WO2015098897A1

WO2015098897A1 - 開閉体の開閉装置

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Publication number: WO2015098897A1
Application number: PCT/JP2014/084009
Authority: WO
Inventors: 鈴木　誠一; 伸酒井; 英介中西
Original assignee: アイシン精機株式会社
Priority date: 2013-12-25
Filing date: 2014-12-23
Publication date: 2015-07-02
Also published as: US10323449B2; CN105874141A; CN105874141B; US20170002598A1; JP2015124490A; JP6197640B2

Abstract

開閉体の開閉装置は、互いに対向して配置された第１及び第２の支持壁部を有する樹脂製の支持部材と、第１及び第２の支持壁部にそれぞれ挿入される軸線方向両端部を有する支持ピンと、を備える。開閉装置は、第１及び第２の支持壁部の間に配置されて支持ピンが挿通されるプーリと、プーリに掛けられて開閉体に連係される伝動帯と、開閉体が開閉するように支持ピンの軸線周りにプーリを従動回転させつつ伝動帯を移動させる電気的駆動源と、を備える。第１の支持壁部は、支持ピンの対応する軸線方向端部が挿通される挿通孔、及び成形後の第１の支持壁部にウェルドが存在しないようにすべく挿通孔に連続するスリットを有する。挿通孔を貫通する支持ピンの軸線方向先端には係合部が形成され、係合部は、挿通孔の周縁部に係合可能な段差と、段差に接続され係合部の先端に向かって縮径されるテーパ部とを有する。

Description

開閉体の開閉装置

　本発明は、開閉体の開閉装置に関するものである。

　開閉体の開閉装置は、一般的に、プーリとプーリに掛けられる伝動帯とを備え、伝動帯が開閉体と連係している。この装置は、電気的駆動源によって、プーリを従動回転させて伝動帯を移動させることで、開閉体を開閉する。

　図６に示すように、例えば特許文献１に記載された開閉装置は、樹脂製の支持部材１０１を備える。支持部材１０１は、車両の高さ方向に並んで配置されて互いに一体的に形成された一対の支持壁部１０１ａ，１０１ｂを有する。両支持壁部１０１ａ，１０１ｂの間にプーリ１０２が配置された状態で、プーリ１０２の支持ピン１０４の軸線方向両端部が両支持壁部１０１ａ，１０１ｂにそれぞれ支持される。プーリ１０２にはベルト１０３が掛けられる。各支持壁部１０１ａ，１０１ｂは、プーリ１０２の軸線から該プーリ１０２とベルト１０３との接触部に向かう径方向に開口する開口部を有し、略Ｕ字形状、すなわち非環状形状を呈している。両支持壁部１０１ａ，１０１ｂの開口部にそれぞれ支持ピン１０４の軸線方向両端部が圧入されて両支持壁部１０１ａ，１０１ｂに支持ピン１０４が支持される。これにより、プーリ１０２は該支持ピン１０４の周りに回転可能に支持される。

特開２０１１－１０５２６３号公報

　特許文献１では、両支持壁部１０１ａ，１０１ｂは、それらの開口部にて支持ピン１０４を受け続けていると、支持ピン１０４の圧入荷重により変形した状態から復元しない、いわゆるクリープ変形を生じることがある。この場合、支持ピン１０４の支持が緩むことがある。ベルト１０３にテンションがかかっていない場合あるいは一時的にベルト１０３のテンションが低下した場合には、支持ピン１０４が両支持壁部１０１ａ，１０１ｂから抜ける可能性がある。

　一対の支持壁部として、支持ピンの挿入可能な貫通孔をそれぞれ備える環状形状のものも知られている。しかしながら、支持部材の成形時に、溶融樹脂が各支持壁部の貫通孔の周りを分岐して流れた後に合流するため、この合流部にウェルドライン（以下、「ウェルド」という。）が生じる。従って、上記のような両支持壁部の貫通孔に支持ピンを挿入してプーリを支持する場合、ウェルドを起点に支持壁部に亀裂が生じ、支持ピンが両支持壁部から抜ける可能性がある。

　本発明の目的は、プーリを支持する支持ピンが支持部材の支持壁部から抜けることを抑制できる開閉体の開閉装置を提供することにある。

　上記課題を解決する開閉体の開閉装置は、開閉体を開閉させる開閉装置であって、互いに対向して配置された第１及び第２の支持壁部を有する樹脂製の支持部材と、前記第１及び第２の支持壁部にそれぞれ挿入される軸線方向両端部を有する支持ピンと、前記第１及び第２の支持壁部の間に配置されて前記支持ピンが挿通されるプーリと、前記プーリに掛けられて前記開閉体に連係される伝動帯と、前記開閉体が開閉するように前記支持ピンの軸線周りに前記プーリを従動回転させつつ前記伝動帯を移動させる電気的駆動源と、を備え、前記第１の支持壁部は、前記支持ピンの対応する軸線方向端部が挿通される挿通孔、及び成形後の当該第１の支持壁部にウェルドが存在しないようにすべく前記挿通孔に連続するスリットを有し、前記挿通孔を貫通する前記支持ピンの軸線方向先端には係合部が形成され、前記係合部は、前記挿通孔の周縁部に係合可能な段差と、該段差に接続され前記係合部の先端に向かって縮径されるテーパ部とを有する。

　上記課題を解決する開閉体の開閉装置は、開閉体を開閉させる開閉装置であって、互いに対向して配置された第１及び第２の支持壁部を有する支持部材と、前記第１及び第２の支持壁部にそれぞれ挿入される軸線方向両端部を有する支持ピンと、前記第１及び第２の支持壁部の間に配置される前記プーリであって、前記支持ピンが挿通されるピン挿通孔及び該ピン挿通孔よりも拡開されたベアリング装着孔を有するプーリと、前記ピン挿通孔の周縁部に当接する状態で前記ベアリング装着孔に圧入されるアウタレースと、該アウタレースの径方向内側に配置されて前記支持ピンが挿通されるインナレースと、前記アウタレースと前記インナレースとの間に配置される転動体とを有するベアリングと、前記プーリに掛けられて前記開閉体に連係される伝動帯と、前記開閉体を開閉するように前記ベアリングを介して前記支持ピンの周りに前記プーリを従動回転させつつ前記伝動帯を移動させる電気的駆動源と、前記インナレースと前記第１又は第２の支持壁部とに当接する状態で前記支持ピンが挿通されるスペーサと、を備える。

本発明の一実施形態に従う開閉装置を示す底面図。図１のステップパネルの後端部を拡大して示す部分底面図。図１のステップパネルの後端部を拡大して示す部分平面図。図１の従動プーリを示す縦断面図。図３Ａの部分拡大図。図１の開閉装置が適用される車両を示す斜視図。本発明の変形形態に従う開閉装置を示す縦断面図。従来の開閉装置を示す斜視図。

　以下、開閉装置の一実施形態について説明する。以下では、車両の前後方向を単に「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ単に「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を単に「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を単に「車外側」という。

　図４に示すように、車両のボデー１０は乗降用の開口１１を有し、該開口１１を開閉する開閉体としてのスライドドア１６が前後方向に移動自在にボデー１０に支持されている。車両のフロア１２には、開口１１に臨んで凹部１３が形成されるとともに、該凹部１３には、支持部材としてのステップパネル１７が設置されている。

　図１に示すように、ステップパネル１７は、樹脂材からなり、前後方向に延在する略平板状の本体部２１と、該本体部２１の車外側の部位から下方（図１において紙面に直交する手前側）に延びるロアレール２２とを有する。このロアレール２２は、本体部２１に略沿って前後方向に延在する。ロアレール２２は、車両の幅方向に対向し且つ互いに平行に延びる縦壁を有する。また、ステップパネル１７は、ロアレール２２よりも車内側で且つロアレール２２に隣接する位置において、本体部２１から下方に延びる複数のガイド壁２３，２４，２５を有する。これらガイド壁２３～２５は、ロアレール２２に略沿うように前後方向に間隔を空けて配設されている。

　本体部２１には、ロアレール２２よりも車内側で且つロアレール２２に隣接する位置において、駆動ユニット３０が設置されている。この駆動ユニット３０は、ガイド壁２５よりも後方で本体部２１に固定された電気的駆動源としての減速機付きのモータ３１と、該モータ３１によって駆動される駆動プーリユニット３２とを有する。また、駆動ユニット３０は、一対のプーリ、すなわち歯付きの従動プーリ３３，３４と、アイドルプーリ３５とを有する。従動プーリ３３，３４はそれぞれ、本体部２１の前端及び後端に、車両の高さ方向に延びる軸線の周りに回転可能に支持される。アイドルプーリ３５は、ガイド壁２４よりも車内側で且つガイド壁２４に隣接する本体部２１の部位に、車両の高さ方向に延びる軸線の周りに回転可能に支持される。

　駆動ユニット３０は、従動プーリ３３，３４等に巻き掛けられる伝動帯としてのリング状の無端歯付ベルト３６を有する。無端歯付ベルト３６は、２つの従動プーリ３３，３４の間をロアレール２２に略沿って延びる部位として、ロアレール２２に近接する側の第１の部位と、ロアレール２２から離間する側の第２の部位とを有する。第１の部位は、ガイド壁２３～２５におけるロアレール２２と対向する部位に当接している。第２の部位は、駆動プーリユニット３２に噛合するとともに、アイドルプーリ３５に掛かるようにガイド壁２４とアイドルプーリ３５との間を通過し、さらにガイド壁２３におけるロアレール２２とは反対側の部位に当接する。モータ３１により駆動プーリユニット３２が駆動されると、従動プーリ３３，３４等を従動回転させつつ無端歯付ベルト３６がロアレール２２に略沿って駆動プーリユニット３２の回転方向に対応する方向に移動する。

　無端歯付ベルト３６の第１の部位の所定位置（図１の状態ではガイド壁２５の近傍の位置）には、例えば金属板からなる略Ｕ字状のベルト側ブラケット３７が設けられている。このベルト側ブラケット３７は、無端歯付ベルト３６を挟持しており、それによって、無端歯付ベルト３６と一体移動するように該ベルト３６に固定されている。前記スライドドア１６には、例えば金属板からなる略アーム状のドア側ブラケット３８が固定されるとともに、該ドア側ブラケット３８には、ロアレール２２に移動可能に装着されるガイド部材３９が連結される。このガイド部材３９はベルト側ブラケット３７に締結される。従って、無端歯付ベルト３６と共にベルト側ブラケット３７が前後方向に移動すると、ガイド部材３９及びドア側ブラケット３８と共にスライドドア１６が前後方向に移動する。ベルト側ブラケット３７、ドア側ブラケット３８及びガイド部材３９はガイドローラユニットＧＲを構成する。ガイド部材３９は、車両の高さ方向に延びる軸線の周りに回動可能であるとともに前記ロアレール２２を転動可能な一対のローラ３９ａを有しており、スライドドア１６の前後方向の移動を案内する。

　次に、後側の従動プーリ３４の支持構造について説明する。
　図２Ａ、図２Ｂ及び図３Ａに示すように、本体部２１はその後端に、下方に延びる有底略筒状の脚部４１と、該脚部４１の後側の縦壁４１ａの下端部及び上端部から後方にそれぞれ延出する一対の略平板状の支持壁部４２，４３とを有する。両支持壁部４２，４３は、互いに略平行となるように車両の高さ方向に対向して配置されている。両支持壁部４２，４３と縦壁４１ａとは、後方に向けて開口する断面略Ｕ字状のプーリ支持部４０を有する。ステップパネル１７は、脚部４１において前記凹部１３に締結される。

　第２の支持壁部である下方の支持壁部４２は、その中央部を車両の高さ方向に貫通する取付孔４４を有する。この取付孔４４は、円形の挿入孔４４ａ及び、その下方で該挿入孔４４ａよりも拡開された略四角形の嵌合孔４４ｂを有する。また、支持壁部４２は、嵌合孔４４ｂに連続するように下方に延びる略四角筒状の包囲壁４５を有している。さらに、図２Ａに示すように、支持壁部４２には、取付孔４４の所定角度位置から径方向外側に向かって延びる、言い換えれば取付孔４４に連続するスリット４６が形成されている。このスリット４６は、支持壁部４２と包囲壁４５とが共に切り欠かれることで形成されている。

　一方、第１の支持壁部である上方の支持壁部４３は、その中央部を車両の高さ方向に貫通し且つ取付孔４４と同心である円形の挿通孔４７を有している。この挿通孔４７は、取付孔４４の挿入孔４４ａの内径よりも小さい内径を有している。また、支持壁部４２は、挿通孔４７の周囲において上方に延び、挿通孔４７よりも拡開された略円筒状の防護壁４８を有している。さらに、図２Ｂに示すように、支持壁部４３には、挿通孔４７の所定角度位置から径方向外側に向かって延びる、言い換えれば挿通孔４７に連続するスリット４９が形成されている。このスリット４９は、支持壁部４３と防護壁４８とが共に切り欠かれることで形成されている。

　スリット４６，４９は、成形後の支持壁部４２，４３にウェルドが存在しないようにするためのものである。具体的には、各スリット４６，４９は、ステップパネル１７の成形時に金型（スライド型）で形成されてもよいし、ステップパネル１７の成形後の当初の支持壁部、すなわちスリットが形成されておらずウェルドが存在する状態の支持壁部、からウェルドを切除することで形成されてもよい。

　両支持壁部４２，４３には、支持ピン５０の軸線方向両端部がそれぞれ挿入され、支持ピン５０の軸線は車両の高さ方向に沿って延びている。この支持ピン５０は大径部５１を有し、大径部５１は、挿入孔４４ａの内径と同等の外径を有するとともに、挿入孔４４ａの下端と挿通孔４７の下端との間における車両の高さ方向の距離と同等の長さを有する。また、支持ピン５０は小径部５２を有し、小径部５２は、挿通孔４７の内径と同等の外径を有するとともに、挿通孔４７の上端と下端との間における車両の高さ方向の距離と同等の長さを有する。さらに、支持ピン５０は、大径部５１の下端に接続された頭部５３と、小径部５２の上端に接続された係合部５４とを有する。

　頭部５３は、包囲壁４５の内壁面、すなわち嵌合孔４４ｂよりも若干小さい略四角柱形状を呈する。車両の高さ方向において、頭部５３は包囲壁４５の長さよりも小さい長さを有する。つまり、頭部５３は、包囲壁４５の下端、すなわち包囲壁４５の先端よりも上方に引っ込んでいる。

　一方、図３Ｂに拡大して示すように、係合部５４は、小径部５２の上端に接続された（連続する）係止部５５と、該係止部５５の上端に接続された（連続する）案内部５６とを有する。係止部５５は、小径部５２よりも拡径されて小径部５２の上端に接続された（連続する）第１の段差５５ａと、該第１の段差５５ａに接続され（連続し）係止部５５の上端すなわち先端に向かって縮径される第１のテーパ部５５ｂとを有し、略円錐台状に成形されている。案内部５６は、係止部５５の上端よりも拡径されて同係止部５５に接続された（連続する）第２の段差５６ａと、該第２の段差５６ａに接続され（連続し）案内部５６の上端すなわち先端に向かって縮径される第２のテーパ部５６ｂとを有し、略円錐台状に成形されている。つまり、係合部５４は、略円錐台を車両の高さ方向（支持ピン５０の軸方向）に２段に重ねた形状を呈する。係止部５５及び案内部５６は共に、挿通孔４７の内径よりも大きく、且つ、防護壁４８の内径よりも小さい最大径を有している。また、係止部５５及び案内部５６は共に、挿通孔４７の内径よりも小さい最小径を有している。

　係止部５５の最大径は、案内部５６の最大径よりも大きい。また、支持ピン５０の軸線に対する第１のテーパ部５５ｂの傾斜角度は、支持ピン５０の軸線に対する第２のテーパ部５６ｂの傾斜角度よりも小さい。さらに、車両の高さ方向において、係合部５４は防護壁４８の長さよりも小さい長さを有する。つまり、係合部５４は防護壁４８の上端すなわち先端よりも下方に引っ込んでおり、防護壁４８は係合部５４の先端を越えて支持壁部４３から延びている。

　支持ピン５０は、プーリ支持部４０に対して下方から上方に向かって組み付けられる。従って、支持ピン５０の組み付けに際し、支持壁部４２の挿入孔４４ａに対して係合部５４及び小径部５２が順次挿入され、続いて大径部５１が挿入される。支持ピン５０は、嵌合孔４４ｂに挿入される頭部５３が挿入孔４４ａ下端の周縁部に係合し、あるいは、大径部５１の上端が挿通孔４７下端の周縁部に係合することで、上方への移動が規制される。係合部５４の案内部５６及び係止部５５が支持壁部４３の挿通孔４７を段階的に押し広げるように挿通孔４７に挿入（圧入）されて、続いて小径部５２が挿通孔４７に挿入される。大径部５１の下端部及び頭部５３は、支持ピン５０の軸線方向一端部を構成し、小径部５２及び係合部５４は、支持ピン５０の軸線方向他端部を構成する。支持ピン５０は、挿通孔４７を貫通した係止部５５の第１の段差５５ａが挿通孔４７上端の周縁部に係合することで、下方への移動が規制される。従って、支持ピン５０は、プーリ支持部４０に対して抜け止めされる。既述のように、支持壁部４３にはスリット４９が形成されている。このスリット４９は、挿通孔４７に係合部５４を挿入する際の支持壁部４３の弾性変形を容易にして、該支持壁部４３に対する負荷を抑える。

　図３Ａに示すように、従動プーリ３４は両支持壁部４２，４３の間に配置されており、支持ピン５０の大径部５１が従動プーリ３４を挿通し且つ該従動プーリ３４を支持している。従動プーリ３４は、例えば樹脂材からなる本体部６０及びプレート部６５を備えている。本体部６０は、支持ピン５０と同心の円形のベアリング装着孔６１ａを有する略筒状のベルト車部６１を有するとともに、該ベルト車部６１の上端部に接続された蓋壁部６２を有する。蓋壁部６２は、大径部５１が挿通される円形のピン挿通孔６２ａを有しており、略円環形状を呈する。また、本体部６０は、ピン挿通孔６２ａの内壁面に連続し且つ上方に延びる略円筒状のボス部６３を有するとともに、ベルト車部６１の上端から径方向外側に向かって延びる略環状の抜け止め部６４を有する。本体部６０は、ボス部６３の上端が挿通孔４７の下端の周縁部に近接することで、上方への移動が規制されている。

　ベルト車部６１の外周部には、その全周に亘って等角度間隔に、従動プーリ３４軸線方向と平行に延びる複数の歯が形成されている。これら複数の歯は、無端歯付ベルト３６に噛合可能に成形されている。抜け止め部６４は、ボス部６３の上端よりも下方に位置しているので、仮にボス部６３が支持壁部４３に当接したとしても抜け止め部６４が支持壁部４３とは干渉しない。

　本体部６０には、ベアリング７０が装着されている。このベアリング７０は、ピン挿通孔６２ａの下端の周縁部、すなわち蓋壁部６２の下面に当接する状態で、ベアリング装着孔６１ａに圧入される。ベアリング７０は、アウタレース７１と、該アウタレース７１の径方向内側に配置されて大径部５１が挿通されるインナレース７２と、アウタレース７１とインナレース７２との間に配置される複数の略球状の転動体７３とを有する。つまり、本体部６０は、ベアリング７０を介して支持ピン５０の大径部５１に回転可能に支持されている。従動プーリ３４、具体的には本体部６０は、滑り摩擦よりも小さい転がり摩擦を利用して、支持ピン５０に回転可能に支持されている。

　前記プレート部６５は、ベアリング装着孔６１ａの内径と同等の外径を有する略円筒状の挿入部６６と、該挿入部６６の下端から径方向外側に向かって延びる略環状の抜け止め部６７と、挿入部６６の下端から径方向内側に向かって延びる略円環状の案内フランジ６８とを備える。プレート部６５は、抜け止め部６７の上端がベルト車部６１の下端に当接する状態で、挿入部６６がベアリング装着孔６１ａに圧入されることで、本体部６０に固定されている。この状態では、挿入部６６の上端は、ベアリング７０のアウタレース７１の下端に当接又は近接している。抜け止め部６７は、本体部６０の抜け止め部６４の外径と同等の外径を有しており、該抜け止め部６４と協働して、ベルト車部６１に噛合する無端歯付ベルト３６を車両の高さ方向に抜け止めする。

　プレート部６５の径方向内側には、スペーサ７５が配置されている。このスペーサ７５は略円筒状の規制部７６を有し、規制部７６は、大径部５１の外径と同等の内径と、案内フランジ６８の内径よりも若干小さく、且つ、アウタレース７１の内径よりも小さい外径とを有する。スペーサ７５は略円環状の案内フランジ７７を有し、該案内フランジ７７は、規制部７６の案内フランジ６８よりも上方に配置されて、スペーサ７５の軸線方向中間部から径方向外側に向かって延びている。案内フランジ７７は、挿入部６６の内径よりも若干小さい外径を有している。スペーサ７５の規制部７６には、規制部７６の下端及び上端がそれぞれ挿入孔４４ａ上端の周縁部及びインナレース７２の下端に当接する状態で、大径部５１が挿通されている。この状態では、プレート部６５の抜け止め部６７は、規制部７６の下端よりも上方に位置しているので、抜け止め部６７は支持壁部４２とは干渉しない。

　プーリ支持部４０に対して支持ピン５０を組み付ける際、大径部５１は、スペーサ７５、インナレース７２、及び本体部６０に順次挿通される。このとき、スペーサ７５は、規制部７６の外周面が案内フランジ６８の内周面に近接するとともに、案内フランジ７７の外周面が挿入部６６の内周面に近接することで、インナレース７２等と同心に配置されるように案内される。これにより、両支持壁部４２，４３の間に配置される従動プーリ３４等に対して支持ピン５０が円滑に組み付けられる。

　前側の従動プーリ３３の支持構造は、後側の従動プーリ３４と同様であるためその説明を省略する。
　次に、本実施形態の作用について説明する。

　両支持壁部４２，４３の間に従動プーリ３４等の配置されたプーリ支持部４０に対して支持ピン５０をその軸線方向に沿って組み付ける際、係合部５４は、第１のテーパ部５５ｂ等によりスリット４９が周方向に開くように挿通孔４７を押し広げつつ該挿通孔４７を貫通する。係合部５４は、第１の段差５５ａが挿通孔４７の周縁部に係合することで、当該挿通孔４７に対して抜け止めされる。スリット４９は、挿通孔４７を係合部５４が通過する際に生じる支持壁部４３の弾性変形を促進し得る開口幅を有すればよいため、当該支持壁部４３にクリープ変形が生じたとしても支持ピン５０の支持が緩むことが抑えられる。また、スリット４９は、成形後の支持壁部４３にウェルドが存在しないように形成されていることで、該ウェルドを起点に当該支持壁部４３に亀裂が生じることが解消される。前側の従動プーリ３３についても後側の従動プーリ３４と同様の作用を有する。

　以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
　（１）本実施形態では、スリット４９は、挿通孔４７を係合部５４が通過する際に生じる支持壁部４３の弾性変形を促進し得る開口幅を有すればよいため、当該支持壁部４３にクリープ変形が生じたとしても支持ピン５０の支持が緩むことを抑えることができる。また、スリット４９は、成形後の支持壁部４３にウェルドが存在しないように形成されていることで、該ウェルドを起点に当該支持壁部４３に亀裂が生じることを解消することができる。従って、支持ピン５０が支持壁部４３から抜けることを抑制できる。

　（２）本実施形態では、支持壁部４３の挿通孔４７に支持ピン５０の対応する軸線方向端部を軸線方向に沿って挿通する際、係合部５４は、第２のテーパ部５６ｂ及び第１のテーパ部５５ｂによりスリット４９が周方向に開くように挿通孔４７を順次押し広げつつ該挿通孔４７を円滑に通過することができる。

　（３）本実施形態では、支持ピン５０の軸線に対する第２のテーパ部５６ｂの傾斜角度は、支持ピン５０の軸線に対する第１のテーパ部５５ｂの傾斜角度よりも大きい。このため、支持壁部４３の挿通孔４７に支持ピン５０の対応する軸線方向端部を軸線方向に沿って挿通する際、挿通孔４７を最初の段階で押し広げるために要する第２のテーパ部５６ｂの軸線方向の寸法、即ち挿通孔４７を通過するために要する第２のテーパ部５６ｂ（案内部５６）の移動距離を抑えることができる。

　（４）本実施形態では、第２のテーパ部５６ｂの最大径は、第１のテーパ部５５ｂの最大径よりも小さい。このため、支持壁部４３の挿通孔４７に支持ピン５０の対応する軸線方向端部を当該軸線方向に沿って挿通する際、係合部５４は、第２のテーパ部５６ｂ及び第１のテーパ部５５ｂによりスリット４９が周方向に開くように挿通孔４７を徐々に押し広げつつ該挿通孔４７を円滑に貫通することができる。

　（５）本実施形態では、支持壁部４３は、係合部５４の先端を越えて突出して係合部５４を包囲する防護壁４８を備えている。防護壁４８により、係合部５４の先端が周辺部品と干渉することを抑えることができ、該干渉に伴って支持ピン５０が支持壁部４３から抜けることを抑制できる。

　（６）本実施形態では、従動プーリ３４（３３）は、ベアリング７０を介して支持ピン５０（大径部５１）の周りに回転自在に支持されることで、従動プーリ３４（３３）の回転時の負荷を軽減することができる。また、従動プーリ３４（３３）は、ベアリング７０のアウタレース７１がピン挿通孔６２ａの周縁部に当接され、スペーサ７５がインナレース７２及び支持壁部４２に当接された状態で支持ピン５０に支持される。このため、例えば無端歯付ベルト３６等からの外力及び／又は重力が付加されたとしても、従動プーリ３４（３３）が支持壁部４２に近付く、すなわち支持ピン５０の軸線方向へ移動することが規制される。従って、従動プーリ３４（３３）がその回転時に支持壁部４２に摺接することに起因して負荷が増加するといったことを抑えることができる。

　（７）本実施形態では、スペーサ７５（規制部７６）の軸線方向の長さを変更することで、従動プーリ３４（３３）と支持壁部４２との間における軸線方向の隙間を容易に調整することができる。特に、スペーサ７５として、カラーと呼ばれる一般的な機械要素部品を採用すれば、製造ばらつき或いは設計変更などに合わせてカラーを適宜交換することで上記隙間の調整に容易に対応することができる。

　（８）本実施形態では、従動プーリ３４（３３）をプーリ支持部４０に組み付ける前の状態であっても、プレート部６５（案内フランジ６８）によって、スペーサ７５が従動プーリ３４から外れることを抑えることができる。プーリ支持部４０に対する従動プーリ３４（３３）等の組付性を向上させることができる。

　（９）本実施形態では、スペーサ７５がプレート部６５と係合することで、従動プーリ３４（３３）に対してスペーサ７５の軸心がずれることを抑えることができる。従動プーリ３４（３３）及びスペーサ７５に対する支持ピン５０の組付性を向上させることができる。

　（１０）本実施形態では、支持ピン５０の組付方向は、ステップパネル１７に対する無端歯付ベルト３６等の組付方向に一致していることで、その組付性を向上させることができる。

　（１１）本実施形態では、プレート部６５によりベアリング７０内部に砂塵等が侵入することを抑えることができる。
　なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。

　・図５に示すように、前記支持ピン５０に準じた構造の支持ピン８０を、前記プーリ支持部４０に準じた構造のプーリ支持部９０に対して上方から組み付けるようにしてもよい。プーリ支持部９０は、車両の高さ方向に互いに対向して配置された一対の略平板状の支持壁部９１，９２を有する。第１の支持壁部である下方の支持壁部９１には、前記支持壁部４３と同様の挿通孔９３及び防護壁９４が形成されており、第２の支持壁部である上方の支持壁部９２には、その中央部を車両の高さ方向に貫通し且つ挿通孔９３と同心である円形の嵌合孔９５が形成されている。各支持壁部９１，９２に、ウェルドが存在しないようにするためのスリット（図示略）が形成されていることはいうまでもない。

　支持ピン８０は、嵌合孔９５の内径と同等の外径を有する略円柱状の頭部８１を有するとともに、前記支持ピン５０と同様の大径部８２、小径部８３及び係合部８４を有する。従って、支持ピン８０がプーリ支持部９０に対して上方から下方に向かって組み付けられる際に、支持壁部９２の嵌合孔９５に対して係合部８４、小径部８３、及び大径部８２が順次挿入されて、頭部８１が嵌合孔９５に圧入される。支持ピン８０は、大径部８２の下端が挿通孔９３上端の周縁部に係合することで、下方への移動が規制される。さらに、支持壁部９１の挿通孔９３に対して係合部８４が挿入（圧入）されて、小径部８３が挿通孔９３に挿入される。支持ピン８０は、挿通孔９３を貫通した係合部８４の段差が挿通孔９３下端の周縁部に係合することで、上方への移動が規制される。

　支持ピン８０のプーリ支持部９０への組付けに伴い、両支持壁部９１，９２の間に配置された従動プーリ３４（３３）等が支持ピン８０に支持される。特に、ベアリング７０のインナレース７２に大径部８２を挿通する際、該大径部８２とインナレース７２との間の摩擦力によってベアリング７０に下方への移動力が作用しても、支持壁部９１に当接するスペーサ７５によりベアリング７０の移動が規制される。

　このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。なお、支持ピン８０の小径部８３は、挿通孔９３に圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。また、支持ピン８０の大径部８２は、ピン挿通孔６２ａに圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。また、支持ピン８０の大径部８２は、ベアリング７０（インナレース７２）に圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。また、支持ピン８０の大径部８２は、スペーサ７５（規制部７６）に圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。

　・前記実施形態において、支持ピン５０の大径部５１は、挿入孔４４ａに圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。同様に、支持ピン５０の小径部５２は、挿通孔４７に圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。

　・前記実施形態において、支持ピン５０の大径部５１は、ベアリング７０（インナレース７２）に圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。
　・前記実施形態において、支持ピン５０の大径部５１は、スペーサ７５（規制部７６）に圧入されていてもよいし遊挿されていてもよい。

　・前記実施形態において、支持ピン５０の大径部５１上端は、挿通孔４７下端の周縁部に当接していてもよいし近接していてもよい。
　・前記実施形態において、防護壁４８は、少なくとも係合部５４の上端と同等の位置まで支持壁部４３から延びていればよい。また、防護壁４８を省略してもよい。

　・前記実施形態において、第２のテーパ部５６ｂの最大径は、第１のテーパ部５５ｂの最大径と同等でもよい。
　・前記実施形態において、支持ピン５０の軸線に対する第２のテーパ部５６ｂの傾斜角度は、支持ピン５０の軸線に対する第１のテーパ部５５ｂの傾斜角度と同等又はそれよりも小さくてもよい。

　・前記実施形態において、支持ピン５０の係合部５４の案内部５６（第２の段差５６ａ、第２のテーパ部５６ｂ）を省略してもよい。
　・前記実施形態において、下方の支持壁部４２のスリット４６を省略してもよい。また、下方の支持壁部４２に対する支持ピン５０の下端部の支持構造は任意である。

　・前記実施形態において、ベアリング７０に代えて、略円柱状の転動体を有するベアリングを採用してもよい。
　・前記実施形態において、ベアリング７０を省略してもよい。この場合、従動プーリ３４（３３）は、支持ピン５０，８０に回転可能に支持されていてもよいし、支持ピン５０，８０と共にプーリ支持部４０，９０に回転可能に支持されていてもよい。

　・前記実施形態において、スペーサ７５を省略してもよい。特に、ベアリング７０と共にスペーサ７５を省略する場合、本体部６０及びプレート部６５は一体形成されていてもよい。つまり、従動プーリ３４（３３）は、単一部材で構成されていてもよい。

　・前記実施形態において、アイドルプーリ３５の支持構造を、従動プーリ３４等の支持構造と同様にしてもよい。
　・前記実施形態においては、ステップパネル１７が支持部材を兼用したが、ステップパネル１７とは別に、樹脂製の支持部材を設けてもよい。

　・前記実施形態において、プーリと伝動帯との組み合わせとして、歯付きの従動プーリ３４（３３）と無端歯付ベルト３６との組み合わせに代えて、例えば歯無しのプーリと歯無しの無端ベルト又はワイヤとの組み合わせを採用してもよいし、スプロケットとチェーンとの組み合わせを採用してもよい。

　・開閉体は、スウィングドア、バックドア、トランクリッド、サンルーフ、或いは窓ガラスなどであってもよい。

Claims

　開閉体を開閉させる開閉装置であって、
　互いに対向して配置された第１及び第２の支持壁部を有する樹脂製の支持部材と、
　前記第１及び第２の支持壁部にそれぞれ挿入される軸線方向両端部を有する支持ピンと、
　前記第１及び第２の支持壁部の間に配置されて前記支持ピンが挿通されるプーリと、
　前記プーリに掛けられて前記開閉体に連係される伝動帯と、
　前記開閉体が開閉するように前記支持ピンの軸線周りに前記プーリを従動回転させつつ前記伝動帯を移動させる電気的駆動源と、を備え、
　前記第１の支持壁部は、前記支持ピンの対応する軸線方向端部が挿通される挿通孔、及び成形後の当該第１の支持壁部にウェルドが存在しないようにすべく前記挿通孔に連続するスリットを有し、
　前記挿通孔を貫通する前記支持ピンの軸線方向先端には係合部が形成され、前記係合部は、前記挿通孔の周縁部に係合可能な段差と、該段差に接続され前記係合部の先端に向かって縮径されるテーパ部とを有する、開閉装置。
　前記段差は第１の段差であり、前記テーパ部は第１のテーパ部であり、
　前記係合部はさらに、前記第１のテーパ部の先端に接続され該先端よりも拡径された第２の段差と、該第２の段差に接続され前記係合部の先端に向かって縮径される第２のテーパ部と、を有する、請求項１に記載の開閉装置。
　前記支持ピンの軸線に対する前記第２のテーパ部の傾斜角度は、前記支持ピンの軸線に対する前記第１のテーパ部の傾斜角度よりも大きい、請求項２に記載の開閉装置。
　前記第２のテーパ部は、前記第１のテーパ部の最大径よりも小さい最大径を有する、請求項２又は３に記載の開閉装置。
　前記第１の支持壁部は、該第１の支持壁部から少なくとも前記係合部の先端と同等の位置まで延びて前記係合部を包囲する防護壁を有する、請求項１～４のいずれか一項に記載の開閉装置。
　前記プーリは、前記支持ピンが挿通されるピン挿通孔及び該ピン挿通孔よりも拡開されたベアリング装着孔を有し、
　前記ピン挿通孔の周縁部に当接する状態で前記ベアリング装着孔に圧入されるアウタレースと、該アウタレースの径方向内側に配置されて前記支持ピンが挿通されるインナレースと、前記アウタレースと前記インナレースとの間に配置される転動体とを有するベアリングと、
　前記インナレースと前記第１又は第２の支持壁部とに当接する状態で前記支持ピンが挿通されるスペーサと、を備えた、請求項１～５のいずれか一項に記載の開閉装置。
　前記プーリは、本体部とプレート部とを有し、
　前記本体部は、前記ベアリング装着孔を有する筒状のベルト車部と、前記ベルト車部の第１の端部に接続され前記ピン挿通孔を有する蓋壁部と、前記ベルト車部の第１の端部から径方向外側に向かって延びる第１の抜け止め部と、を有し、
　前記プレート部は、前記ベアリング装着孔に組み付けられる円筒状の挿入部と、前記ベルト車部の第２の端部と当接し且つ前記挿入部の端部から径方向外側に向かって延びる第２の抜け止め部と、前記挿入部の端部から径方向内側に向かって延びる案内フランジと、を有する、請求項６に記載の開閉装置。
　前記スペーサは前記プレート部と係合する、請求項７に記載の開閉装置。
　開閉体を開閉させる開閉装置であって、
　互いに対向して配置された第１及び第２の支持壁部を有する支持部材と、
　前記第１及び第２の支持壁部にそれぞれ挿入される軸線方向両端部を有する支持ピンと、
　前記第１及び第２の支持壁部の間に配置されるプーリであって、前記支持ピンが挿通されるピン挿通孔及び該ピン挿通孔よりも拡開されたベアリング装着孔を有する前記プーリと、
　前記ピン挿通孔の周縁部に当接する状態で前記ベアリング装着孔に圧入されるアウタレースと、該アウタレースの径方向内側に配置されて前記支持ピンが挿通されるインナレースと、前記アウタレースと前記インナレースとの間に配置される転動体とを有するベアリングと、
　前記プーリに掛けられて前記開閉体に連係される伝動帯と、
　前記開閉体を開閉するように前記ベアリングを介して前記支持ピンの周りに前記プーリを従動回転させつつ前記伝動帯を移動させる電気的駆動源と、
　前記インナレースと前記第１又は第２の支持壁部とに当接する状態で前記支持ピンが挿通されるスペーサと、を備えた、開閉装置。