WO2009057371A1

WO2009057371A1 - 歯科印象用フィルム及び歯科印象用フィルムの製造方法

Info

Publication number: WO2009057371A1
Application number: PCT/JP2008/065053
Authority: WO
Inventors: Yasuhiro Fukuhara
Original assignee: Yasuhiro Fukuhara
Priority date: 2007-10-31
Filing date: 2008-08-13
Publication date: 2009-05-07
Also published as: CA2672305C; US20100119988A1; EP2113222A1; AU2008319910A1; WO2009057591A1; AU2008319910B2; CA2672305A1; EP2113222A4

Abstract

従来の連合印象では考えられなかった材質の異なる2種の歯科用印象材料を組合せることに着目し、両者の接合を可能にする歯科印象用フィルム及び歯科印象用フィルムの製造方法を提供する。歯科印象用フィルムは、ポリエチレンフィルムとポリエチレン・ポリエステルフィルムとから構成され、ポリエチレンフィルムの両面には、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するポリエチレン・ポリエステルフィルムが熱接着によりそれぞれ積層されている。シリコーン印象材及びアルジネート印象材の各歯科用印象材料との間で接着能を有する歯科印象用フィルムを介在させることにより、シリコーン印象材とアルジネート印象材の接合が可能になり、各印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなく、少量のシリコーン印象材を使用して精密な印象を安価に採得することができる。

Description

明細書歯科印象用フィルム及び歯科印象用フィルムの製造方法技術分野

本発明は、材質の異なる 2種の歯科用印象材料を重ね合わせる連合印象に用いる歯科印象用フィルム及び歯科印象用フィルムの製造方法に関する。背景技術

従来から、歯冠修復物を作製する場合、弾性印象材による印象採得する方法が一般的に行われている。通常の印象材料としては、アルギン酸塩の可溶性塩を主成分とする印象材（アルジネート印象材）、シリコーンゴムを主成分とする精密印象材（シリコーン印象材）などが知られている。

これらの印象材の主な特徴を比較すると、シリコーン印象材を用いた場合は、アルジネート印象材を用いた場合よりも精密な印象採得が可能であるといえるが、シリコーン印象材はアルジネート印象材ょりも価格が数倍以上するため、経済性の面を考慮するとシリコーン印象材を多量に使用することは難しい。したがって、シリコーン印象材の使用量をできる限り少なくすればコストダウンを図ることができる。

一方、 2種の歯科用印象材料を重ね合わせる連合印象としては、例えば、寒天 · ァルジネート連合印象が一般的に知れている。その特徴としては、両者とも多量の水分を含んでいることである。このため、印象撤去後歯型材の注入が遅れると、水分の蒸発に伴う収縮により印象が変形してしまうという問題がある。また、寒天とアルジネートの両者間の良好な接着が重要なボイントとなるが、未硬化の 2種の材料を重ね合わせる方法であるため、両者が十分な流動性を有する時期に圧接することが必要となる。しかし、印象採得する領域が広範囲になる場合には、各印象材の硬化タイミングを合わせることは非常に困難であるといえる。

そこで、本発明は、従来の連合印象では考えられなかった材質の異なる 2 種の歯科用印象材料を組合せることに着目し、印象採得の際に材質の異なる 2種の歯科用印象材料を接合可能とし、各印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなく且つ精密な印象を安価に採得することができる歯科印象用フイルム及び歯科印象用フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。発明の開示

本発明に係る歯科印象用フィルムは、材質の異なる 2種の歯科用印象材料を重ね合わせる連合印象に用いる歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムの両面に印象採得の際それぞれ硬化した各歯科用印象材料との間で接着能を有する層を積層する又は接着能を有する突起物を取り付け、材質の異なる 2種の歯科用印象材料を接合可能とし、各印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなく且つ精密な印象を安価に採得することを特徴とする。

また、前記歯科用印象材料が、シリコーン印象材とアルジネート印象材の組み合わせからなることを特徴とする。また、前記歯科印象用フィルムが、ポリエチレンフィルムの両面にシリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するポリエチレンとポリエステルからなるフィルムを熱接着により積層したことを特徴とする。また、前記歯科印象用フィルムが、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するフィルムの一方の表面にシリコーン印象材の層を固着したことを特徴とする。

また、前記歯科印象用フィルムが、シリコーン印象材との間で接着能を有するフィルムのアルジネート印象材と接着させる側の表面にアルジネート印象材が入り込み硬化した際に強固に絡み合って離れないループ状突起物を取り付けたことを特徴とする。

本発明に係る歯科印象用フィルムの製造方法は、樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹脂製不織布を重ね合わせて 3層に形成し、最下層に位置する前記樹脂製不織布の下側にバージンパルプを重ねて敷いた後、それらをロールに卷きつけて全体をロール状に形成し、次いで加熱手段により所定温度で加熱して前記樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を熱接着させることを特徴とする。

また、前記樹脂製フィルムがポリエチレンフィルムであり、前記樹脂製不織布がポリエチレン · ポリエステルの 2重構造繊維であることを特徴とする。また、前記加熱手段による加熱温度を前記榭脂製フィルムの耐熱温度以上で 1 1 5〜 1 3 5 °Cの範囲内に設定したことを特徴とする。また、前記加熱手段が高圧蒸気滅菌器であることを特徴とする。

以上のように、本発明に係る歯科印象用フィルムによれば、歯科印象用フイルムの両面に印象採得の際それぞれ硬化した各歯科用印象材料との間で接着能を有する層を積層する又は接着能を有する突起物を取り付けることにより、従来の連合印象では考えられなかった材質の異なる 2種の歯科用印象材料を組合せて接合可能としたので、各歯科用印象材料のそれぞれの特徴を利用して精密な印象を安価に採得することを可能にしたのである。また、歯科印象用フィルムを介在させることにより、各歯科用印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなくなるので、印象採得する領域が広範囲になる場合でも練和から印象完了するまでの一連の作業がし易くなる。

また、本発明に係る歯科印象用フィルムの製造方法によれば、樹脂製フィルムの両面に樹脂製不織布をそれが有する不織布の立体的な繊維構造を残しつつ簡単且つ確実に熱接着できるので、量産時においても商品の製造を容易にすることができ、品質が安定した商品を安価に供給することができる。図面の簡単な説明

第 1図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 1実施例を示す説明図である。第 2図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 2実施例を示す説明図である。第 3図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 3 実施例を示す説明図である。第 4図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 4実施例を示す説明図である。第 5図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 5実施例を示す説明図である。発明を実施するための最良の形態以下、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの一形態について、図面を参酌しながら説明する。

本発明の「材質の異なる 2種の歯科用印象材料」については、シリコーン印象材とアルジネ一ト印象材の組み合わせに限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する歯科用印象材料の組み合わせを選択することができ、例えば、ラバー印象材、寒天印象材等を採用してもよい。

(第 1実施例）

第 1図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 1実施例を示す説明図である。

本実施例の歯科印象用フィルムは、ポリエチレンフィルム 1 0 とポリェチレン . ポリエステルフィルム 2 0とから構成される。第 1図に示すように、ポリエチレンフィルム 1 0の両面には、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するポリエチレン · ポリエステルフィルム 2 0が熱接着によりそれぞれ積層され、 3層からなる積層体が形成されている。ここで、歯科印象用フィルムの積層体を構成する表面の材質は、上記に限定されるものではなく、シリコーン印象材及びアルジネ一ト印象材との間でそれぞれ接着能を有し、且つ硬化した際に分離し難い材質及び厚さのものを採用することができる。

本実施例の歯科印象用フィルムを用いてシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0とを重ね合わせる連合印象による印象採得する場合、シリコーン印象材 1 0 0及びアルジネート印象材 2 0 0の各歯科用印象材料との間で接着能を有する歯科印象用フィルムを介在させることにより（第 1図参照）、従来ではできなかったシリコーン印象材 1 0 0とアルジネ一ト印象材 2 0 0の接合が可能になり、少量のシリコーン印象材 1 0 0を使用して精密な印象を安価に採得することができる。また、シリコーン印象材 1 0 0とァルジネート印象材 2 0 0の硬化タイミングを合わせる必要性がなくなり、練和から印象完了するまでの一連の作業がし易くなる。

(第 2実施例）

第 2図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 2実施例を示す説明図である。

本実施例の歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材層 3 0と接着フィルム 4 0とから構成される。第 2図に示すように、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有する接着フィルム 4 0の一方の表面には、シリコーン印象材層 3 0が予め固着されている。

ここで、歯科印象用フィルムの接着フィルム 4 0を構成する材質は、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間でそれぞれ接着能を有し、且つ硬化した際に分離し難い材質及び厚さのものを採用する。

本実施例の歯科印象用フィルムを用いてシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0とを重ね合わせる連合印象による印象採得する場合、シリコーン印象材 1 0 0は硬化した際にシリコーン印象材層 3 0に一体的に結合し、アルジネート印象材 2 0 0は硬化した際に接着フィルム 4 0に接着するため、上記歯科印象用フィルムを介在させることにより（第 2図参照）、第 1実施例と同様に従来ではできなかったシリコーン印象材 1 0 0とアルジネ一ト印象材 2 0 0の接合が可能になり、少量のシリコーン印象材 1 0 0を使用して精密な印象を安価に採得することができる。また、第 1実施例と同様にシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0の硬化タイミングを合わせる必要性がなくなり、練和から印象完了するまでの一連の作業がし易くなる。

(第 3実施例）

第 3図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 3実施例を示す説明図である。

本実施例の歯科印象用フィルムは、接着フィルム 5 0とループ状突起物 6 0から構成される。第 3図に示すように、シリコーン印象材との間で接着能を有する接着フィルム 5 0のアルジネート印象材と接着させる側の表面には、アルジネート印象材が入り込み硬化した際に強固に絡み合って離れない多数のループ状突起物 6 0が取り付けられている。

ここで、歯科印象用フィルムの接着フィルム 5 0を構成する材質は、シリコーン印象材との間で接着能を有し、且つ硬化した際に分離し難い材質及び厚さのものを採用する。

本実施例の歯科印象用フィルムを用いてシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0とを重ね合わせる連合印象による印象採得する場合、シリコーン印象材 1 0 0は硬化した際に接着フィルム 5 0に接着し、アルジネ一ト印象材 2 0 0は硬化した際に多数のループ状突起物 6 0に絡み合って分離しないため、上記歯科印象用フィルムを介在させることにより（第 3図参照）、第 1実施例及び第 2実施例と同様に従来ではできなかったシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0の接合が可能になり、少量のシリコーン印象材 1 0 0を使用して精密な印象を安価に採得することができる。また、第 1実施例及び第 2実施例と同様にシリコーン印象材 1 0 0とアルジネ一ト印象材 2 0 0の硬化タイミングを合わせる必要性がなくなり、練和から印象完了するまでの一連の作業がし易くなる。

(第 4実施例）

第 4図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 4実施例を示す説明図である。

本実施例の歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材フィルム 7 0とループ状突起物 8 0から構成される。第 4図に示すように、シリコーン印象材フイルム 7 0のアルジネート印象材と接着させる側の表面には、アルジネート印象材が入り込み硬化した際に強固に絡み合って離れない多数のループ状突起物 8 ◦が取り付けられている。

本実施例の歯科印象用フィルムを用いてシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0とを重ね合わせる連合印象による印象採得する場合、シリコーン印象材 l o oは硬化した際にシリコーン印象材フィルム 7 0に一体的に結合し、アルジネート印象材 2 0 0は硬化した際に多数のループ状突起物 8 0に絡み合って分離しないため、上記歯科印象用フィルムを介在させることにより（第 4図参照）、第 3実施例と同様に従来ではできなかったシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0の接合が可能になり、少量のシリコーン印象材丄 0 0を使用して精密な印象を安価に採得することができる。また、第 3実施例と同様にシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0の硬化タイミングを合わせる必要性がなくなり、練和から印象完了するまでの一連の作業がし易くなる。

(第 5実施例）

第 5図は、本件発明にかかる歯科印象用フィルムの第 5実施例を示す説明図である。

本実施例の歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間でそれぞれ接着能を有し、且つ硬化した際に分離し難い材質及び厚さからなる接着フィルム 9 0から構成される。

本実施例の歯科印象用フィルムを用いてシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0ひとを重ね合わせる連合印象による印象採得する場合、シリコーン印象材 1 0 0は硬化した際に接着フィルム 9 0 aの下半分の領域に接着し、アルジネート印象材 2 0 0は硬化した際に接着フィルム 9 0 bの上半分の領域に接着するため、上記歯科印象用フィルムを介在させることにより（第 5図参照）、第 1実施例等と同様に従来ではできなかったシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0の接合が可能になり、少量のシリコーン印象材 1 0 0を使用して精密な印象を安価に採得することができる。また、第 1実施例等と同様にシリコーン印象材 1 0 0とアルジネート印象材 2 0 0の硬化タイミングを合わせる必要性がなくなり、練和から印象完了するまでの一連の作業がし易くなる。

シリコーン印象材には、付加型シリコーン、縮合型シリコーンなどの種類があり、歯科印象用フィルムとの接着が材料の持つ化学的な性質による場合には同型（付加型、縮合型など）の印象材でないと接着しないため、歯科印象用フィルム（上記実施例 2又は実施例 4 ) の化学的接着層の材質のバリエ 0

ーションをその種類に応じて作製し、その化学的接着特性に合わせて実際の印象時の印象材（シリコーンなど）を選択する必要がある。なお、化学的接着によらない歯科印象用フィルム（上記実施例 1、実施例 3又は実施例 5 ) では、接着特性により印象材を限定されることはない。

以下、本発明に係る歯科印象用フィルムの製造方法について説明する。本発明に係る歯科印象用フィルムの製造方法は、樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹脂製不織布を重ね合わせて 3層に形成し、最下層に位置する前記樹脂製不織布の下側にバージンパルプを重ねて敷いた後、それらをロールに巻きつけて全体をロール状に形成し、次いで加熱手段により所定温度で加熱して前記樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を熱接着させる歯科印象用フィルムの製造方法である。

なお、本発明に係る歯科印象用フィルムの製造方法は以下の実施例に限定されるものではなく、各構成要件の具体的内容については本発明の趣旨に合致する範囲内で適宜変更することができる。

(製造工程 1 )

先ず、樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹脂製不織布を重ね合わせて 3層に形成する。ここで、樹脂製フィルムとしてポリエチレンフィルム、樹脂製不織布としてポリエチレン · ポリエステルの 2重構造繊維を採用することが好ましい。

ポリエチレンフィルムは、例えば日本紙パック株式会社製のポリエチレンフィルム（商品名「抗菌ワンラップ（登録商標） 2 2 0 m」、耐熱温度 1 1 0 °C) を採用する。また、ポリエチレン ' ポリエステルの 2重構造繊維は、例えばシンヮ株式会社製の不織布（品番「M F— 1」）を採用する。この素材は、ヒートシールが容易で接着強度が強力であるという特長を有している。

樹脂製フィルムと樹脂製不織布の大きさについては、樹脂製不織布の幅を樹脂製フィルムの幅よりも寸法を短く設定しておく。これにより、両者を重ね合わせた際に樹脂製不織布が樹脂製フィルムの内側に完全に収まり印象材の接着不良を防止することができる。

(製造工程 2 )

次に、最下層に位置する樹脂製不織布の下側にバージンパルプを重ねて敷いた後、それらをロールに巻きつけて全体をロール状に形成する。

このようにバージンパルプを重ねて敷くことにより、樹脂製不織布の表面を保護するのと同時に樹脂製不織布に不純物が付着するのを防止すると共に樹脂製不織布同士が接着するのを防止することができる。また、ロールに卷きつけて全体をロール状に形成することにより、樹脂製フィルムと樹脂製不織布との間に不均一な圧力がかかるのを防止することができるので、樹脂製フィルムの両面に樹脂製不織布をそれが有する不織布の立体的な繊維構造を壊すことなく熱接着することが可能になる。

また、全体をロール状にした際、紐や止め具などを用いてその状態を保持できるようにしておく。バージンパルプの大きさについては、バージンパルプの幅を樹脂製フィルムの幅よりも寸法を長く設定しておく。また、樹脂製フィルムと樹脂製不織布とバージンパルプについてそれぞれ長尺製品を採用する場合は、ロール状にした後に適当な長さに切断しておく。 (製造工程 3 )

最後に、加熱手段により所定温度で加熱して前記樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を熱接着させる。加熱手段による加熱温度については、樹脂製フィルムの耐熱温度以上で 1 1 5〜 1 3 5 °Cの範囲内に設定することが好ましい。具体的には、ポリエチレンフィルムとして日本紙パック株式会社製のポリエチレンフィルム（商品名「抗菌ワンラップ（登録商標） 2 2 O m」、耐熱温度 1 1 0。C) を採用し、ポリエチレン ' ポリエステルの 2重構造繊維としてシンヮ株式会社製の不織布（品番「M F— 1」）を採用した場合、加熱温度を 1 1 7〜 1 2 1 °Cに設定して 5分間程度加熱するのが適切である。ここで、加熱手段については、高圧蒸気滅菌器を使用することが好ましい。この高圧蒸気滅菌器とは、大気圧を超える圧力のもとに飽和蒸気滅菌する器具のことをいい、所定の滅菌温度及び滅菌時間を設定することにより、樹脂製フィルムの両面に樹脂製不織布を熱接着させる歯科印象用フィルムの製造に最適な加熱手段となる。

なお、何重にも太く口一ル状にしたものを加熱する場合、加熱時間を長く温度を高目に適宜加減し、加熱手段の載置面に接する下端部分にその物の自重がかかり熱圧着をおこすおそれがあるので、ロールを浮かした状態で保持できるスタンドを使用するとよい。また、フィルム内で蒸気が水滴となり接着不良を起こさないようロールを立てた状態で保持できるスタンドを使用するのが好ましい。

以下、本発明にかかる歯科印象用フィルム（以下、登録商標「ミラクルフイット」という）を使用した印象法（2回法）のフローチャートについて説明する。

<事前に準備するワックストレーの作製方法〉

( 1 ) バイトワックス（歯科用パラフィンワックス）を、形成歯及びコンタクト（接触点）を十分カバーできる大きさにカットする。

( 2 ) バイトヮッタスの辺縁を内側に折り込み「ミラクルフィット」を固定するための厚さと強度を確保する。

•辺縁を内側へ折り返した方がアルジネー卜の保持力が強くなる。

•咬合面部（上部）のワックスに厚みを持たせた方が 1次印象時のワックストレーの変形がなく気泡の混入がなくなる。

• パラフィンヮックスを 2枚重ねて使うか厚めのものを使用すると良い。

( 3 ) メタルコアの石膏模型にて圧接してその後患者の口腔内にて軽く圧接して作製する、又はあらかじめ市販のプラスチック（シリコーン）製全顎歯牙模型より印象部位のヮックストレーを作っておき患者の口腔内にて圧接して作製する。

•一度で患者の口腔内でワックストレーを圧接し作製しようとすると患者は痛みを訴えることが多いので 2回に分けて作製するのが望ましい。

• 口腔内へのパラフィンワックス（トレー）の圧接作業は、 2枚に重ねたパラフィンヮックスを歯科用ガストーチやバーナーで温めて軟化させて行うと患者の痛みも少なく簡単に作製できる。圧接の完了したワックストレー表面に歯牙基準点に合わせラインを歯科用ィンスツルメントなどでマ一キングする。その後、水道水などでワックストレーを冷やすと、ワックスが固まり強固なワックストレーが完成する。その地域の気温や水道水の水温が異なるため、場合により冷水を使用するか、融点の高いハードタイプのパラフィンヮックスを使用することができる。

• 2次印象時のトレーをカバーするワックストレーが望ましいが、最低限形成歯とその必要なコンタクト（接触点）を含む歯牙分のワックストレーが必要である。

' ワックストレーの近遠心には「ミラクルフィット」ははみ出さない方が良レ、。 1次印象時にトレーよりはみだした咬合面部のシリコーンが薄くなると、薄くなったシリコーンが 2次印象時に浮き上がりその部分の精度が損なわれるので、シリコーンが硬化するまでに薄くはみ出したシリコーンを取り除く。但し、はみ出した部分のシリコーンが厚ければそんなに精度を損なうことはない。

<印象法（2回法）のフローチャート〉

( 1 ) ワックストレーを作製する（上記ワックストレーの作製方法参照）。 ( 2 ) 強いアンダーカット及び歯間乳頭部の歯肉退縮部の鼓形空隙及びプリッジのボンテック（ダミー）部下部を歯科寒天印象材にてリリーフする（埋める）。

( 3 ) 印象材を硬化後、撤去する際ミラクルフィットに強い負荷がかかる部分を寒天印象材にてリリーフする（埋める）。要するにシリコーン印象材のちぎれが起こらないようにする。

( 4 ) ワックストレーの内面に「ミラクルフィット」を適合させ辺縁部に 3 〜 5 m mほど余らせてはさみ等で切り合わせる（近遠心部は余らせない）。

( 5 ) エバンス彫刻刀にてワックス辺縁に「ミラクルフィット」の上から頰舌側 (頰口蓋側)数ケ所に突き込み「ミラクルフィット」をワックストレーに固定する。

( 6 ) 「ミラクルフィット」を固定したワックストレ一ができれば印象に入る。 ①シリコーンはインジェクションタイプとケースに応じライトボディ又はノ一マルボディタイプを用意する（各々のシリコーンの操作時間、口腔内保持時間を合わせるため、メーカーの推奨する組み合わせの印象材を使用し、印象する形成歯の歯数やそのケースに合わせてフロー（流動性）、操作時間、口腔内保持時間の適切な印象材を選択しておく）。

②術者と助手が同時に練和を開始する。

③術者がィンジェクションタイプを練和しシリンジに入れ印象マージン部（細密部分）に注入後、その残りのィンジェクションシリコーンを支台歯及び他の咬合面部に盛る（専用シリンジが便利である）。

④助手がライトボディ又はノーマルボディタイプシリコーンを練和しヮックストレーの「ミラクルフィット」内面に塗り広げる。

⑤術者がインジェクションシリコーンを使い終わると同時に助手よりシリコーンの入ったワックストレーを受け取り、そのラインマークと歯牙基準点が合うようにワックストレーを圧接する。ワックストレーより薄くはみ出した歯牙上の（咬合に関与する部分は必ず）シリコーンを取り除く。

⑥そのシリコーンの硬化特性に合わせてアルジネートをメーカー指定の標準粉液比で練和し既に試適を済ませた金属トレーに盛り付ける。

• ワックストレー圧接時より時間を計りそのシリコーンの口腔内保持時間経過時点にアルジネー卜の盛りつけが完了するように練和時間を調整する。 6

⑦口腔内のシリコ一ン印象材が硬化したのを確認し、ワックストレーのみを口腔内から撤去し、金属トレーへの盛りつけの完了したアルジネートを少し指でとり硬化したシリコーン表面の「ミラクルフィット」に指でアルジネ一トを擦り込む。

⑧ （金属の）アルジネートトレ一を上から挿入する。

⑨アルジネート硬化後口腔内から撤去する。

•咬合採得ははがした後のワックストレーを使い行うことができる。

. シリコーンアルジネート印象物は通法に従って石膏を注入する。

• シリコーン印象に近い精度が得られる為補綴物完成装着までの歯牙移動を防止するためテンポラリークラウンを装着すればより短時間での補綴物装着が可能となる。

Claims

請求の範囲材質の異なる 2種の歯科用印象材料を重ね合わせる連合印象に用いる歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムの両面に印象採得の際それぞれ硬化した各歯科用印象材料との間で接着能を有する層を積層する又は接着能を有する突起物を取り付け、材質の異なる 2種の歯科用印象材料を接合可能とし、各印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなく且つ精密な印象を安価に採得することを特徴とする歯科印象用フイノレム。

請求の範囲第 1項に記載の前記歯科用印象材料は、シリコーン印象材とアルジネート印象材の組み合わせからなることを特徴とする歯科印象用フィノレム。

前記歯科印象用フィルムは、ポリエチレンフィルムの両面にシリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するポリエチレンとポリエステルからなるフィルムを熱接着により積層したことを特徴とする請求の範囲第 1項又第 2項に記載の歯科印象用フィルム。

前記歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するフィルムの一方の表面にシリコーン印象材の層を固着したことを特徴とする請求の範囲第 1項又第 2項に記載の歯科印象用フィルム。

前記歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材との間で接着能を有するフィルムのアルジネ一ト印象材と接着させる側の表面にアルジネ一ト印象材が入り込み硬化した際に強固に絡み合って離れないループ状突起物を取り付けたことを特徴とする請求の範囲第 1項又第 2項に記載の歯科印象用フィルム。

6 . 樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹脂製不織布を重ね合わせて 3層に形成し、最下層に位置する前記樹脂製不織布の下側にバージンパルプを重ねて敷いた後、それらをロールに卷きつけて全体をロール状に形成し、次いで加熱手段により所定温度で加熱して前記樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を熱接着させることを特徴とする歯科印象用フィルムの製造方法。

7 . 請求の範囲第 6項に記載の前記樹脂製フィルムがポリエチレンフィルムであり、前記樹脂製不織布がポリエチレン · ポリエステルの 2重構造繊維であることを特徴とする歯科印象用フィルムの製造方法。

. 前記加熱手段による加熱温度を前記樹脂製フィルムの耐熱温度以上で 1 1 5〜 1 3 5 °Cの範囲内に設定したことを特徴とする請求の範囲第 6項又第 7項に記載の歯科印象用フィルムの製造方法。

9 . 前記加熱手段が高圧蒸気滅菌器であることを特徴とする請求の範囲第 6 項乃至第 8項のいずれか 1項に記載の歯科印象用フィルムの製造方法。