WO2015146990A1 - 分離膜モジュールの運転方法 - Google Patents

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Abstract

 本発明は、第1面と第2面とを有する分離膜、第1面に供給される被処理液が流れる被処理液流路、および第2面から得られる透過液が流れる透過液流路を備える分離膜モジュールの運転方法であって、被処理液流路に被処理液を供給して酸と接触すると不溶化する成分を含む透過液を得るろ過工程と、ろ過工程後に透過液流路内の液体を水に置換する第1水置換工程と、第1水置換工程後に第2面から第1面に向けて酸性の薬液を通液して逆圧洗浄を行う第1薬洗工程と、第1薬洗工程後に透過液流路内の液体を水に置換する第2水置換工程とを含む。

Description

分離膜モジュールの運転方法
 本発明は、分離膜でろ過して得られる透過液が酸と接触すると不溶化する成分を含む液体のろ過を行う分離膜モジュールの運転方法に関する。
 分離膜による物質の分離は、相分離を行わずに物質のサイズや性質を利用した選択的分離や物質の濃縮、溶液からの異物除去を行うことができるため、水処理分野を中心に、食品・飲料製造や醸造、医薬品製造、医療用水製造など様々な分野のプロセスへと利用先が広がっている。
 これまで、主に水処理分野において、イオンや塩類などの溶質を含む海水、地下水、産業廃水などの被処理液をろ過し、生活用水、工業用水、農業用水などを製造するために、分離膜モジュールが用いられてきた。ろ過を担う分離膜モジュールのろ過膜としては、精密ろ過膜や限外ろ過膜が用いられるが、分離膜の孔を通過できない物質はファウリング要因物質として次第に堆積し、ろ過膜は目詰まりする。
 この目詰まりが進行すると、分離膜の被処理液の流入側(一次側)と、ろ過された水が流出する側(二次側)との圧力差が徐々に増え、その結果として分離膜の透過流束(フラックス)の低下、もしくは被処理液を膜モジュールに供給するポンプの出力増大を招く。
 ろ過膜の目詰まりは透過流束が高いほど早く進行するため、流束を下げることで目詰まりを抑制することができるが、その代わりに必要な分離膜の数が増え、膜の交換費用や膜洗浄に用いる薬品、運転に必要なポンプなどの機器の数が増え、コストやエネルギーが増大する。
 そこで、ろ過膜の目詰まりを解消しながら長時間安定的なろ過を実現するため、様々な膜分離運転技術が開発されてきた。例えば、分離膜モジュールの下部に配置した散気装置から空気を供給して、分離膜の表面を物理的に洗浄する空洗(例えば特許文献1参照)、分離膜の表面に対して被処理液や薬液を高い線速度で流すフラッシング(例えば特許文献2参照)が開示されている。
 また、膜のろ過と逆向きの方向、つまり二次側から一次側に向かってろ過を行って、分離膜の内部の汚れ物質を押し出す逆圧洗浄(以下、「逆洗」ということがある。)や、逆洗をろ過水ではなく薬液で行う薬液逆洗などがある。例えば、浄水の製造方法において中空糸膜によるろ過を行う際、膜内部の汚れ物質による閉塞を解消するため、薬液によって逆洗する方法、さらには薬液による逆洗の前に分離膜モジュール内の被処理液を抜くことで逆洗効果を高める方法が開示されている(例えば特許文献3参照)。
 また、逆圧洗浄を先に水で行った後、さらに薬液で逆圧洗浄を行うことで、洗浄効果を高め、薬液使用量を減らす方法が開示されている(例えば特許文献4、5)。
日本国特開2006-255587号公報 日本国特開2010-005615号公報 日本国特開2004-057883号公報 日本国特開2007-061697号公報 日本国特開2007-330916号公報
 しかしながら、特許文献1、2に記載の運転方法は、分離膜の一次側表面に堆積した汚れ物質の剥離には有効であるが、分離膜の内部に堆積した汚れ物質に対する効果は薄い。一方、特許文献3、4、5に記載の運転方法は分離膜内部の汚れを押し出すことができ、さらに薬液による逆洗を実施することによって、より高い洗浄効果が得られる。しかしながら、当該技術は浄水製造用途においては有効な方法であるものの、食品・飲料・バイオの分野において、ろ過分離対象となる水溶液によっては、処理運転時に分離膜の透過液側の流路や配管、分離膜の内部に酸性の液を供給すると、透過液の含有成分と酸が接触し、これにより生じる不溶性の変性物によって分離膜の閉塞が促進されることがある。
 このように従来の技術では、透過液が酸と接触して不溶化する成分を含有するとき、長期安定的なろ過運転を実現できておらず、膜面積あたりのろ過流量を高く保ったまま長時間ろ過を継続できる分離膜モジュールの運転方法が求められていた。
 本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、簡便な操作方法で、得られる透過液が酸と接触すると不溶化する成分を含む液体(被処理液)を安定的にろ過できる分離膜の運転方法を提供することである。
 上述した課題を解決し、目的を達成するために鋭意検討した結果、有機物の変性物が生成するのを抑制し、分離膜を閉塞させることなく、長期安定的に膜ろ過を行うことが可能であることを見出した。
 すなわち、本発明の分離膜モジュールの運転方法は以下の[1]~[11]の構成を有する。
[1]第1面と第2面とを有する分離膜、前記第1面に供給される被処理液が流れる被処理液流路、および前記第2面から得られる透過液が流れる透過液流路を備える分離膜モジュールの運転方法であって、前記被処理液流路に被処理液を供給することで、前記分離膜の第2面から、酸と接触すると不溶化する成分を含む透過液を得るろ過工程と、前記ろ過工程後に、前記透過液流路内の液体を水に置換する第1水置換工程と、前記第1水置換工程後に、前記分離膜の第2面から第1面に向けて酸性の薬液を通液することで逆圧洗浄を行う第1薬洗工程と、前記第1薬洗工程後に、前記透過液流路内の液体を水に置換する第2水置換工程と、を含む、分離膜モジュールの運転方法。
[2]前記第1水置換工程が、前記分離膜の第2面から第1面に向けて水を通液することを含む、前記[1]に記載の分離膜モジュールの運転方法。
[3]前記第1薬洗工程の前に前記透過液流路内の液体を排出する工程を含む、前記[1]または[2]に記載の分離膜モジュールの運転方法。
[4]前記透過液のTOC(Total Organic Carbon)濃度が100ppm以上400000ppm以下である、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの運転方法。
[5]前記透過液が、タンパク質、多糖および芳香族化合物からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの運転方法。
[6]前記被処理液が2価以上の金属イオンを含み、かつ、多糖および芳香族化合物の少なくとも一方を含む、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの運転方法。
[7]前記被処理液中で、前記金属イオンと、前記多糖および芳香族化合物の少なくとも一方とが複合体を形成している、前記[6]に記載の分離膜モジュールの運転方法。
[8]前記酸性の薬液が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸および乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有し、かつ、pH1以上3以下の水溶液である、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの運転方法。
[9]前記第2水置換工程の後に、前記分離膜の第2面から第1面に向けてアルカリ性の薬液を通液する第2薬洗工程と、前記第2薬洗工程の後に、前記透過液流路内の液体を水に置換する第3水置換工程と、を含む、前記[1]~[8]のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの運転方法。
[10]前記第1水置換工程および前記第2水置換工程に使用される水、並びに前記第1薬洗工程で使用される薬液の温度が35℃以上90℃以下である、前記[1]~[9]のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
[11]前記[1]~[10]のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転を行う装置。
 本発明によって、分離膜でろ過して得られる透過液が酸と接触すると不溶化する成分を含む液体(被処理液)の膜ろ過運転を行う際、薬液による第1薬洗工程の前および後に、水による第1水置換工程および第2水置換工程を実施することで、有機物と薬液の接触を抑制する。これにより変性物が生成することに起因する膜閉塞を削減するとともに薬液洗浄効果を十分に発揮し、長時間安定的な膜ろ過運転を実現できる。
図1は、本発明の運転方法の実施形態を例示するフロー図である。 図2は、本発明の運転方法の他の実施形態を例示するフロー図である。 図3は、本発明の製造方法で使用する、膜分離装置の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の製造方法で使用する、膜分離装置の他の例を示す概略図である。 図5は、実施例1および比較例1~5、7、8の膜間差圧の変化図である。 図6は、本発明の製造方法で使用する、膜分離装置の他の例を示す概略図である。 図7は、本発明の製造方法で使用する、膜分離装置の他の例を示す概略図である。 図8は、実施例1、7、8および比較例6の膜間差圧の変化図である。
 以下に、本発明の実施形態にかかる分離膜モジュールの運転方法を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
 本発明の分離膜モジュールの運転方法は、第1面と第2面とを有する分離膜、前記第1面に供給される被処理液が流れる被処理液流路、および前記第2面から得られる透過液が流れる透過液流路を備える分離膜モジュールの運転方法であって、被処理液を膜ろ過して透過液を得る操作方法であり、図1に示すように、ろ過工程S1、第1水置換工程S3、第1薬洗工程S5および第2水置換工程S6を含む。
 なお、図中の「終了」は、分離膜モジュールの運転を終了すること或いは「開始」に戻りろ過工程S1を行うことを意味する。
 ろ過工程S1では、分離膜モジュールの被処理液流路を通じて分離膜の第1面に被処理液を供給し、分離膜の第2面から透過液を得る。第1水置換工程S3では、透過液流路内の液体を水に置換する。第1薬洗工程S5では、分離膜の第2面から分離膜の第1面に向けて薬液を通液して逆圧洗浄を行う。第2水置換工程S6では、透過液流路内の液体を水に置換する。なお、透過液流路とは、分離膜モジュールから透過液-透過液流路置換水切り替えバルブまでの配管、および分離膜モジュール内の膜の第2面に触れる流路を指す。
 また分離膜モジュールの運転方法は、図2に示すように、第1水置換工程が逆圧洗浄による水置換であった場合、第1水排出工程S4を任意に含むことができる。第1水排出工程S4は、第1水置換工程S3と第1薬洗工程S5の間で、分離膜モジュールの分離膜の第1面に接触する洗浄水を排出する工程である。
 また分離膜モジュールの運転方法は、図2に示すように、被処理液排出工程S2および第2水排出工程S7のいずれか、または両方の排出工程を任意に含むことができる。被処理液排出工程S2は、ろ過工程S1と第1水置換工程S3の間で、分離膜モジュールの被処理液流路にある被処理液を排出する工程である。第2水排出工程S7は、第2水置換工程S6の後で、分離膜モジュールの被処理液流路にある洗浄水を排出する工程である。
 本発明の分離膜モジュールの運転方法は、好ましくはろ過工程S1、第1水置換工程S3、第1水排出工程S4、第1薬洗工程S5および第2水置換工程S6を含むとよい。より好ましくはろ過工程S1、被処理液排出工程S2、第1水置換工程S3、第1水排出工程S4、第1薬洗工程S5、第2水置換工程S6および第2水排出工程S7を含むとよい。
1.分離膜モジュール
 分離膜モジュールとしては、従来公知の構成が適用可能である。
 分離膜モジュールは、分離膜を備える。また、膜で無くとも、サイズ分離に基づいたろ過と逆洗が可能な機構であればよい。例えば、砂ろ過やろ布ろ過も用いることができる。
 分離膜は、逆洗が可能な膜であれば有機膜でも無機膜でもよく、例えばポリフッ化ビニリデン製、ポリスルホン製、ポリエーテルスルホン製、ポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、セラミックス製の膜が挙げられる。特に、有機物による汚れが発生しにくく、かつ洗浄がしやすく、さらに耐久性に優れているポリフッ化ビニリデン製の分離膜が好ましい。
 分離膜は、精密ろ過膜であっても限外ろ過膜であっても構わない。分離膜の細孔径については特に限定されず、被処理液中の濁質、溶解成分を良好に分離するため、平均細孔径が0.001μm以上10μm未満の範囲内で適宜選択することができる。膜の平均細孔径は、ASTM:F316-86記載の方法(別称:ハーフドライ法)にしたがって決定される。なお、このハーフドライ法によって決定されるのは、分離膜の最小孔径層の平均孔径である。
 ハーフドライ法による平均細孔径の測定の標準測定条件は、使用液体をエタノール、測定温度を25℃、昇圧速度を1kPa/秒とする。平均細孔径[μm]は、下記式より求まる。
  平均細孔径[μm]=(2860×表面張力[mN/m])/ハーフドライ空気圧力[Pa]
 エタノールの25℃における表面張力は21.97mN/mである(日本化学会編、化学便覧基礎編改訂3版、II-82頁、丸善(株)、1984年)ので、標準測定条件の場合、平均細孔径は、
  平均細孔径[μm]=62834.2/ハーフドライ空気圧力[Pa]
にて求めることができる。
 また、分離膜の形状は、逆洗が可能であれば中空糸膜、チューブラー膜、モノリス膜、プリーツ膜などいずれの形状のものも採用することができるが、分離膜モジュールの体積に比べ膜面積が広い中空糸膜が好ましい。
 中空糸膜は、中空糸の外側から内側に向かってろ過する外圧式と、内側から外側に向かってろ過する内圧式のいずれであってもよいが、濁質による閉塞の起こりにくい外圧式中空糸膜がより好ましい。外圧式中空糸膜であれば、中空糸の外径は0.5mm以上3mm以下であることが望ましい。外径が0.5mm以上であることで、中空糸膜中に流れる透過液の抵抗を比較的小さく抑えられる。また、外径が3mm以下であることで、被処理液により中空糸膜がつぶれることを抑制できる。また、内圧式中空糸膜であれば、内径は0.5mm以上3mm以下が望ましい。内径が0.5mm以上であることで、中空糸膜中に流れる被処理液の抵抗を比較的小さく抑えることができる。また、内径が3mm以下であることで、膜表面積を確保することができるので、使用モジュール本数の増大を抑制することができる。
 分離膜モジュールは、分離膜以外に、様々な部材を備えることができる。例えば、分離膜モジュールは、分離膜の周囲を覆う筐体;筐体内に被処理液を導く導入口、濃縮水を排出する濃縮水排出口、透過液を排出する透過液排出口等を備えてもよい。
 2.分離膜モジュールの運転方法
 本発明における、分離膜モジュールの運転方法は、第1面と第2面とを有する分離膜、第1面に供給される被処理液が流れる被処理液流路、および第2面から得られる透過液が流れる透過液流路を備える分離膜モジュールの運転方法であって、以下の工程S1,S3,S5,S6を順に実施することを特徴とする。:
 (a)被処理液流路を通じて分離膜の第1面に被処理液を導入し、分離膜の第2面から酸と接触すると不溶化する成分を含む透過液を得るろ過工程S1
 (b)分離膜の透過液流路内の液体を水に置換する第1水置換工程S3
 (c)分離膜の第2面から第1面に向けて酸性の薬液を通液する第1薬洗工程S5、および
 (d)分離膜の透過液流路の液体を水に置換する第2水置換工程S6
 各工程について、以下に説明する。
2-1.ろ過工程
 分離膜モジュールを用いたろ過装置の一例について、図3および4を参照して説明する。図3は本発明の運転方法で全量ろ過を行う際に使用する膜分離装置の概略図、図4は本発明の運転方法でクロスフローろ過を行う際に使用する膜分離装置の概略図である。
 ろ過工程S1において、被処理液が分離膜モジュール8の第1面から流入し、ろ過された透過液が第2面から流出する。具体的には図3においては、被処理液が被処理液供給槽1から引き抜かれ、配管3を通って分離膜モジュール8に供給される。被処理液は分離膜モジュール8によってろ過され、濃縮液と透過液とに分離される。透過液は、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13、透過液流路44を通って透過液槽21に送られる。全量ろ過では、濃縮液は膜の一次側(流入側)に留まる。またクロスフローろ過では、濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通して分離膜モジュール8の外に排出され、被処理液供給槽1に還流される。
 ろ過の駆動力は、被処理液供給槽1と分離膜モジュール8との液位差(水頭差)を利用するサイホンによって得られてもよいし、図3のろ過ポンプ2による加圧によって発生する膜間差圧によって得られてもよい。また、ろ過の駆動力として、分離膜モジュール8の透過液流路側に吸引ポンプ(ろ過ポンプ)が設置されてもよい。図3の例は、分離膜モジュール8の被処理液流路にろ過ポンプ2を配置した例である。
 ろ過は連続的に行うこともできるし、間欠的に行うことも出来る。間欠的にろ過を行う場合、例えばろ過を5~120分間継続して実行する毎に、所定の時間(例えば0.1~30分間)ろ過を停止することができる。より好ましくはろ過を10~30分間継続するごとに、0.25~10分間ろ過を停止するとよい。
 ろ過を停止する時間に、後述する第1水置換工程S3、第1薬洗工程S5および第2水置換工程S6と、任意に第1水排出工程S4、被処理液排出工程S2、第2水排出工程S7を実施してもよい。また、ろ過を停止する時間に、第1水置換工程S3および/または被処理液排出工程S2のみを実施してもよい。第1薬洗工程S5および第2水置換工程S6を実施する目安は、分離膜モジュール8の分離膜の第1面と第2面の膜間差圧を基準にすることができる。本発明では膜間差圧が好ましくは10~100kPa、より好ましくは15~50kPaのとき、第1薬洗工程S5および第2水置換工程S6を実施するとよい。膜間差圧は、差圧計27により測定することができる。
 ろ過流量の制御方法としては定流量ろ過であっても定圧ろ過であっても差し支えはないが、透過液の生産量の制御のし易さの点から定流量ろ過であることが好ましい。
2-2.第1水置換工程
 本発明の運転方法において、ろ過工程S1に続いて、分離膜を逆洗する第1水置換工程S3を実施する。これにより、透過液流路内や、分離膜モジュールに残留した被処理液を容易に水で置換することができる。これにより、後述する第1薬洗工程S5において、薬液と透過液中の酸と接触すると不溶化する成分が酸と接触することなく、分離膜の薬液による逆洗を実施することができる。図3の構成では、透過液流路44に配管10が接続されており透過液流路置換水ポンプ15を用いて分離膜モジュール8に透過液流路置換水を投入する。
 また、配管10には透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を介して、透過液流路置換水配管16と、酸性薬液配管17が接続している。透過液流路置換水配管16と酸性薬液配管17には、透過液流路置換水供給源22と酸性薬液槽23がそれぞれ接続されている。
 透過液流路置換水供給源22から供給される水の種類としては、TOC濃度が100ppm以下であれば特に制限されるものではなく、例えば蒸留水、イオン交換水、逆浸透ろ過水等が例示される。
 第1水置換工程S3の実行時には、透過液を溜める透過液槽21に透過液流路置換水が流入しないように、ろ過が停止される。すなわち、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13が、透過液流路置換水配管16側が開、透過液槽21側が閉になり、かつろ過ポンプ2が停止する。この状態で、排出バルブ9が開き、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開、酸性薬液槽23側を閉にして、透過液流路置換水ポンプ15が稼働することで、透過液流路の水置換が行われる。
 第1水置換工程S3の実施は、次の第1薬洗工程S5で薬液が触れる透過液流路を置換できる十分な時間実施すればよい。
 これらの制御は、制御装置20により実行可能である。逆圧洗浄の開始時および終了時を決定するために、膜分離装置は、図示しないタイマー等の計測器を備えてもよい。また、この第1水置換工程S3は、分離膜の第2面から第1面に透過液流路置換水を通液する逆圧洗浄であってもよい。
2-3.第1薬洗工程
 本発明の運転方法においては、第1水置換工程S3の後に、分離膜を薬液で逆洗する第1薬洗工程S5を実施する。
 第1薬洗工程S5の実行時には、第1水置換工程S3の状態から、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にすることで、酸性薬液による逆洗が行われる。
 第1薬洗工程S5の実施時間は、30秒から30分間程度であるのが好ましい。あまり実施時間が長いとろ過を止めている時間が長くなって運転効率が落ち、また、使用する薬液量が増えて経済的に不利になるためである。さらには同じ理由により30秒から10分程度であるのがより好ましい。また、膜間差圧から推測される分離膜の目詰まりに応じて、時間を短縮、または延長してもよい。
2-4.第2水置換工程
 本発明の運転方法においては、第1薬洗工程S5の後に、透過液流路を再び水で逆洗する第2水置換工程S6を実施する。これにより、透過液流路内に残留した薬液をすすぐためのリンスを行うことができ、透過液と薬液が接触して変性物を生じたり、透過液に薬剤が混入したりすることなく、ろ過を再開することができる。また、この第2水置換工程S6は、分離膜の第2面から第1面に透過側流路置換水を通液する逆圧洗浄であってもよい。
 第2水置換工程S6の実行時には、第1薬洗工程S5の状態から、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開、酸性薬液槽23側を閉にすることで、透過側流路置換水による透過液流路の液体の置換が行われる。第2水置換工程S6を停止するときには、透過液流路置換水ポンプ15が停止する。この状態で排出バルブ9が閉じ、ろ過バルブ4が開き、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ11が透過液槽21側を開、透過液流路置換水供給源22側を閉にし、ろ過ポンプ2が駆動することで、ろ過工程S1が実行される。
 第2水置換工程S6の実施は、前の第1薬洗工程S5で薬液が触れた透過液流路を置換できる十分な時間実施すればよい。
2-5.第1水排出工程
 本発明の運転方法において、第1水置換工程S3の後、第1薬洗工程S5の前に、分離膜モジュール8の分離膜の第1面側に溜まっている液を排出する第1水排出工程S4が行われてもよい。具体的には、図3において、透過液流路置換水ポンプ15が停止し、排濁バルブ6と排出バルブ9が開くことで、分離膜モジュール8内に溜まった液体が分離膜モジュール8外に排出される。排出は重力落下によって行われてもよいし、吸引ポンプ7を用いて行われてもよい。排出された液体は、排水-排濁液貯槽切り替えバルブ33を通じて排水として廃棄してもよいし、排濁液貯槽24で回収して再利用してもよい。回収した液は排濁液還流配管32を通じて排濁液還流ポンプ31によって被処理液供給槽1に還流させてもよい。続いて、排濁バルブ6を閉じ、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にすることで、第1薬洗工程S5が開始される。第1水排出工程S4を実施することにより、第1薬洗工程S5で膜表面近くの薬液の濃度を高く維持し、酸性薬液による逆洗を効率的に行うとともに、酸性薬液の必要量を削減することができる。
2-6.被処理液排出工程
 本発明の製造方法において、ろ過工程S1に続き第1水置換工程S3の前に、分離膜の一次側に溜まっている液を排出する被処理液排出工程S2が行われてもよい。具体的には、図3において、ろ過バルブ4が閉じ、ろ過ポンプ2が停止する。この状態で排濁バルブ6と排出バルブ9が開くことで、分離膜モジュール8内に溜まった被処理液が分離膜モジュール8外に排出される。排出は重力落下によって行われてもよいし、吸引ポンプ7を用いて行われてもよい。排出された排濁液は排水-排濁液貯槽切り替えバルブ33を通じて排水として廃棄してもよいし、排濁液貯槽24で回収して再利用してもよい。回収した液は排濁液還流配管32を通じて排濁液還流ポンプ31によって被処理液供給槽1に還流させてもよい。続いて、排濁バルブ6と排出バルブ9を閉じ、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開、酸性薬液槽23側を閉にし、透過液流路置換水ポンプ15が稼動することで、第1水置換工程S3が開始される。被処理液排出工程S2を実施することにより、第1水置換工程S3での洗浄効果を高くすることができる。
2-7.第2水排出工程
 本発明の製造方法においては、第2水置換工程S6に続いて、分離膜モジュール8の分離膜の第1面側に溜まっている液を排出する第2水排出工程S7が行われてもよい。具体的には、図3において、透過液流路置換水ポンプ15が停止し、排濁バルブ6と排出バルブ9が開くことで、分離膜モジュール8内の分離膜の第1面側に溜まった液体が分離膜モジュール8外に排出される。排出は重力落下によって行われてもよいし、吸引ポンプ7を用いて行われてもよい。
 第2水排出工程S7で排出された液体は、排水-排濁液貯槽切り替えバルブ33を通じて排水として廃棄してもよいし、排濁液貯槽24で回収して再利用してもよい。また、回収した液は排濁液還流配管32を通じて排濁液還流ポンプ31によって被処理液供給槽1に還流させてもよい。続いて、排濁バルブ6と排出バルブ9が閉じ、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13が透過液槽21側に開きろ過ポンプ2が駆動することで、ろ過工程S1が実行される。第2水排出工程S7を行うことにより、被処理液が薄まることを抑制できる。
2-8.第2薬洗工程S8と第3水置換工程S9
 本発明の製造方法においては、前記第2水置換工程S6の後に、前記分離膜の第2面から第1面にアルカリ性の薬液を通液する第2薬洗工程S8と、前記第2薬洗工程の後に、前記分離膜モジュールの透過液流路を水で置換する第3水置換工程S9とを実施してもよい。
 具体的にはまず、図6の構成では、第2水置換工程S6の状態から、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開、酸性薬液槽23側を閉にし、透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35のアルカリ性薬液槽37方向を開にすることで、第2薬洗工程S8が行われる。続いて、第2薬洗工程S8の状態から、透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35の透過液流路置換水供給源22側を開、アルカリ性薬液槽37側を閉にすることで、第3水置換工程S9が行われる。この状態で排出バルブ9が閉じ、ろ過バルブ4が開き、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13が透過液槽21側を開、透過液流路置換水供給源22側を閉にし、ろ過ポンプ2が駆動することで、ろ過工程S1が実行される。
 第2薬洗工程S8の実施時間は、30秒から30分間程度であるのが好ましい。あまり実施時間が長いとろ過を止めている時間が長くなって運転効率が落ち、また、使用する薬液量が増えて経済的に不利になるためである。さらには同じ理由により30秒から10分程度であるのがより好ましい。また、膜間差圧から推測される膜の目詰まりに応じて、時間を短縮、または延長してもよい。また、第3水置換工程S9の実施は、第2薬洗工程S8で薬液の触れた配管および分離膜モジュール内の水が置換できる十分な時間実施すればよい。
 第3水置換工程S9を実施することで、第2薬洗工程で分離膜内に残留したアルカリ性の薬液や、分離膜モジュールに付着した薬液をすすぐためのリンスを行うことができ、被処理液や透過液が薬液が接触して変性物を生じたり、透過液に薬剤が混入したりすることなく、ろ過を再開することができる。
3.透過液
 本願発明の分離膜を透過した透過液は、酸性の薬液と接触すると不溶化する成分を含む。透過液が、酸性の薬液と接触すると不溶化する成分を含むかどうかは、例えば、透過液に酸性の薬液を等量添加し、20000gで遠心分離を行った際に、沈殿する画分が生じるかどうかで確認することが出来る。または、透過液に蒸留水を等量添加した液と、透過液に酸性の薬液を等量添加した液をそれぞれ、分画分子量3000のメンブランフィルターにてろ過したあと、フィルターを乾燥し、乾燥後の重量が酸性薬液を添加した場合のほうが重ければ、透過液に不溶化成分を含むと判断することが出来る。
 また、透過液のTOC濃度は、100ppm以上400000ppm以下、特に400ppm以上360000ppm以下であることが好ましい。透過液のTOC濃度が100ppm未満では本発明を実施する効果は小さく、また、400000ppmを超えると充分な洗浄効果が得られない。
 また、透過液はタンパク質、多糖および芳香族化合物からなる群より選択される少なくとも一つ以上の物質、またはその分解物を含むことが好ましい。多糖としては、セルロース、ヘミセルロース、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、マンナン、カラギーナン、グアーガム、ゼラチンや、その分解物が例示される。被処理液が多糖を含むかどうかは、例えば、被処理液と、被処理液をアルカリ性に調整後、121℃で20分間加水分解した液について、含有する単糖量をHPLCによって測定し、被処理液と加水分解液で単糖含有量の差によって確認することが出来る。また、芳香族化合物としては、リグニン、カテキン、フラボノイド、ポリフェノールやその分解物が例示される。被処理液がこれらの物質を含むかどうかは、一般的に知られている各物質の測定手法によって測定することができる。
4.被処理液
 分離対象となる被処理液は、2価以上の金属イオンを含み、かつ、多糖および芳香族化合物の少なくとも一方を含む水溶液であることが好ましい。金属としては、例えば亜鉛、鉄、カルシウム、鉄、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、銅、ニッケルが例示される。多糖としては、セルロース、ヘミセルロース、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、マンナン、カラギーナン、グアーガム、ゼラチンや、その分解物が例示される。被処理液が多糖を含むかどうかは、例えば、被処理液と、被処理液をアルカリ性に調整後、121℃で20分間加水分解した液について、含有する単糖量をHPLCによって測定し、被処理液と加水分解液で単糖含有量の差によって確認することが出来る。また、芳香族化合物としては、リグニン、カテキン、フラボノイド、ポリフェノールやその分解物が例示される。被処理液がこれらの物質を含むかどうかは、一般的に知られている各物質の測定手法によって測定することができる。
 また、被処理液中の金属イオンと、多糖および芳香族化合物の少なくとも一方とは複合体を形成していることが好ましい。金属イオンと、多糖および芳香族化合物の少なくとも一方が被処理液中で複合体を形成していることで、酸性の薬液による透水性の回復効果をより高く得ることができる。複合体を形成しているかどうかは、例えば、被処理液にキレート剤を添加する前後での分子量分布を測定することによって確認することが出来るが、この限りでない。
 また、被処理液は有機物を好ましくは100mg/L以上、より好ましくは100~650g/L含有する溶液である。主な有機物としては、多糖、オリゴ糖などの糖や芳香族化合物、タンパク質、アミノ酸である。このような被処理液としては、例えば、果実や野菜の絞り汁・ジュース、茶、牛乳・豆乳・ホエー、調味液、ビール・ワイン・日本酒などの酒類、食酢、醤油、発酵液、デンプン糖化液、水あめ、異性化糖液、オリゴ糖水溶液、甘藷・サトウキビなどの絞り汁、ハチミツ、セルロース含有バイオマスの糖化液、点滴液、水産加工排水などが例示される。有機物の状態としては、溶解していてもよいし、コロイド、または懸濁質として存在していてもよい。
5.酸性の薬液
 酸性の薬液としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、及び乳酸などの有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する水溶液が好ましい。また、酸性の水溶液のpHは、特に制限されるものではないが、好ましくはpH0~5、より好ましくはpH1~3である。酸性の水溶液のpHをこのような範囲にすることにより、洗浄効果を十分に得ると共に、膜の寿命を長くすることができる。
 薬液の濃度は10mg/Lから200000mg/Lであることが好ましい。10mg/Lより薄いと洗浄効果が十分でなく、200000mg/Lより濃くなると薬剤のコストが高くなり、不経済となるからである。薬剤は1種類であっても2種類以上の混合物であってもよい。
6.アルカリ性の薬液
 アルカリ性の薬液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物を含有する水溶液が好ましい。また、前記アルカリ性化合物以外に酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムなどを含んでもよい。また、アルカリ性の水溶液のpHは、pH9~14、より好ましくはpH10~12であるとよい。アルカリ性の水溶液のpHをこのような範囲にすることにより、洗浄効果を十分に得ると共に、膜の寿命を長くすることができる。
7.温度
 第1水置換工程と第2水置換工程に使用される水、第1薬洗工程で使用される酸性の薬液、および/または第2薬洗工程で使用されるアルカリ性の薬液の温度は、20℃以上97℃以下であることが好ましく、より好ましくは35℃以上95℃以下である。使用する水および薬液の温度をこのような範囲にすることにより、洗浄効果を充分に得ることが出来る。
8.全量ろ過とクロスフローろ過
 分離膜モジュールで行われるろ過は、全量ろ過であってもよいし、クロスフローろ過が行われてもよい。ただし、高濃度に有機物を含有する被処理液では分離膜に付着する汚れの量が多いので、この汚れを効果的に除去するためには、クロスフローろ過を行うことが好ましい。クロスフローろ過によって、循環する被処理液のせん断力で膜に付着する汚れを除去することができるからである。
 クロスフローろ過を実施する場合の膜ろ過装置の概略図を図4に例示する。ろ過の駆動力は、クロスフローろ過循環ポンプ18によって得られる膜間差圧によって得られる。クロスフロー循環では、被処理液供給槽1から取り出された被処理液が、クロスフローろ過循環ポンプ18により分離膜モジュール8へ供給され、分離膜の表面に沿って流れ、膜ろ過される。分離膜を透過しなかった濃縮水は、分離膜モジュール8から排出され、被処理液供給槽1へ戻される。
 第1水排出工程S4、被処理液排出工程S2および第2水排出工程S7において、分離膜モジュール8への被処理液の供給は止める。この際、被処理液のクロスフロー流は、分離膜モジュール8と並列に配置したバイパスライン25に流すことが好ましい。具体的には、図4で示すクロスフロー切り替えバルブ19,26の分離膜モジュール8側を閉、バイパスライン25側を開にし、バイパスライン25にクロスフロー循環を行う。これにより、クロスフローろ過循環ポンプ18の運転/停止の回数を減らすことができる。被処理液を分離膜モジュール8へ供給するクロスフロー循環を再開する際は、クロスフロー切り替えバルブ19,26の分離膜モジュール8側を開、バイパスライン25側を閉にする。これにより分離膜モジュール8へ被処理液を供給し、分離膜モジュール8から排出する濃縮水を被処理液供給槽1へ戻すクロスフロー循環が再開される。
 第1水置換工程S3、第1薬洗工程S5および第2水置換工程S6において、分離膜モジュール8への被処理液の供給は止めても止めなくてもよい。しかし、分離膜モジュール8から被処理液供給槽1へ戻すクロスフロー流の循環を止めるほうが好ましい。この際、被処理液供給槽1から流出する被処理液のクロスフロー流はバイパスライン25に流すことが好ましい。具体的には、図4で示すクロスフロー切り替えバルブ19,26の分離膜モジュール8側を閉、バイパスライン25側を開にし、バイパスライン25にクロスフロー循環を行う。これにより、クロスフローろ過循環ポンプ18の運転/停止の回数を減らすことができる。分離膜モジュール8へのクロスフロー循環を再開する際は、クロスフロー切り替えバルブ19、26の分離膜モジュール8側を買い、バイパスライン25側を閉にすることで、分離膜モジュール8へ被処理液を供給し、分離膜モジュール8から排出する濃縮液を被処理液供給槽1へ戻すクロスフロー循環が再開される。
 以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜としては、東レ(株)製精密ろ過膜モジュール“トレフィル”(登録商標)HFSに使用されている公称細孔径0.05μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜を切り出し、ポリカーボネート樹脂の成型品ケースに収容した中空糸膜モジュールを使用した。
 セルロース含有バイオマス由来糖液は、次の手順に従って得た。まず、稲藁約400gに、蒸留水2940g、濃硫酸60gを添加して懸濁し、オートクレーブ(日東高圧(株)製)を用いて15℃で30分オートクレーブ処理した。処理後、水酸化ナトリウムによってpHを5付近に調整した混合液を得た。続いて、トリコデルマセルラーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製)およびノボザイム188(アスペルギルスニガー由来βグルコシダーゼ製剤、シグマアルドリッチジャパン社製)を併せて25g含む酵素水溶液250gを調製し、前述の混合液に添加して50℃で3日間攪拌混合して、静置後の上清をろ過に供試した。供試した糖液の亜鉛イオン濃度は1200ppm、多糖濃度は5g/L、タンパク質濃度は10g/Lであった。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5および図8に示す。図5および図8の横軸は膜面積あたりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。実施例1の運転方法では、後述する比較例1~8に比較して膜間差圧の上昇が抑制され、長時間安定的に運転することが出来た。
(比較例1)第1水置換工程を実施しない運転
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液の膜ろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を膜分離装置の被処理液供給槽1に入れ、クロスフローろ過を行った。まず、ろ過工程としてろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を透過液槽21側に開けて、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を行うろ過工程S1を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の酸性薬液槽23側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にして、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、再びろ過工程に戻って、ろ過工程S1-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。比較例1の運転方法では、膜間差圧が著しく上昇し、運転を継続することができなかった。
(比較例2)第1薬洗工程を実施しない運転
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を膜分離装置の被処理液供給槽1に入れ、クロスフローろ過を行った。まず、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を行うろ過工程S1を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を7分間実施した。
 その後、薬液による逆洗を実施せずに、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。比較例2の運転方法では、膜間差圧が上昇し、運転を継続することができなかった。
(比較例3)第2水置換工程を実施しない運転
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を膜分離装置の被処理液供給槽1に入れ、クロスフローろ過を行った。まず、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1.5m/m/日で28分間、ろ過を行うろ過工程S1を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、第2水置換工程S6を行わずにろ過工程に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。比較例3の運転方法では、膜間差圧が上昇し、長時間運転を継続することが出来なかった。
(実施例2)
 図4に示す膜分離装置を用いて、果汁のろ過を実施した。分離膜としては、東レ(株)製精密ろ過膜モジュール“トレフィル”(登録商標)HFSに使用されている公称細孔径0.05μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜を切り出し、ポリカーボネート樹脂の成型品ケースに収容した中空糸膜モジュールを使用した。また、果汁のマグネシウムイオン濃度は100ppm、タンパク質濃度は5g/L、多糖濃度は3g/Lであった。
 果汁を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、果汁を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は400000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、透過液流路置換水排出バルブ29を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の透過側流路を蒸留水で置換する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、透過液流路置換水排出バルブ29を閉じ、排出バルブ9を開けて、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、排出バルブ9を閉じ、透過液流路置換水排出バルブ29を開けて、分離膜モジュールの透過側流路を蒸留水で置換する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測した。その結果、実施例2の方法では膜面積1mあたり0.2mろ過した後の膜間差圧は7kPaまでしか上昇せず、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例3)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9および排濁バルブ6を開け、排水-排濁液貯槽切り替えバルブ33を排水配管34側に開けて、吸引ポンプ7を稼動して分離膜モジュール内の液体を排出した。
 続いて、吸引ポンプ7を停止し、排出バルブ9および排濁バルブ6を閉じ、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、透過液流路置換水ポンプ15を稼動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を2分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測した。その結果、実施例3の運転方法では、実施例1に比較して第1薬洗工程が短いにも関わらず、膜面積あたりの総ろ過量が同じとき、実施例1と同様膜間差圧は8kPaまでしか上昇せず、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例4)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.01N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測した。その結果、実施例4の運転方法では、膜面積1mあたり0.2mろ過した後の膜間差圧は8kPaまでしか上昇せず、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例5)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.001N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測した。その結果、実施例5の運転方法では、膜面積1mあたり0.2mろ過した後の膜間差圧は9kPaまでしか上昇せず、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例6)
 図6に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図6の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11および透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の酸性薬液槽23側を閉、および透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35の透過液流路置換水供給源22側を閉、アルカリ性薬液槽37側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を1.5m/m/日で通液する第2薬洗工程S8を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35を、アルカリ性薬液槽37側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第3水置換工程S9を実施した。
 第3水置換工程S9を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6-第2薬洗工程S8-第3水置換工程S9を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測した。その結果、実施例6の方法では膜面積1mあたり0.2mろ過した後の膜間差圧は5kPaと初期膜間差圧からほとんど上昇せず、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例7)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって70℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図8に示す。図8の横軸は膜面積あたりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。実施例7の運転方法では、後述する比較例6に比較してさらに膜間差圧の上昇が抑制され、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例8)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって90℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図8に示す。図8の横軸は膜面積あたりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。実施例8の運転方法では、後述する比較例6に比較してさらに膜間差圧の上昇が抑制され、長時間安定的に運転することが出来た。
(実施例9)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜は実施例1と同様に調製した。セルロース含有バイオマス由来糖液は、次の手順に従って得た。まず、稲藁約2gに、蒸留水3390g、濃硫酸60gを添加して懸濁し、オートクレーブ(日東高圧(株)製)を用いて15℃で30分オートクレーブ処理した。処理後、水酸化ナトリウムによってpHを5付近に調整した混合液を得た。続いて、トリコデルマセルラーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製)およびノボザイム188(アスペルギルスニガー由来βグルコシダーゼ製剤、シグマアルドリッチジャパン社製)を併せて0.2g含む酵素水溶液250gを調製し、前述の混合液に添加して50℃で3日間攪拌混合して、ろ過に供する糖液を得た。糖液の亜鉛イオン濃度は15ppm、タンパク質濃度は0.05g/L、多糖濃度は0.05g/Lであった。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は100ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測した。その結果、実施例9の運転方法では、膜面積1mあたり0.2mろ過した後の膜間差圧は7kPaまでしか上昇せず、長時間安定的に運転することが出来た。
(比較例4)
 図4に示す膜分離装置を用いて、植物破砕液のろ過を実施した。分離膜としては、東レ(株)製精密ろ過膜モジュール“トレフィル”(登録商標)HFSに使用されている公称細孔径0.05μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸膜を切り出し、ポリカーボネート樹脂の成型品ケースに収容した中空糸膜モジュールを使用した。また、植物破砕液のマグネシウムイオン濃度は2000ppm、タンパク質濃度は10g/L、多糖濃度は30g/Lであった。
 得られた植物破砕液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、植物破砕液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、植物破砕液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度は500000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。図5の横軸は膜面積当たりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。比較例4では、透過液のTOC濃度が高いために充分な洗浄効果が得られず、ろ過運転の継続が困難であった。
(比較例5)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施したこのとき、得られた透過液のTOC濃度は25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.0001N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。図5の横軸は膜面積当たりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。比較例5では、充分な洗浄効果が得られず、ろ過運転の継続が困難であった。
(比較例6)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽12側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって20℃の0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図8に示す。図8の横軸は膜面積当たりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。比較例6では、実施例1、7、8に比較して充分な洗浄効果が得られず、膜間差圧の上昇が早くなった。
(比較例7)
 図6に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜および、セルロース含有バイオマス由来糖液は実施例1と同様に調製した。
 得られた糖液を図6の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度25000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11および透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35の透過液流路置換水供給源22側を閉、アルカリ性薬液槽37側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃の0.01N水酸化ナトリウム水溶液を1.5m/m/日で通液する第2薬洗工程S8を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ35を、アルカリ性薬液槽37側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第3水置換工程S9を実施した。
 第3水置換工程S9を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第2薬洗工程S8-第3水置換工程S9を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。図5の横軸は膜面積当たりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。比較例7では、実施例1に比較して充分な洗浄効果が得られず、ろ過の継続が困難であった。
(比較例8)
 図4に示す膜分離装置を用いて、セルロース含有バイオマス由来糖液のろ過を実施した。分離膜は実施例1と同様に調製した。セルロース含有バイオマス由来糖液は、次の手順に従って得た。まず、稲藁約400gに、蒸留水2940g、濃硫酸60gを添加して懸濁し、15℃で30分オートクレーブ処理(日東高圧(株)製)した。処理後、水酸化ナトリウムによってpHを5付近に調整した混合液を得た。続いて、トリコデルマセルラーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製)およびノボザイム188(アスペルギルスニガー由来βグルコシダーゼ製剤、シグマアルドリッチジャパン社製)を併せて25g含む酵素水溶液250gを調製し、前述の混合液に添加して50℃で3日間攪拌混合し、静置後の上清を得た。得られた上清を陽イオン交換樹脂に通した後、ろ過に供した。ろ過に供試した糖液のマグネシウムイオン濃度は0ppm、タンパク質濃度は9g/L、多糖濃度は4g/Lであった。
 得られた糖液を図4の分離膜装置の被処理液供給槽1に入れ、膜ろ過を実施した。ろ過はクロスフローろ過を行い、まずろ過工程S1として、ろ過バルブ4を開けてクロスフローろ過循環ポンプ18を駆動し、糖液を膜面線速度0.3m/secになるように分離膜モジュール8へ供給し、膜ろ過されなかった濃縮液はクロスフロー切り替えバルブ26を通り被処理液供給槽1に戻すよう循環させた。同時に透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液槽21側を開にして、糖液を分離膜モジュール8の分離膜の一次側から二次側にろ過流束1m/m/日で28分間、ろ過を実施した。このとき、得られた透過液のTOC濃度21000ppmであった。続いて、クロスフロー切り替えバルブ19,26を、分離膜モジュール8側を閉じ、バイパスライン25側を開け、排出バルブ9を開け、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を開にし、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13の透過液流路置換水ポンプ15側を開にして、透過液流路置換水ポンプ15を駆動し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第1水置換工程S3を2分間実施した。
 続いて、透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11の透過液流路置換水供給源22側を閉、酸性薬液槽23側を開にそれぞれ変更し、分離膜モジュール8の分離膜の二次側から一次側に向かって35℃、0.1N塩酸を1.5m/m/日で通液する第1薬洗工程S5を5分間実施した。
 その後、再び透過液流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ11を、酸性薬液槽23側を閉、透過液流路置換水供給源22側を開にそれぞれ戻し、分離膜モジュールの分離膜の二次側から一次側に向かって蒸留水を1.5m/m/日で通液する第2水置換工程S6を実施した。
 第2水置換工程S6を終了後は、透過液流路置換水ポンプ15を停止し、排出バルブ9を閉め、透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ13を再びろ過工程S1に戻って、ろ過工程S1-第1水置換工程S3-第1薬洗工程S5-第2水置換工程S6を繰り返して糖液のろ過を継続した。
 この間、分離膜の一次側圧力と二次側圧力の差分を差圧計27によって観測し、その結果を図5に示す。図5の横軸は膜面積当たりの総ろ過量、縦軸は膜間差圧を表す。比較例8の運転方法では、実施例1に比較して充分な洗浄効果が得られず、ろ過の継続が困難であった。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2014年3月24日出願の日本特許出願(特願2014-060640)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
 本発明は、高濃度の有機物を含有する被処理液の膜ろ過運転について、薬液による逆洗工程の前および後に透過側流路を水によって置換することで、有機物の変性物による閉塞を抑制し、薬液による洗浄効果を十分に発揮して長時間安定的な膜ろ過運転を実現できるため、有機物高含有液の膜ろ過プロセスを採用する食品・バイオ・医療分野において広く利用され、膜ろ過製品生産の効率向上やコストダウンが可能になる。
1  被処理液供給槽
2  ろ過ポンプ
3  配管
4  ろ過バルブ
6  排濁バルブ
7  吸引ポンプ
8  分離膜モジュール
9  排出バルブ
10 配管
11 透過側流路置換水-酸性薬液切り替えバルブ
13 透過液-透過液流路置換水切り替えバルブ
15 透過液流路置換水ポンプ
16 透過液流路置換水配管
17 酸性薬液配管
18 クロスフローろ過循環ポンプ
19 クロスフロー切り替えバルブ
20 制御装置
21 透過液槽
22 透過液流路置換水供給源
23 酸性薬液槽
24 排濁液貯槽
25 バイパスライン
26 クロスフロー切り替えバルブ
27 差圧計
28 透過液流路置換水排出配管
29 透過液流路置換水排出バルブ
30 透過液流路置換水排出槽
31 排濁液還流ポンプ
32 排濁液還流配管
33 排水-排濁液貯槽切り替えバルブ
34 排水配管
35 透過液流路置換水-アルカリ性薬液切り替えバルブ
36 アルカリ性薬液配管
37 アルカリ性薬液槽
38 酸性薬液原液配管
39 酸性薬液原液ポンプ
40 酸性薬液原液槽
41 アルカリ性薬液原液配管
42 アルカリ性薬液原液ポンプ
43 アルカリ性薬液原液槽
44 透過液流路

Claims (11)

  1.  第1面と第2面とを有する分離膜、前記第1面に供給される被処理液が流れる被処理液流路、および前記第2面から得られる透過液が流れる透過液流路を備える分離膜モジュールの運転方法であって、
     前記被処理液流路に被処理液を供給することで、前記分離膜の第2面から、酸と接触すると不溶化する成分を含む透過液を得るろ過工程と、
     前記ろ過工程後に、前記透過液流路内の液体を水に置換する第1水置換工程と、
     前記第1水置換工程後に、前記分離膜の第2面から第1面に向けて酸性の薬液を通液することで逆圧洗浄を行う第1薬洗工程と、
     前記第1薬洗工程後に、前記透過液流路内の液体を水に置換する第2水置換工程と、
    を含む、分離膜モジュールの運転方法。
  2.  前記第1水置換工程が、前記分離膜の第2面から第1面に向けて水を通液することを含む、請求項1に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  3.  前記第1薬洗工程の前に前記透過液流路内の液体を排出する工程を含む、請求項1または請求項2に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  4.  前記透過液のTOC(Total Organic Carbon)濃度が100ppm以上400000ppm以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  5.  前記透過液が、タンパク質、多糖および芳香族化合物からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  6.  前記被処理液が2価以上の金属イオンを含み、かつ、多糖および芳香族化合物の少なくとも一方を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  7.  前記被処理液中で、前記金属イオンと、前記多糖および芳香族化合物の少なくとも一方とが複合体を形成している、請求項6に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  8.  前記酸性の薬液が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸および乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有し、かつ、pH1以上3以下の水溶液である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  9.  前記第2水置換工程の後に、前記分離膜の第2面から第1面に向けてアルカリ性の薬液を通液する第2薬洗工程と、前記第2薬洗工程の後に、前記透過液流路内の液体を水に置換する第3水置換工程と、を含む請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  10.  前記第1水置換工程および前記第2水置換工程に使用される水、並びに前記第1薬洗工程で使用される薬液の温度が35℃以上90℃以下である、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転方法。
  11.  請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の分離膜モジュールの運転を行う装置。
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