WO2015056442A1 - 1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール、その製造方法および1-アミノカルバゾールの製造方法 - Google Patents

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    • C07D209/88Carbazoles; Hydrogenated carbazoles with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to carbon atoms of the ring system

Abstract

 カルバゾール環の1位のみにニトロ基を置換した1-ニトロカルバゾールは、他の異性体も混入するため高収率では得られない。3,6-ジクロロカルバゾール1.18gを、1,4-ジオキサン15mlおよび酢酸15mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液を撹拌しながら、亜硝酸ナトリウム0.69gを少しずつ添加した。添加と同時に、溶液は黄白色に懸濁したこの懸濁液を加熱後、水を加えて生じた固体を濾別し、同定を行った。その結果、残渣は下記化合物の1-ニトロ-3,6-ジクロロカルバゾールであり、収率は98%であった。

Description

1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール、その製造方法および1-アミノカルバゾールの製造方法
 本開示は、1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール、その製造方法および1-アミノカルバゾールの製造方法に関する。
 カルバゾールは周知の骨格構造を有し、ホール輸送性や発光性を利用した例えば有機エレクトロルミネッセンス材料や太陽電池材料等、または生理活性を利用した例えば癌治療薬等に適用されている。これらの製品に適合させるため、カルバゾール骨格に各種の官能基を導入する技術が研究されている。その一角としてニトロ化が挙げられる。
 カルバゾール骨格でニトロ置換する位置は、1位(8位も同様)、2位(7位も同様)、3位(6位も同様)および4位(5位も同様)の4種類があり、2位置換に関しては特許文献1があり、1位置換および3位置換に関しては例えば特許文献2や特許文献3がある。
特開2011-001349号公報 特開2000-229943号公報 特開平07-133261号公報
 ニトロカルバゾールに関する特許文献2および特許文献3では、9-エチルカルバゾールを強酸の硝酸でニトロ化し、3-ニトロカルバゾール110gおよび1-ニトロカルバゾール8gを得た旨が開示されている。この方法では上述したように、1-ニトロカルバゾールの収率は極めて低く、生成する2種類のニトロカルバゾールを分離するには、クロマトグラフィーで分離精製する等の手法が必要で、実験室レベルの生産にしか対応できない課題がある。
 本開示は、1位のみにニトロ化した新規な1-ニトロカルバゾールとその製造方法、および1-アミノカルバゾールの製造方法を開示する。
 本開示における1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールは、一般式(化9)で表される1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールである(式中のRは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基またはハロゲノ基の何れかで、Rは、水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のハロゲン化アルキル基の何れかを示す)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 本開示における1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールの製造方法は、下記一般式(化10)で示される3,6-置換カルバゾール(式中のRは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基、またはハロゲノ基の何れかを示す)を、エーテルとカルボン酸との混合溶媒で溶解した反応溶液に、亜硝酸アルカリ金属塩を加え、下記一般式(化11)で表される化合物を与える。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 本開示における1-アミノカルバゾールの製造方法は、下記一般式(化12)の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール(式中のRは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基またはハロゲノ基の何れかで、Rは、水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のハロゲン化アルキル基の何れかを示す)を、還元剤で還元し、下記一般式(化13)で表される化合物を与える。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 本開示における1-アミノカルバゾールの製造方法は、下記一般式(化14)の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール(式中のRは、塩素、臭素またはヨウ素の何れかで、Rは、水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環の何れかを示す)を、還元剤で還元し、下記一般式(化15)で表される化合物を得る。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 ニトロカルバゾールは、電子供与性のカルバゾール環に、電子求引性のニトロ基が直接置換しているため、分子内でドナー・アクセプター構造を取る。本開示における1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールは、電子供与性が高い9位のアミノ基に隣接する1位のみにこのニトロ基が置換した構造であるため、3位や6位に置換したニトロ基に比べると、分子内での分極が大きい。したがって、この分子内分極性により、例えば二次または三次の非線形光学材料、例えば広帯域光変調器、光フィルター、高速光スイッチ、電磁波検知等の電気光学素子材料、例えば太陽電池の色素材料等に適用することができる。また、例えば9位にビニル基等の不飽和基を有する9-アルケニル-1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールまたは9-アルキニル-1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール(ただし、アルケニル基またはアルキニル基の炭素数が3以上の場合には不飽和結合は末端以外も含む)では、このビニル基を重合して高分子化すると、例えば電場配向ポリマー材料等に適用することができる。
 また、本開示の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールの製造方法は、特許文献2および3に比べると、1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールをはるかに高収率で得ることができる。さらに、例えば特許文献2や3等に記載している技術で適用されるクロマトグラフィーでの分離精製等の手法を必要としないことから、工業的に耐え得る1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールの製造方法を提供できる。
 また、本開示の1-アミノ-3,6-置換カルバゾールの製造方法、または1-アミノカルバゾールの製造方法は、1位のニトロ基のみをアミノ基に確実でしかも高収率で変換することができる。
 この1-アミノ-3,6-置換カルバゾール、1-アミノカルバゾールまたは1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールそれぞれは、カルバゾール環の9位の窒素に対するオルト位に窒素原子を備える。したがって、相隣接する窒素原子が金属原子に対し二座配位し、金属錯体を形成することができる。このことに加え、カルバゾール環が備える発色または発色助剤の特性が相俟って、例えば室温燐光有機発光材料や、有機太陽電池の色素材料に応用することができる。また、天然物由来のカルバゾールアルカロイドには、1-置換カルバゾールを主骨格として含有している。したがって、本開示の1-アミノカルバゾールは、例えば抗癌剤等の新規医薬として広く応用することができる。
 以下、適宜化学式を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
 なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために化学式および以下の説明を提供するのであって、これらによって本発明を限定することを意図するものではない。
 先ず、(化16)に示す1-ニトロ-3,6-置換-9-R-カルバゾールの置換基Rについて述べる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 [置換基Rについて]
 置換基Rは、カルバゾール環の3位および6位それぞれに置換している。この置換基Rは、カルバゾール環の1位、8位および9位に対し、カルバゾール環のメチンを複数個介して離れている。このため、1位にニトロ基を導入するに当たり、置換基Rの立体的な影響(いわゆる立体障害)はない。したがって、置換基Rとしては、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基、ハロゲン等の何れでも適用することができる。なお、上述した置換基Rにおいて、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、またはジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基は、アミノ基の窒素に同一の基が置換した構成だけではない。すなわち、例えばジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基は、アリール基をArとすると(Ar,Ar)-置換アミノ基であり、ArおよびArは同一の場合も含む。なお、本開示におけるアリール基は、芳香環だけではなく複素環も含んだ構成である。同様に、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基は、アルキル基をRとすると(R,R)-置換アミノ基であり、RおよびRは同一の場合も含む。
 置換基Rがアルキル基の例としては、ノルマル炭化水素基、分岐炭化水素基が挙げられ、炭素数としては1乃至8が供される。例えばブチル基を例に挙げると、ノルマルブチル基、2位の炭素から水素を除き枝分かれ状の置換基としたsec-ブチル基、枝分かれ状のイソブタンの末端炭素から水素を除き置換基としたiso-ブチル基、および枝分かれ状のイソブタンの2位の炭素から水素を除き置換基としたtert-ブチル基の何れでも供することができる。
 置換基Rがアルケニル基の例としては、直鎖状アルケニル基や分岐アルケニル基が挙げられ、炭素数としては1乃至8が供される。アリル基を始め、例えばC基を例に挙げると、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチル-3-ブテニル基等の何れでも供することができる。
 置換基Rがアルキニル基の例としては、直鎖状アルキニル基や分岐アルキニル基が挙げられ、炭素数としては1乃至8が供される。例えばC基を例に挙げると、4-ペンチニル基、2-ペンチニル基、2-ペンチン-4-イル基等の何れも供することができる。
 置換基Rがアルコキシ基の例としては、直鎖状アルコキシ基や分岐アルコキシ基等が挙げられ、炭素数としては1乃至8が供される。メトキシ基やメトキシ基を始め、CO基を例に挙げると、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基等の何れも供することができる。また、アルコキシ基の炭素に、アリール基、または複素環等が置換していても適用することもできる。
 置換基Rがアリール基の例としては、カルバゾール環の3位および6位の水素がアリール基の環構造に直接置換していても、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基(ただし、アルケニル基またはアルキニル基の炭素数が3以上の場合には、不飽和結合は末端以外も含む)の炭化水素基、または例えば一部の炭素が窒素や硫黄のような他の元素で置換されている官能基を介して置換していてもよい。アリール基の環構造は、一般的に五員環または六員環が挙げられるが、他にもナフチル基等の多環炭化水素基を供することができる。アリール基がアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基(ただし、アルケニル基またはアルキニル基の炭素数が3以上の場合には不飽和結合は末端以外も含む)等のいわゆる炭化水素基を有する場合には、置換する炭化水素の炭素数は1乃至8を供することができ、上述したように形状的には直鎖状でも分岐状でもよい。
 置換基Rが複素環の例としては、飽和または不飽和の何れでもよく、特に限定されない。環構造には一般的に炭素数が3の三員環以上であるが、構造的に安定している五員環または六員環が一般的に供される。飽和複素環は、五員環としては例えばピロリジン、テトラヒドロチオフェン等が挙げられ、六員環としては例えばテトラヒドロチオピラン、ピペリジン等が挙げられる。また、不飽和複素環は、五員環としては例えばチオフェン、ピロール等が挙げられ、六員環としては例えばピリジン等が挙げられる。上述した複素環は単一の元素で構成されるいわゆる単複素原子環式化合物であるが、モルホリン、イミダゾール、オキサゾール、ピラリジン等であってもよい。また、例えばインドール、キノリン、ベンゾイミダゾール、キサンテン等の共役環構造が大きくても適用することができる。さらに、複素環に例えばアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基(ただし、アルケニル基またはアルキニル基の炭素数が3以上の場合には不飽和結合は末端以外も含む)等が置換していても適用することができ、これらの置換基を介してカルバゾール環の3位および6位に結合していても、これらの置換基が複素環と結合していても何れでもよい。
 置換基Rが含窒素置換基の例としては、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、またはエチル・フェニルアミノ基等のアミノ基の窒素原子にアルキル基またはアリール基が置換するアルキルまたはアリール置換アミノ基、メチルベンジルアミノ基またはエチルベンジルアミノ基等のアミノ基の窒素原子にアルキル基を介してフェニル基が置換するベンジル置換アミノ基等も適用することができる。なお、上述のアリール基は複素環であっても適用することができる。
 置換基Rには、ハロゲンも適用することができる。ハロゲンの中でも、塩素または臭素が反応性のバランスが良好であり、取扱い性に優れる。
 なお、3位の置換基Rと6位の置換基Rとは、それぞれ相異なる化合物であってもよいが、一般的に3位および6位を置換させるには同一の化合物を反応させるため、同一の置換基(いわゆる、3,6-ジ置換)の場合が多い。
 [置換基Rについて]
 カルバゾール環の9位は窒素原子であるため、9-R-カルバゾールまたはN-R-カルバゾールとも称される。置換基Rは、水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のアルケニル基、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のアルキニル基、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のハロゲン化アルキル基の何れかである。なお、置換基Rが水素の場合には、単にカルバゾールと称される。また、置換基Rが不飽和結合を具備する場合には、この不飽和結合を重合させることで、例えばフィルム化等により、新たな特性を付与させることもできる。さらに、置換基Rが、例えばベンジル基のように、カルバゾールの窒素原子にアルキル基を介してアリール基が置換していてもよい。また、アルキル基を介して複素環が置換していてもよい。
 [1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールの合成について]
 上述の(化16)で表される1-ニトロ-3,6-置換-9-R-カルバゾールは、(化17)に示したカルバゾール環の9位に水素を備える3,6-置換カルバゾールをニトロ化し、(化18)に示した1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを合成することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 この(化17)に示した3,6-置換カルバゾールを、例えば亜硝酸ナトリウムのような弱ニトロ化剤を用いてニトロ化する。この弱ニトロ化剤は、通常のニトロ化で専ら用いられる例えば混酸、金属硝酸塩または硝酸アセチルのような強ニトロ化剤よりも弱い。このため上述した例えば混酸のような強ニトロ化剤で3,6-置換カルバゾールをニトロ化すると、1位および8位共にニトロ化した1,8-ジニトロ-3,6-置換カルバゾールが得られる。これに対し、弱ニトロ化剤でのニトロ化では、1位のみに選択的にニトロ化した(化18)の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを得ることができる。なお、本開示の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを得る弱ニトロ化剤としては、亜硝酸ナトリウムのみに限定されるものではなく、例えば亜硝酸カリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩であってもよい。
 また、反応溶媒としては、(化17)に対して良溶媒のエーテル系とカルボン酸系との混合溶媒が用いられる。エーテル系溶媒とカルボン酸系溶媒の混合比は、20:80~80:20とすることができる。エーテル系の溶媒としては、例えば1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)等の環状エーテルや、アルキル基および/またはアリール基が酸素原子を介して結合した例えばジエチルエーテルまたはエチルメチルエーテル等のような鎖状エーテルが挙げられる。なお、構造的な安定性、反応後の処理の容易性および収率の関係で水溶性のエーテルが一般的に適用される。また、この反応溶液の(化17)の濃度は、mol濃度で0.05以上0.40以下の範囲である。なお、上述のカルボン酸としては、例えば酢酸、ギ酸、酪酸等を挙げることができる。ここで、カルボン酸は、例えば亜硝酸ナトリウムから亜硝酸を遊離させることができる。また、後述するように、カルバゾール環の9位に置換したニトロソ基を1位に転位させるときにも働く。
 なお、3,6-置換カルバゾールから1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールが生成する反応は、2段階の反応である。1段階目は、3,6-置換カルバゾールから(化19)に示した9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールを生成する。2段階目は、上述の9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールから1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを生成する。1段階目における9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールを生成する反応は、上述の通り反応溶液に弱ニトロ化剤を添加することで開始させることができるが、10分以上2時間以下、室温で撹拌することで、より確実に反応させることができる。なお、この室温での撹拌時間は、通常30分程度で十分であるが、反応溶液の濃度による変化を見越し、1時間程度撹拌すれば充分である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 [9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールの合成について]
 3,6-置換カルバゾールから1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを得る過程では、9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールを単離する方法と、9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールは中間体として存在するだけで直接1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを得る方法とがある。両者の違いは、3,6-置換カルバゾールと弱ニトロ化剤との反応における反応温度の差に依存し、反応温度が低い方が9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールを分離し易い。
 (化17)に示した3,6-置換カルバゾールの溶媒に、例えばTHFと酢酸との混合溶媒等を使用した場合には、弱ニトロ化剤添加の後、生成する9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールは、室温では使用溶媒に難溶で、懸濁液となる。このため、9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールを単離し易い。なお、この9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾール反応の収率は、ほぼ100%である。また、9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールは、例えば酢酸を溶媒として約140℃で10時間以上24時間以下で加熱還流させると、9位のニトロソ基が1位にニトロ基として転位し、1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを生成する。
 一方、沸点が100度以上の例えば1,4-ジオキサンと酢酸との混合溶媒等を使用した場合には、上述の弱ニトロ化剤の添加で得られた懸濁液を、そのまま加熱還流させることで、1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを得ることもできる。この懸濁液中の懸濁成分は、9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールであると推定される。また、懸濁液の還流時間は10時間以上24時間以下である。
 なお、3,6-置換カルバゾールのニトロ化に、上述の混酸、金属硝酸塩または硝酸アセチル等のような強ニトロ化剤を用いると、1位と8位との双方がニトロ化した1,8-ジニトロ-3,6-置換カルバゾールが得られる。このため、本開示の9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールおよび1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを得るためには、亜硝酸アルカリ金属等の弱ニトロ化剤を3,6-置換カルバゾールに反応させる必要がある。
 また、本開示の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを、3,6-置換カルバゾールから得る方法では、置換基Rがニトロソ基に置換した9-ニトロソ-3,6-置換カルバゾールを経由させる必要がある。このため、置換基Rは水素(いわゆる、3,6-置換-9-H-カルバゾール)を適用する必要がある。なお、後述する1-アミノ-3,6-置換カルバゾール化反応等では、置換基Rは水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のアルケニル基、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のアルキニル基、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のハロゲン化アルキル基の何れであってもよい。さらに1-アミノカルバゾールのアミノ基と他の置換基とを反応等させる場合も、置換基Rは上述の何れであってもよい。
 [1-ニトロ-3,6-置換-9-R-カルバゾールの合成について]
 上述で得られた(化18)の1-ニトロ-3,6-置換-9-H-カルバゾールの9位の水素は、例えばヨウ化エチルと3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの求核置換反応等の通常の方法でRを置換することで、1-ニトロ-3,6-置換-9-R-カルバゾールが得られる。
 [1-アミノカルバゾールの合成について]
 上述のようにして得られた1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールまたは1-ニトロ-3,6-置換-9-R-カルバゾールは、例えば酸またはアルカリ共存下での亜鉛、またはギ酸塩やヒドラジン等の水素源共存下でのパラジウム炭素等といった還元剤を用いて還元する。
 なお、上述の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールまたは1-ニトロ-3,6-置換-9-R-カルバゾールの還元において、3位および6位が塩素または臭素のハロゲンの場合では、パラジウム炭素とギ酸塩またはパラジウム炭素とヒドラジン等で還元すると、カルバゾール環に置換している3位および6位のハロゲンも還元され、(化20)に示した1-アミノカルバゾールを得ることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 以下、具体的な実施例を挙げ、本開示技術の詳細を説明する。なお、下記の実施例では、3,6-置換-9-R-カルバゾールの置換基Rに塩素、置換基Rに水素を用いた(化21)に示す3,6-ジクロロカルバゾールの例で説明する。ただし、下記の実施の形態は本開示の一例であり、本発明に限定を加えるものではない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 (実施例1)
 [3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール化_その1]
 [3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールの合成]
 本実施例における(化21)に示した3,6-ジクロロカルバゾールの1位のニトロ化は、下記の要領で行った。すなわち、3,6-ジクロロカルバゾール8.50g(36.0mmol)を、THF120mlおよび酢酸120mlの混合溶媒に溶解させた。室温(25℃)でこの溶液を撹拌しながら、亜硝酸ナトリウム6.21g(90.0mmol)を少しずつ添加した。添加と同時に、溶液は黄白色に懸濁した。なお、本実施例では、この反応をより確実にするため、室温で多量の純水(本実施例では、約0.8l)を加え、1時間撹拌した。懸濁液を濾別し、析出した黄白色固体を純水で洗浄し精製した。この黄白色固体の収量は9.54gであった。
 [3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールの同定]
 以上の反応で得られた黄白色固体を、核磁気共鳴(NМR)スペクトルと、マススペクトル(HRМS)による質量分析とで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、CDCl):δ 7.47(dd, 1H,J=8.6, 1.8Hz, 7-H), 7.57(dd, 1H, J=8.6, 1.8Hz, 2-H), 7.86(d, 1H, J=1.8Hz, 5-H), 7.89(d, 1H, J=1.8Hz, 4-H), 8.18(d, 1H, J=8.6Hz, 8-H), 8.48(d, 1H, J=8.6Hz, 1-H)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C12ClO) [М+H]:264.9935, found:264.9900
であった。
 以上のNМRスペクトルより、原料の3,6-ジクロロカルバゾールの9位の水素が消失していることと、HRМSによる質量分析から、上記黄白色固体は、(化22)で示される3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールであることが同定できた。なお、この3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールの収率は91%である。このように、本実施例によると、高収率で3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールを得ることができた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 なお、この(化22)は化合物として単離することができる安定物質である。
 [3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの合成]
 次に、(化22)の3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾール9.54gを、酢酸240mlに懸濁させた。その後、140℃で20時間加熱撹拌した。加熱撹拌した懸濁溶液を室温まで冷却し、大過剰の純水を加え、懸濁液を濾過し橙色の固体を濾別し、純水での洗浄により精製した。
 [3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの同定]
 このようにして得た橙色の固体を、NМRスペクトルと、HRМSスペクトルとで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、DМSO-d):δ 7.57(dd, 1H,J=8.7, 1.7Hz, 7-H), 7.73(d, 1H, J=8.7Hz, 8-H), 8.31(d, 1H, J=1.7Hz, 5-H), 8.42(d, 1H, J=1.5Hz, 4-H), 8.82(d, 1H, J=1.5Hz, 2-H), 12.40(s, 1H, NH)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C12Cl) [М-H]:278.9734, found:278.9728
であった。
 以上のNМRスペクトルより、原料のカルバゾール環の9位の水素が出現していることと、HRМSによる質量分析から、上述の加熱によって得られた橙色固体は、(化23)で示される3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールであると同定することができた。また、この3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの収率は98%であった。このように、本実施例によると、高収率で3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールを得ることができた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 上述したように、(化22)で示される3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールは、単体として分離可能であるが、例えば120℃程度の加熱によって、カルバゾール環の9位のニトロソ基は容易に1位に転位し、3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール(9位は水素)を形成する。加熱によって3,6-ジクロロ-1,8-ジニトロカルバゾールを生じなく、しかも9位のニトロソ基はカルバゾール環の他の位置に置換することはない。これは、9位のニトロソ基と1位の水素とが共鳴構造を形成しているためだと推定される。このため、この転位は分子内転位と想定される。同様に、1位に転位したニトロ基における一方のN-O結合は、カルバゾール環の9位のN-H結合と共鳴構造を形成するものと考えられる。
 なお、上記実施例では、3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールを酢酸240mlに懸濁させたが、3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾール9.54gであれば酢酸は150mlから500ml程度を使用することができる。また、懸濁液の加熱還流条件は、140℃で20時間としたが、加熱温度は120℃以上であれば例えば150℃程度でも適用でき、還流時間は10時間以上であれば例えば24時間程度であってもよい。
 (実施例2)
 [3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール_その2]
 [3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの合成]
 本実施例における(化21)に示した3,6-ジクロロカルバゾールの1位のニトロ化は、下記の要領で行った。すなわち、3,6-ジクロロカルバゾール1.18g(5.0mmol)を、1,4-ジオキサン15mlおよび酢酸15mlの混合溶媒に溶解させた。室温(25℃)でこの溶液を撹拌しながら、亜硝酸ナトリウム0.69g(10.0mmol)を少しずつ添加した。添加と同時に、溶液は黄白色に懸濁した。なお、この室温での撹拌は30分程度で十分であるが、本実施例では、この懸濁反応をより確実にするため1時間行った。
 この懸濁液を撹拌しながら20時間加熱還流させた後、室温まで冷却した。室温まで冷却した懸濁液を撹拌しながら、純水270mlを加えさらに1時間撹拌した。この懸濁液を濾過し、橙色の固体を純水で洗浄し精製した。
 [3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの同定]
 このようにして得た橙色の固体を、NМRスペクトルと、HRМSスペクトルとで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、DМSO-d):δ 7.57(dd, 1H,J=8.7, 1.7Hz, 7-H), 7.73(d, 1H, J=8.7Hz, 8-H), 8.31(d, 1H, J=1.7Hz, 5-H), 8.42(d, 1H, J=1.5Hz, 4-H), 8.82(d, 1H, J=1.5Hz, 2-H), 12.40(s, 1H, NH)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C12Cl [М-H]:278.9734, found:278.9728
であった。
 以上の分析結果から、上述の加熱によって得られた橙色固体は、(化23)で示される3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールであると同定することができた。また、この3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの収率は98%であった。このように、本実施例によると、高収率で3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールを得ることができた。
 なお、この懸濁液を加熱還流することによって、(化22)で示される3,6-ジクロロ-9-ニトロソカルバゾールが、(化23)で示される1-ニトロ-3,6-ジクロロカルバゾールに転位したものと想定される。このように、本実施例では、同一の懸濁液の加熱還流で、(化21)に示した3,6-ジクロロカルバゾールから、(化23)で示される3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールを直接得ることができる。
 なお、(化23)で示される3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールは、9位が水素の構造である。なお、この9位の水素は、例えば前述したようにヨウ化エチルと3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの求核置換反応(本例の場合は、9-エチル-3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール)等で、容易に(化24)に示した置換基Rに置換基を導入することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 このようにして得られた3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール、または3,6-ジクロロ-1-ニトロ-9-R-カルバゾールは、電子供与性のカルバゾール環の9位の窒素に電子求引性のニトロ基が隣接して置換しているため、分子内でドナー・アクセプター構成を取る。このため、分子内での分極が大きく、この分子内分極を応用した例えば二次または三次の非線形光学材料、例えば広帯域光変調器、光フィルター、高速光スイッチ、電磁波検知等の電気光学素子材料、例えば太陽電池の色素材料等に適用することができる。
 (実施例3)
 [1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾール]
 [1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾールの合成]
 本実施例における(化25)に示した3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの1位のニトロ基をアミノ基とし、(化26)に示した1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾール(1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾールも1-アミノカルバゾールの一誘導体である)の合成は、下記の要領で行った。すなわち、3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール0.13g(0.51mmol)を、THF4mlと酢酸4mlとの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、粉末状の亜鉛0.28g(4.3mmol)と酢酸4mlとを還元剤として加え、反応溶液とした。室温(25℃)でこの反応溶液を4時間撹拌することで還元反応を行った。反応終了後、過剰の亜鉛を濾別し、濾液を減圧流去した。残渣に酢酸エチルを50ml程度加えた。また、残渣内の酢酸および酢酸亜鉛等の不純物成分を除去するため、有機層を1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液を減圧することで、酢酸エチルを除去し、薄紫色の固体を0.12g得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
 [1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾールの同定]
 このようにして得た残渣を、NМRスペクトルと、HRМSスペクトルとで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、DМSO-d):δ 5.52(s, 2H,-NH), 6.66(d, J=1.8Hz, 1H, 2-H), 7.36(dd, J=2.0, 8.6Hz, 1H, 7-H), 7.44(d, J=1.8Hz, 1H 4-H), 7.52(d, J=8.6Hz, 1H, 8-H), 8.14(d,J=2.0Hz 1H, 5-H), 11.09(s, 1H, 1H, -NH)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C12Cl) [М+H]:251.0137, found:251.0120
であった。
 以上のNМRスペクトルより、原料のカルバゾール環の9位の水素、およびアミノ基に由来する水素が出現していることと、HRМSによる質量分析から、上述で得られた固体は、(化26)で示される1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾールであると同定することができた。また、この1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾールの収率は96%であった。このように、本実施例によると、高収率で1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾールを得ることができた。
 なお、本実施例の還元反応では還元剤として亜鉛および酢酸を用いたが、亜鉛の代わりにスズや塩化スズ等、また酢酸の代わりに他のカルボン酸、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等であっても適用することができた。また、上述では残渣内の酢酸および酢酸亜鉛等を除去するために水酸化ナトリウム水溶液を用いたが、水酸化カリウム水溶液等であっても適用することができた。
 (実施例4)
 [1-アミノカルバゾール]
 [1-アミノカルバゾールの合成]
 本実施例における(化25)に示した3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールの1位のニトロ基をアミノ基とし、(化26)に示した1-アミノカルバゾールの合成は、下記の要領で行った。すなわち、3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾール5.23g(18.6mmol)を、エタノール180mlに溶解させた。この溶液に還元剤として粉末の10%パラジウム炭素2.55gとギ酸アンモニウム5.86g(93.0mmol)とを加え反応溶液とした。この反応溶液を100℃で16時間加熱撹拌することで還元を行った。この反応溶液は、黒色の懸濁溶液であった。反応終了後、室温まで冷却し、パラジウム炭素触媒を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた黒紫色固体に、純水200mlを加え、酢酸エチル200mlで抽出した。その後、減圧によって酢酸エチルを除去し、紫色固体を得た。得られた紫色固体にクロロホルムを50ml加え、沸騰するまで加熱した後、そのまま温度を維持して45分撹拌した。撹拌の後、室温までこの溶液を冷却し、濾過することで薄紫色固体を2.37g得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 [1-アミノカルバゾールの同定]
 このようにして得た薄紫色固体を、NМRスペクトルと、HRМSスペクトルとで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、DМSO-d):δ 5.23(s, 2H,-NH), 6.63(d, J=7.5Hz, 1H, 2-H), 6.90(t, J=7.5Hz, 1H, 2-H), 6.90(t, J=7.5Hz, 1H 3-H), 7.10(t, J=7.5Hz, 1H, 6-H), 7.31-7.33(m, 1H, 4-H and 7-H), 7.47(d,J= 8.2Hz, 1H, 8-H), 10.75(s, 1H, -NH)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C1211) [М+H]: 183.0917, found:183.0912
であった。
 以上のNМRスペクトルより、芳香族水素の個数からカルバゾール骨格の3位および6位の塩素が水素に置き換わったこと、さらに原料のカルバゾール環の9位の水素およびアミノ基に由来する水素が出現していること、およびHRМSによる質量分析から、上述で得られた薄紫色の固体は、(化27)で示される1-アミノカルバゾールであると同定することができた。また、この1-アミノカルバゾールの収率は70%であった。このように、本実施例によると、高収率で1-アミノカルバゾールを得ることができた。
 また、本実施例では、3,6-ジクロロ-1-ニトロカルバゾールは、パラジウム炭素とギ酸アンモニウムとの組み合わせにより、ニトロ基の還元と同時に3位および6位の塩素原子が脱離したことで、1-アミノカルバゾールが得られた。
 なお、本実施例の還元反応では還元剤としてパラジウム炭素およびギ酸アンモニウムを用いたが、ギ酸アンモニウムの代わりにヒドラジン、水酸化ホウ素ナトリウム等であっても適用することができた。また、上述の例では酢酸エチルで抽出した固体をクロロホルムで還流させ濾別したが、クロロホルムの代わりに例えばジクロロメタンでも適用することができた。
 上述の実施例3で得られた1-アミノ-3,6-ジクロロカルバゾール、および実施例4で得られた1-アミノカルバゾール(以下「1-アミノカルバゾール類」と称する)は、カルバゾール環の9位の窒素原子に対し隣接したオルト位にアミノ基を有する構造である。この構造に起因して、例えば金属原子に対し二座配位し金属錯体を形成することで、1-アミノカルバゾール類分子が金属を中心に多数集合した錯体を構成させることができる。このような構成は、カルバゾール環の1位以外に置換した構成では取り得ない特徴であり、この特徴と本来のカルバゾール骨格とが相俟って、例えば金属イオンの蛍光センサー、スイッチング素子、室温燐光有機発光材料、有機太陽電池の色素材料等に応用することができる。
 また、1-アミノカルバゾール類のアミノ基は、例えばアミド化等により1-アミノカルバゾール類自体の特性を自由に変更させることができる。このため、分子の電子構造の変換によって、例えば有機エレクトロルミネッセンスの発光材料、有機太陽電池の色素材料、半導体素子における電子またはホール輸送材料、天然由来の物質を改質する新薬材料等に広く適用することができる。
 実施例1および実施例2では、3,6-置換-9-R-カルバゾールの置換基Rに塩素(ハロゲン)を用いた例で説明したが、本開示の置換基Rはハロゲンだけではなく、アルキル基、アリール基、複素環、アルコキシ基、ジアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基の何れでも適用することができる。その一例として、置換基Rがtert-ブチル基の例を説明する。なお、以下の説明および化合物表記では、「tert-ブチル基」を「tBu基」と表記する場合もある。
 (実施例5)
 [3,6-ジtert-ブチル-1-ニトロカルバゾール化]
 [3,6-ジtert-ブチル-9-ニトロソカルバゾールの合成]
 本実施例における(化28)に示した3,6-ジtert-ブチルカルバゾールの1位のニトロ化には、下記の要領で行った。すなわち、3,6-ジtert-ブチルカルバゾール2.79g(10.0mmol)を、THF30mlおよび酢酸30mlの混合溶媒に溶解させた。室温(25℃)でこの溶液を撹拌しながら、亜硝酸ナトリウム1.38g(20.0mmol)を少しずつ添加した。添加と同時に、溶液は黄白色に懸濁した。なお、本実施例では、この反応をより確実にするため、添加終了後そのまま1時間撹拌した。その後、室温で多量の純水(本実施例では、約0.3l)を加えた。懸濁液を濾別し、析出した黄白色固体を純水で洗浄し精製した。この黄白色固体の収量は2.93gであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
 [3,6-ジtert-ブチル-9-ニトロソカルバゾールの同定]
 以上の反応で得られた黄白色固体を、核磁気共鳴(NМR)スペクトルと、マススペクトル(HRМS)による質量分析とで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、CDCl):δ 1.43(s, 9H,tBu), 1.47(s, 9H, tBu), 7.49(dd, 1H, J=8.6 1.8Hz, 2-H or 7-H), 7.58(dd, 1H, J=8.6, 1.8Hz, 2-H or 7-H), 7.92(d, 1H, J=1.8Hz, 4-H or 5-H), 7.94(d, 1H, J=1.8Hz, 4-H or 5-H), 8.12(d, 1H, J=8.6Hz, 8-H), 8.46(d, 1H, J=8.6Hz, 1-H)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C2025O) [М+H]:309.1967, found:309.1961
であった。
 以上のNМRスペクトルより、原料の3,6-ジtert-ブチルカルバゾールの9位の水素が消失していることと、HRМSによる質量分析から、上記黄白色固体は、(化29)で示される3,6-ジtert-ブチル-9-ニトロソカルバゾールであることが同定できた。なお、この3,6-ジtert-ブチル-9-ニトロソカルバゾールの収率は90%である。このように、本実施例によると、高収率で3,6-ジtert-ブチル-9-ニトロソカルバゾールを得ることができた。
 なお、この(化29)の化合物は、前述の(化22)と同様に、単離することができる安定物質である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
 [3,6-ジtert-ブチル-1-ニトロカルバゾールの合成]
 次に、(化29)の3,6-ジtert-ブチル-9-ニトロソカルバゾール2.18gを、酢酸100mlに懸濁させた。その後、140℃で20時間加熱撹拌した。加熱撹拌した懸濁溶液を室温まで冷却し、大過剰の純水を加え撹拌した。その後、この懸濁液を濾過し、橙色の固体を濾別した。純水での洗浄により精製した結果、橙色の固体2.29gを得た。
 [3,6-ジtert-ブチル-1-ニトロカルバゾールの同定]
 このようにして得た橙色の固体を、NМRスペクトルと、HRМSスペクトルとで同定を行った。その結果、
H NМR(400MHz、CDCl):δ 1.46(s, 9H,tBu), 1.49(s, 9H, tBu), 7.48(d, 1H, J=8.6Hz, 8-H) 7.59(dd, 1H, J=8.6, 1.7Hz,7-H), 8.10(d, 1H, J=1.4Hz, 2-H), 8.35(d, 1H, J=1.7Hz, 5-H), 8.41(d, 1H, J=1.4Hz, 4-H), 9.81(s, 1H, NH)で、
HRМS(ESI法):m/z値(calcd for C2023) [М-H]:323.1765, found:323.1759であった。
 以上のNМRスペクトルより、原料のカルバゾール環の9位の水素が出現していることと、HRМSによる質量分析から、得られた橙色の固体は、(化30)で示される3,6-ジtert-1-ニトロブチルカルバゾールであると同定することができた。また、この3,6-ジtert-1-ニトロブチルカルバゾールの収率は100%であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
 本実施例で、置換基Rがハロゲン以外のアルキル基の一例としてtert-ブチル基を挙げ説明した。このように、置換基Rはこれらの他にも、アリール基、複素環、アルコキシ基、アリール基をArとすると(Ar,Ar)-アミノ基(ただし、ArおよびArは同一の場合も含む)、アルキル基をRとすると(R,R)-置換アミノ基(ただし、RおよびRは同一の場合も含む)の何れでも同様に適用することができる。
 また、(化30)に示した3,6-ジtert-1-ニトロブチルカルバゾールから、(化31)に示した1-アミノ-3,6-ジtertブチルカルバゾールへの還元反応は、実施例3に準拠することで同様に得ることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
 なお、上述の実施例では、3,6-ジクロロカルバゾールおよび3,6-ジtertブチルカルバゾールを取り上げたが、RおよびRがtert-ブチル基以外の場合にも同様の合成方法を採用できる。
 以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態および実施例を説明した。そのために、化学式および詳細な説明を提供した。
 したがって、化学式および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が化学式や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
 また、上述の実施の形態および実施例は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
 本開示は、カルバゾール環の1位のみをニトロ化またはアミノ化した新規カルバゾール誘導体およびその製造方法に関するため、例えば二次または三次非線形材料、広帯域光変調器、光フィルター、光スイッチ、電磁波検知装置、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス、光屈折性材料、新規医薬等に適用することができる。

Claims (8)

  1.  下記一般式(化1)で表される1-ニトロ-3,6-置換カルバゾール:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024

    ここで、式中のRは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基またはハロゲノ基の何れかで、Rは、水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のハロゲン化アルキル基の何れかを示す。
  2.  下記一般式(化2)で示される3,6-置換カルバゾールを、エーテルとカルボン酸との混合溶媒で溶解した反応溶液に、亜硝酸アルカリ金属塩を加え、下記一般式(化3)で表される化合物を得る1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールの製造方法:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025

    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026

    ここで、式中のRは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基またはハロゲノ基の何れかを示す。
  3.  前記一般式(化2)の前記反応溶液が、前記一般式(化3)を得る過程で、下記一般式(化4)の3,6-置換-9-ニトロソカルバゾールを経る、請求項2記載の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールの製造方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
  4.  前記一般式(化3)に、R-Xを添加し、前記(化1)の化合物を得る、請求項2記載の1-ニトロ-3,6-置換-カルバゾールの製造方法:
    ここで、Rは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐のハロゲン化アルキル基の何れかを示し、式中のXはハロゲン原子を示す。
  5.  下記一般式(化5)の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを、還元剤で還元し、下記一般式(化6)で表される化合物を得る1-アミノ-3,6-置換カルバゾールの製造方法:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028

    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029

    ここで式中のRは、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環、炭素数1乃至8のアルコキシ基、ジ-(置換または非置換アリール)-アミノ基、ジ-(置換または非置換アルキル)-アミノ基またはハロゲノ基の何れかを示す。
  6.  前記還元剤が亜鉛および酢酸の組み合わせ、亜鉛および無機酸の組み合わせ、スズおよび酢酸の組み合わせ、スズおよび無機酸の組み合わせ、亜ジチオン酸ナトリウムのいずれかである、請求項5記載の1-アミノ-3,6-置換カルバゾールの製造方法。
  7.  下記一般式(化7)の1-ニトロ-3,6-置換カルバゾールを、還元剤で還元し、下記一般式(化8)で表される化合物を得る1-アミノカルバゾールの製造方法:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030

    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031

    ここで、式中のRは、塩素、臭素またはヨウ素の何れかで、Rは、水素、炭素数1乃至8の直鎖状または分岐アルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環の何れかを示す。
  8.  前記還元剤がギ酸アンモニウム、またはヒドラジンであり、前記還元剤に還元触媒としてパラジウム炭素を添加する、請求項9記載の1-アミノカルバゾールの製造方法。
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