JP5358186B2 - デオキシケトヘキソース異性化酵素を用いるデオキシヘキソースおよびその誘導体の製造方法 - Google Patents

デオキシケトヘキソース異性化酵素を用いるデオキシヘキソースおよびその誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、デオキシケトヘキソース異性化酵素用いるデオキシヘキソースおよびその誘導体の製造方法に関する。
多くの複雑な炭水化物が、たとえば細胞−細胞認識、細胞増殖および細胞分化のような生物学的認識過程において中心的な役割を果たしている(非特許文献1)。それらは、血液型決定基を構成し(非特許文献2)、腫瘍関連抗原を形成する(非特許文献3)。植物界においては、それらはホルモンとして調整機能を発揮し(非特許文献4)、またレクチンに対する結合部位を形成する(非特許文献5)。
たとえばデオキシ- およびフルオロ糖のような修飾糖ならびに天然糖のエピマーは、これらの相互作用へ向けての研究の重要な手段を提供する。蛋白質−炭水化物相互作用の一般的な法則は、特異的な酵素−基質相互作用の場合と全く同様に、この関連での興味の中心である。すなわち、たとえば酵素の活性中心についての情報は、酵素基質の連続的な改変によって得ることができる。さらに、デオキシグリコシドはそれが多くの抗生物質中に存在するという事実からもとくに興味がもたれる(非特許文献6)。
2- デオキシグルコースはガン細胞における解糖およびガン細胞の増殖を阻害することが報告されており、いくつかの動物モデルでは腫瘍増殖を遅延させることも報告されている。また、他のサイトカインおよび抗ガン薬物との組み合わせも研究されている(特許文献1)。このようにデオキシヘキソースは特に代謝や生体信号に対する研究に対しての利用が期待される。
発明者の一人である何森健は、4炭糖、5炭糖、6炭糖についてのイズモリング(Izumoring)連携図を特許文献2で公表しその有用性を示している。すなわち、図4で示される生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図が、イズモリング(Izumoring)の全体図である。すなわち、図4から理解できることは、単糖は、炭素数4、5、6全てがつながっているということである。全体図は、イズモリングC6の中でのつながりと、イズモリングC5の中でのつながりと、イズモリングC4の中でのつながりと、C4、C5、C6が全てつながっていることである。この考え方は重要である。炭素数を減少させるには主に発酵法を用いる。炭素数の異なる単糖全てをつなぐという大きな連携図であることも特徴である。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図4の下段および図5、さらに図8に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。希少糖とは自然界に希にしか存在しない単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と定義づけることができる。この定義は糖の構造や性質による定義ではないため、あいまいである。すなわち、一定量以下の存在量を希少糖というなどの量の定義はなされていないためである。しかし、一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD- グルコース、D- ガラクトース、D- マンノース、D- リボース、D- キシロース、L- アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D- フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D- プシコース、D- タガトース、D- ソルボース、L- フラクトース、L- プシコース、L- タガトース、L- ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD- ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。
これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、本発明者らの研究を含めた研究で知られている。D- グルコース(ブドウ糖)やD- フラクトースは自然界に多量に存在する糖であり安価であるが、これらから希少糖を合成することができなかった。ところが、新規な酵素が発見された。それはガラクチトールからD- タガトースを合成する酵素を持つ菌の培養液中に、全く予期しなかったD- ソルボースが発見されたことに端を発する。その原因を調べた結果、この菌がD- タガトース3エピメラーゼ(DTE)という酵素を産生していることを発見した(特許文献3)。このDTEはこれまでつながらなかったD- タガトースとD- ソルボースの間をつなぐ酵素であることがわかる。そしてさらに驚くことに、このDTEは全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、これまで合成接続できなかったD- フラクトースとD- プシコース、L- ソルボースとL- タガトース、D- タガトースとD- ソルボース、L- プシコースとL- フラクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有する、すなわち非常に幅広く基質を選択できるというユニークな酵素であることが分かった。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた。
この図5をよく見てみると、左側にL型、右側にD型、真ん中にDL型があり、しかもリングの中央(星印)を中心としてL型とD型が点対称になっていることもわかる。例えば、D- グルコースとL- グルコースは、中央の点を基準として点対称になっている。しかもイズモリング(Izumoring)の価値は、全ての単糖の生産の設計図にもなっていることである。先の例で、D- グルコースを出発点としてL- グルコースを生産しようと思えば、D- グルコースを異性化→エピ化→還元→酸化→エピ化→異性化するとL- グルコースが作れることを示している。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)を使って、自然界に多量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係が示されている。D- グルコース、D- フラクトース、D- マンノースと、牛乳中の乳糖から生産できるD- ガラクトースは、自然界に多く存在し、それ以外のものは微量にしか存在しない希少糖と分類される。DTEの発見によって、D- グルコースからD- フラクトース、D- プシコースを製造し、さらにD- アロース、アリトール、D- タリトールを製造することができるようになった。希少糖D- プシコースは、これまで入手自体が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を大量生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)の意義をまとめると、生産過程と分子構造(D型、L型)により、すべての単糖が構造的に整理され(知識の構造化)、単糖の全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できること、が挙げられる。
炭素数が5つの単糖(ペントース)のイズモリングは、図4の中段および図6に示すように、炭素数6のイズモリングよりも小さいリングである。しかし、C6のイズモリングと同じようにアルドース8個、ケトース4個および糖アルコール4個全てを含むことに変わりは無く、全てが酵素反応で結ばれる。異なる点は、酸化還元反応、異性化反応のみでリング状に全てが連結できることである。一方、DTEを用いることによって、さらに効率のよい生産経路が設計できることがわかる。炭素数5のイズモリングの特徴は、特に図6から明らかなように、炭素数6のイズモリングが点対象に全単糖が配置されているのに対し、左右が対象に配置されていることが大きな特徴である。これら全ペントースは、酵素反応により連結されていることから、炭素数6のイズモリングの場合と全く同様に、すべてのペントースが構造的に整理され(知識の構造化)、全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できる意義を持っている。
炭素数が4つの単糖(テトロース)のイズモリングは、図4の上段および図7に示すように、テトロースの構造上の特性のため、リングが完成しないという特徴がある。炭素数5のイズモリング上部半分の構造を持っている。このリングの場合も、炭素数5,6の場合と同様の酸化還元および異性化反応によって連結されている。DTEが炭素数4のケトースに反応しないため、ケトース間の反応は現在のところ存在しない。しかし、新規のエピメラーゼの存在が予測され、この研究は現在研究途上である。
全体の配置は、炭素数5と同様に左右対称であり、アルドース4個、ケトース2個および糖アルコール3個全てを含んでいる。すなわち炭素数5,6のイズモリングと同様の意義が存在する。
イズモリングC6のD- グルコースは、イズモリングC5のD- アラビトールおよびイズモリングC4のエリスリトールとつながっている。この線は、発酵法によってD- グルコースからD- アラビトールおよびエリスリトールを生産できることを示している。すなわち、イズモリングC6,イズモリングC5およびイズモリングC4は連結されている。この連結は、炭素数の減少という主に発酵法による反応であり、このD- アラビトールおよびエリスリトールへの転換反応の二つ以外の発酵法によるイズモリングC6とイズモリングC5,C4との連結は可能である。例えばD- グルコースからD- リボースの生産も可能である。
このように、3つのイズモリングにより全ての炭素数4,5,6の単糖(アルドース、ケトース、糖アルコール)が連結されたことで、それぞれの単糖が全単糖の中でその存在場所を明確に確認できる。最も有名なキシリトールは、未利用資源の木質から生産できるD- キシロースを還元することで容易に生産できることを明確に確認できる。
もしも特定の単糖が生物反応によって多量に得られた場合には、それを原料とした新たな単糖への変換の可能性が容易に見いだすことが可能である。すなわち、この全体像から全ての単糖の原料としての位置を確実につかむことができるため、有用な利用法を設計することができる。特に廃棄物や副産物から単糖が得られた場合の利用方法を容易に推定できるのである。
単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子と同数の多価アルコール、すなわち糖アルコールとなる。還元糖は食品等の分野で有用なものが多く、例えばL- アラビノースは、五炭糖で、蔗糖に近い味質を持ち、難吸収性のノンカロリーな糖質である。また蔗糖やマルトースなどの二糖が体内に吸収される際に作用する二糖水解酵素を阻害することが知られており、ダイエット用甘味料や糖尿病患者用甘味料としての利用が期待されている。また、L- アラビノースは医薬品の合成原料としても有用な糖である。
還元糖を取得する場合、その由来を天然物に求めることが行われている。例えば、L- アラビノースを取得する手段として、最近では、コーンファイバーやアラビアガム、ビートパルプなどに酵素や酸を作用させるL- アラビノースの製造法が開発されている。原料となるアラビナン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン等の粗繊維はペクチン質や不要な粗繊維等と混在して存在する場合が多く、これらを酵素分解や酸加水分解処理することによって得られる溶液の中にはL- アラビノース等の還元糖の他に、ペクチン質や粗繊維、またこれらの分解物が混在している。L- アラビノースを精製する方法に関しては、L- アラビノース含有糖液中のキシロースおよびオリゴ糖と目的のL- アラビノースをイオン交換樹脂によるクロマトグラフィーで分画する方法や、多糖、オリゴ糖や塩類との分離を目的としたイオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、膜処理等が提案されている。
一方、単糖のデオキシ体については、有効な製造法および物質として認知されているものが少なく、製造法についての確立が第一に要望されている。
特表2006- 515883号公報 WO2004/063369号公報 特許3333969号公報 G.E. Edelman, Spektrum Wiss. 1964(6),62 V. Ginsburg, Adv. Enzymol. 36,(1972),131 G.M.W. Cook, E.W. Stoddart,"Surface Carbohydratesof the Eucaryotic Cell", Academic Press, London, 1973 P. Albersheim, A.G. Darvill, Spektrum Wiss. 1985(11), 86 T.W.Rademacher, R.B. Parekh, R.A. Dwek, Ann. Rev. Biochem., 57,(1988), 785 T. Reichstein, E. Weiss, Adv. Carbohydr. Chem. 17, (9162〔sic〕), 65
工業的に単糖のデオキシ体を製造する上で、できるだけ少ない工程で、容易な製造法の確立が強く望まれる。そこで、デオキシ体に対するイズモリングの構築とそれを利用した体系的なデオキシ体の製造法を確立する。
すなわち、本発明は、ケトヘキソースの1- もしくは6- デオキシ体に作用し、遊離のデオキシ体の糖質のままでエピマー化することによって、3位をエピマー化したデオキシ体を生成するデオキシケトヘキソース異性化酵素の提供することを目的とする。
また、本発明は、該酵素を用いて、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングに対応するデオキシイズモリング(Deoxyizumoring)を完成させることを目的とする。
さらにまた、本発明は、該デオキシイズモリングに基づくアルドヘキソース、ケトヘキソース、糖アルコールのすべてに対応する1- または6- デオキシ体、ならびに、それらの体系的、具体的かつ経済的な製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは、単糖のデオキシ体の製造法の確立に鋭意研究を行ってきた。その中で、シュードモナス チコリ ST−24(FERM BP−2736)由来のD- タガトース 3- エピメラーゼが、6- デオキシヘキソース(例えば6- デオキシ L- フラクトース)を基質として対応する6- デオキシヘキソース(例えば6- デオキ L- プシコース)を生成することを発見した。L- ラムノースイソメラーゼが、従来公知のL- ラムノースと6- デオキシ L- フラクトース間の酵素反応以外にも、6- デオキシ L- プシコースと6- デオキシ L- アルトロース間などの他のデオキシ体の単糖のケトースとアルドース間の異性化反応を触媒することを発見した。さらに、還元、酸化反応を組み合わせることにより、単糖の1- または6- デオキシ体および1- または6- デオキシ糖アルコールを製造できることを発見し本発明に至った。また、これによりデオキシ体に相当するイズモリング(Izumoring)であるデオキシイズモリングが完成できた。デオキシヘキソースが連携したのデオキシイズモリングを図1として示す。図1を構成する各デオキシ糖の名称が付されているデオキシイズモリングを図2として示す。そして各デオキシ糖に番号が付されているデオキシイズモリングを図3として示す。図3中の番号とデオキシ糖の名称は以下の通りである。
1 6-デオキシD-グリトール
2 6-デオキシD-ソルボース
3 6-デオキシD-タガトース
4 6-デオキシD-タリトール
5 1-デオキシD-アルトリトール
6 1-デオキシD-プシコース
7 1-デオキシD-フラクトース
8 1-デオキシD-マンニトール
9 6-デオキシD-マンニトール
10 6-デオキシD-フラクトース
11 6-デオキシD-プシコース
12 6-デオキシD-アルトリトール
13 1-デオキシD-タリトール
14 1-デオキシD-タガトース
15 1-デオキシD-ソルボース
16 1-デオキシD-グリトール
17 6-デオキシL-グルシトール
18 6-デオキシL-フラクトース
19 6-デオキシL-プシコース
20 6-デオキシL-アルトリトール
21 1-デオキシL-タリトール
22 1-デオキシL-タガトース
23 1-デオキシL-ソルボース
24 1-デオキシL-イジトール
25 6-デオキシL-イジトール
26 6-デオキシL-ソルボース
27 6-デオキシL-タガトース
28 6-デオキシL-タリトール
29 1-デオキシL-アルトリトール
30 1-デオキシL-プシコース
31 1-デオキシL-フラクトース
32 1-デオキシL-グルシトール
33 6-デオキシD-イジトール
34 6-デオキシD-ガラクチトール
35 1-デオキシD-アリトール
36 1-デオキシD-グルシトール
37 6-デオキシD-グルシトール
38 6-デオキシD-アリトール
39 1-デオキシD-ガラクチトール
40 1-デオキシD-イジトール
41 6-デオキシL-マンニトール
42 6-デオキシL-アリトール
43 1-デオキシL-ガラクチトール
44 1-デオキシL-グリトール
45 6-デオキシL-グリトール
46 6-デオキシL-ガラクチトール
47 1-デオキシL-アリトール
48 1-デオキシL-マンニトール
49 6-デオキシD-グロース
50 6-デオキシD-イドース
51 6-デオキシD-ガラクトース
52 6-デオキシD-タロース
53 6-デオキシD-マンノース
54 6-デオキシD-グルコース
55 6-デオキシD-アロース
56 6-デオキシD-アルトロース
57 6-デオキシL-グルコース
58 6-デオキシL-マンノース
59 6-デオキシL-アロース
60 6-デオキシL-アルトロース
61 6-デオキシL-イドース
62 6-デオキシL-グロース
63 6-デオキシL-ガラクトース
64 6-デオキシL-タロース
本発明は、以下の()〜(15)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法を要旨とする。
〈ケトース間〉
ケトヘキソースの1- もしくは6- デオキシ体に作用し、遊離のデオキシ体の糖質のままでエピマー化することによって、3位をエピマー化したデオキシ体を生成するシュードモナス チコリ ST−24(FERM BP−2736)から得ることのできるデオキシケトヘキソース異性化酵素を用い、原料である1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、目的物である、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造することを特徴とするデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
デオキシケトヘキソース異性化酵素が、1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを生成する、(1)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
(3)デオキシケトヘキソース異性化酵素が、下記の理化学的性質を有する、(1)または(2)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。

1)1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、および1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応する1- または6- デオキシD- ケトヘキソースおよび1- または6- デオキシL- ケトヘキソースを生成する。
2)D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼ活性の至適pHおよびpH安定性は、pH7〜10に至適pHを有し、pH5〜10で安定。
3) D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼ活性の至適温度および熱安定性60℃付近に至適温度を有し、50℃以下で安定。
4) 紫外線吸収スペクトル275乃至280nmに吸収帯を示す。
5) 分子量41,000±3,000(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)。
〈ケトース→還元→糖アルコール〉
)上記誘導体がデオキシケトヘキソースを還元したものであり、目的物である、1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを還元し、その誘導体である、対応する1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈ケトース→還元→糖アルコール→酸化→ケトース〉
)上記誘導体がデオキシケトヘキソースを還元し、さらに酸化したものであり、目的物である、1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを還元し、その誘導体である、対応する1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを製造し、さらにその1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを酸化し、対応する6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈ケトース→アルドース「6デオキシしか存在しない」〉
)上記誘導体が6- デオキシケトヘキソースを異性化したもので、目的物である、6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースに、アルドースイソメラーゼを作用させて、その誘導体である、対応する6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースを製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈ケトース→アルドース→糖アルコール〉
)上記誘導体がデオキシケトヘキソースを異性化し、さらに還元したものであり、目的物である、6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースに、アルドースイソメラーゼを作用させ、その誘導体である、対応する6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースを製造し、さらにその6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースに、アルドースレダクターゼを作用させて、対応する6- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコール製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈アルドース→異性化→ケトース→エピ化→ケトース〉
)酵素を作用させる原料である6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースが、6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースにアルドースイソメラーゼを作用させ、対応する6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造したものであり、次いでそれをエピマー化して、目的物である、対応する6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
〈糖アルコール→酸化→ケトース→エピ化→ケトース〉
)原料である1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースが、1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを酸化し、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造したものであり、次いでそれをエピマー化して、目的物である、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
10)上記の酸化反応または還元反応に、ポリオールデヒドロゲナーゼを用いる、またはラネーニッケル等を触媒として用いる水素添加法を用いる()、()または()のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
11)上記の酸化反応に、脱水素酵素生成能を有するエンテロバクター属菌体IK7(NITE BP-271)を用いる()または()の方法。
〈アルドース→還元→糖アルコール→酸化→ケトース→エピ化→ケトース〉
12)原料である1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、または1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースが、6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースにアルドースレダクターゼを作用させるか、あるいは有機化学的な還元反応により、対応する6- デオキシ D- 糖アルコール、または6- デオキシ L- 糖アルコールを製造し、次いでこれを酸化し、対応する1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、または1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造したものであり、次いでそれをエピマー化して、目的物である、対応する1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、または1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する(1)、(2)または(3)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
13)上記の還元反応に、アルドースレダクターゼを用いる、または化学的還元方法を用いる()または(12)のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
14)上記の異性化反応に、L- ラムノースイソメラーゼを用いる()、()または()のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
15)上記の異性化反応に、L- ラムノースイソメラーゼを用い、6- デオキシ L- プシコースを6- デオキシ L- アルトロースに異性化する()、()または()のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
本発明により、遊離のケトヘキソースの1- もしくは6- デオキシ体に作用するデオキシケトヘキソース異性化酵素、それを用いる1- または6- デオキシ体の製造方法、並びに、生産された1- または6- デオキシ体を提供することができる。
また、自然界に希にしか存在しない単糖およびその誘導体(アルドース、ケトースおよび糖アルコール)である希少糖について、炭素数が6つの単糖およびその誘導体(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)は、自然界に多量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係、それを得るための出発原料および経路が体系的に示されているが、本発明により、該イズモリングを、炭素数6の単糖およびその誘導体(アルドース、ケトース、糖アルコール)に対応する1- または6- デオキシ体で連結された、デオキシイズモリング(Deoxy-Izumoring)に展開させることができる。
デオキシイズモリングにより、炭素数6の単糖およびその誘導体(アルドース、ケトース、糖アルコール)に対応する1または6デオキシ体、すなわち、デオキシ希少糖(デオキシケトヘキソース、デオキシアルドヘキソース)およびその誘導体であるデオキシ糖アルコール)が酵素的酸化または、酵素的或いは化学的還元、異性化の関係がわかる形で連結されたことで、効率的な生産が可能となる。
デオキシヘキソースが連携したのデオキシイズモリングを示す。 デオキシ糖名が付されているデオキシイズモリングを示す。 デオキシ糖に番号が付されているデオキシイズモリングを示す。、 4糖、5糖、6糖が連携したのイズモリングを製造する経路を示す。 6糖が連携したのイズモリングを製造する経路を示す。 5糖が連携したのイズモリングを製造する経路を示す。 4糖が連携したのイズモリングを製造する経路を示す。 構造式とセットのイズモリングC6の説明図を示す。 L- ラムノースと6- デオキシL- フラクトースの平衡比を示した。 L- ラムノースと6- デオキシL- フラクトース溶液のHPLC分析結果を示した。 L- ラムノースと6- デオキシL- フラクトースと6- デオキシ L- プシコースの平衡比を示した。 L- ラムノースと6- デオキシL- フラクトースと6- デオキシ L- プシコースの溶液のHPLC分析結果を示した。 L- ラムノースと6- デオキシL- フラクトースと6- デオキシ L- プシコースの各タンクの溶液をHPLC分析した結果を示した。 6- デオキシ L- プシコースと6- デオキシ L- アルトロースの溶液のHPLC分析結果を示した。 生産物である1- デオキシD- プシコースの構造を化学合成した1- デオキシD=プシコースと13C NMRを測定し、比較した結果を示した。 生産物である1- デオキシD- プシコースの構造を化学合成した1- デオキシD=プシコースとプロトンNMRを測定し、比較した結果を示した。上が化学合成したもの、下が本実験で生産したものである。 化学合成した1- デオキシL- フラクトースと生産物とをNMRスペクトルを測定して比較した結果を示す。上は1- デオキシD- プシコースの13C NMRであり、下が本実験で生産した1- デオキシL- フラクトースの13C NMR である。 化学合成した1- デオキシL- フラクトースと生産物とをNMRスペクトルを測定して比較した結果を示す。上は1- デオキシD- プシコースのプロトンNMRであり、下が本実験で生産した1- デオキシL- フラクトースのプロトン NMR である。 実施例10で生産した1- デオキシD- タガトースのHPLC分析結果を示した。 実施例10で生産した1- デオキシD- タガトースの13C NMR である。 実施例10で生産した6- デオキシD- タガトースのHPLC分析結果を示した。 実施例10で生産した6- デオキシD- タガトースの13C NMR である。 L-ラムノースからL-ラムノースイソメラーゼおよびD- タガトース 3- エピメラーゼを用いて6- デオキシL- プシコースを生産する反応を示した。 6- デオキシL- プシコースの1-デオキシD-アリトールと、1-デオキシD-タリトールへの化学的還元反応を示した。 デオキシD-アリトールの6- デオキシL- プシコースへの生物化学的反応を示した。 6- デオキシL- プシコースの1-デオキシD-アリトールと、1-デオキシD-タリトールへの化学的還元反応の時間経過とHPLCクロマトグラフ分析結果を示した。 デオキシD-アリトールの6- デオキシL- プシコースへの生物化学的反応の時間経過とHPLCクロマトグラフ分析結果を示した。 実施例10で生産した6- デオキシL- プシコースの結晶を写した図面に変わる写真である。 化学合成した6- デオキシL- プシコースと実施例11の生産物とをNMRスペクトルを測定して比較した結果を示す。左は6- デオキシL- プシコースの13C NMRであり、右が実施例11で生産した6- デオキシL- プシコースの13C NMR である。 精製された6-デオキシL-フラクトースのHPLC分析結果を示した。 化学合成した6-デオキシL-フラクトース(標準)と生産された6-デオキシL-フラクトースのNMRスペクトルを測定して比較した結果を示す。上は標準の13C NMRであり、下が本実験で生産した6-デオキシL-フラクトースの13C NMR である。 生産された1-デオキシL-プシコースの13C NMRスペクトルを示した。 L-ラムノースおよび6-デオキシL-マンニトールの13C NMRスペクトルを示した。 6-デオキシL-マンニトール、1-デオキシL-フラクトースおよび分離された生産物の13C NMRスペクトルを示した。 1-デオキシL-フラクトース、1-デオキシL-プシコースおよび分離された生産物の13C NMRスペクトルを示した。 L-ラムノースから6-デオキシL-マンニトールおよび1-デオキシL-フラクトースを経由して1-デオキシL-プシコースを製造する過程を化学反応式で示した。 実施例14の反応混合物である6- デオキシ L−タガトースと6- デオキシ L−ソルボースの溶液のHPLC分析結果を示した。 実施例14で生産した6- デオキシ L- ソルボースのHPLC分析結果を示した。 実施例15の反応混合物である6- デオキシ D−タガトースと6- デオキシ D- ソルボースの溶液のHPLC分析結果を示した。 実施例16の反応混合物から分離した1- デオキシ L- フラクトース(a)および1- デオキシ L- プシコース(b)のHPLC分析結果を示した。 実施例16で分離した1- デオキシ L- プシコースの13C NMRスペクトルを示した。 実施例17の(a)は反応前の6- デオキシ D- プシコース、(b)は反応後のHPLCによる分析結果を示した。 実施例18の(a)は反応前の6- デオキシ L- タガトース、(b)は反応後のHPLCによる分析結果を示した。 実施例19の(a)は反応後の反応混合物、(b)は生成した1- デオキシ D- タガトースのHPLC分析の結果を示した。 実施例19で生成した1- デオキシ D- タガトースの13C NMRスペクトルを示した。 実施例20で1- デオキシ L- タガトースが生産されている途中のHPLC分析の結果を示した。 実施例21の(a)は反応後の反応混合物、(b)は分離精製した1- デオキシ D- タガトースのHPLC分析の結果を示した。 実施例21で生成した1- デオキシ D- タガトースの13C NMRスペクトルを示した。 実施例22の(a)はL- ラムニトール、(b)は分離精製した1- デオキシ L- フラクトースのHPLC分析の結果を示した。 実施例22で生成した1- デオキシ L- フラクトースの13C NMRスペクトルを示した。 実施例23の(a)反応前の1- デオキシ L- アリトールおよび1- デオキシ L- タリトール混合物、(b)反応後の6- デオキシ D- プシコースおよび6- デオキシ L- タガトースの反応混合物、(c)分離精製した6- デオキシ D- プシコース、(d)分離精製した6- デオキシ L- タガトースのHPLC分析結果を示した。 実施例24の(a)は反応後の反応混合物、(b)は分離精製した6- デオキシ L- タガトースのHPLC分析の結果を示した。 実施例24で生成した6- デオキシ L- タガトースの13C NMRスペクトルを示した。 実施例25の(a)は反応後の反応混合物、(b)は分離精製した6- デオキシ D- タロースのHPLC分析の結果、(C)は分離精製した6- デオキシ D- タロースの13C NMRスペクトルを示した。 実施例26の(a)は基質として用いた6- デオキシ D- プシコース、(b)は反応後の反応混合物のHPLC分析の結果を示した。 実施例27は6- デオキシ D- タガトースにL−リボースイソメラーゼを作用した後の6- デオキシ D- タガトースと6- デオキシ D- タロースの混合物のHPLC分析結果である。 実施例28の(a)は還元前のD−フコース、(b)は還元後の6- デオキシ L- ガラクチトールのHPLC分析結果を示した。 実施例29で生成した6- デオキシ L- ガラクチトールの13C NMRスペクトルを示した。 実施例29の(a)は還元前のL−フコース、(b)は還元後の6- デオキシ D- ガラクチトールのHPLC分析結果を示した。 実施例29で生成した6- デオキシ D- ガラクチトールの13C NMRスペクトルを示した。 実施例30の(a)は還元前のL- ラムノース、(b)は還元後のL- ラムニトールのHPLC分析結果を示した。 実施例31の還元後の1- デオキシ L- マンニトールと1- デオキシ L- ソルビトール混合物のHPLC分析結果を示した。 実施例32の還元後の1- デオキシ L- アリトールと1- デオキシ L- タリトール混合物のHPLC分析結果である。 図1〜3に示されるデオキシイズモリングで生産可能な、全デオキシ糖(1デオキシケトースが8種、6デオキシケトースが8種、6デオキシアルドースが16種、1および6デオキシポリオールが16種)のリストを示した。
本発明者らは、デオキシケトヘキソース間を、遊離のデオキシ体の糖質のままで容易にエピマー化しうるエピメラーゼの検索を鋭意続けてきた。その結果、従来知られているD- ケトヘキソース 3- エピメラーゼであるD- タガトース 3- エピメラーゼ(特許第3333969号)が、ケトヘキソースのみならず、対応するケトヘキソースの1- もしくは6- デオキシ体にも作用し、3位をエピマー化したデオキシ体を得ることができることを発見し、該酵素を利用したD- またはL- デオキシケトヘキソースの変換方法並びに変換されたD- またはL- デオキシケトースの製造方法を確立した。
なお、エピメラーゼは、エンザイム ノメンクレイチャー(Enzyme Nomenclature)(アメリカ合衆国、Academic Press、Inc.1992年)によると、各種の糖質に作用することが知られている。しかしながら、これまでに知られているエピメラーゼは、例えば、リブロースリン酸塩 3- エピメラーゼ(EC 5.1.3.1)やUDP−グルコース 4−エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)などのように主としてリン酸化された糖質やUDPなどと結合した糖質に作用するものであり、遊離の中性の糖質を製造する工業用途には、使えないものであった。
一方、遊離の糖質に作用するエピメラーゼについては、アルドースに作用する二例、アルドース 1- エピメラーゼ(EC 5.1.3.3)およびセロピオース エピメラーゼ(EC 5.1.3.11)または、ケトースに作用するD- ケトヘキソース 3- エピメラーゼが知られているのみである。アルドース 1- エピメラーゼは、アルドースの1位のα、βアノマー間のエピマー化を触媒し、セロビオース エピメラーゼは、同様に、セロビオースのα、βアノマー間を触媒する酵素である。また、D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼはケトヘキソースの3位を触媒する酵素であるが、デオキシ体に作用するかどうかは知られていなかった。
また、本発明記載の公知であるL- ラムノースイソメラーゼが、6- デオキシ L- プシコースから6- デオキシ L- アルトロース間を触媒する反応については知られていなかった。さらに、本発明記載の公知である脱水素酵素生成能を有するエンテロバクターに属する微生物を用いる酸化により、1- デオキシ L- マンニトールから1- デオキシ L- フラクトースを生成する反応および1- デオキシ D- アリトールから1- デオキシ D- プシコースを生成する反応などについては知られていなかった。
すなわち、本酵素(シュードモナス属に属する細菌から得ることのできるデオキシケトヘキソース異性化酵素、D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼ)は、以下の化合物間の反応を触媒することを発見した。
(i)6- デオキシ L- フラクトースの6- デオキシ L- プシコースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(ii)1- デオキシ L- タガトースの1- デオキシ L- ソルボースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(iii)6- デオキシ L- ソルボースの6- デオキシ L- タガトースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(iv)1- デオキシ L- プシコースの1- デオキシ L- フラクトースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(v)6- デオキシ D- ソルボースの6- デオキシ D- タガトースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(vi)1- デオキシ D- プシコースの1- デオキシ D- フラクトースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(vii)6- デオキシ D- フラクトースの6- デオキシ D- プシコースへのエピマー化反応もしくはその逆反応、
(viii)1- デオキシ D- タガトースの1- デオキシ D- ソルボースへのエピマー化反応もしくはその逆反応。
また、アルドースイソメラーゼを用いることによって、本発明で生成したD- またはL- デオキシケトヘキソースとD- またはL- デオキシアルドヘキソース間を、遊離のデオキシ体の糖質のままで容易に異性化することができる。
よって、本発明は、製造したデオキシケトヘキソースを対応するデオキシアルドースに変換もしくは、デオキシアルドースをデオキシケトヘキソースに変換する製造方法を確立した。
本酵素(アルドースイソメラーゼ)は、以下の化合物間の反応を触媒する。
(a)6- デオキシ L- グルコースの6- デオキシ L- フラクトースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(b)6- デオキシ L- マンノースの6- デオキシ L- フラクトースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(c)6- デオキシ L- アロースの6- デオキシ L- プシコースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(d)6- デオキシ L- アルトロースの6- デオキシ L- プシコースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(e)6- デオキシ L- イドースの6- デオキシ L- ソルボースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(f)6- デオキシ L- グロースの6- デオキシ L- ソルボースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(g)6- デオキシ L- ガラクトースの6- デオキシ L- タガトースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(h)6- デオキシ L- タロースの6- デオキシ L- タガトースへの異性化反応もしくはその逆反応。
(i)6- デオキシ D- グルコースの6- デオキシ D- フラクトースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(j)6- デオキシ D- マンノースの6- デオキシ D- フラクトースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(k)6- デオキシ D- アロースの6- デオキシ D- プシコースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(l)6- デオキシ D- アルトロースの6- デオキシ D- プシコースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(m)6- デオキシ D- イドースの6- デオキシ D- ソルボースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(n)6- デオキシ D- グロースの6- デオキシ D- ソルボースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(o)6- デオキシ D- ガラクトースの6- デオキシ D- タガトースへの異性化反応もしくはその逆反応、
(p)6- デオキシ D- タロースの6- デオキシ D- タガトースへの異性化反応もしくはその逆反応。
また、ポリオールデヒドロゲナーゼを用いることによって、デオキシケトヘキソースとデオキシ糖アルコール間を、遊離のデオキシ体の糖質のままで容易に還元もしくは酸化できる。
よって、本発明は、製造したデオキシケトヘキソースを対応するデオキシ糖アルコールに変換もしくは、デオキシ糖アルコールをデオキシケトースに変換する製造方法を確立した。また、デオキシケトヘキソースからデオキシ糖アルコールの還元反応は化学的還元法によっても実施できる。
本酵素(ポリオールデヒドロゲナーゼ)は、以下の化合物間の反応を触媒する。
(ア)6- デオキシ L- グルシトールの6- デオキシ L- フラクトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(イ)6- デオキシ L- マンニトールの6- デオキシ L- フラクトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ウ)6- デオキシ Lアリトールの6- デオキシ L- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(エ)6- デオキシ L- アリトリトールの6- デオキシ L- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(オ)1- デオキシ L- タリトールの1- デオキシ L- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(カ)1- デオキシ Lガラクチトールの1- デオキシ L- タガトースへの還元反応もしくはその逆の酸化反応、
(キ)1- デオキシ Lグリトールの1- デオキシ L- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ク)1- デオキシ L- イジトールの1- デオキシ L- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応。
(ケ)6- デオキシ L- イジトールの6- デオキシ L- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応。
(コ)6- デオキシ L- グリトールの6- デオキシ L- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(サ)6- デオキシ Lガラクチトールの6- デオキシ L- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(シ)6- デオキシ L- タリトールの6- デオキシ L- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ス)1- デオキシ L- アリトリトールの1- デオキシ L- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(セ)1- デオキシ L- アリトールの1- デオキシ L- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ソ)1- デオキシ L- マンニトールの1- デオキシ L- フラクトースへの還元反応もしくはその逆の酸化反応、
(タ)1- デオキシ L- グルシトールの1- デオキシ L- フラクトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応。
(チ)6- デオキシ D- グリトールの6- デオキシ D- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ツ)6- デオキシ D- イジトールの6- デオキシ D- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(テ)6- デオキシ D- ガラクチトールの6- デオキシ D- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ト)6- デオキシ D- タリトールの6- デオキシ D- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ナ)1- デオキシ D- アリトリトールの1- デオキシ D- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ニ)1- デオキシ D- グルシトールの1- デオキシ D- フラクトースへの還元反応もしくはその逆の酸化反応、
(ヌ)1- デオキシ D- マンニトールの1- デオキシ D- フラクトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ネ)6- デオキシ D- マンニトールの6- デオキシ D- フラクトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ノ)6- デオキシ D−グルシトールの6- デオキシ D- フラクトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ハ)6- デオキシ D- アリトールの6- デオキシ D- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ヒ)6- デオキシ D- アルトリトールの6- デオキシ D- プシコースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(フ)1- デオキシ D- タリトールの1- デオキシ D- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ヘ)1- デオキシ D- ガラクチトールの1- デオキシ D- タガトースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応、
(ホ)1- デオキシ D- イジトールの1- デオキシ D- ソルボースへの還元反応もしくはその逆の酸化反応、
(マ)1- デオキシ D- グリトールの1- デオキシ D- ソルボースへの酸化反応もしくはその逆の還元反応。
また、アルドースレダクターゼもしくは、化学的還元反応を用いることによって、デオキシアルドヘキソースをデオキシ糖アルコールに、遊離のデオキシ体の糖質のままで容易に還元できる。
よって、本発明は、製造したデオキシアルドヘキソースを対応するデオキシ糖アルコールに変換する製造方法を確立した。
本酵素(アルドースレダクターゼ)もしくは化学的還元法は、以下の化合物間の反応を触媒する。
(あ)6- デオキシ L- グルコースの6- デオキシ L- グルシトールへの還元反応、
(い)6- デオキシ L- マンノースの6- デオキシ L- マンニトールへの還元反応、
(う)6- デオキシ L- アロースの6- デオキシ L- アリトールへの還元反応、
(え)6- デオキシ L- アルトロースの6- デオキシ L- アルトリトールへの還元反応、
(お)6- デオキシ L- イドースの6- デオキシ L- イジトールへの還元反応、
(か)6- デオキシ L- グロースの6- デオキシ L- グリトールへの還元反応、
(き)6- デオキシ L- ガラクトースの6- デオキシ L- ガラクチトールへの還元反応、
(く)6- デオキシ L- タロースの6- デオキシ L- タリトールへの還元反応。
(け)6- デオキシ D- アルトロースの6- デオキシ D- アルトリトールへの還元反応、
(こ)6- デオキシ D- アロースの6- デオキシ D- アリトールへの還元反応、
(さ)6- デオキシ D- グルコースの6- デオキシ D- グルシトールへの還元反応、
(し)6- デオキシ D- マンノースの6- デオキシ D- マンニトールへの還元反応、
(す)6- デオキシ D- タロースの6- デオキシ D- タリトールへの還元反応、
(せ)6- デオキシ D- ガラクトースの6- デオキシ D- ガラクチトールへの還元反応、
(そ)6- デオキシ D- イドースの6- デオキシ D- イジトールへの還元反応、
(た)6- デオキシ D- グロースの6- デオキシ D- グリトールへの還元反応。
本発明は、上記いずれの1- または6- D- デオキシヘキソース、または1- または6- L- デオキシヘキソースを原料として、上記4酵素および化学的還元法を組み合わせて用いることによって、いずれの1- または6- D- デオキシヘキソース、または1- または6- L- デオキシヘキソースを製造する製造方法を確立し、提供する。
本発明のデオキシヘキソースの製造方法は、D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼが、デオキシケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応するデオキシケトヘキソースを生成する活性を有することを新たに発見し、アルドースイソメラーゼ、ポリオールデヒドロゲナーゼ、アルドースレダクターゼ、化学的還元法を系統立てて用いることにより全てのデオキシヘキソースを製造できる手段を提供する。
用いるD- ケトース 3- エピメラーゼは、D- デオキシケトヘキソースの3位をエピマー化するものが選ばれるが、特許3333969号に記載のものが、反応活性が高く好ましい。また、アルドースイソメラーゼは、デオキシケトヘキソースとデオキシアルドヘキソース間の異性化を触媒する酵素であれば良いが、WO2004/063369号記載のL- ラムノースイソメラーゼが特に好ましい。また、デオキシケトヘキソースおよびデオキシアルドヘキソースの還元反応は、ラネーニッケル等を触媒とする接触還元、アルドースレダクターゼ、ポリオールデヒドロゲナーゼなどにより実施することができる。また糖アルコールの酸化は、ポリオールデヒドロゲナーゼなどにより実施することができる。
本発明に用いられるD- タガトース3- エピメラーゼの主な理化学的性質は、特許第3333969号明細書に記載されているが、デオキシ体に対する性質を下記に示す。
(1) 作用および基質特異性D- またはL- または、1- または6- デオキシケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応するD- またはL- または、1- または6- デオキシケトヘキソースを生成する。
(2) 至適pHおよびpH安定性pH7〜10に至適pHを有し、pH5〜10で安定。
(3) 至適温度および熱安定性60℃付近に至適温度を有し、50℃以下で安定。
本発明のD- タガトース 3- エピメラーゼすなわちD- ケトヘキソース 3- エピメラーゼは、通常、特許第3333969号明細書で開示されている方法でシュードモナス チコリ ST−24(FERM BP−2736)およびその変異種などを用いることにより生産できる。
すなわちシュードモナス チコリ ST−24(FERM BP−2736)を、常法に従って、炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンなどを含有する栄養培地に1〜5日間程度培養、望ましくは、液体培地に通気撹拌などにより好気的条件下で培養し、得られる菌体または培養液上清などの培養物からD- タガトース 3- エピメラーゼを抽出する。通常、培養物を粗D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼとして利用することができる。必要ならば、培養物を濾過、遠心分離、塩析、透析、濃縮、凍結乾燥など公知の方法で部分精製して利用することができる。さらにイオン交換体への吸着溶出、ゲル濾過、等電点分画、電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、モノクローナル抗体への吸着溶出などを組合せて高度に精製したものも利用することも可能である。このようにして、ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に、単一にバンドを示すまで精製したD- タガトース3 エピメラーゼは、D- ケトヘキソースの3位のOH基をエピマー化する。また、驚くことに、本酵素は、1- または6- D- デオキシヘキソース、または1- または6- L- デオキシヘキソースに対しても、エピメラーゼ活性を示すことがわかった。
また、本発明の変換反応、すなわち、D- またはL- デオキシケトヘキソースから選ばれる1種以上のケトースから、該ケトースの3位をエピマー化し、対応するD- またはL- デオキシケトヘキソースなどを生成する変換反応において、本発明のD- デオキシケトヘキソース 3- エピメラーゼを公知の方法により固定化して、反応に繰り返し利用することも、連続反応に利用することも有利に実施できる。
この変換反応は、通常、次の条件で行なわれる。基質濃度は1〜60w/v%、望ましくは約5〜50w/v%、反応温度は10〜70℃、望ましくは約30〜60℃、反応pHは5〜10、望ましくは約7〜10、酵素活性は基質グラム当り1単位以上、望ましくは、50〜5,000単位の範囲から選ばれる。反応時間は、適宜選択できるが、経済性との関係で、バッチ反応の場合には、通常、5〜50時間の範囲が選ばれる。
なお上記の酵素活性単位は、タガトース 3- エピメラーゼ活性に対する酵素単位とし、次のようにして測定される。
すなわち、50mM トリス塩酸緩衝液(pH7 .5 )100 μl 、40mMD- タガトースを50μl および酵素液50 μl含む溶液(または懸濁液)を30 ℃で60分間インキュベートし、生成物であるD- ソルボースをHPLC により測定した。酵素活性1単位は1分間に1μmol のD- タガトースをエピマー化し、D- ソルボースを生成する酵素量とした。
このようにして変換させた反応溶液は、原料のデオキシケトースと新たに生成したデオキシケトース(原料のエピマー)とを含有しており、必要ならば、この濃縮液を、例えば、アルカリ金属型またはアルカリ土類金属型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより、新たに生成したデオキシケトースと原料デオキシケトースとを分離精製し、新たに生成したデオキシケトース高含有画分を濃縮し、シラップ状製品を得ることができる。また、結晶化が可能である場合には、晶出させて結晶状製品を得ることも有利に実施できる。また、この分離された原料のデオキシケトースを、再度、変換反応の原料に用いることもできる。
本発明で使用する異性化を触媒する酵素、1- または6- デオキシケトヘキソースと1- または6- デオキシアルドヘキソース間の異性化反応を触媒するアルドースイソメラーゼの種類は特に限定されないが、WO2004/063369または特許公開2006- 153591号記載のL- ラムノースイソメラーゼを好ましいものとして例示される。
WO2004/063369記載のL−ラムノースイソメラーゼは、「Pseudomonas stutzeri LL172」の培養液から得られるL−ラムノースから6−デオキシL−フラクトースへの異性化反応、ならびに、6−デオキシL−フラクトースからL−ラムノースへの異性化を触媒する酵素として知られる異性化酵素である。なお、菌株 Pseudomonas stutzeri LL172 は、日本国独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に2004年1月6日に国際寄託している(IPOD FERM BP-08593)
本酵素の性質は、以下の通りである。
(イ)作用pHおよび至適pH
作用pHは7.0〜10.0であり、至適pHは9.0である。
(ロ)pH安定性
種々のpHで4℃、1時間保持した場合、pH6.0〜11.0の範囲で安定である。
(ハ)作用温度および至適温度
作用温度は40〜65℃であり、至適温度は60℃である。
(ニ)温度安定性
40℃、10分では安定しており、50℃、10分でも90%以上残存している。
(ホ)キレート剤の影響
キレート剤であるEDTA、EGTAを活性測定時に共存させても、ほとんど活性は阻害されない。
(ヘ)金属イオンの影響
1mMのコバルトイオンにより約30%阻害される。
(ト)SDS−PAGE法による分子量
約43,000である。
本発明に使われるポリオールデヒドロゲナーゼ(ポリオール脱水素酵素)は、1- または6- またはD- またはL- デオキシケトヘキソースと対応するヘキソースの糖アルコール間の反応を触媒する酵素で、公知の酵素のものから選択できる。
本発明に使用されるアルドースレダクターゼとは、6- デオキシ D- またはL- アルドヘキソースと対応する糖アルコール間の酸化還元反応を触媒する酵素であり、公知のものが使える。
本発明において6- デオキシD- またはL- アルドヘキソース、または、1- または6- デオキシまたはD- またはL- ケトヘキソースを還元し対応する糖アルコールを製造する工程においては、化学的な還元反応を使用することもできる。
有機化学的な還元反応としては、ニッケル、ルテニウム、白金およびパラジウム等の、周期律表第8族の元素から選ばれる金属を含有する触媒の存在下、水素添加(接触還元)することによりなされる。
目的のデオキシヘキソースの製造には、上述の反応の組み合わせによりいずれのデオキシヘキソースからでも製造できるが、自然界に存在するL- フコースもしくは、L- ラムノースを出発原料として用いるのが、最も安価である。
上記により製造されたデオキシヘキソースは、特に代謝や生体信号に対する研究に対しての利用が期待されることから、化学品、医薬品や中間原料、研究試薬として好適であり、発酵用炭素源、飲食物、飼料、餌料、歯みがき、口中香錠、舌下錠、内服薬など経口摂取物の甘味付け、嗜好性向上などに有利に利用できる。また、医薬用物質の中間体として利用できる。
以下、幾つかの実施例により本発明の詳細を述べるが、これらの実施例により、本発明が限定されることはない。
[6- デオキシ L- プシコースのL- ラムノースからの生産]
L- ラムノースをL- ラムノースイソメラーゼを用いてL- ラムニュロース(6- デオキシL- フラクトースへ異性化し、それをD- タガトース3- エピメラーゼを用いてエピマー化することによって、6- デオキシL- プシコースを生産した。
[D- タガトース 3- エピメラーゼの調製]
Pseudomonas cichorii ST24株(FERM BP−2736)由来D- タガトース 3- エピメラーゼの遺伝子を大腸菌に形質転換し、組み換え大腸菌を培養して、D- タガトース 3- エピメラーゼを得た。
組換え大腸菌の大量培養後、得られた菌体を−80℃で冷凍保存した。冷凍保存された菌体を氷中に30分間放置し表面を解凍し、50mMトリス塩酸緩衝液pH8.0を用いて懸濁した。懸濁液200mLを超音波ホモジナイザー SONIFIER250(ブランソン株式会社)を用い、4℃に保ちながら6分間破砕した。これを2度繰り返した。この液を4℃、11500rpmで20分間遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粉砕したポリエチレングリコール♯6000を粗酵素液に重量に対して5%を、氷水浴中でマグネチックスターラーを用いて撹拌しながら徐々に添加し、添加後から1時間撹拌した。これを4℃、11500rpmで1時間遠心分離して上清を回収した。再びポリエチレングリコール♯6000を上清の重量に対して25%を、同様の操作で添加し、添加後から1時間撹拌した。これを4℃、11500rpmで1時間遠心分離して沈殿を回収した。この沈殿物に少量(菌体重量のおよそ5倍)の50mMトリス塩酸緩衝液pH8.0を加えて懸濁した。(これを、部分精製D- タガトース 3- エピメラーゼとした。)
[D- タガトース 3- エピメラーゼの活性測定]
D- タガトース 3- エピメラーゼの活性測定はD- タガトースを基質として反応を行い、生じたD- ソルボースの量をHPLC分析によって定量した。酵素反応は表1に示した組成で30℃、10、20、30分間反応させ、熱湯で2分間加熱することにより反応を停止し生じたD- ソルボース量を求め、1分間で1μmolのD- ソルボースを生産するD- タガトース 3- エピメラーゼ量を1U(単位)とした。
得られた部分精製D- タガトース 3- エピメラーゼの性質は以下の通りであった。
(1) 作用および基質特異性は、1- または6- デオキシまたはD- またはL- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応する1- または6- デオキシまたはD- またはL- ケトヘキソースを生成する。
(2) 至適pHおよびpH安定性pH7〜10に至適pHを有し、pH5〜10で安定。
(3) 至適温度および熱安定性60℃付近に至適温度を有し、50℃以下で安定。
[D- タガトース 3- エピメラーゼの固定化]
D- タガトース 3- エピメラーゼの固定化をキトパールBCW2510を用いて行った。まず、50mMトリス塩酸緩衝液pH8.0を用いてキトパール樹脂を洗浄し、冷蔵庫内で一晩放置して平衡化を行った。次に上述の部分精製したD- タガトース 3- エピメラーゼ200Uを1mL(湿重量約1g)のキトパール樹脂と混合し、時々撹拌しながら冷蔵庫内で2日間放置して酵素を固定化させた。同緩衝液にてキトパールを洗浄し、これを固定化酵素とした。
以下の実施例には、この固定化酵素を使って、デオキシケトヘキソースのエピマー化反応を実施した。
[L- ラムノースイソメラーゼの製造]
[L- ラムノースイソメラーゼの特性]
Pseudomonas stutzeri LL172(IPOD FERM BP-08593)由来L- ラムノースイソメラーゼの遺伝子を大腸菌に形質転換し、組み換え大腸菌を培養して、L- ラムノースイソメラーゼを得た。
組換え大腸菌の大量培養後、得られた菌体を−80℃で冷凍保存した。冷凍保存された菌体を氷中に30分間放置し表面を解凍し、10mMトリス塩酸緩衝液pH9.0を用いて懸濁した。懸濁液200mLを超音波ホモジナイザー SONIFIER250(ブランソン株式会社)を用い、4℃に保ちながら6分間破砕した。これを2度繰り返した。この液を4℃、11500rpmで20分間遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粉砕したポリエチレングリコール♯6000を粗酵素液の重量に対して5%を、氷水浴中でマグネチックスターラーを用いて撹拌しながら徐々に添加し、添加後から1時間撹拌した。これを4℃、11500rpmで1時間遠心分離して上清を回収した。再びポリエチレングリコール♯6000を上清の重量に対して25%を、同様の操作で添加し、添加後から1時間撹拌した。この沈殿物に少量(菌体重量のおよそ5倍)の10mMトリス塩酸緩衝液pH9.0を加えて懸濁した。(これを、部分精製L- ラムノースイソメラーゼとした。)
[L- ラムノースイソメラーゼの活性測定]
L- ラムノースイソメラーゼの活性測定はL- ラムノースを基質として反応させ、生じた6- デオキシL- フラクトースの量をシステインカルバゾール法によって定量した。酵素反応は表2に示した組成で30℃、10分間反応させ、反応の停止は10%のTCA(トリクロロ酢酸)を50μl加えて行った。システインカルバゾール法は表3に示したように酵素反応後のサンプル0.5mlに1.5%システイン溶液100μL、70%硫酸3mlを順次加えた後、撹拌して水中に置き、0.12%カルバゾール溶液100μLを加え撹拌して、35℃で20分間反応させた。反応終了後、紫外可視分光光度計 V530(日本分光株式会社)を用いて、540nmの吸光度を測定した。なお、1分間あたりに1μmolの6- デオキシL- フラクトースを生産する酵素量を1Uと定義した。
部分精したL- ラムノースイソメラーゼの性質を以下のとおりであった。
(1)L- ラムノースと6- デオキシ L- フラクトースの異性化反応を触媒する。
(2)6- デオキシ L- プシコースと6- デオキシ L- アルトロースの反応を触媒する。
(3)温度安定性は40℃以下で、最適温度は60℃である。pH7.0〜9.0で安定であり、最適pHはpH9.0である。
[L- ラムノースイソメラーゼの固定化]
L- ラムノースイソメラーゼの固定化にはキトパールBCW2510を用いた。まず、10mMトリス塩酸緩衝液pH9.0を用いてキトパール樹脂を洗浄し、冷蔵庫内で一晩放置して平衡化を行った。次に部分精製したL- ラムノースイソメラーゼ50Uを1mL(湿重量約1g)のキトパール樹脂と混合し、時々撹拌しながら冷蔵庫内で2日間放置して酵素を固定化させた。同緩衝液にてキトパールを洗浄し、これを固定化酵素とした。
[固定化L- ラムノースイソメラーゼによるL- ラムノースの異性化]
L- ラムノースをBrix30%になるように調製し、その溶液250mLを500mL容量の三角フラスコに移した。そこに固定化L- ラムノースイソメラーゼを100mL(5000U相当)と1M トリス塩酸緩衝液pH9.0を5mL(終濃度約10mM)添加し、42℃、120rpmの条件で撹拌しながら反応した。1時間毎に反応液10μL採取し、290μLの水で希釈(30倍希釈)し、熱湯で2分間加熱し酵素を失活させた後、12000rpmで5分間遠心して上清を回収した。それに脱塩樹脂(IRA411:SKIB=2:1の割合で混合し乾燥させたもの)少量添加して転倒混和した。1時間後、この液を0.45μmのフィルターを用いてろ過し、HPLCに供した。反応の平衡比はL- ラムノース55%、6- デオキシL- フラクトース45%であった(図9)。また、反応が平衡に達するまでに必要な時間は約10時間であった。平衡に達した溶液のHPLC分析結果を示した(図10)。
[D- タガトース 3- エピメラーゼによる6- デオキシL- フラクトースの異性化(エピマー化)]
L- ラムノースと6- デオキシL- フラクトースの混合糖液をBri×30%、250mLになるように調製し、500mL容量の三角フラスコに移した。そこに固定化D- タガトース 3- エピメラーゼ25mL(5000U相当)と1M トリス塩酸緩衝液pH8.0を40mL(終濃度約50mM)添加し、42℃、120rpmの条件で撹拌しながら反応させた。
1時間毎に反応液10μL採取し、290μLの水で希釈(30倍希釈)した。熱湯で2分間加熱した後、12000rpmで5分間遠心して上清を別のエッペンドルフチューブに移す。それに少量の脱塩樹脂(IRA411:SKIB=2:1の割合で混合し乾燥させたもの)を添加して転倒混和した。1時間後、この液を0.45μmのフィルターを用いてろ過し、HPLCに供試した。平衡比はL- ラムノース55%、6- デオキシL- フラクトース36%、6- デオキシ L- プシコース9%であった(図11)。また、反応が平衡に達するまでに必要な時間は約96時間であった。平衡に達した溶液のHPLC分析結果を示した(図12)。
[6- デオキシ L- プシコースの分離]
異性化反応後、ろ過により固定化酵素を除去した。脱塩樹脂(IRA411(40mL)とSKIB(20mL))を混合してオープンカラムに充填し、少しずつ糖液を流し込んで脱塩を行った。脱塩後、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。その後、0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ろ液をBri×30%に調製した。ワンパス方式クロマト分離装置を用いて6- デオキシ L- プシコースを分離した(表4)。分離後、各タンクの溶液をHPLC分析した結果を図13に示した。また、L- ラムノースからの理論上の収量はおよそ8%であった。図13はワンパスカラムを用いた分離の図であり、タンクAはほとんど糖はなく、タンクBにはL- ラムノースとL- ラムニュロース、タンクCは少量の6- デオキシL- フラクトース、タンクDには、6- デオキシL- フラクトースが主に溶出され、純粋に分離できている。すなわち、ピークは、tankAは極少量のL- ラムノースとL- ラムニュロース、tankBはL- ラムノースとL- ラムニュロース、tankCは少量の6- デオキシL- フラクトース、tankDは6- デオキシL- フラクトースである。










[6- デオキシ L- プシコースの構造解析]
20〜30mg(13C-NMR用)および10〜15mg(1H-NMR)の6- デオキシ L- プシコースをエッペンドルフチューブに入れ、600μL の重水を添加した。チューブの口をパラフィルムで覆い、爪楊枝で3箇所ほど開け、ディープフリーザーで凍結させた。これを凍結乾燥し、再び600μLの重水を添加し、凍結乾燥した。乾燥後、予めTSP(3- methylsilyl propionic 2,2,3,3- d4 acid)を1%になるように調製した600μLの重水を添加して溶解した。これをNMRのガラス管に入れて測定を行った。参考資料としてL- ラムノースおよびD- プシコースも分析した。それぞれの13C-NMRシフトを帰属し、互変体の構造を表5、表6および表7に示した。この表の空欄はシフトが存在しなかったことを示しす。これらのことから、6- デオキシ‐L- プシコースの生成が確認され、6- デオキシ‐L- フラクトースと6- デオキシ‐L- プシコースの平衡比は、80:20であった。
[6- デオキシL- アルトロースの6- デオキシ L- プシコースからの生産]
実施例1で得た6- デオキシ L- プシコースを基質として、L- ラムノースイソメラーゼを用いて異性化することによって、6- デオキシL- アルトロースを生産した。
L- ラムノースイソメラーゼは実施例1と同様に精製した。
[固定化L- ラムノースイソメラーゼを用いたバイオリアクターによる6- デオキシ L- プシコースの異性化]
固定化L- ラムノースイソメラーゼ150mL(7500U相当)をジャケット付カラムに充填し、ジャケットに42℃の水を流して保温した。そこにBrix2%となるよう調製した6- デオキシ L- プシコースを0.5mL/minの速さで下から上に流した。なお、基質には1M トリス塩酸緩衝液pH9.0を終濃度約10mMになるよう予め添加した。平衡比は6- デオキシ‐L- プシコース94%、6- デオキシ L- アルトロース6%であった。平衡に達した溶液のHPLC分析結果を示した(図14)。6- デオキシ L- プシコースと6- デオキシ L- アルトロースの平行比は94:6であった。
[6- デオキシ L- アルトロースの分離]
異性化反応後、ろ過することで固定化酵素を除去した。脱塩樹脂(IRA411(40mL)とSKIB(20mL))を混合してオープンカラムに充填し、少しずつ糖液を流し込んで脱塩を行った。脱塩後、ロータリーエバポレーターにて濃縮後、0.22μLのフィルターを用いてろ過し、ろ液をBri×30%に調製した。ワンパス方式クロマト分離装置を用いて6- デオキシ L- アルトロースを分離した。L- ラムノースからの収量はおよそ0.48%であった。
[6- デオキシ L- アルトロースの構造解析]
20〜30mg(13C-NMR用)および10〜15mg(1H-NMR)の6- デオキシ L- アルトロースをエッペンドルフチューブに入れ、600μLの重水を添加した。これを凍結乾燥し、再び600μLの重水を添加し、凍結乾燥した。乾燥後、予めTSP(3- methylsilyl propionic 2,2,3,3- d4 acid)を1%になるように調製した600μLの重水を添加して溶解した。これをNMRのガラス管に入れて測定を行った。参考資料としてD- アルトロースも供試した。6- デオキシ L- アルトロースの互変体はα-、β-ピラノースおよびα-、β-フラノースの4種類であると推測された。それぞれの13C-NMRシフトを帰属し、互変体の構造を表8と表9に示した。これらのことから、6- デオキシ‐L- アルトロースの生成が確認された。
[L- ラムノース(6- デオキシ L- マンノース)の還元反応による6- デオキシL- マンニトールの製造]
6- デオキシL- マンノースを化学反応によって、6デオキシL- マンニトールを生産した。
[ラネーニッケルを触媒とした還元反応]
50%ラネーニッケル(和光純薬工業(株)製)10gに対し、20%NaOH水溶液を100g添加した。添加後90℃、1時間の加温を行った。気泡の発生が止まったことを確認した後、デカンテーションにより蒸留水で触媒を洗浄した。洗浄は、洗浄液がpH9.2になるまで行った。
撹拌器、温度計を備えた1Lガラスオートクレーブに、100gの6- デオキシ L- マンノースを含む水溶液300gに上記の方法により得られたラネーニッケル24gを加えたものを添加した後、さらに水を加えて全反応液量を600gに調整した。その際、反応液のpHを7に調整するため、炭酸カルシウムを添加した。50℃に温度を、12kg/cm(ゲージ圧)に水素圧を、700rpmに攪拌速度を保ち反応を行った。反応液の分析はHPLCを用いて行った。その結果、8時間の反応で6- デオキシ L- マンノースは1%まで減少がみられ、6- デオキシ L- マンニトールを生産することができた。
[1-デオキシL−マンニトールの酸化による1-デオキシL−フラクトースの生産]
エンテロバクター・エアロジェネスIK7を用いる微生物反応によって、実施例3で調製した1−デオキシL−マンニトールを酸化し1-デオキシL−フラクトースを生産した。
上記菌株は、香川県木田郡三木町を流れる河川土壌から単離されたものである。
本菌株から抽出された16SrRNAを配列決定し、他の微生物から得た既知の複数の16SrRNAと比較した。このデータはEnterobacter aerogenesからの配列に対し99%の同一性を示した。このエビデンスならびに下記のその他の生理学的特徴に基づき、本菌株がEnterobacter aerogenesに該当するものであるとの結論を得た。なおDNA断片の塩基配列の決定は、公知の方法、例えば、サンガー法(Molecular Cloning、第2巻、13.3頁、1989年)、PCRをベースにした方法等によって行うことができる。
通常は、Beckman Coulter社のGenomeLab DTCS Quick Start Kit(蛍光ダイデオキシタミネーターを含有するシークエンシングキット)等を使って反応を行い、Beckman Coulter社の自動シークエンサー(CEQ 8000等)で塩基配列を決定する。
[生理学的特徴]
グラム染色 陰性
運動性 なし
生育温度 37度(4〜40まで生育可能、37度が望ましい)
酸素要求性 通性嫌気性であるが酸素を供する形態が望ましい
形状 桿菌
ウレア分解性 陰性
オルニチン デカルボキシラーゼ 陽性
生育状態コロニー 円形、凸状、乾燥、透明、クリーム白色
[培地]
(培養のpHは例えば5〜9であり、好ましくは6〜8.5である。培養は振とうあるいは通気撹拌などの好気条件下で行う。)
1.TSB(トリプティック ソイ ブロース)培地 1〜2%
TSB:Becton, Dickinson Company製
2.肉エキス培地
(肉エキス(和光純薬工業(株)製)0.5%、ポリペプトン(和光純薬工業(株)製)0.5%、塩化ナトリウム0.5%、pH7.0)
3.酵母エキス培地
(酵母エキス(和光純薬工業(株)製)0.5%、ポリペプトン0.5%(和光純薬工業(株)製)、塩化ナトリウム0.5%、pH7.0)
寒天培地の場合は寒天を終濃度2%添加する。
本発明者らが単離したIK7株は、Enterobacter属に属する新規微生物であり、日本国独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8に2006年10月19日に受託番号(NITE P-L- フコース)として国内寄託されている。その後、原寄託(NITE P-271)を上記の原寄託をした国際寄託当局に移管請求をし、2007年3月22日に該国際寄託当局より原寄託についての受託証(NITE BP-271)が発行された。
[ 糖アルコール脱水素酵素を含む菌体の製造]
滅菌した液体培地(2%TSB(trypsin soy broth:Becton Dickinson company)をベースとし炭素源として1%D- マンニトール)にエンテロバクターエアロジェネスIK7を植菌し、37℃、24時間、120rpmで振とう培養して糖アルコール脱水素酵素を多く含む微生物菌体を製造した。
培養終了後、遠心分離し、回収した菌体を適当量の一次交換水で2回洗浄したのちに50mMTris-HCl (pH9.0)緩衝液で適当量に懸濁した。(これを糖アルコール脱水素酵素を含む菌体溶液)とした。
調製した糖アルコール脱水素酵素活性を有する菌体溶液を用いて1- デオキシL- マンニトールから1- デオキシ-L- フラクトースを製造した。
L字管(容量30ml)に50mMTris-HCl (pH9.0)緩衝液と糖アルコール脱水素酵素を含む菌体溶液(最終菌体濃度は、吸光度600nmの値がOD値で20)と1- デオキシL- マンニトール(最終濃度10%)を吸光度600nmの値がOD値で50になるように調整し、37℃に保温して、好気条件になるように、軽く振とうした。生成物の確認は得られる反応液を遠心分離して不溶物を除去し、上清を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
18時間で最高の1- デオキシ-L- フラクトースが得られ、1- デオキシL- マンニトールの約80%の1- デオキシ-L- フラクトースが得られた。
[1- デオキシL- フラクトースからD- タガトース3- エピメラーゼによるエピマー化による1- デオキシL- プシコースの生産]
D- タガトース3- エピメラーゼを用いて、実施例4で調製した1- デオキシL- フラクトースから1- デオキシL- プシコースを生産した。
D- タガトース3- エピメラーゼは実施例1と同様の方法で調製した。
1- デオキシL- フラクトースは実施例4と同様にして調製したものを用い、そのエピ化反応は同様に実施例1の方法で行った。
[生産物である1- デオキシL- プシコースの構造解析]
反応液を実施例1ど同様のHPLC分析によって、1- デオキシL- フラクトースから1- デオキシL- プシコースが生産されていることを確認できた。
クロマトグラフィーを用いて得たサンプルを、NMRを用いてその構造を確認した。標準となる1- デオキシD- プシコースの13C NMR およびプロトンNMRを用いて測定した。一般に糖のD型とL型とのNMRは一致する。測定の結果同一であったことから、生産物が1- デオキシL- プシコースであることを確認した。
この結果は1- デオキシケトヘキソースをD- タガトース3- エピメラーゼが基質とすることを示している。
[1- デオキシD- プシコースの6- デオキシL- プシコースからの生産]
6- デオキシL- プシコースは実施例1で示したように、L- ラムノースから生産した。それを還元し6- デオキシL- アリトールへと変換し、それを酸化することで、1- デオキシD- プシコースを生産した。
6- デオキシL- プシコースを化学還元し、6- デオキシL- アルトリトールと6- デオキシL- アリトールを生産した。それを各種糖質の分離に用いているカルシウムイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィーを用いて分離した。この方法によって6- デオキシL- アリトールを得た。
6- デオキシL- アリトールを実施例4と同様の微生物を用いることで1- デオキシD- プシコースへ酸化した。
[構造解析]
生産物である1−デオキシD−プシコースの構造を化学合成した1- デオキシD - プシコースと13C NMRおよびプロトンNMRを測定し、比較した。その結果を図15,16に示した。
図15の上が化学合成した1- デオキシD- プシコースの13C NMRスペクトルであり、下が本実験で生産した1- デオキシD- プシコースの13C NMRスペクトルである。このように完全に一致している。
[1- デオキシD- フラクトースの1- デオキシD- プシコースからの生産]
実施例6で生産した1- デオキシD- プシコースを基質として、D- タガトース3- エピメラーゼを用いて1- デオキシD- フラクトースを生産した。
1- デオキシD- プシコースを基質として、実施例1と同じ方法で生産したD- タガトース3- エピメラーゼを用いて3位をエピメー化した。反応生産物を上述のクロマトクロマトグラフィーを用いて分離し、純粋な標品を得た。
[構造決定]
化学合成した1- デオキシL- フラクトースと生産物とをNMRスペクトルを測定して比較した。化学合成した1- デオキシD- フラクトースは容易に得られないので、1- デオキシD- プシコースを比較対象とした。D- 型糖とL- 型糖とはNMRは一致するので、比較する標準物質としては用いることが可能である。
図17において、上は1- デオキシL- フラクトースの13C NMRであり、下が本実験で生産した1- デオキシD- フラクトースの13C NMR である。
図18には、上は1- デオキシL- フラクトースのプロトンNMRであり、下が本実験で生産した1- デオキシD- フラクトースのプロトン NMR である。完全に一致している。
[1−デオキシD−タガトースから1−デオキシD−ソルボースの生産]
化学合成した1−デオキシD−タガトースを基質として、D−タガトース3−エピメラーゼを用いて1−デオキシD−ソルボースを生産した。
実施例1と同様の方法で生産したD- タガトース3- エピメラーゼを、化学合成した1- デオキシD- タガトースに常法に従って反応し生産物をクロマトグラフィーによって確認した。その結果、1- デオキシD- ソルボースと1- デオキシD- タガトースのピークが確認され、分離することで生産可能であった。
[6- デオキシL- ソルボースのL- フコース(6- デオキシL- ガラクトース)からの生産]
L- フコース(6- デオキシL- ガラクトース)をD- アラビノースイソメラーゼを用いて6- デオキシL- タガトースへ異性化し、さらにそれをD- タガトース3- エピメラーゼを用いてエピマー化することで6- デオキシL- ソルボースを生産した。
L- フコース(6- デオキシL- ガラクトース)を基質としてKlebsiella pneumoniae ST. 40BXX の生産するD- アラビノースイソメラーゼを用いて反応した。HPLCで分析した結果、10%の6- デオキシL- ガラクトースが6- デオキシL- タガトースへ変換して平衡に達した。その平衡混合物から6- デオキシL- タガトースを常法どおりのクロマトグラフィーを用いて純粋な標品を得た。
6- デオキシL- タガトースを基質とし、実施例1と同様の方法で調製したD- タガトース3- エピメラーゼを用いて酵素反応を行った。その結果6- デオキシL- タガトースの約80%が6- デオキシL- ソルボースへ変換された時点で平衡混合物が得られた。
[生物化学的反応を用いた1- デオキシおよび6- デオキシD- タガトースのL- フコース(6- デオキシL- ガラクトース)およびその鏡像体であるD- フコース(6- デオキシD- ガラクトース)からの生産]
まず、L- フコースおよびD- フコースを出発原料とし、ラネーニッケルを用いた化学的還元法(圧力1.2Mpa、撹拌700rpm、温度50℃)により、それぞれから6- デオキシL- ガラクチトールおよび6- デオキシD- ガラクチトールを得た。次にガラクチトールを酸化しD- タガトース生産能を有するエンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans) 221e 株(FERM BP−4700)〔培地:エリスリトール1.0w/v%、酵母エキス0.5w/v%、ポリペプトン0.5w/v%、食塩0.5w/v%及びグリセロール1.0w/v%からなる液体培地(pH7.0)で30℃で培養し、集菌し洗浄したもの〕を用いてそれぞれのデオキシ糖アルコールを基質に洗浄菌体反応〔菌体反応組成物:菌体40(OD600)、Tris-HCl 緩衝液(pH8.0)50mM、基質1%)〕で行った(特開平08-056659号公報参照)。
HPLC分析の結果より、本菌は、6- デオキシL- ガラクチトールを酸化し1- デオキシD- タガトースに転換し、6- デオキシD- ガラクチトールを酸化し6- デオキシD- タガトースに転換できることがわかった。
本菌株を用いた6- デオキシL- ガラクチトールおよび6- デオキシD- ガラクチトールの酸化した結果より、1位、6位のメチル基の存在にかかわらず糖構造を認識し転換を行うことができ、優先的にD体のタガトースへと転換することがわかった。
[反応生産物の精製]
反応混合物を脱イオン、脱色、濾過、蒸発を経て結晶を得た。
[生産物である1- デオキシD- タガトースの構造解析]
HPLC分析によって、6- デオキシL- ガラクチトールから1- デオキシD- タガトースが生産されていることを確認できた。その結果を図19に示した。
得られたサンプルを、NMRを用いてその構造を確認した。その結果を図20に示した。
[生産物である6- デオキシD- タガトースの構造解析]
HPLC分析によって、6- デオキシD- ガラクチトールから6- デオキシD- タガトースが生産されていることを確認できた。その結果を図21に示した。
得られたサンプルを、NMRを用いてその構造を確認した。その結果を図22に示した。
本実施例の生物化学的反応を用いた1- デオキシおよび6- デオキシD- タガトースのL- フコース(6- デオキシL- ガラクトース)およびその鏡像体であるD- フコース(6- デオキシD- ガラクトース)からの生産は化1および化2によってその反応が示される。
[生物・化学的手法による1- デオキシD- プシコースのL- ラムノースからの生産]
まず、図23に示すように、6- デオキシL- プシコースをL-ラムノースからL-ラムノースイソメラーゼおよびD-D- タガトース 3- エピメラーゼを用いて調製した(日本農芸化学学会2007粘度大会)。これに高圧条件下でニッケル触媒を用いて水素添加した結果、1-デオキシD-アリトール(6-デオキシーL-アリトール)と、1-デオキシD-タリトール(6-デオキシーL-タリトール)の混合物が得られた(図24、図26)。この混合物を基質としてエンテロバクター属菌体IK7(NITE BP-271)による菌体反応を行ったた(図25、図27)。その結果、1-デオキシD-アリトールのみが選択的に1- デオキシD- プシコースへと酸化された。エンテロバクター属菌体IK7による両基質総量の減少はほとんど無く、1- デオキシD-アリトールからの1- デオキシD- プシコース生産率は約90%であった。この反応物を分離した結果、1- デオキシD- プシコースと1- デオキシD- タリトールをそれぞれ純品として得た。得られた6- デオキシL- プシコースの結晶の写真を図28に示す。生産物の同定は化学合成した1- デオキシD- プシコースと比較し、両者の13CNMRスペクトル(図29)および旋光度が一致したことにより確認した。
旋光度[α]20 (conc.1.00%,H2O)
標準(authentic) +1.0
生成物 +1.1
なお、標準(authentic)は、文献(Jones,N.A. and et al. Synthesis of and NMR studies on the four diasteromeric 1-deoxy-d-ketohexoses.,Tetrahedron:Asymmetry(2007))に依る。
[6-デオキシL-グルコースおよび6-デオキシL-フラクトースの生産]
L- ラムノース(10% wt/volume)をラネーニッケル触媒の存在下、温度50℃、圧力1.2Mpaで完全に還元し、6-デオキシL-マンニトールを生産した。得られた6-デオキシL-マンニトールを基質として6-デオキシL-フラクトースを製造した。新しく分離したエンテロバクター sp.230Sが6-デオキシL-マンニトールの第2炭素で選択的酸化し6-デオキシL-フラクトースにするのに用いられた。微生物はD-ソルビトール(0.8% wt/volume)およびグリセロール(0.2% wt/volume)を加えた鉱物塩培地で温度30℃、300rpmで撹拌下、24時間培養した。培養物は12000rpmで30分遠心分離して集菌し、50mM Tris-HCl 緩衝液(pH10)で2回洗浄した。洗浄した菌体は同一の緩衝液に懸濁させて6-デオキシL-マンニトールから6-デオキシL-フラクトースへの転換に用いた。反応は、菌体OD(600nm)、操作用量、撹拌速度、空気流速、および温度がそれぞれ、40,0.5l,200rpm,0.2liter/min および30℃を用いて、5lバイオリアクター(ABLE DPL-2,Japan)の中で種々の基質濃度で行った。
本発明らはすでにK.pneumonia 40bXX がL-フラクトースからL-グルコースへの転換を触媒することを発表している。同様の方法で6-デオキシL-フラクトース(前段階の生産物)から6-デオキシL-グルコースを製造することを試みている。K.pneumonia 40bXXは、MnCl(1mM)を補ったポリペプトン0.5w/v%、酵母エキス0.5w/v%、食塩0.5w/v%を含有する培地で培養した。24時間インキュベーションの後、菌体は1200xgで10分間遠心分離して回収した、回収した菌体は50mM グリシン-NaOH緩衝液(pH9.0)で2回洗浄し、1200xgで10分間遠心分離した。洗浄した菌体はモーターで破壊し、活性化されたアルミナを加えてすりつぶして粗酵素を得る。部分精製した酵素D-AI(400U)があらかじめ50mM グリシン-NaOHでつり合わされ、反応に使われるChitopearl BCW 2510 の30g(湿った重量) に固定される。転位反応は40℃で、1%6-デオキシL-フラクトース、固定化D-AI(40U)、50mM Tris-HCl 緩衝液(pH9.0)およびMnCl(最終濃度:1mM)を含有するL-チューブの中で行われた。
[分離方法]
6-デオキシL-マンニトールの場合、転換率として100%に近く、それゆえ、分離工程は反応混合物から濾過でラネーニッケルを除くだけである。
6-デオキシL-フラクトースは、230Sの残りの菌体を用いて、6-デオキシL-マンニトールを酸化して製造された。表面に浮かんだものは一昼夜活性炭素で処理し、最終的には活性炭はセルロースフィルターを通過させる吸引濾過により取り除かれた。濾液はDiaion SK1B(H型)およびアンバーライトIRA-411(CO3 2-型)の混合物で脱イオン化した。濾液の容量は回転真空エバポレーターに丁度良い量であり、そして濃縮された濾液はCa2+型のDowex 50W-X2 カラムに適応された。カラムは蒸留水で溶離され、溶離された画分は集められ、HPLC分析をした。
[同定]
6-デオキシL-マンニトールおよび6-デオキシL-フラクトースはHPLC分析(図30)、旋光度測定、および13C NMR 測定により同定された。
精製された6-デオキシL-フラクトースのHPLC分析結果を図30に示した。また、生産された6-デオキシL-フラクトースの旋光度は+12.9、文献で報告されている公知の旋光度は+13.6。また、生産された6-デオキシL-フラクトースの13C NMRは標準の6-デオキシL-フラクトースと完全に一致している(図31)。
[結果]
6-デオキシL-マンニトールは6-デオキシL-マンノースの化学還元で容易に製造することができる。6-デオキシL-マンノースは99%に近い生産率で完全に6-デオキシL-マンニトールに変換する。6-デオキシL-マンニトールの初期濃度が3%、4%および5%の時それぞれ、6-デオキシL-マンニトールのほとんど90%、70%および65%が洗浄菌体反応を用いて6-デオキシL-フラクトースおよび1-デオキシL-フラクトースを生産する。
反応混合物の中の6-デオキシL-フラクトースの1-デオキシL-フラクトースに対する最終の割合は約8:2であった。バイオリアクターの中で、約10時間で、6-デオキシL-マンニトール(30g/l)は6-デオキシL-フラクトースおよび1-デオキシL-フラクトースを生産するのに完全に使い果たされ、種々の精製工程経て、6-デオキシL-マンニトールからの6-デオキシL-フラクトースの最終生産率は約50%である。
固定化D-アラビノースイソメラーゼによる6-デオキシL-フラクトースの6-デオキシL-グルコースへの異性化の場合、6-デオキシL-グルコースのHPLCピークは酵素の非常に低い活性のために、検出できなかった。そして、それゆえ6-デオキシL-グルコースの分離および同定は今回は行わなかった。
6-デオキシL-フラクトースは6-デオキシL-マンノースから、L-ラムノースイソメラーゼを用いても製造することができる。しかし、等量混合物のHPLCピークが重なっているために、6-デオキシL-フラクトースおよび6-デオキシL-マンノースの分離は全く困難であり現実的でない。本実験では6-デオキシL-マンノースからの6-デオキシL-フラクトースを、化学的方法および生物化学的方法を結合して使用することで約50%の生産率で製造し精製することができた。
[L-ラムノースから6-デオキシL-マンニトールおよび1-デオキシL-フラクトースを経由して1-デオキシL-プシコースの新規な生物化学的製造方法]
[原料および方法]
[試薬など]
L-ラムノースおよび他の生化学製品はSigma Chemical Co.(MO,USA)および和光純薬工業(株)(大阪、日本)から、すべて試薬グレードが保証されたものを購入した。L-ラムノースの酸化に使用した50mM tris-HCl 緩衝液は、1.0N HClでpH9.0にしたトリス(ハイドロオキシメチル)アミノエタン HNC(CHOH) から調製した。L-ラムノース水素添加はTEM-1000M水素添加装置(Taitasu Techno Co.Ltd,Japan)の中で行われた。微生物の培養および酸化反応はTAKASUGI SEISAKUSHO Co.Ltd.からのバイオリアクター(TS-M-15L発酵槽およびTS-M-5L発酵槽)の中で行われた。反応混合物中のポリオール酸化およびケトース蓄積は紫外可視分光光度計(U.V.-1700 pharmaspec 島津製作所、京都)を用いるNelson-Somogyi法により決定される。13C NMR スペクトル(Burker AMX500,126MHz)は初期標準としてアセトンを用いてDOの中で記録される。旋光度は1dm. の経路長さの脱イオン化されたHO旋光計の中で20℃でJasco R1030 旋光計,Naランプ(Jasco 東京 日本)の上で記録される。濃度はg100mL-1までで使用される。生産物は高感度液体クロマトクラフィ(Hitach GL-611 colum,Tokyo,JapanおよびShimadzu RID-6A refractive index detector,Kyoto<Japan)により600℃で分析され、10-4M NaOHで流速1.0ml/minで溶離させた。
[L-ラムノースの6-デオキシL-マンニトールへの化学的還元]
ラネーニッケル(触媒)が水(300ml中のL-ラムノース(50g)の溶液に加えられた;反応は全量500mlにして1.2MPa水素圧下にある反応容器に入れて行われた。それから反応容器は50℃に8時間加熱され、L-ラムノースを6-デオキシL-マンニトールへにする。
[6-デオキシL-マンニトールの1-デオキシL-フラクトースへの酸化]
エンテロバクター属菌体IK7(NITE BP-271)が6-デオキシL-マンニトールの1-デオキシL-フラクトースへの生物化学的転換に使用する。菌株は菌体反応で1-デオキシL-フラクトースを生産するために、1%のD-マンニトールを添加した2%TBS培地、37℃で培養した。転換反応は5.0Lバイオリアクターの中で37℃で撹拌速度120rpm、空気流速0.5l/minで12時間行われた。反応混合物の組成物は以下の通りであった:50g(5% w/v)1-デオキシL-マンニトール、菌体密度50(A600)洗浄菌体がtris-HCl緩衝液(1000ml,50mM, pH9.0)に懸濁された。
[1-デオキシL-フラクトースの1-デオキシL-プシコースへの異性化]
Pseudomonas cichorii ST24株(FERM BP−2736)由来のD- タガトース 3- エピメラーゼ(D-TE)が1-デオキシL-フラクトースの1-デオキシL-プシコースへの異性化に用いられた。組換え大腸菌より得られたD-TEは部分精製しバイオリアクタを構築するためにキトパールBCW2510を用いて固定化を行った。tris-HCl緩衝液(1000ml,50mM, pH7.5)に溶解した1-デオキシL-フラクトース(5%)はバイオリアクターに42℃で流した。
[分離方法]
各工程で得られた表面に浮かんだものは活性炭で処理し脱色され、処理された活性炭を取り除くために濾過された。濾液はDiaion SK1B(H型;三菱化学、東京)およびアンバーライトIRA-411(CO3 2-型Muromachi Tecynos、東京)イオン交換樹脂の混合物で脱イオン化した。脱イオン化したものは40℃で蒸発され、濃縮された。濃縮後、混合物は2つのポンプで結合した8カラムからなり、各カラムには2.5LのUKB-555イオン交換樹脂(Ca2+)型、三菱化学、東京)が充填さている、ワンパス分離システムにより分離された。分離された画分は50%まで濃縮され、濃縮物は結晶化のためデシケータの中で保持された。
[同定]
各工程で得られた生成物は、HPLC分析、旋光度測定、および13C NMR 測定により同定された。
生産された1-デオキシL-プシコースの13C NMRスペクトルを図32に示した。また、生産された1-デオキシL-プシコースの旋光度は下記の通りであった。
旋光度 1-デオキシL-プシコース(p) -1.0
1-デオキシD-プシコース +1.15
[結果]
L-ラムノースの6-デオキシL-マンニトールへの化学的還元
水中のL-ラムノースは、10%w/vのL-ラムノースが基質に使われた時、ニッケル触媒を用いて1.2MPaの圧力、50℃で、水素添加により収率100%でL-ラムニトールになる。この方法はいかなる分離方法も必要でない。図33にHPLC分析結果を示す。
6-デオキシL-マンニトールの1-デオキシL-フラクトースへの酸化
エンテロバクター属菌体IK7(NITE BP-271)により菌体反応で6-デオキシL-マンニトールは5%w/vの6-デオキシL-マンニトールが基質に使われた時、酸化されて収率90%で1-デオキシL-フラクトースになる。1-デオキシL-フラクトースは上記の下方法で分離される。図34にHPLC分析結果を示す。
1-デオキシL-フラクトースの1-デオキシL-プシコースへの異性化
1-デオキシL-フラクトースは、5%w/vの1-デオキシL-フラクトースが基質に使われた時、バイオリアクターの中の固定化D-TEにより、収率25%で1-デオキシL-プシコースに異性化された。図35にHPLC分析結果を示す。
[結論]
L-ラムノースから6-デオキシL-マンニトールおよび1-デオキシL-フラクトースを経由して1-デオキシL-プシコースの新規な生物化学的製造方法は図36で示される。
[実験結果が示す成果のまとめ]
(1)D- タガトース3- エピメラーゼは全ての1- および6- デオキシケトヘキソースの3位をエピマー化することを示している。
(2)6- デオキシアルドースはアルドースイソメラーゼの基質となり、対応する6- デオキシアルドースを生産することが可能である。
(3)1- あるいは6- デオキシのD- あるいはL- ケトヘキソースを還元することで、対応する1- あるいは6- デオキシの炭素数6の糖アルコールを生産することが可能である。また6- デオキシアルドースを還元することで、6- デオキシ糖アルコールを生産可能である。
(4)1- あるいは6- デオキシ糖アルコールを基質として用いて、微生物を用いる酸化反応によって、それぞれ対応する1- あるいは6- デオキシケトヘキソースを生産可能である。
[全デオキシヘキソースの生産戦略デオキシイズモリングの構築]
上記の成果(1)〜(4)を用いることで、全デオキシヘキソースの生産戦略としてデオキシイズモリングを構築することができた。(図1〜3)
図中に示される大きなリングは、8種全ての1- デオキシケトースおよび8種全ての6- デオキシケトヘキソースがD- タガトース3- エピメラーゼによって対応するデオキシヘキソースと連結され、2種のデオキシケトヘキソースが8グループとして配置されている。それぞれのグループを酸化およに還元という反応として共通の生産物および基質となる、1- および6- デオキシヘキシトールが連結している。その原理を図1の下に摘記して示す。
摘記したものは、左からL- ラムノース(6- デオキシL- マンノース)を異性化して生産される6- デオキシL- プシコースをD- タガトース3- エピメラーゼによって6- デオキシL- プシコースへエピマー化する(実施例1)。それを化学的還元反応で6- デオキシグルシトールへ還元し、これは上下を逆にすると1- デオキシグリトールと同一である。その1- デオキシグリトールを酸化することで1- デオキシD- ソルボースを生産できる。さらに1- デオキシD- ソルボースをD- タガトース3- エピメラーゼによって1- デオキシD- タガトースが生産できる(実施例8)。これは一例を示しており、大きなリングはこの方式を繰り返すことで全体が連携できることを示している。この原理によって全ての1- および6- デオキシの16種類のケトヘキソースが生産できる基本骨格ができあがっている。
また、この周囲には16種類の全ての6- デオキシケトヘキソースが6- デオキシケトヘキソースと繋がっている。アルドースイソメラーゼによって6- デオキシケトヘキソースはへ転換できる。6- デオキシL- フラクトースから6- デオキシアルトロースの生産をしめしている(実施例1)。このように全ての16種類の6- デオキシアルドースが周囲に結合されているのである。
このように、図1〜3で示されるデオキシイズモリングは、全ての1- および6- デオキシヘキソースが酵素反応で連結できることを示しており、全デオキシヘキソースの生産戦略を示している。またその配置は右側に全てのD- 型のデオキシヘキソースが、左側にL- 型のデオキシヘキソースが配置されており、全1- および6- デオキシヘキソースを明確に配置できており生産法を一目瞭然理解することが可能である。なお、構造を見ると理解できるが、図中に点線の矢印で示したものは、上下を反転すると重ねることのできる、すなわち同一の1- デオキシおよび6- デオキシのヘキシトールを示している。この点線は、図中のリングに沿った合成のみならずバイパスのような役割を果たして効率のよい合成法を示唆しているのである。
現在自然界に比較的多く存在している、デオキシアルドースである、L- ラムノース(6- デオキシL- マンノース)あるいは、L- フコース(6- デオキシL- ガラクトース)を出発原料とすることで、このデオキシイズモリングを用いた生産が可能であり、これらの新しいデオキシヘキソースの生産に有効に利用できる。
以上のまとめをさらに前進させて、デオキシ糖に番号が付されているデオキシイズモリングを図3として示したが、新しいデオキシヘキソースの生産について、実施例番号14以下の実施例において図3に基づき具体的に説明する。
図3には、図1,2と同様に下記のA〜Dの反応が異なる表示の矢印で示されている。
A DTEエピ化
B ポリオールの酸化反応
C 異性化反応(アルドースケトース間の異性化)
D ニッケル触媒還元(ケトース、アルドースのポリオールへの還元)
[6- デオキシ L- ソルボースの生産]
この反応は、6- デオキシ L- タガトースのD-TEによる6- デオキシ L- ソルボースへのエピマー化であり、図3の番号27−26のAの反応である。
下記反応条件でL- ラムノースから生産した6- デオキシ L- タガトースにDTEを作用させた。
〈反応条件〉
基質:6- デオキシ L- タガトース
酵素:固定化D- タガトース 3- エピメラーゼ
緩衝液:50mM Tris-HCl (pH7.5)
温度:40℃
反応のできをHPLCで確認したところ、図37のように6- デオキシ L- ソルボースの生産が確認された。平衡は6- デオキシ L- タガトース:6- デオキシ L- ソルボースは、およそ1:3であった。
それを下記方法で分離し純粋な6- デオキシ L- ソルボースを得た(図38)。その旋光度は−48.5度であった。
〈分離方法〉
Dowex 50W X2
ワンパス分離システム
本実施例の6- デオキシ L- タガトースからの6- デオキシ L- ソルボースの生産は化3によってその反応が示される。
[6- デオキシ D- ソルボースの生産]
この反応は、6- デオキシ D−タガトースの6- デオキシ D- ソルボースへのエピマー化であり、図3の番号3−2のAの反応である。
L−フコース(6- デオキシ L- ガラクトース)を出発原料とし、ラネーニッケルを用いた化学的還元法により得た6- デオキシ D−ガラクチトールを酸化し転換した6- デオキシ D−タガトースに、下記反応条件でDTEを作用させた。
〈反応条件〉
基質:6- デオキシ D- タガトース
酵素:固定化D- タガトース 3- エピメラーゼ
緩衝液:50mM Tris-HCl (pH7.5)
温度:40℃
〈分離方法〉
Dowex 50W X2
反応のできをHPLCで確認したところ、図39のように6- デオキシ D- ソルボースの生産が確認された。平衡は6- デオキシ L−タガトース:6- デオキシ L−ソルボースの場合と同じであり、およそ1:3であった。
本実施例の6- デオキシ D−タガトースからの6- デオキシ D- ソルボースの生産は化4によってその反応が示される。
[1- デオキシ L- プシコースの生産]
この反応は、1- デオキシ L- フラクトースのDTEによる1- デオキシ L- プシコースへのエピマー化であり、図3の番号18−19のAの反応である。
L−ラムノースから生産した1- デオキシ L- フラクトースにDTEを反応させた。
L-ラムノースから6-デオキシL-マンニトールを経由して1-デオキシL-フラクトースを製造した。
L−ラムノースから生産した1- デオキシ L- フラクトースにDTEを反応させた。 反応条件は、下記のとおりである。
〈反応条件〉
基質:1- デオキシ L- フラクトース
固定化D-TE:10000 U
(キトパールBCW2510)
温度:42℃
撹拌:90rpm
容量:100 ml
時間:24時間
変換率:75(F):25(P)
DTEの作用により1- デオキシ L- プシコースの生産が確認され、平衡は1- デオキシ L- フラクトース:1- デオキシ L- プシコースは、75:25であった。反応液後の液をワンパスクロマトによって分離した。分離条件は、下記のとおりである。
〈分離条件〉
システム:ワンパス分離システム
試料:30%1- デオキシ L- フラクトースおよび
1- デオキシ L- プシコース混合物
容量:100mL
流速:60 ml/min
Wait time:90min
画分:タンク-A,B,CおよびD
結果:純粋な1- デオキシ L- プシコースを得た。
反応混合物から分離した1- デオキシ L- フラクトース(a)および1- デオキシ L- プシコース(b)のHPLCによる純度は、図40に示すごとく純粋であった。1- デオキシ L- プシコースの13C NMRスペクトルが図41である。これは図32と同一であることが確認された。
[6- デオキシ D- フラクトースの生産]
この反応は、6- デオキシ D- プシコースにDTEに作用させて6- デオキシ D- フラクトースに異性化する、図3の番号11−10のAの反応である。
1- デオキシ L- フラクトースにDTEを作用させて作成した1- デオキシ L- プシコースを還元し、 1- デオキシ L- アリトールを得た。それを微生物酸化(IK7)を行い、6- デオキシ D- プシコースを生産した。このようにして生産した1- デオキシ D- プシコースにDTEに作用させた。反応条件は、下記のとおりである。
〈反応条件〉
緩衝液: Tris (pH7.5) 500μl
基質:1.5% 6- デオキシ D- プシコース
D-TE:〜100 units
温度:40℃
時間:12時間
変換率:50(S):50(P)
反応後の溶液中には、6- デオキシ D- フラクトースが50%の平衡で生産されることを確認した。図42の(a)は反応前の6- デオキシ D- プシコースであり、(b)は反応後の反応混合物のHPLCによる分析である。
[6- デオキシ L- ソルボースの生産]
この反応は、6- デオキシ L- タガトースにDTEに作用させて6- デオキシ L- ソルボースに異性化する、図3の番号22−23のAの反応である。
1- デオキシ L-フラクトースにDTEを作用させて作成した1- デオキシ L- プシコースを還元し、1- デオキシ L- タリトールを得た。それを微生物酸化(40b)を行い、1- デオキシ L- タガトースを生産した。このようにして生産した1- デオキシ L- タガトースにDTEに作用させた。反応条件は、下記のとおりである。
〈反応条件〉
緩衝液: Tris (pH7.5) 500μl
基質:1.0% 6- デオキシ L- タガトース
D-TE:〜100 units
温度:42℃
時間:12時間
変換率:20(S):80(P)
反応後の溶液中には、6- デオキシ L- ソルボースが生産された。基質と生産物との比は、1:4であった。図43の(a)は基質である6- デオキシ L- タガトース、(b)は反応後の反応混合物のHPLC分析の結果である。
[1- デオキシ D- タガトースの生産]
この反応は、6- デオキシ L- ガラクチトールを微生物を用いる酸化により1- デオキシ D- タガトースを生成する、図3の番号46=39−13のBの反応である。
L−フコース(6- デオキシ L- ガラクトース)を還元し、L−フシトール(6デオキシ L- ガラクチトール)をE.agglomerans 221eによる微生物酸化反応〔菌体反応組成物:菌体30(OD600)、Tris-HCl 緩衝液(pH8.0)50mM、基質6デオキシ L- ガラクチトール1%〕を30℃、6時間行った。1- デオキシ D- タガトースのみが生産された。図44の(a)は反応後の反応混合物、(b)は生成した1- デオキシ D- タガトースのHPLC分析の結果である。旋光度は+14.0であった。その13C NMRスペクトルを図45に示した。
本実施例の6- デオキシ L- ガラクチトールからの1- デオキシ D- タガトースの生産は化5によってその反応が示される。
[1- デオキシ L- タガトースの生産]
この反応は、6- デオキシ D- ガラクチトールを微生物を用いる酸化により1- デオキシ L- タガトースを生成する、図3の番号34=43−22のBの反応である。
L−フコース(6- デオキシ L- ガラクトース)を還元し、L−フシトール(6- デオキシ L- ガラクチトール)を生産し、それを基質として30℃で K.pneumoniae 40b による微生物酸化反応〔菌体反応組成物:菌体30(OD600)、Tris-HCl 緩衝液(pH8.0)50mM、基質1%〕を行った。図46は1- デオキシ L- タガトースが生産されている途中のHPLC分析の結果であり、1- デオキシ L- タガトースを生産できることを示している。
本実施例の6- デオキシ D- ガラクチトールからの1- デオキシ L- タガトースの生産は化6によってその反応が示される。
[6- デオキシ D- タガトースの生産]
この反応は、6- デオキシ D- ガラクチトールを微生物酸化反応により6- デオキシ D- タガトースを生成する、図3の番号34−3のBの反応である。
D−フコース(6- デオキシ D- ガラクトース)を還元し、D−フシトール(6- デオキシ D- ガラクチトール)を生産し、それを基質として30℃で E.agglomerans 221eによる微生物酸化反応〔菌体反応組成物:菌体30(OD600)、Tris-HCl 緩衝液(pH8.0)50mM、基質6デオキシ D- ガラクチトール1%〕を行った。図47の(a)は反応後の反応混合物のHPLCであり、(b)は分離精製した1- デオキシ D- タガトースのHPLCのである。旋光度は−0.8度であり、図48は13C NMRスペクトルである。
本実施例の6- デオキシ D- ガラクチトールからの6- デオキシ D- タガトースの生産は化7によってその反応が示される。
[1- デオキシ L- フラクトースの生産]
この反応は、L- ラムニトール(6- デオキシL- マンニトール)を微生物酸化反応により1- デオキシ L- フラクトースを生成する、図3の番号41=48−31のBの反応である。
下記反応条件でL- ラムニトールを基質としてエンテロバクター属菌体IK7((NITE BP-271)による脱水素酵素反応を行った。
〈反応条件〉
基質:5%L- ラムニトール
緩衝液:50mM Tris-HCl(pH9.0)
菌体濃度:A600−40
温度:37℃
撹拌:120rpm
空気流速:1.0 L/min
時間:12時間
容量:1.0 L
変換率:90%
分離精製は下記分離条件で行った。
〈分離条件〉
システム:ワンパス分離システム
試料:30%L- ラムニトールおよび1- デオキシ L- フラクトース混合物
容量:300 mL
流速:60 ml/min
Wait time:120 min
画分:タンク-A,B,CおよびD
結果:二つのRUNで純粋な1- デオキシ L- フラクトースを得た。
図49の(a)はL- ラムニトール、(b)は分離精製した1- デオキシ L- フラクトースのHPLC分析の結果である。図50は分離精製した1- デオキシ L- フラクトースの13C NMRスペクトルである。
[6- デオキシ D- プシコースおよび6- デオキシ L- タガトースの生産]
この反応は、1- デオキシ L- アリトールおよび1- デオキシ L- タリトールを微生物酸化反応により6- デオキシ D- プシコースおよび6- デオキシ L- タガトースを生成する、図3の番号47=38−11,29=28−27
6- デオキシ D- プシコースと6- デオキシ L- タガトースを生産するを行った。まず、1- デオキシ L- プシコースを還元し1- デオキシ L- アリトールと1- デオキシ L- タリトールへ還元した〔図51の(a)〕。これを分離しないで下記の反応条件でエンテロバクター属菌体IK7(NITE BP-271)を用いて酸化反応を行った。
〈反応条件〉
緩衝液: Tris(pH9.0)
基質:1%1- デオキシ L- アリトールおよび
1- デオキシ L- タリトール混合物
菌体:30(A600
温度:37℃
撹拌:100rpm
時間:12時間
容量:100ml
変換率:100%
分離精製は下記分離条件で行った。
〈分離条件〉
システム:Dowex 50Ca+2
column 100cm X2
試料:20%1- デオキシ L- アリトールおよび
1- デオキシ L- タリトール反応混合物
容量:10 ml
流速:0.5 ml/min
Wait time:90 min
画分:2.0 ml/tube
結果:純粋な6- デオキシ D- プシコースおよび6- デオキシ L- タガトースを得た。
図51のHPLC分析結果が示すように、(a)1- デオキシ L- アリトールおよび1- デオキシ L- タリトールから、(b)6- デオキシ D- プシコースおよび6- デオキシ L- タガトースをそれぞれから生産することができた。それぞれの分離精製した6- デオキシ D- プシコース(c)、6- デオキシ L- タガトース(d)のHPLCを示した。
[6- デオキシ L- タガトースの生産]
この反応は、6- デオキシ L- ガラクトースを異性化することにより6- デオキシ L- タガトースを生成する、図3の番号63−27のCの反応である。
L- フコース(6- デオキシ L- ガラクトース)を下記反応条件でD−アラビノースイソメラーゼで異性化することにより、6- デオキシ L- タガトースを生産した。
〈反応条件〉
基質:10% L- フコース(6- デオキシ L- ガラクトース)
酵素:固定化D−アラビノースイソメラーゼ
緩衝液: 50mM グリシン-NaOH緩衝液(pH9.0)
イオン:1mM MnCl
温度:40℃
分離は下記方法で行った。
〈分離方法〉
Dowex 50W X2
ワンパス分離システム
図52の(a)は反応後のHPLCであり、(b)は分離精製したもの(6- デオキシ L- タガトース)である。旋光度は+0.9であった。その13C NMRスペクトルを図53に示した。
本実施例の6- デオキシ L- ガラクトースからの6- デオキシ L- タガトースの生産は化8によってその反応が示される。
[6- デオキシL- タロースの生産]
この反応は、6- デオキシ L- タガトースを異性化することにより6- デオキシ L- タロースを生成する、図3の番号27−64のCの反応である。
L−フコースから生産した6- デオキシ L- タガトースにL−ラムノースイソメラーゼを作用させることで、6- デオキシL- タロースを生産した。
〈反応条件〉
基質:6- デオキシ L- タガトース
酵素:固定化L−ラムノースイソメラーゼ
緩衝液: 50mM グリシン-NaOH緩衝液(pH9.0)
イオン:1mM MnCl
温度:40℃
分離は下記方法で行った。
〈分離方法〉
クロマトグラフィー分離
図54の(a)は反応後の反応混合物のHPLCであり、(b)は分離精製したもの(6- デオキシ D- タロース)である。(C)は分離精製した6- デオキシ D- タロースの13C NMRスペクトルである。L−ラムノースイソメラーゼによって6- デオキシL- タロースを生産可能であった。
本実施例の6- デオキシ L- タガトースからの6- デオキシL- タロースの生産は化9によってその反応が示される。
[6- デオキシ D- アロースおよび6- デオキシ D- アルトロースの生産]
この反応は、6- デオキシ D- プシコースを異性化することにより6- デオキシ D- アロースおよび6- デオキシ D- アルトロースを生成する、図3の番号11−55,11−56のCの反応である。
6- デオキシ D- アリトールから生産した6- デオキシ D- プシコースを原料として、下記反応条件の異性化反応によって6- デオキシ アルドースを生産した。
〈反応条件〉
基質:1.0% 6- デオキシ D- プシコース
500μl
緩衝液: 50mM グリシン-NaOH緩衝液(pH9.0)
500μl
L−ラムノースイソメラーゼ:100 units
MnCl:50μl
温度:42℃
時間:24時間
変換率:40(s):60(ps)
図55の(a)は基質として用いた6- デオキシ D- プシコースであり、(b)はL−ラムノースイソメラーゼを作用した後のHPLCである。この結果は、6- デオキシ D- プシコースから、6- デオキシ D- アルトロース、6- デオキシ D- アロースを生産できることができた。
[6- デオキシ D- タロースの生産]
この反応は、6- デオキシ D- タガトースを異性化することにより6- デオキシ D- タロースを生成する、図3の番号3−52のCの反応である。
D−フコースから生産した6- デオキシ D- タガトースにL−リボースイソメラーゼを作用することで、6- デオキシ D- タロースを生産することが明らかになった。
〈反応条件〉
基質:6- デオキシ D- タガトース
酵素:固定化L−リボースイソメラーゼ
緩衝液:50mM グリシン-NaOH緩衝液(pH9.0)
イオン:1mM MnCl
温度:30℃
異性化反応の比は、6- デオキシ D- タガトース:6- デオキシ D- タロースは2:3であった。図56はL−リボースイソメラーゼを作用した後の反応混合物のHPLC分析結果である。
本実施例の6- デオキシ D- タガトースからの6- デオキシ D- タロースの生産は化10によってその反応が示される。
[6- デオキシ L- ガラクチトールの生産]
この反応は、6- デオキシ L- ガラクトースを還元することにより6- デオキシ L- ガラクチトールを生成する、図3の番号63−46のDの反応である。
D−フコース(6- デオキシ D−ガラクトース)を還元して〔D−フコース1%、ラネーニッケル触媒20ml、全部で500mlの組成物〕、D−フシトール(6- デオキシ D−ガラクチトール)を生産した。図57の(a)は還元前のD−フコース、(b)は還元後の6- デオキシ L- ガラクチトールのHPLC分析結果である。6- デオキシ L- ガラクチトールの旋光度は+1.7であった。6- デオキシ L- ガラクチトールのの13C NMRスペクトルを図58に示した。
本実施例の6- デオキシ L- ガラクトースからの6- デオキシ L- ガラクチトールの生産は化11によってその反応が示される。
[6- デオキシ D- ガラクチトールの生産]
この反応は、6- デオキシ D- ガラクトースを還元することにより6- デオキシ D- ガラクチトールを生成する、図3の番号51−34のDの反応である。
L−フコース(6- デオキシ L−ガラクトース)を還元して〔L−フコース1%、ラネーニッケル触媒20ml、全部で500mlの組成物〕、L−フシトール(6- デオキシ L−ガラクチトール)を生産した。図59の(a)は還元前のL−フコース、(b)は還元後の6- デオキシ D- ガラクチトールのHPLC分析結果である。6- デオキシ L- ガラクチトールの旋光度は−1.7であった。6- デオキシ D- ガラクチトールのの13C NMRスペクトルを図60に示した。
本実施例の6- デオキシ D- ガラクトースからの6- デオキシ D- ガラクチトールの生産は化12によってその反応が示される。
[L- ラムニトールの生産]
この反応は、L- ラムノースを水素添加法で還元することによりL- ラムニトールを生成する、図3の番号58−41のDの反応である。
下記反応条件でL- ラムノース(6- デオキシ L−マンノース)を還元して、L- ラムニトール(6- デオキシ L−マンニトール)を生産した。
〈反応条件〉
基質:5% L- ラムノース
触媒:ニッケル
圧:1.2 MPa
温度:50℃
撹拌:700rpm
時間:12時間
容量:500ml
変換率:100%
図61の(a)は還元前のL- ラムノース、(b)は還元後のL- ラムニトールのHPLC分析結果である。このように容易にL- ラムニトールを生産できることができた。
[L- ラムニトールの生産]
この反応は、1- デオキシ L- フラクトースを水素添加法で還元することにより1- デオキシ L- マンニトールと1- デオキシ L- ソルビトールを生成する、図3の番号31−32、31−48のDの反応である。
下記反応条件で1- デオキシ L- フラクトースを還元して、1- デオキシ L- マンニトールと1- デオキシ L- ソルビトールの生産を行った。常法どおりのラネーニッケルによる方法によって、容易に両ポリオールをほぼ等量生産できることができた。
〈反応条件〉
基質:5% 1- デオキシ L- フラクトース
触媒:ニッケル
圧:1.2 MPa
温度:50℃
撹拌:700rpm
時間:7時間
容量:500ml
変換率:100%
図62は還元後の1- デオキシ L- マンニトールと1- デオキシ L- ソルビトール混合物のHPLC分析結果である。このように容易にL- ラムニトールを生産できることができた。
[1- デオキシ L- アリトールおよび1- デオキシ L- タリトールの生産]
この反応は、1- デオキシ L- プシコースを水素添加法で還元することにより1- デオキシ L- アリトールおよび1- デオキシ L- タリトールを生成する、図3の番号19−42、19−20のDの反応である。
1- デオキシ L- フラクトースをエピ化して生産した、1- デオキシ L- プシコースを下記反応条件で還元して、1- デオキシ L- アリトールと1- デオキシ L- タリトールの生産を行った。常法どおりのラネーニッケルによる方法によって、容易に両ポリオールをほぼ等量生産することができた。図63は還元後の1- デオキシ L- アリトールと1- デオキシ L- タリトール混合物のHPLC分析結果である。
〈反応条件〉
基質:5% 1- デオキシ L- プシコース
触媒:ニッケル
圧:1.2 MPa
温度:50℃
撹拌:700rpm
時間:8時間
容量:500ml
変換率:100%
両デオキシポリオールをそのままを基質として、酢酸菌による酸化によって1- デオキシ L- プシコースおよび6- デオキシ D- タガトースを生産することができた。
本発明で対象としているものは、単糖、である。単糖の工業的利用においては各種の食品、化粧品、医薬品産業における、素材として広く利用されている。単糖における研究開発の現状をみると、自然界に存在量の多い、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フラクトースなどを利用することが主である。そのため、この分野の新しい発展を進めるためには、これまでその存在量が少ない「希少糖」の生産が求められていた。それを可能にしたのが、図4で示されているイズモリングを戦略とした全単糖の生産法の確立であった。
単糖は図4で示されているように、アルドース、ケトース、およびポリオールの全体の総数は59である。その中で十分量を生産可能であり、工業的に利用可能な単糖の数は限られている。単糖の優位性は、炭素に結合しているOH基の配位がそれぞれ特有の構造をもっており、キラルな構造を持つ医薬品等の有用な化合物の合成原料として大変重要であることである。その有用性は理解されているが、その生産法が確立されていないということが大きな障害となっている。有機化学的にはキラルな構造を持つことが優位であるが、有機化学的手法によって、特定のキラルな構造を持つものを合成することは極めて困難であるという関係にある。すなわち、有機化学的な医薬品等の合成には重要であるということは、有機化学的な手法ではキラルな特定の構造を持つ単糖を合成することが非常に困難であることを意味している。
これらの単糖の研究開発における現状を背景に、バイオテクノロジーの手法を駆使して図4のイズモリングの戦略によってD−プシコース、D−アロースをはじめとした希少糖の生産が可能となっている。これまで利用できなかった単糖の特定のキラル構造を、有機化学的な原料として利用可能となって来ている。
本発明においては、従来の図4において対象とした59種の単糖ではなく、新たに図1に示した炭素数6のヘキソースの1あるいは6をデオキシ化した総数48の新しい糖を対象としている。図64にデオキシイズモリングで生産可能な、全デオキシ糖のリストを示した。1デオキシケトースが8種、6デオキシケトースが8種、6デオキシアルドースが16種、1および6デオキシポリオールが16種(ポリオールの場合は図64に示したように、二種類の名前として表示しているが180度回転させると重なることからも同一物質である)であり総計48種である。これらのデオキシ糖は従来の単糖よりも、さらに有機化学的な手法による方法では合成が困難である。それらをデオキシイズモリングの戦略を用いて、全部を反応で連結し合成することができたものである。
本発明のデオキシイズモリングの反応を以下に整理して示す。イズモリングの反応と同様に、エピ化、酸化反応、異性化反応、還元反応をデオキシイズモリングにおいても用いる反応を行うので、それぞれに関してデオキシ糖に関する結果を説明する。
1)エピメラーゼ反応
この図4において示しているように、ケトースの炭素3位のOH基をエピ化することで新しい単糖をはじめて生産可能としたDTE(D−タガトース3−エピメラーゼ)を用いることで全59種の政略を確立できた。本発明においての最大の課題の一つが、このDTEが、1あるいは6デオキシケトースに活性を持つかどうかであった。研究の結果、DTEは1および6デオキシケトースの全部に作用することを確認した。このことが、本発明における重要な発見となった。これらの反応は図3における、番号2−3、番号6−7、番号10−11、番号14−15、番号18−19、番号22−23、番号26−27、および番号30−32の8つのエピ化反応である。これらの反応に関しては全て反応することを確認できた。
2)酸化反応
イズモリングをリングとして完成し、全単糖を生産するにはポリオールが大きな役割を果たす。すなわちポリオールを微生物によって、その2位を酸化することでケトースを生産する工程が必須である。本発明すなわちデオキシイズモリングによるデオキシ糖の生産においても、1および6デオキシポリオールを微生物反応を用いて酸化することによって、1および6デオキシケトースを生産することが必要である。この反応は微生物反応であるので、デオキシポリオールが微生物の菌体内に入り、そこで主にポリオール脱水素酵素によって対応するデオキシケトースへと酸化反応が行われる必要である。この過程がイズモリングと同様に、デオキシイズモリングにおいても反応が進行することが必須である。種々の検討の結果、1位がデオキシ化されたポリールを基質として用いること、さらに適切な微生物を選択し、反応条件を確立することでそれぞれ、1あるいは6デオキシケトースを生産できることを確認することができた。この反応は全く新しい反応であり、微生物が1および6デオキシを特異的に酸化する経路、すなわち、デオキシポリオールを菌体内に取り込み、ポリオール脱水素酵素によって2位あるいは5位を特異的に酸化することで、1あるいは6デオキシケトースを生産する経路が存在することを確認できた。このことによって、デオキシポリオールを基質として、1あるいは6デオキシケトースをデオキシイズモリング戦略に従って生産可能であることを確認することができた。
3)異性化反応
イソメラーゼ反応はアルドースの炭素1と炭素2の間における、酸化還元反応であり、従来のイソメラーゼ反応においてはケトースから各種のアルドースを生産することが可能であった。本発明においては、DTEにおいて記載したとおりにイソメラーゼが、6位がデオキシ化されたアルドースおよびケトースに作用するかどうかが重要な鍵となっていた。本発明において、種々の6デオキシケトースを用いたイソメラーゼ反応を検討した結果、イズモリングにおいて用いた各種イソメラーゼがデオキシイズモリングにおいてもその活性を持つことが確認できた。このことによって各種の6デオキシアルドースを6デオキシケトースから生産できることも明らかにすることが可能となった。
4)還元反応
ケトースをポリオールへ還元する反応は、イズモリングにおいては酵母を用いた方法および、水素を用いた有機化学的な反応が利用できる。工業的な利用および確実な反応としては、現在のところニッケル触媒を用いた水素を用いた方法を用いて、1および6デオキシケトースの還元が可能であれば有利である。このニッケル触媒を用いた還元反応について、本発明においては確認した。従来の方法による水素添加法による、1および6デオキシケトースから、それぞれに対応する16種類の糖アルコールへと還元できることを明らかにできた。また、6デオキシアルドースの還元反応についても、同様に効率よく進行することを確認できた。
この結果が示すように、DTEが1および6デオキシケトースに反応すること、微生物がデオキシポリオールを目的とするデオキシケトースへ酸化できること、イソメラーゼが6デオキシケトースを対応する活性を持ち6デオキシアルドースへ異性化できること、還元反応が通常のケトースと同様に1および6デオキシケトースの生産へ適用できることを確認することができた。
これらの結果は、これまで有機化学的手法では非常に困難であった、1および6デオキシ糖がイズモリングの手法によって生産することが可能であることを確認できたことを明確に示している。すなわち、これは多くのキラルな構造を持つ単糖をデオキシイズモリングという新たな生産戦略によって、これまで生産することも、また、性質さえも全く不明であった多くのデオキシ糖を、体系的に全てを生産できる方法を確立できたことを示している。
本発明によって得られた成果は、食品産業のみならず、これに関連する食品、化粧品、医薬品産業における工業的意義が極めて大きい。

Claims (15)

  1. ケトヘキソースの1- もしくは6- デオキシ体に作用し、遊離のデオキシ体の糖質のままでエピマー化することによって、3位をエピマー化したデオキシ体を生成するシュードモナス チコリ ST−24(FERM BP−2736)から得ることのできるデオキシケトヘキソース異性化酵素を用い、原料である1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、目的物である、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造することを特徴とするデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  2. デオキシケトヘキソース異性化酵素が、1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを生成する、請求項1のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  3. デオキシケトヘキソース異性化酵素が、下記の理化学的性質を有する、請求項1または2のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。

    (1)1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、および1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースの3位をエピマー化し、対応する1- または6- デオキシD- ケトヘキソースおよび1- または6- デオキシL- ケトヘキソースを生成する。
    (2)D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼ活性の至適pHおよびpH安定性は、pH7〜10に至適pHを有し、pH5〜10で安定。
    (3) D- ケトヘキソース 3- エピメラーゼ活性の至適温度および熱安定性60℃付近に至適温度を有し、50℃以下で安定。
    (4) 紫外線吸収スペクトル275乃至280nmに吸収帯を示す。
    (5) 分子量41,000±3,000(ゲル濾過クロマトグラフィーによる)。
  4. 上記誘導体がデオキシケトヘキソースを還元したものであり、目的物である、1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを還元し、その誘導体である、対応する1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  5. 上記誘導体がデオキシケトヘキソースを還元し、さらに酸化したものであり、目的物である、1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを還元し、その誘導体である、対応する1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを製造し、さらにその1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを酸化し、対応する6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  6. 上記誘導体が6- デオキシケトヘキソースを異性化したもので、目的物である、6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースに、アルドースイソメラーゼを作用させて、その誘導体である、対応する6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースを製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  7. 上記誘導体がデオキシケトヘキソースを異性化し、さらに還元したものであり、目的物である、6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースに、アルドースイソメラーゼを作用させ、その誘導体である、対応する6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースを製造し、さらにその6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースを還元して、対応する6- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコール製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  8. 酵素を作用させる原料である6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースが、6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースにアルドースイソメラーゼを作用させ、対応する6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造したものであり、次いでそれをエピマー化して、目的物である、対応する6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  9. 原料である1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースが、1- デオキシ D- 糖アルコールまたは6- デオキシ D- 糖アルコールまたは1- デオキシ L- 糖アルコールまたは6- デオキシ L- 糖アルコールを酸化し、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造したものであり、次いでそれをエピマー化して、目的物である、対応する1- デオキシ D- ケトヘキソースまたは6- デオキシ D- ケトヘキソースまたは1- デオキシ L- ケトヘキソースまたは6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  10. 上記の酸化反応または還元反応に、ポリオールデヒドロゲナーゼを用いる、またはラネーニッケル等を触媒として用いる水素添加法を用いる請求項4または5または9のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  11. 上記の酸化反応に、脱水素酵素生成能を有するエンテロバクター属菌体IK7((NITE BP-271)を用いる請求項5または9の方法。
  12. 原料である1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、または1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースが、6- デオキシ D- アルドヘキソースまたは6- デオキシ L- アルドヘキソースにアルドースレダクターゼを作用させるか、あるいは有機化学的な還元反応により、対応する6- デオキシ D- 糖アルコール、または6- デオキシ L- 糖アルコールを製造し、次いでこれを酸化し、対応する1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、または1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造したものであり、次いでそれをエピマー化して、目的物である、対応する1- または6- デオキシ D- ケトヘキソース、または1- または6- デオキシ L- ケトヘキソースを製造する請求項1、2または3のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  13. 上記の還元反応に、アルドースレダクターゼを用いる、または化学的還元方法を用いる請求項5または10のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  14. 上記の異性化反応に、L- ラムノースイソメラーゼあるいはその他のアルドースイソメラーゼを用いる請求項6、7または8のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
  15. 上記の異性化反応に、L- ラムノースイソメラーゼあるいはその他のアルドースイソメラーゼを用い、6- デオキシ L- プシコースを6- デオキシ L- アルトロースに異性化する請求項6、7または8のデオキシケトヘキソースおよびその誘導体の製造方法。
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