明 細 書
アンテナ装置
技術分野
[0001] 本発明は、中継装置等に用いられるアンテナ装置に関する。
背景技術
[0002] 携帯電話やテレビ放送等の地上波を地下街等の不感地帯に再送信する中継用の アンテナは、設置場所や美観等の問題から小型軽量のアンテナが要求される。また 、中継用アンテナとしては、垂直偏波水平面無指向性のものが使用される場合が多 い。
[0003] また、本発明に関連する公知技術として、線状もしくは面状のインピーダンス整合 素子部に対しその背面より 1点給電で励振を行うようにし、かつ上記整合素子部に垂 直に設けられて先端を接地するようにされた複数の線状放射素子部を有した水平偏 波用双指向性アンテナ及び接地板を備え、上記接地板上に水平偏波用双指向性ァ ンテナを配置してなる双指向性偏波アンテナ装置が知られている(例えば、特開平 1 1 205036号公報参照。)。
発明の開示
[0004] 地下街等に設けられる中継用アンテナは、一般に天井等に設けられるので、小型 で低姿勢 (全高が低!/、)であることが要求される。
[0005] しかし、上記従来のモノポールアンテナは、高さが約 1/4波長以上必要であり、そ れ以上の低姿勢化が困難であるので、地下街等に設ける中継用アンテナとしては好 ましくない。また、モノポールアンテナは、単一周波数帯においては良好な特性を得 ることが可能である力 基本的に狭帯域であり、電圧定在波比(VSWR : Voltage Stan ding Wave Ratio)が低い領域、例えば 2以下における比帯域は一般に十数%程度で あって、広帯域通信により大容量伝送を行うものには適用が困難である。
[0006] 本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、小型低姿勢かつ広帯域化 を実現するアンテナ装置を提供することを目的とする。
[0007] この発明の第 1の態様は、導体板と、前記導体板に対向して配置され、前記導体板
に部分的に短絡される放射素子と、前記導体板に設けられる給電端子と、前記給電 端子と前記放射素子の給電部とを接続する給電路とを具備する。また、第 1の態様に ぉレ、て、前記放射素子の短絡箇所と前記給電路とを結ぶ線路に容量結合される少 なくとも 1個の無給電素子を具備する。
[0008] この発明の第 2の態様は、導体板と、前記導体板に対向して配置され、前記導体板 に部分的に短絡される放射素子と、前記導体板に設けられる給電端子と、前記給電 端子と前記放射素子の給電部とを接続する給電路とを具備し、前記給電路は、前記 給電端子側から前記給電部側に向かって拡幅した形状とする。
[0009] この発明の第 3の態様は、導体板と、前記導体板に対向して配置され、前記導体板 に部分的に短絡される放射素子と、前記導体板の中央部に設けられる給電端子と、 一端が前記給電端子と接続され、他端が前記放射素子の給電部と容量結合される 給電路とを具備し、前記給電路は、前記給電端子側から前記給電部側に向かって 拡幅した形状とする。また、第 3の態様において、前記他端が前記給電部に部分的 に接続される。
[0010] さらに、上記各態様において、次のような特徴を有する。
[0011] 前記放射素子は、前記給電部を中心として等間隔で放射状に広がる複数の線路 により形成され、前記複数の線路それぞれが前記導体板に短絡される。
[0012] 前記放射素子は、前記複数の線路それぞれの隣り合う端部間を接続する線路をさ らに備える。
[0013] 前記導体板は、前記放射素子の短絡箇所近傍に整合部をさらに備える。
[0014] 前記放射素子の短絡箇所は、前記給電路を中心とする円周上に等間隔に設けら れる。
[0015] 前記放射素子を第 1の放射素子とし、前記導体板と前記第 1の放射素子との間に、 前記第 1の放射素子よりも前記導体板との対向距離が小さい第 2の放射素子をさらに 配置する。
図面の簡単な説明
[0016] [図 1]図 1は、本発明の第 1実施形態に係るアンテナ装置の基本構成を示す斜視図 である。
[図 2]図 2は、同実施形態に係るアンテナ装置の側面図である。
園 3A]図 3Aは、本発明の第 2実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
園 3B]図 3Bは、同アンテナ装置の無給電素子部分の配置構成を示す斜視図である 園 4]図 4は、同実施形態に係るアンテナ装置の側面図である。
[図 5]図 5は、同実施形態に係るアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図である
[図 6]図 6は、同実施形態に係るアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図である
[図 7]図 7は、無給電素子を設けていない場合のアンテナ装置の斜視図である。
[図 8]図 8は、図 7に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図である。
[図 9]図 9は、図 7に示すアンテナ装置の VSWR特性図である。
[図 10]図 10は、無給電素子を設けた場合のアンテナ装置の斜視図である。
[図 11]図 11は、図 10に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図である。
[図 12]図 12は、図 10に示すアンテナ装置の VSWR特性図である。
園 13]図 13は、本発明の第 3実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
園 14]図 14は、図 13に示したアンテナ装置の等価回路を示す図である。
[図 15]図 15は、同実施形態に係るアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図であ
[図 16]図 16は、同実施形態に係るアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図であ
[図 17]図 17は、同実施形態におけるアンテナ装置の VSWR特性図である。
[図 18]図 18は、同実施形態に係るアンテナ装置において、無給電素子を設けていな
V、場合の実数部インピーダンス特性図である。
[図 19]図 19は、同実施形態に係るアンテナ装置において、無給電素子を設けていな
V、場合の虚数部インピーダンス特性図である。
園 20]図 20は、同実施形態に係るアンテナ装置において、無給電素子を設けていな V、場合の VSWR特性図である。
[図 21]図 21は、円板状のアンテナ素子を有するアンテナ装置の斜視図である。
[図 22]図 22は、図 21のアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図である。
[図 23]図 23は、図 21のアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図である。
[図 24]図 24は、図 21のアンテナ装置の VSWR特性図である。
[図 25]図 25は、本発明の第 4実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 26]図 26は、同実施形態に係るアンテナ装置において、整合板を設けていない場 合の VSWR特性図である。
[図 27]図 27は、同実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図である。
[図 28]図 28は、同実施形態に係るアンテナ装置の 470MHzの周波数における垂直 偏波水平面指向性を示す図である。
[図 29]図 29は、同実施形態に係るアンテナ装置の 590MHzの周波数における垂直 偏波水平面指向性を示す図である。
[図 30]図 30は、同実施形態に係るアンテナ装置の 710MHzの周波数における垂直 偏波水平面指向性を示す図である。
[図 31]図 31は、同実施形態に係るアンテナ装置の 470MHzの周波数における垂直 偏波垂直面指向性を示す図である。
[図 32]図 32は、同実施形態に係るアンテナ装置の 590MHzの周波数における垂直 偏波垂直面指向性を示す図である。
[図 33]図 33は、同実施形態に係るアンテナ装置の 710MHzの周波数における垂直 偏波垂直面指向性を示す図である。
園 34]図 34は、本発明の第 5実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 35]図 35は、本発明の第 6実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 36]図 36は、同実施形態における給電路部分の詳細を示す側面図である。
[図 37]図 37は、同実施形態に係るアンテナ装置の給電部における実数部インピーダ ンス特 1·生図である。
[図 38]図 38は、同実施形態に係るアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図であ o
[図 39]図 39は、同実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図である。
[図 40]図 40は、同実施形態に係るアンテナ装置の 500MHzの周波数における垂直 偏波水平面指向性 (X— Y面)を示す図である。
園 41]図 41は、同実施形態に係るアンテナ装置の 1GHzの周波数における垂直偏 波水平面指向性 (X— Y面)を示す図である。
[図 42]図 42は、同実施形態に係るアンテナ装置の 1. 6GHzの周波数における垂直 偏波水平面指向性 (X— Y面)を示す図である。
[図 43]図 43は、本発明の第 7実施形態に係るアンテナ装置の給電路部分の詳細を 示す側面図である。
園 44]図 44は、同実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図である。
園 45A]図 45Aは、同実施形態における給電路の他の構成例を示す斜視図である。 園 45B]図 45Bは、同実施形態における給電路の他の構成例を示す側面図である。
[図 46]図 46は、本発明の第 8実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 47]図 47は、同実施形態における給電路部分の詳細を示す斜視図である。
[図 48]図 48は、本発明の第 9実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 49]図 49は、本発明の第 10実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 50]図 50は、本発明の第 11実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 51]図 51は、本発明の第 12実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
園 52]図 52は、放射素子の長さを長くして動作周波数を低く設定した場合の VSWR
特 1·生図である。
園 53A]図 53Aは、本発明の第 13実施形態に係るアンテナ装置における短絡素子 の構成例を示す斜視図である。
園 53B]図 53Bは、同実施形態に係るアンテナ装置における短絡素子の他の構成例 を示す斜視図である。
園 54]図 54は、同実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図である。
[図 55]図 55は、本発明の第 16実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 56]図 56は、同実施形態に係るアンテナ装置の放射素子の平面図である。
[図 57]図 57は、同実施形態に係るアンテナ装置の側面図である。
[図 58]図 58は、同実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子と給電路とを直 接接続した場合の実数部インピーダンス特性図である。
[図 59]図 59は、同実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子と給電路とを直 接接続した場合の虚数部インピーダンス特性図である。
園 60]図 60は、同実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子と給電路とを直 接接続した場合の VSWR特性図である。
[図 61]図 61は、同実施形態に係るアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図であ
[図 62]図 62は、同実施形態に係るアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図であ
[図 63]図 63は、同実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図である。
園 64]図 64は、本発明の第 15実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 65]図 65は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、導体板を 410m mにし、直接接続した場合の実数部インピーダンス特性図である。
[図 66]図 66は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、導体板を 410m mにし、直接接続した場合の虚数部インピーダンス特性図である。
[図 67]図 67は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、導体板を 410m
mにし、直接接続した場合の VSWR特性図である。
[図 68]図 68は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、導体板を 410m mにし、容量結合させた場合の実数部インピーダンス特性図である。
[図 69]図 69は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、導体板を 410m mにし、容量結合させた場合の虚数部インピーダンス特性図である。
園 70]図 70は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、導体板を 410m mにし、容量結合させた場合の VSWR特性図である。
[図 71]図 71は、第 15実施形態に係るアンテナ装置において、直接接続させた場合 の実数部インピーダンス特性図である。
[図 72]図 72は、第 15実施形態に係るアンテナ装置において、直接接続させた場合 の虚数部インピーダンス特性図である。
[図 73]図 73は、第 15実施形態に係るアンテナ装置において、直接接続させた場合 の VSWR特性図である。
園 74]図 74は、第 15実施形態に係るアンテナ装置において、容量結合させた場合 の実数部インピーダンス特性図である。
[図 75]図 75は、第 15実施形態に係るアンテナ装置において、容量結合させた場合 の虚数部インピーダンス特性図である。
[図 76]図 76は、第 15実施形態に係るアンテナ装置において、容量結合させた場合 の VSWR特性図である。
[図 77]図 77は、本発明の第 16実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図で ある。
[図 78]図 78は、同実施形態に係るアンテナ装置の側面図である。
[図 79]図 79は、同実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図である。
園 80]図 80は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 0. 7GHzにおける垂直偏 波水平面指向性(図 17の座標軸 Θ =45° X— Y面)を示す図である。
園 81]図 81は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 1. 7GHzにおける垂直偏 波水平面指向性(図 17の座標軸 Θ =45° X— Y面)を示す図である。
[図 82]図 82は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 2. 7GHzにおける垂直偏
波水平面指向性(図 17の座標軸 θ =45° X— Υ面)を示す図である。
[図 83]図 83は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 0. 7GHzにおける垂直偏 波垂直面指向性(図 17の座標軸 Z— X面)を示す図である。
[図 84]図 84は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 0. 7GHzにおける垂直偏 波垂直面指向性(図 17の座標軸 Z— Y面)を示す図である。
[図 85]図 85は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 1. 7GHzにおける垂直偏 波垂直面指向性(図 17の座標軸 Z— X面)を示す図である。
[図 86]図 86は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 1. 7GHzにおける垂直偏 波垂直面指向性(図 17の座標軸 Z— Y面)を示す図である。
[図 87]図 87は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 2. 7GHzにおける垂直偏 波垂直面指向性(図 17の座標軸 Z— X面)を示す図である。
[図 88]図 88は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 2. 7GHzにおける垂直偏 波垂直面指向性(図 17の座標軸 Z— Y面)を示す図である。
[図 89A]図 89Aは、本発明の第 17実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視 図である。
[図 89B]図 89Bは、同実施形態に係る同アンテナ装置の無給電素子部分の配置構 成を示す斜視図である。
[図 90]図 90は、同実施形態に係る同アンテナ装置の側面図である。
[図 91A]図 91Aは、本発明における給電路の形状例を示す斜視図である。
[図 91B]図 91Bは、本発明における給電路の形状例を示す斜視図である。
[図 91C]図 91 Cは、本発明における給電路の形状例を示す斜視図である。
[図 92A]図 92Aは、本発明における給電路の他の形状例を示す斜視図である。
[図 92B]図 92Bは、本発明における給電路の他の形状例を示す斜視図である。 発明を実施するための最良の形態
[0017] (第 1実施形態)
図 1は本発明に係るアンテナ装置の基本構成を示す斜視図である。図 2は図 1の A A線矢視断面図である。
[0018] 図 1及び図 2において、導体板 11は例えば正方形状の接地板で形成され、その一
辺の長さ Wlは約 0. 5 λ 以上(λ は使用周波数帯における最低周波数の波長)に
L L
設定される。
[0019] 上記導体板 11の下面中央部には、給電端子として例えば NJ型の同軸コネクタ 12 が装着される。この同軸コネクタ 12には、図示しないが無線装置のアンテナ入力回 路からの給電用同軸ケーブルが接続される。上記同軸コネクタ 12は、外導体 13及 び中心導体 14を備える。外導体 13は導体板 1 1に電気的に接続される。中心導体 1 4は、導体板 11の中央部に設けられた透孔内を通り、導体板 1 1と絶縁した状態で上 方に所定長さ突出して設けられ、給電路として使用される。
[0020] そして、上記導体板 11の上側にはアンテナ素子 15が設けられる。このアンテナ素 子 15は、 2本以上例えば 4本の放射素子 16a〜; 16dを有する。放射素子 16a〜; 16d は等角度または略等角度で放射状に設けられ、放射状中心部すなわち放射素子 16 a〜16dの始端側に給電点 18が設けられる。アンテナ素子 15が 4本の放射素子 16a 〜; 16dを有する場合、各素子の配置角度は 90° となり、十字形状に形成される。上 記放射素子 16a〜; 16dは、例えば幅 W2、長さ Lの板状素子を用いて形成したもので 、幅 W2は約 0. 055 λ に設定される。また、放射素子 16a〜; 16dの長さ Lは、基本的
L
には約え /4に設定される力 好ましくは約え /4より 10%程度長い 0. 275 λ 程
L L L
度に設定される。
[0021] また、放射素子 16a〜; 16dの各終端には、例えば板状の短絡素子 17a〜17dが導 体板 11に対して垂直となるように設けられる。上記短絡素子 17a〜; 17dは、例えば放 射素子 16a〜16dの終端を下方に直角に折り曲げる等の手段により形成したもので 、図では放射素子 16a〜; 16dの幅 W2と同じ幅を有している。但し、これらの幅は必 ずしも同一に設定する必要はない。上記短絡素子 17a〜; 17dは、先端が導体板 11 に溶着あるいはネジ止め等によって接続され、その高さ Hは約え /10〜え /16程
L L
度に設定される。
[0022] 上記のように放射素子 16a〜; 16dは、導体板 11と対向して、より詳しくは平行に設 けられ、給電点 18に上記同軸コネクタ 12の中心導体 14がネジ止め、あるいは半田 付け等によって接続される。この場合、放射素子 16a〜; 16dは、短絡素子 17a〜; 17d 側の先端部を例えば導体板 11の各角部(四隅)に対応して設け、導体板 11をなるベ
く/ J、さく形成できるようにしている。
[0023] 上記アンテナ素子 15の具体的な寸法例としては、例えば使用周波数帯における最 低周波数が UHF帯の 470MHzの場合、導体板 11の一辺の長さ W1が 300〜400 mm、放射素子 16a〜; 16dの幅 W2力 S約 35mm、高さ Hが約 40mmに設定される。
[0024] 上記のように構成されたアンテナ装置は、例えば地下街の天井に設置する場合に は、アンテナ素子 15を下側、同軸コネクタ 12を上側にして数十 mの間隔で複数設置 される。この場合、アンテナ装置には、アンテナ素子 15を保護する保護カバー(レド ーム)が必要に応じて設けられる。
[0025] そして、地上に例えば地上波(テレビ、携帯電話)受信用の大型の屋外アンテナを 設置し、この屋外アンテナで受信した地上波を中継用受信装置で受信'増幅し、同 軸ケーブルにより上記アンテナ装置の給電点 18に給電する。アンテナ装置は、給電 点 18に給電されると、給電点 18から短絡素子 17a〜17dの方向に給電電流が流れ 、各放射素子 16a〜; 16dから下方に向けて垂直偏波の電波が放射される。なお、各 放射素子 16a〜16dは等角度ほたは略等角度)に設けられることから、水平面指向 性を無指向化することができる。
[0026] 従って、地上波が直接届かなレ、地下街等におレ、ても、上記地下街に設置されたァ ンテナ装置から再送信される電波を、携帯電話、テレビ受信機、あるいはテレビ受信 機能を備えたモパイル機器により受信することが可能となる。
[0027] 上記第 1実施形態に示したアンテナ装置は、アンテナ素子 15の高さが 40mm程度 で、保護カバーを含めても 45mm〜50mm程度であり、小型で低姿勢である。従つ て、地下街等の設置スペースが狭い場所であっても容易に設置でき、且つ美観を保 つこと力 Sでさる。
[0028] なお、上記第 1実施形態では、アンテナ素子 15として 4本の放射素子 16a〜; 16dを 設けた場合につ!/、て示したが、 2本以上であれば任意の数に設定することが可能で ある。また、放射素子 16a〜; 16dは、板状素子に限るものではなぐ線状素子を用い ても良い。また、放射素子 16a〜; 16dの終端は、板状の短絡素子 17a〜17dの代わり にショートピン等のピン状の短絡素子を使用して短絡しても良い。
[0029] また、上記第 1実施形態では、導体板 11の四隅に近接して短絡素子 17a〜; 17dを
設けた(即ち、放射素子 16a〜16dを導体板 11の対角線上に配置した)場合につい て示したが、その他の位置、例えば導体板 11の各辺部に対応させて短絡素子 17a 〜; 17dを設けても良い。
[0030] また、上記第 1実施形態では、各放射素子 16a〜16d間に空隙を形成した場合に ついて示したが、空隙を無くし、 1枚の金属板により放射素子を形成しても良い。この 場合、放射素子の給電点を中心とする円周上に等間隔で短絡素子 17a〜17dを設 けるようにする。これにより、放射素子には給電点 18から短絡素子 17a〜17dの方向 に給電電流が流れるので、複数の放射素子 16a〜16dを設けた場合と同等に作用し 、水平面無指向性化を図ることができる。
[0031] (第 2実施形態)
次に、本発明の第 2実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図 3Aは本発明の第 2実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図 3Bは要部(無給 電素子部分)を示す斜視図、図 4は同側面図である。なお、第 1実施形態と同一部分 には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
[0032] この第 2実施形態は、上記第 1実施形態に係るアンテナ装置において、給電部、す なわち導体板 11上に突出させた同軸コネクタ 12の中心導体 14を中心として、その 同心円上に 1個以上例えば 4個の整合用の無給電素子 21 a〜 21 dを等間隔 (等角度 )に設けたものである。
[0033] 無給電素子 21a〜21dを中心導体 14の近傍に配置することで、無給電素子 21 a〜
21 dの垂直部分と中心導体 14との間が電磁結合される。また、上記無給電素子 21a 〜21 dは、水平部 22a〜22dを備えている。水平部 22a〜22dは、放射素子 16a〜l 6dそれぞれの短絡箇所と給電点 18とを結ぶ線路に容量結合されるように、各線路 上またはその近傍に形成される。例えば、図 3Bに示すように、水平部 22a〜22dは、 金属板を使用して上部を外側方向、すなわち、中心導体 14とは反対方向に約 90° 折り返して逆 L字状に形成したものである。
[0034] この無給電素子 21a〜21dは、例えば中心からの間隔 SDが約 0. 026 λ 、幅 SW
L
力 0. 019 λ 、高さ SHカ約 0. 055 λ 、水平き 22a〜22dの長さ SLカ約 0. 023 λ
L L L
に設定される。上記無給電素子 21a〜21dは、同心円上であれば回転した位置に設
置しても問題はなぐ任意の位置に設置することができる。無給電素子 21a〜21dは 、その設置位置によって特性を微調整することが可能である。
[0035] 上記無給電素子 21a〜21dの具体的な寸法例としては、例えば使用周波数帯に おける最低周波数が 470MHzの場合、中心からの間隔 SDが約 17mm、幅 SWが 1 2mm、高さ SHが約 36mm、水平部の長さ SLが約 15mmに設定される。
[0036] 上記第 2実施形態に係るアンテナ装置では、無給電素子 21a〜21dがスタブとして 作用する。すなわち、無給電素子 21a〜21dを設けることで、水平部 22a〜22dと放 射素子を流れる電流線路と容量結合させることができる。また、無給電素子 21a〜21 dを中心導体 14の近傍に配置することで、無給電素子 21a〜21dの垂直部分と中心 導体 14とを電磁結合させることができる。これにより、インピーダンス特性を決定する 設定パラメータの数が増加することとなり、広帯域に亘つて安定した状態に保持する ことが可能となる。
[0037] 図 5は第 2実施形態に係るアンテナ装置の給電点 18における実数部インピーダン ス特性を示したもので、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸にインピーダンス実部 [ Ω ] をとつて示した。この実数部インピーダンス特性は、図 5から明らかなように、 400-8 OOMHzまで略一定のインピーダンス(抵抗値)が得られて!/、る。
[0038] 図 6は上記アンテナ装置の給電点 18における虚数部インピーダンス特性を示した もので、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸にリアクタンス [ Ω ]をとつて示した。この虚 数部インピーダンス特性は、図 6から明らかなように、 500〜800MHzまで広い帯域 に亘つて、 0 ± 50 Ωのリアクタンス値が得られている。
[0039] 上記第 2実施形態に係るアンテナ装置では、実数部インピーダンス特性において 4 00〜800MHzまで略一定のインピーダンスが得られる力 その値が約 10 Ω程度で あり、一般的に使用される 50 Ω (給電用同軸ケーブルの特性インピーダンス)より少し 低い値となっている。従って、インピーダンス変換器を組み合わせてインピーダンスを 50 Ω程度に変換することにより、 400〜800MHzの広帯域特性を有するアンテナと して使用すること力でさる。
[0040] ここで、第 2実施形態に係るアンテナ装置の効果を確認するためのシミュレーション 結果を示す。図 7は、無給電素子を設けていない場合のアンテナ装置の斜視図であ
る。図 8は図 7に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図、図 9は同アンテナ装置 の VSWR特性図である。図 10は、図 7に示すアンテナ装置に無給電素子を設けた 場合のアンテナ装置の斜視図である。図 11は図 10に示すアンテナ装置のインピー ダンス特性図、図 12は同アンテナ装置の VSWR特性図である。
[0041] なお、図 7及び図 10において、放射素子 16a〜; 16dの高さは 45mmである。また、 短絡素子 17a〜17dの幅は、放射素子 16a〜; 16dの幅 W2より狭く設定されているが 、幅 W2としても同等の作用を有するので、何れを用いても良い。図 10において、無 給電素子 21 a〜21dは、周波数え 力 70ΜΗΖの自由空間波長である場合、中心
L
導体 14からの距離が 19mm ( 0. 03 λ )、高さが 35mm ( = 0. 55 λ )に設定され
L L
[0042] 図 8と図 11のインピーダンス特性を比較すると、図 11では、図 8よりも広い帯域に亘 つて実数部が 50 Ω付近で略一定の値を示すと共に、虚数部が 0 ± 50 Ωの値を示し ている。また、図 9と図 12の VSWR特性を比較すると、図 12では、特に高周波領域 において VSWRが低下していることが読み取れる。したがって、無給電素子を設ける ことにより広帯域化を図ることが可能であると言える。
[0043] なお、上記第 2実施形態では、無給電素子 21a〜21dの水平部 22a〜22dを方形 状に形成した場合について示した力 例えば三角形、扇形等、他の形状に形成して も良い。また、無給電素子 21a〜21dは、例えば T字状に形成しても良い。
[0044] (第 3実施形態)
次に本発明の第 3実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図 13は本発明の第 3実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
この第 3実施形態は、上記第 2実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子 1 6a〜16dそれぞれの隣り合う端部間を接続する線路をさらに備える。放射素子 16a 〜16dの上部に例えば円形のリング型素子 25を導体板 11と平行に設け、より広帯域 に亘つて良好なインピーダンス特十生を得られるようにしたものである。
[0045] なお、第 3実施形態では、第 2実施形態で示した短絡素子 17a〜17dに代えてショ 一トビン 19a〜; 19dを使用している。このショートピン 19a〜; 19dの直径は、例えば放 射素子 16a〜; 16dの幅 W2の約 1/2に設定される。上記ショートピン 19a〜19dは、
ネジ止めあるいは溶着等によって放射素子 16a〜; 16dと導体板 11との間に設けられ る。上記短絡素子 17a〜; 17dとショートピン 19a〜; 19dは、同等の作用を有しているの で、何れを使用しても良い。
[0046] 上記リング型素子 25は、放射素子 16a〜; 16dの上側に配置され、例えばショートピ ン 19a〜; 19dの上端部分において、ネジ止めあるいは溶着等によって固着される。そ の他の構成は、第 2実施形態と同様の構成であるので、同一部分には同一符号を付 して詳細な説明は省略する。
[0047] 上記リング型素子 25は、金属板を使用してリング状に形成したもので、その寸法は 例えば内径が約 0. 303 λ 、外径が約 0. 359 λ に設定される。リング型素子 25の
L L
幅は、放射素子 16a〜; 16dの幅 W2と同じ、または略同じ値に設定される。
[0048] 図 14は、第 3の実施形態に係るアンテナ装置の等価回路を示す図である。図 14に おいて、中心導体 14は不均一線路 1、放射素子 16a〜16dは均一線路 1、無給電素 子 21a〜21dは不均一線路 3、短絡素子 17a〜17dは不均一線路 2、リング型素子 2 5は均一線路 2とモデル化できる。無給電素子 21a〜21dは L、 Cの直列共振回路と して作用し、リング型素子 25はオープンスタブとして作用する。オープンスタブの先 端では電圧振幅が最大となり、付け根では電圧振幅は 0となる。オープンスタブの長 さを調節することでインピーダンス特性を容易に調整することができる。
[0049] 図 15は、上記第 3実施形態に係るアンテナ装置の給電点 18における実数部インピ 一ダンス特性で、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸にインピーダンス実部 [ Ω ]をとつ て示した。リング型素子 25を設けることによって実数部インピーダンス特性は、 400〜 800MHzまでの広い帯域に亘つて 50土(20〜30) Ωに保持される。
[0050] 図 16は、上記アンテナ装置の給電点 18における虚数部インピーダンス特性で、横 軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸にリアクタンス [ Ω ]をとつて示した。虚数部インピーダ ンス特性は、 450〜900MHzまでの広い帯域に亘つて 0 ± 20 Ωのリアクタンス値が 得られている。
[0051] 図 17は、上記アンテナ装置において、導体板 11の一辺の長さ W1を 400mmに設 定した場合の VSWR特性であり、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸に VSWRをとつ て示した。この VSWR特性は、 480〜820MHzの広い帯域で VSWR≤2となり、そ
の比帯域は約 57%であった。
[0052] ここで、第 3の実施形態に係るアンテナ装置における無給電素子 21a〜21dの効果 を確認する。図 18は、図 13の構成から無給電素子 21a〜21dを外したモデルの実 数部インピーダンス特性図である。また、図 19は同モデルの虚数部インピーダンス特 性図、図 20は同モデルの VSWR特性図である。
[0053] 図 15と図 18の実数部インピーダンス特性を比較すると、図 15では 50 Ω付近を保 持する周波数領域が広帯域にわたっている。図 16と図 19の虚数部インピーダンス特 性を比較すると、図 16では広帯域にわたって 0 Ω付近のリアクタンス値が得られてい ること力 Sわ力、る。また、図 17と図 20の VSWR特性を比較すると、図 17では VSWR≤ 2を満たす領域は広帯域化していることが読み取れる。第 3の実施形態に係るアンテ ナ装置の構成においても、無給電素子 21a〜21dを備えることにより広帯域化を図る こと力 S可倉であること力 S確言忍できる。
[0054] 上記第 3実施形態に係るアンテナ装置では、広い周波数帯域に亘つて 50 Ω前後 のインピーダンスに保持されるので、インピーダンス変換器を用いることなぐ広帯域 アンテナとして使用すること力 Sできる。
[0055] なお、上記第 3実施形態では、リング型素子 25を円形に形成した場合について示 したが、その他、方形や多角形等、任意の形状に形成し得るものである。
[0056] さらに、上記第 3実施形態では、各放射素子 16a〜16dとリング型素子 25と間に空 隙が形成された場合について示した力 空隙を無くし、 1枚の金属板により円板状の 放射素子を形成しても良い。図 21は、円板状のアンテナ素子を有するアンテナ装置 の斜視図である。図 22は、図 21に示すアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図 、図 23は同アンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図、図 24は同アンテナ装置 の VSWR特性図である。
[0057] 図 21において、円板状素子 25aの円周上に等間隔でショートピン 19a〜19dを設 けることにより、円板状素子 25aには給電点 18からショートピン 19a〜; 19dの方向に 給電電流が流れる、さらにその一部は円板状素子 25aの外周を流れる。
[0058] 図 22、 23力 S示すように、図 13の構成の場合と同様に良好なインピーダンス特性が 得られている。図 24から明らかなように、このようにしても、 570MHz〜840MHzの
広い帯域で VSWRを 2以下とすることができる。なお、円板状素子 25aの形状は、円 板状に限らず、方形または多角形等としてもよい。
[0059] (第 4実施形態)
次に本発明の第 4実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
[0060] 図 25は本発明の第 4実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
[0061] この第 4実施形態は、上記第 3実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子 1 6a〜; 16dのショートピン 19a〜19dの近傍の導体板 11に整合板 31a〜31dをさらに 備えたものである。整合板 31a〜31dは、例えば図 25に示すように、導体板 11の四 隅(即ち放射素子 16a〜16dの延長線上に位置する部位)を他の部分より広げて形 成し、この広げた部分を上方に 90° 折り曲げて形成される。上記整合板 31a〜31d の一辺の長さは、導体板 11の長さの約 15 ± 5%に設定する。
[0062] また、リング型素子 25には、例えば各ショートピン 19a〜; 19dの略中央の位置にお いて、導体板 11との間に合成樹脂等の絶縁材によるスぺーサ 32a〜32dを設け、リ ング型素子 25が導体板 11と平行に保たれるように保持している。上記スぺーサ 32a 〜32dは、例えば円柱状や角柱状など任意の形状に形成することができる。
[0063] 上記のようにショートピン 19a〜19dに近い導体板 11の部分は、放射素子 16a〜l 6dからショートピン 19a〜19dを介して電流が流れる部分である。つまり、給電点 18と 放射素子 16a〜; 16dの短絡箇所とを結ぶ直線の延長線上に整合部 31a〜31dをそ れぞれ設けることにより、導体板 11に流れる電流線路を延長することができる。これ により、導体板 11の平面積を狭めることが可能となる。したがって、この部分に整合 板 31 a〜31dを設けることにより、導体板 11を効率的に作用させることができ、導体 板 11を小さく形成しても、良好な VSWR特性を保持することが可能となる。さらに、放 射素子 16a〜; 16dの短絡箇所と整合板 31a〜31dとの間隔を調整することによって 電磁結合させることができるため、設定パラメータの数を増加させることができ、より一 層の広帯域化を図ることが可能となる。
[0064] なお、整合板 31a〜31dを導体板 11の四隅だけでなぐ導体板 11の全周辺に亘っ て整合板を形成することも考えられる力、導体板 11を小さく形成している状態では、 導体板 11の全周辺に亘つて整合板を形成すると所望の特性が得られない場合があ
るので、ショートピン 19a〜; 19dの最も近い部分に対して整合板 31a〜31dを設けた 方が良好な結果が得られている。
[0065] 図 26は、導体板 11の一辺の長さ W1を 350mm (350 X 350mm)とし、整合板 31a
〜31dを設けていない場合の VSWR特性であり、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸 に VSWRをとつて示した。このとき VSWR特性は、 520〜830MHzの帯域で VSWR
≤2となり、その比帯域は約 47%であった。
[0066] 図 27は、上記図 25に示したアンテナ装置において導体板 11の大きさを 350 X 35
Ommとし、導体板 11の四隅に整合板 31a〜31dを設けた場合の VSWR特性である
。このときの VSWR特性は、 470〜790MHzの帯域で VSWR≤2となり、約 51 %の 比帯域が得られた。
[0067] 整合板 31a〜31dを設けることにより、 VSWR≤ 2の比帯域が向上すると共に、動 作する最低周波数は 520MHzから 470MHzまで低くなり、 VSWR値も全体的に 1 に近くなつて整合される。
[0068] 図 28〜図 30は、上記第 4実施形態におけるアンテナ装置の垂直偏波水平面 (X—
Y面)指向性を示したもので、図 28は 470MHzの周波数、図 29は 590MHzの周波 数、図 30は 710MHzの周波数における特性である。
[0069] 上記第 4実施形態におけるアンテナ装置の水平面指向性は、図 28〜図 30からも 明らかなように各周波数帯において 2dB以下の偏差に抑えられた無指向性となって いる。
[0070] 図 31〜図 33は、上記第 4実施形態におけるアンテナ装置の垂直偏波垂直面 (Y— Z面)指向性を示したもので、図 31は 470MHzの周波数、図 32は 590MHzの周波 数、図 33は 710MHzの周波数における特性である。アンテナ構成を左右対称構造 にして!/、るため、指向性も対称形となって!/、る。
[0071] 上記第 4実施形態によれば、整合板 31a〜31dを設けることによって VSWR特性を 改善でき、導体板 11を小さくしてアンテナの小型化を図ることができる。また、整合板 31a〜31dを設けた場合でも、放射素子 16a〜; 16dの高さを更に高くする必要はなく 、第 1実施形態に示した高さのままで所望の放射特性を得ることができる。
[0072] また、リング型素子 25と導体板 11との間にスぺーサ 32a〜32dを設けることにより、
リング型素子 25全体を導体板 11に対して平行に保つことができ、常に安定した特性 を保持すること力できる。
[0073] なお、上記第 4実施形態では、導体板 11の一部を広げ、その広げた部分を折曲げ て整合板 31a〜31dを形成した場合について示した力 S、別体の部材を導体板 11に 取付けて整合板 31a〜31dを形成しても良い。また、この別体の部材の取り付け部分 は、導体板 11の四隅に限らない。給電点 18と放射素子 16a〜16dの短絡箇所とを 結ぶ直線の延長線上であれば、この部材を短絡箇所近傍に取り付けて整合板 31a 〜31 dを形成するようにしても良い。
[0074] また、上記第 4実施形態では、導体板 11の広げた部分を 90° 折曲げて整合板 31 a〜31dを形成した場合について示した力 広げた部分を折り曲げずに、そのままの 状態で整合板 31a〜31dとしても、折曲げた場合と同等の効果を得ることができる。
[0075] また、第 4実施形態では、導体板 11の四隅に整合板 31a〜31dを形成した場合に ついて示したが、放射素子 16a〜; 16dのショートピン 19a〜; 19dを導体板 11の辺部 に対応して設けた場合には、ショートピン 19a〜19dに近い導体板 11の辺部に整合 板 31 a〜31dを設ければ良い。
[0076] また、第 4実施形態では、リング型素子 25を備えたアンテナに実施した場合につい て示したが、リング型素子 25を備えていないアンテナに対して整合板 31a〜31dを設 けた場合でも、整合の効果を得ることができる。
[0077] (第 5実施形態)
次に本発明の第 5実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
[0078] 図 34は本発明の第 5実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
[0079] この第 5実施形態に係るアンテナ装置は、 1つの導体板 11上に複数例えば第 1の アンテナ素子 15a及び第 2のアンテナ素子 15bを設けたものである。この実施形態で は、線状素子を用いてアンテナ素子 15a、 15bを構成した場合について示している。 第 1のアンテナ素子 15aは、低い周波数帯の信号に共振するように各部の長さが設 定され、第 2のアンテナ素子 15bは、第 1のアンテナ素子 15aよりも高い周波数帯の 信号に共振するように各部の長さが設定される。
[0080] 上記第 1のアンテナ素子 15a及び第 2のアンテナ素子 15bは、各実施形態で示した
アンテナ素子 15と同様の構成であるので詳細な説明は省略する力 3本以上の放射 素子41 &〜41(1、51&〜51 d及び各放射素子の外側端を導体板 11に接続するショ 一トビン(あるいはショート板) 42a〜42dによって形成され、各放射素子の中央部に 設けられる給電点 18a、 18bに同軸コネクタの中心導体 14a、 14bによって給電され る。更に、給電線路の周囲に無給電素子を設けても良い。また、各アンテナ素子 15a 、 15bの上部に第 3実施形態で説明したリング型素子を設けても良い。
[0081] 第 1のアンテナ素子 15aは、低い周波数帯の信号に共振するように設定される。一 方、第 2のアンテナ素子 15bは、第 1のアンテナ素子 15aの共振周波数よりも高い周 波数帯の信号に共振するように各部の長さが設定されるので、各部の寸法が第 1の アンテナ素子 15aよりも短ぐ第 1のアンテナ素子 15aの各放射素子 41a〜41dの間 及び下方に生じたスペースを利用して設置することができる。このため導体板 11を特 に大きく形成することなぐ 2つのアンテナ素子 15a、 15bを配置することができる。
[0082] 上記のように 1つの導体板 11上に 2つのアンテナ素子 15a、 15bを配置することに より、小型低姿勢でありながら異なる周波数帯に対応させることができる。
[0083] なお、上記第 5実施形態では、 1つの導体板 11上に 2つのアンテナ素子 15a、 15b を設けた場合について示した力 更にそれ以上のアンテナ素子を設けても良い。
[0084] 本発明に係るアンテナ装置は、以上説明したように広帯域であり、且つ小型低姿勢 で水平面無指向性であるので、ワンセグ放送の中継装置の他、移動体通信における 中継局や無線 LAN等に使用して大きな効果を発揮することができる。また、 GHz帯 等の高い周波数帯では、更にアンテナを小型化できるので、モパイル機器において も使用することが可能である。
[0085] (第 6実施形態)
次に、本発明の第 6実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図 35は本発明の第 6実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図 36は給電路 61部 分の詳細を示す側面図である。
[0086] この第 6実施形態は、上記第 1実施形態に示したアンテナ装置において、放射素 子 16a〜; 16dの中心部に形成される給電部 18cの下側に、半球状の外周面を指数 関数の曲線をなすように形成した給電路 61を設けている。この給電路 61は、円形部
を上側に位置させて上記給電部 18cに接続し、下側に位置する指数関数曲線の頂 部を導体板 11の上部に導出した同軸コネクタ 12の中心導体 14に半田付け等により 接続する。上記導体板 11の上部に導出した同軸コネクタ 12の中心導体 14の高さは 、 0〜数 mm程度に設定される。
[0087] 図示の如く給電路 61は、給電端子(同軸コネクタ 12)側の端部(下端) 61aに比し て、給電部 18c側の端部(上端) 61bが広幅 (拡幅)に形成される。また、上記給電路 61の上側円形部は、放射素子 16a〜 16dの給電部 18cに数個所でネジ止め等によ り固定され、電気的に接続される。この場合、給電部 18cは、放射素子 16a〜; 16dの 交差中央部において、給電路 61の上側円形部に対応するように形状及び大きさが 設定される。上記給電路 61は、例えば高さ H (図 36に示す)が約え /10、上側円
L
形部の直径 Dが約え /13となるようにその形状が設定される。なお、給電路 61の上
L
側円形部の直径 Dは、 λ /13程度が好ましいが、 λ /13 ± 50%の範囲で設定す
L L
ること力可能である。また、給電路 61の高さ Ηは、約 λ /10の値が好ましいが、それ
L
以下例えば約 λ /16程度まで低くすることが可能である。
L
[0088] 上記給電路 61の外周面は、下式によって求められる母線を鉛直軸回りに回転させ ることによって得られる。
[0089] x= - [exp { - a (z -z ) } - l] +x
但し、図 36に示すように給電路 61の上側における(X, z)座標位置を (X , z )、下 側頂点の(X, z)座標位置を(0, z )とする。また、 aは定数である。
2
[0090] なお、第 6実施形態では、短絡素子 17a〜17dの幅を狭ぐ例えば約 λ /120に
L
設定しているが、第 1実施形態で示したように放射素子 16a〜16dの幅 W2と同じで あっても良い。その他の構成は、第 1実施形態と同様の構成であるので、同一部分に は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
[0091] 図 37は、上記第 6実施形態に係るアンテナ装置の給電部 18cにおける入力抵抗の 周波数特性を示したもので、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸に抵抗 [ Ω ]をとつて 示した。この入力抵抗の周波数特性は、 450〜; 1850MHzの間で 50 (給電用同軸ケ 一ブルの特性インピーダンス)土(20〜30) Ωのインピーダンスに保持されている。
[0092] 図 38は上記アンテナ装置の給電部 18cにおける虚数部インピーダンス特性を示し
たもので、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸にリアクタンス [ Ω ]をとつて示した。この 虚数部インピーダンス特性は、図 38から明らかなように、 450〜; 1750MHzまで広い 帯域に亘つて、 0 ± 50 Ωのリアクタンス値が得られて!/、る。
[0093] 図 39は、上記アンテナ装置において、導体板 11の一辺の長さ W1を 400mmに設 定した場合の VSWR特性であり、横軸に周波数 [GHz]をとり、縦軸に VSWRをとつ て示した。この VSWR特性は、 470〜; 1600MHzの広い帯域で VSWR≤ 2となり、 約 110%の比帯域が得られた。
[0094] 図 40〜図 42は、上記第 6実施形態におけるアンテナ装置の垂直偏波水平面指向 性(X—Y面)を示したもので、図 40は 500MHzの周波数、図 41は 1GHzの周波数
、図 42は 1 · 6GHzの周波数における特性である。
[0095] 上記第 6実施形態におけるアンテナ装置の水平面指向性は、図 40〜図 42からも 明らかなように各周波数帯において 2dB以下の偏差に抑えられた無指向性となって いる。
[0096] 上記第 6実施形態によれば、小型低姿勢化が可能となり、地下街等の設置スぺー スが狭い場所であっても容易に設置でき、且つ美観を保つことができる。
[0097] また、給電路 61の外周面を指数関数によって表わせられる曲線、すなわちイクスポ 一ネンシャルを用いた曲線をなすように形成することにより、広い周波数帯域に亘っ て入力抵抗を給電同軸ケーブルの特性インピーダンスと同程度の 50 Ω前後に保持 でき、インピーダンス変換器を用いることなぐ広帯域アンテナとして使用することがで きる。このため部品数を減少できると共にアンテナ全体の寸法を小さくでき、且つアン テナの取付け作業を簡易化することができる。
[0098] 尚、第 6実施形態において、各放射素子 16a、 16b,…の長さ Lは、給電路 61の中 心線上、即ち、中心導体 14の延長線上を始端として設定される。これは、以下の実 施形態でも同様である。
[0099] (第 7実施形態)
次に、本発明の第 7実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
この第 7実施形態に係るアンテナ装置は、第 6実施形態における指数関数の曲線 を持つ給電路 61に代えて、図 43に示すように半球状の外周面が略半楕円形状に形
成された給電路 61 Aを使用したものである。図示の如ぐ給電路 61 Aは、その下端 6 lAaよりも上端 61Abが拡幅される。その他の構成は、第 6実施形態と同じであるので 、詳細な説明は省略する。上記給電路 61Aの楕円扁平率は、例えば約 60%である
〇
[0100] 図 44は、第 7実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性であり、横軸に周波数 [ GHz]をとり、縦軸に VSWRをとつて示した。この VSWR特性は、 500〜; 1450MHz の広い帯域で VSWR≤2となり、約 103%の比帯域が得られた。
[0101] 上記第 7実施形態に係るアンテナ装置においても、第 6実施形態に係るアンテナ装 置と同様に広い周波数帯域に亘つて入力抵抗を 50 Ω前後の値に保持でき、インピ 一ダンス変換器を用いることなぐ広帯域アンテナとして使用することができる。
[0102] なお、上記第 6実施形態では給電路 61の外周面を指数関数曲線に形成し、第 7実 施形態では給電路 61Aの外周面を半楕円形状に形成した場合について示したが、 その他、例えば図 45A、 45Bに示すように直径の異なる円形の金属板 60a、 60b,… を複数枚重ねて外周面が指数関数曲線または半楕円形状に近似した(下端 61Baよ りも上端 61Bbを拡幅させた)形状の給電路 61Bを形成しても、上記第 6実施形態や 第 7実施形態に示したアンテナ装置と略同様の特性を得ることができる。上記図 45A は給電路 61Bの斜視図、同図 45Bは同側面図である。
[0103] (第 8実施形態)
次に、本発明の第 8実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図 46は本発明の第 8実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図 47は給電路部分 の詳細を示す斜視図である。
[0104] この第 8実施形態に係るアンテナ装置は、第 6実施形態における指数関数曲線を 持つ給電路 61に代えて、図 46、図 47に示すように外周面を指数関数の曲線に形成 した、別言すれば下端 61Caよりも上端 61Cbを拡幅した複数枚例えば 4枚の金属板 62a〜62dからなる給電路 61Cを使用したものである。この場合、給電路 61Cを構成 する金属板 62a〜62dは、放射素子 16a〜; 16dの下側に位置するよう配置する。そ の他の構成は、第 6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳 細な説明は省略する。
[0105] 上記のように外周面を指数関数の曲線に形成した複数枚の金属板 62a、 62b,… により構成した給電路 61Cを使用した場合においても、第 6実施形態と同様に広い 周波数帯域に亘つて入力抵抗を 50 Ω前後の値に保持でき、インピーダンス変換器 を用いることなく広帯域特性を得ることができる。
[0106] なお、上記第 8実施形態では、 4枚の金属板 62a〜62dにより給電路 61Cを構成し た場合について示した力 S、放射素子 16の本数が変更された場合にはそれと同じ数 の金属板 62a、 62b、…を用いて構成し、金属板 62a、 62b、…を各放射素子 16a、 1 6b、…の下側に位置するように配置する。
[0107] また、上記第 8実施形態では、給電路 61Cを構成する金属板 62a〜62dの外周面 を指数関数の曲線に形成した場合について示した力 金属板 62a〜62dの外周面を 半楕円形状に形成しても、略同様の特性を得ることができる。即ち、各金属板から構 成される給電路 61Cの幅が、下端に比して上端が拡幅されていれば、広帯域特性を 実現すること力 Sでさる。
[0108] (第 9実施形態)
次に、本発明の第 9実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図 48は本発明の第 9実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
この第 9実施形態に係るアンテナ装置は、第 6実施形態における指数関数の曲線 を持つ給電路 61の内部を中空に形成したものである。この場合、給電路 61は、図示 しないが、例えば上側円形部の周囲に各放射素子 16a〜; 16dに対応させて複数の 支持片を形成し、この支持片を利用して放射素子 16a〜16dにネジ止め等により固 定する。その他の構成は、第 6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を 付して詳細な説明は省略する。
[0109] 上記のように給電路 61の内部を中空に形成しても、第 6実施形態に係るアンテナ 装置と略同様の特性を得ることができる。
[0110] なお、上記図 48では、給電路 61の中空となっている部分に対して放射素子 16a〜 16dを設けていない場合について示した力 給電路 61の上部開口部分に放射素子 16a〜 16dを位置させても良!/、。
[0111] また、上記第 9実施形態では、指数関数の曲線を持つ給電路 61の内部を中空に
形成した場合について示したが、第 7実施形態に示した外周面が半楕円形状に形成 された給電路 61Aの内部を中空に形成しても良い。
[0112] また、図 45A、 45Bに示したように直径の異なる円形の金属板 60a、 60b、…を複 数枚重ねて指数関数の曲線または半楕円形状に近似した形状の給電路 61Bに対し て内部を中空に形成しても良い。
[0113] (第 10実施形態)
次に、本発明の第 10実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 49は本発明の第 11実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。この第 10実 施形態は、上記各実施形態、例えば第 6実施形態に係るアンテナ装置において、各 放射素子 16a〜; 16dを長方形以外の形状、例えば短絡素子 17a〜17d側が細くなる ように、即ち上面から視て略三角形状となるように形成したものである。その他の構成 は第 6実施形態に係るアンテナ装置と同様の構成であるので、詳細な説明は省略す
[0114] 上記のように各放射素子 16a〜16dを略三角形状に形成しても、第 6実施形態と略 同等の特性を得ることができる。
[0115] (第 11実施形態)
次に、本発明の第 11実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 50は本発明の第 11実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。この第 11実 施形態は、上記各実施形態例えば第 6実施形態に係るアンテナ装置において、各 放射素子 16a〜16dを導体板 11側に傾斜させて配置し、その先端を導体板 11に直 接接続して短絡素子 17a〜 17dを省略するようにしたものである。その他の構成は第 6実施形態に係るアンテナ装置と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
[0116] 上記のように各放射素子 16a〜16dを傾斜させて配置し、その先端を導体板 11に 直接接続しても、第 6実施形態と略同等の特性を得ることができる。
[0117] (第 12実施形態)
次に、本発明の第 12実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 51は本発明の第 13実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。この第 12実 施形態は、上記各実施形態例えば図 46、図 47に示した第 8実施形態に係るアンテ
ナ装置において、各放射素子 16a〜; 16dの面を導体板 11に対して垂直に位置する ように配置したものである。この場合、給電路としては、第 8実施形態で示したように 放射素子 16a〜 16dと同数の金属板 62a〜62dからなる給電路 61 Cを使用し、各金 属板 62a〜62dを放射素子 16a〜; 16dの下側に位置するように配置することが望まし い。その他の構成は第 8実施形態に係るアンテナ装置と同様の構成であるので、詳 細な説明は省略する。
[0118] 上記のように各放射素子 16a〜; 16dの面を導体板 11に対して垂直に位置するよう に配置しても、第 6実施形態と略同等の特性を得ることができる。
[0119] (第 13実施形態)
次に、本発明の第 13実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 上記各実施形態において、放射素子 16a〜16dの長さや給電路の形状等を調整 することによって周波数帯域を調整することが可能である。しかし、周波数帯域を広く すると、図 52の VSWR特性に示すように特定の周波数帯(図では 1 · 1GHz付近)に おける VSWRの値が悪化してしまう場合がある。また、放射素子の長さを変えずにァ ンテナ高さを低くした場合も、インピーダンス実部が高くなり、同様の現象が起き得る
〇
[0120] このような問題を解決するため第 13実施形態では、図 53A、 53Bに示すように放射 素子 16a〜; 16dの端部より所定距離 dだけ内側に短絡素子 17a〜17dを設けている 。上記所定距離 dは、 λ と VSWRが悪化した周波数に応じて適宜な値に設定される
L
。この所定距離 dを設けることで、 VSWRの悪化した周波数付近のインピーダンス実 部を低下させることができると共に、インピーダンス虚部の変動を小さくすることができ る。これにより、 VSWRを改善できる。
[0121] 図 53Aは、短絡素子 17a〜17dの上端と下端にフランジを形成し、それぞれのフラ ンジを、ねじ 72a、 72bにより放射素子 16a〜16d及び導体板 11に固定して放射素 子 16a〜; 16dと導体板 11との間を短絡した場合の例を示している。
[0122] また、図 53Bは、放射素子 16a〜; 16dの端部に長さ dの切り込み 73を設け、この切 り込み部分を導体板 11側に折り曲げて短絡素子 17a〜 17dを形成し、その先端を導 体板 11に接続して放射素子 16a〜; 16dと導体板 11との間を短絡させた場合の例を
示している。
[0123] 図 54は、図 52の VSWR特性を示すアンテナ装置において、約え /55〜え /2
L L
5の範囲で所定距離 dを設定してインピーダンス整合した時の VSWR特性図である。 上記のように放射素子 16a〜16dの端部より所定距離 dだけ内側に短絡素子 17a〜 17dを設けることにより、図 54に示すように 1 · 1GHz付近における VSWRの値を 2以 下とすること力できる。なお、図 54の VSWR特性は、放射素子 16a〜; 16dの長さや給 電路の形状等を調整し、 470MHz〜2. 1GHzを使用帯域として設定した場合を示 している。また、図 54に示す VSWR特性は、 470MHz〜2. 1GHzの帯域で VSWR ≤2となり、約 130%の比帯域が得られた。
[0124] (第 14実施形態)
次に、本発明の第 14実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 55は本発明の第 14実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図 56はアンテナ素 子 15の平面図、図 57は同側面図である。この第 14実施形態に係るアンテナ装置は 、上記図 45A及び 45Bに示した給電路 61Bを 4本の放射素子 16a〜; 16dと容量結 合させるものである。なお、上記各実施形態で示した構成と同一部分には同一符号 を付し、詳しい説明は省略する。
[0125] 放射素子 16a〜; 16dは、上記第 1実施形態における幅 W2よりも広く幅 Wとし、端部 に突出部が形成される。この突出部は、例えば、平板十字形素子の先端の角部を正 方形に切り取って形成する。放射素子 16a〜; 16dは、導体板 11上に高さ Hの間隔で 配置されている。高さ Hは、例えば使用周波数帯における最低周波数力 70MHz の場合、およそえ /18に設定される。
[0126] 給電路 61 Bは、下側に位置する指数関数曲線の頂部を導体板 11の上部に導出した 中心導体 14に半田付け等により接続する。給電路 61Bの上側円形部と放射素子 16 a〜; 16dは、容量結合するように、 0. 1Hの間隔となるように離して配置される。
[0127] 具体的な寸法例としては、図 56において、放射素子の端部(終端)間の長さ Lは 31 5mm、短絡素子間の長さ LSWは 238mm、短絡素子の幅 SWは 9mmに設定される 。また、図 57において、放射素子 16a〜16dの高さ Hは 35mmに設定される。給電 路 61Bは、上側円形部の直径 Aは 60mm、中心導体 14の直径は 3mm、その高さ F
PHは 6mmで形成される。また、放射素子 16a〜; 16dと給電路 61Bの上側円形部と の間隔 SLは 3. 5mmに設定される。なお、導体板 11の一辺の長さ W1は 460mmに 設定される。
[0128] さらに、図 55に示すように、導体板 1 1には、整合板 31a〜31dが形成される。整合 板 31 a〜31dは、放射素子 16a〜; 16dの中央部と短絡箇所とを結ぶ直線の延長線 上に設けられる。例えば、整合板 31a〜31dは、導体板 11の四隅(即ち放射素子 16 a〜16dの延長線上に位置する部位)を他の部分より広げて形成し、この広げた部分 を上方に約 90° 折り曲げて形成される。上記整合板 31a〜31dの一辺の長さは、導 体板 11の長さの約 15 ± 5%に設定する。具体的な寸法例としては、整合板 31a〜3 Idの一辺の長さは 70mm、高さは 28mmに开$成される。
[0129] ここで、同実施形態に係るアンテナ装置と、給電路 61Bを放射素子 16a〜16dに直 接接続した場合との特性を比較する。図 58は、同実施形態に係るアンテナ装置にお V、て、放射素子と給電路とを直接接続した場合の実数部インピーダンス特性図であり 、図 59は虚数部インピーダンス特性図、図 60は VSWR特性図である。図 61は、同 実施形態に係るアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図であり、図 62は虚数部 インピーダンス特性図、図 63は VSWR特性図である。
[0130] 図 58、 59と、図 61、 62とを比較すると、容量結合の場合には、直接接続の場合より も局所的な悪化が抑制され、一層良好なインピーダンス特性を有することがわかる。 また、図 60によれば、直接接続の場合はインピーダンス特性の局所的な悪化により VSWR値が 2を超える周波数帯が存在していた。一方、容量結合の場合では上記し たように局所的な悪化が抑制されることから、図 63から明らかなように、 450MHzか ら 2. 3GHzにわたつて VSWR≤ 2となっており、より一層良好な結果が得られた。
[0131] 上記第 14実施形態では、給電路 61Bと放射素子 16a〜16dとを容量結合方式に よって接続している。このようにすることで、直接接続した場合よりも設定パラメータを 増加させ、より一層の広帯域化を実現することができる。また、容量結合方式の実現 により、組み込み、構成を簡易に行うことができる。
[0132] なお、図 56及び図 57中の破線で示すように、給電路 61Bの上部円形部の円周上 又は中心部などの一部をボルト等によって給電部 18cに直接接続するようにしてもよ
い。このようにすることにより、容量結合による特性の向上を図りつつ、給電路 61Bの 耐震性を向上させることができる。
[0133] (第 15実施形態)
次に、本発明の第 15実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 64は本発明の第 15実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。この第 15実 施形態に係るアンテナ装置は、上記第 14実施形態に係るアンテナ装置において、 導体板 11の一辺を小さくすると共に、短絡素子 17a〜17dの近傍にさらに整合板 81 a〜81dを設けたものである。その他は、第 14実施形態で示した構成と同様であるた め、同一部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
[0134] 図 64に示すように、整合板 81a〜81dは、整合板 31a〜31dと短絡素子 17a〜; 17 dとの間に設けられ、上面に正方形の部材が取り付けられた形状である。整合板 81a
〜81dは、導体板 11とは別体の部材を折り曲げ等して形成され、短絡素子 17a〜; 17 dと所定距離離間して導体板 11に取付けられる。具体的な寸法例としては、整合板 8 la〜81dの一辺の長さは 50mm、高さは 28mmに形成される。なお、導体板 11の一 辺の長さ W1を 41 Omm (410 X 41 Omm)とする。
[0135] 図 65は、給電路 61Bと放射素子 16a〜; 16dとを直接接続し、整合板 81a〜81dを 設けていない場合の実数部インピーダンス特性図である。図 66は、この場合の実数 部インピーダンス特性図、図 67は、 VSWR特性図である。
[0136] 図 68は、給電路 61Bと放射素子 16a〜; 16dとを容量結合させ、整合板 81a〜81d を設けていない場合の実数部インピーダンス特性図である。図 69は、この場合の実 数部インピーダンス特性図、図 70は、 VSWR特性図である。
[0137] 図 65〜70と上記図 58〜63とを匕較すると、導体板 11を 460mm力、ら 410mmとし たことで、直接接続、容量結合いずれの場合もインピーダンスの整合にズレが生じ、
800MHz〜; 1GHzあたりで VSWR〉2となり特性が悪化している。
[0138] 図 71は、給電路 61Bと放射素子 16a〜; 16dとを直接接続し、整合板 81a〜81dを 設けた場合の実数部インピーダンス特性図である。図 72は、この場合の実数部イン ピーダンス特性図、図 73は、 VSWR特性図である。
[0139] 図 74は、給電路 61Bと放射素子 16a〜; 16dとを容量結合し、整合板 81a〜81dを
設けた場合の実数部インピーダンス特性図である。図 75は、この場合の実数部イン ピーダンス特性図、図 76は、 VSWR特性図である。
[0140] 図 7;!〜 76と上記図 58〜63とを比較すると、導体板 11が 460mmの場合とほぼ同 等のインピーダンス整合が得られ、 450MHz力、ら 2. 3GHzにわたつて VSWR≤2と なっており、広い帯域で良好な結果が得られた。よって、導体板 11を 460mmから 41 Ommと小さくしても、整合板 81a〜81dを取り付けることにより、直接接続、容量結合 いずれの場合でも広帯域で所望の特性を得ることが可能となる。よって、整合板 31a 〜31dに加え、さらに整合板 81a〜81dを取り付けることにより、所望の特性を維持し つつアンテナ装置を小型化することが可能となる。
[0141] (第 16実施形態)
次に、本発明の第 16実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 77本発明の第 16実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図 78は同側面図で ある。この第 16実施形態に係るアンテナ装置は、第 6実施形態に係るアンテナ装置 において、 2本の放射素子を直線状に配置、例えば 4本の放射素子 16a〜; 16dのう ち直線状に位置する 2本の放射素子 16a、 16cを使用すると共に、給電路 61に代え て、上記図 45A及び図 45Bに示した給電路 61Bを使用している。なお、第 16実施形 態では、放射素子 16a、 16cは、導体板 11の辺に平行に配置している。その他の構 成は、第 6実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明 は省略する。
[0142] 上記のように 2本の放射素子 16a、 16cを直線状に配置することにより、放射素子 1 6a、 16cに対して垂直となる座標軸 Z— X面の指向性を強ぐ座標軸 Z— Y面の指向 性を弱くすること力 Sできる。このため上記アンテナ装置を例えばトンネル等の細長い 通信エリアに設置することにより、短手方向への無駄な電波の放射を少なくし、長手 方向に対して電波を効率よく放射することが可能になる。
[0143] 図 79は、上記第 16実施形態に係るアンテナ装置の VSWR特性図であり、横軸に 周波数 [GHz]をとり、縦軸に VSWRをとつて示した。この VSWR特性は、 650〜27 50MHzの広!/、帯域で VSWR≤ 2となり、約 117%の比帯域が得られた。
[0144] 図 80は、上記第 16実施形態に係るアンテナ装置の周波数 0. 7GHzにおける垂直
偏波水平面指向性(図 77の座標軸 θ =45° ー¥面)を示し、 軸方向と¥軸方向 の指向性偏差は約 3dBの繭形指向性となっている。
[0145] 図 81は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 1. 7GHzにおける垂直偏波水 平面指向性(図 77の座標軸 Θ =45° X— Y面)を示し、 X軸方向と Y軸方向の指向 性偏差は約 4dBの繭形指向性となっている。
[0146] 図 82は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 2. 7GHzにおける垂直偏波水 平面指向性(図 77の座標軸 Θ =45° X— Y面)を示し、 X軸方向と Y軸方向の指向 性偏差は約 6dBの繭形指向性となっている。
[0147] 上記 θ =45° の方向に最大放射角度を設定する理由としては、例えば地下街等 よりも高さのあるトンネルの天井にアンテナを設置したとき、水平方向(90° )に最大 放射角度を設定したのではトンネル上部でのレベルは強いが下部ではレベルが弱く なり、通信領域を確保できないためである。
[0148] 図 83は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 0. 7GHzにおける垂直偏波垂 直面指向性(図 77の座標軸 Z— X面)を示す図である。
[0149] 図 84は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 0. 7GHzにおける垂直偏波垂 直面指向性(図 77の座標軸 Z— Y面)を示す図である。
[0150] 図 85は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 1. 7GHzにおける垂直偏波垂 直面指向性(図 77の座標軸 Z— X面)を示す図である。
[0151] 図 86は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 1. 7GHzにおける垂直偏波垂 直面指向性(図 77の座標軸 Z— Y面)を示す図である。
[0152] 図 87は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 2. 7GHzにおける垂直偏波垂 直面指向性(図 77の座標軸 Z— X面)を示す図である。
[0153] 図 88は、同実施形態に係るアンテナ装置の周波数 2. 7GHzにおける垂直偏波垂 直面指向性(図 77の座標軸 Z— Y面)を示す図である。
[0154] 上記図 83〜図 88は、上記図 77に示したアンテナ装置の座標軸 Z— X面及び Z—
Y面の指向性を示しており、レベルの強!/、座標軸 Z— X面の最大放射角度は各周波 数において Θ =45° となっている。これは、導体板付きアンテナの場合、導体板が 反射板の役割をしてビームがはね上がるためである。
[0155] 従って、上記アンテナ装置を例えばトンネルに設置する場合、トンネル内の長手方 向にレベルの高い座標軸 Z— X面、短手方向にレベルの低い座標軸 Z— Y面になる ように設置すると、天井が高ぐかつ細長い通信エリアにおいても良好な通信を行うこ と力 Sできる。
[0156] (第 17実施形態)
次に、本発明の第 17実施形態に係るアンテナ装置について説明する。 図 89Aは本発明の第 17実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図 89Bは要部( 無給電素子部分)を示す斜視図、図 90は同側面図である。この第 17実施形態に係 るアンテナ装置は、上記第 16実施形態に係るアンテナ装置において、給電部、すな わち導体板 11上に突出させた同軸コネクタ 12の中心導体 14を中心として、その同 心円上に 1個以上例えば 4個の整合用の無給電素子 21 a〜 21 dをほぼ等間隔に設 けたものである。
[0157] 上記無給電素子 21a〜21dは、例えば金属板を使用して上部を外側方向、すなわ ち、中心導体 14とは反対方向に約 90° 折り返して逆 L字状に形成したもので、水平 部 22a〜22dを備えている。この無給電素子 21a〜21dは、例えば中心導体 14から の f^鬲カ約 0. 026 λ 、幅力 SO. 019 λ 、高さ力 S約 0. 055 λ 、水平咅 ^22a〜22dの
L L L
長さが約 0. 023 λ に設定される。上記無給電素子 21a〜21dは、同心円上であれ
L
ば回転した位置に設置しても問題はなぐ任意の位置に設置することができる。無給 電素子 21 a〜21dは、その設置位置によって特性を微調整することが可能である。
[0158] 上記無給電素子 21a〜21dの具体的な寸法例としては、例えば使用周波数帯に おける最低周波数が 470MHzの場合、中心導体 14からの間隔が約 17mm、幅が 1
2mm、高さが約 36mm、水平部の長さが約 15mmに設定される。
[0159] 上記第 17実施形態に係るアンテナ装置では、無給電素子 21a〜21dがスタブとし て作用し、インピーダンス特性を広帯域に亘つて安定した状態に保持することができ
[0160] 以上説明したように本発明に係るアンテナ装置は非常に広帯域であり、且つ小型 低姿勢であるので、 UHF帯における地上波デジタル放送の中継装置に使用できる 他、例えば 800MHz、 1. 5GHz、 1. 9GHz、 2. 0GHzの電波を禾 lj用する携帯電話
の中継装置に使用できる。また、本発明に係るアンテナ装置は、使用周波数帯に合 わせた寸法とすることにより、移動体通信における中継局や無線 LAN (2. 4GHz帯 、 5GHz帯)、更には UWB (Ultra Wide Band)等に使用して大きな効果を発揮するこ とができる。この場合、放射素子 16a〜16dの下部に形成される空間に IC等の回路 素子を配置することが可能であるので、実装上有利である。また、 GHz帯等の高い周 波数帯では、更にアンテナを小型化できるので、モパイル機器においても使用するこ とが可能である。また、本発明に係るアンテナ装置は、誘電体やセラミックに導電剤を 塗布して製作することも可能である。
[0161] なお、上記第 14、 15、 16実施形態では給電路 61Bを示したが、上記第 6実施形態 なレ、し第 9実施形態で示した形状の給電路を用いても良!/、。
[0162] また、上記実施形態で示した給電路 61、 61A、 61B、 61Cは、外周面を指数関数 曲線や半楕円形状、あるいはそれらに近似させた形状としたが、給電端子(同軸コネ クタ 12)側の端部に比して給電部 18c側の端部が拡幅された形状であれば、その他 の形状であっても良い。
[0163] 例えば、図 91〜92に示すように、給電路を円錐状 (側面視三角形状)や半球状( 側面視半円状)、拡幅部と垂直部を組み合わせた形状、三角錐形状、四角錐形状な どとしてもよい。また、給電路は、給電端子側の端部に比して給電部 18c側の端部が 拡幅された形状に形成するが、例えば下端から上端までの間の一部の幅が狭くなつ ていても良い。
[0164] 上記図 92A、 92Bに示した給電路を用いた場合、 3本あるいは 4本の放射素子を 使用する。このとき水平面指向性の対称性が良いのは、図 92Aの三角錐形状の給 電路を用いた場合は 3本の放射素子を設けた場合であり、図 92Bの四角錐形状の給 電路を用いた場合は 4本の放射素子を設けた場合である。その際、放射素子の幅方 向の中点が、図 92A、 92Bに示す給電路の上端の角あるいは辺の中央に位置する ことが望ましい。但し、放射素子の本数と給電路の角数は、必ずしも一致させる必要 はない。
[0165] すなわち、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなぐ実施段 階ではその要旨を逸脱しな!/、範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種 々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構 成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せ てもよい。
産業上の利用可能性
本発明に係るアンテナ装置は、携帯電話やテレビ放送等の地上波を地下街等の 不感地帯に再送信する中継用のアンテナに適している。