WO2013051459A1 - RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途 - Google Patents

RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
WO2013051459A1
WO2013051459A1 PCT/JP2012/074921 JP2012074921W WO2013051459A1 WO 2013051459 A1 WO2013051459 A1 WO 2013051459A1 JP 2012074921 W JP2012074921 W JP 2012074921W WO 2013051459 A1 WO2013051459 A1 WO 2013051459A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
group
expression
resveratrol
rna interference
nucleic acid
Prior art date
Application number
PCT/JP2012/074921
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
孝広 落谷
Original Assignee
キユーピー 株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by キユーピー 株式会社 filed Critical キユーピー 株式会社
Priority to JP2013537478A priority Critical patent/JP6155191B2/ja
Publication of WO2013051459A1 publication Critical patent/WO2013051459A1/ja

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/045Hydroxy compounds, e.g. alcohols; Salts thereof, e.g. alcoholates
    • A61K31/05Phenols
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/105Plant extracts, their artificial duplicates or their derivatives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/111General methods applicable to biologically active non-coding nucleic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2310/00Structure or type of the nucleic acid
    • C12N2310/10Type of nucleic acid
    • C12N2310/14Type of nucleic acid interfering N.A.

Abstract

 RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤を提供する。 本発明の促進剤は、レスベラトロール(resveratrol)、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの有効成分を含み、前記有効成分が、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進することを特徴とする。前記核酸は、miRNAが好ましい。本発明の促進剤は、例えば、RNA干渉を利用した疾患の治療方法、医薬品、食品添加物、ノックダウンによる遺伝子解析等に適用できる。

Description

RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途
 本発明は、RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途に関する。
 RNA干渉(RNAi)は、miRNA(micro RNA)、またはsiRNA(small interfering RNA)等の核酸が、前記核酸に相補的な標的mRNAを特異的に分解することにより、標的タンパク質の発現を特異的に抑制する現象である。このような現象は、細胞の分化、増殖、アポトーシス等の生命現象に関わっていると考えられている。このため、前記核酸は、種々の疾患の診断法または治療薬としての応用が期待され、その実用化に向けて、様々な研究が進められている。
 miRNAの医薬品への応用としては、例えば、線維症関連疾患の治療に、特定のmiRNAを投与することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011-516410号公報
 前記特許文献1のように、miRNAを医薬品として応用する研究は盛んに行われている。しかしながら、例えば、内在性のmiRNAおよび投与された外因性のmiRNAによるmRNA発現の抑制を促進する促進剤の開発は行われておらず、このような促進剤はこれまで存在しなかった。また、miRNAに限らず、他の核酸によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤は存在しなかった。
 そこで、本発明は、RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤を提供することを目的とする。
 本発明の促進剤は、レスベラトロール(resveratrol)、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの有効成分を含み、前記有効成分が、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進することを特徴とする。
 本発明者は、レスベラトロール(resveratrol)、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの有効成分が、miRNA等の核酸の転写を活性化すること、およびRNAi経路において、前記核酸に結合し、標的mRNAの認識・切断を行うRISC(RNA-induced silencing complex)の主要なコンポーネントの一つであるArgonaute2(Ago2)の発現を誘導することにより、RNA干渉によるmRNA発現の抑制が促進されることを突き止め、本発明に到達した。本発明の促進剤によれば、RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進できる。
図1(A)は、レスベラトロールが濃度依存的に、悪性度の高いMDA-MB231D3H2LN細胞の浸潤を抑制したことを示す写真およびグラフである。図1(B)は、レスベラトロールがMDA-MB231D3H2LN細胞の抗がん剤であるドセタキセルに対する薬剤感受性を向上させたことを示すグラフである。図1(C)は、レスベラトロールがin vivoで、MDA-MB231D3H2LN細胞の腫瘍形成を阻害したことを示す写真およびグラフである。図1(D)は、レスベラトロールがin vivoで、MDA-MB231D3H2LN細胞の抗がん剤であるドセタキセルに対する薬剤感受性を向上させたことを示すグラフである。 図2(A)は、レスベラトロールが濃度依存的に、MDA-MB231D3H2LN細胞のがん幹細胞(CD24-/CD44+)の割合を減少させたことを示すフローサイトメトリーおよびグラフである。図2(B)は、レスベラトロールが、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるがん幹細胞を抑制するmiRNAの一種であるmiR-200cの発現を上昇させたことを示すグラフである。 図3(A)は、レスベラトロールが、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるがん抑制的なmiRNAであるmiR-16、miR-141、miR-143の発現を上昇させたことを示すグラフである。図3(B)は、浸潤を抑制するmiR-141の発現を減少させると、MDA-MB231D3H2LN細胞に対するレスベラトロールの浸潤抑制効果が低下したことを示す写真およびグラフである。図3(C)は、細胞増殖を抑制するmiR-143の発現を減少させると、MDA-MB231D3H2LN細胞に対するレスベラトロールの細胞増殖抑制効果が低下したことを示すグラフである。 図4(A)は、レスベラトロールが、多数のがん抑制的なmiRNAの発現を上昇させることを、マイクロアレイを使用して確認した結果を示すグラフである。図4(B)は、レスベラトロールが、MCF7-ADR細胞におけるmiRNAマシナリーの一種であるAgo2の発現を上昇させたことを示すグラフである。図4(C)は、Ago2を強制発現させたMDA-MB231D3H2LN細胞において、miR-16、miR-143の発現が上昇したことを示すグラフである。図4(D)は、Ago2を強制発現させたHEK293細胞において、RNA干渉の効果がより持続されたことを示すグラフである。 図5(A)は、レスベラトロールおよびプテロスチルベンが、MCF7細胞の細胞増殖抑制効果を有することを示すグラフである。図5(B)は、レスベラトロールおよびプテロスチルベンが、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるAgo2の発現を上昇させることを示すグラフである。 図6は、レスベラトロールおよびプテロスチルベンが、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるがん抑制的なmiRNAであるmiR-141、miR-143、miR-200cの発現を上昇させたことを示すグラフである。
(促進剤)
 本発明の促進剤は、前述のように、レスベラトロール(resveratrol)、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの有効成分を含み、前記有効成分が、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進することを特徴とする。本発明の促進剤は、例えば、in vitroで細胞に添加してもよいし、in vivoで個体動物に投与してもよい。また、本発明の促進剤により転写が促進される核酸は、例えば、細胞における内因性の核酸でもよいし、細胞外から投与された外因性の核酸でもよい。例えば、本発明の促進剤により前記内因性の核酸の転写が促進されることで、前記内因性の核酸によるRNA干渉作用が促進され、例えば、疾患に関与する特定の遺伝子のmRNAの発現を抑制でき、その結果、前記疾患を治療できる。さらに、本発明の促進剤により前記外因性の核酸の転写が促進されることで、前記外因性の核酸によるRNA干渉作用が促進され、例えば、さらに、疾患に関与する特定の遺伝子のmRNAの発現を抑制でき、その結果、より効果的に前記疾患を治療することもできる。
 本発明の促進剤において、前記レスベラトロールおよびレスベラトロール誘導体が、下記化学式(1)で表される化合物であることが好ましい。

Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 前記化学式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子または疎水基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、R、RおよびRの2つまたは3つが疎水基である場合、それらは、互いに同一の疎水基でもよいし、異なる疎水基でもよい。R、RおよびRの少なくとも一つが疎水基であると、例えば、前記化学式(1)で表される化合物の親水性が抑制されることにより、前記有効成分が生体組織内に留まりやすい。前記有効成分が生体組織内に留まりやすければ、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進するという効果を、さらに発揮しやすい。
 前記化学式(1)中、R、RおよびRにおける前記疎水基が、それぞれ、飽和または不飽和炭化水素基であることがより好ましい。前記飽和または不飽和炭化水素基は、分枝構造を含んでいても含んでいなくてもよく、環状構造を含んでいても含んでいなくてもよい。前記飽和炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、例えば1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。前記不飽和炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、例えば2~30、好ましくは2~20、より好ましくは2~10である。また、前記飽和または不飽和炭化水素基は、さらに、1または複数のアルコキシ基またはアリールオキシ基で置換されていても置換されていなくてもよい。前記アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、例えば1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。前記アリールオキシ基の炭素数は、特に限定されないが、例えば5~30、好ましくは5~20、より好ましくは6~10である。なお、本発明において、前記「アルコキシ基」は、オキシ基(酸素原子、-O-)に、アリール基(芳香族炭化水素基)以外の任意の炭化水素基が結合した基をいう。前記「アリール基(芳香族炭化水素基)以外の任意の炭化水素基」は、前記オキシ基にアリール基(芳香族炭化水素基)が直接結合していなければ、その構造中にアリール基を含む基(例えば、ベンジル基等)であってもよい。また、本発明において、前記「アリールオキシ基」は、オキシ基(酸素原子、-O-)に、アリール基(芳香族炭化水素基)が直接結合した基をいう。前記「アリール基(芳香族炭化水素基)」は、前記オキシ基に芳香環が直接結合していれば、その構造中に、脂肪族炭化水素により形成された置換基、連結基等を含んでいてもよい。前記脂肪族炭化水素により形成された置換基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等があげられる。前記脂肪族炭化水素により形成された連結基は、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等があげられる。
 なお、本発明において「アリール基」は、芳香族炭化水素基をいい、例えば、単環でも縮合環でもよく、ビフェニリル基(C-C-)等でもよい。本発明において、アリール基(芳香族炭化水素基)の炭素数は、特に限定されないが、例えば5~30、好ましくは5~20、より好ましくは6~10である。アリール基をその構造中に含む置換基、またはアリール基から誘導される基(例えば、アリールオキシ基、アラルキル基等)においても同様である。また、本発明において「アルキル基」は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。アルキル基をその構造中に含む基またはアルキル基から誘導される基(例えば、アルキルオキシ基、アルキレン基、アラルキル基等)においても同様である。本発明において、「アルケニル基」は、例えば、前記アルキル基の炭素-炭素単結合の1または複数が二重結合に置き換わった基でもよい。「アルキニル基」は、例えば、前記アルキル基の炭素-炭素単結合の1または複数が三重結合に置き換わった基でもよい。アルケニル基もしくはアルキニル基をその構造中に含む基、または、アルケニル基もしくはアルキニル基から誘導される基においても同様である。また、本発明において、置換基等に異性体が存在する場合は、特に限定しない限り、どの異性体でもよい。例えば、単に「プロピル基」という場合は、n-プロピル基でもイソプロピル基でもよい。また、例えば、単に「ビフェニリル基」という場合は、2-ビフェニリル基でも、3-ビフェニリル基でも、4-ビフェニリル基でもよい。
 前記化学式(1)中のR、RおよびRにおける前記疎水基の、前記飽和炭化水素基は、直鎖もしくは分枝アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、またはアルキルシクロアルキルアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数1~6の直鎖または分枝アルキル基であることがさらに好ましい。また、前記化学式(1)中のR、RおよびRにおける前記疎水基の、前記不飽和炭化水素基は、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはアラルキル基であることがさらに好ましい。前記アリール基およびアラルキル基の芳香環の各水素原子は、それぞれ、飽和もしくは不飽和炭化水素基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基で置換されていてもよい。前記アリール基は、シクロペンタジエニル基、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、フェナントリル基、またはピレニル基であることがさらに好ましい。なお、シクロペンタジエニル基は、アニオン状態では、π電子数が6となり、芳香族性を示す。
 前記化学式(1)で表される化合物は、下記化学式(2)で表されるレスベラトロール(resveratrol)および下記化学式(3)で表されるプテロスチルベン(pterostilbene)の少なくとも一つであることが特に好ましい。なお、下記化学式(2)で表されるレスベラトロールは、前記化学式(1)において、R、RおよびRが全て水素原子である化合物である。また、下記化学式(3)で表されるプテロスチルベンは、前記化学式(1)において、Rが水素原子であり、RおよびRがメチル基である化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 
 前記レスベラトロールは、ブドウ(ブドウ科ブドウ、Vitis vinifera)の果実のファイトアレキシンとして見出された物質である。前記レスベラトロールは、例えば、天然物由来のものでもよいし、人工合成されたものでもよい。前記レスベラトロールが天然由来の場合、その由来は、特に限定されない。例えば、レスベラトロールは、ブドウの果実に加え、木の実(例えば、ラズベリー、ブルーベリー、メリンジョ等)、草の実(例えば、ピーナッツ等)、およびその他の植物(例えば、イタドリ等)等、多くの種類の植物に含まれている。前記レスベラトロールは、例えば、これらの植物の一種または二種以上から抽出したものでもよい。また、前記レスベラトロールが天然物由来のものである場合、前記レスベラトロールは、例えば、精製されていないクルードな状態のものでもよいし、精製された状態のもの(精製品)でもよい。また、前記レスベラトロールは、例えば、前述のように、その誘導体でもよい。前記レスベラトロールの誘導体としては、例えば、前記化学式(1)で表される化合物(前記化学式(2)で表されるレスベラトロール自体を除く)でもよい。また、例えば、前記化学式(3)で表されるプテロスチルベンは、前記レスベラトロールの類似体(アナログ)であり、前記レスベラトロールの誘導体に含まれる。前記レスベラトロールは、例えば、市販品を購入してもよいし、前記天然物から従来公知の方法で自家調製してよい。
 前記プテロスチルベンは、前述のように、前記レスベラトロールの類似体(アナログ)である。前記プテロスチルベンは、例えば、天然物由来のものでもよいし、人工合成されたものでもよい。前記プテロスチルベンが天然由来の場合、その由来は、特に限定されない。例えば、プテロスチルベンは、ブルーベリーのうち、特定の品種(例えば、ディアベリー)に多く含まれる。前記プテロスチルベンは、例えば、前記ディアベリー等から抽出したものでもよい。また、前記プテロスチルベンが天然物由来のものである場合、前記プテロスチルベンは、例えば、精製されていないクルードな状態のものでもよいし、精製された状態のもの(精製品)でもよい。また、前記プテロスチルベンは、例えば、その誘導体でもよい。前記プテロスチルベンの誘導体としては、例えば、前記化学式(1)で表される化合物(前記化学式(3)で表されるプテロスチルベン自体を除く)でもよい。前記プテロスチルベンは、例えば、市販品を購入してもよいし、前記天然物から従来公知の方法で自家調製してよい。
 なお、前述のように、前記化学式(1)で表される化合物に互変異性体、幾何異性体または立体異性体(例えば、配座異性体、光学異性体等)等の異性体が存在する場合は、いずれの異性体も、本発明の促進剤における前記有効成分として用いることができる。例えば、前記化学式(1)は、炭素-炭素二重結合に対し、E型の幾何異性体を表しているが、その異性体であるZ型の幾何異性体も、前記有効成分に含まれる。また、前記化学式(1)で表される化合物、その互変異性体、幾何異性体または立体異性体の塩も、同様に本発明に用いることができる。前記塩は、医学的または薬学的に許容可能な塩であることが好ましい。前記塩は、酸付加塩でも塩基付加塩でもよい。さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でもよい。前記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜フッ素酸、亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸、フッ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過フッ素酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸等が挙げられる。前記有機酸も特に限定されないが、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸、プロピオン酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。前記無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩等があげられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。前記有機塩基も特に限定されないが、例えば、アルコールアミン、トリアルキルアミン、テトラアルキルアンモニウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。前記アルコールアミンとしては、例えば、エタノールアミン等が挙げられる。前記トリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。前記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム等が挙げられる。これらの塩の製造方法も特に限定されず、例えば、前記レスベラトロール、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体または立体異性体に、前記のような酸または塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。
 また、本発明の促進剤は、前記レスベラトロール、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの有効成分以外の物質を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
 本発明において、前記核酸は、前述のように、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸であり、例えば、miRNA、siRNA、shRNA等があげられ、これらの中でも、miRNAが特に好ましい。前記核酸は、例えば、疾患に関連する遺伝子のmRNA発現を抑制する核酸であることが好ましい。
 本発明の促進剤は、前述のように、前記核酸の転写促進、およびArgonaute2(Ago2)の発現促進の少なくとも一方により、RNA干渉によるmRNAの発現抑制を促進する。このため、本発明の促進剤は、例えば、RNA干渉を利用した疾患の治療方法、医薬品、食品添加物、ノックダウンによる遺伝子解析等に適用できる。
(治療方法)
 本発明の治療方法は、特定の遺伝子が関与する疾患を治療する方法であって、前記遺伝子は、RNA干渉によりmRNAの発現が抑制される遺伝子であり、前記本発明の促進剤により、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進させることを特徴とする。本発明の治療方法は、前記本発明の促進剤の記載を引用できる。
 本発明の治療方法では、例えば、さらに、前記遺伝子のmRNAの発現をRNA干渉により抑制する外因性の核酸を投与してよい。このように、外因性の核酸を投与することにより、例えば、より効果的に疾患を治療できる。前記外因性の核酸は、例えば、前述の核酸を使用できる。
 前記疾患は、特定の遺伝子が関与する疾患であり、例えば、がん、アルツハイマー、糖尿病等があげられる。前記外因性の核酸は、前記疾患に関与する遺伝子に応じて、適宜設定できる。
(医薬品)
 本発明の医薬品は、特定の遺伝子が関与する疾患を治療する医薬品であって、前記遺伝子は、RNA干渉により発現が抑制される遺伝子であり、前記本発明の促進剤と、前記遺伝子のmRNAの発現をRNA干渉により抑制する外因性の核酸とを含み、前記本発明の促進剤が、前記外因性の核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進することを特徴とする。本発明の医薬品は、前記本発明の促進剤および前記本発明の治療方法の記載を引用できる。
 本発明の医薬品の投与方法は、特に制限されず、例えば、経口投与でもよいし、非経口投与でもよい。経口剤として投与する時の形態は、特に限定されず、通常のおよび腸溶性錠剤、カプセル、ピル、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、溶剤、懸濁剤、シロップ、固体または液体エアロゾル、ならびに乳濁液等、当業者が通常用いる形態を選択することができる。また、前記非経口投与は、例えば、静脈注射、筋肉注射、皮下投与、直腸投与、経皮投与、腹腔内投与、局所投与等があげられる。本発明の医薬品の投与量は、特に制限されず、例えば、患者の体の大きさ、年齢、性別、病状の進行状況等により適宜決定される。
 本発明の医薬品は、例えば、一種類以上の医学的または薬学的に許容可能な添加物をさらに含んでいてもよい。すなわち、例えば、前記本発明の促進剤を、投与に先立ち、一種類以上の薬学的または医学的に許容可能な添加物と共に製剤してもよい。前記添加物は、特に限定されないが、例えば、担体、希釈剤、香料、甘味料、滑沢剤、溶解剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、およびカプセル化材等の不活性物質である。また、これら以外にも、例えば、医薬の分野で一般に使用されている任意の添加物を適宜用いても良い。
(食品添加剤)
 本発明の食品添加物は、特定の遺伝子が関与する疾患を予防または改善する食品添加剤であって、前記遺伝子は、RNA干渉により発現が抑制される遺伝子であり、前記本発明の促進剤を含むことを特徴とする。本発明の食品添加物は、前記本発明の促進剤を含むことが特徴であって、これ以外の構成は特に制限されない。本発明の食品添加物は、前記本発明の促進剤および前記本発明の医薬品の記載を引用できる。
(ノックダウン方法)
 本発明のノックダウン方法は、RNA干渉により標的遺伝子をノックダウンする方法であって、前記標的遺伝子のmRNAの発現を抑制する外因性の核酸を細胞に導入する工程を含み、レスベラトロール(resveratrol)およびプテロスチルベン(pterostilbene)の少なくとも一つにより、前記導入された外因性の核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進させることを特徴とする。本発明のノックダウン方法によれば、前記レスベラトロールおよび前記プテロスチルベンの少なくとも一方により、前記細胞内において、前記外因性の核酸によるRNA干渉作用が促進され、前記標的遺伝子の発現が抑制される。このため、本発明のノックダウン方法により、例えば、遺伝子の解析を良好に行える。本発明のノックダウン方法は、前記本発明の促進剤の記載を引用できる。前記核酸の導入工程は、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により行え、前記外因性の核酸は、前記標的遺伝子の種類に応じて適宜設定できる。また、前記細胞の種類または形態等は、特に制限されない。
 つぎに、本発明の実施例について、説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(レスベラトロール、プテロスチルベン)
(1)レスベラトロール(cayman chemical社製)
(2)プテロスチルベン(東京化成工業社製)
(細胞)
 細胞は、下記(1)~(4)の細胞を使用した。
(1)MDA-MB231D3H2LN細胞(Xenogen社製)
(2)MCF7-ADR細胞(入手元:American Type Culture Collection)
(3)Ago2強制発現MDA-MB231D3H2LN細胞(Xenogen社製)
(4)Ago2強制発現HEK293細胞(Xenogen社製)
(個体動物)
(1)マウス(日本チャールズリバー社製)
(浸潤率(% invasion))
 浸潤率は、下記の試薬器具を使用し、製造元の説明書の記載に従って測定した。
マトリゲル インベージョン チャンバー 24ウェル 8μm(BD社製)
(細胞生存率(%))
 細胞生存率は、下記の試薬を使用し、製造元の説明書の記載に従って測定した。
TetraColor One(生化学バイオビジネス社製)
 図1(C)に示す発光量は、下記のようにして測定、解析した。すなわち、まず、マウスにD-ルシフェリン(150mg/kg, Promega) を腹腔投与し、10分後にIVIS イメージングシステム(Xenogen)を用いて、発光量(Photon/sec)を測定した。前記発光量の測定結果を、LIVINGIMAGE 2.50 software(Xenogen)を用いて解析した。
(腫瘍残存率(% of tumor))
 腫瘍残存率は、下記のようにして測定した。すなわち、まず、前記機器であるIVISイメージングシステム(Xenogen)を用いて、発光量を測定した。前記発光量の測定結果を、LIVINGIMAGE 2.50 software(Xenogen)を用いて解析した。この解析結果から、腫瘍残存率を測定した。
(フローサイトメトリー)
 がん幹細胞の割合を測定するために、下記の試薬および機器を使用した。
・抗ヒトCD44-FIT抗体(Becton Dickinson社製, clone L178)
・抗ヒトCD24-APC抗体(Biolegend社製, clone ML5)
・デスクトップセルソーターJSAN(ノベルサイエンス社製)
(miRNAおよびAgo2のmRNA発現量の測定)
(1)トータルRNAの抽出
 がん細胞(MDA-MB231D3H2LN細胞またはMCF7-ADR細胞)に、レスベラトロールまたはプテロスチルベンを所定濃度で添加した。前記添加から48時間後に、RNA精製前の細胞の溶解液を、Qiazol(キアゲン社製)で処理した。前記処理した溶液から、miRNeasy Mini Kit(50)(キアゲン社製)を用いて、total RNAを抽出した。
(2)リアルタイムPCT
(2-1)miRNAのリアルタイムPCR
 miRNAに関しては、逆転写反応は、Taqmn miRNA assays Kitを用いて行った。すわなち、total RNA 1μgに、100mM dNTPs(with dTTP) 0.05μL、MultiScribe(登録商標)Reverse Transcriptase(50U/μL) 0.33μL、10×Reverse Transcription Buffer 0.50μL、RNase Inhibitor(20U/μL) 0.063μL、Nuclease-free water 1.387μL、そしてそれぞれのmiRNAに対応する5×RT primer(ID number; miR-16:000391、miR-141:000463、miR-143:002249、miR-200c:002300)を添加した。この混合物を、16℃・5分間、42℃・30分間、85℃・30分間反応させた。
 リアルタイムPCRは、TaqMan 2X Universal PCR Master Mix, No AmpErase UNG 5μL、20×TaqMan(登録商標)Small RNA Assay 0.5μL、鋳型として4倍希釈したRT反応物を4.5μL添加した、10μLの反応系で行った。リアルタイムPCRのプログラムは、95℃で10分間反応させたのち、95℃・15秒、60℃・60秒の反応を1サイクルとし、このサイクルを40回繰り返すプログラムとした。蛍光強度を、60℃の反応終了時に測定した。
(2-2)Ago2のリアルタイムPCR
 Ago2に関しては、逆転写反応は、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kitを用いて行った。total RNA 1μgに、100mM dNTPs(with dTTP) 0.8μL、MultiScribe(登録商標)Reverse Transcriptase(50U/μL) 0.8μL、10×Reverse Transcription Buffer 2μL、RNase Inhibitor(20U/μL) 0.5μL、10×RT random Primer 2μLを添加し、そして、Nuclease-free waterを、混合物全体が20μLになるように添加した。この混合物を、25℃・10分間、37℃・120分間、85℃・1分間反応させた。
 リアルタイムPCRは、Platinum qPCR SuperMix-UDG with ROX 5μL、20×TaqMan(登録商標)probe(ID number; Ago2:Hs01085579_m1、TARBP2:Hs00366328_m1、DICER1:Hs00229023_m1、DROSHA6:Hs00203008_m1、DGCR8:Hs00377897_m1) 0.5μL、鋳型として10倍希釈したRT反応物を4.5μL添加した、10μLの反応系で行った。リアルタイムPCRのプログラムは、50℃・2分間および95℃・2分間反応させたのち、95℃・15秒、60℃・30秒の反応を1サイクルとし、このサイクルを45回繰り返すプログラムとした。蛍光強度を、60℃の反応終了時に測定した。
 図1~6におけるグラフについて、「*」は、P<0.05を示し、「**」は、P<0.01を示し、「***」は、P<0.001を示す。
[実施例1-1]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞の浸潤への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを5μM(μmol/L)~50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、顕微鏡観察、浸潤率(% invasion)の測定を行った。コントロール(vehicle)は、レスベラトロールに代えて、DMSOを添加し、同様にして顕微鏡観察、浸潤率の測定を行った。
 図1(A)の写真およびグラフに示すように、レスベラトロールは、濃度依存的に、悪性度の高いMDA-MB231D3H2LN細胞の浸潤を抑制することが確認された。すなわち、図1(A)の顕微鏡写真に示すとおり、がん細胞を示す黒点は、レスベラトロール濃度依存的に減少し、この結果は、同図のグラフにおいて、浸潤率(% invasion)がレスベラトロール濃度依存的に減少したことと一致した。
[実施例1-2]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞のドセタキセルに対する薬剤感受性への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを25μM(μmol/L)およびドセタキセル(Docetaxel)を2.5nM(nmol/L)添加した。前記がん細胞について、細胞生存率(Cell viability(%))の測定を行った。コントロール(vehicle)は、レスベラトロールおよびドセタキセルに代えて、DMSOを添加し、同様にして細胞生存率の測定を行った。
 図1(B)のグラフに示すように、レスベラトロールは、MDA-MB231D3H2LN細胞の抗がん剤であるドセタキセルに対する薬剤感受性を向上させることが確認された。
[実施例1-3]
 本実施例では、レスベラトロールの、in vivoでの腫瘍形成および薬剤感受性への影響を確認した。
 個体動物は、SCID Hairless Outbred(SHO)マウスを使用した。前記動物の腹部に、がん細胞であるMDA-MB231D3H2LN細胞を移植した。この状態で、前記動物に、レスベラトロールを、16.5mg/kg/dayで投与した。また、別個体の前記動物に、レスベラトロールおよびドセタキセルを、16.5mg/kg/dayおよび10mg/kg/weekで投与した。前記投与後の動物における腹部のがん細胞について、発光量(Photon/sec)の測定および解析、ならびに腫瘍残存率(% of tumor)の測定を行った。レスベラトロールを投与した実験のコントロール(vehicle)は、レスベラトロールに代えて、エタノールを投与し、同様にして発光量の測定および解析を行った。レスベラトロールおよびドセタキセルを投与した実験のコントロール(vehicle)は、ドセタキセルを投与し、同様にして腫瘍残存率を測定した。
 図1(C)の写真およびグラフ、ならびに図1(D)のグラフに示すように、レスベラトロールは、in vivoで、MDA-MB231D3H2LN細胞の腫瘍形成を抑制し、抗がん剤であるドセタキセルに対する薬剤感受性を向上させることが確認された。図1(C)左側の写真に示すように、コントロール(vehicle)マウスでは、同図中「a」および「b」で示す円で囲った位置に、腹腔内の腫瘍に由来する発光が確認された。これに対し、図1(C)右側の写真に示すレスベラトロール投与マウスは、発光量が小さいために(図1(C)のグラフ参照)、この写真では発光が確認できなかった。また、図1(D)のグラフに示すように、レスベラトロール投与マウスは、投与後22日(Day 22)および29日(Day 29)のいずれでも、コントロール(vehicle)マウスより腫瘍残存率(% of tumor)が小さく、特に、投与後29日では、腫瘍残存率がきわめて低くなっていた。
[実施例2-1]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞のがん幹細胞の割合(CD24-/CD44+)への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを5μM(μmol/L)~50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、フローサイトメトリー測定を行った。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールに代えて、DMSOを添加し、同様にしてフローサイトメトリー測定を行った。
 図2(A)のフローサイトメトリーおよびグラフに示すように、レスベラトロールは、濃度依存的に、MDA-MB231D3H2LN細胞のがん幹細胞(CD24-/CD44+)の割合(Percentage of CD24-/CD44+)を減少させることが確認された。
[実施例2-2]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞におけるがん幹細胞を抑制するmiRNAであるmiR-200cの発現への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを25μM(μmol/L)または50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、相対的miRNA発現量を測定した。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールに代えて、DMSOを添加し、同様にして相対的miRNA発現量(Comparative expression of miR-200c)を測定した。
 図2(B)のグラフに示すように、レスベラトロールは、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるがん幹細胞を抑制するmiRNAであるmiR-200cの発現を上昇させることが確認された。
 上記実施例2-1および実施例2-2の結果から、レスベラトロールがmiRNAの発現(転写)を促進することが確認され、この結果、がん幹細胞が抑制されることが確認された。
[実施例3-1]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞におけるがん抑制的なmiRNAであるmiR-16、miR-141、miR-143の発現への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを25μM(μmol/L)または50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、相対的miRNA発現量(Comparative expression of miR-16、miR-141、miR-143)を測定した。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールに代えてDMSOを添加し、同様にして相対的miRNA発現量を測定した。
 図3(A)のグラフに示すように、レスベラトロールは、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるがん抑制的なmiRNAであるmiR-16、miR-141、miR-143の発現を上昇させることが確認された。
[実施例3-2]
 本実施例では、がんの浸潤を抑制するmiR-141の発現減少による、レスベラトロールの浸潤抑制効果への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、Anti-miR-141(Ambion社製)を、トランスフェクション試薬であるDharmaFECT 1(0.2μL)を用いて、100nM(nmol/L)で添加した。ついで、Anti-miR-141を添加したがん細胞(Anti-miR-141)および添加していないがん細胞(Anti-miR-NC)に、レスベラトロールを50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、顕微鏡観察および浸潤率(% invasion)の測定を行った。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールに代えて、DMSOを添加し、同様にして浸潤率を測定した。
 図3(B)の写真およびグラフに示すように、浸潤を抑制するmiR-141の発現を減少させると、MDA-MB231D3H2LN細胞に対するレスベラトロールの浸潤抑制効果が低下することが確認された。すなわち、図3(B)の写真に示すように、Anti-miR-141を添加した場合(Anti-miR-141)の方が、添加しなかった場合(Anti-miR-NC)よりも、がん細胞を示す黒点が多く、この結果は、同図のグラフにおいて、Anti-miR-141の方がAnti-miR-NCよりも浸潤率(% invasion)が高かったことと一致した。
[実施例3-3]
 本実施例では、がんの細胞増殖を抑制するmiR-143の発現減少による、レスベラトロールの細胞増殖抑制効果への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、Anti-miR-143(Ambion社製)を、トランスフェクション試薬であるDharmaFECT 1(0.2μL)を用いて、100nM(nmol/L)で添加した。ついで、前記がん細胞に、レスベラトロールを50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、細胞生存率(cell viability (%))測定を行った。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールに代えて、DMSOを添加し、同様にして細胞生存率を測定した。
 図3(C)のグラフに示すように、細胞増殖を抑制するmiR-143の発現を減少させると、MDA-MB231D3H2LN細胞に対するレスベラトロールの細胞増殖抑制効果が低下することが確認された。すなわち、同図に示すように、Anti-miR-141を添加した場合(Anti-miR-141)の方が、添加しなかった場合(Anti-miR-NC)よりも、細胞生存率(cell viability (%))が高かった。
 上記実施例3-1~3-3の結果から、レスベラトロールがmiRNAの発現(転写)を促進することにより、がん細胞の増殖を抑制することが確認された。
[実施例4-1]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞におけるがん抑制的なmiRNAの発現への影響を、マイクロアレイを使用して確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを25μM(μmol/L)で添加した。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールに代えて、DMSOを添加した。前記添加から48時間後に、RNA精製前の細胞の溶解液を、Qiazol(キアゲン社製)で処理した。前記処理した溶液から、miRNeasy Mini Kit(50)(キアゲン社製)を用いて、total RNAを抽出した。前記total RNAを、マイクロアレイ(Agilent社製)に供して、miRNAの発現を測定した。
 図4(A)のグラフに、前記マイクロアレイによるmiRNA発現の測定結果を示す。図4(A)において、縦軸は、レスベラトロールを25μM(μmol/L)で添加した群の個々のmiRNAの発現量を、横軸はレスベラトロール(0μM(μmol/L))を添加しなかった群の個々のmiRNAの発現量を示している。あるmiRNAの発現量がレスベラトロールを25μM(μmol/L)で添加した群とレスベラトロールを添加しなかった群とで等しい場合、直線(y=x)上にプロットが存在する。また、あるmiRNAの発現量がレスベラトロールを25μM(μmol/L)で添加した群がレスベラトロールを添加しなかった群より高い場合、直線(y=x)より上にプロットが存在する。図4(A)に示すように、レスベラトロールは、多数のがん抑制的なmiRNAの発現を上昇させることが確認された。
[実施例4-2]
 本実施例では、レスベラトロールの、がん細胞におけるAgo2の発現への影響を確認した。
 がん細胞は、MCF7-ADR細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、Ago2の相対的mRNA発現量を測定した。
 図4(B)のグラフに、Ago2の相対的mRNA発現量の測定結果を示す。図4(B)において、縦軸は、相対的mRNA発現量(Comparative expression of mRNA(normalized with DMSO))を示し、横軸の1~5は、それぞれ、1:Ago2、2:TARBP2、3:DICER1、4:DROSHA6、5:DGCR8を示す。Ago2、TARBP2、DICER1、DROSHA6、DGCR8は、全てmiRNAの生合成に関与する遺伝子である。図4(B)に示すように、レスベラトロールは、MCF7-ADR細胞において、Ago2の発現を上昇させることが確認された。
 上記実施例4-1および4-2の結果から、レスベラトロールは、miRNAの発現(転写)、およびAgo2の発現の両方を促進することが確認された。
[実施例4-3]
 本実施例では、Ago2を強制発現させたがん細胞における、miR-16およびmiR-143の発現を確認した。
 がん細胞は、Ago2を強制発現させたMDA-MB231D3H2LN細胞(Ago2 O/E)を使用した。前記がん細胞について、相対的miRNA発現量を測定した。コントロール(NC)は、Ago2を強制発現させていないMDA-MB231D3H2LN細胞について、同様にして相対的miRNA発現量(Comparative expression of miR-16、miR-143)を測定した。
 図4(C)のグラフに示すように、MDA-MB231D3H2LN細胞においてAgo2を強制発現させた結果、miR-16、miR-143発現の上昇が確認された。
[実施例4-4]
 本実施例では、Ago2を強制発現させた細胞における、RNA干渉効果の持続性を確認した。
 正常細胞として、Ago2強制発現HEK293細胞(HEK293 Ago2 O/E)を使用した。前記正常細胞について、相対的miRNA発現量を測定した。コントロール(HEK293)は、Ago2を強制発現させていないHEK293細胞について、同様にして相対的miRNA発現量を測定した。前記相対的miRNA発現量の測定は、図4(D)のグラフに示すように、前記各細胞におけるレニラルシファラーゼに対して規格化されたホタルルシファラーゼ活性に基づいて行った。前記各細胞におけるRNA干渉の効果を確認した。
 図4(D)のグラフに示すように、HEK293細胞においてAgo2を強制発現させた結果、RNA干渉の効果がより持続されることが確認された。すなわち、同図に示すように、Ago2強制発現後5日(day 5)において、Ago2強制発現HEK293細胞(HEK293 Ago2 O/E)の方が、Ago2を強制発現させていないHEK293細胞(HEK293)よりも、ルシフェラーゼ活性(luciferase activity)が低かったことから、RNA干渉の効果がより持続されることが確認された。
 上記実施例4-1~4-4の結果から、細胞種に関わりなく、Ago2の発現が促進されることで、miRNAの発現(転写)が促進され、RNA干渉の効果が持続されることが確認された。すなわち、レスベラトロールにより、Ago2の発現およびmiRNAの転写が促進され、miRNAによるRNA干渉の効果が向上することが明らかである。
[実施例5-1]
 本実施例では、レスベラトロールおよびプテロスチルベンの、がん細胞の細胞増殖への影響を確認した。
 がん細胞は、MCF7細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを25μM(μmol/L)~100μM(μmol/L)、または、プテロスチルベンを25μM(μmol/L)~100μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、細胞生存率(cell viability (%))測定を行った。コントロール(0μM(μmol/L))は、レスベラトロールおよびプテロスチルベンに代えて、DMSOを添加し、同様にして細胞生存率測定を行った。
 図5(A)のグラフに示すように、レスベラトロールおよびプテロスチルベンは、MCF7細胞の細胞増殖抑制効果を有することが確認された。プテロスチルベンは、レスベラトロールよりさらに優れた、MCF7細胞の細胞増殖抑制効果を有することが確認された。
[実施例5-2]
 本実施例では、レスベラトロールおよびプテロスチルベンの、がん細胞におけるAgo2の発現への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを50μM(μmol/L)、またはプテロスチルベンを50μM(μmol/L)で添加した。前記がん細胞について、Ago2の相対的mRNA発現量(Relative expression of Ago2)を測定した。コントロール(vehicle)は、レスベラトロールおよびプテロスチルベンに代えて、DMSOを添加し、同様にしてAgo2の相対的mRNA発現量を測定した。
 図5(B)のグラフに示すように、レスベラトロールおよびプテロスチルベンは、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるAgo2の発現を上昇させることが確認され、プテロスチルベンは、レスベラトロールよりさらに優れて、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるAgo2の発現を上昇させることが確認された。
[実施例5-3]
 本実施例では、レスベラトロールおよびプテロスチルベンの、がん細胞におけるmiRNAであるmiR-141、miR-143、miR-200cの発現への影響を確認した。
 がん細胞は、MDA-MB231D3H2LN細胞を使用した。前記がん細胞に、レスベラトロールを25μM(μmol/L)、またはプテロスチルベンを25μM(μmol/L)で添加した。前記添加から48時間後に、RNA生成前の細胞の溶解液を、Qiazol(キアゲン社製)で処理し、total RNAを抽出した。前記total RNA 1μgに、100mM dNTPs(with dTTP) 0.05μL、MultiScribe(登録商標)Reverse Transcriptase(50U/μL) 0.33μL、10×Reverse Transcription Buffer 0.50μL、RNase Inhibitor(20U/μL) 0.063μL、Nuclease-free water 1.387μL、そしてそれぞれのmiRNAに対応する5×RT primer(ID number; miR-16:000391、miR-141:000463、miR-143:002249、miR-200c:002300)を添加することにより、逆転写反応を行った。その後、リアルタイムPCRでmiR-141、miR-143、miR-200cを定量解析することにより、前記がん細胞について、miR-141、miR-143、miR-200cの相対的miRNA発現量(Relative expression of mRNA)を測定した。コントロール(vehicle)は、レスベラトロールおよびプテロスチルベンに代えて、DMSOを添加し、同様にして相対的miRNA発現量を測定した。
 図6のグラフに示すように、レスベラトロールおよびプテロスチルベンは、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるmiR-141、miR-143、miR-200cの発現を上昇させることが確認され、プテロスチルベンは、レスベラトロールよりさらに優れて、MDA-MB231D3H2LN細胞におけるmiR-141、miR-143、miR-200cの発現を上昇させることが確認された。
 上記実施例5-1~5-3の結果から、レスベラトロールに加えて、プテロスチルベンも、Ago2の発現とmiRNAの発現(転写)を促進することが確認され、その結果、がん細胞の増殖を抑制することが確認された。
 以上の実施例の結果から、レスベラトロールおよびプテロスチルベンは、miRNAの発現(転写)およびAgo2の発現を促進することが確認され、前記促進により、miRNAによるRNA干渉効果が促進されることが確認された。このため、本発明の促進剤は、例えば、特定の遺伝子が関連する疾患に対して、前記遺伝子に対するmiRNAのRNA干渉作用を促進することで、前記疾患の治療等に有用といえる。

Claims (15)

  1. レスベラトロール(resveratrol)、レスベラトロール誘導体、それらの互変異性体、幾何異性体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの有効成分を含み、
    前記有効成分が、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進することを特徴とする促進剤。
  2. 前記レスベラトロールおよびレスベラトロール誘導体が、下記化学式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の促進剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    前記化学式(1)中、
    、RおよびRは、それぞれ、水素原子または疎水基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。
  3. 前記化学式(1)中、
    、RおよびRにおける前記疎水基が、それぞれ、飽和または不飽和炭化水素基であり、
    前記飽和または不飽和炭化水素基は、分枝構造を含んでいても含んでいなくてもよく、環状構造を含んでいても含んでいなくてもよく、さらに、1または複数のアルコキシ基またはアリールオキシ基で置換されていても置換されていなくてもよい、
    請求項2記載の促進剤。
  4. 前記飽和炭化水素基が、直鎖もしくは分枝アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、またはアルキルシクロアルキルアルキル基である請求項3記載の促進剤。
  5. 前記飽和炭化水素基が、炭素数1~6の直鎖または分枝アルキル基である請求項4記載の促進剤。
  6. 前記不飽和炭化水素基が、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アリール基およびアラルキル基の芳香環の各水素原子は、それぞれ、飽和もしくは不飽和炭化水素基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基で置換されていてもよい、請求項3から5のいずれか一項に記載の促進剤。
  7. 前記アリール基が、シクロペンタジエニル基、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、フェナントリル基、またはピレニル基である請求項6記載の促進剤。
  8. 前記化学式(1)で表される化合物が、下記化学式(2)で表されるレスベラトロール(resveratrol)および下記化学式(3)で表されるプテロスチルベン(pterostilbene)の少なくとも一つであることを特徴とする請求項2記載の促進剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002

    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
  9. 前記核酸が、miRNAであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の促進剤。
  10. 特定の遺伝子が関与する疾患を治療する方法であって、
    前記遺伝子は、RNA干渉によりmRNAの発現が抑制される遺伝子であり、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の促進剤により、RNA干渉によりmRNAの発現を抑制する核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進させることを特徴とする治療方法。
  11. さらに、前記遺伝子のmRNAの発現をRNA干渉により抑制する外因性の核酸を投与することを特徴とする請求項10記載の治療方法。
  12. 前記疾患が、がん、アルツハイマーおよび糖尿病からなる群から選択される少なくとも一つの疾患であることを特徴とする請求項10または11記載の治療方法。
  13. 特定の遺伝子が関与する疾患を治療する医薬品であって、
    前記遺伝子は、RNA干渉により発現が抑制される遺伝子であり、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の促進剤と、
    前記遺伝子のmRNAの発現をRNA干渉により抑制する外因性の核酸とを含み、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の促進剤が、前記外因性の核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進することを特徴とする医薬品。
  14. 前記疾患が、がん、アルツハイマーおよび糖尿病からなる群から選択される少なくとも一つの疾患であることを特徴とする請求項13記載の医薬品。
  15. RNA干渉により標的遺伝子をノックダウンする方法であって、
    前記標的遺伝子のmRNAの発現を抑制する外因性の核酸を細胞に導入する工程を含み、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の促進剤により、前記導入された外因性の核酸の転写、およびArgonaute2(Ago2)の発現の少なくとも一方を促進させることを特徴とするノックダウン方法。
PCT/JP2012/074921 2011-10-02 2012-09-27 RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途 WO2013051459A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013537478A JP6155191B2 (ja) 2011-10-02 2012-09-27 RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011-218815 2011-10-02
JP2011218815 2011-10-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2013051459A1 true WO2013051459A1 (ja) 2013-04-11

Family

ID=48043620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2012/074921 WO2013051459A1 (ja) 2011-10-02 2012-09-27 RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6155191B2 (ja)
WO (1) WO2013051459A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015523963A (ja) * 2012-05-08 2015-08-20 クロマデックス, インコーポレイテッドChromaDex, Inc. プテロスチルベンを使用してudp−グルクロノシルトランスフェラーゼ活性を誘導する方法
WO2019049612A1 (ja) * 2017-09-08 2019-03-14 キユーピー株式会社 抗腫瘍剤、癌予防用飲食品及び癌抑制的マイクロrnaの発現亢進剤
JP2020143030A (ja) * 2019-03-08 2020-09-10 キユーピー株式会社 マイクロrnaの発現亢進剤及びマイクロrna発現亢進用飲食品

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273834A (ja) * 2004-06-28 2006-10-12 Kao Corp Ampk活性化剤
JP2007126390A (ja) * 2005-11-02 2007-05-24 Mercian Corp 血糖値低下剤
JP2009500357A (ja) * 2005-07-07 2009-01-08 サートリス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 肥満、インスリン抵抗性障害およびミトコンドリア関連障害を処置または予防するための方法および関連する組成物
JP2009531421A (ja) * 2006-03-28 2009-09-03 カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ 置換スチルベン及びその類似体の調製のための単一工程マイクロ波誘導方法
JP2010538077A (ja) * 2007-09-07 2010-12-09 ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、 アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャー プテロスチルベン投与を介して酸化的ストレスを改善し、かつ作業記憶を向上させる方法
JP2011132147A (ja) * 2009-12-22 2011-07-07 Kirin Holdings Co Ltd 濃縮赤ワインエキスを有効成分とする中性脂肪吸収阻害剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273834A (ja) * 2004-06-28 2006-10-12 Kao Corp Ampk活性化剤
JP2009500357A (ja) * 2005-07-07 2009-01-08 サートリス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 肥満、インスリン抵抗性障害およびミトコンドリア関連障害を処置または予防するための方法および関連する組成物
JP2007126390A (ja) * 2005-11-02 2007-05-24 Mercian Corp 血糖値低下剤
JP2009531421A (ja) * 2006-03-28 2009-09-03 カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ 置換スチルベン及びその類似体の調製のための単一工程マイクロ波誘導方法
JP2010538077A (ja) * 2007-09-07 2010-12-09 ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、 アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャー プテロスチルベン投与を介して酸化的ストレスを改善し、かつ作業記憶を向上させる方法
JP2011132147A (ja) * 2009-12-22 2011-07-07 Kirin Holdings Co Ltd 濃縮赤ワインエキスを有効成分とする中性脂肪吸収阻害剤

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ANEKONDA, T.S.: "Resveratrol--a boon for treating Alzheimer's disease?", BRAIN RES REV, vol. 52, no. 2, 2006, pages 316 - 26, XP002615355 *
BAE, S. ET AL ET AL.: "Resveratrol alters microRNA expression profiles in A549 human non-small cell lung cancer cells", MOL CELLS, vol. 32, no. 3, September 2011 (2011-09-01), pages 243 - 9, XP055064683 *
DHAR, S. ET AL.: "Resveratrol and prostate cancer: promising role for microRNAs", MOL NUTR FOOD RES, vol. 55, no. 8, August 2011 (2011-08-01), pages 1219 - 29, XP055064682 *
MARAMBAUD, P. ET AL.: "Resveratrol promotes clearance of Alzheimer's disease amyloid-beta peptides", J BIOL CHEM, vol. 280, no. 45, 2005, pages 37377 - 82, XP008104130 *
RIMANDO, A.M. ET AL.: "Cancer chemopreventive and antioxidant activities of pterostilbene, a naturally occurring analogue of resveratrol", J AGRIC FOOD CHEM, vol. 50, no. 12, 2002, pages 3453 - 7, XP002968963 *
TILI, E. ET AL.: "Resveratrol modulates the levels of microRNAs targeting genes encoding tumor-suppressors and effectors of TGF P signaling pathway in SW480 cells", BIOCHEM PHARMACOL, vol. 80, no. 12, 2010, pages 2057 - 65, XP027456072 *

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10039725B2 (en) 2011-05-11 2018-08-07 ChromaDex Inc. Method for treating non-melanoma skin cancer by inducing UDP-glucuronosyltransferase activity using pterostilbene
JP2015523963A (ja) * 2012-05-08 2015-08-20 クロマデックス, インコーポレイテッドChromaDex, Inc. プテロスチルベンを使用してudp−グルクロノシルトランスフェラーゼ活性を誘導する方法
WO2019049612A1 (ja) * 2017-09-08 2019-03-14 キユーピー株式会社 抗腫瘍剤、癌予防用飲食品及び癌抑制的マイクロrnaの発現亢進剤
JP2019156860A (ja) * 2017-09-08 2019-09-19 キユーピー株式会社 抗腫瘍剤、癌予防用飲食品及び癌抑制的マイクロrnaの発現亢進剤
JPWO2019049612A1 (ja) * 2017-09-08 2019-11-07 キユーピー株式会社 抗腫瘍剤、癌予防用飲食品及び癌抑制的マイクロrnaの発現亢進剤
JP2020143030A (ja) * 2019-03-08 2020-09-10 キユーピー株式会社 マイクロrnaの発現亢進剤及びマイクロrna発現亢進用飲食品
WO2020184390A1 (ja) * 2019-03-08 2020-09-17 キユーピー株式会社 マイクロrnaの発現亢進剤及びマイクロrna発現亢進用飲食品
CN113543847A (zh) * 2019-03-08 2021-10-22 丘比株式会社 微小rna的表达增强剂和微小rna表达增强用饮食品

Also Published As

Publication number Publication date
JP6155191B2 (ja) 2017-06-28
JPWO2013051459A1 (ja) 2015-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10159670B2 (en) Methods of diagnosing and treating motor neuron diseases and other cellular stress-related diseases
CN102892897B (zh) 用于肺癌的微rna表达谱分析的组合物和方法
Bertero et al. Impact of microRNAs in the cellular response to hypoxia
US20110105583A1 (en) Methods of using mir34 as a biomarker for tp53 functional status
JP2018507866A (ja) マイクロrnaを有効成分として含む癌治療用医薬組成物
US9163235B2 (en) Inhibitors of the miR-15 family of micro-RNAs
US11542503B2 (en) Uses for prevention or treatment of brain diseases using microRNA
Li et al. Deep sequencing analysis of small non-coding RNAs reveals the diversity of microRNAs and piRNAs in the human epididymis
WO2008029790A1 (fr) Nouvel acide nucléique
TWI419898B (zh) 具有iNOS表現調控作用之正義寡核苷酸及含有該核苷酸之組成物
WO2008084319A2 (ja) 新規核酸
US11198908B2 (en) Method for diagnosis of Alzheimer's disease using microRNA
US20140356459A1 (en) Micrornas and uses thereof
JP6155191B2 (ja) RNA干渉によるmRNA発現の抑制を促進する促進剤およびその用途
Willecke et al. Cannabinoid receptor 2 signaling does not modulate atherogenesis in mice
Jiang et al. β-Sitosterol regulated microRNAs in endothelial cells against an oxidized low-density lipoprotein
US20160168573A1 (en) LIVER CANCER RELATED GENES-SPECIFIC siRNA, DOUBLE-STRANDED OLIGO RNA MOLECULES COMPRISING THE siRNA, AND COMPOSITION FOR PREVENTING OR TREATING CANCER COMPRISING THE SAME
TW201120218A (en) Composition for treating atherosclerosis, use of microRNA-195, method for determining if a subject has atherosclerosis and method of screening an anti-atherosclerotic drug
KR101667169B1 (ko) 암 치료제
Murakami Non-coding RNAs and hypertension–unveiling unexpected mechanisms of hypertension by the dark matter of the genome
Carvalho‐Kelly et al. Anaerobic ATP synthesis pathways and inorganic phosphate transport and their possible roles in encystment in Acanthamoeba castellanii
CN103221542A (zh) miRNA用于诊断、预防、治疗和追踪涉及巨自噬异常的疾病的用途
A Sanek et al. Investigating the in vivo expression patterns of miR-7 microRNA family members in the adult mouse brain
US8765707B2 (en) MicroRNA-140-5p as a tumor suppressor and sensitizing agent for chemotherapy
CN114574489B (zh) 一种受二十二碳六烯酸调控的microRNA及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 12839064

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2013537478

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 12839064

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1