WO2013168510A1

WO2013168510A1 - スライドファスナー用エレメントの研磨装置及びスライドファスナー用エレメント

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Publication number: WO2013168510A1
Application number: PCT/JP2013/060866
Authority: WO
Inventors: 雅秀尾崎; 広司松沢; 秀紀経塚; 明夫柚木
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2012-05-11
Filing date: 2013-04-10
Publication date: 2013-11-14
Also published as: TWI519249B; EP3305469B1; EP2848151A4; CN104270988A; EP3305469A1; EP2848151A1; EP2848151B1; CN104270988B; TW201350041A

Abstract

　研磨後の製品の品質を低下させることがなく、ファスナーエレメントの姿勢が安定する状態で高い効率で研磨することができるスライドファスナー用エレメントの研磨装置を提供する。　この研磨装置は、スライドファスナー(S)の搬送経路と、搬送経路に沿って配置され、ファスナーエレメント(E)の姿勢を支持するようにファスナーエレメント(E)の裏面または表面と対向して配置される支持部(3、3a、13)と、搬送経路を挟んで、支持部(3、3a、13)に対向して配置された研磨部(2、2a、2b)とを備え、研磨部(2、2a、2b)は、回転軸(22)と、回転軸(22)に固定され、回転軸(22)が回転することで回転可能な研磨部材(25)を有し、研磨部材(25)は、ファスナーエレメント(E)の表面又は裏面に接して研磨し、研磨部材(25)の回転軸(22)が支持部(3、3a、13)に対して垂直な方向と平行に延びている。

Description

スライドファスナー用エレメントの研磨装置及びスライドファスナー用エレメント

　本発明は、ファスナーテープと、ファスナーテープに取り付けられ、表面と裏面を有するファスナーエレメントを有するスライドファスナーにおける前記ファスナーエレメントの表面または裏面を研磨するためのスライドファスナー用エレメントの研磨装置、及びその研磨装置で研磨されたスライドファスナー用エレメントに関する。

　スライドファスナーを製造する際には、一般的に、ファスナーテープに取り付けられたファスナーエレメントの表面または裏面を研磨装置で研磨加工することが必要とする。このような研磨装置として、回転軸と、回転軸の先端に固定された円盤形の研磨部材（研磨ホイール34）を有する研磨部を備え、回転軸が回転することにより、研磨部材（研磨ホイール34）をファスナーエレメントの表面に接触させて研磨を施す研磨装置が特許文献１に掲載されている。

中国特許第１０１４６１５８９号公報

　この特許文献１では、図１７に示すように、回転軸が、スライドファスナーの表面または裏面に対して、平行な方向に延びている。これにより、研磨部材が回転した時、研磨部材となる研磨ホイールの周縁部分（曲面）がファスナーエレメントの表面または裏面に接触する。すなわち、研磨部材がファスナーエレメントを研磨する時、研磨部材はファスナーエレメントの表面に対して、曲線の軌道で接近または離間する。

　研磨部材が上記曲線の軌道で移動することは、研磨後の製品の品質を低下させる問題を起こす恐れがある。詳しく、研磨部材が上記軌道で移動すると、ファスナーエレメントの表面を曲面形に研磨してしまう。この結果、ファスナーエレメントの表面に過度なエッヂが形成され、肌触りが悪い。また、スライダーを移動させる時、上記エッヂがスライダーに引っ掛かって、スライドファスナーを滑らかに移動させることができない。更に、ファスナーエレメントの表面を削りすぎて、ファスナーエレメントの強度が低下する。

　本発明は前述のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、研磨後の製品の品質を低下させることがなく、ファスナーエレメントの姿勢が安定する状態で高い効率で研磨することができるスライドファスナー用エレメントの研磨装置を提供することにある。

　上記の目的を達成するために、本発明は以下のように構成されている。

　本発明の請求項１のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、ファスナーテープと、ファスナーテープに取り付けられ、表面と裏面を有するファスナーエレメントを有するスライドファスナーにおける前記ファスナーエレメントを研磨するためのスライドファスナー用エレメントの研磨装置であって、前記スライドファスナーの搬送経路と、前記搬送経路に沿って配置され、ファスナーエレメントの姿勢を支持するように前記ファスナーエレメントの裏面と表面のうちのいずれか一方と対向して配置される支持部と、前記搬送経路を挟んで、前記支持部に対向して配置された研磨部とを備え、前記研磨部は、回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸が回転することで回転可能な研磨部材を有し、前記研磨部材は、前記ファスナーエレメントの表面と裏面のうちのいずれか他方に接して、前記ファスナーエレメントの前記表面又は前記裏面を研磨し、前記研磨部材の前記回転軸が前記支持部に対して垂直な方向と平行に延びていることを特徴とする。

　本発明の請求項２のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記研磨部は、前記回転軸に固定され前記回転軸の軸線方向と直交する方向に延びる板体を有し、前記研磨部材は前記板体に固定されていることを特徴とする。

　本発明の請求項３のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項２に記載の構成に加えて、前記研磨部は、前記板体から突出する突起を有し、前記突起の先端に前記研磨部材が取り付けられていることを特徴とする。

　本発明の請求項４のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項２又は３に記載の構成に加えて、前記板体は、前記回転軸の中心から前記回転軸の半径方向に延びる円板であり、複数の前記研磨部材が、前記板体の周縁部に沿って、所定の間隔を空けて配置されていることを特徴とする。

　本発明の請求項５のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項２又は３に記載の構成に加えて、前記板体は、前記回転軸の中心から前記回転軸の半径方向に延びる長方形板であり、前記板体の一端が前記回転軸に固定されていると共に、前記板体の他端に前記研磨部材が配置されていることを特徴とする。

　本発明の請求項６のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記研磨部材はダイヤモンド製であることを特徴とする。

　本発明の請求項７のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記スライドファスナーは、一対の前記ファスナーテープと、前記ファスナーテープの対向する縁部に取り付けられた前記ファスナーエレメントを有し、前記支持部は、噛み合った状態の前記ファスナーエレメントを支持することを特徴とする。

　本発明の請求項８のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記支持部は、前記ファスナーエレメントの裏面と表面のうちのいずれか一方と接する支持面を有することを特徴とする。

　本発明の請求項９のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項８に記載の構成に加えて、前記支持部は、前記ファスナーエレメントの移動をガイドするガイド溝を有し、前記ガイド溝の底面が前記支持面となることを特徴とする。

　本発明の請求項１０のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記支持部は、前記研磨部の前記回転軸と直交する方向に延びる回転軸を有してこの回転軸を中心にして回転可能なローラであることを特徴とする。

　本発明の請求項１１のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記支持部は、第１面を有する第１部材と第２面を有する第２部材を備え、前記第１部材と前記第２部材は、搬送経路を挟んで対向して配置されており、前記第１部材と前記第２部材の間に、前記ファスナーテープが通過できる隙間を有し、前記ファスナーテープが前記隙間を通過している時に、前記第１面が前記ファスナーテープの裏面に対向すると共に、前記第２面が前記ファスナーテープの表面に対向することを特徴とする。

　本発明の請求項１２のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１０に記載の構成に加えて、前記支持部は、第１ローラと第２ローラを有し、前記第１ローラは、搬送経路において、前記第２ローラよりも上流側に配置されることを特徴とする。

　本発明の請求項１３のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１２に記載の構成に加えて、前記支持部は、前記ファスナーエレメントを第１の姿勢で支持するための第１支持面と、前記ファスナーエレメントを第２の姿勢で支持するための第２支持面とを有し、前記第１支持面は、前記研磨部材に近づく方向へ傾斜していると共に、前記第２支持面は、平坦であり、前記ファスナーエレメントは、前記ファスナーテープの縁部に接する基端部と、縁部から離れた先端部を有し、前記第１支持面は、前記ファスナーエレメントの先端部を、前記研磨部材に接近する方向へ変位させることを特徴とする。

　本発明の請求項１４のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１３に記載の構成に加えて、前記第１支持面が前記第１ローラに形成されていると共に、前記第２支持面が前記第２ローラに形成されていることを特徴とする。

　本発明の請求項１５のスライドファスナー用エレメントの研磨装置は、請求項１に記載の構成に加えて、前記研磨装置は、更に、前記搬送経路において、前記支持部よりも下流側に配置されているスライドファスナーの搬送部と、前記搬送経路において、前記支持部よりも上流側に配置されており、前記スライドファスナーに張力を付与する張力付与部とを有することを特徴とする。

　本発明の請求項１６のスライドファスナー用エレメントは、請求項１～１５のいずれか１項に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置で研磨されたことを特徴とする。

　上記の構成により、以下の効果を達成できる。

　本発明の請求項１によれば、研磨部材の回転軸が支持部に対して垂直な方向と平行に延び、研磨部材が、ファスナーエレメントの表面又は裏面に接して研磨するので、研磨部材は、ファスナーエレメントを研磨する時、ファスナーエレメントの表面に対して直線の軌道で接近または離間することができる。これにより、エレメントの表面を曲面形に削ることがない。よって、研磨後、製品の品質を低下させることがない。

　本発明の請求項２によれば、研磨部が回転軸に固定され回転軸の軸線方向と直交する方向に延びる板体を有し、研磨部材がこの板体に固定されるので、回転軸に対して、研磨部材を容易に取り付けることができる。

　本発明の請求項３によれば、研磨部材が突起の先端に取り付けられるので、ファスナーエレメントを研磨するために、最小限の研磨部材を配置することができる。よって、スライドファスナーの製造コストを低減させる。

　本発明の請求項４によれば、円板に複数の研磨部材が配置されているので、ファスナーエレメントを高い効率で研磨することができる。

　本発明の請求項５によれば、板体は長方形板であってもいいので、研磨部の設計自由度を向上させる。

　本発明の請求項６によれば、研磨部材はダイヤモンド製であり、硬度が高いものであるので、ファスナーエレメントを確実に研磨することができる。

　本発明の請求項７によれば、支持部が噛み合った状態のファスナーエレメントを支持するので、噛み合い状態のファスナーエレメントを同時に研磨できる。よって、高い効率で研磨することができる。

　本発明の請求項８によれば、支持部は、前記ファスナーエレメントの裏面または表面と接する支持面を有するので、ファスナーエレメントが研磨部材に接した時、ファスナーエレメントが研磨部材によって押され研磨部材とは反対側へ移動しようとしても、支持面からの支持により、ファスナーエレメントの姿勢が乱れないようにすることができる。

　本発明の請求項９によれば、支持部は、ファスナーエレメントの移動をガイドするガイド溝を有し、ガイド溝の底面が支持面となるので、ファスナーエレメントが研磨部材に接した時、ファスナーエレメントが研磨部材に引きずられ研磨部材と共に研磨部材の回転方向へ移動しようとしても、ガイド溝の制限により、ファスナーエレメントの姿勢が乱れないようにすることができる。

　本発明の請求項１０によれば、支持部が回転可能なローラであるので、ファスナーチェーンの搬送が速やかとなる。また、スライドファスナーは、ローラに巻きかけられることで張力が付与され、安定した姿勢となる。よって、研磨される時に、スライドファスナーの姿勢が乱れない。

　本発明の請求項１１によれば、支持部は、第１部材と第２部材を備え、第１部材と第２部材の間に、ファスナーテープが通過できる隙間を有し、ファスナーテープが隙間を通過している時に、第１部材の第１面がファスナーテープの裏面に対向すると共に、第２部材の第２面がファスナーテープの表面に対向するので、研磨部材がファスナーテープに接触しないように、ファスナーテープを保護することができる。よって、ファスナーテープに傷がつかない。

　本発明の請求項１２によれば、支持部が、搬送経路において前後に配置された二つのローラを有するので、研磨部材が、支持部の２箇所において、ファスナーエレメントを研磨することができる。よって、高い効率で研磨することができる。

　本発明の請求項１３によれば、支持部は第１支持面と第２支持面を有し、第２支持面が平坦であると共に、第１支持面が、ファスナーエレメントの先端部を、研磨部材に接近する方向へ変位させるので、研磨装置は、ファスナーエレメントの全表面を研磨する他に、ファスナーエレメントの先端部側の表面のみを研磨することができる。ファスナーエレメントは先端側が先細となるように湾曲しているので、全表面の研磨では研磨されないことがある。この構成によって、先端部の姿勢を変異させることで、先端部を確実に研磨することができる。

　本発明の請求項１４によれば、第１支持面が第１ローラに形成されていると共に、第２支持面が第２ローラに形成されているので、ファスナーエレメントの全表面を研磨する他に、ファスナーエレメントの先端部側の表面のみを研磨する構成を、簡単な構造で実現することができる。

　本発明の請求項１５によれば、研磨装置は、更に、スライドファスナーの搬送部と、スライドファスナーに張力を付与する張力付与部を有するので、研磨装置がスライドファスナーを支持部へ搬送する際、スライドファスナーの姿勢が乱れないように、容易に張力を付与することができる。

　上記により、研磨後の製品の品質を低下させることがなく、ファスナーエレメントの姿勢が安定する状態で高い効率で研磨することができるスライドファスナー用エレメントの研磨装置を提供することができる。

本発明の第１実施例に係る研磨装置を示す正面模式図。本第１実施例に係る研磨装置における研磨部の要部を拡大した斜視図。本第１実施例に係る研磨装置における研磨部と支持部の要部断面図本第１実施例に係る研磨装置における研磨部と支持部の要部拡大断面図本第１実施例の研磨装置の変形例１に係るスライドファスナー及び支持部を示す要部断面図。本第１実施例の研磨装置の変形例２に係る研磨部を示す要部斜視図。本第１実施例の研磨装置の変形例３に係る研磨部を示す要部斜視図。本第１実施例の研磨装置の変形例４に係る張力付与部を示す要部正面図。本第１実施例の研磨装置の変形例５に係る支持部を示す要部正面図。研磨装置の変形例５に係る、図９に示す支持部を示す要部断面図。本第１実施例の研磨装置の変形例６を示す正面模式図。本発明の第２実施例に係る研磨装置を示す正面模式図。本第２実施例に係る研磨装置における研磨部と支持部（第１支持ローラ）の要部拡大断面図。本第２実施例に係る研磨装置における研磨部と支持部（第２支持ローラ）の要部拡大断面図。（ａ）は本発明の研磨装置で研磨される前のファスナーエレメントの研磨面の拡大図であり、（ｂ）は本発明の研磨装置で研磨された後のファスナーエレメントの研磨面の拡大図である。（ａ）は本発明の研磨装置で研磨される前のファスナーエレメントの研磨面の拡大写真であり、（ｂ）は本発明の研磨装置で研磨された後のファスナーエレメントの研磨面の拡大写真である。先行技術に係る研磨装置の斜視図。

　以下、本発明のスライドファスナー用エレメントの研磨装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下、特に説明しない限り、「上流側」はスライドファスナーの搬送方向の上流側を意味し、「下流側」はスライドファスナーの搬送方向の下流側を意味する。

（第１実施例）
　図１は本発明の第１実施例に係る研磨装置を示す正面模式図である。図１に示すように、研磨装置1は、スライドファスナーSの搬送経路に、スライドファスナーSのファスナーエレメントEを研磨する研磨部2と、ファスナーエレメントEが研磨される時、ファスナーエレメントEを支持する支持部3と、この支持部3へ向けてスライドファスナーSを搬送する搬送部5と、支持部3へ搬送されるスライドファスナーSが弛まないように張力を加える張力付与部4を有する。

　研磨部2は、架台7の上面から上方へ向けて突出する柱6に固定されており、モータ21と、モータ21に接続された回転軸22と、回転軸22の先端に固定された板体23を有している。研磨部2のモータ21が、上記した柱6に固定されている。研磨部2の回転軸22は、モータ21の出力端側にあり、下方（垂直方向）へ向けて延びた姿勢である。回転軸22は、モータ21が駆動することにより回転する。板体23は、回転軸22が回転することにより、回転軸22と共に水平面内において回転する。板体23に、後述する研磨部材25が固定されている。

　架台7の上面には、フレーム8が固定されており、当該フレーム8に、支持部3と、搬送部5と、張力付与部4が取り付けられている。この張力付与部4は、搬送経路の最も上流側に配置されている。搬送部5は、搬送経路の最も下流側に配置されている。よって、支持部3は、搬送経路において、張力付与部4と搬送部5の間に配置されている。また、研磨部2と支持部3は、搬送経路を挟んで、上下方向に対向して配置されている。なお、研磨装置の上下方向は、スライドファスナーの表裏方向と合致する。

　支持部3は、支持ローラ31を有し、この支持ローラ31が支持ローラ回転軸32を介してフレーム8に支持されると共に、この支持ローラ回転軸32を中心にして回転する。支持部3の支持ローラ回転軸32は、研磨部2の回転軸22（即ち、研磨部材の回転軸）と比較して、直交する方向（水平方向）に延びた姿勢である。支持ローラ31の周面には、スライドファスナーSが巻きかけられる。図１に示す実施例では、支持ローラ31は、支持ローラ回転軸32を中心にして、時計回りに回転する。なお、支持ローラ31の回転方向は時計回りに限らず、スライドファスナーを搬送経路の下流側へ移動させる方向であれば、構成によって任意的に設定することができる。

　搬送部5は、フレーム8に支持された搬送ローラ軸52と、この搬送ローラ軸52軸を中心にして回転する搬送ローラ51と、この搬送ローラ51に向けてスライドファスナーSを押さえつける押さえローラ54を有する。搬送ローラ軸52は、図示せぬモータに接続されている。このモータが駆動することで、搬送ローラ51がこの搬送ローラ軸52を中心にして回転し、スライドファスナーSが搬送経路の下流側へ搬送される。スライドファスナーの搬送速度は、研磨部材25の回転速度と合わせてファスナーエレメントE全体が研磨部材25によって研磨されることを確保すれば良いが、例えば、研磨部材の回転速度が５０００～１００００ｒｐｍである場合に、２．５～５．０ｍ／ｍｉｎとする。

　押さえローラ54は、アーム53によって搬送ローラ51に向けて移動する方向へ押されている。なお、スプリング等の付勢部材によって、押さえローラ54を搬送ローラ51に向けて移動する方向へ押してもいい。

　搬送経路において、支持部3と搬送部5の間に、スライドファスナーSの搬送をガイドするガイドローラ44が配置されている。このガイドローラ44は、支持部3の支持ローラ31の最も上方に位置する部分よりも下方に配置されている。よって、スライドファスナーSは、支持部3の支持ローラ31の最も上方に位置する部分を通過した後、この支持ローラ31の周面に沿いながら、ガイドローラ44に向けて下方へ向けて搬送される。これにより、スライドファスナーSが支持部3と搬送部5との間で上方に浮き上がることを防止して、スライドファスナーSの姿勢を乱れさせない。すなわち、スライドファスナーSが支持部3から離れる方向へ移動することを防止して、ファスナーエレメントEが研磨される姿勢を安定させる。

　張力付与部4は、フレーム8に支持された軸と、この軸を中心にして回転する押え受けローラ41と、この押え受けローラ41に向けてスライドファスナーSを押さえつける押さえローラ42を有する。張力付与部4の押え受けローラ41は、スライドファスナーSとの接触による摩擦力で、軸を中心にして自由回転する。押さえローラ42は、アーム43によって押え受けローラ41に向けて移動する方向へ押されている。なお、スプリング等の付勢部材によって、押さえローラ42を押え受けローラ41に向けて移動する方向へ押してもいい。張力付与部4が、搬送部5によって搬送されるスライドファスナーSに対して、搬送方向とは逆方向に作用する張力を加えることによって、スライドファスナーSは常に張った状態となる。よって、スライドファスナーSが支持ローラ31に巻きかけられたとき、スライドファスナーSが緩む（支持ローラ31の周面との間に隙間ができる）ことなく、支持ローラ31の周面に密着する。

　次は図２を参照しながら、本第１実施例に係る研磨装置における研磨部を説明する。図２には研磨部の要部を拡大した斜視図を示す。

　図２に示すように、研磨部2は、回転軸22の先端に固定され且つ回転軸22と共に回転可能な板体23を有する。この板体23は、回転軸22を中心にして半径方向に延びる円板である。板体23の周縁部には、突起24が固定されている。この突起24は、板体23の下面よりも下方に突出している。突起24の先端には、ファスナーエレメントEを研磨するための研磨部材25が固定されている。研磨部材25の固定は、現行の任意的な方式で実現することができるが、例えば貼着剤による接着で行われていい。研磨部材は、ダイヤモンド製である。

　突起24は、板体23に対して止め具（ネジ）27で固定されている。すなわち、突起24は、板体23に対して着脱可能である。よって、研磨部材25を交換する必要がある場合は、止め具27を緩めることにより、研磨部材25を突起24ごと板体23から取り外す。このように、簡単な方式で、磨耗品である研磨部材の交換を施すことができる。また、図２に示す穴26は、止め具27を通すための穴であって、止め具27が穴26に通され、板体23に締め付けられることによって、突起24が板体23に固定される。

　回転軸22は、５０００ｒｐｍ以上で回転することが好ましく、例えば、５０００ｒｐｍ～１００００ｒｐｍで回転する。研磨部2は、複数（本実施例において２個）の研磨部材25を有する。すなわち、板体に複数（２個）の突起24が固定されている。そして、各突起24の先端に研磨部材25が固定されている。各突起24は、板体の円周方向において、所定の間隔を空けて配置されている。回転する時のバランスを考慮して、図示例では、１８０度の角度毎に配置されている。突起24及び研磨部材25の個数は２個に限定されず、１２０度の角度毎に３個配置しても良く、９０度の角度毎に４個配置しても良い。

　次は、図３と図４を参照しながら、本第１実施例に係る研磨装置における支持部を説明する。図３は本第１実施例に係る研磨装置における研磨部と支持部の要部断面図であり、図４は図３に示す研磨部と支持部の要部の拡大断面図である。

　図３を参照すると、研磨部材25の回転軸22の軸線は、支持部3の支持ローラ31の回転軸の軸線に対して垂直方向（直交する方向）と平行に延びている。換言すれば、研磨部材25の回転軸22は研磨部材25の接しているファスナーエレメントEの表面（上面）に対して垂直方向と平行に延びている。研磨部材25が回転軸22と共に回転するとき、この研磨部材25は、図３の仮想線（２点鎖線）で示すように、ファスナーエレメントEの表面（上面）と平行な方向（水平方向）に移動する。ここで、研磨部材25の回転軸22がモータ21へ直に接続されている例を挙げて説明したが、研磨部材の回転軸が研磨部材の接しているファスナーエレメントEの表面または裏面と垂直方向に延びているように構成すれば、研磨部材の回転軸はモータに直に接続されていなくてもよい。この場合、モータの駆動軸と研磨部材の回転軸の間に、モータからの回転駆動力を回転軸へ伝達させる機構を配置する。

　また、研磨部材25の研磨面は、好ましく平坦な研磨面であるが、曲面でもよい。研磨部材25が移動するときに、ファスナーエレメントの研磨される表面と平行な方向に移動すれば、当該ファスナーエレメントの研磨される表面を平坦に研磨できる。

　図３及び図４に示すように、支持部3は、上記した支持ローラ31から構成した第１部材31と、この支持ローラ31の周面に対向して配置された板材から構成した第２部材33とを有する。そして、この第１部材31と第２部材33の間には、スライドファスナーSのファスナーテープTが通過可能な隙間を有する。ファスナーテープTが隙間を通過する時、第１部材31（第１部材の第１面）は、ファスナーテープTの裏面と対向する。また、第２部材33（第２部材の第２面）は、ファスナーテープTの表面と対向する。第２部材33は、支持ローラ31の径方向の外方からファスナーテープTの表面を覆っている。

　支持ローラ31（第１部材）の周面には、この支持ローラ31の円周方向に延び、ファスナーエレメントEを収容すると共に当該ファスナーエレメントEの移動をガイドするガイド溝34が形成されている。この支持ローラ31は、ガイド溝34を挟んで右側部分と左側部分を有する。第２部材33は、支持ローラ31の右側部分に対向する右部分と、支持ローラ31の左側部分に対向する左部分とを有する。第２部材33の右部分と左部分の間には、ファスナーエレメントEが通過可能な隙間がある。ファスナーエレメントEが通過している時に、ガイド溝34は噛み合った状態のファスナーエレメントEを収容してガイドしている。この時、ファスナーエレメントEは、ガイド溝34の底面である支持面34aに接触している。

　これにより、ファスナーエレメントEが研磨部材25と接触した時、支持面34aが研磨部材25からの垂直方向の押し力を受ける。よって、研磨時に、ファスナーエレメントEの姿勢が変位（研磨部材25から離れる方向へ移動）することが無い。また、ガイド溝34の両側壁は、研磨部材25がファスナーエレメントEに接触した時、研磨部材25からの水平方向の押し力（研磨部材25に引きずられる力）を受ける。よって、研磨時に、ファスナーエレメントEの姿勢が変位（第１部材31の周面に沿って蛇行）することを防ぐ。

　また、ファスナーエレメントEは、ファスナーテープTの表側に配置された表側部分と、ファスナーテープTの裏側に配置された裏側部分を有する。ファスナーエレメントEの表面を研磨する時には、裏側部分（ファスナーエレメントEの裏面を研磨する時には、表側部分）がガイド溝34に収容されると共に、ファスナーエレメントEの表側部分が、第２部材33の右部分と左部分の間から露出する。よって、ファスナーエレメントEの表側部分は、研磨部2の研磨部材25と対向して研磨部材25と接触する。一方、ファスナーテープTの表面は、第２部材33によって覆われているので、研磨部材25と接触することがない。よって、ファスナーテープTには、研磨部材25との接触に基づく傷が生じない。また、第１部材（支持ローラ）31の支持ローラ回転軸32は、支持ローラ31の左右に配置されたフレーム8によって支持されている。そして、図３に示すように、第２部材33もフレーム8に支持されている。

　上記により、本発明の第１実施例に係る研磨装置を説明したが、研磨装置の各部は、その機能を達成すれば、様々な変更が可能である。次は、幾つかの変形例を挙げる。変形例についての説明は、上記した第１実施例との相違を中心して説明し、同一の部材に同一の符号を付けると共に、重複する説明を省略する。

　図５は本第１実施例の研磨装置の変形例１を示し、スライドファスナー及び支持部を示す要部断面図である。図５に示すように、スライドファスナーTは、噛み合っていない片側のファスナーエレメントEとファスナーテープTからなる。第１部材（支持ローラ）31に形成されたガイド溝34は、片側のファスナーエレメントEのみを収容できる幅を有する。これにより、研磨部材25によって、片側のファスナーエレメントEのみを研磨することになる。

　第１部材31は、ガイド溝34を挟んで、右側部分と左側部分を有する。第２部材33は、第１部材31の左側部分と対向して配置されている。第１部材31の左側部分と第２部材33の間に、ファスナーテープTが通過可能な隙間を有する。ここで、第２部材33は、第１部材31の左側部分と対向して配置されており、左側にファスナーテープ通過用の隙間が形成されているが、もちろん、第１部材31の右側部分と対向して配置されて右側にファスナーテープ通過用の隙間が形成されることもできる。

　図６は本第１実施例の研磨装置の変形例２を示し、研磨部の変形例を示す要部斜視図である。上記した第１実施例では、板体23は円板で形成されたが、円板でなくともよい。図６に示すように、本変形例の研磨部2aでは、板体23aは長方形の板である。板体23aの一方端側に回転軸22が固定されている。板体23aの他方端側に突起24aが一体成形されている。この突起24aは、板体23aに対して取り外しできない。突起24aの先端に、上記した第１実施例と同様にして研磨部材25が固定されている。この場合には、研磨部材25は、板体23aを介して回転軸22と共に回転することで、ファスナーエレメントEを研磨する。なお、突起24aを無くしてもよい。この場合、研磨部材（例えば、サンドペーパー）25は、板体23aの下面に直接固定される。

　図７は本第１実施例の研磨装置の変形例３を示し、研磨部のもう１つの変形例を示す要部斜視図である。この変形例の研磨部2bでは、図７に示すように、研磨部材25bは回転軸22に直接固定されてもよい。この場合、板体が無い。研磨部材25bは、砥石であってもよい。

　図８は本第１実施例の研磨装置の変形例４を示し、張力付与部の変形例を示す要部正面図である。図８に示すように、張力付与部は、搬送経路の上流側に配置された一方のガイドローラ46と、搬送経路の下流側に配置された他方のガイドローラ47と、各ガイドローラ46、47の間に配置されたダンサーローラ45を有する。このダンサーローラ45は、スライドファスナーSを上方から押し、スライドファスナーSを下方へＵ字状に折り曲げる。この場合に、ダンサーローラ45は、スライドファスナーSを押すための錘となり、常にスライドファスナーSに張力を加える。これにより、スライドファスナーSは常に張った状態となるので、緩むことなく支持ローラ31に巻きかけられる。

　図９と図１０は本第１実施例の研磨装置の変形例５を示し、図９は支持部の変形例を示す要部正面図であり、図１０は支持部の変形例を示す要部断面図である。上記した第１実施例において、支持部3はローラからなるものであるが、ローラではなく、図９に示すようにプレートで支持部3aが形成されてもよい。この場合、研磨部材の回転軸22の軸線は、このプレートの表面に対して垂直な方向と平行に延びている。

　図１０に示すように、支持部3aは、スライドファスナーSを載せる第１部材となる支持プレート31aと、第２部材33aとを有する。支持プレート31aはフレーム8に支持されていると共に、第2部材33aはこの支持プレート31aに支持されている。また、支持プレート31aの上面には、前記と同様にファスナーエレメントEを収容すると共にガイドするガイド溝34が形成されている。支持プレート31aは、このガイド溝34を挟んで、右側部分と左側部分を有する。第２部材33aは、右側部分と対向する右部分と、左側部分と対向する左部分を有する。第１部材31aと第２部材33aの間には、ファスナーテープTが通過可能な隙間を有する。また、前記と同様にして、第２部材33aの右部分と左部分の間には、ファスナーエレメントEが通過可能な隙間がある。

　また、上記のように、研磨部材の回転軸22が鉛直方向に配置された例について説明したが、図１１に示すように、研磨部材の回転軸22は水平方向に配置されてもよい。図１１は第１実施例の研磨装置の変形例６を示す正面模式図である。なお、研磨部材の回転軸22が支持部3に対して垂直な方向と平行に延びるように構成すれば、研磨部材の回転軸22の配置は任意である。

（第２実施例）
　次、図１２～図１４を参照しながら、本発明の第２実施例に係る研磨装置を説明する。第２実施例についての説明は、上記した第１実施例との相違を中心して説明し、同一の部材に同一の符号を付けると共に、重複する説明を省略する。図１２は本発明の第２実施例に係る研磨装置を示す正面模式図であり、図１３は同研磨装置における研磨部と支持部（第１支持ローラ）の要部拡大断面図であり、図１４は同研磨装置における研磨部と支持部（第２支持ローラ）の要部拡大断面図である。

　図１２に示すように、本第２実施例の研磨装置101の支持部13は、第１支持ローラ131と第２支持ローラ132を有する。第１支持ローラ131は、搬送経路の上流側に配置されている。第２支持ローラ132は、第１支持ローラ131よりも、搬送経路の下流側に配置されている。第１支持ローラ131と第２支持ローラ132は、研磨部2を共通させるために、ほぼ同一の水平レベルに配置されている。

　また、第１支持ローラ131の下流側近接部にガイドローラ145が、第２支持ローラ132の下流側近接部にガイドローラ144がそれぞれ配置されている。これらのガイドローラ144、145は、上記したガイドローラ44と同様に、第１支持ローラ131と第２支持ローラ132の最も上方に位置する部分よりも下方に配置されている。よって、スライドファスナーSは、第１支持ローラ131の最も上方に位置する部分を通過した後、この第１支持ローラ131の周面に沿いながら、ガイドローラ145の下方を潜って、ガイドローラ145の周面を通過した後、第2支持ローラ132の周面を登って、第2支持ローラ132の周面に沿いながら第2支持ローラ132の最も上方に位置する部分を通過してから、ガイドローラ144に向けて下方へ向けて搬送され、ガイドローラ144を介して下流側に搬送される。

　これにより、スライドファスナーSが第１支持ローラ131と第2支持ローラ132との間や、第2支持ローラ132と搬送部5との間で上方に浮き上がることを防止して、スライドファスナーSの姿勢を乱れさせない。すなわち、スライドファスナーSが第１支持ローラ131及び第2支持ローラ132のそれぞれから離れる方向へ移動することを防止して、ファスナーエレメントEが研磨される姿勢を安定させる。なお、本例では、ガイドローラ144とガイドローラ145は、同一の水平レベルに配置されているが、上記した作用を達成できれば、同一の水平レベルに配置されていなくても、構わない。

　図１３と図１４に示すように、支持部13の第１支持ローラ131と第２支持ローラ132のそれぞれは、ファスナーテープTが通過可能な隙間を空けて対向する第１部材131、132と第２部材138、133を有する。各第１部材が、それぞれ第１支持ローラ131、第２支持ローラ132からなる。第１支持ローラ131と第２支持ローラ132の周面には、それぞれファスナーエレメントEを収容すると共にガイドするガイド溝139、134を有する。第１支持ローラ131のガイド溝139は、溝の底に、ファスナーエレメントEに接する第１支持面139aを有する。この第１支持面139aは、研磨部材25へ近づく方向へ隆起すように傾斜している。

　図１３に示すように、ファスナーエレメントEは、ファスナーテープTの縁部に接する基端部Eaと、ファスナーテープTの縁部から離れた先端部（対向するファスナーエレメントEと噛み合う部分）Ebを有する。ファスナーエレメントEがガイド溝139に収容されて第１支持面139aに接した時、第１支持面139aが隆起すように傾斜していることにより、先端部Ebが研磨部材25に向けて上方へ傾いた姿勢に変位する。これにより、ファスナーエレメントEの先端部Ebが研磨部材25によって研磨される。

　そして、図１４に示すように、第２支持ローラ132のガイド溝134は、溝の底に、ファスナーエレメントEに接する第２支持面134aを有する。この第２支持面134aは、平坦（第２支持ローラ132の回転軸と平行な面）である。ファスナーエレメントEが第１支持ローラ131を通過してから第2支持ローラ132のガイド溝134に収容されて第２支持面134aに接した時、基端部Eaと先端部Ebが水平な姿勢となる。これにより、ファスナーエレメントEの基端部Eaと先端部Ebが研磨部材25によって研磨される。

　この第２実施例では、研磨部材の回転軸22は、図１２、図１４に示すように、研磨部材25の接している水平な姿勢となるファスナーエレメントEの表面又は裏面と垂直方向に延びている。

　本第２実施例の研磨装置101によれば、研磨部材が、第１支持ローラ131と第２支持ローラ132の２箇所においてファスナーエレメントEを研磨することができる。よって、高い効率で研磨することができる。また、ファスナーエレメントEは先端側が先細となるように湾曲しているので、全表面の研磨では研磨されないことがある。本第２実施例の研磨装置101は、ファスナーエレメントEの全表面を研磨する他に、先端部の姿勢を変異させることで、ファスナーエレメントEの先端部側の表面のみを研磨することができる。よって、先端部を確実に研磨することができる。

　そして、図１５及び図１６に示すように、上記した研磨装置1,101により研磨されたファスナーエレメントEの表面（研磨面）には、スライドファスナーSの長さ方向に延びる線状の研磨痕Ecが形成される。また、図１５（ａ）は、研磨前でファスナーエレメントEの表面（研磨面）が微小な凹凸を有した粗い状態であることをドット柄で示し、図１５（ｂ）は、上記粗い表面が研磨により平滑な光沢面となり、その光沢面に研磨痕Ecが形成されることを示している。

　次は、本発明の各実施形態の特徴及びその効果を説明する。

　ファスナーテープTと、ファスナーテープTに取り付けられ、表面と裏面を有するファスナーエレメントEを有するスライドファスナーSにおけるファスナーエレメントEを研磨するためのスライドファスナー用エレメントの研磨装置であって、スライドファスナーSの搬送経路と、搬送経路に沿って配置され、ファスナーエレメントEの姿勢を支持するようにファスナーエレメントEの裏面と表面のうちのいずれか一方と対向して配置される支持部3、3a、13と、搬送経路を挟んで、支持部3、3a、13に対向して配置された研磨部2、2a、2bとを備え、研磨部2、2a、2bは、回転軸22と、回転軸22に固定され、回転軸22が回転することで回転可能な研磨部材25を有し、研磨部材25は、ファスナーエレメントEの表面と裏面のうちのいずれか他方に接して、ファスナーエレメントEの表面又は裏面を研磨し、研磨部材25の回転軸22が支持部3、3a、13に対して垂直な方向と平行に延びている特徴とする。

　この特徴によれば、研磨部材25の回転軸22が支持部3、3a、13に対して垂直な方向と平行に延び、研磨部材25が、ファスナーエレメントEの表面又は裏面に接して研磨するので、研磨部材25は、ファスナーエレメントEを研磨する時、ファスナーエレメントEの表面に対して直線の軌道で接近または離間することができる。これにより、ファスナーエレメントEの表面を曲面形に削ることがない。よって、研磨後、製品の品質を低下させることがない。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、研磨部2、2aは、回転軸22に固定されこの回転軸22の軸線方向と直交する方向に延びる板体23、23aを有し、研磨部材25はこの板体23、23aに固定されていることを特徴とする。

　この特徴によれば、研磨部2、2aが回転軸22に固定され回転軸22の軸線方向と直交する方向に延びる板体23、23aを有し、研磨部材25がこの板体23、23aに固定されるので、回転軸22に対して、研磨部材25を容易に取り付けることができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、研磨部2、2aは、板体23、23aから突出する突起24、24aを有し、突起24、24aの先端に研磨部材25が取り付けられていることを特徴とする。

　この特徴によれば、研磨部材25が突起24、24aの先端に取り付けられるので、ファスナーエレメントEを研磨するために、最小限の研磨部材25を配置することができる。よって、スライドファスナーの製造コストを低減させる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、板体23は、回転軸22の中心から回転軸22の半径方向に延びる円板であり、複数の研磨部材25が、板体23の周縁部に沿って、所定の間隔を空けて配置されていることを特徴とする。

　この特徴によれば、円板に複数の研磨部材25が配置されているので、ファスナーエレメントEを高い効率で研磨することができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、板体23aは、回転軸22の中心から回転軸22の半径方向に延びる長方形板であり、板体23aの一端が回転軸22に固定されていると共に、板体23aの他端に研磨部材25が配置されていることを特徴とする。

　この特徴によれば、板体は長方形板であってもいいので、研磨部の設計自由度を向上させる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、研磨部材25はダイヤモンド製であることを特徴とする。

　この特徴によれば、研磨部材25はダイヤモンド製であり、硬度が高いものであるので、ファスナーエレメントEを確実に研磨することができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、スライドファスナーSは、一対のファスナーテープTと、ファスナーテープTの対向する縁部に取り付けられたファスナーエレメントEを有し、支持部3は、噛み合った状態のファスナーエレメントEを支持することを特徴とする。

　この特徴によれば、支持部3が噛み合った状態のファスナーエレメントEを支持するので、噛み合い状態のファスナーエレメントEを同時に研磨できる。よって、高い効率で研磨することができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、支持部3、3a、13は、ファスナーエレメントEの裏面と表面のうちのいずれか一方と接する支持面34a、134a、139aを有することを特徴とする。

　この特徴によれば、支持部3、3a、13は、ファスナーエレメントEの裏面または表面と接する支持面34a、134a、139aを有するので、ファスナーエレメントE が研磨部材25に接した時、ファスナーエレメントEが研磨部材25によって押され研磨部材25とは反対側へ移動しようとしても、支持面34a、134a、139aからの支持により、ファスナーエレメントEの姿勢が乱れないようにすることができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、支持部3、3a、13は、ファスナーエレメントEの移動をガイドするガイド溝34、134、139を有し、ガイド溝34、134、139の底面が支持面34a、134a、139aとなることを特徴とする。

　この特徴によれば、支持部3、3a、13は、ファスナーエレメントEの移動をガイドするガイド溝34、134、139を有し、ガイド溝34、134、139の底面が支持面34a、134a、139aとなるので、ファスナーエレメントEが研磨部材25に接した時、ファスナーエレメントEが研磨部材25に引きずられ研磨部材25と共に研磨部材25の回転方向へ移動しようとしても、ガイド溝34、134、139の制限により、ファスナーエレメントEの姿勢が乱れないようにすることができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、支持部3、13は、研磨部の回転軸と直交する方向に延びる回転軸（支持ローラ回転軸）32を有してこの回転軸（支持ローラ回転軸）32を中心にして回転可能なローラ（支持ローラ）31であることを特徴とする。

　この特徴によれば、支持部3、13が回転可能なローラであるので、ファスナーチェーンの搬送が速やかとなる。また、スライドファスナーSは、ローラ（支持ローラ）31、131、132に巻きかけられることで張力が付与され、安定した姿勢となる。よって、研磨される時に、スライドファスナーSの姿勢が乱れない。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、支持部3、13は、第１面を有する第１部材31、31a、131、132と第２面を有する第２部材33、33a、138、133を備え、第１部材31、31a、131、132と第２部材33、33a、138、133は、搬送経路を挟んで対向して配置されており、この第１部材31、31a、131、132と第２部材33、33a、138、133の間に、ファスナーテープTが通過できる隙間を有し、ファスナーテープTがこの隙間を通過している時に、第１面がファスナーテープTの裏面に対向すると共に、第２面がファスナーテープTの表面に対向することを特徴とする。

　この特徴によれば、支持部3、13は、第１部材31、31a、131、132と第２部材33、33a、138、133を備え、この第１部材31、31a、131、132と第２部材33、33a、138、133の間に、ファスナーテープTが通過できる隙間を有し、ファスナーテープTが隙間を通過している時に、第１部材31、31a、131、132の第１面がファスナーテープTの裏面に対向すると共に、第２部材33、33a、138、133の第２面がファスナーテープTの表面に対向するので、研磨部材25がファスナーテープTに接触しないように、ファスナーテープTを保護することができる。よって、ファスナーテープTに傷がつかない。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、支持部13は、第１ローラ（第１支持ローラ）131と第２ローラ（第２支持ローラ）132を有し、第１ローラ（第１支持ローラ）131は、搬送経路において、第２ローラ（第２支持ローラ）132よりも上流側に配置されることを特徴とする。

　この特徴によれば、支持部13が、搬送経路において前後に配置された二つのローラ（第１支持ローラ131と第２支持ローラ132）を有するので、研磨部材25が、支持部13の２箇所において、ファスナーエレメントEを研磨することができる。よって、高い効率で研磨することができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、支持部13は、ファスナーエレメントEを第１の姿勢で支持するための第１支持面139aと、ファスナーエレメントEを第２の姿勢で支持するための第２支持面134aとを有し、第１支持面139aは、研磨部材25に近づく方向へ傾斜していると共に、第２支持面134aは、平坦であり、ファスナーエレメントEは、ファスナーテープTの縁部に接する基端部Eaと、縁部から離れた先端部Ebを有し、第１支持面139aは、ファスナーエレメントの先端部Ebを、研磨部材25に接近する方向へ変位させることを特徴とする。

　この特徴によれば、研磨装置は、ファスナーエレメントEの全表面を研磨する他に、ファスナーエレメントEの先端部Eb側の表面のみを研磨することができる。ファスナーエレメントEは先端側が先細となるように湾曲しているので、全表面の研磨では研磨されないことがある。この構成によって、先端部Ebの姿勢を変異させることで、先端部Ebを確実に研磨することができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、第１支持面139aが第１支持ローラ131に形成されていると共に、第２支持面134aが第２支持ローラ132に形成されていることを特徴とする。

　この特徴によれば、ファスナーエレメントEの全表面を研磨する他に、ファスナーエレメントEの先端部Eb側の表面のみを研磨する構成を、簡単な構造で実現することができる。

　上記したスライドファスナー用エレメントの研磨装置では、研磨装置は、更に、搬送経路において、支持部3、13よりも下流側に配置されているスライドファスナーSの搬送部5と、搬送経路において、支持部3、13よりも上流側に配置されており、スライドファスナーSに張力を付与する張力付与部4とを有することを特徴とする。

　この特徴によれば、研磨装置は、更に、スライドファスナーSの搬送部5と、スライドファスナーSに張力を付与する張力付与部4を有するので、研磨装置がスライドファスナーSを支持部3、13へ搬送する際、スライドファスナーSの姿勢が乱れないように、容易に張力を付与することができる。

　以上、本発明の実施形態及び効果について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

　　1、101　研磨装置
　　2、2a、2b　研磨部
　　21　モータ
　　22　回転軸
　　23、23a　板体
　　24、24a　突起
　　25、25b　研磨部材
　　26　穴
　　27　止め具
　　3、3a、13　支持部
　　31　支持ローラ（第１部材）
　　31a　支持プレート（第１部材）
　　32　支持ローラ回転軸
　　33、33a、133、138　第２部材
　　34、134、139　ガイド溝
　　131　第１支持ローラ（第１部材）
　　132　第２支持ローラ（第１部材）
　　134a　第２支持面
　　139a　第１支持面
　　4　張力付与部
　　41　押え受けローラ
　　42　押さえローラ
　　43　アーム
　　44、144、145　ガイドローラ
　　45　ダンサーローラ
　　46、47　ガイドローラ
　　5　搬送部
　　51　搬送ローラ
　　52　搬送ローラ軸
　　53　アーム
　　54　押さえローラ
　　6　柱
　　7　架台
　　8　フレーム
　　S　スライドファスナー
　　T　ファスナーテープ
　　E　ファスナーエレメント
　　Ea　基端部
　　Eb　先端部

Claims

　ファスナーテープと、ファスナーテープに取り付けられ、表面と裏面を有するファスナーエレメントを有するスライドファスナーにおける前記ファスナーエレメントを研磨するためのスライドファスナー用エレメントの研磨装置であって、
　前記スライドファスナーの搬送経路と、
　前記搬送経路に沿って配置され、ファスナーエレメントの姿勢を支持するように前記ファスナーエレメントの裏面と表面のうちのいずれか一方と対向して配置される支持部と、
　前記搬送経路を挟んで、前記支持部に対向して配置された研磨部とを備え、
　前記研磨部は、回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸が回転することで回転可能な研磨部材を有し、
　前記研磨部材は、前記ファスナーエレメントの表面と裏面のうちのいずれか他方に接して、前記ファスナーエレメントの前記表面又は前記裏面を研磨し、前記研磨部材の前記回転軸が前記支持部に対して垂直な方向と平行に延びていることを特徴とするスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記研磨部は、前記回転軸に固定され前記回転軸の軸線方向と直交する方向に延びる板体を有し、
　前記研磨部材は前記板体に固定されていることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記研磨部は、前記板体から突出する突起を有し、
　前記突起の先端に前記研磨部材が取り付けられていることを特徴とする請求項２に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記板体は、前記回転軸の中心から前記回転軸の半径方向に延びる円板であり、
　複数の前記研磨部材が、前記板体の周縁部に沿って、所定の間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項２又は３に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記板体は、前記回転軸の中心から前記回転軸の半径方向に延びる長方形板であり、
　前記板体の一端が前記回転軸に固定されていると共に、前記板体の他端に前記研磨部材が配置されていることを特徴とする請求項２又は３に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記研磨部材はダイヤモンド製であることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記スライドファスナーは、一対の前記ファスナーテープと、前記ファスナーテープの対向する縁部に取り付けられた前記ファスナーエレメントを有し、
　前記支持部は、噛み合った状態の前記ファスナーエレメントを支持することを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記支持部は、前記ファスナーエレメントの裏面と表面のうちのいずれか一方と接する支持面を有することを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記支持部は、前記ファスナーエレメントの移動をガイドするガイド溝を有し、
　前記ガイド溝の底面が前記支持面となることを特徴とする請求項８に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記支持部は、前記研磨部の前記回転軸と直交する方向に延びる回転軸を有してこの回転軸を中心にして回転可能なローラであることを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記支持部は、第１面を有する第１部材と第２面を有する第２部材を備え、
　前記第１部材と前記第２部材は、搬送経路を挟んで対向して配置されており、
　前記第１部材と前記第２部材の間に、前記ファスナーテープが通過できる隙間を有し、
　前記ファスナーテープが前記隙間を通過している時に、前記第１面が前記ファスナーテープの裏面に対向すると共に、前記第２面が前記ファスナーテープの表面に対向することを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記支持部は、第１ローラと第２ローラを有し、
　前記第１ローラは、搬送経路において、前記第２ローラよりも上流側に配置されることを特徴とする請求項１０に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記支持部は、前記ファスナーエレメントを第１の姿勢で支持するための第１支持面と、前記ファスナーエレメントを第２の姿勢で支持するための第２支持面とを有し、
　前記第１支持面は、前記研磨部材に近づく方向へ傾斜していると共に、前記第２支持面は、平坦であり、
　前記ファスナーエレメントは、前記ファスナーテープの縁部に接する基端部と、縁部から離れた先端部を有し、
　前記第１支持面は、前記ファスナーエレメントの先端部を、前記研磨部材に接近する方向へ変位させることを特徴とする請求項１２に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記第１支持面が前記第１ローラに形成されていると共に、前記第２支持面が前記第２ローラに形成されていることを特徴とする請求項１３に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　前記研磨装置は、更に、
　前記搬送経路において、前記支持部よりも下流側に配置されているスライドファスナーの搬送部と、
　前記搬送経路において、前記支持部よりも上流側に配置されており、前記スライドファスナーに張力を付与する張力付与部とを有することを特徴とする請求項１に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置。
　請求項１～１５のいずれか１項に記載のスライドファスナー用エレメントの研磨装置で研磨されたことを特徴とするスライドファスナー用エレメント。