WO2012043153A1

WO2012043153A1 - 使い捨て着用物品

Info

Publication number: WO2012043153A1
Application number: PCT/JP2011/070140
Authority: WO
Inventors: 賢一笹山; 市川　誠; 邦彦桂川
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2010-09-29
Filing date: 2011-09-05
Publication date: 2012-04-05
Also published as: JP5761949B2; CN103140200B; CN103140200A; EP2623074B1; JP2012071060A; EP2623074A4; US20130184666A1; EP2623074A1

Abstract

　前後ウエスト域からクロッチ域に延びる比較的に薄い体液吸収体を備え、かつ、着脱可能な吸収性パッドを配置した場合であっても、着用者にごわごわとした着用感を与えることなく、見た目にも好ましい。　クロッチ本体１２の前後端部１２Ａ，１２Ｂのうちの少なくともいずれか一方が、クロッチ本体１２の横方向Ｘにおける中央部を除く接合域５５，５６を介して弾性ウエストパネル１１の非肌対向面に取り付けられている。また、クロッチ本体１２の中央部に位置する非接合域６３，６４におけるクロッチ本体１２と弾性ウエストパネル１１との間には、中央空間部６７，６８が形成されている。体液吸収体４２は、高吸収性ポリマー粒子を透液性シートで被包してなるシート形状を有するものであって、体液吸収体４２の前後端縁部４２ａ，４２ｂのうちの少なくともいずれか一方が、中央空間部６７，６８に位置している。

Description

使い捨て着用物品

　本発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、着脱可能な吸収性パッドを備える使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品に関する。

　従来、吸収性パッドを備える使い捨ておむつは公知である。例えば、特許文献１には、前ウエスト域において、おむつ本体の肌対向側に固定手段を介し着脱可能に取り付けられた吸収性パッドを備える使い捨て着用物品が開示されている。

特開２００６－１１５９９１号公報

　特許文献１に開示の着用物品によれば、前ウエスト域においておむつの吸収体が位置しており、後ウエスト域には、吸収体が配置されておらず、吸収性パッドのみが配置されていることから、従来のような吸収性パッドがおむつの吸収体の上に重ねられたもののように嵩高くならず、クロッチ域がごわごわして着用者に違和感を与えるおそれはない。

　しかし、おむつの吸収体が存在しない領域に吸収性パッドを配置するので、吸収体が存在しない非存在域の大きさと吸収性パッドの大きさが相違する場合、すなわち、吸収性パッドの大きさが非存在域のそれよりも小さい場合には、非存在域の吸収性パッドが位置していない部位において排泄物が吸収されず、着用者の身体に付着するおそれがあり、一方、吸収性パッドの大きさが非存在域のそれよりも大きい場合には、吸収性パッドの一部がおむつ本体のレッグギャザーを覆っておむつ本体からの排泄物の横漏れを誘発するおそれがある。

　そこで、本発明は、前後ウエスト域からクロッチ域に延びる比較的に薄い体液吸収体を備え、かつ、着脱可能な吸収性パッドを配置した場合であっても、着用者にごわごわとした着用感を与えることなく、見た目にも好ましい着用物品の提供を課題とする。

　前記課題を解決するための、本発明は、縦方向及びそれに直交する横方向を有し、肌対向面及び非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記前後ウエスト域を画成する弾性ウエストパネルと、前記弾性ウエストパネルに取り付けられた、前記前後ウエスト域の一部及び前記クロッチ域を画成するクロッチ本体とを含む使い捨て着用物品の改良にある。

　本発明の特徴とするところは、前記クロッチ本体が、前記前ウエスト域に位置する前端部と、前記後ウエスト域に位置する後端部と、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延びる体液吸収体を有し、前記前後端部のうちの少なくとも一方が、前記クロッチ本体の前記横方向における中央部を除く接合域を介して前記弾性ウエストパネルの前記非肌対向面に取り付けられている。前記クロッチ本体の前記中央部に位置する非接合領域における前記クロッチ本体と前記弾性ウエストパネルとの間には、中央空間部が形成されている。前記体液吸収体は、高吸収性ポリマー粒子を透液性シートで被包してなるシート形状を有していて、前記体液吸収体の前後端縁部のうちの少なくとも一方が、前記中央空間部に位置していることにある。

　本発明の実施態様の一つとして、前記クロッチ本体は、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる一対のサイド弾性部を有しており、前記体液吸収体の両側縁部のうちの少なくとも一方が前記サイド弾性部の内側縁よりも前記横方向の外側に位置している。

　本発明の実施態様の一つとして、吸収性パッドが、前記体液吸収体の肌対向面側において着脱可能に取り付けられている。

　本発明の実施態様の一つとして、前記吸収性パッドの前後端縁部のうちの少なくともいずれか一方が前記中央空間部内に位置しており、かつ、その両側縁部のうちの少なくとも一方が前記サイド弾性部の内側縁よりも前記横方向の外側に位置している。

　本発明の実施態様の一つとして、前記クロッチ本体の中央部の厚さ寸法が５．０ｍｍ以下である。

　本発明の実施態様の一つとして、前記体液吸収体を含む前記クロッチ本体の略中央部のカンチレバー剛軟度が、１５～１４０ｍｍである。

　本発明に係る使い捨て着用物品によれば、クロッチ本体に比較的に薄い体液吸収体が配置されているので、着脱可能な吸収性パッドを配置した場合であっても、着用者にごわごわとした着用感を与えることなく、見た目にもすっきりとした印象を与えることができる。また、体液吸収性体の前後端縁部のうちの少なくともいずれか一方が、前後ウエスト域に形成された中央空間部に位置しているので、該中央空間部に進入した体液を速やかに吸収することができる。

本発明の第１実施形態に係る使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつの斜視図。おむつのサイドシーム部を剥離して前後方向に伸展した状態をその内面から見た一部破断展開平面図。おむつの分解斜視図。図１のＩＶ－ＩＶ線断面図。図２のＶ－Ｖ線拡大断面図。図２のＶＩ－ＶＩ線拡大断面図。本発明の第２実施形態におけるおむつの吸収性パッドの斜視図。第２実施形態における図６と同様の拡大断面図。第３実施形態におけるおむつの吸収性パッドの斜視図。第３実施形態における図６と同様の拡大断面図。

＜第１実施形態＞
　図１～３に示すとおり、本発明の使い捨て着用物品の一例として示す使い捨ておむつ１０は、縦方向Ｙ及びそれに直交する横方向Ｘと、横方向Ｘの幅寸法を二等分する仮想中心線Ｐ－Ｐと、肌対向面及びそれに対向する非肌対向面と、環状の弾性ウエストパネル１１と、弾性ウエストパネル１１の非肌対向面に取り付けられたクロッチ本体１２と、前ウエスト域１３と、後ウエスト域１４と、前後ウエスト域１３，１４間を縦方向Ｙに延びるクロッチ域１５とを含む。おむつ１０は、仮想中心線Ｐ－Ｐに関して対称に形成されており、弾性ウエストパネル１１は、前ウエスト域１３を形成する前ウエストパネル１６と、後ウエスト域１４を形成する後ウエストパネル１７とから構成されている。また、おむつ１０は、クロッチ本体１２の肌対向面側において縦方向Ｙに延びる吸収性パッド１８をさらに含む。

　吸収性パッド１８は、その非肌対向面側において前後ウエスト域１３，１４及びクロッチ域１５に位置する固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃを介してクロッチ本体１２の肌対向面に着脱可能に固定されている。固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃは、基材シートの表面にメカニカルファスナのフック部材を配置したもの又は感圧性接着剤を塗布したものから形成されている。なお、吸収性パッド１８が安定的に、すなわち、着用中にクロッチ本体１２の肌対向面から不容易に外れて位置ずれが生じない限りにおいて、固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃは、少なくとも１つ、特に、クロッチ域１５に位置する固定手段２０ａのみから形成されていてもよい。

　また、図３に特に示すとおり、吸収性パッド１８は、前後端縁部１８ａ，１８ｂと両側縁部１８ｃ，１８ｄとによって画成された略矩形状であって、透液性の表面シート２２と、不透液性の裏面シート２３と、両シート２２，２３間に介在された超吸収性ポリマー粒子（ＳＡＰ）とフラッフパルプとの混合物を所定の形状に賦型してなる芯材２４とを含む。

　前ウエストパネル１６は、クロッチ本体１２と交差し、横方向Ｘに延びる内端縁１６ａと、縦方向Ｙにおいて内端縁１６ａと離間対向して横方向Ｘに延びる外端縁１６ｂと、内外端縁１６ａ，１６ｂ間において縦方向Ｙに延びる両側縁１６ｃ，１６ｄとによって横長矩形状に画成されている。

　後ウエストパネル１７は、前ウエストパネル１６とほぼ同形同大であって、クロッチ本体１２と交差し、横方向Ｘに延びる内端縁１７ａと、縦方向Ｙにおいて内端縁１７ａと離間対向して横方向Ｘへ延びる外端縁１７ｂと、内外端縁１７ａ，１７ｂ間において縦方向Ｙに延びる両側縁１７ｃ，１７ｄとによって、横長矩形状に画成されている。

　前ウエストパネル１６の両側縁１６ｃ，１６ｄと後ウエストパネル１７の両側縁１７ｃ，１７ｄとは、互いに重ね合わせられて、縦方向Ｙに間欠的に接合されるサイドシーム部２７によって連結され、ウエスト開口２８及び一対のレッグ開口２９とが画成されている（図１参照）。サイドシーム部２７は、公知の接合手段、例えば、熱エンボス加工、ソニック加工などの各種熱溶着手段によってなされる。

　前ウエストパネル１６は、肌対向面に位置する第１内面シート２９と、非肌対向面に位置する第１外面シート３０とを有する。第１内面シート２９と第１外面シート３０とは、質量が１０～３０ｇ／ｍ^２の不透液性のＳＭＳ（スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド）繊維不織布またはスパンボンド繊維不織布、若しくは、プラスチックシートやそれらのラミネートシートから形成されている。両シート２９，３０は、少なくともいずれか一方のシートの内面に塗布されたホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合されている。また、第１内面シート２９と第１外面シート３０との間には、横方向Ｘに延びる複数条のストランド状又はストリング状からなる前ウエスト弾性要素３１が、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して横方向Ｘにおいて収縮可能に配設されており、前ウエストパネル１６は、少なくとも横方向Ｘにおいて弾性化されている。なお、第１内面シート２９と第１外面シート３０とは、前ウエスト弾性要素３１を構成する各弾性要素に塗布したホットメルト接着剤を介してのみ互いに接合されていてもよい。

　前ウエスト弾性要素３１は、前ウエストパネル１６の外端縁１６ｂに沿って横方向Ｘに延びる前上方ウエスト弾性要素３１Ａと、下端縁１６ｂに沿って横方向Ｘに延びる前下方ウエスト弾性要素３１Ｂとから構成されている。前下方ウエスト弾性要素３１Ｂは、前上方ウエスト弾性要素３１Ａに比して密の状態で配置されており、前上方ウエスト弾性要素３１Ａ間には、弾性部材が配置されていない非伸縮域３３が形成されている。

　後ウエストパネル１７は、肌対向面に位置する第２内面シート３４と、非肌対向面に位置する第２外面シート３５とを有する。第２内面シート３４と第２外面シート３５とは、質量が１０～３０ｇ／ｍ^２のＳＭＳ繊維不織布またはスパンボンド繊維不織布、若しくは、プラスチックシートやそれらのラミネートシートから形成されている。両シート３４，３５は、少なくともいずれか一方のシートの内面に塗布されたホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合されている。また、第２内面シート３４と第２外面シート３５との間には、横方向Ｘに延びる複数条のストランド状又はストリング状からなる後ウエスト弾性要素３６が、ホットメルト接着剤（図示せず）を介して横方向Ｘにおいて収縮可能に配設されており、後ウエストパネル１７は、少なくとも横方向Ｘにおいて弾性化されている。なお、第２内面シート３４と第２外面シート３５とは、後ウエスト弾性要素３６を構成する各弾性要素に塗布したホットメルト接着剤を介してのみ互いに接合されていてもよい。

　後ウエスト弾性要素３６は、後ウエストパネル１７の外端縁１７ｂに沿って横方向Ｘに延びる後上方ウエスト弾性要素３６Ａと、下端縁１７ｂに沿って横方向Ｘに延びる後下方ウエスト弾性要素３６Ｂとから構成されている。後下方ウエスト弾性要素３６Ｂは、後上方ウエスト弾性要素３６Ａに比して密の状態で配置されており、後上方ウエスト弾性要素３６Ａ間には、弾性部材が配置されていない非伸縮域３７が形成されている。

　クロッチ本体１２は、略矩形状であって、前ウエストパネル１６の非肌対向面に取り付けられた前端部１２Ａと、後ウエストパネル１７の非肌対向面に取り付けられた後端部１２Ｂと、前後端部１２Ａ，１２Ｂ間において縦方向Ｙへ延びる中間部１２Ｃと、少なくとも一方が不透液性のシートからなる内外面クロッチシート４０，４１と、内面クロッチシート４０の肌対向面に配置された体液吸収体４２とを有する。内外面クロッチシート４０，４１は、両シート４０，４１のうちのいずれか一方のシートの内面に塗布されたホットメルト接着剤（図示せず）を介して互いに接合されており、それらの両側部は、内方へ折り曲げられ、体液吸収体４２の内面において縦方向Ｙへ延びる一対のサイド弾性部４３が形成されている。なお、体液吸収体４２の肌対向面には、吸収性パッド１８の固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃに対応するメカニカルファスナのループ部材などからなる受止部４４ａ，４４ｂ，４４ｃが配置されている。なお、体液吸収体４２は受止部４４ａ，４４ｂ，４４ｃを備えることなく、直接その表面のシート部材に吸収性パッド１８が固定されていてもよい。

　クロッチ本体１２の前後端縁部１２Ａ，１２Ｂには、それを被覆するカバーシート４５，４６が取り付けられている。具体的には、カバーシート４５，４６は、質量約１０～３０ｇ／ｍ^２の繊維不織布等から形成されており、クロッチ本体１２の前後端縁部１２Ａ，１２Ｂと交差した状態で前後ウエストパネル１６，１７の非肌対向面にホットメルト接着剤（図示せず）を介して固定されている。

　カバーシート４５，４６は、前後ウエストパネル１６，１７の前後上方ウエスト弾性要素３１Ａ，３６Ａと対向する位置、さらに具体的に言えば、少なくとも前後上方ウエスト弾性要素３１Ａ，３６Ａのうちの非伸縮域３３，３７と対向する位置に配置されている。このように、カバーシート４５，４６がクロッチ本体１２の前後端縁部１２Ａ，１２Ｂを被覆するように配置されているので、クロッチ本体１２を弾性ウエストパネル１１に吊持させる吊持力が向上するとともに、着用中に着用者又は着用操作者の指が誤ってクロッチ本体１２の前後端縁部１２Ａ，１２Ｂに引っ掛かってもその固定が解除されるおそれはない。また、おむつ１０の着用時において、おむつ１０を着用者の身体の所定の位置に引き上げる際に、前後上方ウエスト弾性要素３１Ａ，３６Ａによる弾性領域を片手又は両手で掴んで引き上げるところ、掴み上げるときの指が非伸縮域３３，３７に食い込むように当接してその一部が破れたりするおそれがあるが、該非伸縮域３３，３７にカバーシート４５，４６が配置されているので、該領域のシート強度が向上し、かかる事態を避けることができる。

　体液吸収体４２は、前後端縁部４２ａ，４２ｂと、両側縁部４２ｃ，４２ｄとから画成された略矩形のシート形状であって、高吸収性ポリマー粒子（ＳＡＰ）のみから形成された吸収性コアを親水性ＳＭＳ不織布などの１枚又は２枚の透液性シート（コアラップシート）で被包することによって形成されている。具体的には、透液性シートの内面全体にコーター塗工された接着剤を介してＳＡＰが位置ずれを生じないように万遍なく散布された状態で被包されている。体液吸収体４２の吸収性コアは透液性シートに被包されたＳＡＰのみから形成されているので、体液吸収体４２がＳＡＰとフラッフパルプとの混合物から形成されている場合に比して薄く、クロッチ本体１２の動きに対して追従性が高いものといえる。なお、体液吸収体４２は、特に、おむつ１０から吸収性パッド１８を取り外した状態で使用する場合には、ＳＡＰとそれに比べて混合比率の低いフラッフパルプとを混合させて所要の形状に賦型したものを使用することができる。また、この場合には、体液吸収体４２において、フラッフパルプの代わりにエアレイドパルプをＳＡＰの上面又は下面に積層して形成してもよい。

　体液吸収体４２は、具体的には、吸収性コアの上面に位置する質量約１０ｇ／ｍ^２の親水性ＳＭＳ不織布とその下面に位置する質量約１１ｇ／ｍ^２のＳＭＳ不織布とを吸収性コアをそれらシート間に介在した状態においてホットメルト接着剤を介して互いに重ね合わせて接合することによって形成することができる。また、体液吸収体４２は、横方向Ｘ又は縦方向Ｙに延びる上下面シートどうしの複数の接合部間に形成された複数の収容部に区画され、各収容部に定量のＳＡＰが均一に配置されている構成を有することもできる。この場合には、ＳＡＰが均一に固定されたフラット形状となるので、ＳＡＰが使用中又は使用後に体液を吸収して膨張しても、着用者にＳＡＰの配置分量の偏りによる違和感を与えるおそれはない。また、ＳＡＰが均一に散布されることによって、ゲルブロックによる吸収性能の阻害を抑制し、吸収効率を向上させることができる。

　前記のとおり、体液吸収体４２は、ＳＡＰのみからなる又はＳＡＰと少量の粉砕パルプとの混合からなるシート状のものであって、クロッチ本体１２における体液吸収体４２の載置された部位、例えば、クロッチ本体１２の中央部の厚みは約５ｍｍ以下である。また、そのカンチレバー剛軟度は、１５～１４０ｍｍである。このように体液吸収体４２は、比較的に厚みが薄く、体液を吸収する部材としては柔軟性に富んだものであることから、クロッチ本体１２の動きに追従し易く、クロッチ本体１２が排泄物を保持して下方に垂下した状態になっても、体液吸収体４２がクロッチ本体１２から離間して位置ずれしたりするおそれはない。

＜厚み測定方法＞
　クロッチ本体１２の中央部の厚みは、厚み測定器（ＰＥＡＣＯＣＫ社製）を用いて（測定子の直径１０～２０ｍｍ）測定を行った。
＜カンチレバー剛軟度の測定方法＞
　ＪＩＳＬ１０９６のカンチレバー法に準拠し、おむつ１０のクロッチ本体１２の中央部からサンプル（横方向の長さ寸法５０ｍｍ，縦方向の長さ寸法１５０ｍｍ）を切り取り、各サンプルの肌対向面と非肌対向面とを測定した。測定回数（ｎ）は、３とした。

　本発明のおむつ１０では、体液を吸収する部材として吸収性パッド１８と体液吸収体４２との２つの部材が互いに重ね合わされた状態で使用されているが、吸収性パッド１８は着脱可能なものであるので、おむつ１０は吸収性パッド１８を備えない体液吸収体４２のみで体液を吸収する構成を有していてもよい。

　各サイド弾性部４３には、縦方向Ｙへ延びる複数条のストランド状又はストリング状からなる第１レッグ弾性要素５０と第２レッグ弾性要素５１とが配設されており、少なくとも縦方向Ｙにおいて弾性化している。第１レッグ弾性要素５０は、サイド弾性部４３の内側縁４３ａに沿って縦方向Ｙへ延びる３条の弾性要素から形成されており、第２レッグ弾性要素５１は、クロッチ域１５の中央部において内方へ凹曲し、前後ウエスト域１３，１４に向かって直状に延びる４本の弾性要素から形成されている。第１及び第２レッグ弾性要素５０，５１は、内外面クロッチシート４０，４１の少なくとも一方の内面に塗布されたホットメルト接着剤（図示せず）を介して両シート４０，４１間に縦方向Ｙに伸長された状態で固定されている。

　図４に示すとおり、第１及び第２レッグ弾性要素５０，５１がサイド弾性部４３に配設されていることによって、サイド弾性部４３は、おむつ１０の着用状態において、体液吸収体４２から離間して着用者の鼠蹊部に当接し、クロッチ本体１２は弾性ウエストパネル１１に吊持された袋状の形態を呈する。かかる着用状態において、排泄物が吸収性パッド１８上に排泄された場合には、自重によって吸収性パッド１８が着用者の臀部から離間し、着用者と吸収性パッド１８との間に排泄物を保持するための、通常の使い捨ておむつに比べて大容量の排泄物収容スペースＳを形成される。おむつ１０は、この種の他の物品に比して大容量の排泄物収容スペースＳを有するので、比較的に多量の排泄物を保持することができるとともに、着用者の臀部から離間した状態で吸収性パッド１８を含むクロッチ本体１２が吊持されるので、排泄物によって着用者の臀部が汚れるのを抑えることができる。

　図３～５に示すとおり、クロッチ本体１２は、前端部１２Ａ及び後端部１２Ｂの肌対向面にホットメルト接着剤を塗布してなる前接合域５５と後接合域５６とにおいて前後ウエストパネル１６，１７の外面に取り付けられている。このように、クロッチ本体１２の前後端部１２Ａ，１２Ｂを前後ウエストパネル１６，１７の非肌対向面に取り付けることによって、排泄物収容スペースＳをより大きく形成することができる。なお、排泄物収容スペースＳの所要の収容量を確保できる限りにおいて、前後端縁部１２Ａ，１２Ｂのうちのいずれか一方のみが前後ウエストパネル１６，１７の非肌対向面に取り付けられていればよい。

　前後接合域５５，５６は、クロッチ域１２に向かって開口した凹状の形状を有し、それぞれ、サイド弾性部４３にホットメルト接着剤を塗布してなる両側域５８，５９と、両側域５８，５９間において、横方向Ｘへ延びる中央域６０，６１とを有する。中央域６０，６１は、体液吸収体４２の存在域よりも縦方向Ｙの外方に位置しており、両側域５８，５９と中央域６０，６１との間には、ホットメルト接着剤が塗布されていない非接合域６３，６４がそれぞれ画成されている。非接合域６３，６４が形成されることによって、該部位には、クロッチ本体１２の非接合域６３，６４と対向する前後フラップ６５，６６と前後ウエストパネル１６，１７との間に中央空間部６７，６８が形成される。なお、前後接合域５５，５６は、全体として曲状を有するものであってもよいし、両側域５８は段差状であるが、側部５９も同様に段差状であってもよいし、中央域６０，６１が三角状などの各種形状を有していてもよい。

　かかる構成を有するおむつ１０において、体液吸収体４２は、その前後端縁部４２ａ，４２ｂが中央空間部６７，６８に位置し、両側縁部４２ｃ，４２ｄがそれぞれサイド弾性部４３の内側縁４３ａよりも横方向Ｘの外方に位置している。したがって、中央空間部６７，６８に進入した体液を速やかに吸収することができる。また、本発明においては、クロッチ本体１２の肌対向面に載置できる限りにおいて、吸収性パッド１８として任意の形状、大きさを有するものを使用することができ、吸収性パッド１８が体液吸収体４２よりも小さく又は大きくなることも考えられるが、本実施例のように、体液吸収体４２が吸収性パッド１８よりも全体的にひと回り大きい場合には、吸収性パッド１８よりも外方に漏出する体液を速やかに吸収することができる。

　吸収性パッド１８をクロッチ本体１２の肌対向面に載置する場合には、両サイド弾性部４３及び／または中央空間部６７，６８を捲り上げて、吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄ及び／又は前後端部１８ａ，１８ｂを排泄物収容スペースＳに挿入し、吸収性パッド１８の一部を湾曲させながらその全体を該スペースＳ内に配置する。また、吸収性パッド１８の下面に形成された固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃをそれに対応する体液吸収体４２の受止部４４ａ，４４ｂ，４４ｃに固定することによって、吸収性パッド１８を安定的に排泄物収容スペースＳに配置することができ、使用中に位置ずれを生じるおそれはない。

　また、吸収性パッド１８が固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃを有していない場合であっても、おむつ１０が平置きされた、各弾性部材が横方向Ｘ及び縦方向Ｙに伸張されていない収縮された状態において、吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄが両サイド弾性部４３の内側縁４３ａよりも横方向Ｘの外方に位置し、また、吸収性パッド１８の前後端縁部１８ａ，１８ｂが中央空間部６７，６８に位置することによって、吸収性パッド１８の周縁部が、両サイド弾性部４３及び前後端フラップ６５，６６による仮想弾性帯に覆われるので、使用中に周縁部の一部が排泄物収容スペースＳから外に飛び出したり、吸収性パッド１８自体がその吸液性能を著しく低下させる程に該スペースＳ内で折り曲がったりするおそれはない。なお、かかる効果を奏する限りにおいて、吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄのうちの一方側縁部と、前後端縁部１８ａ，１８ｂのうちの一方の端縁部とのみがこれらサイド弾性部４３及び前後端フラップ６５，６６に覆われていればよい。

　このように、吸収性パッド１８がおむつ１０に配置されている場合には、おむつ１０の吸液性能が向上し、吸収性パッド１８を配置しない場合に比して、より多量の排泄物を速やかに吸収、保持することができる。また、クロッチ本体１２に取り付けられている体液吸収体４２は、比較的に薄く、かつ、比較的に柔軟性の高いものであることから、体液吸収体４２上に吸収性パッド１８が載置されても、所要の厚みを有する吸収性パッド１８を２つ重ね合わせた場合に比べて、着用者にごわごわとした違和感を与えることはなく、また、見た目にもすっきりとした印象を与えることができる。

　各サイド弾性部４３を形成する第１及び第２レッグ弾性要素５０，５１と、クロッチ本体１２の前後端縁部１２Ａ，１２Ｂと交差する前後下方ウエスト弾性要素３１Ｂ，３６Ｂとに外部から視認可能な色彩を付して、排泄物収容スペースＳの開口部をこれらの色彩を有する弾性部材で囲堯してもよい。この場合には、これらの色彩を有する弾性部材が目印となって、排泄物収容スペースＳの開口部の大きさ、形状が視覚的により明確となるので、操作者は、比較的容易に、吸収性パッド１８をクロッチ本体１２のサイド弾性部４３及び／又は非接合域６３，６４を捲り上げて吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄ及び／又は前後端縁部１８ａ，１８ｂをそれらに覆われるように排泄物収容スペースＳに挿入することができる。

　また、吸収性パッド１８は、排泄物収容スペースＳに配置することができるものであれば、大小様々な形状のものであっても使用することができるが、吸収性パッド１８が固定手段２０ａ，２０ｂ，２０ｃを介さずにクロッチ本体１２に安定的に固定される限りにおいて、その縦方向Ｙにおける長さ寸法は、排泄物収容スペースＳの開口部の縦方向Ｙにおける長さ寸法を下限として、排泄物収容スペースＳの長さ寸法、すなわち、前ウエストパネル１６の中央域６０と後ウエストパネル１７の中央域６１との縦方向Ｙにおける離間寸法までの大きさを有することができる。また、その横方向Ｘにおける長さ寸法は、排泄物収容スペースＳの開口部の横方向Ｘにおける長さ寸法を下限として、両サイド弾性部４３を含むクロッチ本体１２全体の横方向Ｘにおける長さ寸法までの大きさを有することができる。また、吸収性パッド１８の横方向Ｘ及び／または縦方向Ｙの長さ寸法が、上記寸法範囲よりも大きい場合には、後記の第２実施形態のごとく、両側縁部１８ｃ，１８ｄ及び／又は前後端縁部１８ａ，１８ｂを折曲した状態で排泄物収納スペースＳに配置してもよい。

　本発明の各寸法について具体的に述べると、図２に示すとおり、おむつ１０が展開された状態における両サイド弾性部４３の内側縁４３ａ間の横方向Ｘにおける離間寸法Ｒは、４０～３００ｍｍであって、また、前ウエストパネル１６と後ウエストパネル１７との縦方向Ｙにおける離間寸法Ｌは、１５０～５００ｍｍである。また、十分な収容容量を有する排泄物収容スペースＳを形成するために、両サイド弾性部４３を含むクロッチ本体１２を展開した状態における横方向Ｘにおける長さ寸法は、１５０～６００ｍｍであることが好ましい。

＜第２実施形態＞
　図７は、本発明のおむつ１０の第２実施形態における吸収性パッド１８の斜視図、図８は、第２実施形態における図６と同様の断面図である。本実施形態におけるおむつ１０の吸収性パッド１８以外の基本的構成は、第１実施形態のそれとほぼ同じであるので、省略する。

　本実施形態では、吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄが折曲された状態で排泄物収容スペースＳに配置されている。具体的には、肌対向側に折り曲げられた吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄが両サイド弾性部４３の内面に当接した状態で配置されている。かかる態様の場合には、おむつ１０の展開状態において吸収性パッド１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄが両サイド弾性部４３の内側縁４３ａから内方へ延出することなく、外部に露出することがないとともに、第１実施形態よりも吸収性パッド１８の吸収面積が大きく、より多量の体液を吸収することができる。

＜第３実施形態＞
　図９は、本発明のおむつ１０の第３実施形態における吸収性パッド１８の斜視図、図１０は、第３実施形態における図６と同様の断面図である。本実施形態におけるおむつ１０の吸収性パッド１８以外の基本的構成は、第１実施形態のそれとほぼ同じであるので、省略する。

　本実施形態では、吸収性パッド１８がその両側部において縦方向Ｙへ延びる一対のバリアカフ７０，７１を有する。バリアカフ７０，７１は、吸収性パッド１８を形成する表裏面シート２２，２３の両側縁部と、該両側縁部において縦方向Ｙに伸長可能に固定された複数条の弾性要素７２，７３とから構成されている。また、図示してないが、吸収性パッド１８のバリアカフ７０，７１の前後端部又は両側部の一部は、クロッチ本体１２の両サイド弾性部４３の内面に固定されている。かかる態様を有するおむつ１０において、それが着用された状態では、バリアカフ７０，７１が両サイド弾性部４３に固定された状態で縦方向Ｙに伸長されて、両サイド弾性部４３とともに起立し、排泄物の横漏れを防止するための２重の防漏壁が形成される。

　おむつ１０を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の物品において通常用いられている各種の公知の材料を制限なく用いることができる、また、本発明の明細書及び特許請求の範囲において、「第１」および「第２」の用語は、同様の要素、位置などを単に区別するために用いられている。

１０　　使い捨ておむつ（使い捨て着用物品）
１１　　弾性ウエストパネル
１２　　クロッチ本体
１２Ａ　クロッチ本体の前端部
１２Ｂ　クロッチ本体の後端部
１３　　前ウエスト域
１４　　後ウエスト域
１５　　クロッチ域
１８　　吸収性パッド
１８ａ　吸収性パッドの前端縁部
１８ｂ　吸収性パッドの後端縁部
１８ｃ，１８ｄ　吸収性パッドの両側縁部
４２　　体液吸収体
４３　　サイド弾性部
５５　　前端接合域
５６　　後端接合域
６３，６４　非接合域
６７，６８　中央空間部
Ｘ　　横方向
Ｙ　　縦方向

Claims

　縦方向及びそれに直交する横方向を有し、肌対向面及び非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記前後ウエスト域を画成する弾性ウエストパネルと、前記弾性ウエストパネルに取り付けられた、前記前後ウエスト域の一部及び前記クロッチ域を画成するクロッチ本体とを含む使い捨て着用物品において、
　前記クロッチ本体が、前記前ウエスト域に位置する前端部と、前記後ウエスト域に位置する後端部と、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域に延びる体液吸収体を有し、
　前記前後端部のうちの少なくとも一方が、前記クロッチ本体の前記横方向における中央部を除く接合域を介して前記弾性ウエストパネルの前記非肌対向面に取り付けられており、
　前記クロッチ本体の前記中央部に位置する非接合領域における前記クロッチ本体と前記弾性ウエストパネルとの間には、中央空間部が形成されており、
　前記体液吸収体が、高吸収性ポリマー粒子を透液性シートで被包してなるシート形状を有していて、前記体液吸収体の前後端縁部のうちの少なくとも一方が、前記中央空間部に位置していることを特徴とする前記着用物品。
　前記クロッチ本体が、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる一対のサイド弾性部を有しており、前記体液吸収体の両側縁部のうちの少なくとも一方が前記サイド弾性部の内側縁よりも前記横方向の外側に位置している請求項１記載の着用物品。
　吸収性パッドが、前記体液吸収体の肌対向面側において着脱可能に取り付けられている請求項１または２記載の着用物品。
　前記吸収性パッドの前後端縁部のうちの少なくとも一方が前記中央空間部内に位置しており、かつ、その両側縁部のうちの少なくとも一方が前記サイド弾性部の内側縁よりも前記横方向の外側に位置している請求項３記載の着用物品。
　前記クロッチ本体の中央部の厚さ寸法が５．０ｍｍ以下である請求項１～４のいずれかに記載の着用物品。
　前記体液吸収体を含む前記クロッチ本体の略中央部のカンチレバー剛軟度が、１５～１４０ｍｍである請求項１～５のいずれかに記載の着用物品。