WO2014091585A1

WO2014091585A1 - カバー部材及びこれを備えるスライドファスナー

Info

Publication number: WO2014091585A1
Application number: PCT/JP2012/082243
Authority: WO
Inventors: 守正米丘; 美幸大角; 奈津子才津
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2012-12-12
Filing date: 2012-12-12
Publication date: 2014-06-19
Also published as: TWI504358B; TW201427617A

Abstract

　前端部（２０３ｆ）同士が向き合う態様の２以上のファスナースライダー（２０３）の各前端部（２０３ｆ）間の隙間を覆うためのカバー部材（１００）が開示される。カバー部材（１００）は、基部（１０）と、基部（１０）に対して結合すると共に、ファスナースライダー（２０３）を少なくとも部分的に収容可能であるファスナースライダー収容部（２１）と、を備える。ファスナースライダー収容部（２１）には、２以上のファスナースライダー（２０３）が前端部（２０３ｆ）側から個別に挿入可能な空洞（２２）が設けられる。

Description

カバー部材及びこれを備えるスライドファスナー

　本発明は、カバー部材及びこれを備えるスライドファスナーに関する。

　特許文献１及び２に示すように、スライドファスナーの端部に対して固定される防水用のカバー部材が知られている。

　特許文献３には、同文献の図１乃至図３の参照から理解できるように、歯チェーン１２が設けられた長尺テープ１１に孔１３を設け、上型２、下型３、及びコア型４を活用してテープ１１に対して一体的に防水用のカバー５を成形することが開示されている。

　特許文献４には、両面テープ４でカバー３と生地１間を粘着し、両面テープ５でファスナー２とカバー３間を粘着することが開示されている。

意匠登録第１２１０１４７号公報意匠登録第１２１０１４８号公報米国特許第６，９９８，０８２号公報中華人民共和国実用新案出願公告第ＣＮ２０１５８５５０６Ｕ号明細書

　前端部同士が向き合い可能な２つのファスナースライダーを活用してスライドファスナーの開閉の調整に自由度を持たせることが望ましい場合がある。しかしながら、この場合、特許文献１及び２に開示のカバー部材を用い、ファスナースライダーが挿入されるカバー部材の挿入口が反対方向を向く態様でカバー部材を隣接配置したとしても、横並びの個別のカバー部材の間の隙間を介して液体、粉体等の流体が内部に流入してしまうおそれがある。これを回避するために生地等を別途外側又は内側から当てて流路を塞ぐとしても、この作業自体が余分なものであり、場合によっては生地の当て方に精度が要求され、カバー部材が縫着等される製品の生産性が低下してしまうことも招来し得る。

　上述の例示的説明から理解できるように、本願発明者は、２以上のファスナースライダーの各前端部の間の隙間への液体、粉体等の流体の流入を防ぐに際して、従前のカバー部材では用を足さないという新規な課題を見出した。

　本発明に係るカバー部材は、前端部同士が向き合う態様の２以上のファスナースライダーの各前端部間の隙間を覆うためのカバー部材であって、基部と、前記基部に対して結合すると共に、前記ファスナースライダーを少なくとも部分的に収容可能であるファスナースライダー収容部と、を備え、前記ファスナースライダー収容部には、前記２以上のファスナースライダーが前端部側から個別に挿入可能な空洞が設けられる。本構成によれば、前端部同士が向き合う態様の２以上のファスナースライダーの各前端部間の隙間をファスナースライダー収容部及び基部の少なくとも一方により被覆可能である。

　前記２以上のファスナースライダーが第１及び第２ファスナースライダーを含む場合において、前記ファスナースライダー収容部は、前記第１ファスナースライダーが前端部側及び第１方向から挿入可能である第１挿入口を有する第１ファスナースライダー収容部と、前記第２ファスナースライダーが前端部側及び前記第１方向とは異なる第２方向から挿入可能である第２挿入口を有する第２ファスナースライダー収容部を含み、前記第１ファスナースライダー収容部の前記第１挿入口と前記第２ファスナースライダー収容部の前記第２挿入口の間を前記第１及び第２ファスナースライダーが通過不能である、と良い。

　前記第１及び第２ファスナースライダー収容部は、前記基部が凸状に隆起した部分であり、前記第１及び第２ファスナースライダー収容部間には前記基部が隆起していない部分が配される、と良い。

　前記第１ファスナースライダー収容部の第１空洞の空洞幅及び空洞高さが、前記第１ファスナースライダー収容部の前記第１挿入口側から前記第１ファスナースライダー収容部の奥行き方向に沿って漸減し、前記第２ファスナースライダー収容部の第２空洞の空洞幅及び空洞高さが、前記第２ファスナースライダー収容部の前記第２挿入口側から前記第２ファスナースライダー収容部の奥行き方向に沿って漸減する、と良い。なお、前記第１ファスナースライダー収容部の第１空洞には、少なくとも部分的に前記第１ファスナースライダーが挿入される。前記第２ファスナースライダー収容部の第２空洞には、少なくとも部分的に前記第２ファスナースライダーが挿入される。

　前記第１ファスナースライダー収容部の幅及び高さが、前記第１ファスナースライダー収容部の前記第１挿入口側から前記第１ファスナースライダー収容部の奥行き方向に沿って漸減し、前記第２ファスナースライダー収容部の幅及び高さが、前記第２ファスナースライダー収容部の前記第２挿入口側から前記第２ファスナースライダー収容部の奥行き方向に沿って漸減する、と良い。

　前記基部が、前記ファスナースライダーにより開閉されるファスナーストリンガーのファスナーテープの第１主面上に配されるべき上部基部、及び前記上部基部に対して連結すると共に、前記ファスナーテープの前記第１主面の反対側の第２主面上に配されるべき下部基部を含む、と良い。

　前記下部基部には、前記ファスナースライダーの移動を許容する少なくとも１つの切欠きが設けられる、と良い。

　前記上部及び下部基部が、前記２以上のファスナースライダーの各前端部の間に対応付けて配されるべき柱部を介して連結する、と良い。

　前記上部及び下部基部による前記ファスナーテープの挟み込み位置における前記上部及び下部基部間の間隔よりも、前記上部及び下部基部による前記ファスナーストリンガーのファスナーエレメントの挟み込み位置における前記上部及び下部基部間の間隔が広い、と良い。

　前記基部には、前記ファスナースライダーにより開閉されるファスナーストリンガーのファスナーテープに対する当該カバー部材の縫着の予定線を規定する凹状の少なくとも１つの溝部が設けられる、と良い。

　本発明に係るスライドファスナーは、上記いずれかのカバー部材が設けられたスライドファスナーである。

　本発明によれば、２以上のファスナースライダーの各前端部の間の隙間への液体、粉体等の流体の流入を抑制可能である。

本発明の第１実施形態に係るカバー部材の概略的な上面側の斜視図である。本発明の第１実施形態に係るカバー部材の概略的な下面側の斜視図である。本発明の第１実施形態に係るカバー部材の概略的な上面図である。本発明の第１実施形態に係るカバー部材の概略的な縦断面模式図であり、図３のＸ４－Ｘ４に沿うカバー部材の断面構成を示す。本発明の第１実施形態に係るカバー部材の概略的な側面図であり、２つのファスナースライダー収容部の一方の挿入口を正面視したものである。本発明の第１実施形態に係るカバー部材の概略的な下面図である。本発明の第１実施形態に係るカバー部材をスライドファスナーに対して装着することを説明するための説明図であり、スライドファスナー及びカバー部材を下面側から見たものである。本発明の第１実施形態に係るカバー部材をスライドファスナーに対して縫着した状態を模式的に示す模式図であり、スライドファスナー及びカバー部材を上面側から見たものである。本発明の第１実施形態に係るカバー部材をスライドファスナーに対して縫着した状態の概略的な横断面模式図である。本発明の第１実施形態に係るカバー部材をスライドファスナーに対して縫着した状態の概略的な縦断面模式図である。本発明の第２実施形態に係るカバー部材の概略的な下面図である。本発明の第３実施形態に係るカバー部材をスライドファスナーに対して装着することを説明するための説明図であり、スライドファスナー及びカバー部材を下面側から見たものである。本発明の第４実施形態に係るカバー部材の概略的な上面側の斜視図である。本発明の第５実施形態に係るカバー部材の概略的な上面図である。本発明の第５実施形態に係るカバー部材の概略的な縦断面模式図であり、図１４のＸ１５－Ｘ１５に沿うカバー部材の断面構成を示す。本発明の第６実施形態に係るカバー部材の概略的な上面図であり、３組のスライドファスナー上に固定された状態を示す。

　以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。各実施形態は、個々に独立したものではなく、過剰説明をするまでもなく、当業者をすれば、適宜、組み合わせることが可能であり、この組み合わせによる相乗効果も把握可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明説明を主目的とするものであり、適宜、簡略化されている。

　＜第１実施形態＞
　図１乃至図１０を参照して第１実施形態について説明する。図１は、カバー部材の概略的な上面側の斜視図である。図２は、カバー部材の概略的な下面側の斜視図である。図３は、カバー部材の概略的な上面図である。図４は、カバー部材の概略的な縦断面模式図であり、図３のＸ４－Ｘ４に沿うカバー部材の断面視構成を示す。図５は、カバー部材の概略的な側面図であり、２つのファスナースライダー収容部の一方の挿入口を正面視したものである。図６は、カバー部材の概略的な下面図である。図７は、スライドファスナーにカバー部材を装着することを説明するための説明図であり、スライドファスナー及びカバー部材を下面側から見たものである。図８は、カバー部材をスライドファスナーに対して縫着した状態を模式的に示す模式図であり、スライドファスナー及びカバー部材を上面側から見たものである。図９は、カバー部材をスライドファスナーに対して縫着した状態の概略的な横断面模式図であり、図８のＸ９－Ｘ９に沿う断面視構成を示す。図１０は、スライドファスナーにカバー部材を縫着した状態の概略的な縦断面模式図である。

　図１乃至図６に示すカバー部材１００は、前端部同士が向き合う態様、端的には頭合わせ可能な態様の２以上のファスナースライダーの各前端部間の隙間を被覆するために用いられる。２個のファスナースライダーの前端部同士が向き合う時、例示的かつ典型的には両者の間にはファスナーエレメントが噛み合っていない隙間が生じるが、カバー部材１００を用いることで、同隙間を介した液体、粉体等の流体の流入を抑制可能である。本例においては、図７乃至図１０に示すように、カバー部材１００がスライドファスナー２００に装着及び縫着されるが、必ずしもスライドファスナー２００に対してカバー部材１００を直接的に固定する必要はない。スライドファスナー２００に対するカバー部材１００の固定方法は任意であり、縫着、接着、及び溶着等が例示できる。

　説明の便宜上、まず、図７を参照してスライドファスナー２００の構成について説明する。なお、図７を正面視したときの左右方向が鉛直方向に一致するものとするが、かかる前提は専ら説明の便宜上の問題であり、本願の開示発明を限定するものではない。

　図７に示すように、スライドファスナー２００は、２つのファスナースライダー２０３が頭合わせに挿通されたスライドファスナーであり、各ファスナースライダー２０３を近づけることで閉じ、各ファスナースライダー２０３を遠ざけることで開く。より具体的には、スライドファスナー２００は、一組のファスナーテープ２０１ｐ、２０１ｑと、ファスナーテープ２０１ｐ、２０１ｑの対向する内側縁に設けられたコイルエレメントの一組のファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑ、及び頭合わせ可能な一組のファスナースライダー２０３ｍ、２０３ｎを有する。なお、ファスナーテープ２０１ｐにファスナーエレメント２０２ｐが縫着等により固定されたものをファスナーストリンガー２０４ｐと呼ぶ。ファスナーテープ２０１ｑとファスナーエレメント２０２ｑからファスナーストリンガー２０４ｑが同様に構成される。

　各ファスナーテープ２０１の裏側に各ファスナーエレメント２０２が縫着され、ファスナーテープ２０１の表側からファスナーエレメント２０２が見えない。スライドファスナー２００を閉じたとき、隣り合うファスナーテープ２０１同士が密着し、隣り合うファスナーテープ２０１の間に隙間が生じないように構成され、スライドファスナー２００の防水性が確保される。なお、本願においては、算用数字とローマ字の組み合わせから成る符号のローマ字を全体的又は部分的に除いたものを上位概念用の符号として用いる場合があり、図面においてはカッコ内に示される。

　ファスナースライダー２０３ｍは、図１０に例示的に示すように、上翼板２０３ｍ１、下翼板２０３ｍ２、これらを連結する連結柱２０３ｍ３、上翼板２０３ｍ１に設けられた取付柱２０３ｍ６、及び取付柱２０３ｍ６に取付けられた引手２０３ｍ７を有し、上翼板２０３ｍ１と下翼板２０３ｍ２の間にＹ字状のエレメント通路が設けられる。ファスナースライダー２０３ｍは、前端部２０３ｍｆと後端部２０３ｍｒを有する。ファスナースライダー２０３ｍの前端部２０３ｍｆにおいて、上翼板２０３ｍ１と下翼板２０３ｍ２が連結柱２０３ｍ３を介して連結する。ファスナースライダー２０３の前端部２０３ｆは、連結柱２０３ｍ３の左右両横に位置するＹ字状のエレメント通路の左右の前口が設けられる側でもある。ファスナースライダー２０３ｍの後口は、ファスナースライダー２０３ｍの後端部２０３ｍｒに設けられ、後端部２０３ｍｒにおいては上翼板２０３ｍ１と下翼板２０３ｍ２が非連結である。

　ファスナースライダー２０３ｎは、ファスナースライダー２０３ｍと同様に構成され、上翼板２０３ｍ１を上翼板２０３ｎ１で読み替え、下翼板２０３ｍ２を下翼板２０３ｎ２で読み替え、連結柱２０３ｍ３を連結柱２０３ｎ３で読み替え、取付柱２０３ｍ６を取付けー柱２０３ｎ６で読み替え、引手２０３ｍ７を引手２０３ｎ７で読み替え、前端部２０３ｍｆを前端部２０３ｎｆで読み替え、後端部２０３ｍｒを後端部２０３ｎｒで読み替える。各ファスナースライダー２０３ｍ、２０３ｎの前端部２０３ｍｆ、２０３ｎｆを共通符号の「２０３ｆ」で示す場合がある。

　図１及び図２に示すように、カバー部材１００は、典型的には図７等に示したスライドファスナー２００のファスナーテープ２０１上に配されるべき基部１０、及び基部１０に対して結合すると共に、ファスナースライダー２０３を少なくとも部分的に収容可能であるファスナースライダー収容部２１を有する。なお、本例においては、カバー部材１００が一体成型品であり、ファスナースライダー収容部２１が基部１０の隆起により構成されると把握できるが、ファスナースライダー２０３を少なくとも部分的に収容するか否かという観点から基部１０とファスナースライダー収容部２１は峻別されるべきである。

　ファスナースライダー収容部２１は、本例においては、カバー部材１００の長手方向に横並びに配された前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎを含むが、第４実施形態に係る図１３に示すように必ずしもこの限りではない。前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎは、第１及び第２ファスナースライダー収容部でもある。なお、図３を正面視したときの左右方向が、カバー部材１００の前後方向である。前後方向を長手方向とも言う。また、図３を正面視したときの上下方向が、カバー部材１００の左右方向である。左右方向を幅方向とも言う。

　カバー部材１００の弾性を確保するべくシリコーンゴムや他の弾性材料によりカバー部材１００を構成すると良く、これにより、十分な衝撃耐性をカバー部材１００に付与することができ、またスライドファスナー２００等に対するカバー部材１００の簡便な取付性も確保できる。カバー部材１００の製造方法は任意であるが、例示的かつ典型的には、金型を活用してカバー部材１００を成形すると良い。カバー部材１００の色は任意であり、用途に応じて無機顔料等を活用して任意に着色可能である。カバー部材１００の具体的な構成材料や製法が任意であることは当然である。

　基部１０は、横並びの各ファスナーテープ２０１ｐ、２０１ｑ上に配され、噛合状態及び非噛合状態のファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑ上にも配される。ファスナーテープ２０１は、第１主面と、第１主面とは反対側の第２主面を有する。本例では、第１主面がファスナーテープ２０１の上面であり、第２主面がファスナーテープ２０１の下面である。基部１０は、ファスナーテープ２０１の上面上に配される上部基部１１を有し、更に任意の付加的な部分としてファスナーテープ２０１の下面上に配される下部基部１２を有し、上部基部１１と下部基部１２の間でファスナーテープ２０１及びファスナーエレメント２０２を挟み込み可能である。上部基部１１と下部基部１２は、所定間隔をあけて対向配置された平板状部分である。なお、下部基部１２には、ファスナースライダー収容部２１へのファスナースライダー２０３のスムーズな挿入を許容するための切欠き２３が設けられる。この場合、ファスナースライダー２０３は、上部基部１１と下部基部１２の間で上下から挟み込まれない。

　図１に示すように、上部基部１１は、上面でもある外面１１ａと、下面でもある内面１１ｂを有する。下部基部１２は、下面でもある外面１２ａと、上面でもある内面１２ｂを有する。上部基部１１の正面視形状は、略矩形状であるものと理解でき、４辺を成す側面１１ｃにより周囲される。下部基部１２についても同様であり、側面１１ｃを側面１２ｃで読み替える。上部基部１１と下部基部１２は一体成型品であり、本例においては、図２及び図４に示すように上部基部１１と下部基部１２が柱部１４を介して連結する。

　図３に示すように、上部基部１１の外面１１ａには、カバー部材１００の幅方向左右両側において、カバー部材１００の長手方向に延びる一組の溝部１３が設けられ、ファスナーテープ２０１に対するカバー部材１００の縫着の予定線が規定される。一組の溝部１３を構成する第１溝部１３ｐと第２溝部１３ｑは、所定の深さだけ凹状の窪んでおり、これにより、ファスナーテープ２０１に対するカバー部材１００の縫着の容易性を確保可能でもある。上部基部１１の外面１１ａには、カバー部材１００の幅方向中央において、上述のファスナースライダー収容部２１、端的には、前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎが設けられる。

　なお、図３に示すように、上部基部１１は、カバー部材１００の幅方向右側の第１上部フランジ部１１ｐ、上部中央部１１ｒ、及びカバー部材１００の幅方向左側の第２上部フランジ部１１ｑに区分可能である。第１上部フランジ部１１ｐが、ファスナースライダー２０３により開閉されるべき一組のファスナーストリンガー２０４の一方のファスナーテープ２０１上に配される。上部中央部１１ｒが、ファスナースライダー２０３により開閉されるべき一組のファスナーストリンガー２０４の間の上、端的には頭合わせのファスナースライダー２０３間の非噛合のファスナーエレメント２０２上に配される。第２上部フランジ部１１ｑが、ファスナースライダー２０３により開閉されるべき一組のファスナーストリンガー２０４の他方のファスナーテープ２０１上に配される。

　第１上部フランジ部１１ｐ及び第２上部フランジ部１１ｑには、各々、上述の第１溝部１３ｐ及び第２溝部１３ｑが設けられる。上部中央部１１ｒには、上述のファスナースライダー収容部２１が凸状に設けられ、端的には前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎが凸状に設けられる。なお、図３の軸線Ｘ４－Ｘ４がカバー部材１００の中心線と把握でき、図３を正面視したとき、軸線Ｘ４－Ｘ４の上下にてカバー部材１００が対称に構成される。

　図１乃至図４等に示すように、ファスナースライダー収容部２１は、基部１０の上部基部１１に凸状に設けられ、第１ファスナースライダー２０３ｍと第２ファスナースライダー２０３ｎが前端部２０３ｆ側から個別に挿入可能な空洞２２を有し、頭合わせされる第１ファスナースライダー２０３ｍと第２ファスナースライダー２０３ｎの間に生じる隙間を好適に塞ぐことが可能であり、雨滴や粉塵等の流体の流入を好適に防ぐことが可能である。

　本実施形態においては、好適な一例として、図１乃至図４等に示すように、ファスナースライダー収容部２１が、ファスナースライダー２０３ｍ、２０３ｎに対応して前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎを有する。前側ファスナースライダー収容部２１ｍは、上部基部１１が凸状に隆起した部分であり、第１挿入口２１ｋ８が設けられたドーム形状を呈する。本ドーム形状は、上面視楕円形状の半分が欠いたドーム形状であるが、本形態は一例にしか過ぎない。後側ファスナースライダー収容部２１ｎについても同様に上部基部１１上が凸状に隆起した部分であり、端的には第２挿入口２１ｋ９が設けられたドーム形状を呈する。このようにファスナースライダー収容部２１を形状付け及びサイズすることにより、ファスナースライダー収容部２１の外観をポケットの如く見せることができ、使用者に対して該部分がファスナースライダーの収容ポケットであることを直感的に教示可能である。なお、ファスナースライダー収容部２１をファスナースライダーポケットと呼んでも構わない。

　前側ファスナースライダー収容部２１ｍは、上述のように半欠のドーム形状であり、図４に示すように、収容部外面２１ｍ１と収容部内面２１ｍ２の間隔により規定される一定の肉厚を有する。収容部外面２１ｍ１は、上部基部１１の外面１１ａから滑らかに隆起した面であり、自身の挿入口２１ｋ８側からカバー部材１００の長手方向に沿って緩慢に上部基部１１の外面１１ａ側に近接し、カバー部材１００の幅方向中心から同方向の左右外側に向かって緩慢に上部基部１１の外面１１ａ側に近接する。収容部内面２１ｍ２は、収容部外面２１ｍ１と同様に滑らかに傾斜した面であり、上部基部１１の内面１１ｂや柱部１４の側面１４ｋに接続する。後側ファスナースライダー収容部２１ｎについても同様であり、前側ファスナースライダー収容部２１ｍの収容部外面２１ｍ１と収容部内面２１ｍ２を、後側ファスナースライダー収容部２１ｎの収容部外面２１ｎ１と収容部内面２１ｎ２で読み替える。

　前側ファスナースライダー収容部２１ｍと後側ファスナースライダー収容部２１ｎは、カバー部材１００の長手方向に横並びに配され、各ファスナースライダー収容部２１に設けられたファスナースライダー２０３の挿入口２１ｋ８、２１ｋ９が反対方向を向いている。前側ファスナースライダー収容部２１ｍの奥行き方向と後側ファスナースライダー収容部２１ｎの奥行き方向が同軸上に配されるが、各奥行き方向が、例えば、１°～１７９°の範囲内の任意の角度で交差する態様にあっても構わない。例えば、前側ファスナースライダー収容部２１ｍと後側ファスナースライダー収容部２１ｎをＶ字の如く配置しても構わない。なお、奥行き方向は、各ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎの各挿入口２１ｋ８、２１ｋ９から各ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎの奥側に向かう方向である。

　前側ファスナースライダー収容部２１ｍは、自身の挿入口２１ｋ８から自身の奥行き方向に沿って収容空間が減じるべく構成される。端的には、前側ファスナースライダー収容部２１ｍの高さＨ２１及び幅Ｗ２１は、前側ファスナースライダー収容部２１ｍの奥行き方向、本例においては後側ファスナースライダー収容部２１ｎ側に向かって漸減する。前側ファスナースライダー収容部２１ｍの挿入口２１ｋ８の上方には上部基部１１の側面１１ｃから上面視円弧状に膨出した膨出部２１ｍ５が設けられ、ファスナースライダー２０３ｍのより十分な被覆性と共に、カバー部材１００のより優れたデザイン性が確保される。後側ファスナースライダー収容部２１ｎも前側ファスナースライダー収容部２１ｍと同様に構成され、膨出部２１ｍ５を膨出部２１ｎ５で読み替える。

　図２及び図４に示すように、前側ファスナースライダー収容部２１ｍは、第１ファスナースライダー２０３ｍが前端部２０３ｍｆ側及び第１方向から進入可能である第１空洞２２ｍを有する。後側ファスナースライダー収容部２１ｎは、第２ファスナースライダー２０３ｎが前端部２０３ｎｆ側及び第２方向から進入可能である第２空洞２２ｎを有する。本例では、第１及び第２方向は、同軸上において逆向きの方向であるが、上述の説明のように必ずしもこの限りではなく、第１方向と第２方向がＶ字を成すように交差しても構わない。

　図２及び図４に示すように、前側ファスナースライダー収容部２１ｍの第１空洞２２ｍの空洞幅Ｗ２２及び空洞高さＨ２２が、前側ファスナースライダー収容部２１ｍの奥行き方向、本例では後側ファスナースライダー収容部２１ｎ側に向かって漸減する。後側ファスナースライダー収容部２１ｎの第２空洞２２ｎの空洞幅Ｗ２２及び空洞高さＨ２２は、後側ファスナースライダー収容部２１ｎの奥行き方向、本例では、前側ファスナースライダー収容部２１ｍ側に向かって漸減する。かかる構成によりファスナースライダー収容部２１内の流路が制限され、第１ファスナースライダー２０３ｍの前端部２０３ｍｆと第２ファスナースライダー２０３ｎの前端部２０３ｎｆの間に生じる組を為すファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑが閉じていない隙間への液体、粉体等の流体の流入確率を低くすることができる。また、ファスナースライダー収容部２１の奥行き方向に各空洞を適切に窄ませることで、ファスナースライダー収容部２１内におけるファスナースライダー２０３の停止位置を適切に設定することができ、好適な一例としては、ファスナースライダー収容部２１によるファスナースライダー２０３の収容時にファスナースライダー収容部２１からファスナースライダー２０３の引手２０３ｍ７の自由端側が選択的に露出することを確保可能である。

　図１及び図４に示すように、前側ファスナースライダー収容部２１ｍと後側ファスナースライダー収容部２１ｎの間には、上部基部１１が凸状に隆起していない部分が存在し、これを上部基部１１の中間接続部１１ｊと呼ぶ。中間接続部１１ｊは、平坦な部分である。更に、中間接続部１１ｊに対して柱部１４が連結している。第１ファスナースライダー２０３ｍの前端部２０３ｍｆと第２ファスナースライダー２０３ｎの前端部２０３ｎｆの間に生じる組を為すファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑが閉じていない隙間が、前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎ間を接続する基部１０、端的には上部基部１１の中間接続部１１ｊにより覆われ、液体、粉体等の流体の流入確率を低くすることができる。選択的かつ追加的に、同隙間に柱部１４が挿通されて上述の隙間の開口面積が減じ、液体、粉体等の流体の流入確率を更に低くすることができる。

　上部基部１１と下部基部１２の上下間隔に関しては、図５に示すように、カバー部材１００の幅方向外側においてファスナーテープ２０１の厚みに対応する間隔Ｄ３０が設定され、また、カバー部材１００の幅方向内側においてファスナーエレメント２０２の厚みに対応する間隔Ｄ３５が設定される。間隔Ｄ３０＜間隔Ｄ３５を満足し、スライドファスナー２００に対してカバー部材１００が取り付けられたとき、各ファスナーストリンガー２０４とカバー部材１００の一体性を好適に確保することができる。

　下部基部１２は、カバー部材１００の幅方向の左右両側に対して左右中央が段下げされた構成を有し、これにより、好適に一組のファスナーストリンガー２０４を上部基部１１と下部基部１２の間で挟み込み可能である。端的には、下部基部１２の外面１２ａには、カバー部材１００の長手方向に延びる一組の外側段差部１２ｆが設けられ、下部基部１２の内面１２ｂには、カバー部材１００の長手方向に延びる一組の内側段差部１２ｇが設けられる。下部基部１２の外面１２ａは、一組の外側段差部１２ｆの間の内側領域において凸状に突出している。下部基部１２の内面１２ｂは、一組の内側段差部１２ｇの間の内側領域において凹状に窪んでいる。なお、下部基部１２の一組の内側段差部１２ｇの間の凹部に一組のファスナーエレメント２０２が配され、一組のファスナーエレメント２０２により上部基部１１と下部基部１２を連結する柱部１４が挟み込まれる。

　図６に示すように、下部基部１２には前側ファスナースライダー収容部２１ｍの挿入口２１ｋ８側が開放したＵ字状の第１切欠き２３ｍが設けられ、後側ファスナースライダー収容部２１ｎの挿入口２１ｋ９側が開放したＵ字状の第２切欠き２３ｎが設けられ、第１切欠き２３ｍと第２切欠き２３ｎが非連通である。第１切欠き２３ｍや第２切欠き２３ｎの切欠き２３を設けることにより、カバー部材１００の薄型化を保ちつつ、ファスナースライダー収容部２１へのファスナースライダー２０３のスムーズな挿入が確保される。

　図６に示すように、上部基部１１と同様、下部基部１２も、カバー部材１００の幅方向右側の第１下部フランジ部１２ｐ、下部中央部１２ｒ、及びカバー部材１００の幅方向左側の第２下部フランジ部１２ｑに区分可能である。第１下部フランジ部１２ｐが、ファスナースライダー２０３により開閉されるべき一組のファスナーストリンガー２０４の一方のファスナーテープ２０１の下に配される。下部中央部１２ｒが、ファスナースライダー２０３により開閉されるべき一組のファスナーストリンガー２０４の間の下、端的には頭合わせのファスナースライダー２０３間の非噛合のファスナーエレメント２０２の下に配される。第２下部フランジ部１２ｑが、ファスナースライダー２０３により開閉されるべき一組のファスナーストリンガー２０４の他方のファスナーテープ２０１の下に配される。

　図７乃至図１０を参照してスライドファスナー２００に対してカバー部材１００を取付固定する態様及び方法について例示的及び補足的に説明する。なお、スライドファスナー２００は、好ましくは防水性を具備するものであるが、これに限られるべきものではない。ファスナーエレメント２０２がファスナーテープ２０１の裏面に隠れるタイプであることは一例に過ぎない。ファスナーテープ２０１の上面に防水性のコーティング層を設けても良い。

　図７に示すように第１ファスナースライダー２０３ｍと第２ファスナースライダー２０３ｎ同士の間に幅を持たせてスライドファスナー２００が部分的に開いた状態とし、スライドファスナー２００の隙間ＯＰ２００にカバー部材１００を位置づけてスライドファスナー２００にカバー部材１００を装着する。具体的には、カバー部材１００の上部基部１１の第１上部フランジ部１１ｐと下部基部１２の第１下部フランジ部１２ｐの間の隙間にファスナーストリンガー２０４ｐを挿入し、カバー部材１００の下部基部１２の内側段差部１２ｇよりも内側までファスナーエレメント２０２ｐを移動させる。同様に、カバー部材１００の上部基部１１の第２上部フランジ部１１ｑと下部基部１２の第２下部フランジ部１２ｑの間の隙間にファスナーストリンガー２０４ｑを挿入し、カバー部材１００の下部基部１２の内側段差部１２ｇよりも内側までファスナーエレメント２０２ｐを移動させる。このようにしてスライドファスナー２００にカバー部材１００が装着され、その後、上部基部１１の外面１１ａの溝部１３に沿ってファスナーテープ２０１に対してカバー部材１００を縫着する。なお、縫着以外の態様にてファスナーテープ２０１に対してカバー部材１００を固定しても構わない。

　スライドファスナー２００のより十分な防水性を確保するためには、縫着ではなく接着や熱圧着等を活用し、ファスナーテープ２０１にカバー部材１００が面的に密着した態様でファスナーテープ２０１にカバー部材１００を固着することが望ましい。この場合、ファスナーテープ２０１の上面とカバー部材１００の上部基部１１の内面１１ｂとが広い範囲で面的に密着することを確保でき、ファスナースライダー収容部２１の挿入口２１ｋ８、２１ｋ９以外のカバー部材１００の上部基部１１の外周からの流体の進入を効果的に抑制可能である。

　上述の固着工程により図８乃至図１０に示すようにカバー部材１００付きのスライドファスナー２００が得られる。図９に示すように、柱部１４の両隣りには一組のファスナーエレメント２０２が配され、上述の間隔Ｄ３５だけ離間した上部基部１１と下部基部１２の間で上下に挟み込まれて位置固定されている。図９に示すように、溝部１３に沿って縫糸２１０が縫われ、上部基部１１と下部基部１２によりファスナーテープ２０１が上下から挟み込まれる。

　図８及び図１０に示すように、前側ファスナースライダー収容部２１ｍに第１ファスナースライダー２０３ｍが収容されるとき、第１ファスナースライダー２０３ｍの引手２０３ｍ７以外は前側ファスナースライダー収容部２１ｍに収容される。後側ファスナースライダー収容部２１ｎに第２ファスナースライダー２０３ｎの関係についても同様である。ファスナースライダー収容部２１から引手の自由端側が露出し、ファスナースライダー収容部２１からのファスナースライダー２０３の引き出しが容易である。

　第１ファスナースライダー２０３ｍを前側ファスナースライダー収容部２１ｍに収容し、第２ファスナースライダー２０３ｎを後側ファスナースライダー収容部２１ｎに収容したとき、第１ファスナースライダー２０３ｍの前端部２０３ｍｆと第２ファスナースライダー２０３ｎの前端部２０３ｎｆの間には組を為すファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑが閉じていない隙間が生じる。本実施形態においては、この隙間がカバー部材１００、端的には基部１０、より端的には上部基部１１の中間接続部１１ｊにより少なくとも部分的に被覆され、この隙間を介した液体、粉体等の流体の移動を効果的に禁止可能である。上述のように同隙間に柱部１４が挿通されることで、同隙間を介した液体、粉体等の流体の移動をより十分に禁止可能である。

　繰り返し述べているようにスライドファスナー２００が防水性を具備し、例えば、図７に示した第１ファスナースライダー２０３ｍを引いて前側ファスナースライダー収容部２１ｍに挿入させる過程で、一組のファスナーストリンガー２０４ｐ、２０４ｑの一組のファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑが噛み合い、これと同調して、一組のファスナーストリンガー２０４ｐ、２０４ｑの一組のファスナーテープ２０１ｐ、２０１ｑの対向する内側縁同士が密着し、ファスナーテープ２０１同士の間に隙間を生じさせない。好適にはファスナーテープ２０１が撥水性を具備するが、必ずしもこの限りではない。カバー部材１００は、冒頭で述べたように例示的かつ典型的にはシリコーンゴム等から成り、十分な撥水性を具備する。

　＜第２実施形態＞
　図１１を参照して第２実施形態について説明する。図１１は、カバー部材の概略的な下面図である。本実施形態においては、基部１０がファスナーテープ２０１上に載置されるのみであり、ファスナーテープ２０１を挟み込むものではない。このような場合であって、基部１０によるファスナーテープ２０１の挟み込みに起因する効果を除いて、第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

　図１１に示すように、基部１０が第１実施形態で述べた上部基部１１に対応する構成を有するものの、第１実施形態で述べた下部基部１２や柱部１４を有しない。基部１０は、上部基部１１と同様、外面でもある上面１０ａとファスナーテープ２０１への載置面でもある下面１０ｂを有する平板状部材である。

　本実施形態においても、第１ファスナースライダー２０３ｍを前側ファスナースライダー収容部２１ｍに収容し、第２ファスナースライダー２０３ｎを後側ファスナースライダー収容部２１ｎに収容したとき、第１ファスナースライダー２０３ｍの前端部２０３ｍｆと第２ファスナースライダー２０３ｎの前端部２０３ｎｆの間には組を為すファスナーエレメント２０２ｐ、２０２ｑが閉じていない隙間が生じる。本実施形態においては、この隙間が、前側ファスナースライダー収容部２１ｍと後側ファスナースライダー収容部２１ｎの間の基部１０の中間接続部により少なくとも部分的に被覆され、この隙間を介した液体、粉体等の流体の移動を効果的に禁止可能である。

　＜第３実施形態＞
　図１２を参照して第３実施形態について説明する。図１２は、カバー部材をスライドファスナーに対して装着することを説明するための説明図であり、スライドファスナー及びカバー部材を下面側から見たものである。本実施形態においては、第１実施形態とは異なり、カバー部材１００の取付対象のスライドファスナー２００が、１つのスライドファスナー２００に２つのファスナースライダー２０３が頭合わせ可能に挿通されたものではなく、１つのスライドファスナー２００に１つのファスナースライダー２０３が挿通された２つのスライドファスナー２００を各スライドファスナー２００の各ファスナーエレメント２０２があたかも連続するかのように配置したものである。このような場合においても、各ファスナースライダー２０３の各前端部２０３ｆの間に生じる隙間を介した液体、粉体等の流体の通過が問題となることに変わりが無く、本願に開示のカバー部材１００を有効に活用可能である。

　図１２に示すように、第１スライドファスナー２００ｍと第２スライドファスナー２００ｎが縦に連続的に配置される。第１スライドファスナー２００ｍの止め部２０５と第２スライドファスナー２００ｎの止め部２０６が対向配置される。その止め部２０５と止め部２０６の間には左右のファスナーテープ２０１に余剰端２０１ｋがあり、この部分に対してカバー部材１００が縫着される。

　第１スライドファスナー２００ｍと第２スライドファスナー２００ｎにカバー部材１００が縫着され、第１スライドファスナー２００ｍと第２スライドファスナー２００ｎがカバー部材１００を介して連結する。第１ファスナースライダー２０３ｍの停止位置は、止め部２０６により決定付けても構わないが、上述のように前側ファスナースライダー収容部２１ｍにより決定付けても構わない。第２ファスナースライダー２０３ｎの停止位置についても同様である。

　本例においては、第１スライドファスナー２００ｍのファスナーエレメント２０２の止め部２０５と、第２スライドファスナー２００ｎのファスナーエレメント２０２の止め部２０６の間の隙間が、カバー部材１００により被覆され、その隙間を介した液体、粉体等の流体の移動を効果的に禁止可能である。第１スライドファスナー２００ｍのファスナーエレメント２０２の止め部２０５と、第２スライドファスナー２００ｎのファスナーエレメント２０２の止め部２０６の間隔をカバー部材１００の長さよりも短くすることが望ましい。

　＜第４実施形態＞
　図１３を参照して第４実施形態について説明する。図１３は、カバー部材の概略的な上面側の斜視図である。本実施形態においては、上述の実施形態とは異なり、第１及び第２ファスナースライダー２０３ｍ、２０３ｎに対応する挿入口２１ｋ８、２１ｋ９が設けられた単一トンネルにてファスナースライダー収容部２１を構成し、一方の挿入口２１ｋから他方の挿入口２１ｋに至るファスナースライダー２０３の移動を許容する。このような場合であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。

　図１３に示すように、ファスナースライダー収容部２１は、基部１０に対して上方に凸状に突出したトンネル状の構成を有し、一方の挿入口２１ｋから他方の挿入口２１ｋまで空間が狭まることなく連通している。前側ファスナースライダー収容部２１ｍのドームと、後側ファスナースライダー収容部２１ｎのドームが連続してファスナースライダー収容部２１が構成されると把握することもできる。

　例えば、図１３に示すカバー部材１００を図７に示すスライドファスナー２００に縫着すれば、第１ファスナースライダー２０３ｍが、カバー部材１００のファスナースライダー収容部２１を通過可能であり、第１挿入口２１ｋ８から第２挿入口２１ｋ９まで通過可能である。このような場合、一組のファスナースライダー２０３の頭合わせ位置を自由に変更可能であるが、スライドファスナー２００の防水性を確保するためには各ファスナースライダー２０３の頭合わせ位置をカバー部材１００に合わせることを忘れずに行うことが要求されるだろう。なお、通常は、上述のように一方と他方の挿入口２１ｋ間においてファスナースライダー２０３を行き来させることはあまり考えられない。

　第１実施形態の場合、カバー部材１００の第１挿入口２１ｋ８と第２挿入口２１ｋ９の間で各ファスナースライダー２０３が通過不能であり、これにより、第１及び第２ファスナースライダー２０３の頭合わせ位置を固定し、スライドファスナー２００が閉じた状態でのスライドファスナー２００の防水性を確実に確保可能である。

　＜第５実施形態＞
　図１４及び図１５を参照して第５実施形態について説明する。図１４は、カバー部材の概略的な上面図である。図１５は、カバー部材の概略的な縦断面模式図であり、図１４のＸ１５－Ｘ１５に沿うカバー部材の断面構成を示す。本実施形態においては、ファスナースライダー収容部２１の具体的な構成が、上述の実施形態で示したものとは異なり、端的には、ファスナースライダー収容部２１の高さＨ２１や空洞部２２の空洞高さＨ２２がファスナースライダー収容部２１の奥行き方向に漸減しない部分がファスナースライダー収容部２１に設けられる。このような場合においても、上述の実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。

　図１４及び図１５に示すように、前側ファスナースライダー収容部２１ｍは、上述の高さＨ２１及び空洞高さＨ２２が一定の挿入口側部分１２１ｍ１と、上述の高さＨ２１及び空洞高さＨ２２が前側ファスナースライダー収容部２１ｍの奥行き方向、本例においては後側ファスナースライダー収容部２１ｎ側に向かって漸減する奥側部分１２１ｍ２を有する。同様に、後側ファスナースライダー収容部２１ｎは、上述の高さＨ２１及び空洞高さＨ２２が一定の挿入口側部分１２１ｎ１と、上述の高さＨ２１及び空洞高さＨ２２が後側ファスナースライダー収容部２１ｎの奥行き方向、本例においては前側ファスナースライダー収容部２１ｍ側に向かって漸減する奥側部分１２１ｎ２を有する。

　図１４に示すように、前側ファスナースライダー収容部２１ｍの奥側部分１２１ｍ２と後側ファスナースライダー収容部２１ｎの奥側部分１２１ｎ２の対向端が弧状に丸み付けられるが、この点を除いて、前側ファスナースライダー収容部２１ｍと後側ファスナースライダー収容部２１ｎが一定幅Ｗ２１である。

　例えば、第１ファスナースライダー２０３ｍが前側ファスナースライダー収容部２１ｍに進入する過程で、第１ファスナースライダー２０３ｍの取付柱２０３ｍ６が、空洞高さＨ２２が漸減する奥側部分１２１ｍ２の内面に当接し、更なる移動が阻止される。

　＜第６実施形態＞
　図１６を参照して第６実施形態について説明する。図１６は、カバー部材の概略的な上面図であり、３個のスライドファスナー上に固定された状態を示す。本実施形態においては、３個のスライドファスナー２００に対応して、カバー部材１００に３個のファスナースライダー収容部２１が設けられる。このような場合においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。カバー部材１００に設けられるファスナースライダー収容部の数は２以上であれば任意であり、上述の例示の実施形態の開示の如く２個に限定されるべきものではない。本実施形態に係るカバー部材１００は、上述の実施形態と同様、金型成形により製造可能であろう。

　図１６に示すように、カバー部材１００は、前端部２０３ｆ同士が向き合う態様の３つのファスナースライダー２０３の各前端部２０３ｆにより囲まれた隙間を覆うべく、３つのファスナースライダー収容部２１が基部１０上に配置されて構成される。カバー部材１００は、１２０°間隔にて回転対称に構成されており、端的には、３つのファスナースライダー収容部２１が等しい角度間隔で「周方向」に配置される。「周方向」は、例えば、前端部２０３ｆ同士が向き合う態様の３つのファスナースライダー２０３の各前端部２０３ｆにより囲まれる隙間の深さ方向を周囲する方向であると説明でき、ここで述べる隙間の深さ方向は、端的には、カバー部材１００の基部１０の厚み方向に一致する。基部１０の厚み方向は、基部１０の対向する上面と下面に垂直に交差する。カバー部材１００の正面視形状は円形状であるが、これに限られるものではない。

　説明の便宜上、３つのファスナースライダー収容部２１に対して異なる符号２１１、２１２、２１３を付する。ファスナースライダー収容部２１１の奥行き方向とファスナースライダー収容部２１２の奥行き方向とが為す角度は１２０°である。ファスナースライダー収容部２１２の奥行き方向とファスナースライダー収容部２１３の奥行き方向とが為す角度は１２０°である。ファスナースライダー収容部２１３の奥行き方向とファスナースライダー収容部２１１の奥行き方向とが為す角度は１２０°である。

　図１６に示すように、第１乃至第３実施形態と同様、ファスナースライダー収容部２１１～２１３により囲まれる部分には、基部１０が凸状に隆起していない中間接続部１１ｊが配置される。必要に応じて、第１実施形態と同様、中間接続部１１ｊに対して柱部１４を連結しても良い。更に、必要に応じて柱部１４を介して連結した上部基部１１と下部基部１２にて基部１０を構成しても良い。

　上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。カバー部材に設けられるファスナースライダー収容部の個数は一個以上あれば良く、３個や４個あっても構わない。第３実施形態の開示に習って、第１実施形態で開示した前側及び後側ファスナースライダー収容部２１ｍ、２１ｎの間を空間的に連通させても構わない。この場合、第１実施形態の教示に従って、一方の挿入口２１ｋと他方の挿入口２１ｋ間においてファスナースライダー収容部２１の空洞幅及び／又は高さを減じて第１及び第２ファスナースライダー２０３ｍ、２０３ｎの反対側への行き来を禁止することが望ましい。基部１０は、平板のものに限らず、また、その平面的な形状や大きさも任意であり、各ファスナースライダー収容部２１間の中間接続部１１ｊのみにて基部１０を構成しても良い。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。

１００…カバー部材、
１０…基部、
１１…上部基部、
１２…下部基部、
１３…溝部、
１４…柱部、

２１…ファスナースライダー収容部、
２１ｍ…前側ファスナースライダー収容部、
２１ｎ…後側ファスナースライダー収容部、

２１ｋ８…第１挿入口、
２１ｋ９…第２挿入口、

２２…空洞、
２２ｍ…第１空洞、
２２ｎ…第２空洞、

２００…スライドファスナー、
２０３…ファスナースライダー、
２０３ｆ（２０３ｍｆ、２０３ｎｆ）…前端部。

Claims

　前端部（２０３ｆ）同士が向き合う態様の２以上のファスナースライダー（２０３）の各前端部（２０３ｆ）間の隙間を覆うためのカバー部材（１００）であって、
　基部（１０）と、
　前記基部（１０）に対して結合すると共に、前記ファスナースライダー（２０３）を少なくとも部分的に収容可能であるファスナースライダー収容部（２１）と、を備え、
　前記ファスナースライダー収容部（２１）には、前記２以上のファスナースライダー（２０３）が前端部（２０３ｆ）側から個別に挿入可能な空洞（２２）が設けられる、カバー部材。
　前記２以上のファスナースライダー（２０３）が第１及び第２ファスナースライダー（２０３ｍ、２０３ｎ）を含む請求項１に記載のカバー部材（１００）であって、
　前記ファスナースライダー収容部（２１）は、
　前記第１ファスナースライダー（２０３ｍ）が前端部（２０３ｆ）側及び第１方向から挿入可能である第１挿入口（２１ｋ）を有する第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）と、
　前記第２ファスナースライダー（２０３ｎ）が前端部（２０３ｆ）側及び前記第１方向とは異なる第２方向から挿入可能である第２挿入口（２１ｋ）を有する第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）を含み、
　前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の前記第１挿入口（２１ｋ）と前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の前記第２挿入口（２１ｋ）の間を前記第１及び第２ファスナースライダー（２０３ｍ、２０３ｎ）が通過不能である、カバー部材。
　前記第１及び第２ファスナースライダー収容部（２１ｍ、２１ｎ）は、前記基部（１０）が凸状に隆起した部分であり、前記第１及び第２ファスナースライダー収容部（２１ｍ、２１ｎ）間には前記基部（１０）が隆起していない部分（１１ｊ）が配される、請求項２に記載のカバー部材。
　少なくとも部分的に前記第１ファスナースライダー（２０３ｍ）が挿入される前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の第１空洞（２２ｍ）の空洞幅及び空洞高さが、前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の前記第１挿入口（２１ｋ）側から前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の奥行き方向に沿って漸減し、
　少なくとも部分的に前記第２ファスナースライダー（２０３ｎ）が挿入される前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の第２空洞（２２ｎ）の空洞幅及び空洞高さが、前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の前記第２挿入口（２１ｋ）側から前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の奥行き方向に沿って漸減する、請求項２又は３に記載のカバー部材。
　前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の幅及び高さが、前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の前記第１挿入口（２１ｋ）側から前記第１ファスナースライダー収容部（２１ｍ）の奥行き方向に沿って漸減し、
　前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の幅及び高さが、前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の前記第２挿入口（２１ｋ）側から前記第２ファスナースライダー収容部（２１ｎ）の奥行き方向に沿って漸減する、請求項２乃至４のいずれか一項に記載のカバー部材。
　前記基部（１０）が、前記ファスナースライダー（２０３）により開閉されるファスナーストリンガー（２０４）のファスナーテープ（２０１）の第１主面上に配されるべき上部基部（１１）、及び前記上部基部（１１）に対して連結すると共に、前記ファスナーテープ（２０１）の前記第１主面の反対側の第２主面上に配されるべき下部基部（１２）を含む、請求項１乃至５のいずれか一項に記載のカバー部材。
　前記下部基部（１２）には、前記ファスナースライダー（２０３）の移動を許容する少なくとも１つの切欠きが設けられる、請求項６に記載のカバー部材。
　前記上部及び下部基部（１１、１２）が、前記２以上のファスナースライダー（２０３）の各前端部（２０３ｆ）の間に対応付けて配されるべき柱部（１４）を介して連結する、請求項６又は７に記載のカバー部材。
　前記上部及び下部基部（１１、１２）による前記ファスナーテープ（２０１）の挟み込み位置における前記上部及び下部基部（１１、１２）間の間隔よりも、前記上部及び下部基部（１１、１２）による前記ファスナーストリンガー（２０４）のファスナーエレメント（２０２）の挟み込み位置における前記上部及び下部基部（１１、１２）間の間隔が広い、請求項６乃至８のいずれか一項に記載のカバー部材。
　前記基部（１０）には、前記ファスナースライダー（２０３）により開閉されるファスナーストリンガー（２０４）のファスナーテープ（２０１）に対する当該カバー部材（１００）の縫着の予定線を規定する凹状の少なくとも１つの溝部（１３）が設けられる、請求項１乃至９のいずれか一項に記載のカバー部材。
　請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の前記カバー部材（１００）が設けられたスライドファスナー。