WO2010044330A1

WO2010044330A1 - 医療機器

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Publication number: WO2010044330A1
Application number: PCT/JP2009/066296
Authority: WO
Inventors: 均唐沢; 翔中島; 大輔浅田; 信吉谷沢
Original assignee: オリンパスメディカルシステムズ株式会社
Priority date: 2008-10-16
Filing date: 2009-09-17
Publication date: 2010-04-22
Also published as: EP2338403A4; EP2338403A1; JPWO2010044330A1; EP2338403B1; US8237782B2; US20100225753A1; JP4526601B2

Abstract

　医療機器１は、体内１０１に導入して固定した状態で使用される医療機器において、体内の体壁１０２に固定する固定手段４が設けられたカメラ本体２と、カメラ本体に内蔵され、カメラ本体に形成された観察窓２ｂから体内の被検対象物を撮像する撮像手段１０と、カメラ本体に固定した状態で設けられた汚れ除去手段１５と、汚れ除去手段と外表面が接触し、観察窓に可動自在に配設された透明なカバー部材３と、カバー部材を駆動して、汚れ除去手段に摺接させる駆動手段８と、を具備することによって、観察窓に付着する付着物を容易、且つ確実に除去することができ、この付着物を除去しているときでもクリアな観察画像を得られる。

Description

医療機器

　本発明は、患者の腹壁内側に留置固定される撮像手段を備えた医療機器に関する。

　周知のように、医療機器である内視鏡装置は、撮像手段である撮像装置を備えており、患者の体腔内へ導入されて、撮像装置によって撮影された観察像により、体内患部の各種検査、各種処置などを行うためのものである。このような内視鏡には、体内の管腔管路である、食道、胃、大腸、十二指腸などの消化臓器内に口腔、または肛門から導入するもの、臍部近傍から体壁を穿刺して貫通して、腹腔内へ導入するものがある。

　医療用の内視鏡装置は、体内の粘膜、汚物、血液などの汚れが撮像装置の観察窓に付着したり、多湿な体内での使用環境により蒸気が撮像装置の観察窓に付着して曇りが生じたりするため、これら付着物により視界が悪くなってクリアな撮影画像が取得できない場合がある。そのため、従来から、撮像装置の観察窓に付着した付着物を除去するための種々の提案がされている。

　例えば、特開平８－２９６９９号公報には、対物レンズの外表面の汚れを拭き取るワイパが設けられたイメージスコープが開示されている。また、例えば、特開２００１－１７００８４号公報には、撮影光が入射するビデオスコープの光学窓への付着物を水噴射して除去するノズルが設けられたビデオスコープ付き歯磨き装置が開示されている。

　さらに、例えば、特開２００６－５５２７５号公報には、画像取り込み窓を親水処理したコーティング層を外表面に形成したカバーガラスを備え、このカバーガラスに超音波振動を選択的に付与して、汚れを除去する内視鏡装置が開示されている。この特開２００６－５５２７５号公報には、カバーガラスに摺接して、付着物を除去するワイパを備えた内視鏡装置の構成が開示されている。

　尚、医療機器ではないが、例えば、特開２００７－１９４９３１号公報には、印加された所定の刺激を受けて変形し、この変形によって、光学素子、または撮像素子と接離して、接触部分がレンズに付着する付着物をクリーニングするクリーニング部を備えた撮像装置が開示されている。

　このように、従来の技術は、水噴射、またはワイパにより、撮像装置の観察窓に付着した付着物を除去する構成となっている。

　ところで、体内の外科手術のために、導入された撮影用の医療機器は、治療患部からの血液、粘膜などが飛散、または高周波治療器による患部の処置時に発生する煙により観察に支障が生じる。つまり、外科手術に用いられる医療機器では、患部の処置時に撮像装置の観察窓へ付着物が付着する場合が多い。

　しかしながら、従来の医療機器は、水噴射、またはワイパにより、撮像装置の観察窓に付着した付着物を除去しているとき、撮像装置により撮影した観察画像に、洗浄水、または移動するワイパが映り込んでしまう。そのため、従来では、撮像装置の観察窓の付着物を除去が終了するまで患部への処置を中断したり、観察画像に洗浄水、または移動するワイパが映り込んでいる状態のまま視界が悪い状態で治療したりしなければならなかった。

　また、撮像装置の観察窓に付着物が付着する可能性が非常に高い患部の処置中において、医療機器は、常にクリアな観察画像を得られるようにしたいという要望があった。

　さらに、ワイパにより付着物を除去する場合、ワイパ自体が観察窓に摺接しながら駆動するため、ワイパが浮いてしまったり、変形したりすると、観察窓との接触が不安定となり、所謂、ビビリが生じたりする場合がある、そのため、ワイパは、観察窓の接触面に均等な力が掛からず、確実に付着物を除去できないという問題もある。

　そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは観察窓に付着する付着物を容易、且つ確実に除去することができ、この付着物を除去しているときでもクリアな観察画像を得られる医療機器を提供することである。

　上記目的を達成すべく、本発明の医療機器は、体内に導入して固定した状態で使用される医療機器において、前記体内の体壁に固定する固定手段が設けられたカメラ本体と、前記カメラ本体に内蔵され、前記カメラ本体に形成された観察窓から前記体内の被検対象物を撮像する撮像手段と、前記カメラ本体に固定した状態で設けられた汚れ除去手段と、前記汚れ除去手段と外表面が接触し、前記観察窓に可動自在に配設された透明なカバー部材と、前記カバー部材を駆動して、前記汚れ除去手段に摺接させる駆動手段と、を具備することを特徴としている。

本発明の第１の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、腹腔内設置カメラが腹腔内に設置された状態を示す部分断面図同、腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、図３のＩＶ－ＩＶ線に沿って切断した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図本発明の第２の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、カバー部材が図５の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、第１の変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す断面同、第２の変形例の腹腔内設置カメラが腹腔内に設置された状態を示す図本発明の第３の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、カバー部材が図９の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図本発明の第４の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、図１１の腹腔内設置カメラの矢視ＸＩＩからの平面図本発明の第５の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、カバー部材が図１３の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、カバー部材が図１５の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、図１６のＸＶＩＩ－ＸＶＩＩ線に沿った断面図本発明の第６の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、ワイパを回動させる回動機構の構成を示す断面図同、図１９のＸＸ－ＸＸ線に沿った断面図同、変形例のワイパを回動させる回動機構の構成を示す分解斜視図同、図２１の回動機構の構成を示す側面図同、変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す側面図本発明の第７の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す側面図同、変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す側面図発明の第８の実施の形態に係るカメラユニットがケース体内に没入した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、カメラユニットがケース体から突出した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、カメラユニットがケース体内に没入した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す断面図同、カメラユニットがケース体から突出した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す断面図本発明の第９の実施の形態に係る腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、図３０の腹腔内設置カメラの断面図同、第１の変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、図３２の腹腔内設置カメラの断面図同、第２の変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図同、図３４の腹腔内設置カメラの断面図

　以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。尚、以下の説明において、例えば、腹腔鏡下外科手術時に用いられる撮像手段を備えた医療機器を例示する。　
（第１の実施の形態）
　先ず、腹腔鏡下外科手術に用いられる本発明の医療機器である腹腔内設置カメラについて、以下に説明する。尚、図１から図４は本発明の第１実施形態に係り、図１は腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図２は腹腔内設置カメラが腹腔内に設置された状態を示す部分断面図、図３は腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図４は図３のＩＶ－ＩＶ線に沿って切断した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図である。

　本実施の形態の医療機器である腹腔内設置カメラ（以下、単にカメラと言う。）１は、図１から図４に示すように、外形を形成するカプセル形状のカメラ本体２と、このカメラ筐体であるカメラ本体２に内蔵される撮像手段（撮像部）の観察窓に設けられた透明部材であるカバー部材３と、カメラ本体２に嵌着された固定手段であって腹壁固定部である吸盤４と、この吸盤４の中央から延設されたワイヤ６と、を有して主に構成されている。尚、カメラ１には、被写体へ照明光を照射する、図示しない照明ユニットが設けられている。

　本実施の形態のカメラ１は、腹腔鏡下外科手術に用いられ、患者の体腔の１つである腹腔１０１内の臓器などを治療するときに治療部位を撮影するために用いられる。　
　先ず、カメラ１は、腹壁１０２に穿刺した、図示しないトラカールを介して、患者の腹腔１０１内へ導入される。そして、カメラ１は、腹腔１０１に穿刺された、図示しない穿刺針などによりワイヤ６が掛止され、このワイヤ６が腹壁１０２を貫通するように体外に引き出される。

　次に、カメラ１のワイヤ６は、患者の腹部側に準備された固定ユニット２１の孔部２１ａに通され、腹壁１０２側に牽引される。そして、ワイヤ６は、カメラ１が腹壁１０２に近づくように持ち上げられ、吸盤４が腹壁１０２の内面に吸着されるまで、体外側へ牽引される。このように、カメラ１は、吸盤４が腹壁１０２に吸着することで、腹腔１０１内に留置固定される。

　尚、固定ユニット２１には、カメラ１のワイヤ６を体外側で固定する固定レバー２２が設けられている。この固定レバー２２は、中途部にワイヤ６が貫挿する孔部２２ａが形成され、この孔部２２ａの位置が固定ユニット２１の孔部２１ａの位置とズレが生じるように固定ユニット２１内に設けられたバネ２３により、固定ユニット２１の一側方向へ付勢されている。

　つまり、ユーザは、固定ユニット２１の孔部２１ａと、固定レバー２２の孔部２２ａが略一致する位置まで、固定レバー２２をバネ２３の付勢力に抗して固定ユニット２１内へ押し込むと、ワイヤ６を容易に牽引することができる。そして、ユーザは、固定レバー２２の固定ユニット２１内への押し込みを解除すると、バネ２３の付勢力を受けて固定レバー２２がスライドする。

　そのため、固定ユニット２１の孔部２１ａの位置に対して、固定レバー２２の孔部２２ａの位置にズレが生じるため、各孔部２１ａ，２２ａに挿通するカメラ１のワイヤ６は、固定ユニット２１内で挟持固定される。こうして、カメラ１は、腹腔１０１内において腹壁１０２に腹壁固定部である吸盤４が吸着した安定した状態で留置固定される。

　次に、上述したように、体内、ここでは、腹腔１０１内に留置固定されるカメラ１の具体的な構成について、図３、及び図４を用いて、詳しく説明する。　
　カメラ１のカメラ本体２内には、上述したカバー部材３と、コントローラを構成する制御部５と、電源部である、ここでは２つのバッテリ７と、駆動部を構成する駆動手段（駆動源）であるモータ８と、撮像部を構成する撮像手段である撮像ユニット１０と、が設けられている。

　制御部５は、撮像ユニット１０が光電変換した画像信号を外部機器に送信する送信機、及び外部機器から送信されるモータ８の駆動指示信号を受信する受信機（共に不図示）が設けられ、受信した駆動指示信号に応じてモータ８を駆動制御する。

　また、２つのバッテリ７は、制御部５、モータ８、撮像ユニット１０、及び照明ユニット（不図示）を駆動するための電源部を構成している。尚、２つのバッテリ７は、制御部５と電源供給の電気ケーブル（不図示）によって電気的に接続されており、制御部５にはモータ８、撮像ユニット１０などと個別に接続される電源供給、及び信号の授受のための通信ケーブル（不図示）が配線されている。

　また、撮像ユニット１０は、ＣＣＤ、ＣＭＯＳなどの固体撮像素子１１と、この固体撮像素子１１が実装された撮像基板１２と、複数の対物レンズ１３と、カバーレンズ１４と、を有して構成されている。この撮像ユニット１０は、光電変換した画像信号を制御部５へ出力する。そして、制御部５は、内部の送信機から図示しない外部機器であるカメラコントロールユニット（ＣＣＵ）へ画像信号を伝送する。尚、撮像ユニット１０により撮影された画像は、ＣＣＵにより画像処理されて、図示しない外部モニタに表示される。

　カバー部材３は、アクリルなどによって円筒状に形成された透明部材であって、カメラ本体２内において、外周回りに回動自在に設けられている。また、カメラ本体２には、カバー部材３を回動自在に保持する円筒形状の孔部２ａが形成されている。尚、このカバー部材３の回動性を向上させるために、カメラ本体２は、ベアリングなどが設けられて、孔部２ａに配置されたカバー部材３を回動保持する構成としても良い。

　カメラ本体２は、カバー部材３が配置された外周一部分に開口部２ｂが形成されている。この開口部２ｂは、撮像ユニット１０へ被写体像を取り込むための観察用孔部であって、観察窓を構成している。この開口部２ｂには、カバー部材３の外表面（外周面）に接触するように軟性ゴムなどの弾性部材から形成された汚れ除去部を構成し、汚れ除去手段であるワイパ１５が撮像ユニット１０の撮影領域外に位置するように配設され、固定されている。

　このワイパ１５は、カバー部材３の回動方向に直交するように長手方向の位置が決められ、ここでは、開口部２ｂの対向する縁辺側部に２つ平行配置されている。

　モータ８は、カバー部材３の一側縁辺部分の内周面に接触するゴム製のローラ９を有している。このローラ９は、所定の接触圧でカバー部材３の内周面に接触するように設けられている。尚、このモータ８は、外部の無線操作を受けた制御部５によって駆動制御される。

　以上のように構成された本実施の形態のカメラ１は、図２に示したように、腹腔１０１内に導入され、腹壁１０２に留置固定した使用状態において、外部からの無線操作によって、モータ８が駆動してローラ９が回動されると、このローラ９と所定の摩擦力で接触しているカバー部材３がカメラ本体２内で回動する。また、ローラ９は、平歯状のギヤでも良く、この場合、カバー部材３の内周面にギヤ溝を形成して、ギヤの回動によってカバー部材３がカメラ本体２内で回動する構成としても良い。

　すなわち、カバー部材３は、長手軸方向に回動することによって、その外周表面がカメラ本体２の開口部２ｂに固定配置された２つのワイパ１５と摺接して、これらワイパ１５により外周表面に付着する付着物が拭き取られる。

　このように、本実施の形態のカメラ１は、固定された２つのワイパ１５に摺接するカバー部材３を回動させることで、カメラ本体２の開口部２ｂで露出するカバー部材３の外表面を２つのワイパ１５によって拭き取ることができる。

　これにより、カメラ１は、カバー部材３の外表面に粘膜、汚物、血液などの汚れ、及び曇りが付着したとしても、容易、且つ確実に、これらカバー部材３に付着する付着物を除去することができる。また、カメラ１は、２つのワイパ１５が固定されており、これらワイパ１５とカバー部材３との接触状態を安定させることができるため、確実にカバー部材３に付着する付着物を除去することができる。

　尚、カメラ１は、カバー部材３を常時回動させることで、カバー部材３の外表面部分を２つのワイパ１５によって拭き取った状態を維持することができる。また、カバー部材３の回動方向は、一方向のみでも良いし、交互に正転と反転を繰り返すように制御しても良い。

　以上の説明により、本実施の形態のカメラ１は、透明なカバー部材３を回動して、開口部２ｂの側部縁辺に固定された２つのワイパ１５により付着物を除去する構成であるため、ワイパ１５が撮像ユニット１０の視野内に入り込むことがないため、撮像ユニット１０により常にクリアな観察画像を得ることができる。

（第２の実施の形態）
　次に、図５から図８を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第２の実施の形態について、以下に説明する。尚、図５から図８は、本発明の第２の実施の形態に係り、図５は腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図６はカバー部材が図５の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図７は第１の変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す断面、図８は第２の変形例の腹腔内設置カメラが腹腔内に設置された状態を示す図である。尚、以下の説明において、第１の実施の形態の腹腔内設置カメラと同一の構成については、同一の符号を用い、それら構成、及び作用効果の説明を省略する。

　本実施の形態のカメラ１は、第１の実施の形態の円筒状のカバー部材３に変えて板状のカバー部材２５を有した構成となっている。　
　詳述すると、カメラ１は、図５、及び図６に示すように、板状のカバー部材２５をスライド自在に配置できるように、カメラ本体２に溝部２９ａが形成されている。この溝部２９ａは、カバー部材２５が撮像ユニット１０の被写体像を取り込むための観察窓である開口部２ｂを閉塞するように形成され、スライド移動するカバー部材２５を直進ガイドしている。尚、カバー部材２５は、開口部２ｂに設けられた２つのワイパ１５に外表面が接触するように溝部２９ａに配置されている。

　この溝部２９ａに配置されたカバー部材２５は、一側部が軸体２６の一端と連結されている。また、この軸体２６の他端部には、磁石（永久磁石）２７が設けられている。この磁石２７は、カメラ本体２に形成された溝部２９ａに連通形成された空洞部２９ｂ内でスライド自在に配置されている。

　また、カメラ本体２は、空洞部２９ｂの端部側に電磁石２８が設けられている。この電磁石２８は、制御部５と電気的に接続されており、Ｓ極とＮ極の切り替えが制御部５によって制御される。

　以上のように構成された本実施の形態のカメラ１は、外部からの無線操作に基づき、制御部５によって、電磁石２８のＳ極とＮ極の切り替えが制御される。つまり、カメラ１は、電磁石２８の異極（図５参照）、または同極（図６参照）の切り替え制御により、軸体２６を介してカバー部材２５と連結された磁石２７が電磁石２８によって引力、または斥力が与えられる。このように磁力による引力と斥力の作用によって、カバー部材２５は、溝部２９ａに沿ってスライド移動する。つまり、本実施の形態のカメラ１では、磁石２７と電磁石２８の磁気的作用による駆動部（駆動手段／駆動源）によって、カバー部材２５を溝部２９ａに沿ってスライド移動する構成となっている。

　このように、カバー部材２５は、溝部２９ａに沿ってスライド移動すると、その外表面が２つのワイパ１５に摺接する。そのため、カメラ１は、カメラ本体２の開口部２ｂで露出するカバー部材３の外表面を２つのワイパ１５によって拭き取ることができる。

　以上のように、本実施の形態のカメラ１は、第１の実施の形態と同様にして、板状のカバー部材２５の外表面に粘膜、汚物、血液などの汚れ、及び曇りが付着したとしても、開口部２ｂに固定された２つのワイパ１５にスライドするカバー部材２５が摺接しながら移動することで、容易、且つ確実に、これらカバー部材３に付着する付着物を安定して除去することができる。

　尚、本実施の形態でも、カメラ１の使用中において、カバー部材２５に付着物が付着したときだけ、適宜、電磁石２８を駆動させて、カバー部材３に付着する付着物を除去しても良いし、常に電磁石２８を切換え制御して、カバー部材２５を常時スライドさせた状態としても良い。

　以上の説明により、本実施の形態のカメラ１も、第１の実施の形態と同様に、透明なカバー部材２５をスライド移動して、開口部２ｂの側部縁辺に固定された２つのワイパ１５により付着物を容易、且つ確実に除去する構成となり、ここでもワイパ１５が撮像ユニット１０の視野内に入り込むことがないため、撮像ユニット１０により常にクリアな観察画像を得ることができる。

　また、カバー部材２５は、板状であるため、アクリルなどの他、サファイアガラスで形成することができる。カメラ１は、カバー部材２５をサファイアガラスで形成した場合、高圧高温下で滅菌消毒するオートクレーブ耐性を備えた構成とすることができる。

（第１の変形例）
　図７に示すように、カメラ１は、洗浄液、または曇り止め液が貯留されたタンク３１、及びこのタンク３１内の液体を開口部２ｂで露出するカバー部材２５の外表面部分に噴射するマイクロポンプ３２を設けても良い。

　このマイクロポンプ３２も、外部からの無線操作に基づき、制御部５によって駆動制御される。尚、タンク３１内の液体は、マイクロポンプ３２が介装された送液管路３３、及び開口部２ｂに設けられたノズル３４を介して、カバー部材２５の外表面に噴射される。

　このように、カメラ１は、洗浄液、または曇り止め液を開口部２ｂに露出するカバー部材２５の外表面に噴射して、カバー部材２５の付着物をより効率的に除去したり、カバー部材２５の外表面の曇りを防止したりすることができる。

（第２の変形例）
　図８に示すように、固定ユニット２１は、手動でスライドさせる磁石（永久磁石）１７を設けて、この磁石１７の移動に追従して、カバー部材２５をスライド移動させる構成としても良い。

　具体的には、固定ユニット２１内に設けられる磁石１７は、レバー１６に連結されており、このレバー１６がスライド操作される。また、カメラ１のカメラ本体２内にスライド自在に配設されたカバー部材２５は、磁石１８と、ここではＬ字状に形成された棒状の支持体１９に接続されている。尚、固定ユニット２１の磁石１７とカメラ１の磁石１８は、異極が対向するように配置されており、互いが引き付け合う作用が働いている。

　このように、本変形例のカメラ１は、固定ユニット２１のレバー１６がスライド操作されると、移動する磁石１７にカメラ本体２内の磁石１８が追従して、カバー部材２５が開口部２ｂの側部縁辺に固定された２つのワイパ１５に摺接しながらスライド移動する。これにより、カバー部材３に付着する付着物が除去される。

（第３の実施の形態）
　次に、図９、及び図１０を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第３の実施の形態について、以下に説明する。尚、図９、及び図１０は、本発明の第３の実施の形態に係り、図９は腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図１０はカバー部材が図９の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図である。尚、以下の説明において、第１、及び第２の実施の形態の腹腔内設置カメラと同一の構成については、同一の符号を用い、それら構成、及び作用効果の説明を省略する。

　図９、及び図１０に示す、本実施の形態のカメラ１は、第２の実施の形態と同様に、カメラ本体２に形成された溝部２９ａに沿ってスライド移動する板状のカバー部材２５を有した構成となっている。このカバー部材２５を溝部２９ａに沿ってスライド移動するための駆動部（駆動手段／駆動源）には、モータ３６が用いられている。

　カバー部材２５は、一側部に略板状で端部が上方に突出する突起部が形成されたストッパ部材３５と連結されている。このストッパ部材３５は、カメラ本体２に形成された空洞部２９ｂ内でスライド自在な形状となっている。

　モータ３６は、カバー部材２５、及びストッパ部材３５の上面に接触するゴム製のローラ３７を有している。このローラ３７は、カバー部材２５、及びストッパ部材３５の上面に所定の接触圧で接触するように設けられている。

　また、駆動部であるモータ３６も、外部の無線操作を受けた制御部５により駆動制御される。尚、モータ３６は、ローラ３７の回動によって、カバー部材２５が溝部２９ａに沿ってスライド移動するように、カバー部材２５の移動方向に直交する方向にローラ３７の回動軸が配置されるようカメラ本体２に内蔵される。

　また、ストッパ部材３５は、上方に突出する突起部分がローラ３７と当接することで、連結されたカバー部材２５の一方のスライド位置を規制している。

　このように構成されたカメラ１は、制御部５の制御によってモータ３６の回動方向を交互に変更することで、ローラ３７が接触して繰り出されるカバー部材２５が溝部２９ａに沿ってスライド移動する。そのため、カメラ１は、カメラ本体２の開口部２ｂで露出するカバー部材３の外表面を固定された２つのワイパ１５によって拭き取ることができる。

　以上の説明により、本実施の形態のカメラ１も、第２の実施の形態と同様な効果を奏し、透明なカバー部材２５をスライド移動して、固定された２つのワイパ１５により付着物を容易、且つ確実に除去でき、さらに、ワイパ１５が撮像ユニット１０の視野内に入り込むことがないため、撮像ユニット１０により常にクリアな観察画像を得ることができる。

　ここでも、カメラ１は、板状のカバー部材２５をサファイアガラスで形成することができるため、高圧高温下で滅菌消毒するオートクレーブ耐性を備えた構成とすることができる。

（第４の実施の形態）
　次に、図１１、及び図１２を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第４の実施の形態について、以下に説明する。尚、図１１、及び図１２は、本発明の第４の実施の形態に係り、図１１は腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図１２は図１１の腹腔内設置カメラの矢視ＸＩＩからの平面図である。尚、以下の説明において、第１の実施の形態の腹腔内設置カメラと同一の構成については、同一の符号を用い、それら構成、及び作用効果の説明を省略する。

　図１０、及び図１１に示す、本実施の形態のカメラ１は、カメラ本体２の溝部２９ａに円板状の透明なカバー部材３８が回動自在に配置されている。

　このカバー部材３８は、カメラ本体２の開口部２ｂの周囲に配設された複数の小型ローラ３９と下面縁辺部が接触保持され、これら小型ローラ３９によって、開口部２ｂの外周方向に沿った中心Ｏ１回りのスムーズな回動が行なえるように配置されている。

　また、カバー部材３８は、駆動部（駆動手段／駆動源）であるモータ８のローラ９に上面縁辺部が所定の接触圧で接触するように設けられている。つまり、モータ８は、ローラ９を回動させることで、ローラ９に接触するカバー部材３８を中心Ｏ１回りに回動させる。また、カバー部材３８は、その中心Ｏ１が撮像ユニット１０の中心Ｏ２と偏芯する位置となるように設けられている。

　カメラ本体２には、カバー部材３８の外表面に接触するようにワイパ１５が開口部２ｂに横架するように固定配置されている。尚、ワイパ１５は、撮像ユニット１０の視野内に、ワイパ１５が入らないような位置であって、カバー部材３８の中心Ｏ１を含む位置に配置されている。

　このように構成されたカメラ１も、第１の実施の形態と同様に、制御部５の制御によってモータ８のローラ９が回動する。これにより、円板状のカバー部材３８は、接触するローラ９の回動力を受けて、中心Ｏ１回りに回動する。そして、カメラ１は、カメラ本体２の開口部２ｂで露出するカバー部材３の外表面が固定されたワイパ１５によって拭き取られる。

　以上の説明により、本実施の形態のカメラ１も、上述の各実施の形態と同様な効果を奏し、透明な円板状のカバー部材３８を回動して、固定されたワイパ１５により付着物を容易、且つ確実に除去でき、さらに、ワイパ１５が撮像ユニット１０の視野内に入り込むことがないため、撮像ユニット１０により常にクリアな観察画像を得ることができる。

　ここでも、カメラ１は、円板状のカバー部材３８をサファイアガラスで形成することができるため、高圧高温下で滅菌消毒するオートクレーブ耐性を備えた構成とすることができる。

（第５の実施の形態）
　次に、図１３から図１７を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第５の実施の形態について、以下に説明する。尚、図１３から図１７は、本発明の第５の実施の形態に係り、図１３は腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図１４はカバー部材が図１３の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図１５は変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図１６はカバー部材が図１５の状態からスライド移動した腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図１７は図１６のＸＶＩＩ－ＸＶＩＩ線に沿った断面図である。尚、以下の説明において、第１から第４の実施の形態の腹腔内設置カメラと同一の構成については、同一の符号を用い、それら構成、及び作用効果の説明を省略する。

　図１３、及び図１４に示す、本実施の形態のカメラ１は、板状のカバー部材２５をカメラ本体２の溝部２９ａに沿ってスライド移動させる駆動構成を上述の各実施の形態のような電動ではなく、吸盤４から延出する操作ワイヤ４１の牽引弛緩により手動で行なえる構成となっている。

　詳述すると、カメラ１は、第２、及び第３の実施の形態と同様に、板状のカバー部材２５がカメラ本体２の溝部２９ａにスライド自在に配設されている。このカバー部材２５は、外向フランジが形成された軸体４３と一側部が連結されている。

　軸体４３は、外向フランジ部分が空洞部２９ｂ内に収容されており、この空洞部２９ｂ内に設けられた圧縮コイルバネ４４の付勢力によって、一方へ付勢されている。また軸体４３には、操作ワイヤ４１の一端が接続されている。

　この操作ワイヤ４１は、吸盤４から延出するチューブ体４２内に挿通配置され、カメラ本体２に形成されたワイヤ挿通部４６に配置されている。このチューブ体４２は、カメラ１が腹壁１０２に留置固定されるときに、固定ユニット２１（図２参照）が挟持し、操作ワイヤ４１の牽引弛緩が自由に行えるようにするためのものである。

　ワイヤ挿通部４６には、操作ワイヤ４１の配置方向を変更する３つのプーリ４５ａ，４５ｂ，４５ｃが設けられている。

　尚、本実施の形態のカメラ１は、撮像ユニット１０が光電変換した画像信号を図示しない外部機器であるカメラコントロールユニット（ＣＣＵ）へ伝送する送信機５ａが設けられている。

　このように構成されたカメラ１は、ユーザにより、操作ワイヤ４１が牽引されると、圧縮コイルバネ４４の付勢力に抗して、軸体４３と共にカバー部材２５をカメラ本体２の溝部２９ａに沿って一方へスライド移動させることができる。また、ユーザにより、牽引された操作ワイヤ４１が弛緩されると、圧縮コイルバネ４４の付勢力により軸体４３が押され、カバー部材２５がカメラ本体２の溝部２９ａに沿って他方へスライド移動する。これにより、カメラ１は、カメラ本体２の開口部２ｂで露出するカバー部材３の外表面が固定された２つのワイパ１５によって拭き取られる。

　以上の説明により、本実施の形態のカメラ１も、上述の各実施の形態と同様に、透明なカバー部材２５をスライド移動して、開口部２ｂの側部縁辺に固定された２つのワイパ１５によりカバー部材２５の付着物を容易、且つ確実に除去する構成となり、ここでもワイパ１５が撮像ユニット１０の視野内に入り込むことがないため、撮像ユニット１０により常にクリアな観察画像を得ることができる。

　さらに、ここでも、カメラ１は、円板状のカバー部材３８をサファイアガラスで形成することができるため、高圧高温下で滅菌消毒するオートクレーブ耐性を備えた構成とすることができる。

　以上に説明したような操作ワイヤ４１の牽引弛緩により、カバー部材２５をカメラ本体２の溝部２９ａに沿って一方へスライド移動させるカメラ１の構成は、図１５から図１７に示すようなラックピニオン機構を用いても良い。

　具体的には、図１５から図１７に示すように、カメラ１は、カバー部材２５の一側部に連結されたラック４７と、このラック４７に噛合するピニオン４８と、を有している。

　ラック４７には、下方に延設された突起部４７ａを有している。このラック４７は、突起部４７ａに当接配置された圧縮コイルバネ４９により一方へ付勢されている。尚、圧縮コイルバネ４９は、空洞部２９ｂの下部に形成された凹部４９ａ内に収容されている。

　ピニオン４８は、操作ワイヤ４１が巻回されたプーリ４８ａと同一の回動軸により連結固定されており、カメラ本体２内で回動支持されている（図１７参照）。つまり、操作ワイヤ４１が牽引されると、プーリ４８ａに回動力が与えられ、ピニオン４８が一方へ回動する構成となっている。

　このように操作ワイヤ４１が牽引されてピニオン４８が一方へ回動すると、ピニオン４８に噛合するラック４７が圧縮コイルバネ４９の付勢力に抗して一方へ移動する。これにより、カバー部材２５もカメラ本体２の溝部２９ａに沿って一方側へスライド移動する。

　また、牽引された操作ワイヤ４１が弛緩されると、圧縮コイルバネ４９の付勢力を受けて、ラック４７が他方へ移動し、カバー部材２５もカメラ本体２の溝部２９ａに沿って他方側へスライド移動する。このとき、ラック４７の移動に合わせてピニオン４８が回動し、プーリ４８ａに操作ワイヤ４１が巻回される。

　このような構成としてもカメラ１は、操作ワイヤ４１の牽引弛緩操作によって、透明なカバー部材２５をスライド移動して、２つのワイパ１５によりカバー部材２５の付着物を容易、且つ確実に除去することができ、上述の効果を奏する。

（第６の実施の形態）
　次に、図１８から図２３を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第６の実施の形態について、以下に説明する。尚、図１８から図２３は、本発明の第６の実施の形態に係り、図１８は腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図１９はワイパを回動させる回動機構の構成を示す断面図、図２０は図１９のＸＸ－ＸＸ線に沿った断面図、図２１は変形例のワイパを回動させる回動機構の構成を示す分解斜視図、図２２は図２１の回動機構の構成を示す側面図、図２３は変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す側面図である。

　図１８に示すように、本実施の形態の腹腔内設置カメラ（以下、単にカメラと言う。）５０は、断面半円状に形成されたゴム製のワイパ５５が回動することで、観察窓となるドーム形状の透明カバー５２の外表面に沿って摺接しながら移動する構成となっている。

　カメラ５０は、カメラ本体５１内に、図示しない撮像ユニット、照明ユニット、送信機などの機器類が内蔵されており、上面部中央に体壁（腹壁）に吸着固定するための腹壁固定部である上述の各実施の形態と同様な吸盤５３が設けられている。尚、吸盤５３の中央からは、２本の操作ワイヤ５７が延出している。

　また、カメラ本体５１内には、２本の操作ワイヤ５７を挿通して、個別に分岐するＴ字状の分岐管５４が設けられている。そして、２本の操作ワイヤ５７は、カメラ本体５１の外周部近傍に挿通配置される。カメラ本体５１内の操作ワイヤ５７の端部は、ワイパ５５を回動するための回動機構５６に接続されている。この回動機構５６は、ワイパ５５と棒状の支持体５５ａを介して連結されている。

　回動機構５６は、図１９、及び図２０に示すように、円盤状のボール受５８を有している。このボール受５８は、外周部分に形成された断面円形状の凹部５８ａと、圧縮コイルバネ５９を当接保持する突起状のバネ受５８ｂが形成されており、この凹部５８ａ内に支持体５５ａの端部に設けられた球体部５５ｂが配置される。

　圧縮コイルバネ５９は、ボール受５８の凹部５８ａ内に配置され、支持体５５ａの球体部５５ｂを凹部５８ａ内で一方に付勢するように設けられている。この圧縮コイルバネ５９には、バネ受５８ｂの孔部に通された操作ワイヤ５７が挿通配置される。尚、操作ワイヤ５７の端部は、球体部５５ｂに接続固定されている。

　このように、回動機構５６は、操作ワイヤ５７の牽引によって、球体部５５ｂが圧縮コイルバネ５９の付勢力に抗して、ボール受５８の凹部５８ａに沿って移動する。そして、球体部５５ｂの移動に伴って、図１８に示したように、支持体５５ａに連結されたワイパ５５が透明カバー５２の外表面に沿って摺接移動する。

　以上のように構成されたカメラ５０は、２本の操作ワイヤ５７を牽引弛緩することによって、ワイパ５５が透明カバー５２の外表面に沿って摺接しながら移動するため、透明カバー５２の外表面に付着した付着物をワイパ５５より拭き取り除去することができる。

　尚、回動機構５６は、図２１、及び図２２に示すように、２つのヒンジ部材６１を備えた構成としても良い。

　具体的には、２つのヒンジ部材６１は、円柱形状の側周部から板状のバネ受部６１ａが突起しており、孔部６１ｂに軸体６２が挿入されて、互いが軸体６２回りに回動自在な構成となるように連結されている。

　連結された２つのヒンジ部材６１は、夫々のバネ受部６１ａの一面に圧縮コイルバネ５９の端部が固着され、互いのバネ受部６１ａが近接して回動する方向へ圧縮コイルバネ５９の付勢力が与えられている。一方のヒンジ部材６１は、バネ受部６１ａに操作ワイヤ５７の端部が接続され、図示しないが上述の支持体５５ａに固定される。また、他方のヒンジ部材６１は、回動機構５６内で固定された状態で設けられている。

　このように構成された回動機構５６は、操作ワイヤ５７が牽引されると、一方のヒンジ部材６１が圧縮コイルバネ５９の付勢力に抗して、他方のヒンジ部材６１に対して、軸体６２回りに回動する。これに合わせて、ワイパ５５に連結された支持体５５ａも回動する。

　したがって、以上に説明した回動機構５６を備えたカメラ５０も、２本の操作ワイヤ５７を牽引弛緩することによって、ワイパ５５が透明カバー５２の外表面に沿って摺接しながら移動して、透明カバー５２の外表面に付着した付着物をワイパ５５より拭き取り除去することができる。

　さらに、図２３に示すように、カメラ５０には、ドーム状の透明カバー５２をワイパ５５の移動に応じて被覆する蛇腹状のカバー体６３を設けても良い。尚、このカバー体６３は、周端部がカメラ５０のカメラ本体５１の側周部分と、断面半円状のワイパ５５に固着されている。このような構成とした、カメラ５０は、未使用時において、透明カバー５２をカバー体６３で覆うことで、透明カバー５２に汚れが付着することが防止される。

（第７の実施の形態）
　次に、図２４、及び図２５を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第７の実施の形態について、以下に説明する。尚、図２４、及び図２５は、本発明の第７の実施の形態に係り、図２４は腹腔内設置カメラの構成を示す側面図、図２５は変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す側面図である。尚、以下の説明において、第１の実施の形態の腹腔内設置カメラと同一の構成については、同一の符号を用い、それら構成、及び作用効果の説明を省略する。

　図２４に示すように、本実施の形態のカメラ１は、手動による操作ワイヤ６４の牽引弛緩操作によって、円環状に形成されたゴム製のワイパ６６が観察窓に配設された透明なカバー部材６７の外表面に沿って摺接しながらスライド移動する構成となっている。

　円環状のワイパ６６は、カメラ本体２の外周に外挿配置され、操作ワイヤ６４の端部が上端部に接続されている。この操作ワイヤ６４は、一端側が吸盤４から延出し、他端が吸盤４の根元部分から導出してカメラ本体２の上面部に沿って配置されている。

　また、操作ワイヤ６４は、ワイパ６６、及び吸盤４の根元部分に端部が当接する圧縮コイルバネ６５内に挿通している。この圧縮コイルバネ６５は、ワイパ６６を吸盤４から離反する方向へ付勢している。　
　尚、ワイパ６６は、カメラ本体２に形成されたガイド溝６８によって、直進ガイドされている。

　このように構成された本実施の形態のカメラ１は、操作ワイヤ６４が牽引されると、圧縮コイルバネ６５の付勢力に抗して、ワイパ６６がカバー部材６７の外表面に沿って摺接しながら一方へスライド移動して、このカバー部材６７の外表面に付着した付着物を拭き取り除去することができる。また、ワイパ６６は、操作ワイヤ６４の弛緩によって、圧縮コイルバネ６５の付勢力を受けて、他方へスライド移動する。

　尚、図２５に示すように、カメラ１は、第７の実施の形態と同様に、ワイパ６６の移動により伸縮して、カバー部材６７を覆う蛇腹状の管体であるカバー体６６ａを設けても良い。これにより、カメラ１は、未使用時において、カバー部材６７をカバー体６６ａで覆うことで、カバー部材６７に汚れが付着することが防止される。

（第８の実施の形態）
　次に、図２６から図２９を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第８の実施の形態について、以下に説明する。尚、図２６から図２９は、本発明の第８の実施の形態に係り、図２６はカメラユニットがケース体内に没入した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図２７はカメラユニットがケース体から突出した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図２８はカメラユニットがケース体内に没入した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す断面図、図２９はカメラユニットがケース体から突出した状態の腹腔内設置カメラの構成を示す断面図である。

　図２６から図２９に示す、本実施の形態の腹腔内設置カメラ（以下、単にカメラと言う。）７０は、一端が開口した円筒状のケース体７１と、このケース体７１に対して突没するカメラユニット７５と、を有して構成されている。　
　ケース体７１は、上面部に操作ワイヤ７２が延出する腹壁固定部である吸盤７３が設けられ、開口部周囲に固着されたブラシ状のゴム製のワイパ７４を有している。また、ケース体７１は、内部にカメラユニット７５に一端が固設された圧縮コイルバネ７８が設けられ、この圧縮コイルバネ７８の他端が上端内面部に固定されている。さらに、ケース体７１は、側周部にボタン７１ａが設けられ、このボタン７１ａが設けられた内周下部に突起部７１ｂが形成されている。

　カメラユニット７５は、観察窓を構成するドーム状の透明カバー７６と、この透明カバー７６が端部に配設されたカメラ本体７７と、を有した、所謂、カプセル内視鏡のような形状を備えている。

　カメラ本体７７は、上端部に圧縮コイルバネ７８が固定され、その上端部中央に操作ワイヤ７２の一端が接続されている。また、カメラ本体７７は、側部に突起片７７ａが設けられ、この突起片７７ａを外側方向へ付勢する圧縮コイルバネ７７ｂを有している。

　カメラユニット７５は、突起片７７ａがケース体７１の突起部７１ｂに引っ掛かることで、圧縮コイルバネ７８の付勢力に抗して、ケース体７１内に収容されている。

　また、カメラユニット７５は、ケース体７１のボタン７１ａが鉗子などにより押されると、突起片７７ａが圧縮コイルバネ７７ｂの付勢力に抗してカメラ本体７７内に没入し、ケース体７１の突起部７１ｂを乗り越える。すると、カメラユニット７５は、圧縮コイルバネ７８の付勢力により、ケース体７１の開口部から透明カバー７６が突出する。尚、カメラユニット７５は、圧縮コイルバネ７８の釣り合いが取れた位置までケース体７１から突出する。

　このとき、透明カバー７６は、外表面がケース体７１の開口部に設けられたブラシ状のワイパ７４に摺接しながら移動する。そのため、カメラ７０のカメラユニット７５は、透明カバー７６の外表面がブラシ状のワイパ７４によって、付着した汚れ等が除去される。また、カメラ７０のカメラユニット７５は、操作ワイヤ７２を牽引することで、圧縮コイルバネ７８の付勢力に抗して、ケース体７１内に没入される。

　このような構成としても、本実施の形態のカメラ７０は、カメラユニット７５をケース体７１に対して突没させることで、ブラシ状のワイパ７４によって、透明カバー７６の外表面の汚れを除去することができる。

（第９の実施の形態）
　次に、図３０から図３５を用いて、本発明の医療機器である腹腔内設置カメラに係る第９の実施の形態について、以下に説明する。尚、図３０から図３５は、本発明の第９の実施の形態に係り、図３０は腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図３１は図３０の腹腔内設置カメラの断面図、図３２は第１の変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図３３は図３２の腹腔内設置カメラの断面図、図３４は第２の変形例の腹腔内設置カメラの構成を示す斜視図、図３５は図３４の腹腔内設置カメラの断面図である。

　図３０、及び図３１に示すように、本実施の形態の腹腔内設置カメラ（以下、単にカメラと言う。）８０は、第１の実施の形態と同様に、牽引して腹腔１０１内の腹壁１０２へ固定するためのワイヤ８１ａが延設された本体部８１と、カメラユニット８２と、カメラユニット８２を覆い、図示しないベアリング等により外周回りに回動自在に設けられた円筒カバー体８４と、を有して構成されている。

　本体部８１とカメラユニット８２は、一体形成されており、径が異なる円柱状の外形を有している。カメラユニット８２は、外周部に内蔵される撮像ユニットの観察窓となるカバー部材８３が配設されている。

　円筒カバー体８４は、外周一部分に開口部８５が形成され、この開口部８５の一縁辺部にゴム製のワイパ８６が設けられている。尚、ワイパ８６は、円筒カバー体８４の回動方向に直交した長手方向が規定され、この回動方向に直交した開口部８５の一縁辺部に設けられる。

　この開口部８５は、カメラユニット８２に対する円筒カバー体８４の所定の回動位置で、カメラユニット８２のカバー部材８３を露出する位置に形成されている。また、円筒カバー体８４は、一端面に鉗子などによりカメラユニット８２に対して回動操作するための把持部８４ａが突設されている。

　カメラユニット８２と円筒カバー体８４との間には、圧縮コイルバネ８７が配設されている。この圧縮コイルバネ８７は、カメラユニット８２の外周から突起したバネ受８２ａと、円筒カバー体８４の内面に形成された溝部８４ｂの端面に当接するように配置され、カメラユニット８２に対して回動する円筒カバー体８４を所定の方向に付勢している。

　尚、圧縮コイルバネ８７は、開口部８５がカメラユニット８２のカバー部材８３が露出する位置で円筒カバー体８４が停止するように、円筒カバー体８４の溝部８４ｂに収容された状態で設置されている。

　このように構成されたカメラ８０は、円筒カバー体８４をカメラユニット８２の外周回りに回動操作することにより、開口部８５に設けられたワイパ８６がカメラユニット８２のカバー部材８３に摺接する。そのため、このような構成としても、カメラ８０は、カバー部材８３の外表面の汚れをワイパ８６によって容易に除去することができる。

　また、カメラ８０は、カバー部材８３の外表面の汚れ除去のため、円筒カバー体８４の把持部８４ａを鉗子などにより把持されて回動操作されるが、この回動操作解除のため、鉗子などが把持部８４ａから離されると、圧縮コイルバネ８７の付勢力によって、カメラユニット８２のカバー部材８３が開口部８５によって露出される位置に円筒カバー体８４が自然に回動して停止する。

（第１の変形例）
　図３２、及び図３３に示すように、カメラ８０は、ワイパ８６を設けた開口部８５を円筒カバー体８４に複数配置しても良い。　
　このカメラ８０は、円筒カバー体８４の外周方向に沿って、複数、ここでは４つの開口部８５が略等間隔に形成されている。また、円筒カバー体８４は、隣接する所定の開口部８５間の内面に突起部８５ａが形成されており、この突起部８５ａがカメラユニット８２の外周部に形成された４つの凹部８２ｂのいずれかに嵌り込むことで、カメラユニット８２に対する回動の停止位置が決められる。

　つまり、４つの開口部８５のいずれか１つによって、カメラユニット８２のカバー部材８３が露出する位置において、突起部８５ａがカメラユニット８２の外周部に形成された４つの凹部８２ｂのいずれかに嵌り込む。そのため、カメラ８０は、突起部８５ａが凹部８２ｂを乗り越える回動力が与えられないと、円筒カバー体８４が回動しない構成となっている。

　このような構成としても、カメラ８０は、円筒カバー体８４をカメラユニット８２の外周回りに回動操作することにより、４つの開口部８５に設けられたワイパ８６のいずれかがカメラユニット８２のカバー部材８３に摺接する。これにより、カメラ８０は、カバー部材８３の外表面の汚れをワイパ８６によって容易に除去することができる。

（第２の変形例）
　図３４、及び図３５に示すように、カメラ８０は、カメラユニット８２を円筒カバー体８４に対して、スライド移動させて、カメラユニット８２のカバー部材８３の外表面の汚れをワイパ８６によって除去する構成としても良い。

　このカメラ８０は、カメラユニット８２の一端面に鉗子などにより把持するための把持部８２ｃが設けられている。また、牽引して腹腔１０１内の腹壁１０２へ固定するためのワイヤ８１ａは、円筒カバー体８４の外周部に延設されている。

　ここでのワイパ８６は、カメラユニット８２のスライド方向に直交した長手方向が規定され、このスライド方向に直交する開口部８５の一縁辺部に設けられている。

　また、カメラユニット８２は、円筒カバー体８４の内部において、端面と固定される圧縮コイルバネ８８により円筒カバー体８４の内部端面と連結されている。圧縮コイルバネ８８は、円筒カバー体８４の開口部８５がカメラユニット８２のカバー部材８３が露出する位置でカメラユニット８２が停止するように付勢力が設定されている。

　さらに、カメラユニット８２は、円筒カバー体８４内の外周部に突起部８２ｄが設けられている。この突起部８２ｄは、円筒カバー体８４の内面に形成されたガイド溝８４ｃに沿って係入され、カメラユニット８２が円筒カバー体８４に対してスライド移動する方向の直進ガイドがなされる。

　このような構成としても、カメラ８０は、カメラユニット８２を円筒カバー体８４に対してスライド操作することにより、開口部８５に設けられたワイパ８６がカメラユニット８２のカバー部材８３に摺接する。これにより、カメラ８０は、カバー部材８３の外表面の汚れをワイパ８６によって容易に除去することができる。

　上述した各実施の形態の医療機器によれば、観察窓に付着する付着物を容易、且つ確実に除去することができ、この付着物を除去しているときでもクリアな観察画像を得られる。

　本出願は、２００８年１０月１６日に日本国に出願された特願２００８－２６７８７９号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。

Claims

　体内に導入して固定した状態で使用される医療機器において、
　前記体内の体壁に固定する固定手段が設けられたカメラ本体と、
　前記カメラ本体に内蔵され、前記カメラ本体に形成された観察窓から前記体内の被検対象物を撮像する撮像手段と、
　前記カメラ本体に固定した状態で設けられた汚れ除去手段と、
　前記汚れ除去手段と外表面が接触し、前記観察窓に可動自在に配設された透明なカバー部材と、
　前記カバー部材を駆動して、前記汚れ除去手段に摺接させる駆動手段と、
　を具備することを特徴とした医療機器。
　前記駆動手段がモータであって、前記カバー部材を移動して、前記汚れ除去手段に摺接させることを特徴とする請求項１に記載の医療機器。
　前記駆動手段が電磁石であって、前記カバー部材を移動して、前記汚れ除去手段に摺接させることを特徴とする請求項１に記載の医療機器。
　前記カバー部材は、円筒形状であって、前記駆動手段によって外周部回りに回動移動することを特徴とする請求項１、または請求２に記載の医療機器。
　前記カバー部材は、板状であって、前記駆動手段によってスライド移動することを特徴とする請求項１から請求項３の何れか１項に記載の医療機器。