WO2010007709A1

WO2010007709A1 - 採血管用使い捨て開栓ブロックとそれを使用した開栓装置

Info

Publication number: WO2010007709A1
Application number: PCT/JP2009/000900
Authority: WO
Inventors: 市川明広
Original assignee: 株式会社メディカルジャパン
Priority date: 2008-07-17
Filing date: 2009-02-27
Publication date: 2010-01-21
Also published as: JP4212108B1; JP2010023868A

Abstract

　検体が入った採血管であっても、減圧状態にあるため、開栓時に減圧が解かれ、検体が飛散する恐れがある。フィルムシールタイプの栓体を有する採血管を開栓するに際し、血液の飛散による二次感染を抑制するだけでなく、開栓された先の検体による次の検体への汚染を防止するため、開栓された栓体部分を開栓に使用した開栓器具にそのまま把持させ、開栓器具とともに廃棄するものである。そのために、栓体を開栓し、かつ、開栓された開栓部分を保持する保持用開栓カッターを隔壁に付けた開栓部分と、隔壁に対し開栓部分と反対側に開栓ブロックを把持するための把持部分とからなる円筒形の開栓ブロックを提供するものである。さらに、保持用開栓カッターは栓体を開栓し、開栓された開栓部分を保持するため、のこぎり刃状とし、のこぎり刃の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた形状とすることも本発明の特徴とするものである。

Description

採血管用使い捨て開栓ブロックとそれを使用した開栓装置

本発明は、検体である血液の飛散等による二次感染や、検体間の汚染を防止させるための採血管の開栓冶具とその装置に係わるものである。

臨床検査における採血作業では、種々の採血管が使用されている。最近ではガラス製より軽く、落下しても破損しない樹脂製の採血管が主に採用されている。　

採血管とその栓体を図１及び図２を使って説明する。樹脂製採血管１は、円形の開口部１３の外周にフランジ部１２を有する樹脂製有底管１１と、アルミ箔等の金属箔に樹脂をコーティングし、その中央部に採血針４１（図３）を刺し通すためのゴム部材２１の接着等をし、樹脂コーティングの外周の一部にタブ２２を設けた栓体２とからなっている。タブ２２は、手作業で開栓するときの摘み部分となるものである。前記採血管１は、内圧を減圧した状態で、樹脂有底管11の開口部13に熱溶着等の方法で栓体２が接着され、真空採血管と呼ばれている。ここでは、樹脂製採血管や減圧された真空採血管も採血管１に含まれるものとし、金属箔を樹脂がコーティングしているかどうかを問わず、樹脂製のフィルムを使用し、中央にゴム部材２１を有する栓体をフィルムシールタイプの栓体２というものとする。以下特に断りがない限り、栓体とした場合には上記フィルムシールタイプの栓体２をいうものとする。　

採血ホルダーについて図３を用いて説明する。採血管1は前述のように減圧状態とされた真空採血管１として使用されている。図３に示すように、採血時には、採血ホルダー４に採血針４１としての注射針を取り付け、採血針４１の先端部４２を血管内（図示しない）に刺した後、真空採血管１を採血管ホルダー４内に差し込み、採血針４１の後端部４３が、真空採血管１の開口部１３に接着された栓体２を刺し抜くことにより、血管内と真空採血管１を連絡させる。真空採血管１内は減圧されているため、血液３は真空採血管１内に流入し、採血が行われる。真空採血管1を採血管ホルダー4内から後退させ、採血針４１の後端部４３を栓体２から引き抜くことにより採血は終了する。栓体２は空気非透過性でありゴム部材２１により採血針４１が刺通可能に、かつ採血針４１が抜けた後も気密性が維持できるように構成されている。採血管１には、開口部１３の直径や有底管１１の長さが異なるものがあるが、有底管１１の開口部１３のフランジ１２の大きさとゴム部材２１の大きさは共通となっていて、採血作業の安定化のため１種類の採血ホルダー４にて採血できるようにされている。　

血液検査作業において、実験室レベルでは、作業者が手作業で栓体２のタブ２２を摘んで開栓するが、採血管１内は採血されていても、減圧した状態にあり、栓体２のフィルムを剥がすとき瞬間的に減圧が解かれ、血液が外部に飛散する恐れもある。検体である血液が飛散すると、他の採血管内の検体への汚染や、作業者への二次感染の危険性がある。以下検体という場合には、特に断りがない限り血液を意味するものとする。　

こうした手作業による作業環境への汚染や二次感染の危険性を解消し、さらに血液検査の効率化のため採血管開栓作業の自動化が提案されている。採血管の栓体を中空の打ち抜きパンチにより開栓し、打ち抜かれた打ち抜き片を減圧空間に把持させて処理する方法（特許文献１）、採血管の栓体表面に接着テープの接着面を接着させその接着テープを引っ張ることにより採血管開口部を封口している栓体を剥離して開栓する方法（特許文献２）、採血管の栓を除去する自動開栓装置において、栓の存在を感知する検出器を備えたもの（特許文献３）等がある。　　
特許公開平６－６４６８８特許公開平９－２４０３８特許公開平６－８９９５

また近年、分析機器等が高性能化され、分析精度が向上し、検体である血液に微量でも他の物質、例えばその検体以外の他の検体が混入すれば、その検査結果は実体とは異なるものとなり、誤診につながる恐れもある。採血管を開栓したカッター等の器具をさらに次の採血管の開栓に使用する場合、該治具に先の採血管を開栓したときの検体が付着し、次の採血管の開栓時にこの採血管内にある検体を汚染するいわゆる検体間での汚染の可能性もある。上記特許文献1～３では、採血管を開栓させた器具が次の採血管にも使用され検体間での汚染の可能性もある。　

検体の汚染をより抑制できる採血管の開栓機構として、栓体を打ち抜く開栓カッターを採血管毎に交換する方法がある（特許文献４）。その出願によれば、栓体である蓋部を打ち抜く開栓カッターとカッター保持具を装備し、開栓カッター保持具に開栓カッターを装着し栓体を打ち抜き、打ち抜かれ栓体部分を栓カッター保持具に別に設けられたニードルに保持させ、ニードルを進退運動させて打ち抜かれた栓体部分を廃棄し、さらに開栓カッターも開栓カッター保持具より離脱させて、開栓カッターを新たなものに交換していく機構としている。本法により検体の汚染は、より抑制することが可能である。さらに、開栓冶具により次の採血管内の検体を汚染することがないように、検体容器の栓部分を打ち抜いて開封する開封カッターを、新たに検体容器を開封する毎に、使い捨てとする方法が提案されている(特許文献５)。　
特許公開２００５－２０６１８０特許公開２００４－９９０８１

しかし前者の発明では、打ち抜かれた栓体部分を保持するニードルが採血管毎に交換されていないため、採血管の栓体を刺し抜いたニードルに検体が付着し、次の採血管の開栓時に、先の検体が付着したニードルが栓体を刺し抜いて、後の検体に触れその検体を汚染する、検体間での汚染の恐れがある。すなわち採血管の開栓に携わった器具のすべてを廃棄し、その採血管の開栓に携わる器具をすべて更新するものではない。後者の発明では、開封カッターを使い捨て、採血管毎に更新するため、開栓冶具による次の検体への汚染の心配はない。しかし、開栓カッターにはニードル部(針状部)とカッター部がありその形状は、複雑であり、開栓された栓部分をどのように保持していくのか不明である。以下ニードルに替え保持手段または保持ピンと称することとする。

そこで、本発明では、一の採血管に対し、採血管を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持し、その開栓された栓体部分とともに使い捨てる開栓ブロックとする考えに到った。そして、この開栓ブロックは、採血管毎に使い捨てるため、その構造を簡略にして安価とするとともに、開栓時に検体が周囲に飛散することがなく、開栓された栓体部分が落下して作業環境を汚染しないような構造とした。

上記の課題を解決するため、本発明では、採血管の外壁に合わせた円筒内の一方に開栓ブロックに採血管の栓体を開栓する開栓手段と開栓された栓体部分を保持する保持手段とを兼ねた保持用開栓カッターを設けた開栓部を、他の一方には、採血管毎に開栓し廃棄するために、この開栓ブロックを把持する把持部を設け、さらに採血管の外壁に合わせた円筒部が採血管の先端部を覆うことにより、検体が周囲に飛散しないようにした。採血管の先端部とは、採血管のフランジ部を含む開口部に近い部分をいう。　

すなわち、第１発明は、フィルムシールタイプの栓体を有する採血管において、採血管毎に更新し使い捨てる開栓ブロックであって、採血管の外形寸法に合わせた円筒の内側に、円筒の軸芯と略垂直に隔壁を設け、円筒の軸芯を中心として同心円状または多角形状に配置される栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する機能を兼ねた保持用開栓カッターを隔壁に略垂直に付けた開栓部分と、隔壁を挟んで、開栓部分と反対側の、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための把持部分、とからなる開栓ブロックである。　

開栓ブロックは、採血管に合わせた円筒形であって、開栓部分と把持部分とから構成されている。採血管の外壁に合わせた円筒としたのは、採血管の先端部をその円筒内に挿入し、開栓時に検体の周囲への飛散を防止するためである。開栓部分は、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する手段が設けられ、これを保持用開栓カッターとする。保持用開栓カッターはフィルムシールタイプの栓体を開栓するために、同心円状または多角形状の先端部断面が鋭角となっていることが好ましい。ここで、同心円状または多角形状としたのは、保持用開栓カッターは必ずしも円環である必要はなく、多角形状たとえば４角形あるいは６角形としたものでもよいためである。なお、「先端断面部が鋭角」としたのは、保持用開栓カッターを円筒の外部から軸心に向かって見たときには、平面的であるが、その断面は鋭角になっていて、栓体を打ち抜いて開栓しやすくするためである。

開栓された栓体部分を保持するとは、保持用開栓カッターにより開栓された栓体部分が、保持用開栓カッターに付着あるいは載る等して、開栓ブロックと同じ動きになることをいう。例えば、保持用開栓カッターの内側に段差上の留部を付け、保持用開栓カッターが下降して、固定された採血管の栓体を開栓し、その後上昇するとき、開栓された栓体部分がその留部に載ってくるような動作である。なお、開栓された栓体部分が開栓ブロックと同じ動きとなるようになれば足り、その手段は問わない。ここで内部とは、円筒の軸心方向をいう。「開栓された栓体部分」とは、フィルムシールタイプの栓体のすべてを採血管から剥離して開栓するのではなく、栓体の一部を切断して開栓し、その切断された栓体の一部を保持用開栓カッターが保持するためである。　

保持用開栓カッターは、開栓部分の円筒内に入れておくことが望ましい。すなわち保持用開栓カッターの先端が開栓部分の円筒より突出することは避けるべきである。検体の飛散と保持用開栓カッターによる刺し傷を防止するためである。隔壁は、円筒長のほぼ中央に置かれるが、これに限るものではなく、保持用開栓カッターの長さと開栓ブロックを把持して移動させる開栓チャックの形状によりきめられる。

第２発明は、保持用開栓カッターを、のこぎり刃状とし、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた形状とする第１発明の開栓ブロックである。

円筒の軸心を中心とする同心円状または多角形状の保持用開栓カッターの先端部をのこぎり刃状として、栓体を打ち抜いて開栓する作業をし易くするものである。なお、保持用開栓カッターの先端部をのこぎり刃状とした、のこぎり刃状の保持用開栓カッターも保持用開栓カッターに含まれる。また、先端をのこぎり刃状にしたことにより、採血管内の減圧状態が瞬間的ではなく徐々に解かれるため、検体の飛散を抑制する効果もある。のこぎり刃状の保持用開栓カッターを外部から軸心に向かって見たときその先端部がのこぎり刃状となっているものである。のこぎり刃状の先端部は、開栓部分の円筒内に入っていることが望ましいのは前記と同様の理由からである。のこぎり刃状の両側とは、外部から円筒の軸心に向かって見たときの左右をいい、のこぎり刃状の内側とは、円筒の軸心側すなわちのこぎり刃状の裏面をいう。のこぎり刃状の保持用開栓カッターの開栓ブロックが下降して、のこぎり刃状の保持用開栓カッターが固定された採血管の栓体を開栓し、その後上昇するとき、開栓された栓体部分を、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に設けられた段差状の留部に保持されるようにしたものである。

第３発明は、開栓ブロックの把持部分の内周または外周にリブを付けた第１ないし第２発明の開栓ブロックである。

開栓ブロックは、開閉チャックに把持されて移動する。開栓ブロックの把持部分にリブを付けて、開閉チャックが開栓ブロックを把持し易くし、また落下しないようにするとともに、リブにより円筒の強度を上げるためである。

第4発明は、射出成型により一体的に成形された第１ないし第３発明の開栓ブロックである。

開栓ブロックは使い捨て用であり、できる限り低コストであることが望まれる。そのために採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体を保持する機能兼ねる保持用開栓カッターとして、その構造を簡略化したものである。かかる構造では射出成型による生産が低コストとなり適しているためである。射出成型とは、加熱して軟化したプラスチックを金型に押し込んで成形するものである。

第5発明は、第１ないし第４発明のいずれかの開栓ブロックを使用し、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開閉チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開閉チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させ、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄するようにして、採血管毎に更新することを特徴とする開栓装置である。

複数の開栓ブロックがフィーダー等に並べて置かれている供給ポジションにて、１つの開栓ブロックを、開閉チャックが把持し、採血管が固定された開栓ポジションに移動する。開栓ポジションにて開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持する。この開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを開閉チャックが把持したまま、廃棄ポジションに移動し、開閉チャックより開栓ブロクを離脱させて、開栓された栓体部分と共に廃棄する。開閉チャックの制御手段は開閉チャックの移動だけではなく、開栓ブロックの把持及び離脱等も制御するものである。供給ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを把持する位置、開栓ポジションとは、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓する位置、廃棄ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを離脱させる位置をいう。各ポジションの位置は同一平面上にあるとは限らない。開閉チャックが開栓ブロックを把持する方法としては、開栓ブロックの把持部分である円筒の内壁、あるいは外壁を把持する方法等があるが、把持する方法については問わない。１本の採血管に対し１個の開栓ブロックを使用して開栓し、１度使用した後は、開栓された栓体部分と共に廃棄する開栓ブロックを使用することを特徴とする開栓装置である。なお、本開栓装置は、コンピューター制御により操作されるかは問わない。また、本開栓装置は、採血管の分類、開栓、分注、分析それに伴う搬送等を自動的に行う採血管の自動分析設備の中に組み込まれて使用することができる。　

第６発明は、開閉チャックを複数連とし、複数の採血管を同時に開栓できるようにした第５発明の開栓装置である。

開栓装置では、複数の採血管が採血管用ラックに載せられ、採血管用ラックごとに移動されている。開閉チャックを複数連結させておき、それぞれの開閉チャックに開栓ブロックを把持させて、採血管用ラックに載っている複数の採血管を同時に開栓させるためである。開栓ブロックを開閉チャックに合わせて複数連とするか、複数連の開閉チャックに個々に開栓ブロックを把持させるかは自由である。ここで複数連とは、開閉チャックや開栓ブロックが複数連結され、同時に作用できるものをいう。

第１発明では、フィルムシールタイプの栓体を有する採血管を開栓するに際し、採血管毎に新たな開栓ブロックを使用するため、後の採血管内の検体が先に使用した開栓ブロックにより汚染されず、開栓された栓体部分は開栓ブロックとともに破棄されるため、開栓された栓体部分が周囲に落下して汚染する恐れもなくなる。さらには、開栓ブロックの構造により検体が飛散して作業環境を汚染することもなく、二次感染のおそれもない。

第２発明では、保持用開栓カッターをのこぎり刃状とすることにより、フィルムシールタイプの栓体をより開栓し易くし、さらに採血管内の減圧状態を瞬間的に解かれることがなくなるため、検体の飛散を防止できる。

第３発明では、開栓ブロックの把持部分にリブを付けて、開閉チャックが開栓ブロックを把持し易く、落下しないようにするとともに、円筒の強度が増す。

第４発明では、開栓ブロックを射出成形により生産するため、大量生産が可能となりまた生産コストが低減される。開栓ブロックは使い捨てであり、生産コストが低いことが望まれる。

第５発明では、上記使い捨て開栓ブロックを用いる開栓装置により、人手を要さず、開栓作業を連続的に行うことができ、二次感染も防止できる。

第６発明では、開閉チャックを複数連とすることにより、より効率的に開栓作業ができるようになる。

採血管の断面図栓体平面図採血管と採血ホルダー同心円状の保持用開栓カッター付き開栓ブロック保持用開栓カッターの先端断面図のこぎり刃状保持用開栓カッター付き開栓ブロックのこぎり刃状の保持用開栓カッターの先端部のこぎり刃状の保持用開栓カッターと開栓された栓体部分把持部円筒にリブを付けた開栓ブロック開栓ブロックの移動と開栓装置開栓ブロックの各ポジションの平面図採血管の移動システム

符号の説明

１　採血管　１１有底管　１２フランジ部　１３開口部２　栓体　　２１ゴム部材　２２タブ　２３開栓された（打ち抜かれた）栓体部分３　検体（血液）４　採血ホルダー　４１採血針　４２採血針先端部　４３採血針後端部５　開栓ブロック　５１開栓部分　５２把持部分　５５　保持用開栓カッター　５５１（保持用開栓カッターの）両側留部５５２（保持用開栓カッターの）内側留部５６（把持部分先端の）リブ５８　隔壁　５８１（隔壁の）孔５９　円筒部６　開閉チャック　６１開閉ピン　７　採血管用ラック８　開栓ブロック用フィーダー　９　水平スライダー１０　上下スライダー２０　開栓ブロック収容箱３０　開栓確認センサー４０　クランプ

以下に本発明の実施形態を説明する。

図４は、採血管１の外形寸法に合わせた円筒部５９の内側に、円筒の軸芯と略垂直に隔壁５８を設け、円筒の軸芯を中心として同心円状に配置された保持用開栓カッター５５が付いた開栓ブロック５の断面図及び底面図である。円筒５９の略中央部に円筒の軸芯に垂直に隔壁５８が設けられ、その中央部は孔５８１が空けられている。隔壁５８を挟んで、一方側の開栓部分５１には、円
筒部５９の内部にその軸心と同心円上に保持用開栓カッター５５が隔壁５８と略垂直に付けられている。

保持用開栓カッター５５は連続的な環状になっていて、円筒の軸心方向すなわち内側には開栓された栓体部分５９を保持する内側留部５５２が形成されている。隔壁５８を挟んで、他の一方側は把持部５２となっていて、その上端の外周にリブ５６が形成されている。リブ５６は、開閉チャックの構造により、円筒部の５９外周だけでなく、内周にもつけることができる　

図５は、図４のＡ－Ｂ間の保持用開栓カッター５５の先端部の断面図である。先端部の内側への勾配角度Ｒ１は、約３０°と鋭角となって栓体を打ち抜きやすくしている。しかし、この角度に限るものではない。その内側には段差状の内側留部５５２が形成されている。保持用開栓カッターの垂直部と留部のなす角度Ｒ２は、開栓された栓体部分が留まることができればよく図５の左図の９０°あるいは図５の右図のように鋭角としてもよい。

隔壁の孔５８１は射出成形の作業等のため付けられたものであるが、開栓時に空気がこの孔５８１を通り、採血管に空気が入りやすくなるという利点もある。ただし、隔壁の孔５８１の有無は問わない。　

本開栓ブロックは、使い捨て用であり単価を安くするため、射出成形により製造され、材料はポリプロピレンが使用されている。しかし、これに限るものではなく、材料等は問わない。

図６は、のこぎり刃状の保持用開栓カッター５５が付いた開栓ブロック５である。保持用開栓カッター５５は、のこぎり刃状の連続的な環状となっている。図７では、のこぎり刃状の先端には、開栓された栓体部分２３を保持する両側留部５５１と内側留部５５２が形成されている。図６では、のこぎり刃状の先端部は４つ形成されているが、この数に限るものではない。　

図７は、のこぎり刃状の保持用開栓カッターの先端部の正面図、左右側面図等である。（１）は、のこぎり刃状の両側と内側に段差状の留部５５１・５５２を付けたものであり、（２）は内側にのみ段差状の留部５５２を付けたものである。保持用開栓カッターののこぎり刃の勾配角度R5は、（１）が約６０度、（２）が約３０度となっているがこれに限るものではない。保持用開栓カッター５５の軸と内側の勾配角度R6は、約３０度であるがこれに限定するものではない。さらに両側の留部５５１と保持用開栓カッター５５の軸との角度R７は（１）では略直角になっているが、（３）のようにR７を鋭角とすることもできる。また、内側の留部５５２と保持用開栓カッター５５の軸との角度R８も直角だけではなく、（４）のように鋭角とすることもできる。開栓された栓体部分を保持用開栓カッターが保持するのに容易とするためである。なお、本開栓ブロックも、使い捨て用であり単価を安くするため、射出成形により製造され、材料はポリプロピレンが使用されている。しかし、これに限るものではなく、材料等は問わない。　

図８は、のこぎり刃状の保持用開栓カッター５５が付いた開栓ブロック５が、採血管１の栓体２を打ち抜き、保持用開栓カッター５５が開栓された栓体部分２３を保持している図である。開閉チャック６により把持された開栓ブロック５は、開栓ポジションに移動し、固定された採血管１へ下降し、保持用開栓カッター５５が採血管１の栓体２を打ち抜き開栓する。次に開栓ブロック５は上昇するが、そのとき開栓された栓体部分２３を保持用開栓カッター５５の留部５５１・５５２（５５２だけの場合もある。）が保持する。こうして開栓された栓体部分２３は開栓ブロックと共に廃棄ポジションに移動して廃棄される。なお、移動とは各ポジションへの水平及び上下方向への動きをいうが、ここでは開栓ブロック５の動きを説明するため、移動及び下降・上昇なる言葉を用いた。以下同様に必要に応じ使用する。

開閉チャックにより把持された開栓ブロックが移動途中で離脱しないように開栓ブロックの把持部にはリブをつけることが好ましい。図９には、開栓ブロックの把持部にリブ５６をつけた開栓ブロックが示されている。(１)は把持部分の円筒外周に、（２）では内周にリブ５６が設けられている。開閉チャック６及開閉ピン６１の動きも開閉チャック制御手段により制御される。また図示しないが開栓ブロックの離脱を確実にするため、開閉チャックに押出しピンを付ける方法もある。

図１０は保持用開栓カッター５５がついた開栓ブロック５の動きを示したものである。開閉チャック６等は、図示しない開閉チャック制御手段により、上下スライダー１０や水平スライダー９に沿って移動している。開閉チャック６は、開栓ブロック５のある供給ポジションに移動し、開閉ピン６１が開き、開栓ブロック５を把持する。次に開栓ブロックを把持した開閉チャック６が、開栓ポジションに移動して採血管１を開栓する。開栓された栓体部分２３は開栓ブロック５に保持され、その開栓ブロックは開閉チャック６に把持されて廃棄ポジションに移動し、開閉ピン６１が閉じて開栓ブロックごとに廃棄される。なお、開閉チャック６や開閉ピン６１は開栓ブロック５を把持するもので足り、把持方法や形状等は任意である。　

図１１は、供給ポジション、開栓ポジション、廃棄ポジションの位置関係の一例である。開閉チャック６は、廃棄ポジションの位置にきて開栓ブロックを離脱させると、図左側の供給ポジションに移動する。開栓ブロック６、採血管１は、それぞれ、５個入りの開栓ブロック用フィーダー８、採血管用ラック７に搭載され、開栓ブロック用フィーダー８、採血管用ラック７は図１２の表面から裏面に開閉チャック６の動きに連動させて移動する。　

図１１において、開閉チャック６を５つの複数連として採血管１のラックごとに一度に開栓することも可能である。この場合には、開栓ブロック収容箱２０の形状も変わってくる。

図１２は、開栓ポジションと開栓確認センサー３０の位置関係を示す一例である。採血管１が５本ごとに採血管用ラック７に搭載され、開栓ポジションに送られる。図示しない位置センサーにより採血管用ラック７が止まり、開栓する採血管１がクランプ４０により固定される。続いて前述したような開閉チャック６の移動、開栓作業が行われる。同時に先に開栓した採血管１の開栓確認が開栓確認センサー３０にて行われる。開栓確認センサー３０により開栓がされていない場合には、連続的な作業の中止あるいは開栓されていない採血管１の除去等の作業が第５発明である開栓装置により行われる。これは開栓装置の一例を示したに過ぎず、これに限定するものではない。本開栓装置は開栓ブロックの移動、採血管の移動、開栓作業、及びその開栓確認行為等を自動的に行なわせるものである。なお、上記のように図１０、図１１、図１２は開栓装置の一例を示したにすぎず、本発明がこれらの図に限定されるものではない。

分析機器の高度化に伴い、検体の僅かな汚染も分析結果に大きく影響し検査工程等における検体の汚染は極力抑制しなければならない。特に臨床検査に供する血液はなおさらのことである。本発明は採血管ごとにその開栓作業において開栓ブロックをディスポーサブルなものとして使用するものであり、構造は簡単であり、かつ低コストであることから、今後の利用が大いに期待できる。

Claims

フィルムシールタイプの栓体を有する採血管において、採血管毎に更新し使い捨てる開栓ブロックであって、採血管の外形寸法に合わせた円筒の内側に、円筒の軸芯と略垂直に隔壁を設け、円筒の軸芯を中心として同心円状または多角形状に配置される栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する機能を兼ねた保持用開栓カッターを隔壁に略垂直に付けた開栓部分と、隔壁を挟んで、開栓部分と反対側の、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための把持部分、とからなる開栓ブロック。
保持用開栓カッターを、のこぎり刃状とし、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた形状とする請求項１の開栓ブロック。
開栓ブロックの把持部分の内周または外周にリブを付けた請求項１ないし請求項２の開栓ブロック。
射出成型により一体的に成形された請求項１ないし請求項３の開栓ブロック。
請求項１ないし請求項４のいずれかの開栓ブロックを使用し、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開閉チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開閉チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させ、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄するようにして、採血管毎に更新することを特徴とする開栓装置。
開閉チャックを複数連とし、複数の採血管を同時に開栓できるようにした請求項５の開栓装置。