WO2013077293A1 - アクリル系重合体の製造方法、アクリル系重合体、およびプラスチゾル組成物 - Google Patents

アクリル系重合体の製造方法、アクリル系重合体、およびプラスチゾル組成物 Download PDF

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Abstract

 アクリル系単量体混合物(a)を重合して重合体(A)を得る工程(1)と、重合体(A)を含む分散液中でアクリル系単量体混合物(b)を重合する工程(2)を含むアクリル系重合体の製造方法であって、アクリル系単量体混合物(a)中に水酸基を有する単量体が含まれ、アクリル系単量体混合物(b)中にアセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体が含まれ、重合体(A)の溶解パラメーター(SA)とアクリル系単量体混合物(b)を重合して得られる重合体(B)の溶解パラメーター(SB)が異なる、加熱時間が短く加熱温度が低くとも十分な密着性が得られ、貯蔵安定性にも優れたプラスチゾアクリル系重合体の製造方法が開示される。

Description

アクリル系重合体の製造方法、アクリル系重合体、およびプラスチゾル組成物
 本発明は、塗板への密着性と貯蔵安定性に優れたプラスチゾル組成物に好適なアクリル系重合体およびその製造方法、これを用いたプラスチゾル組成物に関する。
 重合体と可塑剤を含むプラスチゾル組成物は、例えば、自動車アンダーコート、自動車ボディーシーラー、壁紙、カーペットバッキング材、床材および玩具等の用途に使用されている。
 塩化ビニル樹脂を含むプラスチゾル組成物を使用した場合、例えば自動車アンダーコート、自動車ボディーシーラーの用途では、自動車をリサイクルする際のシュレッダーダストの溶融工程で、設備を損傷させる原因となる塩化水素等が発生する。そこで塩化ビニル樹脂の使用量を抑制するために、アクリル系重合体を含むプラスチゾル組成物の検討が行われている。さらに近年の環境問題に対応する為に、自動車の塗装工程での塗装および焼き付け工程において、従来に比べ加熱温度の低温化や焼付け時間の短縮化が行われている。
 例えば特許文献1には、ブロックイソシアネート基を有する単量体を重合したアクリル系重合体を含む、電着塗装面に密着性の良いプラスチゾル組成物が記載されている。特許文献2には、水酸基を有する単量体を重合した多層構造のアクリル系重合体を含む、貯蔵安定性に優れたプラスチゾル組成物が記載されている。
国際公開第2007/097428号公報 国際公開第2008/090906号公報
 特許文献1記載のプラスチゾル組成物に用いられているアクリル系重合体は水酸基を有する単量体を重合しておらず、特許文献2記載のプラスチゾル組成物に用いられているアクリル系重合体はアセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体を重合していない。そのため加熱時間・温度が十分でない場合に電着塗装面への接着性が不十分となるおそれがある。
 本発明はこのような課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の目的は、従来に比べて加熱時間が短く、加熱温度が低くとも、電着塗料が塗られた塗板への十分な密着性が得られ、貯蔵安定性にも優れたプラスチゾル組成物に好適なアクリル系重合体を提供することにある。
 本発明は、アクリル系単量体混合物(a)を重合して重合体(A)を得る工程(1)と、 前記重合体(A)を含む分散液中でアクリル系単量体混合物(b)を重合する工程(2)を含むアクリル系重合体の製造方法であって、前記アクリル系単量体混合物(a)中に、水酸基を有する単量体が含まれ、前記アクリル系単量体混合物(b)中に、アセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体が含まれ、前記重合体(A)の溶解パラメーター(SA)と前記アクリル系単量体混合物(b)を重合して得られる重合体(B)の溶解パラメーター(SB)が異なる、アクリル系重合体の製造方法である。
 また本発明は、上記製造方法から得られるアクリル系重合体である。
 また本発明は、上記アクリル系重合体と可塑剤を含むプラスチゾル組成物である。
 本発明の方法により製造されるアクリル系重合体を用いれば、加熱時間が短く、加熱温度が低くとも、電着塗料が塗られた塗板への密着性と貯蔵安定性に優れたプラスチゾル組成物が得られる。
 [工程(1)]
 本発明における工程(1)は、アクリル系単量体混合物(a)を重合して重合体(A)を得る工程である。
 工程(1)で用いるアクリル系単量体混合物(a)は、水酸基を有する単量体を含むことが必要である。水酸基を有する単量体を含むことにより、加熱時間が短く、加熱温度が低い場合であっても基材との接着性が向上する。水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトールヘキサ等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。特に、他のアクリル系単量体との共重合性の点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましい。
 水酸基を有する単量体は、加熱温度が低く、加熱時間が短い場合であっても基材との接着性が良好となる点から、アクリル系単量体混合物(a)100mol%中に、0.1mol%以上含まれることが好ましい。また、プラスチゾル組成物としての物性を保てる点から、その含有量は15mol%以下であることが好ましい。最も好ましくは1.0mol%以上、10mol%以下である。
 アクリル系単量体混合物(a)に含まれる水酸基を含有する単量体以外の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステルや酢酸ビニル等の不飽和カルボン酸エステル類、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、アクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。なお、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸とメタクリル酸の総称である。
 アクリル系単量体混合物(a)は、可塑剤との相溶性の調整し易さの点から、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルの一方または双方を含むことが好ましい。メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルの合計含有量は、アクリル系単量体混合物(a)100mol%中、55mol%以上が好ましい。また、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルのモル比は、20/80~75/25が好ましい。さらに貯蔵安定性の点から、メタクリル酸メチルとして、メタクリル酸t-ブチルを10mol%以上含むことが好ましい。
 アクリル系単量体混合物(a)は、アクリル系単量体以外の単量体を含んでいても良い。その具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の置換エチレン系化合物が挙げられる。
 工程(1)におけるアクリル系単量体混合物(a)の重合は、公知の重合法により行えばよい。特に重合安定性の点から、乳化重合が好ましい。乳化重合は、乳化剤を用いた公知の方法で行うことができる。乳化剤としては、例えばアニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤を使用できる。
 アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸金属塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルグリセリンホウ酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン等のポリオキシエチレン鎖を分子内に有し界面活性能を有する化合物や、これら化合物のポリオキシエチレン鎖がオキシエチレンおよびオキシプロピレンの共重合体で代替されている化合物、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。界面活性剤の使用量は、アクリル系単量体混合物(a)100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましい。
 アクリル系単量体混合物(a)の重合には、重合開始剤として、例えば過酸化水素、水溶性無機過酸化物、または水溶性還元剤と有機過酸化物との組み合わせを用いることができる。
 水溶性無機過酸化物の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。水溶性無機過酸化物の使用量は、アクリル系単量体混合物(a)100質量部に対して、0.01~0.5質量部が好ましい。水溶性還元剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸やそのナトリウム塩またはカリウム塩、これらの鉄、銅、クロム等の金属との錯化合物、スルフィン酸やそのナトリウム塩またはカリウム塩、L-アスコルビン酸やそのナトリウム塩またはカリウム塩、カルシウム塩、ピロリン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、還元糖類が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。有機過酸化物の具体例としては、クメンヒドロペルオキシド、p-サイメンヒドロペルオキシド、t-ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p-メンタンヒドロペルオキシド、デカリンヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。
 アクリル系単量体混合物(a)の重合温度は、重合開始剤の種類や重合条件に応じて設定すれば良い。例えば、重合開始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化物を単独で使用する場合は、重合開始剤の10時間半減期温度以上の温度であれば重合が可能である。好ましくは重合の安定性や時間短縮の点から重合開始剤の10時間半減期温度よりも5度以上高い温度が良い。
 アクリル系単量体混合物(a)の重合時間は、重合開始剤の種類や重合条件に応じて設定すれば良い。特に重合温度よって、適した重合時間は異なってくる。また、重合開始剤の熱分解が起こりラジカルを発生できる時間内に重合を行う必要がある。
 アクリル系単量体混合物(a)の乳化重合は、種粒子となる重合体の存在下で行ってもよい。この重合体はソープフリー重合、微細懸濁重合等の公知の方法で製造できる。乳化重合は、一段階の反応で行っても良いし、多段階の反応で行っても良い。
 以上説明したアクリル系単量体混合物(a)の乳化重合によって、重合体(A)を含む分散液が得られる。
 [工程(2)]
 本発明における工程(2)は、重合体(A)を含む分散液中でアクリル系単量体混合物(b)を重合する工程である。工程(2)で用いるアクリル系単量体混合物(b)は、アセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体を含む。
 アセトアセチル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分のアルキル基(炭素数は好ましくは1~6)に、アセトアセチル基が結合している単量体を使用できる。その具体例としては、(メタ)アクリル酸2-アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-アセトアセトキシプロピルが挙げられる。また(メタ)アクリルアミドの窒素原子に、アセトアセチル基を有するアルキル基(炭素数は好ましくは1~6)が結合している単量体も使用できる。アセトアセチル基を有するアルキル基は、シアノ基、アミノ基等の他の基を有していても良い。その具体例としては、メタクリル酸2-シアノアセトアセトキシエチル、N-(2-アセトキシアミノエチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。またアセト酢酸エステルのエステル部分がエチレン系炭化水素基(炭素数は好ましくは2~6)である単量体も使用できる。その具体例としては、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ビニル等が挙げられる。中でも、アクリル系単量体と共重合し易い点から、メタクリル酸2-アセトアセトキシエチルが好ましい。
 ブロックイソシアネート基とは、遊離のイソシアネート基を反応させないためにブロック剤でイソシアネート基をブロックした構造を有する基である。ブロックイソシアネート基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分のアルキル基(炭素数は好ましくは1~6)に、ブロックイソシアネート基を含む基が結合している単量体を使用できる。その具体例としては、2-[(3,5―ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2-[0-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリレートが挙げられる。特に、重合工程でのブロック剤の安定性の点から、2-[0-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリレートが好ましい。
 アセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体の含有量は、アクリル系単量体混合物(b)100mol%中、0.7~15mol%であると加熱温度が低く、加熱時間が短い場合であっても基材との接着性が良好となるため好ましい。これらの反応性官能基はプラスチゾル組成物中に配合される接着剤との架橋や、反応性官能基同士の反応によって粘度の上昇が起こるおそれがある。したがって貯蔵安定性の点からより好ましくは、0.7~9.0mol%である。
 アクリル系単量体混合物(b)は、前記記載のアセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体を含む混合物であれば良い。アクリル系単量体混合物(b)に用いるアセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体以外のアクリル系単量体としては、先に説明した混合物(a)に用いるアクリル系単量体と同様のものを用いることができる。
 アクリル系単量体混合物(b)に用いるアセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体以外のアクリル系単量体としては、工程(2)で得られるアクリル系重合体(B)が可塑剤に対して難相溶性を示すような種類のものを選択して使用することが好ましい。アクリル系重合体に可塑剤を加えてプラスチゾル組成物を調製する場合、そのアクリル系重合体が可塑剤に対して難相溶性を示せば、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性が向上するからである。例えば可塑剤としてジイソノニルフタレートを用いる場合、アクリル系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチルが好ましい。
 さらに本発明では、重合体(A)の溶解パラメーターの値(SA)と、アクリル系単量体混合物(b)を重合して得られる重合体(B)の溶解パラメーターの値(SB)が異なることが必要である。溶解パラメーター(SA)と溶解パラメーター(SB)が異なることで、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性と加熱後の塗膜物性の両立が可能となる。貯蔵安定性の点から、溶解パラメーターの値(SB)は溶解パラメーターの値(SA)よりも大きいことが好ましい。さらに、溶解パラメーターの値(SB)と溶解パラメーターの値(SA)の差が大きいと、種々の可塑剤に対してプラスチゾル組成物の貯蔵安定性と得られる塗膜物性が向上するため好ましい。
 重合体の溶解パラメーターの値(重合体のSP値)は、下記数式1より求められる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
(式(1)中、Miは単量体単位i成分のモル分率を示し、ΣMi=1である。Sp(ui)は単量体単位i成分のSp値を示す。)
 Sp(ui)は、polymer Engineering and Science,Vol.14,147(1974)に記載されているFedorsの方法にて求めることができる。なお、後に記載する表1に、実施例で使用した単量体単位のSp値(Sp(Ui))を示す。
 アクリル系単量体混合物(a)とアクリル系単量体混合物(b)との質量比(a)/(b)は、70/30~95/5が好ましい。アクリル系単量体混合物(b)の割合が5質量%以上であれば、重合体(A)を重合体(B)で充分に被覆できる。これにより、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性がより良好となる。またアクリル系単量体混合物(b)の割合が、30質量%以下であれば、プラスチゾル組成物から得られる塗膜の柔軟性がより向上する。さらに、塗膜等の成形体の引張強度の点から、アクリル系単量体混合物(b)の割合は15質量%以下がより好ましい。
 工程(2)におけるアクリル系単量体混合物(b)の重合は、工程(1)と同様に、公知の重合法により行えばよい。特に重合安定性の点から、乳化重合が好ましい。
 アクリル系単量体混合物(b)は、重合体(A)を含む分散液へ一度に添加しても良いし、数回に分割して添加しても良い。その際は、分散液を攪拌しながら滴下し混合することが好ましい。
 重合体(A)を含む分散液へのアクリル系単量体混合物(b)の添加および混合は、アクリル系単量体混合物(b)の重合反応を一時的に阻害する為の重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、工程(1)のアクリル系単量体混合物(a)の重合反応終了後、工程(2)のアクリル系単量体混合物(b)の添加に先立って、重合体(A)を含む分散液に重合禁止剤を添加する方法や、アクリル系単量体混合物(b)に予め重合禁止剤を配合し、これを重合体(A)を含む分散液に添加および混合する方法がある。この重合禁止剤によって、重合開始剤によるラジカルの生成とラジカルによるアクリル系単量体混合物(b)の重合反応の進行が抑制され、その間に分散液中の重合体(A)とアクリル系単量体混合物(b)が均一に混合される。そして、均一混合後にアクリル系単量体混合物(b)の重合反応が開始され、重合体(A)の表面がアクリル系単量体混合物(b)の重合体で均一に被覆される。
 重合禁止剤の具体例としては、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、p-t-ブチルカテコール等のフェノール化合物、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(クペロン)等のヒドロキシルアミン化合物、ジチオベンゾイルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等の有機イオウ化合物が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。特に、25℃での水への溶解度が5g/100ml以下の重合禁止剤が好ましい。そのような重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-t-ブチルカテコール、ジフェニルアミンが挙げられる。
 重合禁止剤の量は、例えば、重合禁止剤の投入前に分散液中に存在する重合開始剤の量に応じて決めれば良い。重合禁止剤のモル量(Q)と重合開始剤のモル量(I)の比率(Q/I)は、0.1~30が好ましく、0.1~27.5がより好ましく、0.5~25が特に好ましい。各範囲の下限値は、重合開始剤によるラジカルの生成を一定時間抑制し、重合体(A)の表面をアクリル系単量体混合物(b)の重合体で均一に被覆し、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性を向上する点で好ましい。また上限値は、アクリル系単量体混合物(b)の重合を停止することなく、被覆を形成する点で好ましい。
 重合体(A)を含む分散液中に存在する重合開始剤のモル量(I)は、工程(1)のアクリル系単量体混合物(a)の重合に用いた重合開始剤の残存量であり、下記式(i)および式(ii)により求めることができる。
 kd(1/s)=Aexp(-△E/RT)  (i)
      kd:重合開始剤の熱分解速度定数
      A:重合開始剤の頻度因子(1/s)
      △E:重合開始剤の活性化エネルギー(J/mol)
      R:気体定数(8.314J/mol・K)
      T:重合反応の絶対温度(K)
 重合開始剤の残存率(%)=exp(-kdt)×100   (ii)
      t:重合反応時間(s)
 すなわち式(1)により、まずアクリル系単量体混合物(a)の重合温度Tにおける重合開始剤の熱分解速度定数Kdを求める。次に式(2)より、重合温度Tの条件下でt(s)時間反応後の重合開始剤の残存率を求める。そして、重合体開始剤の使用量から分散液中に存在する重合開始剤のモル量(I)を求める。
 頻度因子Aと活性化エネルギー△Eは重合開始剤の特有の定数であり、高分子論文集VOL.32,No.4,p229-234(1975)に記載のデータより計算できる。具体的には、過硫酸カリウムの場合、A=2.87×1016(1/s)、△E=137937(J/mol)である。
 工程(2)の重合後の分散液中でのアクリル系重合体の体積平均粒子径は、0.05~2μmが好ましく、0.2~2μmがより好ましい。体積平均粒子径が大きい程、すなわち表面積が小さい程、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性が優れる。
 [アクリル系重合体]
 工程(2)で重合を行った後の分散液中のアクリル系重合体は、例えば、噴霧乾燥法(スプレードライ法)や酸凝固や塩凝固させた後に乾燥させることにより、粉体として分別できる。特に一次粒子同士が強固に結合せず、弱いせん断力で容易に一次粒子の状態にできる点から、噴霧乾燥法が好ましい。
 以上のようにして得たアクリル系重合体の体積平均粒子径は、5~200μmが好ましい。この体積平均粒子径が5μm以上であれば、プラスチゾル組成物製造時の重合体の取り扱いが容易となる。また200μm以下であれば、プラスチゾル組成物中の重合体を均一に分散でき、その塗膜は重合体の分散不良によって生じるブツ等が少なく、塗膜外観が良好となる。
 アクリル系重合体のGPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ)法により求められる重量平均分子量は、1万~400万が好ましく、5万~300万がより好ましく、30万~200万が特に好ましい。各範囲の上限値は、可塑剤により容易に可塑化し、優れた加工性を有するプラスチゾル組成物が得られる点で好ましい。また下限値は、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性の低下を抑制できる点で好ましい。
 [プラスチゾル組成物]
 プラスチゾル組成物は、以上説明したアクリル系重合体と可塑剤を含む。また必要に応じて、塩化ビニル樹脂、充填剤、接着剤等を含んでいても良い。
 プラスチゾル組成物100質量%中のアクリル系重合体の含有量は、5~70質量%が好ましい。
 可塑剤の具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジヘキシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤、ポリ-1,3-ブタンジオールアジペート等の脂肪族系ポリエステル可塑剤、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジブチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸系可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル系可塑剤、アルキルスルホン酸フェニルエステル等のアルキルスルホン酸フェニルエステル系可塑剤、脂環式二塩基酸エステル系可塑剤、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル系可塑剤、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸系可塑剤が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。中でも、価格や入手のし易さの点から、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、アルキル硫酸フェニル、クエン酸アセチルトリブチルの1種または2種以上を主成分として用いることが好ましい。
 充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、タルク、ガラス粉末、酸化アルミニウム等を挙げることができ、その含有量は目的によって適宜選択することができる。
 接着剤は、基材の種類に応じて適宜選択すれば良い。例えば、基材が電着板や鋼板の場合は、エポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂、ポリアミン等の接着剤を使用できる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用できる。更に、接着剤の硬化剤も使用できる。例えば、エポキシ樹脂の接着剤に対しては、酸無水物、イミダゾール化合物等の硬化剤を使用でき、ブロックウレタン樹脂の接着剤に対しては、ジヒドラジド化合物等の硬化剤を使用できる。
 プラスチゾル組成物には、その他、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、更に消泡剤、防黴剤、レベリング剤等を上記成分を阻害しない範囲で含有させることができる。
 プラスチゾル組成物は、例えば、アクリル系重合体を可塑剤に分散することにより製造できる。その分散には、公知の混合機を使用できる。具体例としては、ポニーミキサー(Pony mixer)、チェンジキャンミキサー(Change-can mixer)、ホバートミキサー(Hobert mixer)、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー、らいかい機、ニーダー等が挙げられる。
 プラスチゾル組成物を用いた被膜を形成する方法としては、例えば、ディップコーティング法、スプレーコーティング法等の塗工法により塗膜を形成し、これを焼き付ける方法が挙げられる。
 以下、本発明を実施例により詳述する。実施例中の評価方法と評価基準は以下の通りである。以下の記載において「部」は「質量部」を示す。
 [接着強度]
 70×25×0.8mmのカチオン電着版(パルテック(株)製)2枚を重ねて、この間の中央部にプラスチゾル組成物を25×25×3mmで塗布し、140℃で20分加熱した試験片と120℃で20分加熱した試験片を得た。この試験片の2枚のカチオン電着板を23℃環境下で長軸反対方向に引張り、剪断接着強度を測定した。測定には引張測定装置(商品名AG-IS 5KN、(株)島津製作所製)を用い、試験速度を50mm/分とした。さらに接着試験後の破断面を目視により観察し、以下の基準で評価した。
「○」:破断面が材料から破壊している凝集破壊(CF)
「△」:破断面の一部が界面から破壊している、もしくは破断状態に偏りがある凝集破壊(SCF)
「×」:破断面がゾルと電着版の界面から破壊している界面破壊(AF)
 [貯蔵安定性]
 アクリル系重合体100部と、可塑剤としてジイソノニルフタレート((株)ジェイプラス製)100部を、真空ミキサーにて5秒間大気圧下(0.1MPa)で混合した。さらに、この混合物を2.7kPaに減圧して115秒間混合し、貯蔵安定性評価用プラスチゾル組成物を得た。このプラスチゾル組成物を25℃の恒温槽で2時間保温し、BH型粘度計((株)東京計器製)NO.7ローターを用いて、回転数20rpmで1分後の初期粘度(α)(単位Pa・s)を測定した。測定後のプラスチゾル組成物を40℃雰囲気下で保管し、初期粘度と同様の方法で10日後の粘度(β)を測定した。そして、増粘率(%)=[(β-α)/α]×100の式から増粘率(%)を求め、以下の基準で評価した。
「○」:増粘率が200%以下
「△」:増粘率が200%を超え、600%以下
 <実施例1>
 [工程(1)]
 温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗および冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、イオン交換水544gを入れ、30分間窒素ガスを通気し、イオン交換水中の溶存酸素を置換した。次いで、窒素ガスの通気を停止し、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、メタクリル酸メチル26.1gおよびメタクリル酸n-ブチル19.9gからなる単量体混合物(s)を一括投入した。続いて、過硫酸カリウム0.40gとイオン交換水16gを投入して重合を行い、種粒子となる重合体粒子を形成した。
 45分経過後、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(商品名ペレックスOT-P、花王(株)製)0.32gおよびイオン交換水16.0gを投入した。その15分後に、メタクリル酸メチル294.4g(58.3モル%)、メタクリル酸t-ブチル278.5g(38.3モル%)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル19.1g(2.9モル%)、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(商品名ペレックスOT-P)およびイオン交換水207.2gからなるアクリル系単量体混合物(a)を4時間かけて滴下して重合を完了し、重合体(A)を含む分散液を得た。
 [工程(2)]
 工程(1)で得た重合体(A)を含む分散液を、80℃で60分保持し、重合禁止剤としてp-メトキシフェノール24mgおよびイオン交換水4gを投入した。ここで、分散液中に添加した重合禁止剤(p-メトキシフェノール)のモル量(Q)と、分散液中に残存している重合開始剤(過硫酸カリウム)のモル量(I)の比率(Q/I)は、1.4である。また、重合禁止剤の添加の直前におけるアクリル系単量体混合物(a)の反応率は97%であった。
 ここで添加した重合禁止剤(p-メトキシフェノール)の添加量は、前記式(i)および式(ii)によって算出した。この計算手順を説明する。まず工程(1)で重合開始剤(過硫酸カリウム)を投入した後、重合温度は80℃で一定であり、重合禁止剤(p-メトキシフェノール)は重合開始剤(過硫酸カリウム)の投入時から360分後に投入した。そして式(i)から計算すると、過硫酸カリウムの80℃における熱分解速度定数Kdは1.11×10-4である。さらに過硫酸カリウム0.4g(分子量270.3)を用いて80℃条件下で重合を開始した場合、式(ii)から計算すると、360分後の過硫酸カリウムの残存率は9.1%である。よって、重合禁止剤投入時の過硫酸カリウムの残存mol数は1.35×10-4molである。また、重合禁止剤(p-メトキシフェノール)24mg(分子量124.1)は1.93×10-4molであるから、両者のモル量の比率(Q/I)は1.4である。
 そして、重合禁止剤投入から5分後にメタクリル酸メチル140.1g(92.2モル%)、メタクリル酸n-ブチル10.5g(4.9モル%)、メタクリル酸2-アセトアセトキシエチル9.5g(2.9モル%)、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(商品名ペレックスOT-P)1.6gおよびイオン交換水56gからなるアクリル系単量体混合物(b)を60分間かけて滴下した。80℃で2時間30分攪拌を継続して、アクリル系重合体(P-1)の分散液を得た。重合は毎分25mlの窒素ガスを通気した環境下で行った。この重合体(P-1)の分散液を、L-8型スプレードライヤー(大河原化工機(株)製)を用いて入口温度/出口温度=150/65℃およびディスク回転数20,000rpmの条件で噴霧乾燥した。
 [プラスチゾル組成物の調製]
 炭酸カルシウム(商品名NS#200、日東粉化工業(株)製)100部、表面処理炭酸カルシウム(商品名白艶華CCR、白石工業(株)製)150部、可塑剤としてジイソノニルフタレート((株)ジェイプラス製)200部、ブロックウレタン樹脂(商品名アデカレジンQR-9428、(株)ADEKA製)40部、硬化剤(商品名アデカハードナーEH-4358S、(株)ADEKA製)4.45部、酸化カルシウム3部を、真空ミキサー(商品名ARV-200、(株)シンキー製)にて5秒間大気圧(0.1MPa)で混合した。その後、2.7kPaに減圧して、175秒間混合して混練物を得た。続いて、アクリル系重合体(P-1)100部を添加し、真空ミキサーにて5秒間大気圧下(0.1MPa)で混合し、その後2.7kPaに減圧して115秒間混合し、プラスチゾル組成物を得た。このプラスチゾル組成物の物性を評価した。結果を表2に示す。
 <実施例2~14、比較例1、2>
 アクリル系単量体混合物(a)およびアクリル系単量体混合物(b)を表2および3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合体(P-2)~(P-16)を製造し、プラスチゾル組成物を調製して評価した。結果を表2および3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表中の略称は以下の化合物を示す。
・「MMA」:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン(株)製)
・「t-BMA」:メタクリル酸t-ブチル(三菱レイヨン(株)製)
・「2-HEMA」:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(三菱レイヨン(株)製)
・「n-BMA」:メタクリル酸n-ブチル(三菱レイヨン(株)製)
・「AAEM」:メタクリル酸2-アセトアセトキシエチル(日本合成化学(株)製)
・「カレンズMOI-BP」:2-[(3,5―ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(昭和電工(株)製)
・「カレンズMOI-BM」:2-[0-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(昭和電工(株)製)
 表2および3に示すように、実施例1~14のプラスチゾル組成物は、加熱温度が低い場合(120℃で20分加熱)であっても、塗板への密着性と貯蔵安定性に優れていた。一方、比較例1のプラスチゾル組成物は、アセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体を使用していないので、120℃で20分加熱した場合には、接着破断面が界面剥離となり接着性が劣っていた。また、比較例2では、水酸基を有する単量体を使用していないため、120℃で20分加熱した場合には、接着破断面が界面剥離となり接着性が劣っていた。

Claims (5)

  1.  アクリル系単量体混合物(a)を重合して重合体(A)を得る工程(1)と、
     前記重合体(A)を含む分散液中でアクリル系単量体混合物(b)を重合する工程(2)を含むアクリル系重合体の製造方法であって、
     前記アクリル系単量体混合物(a)中に、水酸基を有する単量体が含まれ、
     前記アクリル系単量体混合物(b)中に、アセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体が含まれ、
     前記重合体(A)の溶解パラメーター(SA)と前記アクリル系単量体混合物(b)を重合して得られる重合体(B)の溶解パラメーター(SB)が異なる、アクリル系重合体の製造方法。
  2.  アクリル系単量体混合物(b)100mol%中に、アセトアセチル基またはブロックイソシアネート基を有する単量体が0.7~15mol%含まれる請求項1に記載のアクリル系重合体の製造方法。
  3.  アクリル系単量体混合物(a)100mol%中に、水酸基を有する単量体が0.1~15mol%含まれる請求項1に記載のアクリル系重合体の製造方法。
  4.  請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法から得られるアクリル系重合体。
  5.  請求項4に記載のアクリル系重合体と可塑剤を含むプラスチゾル組成物。
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