以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1乃至図5は本発明の第1の実施形態に係わり、図1は超音波内視鏡システムの構成図、図2は非送水時における超音波探触子と胃壁との関係を模式的に示す説明図、図3は送水時における超音波探触子と胃壁との関係を模式的に示す説明図、図4は先端部を示す斜視図、図5は先端部を示す端面図である。
図1に示す本実施形態の超音波内視鏡システム1は、例えば、胃及び十二指腸用の超音波内視鏡(以下、単に内視鏡ともいう)2を有する。この内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部5と、この挿入部5の基端に設けられた操作部6と、この操作部6から延出するユニバーサルコード7と、を備えて構成されている。
挿入部5は、先端硬質部10と、先端硬質部10の基端に位置する湾曲部11と、湾曲部11の基端に位置して操作部6に至る細径且つ長尺で可撓性を有する可撓管部12と、を備え、これらが先端側から順に連設されて要部が構成されている。
図2~図5に示すように、先端硬質部10には、超音波による音響的画像情報を得るための超音波ユニット15が設けられている。本実施形態の超音波ユニット15はコンベックス型の超音波ユニットであり、この超音波ユニット15は、筐体であるノーズピース16と、超音波観察部としての超音波探触子17と、を有して構成されている。
ノーズピース16は、例えば、凸型の部分円弧状をなす組織当接面16aを有し、この組織当接面16aは先端硬質部10の先端面10aよりも前方に突出されている(図4,5参照)。
超音波探触子17は、凸型の部分円弧状に配列された複数の超音波振動子17aと、これら超音波振動子17aの前方を覆う音響レンズ17bと、を有して構成されている(図2,3参照)。この超音波探触子17は、ノーズピース16の組織当接面16aの略中央に配設されている(図4,5参照)。また、超音波探触子17の音響レンズ17bは、ノーズピース16の組織当接面16aとともに先端硬質部10の先端面10aよりも前方に突出され、これにより、超音波探触子17は主として内視鏡挿入方向前方の生体組織等を走査することが可能となっている。
また、例えば、図4,5に示すように、先端硬質部10の先端面には、観察光学系を構成する観察窓20と、照明光学系を構成する一対の照明窓21a,21bと、穿刺針等の処置具が導出される吸引兼鉗子口22と、観察窓20に向けて空気や水等の流体を噴出する送気送水ノズル23と、先端硬質部10の前方(すなわち、超音波探触子17の突出方向)に向けて水等の流体を噴出する開口部としての副送水チャンネル口24と、が設けられている。
ここで、吸引兼鉗子口22から導出される処置具を超音波探触子17の走査領域As内に配置するため、吸引兼鉗子口22は、その中心軸O1が、先端硬質部10の先端面上において、超音波探触子17の走査方向(中心線L1)の延長線上に位置するよう配置されている(図5参照)。また、先端硬質部10の先端面10a上において、観察窓20、照明窓21a、及び送気送水ノズル23は、吸引兼鉗子口22の一側にまとめて配置され、照明窓21b及び副送水チャンネル口24は吸引兼鉗子口22の他側にまとめて配置されている。これにより、副送水チャンネル口24は、超音波探触子17の走査領域Asに対してオフセットした位置に配設されている(図4参照)。
図1に示すように、操作部6には、湾曲部11を所望の方向に湾曲操作するためのアングルノブ30と、送気及び送水操作を行うための送気送水ボタン31と、吸引操作を行うための吸引ボタン32と、内視鏡2に関する各種機能の中から任意の機能を割り当てることが可能な複数のボタンスイッチ33と、体内に導入する処置具の入口となる処置具挿入口34と、が配設されている。ここで、本実施形態において、ボタンスイッチ33のうちの何れかは、例えば、超音波ユニット15を用いたエラストグラフィ観察の開始及び終了を指示するためのスイッチとして設定することが可能となっている。また、処置具挿入口34は、挿入部5の内部に設けられた処置具挿通チャンネル(図示せず)を介して吸引兼鉗子口22に連通されている。
ユニバーサルコード7の一端側は、折れ止め部40を介して操作部6の側部に連設されている。一方、ユニバーサルコード7の他端側である延出端には、スコープコネクタ部41が設けられている。このスコープコネクタ部41の端部には、図示しない光源装置に着脱自在な光源側コネクタ42が設けられている。光源側コネクタ42には、挿入部5側から延在するライトガイド42a及び送気管42bの基端部が突設されるとともに、図示しない電気接点が配設されている。また、スコープコネクタ部41の一側部には、超音波観測装置50に着脱自在な超音波コネクタ43と、図示しないビデオプロセッサに着脱自在な電気コネクタ44と、が並んで設けられている。さらに、スコープコネクタ部41の他側部には、加圧管45a及び送水管45bの基端部が突設されるとともに、超音波内視鏡用送液装置55に着脱自在な副送水口金46が設けられている。
ここで、図2,3に示すように、副送水口金46は、流体管路としての副送水チャンネル47を介して副送水チャンネル口24に連通されている。また、例えば、スコープコネクタ部41内において、副送水チャンネル47の中途には、第1流量調整部としての調整弁48が介装されている。この調整弁48は、例えば、常閉の電磁ソレノイド弁によって構成されている。そして、調整弁48は、任意のデューティ比によって開弁時間が制御されることにより、副送水チャンネル47内を流通する流体の流量を任意の状態に制御することが可能となっている。より具体的には、調整弁48は、例えば、開弁時間が任意のデューティ比によって周期的にデューティ制御されることにより、副送水チャンネル47内を流通する流体の流量を任意の2以上の状態に変化させることが可能となっている(例えば、任意の2つの状態に周期的に変化させることが可能となっている)。なお、この調整弁48は、スコープコネクタ部41内に代えて、操作部6内等に設けることも可能である。ここでいう流量には、流量がゼロの状態も含まれる。
図1~図3に示すように、本実施形態の超音波内視鏡用送液装置55は、例えば、空気圧式の送液装置であり、この超音波内視鏡用送液装置55は、空気圧を発生するポンプユニット56と、滅菌水或いは脱気水等の液体(流体)を貯留する送液タンク57と、を有して構成されている。ポンプユニット56は蠕動式ポンプ60を有し、この蠕動式ポンプ60は、加圧管61を介して送液タンク57の上部に連通されている。また、送液タンク57の底部には、副送水チューブ62の一端が臨まされ、この副送水チューブ62の他端は、副送水口金46を介して副送水チャンネル47に接続されている。この超音波内視鏡用送液装置55において、ポンプユニット56の蠕動ポンプ60が駆動されると、この蠕動ポンプ60で発生した空気圧は、加圧管61を介して送液タンク57内の上部に供給される。この空気圧の供給によって送液タンク57の内圧が上昇され、この内圧の上昇により、送液タンク57内に貯留された脱気水等の液体は、副送水チューブ62を介して、副送水チャンネル47内に導出される。すなわち、本実施形態において蠕動ポンプ60は流体導出部としての機能を実現する。
図1に示すように、超音波観測装置50は、超音波接続ケーブル51を介して、超音波コネクタ43に接続されている。この超音波観測装置50は、超音波探触子17を駆動制御するとともに、この駆動制御により超音波探触子17で受信した超音波エコー信号(超音波信号)に基づいて各種超音波画像を生成する。例えば、超音波観測装置50は、受信した超音波エコー信号の増幅を輝度に対応付けたBモード画像の生成等を行うことが可能となっている。
また、例えば、ユーザ等によるボタンスイッチ33の操作等を通じてエラストグラフィ観察を開始する旨の指示がなされると、超音波観測装置50は、蠕動ポンプ60を駆動させるとともに、調整弁48に対する制御を通じて、副送水チャンネル47を流通する流体(例えば、脱気水等の液体)の流量調整を行う。これにより、副送水チャンネル口24から噴出される流体の流量が変化し、この流体の噴出によって生体組織が受ける押圧力が変化する。この流体の噴出は超音波探触子17の近傍において当該超音波探触子17の突出方向に生体組織を押圧するものであるため、流体の噴出により、超音波探触子17を移動させることなく、超音波探触子17が生体組織を押圧する押圧力が間接的に変化することとなる。その結果、超音波探触子17は異なる押圧状態における超音波信号を得ることが可能となる。そして、超音波観測装置50は、異なる押圧状態における超音波信号に基づいて生体組織の変形状態の変化(変位)を計測し、変位の計測結果に基づいてエラストグラフィ画像を生成する。
具体例として、膵臓101の腫瘍/リンパ節転移等の検査を行うべく、胃壁100を介して膵臓101をエラストグラフィ観察する場合について図2,3を参照して説明すると、先ず、観察に先立ち、体腔内に挿入された内視鏡2の先端硬質部10が、超音波探触子17を介して胃壁100及び膵臓101を所定の押圧力にて押圧する位置に配置される。また、超音波観測装置50によって蠕動ポンプ60が駆動されるとともに、調整弁48がデューティ制御される。これにより、例えば、副送水チャンネル口24から脱気水等が噴出されない状態(図2参照)と、副送水チャンネル口24から脱気水等が所定の液圧にて噴出される状態(図3参照)と、が周期的に繰り返される。ここで、副送水チャンネル口24から脱気水等が噴出されている状態では、その液圧によって超音波探触子17近傍の生体組織が押圧される。その結果、超音波探触子17を胃壁100等に対して移動させることなく、超音波探触子17による胃壁100等に対する押圧力が軽減される。すなわち、超音波探触子17による胃壁100等に対する押圧力が、副送水チャンネル口24から脱気水等が噴出されていないときの押圧力(第1の押圧力)と、副送水チャンネル口24から脱気水等が噴出されているときの押圧力(第1の押圧力よりも弱い第2の押圧力)と、で周期的に変化する。そして、超音波観測装置50は、超音波探触子17による胃壁100等に対する押圧力が第1の押圧力と第2の押圧力との間で切り替わる毎に、超音波探触子17(超音波振動子17a)を駆動制御することにより、各押圧状態における超音波信号を取得する。
このような実施形態によれば、先端硬質部10に配設された超音波探触子17と、超音波探触子17の近傍から当該超音波探触子17の突出方向に流体を噴出する副送水チャンネル口24と、副送水チャンネル口24に連通する副送水チャンネル47と、副送水チャンネル47を流通する流体の流量を2以上の状態に可変調整する調整弁48と、を有することにより、先端部を大型化させることなく簡単な構成により、良好なエラストグラフィ画像を得ることができる。
すなわち、副送水チャンネル口24から噴出する流体の液圧により超音波探触子17の近傍の生体組織を押圧する構成を採用することにより、体腔を機械的に押圧する溜めの押圧機構等を内視鏡2の先端硬質部10に設けることなく簡単な構成により、良好なエラストグラフィ画像を得ることができる。
この場合において、流体の噴出口として、超音波探触子17の走査領域Asからオフセットした位置に配設された副送水チャンネル口24を利用することにより、噴出された脱気水等の流体が超音波信号に及ぼす影響を軽減することができる。
次に、図6は本発明の第2の実施形態に係わり、図6は超音波内視鏡用送液装置の概略構成図である。なお、本実施形態は、内視鏡2側に配設した第1の流量調整部としての調整弁48に代えて、第2の流量調整部としての調整弁70を超音波内視鏡用送液装置55側に配設した点が、上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様な構成等については、同符号を付して適宜説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の調整弁70は、例えば、ポンプユニット56において、副送水チューブ62の中途に介装されている。
この調整弁70は、例えば、常閉の電磁ソレノイド弁によって構成されている。そして、調整弁70は、超音波観測装置50により、任意のデューティ比によって開弁時間が制御されることにより、副送水チャンネル47内を流通する流体の流量を任意の状態に制御することが可能となっている。より具体的には、調整弁70は、例えば、開弁時間が任意のデューティ比によって周期的にデューティ制御されることにより、副送水チャンネル47内を流通する流体の流量を任意の複数の状態に変化させることが可能となっている(例えば、任意の2つの状態に周期的に変化させることが可能となっている)。
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。加えて、本実施形態では、超音波内視鏡用送液装置55内に調整弁70を設けることにより、副送水チャンネル口24等を備えた内視鏡2においては、何等設計変更等することなく、良好なエラストグラフィ画像を得ることができる。
ここで、本実施形態において、超音波内視鏡用送液装置55により流量調整を行うための構成としては、種々の変形が可能である。
例えば、副送水チューブ62に調整弁70を介装する構成に代えて、図7に示すように、加圧管61の中途に第2流量調整部としての調整弁70を介装することも可能である。
また、例えば、ポンプユニット56で発生させた空気圧を利用して送液タンク57内の液体を導出する空気圧式の超音波内視鏡用送液装置55に代えて、図8に示すように、ポンプユニット56内において副送水チューブ62の中途に介装した容積式ポンプ72により、送液タンク57内の液体を直接くみ上げる方式の超音波内視鏡用送水装置55を採用することも可能である。この場合、例えば、図9に示すように、ポンプユニット56を構成する容積式ポンプ72は、そもそも、液体のくみ上げ時に所定の脈動を発生させるものであるため、調整弁を用いることなく、副送水チャンネル47内を流通する流体の流量を周期的に変化させることができる。すなわち、図8に示す変形例では、容積式ポンプ72自体が流体導出部及び第2流量調整部としての機能を実現する。
或いは、容積式ポンプ72に代えて、例えば、図10に示すように、ポンプユニット56を構成するポンプとしてDCポンプ73を採用し、このDCポンプ73に電力供給する手段としてAC電源74を利用することで出力電圧を周期的に変化させ、調整弁を用いることなく、副送水チャンネル47内を流通する流体の流量を周期的に変化させることも可能である。さらにDCポンプ73とAC電源74の間に電源制御部を介在させ、AC電源の電圧周期を変調させてもよい。
また、例えば、図11に示すように、DCポンプ73の下流側において、副送水チューブ62の中途に第2流量調整部としてのリリーフ弁75を介装し、このリリーフ弁75の機械的な作用により、DCポンプ73から圧送される脱気水等の流量を変化させることも可能である。すなわち、このような構成において、DCポンプ73は、例えば、流体を所定の高圧にて圧送するよう駆動される。そして、DCポンプ73とドレーン通路75aとの間における副送水チューブ62の内圧が上昇して所定の高圧以上となったとき、リリーフ弁75が機械的にドレーン通路75aを開放し、これにより、DCポンプ73とドレーン通路75aとの間における副送水チューブ62内の液圧が低下する。一方、ドレーン通路75aの開放によって、DCポンプ73とドレーン通路75aとの間における副送水チューブ62の内圧が低下して所定の低圧未満となったとき、リリーフ弁75が機械的にドレーン通路75aを閉塞し、これにより、副送水チューブ62の内圧が再び上昇する。このような動作をリリーフ弁75が繰り返すことにより、副送水チャンネル47を流通する流体の流量が周期的に変化される。
また、例えば、図12に示すように、DCポンプ73の下流側において、副送水チューブ62の中途に第2流量調整部としての三方弁76を介装し、この三方弁76を超音波観測装置50等によって制御することにより、DCポンプ73から圧送される脱気水等の流量を変化させることも可能である。すなわち、このような構成において、超音波観測装置50は、三方弁76に対する制御を通じて、DCポンプ73を、副送水チューブ62の下流側と、ドレーン通路76aと、に対して周期的に交互に接続する。これにより副送水チャンネル47を流通する液体の流量が周期的に変化される。
次に、図13,14は本発明の第3の実施形態に係わり、図13は先端部とアダプタとを示す分解斜視図、図14はアダプタが装着された先端部の要部を示す断面図である。なお、本実施形態は、内視鏡2の先端硬質部10にアダプタ80を装着し、流体の噴出方向を最適化する点が上述の第1,第2の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1,第2の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜説明を省略する。
図13,14に示すように、本実施形態において、先端硬質部10の先端側外周には、リング状のアダプタ80が嵌合等によって装着されている。このアダプタ80の内周側において、副送水チャンネル口24に対応する位置には、ガイド用突起80aが設けられ、このガイド用突起80aには、副送水チャンネル口24に連通するガイド孔80bが穿設されている。例えば、図14に示すように、このガイド孔80bは、流体を噴出するための開口部として機能するものであり、先端硬質部10の挿入軸方向に対して所定角度で傾斜されている。より具体的には、ガイド孔80bは、超音波探触子17の突出方向の成分を有し、且つ、超音波探触子17から離間する方向に所定角度で傾斜されている。
このような構成によれば、ガイド孔80bを有するアダプタ80を装着することにより、副送水チャンネル口24を介して供給される脱気水等の流体の噴出方向を任意の方向に調整することができる。そして、このガイド孔80bからの流体の噴出方向を、超音波探触子17の突出方向の成分を有し、且つ、超音波探触子17から離間する方向に設定することにより、超音波探触子17と生体組織との間に脱気水等が流入することを回避しつつ、生体組織の押圧状態を変化させることができ、より良好な超音波信号の取得が可能となる。
ここで、先端硬質部10に装着したアダプタ80のガイド孔によって流体の噴出方向を任意に調整する構成を採用することにより、例えば、図15,16に示すように、超音波探触子17の操作領域Asからオフセットしていない吸引兼鉗子口22等についても、流体噴出用の開口部として利用することが可能となる。この場合、吸引兼鉗子口22に連通する処置具挿通チャンネルが流体管路として機能し、例えば、図16に示すように、超音波内視鏡用送液装置55の送水チューブ58等が処置具挿入口34に挿入されることにより、吸引兼鉗子口22を通じた流体の噴出が可能となる。また、アダプタ80の内周側において、吸引兼鉗子口22に対応する位置にはガイド用突起80cが設けられ、このガイド用突起80cには、吸引兼鉗子口22に連通するガイド孔80dが穿設されている。このガイド孔80dは、流体を噴出するための開口部として機能するものであり、先端硬質部10の挿入軸方向に対して所定角度で傾斜されている。より具体的には、ガイド孔80dは、超音波探触子17の突出方向の成分を有し、且つ、超音波探触子17から離間する方向に所定角度で傾斜されている。なお、その他、詳細な説明は省略するが、例えば、送気送水ノズル23等に対しても同様の構成を採用することが可能である。
さらに、例えば、図17,18に示すように、内視鏡2の挿入部5に適宜併設される独立管路59を流体管路として利用し、この独立管路59を先端硬質部10に装着したアダプタ80のガイド孔80eに連通する構成を採用することも可能である。
次に、図19,20は本発明の第4の実施形態に係わり、図19は超音波内視鏡システムの構成を示すブロック図、図20は弾性画像生成処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、本実施形態は、上述した第1の実施形態において行われるエラストグラフィ観察を行う際の具体的な制御例について詳細に説明するものである。このため、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜省略する。なお、具体的な説明は省略するが、上述の第2,第3の実施形態に対しても同様の制御が適用可能であることは勿論である。
超音波観測装置50は、送信回路121と、送受信切替回路124と、受信回路125と、整相加算回路126と、信号処理回路127と、弾性画像生成用変位計測回路128と、弾性率演算回路129と、加圧機構制御回路132と、を備えている。
送信回路121は、送信波形生成回路122と、送信遅延回路123と、を含んでいる。
送信波形生成回路122は、超音波探触子17を構成する各振動素子17aを駆動するための信号波形を生成して出力するものである。
送信遅延回路123は、超音波探触子17を構成する各振動素子17aの駆動タイミングを調節するものである。これにより、超音波探触子17から送信される超音波ビームの焦点と方向が制御され、超音波を所望の位置(深度)に収束させることができる。
送受信切替回路124は、例えば、超音波の送受波を行うための複数の振動素子を順次選択するマルチプレクサを含み、送信回路121からの駆動信号を超音波探触子17へ送信すると共に、超音波探触子17からの超音波信号(エコー信号)を受信回路125へ送信する。
受信回路125は、送受信切替回路124からの超音波信号を受信して、例えば増幅やデジタル信号への変換などの処理を行う。
このように、本実施形態において、送信回路121(送信波形生成回路122及び送信遅延回路123)、送受信切替回路124、及び、受信回路125は、探触子制御部としての機能を実現する。
整相加算回路126は、超音波信号を遅延させて位相を合わせてから加算する。
信号処理回路127は、超音波診断モードにおいては、整相加算回路126からの超音波信号に座標変換や補間処理を行って、超音波画像を表示用画像として作成する。さらに、信号処理回路127は、弾性画像観察モード(エラストグラフィ画像観察モード)においては、弾性率演算回路29からの弾性画像を表示用画像として作成するか、または、弾性画像を超音波画像に重畳して表示用画像を作成する。
弾性画像生成用変位計測回路128は、超音波信号に基づき被検体の画像用変位量(被検体の弾性画像を生成するための変位量)を計測する弾性画像用変位計測部である。
弾性率演算回路129は、弾性画像生成用変位計測回路128により計測された画像用変位量に基づき、被検体の弾性率を演算する弾性率演算部である。この弾性率演算回路129は、被検体の座標毎に弾性率を演算するために、演算結果は2次元座標上に弾性率が分布する弾性画像となる。
このように、本実施形態において、整相加算回路126、信号処理回路127、弾性画像生成用変位計測回路128、及び、弾性率演算回路129は、弾性画像生成部としての機能を実現する。
加圧機構制御回路132は、例えば、ユーザ等によるボタンスイッチ33の操作等を通じてエラストグラフィ観察を開始する旨の指示がなされると(すなわち、弾性画像観察モードが選択されると)、被検体に対する自動加圧(減圧)制御処理を行う。すなわち、加圧機構制御回路132は、所定の周期毎に、所定のデューティ比で制御弁48を開弁制御し、この開弁制御を通じて副送水チャンネル口24から噴出する流体の噴出量を制御することにより、超音波探触子17が被検体を押圧する押圧状態を間接的に変化させる。このような制御弁48に対する制御は、被検体の拍動等の自発変位に同期させて行うことが望ましく、例えば、流体の噴出によって超音波探触子17による被検体の押圧力を低下させる本実施形態においては、被検体の自発変位が最大となるタイミングで流体の噴出量が最も小さくなるよう(或いは、流体の噴出量がゼロとなるよう)制御されることが望ましい。
このように、本実施形態において、加圧機構制御回路132は、押圧制御部としての機能を実現する。
モニタ140は、信号処理回路27からの表示用画像を表示する。
次に、図20は、弾性画像生成処理ルーチンを示すフローチャートである。
超音波観測システム1が弾性画像観察モードに設定されると、図20に示す処理が開始される。
するとまず、加圧機構制御回路132における自動加圧制御処理を起動する(ステップS1)。
そして、超音波探触子17から超音波の送受信を行い(ステップS2)、診断対象となる被検体の変位量(画像用変位量)を弾性画像生成用変位計測回路128により計測する(ステップS3)。
次に、ステップS3で計測された画像用変位量に基づいて、弾性率演算回路129は、被検体の弾性率を、被検体の座標毎に演算する(ステップS4)。
演算された弾性率は、座標と共に信号処理回路127へ送信されて、表示用の弾性画像として構成される(ステップS5)。この弾性画像は、必要に応じてさらに超音波画像と重畳されて表示用画像が作成され、モニタ140に表示される。
その後、処理を終了するか否かを判定し(ステップS6)、まだ終了しない場合には、次のフレームの弾性画像を生成するために、ステップS2へ行って上述したような処理を繰り返して行う。
一方、処理を終了すると判定された場合には、加圧機構制御回路132による自動加圧制御処理を終了させてから(ステップS7)、この弾性画像生成処理を終了する。
ここで、詳細な説明は省略するが、例えば、図21に示すように、上述の第2の実施形態で示した構成に対し、本実施形態を適用することが可能であることは勿論である。 なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。例えば、上述の実施形態胃おいては、膵臓101の腫瘍/リンパ節転移等の検査を行うべく超音波内視鏡システム1によるエラストグラフィ観察を行う場合の一例について説明したが、本発明を用いたエラストグラフィ観察は、慢性膵炎、肝臓の腫瘍/リンパ節転移、肝硬変、縦隔(食道)の腫瘍/リンパ節転移、前立腺の腫瘍/リンパ節転移等の各種検査にも適用が可能である。
また、上述の各実施形態及び各変形例の構成を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
本出願は、2014年8月22日に日本国に出願された特願2014-169442号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。