄと、を備えている。実施形態では、４つのバックル７ａ‐７ｄが設けられている。バックル７ａ‐７ｄに導入された用紙Ｓの先端がストッパ８ａ‐８ｄに当接することによって、用紙Ｓが予め定められた折位置に位置決めされる。

　各バックル７ａ‐７ｄの入口の近傍には、用紙Ｓをバックル７ａ‐７ｄに取り込むための一対の回転駆動される取込ローラ９ａ、９ｂ；９ｂ、９ｃ；９ｃ、９ｄ；９ｄ、９ｅが対向配置されている。さらに、バックル７ａ‐７ｄに導入された用紙Ｓのうち当該バックル７ａ‐７ｄの外にはみ出した部分を折り畳むための一対の回転駆動される排出ローラ９ｂ、９ｃ；９ｃ、９ｄ；９ｄ、９ｅ；９ｅ、９ｆが対向配置されている。即ち、前のバックルの排出ローラが、同時に次のバックルの取込ローラとして機能する。

　用紙Ｓは、複数のバックル７ａ‐７ｄに順次導入されて、バックル７ａ‐７ｄの個数に対応する回数だけ、搬送方向Ｙに直角に交互に山折り及び谷折りされる。即ち、用紙搬送機２から搬送されてきた用紙Ｓが一対のローラ９ａ、９ｂの間に引き込まれ、用紙Ｓの先端がバックル７ａ内に導入される。用紙Ｓの先端がバックル７ａのストッパ８ａに当接すると、用紙Ｓはバックル７ａの入口近傍で撓む。当該撓み部分は、一対のローラ９ｂ、９ｃの間に引き込まれ、用紙Ｓは一方側に折り畳まれる。

　折り畳まれた用紙Ｓは、同様にして、バックル７ｂと、一対のローラ９ｂ、９ｃと、一対のローラ９ｃ、９ｄとによって、前とは反対側に折り畳まれる。次いで、用紙Ｓは、バックル７ｃと、一対のローラ９ｃ、９ｄと、一対のローラ９ｄ、９ｅとによって、前とは反対側に折り畳まれ、それから、バックル７ｄと、一対のローラ９ｄ、９ｅと、一対のローラ９ｅ、９ｆとによって、前とは反対側に折り畳まれる。こうして、用紙Ｓは、蛇腹状に折り畳まれ、用紙加工機３から排出される。

　用紙加工機３は、実施形態では、用紙折り機であり、具体的にはバックル折り機であるが、これに代えて、ナイフ折り機等でもよい。また、用紙加工機３は、用紙折り機に代えて、用紙Ｓに筋を形成する筋入れ機、用紙Ｓにミシン目を形成するミシン機、用紙Ｓを所定の形状に打ち抜く打抜き機、用紙Ｓを断裁する断裁機／スリッターでもよい。また、用紙加工機３は画像を用紙Ｓ上に形成する画像形成機でもよい。

　用紙搬送機２は、用紙Ｓを搬送方向Ｙに搬送し、搬送中の用紙Ｓの斜行を補正する。用紙搬送機２は、用紙Ｓの搬送路Ｇを有するフレーム４を備えている。用紙搬送機２は、フレーム４に取り付けられて搬送路Ｇの下側に配置され、搬送中の用紙Ｓの下面の大部分を支持する支持台１０を備えている。

　用紙搬送機２は、フレーム４に取り付けられて搬送路Ｇの一側に配置された基準ガイド１１を備えている。基準ガイド１１は、長さ方向を有するバー形状である。基準ガイド１１は、フレーム４に取り付けられて搬送方向Ｙに平行にのびている。

　用紙搬送機２は、搬送路Ｇの下側に配置され、用紙Ｓを搬送する搬送コンベヤ１２を備えている。搬送コンベヤ１２は、フレーム４に支持されて基準ガイド１１に隣接している。

　図４及び図５は、基準ガイド１１及び搬送コンベヤ１２を詳細に示す。搬送コンベヤ１２は、互いに搬送方向Ｙに間隔をあけて配置され、その回転軸の周りに回転可能にフレーム４に支持された一対のプーリ１３、１４を備えている。上流側のプーリ１３は、下流側のプーリ１４に対して、基準ガイド１１から離れる方向にシフトされている。

　搬送コンベヤ１２は、一対のプーリ１３、１４に掛け渡されて、上流側から基準ガイド１１に向かって搬送方向Ｙに対し斜めにのびる無端状の搬送ベルト１５を備えている。なお、一対のプーリ１３、１４の回転軸は、搬送方向Ｙに直角な水平方向に平行にのびるのではなく、当該水平方向に対し僅かに斜めにのびており、搬送ベルト１５は皺や歪みなく搬送方向Ｙに対し斜めにのびている。搬送ベルト１５は、複数の孔１６を有している。孔１６は、搬送ベルト１５の全体にわたってその幅方向及び長さ方向（延設方向）に並んで形成されている。

　搬送コンベヤ１２は、搬送ベルト１５を駆動するためのベルト駆動機構１７（図４）を備えている。ベルト駆動機構１７は、その詳細が省略されているが、例えば、モータと、モータの駆動軸に取り付けられたタイミングプーリと、上流側のプーリ１３の回転軸に取り付けられたタイミングプーリと、これらのタイミングプーリに掛け渡されたタイミングベルトとを含む。上記構成により、上流側のプーリ１３がモータによって回転され、それによって、搬送ベルト１５が駆動される。搬送ベルト１２は、ベルト駆動機構１７により搬送ベルト１５を駆動して、用紙Ｓを給紙機２から用紙加工機３へ搬送する。

　支持プレート１８が、フレーム４に取り付けられて、支持台１０（図１‐図３）と基準ガイド１１との間に配置され、搬送方向Ｙにのびている。図６の断面図の通り、支持プレート１８は、搬送ベルト１５の内側に通されており、搬送ベルト１５の上側部分を支持する。図５の通り、支持プレート１８は、搬送ベルト１５の長さ方向にのびる複数のスリット１９を有している。スリット１９は、孔１６の配列に関連付けて、搬送ベルト１５の幅方向及び長さ方向に並んで、支持プレート１８の搬送ベルト１５の支持部分に形成されている。

　搬送コンベヤ１２は、適宜の間隔をあけて、搬送ベルト１５の長さ方向に並んで配置された複数の吸引ボックス２０ａ‐２０ｅを備えている。実施形態では、５つの吸引ボックス２０ａ‐２０ｅが設けられている。図６の通り、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅは、それぞれ、搬送ベルト１５の内側に位置し、上方を向き、支持プレート１８に覆われた吸引口２１を有している。吸引ボックス２１は、それぞれ、搬送ベルト１５の外側に位置し、下方向を向く排出口２２を有している。

　搬送コンベヤ１２は、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅのそれぞれに対して設けられた吸引機構２３ａ‐２３ｅ（図４）を備えている。吸引機構２３ａ-２３ｅは、それぞれ、対応する吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に負圧を発生させてエアを孔１６、スリット１９、及び、吸引口２１を通じて吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に取り込む。

　図６の通り、吸引機構２３ａ‐２３ｅは、それぞれ、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅに排出口２２で接続された筒形状のケーシング２４と、ケーシング２４に取り付けられてケーシング２４内に配置されたモータ２５と、ケーシング２４内に配置され、モータ２５の駆動軸に連結されたファン２６と、を備えている。

　ファン２６がモータ２５によって回転されると、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内のエアは排出口２２を通じて排出され、負圧が吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生される。それにより、搬送ベルト１５の上方のエアは、孔１６、スリット１９、及び、吸引口２１を通じて吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に取り込まれる。従って、用紙Ｓが、搬送ベルト１５上にあれば、当該用紙Ｓは吸引機構２３ａ‐２３ｅによって搬送ベルト１５上に吸引される。

各吸引機構２３ａ‐２３ｅは、上記の構成に代えて、吸引ブロアと、吸引ブロアと吸引ボックスとに接続された吸引管と、を備え、負圧を吸引ブロアによって吸引ボックス内に発生させて、用紙Ｓを搬送ベルト１５上に吸引してもよい。

　搬送コンベヤ１２は、用紙Ｓを吸引機構２３ａ‐２３ｅによって搬送ベルト１５上に吸引しつつ搬送ベルト１５によって搬送する。それによって、用紙Ｓは搬送ベルト１５上で横滑りし、その一側縁が、先端部から順に基準ガイド１１に当接していく。最終的には、用紙Ｓの一側縁がその全長にわたって基準ガイド１１に当接する。その結果、用紙Ｓの斜行は補正される。それから、用紙Ｓは、用紙加工機３の一対のローラ９ａ、９ｂに受け渡され、上述のように加工される。

　上記構成によれば、用紙Ｓを搬送ベルト１５上に吸引するための負圧が、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ毎に独立に発生される。従って、モータ２５またはファン２６の性能、または、ファン２６の回転速度を吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ毎に変えれば、異なる負圧を吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生させることができる。

　それによって、例えば、上流側の吸引ボックス２０ａ、２０ｂ内に発生される負圧を、下流側の吸引ボックス２０ｃ‐２０ｆ内に発生される負圧よりも小さくことができる。また例えば、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生される負圧を、上流側の吸引ボックス２０ａから下流側の吸引ボックス２０ｅへ順番に小さくすることもできる。

　用紙Ｓを適切に搬送するためには、一般的に、用紙Ｓを、基準ガイド１１から離れている搬送路Ｇの前半においては搬送ベルト１５上に強く吸引し、一方、基準ガイド１１に寄っている搬送路Ｇの後半においては搬送ベルト１５上に弱く吸引することが好ましい。従って、上記に例示の負圧の設定によれば、薄い用紙Ｓでも、皺が形成されることなく搬送される。

　用紙搬送機２では、以下の通り、ユーザーが、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内の負圧を設定することができる。用紙搬送機２は、吸引機構２３ａ‐２３ｅを制御して、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内の負圧をそれぞれ調整するための制御部２７（図４）を備えている。制御部２７は、プロセッサー等で構成される。各吸引機構２３ａ‐２３ｅのモータ２５は、制御部２７に接続されている。制御部２７がファン２６の回転速度をモータ２５の制御によって変更することで、各吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内の負圧が調整される。また、制御部２７は、ベルト駆動機構１７（そのモータ）も制御する。

　用紙搬送機２は、ユーザーからの入力を受けるための操作部２８（図４）を備えている。操作部２８は、制御部２７に接続されている。操作部２８は、タッチパネル・ディスプレイを含む。図７の通り、操作部２８は、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅのそれぞれに対して設けられ、表示画面上に表示された設定部２９ａ‐２９ｅを含む。設定部２９ａ‐２９ｅは、対応する吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生される負圧（即ち、ファン２６の回転数）を設定するためにユーザーに操作される。

　複数の負圧（ファン２６の回転速度）の設定値が、予め設けられている。負圧が最も小さい（吸引力が最も小さい）設定値「１」から負圧が最も大きい（吸引力が最も大きい）設定値「１０」までの１０個の設定値がある。設定部２９ａ‐２９ｅは、それぞれ、設定値を大きくする「＋」ボタンと、設定値を小さくする「－」ボタンとからなる。ユーザーは、設定部２９ａ‐２９ｅの操作によって、設定値を吸引ボックス２０ａ‐２０ｅのそれぞれに対して設定する。設定された設定値は、画面上に表示される。図７の例示では、設定値「１０」、「８」、「５」、「３」、「３」が吸引ボックス２０ａ‐２０ｅのそれぞれに対して設定されている。設定部２９ａ‐２９ｅによって設定された設定値は、入力部２８から制御部２７へ送られる。

　それから、制御部２７は、吸引機構２３ａ‐２３ｅを制御して、設定部２９ａ‐２９ｅによって設定された負圧を、設定部２９ａ‐２９ｅに対応する吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生させる。即ち、図７の例示では、設定値「１０」に相当の負圧が、吸引ボックス２０ａ内に吸引機構２３ａによって発生される。設定値「８」に相当の負圧が、吸引ボックス２０ｂ内に吸引機構２３ｂによって発生される。以下同様に、設定値「５」に相当の負圧が、吸引ボックス２０ｃ内に発生され、設定値「３」に相当の負圧が吸引ボックス２０ｄ、２０ｅ内に発生される。

　それから、用紙搬送機２は、給紙機１から順次供給される用紙Ｓを、基準ガイド１１及び搬送コンベヤ１２によって用紙加工機３へ搬送する。

　この構成によれば、ユーザーが、各吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内の負圧を、用紙Ｓの材質、厚さ、サイズ（幅、長さ）等に合わせて自由に調整することができる。

　用紙搬送機２は、さらに以下に示すように、各吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内の負圧を自動的に設定する機能も有している。操作部２８は、図示されていなが、搬送条件を入力するためにユーザーによって操作される入力部を含む。この入力部は、図７の表示に代えて、画面上に表示される入力領域や入力ボタン等で構成される。

　実施形態では、搬送条件は、用紙Ｓに関する用紙条件及び搬送ベルト１５に関するベルト条件からなる。用紙条件は、用紙Ｓの厚さ、用紙Ｓのサイズ（幅、長さ）、用紙Ｓの塗工の有無を含む。ベルト条件は、搬送ベルト１５の駆動速度を含む。

　用紙搬送機２は、記憶媒体３０（図４）を備えている。記憶媒体３０は、メモリ、ハードディスク等である。負圧（ファン２６の回転速度）の設定パターンが、入力部によって入力可能な搬送条件毎に記憶媒体３０に記憶されている。設定パターンは、それぞれ、各吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生すべき負圧の組合せからなる。

　例えば、負圧の組合せ「Ｐａ_１；Ｐｂ_１；Ｐｃ_１；Ｐｄ_１；Ｐｅ_１」からなる「設定パターン１」が、用紙Ｓの厚さ「ｔ_１」、サイズ「Ａ１サイズ」、塗工「有」、搬送ベルト１５の駆動速度「ｖ_１」からなる「搬送条件１」に対して設けられる。また、例えば、負圧の組合せ「Ｐａ_２；Ｐｂ_２；Ｐｃ_２；Ｐｄ_２；Ｐｅ_２」からなる「設定パターン２」が、用紙Ｓの厚さ「ｔ_２」、サイズ「Ａ３サイズ」、塗工「無」、搬送ベルト１５の駆動速度「ｖ_２」からなる「搬送条件２」に対して設けられる。これらの設定パターンは、対応する搬送条件下で用紙Ｓを適切に搬送できるように、予め経験的に決定されたものである。

　入力部によって入力された搬送条件が、操作部２８から制御部２７に送られる。制御部２７は、入力された搬送条件に基づいてベルト駆動機構１７を制御して、搬送ベルト１５を駆動する。さらに、制御部２７は、入力された搬送条件に対応する設定パターンを記録媒体３０から取得し、取得された設定パターンに基づいて吸引機構２３ａ‐２３ｅを制御する。それによって、吸引機構２３ａ‐２３ｅは、取得された設定パターンの通りに、負圧を吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内に発生させる。

　例えば、「搬送条件２」が入力部により入力されると、ベルト駆動機構１７は、搬送ベルト１５を駆動速度ｖ_２で駆動させ、吸引機構２３ａ‐２３ｅは、「設定パターン２」の通りに、負圧Ｐａ_２‐Ｐｅ_２を、吸引ボックス２０ａ‐２０ｅ内にそれぞれ発生させる。

　以上の構成によれば、ユーザーが搬送条件を入力するだけで、その搬送条件下において最適な負圧の設定パターンが自動的に設定され、その結果、用紙Ｓが適切に搬送される。従って、高い熟練度がユーザーに要求されることはなく、全てのユーザーが容易に用紙搬送機２及びこれを有する用紙加工装置を使用することがでる。

　以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。

１　給紙機
２　用紙搬送機
３　用紙加工機
１１　基準ガイド
１２　搬送コンベヤ
１５　搬送ベルト
１６　搬送ベルトの孔
１７　ベルト駆動機構
２０ａ－２０ｅ　吸引ボックス
２１　吸引口
２２　排出口
２３ａ‐２３ｅ　吸引機構
２５　モータ
２６　ファン
２７　制御部
２８　操作部
２９ａ‐２９ｅ　設定部
３０　記憶媒体
Ｇ　搬送路
Ｓ　用紙
Ｔ　用紙スタック
Ｙ　搬送方向

Claims

　用紙を搬送し、搬送中の前記用紙の斜行を補正する用紙搬送機であって、
　前記用紙の搬送方向に平行にのびる基準ガイドと、
　搬送コンベヤと、を備え、
　前記搬送コンベヤは、
　複数の孔を有し、上流側から前記基準ガイドに向かって前記搬送方向に対し斜めにのびる無端状の搬送ベルトと、
　前記搬送ベルトの長さ方向に並べて設けられた複数の吸引ボックスと、
　前記吸引ボックスのそれぞれに対して設けられた吸引機構と、を備え、
　前記吸引ボックスは、それぞれ、前記搬送ベルトの内側で上方を向く吸引口を有しており、
　前記吸引機構は、それぞれ、負圧を対応する前記吸引ボックス内に発生させて、エアを前記吸引ボックス内に前記孔及び前記吸引口を通じて取り込む、
　ことを特徴とする用紙搬送機。
　上流側の前記吸引ボックス内に発生される負圧は、下流側の前記吸引ボックス内に発生される負圧よりも大きい、ことを特徴とする請求項１に記載の用紙搬送機。
　前記吸引ボックス内に発生される負圧は、上流端の前記吸引ボックスから下流端の前記吸引ボックスへ順番に小さくなっている、ことを特徴とする請求項１に記載の用紙搬送機。
　前記吸引ボックスのそれぞれに対して設けられ、対応する前記吸引ボックス内に発生される負圧を設定するための設定部を備え、
　前記設定部によって設定された負圧が、当該設定部に対応する前記吸引ボックス内に前記吸引機構によって発生される、
　ことを特徴とする請求項１に記載の用紙搬送機。
　前記用紙に関する用紙条件及び前記搬送ベルトに関するベルト条件の少なくともいずれか一方からなる搬送条件を入力するための入力部と、
　負圧の設定パターンが、前記入力部によって入力可能な前記搬送条件毎に記憶された記憶媒体と、を備え、
　前記設定パターンは、それぞれ、前記各吸引ボックス内に発生すべき負圧の組合せからなり、
　前記吸引機構は、前記入力部によって入力された前記搬送条件に対応する前記設定パターンの通りに、負圧を前記吸引ボックス内に発生させる、
　ことを特徴とする請求項１に記載の用紙搬送機。
　用紙を加工するための用紙加工装置であって、
　請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の用紙搬送機と、
　前記用紙搬送機の後段に配置されて、前記用紙搬送機によって搬送された前記用紙を加工する用紙加工機と、を備えることを特徴とする用紙加工装置。
　請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の用紙搬送機によって用紙を搬送し、搬送中の前記用紙の斜行を補正する用紙搬送方法であって、
　前記用紙を前記吸引機構によって前記搬送ベルト上に吸引しつつ前記搬送ベルトによって搬送することで、前記搬送ベルト上で横滑りさせて、当該用紙の一側縁をその全長にわたって前記基準ガイドに当接させる、
　ことを特徴とする用紙搬送方法。