WO2013039143A1

WO2013039143A1 - 移動車両給電システム

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Publication number: WO2013039143A1
Application number: PCT/JP2012/073455
Authority: WO
Inventors: 素直新妻
Original assignee: 株式会社Ihi
Priority date: 2011-09-16
Filing date: 2012-09-13
Publication date: 2013-03-21
Also published as: CN103782489A; EP2757657A1; EP2757657A4; EP2757657B1; JP2013066291A; US20140174870A1; US20150210178A1; CN103782489B; US9027723B2; JP5803475B2; US9260029B2

Abstract

　本発明は、給電エリア（Ｘ）内に位置する移動車両（Ｍ）に非接触給電を行う移動車両給電システム（Ａ）であって、前記移動車両に設けられた受電手段（ｍ１）と、前記給電エリア内において互いに異なる位置に配設された複数の給電手段（１ａ１、１ａ２，１ａ３，１ｂ１，１ｂ２，１ｂ３，１ｃ１，１ｃ２，１ｃ３）と、前記給電エリア内における前記受電手段の位置を検出する位置検出手段（４）と、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の給電手段から前記受電手段に対応する位置に配設された給電手段を選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる制御手段（４）と、を有する。

Description

移動車両給電システム

　本発明は、移動車両給電システムに関するものである。本願は、２０１１年９月１６日に日本に出願された特願２０１１－２０３３１８号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　ハイブリッド車や電気自動車等の移動車両は、搭載バッテリーの性能等の問題から長距離の走行が困難な場合等がある。そのため、近年、自宅等での給電の他に、移動車両が走行する途中の種々の場所、例えば停留所、ガソリンスタンド、坂道、交差点等に給電エリアを設けることが提案されている。例えば、特許文献１には、交通信号機と連携し、移動車両に対して非接触給電を行う移動車両給電システムが開示されている。

日本国特開第２０１０－１９３６５７号公報

　非接触給電を行う場合、移動車両に設けられた受電手段と給電エリア内に設けられた給電手段との位置関係が、その給電効率に影響する。例えば自宅駐車場等のように移動車両の位置がある程度決まっている場所では、給電効率に問題はない。ただし、上記の従来技術のように、移動車両が走行する途中で非接触給電を行う場合には、給電エリア内における移動車両の位置がドライバーの意思によって任意的に決定され易い。そのため、受電手段と給電手段との位置ズレが大きくなり、給電効率が低下する。また、乗用車やトラック等の車種等に応じて、移動車両における受電手段の設置位置が異なる場合がある。そのため、受電手段と給電手段との位置ズレが大きくなり、このような場合でも給電効率が低下する。

　本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、給電効率の低下を抑制できる移動車両給電システムの提供を目的とする。

　本発明は、上記課題を解決するための手段として以下の構成を採用する。本発明に係る第１の態様は、給電エリア内に位置する移動車両に非接触給電を行う移動車両給電システムである。この移動車両給電システムは、移動車両に設けられた受電手段と、給電エリア内において互いに異なる位置に配設された複数の給電手段と、給電エリア内における受電手段の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段の検出結果に基づいて、複数の給電手段から受電手段に対応する位置に配設された給電手段を選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる制御手段と、を有する。

　本発明に係る第２の態様は、上記第１の態様に係る移動車両給電システムにおいて、制御手段は、位置検出手段の検出結果に基づいて、複数の給電手段から受電手段に最も近い位置に配設された給電手段を選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる。

　本発明に係る第３の態様は、上記第１または２の態様に係る移動車両給電システムにおいて、位置検出手段が、給電エリア内において複数の受電手段の位置を検出した場合、制御手段は、位置検出手段の検出結果に基づいて、複数の給電手段から複数の受電手段のそれぞれに対応する位置に配設された給電手段をそれぞれ選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる。

　本発明に係る第４の態様は、上記第１～３の態様のいずれか１つに係る移動車両給電システムにおいて、給電手段は給電コイルを備えると共に受電手段は受電コイルを備え、給電手段は、給電コイルを受電コイルに電磁気的に結合させることによって非接触給電を行う。

　本発明に係る第５の態様は、上記第４の態様に係る移動車両給電システムにおいて、位置検出手段として、給電コイルと受電コイルとを用いる。

　本発明によれば、給電エリア内に複数の給電手段を用意し、給電エリア内における移動車両に設けられた受電手段の位置を検出する。これにより、複数の給電手段から非接触給電を行うのに最適な位置に配設されている給電手段を選択して、この選択された給電手段を用いて給電を行うことができる。そのため、給電効率の低下を抑制することができる。

本発明の実施形態における移動車両給電システムの機構構成を示すシステム構成図である。本発明の実施形態における移動車両給電システムの設置例を示す模式図である。本発明の別実施形態における移動車両給電システムの機構構成を示すシステム構成図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。

　図１は、本発明の実施形態における移動車両給電システムＡの機構構成を示すシステム構成図である。本移動車両給電システムＡは、図１に示すように、給電エリアＸ内に位置する移動車両Ｍに非接触給電を行うものである。給電エリアＸ内には、複数の給電コイル（給電手段）１ａ１，１ａ２，１ａ３が設けられている。一方、移動車両Ｍには、受電コイル（受電手段）ｍ１が設けられている。

　受電コイルｍ１は、給電コイル１ａ１等と対向可能に移動車両Ｍの底部に設けられている。この受電コイルｍ１は、給電コイル１ａ１等と略同一のコイル径を有し、給電コイル１ａ１等と電磁気的に結合して交流電力を非接触で受電する。換言すると、移動車両給電システムＡは、給電コイル１ａ１等を移動車両Ｍの受電コイルｍ１に電磁気的に結合させて移動車両Ｍに非接触給電を行う電力供給システムである。

　移動車両給電システムＡにおける給電コイル１ａ１等から受電コイルｍ１への非接触給電は、磁界共鳴方式に基づいて行われる。すなわち、共振回路を構成するための共振用コンデンサ（図示略）が、給電コイル１ａ１等と、受電コイルｍ１とにそれぞれ接続されている。例えば共振用コンデンサの静電容量は、給電コイル１ａ１等と共振用コンデンサとを備える給電側の共振回路の共振周波数と、受電コイルｍ１と共振用コンデンサとを備える受電側の共振回路の共振周波数とは、同一周波数となるように設定されている。

　移動車両Ｍには、受電コイルｍ１の他に、充電回路ｍ２と、蓄電池ｍ３と、充電制御部ｍ４とが設けられている。受電コイルｍ１は、給電コイル１ａ１から受電した交流電力（受電電力）を充電回路ｍ２に出力する。充電回路ｍ２は、充電制御部ｍ４から入力される充電制御信号に基づいて、受電電力を直流電力に変換して蓄電池ｍ３に供給する電力変換回路（コンバータ）である。すなわち、この充電回路ｍ２は、充電制御信号に基づいて、蓄電池ｍ３の充電状態に応じた充電電流を蓄電池ｍ３に供給して蓄電池ｍ３を充電する。

　蓄電池ｍ３は、移動車両Ｍの駆動動力源である。この蓄電池３は、十分な電力を蓄えることが可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等である。この蓄電池ｍ３は、充電回路ｍ２から供給される直流電力を充電すると共に、図示しない駆動用電力変換器に走行駆動用電力を供給（放電）する。充電制御部ｍ４は、充電回路ｍ２の電力変換動作を制御して蓄電池ｍ３の充電制御を行う制御装置である。この充電制御部ｍ４は、例えば受電コイルｍ１の端子間電圧の変化に基づいて受電コイルｍ１による給電コイル１ａ１等からの交流電力の受電を検知すると、充電回路ｍ２を作動させて蓄電池ｍ３に直流電力を充電させる。

　給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３は、移動車両Ｍが走行する路面に設定された所定領域である給電エリアＸ内における互いに異なる位置に配設されている。より詳細には、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３は、移動車両Ｍの車幅方向において、間隔をあけて配設されている。給電コイル１ａ１は、路面の中央に配設され、給電コイル１ａ２，１ａ３は、給電コイル１ａ１の両側に間隔をあけて配設されている。これらの給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３は、路面の近傍に埋設されている。なお、これらの給電コイルの設置数及び配置は、一例であり、これに限定されるものではない。

　給電変換器３ａは、給電コイル１ａ１等に、制御装置（位置検出手段、制御手段）４から入力される制御信号に基づいて給電用交流電力を供給する装置である。より詳細には、給電変換器３ａは、選択スイッチ２ａを介して、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３のいずれかひとつに給電用交流電力を供給する。給電変換器３ａは、５０Ｈｚあるいは６０Ｈｚの商用電力を移動車両Ｍへの給電に適した周波数（例えば数百Ｈｚ～数ＭＨｚ）の交流電力に変換して、各給電コイル１ａ１等に出力する。

　選択スイッチ２ａは、制御装置４から入力される制御信号に基づいて給電変換器３ａと電気的に接続される回路を切り替える装置である。選択スイッチ２ａは、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３のいずれかひとつと電気的に接続可能に設計されている。選択スイッチ２ａを設けることにより、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３のそれぞれに専用の給電変換器３ａを設ける必要が無い。そのため、移動車両給電システムＡにおける構成機器及び制御系のスマート化及び効率化が、可能になる。

　制御装置４は、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出すると共に、この検出結果に基づいて、複数の給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３から受電コイルｍ１に対応する位置に配設された給電コイル１ａ１を選択し、この選択した給電コイル１ａ１から非接触給電を行わせる。すなわち、制御装置４は、受電コイルｍ１の位置信号を検出すると、選択スイッチ２ａを切り替えて非接触給電に最適な位置に配設されている給電コイル１ａ１を選択し、給電変換器３ａからの交流電力を選択した給電コイル１ａ１に供給させる。このような制御装置４は、移動車両給電システムＡにおける位置検出手段及び制御手段に相当する。

　制御装置４は、位置検出手段として、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを用いる。より詳細には、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを信号伝送に流用することにより、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを介して、制御装置４と充電制御部ｍ４との無線通信を可能にする。この無線通信により、制御装置４と充電制御部ｍ４との間において、移動車両Ｍに搭載された受電コイルｍ１の位置に関する情報を送受信し、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出する。この場合、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とは、無線通信のためのアンテナとして機能し、制御装置４と充電制御部ｍ４とは、このアンテナを用いた通信手段として機能する。また、この無線通信は、移動車両Ｍの停車エリアにおける停車状態の判定、給電開始前の給電の要非の確認、あるいは給電に関する課金情報の送受信等に利用してもよい。

　制御装置４は、蓄電池ｍ３に蓄電された単位時間当りの充電量に基づいて、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出してもよい。例えば、制御装置４は、受電コイルｍ１の位置を探索するため、所定時間毎に選択スイッチ２ａを切り替えて、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３に順次電力を供給させる。充電制御部ｍ４は、蓄電池ｍ３の充電量をモニタリングして上記所定時間毎に蓄電池ｍ３に蓄電された単位時間当りの充電量を算出し、その中で最も充電効率が高いものの情報を、制御装置４に送信する。非接触給電の場合、受電コイルｍ１との位置ズレが小さいほど給電コイルの給電効率が高くなる。そのため、制御装置４は、上記の情報（換言すると、最も給電効率の高いものの情報）から受電コイルｍ１の位置を検出することができる。

　制御装置４は、受電コイルｍ１の位置検出結果に基づいて、複数の給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３から受電コイルｍ１に対応する位置に配設された給電コイル１ａ１を選択し、この選択した給電コイル１ａ１から非接触給電を行わせる。より詳細には、制御装置４は、充電制御部ｍ４との無線通信を介して移動車両Ｍに搭載された受電コイルｍ１の位置に関する情報を取得した場合、受電コイルｍ１の位置情報と予め記憶している給電コイル１ａ１等の配設情報とを関連付けて、受電コイルｍ１に最も近い位置に配設されている給電コイル（給電コイル１ａ１）を選択する。また、制御装置４は、蓄電池ｍ３に蓄電された単位時間当りの充電量に基づいて受電コイルｍ１の位置に関する情報を取得した場合、単純に給電効率が最も高い給電コイル（給電コイル１ａ１）を選択する。

　図２は、本発明の実施形態における移動車両給電システムＡの設置例を示す模式図である。図２は、本移動車両給電システムＡの給電エリアＸを、例えば道路の停車帯に設定した場合を示している。この給電エリアＸは、複数の移動車両Ｍが停車可能な大きさ（例えば乗用車であれば３台分の大きさ）に設定されており、道路を走行する如何なる車種の移動車両Ｍでも停車可能である。例えば、図２に示すように、先頭の移動車両Ｍの受電コイルｍ１と、後続の移動車両Ｍの受電コイルｍ１の位置とは、異なっている。

　給電エリアＸには、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３の他に、給電コイル１ｂ１，１ｂ２，１ｂ３と、給電コイル１ｃ１，１ｃ２，１ｃ３とが、配設されている。なお、これらの給電コイルの設置数及び配置は、一例であり、これに限定されない。例えば、道路の停車帯のような給電エリアＸの場合、複数の給電コイルを所定間隔でマトリックス状（行列状）に配列してもよい。また、給電エリアＸには、給電コイル１ｂ１，１ｂ２，１ｂ３に対応する選択スイッチ２ｂ及び給電変換器３ｂと、給電コイル１ｃ１，１ｃ２，１ｃ３に対応する選択スイッチ２ｃ及び給電変換器３ｃとがそれぞれ設けられており、それらは制御装置４と電気的に接続されている。

　制御装置４は、上述した位置検出手段によって給電エリアＸ内において複数の受電コイルｍ１の位置を検出した場合に、その位置検出結果に基づいて、複数の給電コイル１ａ１等から複数の受電コイルｍ１のそれぞれに対応する位置に配設された給電コイル（図２においては、給電コイル１ａ１、給電コイル１ｂ３、給電コイル１ｃ２）をそれぞれ選択し、選択した給電コイルから非接触給電を行わせる。これにより、給電エリアＸ内に位置する複数の移動車両Ｍに同時に非接触給電を行う。

　次に、このように構成された移動車両給電システムＡの一連の動作について説明する。移動車両給電システムＡでは、道路の停車帯に給電エリアＸを設定している。したがって、給電エリアＸ内における移動車両Ｍの停車位置は、ドライバーの運転操作に依存するので、ばらつきを持つ。また、この給電エリアＸには、道路を走行する如何なる車種の移動車両Ｍでも停車可能であるため、移動車両Ｍにおける受電コイルｍ１の位置は、移動車両Ｍ毎にそれぞれ異なる。

　給電コイル１ａ１等から受電コイルｍ１に非接触伝送される交流電力は、受電コイルｍ１が給電コイル１ａ１等の直上に真正面に対向した状態、つまり受電コイルｍ１と給電コイル１ａ１等とが最も近接した状態において最大となる。しかしながら、上述した様な事情から、受電コイルｍ１と所定の給電コイル１ａ１等とが、真正面に対向した状態になることは期待できない。換言すると、受電コイルｍ１と所定の給電コイル1ａ１等との相対位置は、移動車両Ｍの停車位置のばらつきに応じて、常に同じとは限らない。そのため、移動車両給電システムＡでは、給電エリアＸ内における互いに異なる位置に複数の給電コイル１ａ１等を配設している。

　制御装置４は、給電コイル１ａ１等をアンテナとして用いて移動車両Ｍの受電コイルｍ１を介して充電制御部ｍ４と無線通信を試みることにより、給電エリアＸ内に移動車両Ｍが停車しているか否かを常時監視する。例えば、充電制御部ｍ４との通信接続がない場合には、制御装置４は、給電エリアＸ内に移動車両Ｍが停車していないと判断する。一方、充電制御部ｍ４との通信接続があった場合には、制御装置４は、給電エリアＸ内に移動車両Ｍが停車していると判断する。

　給電エリアＸ内に移動車両Ｍが停車していると判断した場合、制御装置４は、その移動車両Ｍの受電コイルｍ１の位置を検出する。より詳細には、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを介した制御装置４と充電制御部ｍ４との間の無線通信によって、移動車両Ｍに搭載された受電コイルｍ１の位置に関する情報を送受信し、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出する。または、所定時間毎に選択スイッチ２ａ等を切り替えて、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３等に順次電力を供給させ、実際に蓄電池ｍ３に蓄電された単位時間当りの充電量に基づいて、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出する。

　あるいは、それらの両手段を用いて、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出してもよい。例えば図２に示す２番目の移動車両Ｍの場合には、先ず無線通信によって、移動車両Ｍに搭載された受電コイルｍ１の位置に関する情報を送受信して、受電コイルｍ１の大体の位置情報（車体右側に受電コイルｍ１がある等の情報）を交換する。次に、この受電コイルｍ１の位置に対応する給電コイル１ｂ１，１ｂ２と蓄電池ｍ３に蓄電された単位時間当りの充電量とを比較すれば、正確且つ短時間に受電コイルｍ１の位置を検出することができる。すなわち、始めから給電コイル１ｂ１，１ｂ２，１ｂ３等に順次電力を供給して受電コイルｍ１の位置を正確に検出するまでの探索時間と比較して、予め受電コイルｍ１の大体の位置情報に基づいて想定される探索範囲に絞ることにより、探索時間を短縮することが可能となる。

　給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出後、制御装置４は、この検出結果に基づいて、複数の給電コイル１ａ１等から受電コイルｍ１に対応する位置に配設された給電コイル１ａ１等を選択し、選択した給電コイル１ａ１等から非接触給電を行わせる。制御装置４は、例えば、図２に示す先頭の移動車両Ｍの受電コイルｍ１が給電コイル１ａ１の上方近傍に位置することを検出した場合、この給電コイル１ａ１を選択し、選択スイッチ２ａを切り替えて、給電変換器３ａから給電コイル１ａ１に電力供給させる。

　移動車両Ｍの受電コイルｍ１は、給電コイル１ａ１と電磁気的に結合する。この結果、各給電変換器３ａから給電コイル１ａ１に供給された交流電力が給電コイル１ａ１から移動車両Ｍの受電コイルｍ１に非接触伝送される。移動車両給電システムＡでは、磁界共鳴方式を採用する。そのため、給電コイル１ａ１等から受電コイルｍ１に非接触伝送される交流電力の伝送効率は、高い。

　制御装置４は、充電制御部ｍ４と通信接続されている期間において、給電コイル１ａ１を介した移動車両Ｍへの非接触給電を継続する。そして、制御装置４は、充電制御部ｍ４との通信接続が途切れたときに、移動車両Ｍが給電エリアＸ外に移動したと判断し、給電コイル１ａ１への電力供給を停止させる。その後は、初期の待機状態に戻り、給電エリアＸ内に移動車両Ｍが停車しているか否かを監視する。

　このような本実施形態によれば、給電エリアＸに設定された道路の停車帯に停止する移動車両Ｍに対して、この移動車両Ｍの停車を利用して、所定時間電力を非接触給電することができる。したがって、本実施形態によれば、移動車両Ｍが走行する途中の場所での移動車両Ｍへの給電を実現することが可能である。すなわち、電力を動力源として移動する移動車両Ｍの普及促進や利便性の向上を実現することができる。

　また、このような本実施形態によれば、給電エリアＸ内に位置する移動車両Ｍに非接触給電を行う移動車両給電システムＡが、移動車両Ｍに設けられた受電コイルｍ１と、給電エリアＸ内において互いに異なる位置に配設された複数の給電コイル１ａ１等と、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出する位置検出手段及びこの位置検出手段の検出結果に基づいて、複数の給電コイル１ａ１等から受電コイルｍ１に対応する位置に配設された給電コイル１ａ１等を選択し、選択した給電コイル１ａ１等から非接触給電を行わせる制御手段を具備する制御装置４と、を有する。これにより、複数の給電コイル１ａ１等から非接触給電に関し最適な位置に配設されている給電コイル１ａ１等を選択して、給電を行うことができる。したがって、本実施形態では、移動車両Ｍが走行する途中で非接触給電を行う場合であっても、給電効率の低下を抑制できる移動車両給電システムＡを得ることができる。

　なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。

（１）本実施形態では、図２に示すように、給電エリアＸ内に配置された給電コイル１ａ１等、１ｂ１等、１ｃ１等を所定間隔で埋設しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、先頭の移動車両Ｍや後続の移動車両Ｍの各々の大きさ（車長）に依存して、移動車両Ｍの停車位置は変わる。そのため、後続の移動車両Ｍ用の給電コイル１ａ１等は、例えば車長が最も短い移動車両Ｍの車長間隔で埋設してもよい。さらに、その車長が最も短い移動車両Ｍの車長間隔毎に選択スイッチ２ａ等及び給電変換器３ａ等を設け、その車長間隔毎に非接触給電を可能にしてもよい。このように比較的短い間隔で給電コイル１ａ１等、１ｂ１等、１ｃ１等を埋設すれば、大きさ（車長）が異なる複数の移動車両Ｍが給電エリアＸ内に停車した場合でも、これらの移動車両Ｍの各々に非接触給電を行うことができる。なお、給電エリアＸにおける給電コイル１ａ１等の個数は、給電エリアＸが設定される場所、環境等に応じて適宜設定される。

（２）本実施形態では、給電コイル１ａ１等を道路に埋設すると共に受電コイルｍ１を移動車両Ｍの底部に設けて給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを上下方向に対向させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、受電コイルｍ１を移動車両Ｍの側部（乗降ドア）に設けると共に、給電コイル１ａ１等を移動車両Ｍの側部（乗降ドア）と対峙するように中心軸線が水平かつ車線の軸線に直交する姿勢で道路の路肩に設けてもよい。または、例えば、受電コイルｍ１を移動車両Ｍの天井に設けると共に、この移動車両Ｍの天井と対峙するように給電コイル１ａ１等を道路の上方に設けてもよい。

（３）本実施形態では、図１に示すように、給電変換器３ａは、選択スイッチ２ａを介して、給電コイル１ａ１，１ａ２，１ａ３のいずれかひとつに給電用交流電力を供給しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図３に示すように、それぞれの給電コイル１ａ１、１ａ２、１ａ３に独立した給電変換器３ａ１、３ａ２、３ａ３を直結し、各給電変換器へ供給される５０Ｈｚあるいは６０Ｈｚの商用電力を選択スイッチ２ａで切り替えるようにしても良い。

（４）本実施形態では、位置検出手段として、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、これに代えて、個別の通信機能を移動車両給電システムＡ（地上設備）及び移動車両Ｍに設けてもよい。例えば、周知の光ビーコン、電波を用いた無線通信機等を個別の通信機能として用いることが考えられる。ただし、個別の通信機能としては、移動車両給電システムＡ（地上設備）と移動車両Ｍとの間の通信、つまり比較的近距離な通信が可能であればよいので、専用に設計された通信システムを用いてもよい。また、例えば、ＧＰＳで移動車両Ｍの緯度・経度を測定する、道路に歪ゲージを埋め込み加重を測定する、あるいは３次元レーザーレーダーで距離を測定する等して、移動車両Ｍの停止位置及び停止状態（姿勢）を検出し、この検出結果に基づいて受電コイルｍ１の位置を検出するように設計してもよい。

（５）本実施形態では、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを介した制御装置４と充電制御部ｍ４との無線通信、また、蓄電池ｍ３に蓄電された単位時間当りの充電量に基づいて、給電エリアＸ内における受電コイルｍ１の位置を検出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、受電コイルｍ１を移動車両Ｍにおける決められた位置（例えば、前後方向には運転席の位置、左右方向には車体中央の位置）に取り付けることにして、給電エリアＸ全体を撮影できるような位置（例えば、斜め上方から見下ろすような位置）に３次元レーザーレーダーあるいはステレオカメラを設置してもよい。これにより、撮影した画像から３次元の形状マッチングにより車両の位置を検出し、間接的に受電コイルｍ１の位置を求めることができる。

（６）本実施形態では、給電エリアＸを道路の停止帯に設定したが、本発明はこれに限定されない。給電エリアＸを設定し得る場所は、道路の停止帯の他にも、例えば、道路（公道）上に設けられた交通信号機前のエリア、線路の遮断機前のエリア、ショッピングセンターの駐車場、店舗等におけるドライブスルー用地、ガソリンスタンドの停車用地、等々であってもよい。また、公道や私道等に限定されず、自宅駐車場等の私有地に設定してもよい。

（７）本実施形態では、給電エリアＸ内に位置する移動車両Ｍ（停車車両）に無条件で給電したが、本発明はこれに限定されない。例えば、給電コイル１ａ１等及び受電コイルｍ１を信号伝送に流用して制御装置４と充電制御部ｍ４との無線通信を可能とし、この無線通信を給電開始前における給電の要非の確認、給電に関する課金情報の送受信等々に利用してもよい。この場合、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とは、無線通信のためのアンテナとして機能し、制御装置４と充電制御部ｍ４とは、このアンテナを用いた通信手段として機能する。また、給電コイル１ａ１等と受電コイルｍ１とを信号伝送に流用するのではなく、別途個別に設けた通信手段を用いて無線通信を行ってもよい。

（８）本実施形態では、移動車両Ｍに給電された電力は蓄電池ｍ３の充電に使われると説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動車両Ｍに給電された電力は、移動車両Ｍ内の照明装置や空調装置の駆動に使用してもよい。

　Ａ…移動車両給電システム、Ｍ…移動車両、ｍ１…受電コイル（受電手段）、Ｘ…給電エリア、１ａ１，１ａ２，１ａ３，１ｂ１，１ｂ２，１ｂ３，１ｃ１，１ｃ２，１ｃ３…給電コイル（給電手段）、４…制御装置（位置検出手段，制御手段）

Claims

　給電エリア内に位置する移動車両に非接触給電を行う移動車両給電システムであって、
　前記移動車両に設けられた受電手段と、
　前記給電エリア内において互いに異なる位置に配設された複数の給電手段と、
　前記給電エリア内における前記受電手段の位置を検出する位置検出手段と、
　前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の給電手段から前記受電手段に対応する位置に配設された給電手段を選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる制御手段と、
　を有する移動車両給電システム。
　前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の給電手段から前記受電手段に最も近い位置に配設された給電手段を選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる請求項１に記載の移動車両給電システム。
　前記位置検出手段が、前記給電エリア内において複数の前記受電手段の位置を検出した場合、
　前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の給電手段から複数の前記受電手段のそれぞれに対応する位置に配設された給電手段をそれぞれ選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる請求項１に記載の移動車両給電システム。
　前記位置検出手段が、前記給電エリア内において複数の前記受電手段の位置を検出した場合、
　前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の給電手段から複数の前記受電手段のそれぞれに対応する位置に配設された給電手段をそれぞれ選択し、この選択した給電手段から非接触給電を行わせる請求項２に記載の移動車両給電システム。
　前記給電手段は給電コイルを備えると共に前記受電手段は受電コイルを備え、
　前記給電手段は、前記給電コイルを前記受電コイルに電磁気的に結合させることによって非接触給電を行う請求項１に記載の移動車両給電システム。
　前記給電手段は給電コイルを備えると共に前記受電手段は受電コイルを備え、
　前記給電手段は、前記給電コイルを前記受電コイルに電磁気的に結合させることによって非接触給電を行う請求項２に記載の移動車両給電システム。
　前記給電手段は給電コイルを備えると共に前記受電手段は受電コイルを備え、
　前記給電手段は、前記給電コイルを前記受電コイルに電磁気的に結合させることによって非接触給電を行う請求項３に記載の移動車両給電システム。
　前記給電手段は給電コイルを備えると共に前記受電手段は受電コイルを備え、
　前記給電手段は、前記給電コイルを前記受電コイルに電磁気的に結合させることによって非接触給電を行う請求項４に記載の移動車両給電システム。
　前記位置検出手段として、前記給電コイルと前記受電コイルとを用いる請求項５に記載の移動車両給電システム。
　前記位置検出手段として、前記給電コイルと前記受電コイルとを用いる請求項６に記載の移動車両給電システム。
　前記位置検出手段として、前記給電コイルと前記受電コイルとを用いる請求項７に記載の移動車両給電システム。
　前記位置検出手段として、前記給電コイルと前記受電コイルとを用いる請求項８に記載の移動車両給電システム。