以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波診断システムの構成を示す模式図である。同図に示す超音波診断システム1は、観測対象である被検体へ超音波を送信し、該被検体で反射された超音波を受信する超音波内視鏡2と、超音波内視鏡2が取得した超音波信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置3と、超音波観測装置3が生成した超音波画像を表示する表示装置4と、体液などの吸引や、被検体内の壁面の吸引を行うための吸引力を発生する吸引ポンプ5と、を備える。
超音波内視鏡2は、被検体内に挿入される細長の挿入部20と挿入部20の基端に連設された操作部21と、操作部21の側部から延出したユニバーサルコード22と、を具備して構成されている。
ここで、ユニバーサルコード22の基端部には、光源装置(図示せず)に接続されるコネクタ221が配設されている。コネクタ221からは、カメラコントロールユニット(図示せず)にコネクタ222aを介して接続されるケーブル222と、超音波観測装置3にコネクタ223aを介して着脱自在に接続されるケーブル223と、が延出されている。そして、超音波内視鏡2には、コネクタ223aを介して超音波観測装置3が接続され、さらに、超音波観測装置3を介して表示装置4が接続されている。
また、コネクタ221には、先端部201の先端まで延びる吸引チャンネル(流路)の吸引口となる吸引口金221aが設けられている。吸引口金221aは、吸引ポンプ5に接続可能である。超音波内視鏡2は、吸引ポンプ5を介して体液などの吸引や、被検体内の壁面の吸引を行うことができる。
挿入部20は、先端側から順に、先端硬質部(以下、「先端部」という)201と、先端部201の後端に位置する湾曲部202と、湾曲部202の後端に位置して操作部21に至る細径かつ長尺で可撓性を有する可撓管部203と、が連設されて要部が構成されている。
先端部201の先端側には、超音波振動子23が配設されている。超音波振動子23よりも基部側において、先端部201には、照明光学系を構成する照明用レンズと、観察光学系の観察用レンズ(ともに図示せず)と、処置具挿通路の導出口および吸引口を兼用する先端開口である鉗子口と、が設けられている。
操作部21には、湾曲部202を所望の方向に湾曲制御するアングルノブ24と、送気および送水操作を行う送気送水ボタン25と、吸引チャンネル(流路)の一部に設けられ、吸引操作を行う吸引ボタン26(吸引力調整装置)と、体内に導入する処置具の入口となる処置具挿入口210と、が配設されている。
超音波振動子23は、コンベックス振動子、リニア振動子およびラジアル振動子のいずれでも構わない。超音波内視鏡2は、超音波振動子23をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子23として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。
超音波内視鏡2は、通常は撮像光学系および撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、または呼吸器(気管・気管支)へ挿入され、消化管、呼吸器やその周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を撮像することが可能である。また、超音波内視鏡2は、撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置に接続されている。
超音波観測装置3は、超音波診断システム1全体を制御する。超音波観測装置3は、演算および制御機能を有するCPUや各種演算回路等を用いて実現される。超音波観測装置3は、図示しない記憶部などが記憶する情報を読み出し、超音波観測装置3の作動方法に関連した各種演算処理を実行することによって超音波観測装置3を統括して制御する。
超音波観測装置3は、超音波内視鏡2と電気的に接続され、所定の波形および送信タイミングに基づいて高電圧パルスからなる送信信号(パルス信号)を超音波振動子23へ送信するとともに、超音波振動子23から電気的な受信信号であるエコー信号を受信し、該受信したエコー信号に基づいて、超音波画像を含む画像データを生成する。超音波観測装置3は、超音波画像として、例えば、色空間としてRGB表色系を採用した場合の変数であるR(赤)、G(緑)、B(青)の値を一致させたグレースケール画像であるBモード画像を生成する。
また、超音波観測装置3は、例えば、超音波内視鏡2を観測対象に押し当てた際に得られる信号と、超音波内視鏡2を観測対象に押し当てていない場合に得られる信号との差分(変化量)に基づき、設定された領域における観測対象の硬さに関する情報を取得し、Bモード画像上に硬さに応じた色情報を重畳し、エラストグラフィ画像を生成する。
続いて、吸引操作を行う吸引ボタン26について図面を参照して説明する。図2は、本実施の形態1に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図であって、ピストン部262に押圧力が加わっていない状態を示す図である。吸引ボタン26は、シリンダ部261と、ピストン部262と、ばね部263と、を有する。
シリンダ部261は、片側有底筒状をなしている。シリンダ部261は、ピストン部262を進退自在に収容可能な柱状の中空空間を形成する収容部261aと、収容部261aの一部を拡大することにより形成され、ピストン部262と係止可能な係止部261bと、収容部261aの内部と外部とを連通するとともに第1吸引管271と接続される第1連通部261cと、収容部261aの内部と外部とを連通するとともに第2吸引管272と接続される第2連通部261dと、を有する。なお、本実施の形態1において、第1吸引管271は、吸引チャンネル(流路)の一部を形成し、一端が第1連通部261cに連通するとともに、他端が吸引ポンプ5に接続している。第2吸引管272は、吸引チャンネル(流路)の一部を形成し、一端が第2連通部261dに連通するとともに、他端が先端部201を介して外部と連通している。
シリンダ部261は、例えば操作部21に対して嵌合により取り付けられる。この際、操作部21とシリンダ部261との間にはOリング30が設けられている。Oリング30により、操作部21とシリンダ部261との間の密閉性や、抜け止めが維持される。なお、シリンダ部261は、嵌合のほか、ネジ止めやシールなどの接着剤により固着されるものであってもよい。
ピストン部262は、収容部261aに応じた断面形状に応じて延びる略柱状をなす。ピストン部262には、長手方向(シリンダ部261に対する進退方向)の一端部と他端部とを連通する連通孔262aが形成されている。この連通孔262aにより、シリンダ部261(収容部261a)およびピストン部262により形成される中空空間S1(中空部)と、外部とが連通する。なお、本実施の形態1では、連通孔262aを除く吸引ボタン26により吸引力変更部の構成をなす。
また、ピストン部262は、側面の一部を切り欠いてなる凹部262bと、ピストン部262の長手方向と直交する方向に突出してなるフランジ部262cと、を有する。凹部262bは、第1連通部261cと第2連通部261dとを連通可能な開口を有する。
フランジ部262cは、係止部261bに収容され、移動範囲が係止部261bにより規制されている。また、フランジ部262cと係止部261bとの間であって、ピストン部262の挿入方向の先端側には、ばね部263が設けられている。
ばね部263は、例えばコイルばねを用いて実現される。ばね部263は、上述したように、フランジ部262cと係止部261bとの間に設けられ、ピストン部262が、シリンダ部261から抜け出す方向に付勢可能に設けられている。このため、ピストン部262は、押圧力などの力(重力などを除く力)が加わっていない場合、ばね部263の付勢力により、フランジ部262cが、係止部261bの外部側端部と係止した状態、すなわちピストン部262がシリンダ部261から突出した状態に維持される。
ここで、ピストン部262がシリンダ部261から突出した状態(図2参照)では、ピストン部262は、凹部262bの開口のなす領域内に第2連通部261dの開口を含み、凹部262bと第2連通部261dとが連通する一方、ピストン部262の側壁により第1連通部261cを封鎖している。このため、第1吸引管271および第2吸引管272とは非連通状態となり、先端部201において吸引ポンプ5による吸引力は生じない。
図3,4は、本実施の形態1に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図であって、ピストン部262に押圧力が加わった状態を示す図である。ピストン部262を押し込むと、ピストン部262がシリンダ部261に挿入される。この際、図2に示す中空空間S1内の気体は、連通孔262aを介して外部に排出される。挿入操作が継続され、凹部262bの開口が第1連通部261cおよび第2連通部261dを含む(各連通部と対向する)ようになると(図3参照)、第1連通部261cと第2連通部261dとが連通状態となり、この結果、第1吸引管271と第2吸引管272との間が連通する。その後、ピストン部262を押し込むと、凹部262bによって閉鎖されていた第1連通部261cの開口の全領域が開放状態となる(図4参照)。ピストン部262の移動によって第1連通部261cの開口が開放されることにより、吸引ポンプ5による吸引力が先端部201において生じ、先端部201を介して被検体の内部壁面などが吸引される。
本実施の形態1では、ピストン部262に押圧力が加わっていない場合(ピストン部262がシリンダ部261に押し込まれていない場合)では、第1吸引管271と第2吸引管272とが連通していないため、先端部201は被検体の内部壁面に対して接触または離間した状態となる。一方で、ピストン部262に押圧力が加わった場合(ピストン部262がシリンダ部261に押し込まれた場合)では、凹部262bを介して第1吸引管271と第2吸引管272とが連通し、先端部201は被検体の内部壁面を吸引して圧接した状態となる。
また、連通孔262aにおける連通方向と直交する断面積を小さくすることによって、中空空間S1の気体を外部に排出する排出量を調整することで、ピストン部262の挿入に反する力を発生させ、挿入速度が増大することを抑制することができる。さらに、ピストン部262に加わる押圧力が解除された場合に、連通孔262aにより中空空間S1に流入する気体の流量が制限されるため、ピストン部262は収容部261aから緩やかに後退する。このように、連通孔262aは、ピストン部262の進退速度を抑制するダンパ手段として機能する。このようなダンパ手段の機能により、ピストン部262は、シリンダ部に対して略一定の速度で進退動作する。
上述したダンパ手段により、ピストン部262は収容部261aから緩やかに進退動作すると、ピストン部262の凹部262bによる第1吸引管271の開口の開放面積も緩やかに増大する。このため、第2吸引管272に作用する吸引力も、第1吸引管271の開口の開放状態に準じて緩やかに増大する。
上述したように、ピストン部262に対する押圧力の有無により、先端部201の被検体に対する接触状態と、先端部201の吸引による先端部201の被検体に対する圧接状態と、を容易に切り替えることができる。また、連通孔262aによりピストン部262の進退速度が制御されるため、被検体に対してより一定の間隔で、周期的に接触状態を切り替えることが可能となる。周期的に接触状態を切り替えることで、各状態におけるエコー信号を安定して取得することが可能となり、良好なエラストグラフィ画像を生成することができる。
以上説明した本実施の形態1によれば、シリンダ部261に対して挿入されるとともに、ばね部263の付勢力によりシリンダ部261から後退するピストン部262において、収容部261aと外部とを連通する連通孔262aを形成し、ピストン部262の進退速度を抑制するようにしたので、先端部を大型化させることなく簡易な構成により、良好なエラストグラフィ画像を安定して取得することができる。
なお、上述した実施の形態1において、係止部261bが、収容部261aの外周一帯に設けられるものとして説明したが、ピストン部262のシリンダ部261に対する長手軸まわりの回転を防止するため、係止部261bをピストン部262の進退方向に延ばした複数の溝形状とし、該溝形状に応じて形成した複数のフランジ部を収容するとともに、各々にばね部(例えば各溝に収容可能なコイルばね)を収容して付勢するものであってもよい。
(実施の形態1の変形例)
次に、本発明の実施の形態1の変形例について説明する。図5は、本実施の形態1の変形例1に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図であって、ピストン部264に押圧力が加わっていない状態を示す図である。なお、上述した構成と同一の構成には同一の符号を付して説明する。上述した実施の形態1では、ピストン部262がダンパ手段として連通孔262aを有するものとして説明したが、本変形例では、ピストン部264がダンパ手段として弾性部材Eを有する。
本変形例に係る吸引ボタン26aは、シリンダ部261と、ピストン部264と、ばね部263と、弾性部材Eと、を有する。ピストン部264は、側面の一部を切り欠いてなる凹部264aと、ピストン部264の長手方向と直交する方向に突出してなるフランジ部264bと、を有する。凹部264aは、第1連通部261cと第2連通部261dとを連通可能な開口を有する。
フランジ部264bは、係止部261bに収容され、移動範囲が係止部261bにより規制されている。また、フランジ部264bと係止部261bとの間であって、ピストン部264の挿入方向の先端側には、ばね部263が設けられている。
ここで、ピストン部264がシリンダ部261から突出した状態では、ピストン部264は、凹部264aの開口のなす領域内に第2連通部261dの開口を含み、凹部264aと第2連通部261dとが連通する一方、ピストン部264の側壁により第1連通部261cを封鎖している。このため、第1吸引管271および第2吸引管272とは非連通状態となり、先端部201において吸引ポンプ5による吸引力は生じない。
弾性部材Eは、シリンダ部261(収容部261a)およびピストン部264が形成する中空空間に配設され、該中空空間を充填している。弾性部材Eは、例えばゴム弾性を有するエラストマや、所定の弾性力を有する樹脂などを用いて形成される。
図6は、本変形例に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図であって、ピストン部264に押圧力が加わった状態を示す図である。ピストン部264を押し込むと、図6に示すようにピストン部264がシリンダ部261に挿入される。挿入操作が継続され、凹部264aの開口が第1連通部261cおよび第2連通部261dを含む(各連通部と対向する)ようになると、第1連通部261cと第2連通部261dとが連通状態となり、この結果、第1吸引管271と第2吸引管272との間が連通する。これにより、吸引ポンプ5による吸引力が先端部201において生じ、先端部201を介して被検体の内部壁面などが吸引される。
本変形例では、ピストン部264に押圧力が加わっていない場合(ピストン部264がシリンダ部261に押し込まれていない場合)では、第1吸引管271と第2吸引管272とが連通していないため、先端部201は被検体の内部壁面に対して接触または離間した状態となる。一方で、ピストン部264に押圧力が加わった場合(ピストン部264がシリンダ部261に押し込まれた場合)では、凹部264aを介して第1吸引管271と第2吸引管272とが連通し、先端部201は被検体の内部壁面を吸引して圧接した状態となる。
また、シリンダ部261(収容部261a)およびピストン部264の間には、弾性部材Eが配設され、該弾性部材Eの弾性力によりピストン部264の挿入速度が増大することを抑制することができる。さらに、ピストン部264に加わる押圧力が解除された場合に、弾性部材Eがもとの形状に戻ろうとする力(復元力)により、ピストン部264は収容部261aから緩やかに後退する。
上述したように、ピストン部264に対する押圧力の有無により、先端部201の被検体に対する接触状態と、先端部201の吸引による先端部201の被検体に対する圧接状態と、を容易に切り替えることができる。また、弾性部材Eによりピストン部264の進退速度が制御されるため、被検体に対してより一定の間隔で、周期的に接触状態を切り替えることが可能となる。周期的に接触状態を切り替えることで、各状態におけるエコー信号を安定して取得することが可能となり、安定した良好なエラストグラフィ画像を生成することができる。
以上説明した本変形例によれば、シリンダ部261に対して挿入されるとともに、ばね部263の付勢力によりシリンダ部261から後退するピストン部264において、シリンダ部261(収容部261a)およびピストン部264が形成する中空空間に弾性部材Eを配設し、該弾性部材Eの弾性力によりピストン部264の進退速度を抑制するようにしたので、先端部を大型化させることなく簡易な構成により、良好なエラストグラフィ画像を安定して取得することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図7は、本実施の形態2に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図であって、ピストン部265に押圧力が加わっていない状態を示す図である。なお、上述した構成と同一の構成には同一の符号を付して説明する。上述した実施の形態1では、ピストン部262がダンパ手段として連通孔262aを有するものとして説明したが、本実施の形態2では、ピストン部265の往復動の周期を変更するための絞り機構を有する。
本実施の形態2に係る吸引ボタン26bは、シリンダ部261と、ピストン部265と、ばね部263と、を有する。ピストン部265は、略柱状をなしている。ピストン部265には、シリンダ部261への挿入側後端部に設けられる開口部265aと、開口部265aとシリンダ部261への挿入側先端部とを連通する第1連通孔265bと、が形成されている。また、ピストン部265は、側面の一部を切り欠いてなる凹部265cと、ピストン部265の長手方向と直交する方向に突出してなるフランジ部265dと、を有する。
開口部265aは、ピストン部265の往復動の周期を変更するための調整機構をなす調整部材266と螺合可能である。調整部材266には、螺合により開口部265aに挿入する方向の一端側と他端側とを連通する第2連通孔266aが形成されている。
凹部265cは、第1連通部261cと第2連通部261dとを連通可能な開口を有する。
フランジ部265dは、係止部261bに収容され、移動範囲が係止部261bにより規制されている。また、フランジ部265dと係止部261bとの間であって、ピストン部265の挿入方向の先端側には、ばね部263が設けられている。
ピストン部265がシリンダ部261から突出した状態では、ピストン部265は、凹部265cの開口が第2連通部261dに連通する一方、ピストン部265の側壁により第1連通部261cが封鎖されている。このため、第1吸引管271および第2吸引管272とは非連通状態となり、先端部201において吸引ポンプ5による吸引力は生じない。
また、第1連通孔265bおよび第2連通孔266aにより形成される連通孔によって中空空間S1の気体を外部に排出する排出量を調整することで、ピストン部265の挿入に反する力を発生させ、挿入速度が増大することを抑制することができる。さらに、ピストン部265に加わる押圧力が解除された場合に、第1連通孔265bおよび第2連通孔266aにより中空空間S1に流入する気体の流量が制限されるため、ピストン部265は収容部261aから緩やかに後退する。このように、第1連通孔265bおよび第2連通孔266aは、ピストン部265の進退速度を抑制するダンパ手段の一部として機能する。
ここで、調整部材266を回転させて開口部265aとの間に形成される中空空間S2の体積を変化させることにより、中空空間S1の気体を外部に排出する排出量を変えることができる。これにより、ピストン部265の挿入に反する力を調整し、ピストン部265の挿入速度、およびピストン部265の収容部261aからの後退速度を変更することができる。
上述したように、ピストン部265に対する押圧力の有無により、先端部201の被検体に対する接触状態と、先端部201の吸引による先端部201の被検体に対する圧接状態と、を容易に切り替えることができる。また、ダンパ手段によりピストン部265の進退速度が制御されるため、被検体に対してより一定の間隔で、周期的に接触状態を切り替えることが可能となる。周期的に接触状態を切り替えることで、各状態におけるエコー信号を安定して取得することが可能となり、安定した良好なエラストグラフィ画像を生成することができる。
以上説明した本実施の形態2によれば、シリンダ部261に対して挿入されるとともに、ばね部263の付勢力によりシリンダ部261から後退するピストン部265および調整部材266において、収容部261aと外部とを連通するダンパ手段を形成し、ピストン部265の進退速度を抑制するようにしたので、先端部を大型化させることなく簡易な構成により、良好なエラストグラフィ画像を安定して取得することができる。
また、上述した実施の形態2によれば、調整部材266を回転させて開口部265aとの間に形成される中空空間S2の体積を変化させることにより、中空空間S1の気体を外部に排出する排出量を変えるようにしたので、ピストン部265の挿入に反する力を調整し、ピストン部265の挿入速度、およびピストン部265の収容部261aからの後退速度を変更することができる。
なお、上述した実施の形態2では、ピストン部265と調整部材266とが螺合するものとして説明したが、調整部材266がピストン部265に圧入するものであってもよい。この場合、開口部265aの内周面に凸部(又は凹部)、調整部材266の外周面に凹部(又は凸部)を設けて、開口部265aに対する調整部材266が段階的に位置決めされるようにしてもよい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図8は、本実施の形態3に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図である。なお、上述した構成と同一の構成には同一の符号を付して説明する。上述した実施の形態1では、ピストン部262に押圧力を加えて吸引動作を操作するものとして説明したが、本実施の形態3では、吸引ポンプ5による吸引力を用いて先端部201による吸引操作を行う。
本実施の形態3に係る吸引ボタン28は、シリンダ部281と、ピストン部282と、ばね部283と、を有する。
シリンダ部281は、中空円柱状(両側有底筒状)をなし、上面および底面に開口部281a,281bがそれぞれ形成されている。シリンダ部281は、両端で開口部281a,281bとそれぞれ連通し、ピストン部282を移動自在に収容可能な柱状の中空空間(中空部)を形成する収容部281cと、収容部281cの開口部281a側の側壁から延びて開口部281bに連通するバイパス管281d(バイパス管路)と、開口部281bと収容部281cとを連通する連通部281eと、を有する。なお、本実施の形態3において、第1吸引管273は、吸引チャンネル(流路)の一部を形成し、一端が開口部281bに連通するとともに、他端が図示しない吸引ポンプ5に接続している。第2吸引管274は、吸引チャンネル(流路)の一部を形成し、一端が第1吸引管273に接続するとともに、他端が先端部201を介して外部に連通している。本実施の形態3では、開口部281aが外部と収容部281cとを連通し、開口部281bが収容部281cと第1吸引管273とを連通する。
シリンダ部281は、例えば操作部21に対して嵌合により取り付けられる。この際、操作部21とシリンダ部281との間にはOリング30が設けられている。Oリング30により、操作部21とシリンダ部281との間の密閉性や、抜け止めが維持される。
ピストン部282は、収容部281cの内部において摺動自在に設けられる。ピストン部282は、収容部281cに対して摺動する摺動部282aと、摺動部282aの一端であって、開口部281bと対向する面から延出する円柱状の延出部282bと、を有する。ピストン部282の延出部282b側の端部と、収容部281cの開口部281b側の端部との間には、ばね部283が設けられている。
ばね部283は、例えばコイルばねを用いて実現される。ばね部283は、上述したように、延出部282bと収容部281cとの間に設けられ、ピストン部282が、シリンダ部281から抜け出す方向(開口部281aに向かう方向)に付勢可能に設けられている。なお、ばね部283は、延出部282bに圧入するものであってもよいし、延出部282bには圧入せずに該延出部282bを包囲するものであってもよい。延出部282bは、ばね部283が傾かないようにばね部283と係止可能であればよい。
ここで、ピストン部282がシリンダ部281の開口部281a側に位置する状態では、ピストン部282は、バイパス管281dの開口を封鎖している。このため、第1吸引管273は外部と非連通状態となり、先端部201において吸引ポンプ5による吸引力は収容部281cに作用する。第1吸引管273が外部と非連通状態の場合、吸引ポンプ5による吸引力は、収容部281cに作用するとともに、第2吸引管274に作用する。換言すれば、第2吸引管274に吸引力が作用するにより、先端部201を介して被検体の内部壁面などが吸引される。
収容部281cの内部空間の気体が、連通部281eおよび開口部281bを介して吸引ポンプ5により吸引されると、収容部281cの内部圧が低下して、ピストン部282が収容部281cの体積を減少する方向(開口部281bに向かう方向)に移動する。ピストン部282が開口部281b側に移動すると、バイパス管281dが、開口部281aおよび収容部281cを介して外部と連通する。
図9は、本実施の形態3に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図であって、ピストン部282が開口部281b側に移動した状態を示す図である。図9に示すように、吸引ポンプ5による吸引力によってピストン部282が開口部281b側に移動することにより、バイパス管281dが外部と連通すると、吸引ポンプ5による吸引力は、第2吸引管274に作用するとともに、外部の気体を吸引する吸引力として作用するようになる。これにより、第2吸引管274を介する先端部201による吸引力が、バイパス管281dと外部とが非連通状態の場合(図8参照)と比して小さくなる。
本実施の形態3では、第1吸引管273が外部と非連通状態の場合(ピストン部282がバイパス管281dを封鎖している場合)では、第2吸引管274による吸引力が相対的に大きいため、先端部201は被検体の内部壁面を吸引して圧接した状態となる。一方で、第1吸引管273が外部と連通状態の場合(ピストン部282がバイパス管281dを開放している場合)では、第2吸引管274による吸引力が相対的に小さくなるため、先端部201は被検体の内部壁面に対して接触または離間した状態となる。
また、第1吸引管273が外部と連通すると、低圧となっていた収容部281cが常圧に徐々に戻るため、ピストン部282が、圧力の上昇、およびばね部283の付勢力により再び開口部281a側に緩やかに移動する。このピストン部282の移動に伴い、外部と開放状態にあったバイパス管281dが再び封鎖される。これにより、吸引ポンプ5の吸引動作によって、ピストン部282が収容部281c内を往復動し、先端部201による吸引状態も周期的に変化する。この際、バイパス管281dは、上述した連通孔262aのように、連通方向と直交する断面を小さくすることにより、外部に排出する排出量を調整することができる。これにより、バイパス管281dは、ピストン部282の移動に反する力を発生させ、ピストン部282の進退速度を抑制するダンパ手段として機能する。なお、バイパス管281dの径は、第1吸引管273の径より小さいことが好ましい。本実施の形態3では、バイパス管281dを除く吸引ボタン28により吸引力変更部の構成をなす。
以上説明した本実施の形態3によれば、吸引ポンプ5による吸引動作のもと、収容部281cの内部の圧力により移動するピストン部282により、バイパス管281dの外部に対する開放状態および封鎖状態を変化させ、かつバイパス管281dによりピストン部282の進退速度を抑制するようにしたので、先端部を大型化させることなく簡易な構成により、良好なエラストグラフィ画像を安定して取得することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図10は、本実施の形態4に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引ボタンの構成を説明する模式図である。なお、上述した構成と同一の構成には同一の符号を付して説明する。上述した実施の形態3では、吸引ポンプ5による吸引力を用いて先端部201による吸引操作を行うものとして説明したが、本実施の形態4では、ピストン部285の往復動の周期を変更するための絞り機構を有する。
本実施の形態4に係る吸引ボタン28aは、シリンダ部284と、ピストン部285と、ばね部283と、を有する。
シリンダ部284は、中空円柱状をなし、上面および底面に開口部284a,284bがそれぞれ形成されている。シリンダ部284は、両端で開口部284a,284bとそれぞれ連通し、ピストン部285を移動自在に収容可能な柱状の中空空間を形成する収容部284cと、収容部284cの開口部284a側の側壁から延びて開口部284bに連通するバイパス管284dと、を有する。なお、本実施の形態4において、第1吸引管273は、一端が開口部284bと連通するとともに、他端が図示しない吸引ポンプ5に接続している。本実施の形態4では、開口部284aが外部と収容部284cとを連通し、開口部284bが収容部284cと第1吸引管273とを連通する。
収容部284cの内部には、ピストン部285の往復動の周期を変更するための調整機構である調整部材286が設けられている。調整部材286は、有底筒状をなし、底部には開口部286aが形成されているとともに、ピストン部285の一部、およびばね部283を収容して保持可能な保持部286bを有する。調整部材286は、外周面において収容部284cの内周面と螺合可能である。調整部材286が長手軸まわりに回転すると、調整部材286の収容部284cに対する相対的な位置が変化する。
シリンダ部284は、シリンダ部281と同様、例えば操作部21に対して嵌合により取り付けられる。この際、操作部21とシリンダ部284との間にはOリング30が設けられている。
ピストン部285は、収容部284cの内部において摺動自在に設けられる。ピストン部285は、収容部284cに対して摺動する摺動部285aと、摺動部285aの一端であって、開口部284bと対向する面から延出する円柱状の延出部285bと、を有する。ピストン部285の延出部285b側の端部と、調整部材286の底部との間には、上述したばね部283が設けられている。
本実施の形態4では、第1吸引管273が外部と非連通状態の場合(ピストン部285がバイパス管284dを封鎖している場合)では、第2吸引管274による吸引力が相対的に大きいため、先端部201は被検体の内部壁面を吸引して圧接した状態となる。一方で、第1吸引管273が外部と連通状態の場合(ピストン部285がバイパス管284dを開放している場合)では、第2吸引管274による吸引力が相対的に小さくなるため、先端部201は被検体の内部壁面に対して接触または離間した状態となる。
また、第1吸引管273が外部と連通すると、低圧となっていた収容部284cが常圧に徐々に戻るため、ピストン部285が、圧力の上昇、およびばね部283の付勢力により再び開口部284a側に緩やかに移動する。このピストン部285の移動に伴い、外部と開放状態にあったバイパス管284dが再び封鎖される。これにより、吸引ポンプ5の吸引動作によって、ピストン部285が収容部284c内を往復動し、先端部201による吸引状態も周期的に変化する。この際、バイパス管284dは、上述したバイパス管281dと同様、連通方向と直交する断面を小さくすることにより、外部に排出する排出量を調整することができる。これにより、バイパス管284dは、ピストン部285の移動に反する力を発生させ、ピストン部285の進退速度を抑制するダンパ手段として機能する。
ここで、調整部材286を回転させて収容部284cとの間の距離であって、調整部材286の底部の外表面と収容部284cの底面との間の距離Dを変化させることで、ピストン部285の収容部284cに対する往復距離(往復周期)が変化し、ピストン部285の往復動にかかる速度を変更することができる。
上述したように、吸引ポンプ5による吸引動作のもと、収容部284cの内部の圧力により移動するピストン部285により、先端部201の被検体に対する接触状態と、先端部201の吸引による先端部201の被検体に対する圧接状態と、を容易に切り替えることができる。また、ダンパ手段によりピストン部285の進退速度が制御されるため、被検体に対してより一定の間隔で、周期的に接触状態を切り替えることが可能となる。周期的に接触状態を切り替えることで、各状態におけるエコー信号を安定して取得することが可能となり、安定した良好なエラストグラフィ画像を生成することができる。
以上説明した本実施の形態4によれば、吸引ポンプ5による吸引動作のもと、収容部284cの内部の圧力により移動するピストン部285により、バイパス管284dの外部に対する開放状態および封鎖状態を変化させ、かつバイパス管284dによりピストン部285の進退速度を抑制するようにしたので、先端部を大型化させることなく簡易な構成により、良好なエラストグラフィ画像を安定して取得することができる。
また、上述した実施の形態4によれば、調整部材286を回転させて収容部284cとの間の距離Dを変化させることにより、ピストン部285の往復動にかかる速度を変更するようにしたので、ピストン部285の挿入速度、およびピストン部285の収容部284cからの後退速度を変更することができる。
なお、上述した実施の形態1〜4では、吸引ボタンが先端部201による体内壁面への接触または圧接状態を操作するためのボタンであるものとして説明したが、ピストン部を外せば体液等を吸引することができる。また、先端部201による体内壁面への接触または圧接状態を操作する吸引ボタンと、体液等を吸引するための操作を行う吸引ボタンと、を別体としてもよい。この場合、体液等を吸引するための流路を、先端部201を体内壁面に圧接させるための吸引を行う流路とは異なるものとしてもよい。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。図11は、本実施の形態5に係る超音波診断システムの超音波内視鏡が備える吸引力調整部の構成を説明する模式図である。なお、上述した構成と同一の構成には同一の符号を付して説明する。上述した実施の形態1〜4では、ピストン部の往復動により周期的な吸引操作を行うものとして説明したが、本実施の形態5では、上述した吸引ボタンに代えて、電磁弁292により第2吸引管274の吸引状態を制御(調整)する吸引力調整部29を有する。
本実施の形態5に係る吸引力調整部29は、操作部21に対して嵌合により取り付けられる本体部291と、電磁弁292と、配管293と、からなる。この際、操作部21と本体部291との間にはOリング30が設けられている。本体部291には、外表面上に開口を有するとともに、他端が上述した第1吸引管273に接続する貫通孔291aが形成されている。
電磁弁292は、配管293に設けられ、外部の制御装置、例えば、超音波観測装置3による制御のもと、電磁石の磁力によりプランジャを移動させることで弁を開閉する。配管293は、一端側が貫通孔291aに接続し、他端側が外部に接続している。このため、電磁弁292が閉状態である場合は、配管293の内部が閉状態となり、第1吸引管273が外部と非連通状態にあるため、第1吸引管273を介する吸引ポンプ5による吸引力は、第2吸引管274に作用する。一方で、電磁弁292が開状態となると、配管293の内部が開放され、第1吸引管273が外部と連通した状態となるため、第1吸引管273を介する吸引ポンプ5による吸引力は、第2吸引管274に作用するとともに、外部の気体を吸引する吸引力として作用するようになる。なお、電磁弁292の開閉は、超音波観測装置3による制御のほか、該超音波観測装置3とは別の制御装置、例えば、電磁弁292に電気的に接続された入力ボタンやダイヤルによって開閉動作を制御する装置であってもよい。
したがって、電磁弁292が閉状態である場合は、吸引ポンプ5による吸引力が第2吸引管274に作用するため、先端部201を介して被検体の内部壁面などが吸引される。一方で、電磁弁292が開状態となると、吸引ポンプ5による吸引力が、第2吸引管274に作用するとともに、外部の気体を吸引する吸引力として作用するようになるため、第2吸引管274による吸引力が相対的に小さくなり、先端部201は被検体の内部壁面に対して接触または離間した状態となる。
この際、配管293の径を小さくすることにより、外部に排出する気体の排出量を調整することができる。この排出量を小さくすることで、第2吸引管274の吸引力の変化を緩やかにすることができる。このように、配管293は、先端部201による吸引力を緩やかに変化させるダンパ手段として機能する。なお、配管293の径は、第1吸引管273の径より小さいことが好ましい。また、電磁弁292と、配管293の一部とを本体部291の内部に設けてもよい。
以上説明した本実施の形態5によれば、吸引ポンプ5による吸引動作のもと、電磁弁292の制御により、第1吸引管273の外部に対する開放状態および封鎖状態を変化させ、かつ配管293により第2吸引管274の吸引力が緩やかに変化するようにしたので、先端部を大型化させることなく簡易な構成により、良好なエラストグラフィ画像を安定して取得することができる。
なお、上述した実施の形態5と実施の形態3を組み合わせて、バイパス管281dに配管293を接続するようにしてもよい。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、観測対象が生体組織であることを例に説明したが、超音波内視鏡に限らず、被検体内を撮像する内視鏡であっても適用でき、材料の特性を観測する工業用の内視鏡であっても適用できる。本発明にかかる内視鏡は、体内、体外を問わず適用可能である。
このように、本発明は、請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。