WO2016067405A1

WO2016067405A1 - 超音波流水式洗浄機

Info

Publication number: WO2016067405A1
Application number: PCT/JP2014/078863
Authority: WO
Inventors: 宮本　年昭; 雅祐豊田; 健吾植村
Original assignee: 本多電子株式会社
Priority date: 2014-10-30
Filing date: 2014-10-30
Publication date: 2016-05-06

Abstract

低コストでコンパクトに形成することができる超音波流水式洗浄機を提供すること。超音波流水式洗浄機（１）は、洗浄液（Ｗ１）の主流路（１０）を内部に有する収容ケース（１１）と、収容ケース（１１）内の後端側に配置された超音波振動子（１２）と、主流路（１０）から分かれる複数の分岐流路（４０ａ，４０ｂ）を有する流路分岐部材（１３）と、複数の分岐流路（４０ａ，４０ｂ）にそれぞれ接続される２つの（ノズル１４ａ，１４ｂ）とを備える。流路分岐部材（１３）において、２つの分岐流路（４０ａ，４０ｂ）の流入口（４１）同士の間に、尖端（４２）を超音波振動子（１２）側に向けた状態で楔状分岐部（４３）が突設されている。

Description

超音波流水式洗浄機

　本発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流水として吐出しながら超音波洗浄する超音波流水式洗浄機に関するものである。

　従来、超音波を伝搬させた洗浄液の流水を放水ノズルから吐出することで被洗浄物を洗浄する超音波洗浄機が実用化されている。具体的には、半導体ウェハやダイシングブレードなどの比較的薄い板状の被洗浄物の表裏面を同時に洗浄する場合、被洗浄物の表面側を洗浄する洗浄機と被洗浄物の裏面側を洗浄する洗浄機とがそれぞれ設けられる。

　また、被洗浄物の表裏面を効率よく洗浄するために、洗浄液を放水するための２つのノズルが設けられた超音波シャワー洗浄装置が提案されている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１の超音波洗浄装置では、各ノズルの後端部に対向するよう円板状の超音波振動子がそれぞれ配置されている。さらに、各ノズルの中心軸が所定の角度で交差するよう傾斜させて１つの筐体内に組み込まれている。

特許第３９８１０６４号公報

　ところで、流水式の２つの超音波洗浄機を用いて被洗浄物の表裏面を洗浄する場合、超音波洗浄機は比較的高価な装置であるため、装置コストが嵩んでしまう。さらに、２つの超音波洗浄機を設置するためのスペースが必要となり、各超音波洗浄機への給水配管や超音波振動子の接続配線等の取り回しの工夫も必要となる。特に、ダイシング装置の処理槽内において、ダイシングブレードの近傍には、設置スペースが少ない。このため、ダイシング装置の処理槽内において、その限られたスペースに２つの洗浄機に加えて給水配管や接続配線等を収納する場合、給水配管や接続配線に大きなストレスが加わり、洗浄液の漏れや接続配線の断線等の問題が生じることが懸念される。

　特許文献１の超音波シャワー洗浄装置では、１つの筐体に２つの超音波振動子及びノズルが設けられているため、２つの超音波洗浄機を設置する場合と比較すると、設置スペースは小さくなる。しかしながら、特許文献１の洗浄装置では、２つの超音波振動子が設けられている。超音波振動子は圧電セラミックスからなり比較的高価な部品であるため、ノズル毎に超音波振動子を設けると、超音波洗浄装置の部品コストが嵩んでしまう。また、筐体には２つの超音波振動子を設置するためのスペースが必要となることに加え、洗浄液に超音波を伝搬させる給水経路や超音波振動子の接続配線が各超音波振動子毎に必要になる。このため、洗浄装置をコンパクトに形成することができないといった問題が生じる。

　本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストでコンパクトに形成することができる超音波流水式洗浄機を提供することにある。

　上記課題を解決するために、請求項１に記載の発明は、超音波を伝搬させた洗浄液を流水として吐出しながら超音波洗浄する超音波流水式洗浄機において、前記洗浄液の主流路を内部に有する筐体と、前記主流路を流れる前記洗浄液に超音波を照射するべく、前記筐体内の後端側に配置された超音波振動子と、前記筐体の前端側に設けられ、前記主流路から分かれる複数の分岐流路を有する流路分岐部材と、前記流路分岐部材における前記複数の分岐流路の流入口同士の間にて、その尖端を前記超音波振動子側に向けた状態で突設された楔状分岐部と、前記複数の分岐流路にそれぞれ接続され、前記洗浄液を流水として吐出する複数のノズルとを備えたことを特徴とする超音波流水式洗浄機をその要旨とする。

　請求項１に記載の発明によると、筐体内において、主流路を流れる洗浄液に超音波振動子から超音波が照射される。そして、流路分岐部材において、主流路を流れる洗浄液が複数の分岐流路に分配され、それら分岐流路を流れた洗浄液は複数のノズルを通して流水として洗浄機外部に吐出される。本発明の超音波流水式洗浄機において、超音波振動子は筐体内の後端側に配置されるとともに、流路分岐部材は筐体の前端側に設けられている。また、流路分岐部材における複数の分岐流路の流入口同士の間にて、尖端を超音波振動子側に向けた状態で楔状分岐部が突設されている。つまり、楔状分岐部は、主流路を介して超音波振動子に対向する位置に設けられているが、その超音波振動子に向けて先端が尖った断面形状をなしている。このため、楔状分岐部から超音波振動子側への超音波の反射が回避され、下流側に設けられた複数の分岐流路中の洗浄液に超音波を確実に伝搬させることができる。そして、超音波を伝搬させた洗浄液を複数のノズルから吐出することで、被洗浄物の表面に超音波を作用させてその表面を洗浄することができる。このように、本発明では、従来技術のような複数の洗浄機（超音波振動子）を設ける構成ではなく、１つの超音波流水式洗浄機を用いてダイシングブレード等の被洗浄物を効率よく確実に洗浄することができる。従って、超音波流水式洗浄機の部品コストを抑えることができるとともに、超音波流水式洗浄機をコンパクトに形成することができる。

　請求項２に記載の発明は、請求項１において、前記超音波振動子は、前記主流路内の所定位置にて前記超音波が収束して最狭領域を生じるように前記超音波を照射し、前記楔状分岐部の前記尖端は、前記超音波の前記最狭領域に配置されていることをその要旨とする。

　請求項２に記載の発明によると、楔状分岐部の尖端は、超音波の最狭領域に配置されているので、超音波を減衰させることなく複数の分岐流路に洗浄液を効率よく分配することができる。そして、各ノズルから被洗浄物に洗浄液を吐出することにより、被洗浄物の表面に比較的強い超音波を作用させることができ、洗浄効率を高めることができる。

　請求項３に記載の発明は、請求項１または２において、前記流路分岐部材は、前記主流路を２つの前記分岐流路に分岐することをその要旨とする。

　請求項３に記載の発明によると、主流路が２つの分岐流路に分岐される。ここで、分岐流路の数が多くなりすぎると、各分岐流路に流れる洗浄液の流量を十分に確保するために主流路の断面積を大きくする必要が生じ、洗浄機が大型化してしまう。また、洗浄液を各分岐流路に均等に分配することが困難になってしまう。これに対して、本発明のように主流路を２つの分岐流路に分岐する場合、洗浄機の大型化を回避しつつ、洗浄水を各分岐流路に均等に分配することができる。

　請求項４に記載の発明は、請求項３において、前記超音波の前記最狭領域及び前記楔状分岐部の前記尖端は、ともに前記主流路における中心軸線上の位置にあることをその要旨とする。

　請求項４に記載の発明によると、超音波の最狭領域及び楔状分岐部の尖端は、ともに主流路における中心軸線上の位置にあるので、超音波の出力及び洗浄液の流量を均等に分配し、各ノズルから吐出することができる。

　請求項５に記載の発明は、請求項４において、前記楔状分岐部の前記尖端には、前記主流路の延びる流路方向と直交する方向に沿って線状に連なった形状を有する稜線部が形成されていることをその要旨とする。

　請求項５に記載の発明によると、楔状分岐部の尖端には、線状の稜線部が形成されているので、その稜線部により、超音波を伝搬させた洗浄液を確実に分配して各分岐流路に導くことができる。

　請求項６に記載の発明は、請求項５において、前記稜線部の長さは、前記分岐流路の前記流入口の直径よりも大きいことをその要旨とする。

　請求項６に記載の発明によると、稜線部の長さは分岐流路の流入口の直径よりも大きいので、洗浄液をより確実に各分岐流路に導くことができる。

　請求項７に記載の発明は、請求項１乃至６のいずれか１項において、前記楔状分岐部は傾斜した複数の側面を有するとともに、前記複数の側面の中央部には、前記分岐流路の前記流入口に繋がる半円状の切欠溝が形成されていることをその要旨とする。

　請求項７に記載の発明によると、楔状分岐部における傾斜した複数の側面の中央には、分岐流路の流入口に繋がる半円状の切欠溝が形成されているので、切欠溝の加工部を主流路の中心側に近づけることができる。このようにすると、主流路から流れる洗浄液を切欠溝を介して各分岐流路に確実にかつスムーズに導くことができる。

　請求項８に記載の発明は、請求項７において、前記複数の側面の中央部以外の部分は、凸状に湾曲した形状をなすことをその要旨とする。

　請求項８に記載の発明によると、複数の側面の中央部以外の部分は、凸状に湾曲した形状をなしているので、楔状分岐部が厚くなり、その強度を高めることができる。また、楔状分岐部を厚くすることにより、線状の稜線部を確実に形成することができる。さらに、楔状分岐部の側面において、中央部以外の湾曲した表面に沿って中央部側の切欠溝に洗浄液をスムーズに導いて各分岐流路に流すことができる。

　請求項９に記載の発明は、請求項１乃至８のいずれか１項において、前記流路分岐部材は、金属製であることをその要旨とする。

　請求項９に記載の発明によると、流路分岐部材は、金属製であるため、音響インピーダンスが洗浄液の音響インピーダンスよりも大きい。この場合、楔状分岐部の側面や各分岐流路の壁面で超音波を確実に反射させることができるため、超音波が減衰することなく伝搬した洗浄液を各ノズルに導くことができる。

　請求項１０に記載の発明は、請求項１乃至９のいずれか１項において、前記複数のノズルは、板状の被洗浄物を配置可能な隙間を有するとともに、前記隙間を介して互いに平行に延設されていることをその要旨とする。

　請求項１０に記載の発明によると、複数のノズルの隙間に板状の被洗浄物を配置させることができ、その状態で各ノズルから洗浄液を吐出することにより、板状の被洗浄物の表裏面を効率よく確実に超音波洗浄することができる。

　請求項１１に記載の発明は、請求項１乃至１０のいずれか１項において、前記主流路内において前記楔状分岐部の上流側に設けられ、前記洗浄液の流れる方向及び前記超音波の伝搬する方向を微調整する調整機構を備えたことをその要旨とする。

　請求項１１に記載の発明によると、主流路内において楔状分岐部の上流側に設けられた調整機構によって、洗浄液の流れる方向及び超音波の伝搬する方向が微調整される。本発明の超音波流水式洗浄機では、筐体内に洗浄液を供給する流路の接続位置や接続方向、主流路や流路分岐部材の形成時における寸法誤差や接続位置のズレなどの要因によって、各分岐流路に分配される洗浄液や超音波が均等ではなくなる場合がある。このような場合には、調整機構によって、洗浄液の流れる方向や超音波の伝搬する方向が微調整されることで、各分岐流路において、洗浄液の流量や超音波の強さが等しくなるよう洗浄液を確実に分配することができる。

　請求項１２に記載の発明は、請求項１１において、前記調整機構は、前記主流路の延びる流路方向に直交して設けられるとともに、前記流路方向から見て前記楔状分岐部の前記尖端における稜線部に重なり合うように、前記稜線部に沿って配置される調整板と、前記調整板を支持するとともに、前記流路方向に対する前記調整板の傾斜角度を変更可能な回転軸とを有することをその要旨とする。

　請求項１２に記載の発明によると、調整機構は、調整板と回転軸とを有して構成され、回転軸によって流路方向に対する調整板の傾斜角度を変更することにより、洗浄液の流れる方向や超音波の伝搬する方向が微調整される。調整板は、楔状分岐部の尖端における稜線部に重なり合うように、稜線部に沿って配置されているので、超音波振動子側への超音波の反射を回避しつつ、超音波を伝搬させた洗浄液を下流側に流すことができる。また、回転軸を回転させることで、調整板の傾斜角度を容易に変更することができ、その傾斜角度に応じて洗浄液の流れる方向や超音波の伝搬する方向を調整することができる。

　以上詳述したように、請求項１～１２に記載の発明によると、超音波流水式洗浄機を低コストでコンパクトに形成することができる。

ダイシングソーの処理槽に装着される第１の実施の形態の超音波流水式洗浄機を示す斜視図。第１の実施の形態の超音波流水式洗浄機を示す要部断面図。流路分岐部材を示す上面図。ダブルノズル付きの流路分岐部材を示す側面図。ダブルノズル付きの流路分岐部材を示す下面図。流路分岐部材の構成要素である下流側部材を示す斜視図。流路分岐部材の構成要素である下流側部材を示す上面図。流路分岐部材の構成要素である下流側部材を示す側面図。流路分岐部材において主流路から各分岐流路に流れる洗浄液を説明するための断面図。第２の実施の形態の超音波流水式洗浄機を示す要部断面図。第２の実施の形態の超音波流水式洗浄機を示す要部断面図。調整機構における回転軸及び調整板の配置を示す説明図。別の実施の形態における下流側部材を示す上面図。

［第１の実施の形態］
　以下、本発明を超音波流水式洗浄機に具体化した第１の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。

　図１に示されるように、本実施の形態の超音波流水式洗浄機１は、半導体ウェハを所定サイズに切断するダイシングソー２（ダイシング装置）の処理槽２ａ内に装着され、処理槽２ａ内にて回転駆動されているダイシングブレード３（板状の被洗浄物）を洗浄液Ｗ１を用いて洗浄する。超音波流水式洗浄機１は、超音波を伝搬させた洗浄液Ｗ１を流水として吐出しながら超音波洗浄する洗浄機である。以下、超音波流水式洗浄機１の構成について詳述する。

　図２に示されるように、超音波流水式洗浄機１は、主流路１０を内部に有する収容ケース１１（筐体）と、収容ケース１１の後端側に配置される超音波振動子１２と、収容ケース１１の前端側に設けられる流路分岐部材１３と、流路分岐部材１３に接続される２つのノズル１４ａ，１４ｂとを備える。

　超音波振動子１２は、ＰＺＴなどの圧電セラミックスを用いて円板状に形成され、その直径は、例えばφ２０ｍｍである。本実施の形態の超音波振動子１２は、１ＭＨｚの周波数の超音波Ｓ１を洗浄液Ｗ１中に照射する。収容ケース１１の側面には、超音波振動子１２の振動面１２ａに洗浄液Ｗ１を供給するための供給口１６が設けられており、その供給口１６に給水配管１７が接続されている。本実施の形態では、ダイシングブレード３の駆動時に発生する熱を冷却するために処理槽２ａ内に供給される冷却水を洗浄液Ｗ１として用いている。そして、洗浄液Ｗ１が給水配管１７を介して供給口１６から収容ケース１１内の主流路１０に供給される。

　本実施の形態の収容ケース１１は、前端側に開口部を有する有底円筒状に形成された金属製のケース本体２０と、キャップ状に形成されケース本体２０の前端側（図２では下端側）の開口部に螺着される樹脂製の連結部材２１とを有する。超音波振動子１２はケース本体２０の底部（図２では上側となる後端側）に固定され、ケース本体２０の側面に洗浄液Ｗ１の供給口１６が設けられている。ケース本体２０は、例えばステンレスからなり、連結部材２１は、例えばポリプロピレン樹脂からなる。連結部材２１は、収容ケース１１の前端側に流路分岐部材１３を連結するとともに、洗浄液Ｗ１の漏れを防止するシーリング部材として機能する。収容ケース１１において、連結部材２１内に形成される主流路１０は、超音波振動子１２と対向する前端側（図２では下側）にいくに従って直径が小さくなるよう先細りした形状に形成されている。そして、連結部材２１において縮径した前端側にて主流路１０が開口し、その主流路１０は流路分岐部材１３側に形成された主流路１０に連通している。

　図２～図５に示されるように、本実施の形態の流路分岐部材１３は、円筒状に形成された金属製の上流側部材２５と円板状に形成された金属製の下流側部材２６とを備え、これら２つの部材２５，２６を溶接にて接合することで構成されている。上流側部材２５及び下流側部材２６は、例えばステンレスからなる。流路分岐部材１３の構成要素である上流側部材２５は、一方の端部にフランジ部２８を有し、そのフランジ部２８には、４つのネジ孔２７が形成されている。これらネジ孔２７にネジ２９を挿入してネジ止めすることで収容ケース１１における前端側の連結部材２１に流路分岐部材１３が固定される。そして、上流側部材２５の中央部には、主流路１０を構成する断面円形の１つの貫通穴３１が形成されている。貫通穴３１の直径は、例えば４．０ｍｍ程度である。また、上流側部材２５において連結部材２１と接する端面３３（図２では上端面）には、貫通穴３１の周囲となる位置に凹状に凹んだ収納凹部３４が形成されている。この収納凹部３４に、連結部材２１の縮径した前端側が収納されるようになっている。さらに、収納凹部３４の底面には貫通穴３１の周囲を囲むようにリング状のシーリングゴム３５が配置され、連結部材２１と流路分岐部材１３との接合部における洗浄液Ｗ１の液漏れが防止されるようになっている。

　図２、図６～図８に示されるように、流路分岐部材１３の構成要素である下流側部材２６は、主流路１０から分かれる２つの分岐流路４０ａ，４０ｂと、２つの分岐流路４０ａ，４０ｂの流入口４１同士の間にて、尖端４２を超音波振動子１２側に向けた状態で突設された楔状分岐部４３とを有する。下流側部材２６は、上流側端面４５及び下流側端面４６を有するとともに、外径が１２ｍｍ程度、厚さが４ｍｍ程度の円板状に形成された金属製板状部材である。下流側部材２６における２つの分岐流路４０ａ，４０ｂは、上流側端面４５及び下流側端面４６を連通している。下流側部材２６において、２つの分岐流路４０ａ，４０ｂは、主流路１０における中心軸線Ｌ１を基準として回転対称となる位置（１８０°回転させた位置）にそれぞれ設けられている。各分岐流路４０ａ，４０ｂは、主流路１０の延びる流路方向Ｘに対して外側に若干傾斜した状態で形成されている。具体的には、主流路１０の流路方向Ｘ（中心軸線Ｌ１）に対する各分岐流路４０ａ，４０ｂの傾斜角度は１５°程度であり、各分岐流路４０ａ，４０ｂは、下流側に行くに従って離間するよう形成されている。また、２つの分岐流路４０ａ，４０ｂは、超音波振動子１２側から見て流入口４１の一部が主流路１０に重なるように設けられている（図３等参照）。

　下流側部材２６における楔状分岐部４３は、主流路１０を分岐させる分岐部であって超音波振動子１２に向けて先端が尖った断面形状をなしている。本実施の形態において、楔状分岐部４３は、下流側部材２６の上流側端面４５に一体的に形成されている。上流側部材２５と下流側部材２６との接合部に対する楔状分岐部４３の上流側への突出量（各部材２５，２６の接触面を基準位置とした場合において楔状分岐部４３の尖端４２の高さ）は、２．５ｍｍ程度である。

　楔状分岐部４３の尖端４２には、主流路１０の延びる流路方向Ｘと直交する方向に沿って線状に連なった形状を有する稜線部４８が形成されている（図６及び図７参照）。稜線部４８は、分岐直前の主流路１０の幅と等しい寸法の長さ（具体的には４．０ｍｍ程度の長さ）を有している。また、分岐流路４０ａ，４０ｂは、流入口４１から流出口４９まで等しい直径で形成されており、分岐流路４０ａ，４０ｂ（流入口４１及び流出口４９）の直径は２．３ｍｍ程度である。つまり、本実施の形態では、稜線部４８の長さは、分岐流路４０ａ，４０ｂの流入口４１の直径よりも大きくなっている。さらに、主流路１０の断面積は、２つの分岐流路４０ａ，４０ｂの断面積を合わせた分岐流路の総断面積よりも大きくなっている。

　図６～図８に示されるように、楔状分岐部４３は、傾斜した２つの側面５１ａ，５１ｂを有するとともに、２つの側面５１ａ，５１ｂの中央部には、分岐流路４０ａ，４０ｂの流入口４１に繋がる半円状の切欠溝５３が形成されている。また、楔状分岐部４３における２つの側面５１ａ，５１ｂの中央部（切欠溝５３）以外の部分は、凸状に湾曲した形状（図８参照）を有している。本実施の形態では、主流路１０の延びる流路方向Ｘに対する楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂにおける中央部（切欠溝５３）の傾斜角度は、分岐流路４０ａ，４０ｂの傾斜角度である１５°と等しい。また、流路方向Ｘに対する楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂにおける中央部（切欠溝５３）以外の部分の傾斜角度は、分岐流路４０ａ，４０ｂの傾斜角度よりも大きく、３０°程度となっている。なお、本実施の形態では、楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂにおける中央部以外の部分は、凸状に湾曲した形状であるが、その湾曲した部分において、上流側の端部と下流側の端部とを結ぶ直線の傾斜角度をその部分の傾斜角度として求めている。

　図２及び図４に示されるように、下流側部材２６において各分岐流路４０ａ，４０ｂの流出口４９には、洗浄液Ｗ１を流水として吐出する２つのノズル１４ａ，１４ｂがそれぞれ接続されている。２つのノズル１４ａ，１４ｂは、内径が２．３ｍｍ、外径が３．３ｍｍである金属製のパイプ材からなり、流路分岐部材１３（下流側部材２６における下流側端面４６）に溶接にて接合されている。２つのノズル１４ａ，１４ｂは、ダイシングブレード３を配置可能な隙間を有するとともに、その隙間を介して互いに平行に延設されている。各ノズル１４ａ，１４ｂは、主流路１０の延びる流路方向Ｘと平行に設けられている。そして、各ノズル１４ａ，１４ｂは、同じ長さ（３０ｍｍ程度の長さ）を有し、先端が同じ方向に直角に曲げられている（図１等参照）。

　図２に示されるように、超音波振動子１２は、配線コード６０を介して図示しない発振器に接続されており、発振器から供給される発振信号に基づいて振動することで、振動面１２ａから１ＭＨｚの超音波Ｓ１を洗浄液Ｗ１に照射する。本実施の形態の超音波振動子１２は、主流路１０内の所定位置（振動面１２ａからの距離が、例えば４０ｍｍ付近の位置）にて超音波Ｓ１が収束して最狭領域Ｒ１を生じるように超音波Ｓ１を照射する。流路分岐部材１３において、下流側部材２６における楔状分岐部４３の尖端４２が超音波Ｓ１の最狭領域Ｒ１に配置されている。本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、超音波Ｓ１の最狭領域Ｒ１及び楔状分岐部４３の尖端４２は、ともに主流路１０における中心軸線Ｌ１上の位置にある。

　図１に示されるように、超音波流水式洗浄機１は、ダイシングソー２の処理槽２ａ内において、２つのノズル１４ａ，１４ｂがダイシングブレード３の表裏面を挟み込むよう設置されるとともに、収容ケース１１が処理槽２ａ内に設けられている支持部材（図示略）に固定されている。そして、ダイシングブレード３の回転駆動時に、超音波流水式洗浄機１の各ノズル１４ａ，１４ｂからダイシングブレード３の表裏面に洗浄液Ｗ１を流水として吐出する。なお、各ノズル１４ａ，１４ｂの先端からの流量は、０．４Ｌ／ｍｉｎ～０．６Ｌ／ｍｉｎである。このように洗浄液Ｗ１を吐出することにより、ダイシングブレード３における切削屑が効率よく洗浄され、目詰まりによる切削効率の低下や半導体ウェハの破損などの問題が解消される。

　本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、２つのノズル１４ａ，１４ｂから吐出される洗浄液Ｗ１での超音波Ｓ１の強弱をソニックモニタ（本多電子株式会社製：ＨＵＳ－３）を使用して測定した。その測定結果を表１に示している。なおここでは、ノズル１４ａ，１４ｂの吐出量（設定流量）を０．６Ｌ／ｍｉｎ、０．４Ｌ／ｍｉｎに設定し、ソニックモニタの測定レンジを１００ｍＶに設定した。そして、各ノズル１４ａ，１４ｂの先端からの距離が１０ｍｍ、２０ｍｍ、３０ｍｍである各測定位置において超音波Ｓ１の音圧（ｍＶ）を測定した。

　表１に示されるように、ノズル１４ａ，１４ｂからの距離が１０ｍｍの測定位置では、３０ｍＶ～４５ｍＶの音圧が測定され、ノズル１４ａ，１４ｂからの距離が２０ｍｍの測定位置では、２０ｍＶ～２５ｍＶの音圧が測定され、ノズル１４ａ，１４ｂからの距離が３０ｍｍの測定位置では、１５ｍＶの音圧が測定された。これら超音波Ｓ１の音圧は、１つのノズルを設けた従来の超音波流水式洗浄機で測定される超音波Ｓ１の音圧に対して８０％程度の音圧であり、従来の超音波流水式洗浄機と比較して音圧は若干低くなっていたが、十分な洗浄効果を得られることを確認することができた。

　従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。

　（１）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１では、収容ケース１１内において、主流路１０を流れる洗浄液Ｗ１に超音波振動子１２から超音波Ｓ１が照射される。そして、図９に示されるように、流路分岐部材１３において、主流路１０を流れる洗浄液Ｗ１が２つの分岐流路４０ａ，４０ｂに分配され、それら分岐流路４０ａ，４０ｂを流れた洗浄液Ｗ１は２つのノズル１４ａ，１４ｂを通して流水として洗浄機外部に吐出される。超音波流水式洗浄機１において、超音波振動子１２は収容ケース１１内の後端側に配置されるとともに、流路分岐部材１３は収容ケース１１の前端側に設けられている。また、流路分岐部材１３における２つの分岐流路４０ａ，４０ｂの流入口４１同士の間にて、尖端４２を超音波振動子１２側に向けた状態で楔状分岐部４３が突設されている。つまり、楔状分岐部４３は、主流路１０を介して超音波振動子１２に対向する位置に設けられているが、その超音波振動子１２に向けて先端が尖った断面形状をなしている。このため、楔状分岐部４３から超音波振動子１２側への超音波Ｓ１の反射が回避され、下流側に設けられた２つの分岐流路４０ａ，４０ｂ中の洗浄液Ｗ１に超音波Ｓ１を確実に伝搬させることができる。そして、超音波Ｓ１を伝搬させた洗浄液Ｗ１を２つのノズル１４ａ，１４ｂから吐出することで、ダイシングブレード３の表裏面に超音波Ｓ１を作用させてその表裏面を洗浄することができる。このように、本実施の形態では、従来技術のような複数の洗浄機（超音波振動子）を設ける構成ではなく、１つの超音波流水式洗浄機１を用いてダイシングブレード３を効率よく確実に洗浄することができる。従って、超音波流水式洗浄機１の部品コストを抑えることができるとともに、超音波流水式洗浄機１をコンパクトに形成することができる。

　（２）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１では、超音波振動子１２から照射される超音波Ｓ１は、主流路１０内において洗浄液Ｗ１を伝搬する際に最狭領域Ｒ１を生じるように収束する。そして、楔状分岐部４３の尖端４２は、超音波Ｓ１の最狭領域Ｒ１に配置されている。この場合、超音波Ｓ１を減衰させることなく各分岐流路４０ａ，４０ｂに洗浄液Ｗ１を効率よく分配することができる。そして、各ノズル１４ａ，１４ｂからダイシングブレード３に洗浄液Ｗ１を吐出することにより、ダイシングブレード３の表裏面に比較的強い超音波Ｓ１を作用させることができ、洗浄効率を高めることができる。

　（３）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１では、主流路１０が２つの分岐流路４０ａ，４０ｂに分岐される。ここで、分岐流路４０ａ，４０ｂの数が多くなりすぎると、各分岐流路に流れる洗浄液Ｗ１の流量を十分に確保するために主流路１０の断面積を大きくする必要が生じ、洗浄機１が大型化してしまう。また、洗浄液Ｗ１を各分岐流路４０ａ，４０ｂに均等に分配することが困難になってしまう。これに対して、本実施の形態の超音波流水式洗浄機１のように主流路１０を２つの分岐流路４０ａ，４０ｂに分岐する場合、洗浄機１の大型化を回避しつつ、洗浄水Ｗ１を各分岐流路４０ａ，４０ｂに均等に分配することができる。

　（４）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、超音波Ｓ１の最狭領域Ｒ１及び楔状分岐部４３の尖端４２は、ともに主流路１０における中心軸線Ｌ１上の位置にある。この場合、楔状分岐部４３により超音波Ｓ１の出力及び洗浄液Ｗ１の流量を均等に分配し、各ノズル１４ａ，１４ｂから洗浄液Ｗ１を吐出することができる。

　（５）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、楔状分岐部４３の尖端４２には、線状の稜線部４８が形成されている。稜線部４８の長さは、分岐直前の主流路１０の幅と等しい寸法の長さを有し、分岐流路４０ａ，４０ｂの流入口４１の直径よりも大きくなっている。このようにすると、稜線部４８によって、超音波Ｓ１を伝搬させた洗浄液Ｗ１を確実に分配し、各分岐流路４０ａ，４０ｂに導くことができる。

　（６）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、楔状分岐部４３における傾斜した２つの側面５１ａ，５１ｂの中央には、分岐流路４０ａ，４０ｂの流入口４１に繋がる半円状の切欠溝５３が形成されているので、切欠溝５３の加工部を主流路１０の中心側に近づけることができる。このようにすると、主流路１０から流れる洗浄液Ｗ１を切欠溝５３を介して各分岐流路４０ａ，４０ｂに確実にかつスムーズに導くことができる。

　（７）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、楔状分岐部４３の各側面５１ａ，５１ｂの中央部（切欠溝５３）以外の部分は、凸状に湾曲した形状をなしているので、楔状分岐部４３が厚くなり、その強度を高めることができる。また、楔状分岐部４３の中央部以外の部分を厚くすることにより、線状の稜線部４８を確実に形成することができる。さらに、楔状分岐部４３の各側面５１ａ，５１ｂにおいて、中央部以外の湾曲した表面に沿って中央部側の切欠溝５３に洗浄液Ｗ１をスムーズに導いて各分岐流路４０ａ，４０ｂに流すことができる。

　（８）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、主流路１０の延びる流路方向Ｘに対する、楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂにおける切欠溝５３の傾斜角度は、分岐流路４０ａ，４０ｂの傾斜角度と等しい。また、楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂにおける切欠溝５３以外の部分の傾斜角度は、分岐流路４０ａ，４０ｂの傾斜角度よりも大きくなっている。この場合、楔状分岐部４３において、中央部（切欠溝５３）以外の部分を厚くすることができ、強度を高めることができる。また、楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂにおける切欠溝５３を介して各分岐流路４０ａ，４０ｂに洗浄液Ｗ１を確実に導くことができる。

　（９）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、流路分岐部材１３は、上流側部材２５及び下流側部材２６の２つの部材で構成されている。そして、金属製板状部材である下流側部材２６に、上流側端面４５及び下流側端面４６を連通する２つの分岐流路４０ａ，４０ｂが形成されるとともに、上流側端面４５に楔状分岐部４３が一体的に形成されている。このようにすると、分岐流路４０ａ，４０ｂ及び楔状分岐部４３を比較的容易に形成することができる。また、上流側部材２５を設けることにより、超音波Ｓ１の最狭領域Ｒ１に楔状分岐部４３の尖端４２を確実に配置することができる。

　（１０）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、流路分岐部材１３を構成する上流側部材２５及び下流側部材２６は、金属製であるため、音響インピーダンスが洗浄液Ｗ１の音響インピーダンスよりも大きい。この場合、楔状分岐部４３の側面５１ａ，５１ｂや各分岐流路４０ａ，４０ｂの壁面で超音波Ｓ１を確実に反射させることができるため、超音波Ｓ１が減衰することなく伝搬した洗浄液Ｗ１を各ノズル１４ａ，１４ｂに確実に導くことができる。

　（１１）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、２つのノズル１４ａ，１４ｂは、ダイシングブレード３を配置可能な隙間を有するとともに、隙間を介して互いに平行に延設されている。この場合、２つのノズル１４ａ，１４ｂの隙間にダイシングブレード３を配置させることができ、その状態で各ノズル１４ａ，１４ｂから洗浄液Ｗ１を吐出することにより、ダイシングブレード３の表裏面を効率よく確実に超音波洗浄することができる。

　（１２）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１において、主流路１０の断面積は、２つの分岐流路４０ａ，４０ｂの断面積を合わせた総断面積よりも大きくなっている。この場合、２つのノズル１４ａ，１４ｂから洗浄液Ｗ１を勢いよく吐出させることができるため、ダイシングブレード３の目詰まり等を確実に解消することができる。

　（１３）本実施の形態では、ダイシングソー２に予め供給される冷却水を洗浄液Ｗ１として用いているので、洗浄液Ｗ１を供給する給水配管１７等を別途用意する必要がなく、ダイシングソー２の部品コストを低く抑えることができる。さらに、超音波流水式洗浄機１をコンパクトに形成できるため、比較的設置スペースが少ない処理槽２ａにおいても、配線コード６０や給水配管１７等に無理なストレスが加わることなく、超音波流水式洗浄機１を確実に設置することができる。従って、洗浄液Ｗ１の漏れや配線コード６０の断線等の問題が生じることが回避される。
［第２の実施の形態］

　次に、本発明を超音波流水式洗浄機に具体化した第２の実施の形態を図面に基づき説明する。

　図１０及び図１１に示されるように、本実施の形態の超音波流水式洗浄機１Ａは、洗浄液Ｗ１の流れる方向及び超音波Ｓ１の伝搬する方向を微調整する調整機構６１を備える点が上記第１の実施の形態の超音波流水式洗浄機１と異なり、他の構成は超音波流水式洗浄機１と同じである。以下、調整機構６１の構成について説明する。

　本実施の形態の調整機構６１は、調整板６２と回転軸６３と操作ツマミ６４（操作部）とを備え、流路分岐部材１３の上流側部材２５（筐体）に装着されている。図１０及び図１２に示されるように、調整板６２は、主流路１０の延びる流路方向Ｘに対して直交して設けられるとともに、流路方向Ｘから見て楔状分岐部４３の尖端４２における稜線部４８に重なり合うように、稜線部４８に沿って配置されている。調整板６２は、矩形板状をなし、長さが３．５ｍｍ程度、幅が２ｍｍ程度のサイズである。また、調整板６２は、厚さが例えば０．５ｍｍ程度であり、カッターナイフの刃のように、幅方向の一方の端部に行くに従って鋭角に尖った形状をなしている。そして、調整板６２は、主流路１０内において楔状分岐部４３の上流側となる位置にて、鋭角に尖った端部が上流側に向くように配置されている。

　回転軸６３は、上流側部材２５に対して回転可能に固定され、流路方向Ｘに対する調整板６２の傾斜角度を調整可能に調整板６２を支持している。詳しくは、回転軸６３は、調整板６２において厚さが最も厚くなっている下流側の端部に固定されている。図１０に示されるように、上流側部材２５には、主流路１０に連通する貫通穴であって回転軸６３を挿入支持するための第１軸受穴６５が設けられるとともに、主流路１０を介して第１軸受穴６５に対向する位置に非貫通穴である第２軸受穴６６が設けられている。そして、上流側部材２５において、回転軸６３の先端部６８が第２軸受穴６６に嵌挿されるとともに、回転軸６３の基端部６９（一方の端部）が第１軸受穴６５を介して外部に露出するように回転軸６３が設けられている。さらに、外部に露出する回転軸６３の基端部６９に回転軸６３を回転させるための操作ツマミ６４が設けられている。なお、回転軸６３と第１軸受穴６５との間にはオイルシール７０が設けられており、そのオイルシール７０によって第１軸受穴６５の隙間から洗浄液Ｗ１が漏れることが防止されている。

　本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。

　（１）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１Ａでは、主流路１０内において楔状分岐部４３の上流側に設けられた調整機構６１によって、洗浄液Ｗ１の流れる方向及び超音波Ｓ１の伝搬する方向が微調整される。上記第１の超音波流水式洗浄機１では、収容ケース１１内に洗浄液Ｗ１を供給する給水配管１７の接続位置や接続方向、主流路１０や流路分岐部材１３の形成時における寸法誤差や接続位置のズレなどの要因によって、各分岐流路４０ａ，４０ｂに分配される洗浄液Ｗ１や超音波Ｓ１が均等ではなくなる場合がある。この場合、本実施の形態のように、調整機構６１を設けることによって、洗浄液Ｗ１の流れる方向や超音波Ｓ１の伝搬する方向が微調整されることで、各分岐流路４０ａ，４０ｂにおいて、洗浄液Ｗ１の流量や超音波Ｓ１の強さが等しくなるよう洗浄液Ｗ１を確実に分配することができる。

　（２）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１Ａにおいて、調整機構６１は、調整板６２と回転軸６３と操作ツマミ６４とを有して構成され、操作ツマミ６４を操作して回転軸６３を回転させることにより、流路方向Ｘに対する調整板６２の傾斜角度を容易に変更することができる。また、調整板６２は、楔状分岐部４３の尖端４２における稜線部４８に重なり合うように、稜線部４８に沿って配置されているので、超音波振動子１２側への超音波Ｓ１の反射を回避しつつ、超音波Ｓ１を伝搬させた洗浄液Ｗ１を下流側に確実に流すことができる。

　（３）本実施の形態の超音波流水式洗浄機１Ａでは、調整板６２は鋭角に尖った端部が上流側に向くように配置され、調整板６２において厚さが最も厚くなっている下流側の端部に回転軸６３が固定されている。このようにすると、調整板６２から超音波振動子１２側への超音波Ｓ１の反射が回避されるため、下流側に超音波Ｓ１を確実に伝搬させることができる。

　なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。

　・上記各実施の形態の超音波流水式洗浄機１，１Ａにおいて、２つのノズル１４ａ，１４ｂの先端は同じ方向に向くよう直角に曲げられていたが、この角度は適宜変更してもよく、各ノズル１４ａ，１４ｂの先端が異なる方向に曲げられていてもよい。具体的には、互いに内側を向くように各ノズル１４ａ，１４ｂの先端を曲げてもよい。また、２つのノズル１４ａ，１４ｂの長さを等しくしていたが、被洗浄物のサイズや形状に応じて、各ノズル１４ａ，１４ｂの長さは適宜変更してもよい。

　・上記各実施の形態の超音波流水式洗浄機１，１Ａでは、２つの分岐流路４０ａ，４０ｂに分岐して２つのノズル１４ａ，１４ｂから洗浄液Ｗ１を吐出するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、３つ以上の分岐流路に分岐して３つ以上の複数のノズルから洗浄液Ｗ１を吐出するよう超音波流水式洗浄機を構成してもよい。図１３には、３つの分岐流路４０ｃ，４０ｄ，４０ｅが形成された下流側部材２６Ａを示している。図１３の下流側部材２６Ａでは、各分岐流路４０ｃ～４０ｅを仕切るように設けられた３本の稜線部４８ａを有する楔状分岐部４３ａが形成されている。また、下流側部材２６Ａにおいて、各分岐流路４０ｃ～４０ｅの流出口４９ａに３つのノズルがそれぞれ接続される。下流側部材２６Ａでは、３つの分岐流路４０ｃ～４０ｅは、主流路１０の中心軸を基準として回転対称となる位置（１２０°回転させた位置）にそれぞれ形成されているが、各分岐流路４０ｃ～４０ｅの形成位置を適宜変更してもよい。また、各分岐流路４０ｃ～４０ｅの直径も全て同じ直径であるが、直径を異ならせて各分岐流路４０ｃ～４０ｅを形成してもよい。

　・上記第２の実施の形態において、調整機構６１は、操作ツマミ６４を用いて手動で回転軸６３を回転させて調整板６２の傾斜角度を調整するものであったが、電動モータやスリップリングを用いて自動で回転軸６３を回転させて調整板６２の傾斜角度を調整するように調整機構を構成してもよい。

　・上記各実施の形態の超音波流水式洗浄機１，１Ａにおいて、流路分岐部材１３（上流側部材２５及び下流側部材２６）は、ステンレスを用いて形成されていたが、ステンレス以外の金属材を用いて形成されるものでもよい。さらに、インピーダンスが洗浄液Ｗ１と異なる材料であれば、セラミックスや樹脂などを用いて流路分岐部材１３を形成してもよい。

　・上記各実施の形態の超音波流水式洗浄機１，１Ａは、ダイシングソー２のダイシングブレード３を洗浄するものであったが、これに限定されるものではない。超音波流水式洗浄機１，１Ａを用いて、メディアや半導体ウェハなどの被洗浄物を洗浄してもよい。また、超音波流水式洗浄機１，１Ａは、２つのノズル１４ａ，１４ｂでダイシングブレード３を挟み込んでその表裏面を同時に洗浄するものであったが、これに限定されるものではない。超音波流水式洗浄機１，１Ａを用い、例えば半導体ウェハなどの被洗浄物における一方の表面を複数のノズル１４ａ，１４ｂによって洗浄してもよい。この場合、比較的広い面積を有する被洗浄物の表面を効率よく迅速に洗浄することができる。

　次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。

　（１）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記流路分岐部材において、前記複数の分岐流路は、前記主流路における中心軸を基準として回転対称となる位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（２）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記流路分岐部材は、上流側端面及び下流側端面を有する金属製板状部材を構成要素として含み、前記金属製板状部材は、前記上流側端面及び前記下流側端面を連通する前記複数の分岐流路を有するとともに、前記上流側端面に一体的に形成された前記楔状分岐部を有することを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（３）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記主流路の断面積は、前記複数の分岐流路の断面積を合わせた総断面積よりも大きいことを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（４）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記複数のノズルは、金属製のパイプ材からなり、前記流路分岐部材に溶接にて接合されていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（５）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記複数のノズルは、前記主流路の延びる流路方向と平行に設けられていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（６）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記複数のノズルは、先端が同じ方向に曲げられていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（７）請求項１乃至１２のいずれか１項において、前記複数のノズルは、先端が異なる方向に曲げられていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（８）請求項５において、前記稜線部は、分岐直前の前記主流路の幅と等しい寸法の長さを有していることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（９）請求項７において、前記主流路の延びる流路方向に対する、前記楔状分岐部の側面における前記切欠溝の傾斜角度は、前記分岐流路の傾斜角度と等しく、前記楔状分岐部の側面における前記切欠溝以外の部分の傾斜角度は、前記分岐流路の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（１０）請求項１２において、前記調整板における中央部の位置または中央部よりも下流側となる位置に前記回転軸が固定されていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（１１）請求項１２において、前記調整機構には、前記回転軸の一方の端部が前記筺体の外部に露出するよう設けられ、その一方の端部に前記回転軸を回転させるための操作部が設けられていることを特徴とする超音波流水式洗浄機。

　（１２）請求項１乃至１２のいずれか１項に記載の超音波流水式洗浄機と、回転駆動されるダイシングブレードとを備え、前記複数のノズルが前記ダイシングブレードの表裏面を挟み込むように前記超音波流水式洗浄機が設置されることを特徴とするダイシング装置。

　（１３）技術的思想（１２）において、前記ダイシングブレードの回転駆動時に発生する熱を冷却するための冷却水を前記洗浄液として用いることを特徴とするダイシング装置。

　１，１Ａ…超音波流水式洗浄機
　３…板状の被洗浄物としてのダイシングブレード
　１０…主流路
　１１…筐体としての収容ケース
　１２…超音波振動子
　１３…流路分岐部材
　１４ａ，１４ｂ…ノズル
　２０…筐体を構成するケース本体
　２１…筐体を構成する連結部材
　２６，２６Ａ…流路分岐部材の構成要素である下流側部材
　４０ａ～４０ｅ…分岐流路
　４１…流入口
　４２…尖端
　４３，４３ａ…楔状分岐部
　４８，４８ａ…稜線部
　５１ａ，５１ｂ…楔状分岐部の側面
　５３…切欠溝
　６１…調整機構
　６２…調整板
　６３…回転軸
　Ｌ１…中心軸線
　Ｒ１…最狭領域
　Ｓ１…超音波
　Ｗ１…洗浄液
　Ｘ…流路方向

Claims

　超音波を伝搬させた洗浄液を流水として吐出しながら超音波洗浄する超音波流水式洗浄機において、
　前記洗浄液の主流路を内部に有する筐体と、
　前記主流路を流れる前記洗浄液に超音波を照射するべく、前記筐体内の後端側に配置された超音波振動子と、
　前記筐体の前端側に設けられ、前記主流路から分かれる複数の分岐流路を有する流路分岐部材と、
　前記流路分岐部材における前記複数の分岐流路の流入口同士の間にて、その尖端を前記超音波振動子側に向けた状態で突設された楔状分岐部と、
　前記複数の分岐流路にそれぞれ接続され、前記洗浄液を流水として吐出する複数のノズルと
を備えたことを特徴とする超音波流水式洗浄機。
　前記超音波振動子は、前記主流路内の所定位置にて前記超音波が収束して最狭領域を生じるように前記超音波を照射し、
　前記楔状分岐部の前記尖端は、前記超音波の前記最狭領域に配置されている
ことを特徴とする請求項１に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記流路分岐部材は、前記主流路を２つの前記分岐流路に分岐することを特徴とする請求項１または２に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記超音波の前記最狭領域及び前記楔状分岐部の前記尖端は、ともに前記主流路における中心軸線上の位置にあることを特徴とする請求項３に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記楔状分岐部の前記尖端には、前記主流路の延びる流路方向と直交する方向に沿って線状に連なった形状を有する稜線部が形成されていることを特徴とする請求項４に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記稜線部の長さは、前記分岐流路の前記流入口の直径よりも大きいことを特徴とする請求項５に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記楔状分岐部は傾斜した複数の側面を有するとともに、前記複数の側面の中央部には、前記分岐流路の前記流入口に繋がる半円状の切欠溝が形成されていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記複数の側面の中央部以外の部分は、凸状に湾曲した形状をなすことを特徴とする請求項７に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記流路分岐部材は、金属製であることを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１項に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記複数のノズルは、板状の被洗浄物を配置可能な隙間を有するとともに、前記隙間を介して互いに平行に延設されていることを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記主流路内において前記楔状分岐部の上流側に設けられ、前記洗浄液の流れる方向及び前記超音波の伝搬する方向を微調整する調整機構を備えたことを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか１項に記載の超音波流水式洗浄機。
　前記調整機構は、
　前記主流路の延びる流路方向に直交して設けられるとともに、前記流路方向から見て前記楔状分岐部の前記尖端における稜線部に重なり合うように、前記稜線部に沿って配置される調整板と、
　前記調整板を支持するとともに、前記流路方向に対する前記調整板の傾斜角度を変更可能な回転軸と
を有することを特徴とする請求項１１に記載の超音波流水式洗浄機。