WO2017090719A1 - 縮環ピリミジン化合物又はその塩 - Google Patents

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Abstract

アンドロゲン受容体に対して阻害作用を有する化合物の提供。下記一般式(I)で表される縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩(式中、X、Y、Z、R1、及びR2は明細書で定義した通りである)。

Description

縮環ピリミジン化合物又はその塩
 本発明は、医薬、殊に抗アンドロゲン剤として有用な、新規な縮環ピリミジン化合物又はその塩、並びにそれらを含む医薬組成物に関する。
 前立腺癌は、欧米では男性が罹患する最も頻度の高い癌であり、癌の二番目に多い死因である。日本においても、食生活の欧米化及び人口の高齢化に伴い、前立腺癌患者数が年々増加している。一般に前立腺癌細胞の増殖は、アンドロゲンにより刺激される。そのため、切除不能な進行前立腺癌の治療においては、外科的又は化学的去勢、及び/又は抗アンドロゲン剤の投与、いわゆるアンドロゲン除去療法により治療される。外科的又は化学的去勢により、体内のアンドロゲン循環レベルが低下し、アンドロゲン受容体(Androgen receptor、以降ARと呼ぶことがある)の活性が低下する。抗アンドロゲン剤の投与により、ARへのアンドロゲン結合が阻害され、AR活性が低下する。これらの治療は、大多数の患者において初期には極めて有効であるが、その癌は数年以内に再発する。この再発前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌(Castration resistant prostate cancer:CRPC)と呼ばれる。
 去勢抵抗性前立腺癌の原因としては、AR遺伝子増幅及び過剰発現が確認され報告されている(非特許文献1、2)。ARの過剰発現によって、去勢治療による超低濃度のアンドロゲンに対しても去勢抵抗性前立腺癌は高い感受性を示す。即ち、ARの過剰発現によって、ARが活性化され、腫瘍増殖を引き起こす。また、ARの変異も去勢抵抗性前立腺癌の原因として確認され報告されている(非特許文献3~5)。ARが変異を起こすことにより、アンドロゲン以外に、例えばエストロゲンや現在用いられている抗アンドロゲン剤そのものが、ARアゴニストとして作用するようになる。
 最も一般的に用いられている抗アンドロゲン剤であるビカルタミド(Bicalutamide)は、ホルモン感受性前立腺癌においてARに対するアンタゴニストとして阻害効果を示す。しかしながら、ビカルタミドをはじめとするアンドロゲン除去療法に用いられる抗アンドロゲン剤は、去勢抵抗性前立腺癌に対して有効性を持たない。主な原因は、去勢抵抗性前立腺癌ではARが過剰発現しており、ARアンタゴニスト活性が十分に発揮できないことと、ARアゴニスト活性を示してしまうこと(非特許文献6、7)にある。したがって、去勢抵抗性前立腺癌の有する過剰発現したARを阻害するために、現行の抗アンドロゲン剤より強力なARアンタゴニスト活性を有し、かつARアゴニスト作用を持たない抗アンドロゲン剤が求められている。さらに、抗アンドロゲン剤がAR発現を低下させる効果を併せ有することにより、より有効な去勢抵抗性前立腺癌の治療剤となりうる(非特許文献8)。
 従来、縮環ピリミジン構造を持つ5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジンは、バニロイド受容体1(Vanilloid Receptor 1:VR1)阻害剤として報告されている(特許文献1~3)。特許文献1には、VR1受容体を阻害することによる、痛み、炎症性痛覚過敏や過活動膀胱及び尿失禁に有用なビシクロヘテロアリールアミン化合物が記載されている。また特許文献2と3には、炎症性疼痛等の処置に有用なビシクロヘテロアリールアミン化合物が記載されており、熱痛覚過敏に対する試験データが開示されている。しかしながら、これら特許文献1~3において、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジンの7位にシアノベンゼンを有する化合物は報告されていない。加えて、抗腫瘍効果に関するデータの記載はなく、ARアンタゴニスト活性あるいはAR発現低下作用については全く記載がない。
国際公開公報第2006/062981号 国際公開公報第2005/066171号 国際公開公報第2006/118598号
 本発明の課題は、ビカルタミドをはじめとする現行の抗アンドロゲン剤よりも去勢抵抗性前立腺癌において過剰発現しているARに対して強いアンタゴニスト活性を有するとともに、ARに対してアゴニスト作用を示さず、かつAR発現量の低下作用を有する新規な縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することである。
 本発明者らは、鋭意探索した結果、縮環ピリミジン化合物である5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジンを基本構造とし、4位に-NHR1で表される基を有し、かつ7位にシアノベンゼンもしくはニトロベンゼンを有する新規化合物群を見出した。これらの化合物群は、ARに対するアンタゴニスト活性を有する一方でアゴニスト活性を示さず、ARが発現する細胞に対する有効性に加え、ARが過剰発現する細胞においても強い細胞増殖抑制効果を有する。また、これらの化合物群は、ARに対するアンタゴニスト活性に加え、AR発現を低下させる作用を有し、去勢抵抗性前立腺癌の担癌マウスモデルにおいて抗腫瘍効果を示す。よって本発明者らは、これらの化合物群が癌を治療するための医薬として有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
 したがって、一実施形態において、本発明は、次の〔1〕~〔14〕を提供する。
〔1〕下記一般式(I):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
[式中、
 Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
 Yは、ハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示し;
 Zは、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-3アルキル基を示し;
 R1は、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基、又はRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基を示し、ここで、該RaとRbは、互いに結合して該C6-14アリール又は該ヘテロアリール基とともに縮合環を形成してもよく;
 R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示し;
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基、C1-3アルキルスルホニル基、3~7員の単環のヘテロシクロアルキルスルホニル基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルコキシカルボニルアミノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニルアミノ基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換された3~7員の単環のヘテロシクロアルカンカルボニル基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示し;
 Rcは、置換されていてもよいピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基、又はRfで置換されていてもよいピペラジニル基を示し;
 Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示し、あるいは該-(CH2n-C(=O)-NRdReのNRdReは環を形成していてもよく;
 Rfは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルアミノカルボニルを示し;
 Rgは、C1-6アルキルピラゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリル基、又はC1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示し;
 nは、0~3の整数を示す
(但し、Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、
 R1が、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基であるか、もしくはRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基であり、かつ
 Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
 Raは、
  ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、
  Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(ここで、Rcは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル又はC1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル基を示す)、
  Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基(ここで、Rfは上述したとおりである)、
  ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、
  C1-3アルキルスルホニル基、
  2環のシクロヘテロアルキル基、又は
  -(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、n、Rd及びReは上述したとおりである。ただし、Rd及びReのいずれか一方が、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基もしくはヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基であるか、又はC1-6アルキルピラゾリル、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル、オキサジアゾリルもしくはハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリルで置換されたC1-6アルキル基である場合、他方は水素原子ではない)
である)、
]
で表される縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔2〕Zが水素原子又はフッ素原子である、〔1〕に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔3〕R2が水素原子、メチル基又はシアノ基である、〔1〕又は〔2〕に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔4〕Yが塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基又はメチル基である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔5〕nが0である〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔6〕R1が前記Ra及び前記Rbで置換されたフェニル基、前記Ra及び前記Rbで置換されたピリジニル基、又は前記Ra及び前記Rbで置換されたピリダジニル基である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔7〕Raが、フェニル基、ヒドロキシ-エチル基、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、-(CH2n-C(=O)-NRdRe、又はアセチル、メシル、tert-ブトキシカルボニルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示す、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔8〕R1が以下からなる群より選ばれる、〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
(式中、Raがフェニル基、前記Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、前記Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、又は2環のヘテロシクロアルキル基を示し、かつRbが水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか、
又は
 Raが前記Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、RbがC1-3アルキル基であって、該RaとRbが互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成する);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
(式中、
 Raは、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、又は前記-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、又はハロゲン原子を示す);及び
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
(式中、
 Raは、前記-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子を示す)。
〔9〕〔1〕に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
 Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
 Yは、ハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示し;
 Zは、水素原子、又はハロゲン原子を示し;
 R1は、下記の群から選ばれる置換基であり、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示し;
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか;
 あるいは、RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成し;
 Rcは、Rfで置換されていてもよいピペラジニル基を示し;
 Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示し;
 あるいは、NRdReが3~7員の含窒素複素環を形成し;
 Rfは、C1-6アルキル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、又はC1-6アルキルアミノカルボニル基を示し;
 Rgは、C1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示し;
 nは、0又は1の整数を示す、
化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔10〕〔9〕に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
 Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
 Yは、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基、又はメチル基を示し;
 Zは、水素原子、又はフッ素原子を示し;
 R1は、下記の群から選ばれる置換基であり;
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 R2は、水素原子、メチル基、又はシアノ基を示し;
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-エチル基、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、-(CH2n-C(=O)-NRdRe、又はアセチル、tert-ブトキシカルボニル、メシルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示し;
 Rbは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基を示し;
 あるいは、RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリニル基又はイソインドリニル基を形成し;
 Rd及びReのいずれか一方は、メチル基、エチル基、プロピニル基、シクロプロピル基、トリフルオロエチル基、tert-ブトキシ基、もしくはtert-ブトキシカルボニルアミノで置換されたエチル基を示し、他方は水素原子もしくはメチル基を示し;
 あるいは、NRdReがアゼパンを形成し;
 nは、0である、
化合物又はその薬学的に許容される塩。
〔11〕以下の化合物(1)~(48)からなる群より選択される、〔1〕記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
(1)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド;
(2)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロ-N-メチルニコチンアミド;
(3)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロ-N-メチルニコチンアミド;
(4)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド;
(5)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチルニコチンアミド;
(6)4-(4-((5-(アゼパン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(7)N-(tert-ブトキシ)-6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド;
(8)tert-ブチル (2-(6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-カルボキサミド)エチル)カーバメイト;
(9)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-シクロプロピルピリダジン-3-カルボキサミド;
(10)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチルピリダジン-3-カルボキサミド;
(11)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(プロプ-2-イン-1-イル)ピリダジン-3-カルボキサミド;
(12)N-エチル-2-フルオロ-6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド;
(13)2-(6-((7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(14)2-(6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(15)2-(6-((7-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(16)2-(6-((7-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(17)2-(6-((7-(3-ブロモ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(18)2-(6-((7-(3-クロロ-2-フルオロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(19)2-(6-((7-(3-イソプロポキシ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
(20)4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メチルベンゾニトリル;
(21)N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(22)7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(23)4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メトキシベンゾニトリル;
(24)6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピリダジン-3-カルボキサミド;
(25)N-(6-メトキシピリジン-3-イル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(26)4-(4-((3,4-ジメトキシフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(27)4-(4-((4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(28)4-(4-((4-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル;
(29)tert-ブチル 5-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)イソインドリン-2-カルボキシレート;
(30)tert-ブチル 4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート;
(31)N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(32)tert-ブチル 7-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート;
(33)N-(3-メチル-4-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(34)N-([1,1'-ビフェニル]-3-イル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(35)2-クロロ-4-(4-((6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル;
(36)tert-ブチル 7-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート;
(37)2-クロロ-4-(4-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル;
(38)2-クロロ-4-(4-((4-(3-(ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル;
(39)1-(4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン;
(40)N-(3-クロロ-4-(3-(4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(41)N-(3-クロロ-4-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
(42)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-クロロフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル;
(43)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル;
(44)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(45)1-(4-(3-(4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン;
(46)1-(4-(3-(4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン;
(47)7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-カルボニトリル;
(48)4-(4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-2-メチル-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル。
〔12〕〔1〕~〔11〕のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗アンドロゲン剤。
〔13〕〔1〕~〔11〕のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
〔14〕〔1〕~〔11〕のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
 本発明の新規な縮環ピリミジン化合物又はその塩は、アンドロゲン受容体(AR)に対してアンタゴニスト活性を示し、ARの活性化に関与する疾患に有効である。ARの活性化に関与する疾患としては、例えば、腫瘍、転移性骨疾患、前立腺肥大症、尋常性坐瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、性的早熟症、男性化症などが挙げられる。当該腫瘍としては、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、膵臓癌、肝細胞癌等などが挙げられる。
 本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。
 本明細書において、「C1-6アルキル基」は、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-メチルプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、テキシル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1~4の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-メチルプロピル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基である。また、本明細書における「C1-4アルキル基」及び「C1-3アルキル基」とは、それぞれ、上記に挙げた「C1-6アルキル基」のうち、炭素数1~4及び1~3のアルキル基をいう。
 本明細書において、「C2-6アルキニル基」は、炭素数2~6のアルキニル基であり、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられ、好ましくは炭素数2~4のアルキニル基であり、より好ましくはプロピニル基である。また、本明細書における「C2-4アルキニル基」とは、それぞれ、上記に挙げた「C1-6アルキニル基」のうち、炭素数2~4のアルキニル基をいう。
 本明細書において、「ハロゲノ-C1-3アルキル基」は、1~7個の上述したハロゲン原子で置換された上述のC1-3アルキル基である。該「ハロゲノ-C1-3アルキル基」としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2-フルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、モノフルオロ-n-プロピル基、パーフルオロ-n-プロピル基、パーフルオロイソプロピル基などのフルオロ-C1-3アルキル基及びクロロ-C1-3アルキル基が挙げられ、好ましくは1~3個のハロゲン原子で置換されたC1-3アルキル基であり、より好ましくは1~3個のフッ素原子で置換されたC1-3アルキル基である。
 本明細書において、「C6-14アリール基」は、炭素数6~14のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基などが挙げられ、好ましくは炭素数6~10のアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
 本明細書において、「ヘテロアリール基」は、酸素、窒素、又は硫黄のいずれかから独立に選択される1~4個のヘテロ原子を含む、芳香族性を有する単環又は多環の基である。ヘテロアリール基の例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアジニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾ[b]チエニル及びベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基などが挙げられ、好ましくは酸素、窒素、又は硫黄のいずれかから独立に選択される1~4個のヘテロ原子を含む、芳香族性を有する単環の基であり、より好ましくは窒素を1~3個含む、芳香族性を有する単環の基であり、さらに好ましくはピリジ二ル基、ピリダジニル基、又はピリミジニル基である。
 本明細書において、「ヒドロキシ-C1-6アルキル基」は、1~3個のヒドロキシル基で置換された上述のC1-6アルキル基である。該「ヒドロキシ-C1-6アルキル基」としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、1,2-ジヒドロキシプロピル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシプロパン-2-イル基、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル基などが挙げられ、好ましくは1個のヒドロキシル基で置換されたC1-6アルキル基である。
 本明細書において、「アミノ-C1-6アルキル基」は、1~3個のアミノ基で置換された上述のC1-6アルキル基、好ましくは1~3個のアミノ基で置換された上述のC1-3アルキル基である。該「アミノ-C1-6アルキル基」としては、例えば、アミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、1-アミノプロピル基などが挙げられ、好ましくは1個のアミノ基で置換されたC1-6アルキル基、より好ましくは1個のアミノ基で置換されたC1-3アルキル基である。
 本明細書において、「C3-7シクロアルキル基」は、炭素数3~7の環状のアルキル基であり、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられ、好ましくはシクロプロピル基である。
 本明細書において、「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基」は、1~3個のヒドロキシル基で置換された上述したC3-7シクロアルキル基である。該「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基」としては、例えば、1-ヒドロキシシクロプロピル基、2-ヒドロキシシクロプロピル基、1,2-ジヒドロキシシクロプロピル基、1,2,3-トリヒドロキシシクロプロピル基、1-ヒドロキシシクロブチル基、1-ヒドロキシシクロペンチル基、1-ヒドロキシシクロヘキシル基、4-ヒドロキシシクロへキシル基などが挙げられ、好ましくは1個のヒドロキシル基で置換されたC3-7シクロアルキル基である。
 本明細書において、「ヘテロシクロアルキル基」は、環状のアルキル基のうち、酸素、窒素、硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を炭素の代わりに有する3~7員の単環もしくは2環のアルキル基である。該「ヘテロシクロアルキル基」としては、例えば、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリジニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、アゼパニル基、ジアゼパニル基、オキサゼパニル基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基などが挙げられ、好ましくは酸素、窒素から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を炭素の代わりに有する3~7員の単環もしくは2環のアルキル基である。
 本明細書において、「ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基」は、1~3個のヒドロキシル基で置換された上述したヘテロシクロアルキル基である。該「ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基」としては、例えば、1~3個のヒドロキシル基で置換されたオキセタニル基、1~3個のヒドロキシル基で置換されたテトラヒドロフラニル基、1~3個のヒドロキシル基で置換されたピペリジニル基などが挙げられ、好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたオキセタニル基(ヒドロキシ-オキセタニル基)、例えば3-ヒドロキシオキセタン-3-イル基などが挙げられ、好ましくは1個のヒドロキシル基で置換された、酸素、窒素から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を炭素の代わりに有する3~7員の単環のアルキル基である。
 本明細書において、「C1-6アルキルカルボニル基」は、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基で置換されたカルボニル基であり、例えば、メチルカルボニル(アセチル)基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基などが挙げられ、好ましくはメチルカルボニル(アセチル)基である。また、本明細書における「C1-3アルキルカルボニル基」とは、上記に挙げた「C1-6アルキルカルボニル基」のうち、炭素数1~3のアルキル基で置換されたカルボニル基をいう。
 本明細書において、「C1-6アルキルアミノカルボニル基」は、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基で置換されたアミノ基を有するカルボニル基である。該「C1-6アルキルアミノカルボニル基」としては、例えば、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、イソプロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、tert-ブチルアミノカルボニル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1~3の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基で置換されたアミノ基を有するカルボニル基である。
 本明細書において、「C1-6アルキルスルホニル基」は、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基で置換されたスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル(メシル)基、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基などが挙げられ、好ましくはメチルスルホニル(メシル)基である。また、本明細書における「C1-3アルキルスルホニル基」とは、上記に挙げた「C1-6アルキルスルホニル基」のうち、炭素数1~3のアルキル基で置換されたスルホニル基をいう。
 本明細書において、「C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基」は、1個の上述したC3-7シクロアルキル基で置換されたアミノ基を有するスルホニル基である。該「C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基」としては、例えば、シクロプロピルアミノスルホニル基、シクロブチルアミノスルホニル基、シクロペンチルアミノスルホニル基などが挙げられ、好ましくはシクロプロピルアミノスルホニル基である。
 本明細書において、「ヘテロシクロアルキルスルホニル基」は、上述したヘテロシクロアルキル基で置換されたスルホニル基である。該「ヘテロシクロアルキルスルホニル基」としては、例えば、ピペリジン-1-イルスルホニル基、モルホリノスルホニル基、1,4-チオアゼパン-4-イルスルホニル基、1,4-オキサアゼパニルスルホニル基などが挙げられ、好ましくは酸素、窒素、硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を炭素の代わりに有する3~7員の単環のアルキル基で置換されたスルホニル基である。
 本明細書において、「C1-6アルコキシ基」は、炭素数1~6の直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基(イソブトキシ基)、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、テキシルオキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素数1~4の直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基である。また、本明細書における「C1-4アルコキシ基」及び「C1-3アルコキシ基」とは、それぞれ、上記に挙げた「C1-6アルコキシ基」のうち、炭素数1~4及び1~3のアルコキシ基をいう。
 本明細書において、「C1-6アルコキシカルボニル基」は、炭素数1~6の直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基で置換されたカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基などが挙げられ、好ましくはtert-ブトキシカルボニル基である。また、本明細書における「C1-3アルコキシカルボニル基」とは、上記に挙げた「C1-6アルコキシカルボニル基」のうち、炭素数1~3のアルコキシ基で置換されたカルボニル基をいう。
 本明細書において、「ハロゲノ-C1-3アルコキシ基」は、1~7個の上述したハロゲン原子で置換された上述のC1-3アルコキシ基である。該「ハロゲノ-C1-3アルコキシ基」としては、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2-フルオロエトキシ基、2,2-ジフルオロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,2-トリクロロエトキシ基、モノフルオロ-n-プロポキシ基、パーフルオロ-n-プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基などのフルオロ-C1-3アルコキシ基及びクロロ-C1-3アルコキシ基が挙げられ、好ましくは1~3個の上述したハロゲン原子で置換されたC1-3アルコキシ基であり、より好ましくは1~3個のフッ素原子で置換されたのC1-3アルコキシ基である。
 本明細書において、「C1-3アルキルカルボニルアミノ基」は、1個の上述したC1-3アルキルカルボニル基で置換されたアミノ基であり、該「C1-3アルキルカルボニル基」は、上述のC1-3アルキル基で置換されたカルボニル基である。該「C1-3アルキルカルボニルアミノ基」としては、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基などが挙げられ、好ましくはメチルカルボニルアミノ基である。
 本明細書において、「C1-6アルコキシカルボニルアミノ基」は、1個の上述したC1-6アルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポキシカルボニルアミノ基、n-ブトキシカルボニルアミノ基、tert-ブトキシカルボニルアミノ基などが挙げられ、好ましくはtert-ブトキシカルボニルアミノ基である。また、本明細書において「C1-3アルコキシカルボニルアミノ基」は、1個の上述したC1-3アルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基である。
 本明細書において、「ハロゲノ-C1-3アルコキシカルボニルアミノ基」は、1個のハロゲノ-C1-3アルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基であり、該「ハロゲノ-C1-3アルコキシカルボニル基」は、上述のハロゲノ-C1-3アルコキシ基で置換されたカルボニル基である。該「ハロゲノ-C1-3アルコキシカルボニルアミノ基」としては、例えば、トリフルオロメトキシカルボニルアミノ基、トリクロロメトキシカルボニルアミノ基、2-フルオロエトキシカルボニルアミノ基、2,2-ジフルオロエトキシカルボニルアミノ基、2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニルアミノ基などが挙げられ、好ましくは1~3個のハロゲン原子で置換されたC1-3アルコキシカルボニルアミノ基であり、より好ましくは1~3個のフッ素原子で置換されたC1-3アルコキシカルボニルアミノ基である。
 本明細書において、「ハロゲノ-C1-3アルキルカルボニルアミノ基」は、1個のハロゲノ-C1-3アルキルカルボニル基で置換されたアミノ基であり、該「ハロゲノ-C1-3アルキルカルボニル基」は、上述のハロゲノ-C1-3アルキル基で置換されたカルボニル基である。該「ハロゲノ-C1-3アルキルカルボニルアミノ基」としては、例えば、トリフルオロメチルカルボニルアミノ基、トリクロロメチルカルボニルアミノ基、2-フルオロエチルカルボニルアミノ基、2,2-ジフルオロエチルカルボニルアミノ基、2,2,2-トリフルオロエチルカルボニルアミノ基などが挙げられ、好ましくは1~3個のハロゲン原子で置換されたC1-3アルキルカルボニルアミノ基であり、より好ましくは1~3個のフッ素原子で置換されたC1-3アルキルカルボニルアミノ基である。
 本明細書において、「ヘテロシクロアルカンカルボニル基」は、上述したヘテロシクロアルキル基で置換されたカルボニル基である。該「ヘテロシクロアルカンカルボニル基」としては、例えば、ピペリジン-1-カルボニル基、ピペラジン-1-カルボニル基、アゼチジン-1-カルボニル基、モルホリン-4-カルボニル基などが挙げられ、好ましくは酸素、窒素、硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を炭素の代わりに有する3~7員の単環のアルキル基で置換されたカルボニル基である。
 本明細書において、「C1-6アルキルピラゾリル基」は、1個の上述したC1-6アルキル基で置換されたピラゾリル基である。該「C1-6アルキルピラゾリル基」としては、例えば、1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル基、1-エチル-1H-ピラゾール-5-イル基、1-プロピル-1H-ピラゾール-5-イル基、1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル基、1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル基などが挙げられ、好ましくは1個のメチル基で置換されたピラゾリル基である。
 本明細書において、「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基」は、1個の上述したヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基で置換された上述のC1-6アルキル基である。該「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基」としては、例えば、(1-ヒドロキシシクロプロピル)メチル基、(1-ヒドロキシシクロブチル)メチル基、2-(1-ヒドロキシシクロプロピル)エチル基、(1,2-ジヒドロキシシクロプロピル)メチル基、(1,2,3-トリヒドロキシシクロプロピル)メチル基などが挙げられ、好ましくは(1-ヒドロキシシクロプロピル)メチル基である。
 本明細書において、「ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基」は、1個の上述したハロゲノ-C1-3アルキル基で置換されたチアゾリル基であり、例えば、4-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル基、5-(トリフルオロメチル)チアゾール-2-イル基、4-(トリクロロメチル)チアゾール-2-イル基、4-(2,2,2-トリフルオロエチル)チアゾール-2-イル基などが挙げられ、好ましくは1~3個のハロゲン原子で置換された1個のC1-3アルキル基で置換されたチアゾリル基であり、より好ましくは1~3個のフッ素原子で置換された1個のC1-3アルキル基で置換されたチアゾリル基である。
 本明細書において、「ハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリル基」は、1個の上述したハロゲノ-C1-3アルキル基で置換されたオキサジアゾリル基であり、例えば、5-(トリフルオロメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル基、5-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル基、5-(2-フルオロエチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル基、4-(トリフルオロメチル)-1,2,3-オキサゾール-5-イル基などが挙げられ、好ましくは1~3個のハロゲン原子で置換された1個のC1-3アルキル基で置換されたオキサジアゾリル基であり、より好ましくは1~3個のフッ素原子で置換された1個のC1-3アルキル基で置換されたオキサジアゾリル基である。
 本明細書において、「その塩」又は「薬学的に許容される塩」としては、薬学的に許容される塩の形態であればいずれでもよく、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸塩、及び酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
 本明細書において、基が置換基で「置換されていてもよい」とは、該基が該置換基で置換されているか、又は該置換基で置換されていない状態をいう。
 本発明の縮環ピリミジン化合物又はその塩は、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン骨格を有し、該骨格の4位に-NHR1(R1は後述のとおり)で表される基を、かつ7位に特定の置換基で置換されたベンゼンを有し、該ベンゼンが、4位にシアノ基又はニトロ基を有し、かつ3位に特定の置換基Y(Yは後述のとおり)を有することが特徴である。本発明の縮環ピリミジン化合物又はその塩は、アンドロゲン受容体(AR)に対してアンタゴニスト活性を有し、抗腫瘍効果を発揮する。一方、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン骨格を、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン又は5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン骨格に代替した化合物では、上記ARアンタゴニスト活性や抗腫瘍効果は発揮されない。また、上記の4位にシアノ基又はニトロ基、かつ3位に置換基Yを有するベンゼンを、他のシアノもしくはニトロベンゼンに代替した化合物では、上記の効果は発揮されない。
 上記特許文献1~3には、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン骨格を有する化合物が開示されている。しかしながら、特許文献1~3のいずれにも5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジンの4位に-NHR1(R1は後述のとおり)で示される基を有し、かつ7位にシアノベンゼンもしくはニトロベンゼンを有する化合物は開示されていない。また特許文献1~3には、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン化合物の抗腫瘍剤としての有用性は全く開示されておらず、さらに当該化合物のARに関する効果についての示唆もない。
 本発明の縮環ピリミジン化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 一般式(I)中、Xは、シアノ基、又はニトロ基を示す。
 一般式(I)中、Yはハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示す。Yで表される「ハロゲン原子」としては、上述のハロゲン原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子である。Yで表される「ハロゲノ-C1-3アルキル基」としては、上述のハロゲノ-C1-3アルキル基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。Yで表される「C1-3アルコキシ基」としては、上述のC1-3アルコキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基又はイソプロポキシ基である。Yで表される「C1-3アルキル基」としては、上述のC1-3アルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。一般式(I)中、Yは、好ましくは塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基、又はメチル基である。
 一般式(I)中、Zは、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-3アルキル基を示す。Zで表される「ハロゲン原子」としては、上述のハロゲン原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。Zで表される「C1-3アルキル基」としては、上述のC1-3アルキル基が挙げられる。一般式(I)中、Zは、好ましくは、水素原子、又はフッ素原子である。
 一般式(I)中、R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示す。R2で表される「C1-3アルキル基」としては、上述のC1-3アルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。一般式(I)中、R2は、好ましくは水素原子、メチル基、又はシアノ基である。
 一般式(I)中、R1は、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基、又はRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基を示す。
 R1に関する、上記「Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基」におけるC6-14アリール基は、上述のC6-14アリール基であり、好ましくはフェニル基である。該「C6-14アリール基」に置換されているRaの個数は1個であり、Rbの個数は0個、1個または2個である。
 R1に関する、上記「Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基」における「5員もしくは6員のヘテロアリール基」は、上述のヘテロアリール基のうちの5員もしくは6員の単環のヘテロアリール基から選択される。該「5員もしくは6員のヘテロアリール基」は、好ましくは、酸素、窒素、又は硫黄のいずれかから独立に選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5員もしくは6員の単環のヘテロアリール基であり、より好ましくは、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサゾリル基、又はオキサジアゾリル基であり、より好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、又はチアジアゾリル基であり、さらに好ましくは、ピリジニル基、又はピリダジニル基である。該「5員もしくは6員のヘテロアリール基」に置換されているRaの個数は1個であり、Rbの個数は0個、1個または2個である。
 一般式(I)中、R1は、好ましくは以下の群より選ばれる基である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 R1は、より好ましくは以下の群より選ばれる、Ra及びRbで置換されたフェニル基、ピリジニル基もしくはピリダジニル基である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 R1は、さらに好ましくは以下の群より選ばれる、Ra及びRbで置換されたフェニル基、ピリジニル基もしくはピリダジニル基である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 一般式(I)におけるR1中、Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基、C1-3アルキルスルホニル基、3~7員の単環のヘテロシクロアルキルスルホニル基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルコキシカルボニルアミノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニルアミノ基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換された3~7員の単環のヘテロシクロアルカンカルボニル基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示す。
 Raで表される「ヒドロキシ-C1-6アルキル基」は、上述のヒドロキシ-C1-6アルキル基であり、好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたC1-4アルキル基であり、より好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたエチル基(ヒドロキシ-エチル基)、又は1~3個のヒドロキシル基で置換されたイソプロピル基(ヒドロキシ-イソプロピル基)である。該ヒドロキシル基の個数は1個がより好ましい。さらに好ましくは、該「ヒドロキシ-C1-6アルキル基」は、2-ヒドロキシプロパン-2-イル基である。
 Raで表される「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基」は、上述のヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基である。
 Raで表される「ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基」は、上述のヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基であり、好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたヘテロシクロアルキル基である。該「ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基」は、より好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換された単環のヘテロシクロアルキル基であり、さらに好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたオキセタニル基(ヒドロキシ-オキセタニル基)であり、さらに好ましくは、3-ヒドロキシオキセタン-3-イル基である。
 Raで表される「Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」は、0~3個のRcで置換された上述のC1-6アルコキシ基であり、好ましくは、0~3個のRcで置換された上述のC1-4アルコキシ基である。Rcの数は0又は1個が好ましい。
 Rcは、置換されていてもよいピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基、又はRfで置換されていてもよいピペラジニル基を示す。
 Rcで表される「置換されていてもよいピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基」は、好ましくはC1-3アルキル基もしくはハロゲノC1-3アルキル基で置換されたピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基、又は非置換のピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基である。
 Rcで表される「Rfで置換されていてもよいピペラジニル基」は、0又は1個のRfで置換されたピペラジニル基である。Rcで表される「Rfで置換されていてもよいピペラジニル基」のRfは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6アルコキシカルボニル、又はC1-6アルキルアミノカルボニルを示す。該「C1-6アルキル」は上述のC1-6アルキルを示し、好ましくはメチル基である。該「C1-6アルキルカルボニル」は上述のC1-6アルキルカルボニルを示し、好ましくはメチルカルボニル(アセチル)である。該「C1-6アルキルスルホニル」は上述のC1-6アルキルスルホニルを示し、好ましくはメチルスルホニル(メシル)である。該「C1-6アルコキシカルボニル」は上述のC1-6アルコキシカルボニルを示し、好ましくはtert-ブトキシカルボニルである。該「C1-6アルキルアミノカルボニル」は上述のC1-6アルキルアミノカルボニルを示す。Rfの個数は0又は1個である。
 好ましくは、該「Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」は、C1-6アルコキシ基、又はRfで置換されていてもよいピペラジル基で置換されたC1-6アルコキシ基であり、より好ましくは、C1-6アルコキシ基、非置換のピペラジニル基で置換されたC1-6アルコキシ基、又はアセチル、メシル、tert-ブトキシカルボニルもしくはメチルで置換されたピペラジニル基で置換されたC1-6アルコキシ基であり、さらに好ましくは、メトキシ基であるか、非置換のピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基であるか、又はアセチル、メシル、tert-ブトキシカルボニルもしくはメチルで置換されたピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基である。
 Raで表される「Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基」は、0~3個のRfで置換された上述のアミノ-C1-6アルキル基であり、好ましくは、0又は1個のRfでN-置換されたアミノ-C1-6アルキル基である。好ましくは、該アミノ-C1-6アルキル基はアミノ-C1-3アルキル基である。該「Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基」におけるRfは、上述した「Rfで置換されていてもよいピペラジニル基」におけるRfと同様であり、好ましくはC1-6アルコキシカルボニルである。好ましくは、該「Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基」は、非置換又はC1-6アルコキシカルボニルで置換されたアミノ-C1-6アルキル基である。
 Raで表される「ハロゲノ-C1-3アルコキシ基」は、上述のハロゲノ-C1-3アルコキシ基を示し、好ましくは、トリフルオロメトキシ基である。
 Raで表される「C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基」は、上述のC3-7シクロアルキルアミノスルホニル基である。
 Raで表される「C1-3アルキルスルホニル基」は、上述のC1-3アルキルスルホニル基である。
 Raで表される「3~7員の単環のヘテロシクロアルキルスルホニル基」は、3~7員単環性の上述したヘテロシクロアルキル基で置換されたスルホニル基である。
 Raで表される「ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルコキシカルボニルアミノ基」は、0~7個のハロゲンで置換された上述したC1-3アルコキシカルボニルアミノ基、好ましくは上述したハロゲノ-C1-3アルコキシカルボニルアミノ基である。
 Raで表される「ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニルアミノ基」は、0~7個のハロゲンで置換された上述のC1-3アルキルカルボニルアミノ基、好ましくは上述したハロゲノ-C1-3アルキルカルボニルアミノ基である。
 Raで表される「ヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換された3~7員の単環のヘテロシクロアルカンカルボニル基」は、1個の上述したヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換された上述した3~7員の単環のヘテロシクロアルキル基で置換された、カルボニル基である。
 Raで表される「2環のヘテロシクロアルキル基」は、上述のヘテロシクロアルキル基のうち、2環性のものを示し、好ましくは、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基である。
 Raに関する「-(CH2n-C(=O)-NRdRe」で表される基において、Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示す。あるいは、NRdReが環を形成していてもよい。
 Raに関する「-(CH2n-C(=O)-NRdRe」で表される基において、nは0~3の整数が挙げられ、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
 Rd又はReで表される「C1-3アルキル基」は、上述のC1-3アルキル基であり、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
 Rd又はReで表される「C2-6アルキニル基」は、上述のC2-6アルキニル基であり、好ましくは、プロピニル基である。
 Rd又はReで表される「C1-6アルコキシ基」は、上述したC1-4アルコキシ基であり、好ましくは、tert-ブトキシ基である。
 Rd又はReで表される「C3-7シクロアルキル基」は、上記に挙げた「C3-7シクロアルキル基」であり、好ましくはシクロプロピル基である。
 Rd又はReで表される「ハロゲノ-C1-3アルキル基」は、上述のハロゲノ-C1-3アルキル基であり、好ましくはトリフルオロエチル基であり、より好ましくは、2,2,2-トリフルオロエチル基である。
 Rd又はReで表される「ヒドロキシ-C1-6アルキル基」は、上述のヒドロキシ-C1-6アルキル基である。
 Rd又はReで表される「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基」は、上述のヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基である。
 Rd又はReで表される「ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基」は、上述のヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基である。
 Rd又はReで表される「Rgで置換されたC1-6アルキル基」は、1~3個のRgで置換された上述のC1-6アルキル基であり、好ましくは、1個のRgで置換された上述のC1-4アルキル基である。
 Rgは、C1-6アルキルピラゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリル基、又はC1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示す。Rgで表される「C1-6アルキルピラゾリル基」は、上述のC1-6アルキルピラゾリル基である。Rgで表される「ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基」は、上述のハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基である。Rgで表される「ハロゲノ-C1-3アルキルオキサゾリル基」は、上述のハロゲノ-C1-3アルキルオキサゾリル基である。Rgで表される「C1-6アルコキシカルボニルアミノ基」は、上述のC1-6アルコキシカルボニルアミノ基であり、好ましくはtert-ブトキシカルボニルアミノ基である。
 該「Rgで置換されたC1-6アルキル基」は、好ましくは、tert-ブトキシカルボニルアミノ基で置換されたC1-6アルキル基であり、より好ましくはtert-ブトキシカルボニルアミノ基で置換されたエチル基である。
 あるいは、NRdReは環を形成していてもよい。NRdReが環を形成する場合、3~7員の含窒素複素環を形成する。該3~7員の含窒素複素環としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン及びアゼパンが挙げられ、好ましくはアゼパンである。
 Raに関する「-(CH2n-C(=O)-NRdRe」で表されるRd及びReにおいて、好ましくは、Rd及びReのいずれか一方がC1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-3アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基であり、他方が、水素原子又はC1-3アルキル基であるか、あるいはNRdReは1個の窒素原子を有する3~7員の含窒素複素環である。より好ましくは、Rd及びReのいずれか一方が、メチル基、エチル基、プロピニル基、tert-ブトキシ基、トリフルオロエチル基、又はtert-ブトキシカルボニルアミノで置換されたエチル基であり、他方が水素原子又はメチル基であるか、又はNRdReがアゼパンである。
 好ましくは、一般式(I)中:
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示す。
 より好ましくは、一般式(I)中:
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-エチル基、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、-(CH2n-C(=O)-NRdRe、又は、アセチル、tert-ブトキシカルボニル、メシルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示す。
 一般式(I)中、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示す。該「ハロゲン原子」としては、上述のハロゲン原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子又は塩素原子である。該「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基」としては、上述のC1-3アルキル基、又はハロゲノ-C1-3アルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、又はトリフルオロメチル基である。該「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基」としては、上述のC1-4アルコキシ基、又はハロゲノ-C1-4アルコキシ基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメトキシ基、又はメトキシ基である。Rbは、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、又はメトキシ基である。
 一般式(I)中のR1に関して、上記C6-14アリール基又は上記5員もしくは6員のヘテロアリール基に置換したRaとRbは互いに結合して、該C6-14アリール又は該ヘテロアリール基とともに縮合環を形成してもよい。該縮合環が形成される場合、好ましくは、RaがRfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、かつRbがC1-3アルキル基であり、より好ましくは、RaがRfで置換されていてもよいメチル基もしくはエチル基、かつRbがメチル基である。また好ましくは、該RaとRbが結合する環はC6-14アリールである。そのようにして形成され得るR1で表される縮合環基の例としては、置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリニル基、置換又は非置換のイソインドリニル基が挙げられる。
 好ましい実施形態において、一般式(I)中のR1は以下からなる群より選ばれる:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
(式中、
 Raがフェニル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、又は2環のヘテロシクロアルキル基を示し、かつRbが水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか、
又は
 RaがRfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、RbがC1-3アルキル基であって、該RaとRbが互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成する);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
(式中、
 Raは、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、又はハロゲン原子を示す);及び
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
(式中、
 Raは、-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子を示す)。
 より好ましい実施形態において、一般式(I)中のR1は以下の群から選ばれる:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
(式中、
 Raがメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、非置換のピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基、アセチル、メシルもしくはメチルで置換されたピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基、又は2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基を示し、Rbが水素原子、フッ素原子、塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよいメチル基、もしくはメトキシ基を示すか、
又は
 Raがtert-ブトキシカルボニル基で置換されていてもよいアミノ-エチル基、Rbがメチル基であり、該RaとRbが互いに結合して該ベンゼン環とともに置換又は非置換のイソキノリン環又はイソインドリン環を形成する);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
(式中、
 Raがアセチル基で置換されたピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示し、Rbがフッ素原子で置換されていてもよいメチル基を示す。);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
(式中、
 Raがフェニル基を示す。);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
(式中、
 Raは、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、又はフッ素原子を示し;
 Rdがメチル基、エチル基、プロピニル基もしくはtert-ブトキシ基を示し、かつReが水素原子を示すか、又はNRdReがアゼパンを形成する);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
(式中、
 Raは、メトキシ基を示す。);及び
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
(式中、
 Raは、-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rdはエチル基、シクロプロピル基、プロピニル基、トリフルオロエチル基、もしくはtert-ブトキシカルボニルアミノ基で置換されたエチル基を示し、Reは水素原子を示す)。
 別の一実施形態において、上記一般式(I)中、
 Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり;
 R1が、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基であるか、もしくはRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基であり;かつ
 Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
 Raは、以下の(a)~(g)から選択され、好ましくは、以下の(a)、(b)、(d)、(f)及び(g)から選択される。
(a) ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、
  好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたヘテロシクロアルキル基、
  より好ましくは1~3個のヒドロキシル基で置換されたオキセタニル基、
  さらに好ましくは、3-ヒドロキシオキセタン-3-イル基;
(b) Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(ここで、Rcは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル又はC1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル基を示す)、
  好ましくは、C1-6アルコキシ基、又はアセチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたC1-6アルコキシ基、
  より好ましくは、メトキシ基、又はアセチル基で置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基;
(c) Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、
  好ましくは、当該基とRbは互いに結合して該C6-14アリール又は該ヘテロアリール基とともに縮合環を形成する;
(d) ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、好ましくは、トリフルオロメトキシ基;
(e) C1-3アルキルスルホニル基;
(f) 2環のシクロヘテロアルキル基、好ましくは、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基;
(g) -(CH2n-C(=O)-NRdRe
(ここで、nは0~3の整数、好ましくは0であり;
  Rd及びReは、上述したとおりであり、
  好ましくは、Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、又はRgで置換されたC1-6アルキルであるか、あるいはNRdReは環を形成し、
  より好ましくは、Rd及びReのいずれか一方がC1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-3アルコキシ、C3-7シクロアルキル基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基であり、かつ他方が水素原子又はC1-3アルキル基であって、Rgが上述のとおりであるか、あるいはRd及びReが1個の窒素原子を有する3~7員の含窒素複素環を形成し、
  さらに好ましくは、Rd及びReのいずれか一方がメチル基、エチル基、プロピニル基、tert-ブトキシ基、又はtert-ブトキシカルボニルアミノ基で置換されたエチル基であり、かつ他方が水素原子又はメチル基であるか、あるいはNRdReがアゼパンであり、
  ただし、Rd及びReのいずれか一方が、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基もしくはヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基であるか、又はC1-6アルキルピラゾリル、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル、オキサジアゾリルもしくはハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリルで置換されたC1-6アルキル基である場合、他方は水素原子ではない)
 別の好ましい実施形態において、上記一般式(I)中、
 Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、かつ
 Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
 R1は以下の群から選ばれる:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
(式中、
 RaがRfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、2環のヘテロシクロアルキル基、又はRcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(ここで、RcはC1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル基、又はC1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル基を示す)を示し、かつRbが水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか、
又は
 RaがRfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、RbがC1-3アルキル基であって、該RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成する);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
(式中、Raは、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し(ここで、該-(CH2n-C(=O)-NRdReは、上記(g)に示すとおりである);
 Rbは、水素原子、又はハロゲン原子を示す);及び
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
(式中、
 Raは、-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し(ここで、該-(CH2n-C(=O)-NRdReは、上記(g)に示すとおりである);
 Rbは、水素原子を示す)。
 より好ましい実施形態において、上記一般式(I)中、
 Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、かつ
 Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
 R1は以下の群から選ばれる:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
(式中、
 Raがメトキシ基、アセチル基で置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、又は2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基を示し、Rbが水素原子、フッ素原子、塩素原子、又フッ素原子で置換されていてもよいメチル基を示すか、
又は
 Raがtert-ブトキシカルボニル基で置換されていてもよいアミノ-エチル基、Rbがメチル基であり、該RaとRbが互いに結合して該ベンゼン環とともに縮合環を形成する);
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
(式中、
 Raは、ヒドロキシ-オキセタニル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、該-(CH2n-C(=O)-NRdReは、上記(g)に示すとおりである)を示し;
 Rbは、水素原子、又はフッ素原子を示す);及び
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
(式中、
 Raは、-(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、該-(CH2n-C(=O)-NRdReは、上記(g)に示すとおりである)を示し;
 Rbは水素原子を示す)。
 したがって、好ましい一実施形態において、本発明の縮環ピリミジン化合物は、下記一般式(I)で表される:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
[式中、
 Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
 Yは、ハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示し;
 Zは、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-3アルキル基を示し;
 R1は、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基、又はRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基を示し、ここで、該RaとRbは、互いに結合して該C6-14アリール又は該ヘテロアリール基とともに縮合環を形成してもよく;
 R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示し;
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基、C1-3アルキルスルホニル基、3~7員の単環のヘテロシクロアルキルスルホニル基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルコキシカルボニルアミノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニルアミノ基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換された3~7員の単環のヘテロシクロアルカンカルボニル基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示し;
 Rcは、置換されていてもよいピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基、又はRfで置換されていてもよいピペラジニル基を示し;
 Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示し、あるいはNRdReは環を形成していてもよく;
 Rfは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルアミノカルボニルを示し;
 Rgは、C1-6アルキルピラゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリル基、又はC1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示し;
 nは、0~3の整数を示す
(但し、Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、
 R1が、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基であるか、もしくはRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基であり、かつ
 Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
 Raは、
  ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、
  Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(ここで、Rcは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル又はC1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル基を示す)、
  Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基(ここで、Rfは上述したとおりである)、
  ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、
  C1-3アルキルスルホニル基、
  2環のシクロヘテロアルキル基、又は
  -(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、n、Rd及びReは上述したとおりである。ただし、Rd及びReのいずれか一方が、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基もしくはヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基であるか、又はC1-6アルキルピラゾリル、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル、オキサジアゾリルもしくはハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリルで置換されたC1-6アルキル基である場合、他方は水素原子ではない)
である)、
]。
 上記本発明の縮環ピリミジン化合物のより好ましい一実施形態において、上記一般式(I)中、
 Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
 Yは、ハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示し;
 Zは、水素原子、又はハロゲン原子を示し;
 R1は、下記の群から選ばれる置換基であり、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
 R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示し;
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
 Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか;
 あるいは、RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成し;
 Rcは、Rfで置換されていてもよいピペラジニル基を示し;
 Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示し;
 あるいは、NRdReが3~7員の含窒素複素環を形成し;
 Rfは、C1-6アルキル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、又はC1-6アルキルアミノカルボニル基を示し;
 Rgは、C1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示し;
 nは、0又は1の整数を示す
(但し、Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、
 R1が、本段落で上述したとおりであり、かつ
 Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
 Raは、
  ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、
  Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(ここで、Rcは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル又はC1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル基を示す)、
  Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基(ここで、Rfは本段落の上記で定義したとおりである)、
  ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、
  2環のシクロヘテロアルキル基、又は
  -(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、n、Rd及びReは本段落の上記で定義したとおりである。ただし、Rdがハロゲノ-C1-3アルキル基である場合、Reは水素原子ではない)、
である)。
 上記本発明の縮環ピリミジン化合物のさらに好ましい一実施形態において、上記一般式(I)中、
 Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
 Yは、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基、又はメチル基を示し;
 Zは、水素原子、又はフッ素原子を示し;
 R1は、下記の群から選ばれる置換基であり;
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
 R2は、水素原子、メチル基、又はシアノ基を示し;
 Raは、フェニル基、ヒドロキシ-エチル基、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、-(CH2n-C(=O)-NRdRe、又はアセチル、tert-ブトキシカルボニル、メシルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示し;
 Rbは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基を示し;
 あるいは、RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリニル基又はイソインドリニル基を形成し;
 Rd及びReのいずれか一方は、メチル基、エチル基、プロピニル基、シクロプロピル基、トリフルオロエチル基、tert-ブトキシ基、もしくはtert-ブトキシカルボニルアミノで置換されたエチル基を示し、他方は水素原子もしくはメチル基を示し;
 あるいは、NRdReがアゼパンを形成し;
 nは、0である
(但し、Xがシアノ基、Yが塩素原子、臭素原子もしくはトリフルオロメチル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、
 R1が、本段落で上述したとおりであり、かつ
 Rbが水素原子、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基である場合、
 Raは、
  ヒドロキシ-オキセタニル基、
  トリフルオロメトキシ基、
  2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、
  アセチル、tert-ブトキシカルボニル、メシルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基、又は
  -(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、n、Rd及びReは本段落の上記で定義したとおりである。ただし、Rd及びReのいずれか一方がトリフルオロエチル基である場合、他方は水素原子ではない)、
である)。
 本発明における好ましい縮環ピリミジン化合物の具体的な例としては、以下の(1)~(48)に記載の化合物が挙げられる。
(1)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド
(2)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロ-N-メチルニコチンアミド
(3)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロ-N-メチルニコチンアミド
(4)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド
(5)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチルニコチンアミド
(6)4-(4-((5-(アゼパン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
(7)N-(tert-ブトキシ)-6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド
(8)tert-ブチル (2-(6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-カルボキサミド)エチル)カーバメイト
(9)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-シクロプロピルピリダジン-3-カルボキサミド
(10)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチルピリダジン-3-カルボキサミド
(11)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(プロプ-2-イン-1-イル)ピリダジン-3-カルボキサミド
(12)N-エチル-2-フルオロ-6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド
(13)2-(6-((7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(14)2-(6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(15)2-(6-((7-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(16)2-(6-((7-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(17)2-(6-((7-(3-ブロモ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(18)2-(6-((7-(3-クロロ-2-フルオロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(19)2-(6-((7-(3-イソプロポキシ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
(20)4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メチルベンゾニトリル
(21)N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(22)7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(23)4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メトキシベンゾニトリル
(24)6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピリダジン-3-カルボキサミド
(25)N-(6-メトキシピリジン-3-イル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(26)4-(4-((3,4-ジメトキシフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
(27)4-(4-((4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
(28)4-(4-((4-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル
(29)tert-ブチル 5-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)イソインドリン-2-カルボキシレート
(30)tert-ブチル 4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
(31)N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(32)tert-ブチル 7-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート
(33)N-(3-メチル-4-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(34)N-([1,1'-ビフェニル]-3-イル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(35)2-クロロ-4-(4-((6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
(36)tert-ブチル 7-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート
(37)2-クロロ-4-(4-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
(38)2-クロロ-4-(4-((4-(3-(ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
(39)1-(4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン
(40)N-(3-クロロ-4-(3-(4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(41)N-(3-クロロ-4-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
(42)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-クロロフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル
(43)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル
(44)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
(45)1-(4-(3-(4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン
(46)1-(4-(3-(4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン
(47)7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-カルボニトリル
(48)4-(4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-2-メチル-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
 本発明の縮環ピリミジン化合物又はその塩は、種々の方法により製造することができる。一般式(I)で表される化合物は、通常公知の方法に準じて製造できる。例えば、一般式(I)で表される化合物は、下記反応工程式1に従い製造することができる。
反応工程式1
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
 上記反応工程式1は、式(II)化合物より、一般式(Ia)化合物を合成する反応工程式である。反応工程式1中、X、Y、Z、R2、Ra、及びRbは上述と同じ定義であって、それぞれ適宜選択することができ、ArはC6-14アリール基又は5~6員のヘテロアリール基を示す。
(Step1)
 本工程は、上記反応工程式1中に示した式(II)化合物の保護基Pの脱保護の反応である。脱保護の方法としては通常公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene,John Wiley&Sons(1981年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。保護基Pとしては、Boc基、ベンジルオキシカルボニル基、及びベンジル基が挙げられる。保護基Pとしてベンジル基を用いた場合、加水素分解の触媒としては水酸化パラジウム、パラジウム/炭素、白金、ラネーニッケル、酸化白金、ロジウム-酸化アルミニウムなどが挙げられ、好ましくはパラジウム/炭素である。試薬の使用量は、該式(II)化合物1当量に対し、0.001~10当量であり、好ましくは0.05~2当量である。脱保護反応の温度は、0~100℃であり、好ましくは40~80℃である。本工程に使用する溶媒としては、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、メタノール、THF、酢酸エチル、DMF、ピリジン等、又はその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはメタノールである。本工程により得られる式(III)化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(Step2)
 本工程は、式(III)で表されるアミンと式(IV)で表される脱離基L1を有する芳香環との求核置換反応により、式(V)で表される化合物を製造する工程である。脱離基L1としては、フッ素、塩素等のハロゲン原子のほか、メタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などが挙げられる。本工程に使用する溶媒としては、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、トルエン、アセトニトリル、ベンゼン、ジオキサン、THF、DMSO、DMF、ピリジン等、又はその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはDMSOである。当該反応に用いられる式(IV)で表される芳香環の当量は、式(III)で表されるアミン1モルに対し、0.1~過剰モルであり、好ましくは0.5~3モルである。該反応において塩基は用いても用いなくてもよい。塩基を使用する場合は、該塩基としてはピリジン、DBU、炭酸カリウム、炭酸セシウム、3級アミンなどが挙げられ、好ましくはトリエチルアミン又は炭酸カリウムである。当該求核置換反応の温度は0~200℃であり、好ましくは0~50℃である。本工程により得られる式(V)化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
 本工程の別法において、一般式(V)で表される化合物は金属触媒とホスフィン配位子を用いて行うことができる。当該金属触媒としては、さまざまな配位子を有する金属複合体が用いられ、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)などが挙げられる。ホスフィン配位子としては、dppf、Xantphos、XPhosなどが挙げられる。本工程の反応に使用される塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウム tert-ブトキシドなどが挙げられる。本工程に使用する溶媒としては、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、ピリジンなどが挙げられる。本工程の反応に用いられる金属触媒の量は、該式(III)化合物1モルに対して、0.005~10モルであり、好ましくは0.01~1モルである。反応時間は、0.1~48時間であり、好ましくは0.5~24時間である。反応温度は、0~200℃であり、好ましくは、50~150℃である。本工程により得られる一般式(V)の化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
(Step3)
 本工程は、上記式(V)化合物の遊離の水酸基を脱離基L2に変換する工程である。脱離基L2としては、L1と同様の基が挙げられ、ハロゲン原子が好ましい。上記変換反応は、無溶媒下又は溶媒中で行われる。本工程に使用する溶媒としては、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、DMF、NMP、DMA、トルエン、ジクロロエタン、アセトニトリルなどが挙げられる。当該反応に用いられる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。当該反応に用いられるハロゲン化剤(例えば、オキシ塩化リン、五塩化リン、三臭化リン)の量は、該式(V)化合物1モルに対して、0.5~20モルであり、好ましくは5~15モルである。当該変換反応の時間は、0.1~48時間であり、好ましくは0.5~24時間である。反応温度は、0~200℃であり、好ましくは、50~120℃である。本工程により得られる式(VI)化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製するか、又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(Step4)
 本工程は、上記式(VI)化合物と、式(VII)化合物とを連結し、一般式(Ia)の化合物を得る工程である。本工程の反応は、種々の塩基存在下、適当な溶媒中において、金属触媒とホスフィン配位子を用いて行われる。上記式(VII)化合物の当量は、上記式(VI)化合物1モルに対して、0.1~過剰モルであり、好ましくは1~10モルである。当該金属触媒としては、さまざまな配位子を有する金属複合体が用いられ、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)などが挙げられる。ホスフィン配位子としては、dppf、Xantphos、XPhosなどが挙げられる。本工程の反応に使用される塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウム tert-ブトキシドなどが挙げられる。本工程に使用する溶媒としては、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、ジオキサン、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。本工程の反応に用いられる金属触媒の量は、該式(VI)化合物1モルに対して、0.005~10モルであり、好ましくは0.01~1モルである。塩基の量は、上記式(VI)化合物1モルに対して、0.1~20モルであり、好ましくは1.0~5.0モルである。反応時間は、0.1~48時間であり、好ましくは0.5~24時間である。反応温度は、0~200℃であり、好ましくは、50~120℃である。本工程により得られる一般式(Ia)の化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
 本工程の別法において、一般式(Ia)で表される化合物は、当該金属触媒とホスフィン配位子を用いずに、塩基のみを用いて得ることができる。塩基としては、炭酸カリウムなどが挙げられる。塩基の量は、上記式(VI)化合物1モルに対して、0.005~10モルであり、好ましくは1.0~5.0モルである。本工程の反応に使用される溶媒は、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、アセトニトリル又はジオキサンなどが挙げられる。反応時間は、0.1~48時間であり、好ましくは0.5~24時間である。反応温度は、0~200℃であり、好ましくは、50~120℃である。本工程により得られる一般式(Ia)の化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
 さらに本工程の別法として、上記式(VI)化合物と式(VII)化合物との連結は、当該金属触媒とホスフィン配位子を用いずに、酸を用いて行われる。上記式(VII)化合物の当量は、上記式(VI)化合物1モルに対して、0.1~過剰モルであり、好ましくは1~10モルである。用いる酸としては、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、塩酸などが挙げられる。酸の量は、上記式(VI)化合物1モルに対して、0.005~過剰モルであり、好ましくは0.1~10モルである。本工程の反応に使用される溶媒は、反応に支障のないものであれば特に限定されないが、例えば、tert-ブタノール、2-プロパノール、THF、ジオキサンなどが挙げられる。反応時間は、0.1~48時間であり、好ましくは0.1~24時間である。反応温度は、0~200℃であり、好ましくは、50~180℃である。本工程により得られる一般式(Ia)の化合物は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、結晶化、再沈殿、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
 上記製造法において、R2、Ra、Rb、及びL2は、適切な工程で、常法に従い、保護基導入、脱保護又は変換することができる。
 反応工程式1の各工程の順序は入れ替えることができる。反応工程式1の工程の順序を入れ替えた代替法として、下記反応工程式2を利用可能である。
反応工程式2
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
 上記の手順で得られた上記一般式(I)で表される縮環ピリミジン化合物(以下、「本発明の式(I)化合物」ともいうことがある)は、置換基の種類によって光学異性体又は幾何異性体を生じることがあるが、それらはいずれも、本発明の式(I)化合物に包含される。当該異性体は、分割されてもよく、又は異性体の混合物のままでもよい。また、上記一般式(I)で表される縮環ピリミジン化合物には下記に示す互変異性体が存在するが、いずれの互変異性体も本発明の式(I)化合物に包含される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
 さらに、本発明の式(I)化合物は、水和物に代表される溶媒和物、無晶形(アモルファス)又は結晶多形も包含する。
 本発明の式(I)化合物は、通常公知の方法で塩を形成することができる。本発明の式(I)化合物の塩の形態としては、上述した薬学的に許容される塩の形態であればいずれでもよい。
 本発明の式(I)化合物又はその塩は、通常公知の分離精製手段、例えば濃縮、溶媒抽出、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等を用いることにより単離精製可能である。
 本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩を医薬として用いるにあたっては、予防又は治療の目的に応じて各種の投与形態を採用可能である。該投与形態としては、経口及び非経口投与形態、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、塗布剤、貼付剤などが挙げられ、好ましくは、経口剤が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
 上記医薬は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量、及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物であってもよい。薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用される各種有機又は無機の担体物質が用いられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、安定化剤、pH調節剤、界面活性剤、湿潤剤、保存剤、無痛化剤などが挙げられる。また該医薬は、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、矯味・矯臭剤などの製剤添加物を含有することもできる。
 薬学的に許容される担体及び製剤添加物としては、当該分野で一般的に使用されるものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられ;結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ;崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられ;滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられ;着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられ;矯味・矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
 経口用固形製剤を調製する場合は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩に、賦形剤、及び必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などを製造することができる。
 経口用液体製剤を調製する場合は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩に、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて、常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などを製造することができる。この場合、矯味・矯臭剤としては、上記に挙げられたものでよく;緩衝剤としては、クエン酸ナトリウムなどが挙げられ;安定化剤としては、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
 注射剤を調製する場合は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内又は静脈内用注射剤などを製造することができる。この場合、pH調節剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられ;安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられ;局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどなどが挙げられ;等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
 坐剤を調製する場合は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩に、当業界において公知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド等、さらに必要に応じてツイーン(登録商標)のような界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。
 軟膏、クリーム、ゲル又はペーストなどの塗布剤を調製する場合は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩に、通常使用される基剤、安定化剤、湿潤剤、保存剤等を必要に応じて添加し、常法により混合し、製剤化する。基剤としては、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィンなどが挙げられ;保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
 貼付剤を調製する場合は、通常の支持体に、上記軟膏、クリーム、ゲル、ペーストなどを常法により塗布すればよい。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタンなどのフィルムあるいは発泡体シートが適当である。
 上記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の量は、これを適用すべき対象の症状、体重、年齢、性別や、その剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、本発明の式(I)化合物の量に換算して、経口剤では0.05~1000mg、注射剤では0.01~500mg、坐剤では1~1000mgとするのが望ましい。また、上記投与形態の1日あたりの投与量は、対象の種、症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、通常成人1日あたり、本発明の式(I)化合物の量に換算して、0.05~5000mg、好ましくは0.1~1000mgとすればよく、これを1日1回又は2~4回程度に分けて投与するのが好ましい。なお本発明においては、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩として、該化合物又は塩のいずれか1種を単独で用いてもよいが、いずれか複数種を組み合わせて用いてもよい。
 本明細書において、抗アンドロゲン活性とは、アンドロゲンの作用を抑制する活性のことであり、当該抗アンドロゲン活性を有する化合物、組成物、又は医薬を抗アンドロゲン剤という。本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩は、アンドロゲン受容体(AR)アンタゴニストとして作用し、アンドロゲンに対するARの応答を抑制することにより、抗アンドロゲン活性を発揮する。また、本発明の式(I)化合物又はその塩は、AR発現を低下させる作用も有しており、その作用を介しても抗アンドロゲン活性をもたらし得る。本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩は、当該抗アンドロゲン活性により、各種疾患の発生や進行、腫瘍の発生、進行もしくは再発腫瘍の進行もしくは再発を抑制する効果を発揮する。
 したがって、別の実施形態において、本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗アンドロゲン剤を提供する。また本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の、抗アンドロゲン剤の製造のための使用を提供する。また本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の抗アンドロゲン剤としての使用を提供する。また本発明は、抗アンドロゲン剤として使用するための本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
 さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬を提供する。また本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の、医薬の製造のための使用を提供する。また本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬としての使用を提供する。また本発明は、医薬として使用するための本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
 さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。
 好ましい実施形態において、上記医薬又は医薬組成物は抗アンドロゲン剤として使用される。また好ましい実施形態において、上記医薬又は医薬組成物は、ARの活性化に関与する疾患の治療剤である。また好ましい実施形態において、上記医薬又は医薬組成物は、抗腫瘍剤である。
 なお別の実施形態において、本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を対象に投与することを含む、アンドロゲン活性抑制方法を提供する。また本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を対象に投与することを含む、ARの活性化に関与する疾患の治療方法を提供する。また本発明は、本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を対象に投与することを含む、腫瘍の治療方法を提供する。
 本発明によるアンドロゲン活性抑制方法、ARの活性化に関与する疾患の治療方法、及び腫瘍の治療方法において、上記対象としては、当該方法を必要とするヒト又は非ヒト動物が挙げられる。非ヒト動物としては、サル、チンパンジーなどの霊長類、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。
 上記対象に投与される本発明の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量や投与計画は、該対象の種、症状、体重、年齢、性別等に応じて、当業者が適宜決定することができる。例えば、該対象が成人の場合、通常1日あたり、本発明の式(I)化合物の量に換算して、0.05~5000mg、好ましくは0.1~1000mgであり、これを1日1回又は2~4回程度に分けて投与するのが好ましい。
 上記ARの活性化に関与する疾患としては、腫瘍、転移性骨疾患、前立腺肥大症、尋常性坐瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、性的早熟症、男性化症などが挙げられる。当該腫瘍としては、例えば、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、膵臓癌、肝細胞癌などが挙げられ、好ましくは、前立腺癌である。なお、当該腫瘍には、耐性化、再発、もしくは転移した腫瘍も含まれる。したがって、具体的な前立腺癌の例としては、通常の前立腺癌の他、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、ホルモン耐性前立腺癌(HRPC)、PSA再燃前立腺癌、タキサン抵抗性前立腺癌、放射線耐性前立腺癌などが挙げられ、好ましくは去勢抵抗性前立腺癌である。
 既存の抗アンドロゲン剤としては、例えばビカルタミドなどが挙げられるが、これらはARに対するアゴニスト活性を有しており、その効果は長期間持続せず、いずれも奏功2年から5年後に再発癌が認められる。また、CRPCでは、ARが過剰発現していることが再発の要因と考えられている。本発明の式(I)化合物又はその塩は、ARに対する強力なアンタゴニスト活性を有する一方でアゴニスト活性はなく、ARが過剰発現する細胞において強いAR阻害作用を示す。また、本発明の式(I)化合物又はその塩は、ARに対するアンタゴニスト活性に加え、AR発現を低下させる作用を有していることから、CRPCなどのARが過剰発現した癌に対して有効である。
 以下に実施例、試験例によって本発明を具体的に説明するが、これらは例示の目的で記載されているものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
<製造実施例>
 以下の実施例において、各種試薬は特に記載の無い限り市販品を使用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、Biotage(登録商標)SNAP Ultraプレパックドカラム、又はBiotage(登録商標)SNAP KP-NHプレパックドカラム(いずれもバイオタージ社製)を用いた。
 逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーは下記条件にて実施した。
  カラム:YMC社製YMC-Actus Triart C18,
      30×50mm,5μm
  UV検出:254nm
  カラム流速:40mL/min
  移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
  インジェクション量:1.0mL
  グラディエント:水/アセトニトリル 10%→90%(8分)
 1H-NMRスペクトル測定には、AL400(400MHz;日本電子(JEOL))、又はMercury400(400MHz;アジレント・テクノロジー)型スペクトロメータを使用した。1H-NMRスペクトルは、TMS(テトラメチルシラン)を内部標準として測定し、δ値(ppm)で化学シフトを示した。化学シフトは、括弧内にプロトン数、吸収パターン、カップリング定数(J値)を示した。吸収パターンに関しては以下の記号を使用する:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、sept=セプテット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、dq=ダブルカルテット、m=マルチプレット、br-s=ブロードシングレット、br-d=ブロードダブレット、br-t=ブロードトリプレット、br-dd=ブロードダブルダブレット。
 LCMSスペクトルはWaters社製SQDを用いて下記2つの条件にて測定し、保持時間(RT)(分)及び[M+H]+値を示した。
  MS検出:ESI positive
  UV検出:254nm
  カラム流速:0.5mL/min
  移動相:水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
  インジェクション量:1μL
  A法
   カラム:Acguity BEH、2.1×50mm、1.7μm
   グラディエント:
    Time(min) 水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
       0       95/5
     0.1       95/5
     2.1       5/95
     3.0       STOP
  B法
   カラム:Acguity BEH、2.1×50mm、1.7μm
   グラディエント:
    Time(min) 水/アセトニトリル(0.1%ギ酸)
       0       95/5
     0.1       95/5
     1.1       5/95
     2.0       STOP
 化合物の構造式に関しては、次の記号を使用する場合がある:Me=メチル、Et=エチル、tBu=tert-ブチル、Ph=フェニル、Bn=ベンジル、Ac=アセチル、Boc=tert-ブトキシカルボニル、Ms=メタンスルホニル。
 溶媒・試薬等に関しては、次の略語を使用する場合がある:
 DMSO = ジメチルスルホキシド;
 DMF = N,N-ジメチルホルムアミド;
 THF = テトラヒドロフラン;
 dba = ジベンジリデンアセトン;
 dppf = 1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;
 XantPhos = 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン;
 Boc2O = 二炭酸ジ-tert-ブチル;
 DMAP = 4-ジメチルアミノピリジン;
 TFA = トリフルオロ酢酸;
 DIPEA = ジイソプロピルエチルアミン;
 DMT-MM = 4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド;
 HATU = O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート;
 HOBt = 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;
 mCPBA = 3-クロロ過安息香酸
 WSC = EDCI = 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;
 DBU = 1、8-ジアザビシクロ〔5、4、0〕ウンデセン;
 NMP = N-メチル-2-ピロリドン;
 DMA = ジメチルアセトアミド;
 DCC = N、N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド;
 DPPA = ジフェニルリン酸アジド;
 LDA = リチウムジイソプロピルアミド。
参考例1
4-(4-クロロ-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
(工程1)4-(4-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
 市販の7-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(12.6g)と10%パラジウム/炭素(2g)とギ酸アンモニウム(16.5g)をメタノール(200mL)に懸濁し、60℃にて一晩撹拌した。反応液の不溶物をセライト濾過後、濾液を濃縮し、得られた残渣を精製することなく次反応に用いた。得られた化合物を4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(10g)とともにDMSO(150mL)に懸濁し室温にて一晩撹拌した。反応液に水(200mL)を加え、固体を濾取した。得られた固体を酢酸エチル100mLで懸濁洗浄後、加熱乾燥することで標記化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ12.35(1H,br-s),8.09(1H,S),7.85(1H,d,J=8.0Hz),7.39(1H,s),7.32(1H,d,J=8.0Hz),4.34(2H,s),3.71(2H,t,J=4.0),2.56(2H,t,J=4.0Hz).
LCMS(A)RT 1.37,m/z[M+H]+321.
(工程2)4-(4-クロロ-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
 工程1で得られた固体(12.3g)をジクロロエタン(60mL)に懸濁し、オキシ塩化リン(36mL)とトリエチルアミン(12mL)を加え90℃にて30分間撹拌した。反応液を水(300mL)に加え、混合物を炭酸ナトリウムでpH7に調整した後、クロロホルム(300mL×3回)で抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた固体を酢酸エチルで懸濁洗浄することで9.4g(72%)の標記化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ8.89(1H,s),7.89(1H,d,J=8.0Hz),7.47(1H,s),7.40(1H,d,J=8.0Hz),4.73(2H,s),3.90(2H,t,J=4.0),2.94(2H,t,J=4.0Hz).
LCMS(A)RT 1.81,m/z[M+H]+339/341.
参考例2
2-クロロ-4-(4-クロロ-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
 市販の5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール塩酸塩(10.0g)と2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリル(8.1g)、トリエチルアミン(22mL)をDMSO(183mL)に加え、室温で2日間攪拌した。水(400mL)を加え、濃塩酸でpH4~6に調整し、析出した固体を濾取した。得られた固体を酢酸エチルで懸濁洗浄後乾燥した。得られた固体(6.4g)にオキシ塩化リン(15mL)を加え、反応液を10分間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣に水(400mL)を添加し、水層を炭酸ナトリウムでpH8に調整した。析出した固体を濾取し、乾燥後、トルエンで懸濁洗浄することで標記化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ8.87(1H,s),7.70(1H,d,J=8.9Hz),7.32(1H,d,J=2.3Hz),7.12(1H,dd,J=8.9,2.3Hz),4.66(2H,s),3.83(2H,t,J=5.8Hz),2.90(2H,t,J=5.8Hz).
LCMS(A)RT 1.75,m/z[M+H]+305/307.
参考例3
4-クロロ-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
 参考例1に準じ、4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの代わりに4-フルオロ-1-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い、同様の操作を行うことによって表題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:8.86(1H,s),8.08(1H,d,J=9.2Hz),7.27-7.24(1H,m),7.06(1H,dd,J=9.3,2.7Hz),4.64(2H,s),3.86(2H,t,J=5.9Hz),3.09(2H,t,J=5.7Hz).
LCMS(A)RT 1.87,m/z[M+H]+359/361.
参考例4
2-(6-((5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
(工程1)6-((7-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチン酸メチル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000044
 市販の7-ベンジル-4-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン(48g)と6-アミノニコチン酸メチル(31g)、Pd(dba)2(10.6g)、dppf(10.2g)、炭酸セシウム(133g)をジオキサン(1000mL)に懸濁させ、反応液をアルゴン雰囲気下、105℃にて3時間攪拌した。反応液を放冷後、析出した固体を濾取し、トルエンで懸濁洗浄することで標記化合物を淡黄色固体として得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:9.39(1H,s),8.84(1H,d,J=2.6Hz),8.57(1H,s),8.32(1H,d,J=9.2Hz),8.26(1H,d,J=2.6Hz),7.36-7.36(5H,m),3.85(3H,s),3.68(2H,s),2.77(2H,d,J=4.8Hz),2.74(2H,d,J=4.4Hz).
LCMS(A)RT 1.09,m/z[M+H]+376.
(工程2)2-(6-((7-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド [3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000045
 工程1で得られた化合物(15g)のTHF(400mL)溶液に、メチル臭化マグネシウム(3mol/L エーテル溶液、60mL)を氷冷下にて滴下した。滴下完了後に氷浴を取り除き、反応液を室温にて2時間撹拌した。反応液に2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、硫酸マグネシウムにて乾燥後減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール)を用いて精製することで、標記化合物を白色固体として得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.78(1H,s),8.43(1H,s),8.40(1H,d,J=2.2Hz),8.07(1H,d,J=8.4Hz),7.82(1H,dd,J=8.6,2.4Hz),7.38-7.25(5H,m),5.16(1H,s),3.67(2H,s),2.72(4H,s),1.45(6H,s).
LCMS(A)RT 0.81,m/z[M+H]+376.
(工程3)2-(6-((5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000046
 工程2で得られた化合物(25g)と水酸化パラジウム(50%wet)(9.3g)とギ酸アンモニウム(33.6g)をメタノール(620mL)に懸濁し、反応液を60℃にて1.5時間撹拌した。反応液の不溶物をセライト濾過後、濾液を減圧濃縮することで表題化合物を白色固体として得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.71(1H,s),8.44(1H,s),8.40(1H,d,J=2.2Hz),8.06(1H,d,J=8.8Hz),7.82(1H,dd,J=8.6,2.4Hz),5.16(1H,s),3.72(2H,s),3.16(1H,s),2.99(2H,t,J=5.9Hz),2.59(2H,t,J=5.7Hz),1.45(6H,s).
LCMS(A)RT 0.43,m/z[M+H]+286.
参考例5
6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロニコチン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000047
 (工程1)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロニコチン酸メチル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000048
 参考例2で得られた化合物(88mg)と市販の6-アミノ-2-フルオロニコチン酸 メチルエステル(35mg)、Pd2(dba)3(19mg)、dppf(23mg)、炭酸セシウム(201mg)をジオキサン(0.7mL)に懸濁させ、反応液をマイクロ波照射下140℃にて50分間攪拌した。濾液を減圧濃縮した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を茶褐色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:8.76(1H,s),8.56(1H,dd,J=8.4,1.5Hz),8.43(1H,t,J=8.8Hz),7.53(1H,d,J=8.8Hz),7.38(1H,s),7.00(1H,d,J=2.6Hz),6.85(1H,dd,J=8.8,2.6Hz),4.49(2H,s),3.95(3H,s),3.82(2H,t,J=5.7Hz),2.84(2H,t,J=5.7Hz).
LCMS(A)RT 1.83,m/z[M+H]+439/441.
(工程2)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロニコチン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000049
 工程1で得られた化合物(10mg)のエタノール(0.5mL)溶液に、5.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.5mL)を室温にて加えた後、反応液を40℃にて1時間攪拌した。反応液を放冷後、5.0mol/L塩酸(0.55mL)を加えた。析出した固体を濾取することにより表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:9.23(1H,s),8.60(1H,s),8.12(1H,t,J=9.2Hz),7.98(1H,d,J=8.1Hz),7.68(1H,d,J=9.2Hz),7.31(1H,d,J=1.8Hz),7.11(1H,dd,J=9.2,1.8Hz),4.50(2H,s),3.79(2H,t,J=5.3Hz),2.87(2H,t,J=4.8Hz).
LCMS(A)RT 1.51,m/z[M+H]+425/427.
参考例6
6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロニコチン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000050
 参考例5に準じ、参考例2の代わりに参考例1を用い、同様の操作を行うことによって表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:13.17(1H,br-s),9.86(1H,s),8.71(1H,s),8.35(1H,dd,J=9.9,8.8Hz),8.14(1H,dd,J=8.4,1.8Hz),7.87(1H,d,J=8.8Hz),7.45(1H,d,J=2.6Hz),7.38(1H,dd,J=8.8,2.6Hz),4.61(2H,s),3.85(2H,t,J=5.7Hz),2.93(2H,t,J=5.1Hz).
LCMS(A)RT 1.62,m/z[M+H]+459.
参考例7
6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000051
(工程1)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチン酸 メチルエステル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000052
 参考例1で得られた化合物(10.0g)と6-アミノニコチン酸メチル(4.49g)、Pd(dba)2(1.70g)、dppf(1.64g)、炭酸セシウム(24.1g)をジオキサン(120mL)に懸濁させ、反応液を窒素雰囲気下、80℃にて一晩攪拌した。反応液を放冷後、水を加え、析出した固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより9.42g(70%)の標記化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ9.63(1H,s),8.82(1H,s),8.65(1H,s),8.27-8.21(2H,m),7.85(1H,d,J=8.8Hz),7.42(1H,d,J=2.0Hz),7.35(1H,dd,J=8.8,2.0Hz),4.57(2H,s),3.85-3.80(5H,m),2.91(2H,t,5.2Hz).
LCMS(A)RT 1.77,m/z[M+H]+455.
(工程2)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000053
 工程1で得られた化合物(9.21g)のメタノール(100mL)懸濁液に、5.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(11mL)を加え、反応液を40℃にて一晩攪拌した。反応液を放冷後、5.0mol/L塩酸を用いてpH3付近に調整した。析出した固体を濾取し、水で洗浄した後、減圧乾燥することにより、8.24g(92%)の標記化合物を粗生成物として得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ9.59(1H,s),8.83(1H,d,J=2.0Hz),8.67(1H,s),8.27-8.23(2H,m),7.87(1H,d,J=8.8Hz),7.45(1H,d,J=2.0Hz),7.38(1H,dd,J=2.4,8.8Hz),4.60(2H,s),3.86(2H,t,J=5.6Hz),2.93(2H,t,J=5.6Hz).
LCMS(A)RT 1.48,m/z[M+H]+441.
参考例8
6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-カルボン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000054
(工程1)メチル 6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-カルボン酸 メチルエステル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000055
 参考例7(工程1)に準じ、6-アミノニコチン酸メチルの代わりに市販の6-アミノピリダジン-3-カルボン酸 メチルエステル(100mg)を用い、同様の操作を行うことによって38mgの標記化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ10.39(1H,s),8.65(1H,s),8.48(1H,d,J=9.6Hz),8.16(1H,d,J=9.6Hz),7.86(1H,d,J=8.8Hz),7.44(1H,d,J=2.8Hz),7.37(1H,dd,J=8.8,2.0Hz),4.60(2H,s),3.91(3H,s),3.85(2H,t,J=6.0Hz),2.97(2H,t,5.6Hz).
(工程2)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-カルボン酸
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000056
 参考例7(工程2)に準じ、参考例7(工程1)で得られた化合物の代わりに本工程1で得られた化合物(2.30g)を用い、同様の操作を行うことによって2.04gの標記化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ10.32(1H,s),8.64(1H,s),8.45(1H,d,J=9.6Hz),8.13(1H,d,J=9.2Hz),7.86(1H,d,J=8.8Hz),7.44(1H,d,J=2.4Hz),7.37(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),4.60(2H,s),3.85(2H,t,J=5.6Hz),2.97(2H,t,6.0Hz).
LCMS(A)RT 1.42,m/z[M+H]+442.
参考例9
tert-ブチル 4-(3-(4-アミノ-2-クロロフェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000057
(工程1)tert-ブチル 4-(3-(2-クロロ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000058
 tert-ブチル 4-(3-ヒドロキシプロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート(310mg)のTHF(3mL)溶液に、室温にて2-クロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(320mg)及び水素化ナトリウム(60% in oil、83mg)を加え、反応液を70℃にて終夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を水及び飽和食塩水にて洗浄した後、硫酸ナトリウムにて乾燥後減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル)を用いて精製することで、標記化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ1.46(9H,s),1.94-2.04(2H,m),2.36-2.44(4H,m),2.51(2H,t,J=7.1Hz),3.44(4H,br-s),4.11(2H,t,J=6.2Hz),6.87(1H,dd,J=9.2,2.6Hz),7.03(1H,d,J=2.6Hz),8.00(1H,d,J=9.2Hz).
LCMS(B)RT 1.01,m/z[M+H]+400/402.
(工程2)tert-ブチル 4-(3-(4-アミノ-2-クロロフェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000059
 工程1で得られた化合物(180mg)のメタノール(10mL)溶液に、室温にてヒドラジン・1水和物(1mL)及び展開ラネーニッケル(0.3mL)を加え、反応液を室温にて終夜撹拌した。沈殿物をセライトにて濾別した後、溶媒を減圧濃縮することで表題化合物を黄色アモルファスとして得た。
1H-NMR(CDCl3)δ1.46(9H,s),1.89-2.04(2H,m),2.35-2.46(4H,m),2.55(2H,br-t,J=7.3Hz),3.43(4H,br-s),3.99(2H,brt,J=6.2Hz),6.52(1H,dd,J=8.4,2.6Hz),6.73(1H,d,J=2.6Hz),6.78(1H,br-d,J=8.4Hz).
LCMS(B)RT 0.80,m/z[M+H]+370/372.
参考例10
tert-ブチル 4-(3-(4-アミノフェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000060
 参考例9に準じ、2-クロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼンの代わりに1-フルオロ-4-ニトロベンゼンを用い、同様の操作を行うことによって表題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ1.46(9H,s),1.86-1.98(1H,m),2.40(2H,br-t,J=4.6Hz),2.51(1H,t,J=7.5Hz),3.43(2H,br-t,J=4.6Hz),3.94(1H,t,J=6.2Hz),6.63(1H,d,J=8.8Hz),6.74(1H,d,J=8.8Hz).
LCMS(B)RT 0.70,m/z[M+H]+336.
参考例11
tert-ブチル 4-(3-(4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000061
 参考例9に準じ、2-クロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼンの代わりに1-フルオロ-4-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い、同様の操作を行うことによって表題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ1.46(9H,s),1.90-2.01(2H,m),2.40(4H,br-t,J=4.4Hz),2.54(2H,t,J=7.3Hz),3.43(4H,br-t,J=4.4Hz),4.01(2H,t,J=6.0Hz),6.78(1H,dd,J=8.8,2.6Hz),6.83(1H,d,J=8.8Hz),6.90(1H,d,J=2.6Hz).
LCMS(B)RT 0.85,m/z[M+H]+404.
参考例12
tert-ブチル 4-(3-(4-アミノ-3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000062
 参考例9に準じ、2-クロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼンの代わりに1-フルオロ-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い、同様の操作を行うことによって表題化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ1.46(9H,s),2.40(4H,br-t,J=4.8Hz),2.51(2H,d,J=6.2Hz),3.44(4H,br-t,J=4.8Hz),3.86(2H,br-s),3.95(2H,t,J=6.2Hz),6.69(1H,d,J=8.8Hz),6.90(1H,dd,J=8.8,2.9Hz),6.97(1H,d,J=2.9Hz).
LCMS(B)RT 0.98,m/z[M+H]+404.
参考例13
N-(4-メトキシフェニル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000063
(工程1)7-ベンジル-N-(4-メトキシフェニル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000064
 市販の7-ベンジル-4-クロロ-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン(1.57g)、4-メトキシアニリン(756mg)及びヨウ化ナトリウム(767mg)のジオキサン(30mL)溶液に、ヨウ化水素酸(50%水溶液、2.5mL)を室温にて加え、反応液を100℃にて終夜撹拌した。室温まで放冷した後、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え、析出した残渣を濾取することで、標記化合物を褐色固体として得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ8.81(1H,s),7.62-7.71(2H,m),7.49-7.52(5H,m),6.86-7.01(2H,m),3.81-4.67(1H,m),3.87-4.03(6H,m),3.75(3H,s),2.82-3.03(2H,m),2.35(3H,s).
LCMS(B)RT 1.14,m/z[M+H]+393.
(工程2)N-(4-メトキシフェニル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000065
 工程1で得られた化合物(507mg)及びジイソプロピルエチルアミン(0.89mL)の1,2-ジクロロエタン(10mL)溶液に、1-クロロエチル クロロフォルメート(0.279mL)を氷浴にて滴下した。氷浴を取り除いた後、反応液を室温にて2時間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、メタノール(5mL)を加え、反応液を室温にて終夜撹拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣にクロロホルムを加え、析出した残渣を濾取することで、表題化合物を白色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ7.41-7.50(2H,m),6.83-6.94(2H,m),6.26(1H,br-s),4.49(2H,br-s),3.80-3.84(3H,m),3.74(3H,s),2.52(2H,br-t,J=5.4Hz),2.46(3H,s).
LCMS(B)RT 0.97,m/z[M+H]+303.
参考例14
N-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000066
(工程1)7-ベンジル-N-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000067
 市販の7-ベンジル-4-クロロ-2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン(206mg)のアセトニトリル(2mL)溶液に、4-メトキシアニリン(97mg)を室温にて加え、反応液をマイクロ波照射下180℃にて10分間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣に酢酸エチルを加え、析出した残渣を濾取することで、標記化合物を淡褐色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3)δ7.26-7.56(8H,m),6.83-7.08(2H,m),3.87-3.96(2H,m),3.81(3H,s),2.45-3.12(6H,m),2.05(3H,s).
LCMS(B)RT 0.93,m/z[M+H]+361.
(工程2)N-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000068
 工程1で得られた化合物(210mg)と10%パラジウム/炭素(40mg)とギ酸アンモニウム(184mg)をメタノール(6mL)に懸濁し、60℃にて3時間撹拌した。不溶物をセライトにて濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、クロロホルムとメタノールの混合溶媒で3回抽出し、集めた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧濃縮することで、標記化合物を淡褐色固体の粗生成物として得た。
LCMS(B)RT 0.51,m/z[M+H]+271.
参考例15
N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000069
 参考例14に準じ、7-ベンジル-4-クロロ-2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジンの代わりに市販の7-ベンジル-4-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジンを用い、4-メトキシアニリンの代わりに3-フルオロ-4-メトキシアニリンを用い、同様の操作を行うことによって表題化合物の粗生成物を得た。
LCMS(A)RT 0.82,m/z[M+H]+275.
製造実施例A
 下記反応式に基づいて、出発化合物(Ia)''とアミン(XI)を反応させ、製造化合物(Ia)'(実施例1~11)を製造した。代表的手順として、実施例1の製造手順を以下に示す。実施例2~11の化合物は、使用する出発化合物(Ia)''とアミン(XI)を下記表1~2のとおりに変更して、同様の手順で製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000070
実施例1 6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000071
 参考例5で得られた6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロニコチン酸(8.6mg)のDMA(0.5mL)溶液にWSC.HCl(5.8mg)、HOBt(4.7mg)、エチルアミン-THF溶液(2mol/L、0.012mL)を順次加え、反応液を室温にて1.5時間撹拌した。反応液を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000072
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000073
製造実施例B
実施例12 N-エチル-2-フルオロ-6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000074
 参考例5記載の方法に準じ、参考例1で得られた化合物の代わりに参考例3で得られた化合物を、6-アミノニコチン酸メチルの代わりに6-アミノ-2-フルオロニコチン酸エチルをそれぞれ用い、同様の操作を行うことによって2-フルオロ-6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチン酸を得た。得られた生成物を用いてさらに実施例1に準じる操作を行うことによって、表題化合物を得た。
製造実施例C
 下記反応式に基づいて、出発化合物(X)と化合物(IV)を反応させ、製造化合物(Ia)(実施例13~22)を製造した。代表的手順として、実施例13の製造手順を以下に示す。実施例14~22の化合物は、使用する出発化合物(X)と化合物(IV)を下記表3~4のとおりに変更して、同様の手順で製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000075
実施例13 2-(6-((7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000076
 参考例4で得られた化合物(50mg)、4-フルオロ-1-ニトロ-2-クロロベンゼン(37mg)、炭酸カリウム(97mg)をDMSO(1.0mL)に懸濁し、反応液を室温にて2時間撹拌した。反応液から不溶物を濾別した後、濾液を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000077
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000078
製造実施例D
実施例23 4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メトキシベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000079
 参考例4で得られた2-(6-(5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール(20mg)、4-ブロモ-2-メトキシベンゾニトリル(22mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(6.4mg)、キサントホス(8.1mg)、ナトリウム tert-ブトキシド(10mg)をジオキサン(0.4mL)に懸濁し、マイクロ波照射下130℃にて40分間攪拌した。反応液から不溶物を濾別した溶液を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
製造実施例E
 下記反応式に基づいて、出発化合物(VI)とアミン(VII)を反応させ、製造化合物(Ia)(実施例24~25)を製造した。代表的手順として、実施例24の製造手順を以下に示す。実施例25の化合物は、使用する出発化合物(VI)とアミン(VII)を下記表5のとおりに変更して、同様の手順で製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000080
実施例24 6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピリダジン-3-カルボキサミド
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000081
 参考例3で得られた化合物(20mg)、市販の6-アミノ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピラジン-3-カルボキサミド(15mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(5.1mg)、dppf(6.2mg)、炭酸セシウム(55mg)をジオキサン(0.4mL)及びNMP(0.02mL)に懸濁し、マイクロ波照射下140℃にて45分間攪拌した。反応液から不溶物を濾別した溶液を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000082
製造実施例F
 下記反応式に基づいて、出発化合物(VI)とアミン(VII)を反応させ、製造化合物(Ia)(実施例26~34)を製造した。代表的手順として、実施例26の製造手順を以下に示す。実施例27~34の化合物は、使用する出発化合物(VI)とアミン(VII)を下記表6~7のとおりに変更して、同様の手順で製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000083
実施例26 4-(4-((3,4-ジメトキシフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000084
 参考例1で得られた固体(5.7mg)、3,4-ジメトキシアニリン(11.5mg)、(+)-10-カンファースルホン酸(5.6mg)をtert-ブタノール(1mL)に懸濁し、マイクロ波照射下140℃にて45分間攪拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000085
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000086
製造実施例G
実施例35 2-クロロ-4-(4-((6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000087
(工程1)3-(2,6-ジフルオロピリジン-3-イル)オキセタン-3-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000088
 2,6-ジフルオロピリジン(825mg)のTHF(15mL)溶液を-78℃に冷却し、LDA(2.0mol/L、5.2mL)を滴下した。反応液を45分間撹拌した後、オキセタン-3-オン(580mg)を加え、-78℃にて90分間撹拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水にて洗浄した後、硫酸ナトリウムにて乾燥後濃縮することで、標記化合物を褐色油状物質として得た。
(工程2)3-(6-アミノ-2-フルオロ-ピリジン-3-イル)オキセタン-3-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000089
 工程1で得られた化合物(17mg)のNMP(0.5mL)溶液に、28%アンモニア水溶液を室温にて加え、反応液を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を窒素気流にて留去した後、残渣をシリカゲルカラムグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル)を用いて精製することで、標記化合物を得た。
(工程3)2-クロロ-4-(4-((6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000090
 工程2で得られた化合物(2.8mg)、参考例2で得られた化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(2.7mg)、キサントホス(3.7mg)、ナトリウム tert-ブトキシド(10mg)をDME(1mL)に懸濁し、マイクロ波照射下100℃にて60分間攪拌した。窒素気流にて溶媒を留去した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
製造実施例H
 下記反応式に基づいて、出発化合物(VI)とアミン(VII)を反応させ、製造化合物(Ia)(実施例36~38)を製造した。代表的手順として、実施例36及び37の製造手順を以下に示す。実施例38の化合物は、使用する出発化合物(VI)とアミン(VII)を下記表8のとおりに変更して、同様の手順で製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000091
実施例36 tert-ブチル 7-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート、及び
実施例37 2-クロロ-4-(4-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000092
 参考例2で得られた化合物(7.4mg)、7-アミノ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボン酸 tert-ブチルエステル(9.3mg)、(+)-10-カンファースルホン酸(2.5mg)をtert-ブタノール(1mL)に懸濁し、マイクロ波照射下140℃にて15分間攪拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物をそれぞれ得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000093
製造実施例I
実施例39、40、41
(工程1)N-[3-クロロ-4-(3-ピペラジン-1-イルプロポキシ)フェニル]-7-[4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000094
 参考例9で得られた化合物(24mg)、参考例3で得られた化合物、(+)-10-カンファースルホン酸(26mg)をtert-ブタノール(2mL)に懸濁し、マイクロ波照射下135℃にて1時間攪拌した。窒素気流にて溶媒を留去した残渣を粗生成物として次の反応に使用した。[M+H]+591/594.
(工程2A)
1-(4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン(実施例39)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000095
 工程1で得られた粗生成物を5つのフラクションに等分割し、その1つのフラクションをピリジン(0.2mL)に溶解した。無水酢酸(0.01mL)を室温にて加え、反応液を室温にて15分間撹拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
(工程2B)
N-(3-クロロ-4-(3-(4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(実施例40)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000096
 工程2で調製した1つのフラクションをピリジン(0.2mL)に溶解した。塩化メタンスルホニル(0.01mL)を室温にて加え、反応液を室温にて15分間撹拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
(工程2C)
N-(3-クロロ-4-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(実施例41)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000097
 工程2で調製した1つのフラクションに、別途調製したZn(BH3CN)2(0.3mol/Lメタノール溶液、0.3mL)及び50%ホルムアルデヒド水溶液(0.05mL)を加え、反応液を室温にて15分間撹拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を得た。
製造実施例J
 下記反応式に基づいて、出発化合物(VI)とアミン(VII)を反応させ、製造化合物(Ia)(実施例42~46)を製造した。代表的手順として、実施例42の製造手順を以下に示す。実施例43~46の化合物は、使用する出発化合物(VI)とアミン(VII)を下記表9のとおりに変更して、同様の手順で製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000098
実施例42 4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-クロロフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000099
 参考例2で得られた化合物(2.9mg)、参考例9で得られた化合物(4.4mg)、(+)-10-カンファースルホン酸(4.2mg)をtert-ブタノール(1mL)に懸濁し、反応液を135℃にて2時間攪拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣にピリジン(0.2mL)及び無水酢酸(0.1mL)を室温にて加え、反応液を室温にて15分間撹拌した。窒素気流にて反応液を濃縮乾固した後、残渣を逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られたフラクションを減圧濃縮することで、表題化合物を黄色アモルファスとして得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000100
製造実施例K
実施例47 7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-カルボニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000101
(工程1)4-(4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-2-(メチルチオ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000102
 実施例13に準じ、2-(6-(5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オールに代えて参考例13の工程2で得られた化合物(656mg)、4-フルオロ-1-ニトロ-2-クロロベンゼンに代えて4-フルオロ-1-シアノ-(2-トリフルオロメチル)ベンゼン(403mg)を用い、同様の操作を行うことによって、表題化合物を淡褐色固体として得た。
(工程2)4-(4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-2-(メチルスルホニル)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000103
 工程1で得られた化合物(157mg)のクロロホルム(4mL)溶液に、mCPBA(157mg)を室温にて加え、反応液を室温にて30分間撹拌した。反応液に飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルム/メタノール混合溶媒にて抽出し、集めた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後減圧濃縮することで、標記化合物を淡黄色固体として得た。
(工程3)7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-5,6,7,8-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-カルボニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000104
 工程2で得られた化合物(44mg)のDMSO(1.5mL)溶液に、シアン化ナトリウム(9mg)を室温にて加え、反応液を150℃にて15分間撹拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水及び飽和食塩水にて洗浄した後、硫酸ナトリウムにて乾燥後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムグラフィーを用いて精製することで、表題化合物を得た。
実施例48 4-(4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-2-メチル-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000105
 実施例47に準じ、2-(6-(5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オールに代えて参考例14の工程2で得られた化合物(117mg)、4-フルオロ-1-ニトロ-2-クロロベンゼンに代えて4-フルオロ-1-シアノ-(2-トリフルオロメチル)ベンゼン(90mg)を用い、同様の操作を行うことによって表題化合物を得た。
 実施例1~48の化合物の構造式及びLC/MS解析による物性値を表10~22に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000106
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000107
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000108
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000109
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000110
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000111
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000112
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000113
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000114
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000115
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000116
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000117
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000118
<生物評価試験>
試験例1:ARに対するアンタゴニスト活性
 ARに対するアンタゴニスト活性を以下の方法で評価した。pMMTV-lucベクター(アンドロゲンレスポンスエレメントとしてマウス乳癌ウイルス末端反復配列(Murine Mouse mammary Virus Long Terminal Repeat)をもつレポータープラスミド)とpEX-hARベクター(ヒトのアンドロゲン受容体の発現ベクター:CMVプロモーターの制御下にヒトAR遺伝子を発現する)を、トランスフェクション試薬としてNucleofector(登録商標)Kit R(Lonza)を使用し、Amaxa(Lonza)を用いてCOS-7細胞(ATCC)にトランスフェクションした。トランスフェクションしたCOS-7細胞をチャコール処理した牛胎児血清(以下、DCC-FBS)10%を含むフェノールレッドフリーRPMI1640(以下、評価培地)で1.5×104/wellとなるようにクリアボトム96wellマイクロプレート(BD)に播種し、一晩培養した。この培養物に、ジヒドロテストステロン(DHT)を含む評価培地(DHTの終濃度1nmol/L)と、実施例化合物又は比較例化合物(Bicalutamide)を含む評価培地(該実施例化合物又は比較例化合物の終濃度5、14、41、123、370、1111、3333、又は10000nmol/L)を添加し、24時間培養後、レポータープラスミドの転写活性値を測定した。転写活性は、Bright-GloTMLuciferase Assay System(Promega)で測定した。測定した転写活性から、1nmol/L DHTによる転写活性値を100%、評価培地のみの転写活性値を0%として、ロジスティック回帰により50%転写活性阻害濃度(IC50値)を算出した。
 結果を表23に示す。実施例化合物は、Bicalutamide(比較例)と比べて同等以上のARに対するアンタゴニスト活性を示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000119
試験例2:アンドロゲン依存的前立腺癌細胞増殖阻害活性
 アンドロゲン受容体遺伝子が増幅しているヒト前立腺癌細胞LNCaP(非特許文献5)をDCC-FBS 5%を含むフェノールレッドフリーRPMI1640(以下、評価培地)で4.0×103/wellとなるようクリアボトム96wellマイクロプレート(BD)に播種し、一晩培養した。この培養物に、DHTを含む評価培地(DHTの終濃度1nmol/L)と、実施例化合物又は比較例化合物(Bicalutamide)を含む評価培地(該実施例又は比較例化合物の終濃度(5、14、41、123、370、1111、3333、10000又は30000nmol/L)を添加し、72時間培養後、生細胞数を測定した。生細胞数はCell Counting Kit-8(同仁化学研究所)を用いて測定した。測定した生細胞数から、1nmol/L DHTによる細胞増殖活性値を100%、評価培地のみの細胞増殖活性を0%として、ロジスティック回帰により50%増殖阻害濃度(GI50値)を算出した。
 結果を表24に示す。実施例化合物は、アンドロゲン依存的前立腺癌細胞増殖阻害活性を示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000120
 試験例3:ARに対するアゴニスト活性
 AR陽性ヒト前立腺癌細胞VCaP(In Vivo 15:163-168,2001)DCC-FBS 5%を含むフェノールレッドフリーRPMI1640(以下、評価培地)で1.5×104/wellとなるようクリアボトム96wellマイクロプレート(BD)に播種し、一晩培養した。この培養物に、実施例化合物又は比較例化合物(Bicalutamide)を含む評価培地(該実施例化合物又は比較例化合物の終濃度5、14、41、123、370、1111、3333、又は10000nmol/L)を添加し、72時間培養後、生細胞数を測定した(試験群)。対照として、評価培地のみ添加して培養し、生細胞数を測定した(対照群)。生細胞数はCellTiter-GloTM Luminescent Cell Viability Assay(Promega)で測定した。測定した生細胞数から、評価培地のみの生細胞数を基準として実施例化合物又は比較例化合物の細胞増殖率を算出した。
 細胞増殖率(%)
=(試験群の生細胞数-対照群の生細胞数)/(対照群の生細胞数)×100
 評価培地のみの生細胞数の誤差を考慮し、評価した8濃度における細胞増殖率がいずれかの濃度で細胞増殖率が10%を超えた場合、ARに対するアゴニスト活性有りと判断した。
 結果を表25に示す。実施例化合物には、ARに対するアゴニスト活性は認められなかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000121
 試験例4:アンドロゲン受容体発現量の低下作用の評価
 AR陽性ヒト前立腺癌細胞LNCaPを、5%FBSを含むRPMI1640(以下、評価培地)で3.5×105/wellとなるよう6wellマイクロプレート(BD)に播種し、一晩培養した。この培養物に、実施例化合物又は比較例化合物(Bicalutamide)を含む評価培地を、実施例化合物又は比較例化合物の終濃度が10000nmol/Lとなるよう添加し、48時間培養した。48時間培養後に培地を除き、細胞をPBSで洗浄後、Lysis buffer (M-PERにProtease Inhibitor Cocktailを添加)0.1mLを添加して、4℃で20分間静置し、細胞を溶解後、細胞溶液を遠心分離して上清をCell Lysateとして回収した。Cell Lysateの蛋白質濃度をそろえて、SDS-PAGEを行い、抗AR抗体(サンタクルズ社、N-20)を用いてWestern Blottingを行った。Super Signal West Dura Substrate(Thermo Scientific)を検出試薬として用い、LAS Imaging System(FUJIFILM)で抗体反応バンド(抗AR受容体)を定量した。この定量において、評価培地コントロールと比べてLNCaPのAR発現が50%以上低下していた場合、AR発現低下作用ありと判断した。
 結果を、表26に示す。AR発現低下作用が50%以上の場合を「低下」で示した。本発明化合物では10μMにおいて50%以上のAR発現低下作用が確認された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000122
 試験例5:去勢耐性前立腺癌in vivoモデルでの抗腫瘍作用の評価
 AR陽性ヒト前立腺癌細胞LNCaPから論文(Clin Cancer Res,2001 7:2941-8)報告を基に、去勢耐性前立腺癌LNCaP-Xeno-IL-6細胞(当該論文ではLNCaP-IL-6+細胞と報告)を樹立し、これを用いてin vivo試験を行う。LNCaP-Xeno-IL-6細胞を雄ヌードマウス皮下に移植し、腫瘍体積がおよそ200mm3になったところで、去勢処置する。去勢後、媒体(0.5%HPMC)のみ、又は媒体に懸濁した実施例化合物を、2週間連日経口投与する。実施例化合物は曝露量を合わせて投与する。2週間投与後の腫瘍体積を記録し、媒体のみ投与群の平均腫瘍体積に対する評価化合物投与群の平均腫瘍体積を、T/C(%)として下記式に基づき算出する。
  T/C(%)=(評価化合物群の平均腫瘍体積)/(媒体投与群の平均腫瘍体積)

Claims (28)

  1.  下記一般式(I):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式中、
     Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
     Yは、ハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示し;
     Zは、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-3アルキル基を示し;
     R1は、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基、又はRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基を示し、ここで、該RaとRbは、互いに結合して該C6-14アリール又は該ヘテロアリール基とともに縮合環を形成してもよく;
     R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示し;
     Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、C3-7シクロアルキルアミノスルホニル基、C1-3アルキルスルホニル基、3~7員の単環のヘテロシクロアルキルスルホニル基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルコキシカルボニルアミノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニルアミノ基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換された3~7員の単環のヘテロシクロアルカンカルボニル基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
     Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示し;
     Rcは、置換されていてもよいピラゾリル基、トリアゾリル基もしくはテトラゾリル基、又はRfで置換されていてもよいピペラジニル基を示し;
     Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示し、あるいは該-(CH2n-C(=O)-NRdReのNRdReは環を形成していてもよく;
     Rfは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルアミノカルボニルを示し;
     Rgは、C1-6アルキルピラゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリル基、又はC1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示し;
     nは、0~3の整数を示す
    (但し、Xがシアノ基、Yがハロゲン原子もしくはハロゲノC1-3アルキル基、R2が水素原子、及びZが水素原子であり、
     R1が、Raで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよいC6-14アリール基であるか、もしくはRaで置換されており、かつ同時にRbで置換されていてもよい5員もしくは6員のヘテロアリール基であり、かつ
     Rbが水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基である場合、
     Raは、
      ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、
      Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(ここで、Rcは、C1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル又はC1-6アルキルアミノカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル基を示す)、
      Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基(ここで、Rfは上述したとおりである)、
      ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、
      C1-3アルキルスルホニル基、
      2環のシクロヘテロアルキル基、又は
      -(CH2n-C(=O)-NRdRe(ここで、n、Rd及びReは上述したとおりである。ただし、Rd及びReのいずれか一方が、ハロゲノ-C1-3アルキル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-C3-7シクロアルキル基もしくはヒドロキシ-C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基であるか、又はC1-6アルキルピラゾリル、ハロゲノ-C1-3アルキルチアゾリル、オキサジアゾリルもしくはハロゲノ-C1-3アルキルオキサジアゾリルで置換されたC1-6アルキル基である場合、他方は水素原子ではない)
    である)、
    ]
    で表される縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩。
  2.  Zが水素原子又はフッ素原子である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  3.  R2が水素原子、メチル基又はシアノ基である、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  4.  Yが塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基又はメチル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  5.  nが0である請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  6.  R1が前記Ra及び前記Rbで置換されたフェニル基、前記Ra及び前記Rbで置換されたピリジニル基、又は前記Ra及び前記Rbで置換されたピリダジニル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  7.  Raが、フェニル基、ヒドロキシ-エチル基、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、-(CH2n-C(=O)-NRdRe、又はアセチル、メシル、tert-ブトキシカルボニルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示す、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  8.  R1が以下からなる群より選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (式中、Raがフェニル基、前記Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、前記Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、又は2環のヘテロシクロアルキル基を示し、かつRbが水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか、
    又は
     Raが前記Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、RbがC1-3アルキル基であって、該RaとRbが互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成する);
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
    (式中、
     Raは、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、又は前記-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
     Rbは、水素原子、又はハロゲン原子を示す);及び
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
    (式中、
     Raは、前記-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
     Rbは、水素原子を示す)。
  9.  請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
     Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
     Yは、ハロゲン原子、ハロゲノ-C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、又はC1-3アルキル基を示し;
     Zは、水素原子、又はハロゲン原子を示し;
     R1は、下記の群から選ばれる置換基であり、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
     R2は、水素原子、C1-3アルキル基、又はシアノ基を示し;
     Raは、フェニル基、ヒドロキシ-C1-6アルキル基、ヒドロキシ-ヘテロシクロアルキル基、Rcで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、Rfで置換されていてもよいアミノ-C1-6アルキル基、ハロゲノ-C1-3アルコキシ基、2環のヘテロシクロアルキル基、又は-(CH2n-C(=O)-NRdReを示し;
     Rbは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ基を示すか;
     あるいは、RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに縮合環を形成し;
     Rcは、Rfで置換されていてもよいピペラジニル基を示し;
     Rd及びReは、それぞれ独立して、水素原子、C1-3アルキル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基、ハロゲノ-C1-3アルキル基、又はRgで置換されたC1-6アルキル基を示し;
     あるいは、NRdReが3~7員の含窒素複素環を形成し;
     Rfは、C1-6アルキル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、又はC1-6アルキルアミノカルボニル基を示し;
     Rgは、C1-6アルコキシカルボニルアミノ基を示し;
     nは、0又は1の整数を示す、
    化合物又はその薬学的に許容される塩。
  10.  請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
     Xは、シアノ基、又はニトロ基を示し、
     Yは、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基、又はメチル基を示し;
     Zは、水素原子、又はフッ素原子を示し;
     R1は、下記の群から選ばれる置換基であり;
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
     R2は、水素原子、メチル基、又はシアノ基を示し;
     Raは、フェニル基、ヒドロキシ-エチル基、ヒドロキシ-イソプロピル基、ヒドロキシ-オキセタニル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプチル基、-(CH2n-C(=O)-NRdRe、又はアセチル、tert-ブトキシカルボニル、メシルもしくはメチルで置換されていてもよいピペラジニル基で置換されたn-プロポキシ基を示し;
     Rbは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基を示し;
     あるいは、RaとRbは互いに結合して、それらが置換する環とともに置換又は非置換のテトラヒドロイソキノリニル基又はイソインドリニル基を形成し;
     Rd及びReのいずれか一方は、メチル基、エチル基、プロピニル基、シクロプロピル基、トリフルオロエチル基、tert-ブトキシ基、もしくはtert-ブトキシカルボニルアミノで置換されたエチル基を示し、他方は水素原子もしくはメチル基を示し;
     あるいは、NRdReがアゼパンを形成し;
     nは、0である、
    化合物又はその薬学的に許容される塩。
  11.  以下の化合物(1)~(48)からなる群より選択される、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
    (1)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド;
    (2)6-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロ-N-メチルニコチンアミド;
    (3)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-フルオロ-N-メチルニコチンアミド;
    (4)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチル-2-フルオロニコチンアミド;
    (5)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチルニコチンアミド;
    (6)4-(4-((5-(アゼパン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
    (7)N-(tert-ブトキシ)-6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド;
    (8)tert-ブチル (2-(6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-カルボキサミド)エチル)カーバメイト;
    (9)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-シクロプロピルピリダジン-3-カルボキサミド;
    (10)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-エチルピリダジン-3-カルボキサミド;
    (11)6-((7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(プロプ-2-イン-1-イル)ピリダジン-3-カルボキサミド;
    (12)N-エチル-2-フルオロ-6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ニコチンアミド;
    (13)2-(6-((7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (14)2-(6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (15)2-(6-((7-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (16)2-(6-((7-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (17)2-(6-((7-(3-ブロモ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (18)2-(6-((7-(3-クロロ-2-フルオロ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (19)2-(6-((7-(3-イソプロポキシ-4-ニトロフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)プロパン-2-オール;
    (20)4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メチルベンゾニトリル;
    (21)N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (22)7-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)-N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (23)4-(4-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-メトキシベンゾニトリル;
    (24)6-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピリダジン-3-カルボキサミド;
    (25)N-(6-メトキシピリジン-3-イル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (26)4-(4-((3,4-ジメトキシフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
    (27)4-(4-((4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
    (28)4-(4-((4-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル;
    (29)tert-ブチル 5-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)イソインドリン-2-カルボキシレート;
    (30)tert-ブチル 4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-カルボキシレート;
    (31)N-(3,4-ジメトキシフェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (32)tert-ブチル 7-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート;
    (33)N-(3-メチル-4-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (34)N-([1,1'-ビフェニル]-3-イル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (35)2-クロロ-4-(4-((6-フルオロ-5-(3-ヒドロキシオキセタン-3-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル;
    (36)tert-ブチル 7-((7-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート;
    (37)2-クロロ-4-(4-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル;
    (38)2-クロロ-4-(4-((4-(3-(ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)ベンゾニトリル;
    (39)1-(4-(3-(2-クロロ-4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン;
    (40)N-(3-クロロ-4-(3-(4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (41)N-(3-クロロ-4-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
    (42)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-クロロフェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル;
    (43)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-クロロベンゾニトリル;
    (44)4-(4-((4-(3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
    (45)1-(4-(3-(4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン;
    (46)1-(4-(3-(4-((7-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)フェノキシ)プロピル)ピペラジン-1-イル)エタノン;
    (47)7-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-カルボニトリル;
    (48)4-(4-((4-メトキシフェニル)アミノ)-2-メチル-5,6-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(8H)-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル。
  12.  請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
  13.  請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗アンドロゲン剤。
  14.  腫瘍、転移性骨疾患、前立腺肥大症、尋常性坐瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、性的早熟症、又は男性化症の治療剤である、請求項13記載の抗アンドロゲン剤。
  15.  請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
  16.  前記腫瘍が、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、膵臓癌、又は肝細胞癌である請求項15記載の抗腫瘍剤。
  17.  抗アンドロゲン剤の製造のための、請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
  18.  前記抗アンドロゲン剤が、腫瘍、転移性骨疾患、前立腺肥大症、尋常性坐瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、性的早熟症、又は男性化症の治療剤である、請求項17記載の使用。
  19.  抗腫瘍剤の製造のための、請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
  20.  前記腫瘍が、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、膵臓癌、又は肝細胞癌である請求項19記載の使用。
  21.  抗アンドロゲン剤として使用される、請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩。
  22.  前記抗アンドロゲン剤が、腫瘍、転移性骨疾患、前立腺肥大症、尋常性坐瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、性的早熟症、又は男性化症の治療剤である、請求項21記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩。
  23.  抗腫瘍剤として使用される、請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩。
  24.  前記腫瘍が、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、膵臓癌、又は肝細胞癌である請求項23記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩。
  25.  アンドロゲン活性抑制方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法。
  26.  前記対象が、腫瘍、転移性骨疾患、前立腺肥大症、尋常性坐瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、性的早熟症、又は男性化症の治療を必要とする対象である、請求項25記載の方法。
  27.  腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~11のいずれか1項記載の縮環ピリミジン化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法。
  28.  前記腫瘍が、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、膵臓癌、又は肝細胞癌である請求項27記載の方法。
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