明 細 書
デォキシケトへキソース異性化酵素およびそれを用いるデォキシへキソー スおよびその誘導体の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、デォキシケトへキソース異性化酵素およびそれを用いるデォキシへキソ ースおよびその誘導体の製造方法に関する。
背景技術
[0002] 多くの複雑な炭水化物が、たとえば細胞 細胞認識、細胞増殖および細胞分化の ような生物学的認識過程において中心的な役割を果たしている(非特許文献 1)。そ れらは、血液型決定基を構成し (非特許文献 2)、腫瘍関連抗原を形成する(非特許 文献 3)。植物界においては、それらはホルモンとして調整機能を発揮し (非特許文 献 4)、またレクチンに対する結合部位を形成する(非特許文献 5)。
[0003] たとえばデォキシ-およびフルォロ糖のような修飾糖ならびに天然糖のェピマーは 、これらの相互作用へ向けての研究の重要な手段を提供する。蛋白質 炭水化物 相互作用の一般的な法則は、特異的な酵素一基質相互作用の場合と全く同様に、 この関連での興味の中心である。すなわち、たとえば酵素の活性中心についての情 報は、酵素基質の連続的な改変によって得ることができる。さらに、デォキシグリコシ ドはそれが多くの抗生物質中に存在するという事実からもとくに興味がもたれる(非特 許文献 6)。
[0004] 2-デォキシグルコースはガン細胞における解糖およびガン細胞の増殖を阻害する ことが報告されており、いくつかの動物モデルでは腫瘍増殖を遅延させることも報告 されている。また、他のサイト力インおよび抗ガン薬物との組み合わせも研究されてい る(特許文献 1)。このようにデォキシへキソースは特に代謝や生体信号に対する研 究に対しての利用が期待される。
[0005] 発明者の一人である何森健は、 4炭糖、 5炭糖、 6炭糖についてのィズモリング (Izu moring)連携図を特許文献 2で公表しその有用性を示している。すなわち、図 4で示 される生産過程と分子構造 (D型、 L型)により、炭素数 4から 6の単糖全てをつないだ
連携図が、ィズモリング (Izumoring)の全体図である。すなわち、図 4から理解できるこ とは、単糖は、炭素数 4、 5、 6全てがつながっているということである。全体図は、ィズ モリング C6の中でのつながりと、ィズモリング C5の中でのつながりと、ィズモリング C4 の中でのつながりと、 C4、 C5、 C6が全てつながっていることである。この考え方は重 要である。炭素数を減少させるには主に発酵法を用いる。炭素数の異なる単糖全て をつなぐという大きな連携図であることも特徴である。
炭素数が 6つの単糖(へキソース)のィズモリングは、図 4の下段および図 5、さらに 図 8に示すように、炭素数が 6つの単糖(へキソース)は全部で 34種類あり、アルド一 スが 16種類、ケトースが 8種類、糖アルコールが 10種類ある。希少糖とは自然界に 希にしか存在しな!/、単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と 定義づけること力できる。この定義は糖の構造や性質による定義ではないため、あい まいである。すなわち、一定量以下の存在量を希少糖というなどの量の定義はなされ ていないためである。し力、し、一般に自然界に多量に存在するアルドースとしては D- グノレコース、 D-ガラクトース、 D-マンノース、 D-リボース、 D-キシロース、 L-ァラ ビノースの 6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては 、 D-フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして 、 D-プシコース、 D-タガトース、 D-ソノレボース、 L-フラクトース、 L-プシコース、 L -タガトース、 L-ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してでき る力 自然界には D-ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少な いので、これらも希少糖といえる。
これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還 元酵素の反応で変換できることは、本発明者らの研究を含めた研究で知られている。
D-グルコース(ブドウ糖)や D-フラクトースは自然界に多量に存在する糖であり安 価であるが、これらから希少糖を合成することができな力 た。ところ力 新規な酵素 が発見された。それはガラクチトールから D-タガトースを合成する酵素を持つ菌の 培養液中に、全く予期しな力 た D-ソルボースが発見されたことに端を発する。その 原因を調べた結果、この菌が D-タガトース 3ェピメラーゼ(DTE)という酵素を産生し ていることを発見した(特許文献 3)。この DTEはこれまでつながらな力、つた D-タガト
ースと D-ソルボースの間をつなぐ酵素であることがわかる。そしてさらに驚くことに、 この DTEは全てのケトースの 3位をェピ化する酵素であり、これまで合成接続できな 力、つた D-フラクトースと D-プシコース、 L-ソルボースと L-タガトース、 D-タガトー スと D-ソルボース、 L-プシコースと L-フラクトース、に作用するという非常に幅広い 基質特異性を有する、すなわち非常に幅広く基質を選択できるというユニークな酵素 であることが分かった。この DTEの発見によって、すべての単糖がリング状につなが り、単糖の知識の構造化が完成し、ィズモリング (Izumoring)と名付けた。
この図 5をよく見てみると、左側に L型、右側に D型、真ん中に DL型があり、し力、もリ ングの中央(星印)を中心として L型と D型が点対称になっていることもわかる。例えば 、 D-グルコースと L-グルコースは、中央の点を基準として点対称になっている。し 力、もィズモリング(Izumoring)の価値は、全ての単糖の生産の設計図にもなつているこ とである。先の例で、 D-グルコースを出発点として L-グルコースを生産しようと思え ば、 D-グルコースを異性化→ェピ化→還元→酸化→ェピ化→異性化すると L-グ ルコースが作れることを示してレ、る。
炭素数が 6つの単糖(へキソース)のィズモリング(Izumoring)を使って、自然界に多 量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係が示されている。 D-ダルコ ース、 D-フラクトース、 D-マンノースと、牛乳中の乳糖から生産できる D-ガラクトー スは、自然界に多く存在し、それ以外のものは微量にしか存在しない希少糖と分類さ れる。 DTEの発見によって、 D-グルコースから D-フラクトース、 D-プシコースを製 造し、さらに D-ァロース、ァリトール、 D-タリトールを製造することができるようになつ た。希少糖 D-プシコースは、これまで入手自体が困難であった力 自然界に多量に 存在する単糖から希少糖を大量生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用 して製造すること力でさる。
炭素数が 6つの単糖(へキソース)のィズモリング(Izumoring)の意義をまとめると、 生産過程と分子構造 (D型、 L型)により、すべての単糖が構造的に整理され (知識の 構造化)、単糖の全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選 択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できること、 が挙げられる。
炭素数が 5つの単糖(ペントース)のィズモリングは、図 4の中段および図 6に示すよ うに、炭素数 6のィズモリングよりも小さいリングである。し力、し、 C6のィズモリングと同 じょうにアルドース 8個、ケトース 4個および糖アルコール 4個全てを含むことに変わり は無ぐ全てが酵素反応で結ばれる。異なる点は、酸化還元反応、異性化反応のみ でリング状に全てが連結できることである。一方、 DTEを用いることによって、さらに効 率のよい生産経路が設計できることがわかる。炭素数 5のィズモリングの特徴は、特 に図 6から明らかなように、炭素数 6のィズモリングが点対象に全単糖が配置されてい るのに対し、左右が対象に配置されていることが大きな特徴である。これら全ペントー スは、酵素反応により連結されていることから、炭素数 6のィズモリングの場合と全く同 様に、すべてのペントースが構造的に整理され (知識の構造化)、全体像が把握でき ること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設 計できること、欠落部分につ!/、て予見できる意義を持って!/、る。
炭素数が 4つの単糖(テトロース)のィズモリングは、図 4の上段および図 7に示すよ うに、テトロースの構造上の特性のため、リングが完成しないという特徴がある。炭素 数 5のィズモリング上部半分の構造を持っている。このリングの場合も、炭素数 5, 6の 場合と同様の酸化還元および異性化反応によって連結されている。 DTEが炭素数 4 のケトースに反応しないため、ケトース間の反応は現在のところ存在しない。しかし、 新規のェピメラーゼの存在が予測され、この研究は現在研究途上である。
全体の配置は、炭素数 5と同様に左右対称であり、アルドース 4個、ケトース 2個お よび糖アルコール 3個全てを含んでいる。すなわち炭素数 5, 6のィズモリングと同様 の意義が存在する。
ィズモリング C6の D-グルコースは、ィズモリング C5の D-ァラビトールおよびィズ モリング C4のエリスリトールとつながつている。この線は、発酵法によって D-ダルコ ースから D-ァラビトールおよびエリスリトールを生産できることを示している。すなわ ち、ィズモリング C6,ィズモリング C5およびィズモリング C4は連結されている。この連 結は、炭素数の減少という主に発酵法による反応であり、この D-ァラビトールおよび エリスリトールへの転換反応の二つ以外の発酵法によるィズモリング C6とィズモリング C5, C4との連結は可能である。例えば D-グルコースから D-リボースの生産も可能
である。
このように、 3つのィズモリングにより全ての炭素数 4, 5, 6の単糖(アルドース、ケト ース、糖アルコール)が連結されたことで、それぞれの単糖が全単糖の中でその存在 場所を明確に確認できる。最も有名なキシリトールは、未利用資源の木質から生産で きる D-キシロースを還元することで容易に生産できることを明確に確認できる。 もしも特定の単糖が生物反応によって多量に得られた場合には、それを原料とした 新たな単糖への変換の可能性が容易に見いだすことが可能である。すなわち、この 全体像から全ての単糖の原料としての位置を確実につかむことができるため、有用な 利用法を設計することができる。特に廃棄物や副産物から単糖が得られた場合の利 用方法を容易に推定できるのである。
単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子 と同数の多価アルコール、すなわち糖アルコールとなる。還元糖は食品等の分野で 有用なものが多ぐ例えば L-ァラビノースは、五炭糖で、蔗糖に近い味質を持ち、難 吸収性のノンカロリーな糖質である。また蔗糖やマルトースなどの二糖が体内に吸収 される際に作用する二糖水解酵素を阻害することが知られており、ダイエット用甘味 料や糖尿病患者用甘味料としての利用が期待されている。また、 L-ァラビノースは 医薬品の合成原料としても有用な糖である。
還元糖を取得する場合、その由来を天然物に求めることが行われている。例えば、 L-ァラビノースを取得する手段として、最近では、コーンファイバーやアラビアガム、 ビートパルプなどに酵素や酸を作用させる L-ァラビノースの製造法が開発されてい る。原料となるァラビナン、ァラビノキシラン、ァラビノガラタタン等の粗繊維はぺクチン 質や不要な粗繊維等と混在して存在する場合が多ぐこれらを酵素分解や酸加水分 解処理することによって得られる溶液の中には L-ァラビノース等の還元糖の他に、 ぺクチン質や粗繊維、またこれらの分解物が混在している。 L-ァラビノースを精製す る方法に関しては、 L-ァラビノース含有糖液中のキシロースおよびオリゴ糖と目的の L-ァラビノースをイオン交換樹脂によるクロマトグラフィーで分画する方法や、多糖、 オリゴ糖ゃ塩類との分離を目的としたイオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、膜処 理等が提案されている。
一方、単糖のデォキシ体については、有効な製造法および物質として認知されて V、るものが少なく、製造法につ!/、ての確立が第一に要望されて!/、る。
[0009] 特許文献 1 :特表 2006- 515883号公報
特許文献 2: WO2004/063369号公報
特許文献 2:特許 3333969号公報
非特許文献 1 : G.E. Edelman, Spektrum Wiss. 1964(6), 62
非特許文献 2 : V. Ginsburg, Adv. Enzymol. 36, (1972), 131
非特許文献 3 : G.M.W. Cook, E.W. Stoddart, 'Surface Carbohydratesof the Eucaryot ic Cell , Academic Press, London, 1973
非特許文献 4 : P. Albersheim, A.G. Darvill, Spektrum Wiss. 1985(11), 86
非特許文献5 :下.\¥.!¾(1601&(*6 , R.B. Parekh, R.A. Dwek, Ann. Rev. Biochem., 57 , (1988), 785
非特許文献 6 : Τ· Reichstein, Ε. Weiss, Adv. Carbohydr. Chem. 17, (9162 [sic] ), 6 5
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 工業的に単糖のデォキシ体を製造する上で、できるだけ少な!/、工程で、容易な製 造法の確立が強く望まれる。そこで、デォキシ体に対するィズモリングの構築とそれを 利用した体系的なデォキシ体の製造法を確立する。
すなわち、本発明は、ケトへキソースの 1-もしくは 6-デォキシ体に作用し、遊離の デォキシ体の糖質のままでェピマー化することによって、 3位をェピマー化したデォ キシ体を生成するデォキシケトへキソース異性化酵素の提供することを目的とする。 また、本発明は、該酵素を用いて、炭素数が 6つの単糖 (へキソース)のィズモリン グに対応するデォキシィズモリング(Deoxyizumoring)を完成させることを目的とする。 さらにまた、本発明は、該デォキシィズモリングに基づくアルドへキソース、ケトへキ ソース、糖アルコールのすべてに対応する 1-または 6-デォキシ体、ならびに、それ らの体系的、具体的かつ経済的な製造法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
本発明者らは、単糖のデォキシ体の製造法の確立に鋭意研究を行ってきた。その 中で、シユードモナスチコリ ST— 24 (FERM BP— 2736)由来の D-タガトース 3- ェピメラーゼカ S、 6_デォキシへキソース (例えば 6-デォキシ L-フラクトース)を基質 として対応する 6-デォキシへキソース(例えば 6-デォキ L-プシコース)を生成する ことを発見した。 L-ラムノースイソメラーゼカ 従来公知の L-ラムノースと 6-デォキ シ L-フラクトース間の酵素反応以外にも、 6-デォキシ L-プシコースと 6-デォキ シ L-アルトロース間などの他のデォキシ体の単糖のケトースとアルドース間の異性 化反応を触媒することを発見した。さらに、還元、酸化反応を組み合わせることにより 、単糖の 1-または 6-デォキシ体および 1-または 6-デォキシ糖アルコールを製造 できることを発見し本発明に至った。また、これによりデォキシ体に相当するィズモリ ング(Izumoring)であるデォキシィズモリングが完成できた。デォキシへキソースが連 携したのデォキシィズモリングを図 1として示す。図 1を構成する各デォキシ糖の名称 が付されているデォキシィズモリングを図 2として示す。そして各デォキシ糖に番号が 付されているデォキシィズモリングを図 3として示す。図 3中の番号とデォキシ糖の名 称は以下の通りである。
1 6- -デォキシ D- —ダリトール
2 6- -デォキシ D- -ソノレボース
3 6- -デォキシ D- -タガトース
4 6- -デォキシ D- -タリトール
5 1- -デォキシ D- -アルトリトール
6 1- -デォキシ D- -プシコース
7 1- -デォキシ D- -フラタトース
8 1- -デォキシ D- -マンニトール
9 6- -デォキシ D- —マンュトーノレ
10 6-デォキシ D-フラクトース
11 6-デォキシ D-プシコース
12 6—デ才キシ ノレ卜リ卜ーノレ
13 ;!-デォキシ D-タリトール
1-デォキシ D-タガト ス
1-デォキシ D-ソルボ'ース
;!-デォキシ D-グリトー -ル
6-デォキシ L-グルシ 1 ;、一ル
6-デォキシ L-フラタト —ス
6-デォキシ L-プシコース
6-デォキシ L-アルトリ I、一ル
;!-デォキシ L-タリトール
;!-デォキシ L-タガト- -ス
1-デォキシ L-ソルボ'ース
1-デォキシ L-イジトー -ル
6-デォキシ L-イジトー -ル
6-デォキシ L-ソルボ'ース
6-デォキシ L-タガト -ス
6-デォキシ L-タリトール
1-デォキシ L-アルト 1トール
1-デォキシ L-プシコ、ース
1-デォキシ L-フラクト '—ス
1-デォキシ L-グルシトール
6-デォキシ D-イジトール
6-デォキシ D-ガラク- fトール
;!-デォキシ D-ァリトー -ル
1-デォキシ D-グルシ 1、一ル
6-デォキシ D-グルシ I、一ル
6-デォキシ D-ァリトー -ル
1-デォキシ D-ガラク ; トール
1-デォキシ D-イジトール
6-デォキシ L-マンニトール
42 6- -デォキシ L- -ァリト、ール
43 1- -デォキシ L- -ガラク 'チトール
44 1- -デォキシ L- -ダリト'ール
45 6- -デォキシ L- -ダリト'ール
46 6- -デォキシ L- -ガラク 'チトール
47 1- -デォキシ L- -ァリト、ール
48 1- -デォキシ L- -マンニ :トール
49 6- -デォキシ D- -グロ ス
50 6- -デォキシ D- -イド一 -ス
51 6- -デォキシ D- -ガラクトース
52 6- -デォキシ D- -タロー -ス
53 6- -デォキシ D- —マ、 /ース
54 6- -デォキシ D- -グルコース
55 6- -デォキシ D- -アロース
56 6- -デォキシ D- -ァノレトロース
57 6- -デォキシ L- -グルコース
58 6- -デォキシ L- -マ、 'ース
59 6- -デォキシ L- -アロー -ス
60 6- -デォキシ L- -ァノレトロース
61 6- -デォキシ L- -イド一 -ス
62 6- -デォキシ L- -グロ - -ス
63 6- -デォキシ L- -ガラタトース
64 6- -デォキシ L- -タロー -ス
本発明は、以下の(1)〜(4)のデォキシケトへキソース異性化酵素を要旨とする。 (1)ケトへキソースの 1-もしくは 6-デォキシ体に作用し、遊離のデォキシ体の糖質 のままでェピマー化することによって、 3位をェピマー化したデォキシ体を生成するシ ユードモナス属に属する細菌から得ることのできるデォキシケトへキソース異性化酵 素。
(2) 1-デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは卜 デォキシ L-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースの 3位をェピマー 化し、対応する卜デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソース または 1-デォキシ L-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースを生成
(3)下記の理化学的性質を有するシユードモナス属に属する細菌から得ることのでき るデォキシケトへキソース異性化酵素。
1) 1-または 6-デォキシ D-ケトへキソース、および卜または 6-デォキシ L- ケトへキソースの 3位をェピマー化し、対応する卜または 6-デォキシ D-ケトへキソ ースおよび;!-または 6-デォキシ L-ケトへキソースを生成する。
2) D-ケトへキソース 3-ェピメラーゼ活性の至適 pHおよび pH安定性は、 pH7 〜; 10に至適 pHを有し、 pH5〜; 10で安定。
3) D-ケトへキソース 3-ェピメラーゼ活性の至適温度および熱安定性 60°C付近 に至適温度を有し、 50°C以下で安定。
4)紫外線吸収スペクトル 275乃至 280nmに吸収帯を示す。
5)分子量 41 , 000 ± 3, 000 (ゲル濾過クロマトグラフィーによる)。
(4)デォキシケトへキソース異性化酵素力 S、シユードモナスチコリ ST— 24 (FERM BP— 2736)由来の酵素である(1)、 (2)または(3)のデォキシケトへキソース異性化 酵素。
本発明は、以下の(5)〜(; 17)のデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製造 方法を要旨とする。
〈ケトース間〉
(5) (1)、(2)、(3)または (4)のデォキシケトへキソース異性化酵素を用い、原料で ある卜デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは 1- デォキシ L-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースの 3位をェピマー 化し、 目的物である、対応する卜デォキシ D-ケトへキソースまたは 6_デォキシ D -ケトへキソースまたは 1-デォキシ L-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへ キソースを製造することを特徴とするデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製
造方法。
〈ケトース→還元→糖アルコール〉
(6)上記誘導体がデォキシケトへキソースを還元したものであり、 目的物である、 1- デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは卜デォキ シ L-ケトへキソースまたは 6_デォキシ L-ケトへキソースを還元し、その誘導体で ある、対応する卜デォキシ D-糖アルコールまたは 6-デォキシ D-糖アルコール または 1-デォキシ L-糖アルコールまたは 6-デォキシ L-糖アルコールを製造す る(5)のデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈ケトース→還元→糖アルコール→酸化→ケトース〉
(7)上記誘導体がデォキシケトへキソースを還元し、さらに酸化したものであり、 目的 物である、 1-デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソースまた は卜デォキシ L-ケトへキソースまたは 6_デォキシ L-ケトへキソースを還元し、そ の誘導体である、対応する;!-デォキシ D-糖アルコールまたは 6-デォキシ D-糖 アルコールまたは 1-デォキシ L-糖アルコールまたは 6-デォキシ L-糖アルコー ルを製造し、さらにその 1-デォキシ D-糖アルコールまたは 6-デォキシ D-糖ァ ルコールまたは 1-デォキシ L-糖アルコールまたは 6-デォキシ L-糖アルコール を酸化し、対応する 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは 1-デォキシ D-ケトへキ ソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースまたは卜デォキシ L-ケトへキソースを 製造する(5)のデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈ケトース→アルドース「6デォキシしか存在しな!/、」 )
(8)上記誘導体が 6_デォキシケトへキソースを異性化したもので、 目的物である、 6- デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースに、アルドースィ ソメラーゼを作用させて、その誘導体である、対応する 6-デォキシ D-アルドへキソ ースまたは 6-デォキシ L-アルドへキソースを製造する(5)のデォキシケトへキソー スおよびその誘導体の製造方法。
〈ケトース→ァノレドース→糖ァノレコーノレ〉
(9)上記誘導体がデォキシケトへキソースを異性化し、さらに還元したもものであり、 目的物である、 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソース
に、アルドースイソメラーゼを作用させ、その誘導体である、対応する 6_デォキシ D- アルドへキソースまたは 6-デォキシ L-アルドへキソースを製造し、さらにその 6- デォキシ D-アルドへキソースまたは 6-デォキシ L-アルドへキソースに、アルド一 スレダクターゼを作用させて、対応する 6-デォキシ D-糖アルコールまたは 6-デォ キシ L-糖アルコール製造する(5)のデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製 造方法。
〈アルド一ス→異性化→ケトース→ェピ化→ケトース〉
(10)酵素を作用させる原料である 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキ シ L-ケトへキソースが、 6_デォキシ D-アルドへキソースまたは 6-デォキシ L-ァ ルドへキソースにアルドースイソメラーゼをさせ、対応する 6-デォキシ D-ケトへキソ ースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースを製造したものであり、次いでそれをェピ マー化して、 目的物である、対応する 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォ キシ L-ケトへキソースを製造する(5)のデォキシケトへキソースおよびその誘導体 の製造方法。
〈糖アルコ一ル→酸化→ケトース→ェピ化→ケトース〉
(11)原料である卜デォキシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソー スまたは 1-デォキシ L-ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースが、 1- デォキシ D-糖アルコールまたは 6-デォキシ D-糖アルコールまたは;!_デォキシ L-糖アルコールまたは 6-デォキシ L-糖アルコールを酸化し、対応する;!_デォ キシ D-ケトへキソースまたは 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは卜デォキシ L- ケトへキソースまたは 6-デォキシ L-ケトへキソースを製造したものであり、次いで それをェピマー化して、 目的物である、対応する卜デォキシ D-ケトへキソースまた は 6-デォキシ D-ケトへキソースまたは 1-デォキシ L-ケトへキソースまたは 6-デ ォキシ L-ケトへキソースを製造する請求項 5のデォキシケトへキソースおよびその 誘導体の製造方法。
(12)上記の酸化反応または還元反応に、ポリオールデヒドロゲナーゼを用いる、また はラネーニッケル等を触媒として用いる水素添加法を用いる(6)、 (7)または(11)の デォキシケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。
(13)上記の酸化反応に、脱水素酵素生成能を有するェンテロパクター属菌体 IK7 ( NITE BP-271)を用いる(7)または(11)の方法。
〈アルド一ス→還元→糖アルコール→酸化→ケトース→ェピ化→ケトース〉
(14)原料である;!-または 6-デォキシ D-ケトへキソース、または 1-または 6-デォ キシ L-ケトへキソースが、 6-デォキシ D-アルドへキソースまたは 6-デォキシ L- アルドへキソースにアルド一スレダクターゼを作用させる力、、あるいは有機化学的な 還元反応により、対応する 6-デォキシ D-糖アルコール、または 6-デォキシ L-糖 アルコールを製造し、次いでこれを酸化し、対応する卜または 6-デォキシ D-ケト へキソース、または 1-または 6-デォキシ L-ケトへキソースを製造したものであり、 次いでそれをェピマー化して、 目的物である、対応する卜または 6_デォキシ D-ケ トへキソース、または 1-または 6-デォキシ L-ケトへキソースを製造する(5)のデォ キシケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。
(15)上記の還元反応に、アルド一スレダクターゼを用いる、または化学的還元方法 を用いる(9)または(14)のデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。。
(16)上記の異性化反応に、 L-ラムノースイソメラーゼを用いる(8)、 (9)または(10) のデォキシケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。
(17)上記の異性化反応に、 L-ラムノースイソメラーゼを用い、 6-デォキシ L-プシ コースを 6-デォキシ L-アルトロースに異性化する(8)、 (9)または(10)のデォキシ ケトへキソースおよびその誘導体の製造方法。
本発明は、以下の(18)の新規化合物を要旨とする。
(18) (5)な!/、し(17)の!/、ずれかの方法で製造された以下の新規化合物。
6-デォキシ D-ソルボース、 6-デォキシ D-タガトース、 1-デォキシ D-プシコース 、 1-デォキシ D-フラクトース、 6-デォキシ D-フラクトース、 6-デォキシ D-プシコ ース、 1-デォキシ D-タガトース、 1-デォキシ D-ソルボース、 6-デォキシ L-フラク トース、 6-デォキシ L-プシコース、 1-デォキシ L-タガトース、 1-デォキシ L-ソル ボース、 6-デォキシ L-ソルボース、 6-デォキシ L-タガトース、卜デォキシ L-プシ コース、 1-デォキシ L-フラクトース 6-デォキシ D-グロース、 6-デォキシ D-イド一 ス、 6-デォキシ D-ガラクトース、 6-デォキシ D-タロース、 6-デォキシ D-マンノー
ス、 6-デォキシ D-グルコース、 6-デォキシ D-ァロース、 6-デォキシ D-アルト口 ース、 6-デォキシ L-グルコース、 6-デォキシ L-ァロース、 6-デォキシ L-アルト口 ース、 6-デォキシ L-イドース、 6-デォキシ L-グロース、 6-デォキシ L-タロース卜 デォキシ L-グルシトールまたは 6-デォキシ D-ダリトール、 6-デォキシ D-イジトー ルまたは 1-デォキシ D-イジトール。
発明の効果
[0015] 本発明により、遊離のケトへキソースの 1-もしくは 6-デォキシ体に作用するデォキ シケトへキソース異性化酵素、それを用いる 1-または 6-デォキシ体の製造方法、並 びに、生産された 1-または 6-デォキシ体を提供することができる。
[0016] また、自然界に希にしか存在しな!/、単糖およびその誘導体(アルドース、ケトースぉ よび糖アルコール)である希少糖について、炭素数が 6つの単糖およびその誘導体( へキソース)のィズモリング(Izumoring)は、自然界に多量に存在する糖と微量にしか 存在しない希少糖との関係、それを得るための出発原料および経路が体系的に示さ れているが、本発明により、該ィズモリングを、炭素数 6の単糖およびその誘導体(ァ ルドース、ケトース、糖アルコール)に対応する 1-または 6-デォキシ体で連結された 、デォキシィズモリング(Deoxy-Izumoring)に展開させることができる。
デォキシィズモリングにより、炭素数 6の単糖およびその誘導体(アルドース、ケトー ス、糖アルコール)に対応する 1または 6デォキシ体、すなわち、デォキシ希少糖 (デ ォキシケトへキソース、デォキシアルドへキソース)およびその誘導体であるデォキシ 糖アルコール)が酵素的酸化または、酵素的或いは化学的還元、異性化の関係がわ 力、る形で連結されたことで、効率的な生産が可能となる。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]デォキシへキソースが連携したのデォキシィズモリングを示す。
[図 2]デォキシ糖名が付されて!/、るデォキシィズモリングを示す。
[図 3]デォキシ糖に番号が付されて!/、るデォキシィズモリングを示す。、
[図 4]4糖、 5糖、 6糖が連携したのィズモリングを製造する経路を示す。
[図 5] 6糖が連携したのィズモリングを製造する経路を示す。
[図 6]5糖が連携したのィズモリングを製造する経路を示す。
園 7]4糖が連携したのィズモリングを製造する経路を示す。
園 8]構造式とセットのィズモリング C6の説明図を示す。
[図 9]L_ラムノースと 6_デォキシ L-フラクトースの平衡比を示した。
園 10]L-ラムノースと 6_デォキシ L-フラクトース溶液の HPLC分析結果を示した。
[図 11]L-ラムノースと 6-デォキシ L-フラクトースと 6-デォキシ L-プシコースの平 衡比を示した。
[図 12]L_ラムノースと 6_デォキシ L-フラクトースと 6-デォキシ L-プシコースの溶 液の HPLC分析結果を示した。
[図 13]L-ラムノースと 6-デォキシ L-フラクトースと 6-デォキシ L-プシコースの各 タンクの溶液を HPLC分析した結果を示した。
[図 14]6_デォキシ L-プシコースと 6-デォキシ L-アルトロースの溶液の HPLC分 析結果を示した。
[図 15]生産物である 1-デォキシ D-プシコースの構造を化学合成した 1-デォキシ D =プシコースと 13C NMRを測定し、比較した結果を示した。
[図 16]生産物である 1-デォキシ D-プシコースの構造を化学合成した 1-デォキシ D =プシコースとプロトン NMRを測定し、比較した結果を示した。上が化学合成したもの 、下が本実験で生産したものである。
[図 17]化学合成した 1-デォキシ L-フラクトースと生産物とを NMRスペクトルを測定し て比較した結果を示す。上は 1-デォキシ D-プシコースの13 C NMRであり、下が本 実験で生産した卜デォキシ L-フラクトースの13 C NMRである。
[図 18]化学合成した 1-デォキシ L-フラクトースと生産物とを NMRスペクトルを測定し て比較した結果を示す。上は 1-デォキシ D-プシコースのプロトン NMRであり、下が 本実験で生産した卜デォキシ L-フラクトースのプロトン NMRである。
園 19]実施例 10で生産した;!_デォキシ D-タガトースの HPLC分析結果を示した。
[図 20]実施例 10で生産した 1-デォキシ D-タガトースの13 C NMRである。
[図 21]実施例 10で生産した 6-デォキシ D-タガトースの HPLC分析結果を示した。
[図 22]実施例 10で生産した 6-デォキシ D-タガトースの13 C NMRである。
[図 23]L -ラムノース力も L -ラムノースイソメラーゼおよび D-タガトース 3_ェピメラー
ゼを用いて 6-デォキシ L-プシコースを生産する反応を示した。
[図 24]6_デォキシ L-プシコースの;!-デォキシ D-ァリトールと、;!-デォキシ D-タリト ールへの化学的還元反応を示した。
[図 25]デォキシ D -ァリトールの 6-デォキシ L-プシコースへの生物化学的反応を示 した。
[図 26]6_デォキシ L-プシコースの;!-デォキシ D-ァリトールと、;!-デォキシ D-タリト ールへの化学的還元反応の時間経過と HPLCクロマトグラフ分析結果を示した。
[図 27]デォキシ D-ァリトールの 6-デォキシ L-プシコースへの生物化学的反応の時 間経過と HPLCクロマトグラフ分析結果を示した。
[図 28]実施例 10で生産した 6-デォキシ L-プシコースの結晶を写した図面に変わる 写真である。
[図 29]化学合成した 6-デォキシ L-プシコースと実施例 11の生産物とを NMRスぺク トルを測定して比較した結果を示す。左は 6-デォキシ L-プシコースの13 C NMRであ り、右が実施例 11で生産した 6-デォキシ L-プシコースの13 C NMRである。
園 30]精製された 6-デォキシ L-フラクトースの HPLC分析結果を示した。
園 31]化学合成した 6-デォキシ L-フラクトース (標準)と生産された 6-デォキシ L-フ ラタトースの NMRスペクトルを測定して比較した結果を示す。上は標準の13 C NMRで あり、下が本実験で生産した 6-デォキシ L-フラクトースの13 C NMRである。
[図 32]生産された 1-デォキシ L-プシコースの13 C NMRスペクトルを示した。
[図 33]L-ラムノースおよび 6-デォキシ L-マンニトールの13 C NMRスペクトルを示した
[図 34]6_デォキシ L-マンニトール、;!_デォキシ L-フラクトースおよび分離された生産 物の13 C NMRスペクトルを示した。
[図 35];! -デォキシ L-フラクトース、;!_デォキシ L-プシコースおよび分離された生産 物の13 C NMRスペクトルを示した。
[図 36]L-ラムノースから 6-デォキシ L-マンニトールおよび卜デォキシ L-フラクトース を経由して 1-デォキシ L-プシコースを製造する過程を化学反応式で示した。
[図 37]実施例 14の反応混合物である 6-デォキシ Lータガトースと 6-デォキシ L
ソルボースの溶液の HPLC分析結果を示した。
[図 38]実施例 14で生産した 6-デォキシ L-ソルボースの HPLC分析結果を示した。
[図 39]実施例 15の反応混合物である 6-デォキシ D—タガトースと 6-デォキシ D- ソルボースの溶液の HPLC分析結果を示した。
園 40]実施例 16の反応混合物から分離した;!_デォキシ L-フラクトース(a)および 1 -デォキシ L-プシコース(b)の HPLC分析結果を示した。
[図 41]実施例 16で分離した卜デォキシ L-プシコースの13 C NMRスペクトルを示し た。
[図 42]実施例 17の(a)は反応前の 6-デォキシ D-プシコース、(b)は反応後の HP LCによる分析結果を示した。
[図 43]実施例 18の(a)は反応前の 6-デォキシ L-タガトース、(b)は反応後の HPL Cによる分析結果を示した。
[図 44]実施例 19の(a)は反応後の反応混合物、(b)は生成した 1-デォキシ D-タガ トースの HPLC分析の結果を示した。
[図 45]実施例 19で生成した 1-デォキシ D-タガトースの13 C NMRスペクトルを示し た。
[図 46]実施例 20で 1-デォキシ L-タガトースが生産されている途中の HPLC分析 の結果を示した。
[図 47]実施例 21の (a)は反応後の反応混合物、(b)は分離精製した 1-デォキシ D- タガトースの HPLC分析の結果を示した。
[図 48]実施例 21で生成した 1-デォキシ D-タガトースの13 C NMRスペクトルを示し た。
[図 49]実施例 22の(a)は L-ラム二トール、(b)は分離精製した;!-デォキシ L-フラ クトースの HPLC分析の結果を示した。
[図 50]実施例 22で生成した 1-デォキシ L-フラクトースの 13C NMRスペクトルを示 した。
[図 51]実施例 23の(a)反応前の卜デォキシ L-ァリトールおよび卜デォキシ L-タ リトール混合物、(b)反応後の 6-デォキシ D-プシコースおよび 6-デォキシ L-タ
ガトースの反応混合物、(c)分離精製した 6-デォキシ D -プシコース、(d)分離精製 した 6-デォキシ L-タガトースの HPLC分析結果を示した。
[図 52]実施例 24の (a)は反応後の反応混合物、(b)は分離精製した 6-デォキシ L- タガトースの HPLC分析の結果を示した。
[図 53]実施例 24で生成した 6-デォキシ L-タガトースの 13C NMRスペクトルを示し た。
[図 54]実施例 25の (a)は反応後の反応混合物、(b)は分離精製した 6-デォキシ D- タロースの HPLC分析の結果、(C)は分離精製した 6-デォキシ D-タロースの13 C NMRスぺクトノレを示した。
[図 55]実施例 26の(a)は基質として用いた 6-デォキシ D-プシコース、(b)は反応 後の反応混合物の HPLC分析の結果を示した。
[図 56]実施例 27は 6-デォキシ D-タガトースに L—リボースイソメラーゼを作用した 後の 6-デォキシ D-タガトースと 6-デォキシ D-タロースの混合物の HPLC分析 結果である。
[図 57]実施例 28の(a)は還元前の D—フコース、(b)は還元後の 6_デォキシ L-ガ ラタチトールの HPLC分析結果を示した。
[図 58]実施例 29で生成した 6-デォキシ L-ガラクチトールの 13C NMRスペクトルを 示した。
[図 59]実施例 29の(a)は還元前の Lーフコース、(b)は還元後の 6_デォキシ D-ガ ラタチトールの HPLC分析結果を示した。
[図 60]実施例 29で生成した 6-デォキシ D-ガラクチトールの13 C NMRスペクトルを 示した。
[図 61]実施例 30の(a)は還元前の L-ラムノース、(b)は還元後の L-ラム二トールの HPLC分析結果を示した。
[図 62]実施例 31の還元後の卜デォキシ L-マンニトールと卜デォキシ L-ソルビト ール混合物の HPLC分析結果を示した。
[図 63]実施例 32の還元後の;!-デォキシ L-ァリトールと 1-デォキシ L-タリトール 混合物の HPLC分析結果である。
[図 64]図;!〜 3に示されるデォキシィズモリングで生産可能な、全デォキシ糖 ( 1デォ キシケトースが 8種、 6デォキシケトースが 8種、 6デォキシアルドースが 16種、 1およ び 6デォキシポリオールが 16種)のリストを示した。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明者らは、デォキシケトへキソース間を、遊離のデォキシ体の糖質のままで容 易にェピマー化しうるェピメラーゼの検索を鋭意続けてきた。その結果、従来知られ ている D-ケトへキソース 3-ェピメラーゼである D-タガトース 3-ェピメラーゼ(特許 第 3333969号)力 ケトへキソースのみならず、対応するケトへキソースの卜もしくは 6-デォキシ体にも作用し、 3位をェピマー化したデォキシ体を得ることができることを 発見し、該酵素を利用した D-または L-デォキシケトへキソースの変換方法並びに 変換された D-または L-デォキシケトースの製造方法を確立した。
[0019] なお、ェピメラーゼは、ェンザィム ノメンクレイチヤ一(Enzyme Nomenclature) ( アメリカ合衆国、 Academic Press, Inc. 1992年)によると、各種の糖質に作用する ことが知られている。しかしながら、これまでに知られているェピメラーゼは、例えば、 リブロースリン酸塩 3-ェピメラーゼ(EC 5. 1 . 3. 1 )や UDP—グルコース 4—ェピ メラーゼ(EC 5. 1. 3. 2)などのように主としてリン酸化された糖質や UDPなどと結 合した糖質に作用するものであり、遊離の中性の糖質を製造する工業用途には、使 えないものであった。
一方、遊離の糖質に作用するェピメラーゼについては、アルドースに作用する二例 、アルドース卜ェピメラーゼ(EC 5. 1. 3. 3)およびセロピオースェピメラーゼ(EC 5. 1. 3. 1 1 )または、ケトースに作用する D-ケトへキソース 3-ェピメラーゼが知ら れているのみである。アルドース 1-ェピメラーゼは、アルドースの 1位の α、 β了クマ 一間のェピマー化を触媒し、セロビオースェピメラーゼは、同様に、セロビオースの a、 βァノマー間を触媒する酵素である。また、 D-ケトへキソース 3_ェピメラーゼは ケトへキソースの 3位を触媒する酵素である力 S、デォキシ体に作用するかどうかは知ら れていなかった。
また、本発明記載の公知である L-ラムノースイソメラーゼ力 6-デォキシ L-プシ コースから 6—デォキシ L-アルトロース間を触媒する反応については知られていな
かった。さらに、本発明記載の公知である脱水素酵素生成能を有するェンテロバクタ 一に属する微生物を用いる酸化により、 1-デォキシ L-マンニトールから 1-デォキ シ L-フラクトースを生成する反応および;!_デォキシ D-ァリトールから;!-デォキシ D-プシコースを生成する反応などについては知られていなかった。
[0020] すなわち、本酵素(シユードモナス属に属する細菌から得ることのできるデォキシケ トへキソース異性化酵素、 D-ケトへキソース 3-ェピメラーゼ)は、以下の化合物間 の反応を触媒することを発見した。
(i) 6-デォキシ L-フラクトースの 6-デォキシ L-プシコースへのェピマー化反応 もしくはその逆反応、
(ii) 1-デォキシ L-タガトースの 1-デォキシ L-ソルボースへのェピマー化反応 もしくはその逆反応、
(iii) 6-デォキシ L-ソルボースの 6-デォキシ L-タガトースへのェピマー化反応 もしくはその逆反応、
(iv) 1-デォキシ L-プシコースの 1-デォキシ L-フラクトースへのェピマー化反 応もしくはその逆反応、
(v) 6-デォキシ D-ソルボースの 6-デォキシ D-タガトースへのェピマー化反応 もしくはその逆反応、
(vi) 1-デォキシ D-プシコースの 1-デォキシ D-フラクトースへのェピマー化反 応もしくはその逆反応、
(vii) 6-デォキシ D-フラクトースの 6-デォキシ D-プシコースへのェピマー化反 応もしくはその逆反応、
(viii) 1-デォキシ D-タガトースの 1-デォキシ D-ソノレボースへのェピマー化反 応もしくはその逆反応。
[0021] また、アルドースイソメラーゼを用いることによって、本発明で生成した D-または L- デォキシケトへキソースと D-または L-デォキシアルドへキソース間を、遊離のデォ キシ体の糖質のままで容易に異性化することができる。
よって、本発明は、製造したデォキシケトへキソースを対応するデォキシアルドース に変換もしくは、デォキシアルドースをデォキシケトへキソースに変換する製造方法
を確立した。
本酵素(アルドースイソメラーゼ)は、以下の化合物間の反応を触媒する。
(a) 6-デォキシ L-グルコースの 6-デォキシ L-フラクトースへの異性化反応もしく はその逆反応、
(b) 6-デォキシ L-マンノースの 6-デォキシ L-フラクトースへの異性化反応もしく はその逆反応、
(c) 6-デォキシ L-ァロースの 6-デォキシ L-プシコースへの異性化反応もしくは その逆反応、
(d) 6-デォキシ L-アルトロースの 6-デォキシ L-プシコースへの異性化反応もし くはその逆反応、
(e) 6-デォキシ L-イドースの 6-デォキシ L-ソルボースへの異性化反応もしくは その逆反応、
(f) 6-デォキシ L-グロースの 6-デォキシ L-ソルボースへの異性化反応もしくは その逆反応、
(g) 6-デォキシ L-ガラクトースの 6-デォキシ L-タガトースへの異性化反応もしく はその逆反応、
(h) 6-デォキシ L-タロースの 6-デォキシ L-タガトースへの異性化反応もしくはそ の逆反応。
(0 6-デォキシ D-グルコースの 6-デォキシ D-フラクトースへの異性化反応もしく はその逆反応、
(j) 6-デォキシ D-マンノースの 6-デォキシ D-フラクトースへの異性化反応もしく はその逆反応、
(k) 6-デォキシ D-ァロースの 6-デォキシ D-プシコースへの異性化反応もしくは その逆反応、
(1) 6-デォキシ D-アルトロースの 6-デォキシ D-プシコースへの異性化反応もし くはその逆反応、
(m) 6-デォキシ D-イドースの 6-デォキシ D-ソルボースへの異性化反応もしくは その逆反応、
(n) 6-デォキシ D-グロースの 6-デォキシ D-ソルボースへの異性化反応もしくは その逆反応、
(0) 6-デォキシ D-ガラクトースの 6-デォキシ D-タガトースへの異性化反応もしく はその逆反応、
(p) 6-デォキシ D-タロースの 6-デォキシ D-タガトースへの異性化反応もしくは その逆反応。
また、ポリオールデヒドロゲナーゼを用いることによって、デォキシケトへキソースと デォキシ糖アルコール間を、遊離のデォキシ体の糖質のままで容易に還元もしくは 酸化できる。
よって、本発明は、製造したデォキシケトへキソースを対応するデォキシ糖アルコー ルに変換もしくは、デォキシ糖アルコールをデォキシケトースに変換する製造方法を 確立した。また、デォキシケトへキソースからデォキシ糖アルコールの還元反応は化 学的還元法によっても実施できる。
本酵素(ポリオールデヒドロゲナーゼ)は、以下の化合物間の反応を触媒する。 (ァ) 6-デォキシ L-グルシトールの 6-デォキシ L-フラクトースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応、
(ィ) 6-デォキシ L-マンニトールの 6-デォキシ L-フラクトースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応、
(ゥ) 6-デォキシ Lァリトールの 6-デォキシ L-プシコースへの酸化反応もしくはそ の逆の還元反応、
(ェ) 6-デォキシ L-ァリトリトールの 6-デォキシ L-プシコースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応、
(ォ) 1-デォキシ L-タリトールの;!-デォキシ L-タガトースへの酸化反応もしくはそ の逆の還元反応、
(力) 1-デォキシ Lガラクチトールの;!-デォキシ L-タガトースへの還元反応もしく はその逆の酸化反応、
(キ) 1-デォキシ Lダリトールの 1-デォキシ L-ソルボースへの酸化反応もしくはそ の逆の還元反応、
(ク) 1-デォキシ L-イジトールの;!-デォキシ L-ソルボースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応。
(ケ) 6-デォキシ L-イジトールの 6-デォキシ L-ソルボースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応。
(コ) 6-デォキシ L-グリ 1、一ルの 6-デォキシ L-ソルボースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応、
(サ) 6-デォキシ Lガラクチトールの 6-デォキシ L-タガトースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応、
(シ) 6-デォキシ L-タリトールの 6-デォキシ L-タガトースへの酸化反応もしくはそ の逆の還元反応、
(ス) 1-デォキシ L-ァリトリトールの 1-デォキシ L-プシコースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応、
(セ)卜デォキシ L-ァリトールの 1-デォキシ L-プシコースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応、
(ソ) 1-デォキシ L-マンニトールの 1-デォキシ L-フラクトースへの還元反応もしく はその逆の酸化反応、
(タ) 1-デォキシ L-グルシトールの 1-デォキシ L-フラクトースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応。
(チ) 6-デォキシ D-ダリ 1、一ルの 6-デォキシ D-ソルボースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応、
(ッ)6-デォキシ D-イジトールの 6-デォキシ D-ソルボースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応、
(テ) 6-デォキシ D-ガラクチトールの 6-デォキシ D-タガトースへの酸化反応もし くはその逆の還元反応、
(ト) 6-デォキシ D-タリ 1、一ルの 6-デォキシ D-タガトースへの酸化反応もしくはそ の逆の還元反応、
(ナ) 1-デォキシ D-ァリトリトールの 1-デォキシ D-プシコースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応、
(二) 1-デォキシ D-グルシトールの 1-デォキシ D-フラクトースへの還元反応もし くはその逆の酸化反応、
(ヌ) 1-デォキシ D-マンニトールの 1-デォキシ D-フラクトースへの酸化反応もし くはその逆の還元反応、
(ネ) 6-デォキシ D-マンニトールの 6-デォキシ D-フラクトースへの酸化反応もし くはその逆の還元反応、
(7) 6-デォキシ D—グルシトールの 6-デォキシ D-フラクトースへの酸化反応もし くはその逆の還元反応、
(ハ) 6-デォキシ D-ァリトールの 6-デォキシ D-プシコースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応、
(ヒ) 6-デォキシ D-アルトリトールの 6-デォキシ D-プシコースへの酸化反応もし くはその逆の還元反応、
(フ) 1-デォキシ D-タリトールの;!-デォキシ D-タガトースへの酸化反応もしくは その逆の還元反応、
(へ) 1-デォキシ D-ガラクチトールの;!-デォキシ D-タガトースへの酸化反応もし くはその逆の還元反応、
(ホ) 1-デォキシ D-イジトールの 1-デォキシ D-ソルボースへの還元反応もしくは その逆の酸化反応、
(マ) 1- デォキシ D- ダリトールの 1-デォキシ D-ソルボースへの酸化反応もしく はその逆の還元反応。
また、アルド一スレダクターゼもしくは、化学的還元反応を用いることによって、デォ キシアルドへキソースをデォキシ糖アルコールに、遊離のデォキシ体の糖質のままで 容易に還元できる。
よって、本発明は、製造したデォキシアルドへキソースを対応するデォキシ糖アル コールに変換する製造方法を確立した。
本酵素 (アルド一スレダクターゼ)もしくは化学的還元法は、以下の化合物間の反応 を触媒する。
(あ) 6-デォキシ L-グルコースの 6-デォキシ L-グルシトールへの還元反応、
tキシ L- -マンノースの 6-デ:すキシ L-マン '二ト一ノレへの遠元反 、、 D C ーキシ L-ァロースの 6-デオ シ L -ァリトー -ル 、の 兀反 、、
tキシ D- -グロースの 6-デ才キシ D-ダリト' ―ル.への; IS兀汉 fo。 本発明は、上記!/ ' 、ずれの 1-または 6- D-デォキシ'へキソース、または 1-または 6
- L-デォキシへキソースを原料として、上記 4酵素および化学的還元法を組み合わ せて用いることによって、いずれの卜または 6- D-デォキシへキソース、または卜 または 6- L-デォキシへキソースを製造する製造方法を確立し、提供する。
本発明のデォキシへキソースの製造方法は、 D-ケトへキソース 3-ェピメラーゼが 、デォキシケトへキソースの 3位をェピマー化し、対応するデォキシケトへキソースを 生成する活性を有することを新たに発見し、アルドースイソメラーゼ、ポリオールデヒド ロゲナーゼ、アルド一スレダクターゼ、化学的還元法を系統立てて用いることにより全 てのデォキシへキソースを製造できる手段を提供する。
用いる D-ケトース 3-ェピメラーゼは、 D-デォキシケトへキソースの 3位をェピマ 一化するものが選ばれる力 特許 3333969号に記載のもの力 反応活性が高く好ま しい。また、アルドースイソメラーゼは、デォキシケトへキソースとデォキシアルドへキ ソース間の異性化を触媒する酵素であれば良!/、が、 WO2004/063369号記載の L-
ラムノースイソメラーゼが特に好ましい。また、デォキシケトへキソースおよびデォキシ アルドへキソースの還元反応は、ラネーニッケル等を触媒とする接触還元、アルド一 スレダクターゼ、ポリオールデヒドロゲナーゼなどにより実施することができる。また糖 アルコールの酸化は、ポリオールデヒドロゲナーゼなどにより実施することができる。
[0026] 本発明に用いられる D-タガトース 3-ェピメラーゼの主な理化学的性質は、特許第
3333969号明細書に記載されている力 S、デォキシ体に対する性質を下記に示す。
(1) 作用および基質特異性 D-または L-または、 1-または 6-デォキシケトへキソ ースの 3位をェピマー化し、対応する D-または L-または、 1-または 6-デォキシケ トへキソースを生成する。
(2) 至適 pHおよび pH安定性 pH7〜; 10に至適 pHを有し、 pH5〜; 10で安定。
(3) 至適温度および熱安定性 60°C付近に至適温度を有し、 50°C以下で安定。
[0027] 本発明の D-タガトース 3-ェピメラーゼすなわち D-ケトへキソース 3-ェピメラー ゼは、通常、特許第 3333969号明細書で開示されている方法でシユードモナスチ コリ ST— 24 (FERM BP— 2736)およびその変異種などを用いることにより生産で きる。
[0028] すなわちシユードモナスチコリ ST— 24 (FERM BP— 2736)を、常法に従って、 炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンなどを含有する栄養培地に;!〜 5日間程度培養、 望ましくは、液体培地に通気撹拌などにより好気的条件下で培養し、得られる菌体ま たは培養液上清などの培養物から D-タガトース 3-ェピメラーゼを抽出する。通常、 培養物を粗 D-ケトへキソース 3_ェピメラーゼとして利用すること力 Sできる。必要なら ば、培養物を濾過、遠心分離、塩析、透析、濃縮、凍結乾燥など公知の方法で部分 精製して利用すること力 Sできる。さらにイオン交換体への吸着溶出、ゲル濾過、等電 点分画、電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、ァフィ二ティークロマトグラフィー、モ ノクローナル抗体への吸着溶出などを組合せて高度に精製したものも利用することも 可能である。このようにして、ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に、単一にバンドを示 すまで精製した D-タガトース 3ェピメラーゼは、 D-ケトへキソースの 3位の OH基を ェピマー化する。また、驚くことに、本酵素は、 1-または 6- D-デォキシへキソース、 または 1-または 6- L-デォキシへキソースに対しても、ェピメラーゼ活性を示すこと
カゎカゝつた。
[0029] また、本発明の変換反応、すなわち、 D-または L-デォキシケトへキソースから選 ばれる 1種以上のケトースから、該ケトースの 3位をェピマー化し、対応する D-また は L-デォキシケトへキソースなどを生成する変換反応において、本発明の D-デォ キシケトへキソース 3_ェピメラーゼを公知の方法により固定化して、反応に繰り返し 利用することも、連続反応に利用することも有利に実施できる。
[0030] この変換反応は、通常、次の条件で行なわれる。基質濃度は;!〜 60w/v%、望ま しくは約 5〜50w/v%、反応温度は 10〜70°C、望ましくは約 30〜60°C、反応 pH は 5〜10、望ましくは約 7〜10、酵素活性は基質グラム当り 1単位以上、望ましくは、 50-5, 000単位の範囲から選ばれる。反応時間は、適宜選択できるが、経済性との 関係で、ノ ツチ反応の場合には、通常、 5〜50時間の範囲が選ばれる。
なお上記の酵素活性単位は、タガトース 3-ェピメラーゼ活性に対する酵素単位と し、次のようにして測定される。
すなわち、 50mMトリス塩酸緩衝液(pH7 · 5 ) 100 〃1、 40mMD_ タガトースを 5 0 1および酵素液 50 1含む溶液ほたは懸濁液)を 30 °Cで 60分間インキュベー トし、生成物である D-ソルボースを HPLCにより測定した。酵素活性 1単位は 1分間 に 1 μ molの D-タガトースをェピマー化し、 D-ソルボースを生成する酵素量とした
[0031] このようにして変換させた反応溶液は、原料のデォキシケトースと新たに生成したデ ォキシケトース(原料のェピマー)とを含有しており、必要ならば、この濃縮液を、例え ば、アルカリ金属型またはアルカリ土類金属型強酸性カチオン交換樹脂を用いる力 ラムクロマトグラフィーにより、新たに生成したデォキシケトースと原料デォキシケトー スとを分離精製し、新たに生成したデォキシケトース高含有画分を濃縮し、シラップ 状製品を得ること力できる。また、結晶化が可能である場合には、晶出させて結晶状 製品を得ることも有利に実施できる。また、この分離された原料のデォキシケトースを 、再度、変換反応の原料に用いることもできる。
[0032] 本発明で使用する異性化を触媒する酵素、 1-または 6-デォキシケトへキソースと
1-または 6-デォキシアルドへキソース間の異性化反応を触媒するアルドースイソメ
ラーゼの種類は特に限定されないが、 WO2004/063369または特許公開 2006- 153 591号記載の L-ラムノースイソメラーゼを好ましいものとして例示される。
WO2004/063369記載の L ラムノースイソメラーゼは、「Pseudomonas stutzeri LLl 72」の培養液から得られる L—ラムノースから 6 デォキシ L フラクトースへの異性化 反応、ならびに、 6—デォキシ L フラクトースから L ラムノースへの異性化を触媒す る酵素として知られる異性化酵素である。なお、菌株 Pseudomonas stutzeri LL172 は、 日本国独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター (日本国茨 城県つくば巿東 1 - 1 - 1中央第 6)に 2004年 1月 6日に国際寄託して!/、る (IPOD F ERM BP- 08593)
本酵素の性質は、以下の通りである。
(ィ)作用 pHおよび至適 pH
作用 pHは 7. 0—10. 0であり、至適 pHは 9. 0である。
(口) pH安定性
種々の pHで 4°C、 1時間保持した場合、 pH6. 0-11. 0の範囲で安定である。
(ハ)作用温度および至適温度
作用温度は 40〜65°Cであり、至適温度は 60°Cである。
(二)温度安定性
40°C、 10分では安定しており、 50°C、 10分でも 90%以上残存している。
(ホ)キレート剤の影響
キレート剤である EDTA、 EGTAを活性測定時に共存させても、ほとんど活性は阻 害されない。
(へ)金属イオンの影響
ImMのコバルトイオンにより約 30%阻害される。
(ト) SDS— PAGE法による分子量
約 43, 000である。
本発明に使われるポリオールデヒドロゲナーゼ (ポリオール脱水素酵素)は、 1-ま たは 6-または D-または L-デォキシケトへキソースと対応するへキソースの糖アル コール間の反応を触媒する酵素で、公知の酵素のものから選択できる。
[0034] 本発明に使用されるアルド一スレダクターゼとは、 6-デォキシ D-または L-アルド へキソースと対応する糖アルコール間の酸化還元反応を触媒する酵素であり、公知 のものが使える。
[0035] 本発明にお!/、て 6-デォキシ D-または L-アルドへキソース、または、 1-または 6_
デォキシまたは D-または L-ケトへキソースを還元し対応する糖アルコールを製造 する工程にお!/、ては、化学的な還元反応を使用することもできる。
有機化学的な還元反応としては、ニッケル、ルテニウム、白金およびパラジウム等の、 周期律表第 8族の元素から選ばれる金属を含有する触媒の存在下、水素添加 (接触 還元)することによりなされる。
目的のデォキシへキソースの製造には、上述の反応の組み合わせによりいずれの デォキシへキソースからでも製造できる力 S、自然界に存在する L-フコースもしくは、 L -ラムノースを出発原料として用いるのが、最も安価である。
上記により製造されたデォキシへキソースは、特に代謝や生体信号に対する研究 に対しての利用が期待されることから、化学品、医薬品や中間原料、研究試薬として 好適であり、発酵用炭素源、飲食物、飼料、餌料、歯みがき、口中香錠、舌下錠、内 服薬など経口摂取物の甘味付け、嗜好性向上などに有利に利用できる。また、医薬 用物質の中間体として利用できる。
[0036] 以下、幾つかの実施例により本発明の詳細を述べるが、これらの実施例により、本 発明が限定されることはない。
実施例 1
[0037] [6-デォキシ L-プシコースの L-ラムノースからの生産]
L-ラムノースを L-ラムノースイソメラーゼを用いて L-ラムニュロース(6-デォキシ L-フラクトースへ異性化し、それを D-タガトース 3-ェピメラーゼを用いてェピマー 化することによって、 6-デォキシ L-プシコースを生産した。
[0038] [D-タガトース 3-ェピメラーゼの調製]
Pseudomonas cichorii ST24株 (FERM BP— 2736)由来 D-タガトース 3-ェピメラ ーゼの遺伝子を大腸菌に形質転換し、組み換え大腸菌を培養して、 D-タガトース 3 -ェピメラーゼを得た。
組換え大腸菌の大量培養後、得られた菌体を— 80°Cで冷凍保存した。冷凍保存 された菌体を氷中に 30分間放置し表面を解凍し、 50mMトリス塩酸緩衝液 pH8. 0を 用いて懸濁した。懸濁液 200mLを超音波ホモジナイザー SOMFIER250 (ブランソン 株式会社)を用い、 4°Cに保ちながら 6分間破砕した。これを 2度繰り返した。この液を 4°C、 11500rpmで 20分間遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粉砕したポ リエチレングリコール # 6000を粗酵素液に重量に対して 5%を、氷水浴中でマグネ チックスターラーを用いて撹拌しながら徐々に添加し、添加後から 1時間撹拌した。こ れを 4°C、 11500rpmで 1時間遠心分離して上清を回収した。再びポリエチレングリコ ール # 6000を上清の重量に対して 25%を、同様の操作で添加し、添加後から 1時 間撹拌した。これを 4°C、 11500rpmで 1時間遠心分離して沈殿を回収した。この沈殿 物に少量(菌体重量のおよそ 5倍)の 50mMトリス塩酸緩衝液 pH8. 0を加えて懸濁し た。 (これを、部分精製 D-タガトース 3-ェピメラーゼとした。 )
[0039] [D-タガトース 3-ェピメラーゼの活性測定]
D-タガトース 3-ェピメラーゼの活性測定は D-タガトースを基質として反応を行 い、生じた D-ソルボースの量を HPLC分析によって定量した。酵素反応は表 1に示し た組成で 30°C、 10、 20、 30分間反応させ、熱湯で 2分間加熱することにより反応を 停止し生じた D-ソルボース量を求め、 1分間で l rnolの D-ソルボースを生産する D-タガトース 3-ェピメラーゼ量を 1U (単位)とした。
[0040] [表 1]
D—タガ 1 -—ス 3—ェビメラー -ゼの活性測定の反応組成
50 Tn s-HC ! 緩衝液 (pH8. 0) + D T E酵素液 100 i L
200m» D—タガト一ス 100 <u L 合計 200 / L 得られた部分精製 D-タガトース 3-ェピメラーゼの性質は以下の通りであった。
(1) 作用および基質特異性は、 1-または 6-デォキシまたは D-または L-ケトへキ ソースの 3位をェピマー化し、対応する卜または 6_デォキシまたは D-または L-ケ トへキソースを生成する。
(2) 至適 pHおよび pH安定性 pH7〜; 10に至適 pHを有し、 pH5〜; 10で安定。
(3) 至適温度および熱安定性 60°C付近に至適温度を有し、 50°C以下で安定。
[0042] [D-タガトース 3-ェピメラーゼの固定化]
D-タガトース 3-ェピメラーゼの固定化をキトパール BCW2510を用いて行った。ま ず、 50mMトリス塩酸緩衝液 ρΗ8· 0を用いてキトパール樹脂を洗浄し、冷蔵庫内で 一晩放置して平衡化を行った。次に上述の部分精製した D-タガトース 3-ェピメラ ーゼ 200Uを lmL (湿重量約 lg)のキトパール樹脂と混合し、時々撹拌しながら冷蔵 庫内で 2日間放置して酵素を固定化させた。同緩衝液にてキトパールを洗浄し、これ を固定化酵素とした。
以下の実施例には、この固定化酵素を使って、デォキシケトへキソースのェピマー 化反応を実施した。
[0043] [L-ラムノースイソメラーゼの製造]
[L-ラムノースイソメラーゼの特性]
Pseudomonas stutzeri LL172 (IPOD FERM BP— 08593)由来し—ラムノースイソメラー ゼの遺伝子を大腸菌に形質転換し、組み換え大腸菌を培養して、 L-ラムノースイソ メラーゼを得た。
組換え大腸菌の大量培養後、得られた菌体を 80°Cで冷凍保存した。冷凍保存さ れた菌体を氷中に 30分間放置し表面を解凍し、 10mMトリス塩酸緩衝液 pH9. 0を 用いて懸濁した。懸濁液 200mLを超音波ホモジナイザー SOMFIER250 (ブランソン 株式会社)を用い、 4°Cに保ちながら 6分間破砕した。これを 2度繰り返した。この液を 4°C、 11500rpmで 20分間遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粉砕したポ リエチレングリコール # 6000を粗酵素液の重量に対して 5%を、氷水浴中でマグネチ ックスターラーを用いて撹拌しながら徐々に添加し、添加後から 1時間撹拌した。これ を 4°C、 11500rpmで 1時間遠心分離して上清を回収した。再びポリエチレングリコー ノレ # 6000を上清の重量に対して 25%を、同様の操作で添加し、添加後から 1時間 撹拌した。この沈殿物に少量 (菌体重量のおよそ 5倍)の 10mMトリス塩酸緩衝液 pH 9. 0を加えて懸濁した。 (これを、部分精製 L-ラムノースイソメラーゼとした。 )
[0044] [L-ラムノースイソメラーゼの活性測定]
L-ラムノースイソメラーゼの活性測定は L-ラムノースを基質として反応させ、生じ た 6-デォキシ L-フラクトースの量をシスティン力ルバゾール法によって定量した。酵 素反応は表 2に示した組成で 30°C、 10分間反応させ、反応の停止は 10%の TCA( トリクロ口酢酸)を 50 1加えて行った。システィン力ルバゾール法は表 3に示したよう に酵素反応後のサンプル 0· 5mlに 1 · 5%システィン溶液 100 L、 70%硫酸 3mlを 順次加えた後、撹拌して水中に置き、 0. 12%力ルバゾール溶液 100 Lを加え撹拌 して、 35°Cで 20分間反応させた。反応終了後、紫外可視分光光度計 V530 (日本 分光株式会社)を用いて、 540nmの吸光度を測定した。なお、 1分間あたりに 1 mol の 6-デォキシ L-フラクトースを生産する酵素量を 1Uと定義した。
[0045] [表 2]
L—ラムノ一スイソメラ一ゼの活性測定の反応組成と反応条件
l Orri Tr i s HG I 緩衝液 (pH9. 0) 350 L
L R〖酵素液 50 L
50ιΛ L一ラムノ一ス 50 し
i
30¾ 10m i n ィンキュベ一ト
10% トリクロ口酢酸 50
合計 500 ^ L
[0046] [表 3] システィン■ 力ルバゾ一ル法
試 ~~ 500 し
システィン溶液 I 00〃L
70%硫酸 3000 し
力ルバゾ一ル溶液 f 00 L
35¾ 20m i n ィンキュベ一ト
540nm の吸光度を測定
[0047] 部分精した L-ラムノースイソメラーゼの性質を以下のとおりであった。
(D L-ラムノースと 6-デォキシ L-フラクトースの異性化反応を触媒する。
(2) 6-デォキシ L-プシコースと 6-デォキシ L-アルトロースの反応を触媒する。
(3)温度安定性は 40°C以下で、最適温度は 60°Cである。 pH7. 0〜9. 0で安定であ
り、最適 pHは ρΗ9· 0である。
[0048] [L-ラムノースイソメラーゼの固定化]
L-ラムノースイソメラーゼの固定化にはキトパール BCW2510を用いた。まず、 10 mMトリス塩酸緩衝液 pH9. 0を用いてキトパール樹脂を洗浄し、冷蔵庫内でー晚放 置して平衡化を行った。次に部分精製した L-ラムノースイソメラーゼ 50Uを lmL (湿 重量約 lg)のキトパール樹脂と混合し、時々撹拌しながら冷蔵庫内で 2日間放置して 酵素を固定化させた。同緩衝液にてキトパールを洗浄し、これを固定化酵素とした。
[0049] [固定化 L-ラムノースイソメラーゼによる L-ラムノースの異性化]
L-ラムノースを Brix30%になるように調製し、その溶液 250mLを 500mL容量の三 角フラスコに移した。そこに固定化 L-ラムノースイソメラーゼを 100mL (5000U相当 )と 1Mトリス塩酸緩衝液 pH9. 0を 5mL (終濃度約 lOmM)添加し、 42°C、 120rpmの 条件で撹拌しながら反応した。 1時間毎に反応液 10 ^ L採取し、 290 ^ Lの水で希釈 (30倍希釈)し、熱湯で 2分間加熱し酵素を失活させた後、 12000rpmで 5分間遠心 して上清を回収した。それに脱塩樹脂(IRA411 : SKIB = 2 : 1の割合で混合し乾燥 させたもの)少量添加して転倒混和した。 1時間後、この液を 0. 45 mのフィルター を用いてろ過し、 HPLCに供した。反応の平衡比は L-ラムノース 55%、 6-デォキシ L-フラクトース 45%であった(図 9)。また、反応が平衡に達するまでに必要な時間 は約 10時間であった。平衡に達した溶液の HPLC分析結果を示した(図 10)。
[0050] [D-タガトース 3_ェピメラーゼによる 6-デォキシ L-フラクトースの異性化(ェピマ 一化) ]
L-ラムノースと 6-デォキシ L-フラクトースの混合糖液を Bri X 30%、 250mLにな るように調製し、 500mL容量の三角フラスコに移した。そこに固定化 D-タガトース 3 -ェピメラーゼ 25mL (5000U相当)と 1Mトリス塩酸緩衝液 ρΗ8· 0を 40mL (終濃度 約 50mM)添加し、 42°C、 120rpmの条件で撹拌しながら反応させた。
1時間毎に反応液 10 L採取し、 290 Lの水で希釈(30倍希釈)した。熱湯で 2 分間加熱した後、 12000rpmで 5分間遠心して上清を別のエツペンドルフチューブに 移す。それに少量の脱塩樹脂(IRA411 : SKIB = 2 : 1の割合で混合し乾燥させたも の)を添加して転倒混和した。 1時間後、この液を 0. 45〃mのフィルターを用いてろ
過し、 HPLCに供試した。平衡比は L-ラムノース 55%、 6-デォキシ L-フラクトース 36%、 6-デォキシ L-プシコース 9%であった(図 11)。また、反応が平衡に達する までに必要な時間は約 96時間であった。平衡に達した溶液の HPLC分析結果を示 した(図 12)。
[0051] [6-デォキシ L-プシコースの分離]
異性化反応後、ろ過により固定化酵素を除去した。脱塩樹脂(IRA411 (40mL)と S KIB (20mL) )を混合してオープンカラムに充填し、少しずつ糖液を流し込んで脱塩 を行った。脱塩後、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。その後、 0. 22〃m のフィルターを用いてろ過し、ろ液を Bri X 30%に調製した。ワンパス方式クロマト分 離装置を用いて 6-デォキシ L-プシコースを分離した (表 4)。分離後、各タンクの溶 液を HPLC分析した結果を図 13に示した。また、 L-ラムノースからの理論上の収量 はおよそ 8%であった。図 13はワンパスカラムを用いた分離の図であり、タンク Aはほ とんど糖はなぐタンク Bには L-ラムノースと L-ラムニュロース、タンク Cは少量の 6- デォキシ L-フラクトース、タンク Dには、 6_デォキシ L-フラクトースが主に溶出され 、純粋に分離できている。すなわち、ピークは、 tankAは極少量の L-ラムノースと L- ラムニュロース、 tankBは L-ラムノースと L-ラムニュロース、 tankCは少量の 6_デォ キシ L-フラクトース、 tankDは 6-デォキシ L-フラクトースである。
[0052] [表 4]
ワンパス方式クロマトによる
6ーデォキシ Lープシコースの分離法.
サンプル量 300 mL
60 mL/m i n
平衡化 90m i m
Tank A 30 m i n
Tank B 70 m i n
Tank C 20 m i n
Tank D 90 i n
[6-デォキシ L-プシコースの構造解析]
20〜30mg (13C- NMR用)および 10〜; ! Smg ^H- NMR)の 6-デォキシ L-プシコ ースをエツペンドルフチューブに入れ、 600 Lの重水を添加した。チューブの口を
パラフィルムで覆い、爪楊枝で 3箇所ほど開け、ディープフリーザーで凍結させた。こ れを凍結乾燥し、再び 600 しの重水を添加し、凍結乾燥した。乾燥後、予め TSP ( 3- methylsilyl propionic 2,2,3,3- d4 acid)を 1 %になるように調製した 600 Lの重水 を添加して溶解した。これを NMRのガラス管に入れて測定を行った。参考資料とし て L-ラムノースおよび D-プシコースも分析した。それぞれの13 C-NMRシフトを帰属 し、互変体の構造を表 5、表 6および表 7に示した。この表の空欄はシフトが存在しな かったことを示しす。これらのことから、 6-デォキシ -L-プシコースの生成が確認さ れ、 6-デォキシ -L-フラクトースと 6-デォキシ -L-プシコースの平 ¾ί比は、 80 : 20 であった。
[表 5]
L一ラムノースの i 3GN ケミカルシフトと互変異性型
[0055] [表 6]
D—プシコ一スの G國 R ケミカルシフトと互変異性型
[0056] [表 7]
6—デォキシ L—プシコースの 13C MR ケミカルシフトと互変異性型
実施例 2
[0057] [6-デォキシ L-アルトロースの 6- デォキシ L-プシコースからの生産]
実施例 1で得た 6_デォキシ L-プシコースを基質として、 L-ラムノースイソメラー ゼを用いて異性化することによって、 6-デォキシ L-アルトロースを生産した。
[0058] L-ラムノースイソメラーゼは実施例 1と同様に精製した。
[0059] [固定化 L-ラムノースイソメラーゼを用いたバイオリアクターによる 6-デォキシ L-プ シコースの異性化]
固定化 L-ラムノースイソメラーゼ 150mL(7500U相当)をジャケット付カラムに充填 し、ジャケットに 42°Cの水を流して保温した。そこに Brix2%となるよう調製した 6-デォ キシ L-プシコースを 0. 5mL/minの速さで下から上に流した。なお、基質には 1Mト リス塩酸緩衝液 pH9. 0を終濃度約 l OmMになるよう予め添加した。平衡比は 6_デ ォキシ -L-プシコース 94%、 6-デォキシ L-アルトロース 6 %であった。平衡に達した 溶液の HPLC分析結果を示した(図 14)。 6-デォキシ L-プシコースと 6-デォキシ L-アルトロースの平行比は 94 : 6であった。
[0060] [6-デォキシ L-アルトロースの分離]
異性化反応後、ろ過することで固定化酵素を除去した。脱塩樹脂(IRA41 1 (40mL )と SKIB (20mL) )を混合してオープンカラムに充填し、少しずつ糖液を流し込んで 脱塩を行った。脱塩後、ロータリーエバポレーターにて濃縮後、 0. 22 しのフィノレタ 一を用いてろ過し、ろ液を Bri X 30%に調製した。ワンパス方式クロマト分離装置を 用いて 6-デォキシ L-アルトロースを分離した。 L-ラムノースからの収量はおよそ 0 . 48 %であった。
[0061] [6-デォキシ L-アルトロースの構造解析]
20〜30mg (13C- NMR用)および 10〜; I Smg H- NMR)の 6-デォキシ L-アルト口 ースをエツペンドルフチューブに入れ、 600 しの重水を添加した。これを凍結乾燥し 、再び 600 Lの重水を添カロし、凍結乾燥した。乾燥後、予め TSP (3_ methylsilyl pr opionic 2,2,3,3- d4 acid)を 1 %になるように調製した 600 Lの重水を添加して溶解 した。これを NMRのガラス管に入れて測定を行った。参考資料として D-アルトロース も供試した。 6-デォキシ L-アルトロースの互変体は α _、 /3 -ビラノースおよび a -、 β -フラノースの 4種類であると推測された。それぞれの13 C-NMRシフトを帰属し、互 変体の構造を表 8と表 9に示した。これらのことから、 6-デォキシ -L-アルトロースの
生成が確認された。
[0062] [表 8]
D—アルト口一スの 13C Nffiケミカルシフ卜と互変異性型.
[0063] [表 9]
6—デォキシし一アルト口一スの '3 C NMR ケミカルシフトと互変異性型
実施例 3
[0064] [L-ラムノース(6-デォキシ L-マンノース)の還元反応による 6-デォキシ L- 二トールの製造]
6-デォキシ L-マンノースを化学反応によって、 6デォキシ L-マンニトールを生産 した。
[0065] [ラネーニッケルを触媒とした還元反応]
50%ラネーニッケル(和光純薬工業 (株)製) 10gに対し、 20%NaOH水溶液を 100 g添加した。添加後 90°C、 1時間の加温を行った。気泡の発生が止まったことを確認 した後、デカンテーシヨンにより蒸留水で触媒を洗浄した。洗浄は、洗浄液が pH9. 2 になるまで fiつた。
撹拌器、温度計を備えた 1Lガラスオートクレープに、 100gの 6-デォキシ L-マン ノースを含む水溶液 300gに上記の方法により得られたラネーニッケル 24gを加えた ものを添加した後、さらに水を加えて全反応液量を 600gに調整した。その際、反応 液の pHを 7に調整するため、炭酸カルシウムを添加した。 50°Cに温度を、 12kg/c m2 (ゲージ圧)に水素圧を、 700rpmに攪拌速度を保ち反応を行った。反応液の分 析は HPLCを用いて行った。その結果、 8時間の反応で 6-デォキシ L-マンノース
は 1 %まで減少がみられ、 6-デォキシ L-マンニトールを生産することができた。 実施例 4
[1-デォキシ L マンニトールの酸化による 1-デォキシ L フラクトースの生産] ェンテロパクター ·エアロジェネス IK7を用いる微生物反応によって、実施例 3で調 製した 1 デォキシ L マンニトールを酸化し 1-デォキシ L フラクトースを生産した
〇
上記菌株は、香 11県木田郡三木町を流れる河 J 11土壌から単離されたものである。 本菌株から抽出された 16SrRNAを配列決定し、他の微生物から得た既知の複数 の 16SrRNAと比較した。このデータは Enterobacter aerogenesからの配列に対し 99 %の同一性を示した。このェビデンスならびに下記のその他の生理学的特徴に基づ き、本菌株が Enterobacter aerogenesに該当するものである の結論を得た。なお DN A断片の塩基配列の決定は、公知の方法、例えば、サンガー法 (Molecular Cloning, 第 2巻、 13. 3頁、 1989年)、 PCRをベースにした方法等によって行うことができる。 通常は、 Beckman Coulter社の GenomeLab DTCS Quick Start Kit (蛍光ダイデォキ シタミネーターを含有するシークェンシングキット)等を使って反応を行!/、、 Beckman Coulter社の自動シークェンサ一(CEQ 8000等)で塩基配列を決定する。
[生理学的特徴]
グラム染色 陰性
運動性 なし
生育温度 37度(4〜40まで生育可能、 37度が望まし!/、)
酸素要求性 通性嫌気性であるが酸素を供する形態が望まし!/ヽ
形状 桿菌
ゥレア分解性 陰性
オル二チン デカルボキシラーゼ陽性
生育状態コロニー 円形、凸状、乾燥、透明、クリーム白色
[培地]
(培養の pHは例えば 5〜9であり、好ましくは 6〜8. 5である。培養は振とうあるいは 通気撹拌などの好気条件下で行う。 )
1. TSB (トリブティックソィブロース)培地 ;!〜 2%
1 SB: Becton, Dickinson Company製
2. 肉エキス培地
(肉エキス (和光純薬工業 (株)製) 0.5%、ポリペプトン (和光純薬工業 (株)製) 0.5%、 塩化ナトリウム 0.5%、 pH7.0)
3.酵母エキス培地
(酵母エキス(和光純薬工業 (株)製) 0.5%、ポリペプトン 0.5% (和光純薬工業 (株)製) 、塩化ナトリウム 0.5%、 pH7.0)
寒天培地の場合は寒天を終濃度 2%添加する。
本発明者らが単離した IK7株は、 Enterobacter属に属する新規,微牛物であり、 日本 国独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター 日本国千葉県 木更津巿かずさ鎌足 2— 5— 8に 2006年 10月 19日に受託番号(MTE P-L-フコー ス)として国内寄託されている。その後、原寄託(MTE P-271)を上記の原寄託をした 国際寄託当局に移管請求をし、 2007年 3月 22日に該国際寄託当局より原寄託につ いての受託証(MTE BP-271)が発行された。
[0067] [糖アルコール脱水素酵素を含む菌体の製造]
滅困した欲体培地 (2%TSB (trypsin soy broth: Becton Dickinson company)をべ一 スとし炭素源として 1 %D-マンニトール)にェンテロパクターエアロジェネス IK7を植 菌し、 37°C、 24時間、 120rpmで振とう培養して糖アルコール脱水素酵素を多く含 む微生物菌体を製造した。
培養終了後、遠心分離し、回収した菌体を適当量の一次交換水で 2回洗浄したのち に 50mMTris_HCl (ρΗ9·0)緩衝液で適当量に懸濁した。 (これを糖アルコール脱水素 酵素を含む菌体溶液)とした。
[0068] 調製した糖アルコール脱水素酵素活性を有する菌体溶液を用いて 1-デォキシ L- マンニトールから; L-デォキシ -L-フラクトースを製造した。
L字管(容量 30ml)に 50mMTris_HCl (ρΗ9·0)緩衝液と糖アルコール脱水素酵素を 含む菌体溶液 (最終菌体濃度は、吸光度 600nmの値が OD値で 20)と 1-デォキシ L-マンニトール (最終濃度 10%)を吸光度 600nmの値が OD値で 50になるように調
整し、 37°Cに保温して、好気条件になるように、軽く振とうした。生成物の確認は得ら れる反応液を遠心分離して不溶物を除去し、上清を高速液体クロマトグラフィーで分 析した。
18時間で最高の卜デォキシ -L-フラクトースが得られ、 1_デォキシ L-マンニト 一ルの約 80%の卜デォキシ -L-フラクトースが得られた。
実施例 5
[0069] [1-デォキシ L-フラクトースカ、ら D-タガトース 3-ェピメラーゼによるェピマー化によ る;!-デォキシ L-プシコースの生産]
D-タガトース 3-ェピメラーゼを用いて、実施例 4で調製した卜デォキシ L-フラク トースから; 1-デォキシ L-プシコースを生産した。
[0070] D-タガトース 3-ェピメラーゼは実施例 1と同様の方法で調製した。
[0071] 1-デォキシ L-フラクトースは実施例 4と同様にして調製したものを用い、そのェピ 化反応は同様に実施例 1の方法で行った。
[0072] [生産物である 1-デォキシ L-プシコースの構造解析]
反応液を実施例 1ど同様の HPLC分析によって、 1-デォキシ L-フラクトースから; 1- デォキシ L-プシコースが生産されて!/、ることを確認、できた。
[0073] クロマトグラフィーを用いて得たサンプルを、 NMRを用いてその構造を確認した。標 準となる 1-デォキシ D-プシコースの13 C NMRおよびプロトン NMRを用いて測定し た。一般に糖の D型と L型との NMRは一致する。測定の結果同一であったことから、生 産物が;!-デォキシ L-プシコースであることを確認した。
この結果は卜デォキシケトへキソースを D-タガトース 3-ェピメラーゼが基質とす ることを示している。
実施例 6
[0074] [1-デォキシ D-プシコースの 6-デォキシ L-プシコースからの生産]
6-デォキシ L-プシコースは実施例 1で示したように、 L-ラムノースから生産した。 それを還元し 6-デォキシ L-ァリトールへと変換し、それを酸化することで、 1-デォ キシ D-プシコースを生産した。
[0075] 6-デォキシ L-プシコースを化学還元し、 6-デォキシ L-ァノレトリトーノレと 6_デォ
キシ L-ァリトールを生産した。それを各種糖質の分離に用いているカルシウムイオン 交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィーを用いて分離した。この方法によって 6- デォキシ L-ァリトールを得た。
[0076] 6-デォキシ L-ァリトールを実施例 4と同様の微生物を用いることで卜デォキシ D- プシコースへ酸化した。
[0077] [構造解析]
生産物である 1ーデォキシ D—プシコースの構造を化学合成した 1-デォキシ D - プシコースと13 C NMRおよびプロトン NMRを測定し、比較した。その結果を図 15, 16 に示した。
図 15の上が化学合成した 1-デォキシ D-プシコースの13 C NMRスペクトルであり、 下が本実験で生産した卜デォキシ D-プシコースの13 C NMRスペクトルである。この ように完全に一致している。
実施例 7
[0078] [1-デォキシ D-フラクトースの 1-デォキシ D-プシコースからの生産]
実施例 6で生産した卜デォキシ D-プシコースを基質として、 D-タガトース 3-ェ ピメラーゼを用いて卜デォキシ D-フラクトースを生産した。
[0079] 1-デォキシ D-プシコースを基質として、実施例 1と同じ方法で生産した D-タガト ース 3-ェピメラーゼを用いて 3位をェピメ一化した。反応生産物を上述のクロマトクロ マトグラフィーを用いて分離し、純粋な標品を得た。
[0080] [構造決定]
化学合成した 1-デォキシ L-フラクトースと生産物とを NMRスペクトルを測定して比 較した。化学合成した;!_デォキシ D-フラクトースは容易に得られないので、 1-デ ォキシ D-プシコースを比較対象とした。 D-型糖と L-型糖とは NMRは一致するので 、比較する標準物質としては用いることが可能である。
図 17において、上は;!_デォキシ L-フラクトースの13 C NMRであり、下が本実験で 生産した卜デォキシ D-フラクトースの13 C NMRである。
図 18には、上は;!_デォキシ L-フラクトースのプロトン NMRであり、下が本実験で 生産した卜デォキシ D-フラクトースのプロトン NMRである。完全に一致している。
実施例 8
[0081] [1 デォキシ D タガトースから 1 デォキシ D ソルボースの生産]
化学合成した 1ーデォキシ D タガトースを基質として、 D タガトース 3—ェピメラ ーゼを用いて 1ーデォキシ D ソルボースを生産した。
[0082] 実施例 1と同様の方法で生産した D-タガトース 3-ェピメラーゼを、化学合成した 1
-デォキシ D-タガトースに常法に従って反応し生産物をクロマトグラフィーによって 確認した。その結果、 1-デォキシ D-ソルボースと卜デォキシ D-タガトースのピー クが確認され、分離することで生産可能であった。
実施例 9
[0083] [6-デォキシ L-ソルボースの L-フコース(6-デォキシ L- ガラクトース)からの生 産]
L-フコース(6-デォキシ L- ガラクトース)を D-ァラビノースイソメラーゼを用いて 6-デォキシ L-タガトースへ異性化し、さらにそれを D-タガトース 3-ェピメラーゼを 用いてェピマー化することで 6-デォキシ L-ソルボースを生産した。
[0084] L-フコース(6-デォキシ L- ガラクトース)を基質として Klebsiella pneumoniae ST.
40BXXの生産する D-ァラビノースイソメラーゼを用いて反応した。 HPLCで分析した 結果、 10%の 6_デォキシ L- ガラクトースが 6-デォキシ L-タガトースへ変換して 平衡に達した。その平衡混合物から 6-デォキシ L-タガトースを常法どおりのクロマ トグラフィーを用いて純粋な標品を得た。
[0085] 6-デォキシ L-タガトースを基質とし、実施例 1と同様の方法で調製した D-タガト ース 3-ェピメラーゼを用いて酵素反応を行った。その結果 6-デォキシ L-タガトー スの約 80%が 6-デォキシ L-ソルボースへ変換された時点で平衡混合物が得られ た。
実施例 10
[0086] [生物化学的反応を用いた;!_デォキシおよび 6-デォキシ D-タガトースの L-フコ ース(6-デォキシ L- ガラクトース)およびその鏡像体である D-フコース(6-デォキ シ D- ガラクトース)からの生産]
まず、 L-フコースおよび D-フコースを出発原料とし、ラネーニッケルを用いた化学
的還元法 (圧力 1. 2Mpa、撹拌 700rpm、温度 50°C)により、それぞれから 6_デォ キシ L- ガラクチトールおよび 6-デォキシ D-ガラクチトールを得た。次にガラクチト ールを酸化し D-タガトース生産能を有するェンテロパクター ·アグロメランス (Enterob acter agglomerans) 221e株(FERM BP— 4700)〔培地:エリスリトール 1 · 0w/v% 、酵母エキス 0. 5w/v%、ポリペプトン 0. 5w/v%、食塩 0. 5w/v%及びグリセ口 一ノレ 1. 0w/v%からなる液体培地(ρΗ7· 0)で 30°Cで培養し、集菌し洗浄したもの 〕を用いてそれぞれのデォキシ糖アルコールを基質に洗浄菌体反応〔菌体反応組成 物:菌体 40 (OD )、 Tris-HCl緩衝液(ρΗ8· 0) 50mM、基質 1 %)〕で行った(特
600
開平 08-056659号公報参照)。
HPLC分析の結果より、本菌は、 6-デォキシ L- ガラクチトールを酸化し 1-デォ キシ D-タガトースに転換し、 6-デォキシ D-ガラクチトールを酸化し 6-デォキシ D- タガトースに転換できることがわ力、つた。
本菌株を用いた 6-デォキシ L- ガラクチトールおよび 6-デォキシ D-ガラクチトー ルの酸化した結果より、 1位、 6位のメチル基の存在にかかわらず糖構造を認識し転 換を行うことができ、優先的に D体のタガトースへと転換することがわ力 た。
[0087] [反応生産物の精製]
反応混合物を脱イオン、脱色、濾過、蒸発を経て結晶を得た。
[0088] [生産物である 1-デォキシ D-タガトースの構造解析]
HPLC分析によって、 6_デォキシ L- ガラクチトールから卜デォキシ D-タガトース が生産されていることを確認できた。その結果を図 19に示した。
[0089] 得られたサンプルを、 NMRを用いてその構造を確認した。その結果を図 20に示し た。
[0090] [生産物である 6-デォキシ D-タガトースの構造解析]
HPLC分析によって、 6-デォキシ D-ガラクチトーノレ力、ら 6-デォキシ D-タガトース が生産されていることを確認できた。その結果を図 21に示した。
[0091] 得られたサンプルを、 NMRを用いてその構造を確認した。その結果を図 22に示し た。
[0092] 本実施例の生物化学的反応を用いた 1-デォキシおよび 6-デォキシ D-タガトー
スの L-フコース(6-デォキシ L- ガラクトース)およびその鏡像体である D-フコース (6-デォキシ D- ガラクトース)からの生産は化 1および化 2によってその反応が示さ れる。
[化 1]
CHO C¾OH
HOCH HOCH HCOH HOO HCOH HCOH HOCH HOCH HCOH '. ' HOCH
reduction HCOH HOCH
180
HOCH HOCH HCOH 221e HCOH C C C OH C OH
L-Fucose L-Fucitol
1-deoxy D-Galactitol 1-deoxy D-Tagatose o-deoxv L-Galactose 6-deoxy L-Galactitol
[化 2]
CHO HCOH HOCH
HOCH 匚 '' HOCH ノ HOCH
reduction
HCOH HCOH 221e ΌΗ
C¾ C]
D-Fucose D- ucitol
6-deoxy D-T agatose
6-deoxy D-Galactose 6-deoxy D-Galactitol 実施例 11
[生物'化学的手法による 1-デォキシ D-プシコースの L-ラムノースからの生産] まず、図 23に示すように、 6-デォキシ L-プシコースを L-ラムノース力、ら L-ラムノー スイソメラーゼおよび D-D-タガトース 3-ェピメラーゼを用いて調製した(日本農芸 化学学会 2007粘度大会)。これに高圧条件下でニッケル触媒を用いて水素添加し た結果、卜デォキシ D -ァリトール(6 -デォキシー L-ァリトール)と、卜デォキシ D-タリ トール(6-デォキシー L-タリトール)の混合物が得られた(図 24、図 26)。この混合物 を基質としてェンテロパクター属菌体 IK7 (MTE BP-271)による菌体反応を行ったた (図 25、図 27)。その結果、卜デォキシ D -ァリトールのみが選択的に卜デォキシ D- プシコースへと酸化された。ェンテロパクター属菌体 IK7による両基質総量の減少 はほとんど無ぐ 1-デォキシ D-ァリトールからの;!-デォキシ D-プシコース生産率 は約 90%であった。この反応物を分離した結果、 1-デォキシ D-プシコースと 1_デ ォキシ D-タリトールをそれぞれ純品として得た。得られた 6-デォキシ L-プシコース
の結晶の写真を図 28に示す。生産物の同定は化学合成した 1-デォキシ D-プシコ ースと比較し、両者の13 CNMRスペクトル(図 29)および旋光度が一致したことにより 確認した。
旋光度 [ a ] 2° (conc. l.00%,H O)
標準 (authentic) + 1.0
生成物 + 1.1
なお、標準 (authentic)は、文献 (Jones,N.A. and et al. Synthesis of and NMR studies on the four diasteromeric 1-deoxy-d-ketohexoses. , Tetrahedron: Asymmetry(2007)) に依る。
実施例 12
[0094] [6-デォキシ L-グルコースおよび 6-デォキシ L-フラクトースの生産]
L-ラムノース(10% wt/volume)をラネーニッケル触媒の存在下、温度 50°C、圧 力 1 · 2Mpaで完全に還元し、 6-デォキシ L-マンニトールを生産した。得られた 6_デ ォキシ L-マンニトールを基質として 6-デォキシ L-フラクトースを製造した。新しく分離 したェンテロパクター sp. 230Sが 6-デォキシ L-マンニトールの第 2炭素で選択的 酸化し 6-デォキシ L-フラクトースにするのに用いられた。微生物は D -ソルビトール( 0. 8% wt/volume)およびグリセロール(0. 2% wt /volume)を加えた鉱物塩培地で 温度 30°C、 300rpmで撹拌下、 24時間培養した。培養物は 12000rpmで 30分遠心 分離して集菌し、 50mM Tris-HCl緩衝液(pHIO)で 2回洗浄した。洗浄した菌体は 同一の緩衝液に懸濁させて 6-デォキシ L-マンニトールから 6-デォキシ L-フラクトー スへの転換に用いた。反応は、菌体 OD (600nm)、操作用量、撹拌速度、空気流速、 および温度がそれぞれ、 40, 0. 51, 200rpm,0. 21iter/minおよび 30°Cを用いて、 51 バイオリアクター(ABLE DPL-2,Japan)の中で種々の基質濃度で行った。
[0095] 本発明らはすでに K.pneumonia 40bXX力 SL-フラクトースから L-グルコースへの転換 を触媒することを発表してレ、る。同様の方法で 6-デォキシ L-フラクトース(前段階の 生産物)から 6-デォキシ L-グルコースを製造することを試みている。 .pneumonia 40 bXXは、 MnCl (ImM)を補ったポリペプトン 0· 5w/v%、酵母エキス 0· 5w/v%、
2
食塩 0. 5w/v%を含有する培地で培養した。 24時間インキュベーションの後、菌体
は 1200xgで 10分間遠心分離して回収した、回収した菌体は 50mMグリシン- NaO H緩衝液 (pH9. 0)で 2回洗浄し、 1200xgで 10分間遠心分離した。洗浄した菌体は モーターで破壊し、活性化されたアルミナを加えてすりつぶして粗酵素を得る。部分 精製した酵素 D-AI (400U)があら力、じめ 50mMグリシン- NaOHでつり合わされ、反 応に使われる Chitopearl BCW 2510の 30g (湿った重量) に固定される。転位反応 は 40°Cで、 1 %6_デォキシ L-フラクトース、固定化 D- AI (40U)、 50mM Tris- HC1 緩衝液(ρΗ9· 0)および MnCl (最終濃度: ImM)を含有する L_チューブの中で行
2
われ/
[0096] [分離方法]
6-デォキシ L-マンニトールの場合、転換率として 100%に近ぐそれゆえ、分離ェ 程は反応混合物から濾過でラネーニッケルを除くだけである。
[0097] 6-デォキシ L-フラクトースは、 230Sの残りの菌体を用いて、 6_デォキシ L-マンニト ールを酸化して製造された。表面に浮かんだものは一昼夜活性炭素で処理し、最終 的には活性炭はセルロースフィルターを通過させる吸引濾過により取り除かれた。濾 液は Diaion SK1B(H+型)およびアンバーライ HRA-411(CO 2-型)の混合物で脱ィォ
3
ン化した。濾液の容量は回転真空エバポレーターに丁度良い量であり、そして濃縮 された濾液は Ca2+型の Dowex 50W-X2カラムに適応された。カラムは蒸留水で溶離 され、溶離された画分は集められ、 HPLC分析をした。
[0098] [同定]
6-デォキシ L-マンニトールおよび 6-デォキシ L-フラクトースは HPLC分析(図 30) 、旋光度測定、および13 C NMR測定により同定された。
精製された 6-デォキシ L-フラクトースの HPLC分析結果を図 30に示した。また、生産 された 6-デォキシ L-フラクトースの旋光度は + 12. 9、文献で報告されている公知の 旋光度は + 13. 6。また、生産された 6-デォキシ L-フラクトースの13 C NMRは標準の 6-デォキシ L-フラクトースと完全に一致して!/、る(図 31)
[0099] [結果]
6-デォキシ L-マンニトールは 6-デォキシ L-マンノースの化学還元で容易に製造 すること力 Sできる。 6-デォキシ L-マンノースは 99%に近い生産率で完全に 6-デォキ
シ L-マンニトールに変換する。 6-デォキシ L-マンニトールの初期濃度が 3%、 4%お よび 5%の時それぞれ、 6-デォキシ L -マンニトールのほとんど 90%、 70%および 65 %が洗浄菌体反応を用いて 6-デォキシ L-フラクトースおよび;!-デォキシ L-フラタト ースを生産する。
反応混合物の中の 6-デォキシ L-フラクトースの卜デォキシ L-フラクトースに対する 最終の割合は約 8 : 2であった。バイオリアクターの中で、約 10時間で、 6-デォキシ L -マンニトール(30g/l)は 6-デォキシ L-フラクトースおよび;!-デォキシ L-フラクトース を生産するのに完全に使い果たされ、種々の精製工程経て、 6-デォキシ L-マンニト ールからの 6-デォキシ L-フラクトースの最終生産率は約 50%である。
固定化 D-ァラビノースイソメラーゼによる 6-デォキシ L-フラクトースの 6-デォキシ L -グルコースへの異性化の場合、 6-デォキシ L-グルコースの HPLCピークは酵素の 非常に低い活性のために、検出できなかった。そして、それゆえ 6-デォキシ L-グノレ コースの分離および同定は今回は行わなかった。
6-デォキシ L-フラクトースは 6-デォキシ L -マンノースから、 L -ラムノースイソメラー ゼを用いても製造することができる。しかし、等量混合物の HPLCピークが重なってい るために、 6-デォキシ L-フラクトースおよび 6-デォキシ L-マンノースの分離は全く困 難であり現実的でなレ、。本実験では 6-デォキシ L-マンノースからの 6-デォキシ L-フ ラタトースを、化学的方法および生物化学的方法を結合して使用することで約 50% の生産率で製造し精製することができた。
実施例 13
[L-ラムノースから 6-デォキシ L-マンニトールおよび卜デォキシ L-フラクトースを経 由して 1-デォキシ L-プシコースの新規な生物化学的製造方法]
[原料および方法]
[試薬など]
L-ラムノースおよび他の生化学製品は Sigma Chemical Co.(MO,USA)および和光 純薬工業 (株)(大阪、 日本)から、すべて試薬グレードが保証されたものを購入した。
L-ラムノースの酸化に使用した 50mM tris-HCl緩衝液は、 1. ON HC1で ρΗ9· 0 にしたトリス(ノヽイドロォキシメチル)アミノエタン H NC(CH OH) 力、ら調製した。 L-
ラムノース水素添加は TEM-1000M水素添加装置(Taitasu Techno Co.LtdJapan) の中で行われた。微生物の培養および酸化反応は TAKASUGI SEISAKUSHO Co.Lt d.からのバイオリアクター(TS-M-15L発酵槽および TS-M-5L発酵槽)の中で行わ れた。反応混合物中のポリオール酸化およびケトース蓄積は紫外可視分光光度計( U.V.-1700 pharmaspec 島津製作所、京都)を用いる Nelson-Somogyi法により決定さ れる。 13C NMRスぺクトノレ(Burker AMX500,126MHz)は初期標準としてアセトンを用 いて D Oの中で記録される。旋光度は ldm.の経路長さの脱イオン化された H O旋
2 2 光計の中で 20°Cで Jasco R1030旋光計, Na+ランプ(Jasco 東京 日本)の上で記録 される。濃度は glOOmL— 1までで使用される。生産物は高感度液体クロマトクラフィ( Hitach GL—61丄 colum, I'okyo, Japanおよび Shimadzu RID—り A refractive index detecto r,Kyotoく Japan)により 600°Cで分析され、 10— 4M NaOHで流速 1· Oml/minで溶離さ せた。
[0101] [L-ラムノースの 6-デォキシ L-マンニトールへの化学的還元]
ラネーニッケル(触媒)が水(300ml中の L-ラムノース(50g)の溶液に加えられた; 反応は全量 500mlにして 1. 2MPa水素圧下にある反応容器に入れて行われた。そ れから反応容器は 50°Cに 8時間加熱され、 L-ラムノースを 6-デォキシ L-マンニトー ノレへにする。
[0102] [6-デォキシ L-マンニトールの;!-デォキシ L-フラクトースへの酸化]
ェンテロパクター属菌体 IK7 (NITE BP-271)力 -デォキシ L-マンニトールの;!_デ ォキシ L-フラクトースへの生物化学的転換に使用する。菌株は菌体反応で;!_デォキ シ L-フラクトースを生産するために、 1 %の D-マンニトールを添加した 2%TBS培地 、 37°Cで培養した。転換反応は 5. 0Lバイオリアクターの中で 37°Cで撹拌速度 120r pm、空気流速 0. 51/minで 12時間行われた。反応混合物の組成物は以下の通りで あった: 50g (5% w/v) 1-デォキシ L-マンニトール、菌体密度 50 (A600)洗浄菌体 が tris-HCl緩衝液(1000ml,50mM, pH9.0)に懸濁された。
[0103] [卜デォキシ L-フラクトースの;!-デォキシ L-プシコースへの異性化]
Pseudomonas cichorii ST24株(FERM BP— 2736)由来の D-タガトース 3-ェピ メラーゼ(D-TE)が;!-デォキシ L-フラクトースの;!-デォキシ L-プシコースへの異性
化に用いられた。組換え大腸菌より得られた D-TEは部分精製しバイオリアクタを構 築するためにキトパール BCW2510を用いて固定化を行った。 tris-HCl緩衝液(100 0ml,50mM, ρΗ7·5)に溶解した卜デォキシ L_フラクトース(5%)はバイオリアクター に 42°Cで流した。
[0104] [分離方法]
各工程で得られた表面に浮かんだものは活性炭で処理し脱色され、処理された活 性炭を取り除くために濾過された。濾液は Diaion SK1B(H+型;三菱化学、東京)およ びアンバーライ HRA-411(CO 2-型 Muromachi Tecynos,東京)イオン交換樹脂の混 合物で脱イオン化した。脱イオン化したものは 40°Cで蒸発され、濃縮された。濃縮後 、混合物は 2つのポンプで結合した 8カラムからなり、各カラムには 2. 5Lの UKB-55 5イオン交換樹脂(Ca2+)型、三菱化学、東京)が充填さている、ワンパス分離システ ムにより分離された。分離された画分は 50%まで濃縮され、濃縮物は結晶化のため デシケータの中で保持された。
[0105] [同定]
各工程で得られた生成物は、 HPLC分析、旋光度測定、および13 C NMR測定により 同定された。
生産された;!-デォキシ L-プシコースの13 C NMRスペクトルを図 32に示した。また、 生産された;!-デォキシ L-プシコースの旋光度は下記の通りであった。
旋光度 卜デォキシ L-プシコース (p) -1.0
1 -デォキシ D-プシコース + 1.15
[0106] [結果]
L-ラムノースの 6-デォキシ L-マンニトールへの化学的還元
水中の L -ラムノースは、 10%w/vの L -ラムノースが基質に使われた時、ニッケル触 媒を用いて 1 · 2MPaの圧力、 50°Cで、水素添加により収率 100%で L-ラム二トール になる。この方法はいかなる分離方法も必要でない。図 33に HPLC分析結果を示す
6-デォキシ L-マンニトールの 1-デォキシ L-フラクトースへの酸化
ェンテロパクター属菌体 IK7 (MTE BP-271)により菌体反応で 6_デォキシ L-マンニ
トールは 5%w/vの 6-デォキシ L-マンニトールが基質に使われた時、酸化されて収 率 90%で卜デォキシ L-フラクトースになる。卜デォキシ L-フラクトースは上記の下 方法で分離される。図 34に HPLC分析結果を示す。
1-デォキシ L-フラクトースの 1-デォキシ L-プシコースへの異性化
卜デォキシ L-フラクトースは、 5%w/vの卜デォキシ L-フラクトースが基質に使わ れた時、バイオリアクターの中の固定化 D-TEにより、収率 25%で 1-デォキシ L-プ シコースに異性化された。図 35に HPLC分析結果を示す。
[0107] [結論]
L -ラムノースから 6-デォキシ L -マンニトールおよび卜デォキシ L-フラクトースを経由 して卜デォキシ L-プシコースの新規な生物化学的製造方法は図 36で示される。
[0108] [実験結果が示す成果のまとめ]
(1) D-タガトース 3-ェピメラーゼは全ての;!-および 6-デォキシケトへキソースの 3 位をェピマー化することを示してレ、る。
(2) 6-デォキシアルドースはアルドースイソメラーゼの基質となり、対応する 6-デォ キシアルドースを生産することが可能である。
(3) 1-あるいは 6-デォキシの D-あるいは L-ケトへキソースを還元することで、対 応する; 1-あるいは 6-デォキシの炭素数 6の糖アルコールを生産することが可能で ある。また 6-デォキシアルドースを還元することで、 6-デォキシ糖アルコールを生 産可能である。
(4) 1-あるいは 6-デォキシ糖アルコールを基質として用いて、微生物を用いる酸化 反応によって、それぞれ対応する 1-あるいは 6-デォキシケトへキソースを生産可能 である。
[0109] [全デォキシへキソースの生産戦略デォキシィズモリングの構築]
上記の成果(1)〜(4)を用いることで、全デォキシへキソースの生産戦略としてデ ォキシィズモリングを構築することができた。 (図;!〜 3)
図中に示される大きなリングは、 8種全ての卜デォキシケトースおよび 8種全ての 6 -デォキシケトへキソースが D-タガトース 3-ェピメラーゼによって対応するデォキシ へキソースと連結され、 2種のデォキシケトへキソースが 8グループとして配置されて
いる。それぞれのグループを酸化およに還元という反応として共通の生産物および 基質となる、 1-および 6-デォキシへキシトールが連結している。その原理を図 1の 下に摘記して示す。
摘記したものは、左力、ら L-ラムノース(6-デォキシ L-マンノース)を異性化して生 産される 6-デォキシ L-プシコースを D-タガトース 3-ェピメラーゼによって 6-デォ キシ L-プシコースへェピマー化する(実施例 1)。それを化学的還元反応で 6-デォ キシグルシトールへ還元し、これは上下を逆にすると卜デォキシグリトールと同一で ある。その 1-デォキシグリトールを酸化することで卜デォキシ D-ソルボースを生産 できる。さらに 1-デォキシ D-ソルボースを D-タガトース 3_ェピメラーゼによって;!_ デォキシ D-タガトースが生産できる(実施例 8)。これは一例を示しており、大きなリ ングはこの方式を繰り返すことで全体が連携できることを示して!/、る。この原理によつ て全ての 1_および 6-デォキシの 16種類のケトへキソースが生産できる基本骨格が できあがっている。
また、この周囲には 16種類の全ての 6-デォキシケトへキソースが 6-デォキシケト へキソースと繋がっている。アルドースイソメラーゼによって 6-デォキシケトへキソー スはへ転換できる。 6-デォキシ L-フラクトースカ、ら 6-デォキシアルトロースの生産 をしめしている(実施例 1)。このように全ての 16種類の 6-デォキシアルドースが周囲 に結合されてレ、るのである。
このように、図;!〜 3で示されるデォキシィズモリングは、全ての卜および 6-デォキ シへキソースが酵素反応で連結できることを示しており、全デォキシへキソースの生 産戦略を示している。またその配置は右側に全ての D-型のデォキシへキソースが、 左側に L-型のデォキシへキソースが配置されており、全;!_および 6-デォキシへキ ソースを明確に配置できており生産法を一目瞭然理解することが可能である。なお、 構造を見ると理解できる力 図中に点線の矢印で示したものは、上下を反転すると重 ねることのできる、すなわち同一の卜デォキシおよび 6-デォキシのへキシトールを 示している。この点線は、図中のリングに沿った合成のみならずバイパスのような役割 を果たして効率のよ!/、合成法を示唆して!/、るのである。
現在自然界に比較的多く存在している、デォキシアルドースである、 L-ラムノース(
6-デォキシ L-マンノース)あるいは、 L-フコース(6-デォキシ L-ガラクトース)を 出発原料とすることで、このデォキシィズモリングを用いた生産が可能であり、これら の新しいデォキシへキソースの生産に有効に利用できる。
[0110] 以上のまとめをさらに前進させて、デォキシ糖に番号が付されているデォキシィズ モリングを図 3として示したが、新しいデォキシへキソースの生産について、実施例番 号 14以下の実施例において図 3に基づき具体的に説明する。
図 3には、図 1 , 2と同様に下記の A〜Dの反応が異なる表示の矢印で示されている
〇
A DTEェピィ匕
B ポリオールの酸化反応
C 異性化反応(アルドースケトース間の異性化)
D ニッケル触媒還元(ケトース、アルドースのポリオールへの還元) 実施例 14
[0111] [6-デォキシ L-ソルボースの生産]
この反応は、 6-デォキシ L-タガトースの D-TEによる 6-デォキシ L-ソルボース へのェピマー化であり、図 3の番号 27— 26の Aの反応である。
下記反応条件で L-ラムノースから生産した 6-デォキシ L-タガトースに DTEを作 用させた。
〈反応条件〉
基質: 6-デォキシ L-タガトース
酵素:固定化 D-タガトース 3-ェピメラーゼ
緩衝液: 50mM Tris-HCl (pH7. 5)
温度: 40°C
反応のできを HPLCで確認したところ、図 37のように 6_デォキシ L-ソルボースの 生産が確認された。平衡は 6-デォキシ L-タガトース: 6-デォキシ L-ソルボース は、およそ 1 : 3であった。
それを下記方法で分離し純粋な 6-デォキシ L-ソルボースを得た(図 38)。その 旋光度は 48. 5度であった。
〈分離方法〉
Dowex 50W X2
ワンパス分離システム
本実施例の 6-デォキシ L-タガトースからの 6-デォキシ L-ソルボースの生産は 化 3によってその反応が示される。
6-deoxy-L-tasatose 6-deoxy-L-sorbose 実施例 15
[6-デォキシ D-ソルボースの生産]
この反応は、 6-デォキシ D タガトースの 6-デォキシ D-ソルボースへのェピマ 一化であり、図 3の番号 3— 2の Aの反応である。
L フコース(6-デォキシ L- ガラクトース)を出発原料とし、ラネーニッケルを用い た化学的還元法により得た 6-デォキシ D ガラクチトールを酸化し転換した 6-デ ォキシ D タガトースに、下記反応条件で DTEを作用させた。
〈反応条件〉
基質: 6-デォキシ D-タガトース
酵素:固定化 D-タガトース 3-ェピメラーゼ
緩衝液: 50mM Tris-HCl (pH7. 5)
温度: 40°C
〈分離方法〉
Dowex 50W X2
反応のできを HPLCで確認したところ、図 39のように 6_デォキシ D-ソルボースの 生産が確認された。平衡は 6-デォキシ Lータガトース: 6-デォキシ L ソルボース
の場合と同じであり、およそ 1 : 3であった。
本実施例の 6-デォキシ D タガトースからの 6-デォキシ D-ソルボースの生産 は化 4によってその反応が示される。
[化 4]
C t H, 'OH CH,OH
I 2
c=o c=o
HOCH ^ HCOH
IIOCII ^ HOCH
HCOH D-TE HCOH
t I
6-deoxy-D-tagatose 6-deoxy-D-sorbose 実施例 16
[1-デォキシ L-プシコースの生産]
この反応は、 1-デォキシ L-フラクトースの DTEによる 1-デォキシ L-プシコース へのェピマー化であり、図 3の番号 18— 19の Aの反応である。
L ラムノースから生産した;!-デォキシ L-フラクトースに DTEを反応させた。
L-ラムノースから 6-デォキシ L-マンニトールを経由して卜デォキシ L-フラクトース を製造した。
L ラムノースから生産した;!-デォキシ L-フラクトースに DTEを反応させた。 反 応条件は、下記のとおりである。
〈反応条件〉
基質:;!-デォキシ L-フラクトース
固定化 D_TE : 10000 U
(キトノ ーノレ BCW2510)
温度: 42°C
撹拌: 90rpm
容量: 100 ml
時間: 24時間
変換率: 75 (F) : 25 (P)
DTEの作用により 1_デォキシ L_プシコースの生産が確認され、平衡は卜デォ キシ L-フラクトース: 1-デォキシ L-プシコースは、 75 : 25であった。反応液後の 液をワンパスク口マトによって分離した。分離条件は、下記のとおりである。
〈分離条件〉
システム:ワンパス分離システム
試料: 30% 1_デォキシ L-フラクトースおよび
1-デォキシ L-プシコース混合物
容量: lOOmL
流速:り 0 ml/ min
Wait time: 90min
画分:タンク- A, B, Cおよび D
結果:純粋な;!_デォキシ L-プシコースを得た。
反応混合物から分離した 1-デォキシ L-フラクトース(a)および 1-デォキシ L-プ シコース(b)の HPLCによる純度は、図 40に示すごとく純粋であった。 1_デォキシ L -プシコースの 13C NMRスペクトルが図 41である。これは図 32と同一であることが確 認された。
実施例 17
[6-デォキシ D-フラクトースの生産]
この反応は、 6-デォキシ D-プシコースに DTEに作用させて 6-デォキシ D-フ ラタトースに異性化する、図 3の番号 11 10の Aの反応である。
1-デォキシ L-フラクトースに DTEを作用させて作成した;!-デォキシ L-プシコ ースを還元し、 卜デォキシ L-ァリトールを得た。それを微生物酸化(IK7)を行い、 6-デォキシ D-プシコースを生産した。このようにして生産した卜デォキシ D-プ シコースに DTEに作用させた。反応条件は、下記のとおりである。
〈反応条件〉
緩衝液: Tris (pH7. 5) 500 1
基質: 1. 5% 6-デォキシ D-プシコース
D-TE:〜 100 units
温度: 40°C
時間: 12時間
変換率: 50 (S) : 50 (P)
反応後の溶液中には、 6-デォキシ D-フラクトースが 50%の平衡で生産されるこ とを確認した。図 42の(a)は反応前の 6-デォキシ D-プシコースであり、(b)は反応 後の反応混合物の HPLCによる分析である。
実施例 18
[0115] [6-デォキシ L-ソルボースの生産]
この反応は、 6-デォキシ L-タガトースに DTEに作用させて 6-デォキシ L-ソル ボースに異性化する、図 3の番号 22— 23の Aの反応である。
1-デォキシ L-フラクトースに DTEを作用させて作成した卜デォキシ L-プシコ ースを還元し、 1-デォキシ L-タリトールを得た。それを微生物酸化(40b)を行い、 1-デォキシ L-タガトースを生産した。このようにして生産した 1-デォキシ L-タガト ースに DTEに作用させた。反応条件は、下記のとおりである。
〈反応条件〉
緩衝液: Tris (pH7. 5) 500 1
基質: 1 · 0% 6-デォキシ L-タガトース
D-TE:〜 100 units
温度: 42°C
時間: 12時間
変換率: 20 (S) : 80 (P)
反応後の溶液中には、 6-デォキシ L-ソルボースが生産された。基質と生産物と の比は、 1 : 4であった。図 43の(a)は基質である 6-デォキシ L-タガトース、(b)は 反応後の反応混合物の HPLC分析の結果である。
実施例 19
[0116] [1-デォキシ D-タガトースの生産]
この反応は、 6-デォキシ L-ガラクチトールを微生物を用いる酸化により卜デォ キシ D-タガトースを生成する、図 3の番号 46 = 39— 13の Bの反応である。
L—フコース(6_デォキシ L_ガラクトース)を還元し、 L—フシトール(6デォキシ L -ガラクチトール) ^E.agglomerans 221eによる微生物酸化反応〔菌体反応組成物:菌 体 30 (OD )、 Tris-HCl緩衝液(ρΗ8· 0) 50mM、基質 6デォキシ L-ガラクチト
600
ール 1 %〕を 30°C、 6時間行った。 1-デォキシ D-タガトースのみが生産された。図 4 4の(a)は反応後の反応混合物、(b)は生成した 1-デォキシ D-タガトースの HPLC 分析の結果である。旋光度は + 14. 0であった。その13 C NMRスペクトルを図 45に示 した。
本実施例の 6-デォキシ L-ガラクチトールからの 1-デォキシ D-タガトースの生 産は化 5によってその反応が示される。
[化 5]
CH2OH
し H
HOCH HCOH c=o
HOCH HCOH
oxidation HOCH
HOCH HCOH CH,
CH,OH
L-fucitol
1 -deoxy-D-tagatose (6-deoxy-L-galactitoI) 実施例 20
[1-デォキシ L-タガトースの生産]
この反応は、 6-デォキシ D-ガラクチトールを微生物を用いる酸化により 1-デォ キシ L-タガトースを生成する、図 3の番号 34 = 43— 22の Bの反応である。
L—フコース(6-デォキシ L-ガラクトース)を還元し、 L—フシトール(6-デォキシ L-ガラクチトール)を生産し、それを基質として 30°Cで K.pneumoniae 40bによる微 生物酸化反応〔菌体反応組成物:菌体 30 (OD )、 Tris-HCl緩衝液(pH8. 0) 50
600
mM、基質 1 %〕を行った。図 46は 1-デォキシ L-タガトースが生産されている途中 の HPLC分析の結果であり、 1-デォキシ L-タガトースを生産できることを示してい d * o
本実施例の 6-デォキシ D-ガラクチトールからの 1-デォキシ L-タガトースの生 産は化 6によってその反応が示される。
[化 6]
CH2OII CH
II OII c=o HOCH HCOH IKK II HCOH IK OH oxidation HOCH CH3 (Ή,ΟΗ
D-fucitol
-deoxy-L-tagatose
(6-deoxy-D-galactitol) 実施例 21
[6-デォキシ D-タガトースの生産]
この反応は、 6-デォキシ D-ガラクチトールを微生物酸化反応により 6- D-タガトースを生成する、図 3の番号 34— 3の Bの反応である。
D フコース(6-デォキシ D-ガラクトース)を還元し、 D フシトール(6-デォキシ D-ガラクチトール)を生産し、それを基質として 30°Cで E.agglomerans 221eによる 微生物酸化反応〔菌体反応組成物:菌体 30 (OD )、 Tris-HCl緩衝液(pH8. 0) 5
600
0mM、基質 6デォキシ D-ガラクチトール 1 %〕を行った。図 47の(a)は反応後の反 応混合物の HPLCであり、(b)は分離精製した 1-デォキシ D-タガトースの HPLC のである。旋光度は 0. 8度であり、図 48は13 C NMRスペクトルである。
本実施例の 6-デォキシ D-ガラクチトールからの 6-デォキシ D-タガトースの生 産は化 7によってその反応が示される。
[化 7]
( Η,ΟΗ ( H,()H
HCOH c=o HOCH HOCH HOCH HOCH
HCOH oxidation HC OH
D-fucitol 6-deoxy D-tagatose (6-deoxy-D-galactitol) 実施例 22
[1-デォキシ L-フラクトースの生産]
この反応は、 L-ラム二トール(6-デォキシ L-マンニトール)を微生物酸化反応に より;!-デォキシ L-フラクトースを生成する、図 3の番号 41 =48— 31の Bの反応で ある。
下記反応条件で L-ラム二トールを基質としてェンテロパクター属菌体 IK7 ( (NITE BP-271)による脱水素酵素反応を行った。
〈反応条件〉
基質: 5%L-ラム二トール
緩衝液: 50mM Tris-HCl (pH9. 0)
菌体濃度: A600
40
温度: 37°C
撹拌: 120rpm
空気流速: 1. 0 L/min
時間: 12時間
容量: 1. 0 L
変換率: 90%
分離精製は下記分離条件で行った。
〈分離条件〉
システム:ワンパス分離システム
試料: 30%L-ラム二トールおよび 1-デォキシ L-フラクトース混合物 容量: 300 mL
流速: 60 ml/ min
Wait time: 120 min
画分:タンク- A, B, Cおよび D
結果:二つの RUNで純粋な卜デォキシ L-フラクトースを得た。
図 49の(a)は L-ラム二トール、 (b)は分離精製した 1_デォキシ L-フラクトースの HPLC分析の結果である。図 50は分離精製した卜デォキシ L-フラクトースの13 C NMRスぺクトノレである。
実施例 23
[6-デォキシ D-プシコースおよび 6-デォキシ L-タガトースの生産]
この反応は、 1-デォキシ L-ァリトールおよび;!_デォキシ L-タリトールを微生物 酸化反応により 6-デォキシ D-プシコースおよび 6-デォキシ L-タガトースを生成 する、図 3の番号 47 = 38— 11 , 29 = 28 - 27
6-デォキシ D-プシコースと 6-デォキシ L-タガトースを生産するを行った。まず 、 1-デォキシ L-プシコースを還元し;!-デォキシ L-ァリトーノレと 1-デォキシ L- タリトールへ還元した〔図 51の(a)〕。これを分離しな!/、で下記の反応条件でェンテロ パクター属菌体 IK7 (NITE BP-271)を用いて酸化反応を行った。
〈反応条件〉
緩衝液: Tris (pH9. 0)
基質: 1 % 1_デォキシ L-ァリトールおよび
1-デォキシ L-タリトール混合物
菌体: 30 (A )
600
温度: 37°C
撹拌: lOOrpm
時間: 12時間
容量: 100ml
変換率: 100%
分離精製は下記分離条件で行った。
〈分離条件〉
システム: Dowex 50Ca+2
column 100cm X2
試料: 20%;!-デォキシ L-ァリトールおよび
1-デォキシ L-タリトール反応混合物
容量: 10 ml
Wait time: 90 min
画分: 2· 0 ml/tube
結果:純粋な 6-デォキシ D-プシコースおよび 6-デォキシ L-タガトースを得た 図 51の HPLC分析結果が示すように、 (a) 1_デォキシ L-ァリトールおよび卜デ ォキシ L-タリトーノレ力、ら、(b) 6_デォキシ D-プシコースおよび 6-デォキシ L-タ ガトースをそれぞれから生産することができた。それぞれの分離精製した 6-デォキシ D-プシコース(c) 6-デォキシ L-タガトース(d)の HPLCを示した。
実施例 24
[6-デォキシ L-タガトースの生産]
この反応は、 6-デォキシ L-ガラクトースを異性化することにより 6-デォキシ L- タガトースを生成する、図 3の番号 63— 27の Cの反応である。
L-フコース(6-デォキシ L-ガラクトース)を下記反応条件で D—ァラビノースイソ メラーゼで異性化することにより、 6-デォキシ L-タガトースを生産した。
〈反応条件〉
基質: 10% L-フコース(6-デォキシ L-ガラクトース)
酵素:固定化 D—ァラビノースイソメラーゼ
緩衝液: 50mMグリシン- NaOH緩衝液(ρΗ9· 0)
イオン: ImM MnCl
2
温度: 40°C
分離は下記方法で行った。
〈分離方法〉
Dowex 50W X2
ワンパス分離システム
図 52の(a)は反応後の HPLCであり、 (b)は分離精製したもの(6-デォキシ L-タ ガトース)である。旋光度は + 0· 9であった。その13 C NMRスペクトルを図 53に示した 本実施例の 6-デォキシ L-ガラクトースからの 6-デォキシ L-タガトースの生産 は化 8によってその反応が示される。
[化 8]
CHO CH2OH
HOCH C=0
HCOH v HCOH
HCOH HCOH
HOCH D-AI HOCH
C¾ CH3
L-fucose
6-deoxy-L-tagatose (6-deoxy-L-galactose) 実施例 25
[6-デォキシ L-タロースの生産]
この反応は、 6-デォキシ L-タガトースを異性化することにより 6-デォキシ L-タ ロースを生成する、図 3の番号 27— 64の Cの反応である。
Lーフコースから生産した 6-デォキシ L-タガトースに L—ラムノースイソメラーゼを 作用させることで、 6-デォキシ L-タロースを生産した。
〈反応条件〉
基質: 6-デォキシ L-タガトース
酵素:固定化 L ラムノースイソメラーゼ
緩衝液: 50mMグリシン- NaOH緩衝液(ρΗ9· 0)
イオン: ImM MnCl
2
温度: 40°C
分離は下記方法で行った。
〈分離方法〉
クロマトグラフィー分離
図 54の(a)は反応後の反応混合物の HPLCであり、(b)は分離精製したもの(6- デォキシ D-タロース)である。 (C)は分離精製した 6-デォキシ D-タロースの13 C
NMRスペクトルである。 L ラムノースイソメラーゼによって 6_デォキシ L-タロースを 生産可能であった。
本実施例の 6-デォキシ L-タガトースからの 6-デォキシ L-タロースの生産は化 9 によってその反応が示される。
[化 9]
CHjOH
c=o HCOH
HCOH HCOH
HCOH HCOH HOCH - R]ュ ..I HOCH
CH,
6-deoxy-L-tagatose 6-deoxy-L-talose 実施例 26
[6-デォキシ D-ァロースおよび 6-デォキシ D-アルトロースの生産]
この反応は、 6-デォキシ D-プシコースを異性化することにより 6-デォキシ D- ァロースおよび 6-デォキシ D-アルトロースを生成する、図 3の番号 11 55, 11 - 56の Cの反応である。
6-デォキシ D-ァリトールから生産した 6-デォキシ D-プシコースを原料として、 下記反応条件の異性化反応によって 6-デォキシアルドースを生産した。
〈反応条件〉
基質: 1. 0% 6-デォキシ D-プシコース
500 ^ 1
緩衝液: 50mMグリシン- NaOH緩衝液(ρΗ9· 0)
500 ^ 1
L—ラムノースイソメラーゼ: 100 units
MnCl 2 : 50 ^ 1
温度: 42°C
時間: 24時間
変換率: 40 (s) : 60 (ps)
図 55の(a)は基質として用いた 6-デォキシ D-プシコースであり、(b)は L—ラムノ ースイソメラーゼを作用した後の HPLCである。この結果は、 6-デォキシ D-プシコ ースから、 6-デォキシ D-ァノレトロース、 6-デォキシ D-ァロースを生産できること ができた。
実施例 27
[6-デォキシ D-タロースの生産]
この反応は、 6-デォキシ D-タガトースを異性化することにより 6-デォキシ D-タ ロースを生成する、図 3の番号 3— 52の Cの反応である。
D—フコースから生産した 6-デォキシ D-タガトースに Lーリボースイソメラーゼを 作用することで、 6-デォキシ D-タロースを生産することが明らかになった。
〈反応条件〉
基質: 6-デォキシ D-タガトース
酵素:固定化 Lーリボースイソメラーゼ
緩衝液: 50mMグリシン- NaOH緩衝液(ρΗ9· 0)
イオン: ImM MnCl
2
温度: 30°C
異性化反応の比は、 6-デォキシ D-タガトース: 6-デォキシ D-タロースは 2 : 3 であった。図 56は Lーリボースイソメラーゼを作用した後の反応混合物の HPLC分析 結果である。
本実施例の 6-デォキシ D-タガトースからの 6-デォキシ D-タロースの生産は化 10によってその反応が示される。
[化 10]
CH2OH CHO
C=0 HOCH
HOCH ► HOCH
HOCH ^ ~™ ~ HOCH
HCOH HCOH
C¾ CH3
6-deoxy-D-tagatose 6-deoxy D-talose 実施例 28
[6-デォキシ L-ガラクチトールの生産]
この反応は、 6-デォキシ L-ガラクトースを還元することにより 6-デォキシ L-ガラ クチトールを生成する、図 3の番号 63— 46の Dの反応である。
D—フコース(6-デォキシ D—ガラクトース)を還元して〔D—フコース 1 %、ラネー
ニッケル触媒 20ml、全部で 500mlの組成物〕、 D—フシトール(6-デォキシ D ガ ラタチトール)を生産した。図 57の(a)は還元前の D フコース、(b)は還元後の 6- デォキシ L-ガラクチトールの HPLC分析結果である。 6-デォキシ L-ガラクチトー ルの旋光度は + 1 · 7であった。 6-デォキシ L-ガラクチトールのの13 C NMRスぺタト ルを図 58に示した。
本実施例の 6-デォキシ L-ガラクトースからの 6-デォキシ L-ガラクチトールの生 産は化 1 1によってその反応が示される。
[化 11]
CHO
I 2
HOCH HOCH HCOH II OII HCOH HCOH
reduction
HOCH
CH CH,
L-iucose L-fucitol (6-deoxy-L-galaciose) (6-deoxy-L-galactitol) 実施例 29
[6-デォキシ D-ガラクチトールの生産]
この反応は、 6-デォキシ D-ガラクトースを還元することにより 6-デォキシ D-ガ ラタチトールを生成する、図 3の番号 51—34の Dの反応である。
L フコース(6-デォキシ L ガラクトース)を還元して〔L—フコース 1 %、ラネ一二 ッケル触媒 20ml、全部で 500mlの組成物〕、 L—フシトール(6-デォキシ L ガラク チトール)を生産した。図 59の(a)は還元前の Lーフコース、(b)は還元後の 6-デォ キシ D-ガラクチトールの HPLC分析結果である。 6-デォキシ L-ガラクチトールの 旋光度は 1 · 7であった。 6-デォキシ D-ガラクチトールのの13 C NMRスペクトルを 図 60に示した。
本実施例の 6-デォキシ D-ガラクトースからの 6-デォキシ D-ガラクチトールの 生産は化 12によってその反応が示される。
[化 12]
CHO CH2OH
HCOH HCOH
HOCH HOCH
HOCH HOCH
HCOH reduction HCOH
CH3 CHS
D-fucose D-fucitol
(6-deoxy-D-galactose) (6-deoxy-D-galactitol) 実施例 30
[0127] [L-ラム二トールの生産]
この反応は、 L-ラムノースを水素添加法で還元することにより L-ラム二トールを生 成する、図 3の番号 58— 41の Dの反応である。
下記反応条件で L-ラムノース(6-デォキシ L—マンノース)を還元して、 L-ラム二 トール(6-デォキシ L—マンニトール)を生産した。
〈反応条件〉
基質: 5% L-ラムノース
触媒:ニッケル
H 2圧: 1. 2 MPa
温度: 50°C
撹拌: 700rpm
時間: 12時間
容量: 500ml
変換率: 100%
図 61の(a)は還元前の L-ラムノース、(b)は還元後の L-ラム二トールの HPLC分 析結果である。このように容易に L-ラム二トールを生産できることができた。
実施例 31
[0128] [L-ラム二トールの生産]
この反応は、 1-デォキシ L-フラクトースを水素添加法で還元することにより卜デ ォキシ L-マンニトールと 1-デォキシ L-ソルビトールを生成する、図 3の番号 31— 32、 31— 48の Dの反応である。
下記反応条件で 1-デォキシ L-フラクトースを還元して、 1-デォキシ L-マンニト 一ノレと 1-デォキシ L-ソルビトールの生産を行った。常法どおりのラネーニッケルに よる方法によって、容易に両ポリオールをほぼ等量生産できることができた。
〈反応条件〉
基質: 5% 1-デォキシ L-フラクトース
触媒:ニッケル
H圧: 1. 2 MPa
2
温度: 50°C
撹拌: 700rpm
時間: 7時間
容量: 500ml
変換率: 100%
図 62は還元後の;!-デォキシ L-マンニトールと 1-デォキシ L-ソルビトール混合 物の HPLC分析結果である。このように容易に L-ラム二トールを生産できることがで きた。
実施例 32
[1-デォキシ L-ァリトールおよび卜デォキシ L-タリトールの生産]
この反応は、 1-デォキシ L-プシコースを水素添加法で還元することにより 1-デ ォキシ L-ァリトールおよび 1-デォキシ L-タリトールを生成する、図 3の番号 19
42、 19— 20の Dの反応である。
1-デォキシ L-フラクトースをェピ化して生産した、 1-デォキシ L-プシコースを 下記反応条件で還元して、 1-デォキシ L-ァリトールと 1-デォキシ L-タリトールの 生産を行った。常法どおりのラネーニッケルによる方法によって、容易に両ポリオ一 ルをほぼ等量生産することができた。図 63は還元後の;!_デォキシ L-ァリトールと 1
-デォキシ L-タリトール混合物の HPLC分析結果である。
〈反応条件〉
基質: 5% 1-デォキシ L-プシコース
触媒:ニッケル
H圧: 1. 2 MPa
2
温度: 50°C
撹拌: 700rpm
時間: 8時間
容量: 500ml
変換率: 100%
両デォキシポリオールをそのままを基質として、酢酸菌による酸化によって;!_デォ キシ L-プシコースおよび 6-デォキシ D-タガトースを生産することができた。 産業上の利用可能性
[0130] 本発明で対象としているものは、単糖、である。単糖の工業的利用においては各種 の食品、化粧品、医薬品産業における、素材として広く利用されている。単糖におけ る研究開発の現状をみると、自然界に存在量の多い、 D—グルコース、 D—マンノー ス、 D—ガラクトース、 D—フラクトースなどを利用することが主である。そのため、この 分野の新しい発展を進めるためには、これまでその存在量が少ない「希少糖」の生産 が求められていた。それを可能にしたのが、図 4で示されているィズモリングを戦略と した全単糖の生産法の確立であった。
[0131] 単糖は図 4で示されているように、アルドース、ケトース、およびポリオールの全体の 総数は 59である。その中で十分量を生産可能であり、工業的に利用可能な単糖の 数は限られている。単糖の優位性は、炭素に結合している OH基の配位がそれぞれ 特有の構造をもっており、キラルな構造を持つ医薬品等の有用な化合物の合成原料 として大変重要であることである。その有用性は理解されている力 その生産法が確 立されて!/、な!/、と!/、うことが大きな障害となって!/、る。有機化学的にはキラルな構造を 持つことが優位である力 有機化学的手法によって、特定のキラルな構造を持つもの を合成することは極めて困難であるという関係にある。すなわち、有機化学的な医薬 品等の合成には重要であるとレ、うことは、有機化学的な手法ではキラルな特定の構 造を持つ単糖を合成することが非常に困難であることを意味している。
[0132] これらの単糖の研究開発における現状を背景に、バイオテクノロジーの手法を駆使 して図 4のィズモリングの戦略によって D—プシコース、 D—ァロースをはじめとした希
少糖の生産が可能となっている。これまで利用できなかった単糖の特定のキラル構 造を、有機化学的な原料として利用可能となって来ている。
[0133] 本発明においては、従来の図 4において対象とした 59種の単糖ではなぐ新たに 図 1に示した炭素数 6のへキソースの 1あるいは 6をデォキシ化した総数 48の新しい 糖を対象としている。図 64にデォキシィズモリングで生産可能な、全デォキシ糖のリ ストを示した。 1デォキシケトースが 8種、 6デォキシケトースが 8種、 6デォキシアルド ースが 16種、 1および 6デォキシポリオールが 16種(ポリオールの場合は図 64に示し たように、二種類の名前として表示しているが 180度回転させると重なることからも同 一物質である)であり総計 48種である。これらのデォキシ糖は従来の単糖よりも、さら に有機化学的な手法による方法では合成が困難である。それらをデォキシィズモリン グの戦略を用いて、全部を反応で連結し合成することができたものである。
[0134] 本発明のデォキシィズモリングの反応を以下に整理して示す。ィズモリングの反応 と同様に、ェピ化、酸化反応、異性化反応、還元反応をデォキシィズモリングにおい ても用いる反応を行うので、それぞれに関してデォキシ糖に関する結果を説明する。
1)ェピメラーゼ反応
この図 4において示しているように、ケトースの炭素 3位の OH基をェピ化することで 新しい単糖をはじめて生産可能とした DTE (D—タガトース 3—ェピメラーゼ)を用い ることで全 59種の政略を確立できた。本発明においての最大の課題の一つが、この DTEが、 1あるいは 6デォキシケトースに活性を持つかどうかであった。研究の結果、 DTEは 1および 6デォキシケトースの全部に作用することを確認した。このこと力 本 発明における重要な発見となった。これらの反応は図 3における、番号 2— 3、番号 6 —7、番号 10— 11、番号 14— 15、番号 18— 19、番号 22— 23、番号 26— 27、およ び番号 30— 32の 8つのェピ化反応である。これらの反応に関しては全て反応するこ とを確認できた。
2)酸化反応
ィズモリングをリングとして完成し、全単糖を生産するにはポリオールが大きな役割 を果たす。すなわちポリオールを微生物によって、その 2位を酸化することでケトース を生産する工程が必須である。本発明すなわちデォキシィズモリングによるデォキシ
糖の生産においても、 1および 6デォキシポリオールを微生物反応を用いて酸化する ことによって、 1および 6デォキシケトースを生産することが必要である。この反応は微 生物反応であるので、デォキシポリオールが微生物の菌体内に入り、そこで主にポリ オール脱水素酵素によって対応するデォキシケトースへと酸化反応が行われる必要 である。この過程がィズモリングと同様に、デォキシィズモリングにおいても反応が進 行することが必須である。種々の検討の結果、 1位がデォキシ化されたポリールを基 質として用いること、さらに適切な微生物を選択し、反応条件を確立することでそれぞ れ、 1あるいは 6デォキシケトースを生産できることを確認することができた。この反応 は全く新しい反応であり、微生物が 1および 6デォキシを特異的に酸化する経路、す なわち、デォキシポリオールを菌体内に取り込み、ポリオール脱水素酵素によって 2 位あるいは 5位を特異的に酸化することで、 1あるいは 6デォキシケトースを生産する 経路が存在することを確認できた。このことによって、デォキシポリオールを基質とし て、 1あるいは 6デォキシケトースをデォキシィズモリング戦略に従って生産可能であ ることを確言忍すること力でさた。
3)異性化反応
イソメラーゼ反応はアルドースの炭素 1と炭素 2の間における、酸化還元反応であり 、従来のイソメラーゼ反応においてはケトースから各種のアルドースを生産することが 可能であった。本発明においては、 DTEにおいて記載したとおりにイソメラーゼカ 6 位がデォキシ化されたアルドースおよびケトースに作用するかどうかが重要な鍵とな つていた。本発明において、種々の 6デォキシケトースを用いたイソメラーゼ反応を検 討した結果、ィズモリングにお!/、て用いた各種イソメラーゼがデォキシィズモリングに ぉレ、てもその活性を持つことが確認できた。このことによって各種の 6デォキシアルド ースを 6デォキシケトースから生産できることも明らかにすることが可能となった。
4)還元反応
ケトースをポリオールへ還元する反応は、ィズモリングにおいては酵母を用いた方 法および、水素を用いた有機化学的な反応が利用できる。工業的な利用および確実 な反応としては、現在のところニッケル触媒を用いた水素を用いた方法を用いて、 1 および 6デォキシケトースの還元が可能であれば有利である。このニッケル触媒を用
いた還元反応について、本発明においては確認した。従来の方法による水素添加法 による、 1および 6デォキシケトースから、それぞれに対応する 16種類の糖アルコー ルへと還元できることを明らかにできた。また、 6デォキシアルドースの還元反応につ V、ても、同様に効率よく進行することを確認できた。
[0135] この結果が示すように、 DTEが 1および 6デォキシケトースに反応すること、微生物 がデォキシポリオールを目的とするデォキシケトースへ酸化できること、イソメラーゼ 力 デォキシケトースを対応する活性を持ち 6デォキシアルドースへ異性化できること 、還元反応が通常のケトースと同様に 1および 6デォキシケトースの生産へ適用でき ることを確言忍すること力でさた。
[0136] これらの結果は、これまで有機化学的手法では非常に困難であった、 1および 6デ ォキシ糖力 Sィズモリングの手法によって生産することが可能であることを確認できたこ とを明確に示している。すなわち、これは多くのキラルな構造を持つ単糖をデォキシ ィズモリングという新たな生産戦略によって、これまで生産することも、また、性質さえ も全く不明であった多くのデォキシ糖を、体系的に全てを生産できる方法を確立でき たことを示している。
[0137] 本発明によって得られた成果は、食品産業のみならず、これに関連する食品、化粧 品、医薬品産業における工業的意義が極めて大きい。