WO2017110506A1 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

所定の工程を含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、前記工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を1日~60日間保持し、該保持した回収液を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。

Description

(メタ)アクリル酸の製造方法
 本発明は、有機溶剤による(メタ)アクリル酸の抽出を含む(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。特に、(メタ)アクリル酸の製造プロセスにおいて蒸留工程における熱負荷を低減してエネルギー的に有利な運転を行うとともに、抽出工程における油水懸濁状態の発生を防止し、抽出工程における水の分離を良好に維持して安定的に高品質の(メタ)アクリル酸を製造する方法に関する。
 (メタ)アクリル酸[アクリル酸及び/又はメタクリル酸]は、炭素数3(C3)の炭化水素であるプロピレンやプロパンあるいは炭素数4(C4)の炭化水素であるイソブチレンやブテン類及びターシャリーブタノールを、酸素源である空気及び水蒸気や窒素とともに、2種類の固体触媒を用いて気相接触酸化することによって、酸化反応ガスとして得られる。得られた酸化反応ガスは、冷却後、吸収塔で重合防止剤を含んだ吸収水と気液接触することにより(メタ)アクリル酸水溶液として分離され、吸収されないガスは廃ガス処理工程に導入されて無害化後廃棄されるが、一部は酸化反応工程にリサイクルされる。
 吸収塔から得られる(メタ)アクリル酸水溶液は、通常、抽出や共沸蒸留によって精製されて、(メタ)アクリル酸が製造される(非特許文献1)。抽出法では、ケトン類、アルコール類、エーテル類やエステル類あるいは炭化水素類から選択される抽出溶剤を用いて、抽出塔で(メタ)アクリル酸水溶液が抽出処理され、(メタ)アクリル酸と抽出溶剤との混合液である抽出液となる。この抽出液は、さらに(メタ)アクリル酸精製系に導入され、蒸留、晶析等で精製処理されて製品の(メタ)アクリル酸となる。
 (メタ)アクリル酸の製造プロセスでは、機器や配管内に重合物等の汚れが蓄積するため、定期的に機器の開放洗浄を実施する必要がある。その際、各機器内の滞留液は一度排出してタンク等の貯槽に保持される。また、運転トラブルが発生し、プロセスを部分的、或いは全体を停止する際にも排出液が発生する。これらの排出液内には、アクリル酸等の有価物が多量に含まれており、廃棄することは原単位上好ましくない。そのため、洗浄が完了してプロセスの運転が再開された後、これらの排出液を再度プロセス内に送液する必要がある。また、これらの排出液には水が多量に含まれている場合があり、アクリル酸から水を除去する工程である、抽出工程に送液されることが理想である。しかしながら、これらの排出液には同時に、由来は正確に明らかになっていないが、油水分離に対して悪影響を引き起こす成分も含まれている。そのため、これらの排出液を抽出工程に送液した場合、油水分離悪化成分の含有量や運転条件次第では、油水の懸濁状態が発生して分離不良となり、運転トラブルを引き起こす懸念があった。そのため、従来技術では、これらの排出液を蒸留プロセスに送液していた(たとえば特許文献1)。
特開2003-292470号公報 特開2013-151455号公報
大森栄三著、「アクリル酸とそのポリマー〔I〕」、第3版、株式会社昭晃堂、1978年4月28日、p10から13(1・4 アクリル酸の精製法)
 (メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液内には、前述の通り、水等の蒸発潜熱が大きい成分も含まれており、上記の方法による運転を実施する場合、蒸留塔を多段にする、運転時の熱負荷を上げる等の対応が必要であり、エネルギー的に不利であった。また、排出液に含まれる(メタ)アクリル酸のオリゴマー・ポリマーやマレイン酸誘導体・フェノール樹脂等の成分の影響により、蒸留塔のリボイラーや抜出配管が汚染され、機器の開放洗浄の頻度を高める懸念もあった。
 本発明は、(メタ)アクリル酸の製造プロセスにおいて蒸留工程における熱負荷を低減してエネルギー的に有利な運転を行うとともに、抽出工程における油水懸濁状態の発生を防止し、抽出工程における水の分離を良好に維持して安定的に高品質の(メタ)アクリル酸を製造する方法の提供を課題とする。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を抽出工程に送液することで、蒸留工程の熱負荷を軽減し、エネルギー的に有利な運転を行うとともに、排出液由来の汚染を軽減できることを見出した。但し、(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液中には、前述の通り、油水分離に悪影響を与える成分も多量に含まれている場合があり、これらの成分が抽出工程に送液されることにより、抽出工程における油水分離を悪化させる可能性がある。抽出工程において油水分離が悪化した場合、水が抽出溶剤に含有された状態で下流に流通し、下流の精製負荷増大や製品品質の悪化を引き起こす可能性がある。それらを防止するためには、液負荷を一定以下に維持することで油水分離を確実に行うことが考えられるが、そのためには運転時の処理能力に制限を設ける必要があり、場合によっては生産能力の低下を招く。
 この問題を解決するため、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、以下の操作を実施することで、抽出工程における油水分離の悪化を防止し、安定的に高品質の(メタ)アクリル酸を製造できることを見出した。
(a)(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を含む液を回収液として保持し、該保持した回収液を該抽出工程に送液する。
(b)上記回収液を抽出工程における(メタ)アクリル酸水溶液が供給される場所と同じ場所に送液する。
(c)(メタ)アクリル酸水溶液と上記回収液との混合組成中のミカエル付加物の濃度を0.05~0.7重量%とする。
(d)上記回収液を蒸留した後、留出液を抽出工程に送液する。
(e)上記回収液を油水分離後、油相を抽出工程に送液する。
(f)抽出工程における抽出温度を30~90℃に調整する。
 従来技術には上記課題がない。すなわち、本発明は従来から全く認識されていなかった新規な課題を見いだし、解決したものである。上記課題を認識していない当業者は、回収液の保持、蒸留、油水分離等の新たな工程又はこれらを行う装置を製造プロセスに加えるようなコストメリットを低減することを通常実施しない。加えて、連続製造においては、抽出工程では、一定量的な仕込量、仕込比とすることが基本であるところ、回収液の保持、蒸留、油水分離等の操作で得られた液を抽出工程に送液することは、該仕込量、仕込比の変動をきたす可能性を含むことであり、通常実施しない。すなわち、(メタ)アクリル酸製造において、排出された排出液を一手間かけた後に抽出工程に送液することは通常実施しない。
 本発明は以下の通りである。
<1>
 気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
 前記工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を1日~60日間保持し、該保持した回収液を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。
<2>
 気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
 前記各工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を油水分離し、該油水分離した油相を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。
<3>
 気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
 前記各工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を蒸留し、蒸留した留出液を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。
<4>
 前記各工程の少なくとも1工程において、該工程における反応物の供給と該工程における排出液の排出とを同時に行う、<1>乃至<3>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
<5>
 前記回収液が水を含む、<1>乃至<4>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
<6>
 前記抽出工程に送液する回収液を、抽出工程における(メタ)アクリル酸水溶液が供給される場所と同じ場所に供給する、<1>乃至<5>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
<7>
 前記回収液と前記(メタ)アクリル酸水溶液との混合組成中のミカエル付加物の濃度が0.05~0.7重量%である、<1>乃至<6>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
<8>
 前記抽出工程における抽出温度が30~90℃である、<1>乃至<7>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
<9>
 前記抽出溶剤が、(メタ)アクリル酸の沸点より低沸点である非水溶性芳香族化合物を主成分とする溶剤である、<1>乃至<8>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
<10>
 前記非水溶性芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、<9>に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
 本発明によれば、(メタ)アクリル酸の製造プロセスにおける蒸留工程の熱負荷を軽減し、エネルギー的に有利な運転を行うとともに、排出液由来の汚染を軽減することができる。さらに、抽出工程における油水分離の悪化を防止して水や他の不純物の除去性能を高レベルに維持し、安定的に高品質の(メタ)アクリル酸を製造することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造設備の一例を示す概略図である。
 以下に本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
 本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、前記工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として保持し、該保持した回収液を該抽出工程に送液することを必須とし(下記(a))、好ましくは以下の条件(下記(b)~(f))を満たすような運転を行うことを特徴とする。
(a)(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を含む液を回収液として保持し、該保持した回収液を該抽出工程に送液する。
(b)上記回収液を抽出工程における(メタ)アクリル酸水溶液が供給される場所と同じ場所に送液する。
(c)(メタ)アクリル酸水溶液と上記回収液との混合組成中のミカエル付加物の濃度を0.05~0.7重量%とする。
(d)上記回収液を蒸留した後、留出液を抽出工程に送液する。
(e)上記回収液を油水分離後、油相を抽出工程に送液する。
(f)抽出工程における抽出温度を30~90℃に調整する。
 (a)に記載の通り、本発明では、(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を含む液を回収液として例えば貯槽などに保持することを特徴とする。尚、該回収液は、(メタ)アクリル酸の製造中に回収しても、製造が停止しているときに回収しても構わない。また、各工程における反応物の供給と排出液の排出とは同時に行われても構わない。回収液を保持することにより、様々な組成を有する排出液が混合されて成分が均一化され、油水分離を悪化させる成分の濃度が希釈される。また、固形物の沈降や油水の分離が行われることにより、悪化成分を除去しやすくなる効果も得られる。本発明における(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液とは、定期修理・洗浄やプラントトラブル等、非定常運転時にプロセスから排出された排出液であればよく、具体的には、吸収塔、抽出塔、蒸発缶、蒸留塔等から排出された液を指す。また、本発明における保持とは、バッファータンク、オフスペックタンク、ランダウンタンク等の貯槽に液を入れておく操作を指し、保持期間としては1日~60日、好ましくは2日~40日、より好ましくは2日~10日である。尚、本明細書において、1日とは24時間である。この期間が短すぎると、油水分離を悪化させる成分の濃度の希釈や、固形物の沈降・油水分離の効果が十分得られず、長すぎると、ミカエル付加物や重合物等の新たな不純物の生成により、油水分離性が逆に悪化する。
 保持の操作を実施せず、(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された液を速やかに抽出工程に供給した場合には、油水分離の悪化を招き、水が抽出溶剤に含有された状態で下流に流通し、下流の精製負荷増大や製品品質の悪化を引き起こす可能性がある。
 前述のように、(メタ)アクリル酸製造プロセスから排出された排出液中には、油水分離を悪化させる成分が含まれるが、排出液が排出されるタイミングによって、油水分離悪化物質の含有量は変動する。これらの成分の濃度をモニタリングしながら、その濃度を適正な範囲に維持することが、最も効率的な運転方法であると考えられるが、油水分離を悪化させる成分は複数あると考えられ、正確に明らかになっていないことから、モニタリングすることが困難であった。
 この問題に対し、本発明では、さらに検討の結果、ミカエル付加物を油水分離の指標物質として用いることができることを見出し、その濃度を一定範囲に管理することで油水分離の悪化を防ぐことが可能であることに到達した。(c)に記載の通り、油水分離性の管理方法として、(メタ)アクリル酸水溶液と上記回収液との混合組成中のミカエル付加物の濃度が0.05~0.7重量%となるよう管理することが好ましい。ミカエル付加物の濃度は、より好ましくは0.05~0.6重量%、さらに好ましくは0.1~0.5重量%である。ミカエル付加物の濃度が低すぎると、酸化反応工程及び吸収工程の条件が制限を受けることになり、高すぎると、抽出工程での油水分離を悪化させることになる。ここで記載される混合組成とは、回収液を(メタ)アクリル酸水溶液と配管内で混合する場合には、混合液の組成を指し、回収液を(メタ)アクリル酸水溶液と別の配管で抽出工程に供給する場合には、それぞれの組成と流量比率から算出される、混合された場合の想定組成を指す。ミカエル付加物の濃度は公知の方法により測定できる。例えば、ガスクロマトグラフィーで測定することができる。
 上記の濃度範囲を維持するための方法として、回収液の流量を調整することや、高純度なアクリル酸を別途供給して、ミカエル付加物の濃度を調整することが考えられるが、その場合には処理量に制限が設けられることになる。そのため、(d)に記載されたように、回収液を抽出工程に送液する前に蒸留操作を行うことが好ましい。蒸留操作を行い、留出液を抽出工程に送液することで、抽出工程における油水分離悪化を防止することができる。ここで留出液とは、蒸留塔を用いて蒸留操作を行った場合に塔頂より得られる成分の凝縮液を指す。抽出工程において油水分離を悪化させる成分は複数あると考えられ、明確に明らかにはなっていないが、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物や(メタ)アクリル酸の重合物、その他の高沸点化合物や固形物等が含まれると考えられるため、蒸留によりそれらの成分が除去されることによって、油水分離悪化の防止に寄与すると推定される。
 また、(e)のように、回収液の油水分離操作を行うことによっても、抽出工程での油水分離悪化を防止することができる。理由は明らかになっていないが、油水分離を悪化させる成分の中には、水への溶解性を有する成分が含まれるため、油水分離を行った後油相を抽出工程に送液することで、抽出工程における油水分離悪化を防止することができると考えられる。
 回収液は、保持、蒸留、及び油水分離からなる群から選択される1以上を経た後に、(メタ)アクリル酸の製造中の抽出工程に送液されることが好ましく、連続製造中の抽出工程に送液されることがより好ましい。回収液を送液する場所は、(b)に記載の通り、抽出工程における(メタ)アクリル酸水溶液の供給場所と同じ場所とすることが好ましい。方法としては、(メタ)アクリル酸水溶液が流通する配管に回収液を混合する方法や、(メタ)アクリル酸水溶液が供給される場所に別配管で供給する方法が考えられる。後者の例としては、抽出工程として抽出塔を用い、(メタ)アクリル酸水溶液を塔頂に供給する場合、塔頂部に別の配管で回収液を供給する方法が考えられる。この方法を実施せず、回収液を、例えば抽出溶剤と同じ場所に供給した場合には、(メタ)アクリル酸の抽出効率を低下させることとなる。
 また、油水分離時の温度が高いほど油水の相互溶解度が大きくなるため、抽出時の温度は20~30℃程度の低温で行われるのが一般的であるが(例えば特許文献2)、低温時には油水の分離速度が遅いため、油水懸濁状態の防止という観点では低すぎない方がよい。油水の相互溶解度と油水分離速度のバランスが最もよく、油水分離性を悪化させる成分の新たな生成等も抑制できるための最適な温度は、(f)に記載の通り、30~90℃が好ましく、より好ましくは40~80℃、さらに好ましくは40~60℃である。温度を調整する方法としては、抽出工程に供給される(メタ)アクリル酸水溶液や上記回収液、もしくはそれらの混合溶液の温度を適正な範囲に調整することが最も効率的である。
 以下に、(メタ)アクリル酸の製造設備の一例を概略的に示す図1を参照し、(メタ)アクリル酸の製造の代表例として、プロピレンを原料としたアクリル酸の製造を例示して、本発明を説明する。ただし、本発明はプロピレンを原料としたアクリル酸の製造に限らず、炭素数3の炭化水素又は炭素数4の炭化水素を原料とするアクリル酸又はメタクリル酸の製造全般に適用することができる。
1)酸化反応工程
 空気(11)、希釈剤(12)としての水蒸気及び/又は窒素、更に反応原料としてのプロピレン(10)が混合されて、酸化反応器(前段反応器)(1)に供給される。前段反応器(1)には、モリブデン(Mo)-ビスマス(Bi)系の複合金属酸化物からなる固体触媒が充填されており、熱媒体の循環で温度制御されている。前段反応器(1)の構造は、一般的には多管式熱交換器タイプやプレート熱交換器タイプである。前段反応器(1)でプロピレンがアクロレインに変換された反応生成ガスは、次いで、酸化反応器(後段反応器)(2)に供給される。後段反応器(2)には空気(11)などが添加されることもある。後段反応器(2)には、モリブデン(Mo)-バナジウム(V)系の複合金属酸化物触媒が充填され、熱媒体の循環で温度制御されている。後段反応器(2)の構造は、前段反応器(1)と同様なものが用いられる。後段反応器(2)でアクロレインがアクリル酸に転化され、酸化反応ガス(13)が得られる。
2)吸収工程
 酸化反応ガス(13)は、熱交換器(9-1)で150~200℃に冷却された後、吸収塔(3)へ導入され、アクリル酸水溶液とし、熱交換器(9-3)により温度制御される。具体的には、熱交換器(9-1)で冷却された酸化反応ガスは吸収塔(3)へ導入され、吸収塔(3)の塔頂から供給された重合防止剤(15)を含む吸収水(17)と酸化反応ガスとが気液接触して酸化反応ガス中のアクリル酸等が吸収され、アクリル酸水溶液(14)となる。吸収塔(3)は通常理論段10~20段の段塔や充填塔が用いられる。吸収塔(3)の塔頂温度は通常30~70℃、塔底温度は通常35~85℃であり、熱交換器(9-3)を用いて温度制御される。
 吸収塔(3)の塔頂からの廃ガスは、主成分は窒素で、水及び未反応の酸素やプロピレンを含み、酸化反応の副生成物である二酸化炭素(CO2)及び酢酸やホルムアルデヒド等、更に吸収されなかった少量のアクリル酸を含む。該廃ガスはそのまま、一部が酸化反応工程へリサイクルされることもあるが、通常廃ガス処理工程(4)で無害化された後、酸化反応器(1)又は(2)にリサイクル(23)され、残部は廃ガス(22)として廃棄される。
 塔底液のアクリル酸水溶液(14)のアクリル酸濃度は30~70重量%程度であり、ホルムアルデヒド、酢酸、マレイン酸やフタル酸などの副生成物及び吸収塔(3)の塔頂に添加された重合防止剤等を含む。
 アクリル酸の製造工程で重合防止剤として用いられる物質については種々提案されている。例えば、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテルのようなフェノール化合物以外にも、フェノチアジン化合物、銅塩化合物、マンガン塩化合物、アミン化合物、ニトロソ化合物やN-オキシル化合物などがある。
 それぞれの化合物について、例を挙げれば、フェノチアジン化合物としては、フェノチアジン、ビス-(α-メチルベンジル)フェノチアジン等が挙げられる。
 銅塩化合物としては、特に制限はなく、無機塩、有機塩のいずれであってもよく、多くの化合物が使用可能である。例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸銅、酢酸銅、アクリル酸銅、ナフテン酸銅、硫酸銅、パラトルエン酸銅、硝酸銅及び炭酸銅があるが、吸収塔(3)の塔内液は水溶液であるので、水溶性の化合物が好ましく、例えば、酢酸銅、アクリル酸銅、炭酸銅、硫酸銅やパラトルエン酸銅が好適である。
 マンガン塩化合物としては、酢酸マンガン、蟻酸マンガン、アクリル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、硫酸マンガンや炭酸マンガンが好適である。
 ニトロソ化合物及びアミン化合物としては、p-ニトロソフェノール、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン及びそのアンモニウム塩、あるいはN-ニトロソジフェニルアミン及びそのアンモニウム塩などが挙げられる。
 N-オキシル化合物としては、第3ブチルニトロオキシド、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4,4’,4”-トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジノオキシル)フォスファイトなどが挙げられる。
3)廃ガス処理工程
 吸収塔(3)の塔頂から排出される廃ガスは、通常、水、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)と共に、酢酸、ホルムアルデヒドやアクリル酸等の有機物を含む。該廃ガスの無害化処理は、通常触媒燃焼方式で行われる。該触媒としてはハニカム状のものなどが用いられる。
4)抽出工程
 吸収塔(3)の塔底からのアクリル酸水溶液(14)は、熱交換器(9-2)で熱交換され、20~90℃程度に温度調整されて、抽出塔(5)に供給され、抽出溶剤(16)と液々接触処理されて、アクリル酸の抽出液(18)と抽残水(19)に分離される。
 抽出塔(5)における抽出温度は、高すぎると、水と抽出溶剤の相互溶解度が増加するが、低すぎると油水分離に時間を要することから、30~90℃程度が好ましい。
 抽出溶剤(16)としては、以下に記載する非水溶性溶剤が好ましく用いられる。非水溶性溶剤で抽出することにより、抽出後の抽出液(18)中の水濃度が低くなるため、後工程のアクリル酸精製工程(7)において、アクリル酸の重合による閉塞などを防止することが可能であり、同時に精製工程(7)での熱負荷を削減することができる。また、非水溶性溶剤を用いることにより、抽出後の抽出液(18)中の酢酸やマレイン酸など、他の不純物の濃度も低くすることができ、これらの不純物を含有する、各機器からの排出液を抽出工程で処理するためにも、非水溶性溶剤を用いることが好ましい。
 アクリル酸の抽出に用いる非水溶性溶剤としては、非水溶性芳香族化合物溶剤が挙げられ、アクリル酸精製時の溶剤の分離効率から、アクリル酸の沸点より低沸点であるものを主成分とすることが好ましい。該主成分とは、抽出溶媒中、アクリル酸の沸点より低沸点である非水溶性芳香族化合物が、50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
 また、非水溶性芳香族化合物溶剤の種類としては非水溶性芳香族炭化水素溶剤が代表的であり、非水溶性芳香族炭化水素溶剤は抽出操作において、アクリル酸と酢酸の抽剤/水比の分配係数の比率が大きく、アクリル酸の選択率が高い長所がある。該非水溶性芳香族炭化水素溶剤は、20℃における水の溶解度が1.5重量%以下のものが選択されるが、この水の溶解度が0.5重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましく、0.06重量%以下であることが最も好ましい。非水溶性芳香族炭化水素溶剤の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等が挙げられ、中でも抽出効率が高く、水への溶解度が低い点で、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンである。該非水溶性芳香族炭化水素溶剤は、1種類を用いてもよく2種類以上の混合溶剤として用いることもできる。
 また、他の非水溶性溶剤との混合溶剤として用いることも可能であるが、この場合、混合溶剤中の70重量%以上が非水溶性芳香族炭化水素溶剤であることが好ましい。該非水溶性芳香族炭化水素溶剤としては、抽出効率が高く、水の溶解度が低い点で、トルエンが最も好ましい。
 抽出溶剤(16)のアクリル酸水溶液(14)に対する重量比率(S/F比)は、通常1~5の範囲とされる。S/F比が1より低いと抽出液(18)中のアクリル酸濃度が高くなるが、アクリル酸の抽出率が低下し、抽出液(18)中の水濃度も増加するので好ましくない。S/F比が5を超えると抽出率は高いが抽出液(18)中のアクリル酸濃度が低下し、後の精製工程(7)での分離設備やエネルギーが多大となり、好ましくない。抽出液(18)中の水濃度を極力低下させるためには、S/F比を1~3.5とすることが好ましい。
 抽出塔(5)の理論段数は通常4段以上、好ましくは6段以上で、7段以上が最も好ましい。理論段数が多い程アクリル酸の抽出率が向上する。抽出塔(5)の理論段数の上限については特に制限はないが通常20段以下である。アクリル酸の抽出率は、通常95%以上で、好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。
 抽出塔(5)としては、棚段抽出塔、回転円盤抽出塔(RDC塔)や往復動プレート式抽出塔(例えば、カールカラム等)が用いられる。理論段数や処理液量の観点から、往復動プレート式抽出塔が好ましい。
 抽出塔(5)で得られる抽出液(18)のアクリル酸濃度は通常10~40重量%で、この抽出液(18)には酢酸と水が少量含まれる。一方、抽残水(19)は、酢酸、ホルムアルデヒドやマレイン酸などの酸化反応の副生成物、更に重合防止剤等が含まれる。抽出液(18)及び抽残水(19)の組成は、液々平衡組成とS/F比、抽出塔(5)の理論段数などで決まる。
5)アクリル酸精製工程
 本工程は、粗アクリル酸からアクリル酸を蒸留分離する蒸留工程を含む。抽出塔(5)の塔頂から得られる抽出液(18)は、アクリル酸精製工程(7)で該蒸留分離などの精製手段で抽出溶剤と酢酸等の不純物が分離され、アクリル酸(20)が製造される。蒸留分離された抽出溶剤(16)は、抽出塔(5)へリサイクルされる。抽出溶剤(16)中のアクリル酸濃度は抽出塔(5)のアクリル酸抽出率に重要な影響を与える。抽出溶剤(16)中のアクリル酸濃度は、低いほど抽出率が高くなるため、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましい。抽出溶剤(16)中のアクリル酸濃度を0.4重量%以下にするためには、溶剤とアクリル酸との蒸留分離の為に、蒸留塔の段数を増加し、更に還流量も増加しなければならず、多大のエネルギーが必要となることから、これらの条件はアクリル酸の抽出率と蒸留負荷との関係で適当な条件に制御される。
6)抽残水処理工程
 抽出塔(5)からの抽残水(19)は、廃液として排出して処理する必要がある。廃液処理方法として燃焼処理や活性汚泥処理が一般的であるが、大量の抽残水の燃焼処理は多大なエネルギーが必要であるし、抽残水(19)中にはホルムアルデヒドが含まれるため活性汚泥処理も困難である。このため、抽残水(19)は、吸収塔(3)へリサイクルして吸収水として再利用することが好ましいが、抽残水(19)中には、抽出塔(5)で抽出溶剤中に抽出されずに残留した酸化反応工程からの副生成物(例えば、マレイン酸やフタル酸など)が濃縮されているので、これらの副生成物の系内蓄積を防止した上で吸収塔(3)へリサイクルするためには、抽残水(19)から該副生成物を分離し、分離した副生成物を廃液として系外に排出する必要がある。この抽残水(19)の処理に際しては、抽残水(19)の一部を吸収水としてそのまま吸収塔(3)へリサイクル(24)し、残部についてのみ加熱濃縮処理して廃液を分離することにより、加熱濃縮処理のための設備の小型化やエネルギーの最適化を図ることができる。
 抽残水(19)の加熱濃縮に用いられる設備は、図1に示されるような、蒸発缶(6)が一般的である。蒸発缶(6)は蒸発槽と加熱蒸留用のリボイラーと蒸発蒸気を凝縮するコンデンサーを有している。該槽内には、飛沫同伴を防ぐミストセパレータを有していてもよいし、槽上部に棚段など蒸留部を有していてもよい。ただし、加熱濃縮設備は、蒸発缶に限定されるものではなく、例えば、多重効用缶、加熱用のジャケットあるいは熱交換器を有する攪拌槽、膜分離設備、放散塔、薄膜蒸発器あるいは遠心薄膜蒸発器(例えば、コントロなど)などを採用することもできる。
7)各機器からの排出液回収工程
 本欄で記載する、回収液の保持、蒸留、油水分離の好ましい条件、回収液の送液等については、前述した内容が援用される。
 本発明の製造方法では、トラブル時・定期点検時等の非定常運転の場合を考慮に含み、これら非定常時には各機器からの排出液を一度、バッファータンク、オフスペックタンク等の貯槽(8)に保持する。保持することにより、様々な組成を有する排出液が混合されて成分が均一化され、油水分離を悪化させる成分の濃度が希釈される。また、固形物の沈降や油水の分離が行われることにより、悪化成分を除去しやすくなる効果も得られる。これらの排出液は、回収液(25)として、抽出工程におけるアクリル酸水溶液(14)が供給される場所と同じ場所に供給されることが好ましい。この方法としては、アクリル酸水溶液(14)が流通する配管に回収液を混合する方法や、アクリル酸水溶液が供給される場所に別配管で供給する方法が考えられる。後者の例としては、抽出工程として抽出塔(5)を用い、アクリル酸水溶液を塔頂に供給する場合、塔頂部に別の配管で回収液を供給する方法が考えられる。この方法を実施せず、回収液を、例えば抽出溶剤(16)と同じ場所に供給した場合には、アクリル酸の抽出効率を低下させる可能性がある。
 また、回収液は、そのまま抽出工程に送液しても構わないが、抽出工程での油水懸濁状態発生を防止するため、蒸留設備で蒸留し、蒸留した後の留出液を抽出工程に送液することが好ましい。蒸留設備としては、蒸発缶を用いることができる。蒸発缶は蒸発槽と加熱蒸留用のリボイラーと蒸発蒸気を凝縮するコンデンサーを有している。該槽内には、飛沫同伴を防ぐミストセパレータを有していてもよいし、槽上部に棚段など蒸留部を有していてもよい。ただし、蒸留設備は、蒸発缶に限定されるものではなく、例えば、多重効用缶、加熱用のジャケットあるいは熱交換器を有する攪拌槽、放散塔、あるいは薄膜蒸発器などを採用することもできる。
 蒸発缶等の加熱用熱源は、蒸気や熱媒体が用いられる。あるいは高温のプロセス流体なども使用可能である。
 また、抽出工程での油水懸濁状態発生を防止する目的で、回収液の油水分離操作を行い、油相のみを送液する場合もある。また、抽出工程における抽出温度は、30~90℃とすることが好ましい。より好ましくは40~80℃、さらに好ましくは40~60℃である。温度を調整する方法としては、抽出工程に供給されるアクリル酸水溶液や上記回収液、もしくはそれらの混合溶液の温度を適正な範囲に調整することが最も効率的である。適正な範囲とは、20~90℃、より好ましくは30~90℃、さらに好ましくは30~70℃である。
 また、回収液の供給を含む抽出工程の運転を実施する際には、ミカエル付加物を指標物質として管理することが好ましい。アクリル酸水溶液と上記回収液との混合組成中のミカエル付加物の濃度を0.05~0.7重量%とすることが好ましく、より好ましくは0.05~0.6重量%、さらに好ましくは0.1~0.5重量%である。ミカエル付加物の濃度が低すぎると、酸化反応工程及び吸収工程の条件が制限を受けることになり、高すぎると、抽出工程での油水分離を悪化させる場合がある。上記の濃度範囲を維持するための方法として、前述した回収液の蒸留や油水分離操作を実施することが有効であるが、それ以外にも、回収液の流量を調整することや、高純度なアクリル酸を別途供給してミカエル付加物の濃度を調整することが考えられる。
8)廃液処理工程
 蒸発缶(6)より排出される廃液(21)には、酸化反応工程で生成し、抽出塔(5)で抽残水(19)中に残留した高沸点成分、ホルムアルデヒド及び重合防止剤等が含まれる。該廃液(21)は、焼却処理等で処理される。
 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[サンプリング液の分析]
 サンプリング液中に含まれる物質の同定、及び該物質の定量はガスクロマトグラフィーで分析した。ガスクロマトグラフィーには、島津製作所製のGC-14Aを用いた。分離カラムにはAgilent社製のキャピラリーカラム(HP-FFAP)を用い、検出器はFID及びTCDを用いた。
(参考例1)
 図1に記載のアクリル酸製造設備により以下の工程でアクリル酸を製造した。具体的にはプロピレンの気相接触酸化反応による酸化反応ガスを得る酸化反応工程、該酸化反応ガスと重合防止剤を含む吸収水とを気液接触させることによりアクリル酸水溶液とする吸収工程、該アクリル酸水溶液を抽出溶媒としてトルエンを用いて抽出液とする抽出工程、該抽出液を蒸留精製によりアクリル酸とするアクリル酸精製工程を経てアクリル酸を製造した。
 前記抽出工程の簡易観察を行うため以下の抽出試験を実施した。
 前記吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.0重量%、アクリル酸ダイマー:0.31重量%、アクリル酸トリマー:0.0013重量%、水:38.3重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.44重量%)33mlを比色管に投入した。次いで、該抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。この比色管をローテーター(タイテック RT50)にセットして21℃の室温環境下、30rpmで1分間回転混合した。その後静置して目視で油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに50秒以内で速やかに分離した。
(実施例1)
 実施例1は、参考例1における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液を保持した回収液とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該吸収工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例1の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.0重量%、アクリル酸ダイマー:0.31重量%、アクリル酸トリマー:0.0013重量%、水:38.3重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.44重量%)と、アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を貯槽で4日間保持した後の回収液(アクリル酸63.3重量%、アクリル酸ダイマー2.1重量%、アクリル酸トリマー0.022重量%、水11.4重量%、酢酸0.030重量%)を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。次いで、参考例1の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例1と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに50秒以内で速やかに分離した。
(比較例1)
 比較例1は、参考例1における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液(保持せず)とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例1の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.0重量%、アクリル酸ダイマー:0.31重量%、アクリル酸トリマー:0.0013重量%、水:38.3重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.44重量%)と、アクリル酸製造プロセスから排出された排出液(保持せず)(アクリル酸73.3重量%、アクリル酸ダイマー5.9重量%、アクリル酸トリマー0.052重量%、水20.4重量%、酢酸0.16重量%)を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。次いで、参考例1の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例1と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、油水の懸濁相が90秒経過しても維持され、油相と水相が分離しなかった。
(実施例2)
 実施例2は、参考例1における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液を保持した回収液を単蒸留して得た留出液とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例1の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.0重量%、アクリル酸ダイマー:0.31重量%、アクリル酸トリマー:0.0013重量%、水:38.3重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.44重量%)をサンプリングした。アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を貯槽で2日間保持した回収液を、200ccのフラスコに100g投入し、80℃、10kPaで単蒸留した留出液をサンプリングした。次いで、該アクリル酸水溶液と該留出液を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。更に、参考例1の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例1と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに50秒以内で速やかに分離した。
(実施例3)
 実施例3は、参考例1における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液を保持した回収液を油水分離して得た油相とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例1の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.0重量%、アクリル酸ダイマー:0.31重量%、アクリル酸トリマー:0.0013重量%、水:38.3重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.44重量%)をサンプリングした。アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を貯槽で2日間保持した回収液を比色管に採取し、トルエンを重量比1:1で加え、この比色管をローテーター(タイテック RT50)にセットして21℃の室温環境下、30rpmで1分間回転混合した。その後静置して油水を分離し、油相をサンプリングした。次いで、該アクリル酸水溶液と該油相を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。更に、参考例1の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例1と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに50秒以内で速やかに分離した。
(参考例2)
 図1に記載のアクリル酸製造設備により以下の工程でアクリル酸を製造した。具体的にはプロピレンの気相接触酸化反応による酸化反応ガスを得る酸化反応工程、該酸化反応ガスと重合防止剤を含む吸収水とを気液接触させることによりアクリル酸水溶液とする吸収工程、該アクリル酸水溶液を抽出溶媒としてトルエンを用いて抽出液とする抽出工程、該抽出液を蒸留精製によりアクリル酸とするアクリル酸精製工程を経てアクリル酸を製造した。
 前記抽出工程の簡易観察を行うため以下の抽出試験を実施した。
 前記吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.5重量%、アクリル酸ダイマー:0.25重量%、アクリル酸トリマー:0.0014重量%、水:37.7重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.46重量%)33mlを比色管に投入した。次いで、該抽出工程で使用したトルエンを67ml同比色管に投入した。この比色管をローテーター(タイテック RT50)にセットして、21℃の室温環境下、50rpmで1分間回転混合した。その後静置したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに40秒以内で速やかに分離した。
(比較例2)
 比較例2は、参考例2における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液(保持せず)とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例2の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.5重量%、アクリル酸ダイマー:0.25重量%、アクリル酸トリマー:0.0014重量%、水:37.7重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.46重量%)と、アクリル酸製造プロセスから排出された排出液(保持せず)(アクリル酸73.3重量%、アクリル酸ダイマー5.9重量%、アクリル酸トリマー0.052重量%、水20.4重量%、酢酸0.16重量%)を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。次いで、参考例2の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例2と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、油水の懸濁相は90秒経過しても維持され、油相と水相が分離しなかった。
(実施例4)
 実施例4は、参考例2における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液を保持した回収液を単蒸留して得た留出液とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例2の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.5重量%、アクリル酸ダイマー:0.25重量%、アクリル酸トリマー:0.0014重量%、水:37.7重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.46重量%)をサンプリングした。比較例2で用いた、アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を貯槽で2日間保持した回収液を、200ccのフラスコに100g投入し、80℃、10kPaで単蒸留した留出液をサンプリングした。次いで、該アクリル酸水溶液と該留出液を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。更に、参考例2の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例2と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに40秒以内で速やかに分離した。
(実施例5)
 実施例5は、参考例2における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液を保持した回収液を油水分離して得た油相とを混合した混合液を、トルエンを用いて抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例2の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.5重量%、アクリル酸ダイマー:0.25重量%、アクリル酸トリマー:0.0014重量%、水:37.7重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.46重量%)をサンプリングした。アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を貯槽で2日間保持した回収液を比色管に採取し、トルエンを重量比1:1で加え、この比色管をローテーター(タイテック RT50)にセットして21℃の室温環境下、30rpmで1分間回転混合した。その後静置して油水を分離し、油相をサンプリングした。次いで、該アクリル酸水溶液と該油相を重量比10:1で混合した混合液33mlを比色管に投入した。更に、参考例2の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例2と同様に混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに40秒以内で速やかに分離した。
(参考例3)
 図1に記載のアクリル酸製造設備により以下の工程でアクリル酸を製造した。具体的にはプロピレンの気相接触酸化反応による酸化反応ガスを得る酸化反応工程、該酸化反応ガスと重合防止剤を含む吸収水とを気液接触させることによりアクリル酸水溶液とする吸収工程、該アクリル酸水溶液を抽出溶媒としてトルエンを用いて抽出液とする抽出工程、該抽出液を蒸留精製によりアクリル酸とするアクリル酸精製工程を経てアクリル酸を製造した。
 前記抽出工程の簡易観察を行うため以下の抽出試験を実施した。
 前記吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.5重量%、アクリル酸ダイマー:0.25重量%、アクリル酸トリマー:0.0014重量%、水:37.7重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.46重量%)33mlを比色管に投入した。次いで、該抽出工程で使用したトルエンを67ml同比色管に投入した。この比色管を42℃の温水浴に10分間浸漬後、ローテーター(タイテック RT50)にセットして、50rpmで1分間回転混合した。その後静置したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに50秒以内で速やかに分離した。
(実施例6)
 実施例6は、参考例2における抽出工程を、吸収工程で得られたアクリル酸水溶液と、アクリル酸製造プロセスより排出された排出液を保持した回収液とを混合した混合液を、トルエンを用いて42℃の温度下で抽出液とする抽出工程に変更したものである。
 該抽出工程の簡易観察を行うため、以下の抽出試験を実施した。
 参考例3の吸収工程で得られたアクリル酸水溶液(アクリル酸:57.5重量%、アクリル酸ダイマー:0.25重量%、アクリル酸トリマー:0.0014重量%、水:37.7重量%、酢酸:2.6重量%、マレイン酸:0.46重量%)をサンプリングした。アクリル酸製造プロセスから排出された排出液(アクリル酸73.3重量%、アクリル酸ダイマー5.9重量%、アクリル酸トリマー0.052重量%、水20.4重量%、酢酸0.16重量%)について温度を測定したところ、20℃であった。該排出液を貯槽で2日間保持した回収液をサンプリングした。次いで、該アクリル酸水溶液と該回収液を重量比100:6で混合した混合液33mlを比色管に投入した。更に、参考例3の抽出工程で使用したトルエン67mlを同比色管に投入した。参考例3と同様に、この比色管を42℃の温水浴に10分間浸漬後、混合操作を行い油水の分離状況を確認したところ、アクリル酸、トルエン等を含む油相と、水、酢酸、マレイン酸等を含む水相とに50秒以内で速やかに分離した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 比較例1の結果から分かる通り、アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を添加した場合には油水分離性の悪化が確認された。さらにそのときのアクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマーを合わせたミカエル付加物の濃度は0.7重量%を超えていた。一方、実施例1,2,3において、保持や蒸留、油水分離操作を実施すると、油水分離性は悪化せず、そのときのミカエル付加物濃度は0.7重量%以下であった。比較例2の結果と実施例4,5の結果を比較すると分かる通り、前記の傾向は回転速度を上げて混合強度を変えても同じである。
 一方、参考例3と実施例6の結果に示されている通り、抽出温度を42℃とした場合においては、アクリル酸製造プロセスから排出された排出液を加えミカエル付加物の濃度が0.7重量%を超えても油水分離性は悪化しなかった。
 1,2 酸化反応器
 3 吸収塔
 4 廃ガス処理工程
 5 抽出塔
 6 蒸発缶
 7 アクリル酸精製工程
 8 貯槽
 9-1,9-2,9-3 熱交換器
 10 プロピレン
 11 空気
 12 希釈剤(水蒸気あるいは窒素)
 13 酸化反応ガス
 14 アクリル酸水溶液
 15 重合防止剤
 16 抽出溶剤
 17 吸収水
 18 抽出液
 19 抽残水
 20 アクリル酸
 21 廃液
 22 廃ガス
 23 リサイクルガス
 24 抽残水リサイクル
 25 アクリル酸製造プロセスからの排出・回収液

Claims (10)

  1.  気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
     前記工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を1日~60日間保持し、該保持した回収液を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2.  気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
     前記各工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を油水分離し、該油水分離した油相を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。
  3.  気相接触酸化により(メタ)アクリル酸を含む反応ガスを得る酸化反応工程と、該反応ガスを水と気液接触させることにより(メタ)アクリル酸水溶液とする吸収工程と、該(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて粗(メタ)アクリル酸を抽出する抽出工程と、該粗(メタ)アクリル酸より(メタ)アクリル酸を蒸留する蒸留工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
     前記各工程の少なくとも1工程から排出された排出液を含む液を回収液として、該回収液を蒸留し、蒸留した留出液を該抽出工程に送液する、(メタ)アクリル酸の製造方法。
  4.  前記各工程の少なくとも1工程において、該工程における反応物の供給と該工程における排出液の排出とを同時に行う、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  5.  前記回収液が水を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  6.  前記抽出工程に送液する回収液を、抽出工程における(メタ)アクリル酸水溶液が供給される場所と同じ場所に供給する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  7.  前記回収液と前記(メタ)アクリル酸水溶液との混合組成中のミカエル付加物の濃度が0.05~0.7重量%である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  8.  前記抽出工程における抽出温度が30~90℃である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  9.  前記抽出溶剤が、(メタ)アクリル酸の沸点より低沸点である非水溶性芳香族化合物を主成分とする溶剤である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  10.  前記非水溶性芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項9に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
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