WO2010050301A1

WO2010050301A1 - 映像表示システム

Info

Publication number: WO2010050301A1
Application number: PCT/JP2009/065697
Authority: WO
Inventors: 毅遠藤; 卓也岸本; 靖谷尻; 佳恵清水; 宏山口; 哲也野田
Original assignee: コニカミノルタオプト株式会社
Priority date: 2008-10-27
Filing date: 2009-09-09
Publication date: 2010-05-06

Abstract

　作業を支援するための映像表示システムであって、作業対象物４を認識するために配設する指標５と、該指標を撮影する撮影手段２１と、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段２２と、現実映像に付加映像を重畳表示する映像重畳手段と、付加映像の表示状態を制御する遅延表示制御手段を備えた構成とし、指標が認識された際に、指標に応じた内容を含んだ付加映像を表示し、その後の所定時間、もしくは、指標が認識されなくなった後の所定時間、前記付加映像を表示し、その後、前記遅延表示制御手段を介して所定の遅延表示制御を行う映像表示システム１とした。

Description

映像表示システム

　本発明は、作業者の作業を支援するための映像表示システムに関する。

　最近では、コンピューター・グラフィックスを利用して、現実映像にバーチャルな付加映像を加えて表示するＡＲ技術（Augmented　Reality：AR）を用いた映像表示システムが開発されてきている。また、このＡＲ技術を用いた映像表示システムにより作業者の作業を支援することが試みられている。

　さらに、頭部装着式の映像表示装置、すなわちＨＭＤ（Head　Mount　Display）が開発されてきており、このＨＭＤを用いることで、作業者の両手がフリーとなって、両手を用いた作業が容易となり作業性を向上させることができる。

　また、通信手段を介して、このＨＭＤを装着した作業者の作業を、遠隔地にいる指示者が作業支援を行うことも可能であって、ＨＭＤにカメラ手段を装着して、このカメラ手段で撮影された作業対象物の映像を、遠隔地に設けられた例えばホストコンピュータ等のモニタで観察しながら、作業者に音声や映像による作業に適した情報を提供することができる。

　作業者に作業に適した映像情報を提供するための、現実映像と付加映像とを同時に表示する方式には、ビデオカメラで撮影された現実映像に付加映像を重畳するビデオシースルー方式と、半透過型の光学部材を介して得られる実視野（現実映像）に付加映像を重畳する光学シースルー方式とがある。

　例えば、光学シースルー方式の装置として、作業者の頭部前方に視野を有する撮影手段（カメラ）と、画像を眼球に導く光学系を備えると共に、撮影手段を、作業者の移動に追随して移動させるとした頭部装着型の光学装置が既に提案されている（例えば、特許文献１参照）。

　また、作業者に作業の指示を容易に且つ正確に伝達するために、作業対象物を撮影する電子カメラと、外界をシースルー可能な表示ユニットとを備えた頭部装着式映像表示装置を用いて、作業者による作業の部位を指示する指標を作業対象物の光学像に重ねて表示するとした、遠隔作業支援システム及びその表示方法が既に提案されている（例えば、特許文献２参照）。

　ビデオシースルー方式と光学シースルー方式とのいずれの方式であっても、現実映像と付加映像とを同時に表示するので、これらの映像間のズレを抑制することが好ましく、ＨＭＤ型の映像表示装置を用いる場合に、このＨＭＤを装着している作業者の頭部の方向に応じた所定の付加映像を正確に表示することが好ましい。

特開平１１－８４３０７号公報特開２００８－１２４７９５号公報

　作業を支援するための映像表示システムにおいて、現実映像に付加映像を重畳表示する際に、指標を認識して、付加映像を正確に重畳表示することは可能である。しかし、作業者が作業をしている間、付加映像をずっと表示し続けると、作業するための実空間の視認を妨げることになって好ましくない。また、単に指標が認識されたときに付加映像を表示して、指標が認識されなくなったときに付加映像を消去する構成とすると、作業中に頭部を動かすと、指標が所定の検知範囲に入ったり出たりして、付加映像の表示と消去を繰り返し、映像がちらついてしまい、作業者の実視野や現実映像の視認を妨げる問題や、作業者の眼が疲労する問題などが生じる。

　特に、ＨＭＤでは、頭部にカメラ手段を装着しているので、頭部を少し移動させても、カメラの検知範囲から指標がすぐに外れてしまう。そのために、ＨＭＤを装着している作業者の頭部の移動に直ちに追従して付加映像を表示することは好ましくなく、作業する際の実視野や現実映像の視認を妨げず、作業者が容易に作業を行うことができる映像表示システムが求められている。

　そこで本発明は、作業者の作業を支援するための映像表示システムにおいて、現実映像に付加映像を重畳表示する際に、表示される付加映像が作業者の作業するための実視野や現実映像の視認を妨げず、作業者が容易に作業を行うことができる映像表示システムを提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために本発明は、作業対象物を認識するために作業対象物近傍に配設する指標を撮影する撮影手段と、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段と、現実映像に前記付加映像を重畳して表示する映像重畳手段と、前記付加映像の表示状態を制御する遅延表示制御手段と、を含んでなり、前記映像表示手段は、前記指標認識手段が指標を認識した際に認識された指標に応じた内容を含んだ前記付加映像を表示し、その後、指標が認識されなくなった際に、予め設定された所定時間、前記付加映像を継続表示し、その後で、前記遅延表示制御手段を介して所定の遅延表示制御を行う映像表示システムとしたことを特徴としている。

　上記の構成であれば、指標が認識され所定の付加映像を表示しているときに、指標が認識されなくなっても、直ちに付加映像を消去するのではなく、付加映像の表示状態を制御する所定の遅延表示制御を行うことで、現実映像が移動しても重畳される映像表示がちらつかない映像表示システムとなる。また、そのために、表示される付加映像が作業者の作業するための実空間の視認を妨げず、作業が容易となる映像表示システムを得ることができる。

　また、本発明は、作業対象物を認識するために作業対象物近傍に配設する指標を撮影する撮影手段と、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段と、現実映像に前記付加映像を重畳して表示する映像重畳手段と、前記付加映像の表示状態を制御する遅延表示制御手段と、を含んでなり、前記映像表示手段は、前記指標認識手段が指標を認識した際に、認識された指標に応じた内容を含んだ前記付加映像を予め設定された所定時間表示し、その後、前記遅延表示制御手段を介して所定の遅延表示制御を行うことを特徴としている。

　上記の構成であれば、作業開始の際に指標が認識され所定の付加映像を表示し、その後所定時間経過後に、付加映像の表示状態を制御する所定の遅延表示制御を行うことで、表示される付加映像が作業者の作業するための実空間の視認を妨げず、作業が容易となる映像表示システムを得ることができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記撮影手段と前記映像表示手段とが頭部装着式映像表示ユニットとして一体化されていることを特徴としている。この構成によると、撮影手段と映像表示手段を備える映像表示ユニットを作業者の頭部に装着しているのでハンズフリーとなる。そのために、作業者正面の作業対象物を撮影し、所定の付加映像を含んだ映像を作業者の眼に表示しながら両手を用いて作業することができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記指標認識手段は、前記撮影手段により撮影された指標を画像処理して認識することを特徴としている。この構成によると、任意の作業対象物に予め所定形態の指標を配設しておくことで、画像処理を介して認識される指標に対応した付加映像を選択して表示することができる。そのために、所定の作業対象物に適した付加映像を表示することができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記撮影手段が撮影した映像を伝送する通信手段を備える制御ユニットを設けたことを特徴としている。この構成によると、この撮影手段で撮影された作業対象物の映像を、遠隔地に設けられたホストコンピュータ等に伝送することができ、遠隔地に居る指示者が発する作業に適した情報を作業者に伝送することができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記制御ユニットが、さらにシャッター操作手段と映像記憶手段を備えて、前記撮影手段の撮影を制御することを特徴としている。この構成によると、作業者が伝送したい現実映像を撮影し記憶させることができる。そのために、作業中に不具合が生じた場合には、その不具合な状態を撮影し記憶させておくことで、効率のよいメンテナンスを行うことが可能となる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記映像重畳手段は、光学的に光路を合成する光学シースルー方式であることを特徴としている。この構成によると、作業者が直接視認する作業対象物に、該作業に適した付加映像を重畳表示して、所定の作業を確実に実行するよう支援することができる。

また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記映像重畳手段は、撮影された画像に電気的に映像を合成処理するビデオシースルー方式であることを特徴としている。この構成によると、ビデオ表示される現実映像に作業に適した付加映像を重畳表示して、所定の作業を確実に実行するよう支援することができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記映像表示手段が表示する映像は、前記指標のパターン情報によって設定されることを特徴としている。この構成によると、任意の作業対象物に予め所定の指標パターンを設定しておくことで、認識される指標パターンに対応した付加映像を選択して表示することができる。そのために、所定の作業対象物に適した付加映像を表示することができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記所定の時間は、前記指標のパターン情報によって設定されることを特徴としている。この構成によると、それぞれの作業に適した表示継続時間を予め設定しておくことができ、各種作業に適した作業支援が可能な映像表示システムとなる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記所定の時間は、前記制御ユニットに予め記憶されていることを特徴としている。この構成によると、所定の作業対象物に適した所定の時間を予め設定しおくことで、新たな設定操作は不要となり、作業者にとって操作容易な映像表示システムとなる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記遅延表示制御手段は、所定の時間経過後に、指標に応じた付加映像を表示画面から消去することを特徴としている。この構成によると、作業者が頭部を動かすと付加映像が消去され、現実映像のみが表示されるので、作業者の前方の視界が確保でき、映像がちらつくことがない。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記遅延表示制御手段は、所定の時間経過後に、指標に応じた付加映像を縮小表示することを特徴としている。この構成によると、作業者が頭部を動かすと付加映像が縮小され、現実映像が相対的に大きく表示されるので、作業者の前方の視界が確保できる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記遅延表示制御手段は、所定の時間経過後に、指標に応じた付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示することを特徴としている。この構成によると、作業者が頭部を動かすと付加映像の彩度や輝度が弱められるので、現実映像が相対的に強く表示され、作業者の前方の視界が確保できる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記遅延表示制御の後、次に指標認識を再開するまでに、所定の待機期間を設けたことを特徴としている。この構成によると、所定の指標に応じた付加映像の表示を頻繁に切り替えることなく、実視野が認識しづらくなることを防止して、所定の作業を確実に行うことができる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記待機期間中であっても、先に認識した指標とは異なる新たな指標を認識したときには、前記待機期間を終了して、前記新たな指標に応じた新たな付加映像を表示することを特徴としている。この構成によると、待機処理中であっても、次の新たな指標を認識したときには、この時点から指標認識と表示開始処理を開始するので、異なる作業を効率よく行うことができ、生産性が向上する映像表示システムとなる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記待機期間は、前記指標のパターン情報によって設定されることを特徴としている。この構成によると、それぞれの作業に適した待機期間を予め設定しておくことができ、効率のよい作業支援が可能な映像表示システムとなる。

　また本発明は上記構成の映像表示システムにおいて、前記待機期間は、前記制御ユニットに予め記憶されていることを特徴としている。この構成によると、所定の作業手順に適した所定の時間を予め設定しおくことで、新たな設定操作は不要となり、作業者にとって操作容易な映像表示システムとなる。

　本発明によれば、指標が認識され所定の付加映像を表示しているときに、指標が認識されなくなっても、直ちに付加映像を削除するのではなく、所定の表示制御を行うことで、現実映像が移動しても重畳される映像表示がちらつかない映像表示システムを得ることができる。また、作業開始の際に指標が認識され所定の付加映像を表示し、その後所定時間経過後に、付加映像の表示状態を制御する所定の遅延表示制御を行うことで、表示される付加映像が作業者の作業するための実空間の視認を妨げず、作業が容易となる映像表示システムを得ることができる。

は、本発明に係る映像表示システムの概略説明図であって、（ａ）は作業者と作業対象物の配置を示す概略説明図を示し、（ｂ）は作業対象物の概略説明図を示す。は、本発明に係る付加映像の表示内容の説明図であって、（ａ）は付加映像の表示内容が制御される指標検知範囲がずれた状態を示す概略説明図であり、（ｂ）は付加映像の第一表示形態を示し、（ｃ）は付加映像の第二表示形態を示し、（ｄ）は付加映像の第三表示形態を示す。は、本発明に係る映像表示システムに用いられる表示ユニットを示す概略説明図であり、（ａ）に光学シースルー方式の一例を示し、（ｂ）にビデオシースルー方式の一例を示す。は、指標構成により表示内容が異なる例を示す概略説明図であって、（ａ）に第一の指標構成例を示し、（ｂ）に第二の指標構成例を示す。は、本発明に係る第一実施形態と第二実施形態の映像表示システムのフローチャートを示す。は、本発明に係る第一実施形態と第二実施形態の映像表示システムのタイムチャートを示し、（ａ）に第一実施形態のタイムチャートを示し、（ｂ）に第二実施形態のタイムチャートを示す。は、指標の配設位置を異ならせた実施形態を示す説明図であって、（ａ）は指標を認識する検知範囲を示す概略説明図であり、（ｂ）は作業対象物を視認する検知範囲を示す概略説明図である。は、本発明に係る第三実施形態の映像表示システムの操作手順を示し、（ａ）はフローチャートを、（ｂ）はタイムチャートを示す。は、本発明に係る第四実施形態の映像表示システムの操作手順を示し、（ａ）はフローチャートを、（ｂ）はタイムチャートを示す。は、本発明に係る第五実施形態の映像表示システムの操作手順を示し、（ａ）はフローチャートを、（ｂ）はタイムチャートを示す。は、本発明に係る第六実施形態の映像表示システムの操作手順を示し、（ａ）はフローチャートを、（ｂ）はタイムチャートを示す。

　以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。

　先ず、図１を用いて本実施形態に係る映像表示システムについて説明する。本実施形態に係る映像表示システム１は、作業者Ａの作業を支援するために、作業に有用な情報を映像化して表示するシステムであって、作業対象物を認識するために作業対象物近傍に配設する指標と、該指標と現実映像を撮影する撮影手段と、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段と、現実映像に前記付加映像を重畳して表示する映像重畳手段と、を備えている。

　また、図１（ａ）に示すように、撮影手段２１と映像表示手段２２とを頭部装着式映像表示ユニット２として一体化してハンズフリーとなる構成としている。そのために、フリーな両手を用いて所定の作業を行うことができる。このように、本実施形態に係る頭部装着式映像表示ユニット２を用いる構成であれば、撮影手段２１と映像表示手段２２を備える映像表示ユニット２を作業者Ａの頭部に装着して、作業者Ａが対面している作業対象物４を撮影し、所定の付加映像を含んだ映像を作業者Ａの眼に表示することができる。

　３は撮影手段２１と映像表示手段２２に電気的に接続される制御ユニットであり、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段と、現実映像に前記付加映像を重畳して表示する映像重畳手段等の種々の制御機能を備えている。また、シャッターボタン３１と送信ボタン３２と表示部３３を有し、撮影手段２１が撮影した映像を伝送する通信手段と、前記撮影手段の撮影を制御するシャッター操作手段と映像記憶手段を備える構成とされている。また、これらの通信手段とシャッター操作手段と映像記憶手段と後述する遅延表示制御手段、および指標に応じた表示映像を記憶するメモリー部が、ユニット内に設ける制御コントローラ３４に一体構成されている。

　上記したように本実施形態の映像表示システムは通信手段を備えているので、撮影手段２１で撮影された作業対象物４の映像を、遠隔地に設けられたホストコンピュータ等に伝送することができ、遠隔地に居る指示者が発する作業に適した情報を作業者Ａに伝送することができる。また、作業状況の伝達のための撮影は、指標５を認識するための撮影手段２１を兼用して行うことができる。

　指標５は、図１（ｂ）に示すように、架台６に支持されている作業対象物４の近傍に、例えば、作業対象物４の周囲に配設される複数の指標５Ａ、５Ｂ、５Ｃ、５Ｄからなる。この構成であれば、作業者Ａが頭部装着式の映像表示ユニット２を装着して、作業対象物４を視認すると、映像表示ユニット２が備える撮影手段２１の検知範囲ＷＡに、指標５（５Ａ、５Ｂ、５Ｃ、５Ｄ）の全てが入ることになる。そのために、作業対象物４の周囲に複数の指標５Ａ、５Ｂ、５Ｃ、５Ｄが配設された本実施形態では、作業者Ａが作業対象物４に対面すると、周囲に指標５（５Ａ、５Ｂ、５Ｃ、５Ｄ）が配置された作業対象物４の全景が、撮影手段２１の検知範囲ＷＡ内に入る構成となる。

　また、作業者Ａが頭部を移動させると、映像表示ユニット２の撮影手段２１も移動して、検知範囲ＷＡが作業対象物４から外れる。すなわち、作業者Ａが作業対象物４を正しく視認している状態では、作業対象物４および指標５が撮影手段２１の検知範囲ＷＡに入り、作業者Ａが作業対象物４を正しく視認していない状態では、作業対象物４もしくは指標５のいずれか、または両者が撮影手段２１の検知範囲ＷＡから外れる状態となる。

　そのために、撮影手段２１を用いて、作業者Ａが作業対象物４に対する作業が可能な状態か否かを判別することができ、作業対象物４が撮影手段２１の検知範囲ＷＡに入った時に、映像表示ユニット２２に、認識された作業対象物４の操作部４１を操作する作業内容を示す所定の付加映像を表示することができる。符号４２で示す「００３」は、例えば、作業対象物４のパネル番号を示す。

　次に、図２を用いて本実施形態に係る遅延表示制御について説明する。図２（ａ）に示す検知範囲ＷＡ１は、作業対象物４および指標５（５Ａ、５Ｂ、５Ｃ、５Ｄ）が全て検知範囲に入っている状態であり、検知範囲ＷＡ２は、作業対象物４および指標５Ａ、５Ｂ、５Ｃが検知範囲から外れた状態を示している。

　作業者Ａの視認領域が作業対象物４から外れると、作業を行わない状態となるので、作業支援のための付加映像を表示する必要がなくなる。しかし、作業中に、例えば、手元の道具などを見たり、作業対象物を見たりすることを繰り返して、指標が所定の検知範囲に入ったり出たりする際に、付加映像の表示と消去を繰り返すと、映像がちらついてしまい好ましくない。そのために、本実施形態では、指標が認識されなくなった際に、予め設定された所定の時間前記付加映像を表示し、その後に、表示状態を遅延表示制御手段によって遅延表示制御する映像表示システムとしたものである。

　前記遅延表示制御手段による表示状態の制御形態例として、例えば、図２（ｂ）に示す第一表示形態では、所定時間の経過後に、指標に応じた付加映像２２１を表示画面２２０から消去する構成としている。この構成の遅延表示制御であれば、作業者Ａが頭部を動かしたりして指標が認識されなくなって所定時間経過すると、付加映像２２１が消去され無映像２２１Ａとなって、現実映像（実視野）のみが観察されるので、作業者の前方の視界が確保でき、映像がちらつくことがない。

　ここで、２２２は例えば、作業対象物４に応じて予め設定される指標５に対応した作業内容表示部であって、認識される指標５（５Ａ、５Ｂ、５Ｃ、５Ｄ）に応じた所定の作業内容がＡ－０１であることを表示している。また、作業内容ではなく、着用する映像表示ユニット２の機台番号を示すこともできる。２２３は、例えば映像表示ユニット２の電池容量を示す表示であって、撮影手段２１や制御ユニットに供給する電力が十分かどうかを確認することができる。

　また、図２（ｃ）に示す第二表示形態のように、所定時間の経過後に、指標に応じた付加映像２２１を縮小表示する構成とすることができる。この構成の遅延表示制御であれば、指標が認識されなくなって所定時間経過すると表示画面２２０に表示されている付加映像２２１が縮小されて縮小映像２２１Ｂとなって、現実映像が相対的に大きく表示されるので、作業者の前方の視界が確保できる。

　さらに、図２（ｄ）に示す第三表示形態のように、所定時間の経過後に、指標に応じた付加映像２２１の彩度および／又は輝度を落として表示する構成とすることもできる。この構成の遅延表示制御であれば、指標が認識されなくなって所定時間経過すると付加映像２２１の彩度や輝度が弱められた薄い映像２２１Ｃとなるので、現実映像が相対的に強く表示され、作業者の前方の視界が確保できる。

　前述したように、作業者に作業に適した映像情報を提供するための、現実映像に付加映像を重畳表示する方式には、撮影手段で撮影された現実映像に付加映像を重畳するビデオシースルー方式と、半透過型の光学部材を介して得られる現実映像（実視野）に付加映像を重畳する光学シースルー方式とがある。この光学シースルー方式の一例を図３（ａ）に示し、ビデオシースルー方式の一例を図３（ｂ）に示す。

　図３（ａ）に示す光学シースルー方式の映像表示ユニット２Ａは、耳掛けフレーム２３とリムフレーム２４と鼻当て２５を備えた頭部装着式の映像表示ユニットである。また、頭部前方の所定範囲を撮影するカメラからなる撮影手段２１と外界をシースルー可能な映像表示手段２２Ａと、前述した制御ユニット３を備えている。

　映像表示手段２２Ａは、透明基板２２４と半透過型の光学部材を含む接眼光学系２２５を有し、作業者が直接視認する作業対象物に、該作業に適した付加映像を重畳表示する構成の光学シースルー方式の表示ユニットである。作業者は、透明基板２２４を透過する外界の実視野を観察することができ、また、半透過型の光学部材を含む接眼光学系２２５を介して外界の実視野を観察することができる。

　接眼光学系２２５は、コリメータレンズやＬＣＤ表示部やプリズムなどを備えて構成される公知の光学系を用いることができ、制御ユニット３から伝送される所定の付加映像を表示する。

　上記の光学シースルー方式の映像表示ユニット２Ａを装着して作業を行うと、作業者が直接視認する作業対象物に、作業に適した付加映像が重畳表示されるので、所定の作業を間違いなく確実に実行することができる。このように、光学シースルー方式なので作業者は外界像を解像度の劣化なく観察できる。なお、半透過型の光学部材には部分透過ミラーやホログラム光学素子などを用いることができる。特に反射型ホログラムを用いれば、鋭い回折波長選択性を持つために良好なシースルー特性を確保することができ、さらに接眼光学系の光学パワーの一部を担うことができるので小型化できる。

　また、この映像表示ユニット２Ａを装着した作業者が頭部を移動して指標が認識されなくなっても、予め定められた所定時間はその重畳表示を維持するので、所定時間内に頭部を元の位置に戻せば、そのまま所定の作業を続行することができる。

　予め定められた所定時間を越えて、頭部を移動した場合には、前述した、所定時間の経過後に付加映像を表示画面から消去する第一表示形態、所定時間の経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定時間の経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態のいずれかの遅延表示制御を行うことで、重畳される映像表示のちらつきが気にならない映像表示システムを構築することができる。

　図３（ｂ）に示すビデオシースルー方式の映像表示ユニット２Ｂも、耳掛けフレーム２３とリムフレーム２４と鼻当て２５を備えた頭部装着式の映像表示ユニットである。また、頭部前方の所定範囲を撮影するカメラからなる撮影手段２１と制御ユニット３を備えていることも前述した映像表示ユニット２Ａと同様である。ただ、表示ユニットが異なり、ビデオ映像を表示するＬＣＤ表示部２２６を両眼に備えた構成とされている点が異なる。

　ビデオ映像を表示するＬＣＤ表示部２２６には、撮影手段２１が撮影した現実映像を表示すると共に、撮影手段２１が撮影した指標に応じた付加映像が重畳表示される。２２７は、付加情報を現実映像に重畳表示する合成部である。

　このビデオシースルー方式の映像表示ユニット２Ｂを装着して作業を行う場合でも、作業者が対面している作業対象物の現実映像に、作業に適した付加映像を重畳表示することができるので、所定の作業を間違いなく実行することができる。

　また、この映像表示ユニット２Ｂを装着した作業者が頭部を移動して指標が認識されなくなっても、予め定められた所定時間はその重畳表示を維持するので、所定時間内に頭部を元の位置に戻せば、そのまま所定の作業を続行することができる。

　また、この場合でも、指標が認識されなくなって所定時間経過すると、前述した、所定時間の経過後に付加映像を表示画面から消去する第一表示形態、所定時間の経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定時間の経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態のいずれかの制御を行うことで、重畳される映像表示のちらつきが気にならない映像表示システムを構築することができる。

　予め定められた所定時間とは、作業対象物を認識するために作業対象物近傍に配設する指標のパターン情報によって設定することができる。この構成であれば、それぞれの作業に適した表示継続時間を所定時間として予め設定し、それぞれの作業内容に応じた指標パターンに設定しておくことで、各種作業に適した作業支援が可能な映像表示システムとなる。

　また、前記所定時間は、制御ユニット３に予め記憶させておくことが好ましい。この構成であれば、所定の作業対象物にそれぞれ適した所定時間を予め設定して記憶させておくことで、新たな設定操作は不要となり、作業者にとって操作容易な映像表示システムとなる。

　映像表示手段２２（２２Ａ、２２Ｂ）が表示する映像は、指標５のパターン情報によって設定しておくことができる。例えば、図４（ａ）に示すように、例えば、黒丸の指標５Ａａと５Ｃａと、白丸の指標５Ｂｂと５Ｄｂを、図示する配置で認識した場合には、作業対象物００３の操作部４１を右回りに回転する「００３－Ｒｉｇｈｔ」の表示を行う。また、図４（ｂ）に示すように、例えば、黒丸の指標５Ａａと５Ｄａと、白丸の指標５Ｂｂと５Ｃｂを、図示する配置で認識した場合には、作業対象物００４の操作部を左回りに回転する「００４－Ｌｅｆｔ」の表示を行う。

　上記の構成であれば、任意の作業対象物に予め所定の指標パターンを設定しておくことで、認識される指標パターンに対応した付加映像を選択して表示することができ、所定の作業対象物に適した付加映像を表示することが可能となる。

　指標５のパターン情報は上記した例以外のパターンでもよく、例えば、丸型や三角型や四角型などの異なる形状を組み合わせる方法や、発光ダイオードの発光色や点滅状態などのパターン情報を用いる方法や、これらの方法を組み合わせたパターン情報を用いることができる。

　そのために、指標認識手段は、撮影手段２１により撮影された指標５を画像処理して認識する構成としている。この構成であれば、任意の作業対象物に予め所定形態の指標を配設しておくことで、画像処理を介して認識される指標に対応した付加映像を選択して表示することができ、所定の作業対象物に適した付加映像を表示することができる。

　また、図７に示すように、作業対象物４の近傍ではあるが、作業対象物４が検知範囲に入らない区域に指標５Ｅ、５Ｆ、５Ｇからなる指標５を配設することも可能である。この構成であれば、作業開始の際には、まず、図７（ａ）に示すように、指標５を視認する検知範囲ＷＡ１´に頭部を移動し指標５を認識する。すると、所定時間この指標５（５Ｅ、５Ｆ、５Ｇ）に応じた所定の付加映像が表示されることになる。そのために、この状態で、図７（ｂ）に示すように、作業対象物４を視認する検知範囲ＷＡ２´に頭部を移動して所定の作業を開始することができる。このような構成の本実施形態によっても、作業開始時に指標５（５Ｅ、５Ｆ、５Ｇ）に応じた付加情報が所定時間表示し、所定時間経過後に遅延表示制御するので、作業中は作業者の前方の視界が確保でき、作業するための実空間の視認が容易となる。

　次に、本実施形態に係る映像表示システムの遅延表示制御の操作手順について図５を用いて説明する。

　作業者が本実施形態に係る頭部装着式の映像表示ユニット２を装着して所定の作業対象物に対面して作業を開始するときに、開始ボタンが操作され、映像表示システムがスタートする。

　図５のフローチャートに示すように、映像表示システムがスタート（ステップＳ１）すると、まず、初期化処理が行われ（ステップＳ２）、指標認識（ステップＳ３）が開始される。予め設定された所定の指標が認識されると、矢印Ｙｅｓに示す表示開始処理（ステップＳ４）が実行され、タイマーリセット（ステップＳ５）、タイマースタート（ステップＳ６）が実行される。

　この状態で、指標認識を続行し（ステップＳ７）、指標が認識されている場合には、ステップＳ５、ステップＳ６を繰り返す。また、ステップＳ７で指標が認識されなくなると、そのときに、タイマーカウントが開始され、予め設定した所定時間ｔｓと比較する（ステップＳ８）。指標が認識されない時間Ｔが、予め設定した所定時間ｔｓより短い時間であれば、矢印Ｙｅｓに示すステップＳ６とステップＳ７の間の操作状態に戻り、指標が認識されない時間Ｔが、予め設定した所定時間ｔｓより長くなれば、矢印Ｎｏに示す所定の遅延表示制御（ステップＳ９）が開始される。また、この後は、初期化処理された状態に戻り、新たな指標が認識されて次の処理が開始される構成となる。

　次に、遅延表示制御の第一、第二実施形態について図６を用いてさらに詳細に説明する。

　図６（ａ）に示す第一実施形態のタイムチャートには、指標が認識された時刻Ｔ０と、指標が認識されなくなった時刻Ｔ１と、この時刻Ｔ１から予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２が表示されている。

　その際に、本実施形態の遅延表示制御としては、指標が認識された時刻Ｔ０から、指標が認識されなくなった時刻Ｔ１から予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２まで、作業に適した所定の付加映像を重畳表示する構成としたものである。つまり、指標が認識されなくなった時刻Ｔ１から予め設定した所定時間ｔｓ経過した時刻Ｔ２で、所定の遅延表示制御を行う構成としている。つまり、指標が認識されなくなってから、所定時間の経過後に付加映像を表示画面から消去する第一表示形態、所定時間の経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定時間の経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態のいずれかの遅延表示制御を行う。

　また、図６（ｂ）に示す第二実施形態では、指標が認識された時刻Ｔ０と、指標が認識されなくなった時刻Ｔ１と、再度指標が認識された時刻Ｔ３と、その後で再び指標が認識されなくなった時刻Ｔ４と、この時刻Ｔ４から予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２が表示されている。

　この実施形態では、一旦指標が認識されなくなってから予め設定された遅延表示時間である所定時間ｔｓが経過する前に、再度指標が認識された場合には、重畳表示している付加映像を表示続行することを示している。また、所定の映像表示を続行した後で、再び指標が認識されなくなって所定時間経過すると前述した所定の遅延表示制御を行う。

　上記の構成であれば、作業中に、例えば、作業者が作業対象物から眼をそらして手元の道具などを見たり、周囲を確認したりしても、予め設定した所定時間ｔｓ以内に作業対象物を見ることにすれば、重畳表示している付加映像が継続表示されることになって、映像がちらつくこともなく、作業者の眼が疲労する問題も生じない。

　以上説明したように、本発明に係る第一、第二実施形態によれば、指標が指標認識手段によって認識された際に、指標に応じた内容を含んだ付加映像を表示し、その後、指標が認識されなくなった際に、予め設定された所定時間，前記付加映像を継続表示し、その後で、前記付加映像の表示状態を制御する遅延表示制御手段を介して所定の遅延表示制御を行う映像表示システムとしたので、光学シースルー方式およびビデオシースルー方式のいずれであっても、指標が認識され所定の付加映像を表示しているときに、作業者が頭部を移動して指標が認識されなくなっても、直ちに付加映像を削除するのではなく、所定の遅延表示制御を行うことで、現実映像に重畳表示される付加映像表示がちらつかない映像表示システムを得ることができる。

　また、遅延表示制御として、指標が認識されなくなってから、所定時間の経過後に付加映像を表示画面から消去する第一表示形態、所定時間の経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定時間の経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態のいずれかの遅延表示制御を行うことで、重畳表示される映像表示のちらつきが気にならず、また、表示される付加映像が作業者の作業するための実空間の視認を妨げず、作業が容易となる映像表示システムを得ることができる。

　次に、本発明に係る第三から第六実施形態の映像表示システムについて説明する。この第三～第六実施形態では、指標が認識されて作業が開始されたときに表示する付加映像を、予め設定された所定の時間表示し、その後で所定の遅延表示制御を実行する映像表示システムとしたものである。

　遅延表示制御の制御形態例としては、図２で説明したように、所定の時間経過後に付加映像を消去する第一表示形態、所定の時間経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定の時間経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態がある。

　第一表示形態では、作業者Ａが作業対象物４を視認して作業を開始すると、まず所定の付加映像が表示され、その後の所定時間経過後に付加映像２２１が消去され無映像２２１Ａとなって、現実映像（実視野）のみが観察される。そのために、作業者の前方の視界が確保でき、作業するための実空間の視認が容易となる。

　第二表示形態では、作業開始後の所定時間経過後に表示画面２２０に表示されている付加映像２２１が縮小されて縮小映像２２１Ｂとなって、現実映像が相対的に大きく表示されるので、作業者の前方の視界が確保でき、作業を容易に行うことができる。

　第三表示形態では、作業開始後の所定時間経過後に付加映像２２１の彩度や輝度が弱められた薄い映像２２１Ｃとなるので、現実映像が相対的に強く表示され、作業者の前方の視界が確保でき、作業を容易に行うことができる。

　次に、第三～第六実施形態に係る映像表示システムの遅延表示制御の操作手順の実施形態について図８から図１１を用いて説明する。

（操作手順の第三実施形態）
　図８（ａ）に示すフローチャートは、作業者が本実施形態に係る頭部装着式の映像表示ユニット２を装着して所定の作業対象物に対面して作業を開始して所定時間ｔｓ経過後に付加映像が消去される基本的な操作手順を示している。そのために、作業者が所定の作業対象物に対面して作業を開始する際に、開始ボタンが操作され、映像表示システムがスタートする。

　映像表示システムがスタート（ステップＳ１）すると、まず、初期化処理が行われ（ステップＳ２）、指標認識（ステップＳ３）が開始される。予め設定された所定の指標が認識されると、矢印Ｙｅｓに示す表示開始処理（ステップＳ４）が実行され、タイマーリセット（ステップＳ５）、タイマースタート（ステップＳ６）が実行される。

　それから、経過時間Ｔと予め設定される所定時間ｔｓと比較する（ステップＳ７）処理が実行され、経過時間Ｔが、予め設定した所定時間ｔｓより短い時間であれば、付加映像の表示を続行し、経過時間Ｔが、予め設定した所定時間ｔｓより長くなれば、矢印Ｙｅｓに示す所定の遅延表示制御（ステップＳ８）が開始される。

　図８（ｂ）にこの際のタイムチャートを示す。時刻Ｔ０で指標が認識され所定の付加映像の表示が開始される。また、この時点からタイマーリセット・タイマースタートされて表示経過時間が計測され、予め設定される所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２で、例えば付加映像を消去する（付加映像の表示を停止する）遅延表示制御が実行される。

　またこの図は、指標が認識されなくなった時刻Ｔ１が、所定時間ｔｓよりも長い時間経過後の時刻であれば、所定時間ｔｓ経過後から所定の遅延表示制御を行い、所定時間ｔｓよりも短い時間の時刻Ｔ１´で指標が認識されなくなった場合は、まだ、付加映像の表示を続行し、所定時間ｔｓ経過後から所定の遅延表示制御を行うことを示している。

　このように、本実施形態の遅延表示制御としては、指標が認識された時刻Ｔ０から、予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２まで、作業に適した所定の付加映像を重畳表示して、その後で所定の遅延表示制御を実行する構成としたものである。例えば、指標が認識された時刻Ｔ０から予め設定した所定時間ｔｓ経過するまで付加映像の映像表示を続行し、この時刻Ｔ２で、付加映像を表示画面から消去する第一表示形態を実行する。

　また、付加映像を表示画面から消去する第一表示形態ではなく、所定の時間経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定の時間経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態のいずれかの制御を行うことでも、表示される付加映像が作業者の作業するための実空間の視認を妨げず、作業者が容易に作業を行うことができる映像表示システムを構築することができる。

（操作手順の第四実施形態）
　図９（ａ）に示すフローチャートは、作業者が本実施形態に係る頭部装着式の映像表示ユニット２を装着して所定の作業対象物に対面して作業を開始して所定時間ｔｓ経過後に遅延表示制御が実行される際に、新たな指標を認識したときには、付加映像の表示が続行され、新たな表示経過時間の計測される第四実施形態の操作手順を示している。

　作業者が所定の作業対象物に対面して作業を開始し、開始ボタンが操作され、映像表示システムがスタート（ステップＳ１）すると、まず、初期化処理が行われ（ステップＳ２）、指標認識（ステップＳ３）が開始される。予め設定された所定の指標が認識されると、矢印Ｙｅｓに示す表示開始処理（ステップＳ４）が実行され、タイマーリセット（ステップＳ５）、タイマースタート（ステップＳ６）が実行される。

　また、新たな指標認識（ステップＳ９）が認識されると、新たな遅延表示制御（ステップＳ８）を行う構成としている。この新たな遅延表示制御は、先の所定時間ｔｓ経過後に実行することも、先の所定時間ｔｓ内に新たな指標認識が認識されたときに実行することも可能である。

　図９（ｂ）にこの際のタイムチャートを示す。時刻Ｔ０で指標が認識され所定の付加映像の表示が開始される。また、この時点からタイマーリセット・タイマースタートされて表示経過時間が計測されるが、本実施形態では、時刻Ｔ１で指標の認識が停止し、予め設定される所定時間ｔｓより早い時刻Ｔ３で新たな指標が認識され、時刻Ｔ４まで続いている例を示している。そのために、予め設定される所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２で、新たな指標が認識されているので、この時点から再度タイマーリセット・タイマースタートして表示経過時間の計測を開始するものである。

　時刻Ｔ２時点で、新たな指標を認識しているので、この時点から新たな表示経過時間の計測を開始して、所定時間ｔｓ経過後に所定の遅延表示制御を実行する。また、前述したように、時刻Ｔ２の前に、新たな指標を認識した場合に、その時点で先の表示経過時間の計測を停止して、新たな表示経過時間の計測を開始する構成としてもよい。

　このように、本実施形態の遅延表示制御としては、指標が認識された時刻Ｔ０から、予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２まで、作業に適した所定の付加映像を重畳表示すると共に、この時刻Ｔ２あるいは時刻Ｔ２の前でも、新たな指標を認識した際には、その認識された指標に応じた付加映像を表示し、新たな表示経過時間の計測を開始する構成としたものである。例えば、指標が認識された時刻Ｔ０から予め設定した所定時間ｔｓ経過した後の時刻Ｔ２で、新たな指標を認識している場合には、この時刻Ｔ２からさらに、所定時間ｔｓ経過した後の時刻で付加映像の表示を停止する第一表示形態を実行する。

（操作手順の第五実施形態）
　図１０（ａ）に示すフローチャートは、作業者が本実施形態に係る頭部装着式の映像表示ユニット２を装着して所定の作業対象物に対面して作業を開始して所定時間ｔｓ経過後に遅延表示制御が実行されるが、この後で、新たな指標を認識するまでに、所定の待機期間を設けて、予め設定される待機期間の後で新たな指標の認識を開始する構成とした第五施形態の操作手順を示している。

　また、遅延表示制御が実行された後で、次の新たな指標認識（ステップＳ３）を開始するまでに、所定の期間待機する待機処理（ステップ９）を行う構成としている。つまり、先の遅延表示制御が実行された後、所定の待機期間内では新たな指標の認識は実行されない。

　図１０（ｂ）にこの際のタイムチャートを示す。時刻Ｔ０で最初の指標が認識され所定の付加映像の表示が開始される。また、この時点からタイマーリセット・タイマースタートされて表示経過時間が計測されるが、本実施形態では、時刻Ｔ１で最初の指標の認識が停止し、時刻Ｔ３から時刻Ｔ４の間で次の指標が認識され得る状態（指標が検知範囲にある状態）にあり、さらに、時刻Ｔ５からＴ６までさらに新たな指標が認識され得る状態にある例を示している。しかし、本実施形態では、新たな指標認識を開始する待機期間ｔｄを設定しているので、先の指標が認識された時刻Ｔ０から所定時間ｔｓ後さらに待機期間ｔｄ経過後までは新たな指標認識を実行しない。そのために、待機期間ｔｄを加えた時間内の時刻Ｔ３から時刻Ｔ４までの指標認識は新たな指標としては認識されず、待機期間ｔｄ後に相当する時刻Ｔ５で認識される指標が新たな指標として認識され、この時点から再度タイマーリセット・タイマースタートして所定時間ｔｓの計測を開始するものである。

　このように、指標が認識された時刻Ｔ０から、予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２まで、作業に適した所定の付加映像を重畳表示すると共に、この時刻Ｔ２から所定の待機期間ｔｄ内では、次の指標認識を実行せず、所定の待機期間ｔｄ経過後から新たな指標認識を開始する構成とした本実施形態によれば、所定の指標に応じた付加映像の表示を頻繁に切り替えることなく、所定の作業を余裕を持って行うことができる。

　そのために、所定時間の付加映像表示の後で実行する遅延表示制御としては、例えば、指標が認識された時刻Ｔ０から予め設定した所定時間ｔｓまで、また、この所定時間ｔｓ後の待機期間ｔｄ経過後の、新たな指標を認識した時刻Ｔ５から所定時間ｔｓまで所定の付加映像を表示し、その後で、付加映像の表示を停止する（付加映像を消去する）第一表示形態を実行する。

（操作手順の第六実施形態）
　図１１（ａ）に示すフローチャートは、作業者が本実施形態に係る頭部装着式の映像表示ユニット２を装着して所定の作業対象物に対面して作業を開始して所定時間ｔｓ経過後に遅延表示制御を実行し、所定の待機期間を設けているが、この待機間中に、待機処理を解除する解除ボタンが押されると、先の待機処理を停止して、新たな指標の認識を開始する構成とした第六実施形態の操作手順を示している。なお、解除ボタンは制御ユニット３に設けられている（不図示）。

　また、遅延表示制御が実行された後で、待機期間を検出するための待ちタイマーリセット（ステップＳ９）と、待ちタイマースタート（ステップＳ１０）が実行される。それから、経過時間Ｔａが所定の待機期間ｔｄを越えたか否かを検出する待機処理（ステップ１１）を行い、新たな指標認識を行う構成としている。この待機処理の間、つまり待機期間の途中で、解除ボタンが押されたことを検知する（ステップ１２）と、先の待機処理を停止して新たな指標認識と新たな表示開始処理が開始される。

　図１１（ｂ）にこの際のタイムチャートを示す。時刻Ｔ０で最初の指標が認識され所定の付加映像の表示が開始される。また、この時点からタイマーリセット・タイマースタートされて表示経過時間が計測され、予め設定される所定時間ｔｓの間表示してその後所定の遅延表示処理が実行される（時刻Ｔ２）。またこの時点から待機処理が実行される。本実施形態では、時刻Ｔ１で最初の指標認識が停止し、時刻Ｔ３から時刻Ｔ８の間で次の指標が認識され得る状態にある例を示している。しかし、本実施形態では、新たな指標認識を開始する待機期間ｔｄを設定しているので、待機期間ｔｄ経過後でなければ新たな指標認識を開始しない。しかし、この待機処理中の時刻Ｔ７で解除ボタンが押されると、待機処理を中止し、指標認識を行う。解除ボタンが押された時刻Ｔ７から新たな表示時間の計測を開始して所定時間ｔｓ経過後（時刻Ｔ８）に所定の遅延表示制御を実行する。

　このように、本実施形態の遅延表示制御は、指標が認識された時刻Ｔ０から、予め設定した所定時間ｔｓ経過後の時刻Ｔ２まで、作業に適した所定の付加映像を重畳表示すると共に、この時刻Ｔ２から待機期間ｔｄの待機処理が実行されるが、この待機期間ｔｄの途中の時刻Ｔ７で解除ボタンが押された場合には、この時刻Ｔ７で先の待機処理を停止して新たな指標認識が実行される。そして、次の新たな付加映像を表示し、所定の遅延表示制御を行うための新たな表示経過時間が計測される。また、時刻Ｔ７から所定時間ｔｓまで所定の付加映像を表示し、その後で所定の遅延表示制御として、例えば、付加映像を表示画面から消去する第一表示形態を実行する。

　上記した本実施形態によれば、待機処理中であっても、次の新たな指標を認識したときには、この時点から指標認識と表示開始処理を開始するので、異なる作業を効率よく行うことができ、生産性が向上する映像表示システムとなる。

　以上説明したように、本発明に係る第三～第六実施形態によれば、指標が指標認識手段によって認識された際に、指標に応じた内容を含んだ付加映像を所定時間表示し、その後で、所定の遅延表示制御を行う映像表示システムとしたので、光学シースルー方式およびビデオシースルー方式のいずれであっても、作業開始時には作業に応じた所定の付加映像を表示して作業の支援を行うと共に、所定時間の経過後には所定の遅延表示制御を実行して、重畳表示される付加映像が作業者の作業するための実空間の視認を妨げず、作業者が容易に作業を行うことができる映像表示システムを得ることができる。

　また、遅延表示制御として、所定時間の経過後に付加映像を表示画面から消去する第一表示形態、所定時間の経過後に付加映像を縮小表示する第二表示形態、所定時間の経過後に付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示する第三表示形態のいずれかの遅延表示制御を行うことで、重畳される映像表示のちらつきが気にならず、作業者の作業するための実空間の視認を妨げない映像表示システムを構築することができる。

　また、所定の遅延表示制御の後、次に指標認識を再開するまでに、所定の待機期間を設ける構成とすることで、付加映像の表示を行わない期間を設けることになって、付加映像を頻繁に切り替えることで生じる実視野が認識しづらくなることを防止して、所定の作業を確実に行うことができる。

　そのために、本発明に係る映像表示システムは、産業機器の組立作業や操作作業などの作業支援のための表示装置に好適に適用可能となる。また、通信手段を備えているので、遠隔作業支援システムに適用される映像表示システムとして用いることができる。

　　　１　　映像表示システム
　　　２　　（頭部装着式）映像表示ユニット
　　　２Ａ　光学シースルー方式の映像表示ユニット
　　　２Ｂ　ビデオシースルー方式の映像表示ユニット
　　　３　　制御ユニット
　　　４　　作業対象物
　　　５　　指標
　　２１　　撮影手段
　　２２　　映像表示手段
　２２０　　表示画面
　２２１　　付加映像
　　ｔｓ　　（付加映像を表示する）所定時間
　　ｔｄ　　待機時間

Claims

　作業対象物を認識するために作業対象物近傍に配設する指標を撮影する撮影手段と、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段と、現実映像に前記付加映像を重畳して表示する映像重畳手段と、前記付加映像の表示状態を制御する遅延表示制御手段と、を含んでなり、
　前記映像表示手段は、前記指標認識手段が指標を認識した際に認識された指標に応じた内容を含んだ前記付加映像を表示し、その後、指標が認識されなくなった際に、予め設定された所定時間、前記付加映像を継続表示し、その後で、前記遅延表示制御手段を介して所定の遅延表示制御を行うことを特徴とする映像表示システム。
　作業対象物を認識するために作業対象物近傍に配設する指標を撮影する撮影手段と、撮影された指標を認識する指標認識手段と、認識された指標から表示する映像を選択して付加映像として表示する映像表示手段と、現実映像に前記付加映像を重畳して表示する映像重畳手段と、前記付加映像の表示状態を制御する遅延表示制御手段と、を含んでなり、
　前記映像表示手段は、前記指標認識手段が指標を認識した際に、認識された指標に応じた内容を含んだ前記付加映像を予め設定された所定時間表示し、その後、前記遅延表示制御手段を介して所定の遅延表示制御を行うことを特徴とする映像表示システム。
　前記撮影手段と前記映像表示手段とが頭部装着式映像表示ユニットとして一体化されていることを特徴とする請求項１または２に記載の映像表示システム。
　前記指標認識手段は、前記撮影手段により撮影された指標を画像処理して認識することを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記撮影手段が撮影した映像を伝送する通信手段を備える制御ユニットを設けたことを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記制御ユニットが、さらにシャッター操作手段と映像記憶手段を備えて、前記撮影手段の撮影を制御することを特徴とする請求項５に記載の映像表示システム。
　前記映像重畳手段は、光学的に光路を合成する光学シースルー方式であることを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記映像重畳手段は、撮影された画像に電気的に映像を合成処理するビデオシースルー方式であることを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記映像表示手段が表示する映像は、前記指標のパターン情報によって設定されることを特徴とする請求項１から８のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記所定時間は、前記指標のパターン情報によって設定されることを特徴とする請求項１から９のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記所定時間は、前記制御ユニットに予め記憶されていることを特徴とする請求項１から１０のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記遅延表示制御手段は、前記所定時間の経過後に、指標に応じた付加映像を表示画面から消去することを特徴とする請求項１から１１のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記遅延表示制御手段は、前記所定時間の経過後に、指標に応じた付加映像を縮小表示することを特徴とする請求項１から１１のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記遅延表示制御手段は、前記所定時間の経過後に、指標に応じた付加映像の彩度および／又は輝度を落として表示することを特徴とする請求項１から１１のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記遅延表示制御の後、次に指標認識を再開するまでに、所定の待機期間を設けたことを特徴とする請求項２から１４のいずれかに記載の映像表示システム。
　前記待機期間中であっても、先に認識した指標とは異なる新たな指標を認識したときには、前記待機期間を終了して、前記新たな指標に応じた新たな付加映像を表示することを特徴とする請求項１５に記載の映像表示システム。
　前記待機期間は、前記指標のパターン情報によって設定されることを特徴とする請求項１５に記載の映像表示システム。
　前記待機期間は、前記制御ユニットに予め記憶されていることを特徴とする請求項１５から１７のいずれかに記載の映像表示システム。