WO2015002245A1

WO2015002245A1 - 防水コネクタ

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Publication number: WO2015002245A1
Application number: PCT/JP2014/067684
Authority: WO
Inventors: 真之片岡; 史憲杉山; 拓河村
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2013-07-02
Filing date: 2014-07-02
Publication date: 2015-01-08
Also published as: JP2015011950A; US20160111809A1; DE112014003119T5

Abstract

シール部材（３）は、一方の面（１３）及び他方の面（１４）を有しフィルム状に形成されるとともに、コネクタハウジング（４）の成形時の熱にて溶融する溶融フィルムであって、該シール部材（３）はとして、第一シール部材（１５）と、第二シール部材（１６）とを備える。第一シール部材（１５）は、端子金具（２）の中間部（９）の板部（１２）に配設される。また、第二シール部材（１６）は、高圧電線（１）の端末の絶縁体（６）に配設される。シール部材（３）は、ニトリルゴム樹脂やフェノール樹脂、オレフィン系樹脂を用いて形成される。

Description

防水コネクタ

　本発明は、モールド成形により電気的な接続部分をコネクタハウジングに埋設してなる防水コネクタに関する。

　例えばハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されるインバータユニットとバッテリーとの間、さらには、インバータユニットとモーターユニットとの間は、高圧のワイヤハーネスにより電気的に接続される。ワイヤハーネスの端末には、防水性を有するコネクタ、すなわち防水コネクタが設けられる。

　下記特許文献１には、防水コネクタの構成及び構造に係る技術が開示される。以下、図９を参照しながら説明をする。防水コネクタ１０１は、電線１０２の端末に設けられる金属製の端子金具１０３と、モールド成形対象部分１０４を埋設してなる樹脂製のコネクタハウジング１０５と、このコネクタハウジング１０５の外部から電線１０２及び端子金具１０３の接続部分への水分の浸入を防止するシール部材１０６、１０７とを備えて構成される。

　上記のモールド成形対象部分１０４は、端子金具１０３の中間１０８から電線１０２の端末の被覆部１０９にかけての範囲が該当し、このようなモールド成形対象部分１０４がコネクタハウジング１０５に埋設される。

　シール部材１０６、１０７は、シリコーンゴムやブチルゴムからなるものであり、材質的に弾性と接着性とを有する。このような材質のものをテープ状にして、シール部材１０６、１０７は形成される。テープ状に形成されたシール部材１０６は、端子金具１０３の中間１０８に巻き付けられる。また、シール部材１０７は、電線１０２の端末の被覆部１０９に巻き付けられる。シール部材１０６、１０７は、コネクタハウジング１０５の成形に伴いモールド成形対象部分１０４とともに埋設される。

日本国特開２００９－２５２７１２号公報

　上記従来の防水コネクタ１０１にあっては、弾性等を有するシール部材１０６、１０７を用いることから、コネクタハウジング１０５の成形時において、シール部材１０６、１０７は、樹脂材料の熱により変形が生じ易く、そのため成形不良を引き起こしてしまうという問題点を有する。また、コネクタハウジング１０５の成形時において、シール部材１０６、１０７に偏肉、、換言すればシール部材１０６、１０７の厚みが一定でない、などが発生する虞もあることから、期待通りの防水性が得られないという問題点も有する。

　本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、安定した防水性と成形性とを確保することが可能な防水コネクタを提供することを課題とする。

　上記課題を解決するためになされた本発明は、電気接触部、電線接続部、及び該電気接触部と該電線接続部の間に位置する中間部を有し、該電線接続部を介して電線端末に設けられる金属製の端子金具と、前記中間部及び前記電線端末の被覆部を含むモールド成形対象部分が埋設される樹脂製のコネクタハウジングと、前記モールド成形対象部分に配設され、且つ前記コネクタハウジングの外部から前記電線接続部への水分の浸入を防止するシール部材と、を備える防水コネクタにおいて、前記シール部材は、前記コネクタハウジングの成形時の熱にて溶融する樹脂製の溶融フィルムであることを特徴とする。

　このような特徴を有する本発明は、溶融フィルムがシール部材として採用された防水コネクタである。溶融フィルムは、コネクタハウジングの成形時の熱にて溶融し、端子金具の中間部及び電線端末の被覆部を含むモールド成形対象部分に密着することから、コネクタハウジングの外部からの水分の浸入は阻止される。具体的には、微少な凹凸が仮にあったとしても、溶融したフイルム、すなわち溶融樹脂が入り込むような状態で強固に密着することから、水分の浸入経路の形成が阻止され、これにより防水性が確保される。また、本発明によれば、シール部材に弾性を持たせなくても防水性を確保することができることから、コネクタハウジングの成形時に圧力等で変形することがなく、結果、成形不良は防止される。溶融フィルムは、コネクタハウジングの成形時の熱にて溶融しても、溶融フィルム自身が残留することで防水性は確保される。そのため、製品検査に係る良品条件が広く取れるようになる。尚、溶融フィルムは、コネクタハウジングの樹脂材料よりも端子金具や電線端末の被覆部に対し密着性のよい材質のものが好ましい。また、単なるゴム材よりも密着性のよい材質のものが好ましい。

　また、本発明は、上述の防水コネクタにおいて、前記シール部材として、前記中間部に配設される第一シール部材と、前記被覆部に配設される第二シール部材と、を備えることを特徴とする。

　このような特徴を有する本発明は、シール部材として第一シール部材と第二シール部材とを採用する防水コネクタである。第一シール部材と第二シール部材とを電気的な接続部分の前後に配設すれば、コネクタハウジングの外部から電気的な接続部分への水分の浸入は確実に阻止される。

　また、本発明は、上述の防水コネクタにおいて、前記シール部材は、前記中間部から前記被覆部にかけて覆う筒状に形成されることを特徴とする。

　このような特徴を有する本発明によれば、シール部材として筒状のものを採用してなる防水コネクタである。端子金具の中間部から電線端末の被覆部にかけてを覆うように配設すれば、コネクタハウジングの外部から電気的な接続部分への水分の浸入は確実に阻止される。

　本発明によれば、シール部材として溶融フィルムを採用することから、従来に比べ、安定した防水性と成形性とを確保することができるという効果を奏する。

　また、本発明によれば、第一シール部材と第二シール部材とからなるシール部材を採用して電気的な接続部分の前後に配設することから、確実に防水することができるという効果を奏する。

　また、本発明によれば、筒状のシール部材を採用して電気的な接続部分の前後を含めて覆うことから、確実に防水することができるという効果を奏する。

図１は、本発明の実施例１の防水コネクタに係る要部の断面図である。図２は、端子金具と電線端末の斜視図である。図３は、図２の状態から第一シール部材と第二シール部材とを設けた時の斜視図である。図４は、図３の状態からコネクタハウジングを成形した時の斜視図である。図５は、図４の状態からシールドシェル等を設けて防水コネクタの形成が完了した時の斜視図である。図６は、本発明の実施例２の防水コネクタに係る要部の断面図である。図７は、端子金具と電線端末とに跨ってシール部材を設けた時の斜視図である。図８は、シール部材の保持に係る説明図である。図９は、従来例の防水コネクタの断面図である。

　防水コネクタは、金属製の端子金具と、樹脂製のコネクタハウジングと、モールド成形対象部分に配設されるシール部材とを含んで構成される。シール部材は、コネクタハウジングの成形時の熱にて溶融する樹脂製の溶融フィルムである。

　以下、図面を参照しながら実施例１を説明する。図１は防水コネクタに係る要部の断面図である。また、図２は端子金具と電線端末の斜視図、図３は図２の状態から第一シール部材と第二シール部材とを設けた時の斜視図、図４は図３の状態からコネクタハウジングを成形した時の斜視図、図５は図４の状態からシールドシェル等を設けて防水コネクタの形成が完了した時の斜視図である。

　図１において、ここではシールドコネクタの一部分を示す（シールドコネクタの外観形状については図５を参照）。尚、シールドコネクタは、本発明の防水コネクタの一例であるものとする。図中の引用符号１は高圧電線（電線）、２は端子金具、３はシール部材、４はコネクタハウジングをそれぞれ示す。先ず、上記各構成の詳細な構造について説明をする。

　高圧電線１は、例えば図示しない車両に搭載されるインバーターユニットとモーターユニットとを電気的に接続するための高圧の導電路であって、上記の２つのユニットを接続する場合、三本備えられる。高圧電線１は、導体５と、この導体５を被覆する絶縁体６（被覆部）とを備えて構成される。高圧電線１は、断面円形状に形成される。高圧電線１の端末は、所定長さで絶縁体６が除去され、導体５が露出するように加工される。導体５は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅又は銅合金からなるものであって、ここでは撚り線となる導体構造（導体構造は一例であるものとする）が採用される。

　絶縁体６は、絶縁性を有する樹脂材料を導体５の外側に押し出すことにより形成される。上記樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。一般的な樹脂材料にて絶縁体６は形成される。

　図１及び図２において、端子金具２は、銅又は銅合金の金属板をプレス加工することにより形成される。端子金具２は、ここでは中間が段付きとなる略帯板状に形成される。このような形状の端子金具２は、図示しない相手側端子に対し接続される電気接触部７と、高圧電線１の端末の導体５が接続される電線接続部８と、これら電気接触部７及び電線接続部８の間に位置する中間部９とを有する。

　電気接触部７は、図示の如くタブ状の形状に形成される。尚、本実施例では雄型であるが、雌型の場合は例えば箱形状に形成される。電気接触部７は、コネクタハウジング４の後述するハウジング本体部１７におけるコネクタ嵌合部１９内に配置される。

　中間部９は、端子金具２の中間において電気接触部７と電線接続部８とを連結するように形成される。中間部９は、段付き部１０と、この段付き部１０を挟んで電気接触部７側に配置される板部１１と、電線接続部８側に配置される板部１２と、を有する略クランク形状に形成される。

　電線接続部８側の板部１２は、この表裏面が平坦な面として形成される。また、両側面も一般的な加工粗さの面として形成される。すなわち、板部１２は、特別な処理が施されるのでなく、電気接触部７や、この側の板部１１と同様の状態に形成される。このような板部１２には、後述する第一シール部材１５が配設される。尚、図２中の矢印Ｐを端子金具２の軸方向、矢印Ｑを端子金具２や板部１２の周方向と定義して以下説明をするものとする。

　電線接続部８は、板状に形成される。具体的には、板部１２をそのまま軸方向後方へのばしたような形状に形成される。電線接続部８には、高圧電線１の端末の導体５が電気的に接続される。本実施例においては、電線接続部８は、導体５が押し潰されるような状態で溶接にて接続される。尚、溶接による接続は一例であり、他の接続方法を採用してもよいものとする。すなわち、例えば公知のワイヤーバレルを形成し、このワイヤーバレルを用いて圧着により接続してもよいものとする。

　図１及び図３において、シール部材３は、コネクタハウジング４の外部から電気的な接続部分への水分の浸入を防止するための部材として備えられる。具体的には、端子金具２の電線接続部８と、高圧電線１の導体５との接続部分への水分の浸入を防止するための部材として備えられる。シール部材３は、端子金具２の中間部９及び高圧電線１の端末の絶縁体６を含む所定範囲Ｒのうち、以下で説明する位置に配設される。

　尚、所定範囲Ｒに含まれる端子金具２の一部分及び高圧電線１の一部分は、モールド成形対象部分Ｓに相当するものとする。

　シール部材３は、一方の面１３及び他方の面１４を有しフィルム状に形成されるとともに、コネクタハウジング４の成形時の熱にて溶融する溶融フィルムである。シール部材３としては、第一シール部材１５と、第二シール部材１６とが設けられる。第一シール部材１５は、端子金具２の中間部９の板部１２に配設される。また、第二シール部材１６は、高圧電線１の端末の絶縁体６に配設される。第一シール部材１５と第二シール部材１６は、それぞれ帯状の形状に形成される。帯状の形状に形成される理由としては、上記配設位置で周方向（矢印Ｑ方向）に巻き付けをする際に、この巻き付けをし易くするためである。尚、帯状に限らず、環状となる形状であってもよいものとする。

　溶融フィルムであるシール部材３は、コネクタハウジング４の成形時の熱（溶融樹脂の熱）にて軟化、溶融する材質のものから形成される。また、シール部材３は、コネクタの耐熱温度を満足するような材質のものから形成される。具体的な例を挙げると、ニトリルゴム樹脂やフェノール樹脂、オレフィン系樹脂を用いて形成される。尚、シール部材３として、溶融フィルム単体は勿論のこと、薄い基材の両面に溶融フィルムを設けたもの等を採用してもよいものとする。シール部材３は、コネクタハウジング４の成形の際に、変形が生じるような弾性を持たないものとする。

　シール部材３（第一シール部材１５と第二シール部材１６）は、コネクタハウジング４の成形時の熱にて溶融すると、一方の面１３の側が端子金具２の中間部９の板部１２や、高圧電線１の端末の絶縁体６に対し密着する。この時、微少な凹凸があれば、凹凸を埋めるようにして強固に密着する。また、他方の面１４の側も同様に、コネクタハウジング４に対し密着する。

　シール部材３（第一シール部材１５と第二シール部材１６）は、巻き付けられたときに、この一端と他端とが少なくとも重なるような長さを有して形成される。尚、第一シール部材１５と第二シール部材１６の幅寸法は、中間部９の板部１２等のスペースに配慮して適宜長さに設定されるものとする。

　図１に戻り、コネクタハウジング４は、絶縁性を有する樹脂成形品であって、ハウジング本体部１７と、このハウジング本体部１７の中間に連成されるフランジ部１８とを有する。

　ハウジング本体部１７には、内部に端子金具２の電気接触部７が配置されるコネクタ嵌合部１９と、モールド成形対象部分Ｓを埋設するモールド部２０とが一体に形成される。コネクタ嵌合部１９は、相手側コネクタとの嵌合部分であって、箱状に形成される。モールド部２０は、所定の外形形状を有する中実部分として形成される。モールド部２０の外面には、後述するシールドシェル２３（図５参照）に対する係止部分としての係止突起２１が形成される。

　フランジ部１８は、ハウジング本体部１７の中間から外方へ突出する鍔状の形状に形成される。フランジ部１８は、本実施例において、インバーターユニットやモーターユニットのシールドケースに当接する部分として形成される。このようなフランジ部１８には、パッキン収容溝２２が形成される。パッキン収容溝２２は、環状となる溝形状に形成される。

　次に、上記構成及び構造に基づきながら、シールドコネクタの組み付け工程（作業）について説明をする。

　図２において、第一工程では、高圧電線１の端末の導体５と、端子金具２の電線接続部８とを接続する作業が行われる。接続方法は、溶接、溶着、半田付けなど適宜方法が採用される。本実施例においては、溶接にて接続される。

　図３において、第二工程では、端子金具２の中間部９の板部１２に第一シール部材１５を配設する作業と、高圧電線１の端末の絶縁体６に第二シール部材１６を配設する作業とが行われる。第一シール部材１５及び第二シール部材１６は、端子金具２の中間部９及び高圧電線１の端末の絶縁体６を含む所定範囲Ｒの中で配設される。第一シール部材１５及び第二シール部材１６は、巻き付けにより配設される。第一シール部材１５及び第二シール部材１６は、隙間なく巻き付けられる。

　図４において、第三工程では、コネクタハウジング４を樹脂成形する作業が行われる。樹脂成形は、コネクタハウジング４の金型に第一シール部材１５及び第二シール部材１６を配設した端子金具２等をセットした状態で行われる。コネクタハウジング４は、モールド成形対象部分Ｓ（図１参照）が埋まるように樹脂成形される。樹脂成形の熱により第一シール部材１５と第二シール部材１６とが溶融し、一方の面１３の側は端子金具２の中間部９の板部１２や、高圧電線１の端末の絶縁体６に対し密着する。また、他方の面１４の側も同様にコネクタハウジング４に対し密着する。樹脂成形後、コネクタハウジング４は金型から取り出される。端子金具２は、コネクタハウジング４の樹脂成形に伴って水密に固定される。

　図５において、第四工程では、コネクタハウジング４に対し金属製のシールドシェル２３やゴム製のユニットパッキン２４等を組み付ける作業が行われる。また、筒状に形成されて三本の高圧電線１を一括して覆う図示しないシールド部材（例えば筒状の編組や金属箔など）をシールドシェル２３に対し固定する作業も行われる。尚、上記シールド部材の固定は、図示しない金属製のシールドリングが用いられる。第四工程までを順に経ると、防水性を有するシールドコネクタ２５の組み付けが完了する。

　以上、図１から図５を参照しながら説明してきたように、シールドコネクタ２５によれば、防水性を確保するためにシール部材３を含んで構成される。シール部材３は、コネクタハウジング４の成形時の熱にて溶融する溶融フィルムが採用され、シール部材３として第一シール部材１５と第二シール部材１６とが設けられる。シール部材３は、この一方の面１３の側と他方の面１４の側とが溶融し、これにより確実に密着状態が形成されることから、コネクタハウジング４の外部からの水分の浸入は阻止される。具体的には、微少な凹凸が仮にあったとしても溶融したフィルムが入り込むことから、また、入り込んで強固に密着することから、水分の浸入経路の形成が阻止され、これにより防水性が確保される。

　また、シールドコネクタ２５によれば、シール部材３として溶融フィルムが採用されることから、コネクタハウジング４の樹脂成形に係る圧力等で変形してしまうことがなく、結果、成形不良は防止される。

　従って、本発明によれば、シール部材３として溶融フィルムを採用することから、従来例と比べ、安定した防水性と成形性とを確保することができるという効果を奏する。また、第一シール部材１５と第二シール部材１６とを電気的な接続部分の前後に配設することから、確実に防水することができるという効果も奏する。

　以下、図面を参照しながら実施例２を説明する。図６は本発明の防水コネクタに係る要部の断面図である。また、図７は端子金具と電線端末とに跨ってシール部材を設けた時の斜視図、図８はシール部材の保持に係る説明図である。尚、上記実施例１と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。

　図６において、引用符号１は高圧電線（電線）、２は端子金具、３１はシール部材、４はコネクタハウジングをそれぞれ示す。実施例２は、実施例１のシール部材３に替えてシール部材３１を採用したものである。

　図６及び図７において、シール部材３１は、コネクタハウジング４の外部から電気的な接続部分への水分の浸入を防止するための部材として備えられる。具体的には、端子金具２の電線接続部８と、高圧電線１の導体５との接続部分への水分の浸入を防止するための部材として備えられる。シール部材３１は、実施例１と同じ溶融フィルムであって、この溶融フィルムを丸めて円筒形状にすることにより形成される。シール部材３１は、端子金具２の中間部９から高圧電線１の端末の絶縁体６にかけてを覆うことができるように形成される。シール部材３１は、所定範囲Ｒのうち、その大半を占めるように配置される。

　シール部材３１は、コネクタハウジング４の成形時の熱にて溶融すると、端子金具２の中間部９から高圧電線１の端末の絶縁体６にかけて広範囲に密着する（図６参照）。この時、微少な凹凸があれば、凹凸を埋めるようにして強固に密着する。また、コネクタハウジング４に対しても密着する。

　上記構成及び構造において、組み付け工程（作業）における第一工程では、高圧電線１の端末の導体５と、端子金具２の電線接続部８とを接続する作業が行われる。接続方法は、溶接、溶着、半田付けなど適宜方法が採用される。本実施例においては、溶接にて接続される。

　第二工程では、端子金具２の中間部９から高圧電線１の端末の絶縁体６にかけてを円筒形状のシール部材３１で覆う作業が行われる。シール部材３１は、所定範囲Ｒの中で配設される。

　第三工程では、コネクタハウジング４を樹脂成形する作業が行われる。樹脂成形は、コネクタハウジング４の金型に、シール部材３１を配設した端子金具２等をセットした状態で行われる。コネクタハウジング４は、モールド成形対象部分Ｓが埋まるように樹脂成形される。樹脂成形の熱によりシール部材３１が溶融し、端子金具２の中間部９の板部１２や、高圧電線１の端末の絶縁体６に対し密着する。また、同様にコネクタハウジング４に対し密着する。樹脂成形後、コネクタハウジング４は金型から取り出される。端子金具２は、コネクタハウジング４の樹脂成形に伴って水密に固定される。

　尚、第四工程は実施例１と同様に行われる。第四工程までを順に経ると、防水性を有するシールドコネクタの組み付けが完了する。

　ここで、樹脂成形時におけるシール部材３１の保持について説明をすると、静電気によりシール部材３１を保持することが一例として挙げられる。すなわち、図８（ａ）に示す如く、端子金具２をマイナスに帯電させるとともに、シール部材３１をプラスに帯電させると、電気的に引きつけあって、シール部材３１は端子金具２に貼り付き、これにより保持される。従って、樹脂成形時におけるシール部材３１の位置は安定する。

　この他、図８（ｂ）に示す如く、シール部材３１の一端及び／又は他端に金型押さえ部３２を形成し、この金型押さえ部３２を金型で押さえ付けて保持することも有効である。

　以上、図６から図８を参照しながら説明してきたように、実施例２も実施例１と同様の効果を奏するのは勿論である。すなわち、シール部材３１として溶融フィルムを採用することから、従来例と比べ、安定した防水性と成形性とを確保することができるという効果を奏する。また、円筒形状のシール部材３１を採用し、電気的な接続部分の前後を含めて覆うことから、確実に防水することができるという効果も奏する。

　この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。

　ここで、上述した本発明に係る防水コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下［１］～［３］に簡潔に纏めて列記する。

［１］　電気接触部（７）、電線接続部（８）、及び該電気接触部と該電線接続部の間に位置する中間部（９）を有し、該電線接続部を介して電線端末に設けられる金属製の端子金具（２）と、
　前記中間部及び前記電線端末の被覆部（絶縁体６）を含むモールド成形対象部分（Ｓ）が埋設される樹脂製のコネクタハウジング（４）と、
　前記モールド成形対象部分に配設され、且つ前記コネクタハウジングの外部から前記電線接続部への水分の浸入を防止するシール部材（３）と、
　を備える防水コネクタにおいて、
　前記シール部材は、前記コネクタハウジングの成形時の熱にて溶融する樹脂製の溶融フィルムである
　防水コネクタ。
［２］　上記［１］に記載の防水コネクタにおいて、
　前記シール部材として、前記中間部に配設される第一シール部材（１５）と、前記被覆部に配設される第二シール部材（１６）と、を備える
　防水コネクタ。
［３］　上記［１］に記載の防水コネクタにおいて、
　前記シール部材は、前記中間部から前記被覆部にかけて覆う筒状に形成される
　防水コネクタ。

　本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。

　本出願は、2013年7月2日出願の日本特許出願（特願2013－138793）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明によれば、シール部材として溶融フィルムを採用することから、従来に比べ、安定した防水性と成形性とを確保することができる。この効果を奏する本発明は、モールド成形により電気的な接続部分をコネクタハウジングに埋設してなる防水コネクタに関して有用である。

　Ｒ…所定範囲
　Ｓ…モールド成形対象部分
　１…高圧電線（電線）
　２…端子金具
　３…シール部材
　４…コネクタハウジング
　５…導体
　６…絶縁体（被覆部）
　７…電気接触部
　８…電線接続部
　９…中間部
　１０…段付き部
　１１、１２…板部
　１３…一方の面
　１４…他方の面
　１５…第一シール部材
　１６…第二シール部材
　１７…ハウジング本体部
　１８…フランジ部
　１９…コネクタ嵌合部
　２０…モールド部
　２１…係止突起
　２２…パッキン収容溝
　２３…シールドシェル
　２４…ユニットパッキン
　２５…シールドコネクタ（防水コネクタ）
　３１…シール部材
　３２…金型押さえ部

Claims

　電気接触部、電線接続部、及び該電気接触部と該電線接続部の間に位置する中間部を有し、該電線接続部を介して電線端末に設けられる金属製の端子金具と、
　前記中間部及び前記電線端末の被覆部を含むモールド成形対象部分が埋設される樹脂製のコネクタハウジングと、
　前記モールド成形対象部分に配設され、且つ前記コネクタハウジングの外部から前記電線接続部への水分の浸入を防止するシール部材と、
　を備える防水コネクタにおいて、
　前記シール部材は、前記コネクタハウジングの成形時の熱にて溶融する樹脂製の溶融フィルムである
　防水コネクタ。
　請求項１に記載の防水コネクタにおいて、
　前記シール部材として、前記中間部に配設される第一シール部材と、前記被覆部に配設される第二シール部材と、を備える
　防水コネクタ。
　請求項１に記載の防水コネクタにおいて、
　前記シール部材は、前記中間部から前記被覆部にかけて覆う筒状に形成される
　防水コネクタ。