WO2014181493A1

WO2014181493A1 - 洗濯乾燥機

Info

Publication number: WO2014181493A1
Application number: PCT/JP2014/001237
Authority: WO
Inventors: 英史松井; 松田　眞一
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2013-05-07
Filing date: 2014-03-06
Publication date: 2014-11-13
Also published as: JP2014217499A; JP6212701B2

Abstract

洗濯乾燥機（５０）は、外槽（１）と、外槽（１）内に回転可能に配設された回転ドラム（４）と、回転ドラム（４）を回転駆動する駆動部（１０）と、を備える。また、外槽（１）内に風を供給する吸込み口（１７）と、吸込み口（１７）から供給された風を回転ドラム内に吸い込むように、回転ドラム（４）の後面に設けられた導入口（１５）と、導入口（１５）の外周部に実質的に同心円状に設けられたシール部材（２２）と、駆動部（１０）を制御する制御部（１１）とを備える。シール部材（２２）は、回転ドラム（４）側から外槽（１）側へ拡がるように傾斜して延びるリップ部を有する。回転ドラム（４）の低速回転時にはリップ部の先端部が外槽（１）に接触し、回転ドラム（４）の高速回転時にはリップ部の先端部が外槽（１）から離間する。

Description

洗濯乾燥機

　本発明は、衣類等の繊維製品の洗濯機能および乾燥機能を備える洗濯乾燥機に関する。

　従来の洗濯乾燥機において、乾燥運転時に外槽内に供給される乾燥用空気が、外槽と回転ドラムとの間の空間に流入することを防止することが提案されている（例えば、特許文献１を参照）。

　図８は、従来の洗濯乾燥機の要部を示す断面図、図９は、同要部を示す拡大断面図である。従来の洗濯乾燥機において、筐体１５１内に弾性支持された外槽１５２内に、衣類を入れて洗濯する回転ドラム１５３が回転可能に設けられている。回転ドラム１５３の前面に設けられた衣類投入口１５４は、筐体１５１の前面に設けた扉１５５によって開閉自在に構成されている。

　回転ドラム１５３の内部は、洗濯された衣類等を乾燥させる乾燥室でもある。温風発生装置にて生成される温風は、外槽１５２の後端面に設けた温風吸込み口１５６を経由し、回転ドラム１５３の後端面に設けた導入口１５７から回転ドラム１５３内へ供給され、回転ドラム１５３内の衣類を乾燥する。この時、温風の一部が回転ドラム１５３と外槽１５２との間の空間に流入すると、回転ドラム１５３内に供給される風量が減少する。従って、乾燥効率が低下しないように、回転ドラム１５３と外槽１５２との間を、シール部材１５８が塞いでいる。

　洗濯運転時および乾燥運転時に比べて、相対的に回転ドラム１５３の回転速度が速い脱水運転時は、シール部材１５８が周辺の部材と接触することに起因する騒音や、シール部材１５８の磨耗が発生する。それらの騒音や摩擦を抑制するために、従来の洗濯乾燥機は、以下のような構成をしている。

　温風吸込み口１５６から導入口１５７へ温風を導く、円筒状の導風路１５９が、外槽１５２に設けられている。導入口１５７の外周で、かつ、導風路１５９と径方向外側で対向する、同心円筒状の外筒部１６０が回転ドラム１５３に設けられている。外筒部１６０の径方向外側で同心円状となるように、シール部材１５８が設けられている。シール部材１５８は、先端にリップ部１６１を有する。リップ部１６１は、外筒部１６０から導風路１５９に向かって内側へ延び、かつ、回転ドラム１５３側へ傾斜するように形成されている。

　回転ドラム１５３が回転する際、リップ部１６１に径方向外側へ遠心力が働き、導風路１５９から離間する方向へリップ部１６１が弾性変形する。回転ドラム１５３の低速回転時には、リップ部１６１の先端は導風路１５９の外周面に接し、回転ドラム１５３の高速回転時には、導風路１５９から離間するように弾性変形する。

　しかしながら、上述した従来の構成においては、リップ部１６１が接触するシール面が、回転ドラム１５３の軸方向と平行に形成された導風路１５９の円筒外周面となる。また、遠心力によるリップ部１６１の傾斜角度の変化量が小さくても、確実にリップ部１６１が離間するために、リップ部１６１の長さを一定程度長く形成する必要がある。これらにより、従来のシール部材１５８を形成するためには、回転ドラム１５３の軸方向により大きな領域が必要となり、その分、回転ドラム１５３の軸方向の長さが縮小され、回転ドラム１５３内の容積が減少する。その結果、洗浄、乾燥性能が低下する。逆に、リップ部１６１の長さを短くすると、確実に離間させるためには、リップ部１６１の傾斜角度をより大きく弾性変形させる必要があり、より大きな遠心力が必要となる。

　一方、従来の構成において、径方向内側である回転軸方向へと伸長したリップ部１６１の先端部は、遠心力が相対的に小さい。従って、脱水運転時の振動を考慮した上で、確実にリップ部１６１を離間させるような大きな遠心力を発生させるためには、一定以上の高速回転が必要となる。その結果、回転ドラム１５３がその回転速度に到達するまでは、リップ部１６１の先端部全体、もしくは、その一部は離間せず、騒音の発生やリップ部１６１の磨耗の要因となる。

　本発明は、従来の課題を解決するもので、回転ドラム内容積の減少を最小限のものとし、かつ、脱水運転などの高速回転時にも騒音の発生やシール部材の磨耗を抑制した、乾燥効率の高い洗濯乾燥機を提供するものである。

特開２００７－２４４６５７号公報

　本発明の洗濯乾燥機は、外槽と、外槽内に回転可能に配設された回転ドラムと、回転ドラムを回転駆動する駆動部と、を備える。また、外槽内に風を供給する吸込み口と、吸込み口から供給された風を回転ドラム内に吸い込むように、回転ドラムの後面に設けられた導入口と、導入口の外周部に実質的に同心円状に設けられたシール部材と、駆動部を制御する制御部と、を備える。シール部材は、回転ドラム側から外槽側へ拡がるように傾斜して延びるリップ部を有する。回転ドラムの低速回転時にはリップ部の先端部が外槽に接触し、回転ドラムの高速回転時にはリップ部の先端部が外槽から離間する。

　これによって、回転ドラムと外槽との間のシール部材によるシール面を、回転ドラムの回転軸と略垂直方向に設定することができる。また、リップ部が離間しやすいようにリップ部の長さを一定程度長くした場合においても、回転ドラムの回転軸方向の距離を短くすることができ、回転ドラムと外槽間の空間を拡大することなく、回転ドラム内容積を確保した上でシール部材を形成することができる。また、外槽と接触するリップ部の先端部は、より遠心力が大きく働く、回転ドラムの外側方向に位置しているため、比較的低速回転でも弾性変形しやすく、確実にリップ部を離間させることができる。

　本発明の洗濯乾燥機は、回転ドラム内容積を減少させることなく、乾燥運転時の温風の一部が回転ドラムと外槽との間の隙間へ流出するのを防止して、乾燥効率を向上させる。また、回転ドラムが高速回転する脱水運転時の騒音の発生、およびシール部材の磨耗を抑制することができる。

図１は、本発明の実施の形態１における洗濯乾燥機の構成図である。図２は、本発明の実施の形態１における洗濯乾燥機のシステム系統図である。図３は、本発明の実施の形態１における洗濯乾燥機の一部切欠要部を示す断面図である。図４は、本発明の実施の形態１における洗濯乾燥機の図３のＡ部の拡大断面図である。図５は、本発明の実施の形態２における洗濯乾燥機の要部を示す断面図である。図６は、本発明の実施の形態３における洗濯乾燥機の要部を示す断面図である。図７は、本発明の実施の形態４における洗濯乾燥機のシール部材をリップ部側から見た平面図である。図８は、従来の洗濯乾燥機の要部を示す断面図である。図９は、従来の洗濯乾燥機の要部を示す拡大断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。

　（実施の形態１）
　図１は、本発明の実施の形態１における洗濯乾燥機５０の構成図である。図２は、同洗濯乾燥機５０のシステム系統図である。図３は、同洗濯乾燥機５０の一部切欠要部を示す断面図である。図４は、同洗濯乾燥機５０の図３のＡ部の拡大断面図である。

　外槽１は、洗濯乾燥機５０の筐体２の内部において、複数のサスペンション機構３により弾性的に支持されている。回転ドラム４は、正面側に、衣類５を出し入れする投入口６を有し、有底筒状に形成され、外槽１内に配設されている。回転ドラム４は、ドラム回転軸４ａによって回転可能に設けられ、衣類５を収納している。回転ドラム４の周壁７には、複数の排出孔８が設けられている。回転ドラム４内の周壁７には、衣類５を回転ドラム４の回転方向へ持ち上げるための攪拌バッフル９が備えられている。外槽１、回転ドラム４、およびドラム回転軸４ａは、水平に対して角度θ（例えば、２０°）前上がりに傾けられて配置されている。なお、ドラム回転軸４ａは、水平に形成されてもよい。

　外槽１の後面側外部には、モータ１０（駆動部）が設けられ、モータ１０によって、ドラム回転軸４ａを中心として、回転ドラム４が正逆回転する。モータ１０は、ブラシレス直流モータであり、制御部１１によるインバータ制御によって、モータ１０の回転速度が自在に変化する。

　筐体２の前面には、衣類５を出し入れする略円形状の投入口６を開閉する扉１２が設けられている。投入口６と対向する、外槽１の開口部１ａは、パッキン１３によって筐体２と気密を確保して、連結されている。

　外槽１の上方部には、回転ドラム４を含む空気循環路１４が形成されている。以下、空気循環路１４について説明する。有底筒状に形成された回転ドラム４の底部、すなわち、回転ドラム４の後面に、複数の孔の集合である導入口１５が設けられている。また、回転ドラム４の導入口１５と対向する位置に、送風機１６からの温風が導入される吸込み口１７が設けられている。外槽１から温風が排出される吹出し口１８は、円筒状に形成された外槽１の周側面上方の前側に設けられている。

　空気循環路１４において、回転ドラム４内で衣類５を乾燥させた空気が、外槽１の吹出し口１８、リントフィルタ１９、吸熱器２０、放熱器２１、送風機１６の順に通過し、外槽１の吸込み口１７から回転ドラム４の導入口１５を通過して、回転ドラム４内へ循環する。

　導入口１５の外周部には、略同心円状にシール部材２２が配設されている。シール部材２２は、可撓性を有するゴム等の弾性部材で形成されている。シール部材２２は、回転ドラム４のドラム回転軸４ａから径方向外側へ径大となるように延び、かつ、回転ドラム４側から導入口１５の後方に位置する外槽１側へ拡がるように傾斜して延びるリップ部２２ａを有する。リップ部２２ａは、回転ドラム４と外槽１との間の空間へと流出する乾燥用空気（図４中の矢印Ｄ）をシールしている。

　リップ部２２ａは、回転ドラム４が回転する際に生じる遠心力によって、外槽１側から回転ドラム４側へ離間するように弾性変形する。回転ドラム４が低速回転（例えば、４５ｒｐｍ）する洗濯および乾燥運転時には、リップ部２２ａは、弾性変形量が少ないので、外槽１と接触する。回転ドラム４が高速回転（例えば、６００ｒｐｍ）する脱水運転時には、リップ部２２ａに働く遠心力が増大することによって、リップ部２２ａは、より大きく弾性変形し、リップ部２２ａの先端部２２ｂが外槽１から離間して、非接触状態となる。よって、同等の遠心力（同じ回転数）であっても、リップ部２２ａの長いものとリップ部２２ａの短いものとでは、リップ部２２ａの長いものの方が、外槽１からの離間距離が大きくなる。従って、高速回転時の距離が決定されると、自ずと、リップ部２２ａの長さが決定される。ここで、低速回転とは２００ｒｐｍ以下であり、高速回転とは５００ｒｐｍ以上である。

　リントフィルタ１９は、衣類５から発生した循環空気に含まれるリントを捕捉することによって、吸熱器２０、放熱器２１、送風機１６におけるリントの付着堆積による、不具合を防止している。リントフィルタ１９は、洗濯乾燥機５０から脱着可能に設けられている。

　送風機１６は、送風機１６を駆動するファンモータ１６ａと、ファンモータ１６ａの電流値を測定するモータ電流計測装置１６ｂとを具備している。

　吸熱器２０と、放熱器２１と、冷媒が流れる配管２３と、熱交換を促進させるフィンとが、熱交換器を構成している。吸熱器２０、放熱器２１、配管２３、フィン、温度検出部２３ａ、圧縮機２４、絞り部２５が、ストレーナなどと合わせて、ヒートポンプ２６を構成している。ここで、温度検出部２３ａは、圧縮機２４内の冷媒温度を検出するために、圧縮機２４直後の配管に配設されている。圧縮機２４は、冷媒を圧縮する。絞り部２５は、高圧の冷媒を減圧する。ストレーナは、冷媒中の異物を分離する。

　ヒートポンプ２６は、なるべく小型に構成するために、放熱器２１と吸熱器２０を並列に並べ、それらの熱交換器フィンのどちらか一方側に圧縮機２４、絞り部２５、およびストレーナを配設する。

　さらに、吸熱器２０および放熱器２１において、除湿する際に発生する除湿水を排水する排水口２７が設けられている。また、吸熱器２０および放熱器２１の下方には、排水溝へと除湿水を誘導するような傾斜やリブが設けられている。

　回転ドラム４から吹出された高温多湿空気は、吸熱器２０で除湿および吸熱され、放熱器２１で加熱されて、高温乾燥空気となって回転ドラム４内へと供給され、衣類５を乾燥する。このとき、放熱器２１から循環空気へ放出される熱エネルギーは、圧縮機２４の消費電力相当分と吸熱器２０から吸熱される熱量の和にほぼ等しい。そのため、圧縮機２４へ入力した電力以上の出力が放熱器２１から得られ、少ない消費電力で衣類５を乾燥することができる。

　しかし、空気循環路１４において、循環空気をそのまま循環し続けると、循環空気が有する熱量が、圧縮機２４への入力分ずつ徐々に増加するとともに、ヒートポンプ２６内の冷媒の有する熱量もそれに伴い増加し、その圧力も高くなる。そのため、最終的に圧縮機２４に過負荷がかかる。

　そのため、ヒートポンプ２６は安定に動作できず、圧縮機２４の出力を落とさざるを得なくなり、乾燥効率が低下する。そこで、回転ドラム４の吹出し口１８の二次側に、循環空気の一部を排出する排気口２８と、排出された循環空気分を補うために外気を吸入する吸気口２９が設けられている。

　制御部１１は、モータ１０、送風機１６、および圧縮機２４等を制御し、洗濯運転、脱水運転、および乾燥運転を制御する。温度検出部２３ａでの検出値や、モータ電流計測装置１６ｂで計測された電流値等が、制御部１１に入力される。また制御部１１は、モータ電流計測装置１６ｂで計測された電流値から乾燥用空気の風量を検知する風量検知部（図示せず）を内包している。なお、図中の矢印Ｂは循環空気の流れ方向を示し、矢印Ｃは冷媒の流れ方向を示している。

　以上のように構成された洗濯乾燥機５０について、以下に、その動作、作用を説明する。洗濯乾燥機５０においては、標準的な運転モードにおいて、洗濯工程、脱水工程、および乾燥工程が順に実行される。まず、洗濯工程においては、給水装置（図示せず）により洗濯物の量に応じた所定量の洗剤および水が外槽１内に供給された後、モータ１０により回転ドラム４が正逆方向に低速で回転させられ、衣類５の洗浄が行われる。このとき、リップ部２２ａに働く遠心力は小さいため、リップ部２２ａは、弾性変形するものの、外槽１と接触したままである。

　洗濯工程に続く脱水工程においては、外槽１内の水が排水された後、回転ドラム４が高速回転することによって、衣類５に残る水が遠心脱水される。このとき、リップ部２２ａに働く遠心力は増大し、リップ部２２ａは、大きく弾性変形し、リップ部２２ａの先端部２２ｂが、外槽１から離間して、外槽１と非接触状態となる。

　最後の乾燥工程においては、回転ドラム４が、濡れた衣類５を内部に保有して、正逆方向に低速回転する。放熱器２１によって加熱された乾燥用空気は、送風機１６によって送風され、吸込み口１７から回転ドラム４の導入口１５を経由して、回転ドラム４内に到達する。回転ドラム４に到達した乾燥用空気は、濡れた衣類５と接触して衣類５から水分を奪った後、衣類５から発生したリントを含みつつ回転ドラム４を出て、外槽１に設けられた吹出し口１８から外槽１を出ていく。

　外槽１を出た乾燥用空気は、空気循環路１４に流入し、リントフィルタ１９でリントが除去された後、吸熱器２０で冷却除湿され、再度放熱器２１で加熱されて高温低湿空気となる。このとき、リップ部２２ａに働く遠心力は小さいため、リップ部２２ａは、弾性変形するものの、外槽１と接触したままである。

　以上の構成により、外槽１と回転ドラム４との間には隙間が形成されているものの、その隙間がリップ部２２ａによってシールされているため、吸込み口１７から流入する乾燥用空気は、無駄なく導入口１５より回転ドラム４内へ供給され、効率よく衣類５の乾燥が行われる。

　また、脱水工程における回転ドラム４の高速回転時には、リップ部２２ａが遠心力によって外槽１から離間して、外槽１と非接触状態となるため、リップ部２２ａと外槽１の接触による騒音の発生や、リップ部２２ａの磨耗が抑制される。

　さらに、回転ドラム４と外槽１との間のシール部材２２のシール面である、リップ部２２ａの先端部２２ｂは、回転ドラム４のドラム回転軸４ａと略垂直方向に形成されている。また、リップ部２２ａはドラム回転軸４ａから径方向外側へ伸び、かつ、回転ドラム４側から外槽１側へ傾斜するように形成されている。従って、リップ部２２ａの先端部２２ｂが外槽１から離間しやすいように、リップ部２２ａの長さが一定程度長くされた場合においても、シール部材２２の形状は、回転ドラム４の軸方向の距離が短く形成されることができる。そのため、回転ドラム４の内容積が減少することなく、シール部材２２が、回転ドラム４と外槽１との間に、コンパクトに形成されることが可能となる。

　また、外槽１と接触するリップ部２２ａの先端部２２ｂは、遠心力がより大きく働く回転ドラム４の外側方向に形成されている。従って、回転ドラム４が比較的低速回転でも、リップ部２２ａは弾性変形しやすく、リップ部２２ａの先端部２２ｂが外槽１から確実に離間する。

　以上のように、本実施の形態の洗濯乾燥機５０は、外槽１と、外槽１内に回転可能に配設された回転ドラム４と、回転ドラム４を回転駆動する駆動部１０とを備える。また、外槽１内に風を供給する吸込み口１７と、吸込み口１７から供給された風を回転ドラム内に吸い込むように、回転ドラム４の後面に設けられた導入口１５と、導入口１５の外周部に実質的に同心円状に設けられたシール部材２２と、駆動部１０を制御する制御部１１とを備える。シール部材２２は、回転ドラム４側から外槽１側へ拡がるように傾斜して延びるリップ部２２ａを有する。回転ドラム４の低速回転時にはリップ部２２ａの先端部２２ｂが外槽１に接触し、回転ドラム４の高速回転時にはリップ部２２ａの先端部２２ｂが外槽１から離間する。これにより、回転ドラム４と外槽１との間のシール部材２２によるシール面が、回転ドラム４の回転軸４ａと略垂直方向に設定される。リップ部２２ａが離間しやすいようにリップ部２２ａの長さが一定程度長くされた場合においても、回転ドラム４の回転軸４ａ方向の距離が短く形成されることができ、回転ドラム４と外槽１間の空間が拡大することなく、回転ドラム４の内容積が確保された上でシール部材２２が形成される。また、外槽１と接触するリップ部２２ａの先端部２２ｂは、より遠心力が大きく働く回転ドラム４の外側方向に形成されているため、比較的低速回転でも弾性変形しやすく、確実にリップ部２２ａが外槽１から離間することができる。

　なお、本実施の形態においては、洗濯および乾燥工程の低速回転時にリップ部２２ａが外槽１と接触する構成としたが、これに限るものではなく、非接触状態であるが、脱水工程の高速回転時と比較して、リップ部２２ａが外槽１に近接する構成としてもよい。この場合、シール性が低下するため、乾燥効率の向上は限定的となるが、低速回転時においてもリップ部２２ａと外槽１の接触に起因する騒音や磨耗が抑制される。

　また、衣類５の量がモータ１０の負荷から推定される場合、低速回転時であったとしても、シール部材２２の材質やリップ部２２ａの接触面積によっては、モータ負荷が増大する可能性がある。特に、衣類５の量が少量の場合に、検知誤差が無視されなくなる可能性があるが、非接触状態とすることで、検知誤差が生じない。

　なお、本実施の形態においては、乾燥用空気がヒートポンプ２６によって除湿され加熱されるようにしているが、一般的な空冷または水冷による除湿と、ヒータによって加熱される構成であってもよい。

　また、回転ドラム４の低速回転時は洗濯乾燥機の洗濯運転時または乾燥運転時であり、回転ドラム４の高速回転時は洗濯乾燥機の脱水運転時である、としてもよい。

　また、回転ドラム４の低速回転は２００ｒｐｍ以下であり、回転ドラム４の高速回転は５００ｒｐｍ以上である、としてもよい。

　また、シール部材２２は、リップ部２２ａの先端部２２ｂが、回転ドラム４の径方向外側へ延びるように形成された構成であってもよい。

　これらの構成により、回転ドラム４の低速回転時、回転ドラム４と外槽１との間の空間へと流出する乾燥用空気を、確実にシールすることができる。回転ドラム４の高速回転時、リップ部２２ａと外槽１の接触による騒音の発生や、リップ部２２ａの磨耗が抑制される。

　（実施の形態２）
　図５は、本発明の実施の形態２における洗濯乾燥機の要部を示す断面図である。本実施の形態の特徴は、リップ部２２ａの先端部２２ｃが、回転ドラム４の径方向の外側から内側へ向かって折り返すように形成されたことである。他の構成は実施の形態１と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。

　図５において、リップ部２２ａの先端部２２ｃが、回転ドラム４の径方向の外側から内側へ向かって折り返すように形成されている。また、リップ部２２ａの先端部２２ｃが、回転ドラム４の内側に向かって開いた略Ｖ字形状となるように形成されている。

　以上の構成により、乾燥運転時に外槽１の内圧が高くなった場合でも、外槽１の内圧の上昇によって、略Ｖ字形状の先端部２２ｃがさらに開く方向へと変形する。従って、より一層シール性が向上し、回転ドラム４と外槽１との間から乾燥用空気が流出するのを防止することができる。

　なお、本実施の形態においては、実施の形態１と同様、洗濯および乾燥工程の低速回転時に、リップ部２２ａが外槽１と接触する構成としたが、これに限るものではなく、非接触状態であるが脱水工程の高速回転時と比較して、リップ部２２ａの先端部２２ｃが外槽１に近接する構成としてもよい。

　以上のように、本実施の形態の洗濯乾燥機は、シール部材２２が、リップ部２２ａの先端部２２ｃが回転ドラム４の径方向の外側から内側へ向かって折り返すように形成されている。これにより、より一層シール性が向上し、回転ドラム４と外槽１との間から乾燥用空気が流出するのを防止することができる。

　（実施の形態３）
　図６は、本発明の実施の形態３における洗濯乾燥機の要部を示す断面図である。本実施の形態の特徴は、リップ部２２ａの先端部２２ｄの厚さが、リップ部２２ａの他の部分より厚く形成されたことである。他の構成は実施の形態１と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。

　リップ部２２ａのシール面を形成する先端部２２ｄの厚さが、リップ部２２ａの他の部分より厚く形成されており、リップ部２２ａの先端部２２ｄの重量が増加する。従って、脱水工程の高速回転時に、先端部２２ｄに大きな遠心力が発生するため、確実にリップ部２２ａの先端部２２ｄが、外槽１から離間することができる。また、低速回転時に、シールのため外槽１と接触する先端部２２ｄが厚肉化することで、摩擦による耐久性が向上する。

　なお、本実施の形態においては、実施の形態１と同様、洗濯および乾燥工程の低速回転時にリップ部２２ａが外槽１と接触する構成としたが、これに限るものではなく、非接触状態であるが脱水工程の高速回転時と比較して外槽１に近接する構成としてもよい。

　以上のように、本実施の形態の洗濯乾燥機は、シール部材２２が、リップ部２２ａの先端部２２ｄの厚さがリップ部２２ａの他の部分より厚く形成されている。これにより、回転ドラム４の高速回転時に、確実にリップ部２２ａの先端部２２ｄを、外槽１から離間させることができる。

　（実施の形態４）
　図７は、本発明の実施の形態４における洗濯乾燥機のシール部材２２をリップ部２２ａ側から見た平面図である。本実施の形態においては、リップ部２２ａに、ドラム回転軸４ａから径方向外側に向かって複数の切り込み２２ｅが設けられて、リップ部２２ａが分断されている。他の構成は実施の形態１と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。

　図７に示すように、シール部材２２のリップ部２２ａに、中心であるドラム回転軸４ａから径方向外側に向かって複数の切り込み２２ｅが設けられ、リップ部２２ａの周縁が円周方向に放射状に分断され、複数の短冊状に形成されている。本実施の形態では、周縁が２４個に均等に分断されている。

　リップ部２２ａには、径方向のみならず、円周方向にも張力が発生し、リップ部２２ａが弾性変形するためには、それらの張力以上の遠心力が必要となる。従って、複数の切り込み２２ｅが設けられて、リップ部２２ａが分断されることによって、弾性変形時にリップ部２２ａに円周方向の伸びが生じなくなり、より小さな遠心力でも確実にリップ部２２ａが弾性変形する。

　以上のように、本実施の形態の洗濯乾燥機は、シール部材２２が、リップ部に回転ドラム４の径方向外側に向かって複数の切り込みが設けられている。これにより、より小さな遠心力でも確実にリップ部２２ａが弾性変形する。

　以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機は、回転ドラム内容積を減少させることなく、乾燥運転時の温風の一部が回転ドラムと外槽との間の隙間へ流出するのを防止する。よって、乾燥効率が向上する。また、回転ドラムが高速回転する脱水運転時の騒音の発生およびシール部材の磨耗が抑制される。従って、洗濯乾燥機等として有用である。

　１　　外槽
　２　　筐体
　３　　サスペンション機構
　４　　回転ドラム
　４ａ　　ドラム回転軸
　５　　衣類
　６　　投入口
　７　　周壁
　８　　排出孔
　９　　攪拌バッフル
　１０　　モータ（駆動部）
　１１　　制御部
　１２　　扉
　１３　　パッキン
　１４　　空気循環路
　１５　　導入口
　１６　　送風機
　１６ａ　　ファンモータ
　１６ｂ　　モータ電流計測装置
　１７　　吸込み口
　１８　　吹出し口
　１９　　リントフィルタ
　２０　　吸熱器
　２１　　放熱器
　２２　　シール部材
　２２ａ　　リップ部
　２２ｂ，２２ｃ，２２ｄ　　先端部
　２２ｅ　　切り込み
　２３　　配管
　２３ａ　　温度検出部
　２４　　圧縮機
　２５　　絞り部
　２６　　ヒートポンプ
　２７　　排水口
　２８　　排気口
　５０　　洗濯乾燥機

Claims

外槽と、
前記外槽内に回転可能に配設された回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転駆動する駆動部と、
前記外槽内に風を供給する吸込み口と、
前記吸込み口から前記供給された風を前記回転ドラム内に吸い込むように、前記回転ドラムの後面に設けられた導入口と、
前記導入口の外周部に実質的に同心円状に設けられたシール部材と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記シール部材は、
前記回転ドラム側から前記外槽側へ拡がるように傾斜して延びるリップ部を有し、
前記回転ドラムの低速回転時には前記リップ部の先端部が前記外槽に接触し、前記回転ドラムの高速回転時には前記リップ部の前記先端部が前記外槽から離間する洗濯乾燥機。
前記回転ドラムの前記低速回転時は前記洗濯乾燥機の洗濯運転時または乾燥運転時であり、前記回転ドラムの前記高速回転時は前記洗濯乾燥機の脱水運転時である請求項１記載の洗濯乾燥機。
前記回転ドラムの前記低速回転は２００ｒｐｍ以下であり、前記回転ドラムの前記高速回転は５００ｒｐｍ以上である請求項１記載の洗濯乾燥機。
前記シール部材は、前記リップ部の前記先端部が、前記回転ドラムの径方向外側へ延びるように形成された請求項１～３のいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記シール部材は、前記リップ部の前記先端部が前記回転ドラムの径方向の外側から内側へ向かって折り返すように形成された請求項１～３のいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記シール部材は、前記リップ部の前記先端部の厚さが前記リップ部の他の部分より厚く形成された請求項１～５のいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記シール部材は、前記リップ部に前記回転ドラムの径方向外側に向かって複数の切り込みが設けられた請求項１～６のいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。