WO2013084403A1 - リニアアクチュエータ構造体およびこれを備える口腔衛生装置 - Google Patents

Abstract

　リニアアクチュエータ構造体（２）は、筐体（６０）と、前記筐体（６０）内に少なくとも部分的に配置されたリニアアクチュエータ（１）とを備える。リニアアクチュエータ（１）は、固定子（１０）と、固定子から第１の間隔（ｄ１）をおいて配置された可動子（２０）と、接続部材（３１）を介して可動子（２０）と連結された出力軸（３０）とを備える。出力軸（３０）および接続部材（３１）の少なくとも一方は、弾性変形可能に形成されている。筐体は、出力軸（３０）と接触可能に、かつ、出力軸（３０）から第２の間隔（ｄ２）をおいて設けられた緩衝部材（６４）を備える。第２の間隔（ｄ２）は、第１の間隔（ｄ１）以上である。

Description

リニアアクチュエータ構造体およびこれを備える口腔衛生装置

　本発明は、直線的に往復移動する可動部を備えた振動型のリニアアクチュエータと筐体とを備えるリニアアクチュエータ構造体に関する。

　リニアアクチュエータは、電磁石や永久磁石等から構成される固定子と可動子とを備え、固定子と可動子は所定の間隔をおいて離間している。例えば特許文献１に記載のアクチュエータでは、筒状の可動子の内側に固定子が配置され、固定子の周囲の一部に緩衝部材が設けられている。固定子と緩衝部材との間隔が、固定子と可動子との間隔よりも小さく設定されている。これにより、リニアアクチュエータに外部から力が加えられたときに、固定子と可動子とが接触するよりも先に、固定子が緩衝部材に接触し、固定子と可動子との接触に起因するリニアアクチュエータの信頼性の低下等を抑制することが可能となる。

特開２０１０－１０４１２６号公報

　ところで、一般にリニアアクチュエータの性能の向上という観点から、固定子と可動子との間隔を小さくすることが要求される。こうした要求のため、特許文献１に記載のリニアアクチュエータでは、固定子と緩衝部材との間隔は、固定子と可動子との間隔よりもさらに小さく形成することが要求される。従って、特許文献１に記載のリニアアクチュエータでは、部品成形や組立てに高い精度が要求され、製造や部品管理が困難になることがあり、歩留まりが悪化することがある。

　本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成で固定子と可動子の接触を抑止することの可能なリニアアクチュエータ構造体および口腔衛生装置を提供することにある。

　本発明の一局面に従うリニアアクチュエータ構造体は、筐体と、前記筐体内に少なくとも部分的に配置されたリニアアクチュエータとを備え、前記リニアアクチュエータは、固定子と、前記固定子から第１の間隔をおいて配置された可動子と、接続部材を介して前記可動子と連結された出力軸とを備え、前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方は、弾性変形可能に形成され、前記筐体は、前記出力軸と接触可能に、かつ、前記出力軸から第２の間隔をおいて設けられた緩衝部材を備え、前記出力軸と前記緩衝部材との前記第２の間隔は、前記固定子と前記可動子との前記第１の間隔以上である。

　前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方は、前記出力軸の往復移動方向と直交する方向に弾性変形可能に形成され、前記緩衝部材は、前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方が弾性変形したときに、前記出力軸と接触可能に設けられていることが好ましい。

　前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方は、前記出力軸の往復移動方向を軸とした回転方向に弾性変形可能に形成され、前記緩衝部材は、前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方が弾性変形したときに、前記出力軸と接触可能に設けられていることが好ましい。

　上記構成において、前記固定子と前記可動子とは、前記第１の間隔をおいて対向するように、かつ、前記可動子が前記出力軸の長手方向に往復移動するように、前記固定子の両端部と前記可動子の両端部を支持する複数の板ばねを更に備え、前記出力軸は、前記リニアアクチュエータの一端部に配置されており、
前記固定子と前記可動子との間隔をｄ１、
前記出力軸と前記緩衝部材との間隔をｄ２、
前記出力軸の先端に近い前記緩衝部材の端と、前記複数の板ばねのうち前記緩衝部材に最も近い緩衝部材側板ばねとの距離をＬ１、
前記固定子と前記可動子とが対向する部分において、前記出力軸とは反対側の端部と、前記緩衝部材側板ばねとの距離をＬ２、とするとき、
ｄ２×Ｌ２＜ｄ１×Ｌ１
の関係が満たされることが好ましい。

　リニアアクチュエータ構造体は、前記出力軸と前記緩衝部材との接触を検知する接触センサを備えることが好ましい。

　前記接触センサは、前記出力軸と前記緩衝部材との間を流れる電流を検出したときに、前記出力軸が前記緩衝部材と接触したと検知することが好ましい。

　前記接触センサは、前記出力軸または前記緩衝部材に設けられた押しスイッチを含むことが好ましい。

　本発明は、リニアアクチュエータ構造体と、前記出力軸に接続された、口腔衛生用の被駆動体とを備える口腔衛生装置を提供する。

　本発明によれば、リニアアクチュエータ構造体およびこれを備える口腔衛生装置において、簡易な構成で固定子と可動子の接触を抑止することが可能となる。

リニアアクチュエータの斜視図。 図１のリニアアクチュエータの分解斜視図。 本発明の第１実施形態に従うリニアアクチュエータ構造体の内部の模式図。 リニアアクチュエータ構造体の内部の模式図。 図３，図４のＡ－Ａ線に沿ったリニアアクチュエータ構造体の断面図。 本発明の第２実施形態に従うリニアアクチュエータ構造体の内部の模式図。 本発明の変形例に従うリニアアクチュエータ構造体の断面図。

　以下、本発明の第１実施形態を、図１～図５を参照して説明する。

　図１に示されるように、リニアアクチュエータ１は、間隙を挟んで対向配置された固定子１０および可動子２０と、固定子１０と可動子２０の協働によって軸方向に往復移動する出力軸３０とを備えている。

　図２に示す例では、固定子１０は、コア１１と巻線１２とを含む電磁ブロックであり得る。コア１１は、３つのティース部１１ａを有する櫛歯状に形成されており、巻線１２は、中央のティース部に絶縁体１３を介して巻き回されている。コア１１は、磁性材料の焼結体もしくは鉄板の積層体であり得る。コア１１と巻線１２とは、絶縁体１３によって絶縁されている。巻線１２に電流が供給されると、固定子１０は電磁石として機能する。固定子１０には、リニアアクチュエータ１を後述する筐体６０に固定するための固定部材１４が取り付けられている。

　可動子２０は、永久磁石２１と、永久磁石２１に接着固定された磁性材料からなるバックヨーク２２とを備える磁性ブロックであり得る。第１実施形態のリニアアクチュエータ１は、２つの可動子２０ａ，２０ｂを備えることができる。

　固定子１０と可動子２０ａ，２０ｂとは、固定子１０（電磁石）と永久磁石２１とが第１の間隔ｄ１をおいて互いに対向するように、保持部材４０によって保持されている。例えば、保持部材４０は、固定子１０を収容するための固定子収容部４１と、可動子２０ａ，２０ｂを収容するための可動子収容部４２ａ，４２ｂとを有する。固定子１０は、コア１１のティース部１１ａが内側を向き、固定部材１４が外側を向くように、固定子収容部４１に収容される。可動子２０ａ，２０ｂは、永久磁石２１がコア１１のティース部１１ａと対向するように、かつ、可動子２０ａと可動子２０ｂとが並設された状態で、保持部材４０の可動子収容部４２ａ，４２ｂにそれぞれ収容される。保持部材４０は、板ばね部４３，４４を有する。固定子１０と可動子２０ａの各々が板ばね部４３，４４によって弾性支持されることにより、固定子１０と可動子２０ａとの間に第１の間隔ｄ１が形成保持される。同様に、固定子１０と可動子２０ｂの各々が板ばね部４３，４４によって弾性支持されることにより、固定子１０と可動子２０ｂとの間に第１の間隔ｄ１が形成保持される。例えば、板ばね部４３，４４の各々は２枚の板ばねによって構成されている。

　可動子収容部４２ａの一端部と可動子収容部４２ｂの一端部は、円環状の連結部４５によって連結されている。保持部材４０の材料としては、伸びの少ない材料が適しており、連結部４５の材料としては、弾性を有する材料が適している。第１実施形態では、保持部材４０と連結部４５とは樹脂により一体に形成されている。

　可動子２０ａは、出力軸接続部材３１を介して出力軸３０と連結されている。出力軸接続部材３１の一方の端部は、保持部材４０を挟んで可動子２０ａのバックヨーク２２に対してボルト３２で締結固定される。出力軸接続部材３１の他方の端部は、出力軸３０と連結されている。第１実施形態では、出力軸３０と出力軸接続部材３１とが、導電性樹脂材料によって形成されている。出力軸３０と出力軸接続部材３１は、導電性を有し、弾性変形可能である。出力軸接続部材３１は例えばＬ字状に形成され得る。

　可動子２０ｂは、錘接続部材５１を介して錘５０と連結されている。錘接続部材５１の一方の端部は、保持部材４０を挟んで可動子２０ｂのバックヨーク２２に対してボルト５２で締結固定される。錘接続部材５１の他方の端部はボルト５３で錘５０に固定されている。錘５０は例えば直方体状に形成され得る。

　図３～図５を参照して、リニアアクチュエータ１と筐体６０とを備えたリニアアクチュエータ構造体２について説明する。図示した例では、リニアアクチュエータ構造体２は、口腔衛生装置としての電動歯ブラシに備えられる。

　リニアアクチュエータ構造体２の筐体６０は、金属もしくは導電性樹脂材料等の、導電性を有する材料から形成され得る。リニアアクチュエータ構造体２は、筐体６０の内部に配置された、リニアアクチュエータ１や、該リニアアクチュエータ１の駆動を制御する制御回路６１等を備えている。

　筐体６０は、固定部材１４に対応するマウント部６２を含む。固定子１０に取り付けられた固定部材１４が、筐体６０の内部のマウント部６２に固定されることにより、リニアアクチュエータ１は筐体６０に組み付けられる。この状態における上記固定子１０と可動子２０との間に、より詳しくは対向するコア１１と永久磁石２１との間に、間隙（ｄ１）が形成される。

　固定子１０の巻線１２は、導線７０，７１によって制御回路６１と電気的に接続されている。第１実施形態では、出力軸接続部材３１と制御回路６１とが導線７２によって電気的に接続されている。制御回路６１と筐体６０とが導線７３によって電気的に接続されている。制御回路６１には、図示しない電池等の電源から電力が供給される。

　次に、リニアアクチュエータ１の動作について説明する。制御回路６１は、固定子１０の巻線１２に供給する電流の向きを周期的に反転する。この電流の反転に応答して、可動子２０の永久磁石２１と電磁石の磁極となるコア１１との間に働く磁気的吸引力及び磁気的反発力が周期的に反転し、可動子２０は往復移動する。このとき、可動子２０の往復移動の方向は、保持部材４０によって規制されるため、可動子２０は、固定子１０と可動子２０の対向面に沿って、かつ、板ばね部４３，４４の間で、保持部材４０の弾性変形を利用して往復移動する。出力軸３０は、出力軸３０の長手方向が可動子２０の往復移動の方向と同一となるように可動子２０ａと連結されている。錘５０は、出力軸３０の長手方向において、出力軸３０とは反対側に可動子２０ｂと連結されている。

　第１実施形態では、図４に示されるように、可動子２０ａと可動子２０ｂとは、これら可動子２０ａ，２０ｂの往復移動方向と直交する方向に並設され、互いに逆位相で往復駆動される。この際、可動子２０ａと可動子２０ｂとが弾性を有する連結部４５により連結されているため、可動子２０ａ，２０ｂは共振して往復運動を行う。

　筐体６０には貫通孔６３が設けられており、この貫通孔６３から出力軸３０が筐体６０の外部へ突出している。貫通孔６３には、緩衝部材６４が配置されている。緩衝部材６４は、出力軸３０から第２の間隔ｄ２だけ離間するように形成されている。緩衝部材６４は、導電性樹脂材料等の導電性を有する材料から形成され得る。緩衝部材６４は、図５に示されるように、円環状に形成され、円形の貫通孔６３に沿って設けられている。図示した例では、緩衝部材６４と断面円形状の出力軸３０との間隔ｄ２が、出力軸３０の周方向において一定となるように、緩衝部材６４は形成されている。第１実施形態では、第１の間隔ｄ１と、第２の間隔ｄ２は等しく設定されている。

　図３に示される口腔衛生装置は、リニアアクチュエータ構造体２と、出力軸３０の先端に接続された被駆動体とを備える。例えば、被駆動体は歯磨き用のブラシ体８０であり、口腔衛生装置は電動歯ブラシである。出力軸３０の先端は、リニアアクチュエータ構造体２の筐体６０から外方へ突出している。この出力軸３０の先端に、ブラシ部８１を有する歯磨き用のブラシ体８０が取り外し可能に接続される。ブラシ体８０を出力軸３０に接続したときに、ブラシ体８０のブラシ部８１と筐体６０のマウント部６２とが電動歯ブラシの同じ側（図３の例では下側）となるように、出力軸３０は形成されていることが好ましい。

　次に第１実施形態のリニアアクチュエータ構造体２の作用について説明する。

　第１実施形態では、リニアアクチュエータ１の出力軸３０と出力軸接続部材３１とが弾性変形可能に形成されている。したがって、例えば電動歯ブラシの使用等によってリニアアクチュエータ構造体２に外部から力が加えられた場合には、出力軸３０が出力軸３０の軸方向である往復移動方向と直交する方向に弾性変形する。固定子１０と可動子２０との間隔ｄ１と出力軸３０と緩衝部材６４との間隔ｄ２が等しく形成されていても、出力軸３０と緩衝部材６４が先に接触するため、固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となり、ひいては、固定子１０と可動子２０とを支持する保持部材４０にかかる負荷を低減することもできる。

　ちなみに、この際、出力軸３０は、特にその往復移動方向と直交する方向に弾性変形し、緩衝部材６４は、この出力軸３０における往復移動方向と直交する方向への弾性変形に応じて出力軸３０と接触するように配置されている。リニアアクチュエータ構造体２が電動歯ブラシに備えられている場合、電動歯ブラシの使用時には、ブラシ体８０に対してブラシ部８１の先端から基端に向かって、図３に矢印Ｆ１にて示す押付け力が働く場合が多い。すなわち、出力軸３０に対しては、その往復移動方向と直交する方向に外力が働くことが想定される。したがって、上述のように出力軸３０と緩衝部材６４とを構成することによって、リニアアクチュエータ構造体２が電動歯ブラシに備えられた場合に、特に適切に固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。

　リニアアクチュエータ構造体２は、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知する接触センサを備えてもよい。図示した例では、出力軸３０、出力軸接続部材３１、筐体６０、及び緩衝部材６４が導電性を有し、出力軸接続部材３１と制御回路６１が電気的に接続され、制御回路６１と筐体６０が電気的に接続されている。この場合、出力軸３０と緩衝部材６４が接触すると、出力軸３０、出力軸接続部材３１、制御回路６１、筐体６０、及び緩衝部材６４は、電気的な閉回路を形成し、出力軸３０と緩衝部材６４との間に電流が流れる。第１実施形態では、制御回路６１は、出力軸３０と緩衝部材６４との間を流れる電流を検知することにより、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知する接触センサとして機能する。

　リニアアクチュエータ１の駆動中に出力軸３０と緩衝部材６４との接触が検知された際には、例えば制御回路６１によってリニアアクチュエータ１の駆動が弱められるかあるいは停止される。これにより、保持部材４０の負荷を低減することが可能となり、ひいては保持部材４０、特に板ばね部４３，４４の変形等を抑制することも可能となる。

　第１実施形態によれば、以下の効果が得られる。

　（１）リニアアクチュエータ１の出力軸３０および出力軸接続部材３１の少なくとも一方が弾性変形可能に形成されている。筐体６０は、出力軸３０と接触可能に、出力軸３０から間隔ｄ２をおいて設けられた緩衝部材６４を備える。出力軸３０と緩衝部材６４との間隔ｄ２は、固定子１０と可動子２０との間隔ｄ１と等しい。これにより、リニアアクチュエータ構造体２に外部から力が加えられたときに、出力軸３０と緩衝部材６４が先に接触する。従って、固定子１０と可動子２０との接触を簡単な構成にて抑止することが可能となる。例えば、固定子と緩衝部材との間隔を固定子と可動子との間隔よりも小さく形成することを必要とする従来技術に比べて、簡易な構成にて、固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。

　（２）出力軸３０および出力軸接続部材３１が、出力軸３０の往復移動方向と直交する方向に弾性変形可能に形成されている。出力軸３０および出力軸接続部材３１が弾性変形したときに、緩衝部材６４は出力軸３０と接触可能である。この構造によれば、リニアアクチュエータ構造体２が電動歯ブラシに備えられた場合に、固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。

　（３）リニアアクチュエータ構造体２は、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知する接触センサを備える。出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知した際に、例えばリニアアクチュエータ１の駆動を弱めるあるいは停止する制御によって、保持部材４０にかかる負荷を低減することも可能となる。

　（４）接触センサは、出力軸３０と緩衝部材６４との間を流れる電流を検出したときに、出力軸３０が緩衝部材６４と接触したと検知する。この構造によれば、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を的確に検知することが可能となる。

　（５）電動歯ブラシは、リニアアクチュエータ構造体２と、筐体６０から突出する出力軸３０に接続された歯磨き用のブラシ体８０とを備える。簡易な構成にて、電動歯ブラシの駆動源であるリニアアクチュエータ１の固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。また、電動歯ブラシの製造も容易となる。

　以下、本発明の第２実施形態を図６を参照して説明する。第１実施形態と実質的に同一の要素には同一の符号を付して重複する説明は割愛する。

　第２実施形態のリニアアクチュエータ構造体３においても、出力軸３０と緩衝部材６４との間隔ｄ２は、固定子１０と可動子２０との間隔ｄ１と同じかそれよりも大きい。

　図６に示されるように、出力軸３０の先端に近い緩衝部材６４の端（例えば図６において緩衝部材６４の外側面）と、板ばね部４３のうち緩衝部材６４に最も近い緩衝部材側板ばね４３ａとの距離をＬ１とする。固定子１０（コア１１）と可動子２０（永久磁石２１）とが対向する部分において、出力軸３０と反対側にある端部と、緩衝部材側板ばね４３ａとの距離をＬ２とする。

　このとき、第２実施形態では、上記距離Ｌ１、距離Ｌ２、固定子１０と可動子２０との間隔ｄ１、出力軸３０と緩衝部材６４との間隔ｄ２は、下記式（１），式（２）が共に成り立つように、設定されている。

　ｄ１≦ｄ２・・・・・・・・・（１）
　ｄ２×Ｌ２＜ｄ１×Ｌ１・・・（２）
　ここで、上記式（２）の導出について説明する。リニアアクチュエータ構造体３が特に電動歯ブラシに備えられた場合には、上述のように、ブラシ体８０に対して図６に矢印Ｆ１にて示す押付け力が働くことが想定される。すなわち、出力軸３０に対しては、その往復移動方向と直交する方向であって、該出力軸３０に設けられたブラシ部８１の先端から基端に向かう方向に外力が働く。この場合、出力軸３０は、緩衝部材側板ばね４３ａ上の点Ｐを支点として回転する。一方、固定子１０と可動子２０に関しては、同様に緩衝部材側板ばね４３ａ上の点Ｐを支点として、可動子２０が固定された固定子１０に向かう方向に回転する。

　このとき、出力軸３０が緩衝部材６４と接触するまでに要する回転角度をθ１［ｒａｄ］とすると、角度θ１は微小な角度であるため、上記距離Ｌ１および間隔ｄ２を用いて下記式（３）のように近似できる。

　θ１≒ｄ２／Ｌ１・・・・・・（３）
　同様に、可動子２０が固定子１０と接触するまでに要する回転角度をθ２［ｒａｄ］とすると、角度θ２も微小な角度であるため、上記距離Ｌ２および間隔ｄ１を用いて下記式（４）のように近似できる。

　θ２≒ｄ１／Ｌ２・・・・・・（４）
　ここで、固定子１０と可動子２０とが接触するよりも前に出力軸３０と緩衝部材６４とが接触するためには、下記式（５）の関係が満たされていればよい。

　θ１＜θ２・・・・・・・・・（５）
　したがって、上記式（５）に、上記式（３），式（４）を代入することによって、上記式（２）が得られる。

　第２実施形態のリニアアクチュエータ構造体３によれば、特にリニアアクチュエータ構造体３が電動歯ブラシに備えられ、出力軸３０に対して往復移動方向と直交する方向に外力が働く場合であれ、適切に固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。

　第２実施形態では、固定子１０と可動子２０とが、対向するコア１１と永久磁石２１との間において一定の間隔ｄ１で離間しており、出力軸３０と緩衝部材６４とが周方向において一定の間隔ｄ２で離間している。しかし、厳密には、間隔ｄ１に関しては、コア１１と永久磁石２１とが対向する部分における出力軸３０と反対側の端部間の間隔ｄ１が上記の関係を満たせばよい。間隔ｄ２に関しても、出力軸３０においてブラシ部８１とは反対側の面と、緩衝部材６４との間隔ｄ２が上記の関係を満たせばよい。

　第２実施形態のリニアアクチュエータ構造体３も、第１実施形態と同様の構成にて、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知する接触センサを備えている。

　以上説明したように、第２実施形態によれば、第１実施形態の（２）～（５）の効果に加え、以下の効果が得られる。

　（６）リニアアクチュエータ構造体３は、上記式（１），式（２）が共に満たされるように構成した。これにより、リニアアクチュエータ構造体３に外部から力が加えられたとしても、出力軸３０と緩衝部材６４が先に接触するため、固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。すなわち、固定子と緩衝部材との間隔を固定子と可動子との間隔よりも小さく形成することを必要とする従来技術に比べて、簡易な構成にて、固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。リニアアクチュエータ構造体３が電動歯ブラシに備えられ、出力軸３０に対して往復移動方向と直交する方向に外力が働く場合であれ、適切に固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。

　実施形態は、以下のように変更することもできる。

　・各実施形態では、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知する接触センサが、出力軸３０と緩衝部材６４との間を流れる電流を検出したときに、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知する。別の例では、接触センサは、例えば、出力軸３０における緩衝部材６４と接触する位置や、緩衝部材６４に設けられた押しスイッチを含むことができる。この場合、出力軸３０が緩衝部材６４と接触した場合に、この押しスイッチが押され、制御回路６１は、押しスイッチが押されたことを検知して、リニアアクチュエータの駆動を弱めるあるいは停止する。これによっても、出力軸３０と緩衝部材６４との接触を検知することが可能となる。

　・上述した出力軸および出力軸接続部材を、出力軸の往復移動方向と直交する方向に加え、往復移動方向を軸とした回転方向にも弾性変形可能に形成するとともに、緩衝部材が、この出力軸における往復移動方向と直交する方向および往復移動方向を軸とした回転方向への弾性変形に応じて出力軸と接触可能に設けられるようにしてもよい。例えば、出力軸および緩衝部材について、出力軸の径方向における断面形状を図７に示される態様にて形成する。すなわち図７において、出力軸３３は、その径方向の断面形状が、円形部３３ａと円形部３３ａから延設された方形部３３ｂとからなるように形成されている。緩衝部材６５は、出力軸３３の輪郭に応じて形成された円形部６５ａと方形部６５ｂとを含む。緩衝部材６５と出力軸３３の間に環状部と屈曲部とを有する間隙（ｄ２）が形成される。この構成によれば、出力軸３３の軸方向と直交する方向に外力が加わった場合に限らず、出力軸３３の周方向（回転方向）に外力が加わった場合にも、出力軸３３と緩衝部材６５が先に接触する。したがって、固定子１０と可動子２０との接触を抑止することが可能となる。なお、出力軸および出力軸接続部材が、出力軸の往復移動方向を軸とした回転方向にのみ弾性変形可能に形成され、緩衝部材が、この出力軸における往復移動方向を軸とした回転方向への弾性変形に応じて出力軸と接触可能に設けられるようにしてもよい。

　・各実施形態では、出力軸３０と出力軸接続部材３１の双方が弾性変形可能に形成されるものとしたが、いずれか一方のみが弾性変形可能に形成されるようにしてもよい。すなわち、出力軸３０と出力軸３０を支持する出力軸接続部材３１の少なくとも一方が弾性変形可能であれば、外力を受けたときに、出力軸３０と緩衝部材６４を先に接触させることができる。

　・緩衝部材６４は、筐体６０の貫通孔６３に設けられなくてもよい。緩衝部材６４は、例えば筐体６０の内部において出力軸３０の周囲に出力軸３０と接触可能に設けられてもよい。この場合、筐体６０は、貫通孔６３を有さない中空状や有底筒状に形成され得る。リニアアクチュエータ１の出力は、貫通孔６３以外の開口部から取り出されてもよい。

　・各実施形態では、リニアアクチュエータを電動歯ブラシの駆動源として用いたが、ステイン除去用機器、歯間ブラシ、舌磨き用機器等の他の口腔衛生装置やその他の機器の駆動源として用いてもよい。なお、リニアアクチュエータをこうした口腔衛生装置の駆動源とする場合、出力軸には、口腔衛生用の被駆動体として、歯磨き用のブラシ体に代えてステイン除去用アタッチメント、歯間清掃用のブラシ、舌磨き用のブラシ等を接続すればよい。

　・永久磁石を固定子１０に設け、可動子２０に電磁石を設けてもよい。

　・実施形態同士を組合せてもよく、変形例同士を組合せてもよい。

Claims (8)

1. 　筐体と、前記筐体内に少なくとも部分的に配置されたリニアアクチュエータとを備えるリニアアクチュエータ構造体において、
   　前記リニアアクチュエータは、
   　固定子と、
   　前記固定子から第１の間隔をおいて配置された可動子と、
   　接続部材を介して前記可動子と連結された出力軸とを備え、
   　前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方は、弾性変形可能に形成され、
   　前記筐体は、前記出力軸と接触可能に、かつ、前記出力軸から第２の間隔をおいて設けられた緩衝部材を備え、
   　前記出力軸と前記緩衝部材との前記第２の間隔は、前記固定子と前記可動子との前記第１の間隔以上である
   　ことを特徴とするリニアアクチュエータ構造体。
2. 　前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方は、前記出力軸の往復移動方向と直交する方向に弾性変形可能に形成され、前記緩衝部材は、前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方が弾性変形したときに、前記出力軸と接触可能に設けられている
   　請求項１に記載のリニアアクチュエータ構造体。
3. 　前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方は、前記出力軸の往復移動方向を軸とした回転方向に弾性変形可能に形成され、前記緩衝部材は、前記出力軸および前記接続部材の少なくとも一方が弾性変形したときに、前記出力軸と接触可能に設けられている
   　請求項１または２に記載のリニアアクチュエータ構造体。
4. 　前記固定子と前記可動子とが前記第１の間隔をおいて対向するように、かつ、前記可動子が前記出力軸の長手方向に往復移動するように、前記固定子の両端部と前記可動子の両端部を支持する複数の板ばねを更に備え、
   　前記出力軸は、前記リニアアクチュエータの一端部に配置されており、
   　前記固定子と前記可動子との間隔をｄ１、
   　前記出力軸と前記緩衝部材との間隔をｄ２、
   　前記出力軸の先端に近い前記緩衝部材の端と、前記複数の板ばねのうち前記緩衝部材に最も近い緩衝部材側板ばねとの距離をＬ１、
   　前記固定子と前記可動子とが対向する部分において、前記出力軸とは反対側の端部と、前記緩衝部材側板ばねとの距離をＬ２、
   とするとき、
   　ｄ２×Ｌ２＜ｄ１×Ｌ１
   の関係が満たされる
   　請求項１または２に記載のリニアアクチュエータ構造体。
5. 　前記出力軸と前記緩衝部材との接触を検知する接触センサを備える
   　請求項１～４のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ構造体。
6. 　前記接触センサは、前記出力軸と前記緩衝部材との間を流れる電流を検出したときに、前記出力軸が前記緩衝部材と接触したと検知する
   　請求項５に記載のリニアアクチュエータ構造体。
7. 　前記接触センサは、前記出力軸または前記緩衝部材に設けられた押しスイッチを含む
   　請求項５に記載のリニアアクチュエータ構造体。
8. 　請求項１～７のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ構造体と、
   　前記出力軸に接続された、口腔衛生用の被駆動体とを備える
   　ことを特徴とする口腔衛生装置。

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