WO2014156243A1

WO2014156243A1 - 軟性医療機器保持装置

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Publication number: WO2014156243A1
Application number: PCT/JP2014/051201
Authority: WO
Inventors: 千里菊池
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2013-03-29
Filing date: 2014-01-22
Publication date: 2014-10-02

Abstract

【課題】被検者に軟性医療機器を挿入する際、操作性の向上を図る。【解決手段】本発明に係る軟性医療機器保持装置は、被検者の体腔入口付近に装着される装着部と、前記装着部に取り付けられた筐体と、前記筐体に配設され、前記被検者の体腔に挿入される軟性医療機器に対する保持力を調整することで、固定状態と、挿入方向に進退可能な状態に切り替える保持力調整機構を有し、前記被検者と前記軟性医療機器の相対位置を一定に保つことを特徴とする。

Description

軟性医療機器保持装置

　本発明は、内視鏡などの軟性部を有する医療機器を被検者に対して保持可能な軟性医療機器保持装置に関する。

　近年、医療分野においては被検者の口腔、あるいは、肛門から撮像装置を挿入する内視鏡装置が利用されている。このような内視鏡装置では、軟性を有し、先端部分に撮像装置を有する挿入部を口腔、肛門などの体腔に挿入し、被検者の体内を観察することが可能となる。

　特許文献１には、このような内視鏡装置に対し、感染症などの発生を防止するために取り付けられる内視鏡カバーについて開示されている。特許文献２には、内視鏡装置の操作性の向上を図るため、操作部を保持する医療機器保持装置が開示されている。特許文献３には、被検者の体腔内に挿入され、内部にエアを供給して膨らませることで体腔内で固定可能とした医療用固定バルーンが開示されている。

特開平８－１６４１０９号公報特開２０１２－１２０７８８号公報特開２００２－３０１０２０号公報

　上述した内視鏡装置のように被検者の体腔内に挿入部を挿入する場合、挿入部と被検者の相対的な位置を維持することが重要である。従来、被検者と挿入部の位置決めは、医者や看護師などの施術者が、体腔近傍で挿入部を手に持って行うことが通常であった。そのため、施術者は常時、挿入部に一方の手を添えておく必要があった。したがって、操作する者は、一方の手で挿入部を操作すると共に、もう一方の手で内視鏡装置を操作する必要があり、内視鏡装置の操作が困難となる場合があった。

　そのため、本発明に係る軟性医療機器保持装置は、被検者の体腔入口付近に装着される装着部と、前記装着部に取り付けられた筐体と、前記筐体に配設され、前記被検者の体腔に挿入される軟性医療機器に対する保持力を調整することで、固定状態と、挿入方向に進退可能、または、長手軸周りに回転可能な状態に切り替える保持力調整機構を有し、前記被検者と前記軟性医療機器の相対位置を一定に保つものである。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置は、前記保持力調整機構にて、前記軟性医療機器に対する保持力は、複数段階に調整可能としている。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記装着部は、前記被検者の腰部近傍、もしくは、前記被検者の口腔近傍に配置される。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記筐体側面には、前記軟性医療機器を着脱可能とする開口が設けられている。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記保持力調整機構は、操作スイッチに対する手動操作にて保持力が調整される。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記操作スイッチの操作方向は、前記軟性医療機器の挿入方向と同じである。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記保持力調整機構は、保持力を発生する固定動力部を有する。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記軟性医療機器を挿入方向に進退させる進退動力部を備えている。

　さらに本発明に係る軟性医療機器保持装置において、前記軟性医療機器を回転させる回転動力部を備えている。

　本発明に係る軟性医療機器保持装置によれば、内視鏡装置など、軟性医療機器を被検者の体腔から挿入する際、被検者と軟性医療機器の相対位置関係を一定に保つことが可能となり、軟性医療機器を使用する際の操作性の向上を図ることが可能となる。

本発明の実施形態に係る内視鏡装置の使用状況を示す図本発明の実施形態に係る保持装置（パンツタイプ）の構成を示す図本発明の実施形態に係る保持装置の構成を示す図本発明の実施形態に係る保持装置の構成を示すＺ面での断面図（解放時）本発明の実施形態に係る保持装置の構成を示すＺ面での断面図（保持時）本発明の実施形態に係る保持装置の構成を示すＹ面での断面図（保持時）本発明の他の実施形態に係る保持装置（ベルトタイプ）の構成を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置（マスクタイプ）の構成を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置（マウスピースタイプ）の構成を示す図本発明の他の実施形態に係る内視鏡装置の使用状況を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置の構成を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置の動作を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置の構成を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置の動作を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置の構成を示す図本発明の他の実施形態に係る保持装置の構成を示す図

　では、本発明の実施形態に係る軟性医療機器保持装置について説明する。本明細書では、内視鏡装置１（大腸カメラ）に適用した場合の軟性医療機器保持装置（以下「保持装置」という）について説明するが、保持装置は、内視鏡装置１に限らず、軟性を有する挿入部を有する施術装置など、各種医療機器に適用することが可能である。

　図１は、本発明の実施形態に係る内視鏡装置の使用状況を示す図である。この内視鏡装置１は、検査台８１に横たわる被検者Ｐの腸内の様子を撮像、観察可能な装置である。内視鏡装置１は、制御部７０、操作部７４、挿入部３０、表示部６０を備えている。挿入部３０は、被検者Ｐの肛門に挿入される軟性を有する部分（本発明でいう「軟性医療機器」に相当する）である。この挿入部３０は、被検者Ｐの体内において、施術者の操作にしたがって自在に曲がり、腸内を進退または回転することが可能である。

　挿入部３０の先端には、撮像部が設けられている。施術者Ｏは、挿入部３０を被検者Ｐの肛門に挿入することで、撮像部で撮像された像を観察することが可能である。操作部７４は、制御線７１にて制御部７０と接続され、挿入部３０先端付近の曲がり度合いなどを、施術者の操作により調整可能としている。撮像部で撮像された像は、表示部６０にて表示され、施術者Ｏは、被検者の腸内の様子を観察、診断することが可能となっている。

　以上説明した内視鏡装置１は、従来の内視鏡装置と同様の構成である。本発明は、このような内視鏡装置１を使用する際、被検者Ｐの体腔（この場合、肛門）付近にて挿入部３０を保持可能な保持装置１０を利用した形態となっている。この保持装置１０は、被検者Ｐが装着するパンツタイプの装着部２０に固定されており、保持装置１０が挿入部３０を保持することで、被検者Ｐと挿入部３０が相対的に位置決めされることとなる。

　図２には、図１で説明したパンツタイプの装着部２０に取り付けられた保持装置１０の構成を示す図である。保持装置１０の筐体１１の一面は、装着部２０に固定されている。被検者Ｐが装着部２０を装着した際、保持装置１０は、被検者Ｐの体腔（肛門）近傍に位置するように配置されている。したがって、被検者Ｐが、保持装置１０が取り付けられた装着部２０を装着することで、被検者Ｐの肛門と保持装置１０の挿入開口１１ｂは対向した位置関係となる。この挿入開口１１ｂから内視鏡装置１の挿入部３０が挿入される。この筐体１１内部には、挿入部３０を保持する保持機構が設けられており、保持機構を保持状態、開放状態に変更することで、挿入部３０を保持状態、あるいは、進退または回転可能状態に変更することが可能となっている。

　本実施形態の保持装置１０は、この保持機構の保持状体、進退または回転可能状態を手動にて切り替え可能としている。そのため、挿入開口１１ｂに操作スイッチ１２が設けられている。施術者Ｏは、この操作スイッチ１２にて保持機構の状態を切り替え、挿入開口１１ｂに挿入された挿入部３０を保持状態、あるいは、進退または回転可能状態に変更する。図１の状態では、施術者Ｏは、挿入部３０に手を添え、挿入部３０を進退または回転させている状態が示されているが、保持状態に変更することで、被検者Ｐの口腔（肛門）付近で挿入部を支えることなく、操作部７４などの操作を行うことが可能となる。

　では、このように挿入部３０を進退または回転可能状態、あるいは、保持状態に変更可能な保持装置１０について、その詳細を説明する。図３は、本発明の実施形態に係る保持装置１０の構成を示す図である。

　本実施形態の保持装置１０は、外観上、筐体１１、操作スイッチ１２、保持力調整機構１３を備えて構成されている。筐体１１は、図に示すＸ面側において、前述した装着部２０に取り付けられる。装着部２０は、被検者の体に装着される部材であり、布や紙などに形成されている。衛生面上、この装着部２０を交換可能として、保持装置１０を複数回使用可能な構成としてもよい。あるいは、保持装置１０と装着部２０を１回限りの使用としてもよい。その場合、保持装置１０と装着部２０は脱着不可の状態とすることが可能となる。

　筐体１１には、被検者Ｐの体腔と対向する位置に挿入開口１１ｂが設けられている。この挿入開口１１ｂに内視鏡装置などの挿入部３０を挿通し、挿入開口１１ｂと対向する体腔に挿入部３０が挿入される。筐体１１の一部は、挿入部３０の片側を固定する固定部１１ａとして機能する形状となっている。また、筐体１１内部には、この固定部１１ａと対向する位置に押圧部１７が設けられており、この押圧部１７の状態を可変することで、挿入部を保持状態、または、進退または回転可能状態に変更することが可能となっている。

　前述したように本実施形態の保持装置１０は、手動によって保持状態、または、進退または回転可能状態の切り替えを行うこととしている。そのため、筐体１１の一面には、操作スイッチ１２が設けられている。この操作スイッチ１２は、保持力調整機構１３と連結されており、操作スイッチ１２を操作する毎に、押圧部１７の状態を変更することが可能となっている。

　また、本実施形態の操作スイッチ１２は、操作性向上のため、大きな盤面を有する部材で構成されている。そして、この操作スイッチ１２の大きな盤面には、筐体１１側の挿入開口１１ｂと対向した位置に、挿入開口１２ｂが設けられている。この操作スイッチ１２側の挿入開口１２ｂを有することで、挿入開口１１ｂに挿入部３０を挿入した際、操作スイッチ１２の盤面は、挿入部３０の周囲に近接して配置された状態となる。したがって、施術者Ｐは、挿入部３０を支持している手を操作スイッチ１２に押し当て保持状態を変更する、すなわち、片手で挿入部３０の支持と操作スイッチ１２の操作を行うことが可能となっている。

　また、本実施形態の保持装置１０は、挿入開口１１ｂに開口１１ｃが設けられている。緊急時には、挿入開口１１ｂから挿入部３０を抜くのではなく、開口１１ｃから挿入部３０を横方向に取り外すことで、短時間で保持装置１０から挿入部３０を取り外すことが可能となる。また本実施形態の操作スイッチ１２の挿入開口１２ｂに対しても開口１２ｃが設けられており、筐体１１側の開口１１ｃと同様、短時間での挿入部３０の取り外しを可能としている。なお、開口１１ｃ、開口１２ｃから保持装置１０へ挿入部３０を装着しても良い。

　では、本実施形態に係る保持装置１０の内部構成について説明する。図４は、保持装置１０の構成を示すＺ面での断面図（保持機構は解放時）であり、図５は、保持装置１０の構成を示すＺ面での断面図（保持機構は保持時）であり、図６は、保持装置１０の構成を示すＹ面での断面図（保持時）である。図４、図５におけるＺ面、図６におけるＹ面の位置は、図３に示された各面での断面に相当している。何れの図においても、挿入部３０は挿通された状態で示されている。

　図４には、保持装置１０の保持機構を説明するための図であって、この図の状態は開放状態、すなわち、挿入部３０が進退または回転可能である状態が示されている。本実施形態の保持装置１０における保持機構は、トグル倍力機構を採用した形態となっている。筐体１１内部には、保持力調整機構１３、保持力方向変更機構１５、押圧部１７が設けられている。保持力変更機構１３は、操作スイッチ１２と連結されており、操作スイッチ１２が押圧される毎に、位置決め部１３１の位置を変更する機構である。ちょうどボールペンにおいて、芯を進退させる機構と同様であって、ボールペンにおける押しボタンが操作スイッチ１２に、ボールペンの芯が位置決め部１３１に相当する。図４の状態で操作方向に操作スイッチ１２を操作すると、図５の状態、すなわち、位置決め部１３１が右側に移動した状態となる。また、図５の状態で操作方向に操作スイッチ１２を操作すると、図４の状態、すなわち、位置決め部１３１は左側に移動した状態となる。

　本実施形態の保持力調整機構１３は、このように位置決め部１３１の位置を２つの状態に変更可能とすることで、保持状態、進退または回転可能状態を切り替えることとしている。保持力調整機構１３は、２つの状態のみならず、３以上の状態に切り替え可能として、保持状態における保持力の強弱を変更可能に構成することも可能である。

　本実施形態では、保持力調整機構１３によって位置決めされた位置決め部１３１によって、挿入部３０の保持状態を切り替えているが、位置決め部１３１の位置を挿入部３０に対する保持力に変更するため、保持力方向変更機構１５を使用している。この保持力方向変更機構１５は、トグル倍力機構の一部であって、操作スイッチ１２の操作方向を挿入部３０の押圧方向に変更する機能を有する。挿入部３０を保持するには、挿入部３０の挿入方向に対して直交する方向に力を付与する必要があるが、本実施形態では、この保持力方向変更機構１５を使用したことで、施術者Ｏは、挿入部３０と同方向に操作スイッチ１２を操作することで、挿入部３０の保持状態を切り替えることが可能となり、操作性の向上が図られている。

　保持力調整機構１３は、２つの可動部１５２、１５４と各可動部１５２、１５４を回動可能に連結するヒンジ部１５１、１５３、１５５を有して構成されている。ヒンジ部１５１は、可動部１５２と筐体１１を回動可能に連結している。ヒンジ部１５３は、可動部１５２と可動部１５４を回動可能に連結している。ヒンジ部１５５は、可動部１５４と押圧部１７を回動可能に連結している。このような構成により、可動部１５２と可動部１５４の連結部分を位置決め部１３１で位置規制することで、押圧部１７による保持状態を変更することが可能となる。図４のように位置決め部１３１が左側に位置する場合には押圧部１７は、挿入部３０を押圧しない状態となり、図５のように位置決め部１３１が右側に位置した場合には、押圧部１７は、挿入部３０を押圧した状態となる。図６は、図３のＹ面における保持装置１０の断面図であって、図５と同様、押圧部１７が挿入部３０を押圧した状態が示されている。

　以上、説明したように本実施形態の保持装置１０は、操作スイッチ１２を手動操作することで、被検者Ｐの体腔に挿入される挿入部３０を保持状態、あるいは、進退または回転可能状態に変更することが可能となる。したがって、保持状態にあっては、挿入部３０と被検者を相対的に位置決めすることが可能となり、内視鏡装置など軟性医療機器を有する各種医療装置の操作性の向上を図ることが可能となる。本実施形態の保持装置１０は、図２で説明したように被検者Ｐが装着するパンツタイプの装着部２０に取り付けられ、体腔（肛門）から挿入部３０を挿入する形態について説明したが、保持装置１０は、これら以外にも各種タイプの装着部２０に適用することが可能である。

　図７は、ベルトタイプの装着部２０を示した形態である。この形態の装着部２０は、前述したパンツタイプと同様、肛門に挿入部３０を挿入する形態などに使用することが可能である。その場合、装着部２０を被検者Ｐの腰回りに巻き付け、固定面２１で装着部２０の端部を固定することで、装着部２０を被検者Ｐに装着する。その際、挿入開口１１ｂが被検者Ｐの肛門に体躯するように保持装置１０を設置し、挿入開口１１ｂから挿入部３０を挿入することで、医療装置による腸内の観察、施術を行うことが可能となる。

　図８は、マスクタイプの装着部２０を示した形態である。装着部２０は、マスク面の両端に耳掛け部２２Ｒ、２２Ｌが設けられ、被検者Ｐは、通常のマスクと同じように耳掛け部２２Ｒ、２２Ｌを耳に掛けて装着部２０を装着する。マスク面の中央には保持装置１０が固定されており、装着部２０を装着した際、被検者の口腔前方に保持装置１０が位置決めされる。挿入開口１１ｂを介して被検者Ｐの口腔に内視鏡装置（胃カメラ）等の各種医療装置の挿入部３０を挿入することで、被検者Ｐの体内の観察、施術を行うことが可能となる。

　図９は、マウスピースタイプの装着部２０を示した形態である。図９（Ａ）は、前方上方から眺めたときの装着部２０、保持装置１０の構成を示す図であり、図９（Ｂ）は、図９（Ａ）のＡ－Ａ間での断面図となっている。マウスピースタイプの装着部２０は、シリコン等の弾性部材で構成された上顎装着部２３、下顎装着部２４を有して構成されている。保持装置１０は、この上顎装着部２３と下顎装着部２４の間に配置されている。被検者Ｐは、この装着部２０を口腔内に配置することで、ちょうど保持装置１０を口にくわえた状態を取ることが可能となる。この状態では、保持装置１０の挿入開口１１ｂは、被検者Ｐの口腔と対向することとなり、挿入部３０は、挿入開口１１ｂを介して被検者Ｐの口腔に挿入可能となる。したがって、図８のマスクタイプと同様、挿入開口１１ｂを介して被検者Ｐの口腔に内視鏡装置（胃カメラ）等の各種医療装置の挿入部３０を挿入することで、被検者Ｐの体内の観察、施術を行うことが可能となる。

　図１、図２などでは、操作スイッチ１２による手動操作形態の保持装置１０について説明したが、本実施形態の保持装置１０は、手動操作形態のみならず、モータなどの各種駆動力を使用した電動形態とすることも可能である。このような形態では、電磁弁（固定動力部）などによる駆動力を用いて挿入部３０の保持状態を変更することが可能となり、遠隔操作による保持状態の変更が可能となる。また、進退動力部を使用することで挿入部３０の進退についても遠隔操作することが可能となる。さらには、回転動力部を使用することで挿入部３０の回転運動についても遠隔操作することが可能となる。

　図１０には、電動形態の保持装置１０を採用した内視鏡装置１の使用状況が示されている。本実施形態の内視鏡装置１は、検査台８１に横たわる被検者Ｐの体内に挿入される挿入部３０と、制御線７１にて制御部７０と接続され、施術者などの操作者Ｏが操作により制御部７０に操作指示を出力する操作部５０と、制御部７０と映像信号線７２で接続され、挿入部３０の先端に設けられた撮像部にて映像信号線７３を介して取得された画像を表示するための表示部６０と、操作指示に従って挿入部１０を制御する制御部７０とを備えている。

　操作部５０は、操作台５１に取り付けられた一対の操作アーム５２、５３と、床面上に配置されたフットスイッチ５４とを有している。操作アーム５２、５３は多関節構造を有している。操作アーム５２、５３は挿入部３０の挿入部３０の状態、並びに、挿入部３０の先端に配設されたマニピュレータ（不図示）を操作するためのものである。

　フットスイッチ５４には、制御モードを切替えるためのモード切替えスイッチ５４ａと、操作者Ｏが確認指示などを入力するための確認スイッチ５４ｂとを備えている。従来（保持装置１０を用いない状況）、このような内視鏡装置１を使用して被検者Ｐの腸内を観察、施術する場合、操作者Ｏ以外の介助者を必要としていた。すなわち、操作者Ｏは、両手で操作アーム５２、５３を操作する必要があるため、挿入部３０の支持、並びに、挿入状態（進退位置、回転位置）の調整は介助者によって行われていた。操作者Ｏは、介助者に対して指示を出し、適切な位置に挿入部３０を位置させる。

　本実施形態では、保持装置１０を使用することで、介助者を必要とすることなく、操作アーム５２、５３などの操作手段の操作によって、保持装置１０にて挿入部３０の保持調整、進退調整、回転調整の少なくとも１つを行うことを可能としている。操作者Ｏは、操作アーム５２、５３を両手で操作することで、介助者を必要とすることなく、挿入部３０の各種状態、そして、マニピュレータの状態を調整することが可能である。

　では、このような電動形態による保持装置１０の各種構成について説明する。図１１は、本発明の他の実施形態に係る保持装置１０の駆動構成を示す図である。本実施形態の保持装置１０は、制御部７０からの制御信号に基づき電磁弁７４を動作させ、位置決め部１３１の位置を変更することで、押圧部１７による保持状態を変更可能としている。さらに、保持装置１０の筐体１１内には、進退動力部７５と進退動力伝達部７６が設けられており、挿入部３０の進退位置の調整を行うことが可能となっている。進退動力部７５は、モータなどを有して構成され、制御部７０からの制御信号に基づいて、進退動力伝達部７６を駆動する。進退動力伝達部７６は、ゴムなど弾性部材のローラを有して構成され、ローラを挿入部３０の表面に接触させることで人体の挿入方向、送出方向に駆動力を伝達し、挿入部３０を進退させる。

　図１２には、このような電動形態による保持装置１０の駆動動作が示されている。図は、押圧部による保持力と進退動力部の動作関係を示している。電磁弁７４にて位置決め部１３１の位置を変更することで、押圧部１７による保持力を「大」、「小」、「無」の３状態に切り替え可能としている。

　保持力「大」とすることで、挿入部３０の位置固定が行われる。この場合、進退動力部７５はＯＦＦ状態となり、挿入部３０の進退動作は行われない。保持力「小」の状態では、挿入部３０に対して適度な保持力が付加され、押圧部１７と挿入部３０間の摩擦抵抗にて挿入部３０の位置決めされる。この場合、手動、もしくは、進退動力部７５による進退動作が可能となる。進退動力部７５をＯＮ状態とすることで、進退動力部７５を利用した電動挿入、あるいは、電動送出を行うことが可能となる。また、進退動力部７５をＯＦＦ状態とした場合には、挿入部３０の進退位置を手動で位置決めすることが可能となる。保持力「無」の状態は、緊急時など、挿入部３０を被検者Ｐの身体から早急に取り外す必要がある状態である。この場合、押圧部１７は、挿入部３０を押圧しない状態に変更され、図３に示す、筐体１１の側面に設けられた開口１１ｃから挿入部３０を取り外すことが可能となる。

　以上、図１０の電動形態を採用した保持装置１０では、電磁弁７４による挿入部３０への保持力の付与、並びに、進退動力部７５、進退動力伝達部７６による挿入部３０の進退位置調整を行うことが可能となり、図１０に示すように介助者を必要とすることなく、挿入部３０の位置決め、挿入位置の調整を行うことが可能となっている。

　図１３には、他の実施形態に係る保持装置１０の駆動構成が示されている。電磁弁７４による押圧部１７に対する保持状態の変更機能は、図１１で説明した形態と同様である。本実施形態の保持装置１０の筐体１１内には、回転動力部７７と回転動力伝達部７８が設けられており、挿入部３０の回転位置の調整を行うことが可能となっている。内視鏡装置などの医療装置では、挿入部３０を回転させることで、観察位置や施術位置を変更させることがある。本実施形態では、挿入部３０を電動回転可能とすることで、観察位置や施術位置の変更を遠隔で操作可能としている。

　回転動力部７７は、モータなどを有して構成され、制御部７０からの制御信号に基づいて、回転動力伝達部７８を駆動する。回転動力伝達部７８は、ゴムなど弾性部材のローラを有して構成され、ローラを挿入部３０の表面に接触させることで、挿入部３０の挿入方向と直交する方向に駆動力を伝達し、挿入部３０を時計回り方向、反時計回り方向に回転させる。

　図１４には、図１３の保持装置１０の駆動動作が示されている。図は、押圧部による保持力と進退動力部の動作関係を示している。電磁弁７４にて位置決め部１３１の位置を変更することで、押圧部１７による保持力を「大」、「小」、「無」の３状態に切り替え可能としている。

　保持力「大」とすることで、挿入部３０の位置固定が行われる。この場合、回転動力部７７はＯＦＦ状態となり、挿入部３０の回転動作は行われない。保持力「小」の状態では、挿入部３０に対して適度な保持力が付加され、押圧部１７と挿入部３０間の摩擦抵抗にて挿入部３０の位置決めされる。この場合、手動、もしくは、回転動力部７７による回転動作が可能となる。回転動力部７７をＯＮ状態とすることで、回転動力部７７を利用した電動回転を行うことが可能となる。また、回転動力部７７をＯＦＦ状態とした場合には、挿入部３０の回転位置を手動で位置決めすることが可能となる。保持力「無」の状態は、図１２で説明したように緊急時の状態であって、筐体１１の側面に設けられた開口１１ｃから挿入部３０を取り外すことが可能となる。

　図１５は、挿入部３０を進退、回転可能とした保持装置１０の駆動構成を示す図であり、図１１で説明した動作機構と、図１３で説明した動作機構を兼ね備えた形態となっている。制御部７０にて、各電磁弁７４ａ、７４ｂ、進退動力部７５、回転動力部７７を制御することで、挿入部３０の位置決め、進退位置、回転位置の調整を行うことが可能となっている。

　図１５では、挿入部３０に対する駆動力を、進退動力部７５と回転動力部７７にて分担しているが、駆動力は１の進退動力部７５で賄うこととしてもよい。図１６には、他の実施形態に係る保持装置１０の駆動構成が示されている。図に示されるように進退動力部７５と動力伝達部７９はユニット化され、当該ユニットを回転動力部７７にて回転可能とする構成となっている。回転動力部７７にて駆動力の伝達方向を、進退方向、あるいは、進退方向と直交する方向に変更し、進退動力部７５を動作させることで、挿入部３０の進退位置調整、回転位置調整を行うことが可能となっている。

　以上、図１０～図１６を用いて、電動形態による保持装置１０の各種構成について説明したが、このような電動形態の保持装置１０を採用することで、挿入部３０の保持、挿入位置調整、回転位置調整を遠隔で操作することが可能となるとともに、介助者などによる補助を必要とすることなく、被検者Ｐに対する診察、施術を行うことが可能となる。なお、これら形態は、電磁弁７４にて保持力を調整可能な形態としているが、保持力の調整は、図３などで説明した操作スイッチ１２を使用した手動形態を併用することも可能である。

　以上、本発明のある態様に係る実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となる。

　本発明に係る軟性医療機器保持装置を利用すると、内視鏡装置など、軟性医療機器を被検者の体腔から挿入する際、被検者と軟性医療機器の相対位置関係を一定に保つことが可能となり、軟性医療機器を使用する際の操作性の向上を図ることが可能となる。

１…内視鏡装置、１０…（軟性医療機器）保持装置、１１…筐体、１１ａ…固定部、１１ｂ…挿入開口、１１ｃ…開口、１２…操作ボタン、１２ｂ…挿入開口、１２ｃ…開口、１３…保持力調整機構、１３１…位置決め部、１５…保持力方向変更機構、１５１、１５３、１５５…ヒンジ部、１５２、１５４…可動部、１７…押圧部、２０…装着部、２１…固定面、２２Ｒ、Ｌ…耳掛け部、２３…上顎装着部、２４…下顎装着部、３０…挿入部、５０…操作部、５１…操作台、５２、５３…操作アーム、５４…フットスイッチ、６０…表示部、７０…制御部、７１…制御線、７２、７３…映像信号線、７４…操作部、８１…検査台

Claims

　被検者の体腔入口付近に装着される装着部と、
　前記装着部に取り付けられた筐体と、
　前記筐体に配設され、前記被検者の体腔に挿入される軟性医療機器に対する保持力を調整することで、固定状態と、挿入方向に進退可能な状態に切り替える保持持力調整機構を有し、
　前記被検者と前記軟性医療機器の相対位置を一定に保つ
　軟性医療機器保持装置。
　前記保持力調整機構にて、前記軟性医療機器に対する保持力は、複数段階に調整可能とした
　請求項１に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記装着部は、前記被検者の腰部近傍、もしくは、前記被検者の口腔近傍に配置される
　請求項１または請求項２に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記筐体側面には、前記軟性医療機器を着脱可能とする開口が設けられている
　請求項１から請求項３の何れか１項に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記保持力調整機構は、操作スイッチに対する手動操作にて保持力が調整される
　請求項１から請求項４の何れか１項に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記操作スイッチの操作方向は、前記軟性医療機器の挿入方向と同じである
　請求項５に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記保持力調整機構は、保持力を発生する固定動力部を有する
　請求項１から請求項３の何れか１項に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記軟性医療機器を挿入方向に進退させる進退動力部を備えた
　請求項１から請求項７の何れか１項に記載の軟性医療機器保持装置。
　前記軟性医療機器を回転させる回転動力部を備えた
　請求項１から請求項８の何れか１項に記載の軟性医療機器保持装置。