WO2009153957A1 - 放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア - Google Patents

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Abstract

 セメント系材料からなる低拡散層4と、ナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層5が接する放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアについて、低拡散層4からのカルシウムイオンの溶脱による低拡散層4の品質低下の問題と、ナトリウム型ベントナイトのカルシウム型化による低透水層5の変質および性能低下の問題を同時に解決する。トンネル1内部に、放射性廃棄物2を収納するコンクリート製ピット3を設け、その外周にセメント系材料からなる低拡散層4を設け、さらにその外周に低透水層5を設ける。低透水層5のナトリウム型ベントナイト砂混合土に、混練水に対し過飽和濃度の炭酸水素ナトリウムまたは飽和濃度以上の炭酸ナトリウムを混合し、低拡散層4からカルシウムイオンが溶出した場合に、低拡散層4と低透水層5との界面近傍に炭酸カルシウムを主体としたバリア層が形成されるようにする。

Description

放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア
 本発明は、主として低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分施設を対象とした放射性廃棄物処分収納構造物における放射性廃棄物からの放射性核種漏れに対する人工多重バリアに関するものである。
 放射性廃棄物の埋設処分において、放射性核種が人間環境へと漏洩するのを防ぐための人工バリアが設けられる。余裕深度処分施設における人工バリア材としては、図1に示すような核種の拡散抑止機能が期待されるセメント系材料からなる放射性核種の低拡散層と、膨潤性、止水性が期待されるナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層を併用した人工多重バリアの使用が検討されている。
 このような人工バリアの長期安定性の評価のためには、各人工バリア材の変質、およびバリア材間の相互作用の把握が必要となり、特にセメント系材料からのカルシウムイオンの溶脱は、セメント系材料自体の品質の低下とともに、ナトリウム型ベントナイトのカルシウム型化などの変質とそれに伴う性能低下を引き起こすため、精力的に研究が進められている(例えば、後ろに表記する非特許文献1~3、非特許文献5等参照)。
 このようなセメント系材料の溶脱への対処として、該溶脱の因子となる水酸化カルシウムの生成量の少ないコンクリートの使用が考えられ、従来、セメントの一部をフライアッシュで置換することで溶脱を抑制できることが明らかにされている。
 また、セメント系材料の中性化による緻密化現象や、炭酸水素イオンを含んだ溶液の作用が、セメント系材料の物性に与える影響について様々な研究がなされており、非特許文献4には、地下水中に存在する炭酸水素イオンがコンクリートから溶脱する水酸化カルシウム(カルシウムイオン)と反応して、コンクリート表面にカルサイト(炭酸カルシウム)の膜を形成し、この膜によって、その後の溶脱を抑制できることが記載されている。
 また、ベントナイトの変質に関しては、特許文献1には、廃棄物処分場や低レベル放射性廃棄物処分施設で使用するベントナイト変質防止剤およびそれを用いたベントナイト遮水構造に関し、アルカリ環境下で水酸化物に変化する金属塩を含むベントナイト変質防止剤が記載されている。
 特許文献2には、放射性廃棄物地層処分場などで、ベントナイトスラリーを用いてコンクリートの継ぎ目止水を行ったり、遮水層を構築する場合に、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの水溶液でスラリー化したベントナイトスラリーを用いることで変質を防止し、これらを含まない場合に比べ、少ない水量でベントナイトスラリーの流動性を確保し、結果的にベントナイトの膨潤性、止水性を維持することができる旨が記載されている。
 特許文献3には、セメント系材料を主体とし、0.1~0.5重量%のベントナイトを含むグラウト材等に使用するためのセメント組成物について、炭酸ナトリウム等を添加することで、ベントナイトの膨潤性を維持できることが記載されている。
 特許文献4には、大掛かりな装置を要することなく、廃棄物の周囲に止水層を形成する廃棄物処理施設の造成方法として、ベントナイトの層間陽イオンと同種の陽イオンを含有する層間陽イオン含有水とを含んで構成されるベントナイト系材料を、ノズルを用いて吹き付け、止水層を形成することが記載されており、層間陽イオン含有水として、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸鉄水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液等が例示されている。
 この特許文献4記載の発明は、特許文献2記載の発明と同様、ベントナイト系材料に炭酸塩水溶液または重炭酸塩水溶液を加えることで、少ない水量で吹き付けによる施工を可能とし、かつベントナイトの膨潤性、止水性を維持することを目的としたものである。
日本国特開2000-063114号公報 日本国特開2006-083354号公報 日本国特開2006-248887号公報 日本国特開2007-050381号公報
杉山隆文、福岡弘誠、辻幸和:電気泳動法によるコンクリートと接するベントナイト砂混合土の変質に関する基礎研究、材料 J. Soc. Mat. Sci., Japan. Vol.54, No.8,pp816-821、2005年8月。 冨澤奈緒美、杉山隆文、辻幸和:コンクリートから溶出するカルシウムイオンによるによるベントナイト砂混合土の膨潤力の低下に関する実験的研究、社団法人セメント協会、セメント・コンクリート論文集 No.60, 2006、pp.162-168。 渡辺真樹、半井健一郎、杉山隆文、辻幸和、冨澤奈緒美:電気促進試験におけるコンクリートと接するベントナイトのカルシウム型化に及ぼす初期乾燥密度の影響、土木学会第62回年次学術講演会講演概要集、pp.209-210、平成19年9月。 蔵重勲、廣永道彦、関口陽、庭瀬一仁: 地下水含有成分がセメント硬化体の溶脱に及ぼす影響(4) -重炭酸イオンによる溶脱抑制現象のメカニズム-、土木学会第61回年次学術講演会講演概要集、pp.289-290、平成18年9月。 低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分に係る安全規制について(案)、総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 廃棄物安全小委員会、平成19年12月。
 セメント系材料からなる放射性核種に対する低拡散層と、ナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層を接する形態で併用した人工多重バリアにおいて、数千年あるいは数万年といった長期間を考慮した場合に危惧されるセメント系材料からの水酸化カルシウム(カルシウムイオン)の溶脱問題に対し、非特許文献4は、地下水中に存在する炭酸水素イオンがセメント系材料の溶脱の抑制に寄与する可能性を示唆したものであるが、実際に想定されるセメント系材料からなる低拡散層の外周に、ベントナイト系材料からなる低透水層を接して形成する人工多重バリアにおいて、地下水中に存在する炭酸水素イオンの利用は確実性に欠け、現実的でない。
 また、特許文献2、4には、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムがベントナイト系材料に混合される水量を抑えつつ流動性を与え、施工性を確保しつつ、ベントナイトの膨潤性、止水性を維持することが記載されているが、人工多重バリアにおける低拡散層のセメント系材料からの水酸化カルシウム(カルシウムイオン)の溶脱によるセメント系材料品質低下や、溶脱したカルシウムイオンによるナトリウム型ベントナイトのカルシウム型化による膨潤性、止水性の低下の問題等を考慮したものではない。
 本発明は、放射性廃棄物を収納するコンクリート製ピットの外周にセメント系材料からなる低拡散層を設け、該低拡散層の外周にナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層を該低拡散層に接する形で設けてなり、該低透水層の外周には、該低透水層に接する形でセメントを含むバックフィル層が設けられている人工多重バリアにおけるセメント系材料が、水酸化カルシウム(カルシウムイオン)の溶脱による低拡散層の品質低下、ナトリウム型ベントナイトのカルシウム型化による低透水層の変質とそれに伴う性能低下の問題を同時に解決することを目的としたものである。
 本願の請求項1に係る発明は、放射性廃棄物を収納するコンクリート製ピットの外周にセメント系材料からなる低拡散層を設け、該低拡散層の外周にナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層を該低拡散層に接する形で設けてなる放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアであって、前記低透水層の構成材料に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合しておくことで、前記低拡散層のセメント系材料からカルシウムイオンが溶出した場合に、該カルシウムイオンと前記低透水層の構成材料に混合した炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとが反応して、前記低拡散層と前記低透水層との界面近傍に炭酸カルシウムを主体としたカルシウムイオンの拡散に対するバリア層が形成されるようにしたことを特徴とするものである。
 低拡散層のセメント系材料と接することになるナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層の構成材料にあらかじめ炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合しておくことで、低透水層中に水分があれば炭酸水素イオン(HCO3 -)または炭酸イオン(CO3 2-)とナトリウムイオン(Na+)とが存在するようにし、低拡散層を構成するセメント系材料の溶脱によりカルシウムイオン(Ca+)が低透水層に向かって溶出すると、カルシウムイオンと上記陰イオンの反応により、低拡散層と低透水層との界面近傍に難溶性のカルサイト(CaCO3)が形成されるので、それによりその後の低拡散層のセメント系材料からの溶脱を抑制する効果、さらにナトリウム型ベントナイト付近にナトリウムイオンが存在することによるカルシウム型化抑制効果などが期待できる。
 上記水分は、中~長期的には、地下水、雨水等の浸透水であり、短期的には低拡散層中に含まれる混練水である。この混練水による水分の存在により、早期の段階から、上記カルサイト(CaCO3)を形成させ得る。このカルサイトは緻密な層が形成されるので、これが形成された部分は、カルシウムイオンが移動しにくくなる。
 請求項2は、請求項1に係る放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアにおいて、前記低透水層の外周に、該低透水層に接する形でセメントを含む材料からなるバックフィル層(埋戻し層)が設けられ、該低透水層と該バックフィル層との界面近傍にも、前記バックフィル層からカルシウムイオンが溶出した場合に、該カルシウムイオンと前記低透水層の構成材料に混合した炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとが反応して、炭酸カルシウムを主体としたバリア層が形成されるようにしたことを特徴とするものである。
 バックフィル層のセメントを含む材料と低透水層のナトリウム型ベントナイトが接する部分については、セメントを含む材料からの水酸化カルシウム(カルシウムイオン)の溶脱によるナトリウム型ベントナイトの膨潤性の低下などによる、バックフィル層の品質低下、ベントナイトのカルシウム型化への変質による低透水層の止水性の低下の問題が生ずる可能性があるが、ナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層の構成材料にあらかじめ炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合しておくことで、これら両層の境界部分においても、界面近傍に炭酸カルシウムを主体としたカルシウムイオンの拡散に対するバリア層が形成されることで、セメントを含む材料からの溶脱によるバックフィル層の劣化や、溶脱したカルシウムイオンの低透水層への拡散による低透水層中のナトリウム型ベントナイトの変質とそれに伴う性能低下の問題が解消される。
 請求項3は、請求項1または2に係る放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアにおいて、前記低透水層が、ナトリウム型ベントナイトと砂からなり、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含む混合土を締め固めたものである場合を限定したものである。
 この場合の砂は、低透水層の強度確保、密度の調整などの目的で用いられ、締め固めてできるだけ密な状態(乾燥密度1.6g/cm3以上)とし、強度、水密性を確保することが望ましい。締め固め方法、装置等は特に限定されない。例えば、従来から土壌等で用いられているローラ、ランマー、振動締め固め機等が使用できる。
 砂については特に限定されないが、最大粒径を1.5mm以内程度、好ましくは1.2mm以内に抑えることで、施工時の流動性を確保しつつ、低透水層を緻密にして低透水層としての性能の向上を図ることができる。
 請求項4は、請求項1、2または3に係る放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアにおいて、前記低透水層が、少なくともセメントを含む、あるいはセメント系材料からなる他層との界面付近においては、前記炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが混練水に対し過飽和の状態になるように少なくとも一部が粉末として混合されていることを特徴とするものである。
 後述の実験結果より、上記本発明の効果を最大限に発揮させるためには、炭酸水素ナトリウム、あるいは炭酸ナトリウムは混練水に対し過飽和の状態となるように混合することが望ましい。ただし、溶解度は温度や塩の種類によっても異なり、例えば炭酸水素ナトリウムの10℃における溶解度は8.13g/水100g、25℃における溶解度は10.28g/水100g、炭酸ナトリウムの20℃における溶解度は約22g/水100gである。
 そして、これらを過飽和の状態とするためには、少なくとも一部は固体、通常、粉末として混合する必要がある。なお、飽和量以内の部分については、ベントナイトなどに加える混練水に溶かし、飽和水溶液の形で加えることもできる。
なお、上記の通り、溶解度は温度によって異なるので、なるべく過飽和状態を維持するためには、温度の影響を考慮して混和量を決める必要がある。
 請求項5は、請求項1、2、3または4に係る放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアにおいて、前記放射性廃棄物が、低レベル放射性廃棄物である場合に限定したものである。
 本発明の具体的な用途としては、現在、計画が進められている低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分施設において、低レベル放射性廃棄物を収納するコンクリートピットの外周に形成される人工多重バリアにおいて、効果的な利用が可能である。
 なお、処理の対象となるレベル放射性廃棄物は、原子力発電所から出る放射能の廃液を濃縮固化したもの、浄化に使ったフィルターや濾過装置、さらに、雑巾や作業服等を圧縮焼却し、セメントやアスファフルトで固めて、200Lドラム缶に詰めたものなどである。
 本発明によれば、放射性廃棄物処分施設における特定の上記多重人工バリアにおいて、低拡散層を形成するセメント系材料からの溶脱により生成されるカルシウムイオンが低透水層を構成するナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層の構成材料に混合した炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムに起因する炭酸水素イオンまたは炭酸イオンと反応することで、これら両層の界面近傍に炭酸カルシウムを主体としたカルシウムイオンの拡散に対するバリア層が形成されるので、低拡散層のセメント系材料からの水酸化カルシウム(カルシウムイオン)の溶脱による品質低下を抑止できる。
 また、低透水層側については、低拡散層のセメント系材料から溶脱したカルシウムイオンにより、ナトリウム型ベントナイトがカルシウム型化し、それに伴う膨潤性の低下などの性能低下が懸念されていたが、本発明によれば、上記の通り両層の界面近傍に難溶性の炭酸カルシウムを主体としたバリア層が形成され、その後の低拡散層から低透水層へ溶脱したカルシウムイオンの浸入が阻止されることで、ナトリウム型ベントナイトの変質とそれに伴う性能低下の問題も解消される。
 さらに、低透水層側については、ナトリウム型ベントナイト付近にナトリウムイオンが存在することによるカルシウム型化抑制効果も期待できる。
図1は、低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分施設の基本構造を示す断面図である。 図2は、電気泳動試験における複合供試体の電気泳動試験装置の概要図である。 図3は、電気泳動試験を終了した複合供試体の切断状態の説明図である。 図4は、電気泳動試験中の電流の経時的減少を示すグラフである。 図5は、電気泳動試験後のベントナイト砂混合土供試体の各層に対して行なったカルシウムイオンとナトリウムイオンの浸出陽イオン量の比を示すグラフである。 図6は、電気泳動試験後のベントナイト砂混合土供試体の各層に対して行なった膨潤力測定の結果のグラフである。 図7は、電気泳動試験後のセメントペースト表層部の熱分析結果を示す棒グラフである。 図8は、Ca溶脱の影響が特に表れるベントナイト砂混合土1~3層目における試験前と試験後のCa2+量の比を示すグラフである。 図9は、Ca溶脱の影響が特に表れるベントナイト砂混合土の1~3層目について、試験前と試験後の膨潤力比を示すグラフである。 図10は、ベントナイト砂混合土の1~3層目について、Na+量と試験前と試験後の膨潤力比の関係を示すグラフである。
 実施形態としては、現在、実用化へ向けての検討が行われている図1に示すような低レベル放射性廃棄物の余裕深度(地表から50~100m程度)処分施設における人工多重バリアへの適用が考えられる。
 低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分施設の計画においては、地下に構築されたトンネル1内部に、放射性廃棄物2を収納するコンクリート製ピット3を設け、その外周にセメント系材料からなる低拡散層4を設け、低拡散層4の外周にベントナイト系材料を用いた低透水層5を設けることとしている。
 また、低透水層5の外側には、トンネル1との隙間を埋めるセメントを含む材料を用いた裏込めによるバックフィル層6が形成されることとしている。
本発明の人工多重バリアの構造は、図1に示される上記計画の人工多重バリアを踏襲するものである。
(1) コンクリート製ピット
 コンクリート製ピット3は、普通コンクリートからなる密閉可能な部屋であり、放射性核種の遮蔽手段が設けられていてもよい。
(2) 低拡散層
 本発明のセメント系材料からなる低拡散層4は、このコンクリート製ピット3に接する形で設けられている。この低拡散層4は、本発明の人工多重バリアにおいて、放射性核種の拡散を抑制する機能を有し、そのためひび割れの抑制、セメントの溶脱の抑制が重要となる。
 本発明で言うセメント系材料とは、コンクリート、モルタル、その他のセメント硬化体を形成し得る材料である。セメントの種類は限定されないが、高強度セメント、耐酸性セメント、混合セメント等が好ましい。
 なお、低拡散層4では、放射性核種の拡散が1.0×10-122/s以下となるようにしており、この性能を比較的低コストで実現でき、かつ土圧に対して構造的な安定が確保できる人工バリア材料として、上述したセメント系材料の使用を前提とした計画が進められている(例えば、非特許文献5参照)。
(3) 低透水層
 低透水層5は、ナトリウム型ベントナイトを主材料として、上記低拡散層4の外周に接する形で設けられている。この低透水層5は、処分施設を通過する地下水量を抑制することを目的としたものである。
 低透水層5では、透水率が1.0×10-12m/s以下となるようにしており、この性能を比較的低コストで実現できる人工バリア材料として、ベントナイト系材料の使用を前提とした計画が進められている(例えば、非特許文献5参照)。
 本発明では、低透水層5について、好適にはナトリウム型ベントナイトと比較的粒径の小さい砂、例えば最大径1.5mm以下、好ましくは1,2mm以下の砂の混合土を用い、これらの材料にさらに、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合する。
 砂はベントナイトの重量に対し、10~70重量%程度加え、現場において混練水を加えて、ミキサー、バックホー等により混練したものを、締め固める。砂の種類は、特に限定されないが、重晶石はバライトとも言い、遮蔽効果も有するので好ましい。
 締め固めは、締め固め機、転圧ローラ等により、乾燥密度が1.6g/cm3以上となるように締め固めればよい。
 混練水も上記乾燥密度に合わせて決められる。例えば、乾燥密度が低すぎる場合は混練水量を減少することが可能である。
 炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムは、好ましくは低透水層5内におい飽和に近い状態または過飽和の状態となるようにする。前述のように溶解度は、炭酸水素ナトリウムか炭酸ナトリウムかによって、また温度によっても変わる(常温までは温度が高い方が溶解度も高い)ので、トンネル1の設置位置で想定される温度範囲の上限に併せて、混練水に対し飽和に近い状態または過飽和となるようにその量を決めればよい。
 なお、必要以上に加えると無駄となり、また低透水層5の性能に影響を与える可能性も考えられるため、上限は例えばトンネル1近辺で想定される温度範囲の上限の温度における溶解度に対し、10~20%増し程度の量とすることが考えられる。混練水に対し過飽和の状態になるようするためには、少なくとも一部は、粉末など固体の状態で加える。
 低透水層5中の水分は、初期には混練水からのものであるが、その後は環境によっては地下水や浸透水の影響を受ける量が増える場合も起こり得る。このような場合は、前記バリア層が形成されやすくなるので、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの混和量を少なくとも混練水に対し過飽和以上にしておくことで、この混練水を利用して早期の段階からバリア層の形成が図れるとともに、外部水の影響に対しても悪影響が低減できる。
 また、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムは、必ずしも低透水層5全体に均等に混入させる必要はなく、セメント系材料からなる低拡散層4あるいはバックフィル層6との界面近傍で、高い濃度あるいは過飽和の状態になるようにすることが望ましい。前記溶脱による低透水層5への影響は界面近傍での溶脱によるものが大きく、前記バリア層の形成も界面近傍で起こるからである。
 その場合の具体的な施工手段としては、例えば低透水層5を厚さ方向に複数の層からなるものとし、低拡散層4あるいはバックフィル層6と接する層のみについて、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが過飽和の状態になるようにし、内側の層については、その濃度を下げるかあるいは混入させないという方法が可能である。
(4) バックフィル層
 バックフィル層6は、低透水層5の外周に、該低透水層5に接する形で設けられる。構成材料は掘削土砂を主とした埋め戻し材である。該埋め戻し材にセメント等の固化材を含ませておくことは、耐久性向上やバリア層を形成する上で好ましい。
 特に、低透水層5とバックフィル層6との界面近傍には、前述した低拡散層4と低透水層5との界面近傍と同様に、炭酸カルシウムからなるバリア層が形成されるようにしておくことは好ましい。
 また、バックフィル層6の組織が緻密になるように各種微粉末からなる充填材を含ませておくことは好ましい。該充填材としては、砕石スラッジ、再生骨材副生微粉、石炭灰、ペーパースラッジ灰、シリカフューム等のシリカ系、シリカ-アルミナ系の無機質微粉末が挙げられる。
 これらは、セメントの水和初期には、C-S-Hゲル、C-A-H結晶、A-Hゲル等を形成し、中-長期的にはポゾラン反応を起こして組織を緻密にする。
これら充填材を低拡散層4に含ませれば、同様に低拡散層4を緻密化でき、セメント系材料からのカルシウムイオンの溶脱を抑止できる。
(5) 本発明の人工多重バリアの構築方法
 人工多重バリアが構築される低レベル放射性廃棄物の余裕深度(地表から50m~100m程度)処分施設に関しては、非特許文献5に記載されるように、直径約18mの試験空洞が問題なく構築できることが確認されている。
 以下、図1に基づいて、具体的な構築手順の一例を説明する。図1は、トンネル軸方向と直角な断面を示したもので、前述のように、トンネル1の断面中央に、放射性廃棄物2を収納するコンクリート製ピット3を設け、その外周に低拡散層4、低透水層5、バックフィル層6が形成され、このような断面がトンネル1の軸方向に連続することとなる。
 トンネル1構築後の工事はトンネルの下部から行い、計画断面においてトンネル1の下部から、前述したセメントを含む材料からなるバックフィル層6、ベントナイト系材料からなる低透水層5、モルタルなどのセメント系材料からなる低拡散層4を、順次、転圧しながら、コンクリート製ピット3の底面高さまで築き上げて行く。
 続いて、コンクリート製ピット3の底面高さまでの施工が完了した区間について、コンクリート製ピット3の底版および側壁を構築し、上面が開いた溝状のピットを完成させる。なお、コンクリート製ピット3については、トンネル軸方向に所定間隔ごと隔壁を設けることで、構造的な安定性を確保することができ、また多数の部屋に分けて放射性廃棄物2の容器を収納することで、施工管理の面でも都合がよい。
 コンクリート製ピット3は、現場で鉄筋を組み現場打ちとすることも可能であるが、プレキャストコンクリート製セグメントあるいはブロックを用い、それらを現場で組み立てることで、施工性の向上が図れる。
 上面が開いた溝状のピットを完成した段階で、トンネル1内に放射性廃棄物2が入った容器を搬入し、仮設の天井クレーンなどを用いて、容器をコンクリート製ピット3の底部から整然と積み上げて行く。安定のため、容器間にはモルタルなどのセメント系充填材を充填する。
 1つまたは複数の区間について、放射性廃棄物2が入った容器の収納作業が完了したら、その区間について、コンクリート製ピット3の天版を設置する。天版についてもプレキャストコンクリート製セグメントあるいはブロックを用いことが望ましい。
 続いて、計画断面に合わせて、順次、型枠を組み、コンクリート製ピット3の周囲にモルタルなどのセメント系材料からなる低拡散層4、ベントナイト系材料からなる低透水層5を構築し、最後に低透水層5とトンネル1内面との間にバックフィル層6を形成するセメントを含む材料を充填する。これらの施工自体は、従来の施工方法をそのまま適用することができる。
 以上の作業を、順次、トンネル1の奥側から手前側へ繰り返すことで、トンネル1の軸方向に連続する人工多重バリアを有する低レベル放射性廃棄物処分施設を構築することができる。
 次に、本発明の効果を確認するために行った電気泳動法を利用した実験について、説明する。電気泳動法を利用したのは、施工実施した場合の人工多重バリアにおいては、低拡散層4のセメント系材料からのカルシウムイオンの溶脱が問題となるのが数千年あるいは数万年の単位であろうと予想されておりるためであり、電気泳動法の有効性については、背景技術の項で挙げた非特許文献1~3に示されているからである。
A.実験1;炭酸水素ナトリウムの混合
A-1.実験概要
 低拡散層(セメントペースト)と低透水層(ベントナイト砂混合土)が接してなる複合供試体を用いて、低透水層中のベントナイトの変質、膨潤の確認実験(実験1)を行った。
A-1-1.複合供試体の作製
(1) ベントナイト砂混合土の作製
 ベントナイトはクニゲルV1(ナトリウム型ベントナイト)を、砂は最大粒径を1.2mmに調整した密度が2.62g/cm3の陸砂を、水(混練水)は蒸留水をそれぞれ用いた。ベントナイトの質量に対するNaHCO3の質量の比をNaHCO3混合率とし、混合率を0、0.4、4.1、7.1%の4水準(供試体名C0、C0.4、C4、C7)に設定した。C0、C0.4、C4については、混合率に応じて混練水の濃度がそれぞれ0、10、103(25℃での飽和濃度)g/lになるように混練水量を調整してNaHCO3を溶解し、C7についてはNaHCO3の粉末をすべてベントナイトおよび砂と混合した。
 混練後のC7の間隙水(混練水)の濃度は過飽和となる。NaHCO3混合率およびNaHCO3濃度を表1に示す。ベントナイトと砂は質量比を7:3で混合し、オムニミキサで混練を行なった。その後、所定量のNaHCO3溶液または蒸留水(混練水)を散水した。混練後、試料をポリエチレン袋に入れ、一晩静置し、翌日に再度オムニミキサで練り混ぜてから、締固めを行なった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(2) 複合供試体の作製
 複合供試体の作製に関しては、アクリルで作製した電気泳動試験用セルに設置した直径が100mmで厚さが25mmの円柱のセメントペースト供試体の上面に、ベントナイト砂混合土を4層で、厚さが65mmになるように突き固めた。その上にステンレススティールの電極を設置し、さらに厚さが10mmになるようにベントナイト砂混合土を締め固めた。
 締固め方法は、質量が2.5kgのランマーを300mmの高さから落下させた。ベントナイトの変質の評価がしやすいよう、ベントナイト砂混合土は比較的乾燥密度の低い1.6g/cm3に設定した。
 セメントペーストのW/C(混練水とセメントの質量比)は60%で、セメントは普通ポルトランドセメントを用いた。ベントナイト砂混合土と同様、早期に変質するように高W/Cに設定した。セメントペーストの配合を表2に示す。
 ここでは、材料分離を防ぐため分離低減剤(信越化学工業株式会社製の商品名アスカクリーンD)を用いた。供試体は、直径100mmで高さ200mmの円柱型枠に打込み、材齢1日までの封緘養生後に脱型した。脱型から電気泳動試験開始材齢まで水中養生を行い、養生後に所定のサイズに切断した。なお、材料分離等の影響を考え、上下端各10mmを排除し、同一円柱供試体から4つの試験体を作製した。試験時のセメントペースト供試体の材齢は、C0およびC0.4で50日、C4およびC7で97日である。
A-1-2.電気泳動試験
 図2に複合供試体の電気泳動試験装置の概要を示す。
 複合供試体のベントナイト砂混合土に埋め込んだ陰極、および飽和水酸化カルシウム水溶液中の陽極は、ステンレススティールを4mm間隔の網目状に編んだ電極である。陽極はセメントペーストと接することになる飽和水酸化カルシウム水溶液中に設置した。セメントペーストと飽和水酸化カルシウム水溶液が接することで、セメントペーストが乾燥するのを防ぎ、また、セメントペーストへカルシウムイオンが供給されることを目的とした。
 複合供試体を設置し、空隙部を飽和水酸化カルシウム水溶液で満たした電気泳動セルに直流定電圧を5V印加し、セメントペースト中のカルシウムイオンをベントナイト砂混合土中へ電気泳動させた。NaHCO3の混合が電気の流れに及ぼす影響を評価するため、全ての複合供試体において試験期間を統一した。試験期間は、ベントナイトの変質を確認できると考えられる積算電気量13kC程度を得るため、140時間とした。ここで、積算電気量とは、試験期間中に測定した電流を試験期間に対して積算して求めた値である。
A-1-3.分析方法
 電気泳動試験を終了した複合供試体を図3のように切断し、各分析に供した。
セメントペーストについては、ベントナイト界面側から0~2mmを界面近傍、10~15mmを中央として切断し、それぞれ90μmに粉砕した。粉砕後、示差熱・熱重量同時測定(以下TG-DTAと略記)を用いて熱分析を行い、水酸化カルシウムCa(OH)2量および炭酸カルシウムCaCO3量を測定した。
 また、セメントペースト界面から陰極電極までのベントナイト砂混合土に対しては、膨潤力、浸出陽イオン量をそれぞれ日本ベントナイト工業標準試験方法に準拠して測定した。
 膨潤力は、見掛けの体積の増加量と仮定して、100mlのメスシリンダーに蒸留水を100ml入れ、150μmに粉砕したベントナイト砂混合土の試料を約10回に分けて合計2.0g加えた。そして、24時間静置、容器内に堆積した試料の見掛け容積を読みとることで測定した。この膨潤力の単位は(ml/2g)である。
 浸出陽イオン量は、カルシウムイオン、ナトリウムイオンを対象に、それぞれ原子吸光光度計を用いて測定した。
ベントナイト砂混合土に対する各分析は、厚さが65mmのベントナイト砂混合土に対して、セメントペースト界面から約5mm(界面近傍)、それより離れた部分は約10mmずつスライスして、各層ごとに分析を行った。なお、セメントペースト界面側の層からを、1層目と称する。
A-2.実験結果
A-2-1.電気泳動試験の結果
 電気泳動試験中の電流は、図4のように経時的に減少した。140時間で電気泳動試験を終了し、電気泳動セルを解体した。試験後の積算電気量を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 NaHCO3を混合することで、ベントナイト中のイオン総量が増加し、より電気が流れると考えられるが、積算電気量はC0で最も大きく、C4で最も小さい値となった。NaHCO3を混合したものでは混合していないものより積算電気量が小さく、NaHCO3を混合することで複合供試体の電気抵抗が増したと考えられる。また、試験終了時のC4およびC7の電流値では、混合なしのC0あるいは比較的混合率の低いC0.4の電流値よりも低下傾向が強いことから、試験期間を長くすることでこの差はさらに大きくなると予想される。
 電気抵抗が増した理由として、陽極側へ移動したベントナイト中のHCO3 -と、陰極側へ移動したセメントペースト中のCa2+が反応し、界面にCaCO3(カルサイト)の膜を形成したことが考えられるが、これは分析結果とあわせて検討していく。
A-2-2.熱分析の結果
電気泳動試験前(初期値)および電気泳動試験後のセメントペースト供試体に対してTG-DTAを用いて行なった熱分析の結果を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 ここではセメント水和物の中で、量が多く溶解度の高いCa(OH)2量を測定することで、セメントペーストの溶脱を評価した。また、ベントナイト砂混合土との界面近傍における炭酸化を考慮するため、CaCO3の定量もあわせて行なった。800℃におけるサンプル質量に対するCa(OH)2量およびCaCO3量を求めた。なお、本研究では市販のセメントを用いて実験を行なったため、別に実施したセメント単体の熱分析結果に基づき、強熱減量の影響を排除したセメントペースト中の値へと補正を行なった。またここで、セメントペーストの単位体積当たりのCa(OH)2およびCaCO3中のCaの物質量を足した値を合計Ca量とした。
 今回の熱分析は大気環境において実施したが、既往の研究において、大気環境での熱分析では、分析中に試料中のCa(OH)2が炭酸化することが指摘されている。本実験においても、炭酸化の影響がないと考えられる電気泳動試験開始前の試料内部でもCaCO3が計測されており、測定環境の影響を受けているものと考えられる。ただし、その値はCa(OH)2量に比べて小さく、また、全ての分析を同一環境で行なったため、後述する考察の内容に対しては無視できる程度であると考えられる。
 まず、全ての供試体の中央におけるCa(OH)2、CaCO3、合計Ca量は初期値と比較して大差ない結果となった。これは、セメントペーストと接する飽和水酸化カルシウム水溶液からCa(OH)2の供給があり、供試体からの溶脱の影響が及んでいなかったためと考えられる。
 次に、界面におけるCa(OH)2量はC0.4で若干高い値となったものの、大差ない結果となった。一方で、CaCO3量をみると、分析環境による影響はあるものの、C4およびC7の界面近傍では他の2つと比べて3倍程度高い値となっていることが認められる。
 この結果は、ベントナイト砂混合土中に存在するHCO3 -がセメントペースト側へ電気泳動し、界面近傍でCaCO3(カルサイト)を形成したことを示唆している。合計Ca量をみると、初期値に対する界面での合計Ca量の割合は、C0、C0.4、C4、C7でそれぞれ55、71、96、99%であり、C4およびC7ではほとんど変化していないことがわかる。このことから、飽和濃度以上のNaHCO3の混合は、溶脱抑止効果が大きく期待できると考えられる。
A-2-3.膨潤力および浸出陽イオン量による定量評価
(1) 浸出陽イオン量
 電気泳動試験後のベントナイト砂混合土供試体の各層に対して行なった浸出陽イオン量測定の結果を表5に示す。またここでは、各供試体の電気泳動試験を行なう前の浸出陽イオン量測定の結果を初期値として示した。全ての供試体における初期値では、カルシウムイオン量に比べてナトリウムイオン量が多く、ナトリウム型であることがわかる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 カルシウムイオンをみると、全ての供試体で、セメントペースト側(界面近傍)である1層目で大きな値となっており、C0については3層目まで、C0.4では2層目までのカルシウムイオン量が多いことがわかる。これは、セメントペーストから溶脱したカルシウムイオンがベントナイト砂混合土中に移動したためと考えられる。また、ナトリウムイオンをみると、全ての供試体でセメントペースト側から陰極側(セメントペーストと反対側)へ移るほど大きい値を示している。これは、ナトリウムイオンが陰極側へと電気泳動したためと考えられる。
 カルシウムイオンとナトリウムイオンの浸出陽イオン量の比を図5に示す。図中の破線は、各供試体の初期値である。NaHCO3混合率が高いほど、初期値は低い値となった。
 すべての供試体のセメントペースト側である1層目では浸出陽イオン量比が大きく、セメントペーストから溶脱したカルシウムイオンの影響であると考えられる。初期値と比較すると、C0では1~3層目で、C0.4では1、2層目、C4およびC7では1層目でそれぞれ大きい値となっており、NaHCO3混合率が高いほど浸出陽イオン量比が増加する範囲が小さい。これは、NaHCO3を混合することでベントナイト砂混合土中のナトリウムイオン量が増加したため、およびセメントペーストからのCa溶脱量が抑制されたためと考えられる。
(2) 膨潤力
 電気泳動試験後のベントナイト砂混合土供試体の各層に対して行なった膨潤力測定の結果を図6に示す。図中の破線は、各供試体の電気泳動試験を行なう前の膨潤力であり、各供試体の初期値とする。初期値はC0、C0.4、C4、C7でそれぞれ14.3、15.8、14.8、14.0ml/2gである。
 電気泳動試験前の膨潤力と比較して、C0では1~3層目でそれぞれ65、54、23%の減少、C0.4では1、2層目でそれぞれ65、46%の減少、C4では1層目で32%の減少が認められた。膨潤力の低下が顕著に認められた層では浸出陽イオン量比が2よりも大きい層であり、浸出陽イオン量比と膨潤力を指標にすると、カルシウム型化の傾向を示している。一方で、膨潤力が低下している範囲をみると、NaHCO3を混合するほど小さく、最も混合率の高いC7(過飽和)においては浸出陽イオン量比の増加に関わらず膨潤力の低下がほとんどみられなかった。
 浸出陽イオン量比が大きくなると膨潤力が低下するという傾向が認められるが、NaHCO3を混合することでその傾向が表れる範囲が小さくなり、また、過飽和濃度のNaHCO3を混合することで、浸出陽イオン量比の増加にともなう膨潤力の低下をほぼ抑えることができると考えられる。
A-3.まとめ
 以上の実験結果から、次のことが分った。
(1) 電気泳動試験後のセメントペーストへの熱分析の結果から、飽和濃度以上の炭酸水素ナトリウムを混合した場合、電気泳動試験を行なう前と比較して、合計Ca量がほとんど変化しないことが認められた。
(2) 電気泳動試験後のベントナイト砂混合土に対する浸出陽イオン量測定、膨潤力測定の結果では、NaHCO3を混合することで浸出陽イオン量比の増加および膨潤力が低下する範囲を抑制することができ、混練水に対し過飽和濃度のNaHCO3を混合することで、浸出陽イオン量比の増加にともなう膨潤力の低下をほぼ抑えることができることが認められた。
(3) (1)、(2)から、セメントペースト(低拡散層)と接するベントナイト砂混合土(低透水層)に混練水に対し過飽和濃度となる炭酸水素ナトリウムを混合することは、セメントペーストからのカルシウムイオンの溶脱およびベントナイトのカルシウム型化の抑止に効果があると考えられる。
B.実験2;炭酸ナトリウムの混合(炭酸水素ナトリウムとの比較)
B-1.実験概要
 前述の実験1は、炭酸水素ナトリウムNaHCO3用いた実験であるが、実験2ではNaHCO3よりもNaイオンを多く含む炭酸ナトリウムNa2CO3を混合することによる、セメントペーストからのカルシウムイオンの溶脱およびベントナイト砂混合土の変質の抑制効果(膨潤性の維持効果)を分析するとともに,NaHCO3を混合した場合との効果の比較を行なった。
 供試体の作製および基本的な実験方法は、実験1の場合と同様であるので、共通する内容については説明を省略する。
 複合供試体におけるベントナイトと砂は、実験1と同様、質量比7:3で混合し、NaHCO3とベントナイトとの質量比である混合率を1%(供試体名C1)、4%(供試体名C4)、Na2CO3とベントナイトとの質量比である混合率を1%(供試体名C’1)、4%(供試体名C’4)、12%(供試体名C’12)とした。
これらの混合率、濃度、Naイオン量、CO3イオン量を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表7に、電気泳動試験の試験終了時の積算電気量および試験期間を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 電気泳動試験後、複合供試体を実験1と同様、7層に切断し、各供試体の各層について陽イオン量測定、膨潤力測定を行なった。
B-2.実験結果
(1) 各供試体のカルシウムイオン溶脱評価
 図7に電気泳動試験後のセメントペースト表層部の熱分析結果を示す。ここでは800℃におけるサンプル質量に対するCa(OH)2およびCaCO3の含有率を示している。
 図8にCa溶脱の影響が特に表れるベントナイト砂混合土1~3層目の試験前と試験後のCa2+量の比を示す。
熱分析結果より、C’12以外ではCa(OH)2含有率が半分程度以下に低下しているが、C’12では試験開始前の8割以上残存しており、低下が少ないことが分かる。
なお、C’12のEPMA分析(加速電子線を試料に照射し、発生した特性X線を検出することによって含まれている元素を分析するもの)の結果からは、セメントペースト表層部でのCa濃度は低下せず、CO2濃度は極薄い範囲で濃度増加がみられた。また、ベントナイト砂混合土の表層におけるCa2+量の増加も認められなかった。すなわち、セメントペースト表層部に生成した薄く緻密なCaCO3の膜によって溶脱が抑制されたものと考えられる。
 一方、C4、C’4は,セメントペーストにおけるCaCO3含有率が上昇し、ベントナイト砂混合土の1、2層目でCa2+量が上昇しており、ある程度溶脱が進行したと考えられる。
 これは、セメントペースト表層域にCaCO3が生成したものの、広範囲に低濃度での沈殿となったため、溶脱抑制効果が少なかったものと考えられる。C1、C’1についても、混合率4%の場合に比べ、CaCO3含有率が上昇しておらず、ベントナイト砂混合土の1、2層目でのCa2+量が上昇しているため、溶脱が進行したと考えられる。
 NaHCO3混合とNa2CO3混合の比較を、同混合率の1%、4%においてそれぞれ行なうと、大きな差はみられなかった。
(2) 各供試体の膨潤力評価
 図9に、Ca溶脱の影響が特に表れるベントナイト砂混合土の1~3層目の膨潤力比、図10にベントナイト砂混合土の1~3層目のNa+量と膨潤力比の関係を示す。ここでは、電気泳動試験後のベントナイト砂混合土の膨潤力を電気泳動試験前の膨潤力で除した値である膨潤力比を示している。
 ベントナイト砂混合土のセメントペースト接触面側では、溶脱がほとんど進行しなかったC’12では、膨潤力比の低下もほとんどなかった。また、C’4では膨潤力比の低下が抑制されている。図10からは、Na+量が多いほど膨潤力比の低下の抑制効果があらわれていることが示唆され、NaHCO3よりもNa+量の多く含むNa2CO3を混合した方がベントナイト砂混合土の膨潤性能の低下が抑制されたと考えられる。
(3) まとめ 
 実験2からは、以下の知見が得られた。
 Na2CO3の混合率を飽和濃度となる12%としたとき、セメントペーストの溶脱およびベントナイト砂混合土の膨潤力低下がほぼ抑止された。
 NaHCO3よりもNaイオンを多く含むNa2CO3をベントナイトに混合した方が、ベントナイト砂混合土の膨潤力の低下が少ない。
C.実験1、実験2の結果を通じて得られた知見
(1) NaHCO3を用いて低拡散層のセメント系材料からのカルシウムイオンの溶脱およびベントナイトの変質による膨潤性の低下を効果的に抑止するには、ベントナイト系材料の混練水に対する濃度が過飽和となる量のNaHCO3を混和することが望ましい。
(2) Na2CO3を用いて低拡散層のセメント系材料からのカルシウムイオンの溶脱およびベントナイトの変質による膨潤性の低下を効果的に抑止するには、ベントナイト系材料の混練水に対する濃度が飽和以上となる量のNa2CO3を混和することが望ましい。
(3) 混和する量の違いはあるものの、NaHCO3、Na2CO3のいずれの混和でも本発明の目的が達成できる。
 本発明は、主として低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分施設を対象とした放射性廃棄物処分収納構造物における放射性廃棄物からの放射性核種漏れに対する人工多重バリアとして利用することができる。

Claims (6)

  1.  放射性廃棄物を収納するコンクリート製ピットの外周にセメント系材料からなる低拡散層を設け、該低拡散層の外周にナトリウム型ベントナイトを主材料とする低透水層を該低拡散層に接する形で設けてなる放射性廃棄物処分施設の人工多重バリアであって、前記低透水層の構成材料に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを混合しておくことで、前記低拡散層のセメント系材料からカルシウムイオンが溶出した場合に、該カルシウムイオンと前記低透水層の構成材料に混合した炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとが反応して、前記低拡散層と前記低透水層との界面近傍に炭酸カルシウムを主体としたカルシウムイオンの拡散に対するバリア層が形成されるようにしたことを特徴とする放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア。
  2.  前記低透水層の外周に、該低透水層に接する形でセメントを含む材料からなるバックフィル層が設けられ、該低透水層と該バックフィル層との界面近傍にも、前記バックフィル層からカルシウムイオンが溶出した場合に、該カルシウムイオンと前記低透水層の構成材料に混合した炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとが反応して、炭酸カルシウムを主体としたバリア層が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア。
  3.  前記低透水層が、ナトリウム型ベントナイトと砂からなり、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含む混合土を締め固めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア。
  4.  前記透水層を形成する際に用いる混練水に対し、前記炭酸水素ナトリウムの場合は過飽和となる量、前記炭酸ナトリウムの場合は飽和以上となる量含むものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア。
  5.  前記低透水層は、少なくともセメントを含む、あるいはセメント系材料からなる他層との界面付近においては、前記炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが、前記透水層を形成する際に用いる混練水に対し過飽和の状態になるように少なくとも一部が粉末として混合されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア。
  6.  前記放射性廃棄物が、低レベル放射性廃棄物であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の放射性廃棄物処分施設の人工多重バリア。
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