WO2011115115A1

WO2011115115A1 - 金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法、筒状容器の製造方法及び金型コア

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Publication number: WO2011115115A1
Application number: PCT/JP2011/056066
Authority: WO
Inventors: 市川　徹; 公揮阿部; 西田　正三; 健治菊川
Original assignee: 株式会社細川洋行; 株式会社日本製鋼所
Priority date: 2010-03-16
Filing date: 2011-03-15
Publication date: 2011-09-22
Also published as: RU2012143728A; JP5538008B2; US20160214289A1; EP2548709A4; BR112012023145A2; CN102892562B; PL2548709T3; US20130106016A1; EP2548709A1; CN102892562A; EP2548709B1; JP2011189682A; RU2537598C2; US10272604B2

Abstract

　この金型コア（３）に対する薄肉筒状部材（４）の取付方法は、同一断面形状で筒状に形成されたフィルム状の薄肉筒状部材（４）を金型コア（３）の外面に被着させる方法であって、金型コア（３）の先端部（３Ａ）に薄肉筒状部材（４）を押し込み、金型コア（３）と薄肉筒状部材（４）との間に気体を噴出しながら薄肉筒状部材（４）を金型コア（３）の基端側に案内し、金型コア（３）の外面に薄肉筒状部材（４）を被着させる。

Description

金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法、筒状容器の製造方法及び金型コア

　本発明は、プラスチック容器等の筒状容器の胴部を形成するために、筒状に形成されたフィルム状の薄肉筒状部材を金型コアの外面に被着させる金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法、筒状容器の製造方法及び金型コアに関する。
　本願は、２０１０年３月１６日に日本に出願された特願２０１０－０５９３２３号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　近年、プラスチック容器の廃棄量を減少させるために、極力肉厚の薄い容器が提供されている。例えば特許文献１には、肉厚の薄いプラスチックラミネートフィルムを用いて形成されるプラスチック容器が開示されている。このプラスチック容器は有底円筒状であり、プラスチックラミネートフィルムを用いて筒状に成形された胴部と、この胴部の一端側及び他端側にインサートインジェクション成形手段により結合された成形部とを有している。

　特許文献１には、プラスチックラミネートフィルムを素材とした筒状部材を金型コアとなるマンドレルに被着することが開示されている。特許文献１に記載の技術では、筒状部材をマンドレルに被着し、このマンドレルを成形型に装着し、その後、インサートインジェクション成形手段により溶融したプラスチック樹脂材料を成形型内のキャビティに注入して、筒状部材の一端側及び他端側に結合される成形部を形成することで、上記のプラスチック容器を成形している。

特開２０００－１０３４２８号公報

　ところで、特許文献１に開示されたプラスチック容器を成形する金型では、通常、射出樹脂の成形後の収縮を考慮して、上記成形部を成形する成形空間を成形後の成形部よりも大きめに形成する。一方で、胴部を形成する筒状部材については、成形後の外観品質を考慮し、マンドレル（金型コア）に対して筒状部材を隙間無く被着させることが必要となる。

　筒状部材を金型コアに対してやや大きめに形成すると、プラスチック容器の成形部における成形後の収縮により、胴部と成形部との結合部位にシワ等が生じやすくなる。そのため、外観品質や機能の低下を招く可能性がある。
　より具体的に説明すると、シワ等による外観品質の低下に加え、シワ等の発生と成形部の収縮が相まって、胴部と成形部との結合部位における密封性が低下する可能性がある。このため、金型コアの直径と同一かそれよりも小さい内径の筒状部材を、金型コアに被着させることが必要となる。

　しかし、金型コアに対して隙間無く筒状部材を被着させる作業は、筒状部材を伸ばすようにして取り付けることが必要であるので、非常に手間がかかる。上述のように筒状部材を金型コアに対してやや大きめに形成すると、取付性は向上するが、外観品質等は維持できない。

　こうした事情に対し通常は、金型コアを先端に向かうに従い縮径するテーパ状とするとともに、筒状部材も先端に向かうに従い縮径する（金型コア側に向かうに従い拡径する）テーパ状に形成することにより、筒状部材の金型コアに対する取付性を向上させるとともに、成形品（プラスチック容器）の抜き取り性も良好にさせる。しかしながら、この手法にあっては、成形毎に筒状部材をテーパのついた筒状に形成して金型コアに被着させる必要があるので、筒状部材の製造に非常に手間がかかり、製造コスト、製造効率の点で良好でない。

　本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、プラスチックラミネートフィルム等で形成される筒状の薄肉筒状部材を金型コアに被着して筒状容器を成形する場合において、筒状容器の製造コストを低減できるとともに製造効率を向上させることができ、また、筒状容器の品質も維持できる金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法、筒状容器の製造方法及び金型コアを提供する。

　本発明の第１の態様によれば、金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法は、同一断面形状で筒状に形成されたフィルム状の薄肉筒状部材を金型コアの外面に被着させる方法であって、前記金型コアの先端部に前記薄肉筒状部材を押し込み、前記金型コアと前記薄肉筒状部材との間に気体を噴出しながら前記薄肉筒状部材を前記金型コアの基端側に案内し、前記金型コアの外面に前記薄肉筒状部材を被着させる。

　この場合、前記金型コアは外周長さが同一の棒状体に形成され、この外周長さが前記薄肉筒状部材の内周長さ以上に設定されていてもよい。

　また、この場合、前記金型コアの外径寸法は、少なくともこの金型コアの基端において最大となるように設定されていてもよい。

　また、この場合、前記金型コアの先端部外面に気体噴出孔を形成し、この気体噴出孔から前記金型コアと前記薄肉筒状部材との間に気体を噴出してもよい。

　また、この場合、前記金型コアの先端部外面に溝部を形成し、この溝部に前記気体噴出孔を形成してもよい。

　また、この場合、前記金型コアの先端部に前記薄肉筒状部材の押し込みを容易にする誘い部を設けてもよい。
　また、この場合、前記誘い部が、前記金型コアの先端部に形成される面取り部であってもよい。
　また、この場合、前記誘い部が、前記金型コアの先端部に取り付けられ前記金型コアの外径寸法よりも小さい外径寸法を有する別体コアであってもよい。

　また、この場合、上記のいずれかに記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法を用いて筒状容器を製造してもよい。

　本発明の第２の態様によれば、金型コアは、同一断面形状で筒状に形成されたフィルム状の薄肉筒状部材をその外面に被着させる金型コアであって、外周長さが同一の棒状体に形成され、この外周長さが前記薄肉筒状部材の内周長さ以上に設定され、その先端部外面に気体を噴出する気体噴出孔が形成されている。
　この場合、前記先端部外面に溝部が形成され、この溝部に前記気体噴出孔が形成されていてもよい。
　また、この場合、前記金型コアの先端部に前記薄肉筒状部材の押し込みを容易にする誘い部が形成されていてもよい。

　本発明の第１及び第２の態様によれば、フィルム状の筒状の薄肉筒状部材を金型コアに被着して筒状容器を成形する場合において、筒状容器の製造コストを低減できるとともに製造効率を向上させることができ、また、筒状容器の品質も維持できる。

本発明の第１の実施形態に係る成形型の概略構成図である。本発明の第１の実施形態に係る成形型により成形されるプラスチック容器の一例を示した斜視図である。本発明の第１の実施形態に係る成形型における金型コアの概略構成図である。本発明の第１の実施形態に係る金型コアに対してプラスチックラミネートフィルムを取り付ける装置である受け渡し治具の概略構成図である。本発明の第１の実施形態に係る金型コアに対するプラスチックラミネートフィルムの取付を説明する図である。本発明の第１の実施形態に係る金型コアに対するプラスチックラミネートフィルムの取付を説明する図である。本発明の第１の実施形態に係る金型コアに対するプラスチックラミネートフィルムの取付を説明する図である。本発明の第２の実施形態に係る金型コアの斜視図である。本発明の第２の実施形態に係る金型コアの形状を説明する図である。本発明の第２の実施形態に係る金型コアの側面図である。本発明の第２の実施形態において成形されるプラスチック容器を示した斜視図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。
＜第１の実施形態＞
　図１は、プラスチック容器を成形するための成形型１の概略構成図である。図１に示す成形型１は、固定型２と、金型コアとなる円柱状のマンドレル３とを備えている。マンドレル３は固定型２に対して進退移動可能である。マンドレル３は、その外面（外周面）に薄肉筒状部材の一例であるラミネート筒状部材４が被着されるとともに、その先端に円形フィルム５が当接された状態で、固定型２に装着される。

　マンドレル３は、基端側から先端部手前（後述する面取り部１３を除いた部位）までの断面形状（長手方向に直交する方向の断面）が同一の円柱状に形成されている。すなわち、マンドレル３は、基端側から先端部手前までの区間において、その外周長さが同一の棒状体に形成されている。一方、ラミネート筒状部材４は、プラスチックラミネートフィルムを素材として形成されている。ラミネート筒状部材４は、成形するプラスチック容器の筒状（円筒状）の胴部を形成するために、断面形状（長手方向に直交する方向の断面）が同一の筒状体に形成されている。すなわち、ラミネート筒状部材４は、断面形状が同一直径の円形である円筒状に形成され、かつ、その内周長さは一定となっている。また、円形フィルム５はプラスチック容器の底部の一部を形成する。なお、マンドレル３の先端部は先細り形状であるが、その詳細については後述する。

　固定型２には、成形するプラスチック容器の形状に対応した空間が形成されている。マンドレル３が固定型２に装着された状態では、マンドレル３の先端と固定型２との間に、プラスチック容器の円板状の底部を形成するための成形空間６が形成される。また、マンドレル３の基部側側面（基部側の外周面）と固定型２との間には、ラミネート筒状部材４の外面（外周面）を囲む環状の成形空間７が形成される。キャビティである成形空間６及び成形空間７は、固定型２に設けられた溶融樹脂充填のためのランナー（流路）８と連通している。これにより、成形空間６及び成形空間７に対して溶融樹脂が流れるようになっている。

　マンドレル３に被着されるラミネート筒状部材４について詳しく説明する。
　ラミネート筒状部材４は、矩形状に裁断した素材であるプラスチックラミネートフィルムの側端同士を重ね合わせて接合することで形成される両端開口の筒状体である。なお、必要に応じて、素材の側端同士を突き合わせて接合した両端開口の筒状体や、側端同士を重ね合わせ、さらに内側から接着（粘着）テープで側端同士を接合した両端開口の筒状体であってもよい。また、ラミネート筒状部材４の素材となるプラスチックラミネートフィルムは、防湿性やガス遮断性を考慮すると、厚さ７０ミクロンのポリエチレンフィルムと、厚さ１２ミクロンのポリエステルフィルムと、バリアー材としての厚さ１２ミクロンのアルミニウム箔と、厚さ７０ミクロンのポリエチレンフィルムとをラミネート加工した材料が適している。また、上記プラスチックラミネートフィルムは、厚さ７０ミクロンのキャストポリプロピレンと、厚さ１２ミクロンのポリエステルフィルムと、厚さ１２ミクロンのアルミニウム箔と、厚さ７０ミクロンのキャストポリプロピレンとをラミネート加工した材料であってもよい。また、上記プラスチックラミネートフィルムは、厚さ７０ミクロンのキャストポリプロピレンと、厚さ１２ミクロンのポリエステルフィルムと、厚さ７０ミクロンのキャストポリプロピレンとをラミネート加工した材料であってもよい。また、アルミニウム箔等の金属箔に代えて、バリアー材としてアルミニウムやマグネシウム等の金属をプラスチックフィルムに蒸着した材料、酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の金属酸化物をプラスチックフィルムに蒸着した材料、ポリビニルアルコールやエチレン－ビニルアルコール共重合体系などのバリアーフィルム、又はポリ塩化ビニリデン等のバリアー素材をプラスチックフィルムに塗工したコートフィルムなどを用いることができる。なお、本実施形態では、積層材料であるプラスチックラミネートフィルムを素材としたラミネート筒状部材４を用いるが、紙にプラスチックやアルミニウム箔をラミネート加工した素材や単層のフィルム状材料を素材とした筒状部材を用いてもよい。すなわち、筒状部材は、伸縮性を有する材料からなるフィルム状材料であればよい。

　成形型１を用いて成形するプラスチック容器は有底円筒状の容器であり、図２に成形型１で成形されるプラスチック容器２０が示されている。図２に示すように、プラスチック容器２０は、ラミネート筒状部材４で筒状に成形された胴部２１と、この胴部２１の一端側に一体的に成形された上側成形部２２と、胴部２１の他端側に一体的に成形された下側成形部２３とを備える。上側成形部２２は環状の成形体であり、胴部２１の一端側の外周面に設けられている。上側成形部２２は、成形空間７により形成される部位である。下側成形部２３は円板状の成形体であり、胴部２１の他端側を塞ぐように設けられている。下側成形部２３は、成形空間６により形成される部位であり、円形フィルム５と一体に結合されている。

　次に、図３に基づいてマンドレル３を説明する。マンドレル３においては、その先端部３Ａの外周面に周方向に沿った溝部１０が形成され、溝部１０には空気を噴出する噴出孔（気体噴出孔）１１が形成されている。噴出孔１１は、マンドレル３の内部に形成された空気連通路１２に連通し、この空気連通路１２から圧送される空気を外部に噴出可能とされている。なお、噴出孔１１から空気以外の気体を噴出してもよく、例えば不活性ガス（アルゴンガスなど）を噴出してもよい。また、マンドレル３の先端部３Ａにはラミネート筒状部材４の押し込みを容易にするための誘い部である面取り部１３が形成され、マンドレル３の先端部３Ａは先細り形状となっている。
　マンドレル３における面取り部１３を除く部分の外径は、被着前のラミネート筒状部材４の内径よりも大きく形成されている。すなわち、マンドレル３における面取り部１３を除く部分の外周長さは、被着前のラミネート筒状部材４の内周長さ以上に設定されている。
　また、面取り部１３の先端側の外径は、被着前のラミネート筒状部材４の内径よりも小さく形成されている。そのため、ラミネート筒状部材４を面取り部１３に容易に押し込んで嵌合させることができる。

　上記のプラスチック容器２０を成形型１を用いて成形する手順を説明する。
　先ず、マンドレル３に対してラミネート筒状部材４を取り付ける。本実施形態では、図４に示す受け渡し治具９を用いて、マンドレル３に対してラミネート筒状部材４を取り付ける。この受け渡し治具９は、図４に示すように板状の基部１４から突出する円柱状の受け渡し治具本体１５と、受け渡し治具本体１５の径方向外側において受け渡し治具本体１５の軸方向（図中矢印方向）に摺動可能に設けられた可動部１６とを有している。受け渡し治具本体１５の外径寸法は、ラミネート筒状部材４を受け渡し治具本体１５の外面に取り付け可能なように設定されている。

　以下、図５～図７を用いて、本実施形態における受け渡し治具９からマンドレル３へのプラスチックラミネートフィルム（ラミネート筒状部材４及び円形フィルム５）の取付の手順について詳しく説明する。

　先ず、図５に示されるように、受け渡し治具本体１５の外面にラミネート筒状部材４を被せるように取り付ける。ラミネート筒状部材４の端部は、受け渡し治具本体１５の先端からややはみ出した状態とする。また、ラミネート筒状部材４の端部側の内部には円形フィルム５を嵌め込んでおき、円形フィルム５を受け渡し治具本体１５の先端に当接させた状態としておく。この状態で、図５に示すように受け渡し治具本体１５の先端とマンドレル３の先端とを向かい合わせるように配置する。

　次に、図６に示されるように、受け渡し治具本体１５の先端をマンドレル３の先端に当接させるように近づけ、ラミネート筒状部材４の受け渡し治具本体１５からはみ出た部位をマンドレル３の先端部３Ａに押し込む。マンドレル３の外周長さはラミネート筒状部材４の内周長さ以上に設定されているが、マンドレル３の先端部３Ａに面取り部１３が形成されているので、ラミネート筒状部材４の押し込みが容易に許容される。すなわち、先端部３Ａにラミネート筒状部材４が容易に嵌合される。
　次に、ラミネート筒状部材４を先端部３Ａに押し込んだ状態で、マンドレル３の噴出孔１１より空気を噴出させる。噴出孔１１は溝部１０に形成されているので、マンドレル３とラミネート筒状部材４との間に空気を効率的に送り込むことができる。すなわち、溝部１０が先端部３Ａの全周に亘って形成されているため、マンドレル３とラミネート筒状部材４との間に全周に亘って空気を送り込むことができる。なお、溝部１０を形成せずに、噴出孔１１をマンドレル３の外周面に形成してもよい。この場合は、マンドレル３とラミネート筒状部材４との間に空気を全周に亘って送り込むため、噴出孔１１をマンドレル３の周方向に複数個形成することが好ましい。
　噴出孔１１から空気を噴出させると、噴出した空気の圧力により付勢されたラミネート筒状部材４は径方向外側に向かって拡張する。そのため、ラミネート筒状部材４の内径が、マンドレル３における面取り部１３を除く部分の外径よりも僅かに大きくなる。よって、ラミネート筒状部材４をマンドレル３の軸方向に容易に移動させることが可能となる。

　次に、図７に示されるように、噴出孔１１より空気を噴出させながら受け渡し治具９の可動部１６を受け渡し治具本体１５の軸方向（受け渡し治具本体１５の先端側、図中矢印方向）に移動させる。これにより、可動部１６はラミネート筒状部材４と当接し、可動部１６の移動を進めるに従い、ラミネート筒状部材４がマンドレル３に取り付けられるように案内される。また、可動部１６がラミネート筒状部材４を移動させることで、円形フィルム５はラミネート筒状部材４内を相対的に摺動する。
　可動部１６が所定の量だけラミネート筒状部材４を移動させて、ラミネート筒状部材４をマンドレル３の基端部に到達させる。噴出孔１１からの空気の噴出を停止すると、ラミネート筒状部材４を拡張させていた空気の圧力が無くなるので、ラミネート筒状部材４は拡張前の内径に復元する。マンドレル３の外径はラミネート筒状部材４の拡張前の内径よりも大きく設定されており、ラミネート筒状部材４はマンドレル３の外周面に隙間無く被着される。マンドレル３の全体に亘ってラミネート筒状部材４を被着させることで（図１に示す状態）、マンドレル３に対するラミネート筒状部材４の取付が完了する。

　このようにして本実施形態ではラミネート筒状部材４のマンドレル３に対する取付がなされる。その後の成形では、図１で示したようにマンドレル３を固定型２に装着して、固定型２に設けられるゲート（合成樹脂供給部）からランナー８を通して成形空間６と成形空間７にインサートインジュクション成形手段により合成樹脂材料を溶融状態で注入する。この合成樹脂材料が硬化することで、図２に示すプラスチック容器２０の上側成形部２２と下側成形部２３が成形される。なお、本実施形態では、インサートインジュクション成形手段により注入された合成樹脂材料と円形フィルム５とを一体化させて下側成形部２３を成形しているが、円形フィルム５を用いずに、インサートインジュクション成形手段のみを用いて下側成形部２３を成形してもよい。
　また、本実施形態の成形型１においては、成形後にマンドレル３の噴出孔１１より空気を噴出させるようにすれば成形後のプラスチック容器の型抜き（抜き取り）も容易に行える。

　以上に記載した本実施形態では、マンドレル３の先端部３Ａにラミネート筒状部材４を押し込み、マンドレル３とラミネート筒状部材４との間に空気を噴出しながらラミネート筒状部材４をマンドレル３の基端側に案内することで、マンドレル３の外面にラミネート筒状部材４を被着させている。このため、マンドレル３とラミネート筒状部材４との間に空気層を形成して、ラミネート筒状部材４をマンドレル３の基端側に案内することができるので、マンドレル３の外周長さ以下の内周長さに設定されたテーパのない円筒状のラミネート筒状部材４を、マンドレル３に対して容易に取り付けることができる。

　したがって、マンドレル３を先端に向けて縮径するテーパ状とするとともに、ラミネート筒状部材４も先端に向けて縮径するテーパ状に形成する必要がなく、取付の容易性を確保できるので、長尺の一定の直径の円筒体に形成したフィルム状材料を所定の寸法に切断することでラミネート筒状部材４を製造できる。結果として、プラスチック容器の製造コストを低減できるとともに製造効率を向上させることができる。また、ラミネート筒状部材４をマンドレル３に対して大きめにする必要がなく、マンドレル３の外周長さ以下の内周長さに設定されたラミネート筒状部材４を用いることができるので、シワ等の発生を抑えて、筒状容器の品質も維持できる。

＜第２の実施形態＞
　次に、本発明の第２の実施形態について説明する。本実施形態では金型コアであるマンドレルの形状が第１の実施形態と相違する。以下では第１の実施形態と共通する部位には同一符合を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。

　図８に本実施形態のマンドレル３０が示されている。図８では、紙面上方をマンドレル３０の基端側とし、紙面下方をマンドレル３０の先端側とする。図８に示すように本実施形態のマンドレル３０は、基端部３１から先端部３２までの断面形状（長手方向に直交する方向の断面）が一定ではない棒状体であるが、基端部３１から先端部３２までの区間におけるその外周長さは同一に設定されている。

　図９には、マンドレル３０の基端部３１の円形の断面と先端部３２の多角形の断面とが示されている。先端部３２の断面は八角形とされ、各辺の長さは全て同一である。図９において、符号Ａはこの先端部３２の一辺の長さを示し、符号Ｄ１は基端部３１の直径（外径寸法）を示し、符号Ｄ２は先端部３２の最大外径寸法を示している。

　図９を用いて、マンドレル３０の基端部３１から先端部３２までの外周長さが同一であることを具体的に説明する。先端部３２の外周長さ（８×Ａ）は、基端部３１の外周長さ（πＤ１）に等しい。また、基端部３１と先端部３２との間に位置する断面においても、基端部３１の円形の断面及び先端部３２の多角形の断面と同一の外周長さに設定されている。

　また、マンドレル３０においては型抜きの容易性を考慮し、基端部３１の外形寸法Ｄ１がマンドレル３０の長手方向全域において最大となるように設定されている。換言すれば、マンドレル３０において、基端部３１と先端部３２との間で、基端部３１の外形寸法Ｄ１を越える外径寸法の部位は無いように形成されている。例えば、本実施形態では先端部３２の最大外径寸法Ｄ２は、基端部３１の外形寸法Ｄ１に等しい。なお、外径寸法とは、マンドレル３０の断面においてマンドレル３０の中心点を通る直線で結ばれた、対向する箇所間の距離である。また、マンドレル３０において、先端側に位置する断面の最大外径寸法が、基端側に位置する断面の最大外径寸法以下に設定されていればよい。このように設定することで、成型後のプラスチック容器をマンドレル３０から容易に抜き取ることができる。

　なお、図８では省略したが、マンドレル３０の先端部３２には図１０に示すように、第１の実施形態と同様の面取り部３３、溝部３４及び噴出孔３５が形成されている。マンドレル３０に対するラミネート筒状部材４の取付では、第１の実施形態と同様に、面取り部３３側からマンドレル３０の先端部３２にラミネート筒状部材４を押し込み、噴出孔３５からマンドレル３０とラミネート筒状部材４との間に空気を噴出しながらラミネート筒状部材４をマンドレル３０の基端部３１側に案内する。

　図１１には、マンドレル３０を用いて成形されたプラスチック容器４０が示されている。このプラスチック容器４０は、ラミネート筒状部材４で筒状に成形された胴部４１と、この胴部４１の一端側に一体的に成形された上側成形部４２と、胴部４１の他端側に一体的に成形された下側成形部４３とを備える。上側成形部４２は、環状の成形体であり、胴部４１の一端側の外周面に設けられている。下側成形部４３は、胴部４１の他端側を塞ぐように設けられ、マンドレル３０の先端部３２の形状に対応して多角形状となっている。

　この実施形態においても、プラスチック容器の製造コストを低減できるとともに製造効率を向上させることができ、また、筒状容器の品質も維持できる。また、バリエーションに富んだ形状のプラスチック容器の製造も可能となる。

　なお、以上で説明した第１，第２の実施形態における構成はこの発明の一例であり、部品構成や構造、形状、大きさ、数及び配置等を含め、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば第１の実施形態では、マンドレル３の先端部３Ａに形成した面取り部１３を所謂Ｃ面取り（マンドレル３の中心軸を含む面での断面形状が直線となる）としているが、これに代えて弧状の面取りを施してもよい。このような弧状の面取り部では、マンドレル３の中心軸を含む面での断面形状が弧状となっている。
　また、面取りを施さずに、マンドレル３の先端部３Ａに、マンドレル３の外径寸法よりも小さい外径寸法を有する別体コアを取り付けるようにしてもよい。なお、別体コアの外径は、被着前のラミネート筒状部材４の内径よりも小さく設定されている。
　また、第１の実施形態ではプラスチック容器２０が円筒状であり、ラミネート筒状部材４も円筒状である例を説明したが、プラスチック容器の胴部が断面視で矩形であるような場合にも、本発明は適用可能である。

　また、本実施形態では、受け渡し治具９を用いてマンドレル３，３０に対してラミネート筒状部材４を取り付ける例を説明したが、受け渡し治具９の構成は他の態様であってもよく、例えば受け渡し治具本体１５の断面形状が長手方向に関して一定でなくともよい。また、人手によってラミネート筒状部材４をマンドレル３，３０に対して取り付けてもよい。また、本実施形態では、樹脂からなる筒状部材を金型コアに対して取り付けているが、本発明は筒状部材を金属材料とした場合にも応用可能である。

　次に本発明の実施例を説明する。
　実施例１では、第１の実施形態で説明したマンドレル３及びラミネート筒状部材４に具体的な寸法を設定し、ラミネート筒状部材４をマンドレル３に対して取り付け、成形を行った。

　マンドレル３については、その直径が５５．６６ｍｍ、その外周長さが１７４．８６ｍｍである部材を用いた。ラミネート筒状部材４については、その直径が５４ｍｍ、その外周長さが１６９．６４ｍｍであり、マンドレル３の直径に対して３．０７％（（５５．６６－５４）／５４）、マンドレル３の外周長さに対して３．０７％（（１７４．８６－１６９．６４）／１６９．６４）小さい部材を用いた。

　また、ラミネート筒状部材４の材質としては、高密度ポリエチレン（以下「ＨＤＰＥ」と記載する場合がある、厚さ１００μｍ）／接着剤／ＰＥＴ（厚さ１２μｍ）／接着剤／アルミニウム箔（厚さ１２μｍ）／接着剤／ＨＤＰＥ（厚さ１２０μｍ）からなる部材を用いた。

　この実施例では、マンドレル３よりも直径及び内周長さの小さいラミネート筒状部材４を、マンドレル３の先端に押し込み、その後空気を噴出しながらマンドレル３の基端側に案内することで、ラミネート筒状部材４をマンドレル３に対して容易に取り付けられることが確認できた。成形後の容器にはシワ等の発生が無く、外観及び機能も良好な容器を得られることが確認できた。なお、上記と同様の寸法設定で、ラミネート筒状部材４の材質を、ＨＤＰＥ（厚さ１００μｍ）／接着剤／ＰＥＴ（厚さ１２μｍ）／接着剤／アルミニウム蒸着（厚さ１２μｍ）／接着剤／ＨＤＰＥ（厚さ１２０μｍ）とした部材を用いて取付及び成形を行ったが、同様に良好な結果が得られた。

　実施例２においても、第１の実施形態で説明したマンドレル３及びラミネート筒状部材４に具体的に寸法を設定し、ラミネート筒状部材４をマンドレル３に対して取り付け、成形を行った。

　マンドレル３については、その直径が３４．１４ｍｍ、その外周長さが１０７．２５ｍｍである部材を用いた。ラミネート筒状部材４については、その直径が３３．７４ｍｍ、その外周長さを１０６．００ｍｍであり、マンドレル３の直径に対して１．１９％（（３４．１４－３３．７４）／３３．７４）、マンドレル３の外周長さに対して１．１８％（（１０７．２５－１０６．００）／１０６．００）小さい部材を用いた。

　また、ラミネート筒状部材４の材質としては、ＨＤＰＥ（厚さ５０μｍ）／接着剤／ＰＥＴ（厚さ１２μｍ）／接着剤／酸化アルミニウム蒸着（厚さ１２μｍ）／接着剤／ＨＤＰＥ（厚さ１２０μｍ）からなる部材を用いた。

　この実施例でも、マンドレル３よりも直径及び内周長さの小さいラミネート筒状部材４を、空気を噴出しながらマンドレル３の基端側に案内することで、ラミネート筒状部材４をマンドレル３に対して容易に取り付けられることが確認できた。成形後の容器にはシワ等の発生が無く、外観及び機能も良好な容器を得られることが確認できた。

３，３０　マンドレル（金型コア）
３Ａ，３２　先端部
４　ラミネート筒状部材（薄肉筒状部材）
１０，３４　溝部
１１，３５　噴出孔（気体噴出孔）
１３，３３　面取り部（誘い部）
２０，４０　プラスチック容器
２１，４１　胴部

Claims

　同一断面形状で筒状に形成されたフィルム状の薄肉筒状部材を金型コアの外面に被着させる金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法であって、
　前記金型コアの先端部に前記薄肉筒状部材を押し込み、前記金型コアと前記薄肉筒状部材との間に気体を噴出しながら前記薄肉筒状部材を前記金型コアの基端側に案内し、前記金型コアの外面に前記薄肉筒状部材を被着させる金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記金型コアは外周長さが同一の棒状体に形成され、この外周長さが前記薄肉筒状部材の内周長さ以上に設定される請求項１に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記金型コアの外径寸法は、少なくとも該金型コアの基端において最大となるように設定される請求項１又は２に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記金型コアの先端部外面に気体噴出孔を形成し、該気体噴出孔から前記金型コアと前記薄肉筒状部材との間に気体を噴出する請求項１～３のいずれか１項に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記金型コアの先端部外面に溝部を形成し、該溝部に前記気体噴出孔を形成する請求項４に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記金型コアの先端部に前記薄肉筒状部材の押し込みを容易にする誘い部を設ける請求項１～５のいずれか１項に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記誘い部が、前記金型コアの先端部に形成される面取り部である請求項６に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　前記誘い部が、前記金型コアの先端部に取り付けられ前記金型コアの外径寸法よりも小さい外径寸法を有する別体コアである請求項６に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法。
　請求項１～８のいずれか１項に記載の金型コアに対する薄肉筒状部材の取付方法を用いて筒状容器を製造する筒状容器の製造方法。
　同一断面形状で筒状に形成されたフィルム状の薄肉筒状部材をその外面に被着させる金型コアであって、
　外周長さが同一の棒状体に形成され、この外周長さが前記薄肉筒状部材の内周長さ以上に設定され、その先端部外面に気体を噴出する気体噴出孔が形成されている金型コア。
　前記先端部外面に溝部が形成され、該溝部に前記気体噴出孔が形成されている請求項１０に記載の金型コア。
　前記金型コアの先端部に前記薄肉筒状部材の押し込みを容易にする誘い部が形成されている請求項１０又は１１に記載の金型コア。