WO2007148683A1

WO2007148683A1 - 紫外線遮蔽用水性分散組成物

Info

Publication number: WO2007148683A1
Application number: PCT/JP2007/062302
Authority: WO
Inventors: Yoshiaki Ueno; Yoshiyuki Morikawa
Original assignee: Sakata Inx Corp.
Priority date: 2006-06-21
Filing date: 2007-06-19
Publication date: 2007-12-27
Also published as: JP5031744B2; JPWO2007148683A1

Abstract

　水性媒体中での酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛の分散性および分散安定性が良好で、かつ水性媒体中への酸化亜鉛等の溶出がない紫外線遮蔽用水性分散組組成物を提供する。酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛が、ケン化度７５～９５モル％、粘度平均重合度２００～５０００のポリビニルアルコールの存在下で水性媒体中に分散されてなる水性分散組成物であって、前記ポリビニルアルコールの使用量が、前記被覆酸化亜鉛の１０質量％以上であることを特徴とする紫外線遮蔽用水性分散組成物。

Description

明細書

紫外線遮蔽用水性分散組成物

技術分野

[0001] 本発明は、水性媒体中での酸化亜鉛 (酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛)の分散性および分散安定性が良好な紫外線遮蔽用水性分散組成物に関する。

背景技術

[0002] 紫外線は、人体に深刻なダメージを与える他、プラスチックの黄変や強度劣化、また、色材を含有する塗料、インキあるいは固形物では変色や退色を引き起こす等、産業面にお！ヽても有害な影響を及ぼす。

[0003] 近年、オゾン層が破壊され、地表に到達する紫外線量が増カロしており、そこで紫外線の影響の軽減や遮蔽を考慮したフィルム、塗工剤、化学繊維の開発が行われるようになつてきている。

[0004] 紫外線を遮蔽する材料としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフエノン系等の有機系紫外線吸収剤、酸化亜鉛、酸ィ匕チタン等の無機系紫外線吸収剤がある。

[0005] 近年、環境問題から、これらの紫外線吸収剤を水性系の分散媒体に分散させた水性分散組成物が要求されている。そして、水性分散組成物の典型的な榭脂材料として、ポリビュルアルコール系榭脂が多方面で利用されて、る。

[0006] このような紫外線吸収剤と榭脂とを組み合わせた水性分散組成物としては、水に対する溶解度が低い有機系紫外線吸収剤（25°Cの水 100重量部に対する溶解度が 0 . 01〜10重量部である水溶性有機系紫外線吸収剤）をポリビニルアルコール水溶液に混合させたもの（ただしフィルム用途のものである）が提案されてヽる（例えば、特開平 11 189660号公報参照)。しかし、有機系紫外線吸収剤は紫外線を吸収して不安定となるため、上記のような組成物では、吸収剤自体が劣化する問題を有している。

[0007] 一方、紫外線に対して安定な無機系紫外線吸収剤を含有する水性分散組成物としては、紫外線遮蔽の効果が大きい 0. 001-0.： L mの超微粒子の無機系紫外線吸収剤をケン化度 99. 7〜99. 9モル％程度のポリビニルアルコールの水溶液中に混合させたもの（ただしフィルム用途のものである）が提案されている（例えば、特開平 11 29680号公報参照)。無機系紫外線吸収剤として、酸化亜鉛は非常に優れた性能を有するが、表面処理が施されていない酸ィ匕亜鉛を用いた場合は、水性媒体中に亜鉛イオンや不純物として含まれるカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の溶出が起こる。その結果として、酸化亜鉛粒子の凝集が発生し、分散安定性が低下するという問題が有る。

[0008] そこで、この問題を解決するために、酸化亜鉛の表面を酸化珪素で被覆処理した超微粒子酸化亜鉛 (酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛) を、 HLB10以上で、構成脂肪酸の炭素数 16以下の蔗糖脂肪酸エステルを用いて水性媒体中に分散させた水性分散組成物が提案されて!、る (例えば、特開平 11 0 19497号公報参照)。しかし、酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛は水性媒体中に安定に分散させるのが困難であり、上記のような蔗糖脂肪酸エステルでは十分な分散性が得られて、な、。発明の開示

[0009] 上記従来技術の問題点に鑑みて、本発明が解決しょうとする課題は、水性媒体中での、酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛を疎水化処理した酸ィ匕亜鉛の分散性および分散安定性が良好で、かつ水性媒体中への酸化亜鉛等の溶出がな、、紫外線遮蔽用水性分散組成物を提供することである。

[0010] 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、分散性の低い、酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛であっても、特定のケンィ匕度と重合度を有するポリビュルアルコールを用いると、水性媒体中に良好に分散できることを見出し、本発明を完成するに至った。

[0011] すなわち、本発明は、（1)酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛が、ケン化度 75〜95モル％、粘度平均重合度 2 00〜5000のポリビュルアルコールの存在下で水性媒体中に分散されてなる水性分散組成物であって、前記ポリビニルアルコールの使用量力前記被覆酸化亜鉛の 10 質量％以上であることを特徴とする紫外線遮蔽用水性分散組成物に関する。 [0012] また、本発明は、（2)前記疎水化処理が、オルガノポリシロキサンによる疎水化処理である前記（1)項に記載の紫外線遮蔽用水性分散組成物に関する。

発明を実施するための最良の形態

[0013] 以下、本発明についてさらに詳細に説明する。

[0014] 本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物は、酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛、ケン化度 75〜95モル％、粘度平均重合度 200〜5000のポリビュルアルコール力選ばれる少なくとも 1種、および水を必須成分として含有する水性媒体を必須成分として含む紫外線遮蔽用水性分散組成物である。

[0015] 構成材料

本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物を構成する酸化亜鉛としては、水性媒体への溶出を防止するために酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛で、平均一次粒子径が 0. 01〜： L mの酸化亜鉛が好ましく使用できる。当該被覆酸化亜鉛の平均一次粒子径が前記範囲を超えると、隠蔽力が大きくなり、透明性が低下するので、好ましくない。一方酸化亜鉛の平均一次粒子径が前記範囲より小さ!ヽと、紫外線遮断性が低下する。

[0016] このような被覆酸ィ匕亜鉛としては、特開平 11— 302015号公報に記載された、 (1) 酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に酸化亜鉛の重量に対して SiOとして 1〜50重量％の

2

水溶性ケィ酸塩を加え、温度を 60°C以上に保持しつつ、 40分以上の時間をかけて酸をカ卩えて、 pHが 6. 0〜8. 0の範囲となるまで、懸濁液を中和して、酸化亜鉛粒子の表面にケィ素酸ィ匕物らなる高密度の被覆層を形成させ、得られた懸濁液を濾過、水洗し、加熱乾燥させる方法、あるいは（2)酸ィ匕亜鉛粒子の水性懸濁液に、温度を 6 0°C以上に保持すると共に pHを 9〜： L0. 5の範囲に保持しつつ、酸化亜鉛の重量に対して SiOとして 1〜50重量％の水溶性ケィ酸塩と酸とを 40分以上の時間をかけて

2

同時に加えた後、さらに、酸をカ卩えて、 pHが 6. 0〜8. 0の範囲となるまで、懸濁液を中和して、酸ィ匕亜鉛粒子の表面にケィ素酸ィ匕物カゝらなる高密度の被覆層を形成させ、得られた懸濁液を濾過、水洗し、加熱乾燥させる方法等により酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛を形成後、オルガノポリシロキサンおよび zまたはカップリング剤で疎水化処理することにより得ることができる。

[0017] 前記疎水化処理に用いるオルガノポリシロキサンおよび Zまたはカップリング剤の使用量は、酸ィ匕亜鉛 (高密度シリカの被覆層を有しない酸ィ匕亜鉛）に対して、通常 1 〜20質量⁰ /₀、好ましくは 3〜10質量％の範囲である。

[0018] 前記酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛の、本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物中における含有量は、好ましくは 1〜70質量％、より好ましくは 1〜30質量％である。本発明の特定の被覆酸化亜鉛の含有量が前記範囲より少ないと、紫外線遮断性が低下する傾向があり、一方前記範囲より多いと分散させるのが困難となる傾向がある。

[0019] 次に、本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物を構成する、上記特定の被覆酸ィ匕亜鉛を分散させるための分散剤としては、ケンィ匕度が 75〜95モル％、好ましくは 75 〜90モノレ⁰ /₀、粘度平均重合度力 200〜5000、好まし <は 500〜2500のポジビニノレアルコールを使用する。ここで、ポリビュルアルコールは、ビュルアルコールから誘導される構成単位のほかは、実質的に酢酸ビニルから誘導される構成単位からなるものである。本発明においては、ケン化度、重合度が上記範囲内で異なる 2種以上のポリビニルアルコールを混合して使用することができる。

[0020] ここで、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度（P)は、 JIS— K6726に準じて測定される。すなわち、ポリビニルアルコールを完全に再ケンィ匕し、精製した後、 30°C の水中で測定した極限粘度（ r? )から次式により求められるものである。

P= ( ( r? ) X 10³/8. 29) ⁽¹ °·⁶²⁾

[0021] ポリビニルアルコールのケンィ匕度が前記範囲を超えると、上記特定の被覆酸化亜鉛の分散性が低下し、一方ケン化度が前記範囲より低いと、得られる紫外線遮蔽用水性分散組成物の泡立ちが増加するという問題が発生する傾向がある。また、重合度が前記範囲より小さいと、上記特定の被覆酸化亜鉛の分散安定性が低下し、一方重合度が前記範囲より大きいと、得られる紫外線遮蔽用水性分散組成物の粘度が高くなるという問題が発生する傾向がある。

[0022] このポリビニルアルコールの使用量は、上記特定の被覆酸化亜鉛に対して、 10質量％以上、好ましくは、 10〜200質量％である。その使用量が 10質量％より少ないと上記特定の被覆酸ィ匕亜鉛の水性媒体中での分散安定性が低下する。

[0023] 本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物を構成する水性媒体としては、水が好ましぐ必要に応じて水混和性有機溶剤を含有させることも可能である。

[0024] 用いる水としては、不純物を含まないものであれば特に限定されず、例えば水道水、イオン交換水、蒸留水等を用いることができるが、本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物の用途、たとえば塗工剤などに悪影響を及ぼす水溶性イオン性物質の含有量が少な、と、う観点からは、イオン交換水等を使用することが好ま U、。

[0025] 必要に応じて含有させる水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が例示できる。

[0026] 以上の材料からなる本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物は、単独で塗工剤として利用できる他、濃縮状態で製造し、他の塗工剤の添加剤として利用することもできる。そして、単独で塗工剤として利用する場合は、塗工適性等を考慮して、塗工時の雰囲気温度において粘度が 0. 05〜5Pa' sとなるように、固形分濃度を調整することが望ましぐ一方、添加剤として利用する場合は、低粘度の液状はもとより、再分散が可能であれば高粘度のペースト状となるような固形分濃度であってもよい。塗工剤としては、塗料、印刷インキなどが挙げられる。さらに化粧料などにも使用できる。

[0027] 酸化亜鉛水性分散組成物の製造方法

本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物の製造方法は、最終的に目的とする水性分散組成物を得ることができる方法であれば、特に制限されない。

[0028] たとえば、本発明における好ま、製造方法としては、例えば、酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛と、ケン化度 75〜95モル⁰ /₀、粘度平均重合度 200〜5000のポリビュルアルコールとを、当該被覆酸化亜鉛に対して当該ポリビュルアルコールが 10〜 200質量％となる量で、水性媒体中に仕込み、ホモジナイザー、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、アジテータ、超音波分散装置、高圧分散装置等を用 V、て分散処理する方法が挙げられる。実施例

[0029] 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する力本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「％」は「質量⁰ /₀」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。

[0030] <実施例 1〜9、比較例 1、 2の紫外線遮蔽用水性分散組成物 >

下記の表 1に示す各配合組成物（表 1にお、ては、各材料の使用量は質量％で示す)をホモジナイザーにて分散し、実施例 1〜9、比較例 1〜2の紫外線遮蔽用水性分散組成物を得た。得られた紫外線遮蔽用水性分散組成物について下記の特性を評価した。結果を表 1に示す。

[0031] (分散性）

紫外線遮蔽用水性分散組成物の分散性は、製造直後の紫外線遮蔽用水性分散組成物中の酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛の分散状態より評価した。

[0032] 評価

〇：紫外線遮蔽用水性分散組成物中に分散させた酸化亜鉛粒子表面に高密度シリ力の被覆層を有する酸化亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛が浮遊もしくは沈降することなく均一に分散しているもの。

X：紫外線遮蔽用水性分散組成物中に分散させた酸化亜鉛粒子表面に高密度シリ力の被覆層を有する酸化亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛が浮遊もしくは沈降するもの。

[0033] (分散安定性）

紫外線遮蔽用水性分散組成物をサンプルビンに入れ室温で保管し、 1日後、 3日後、 7日後の酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸ィ匕亜鉛の分散状態力判断した。

[0034] 評価

〇：製造 7日後に、紫外線遮蔽用水性分散組成物に分散させた酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸ィ匕亜鉛の沈降がな、もの。 △:製造 3日後に、紫外線遮蔽用水性分散組成物に分散させた酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸ィ匕亜鉛の沈降があるもの。

X：製造 1日後に、紫外線遮蔽用水性分散組成物に分散させた酸ィ匕亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸ィ匕亜鉛をオルガノポリシロキサンで疎水化処理した酸ィ匕亜鉛の沈降があるもの。

[表 1]

表 1

[0036] 上記と同様にして紫外線遮蔽組成物を調製し評価を行った

[0037] 実施例 8 実施例 9

酸化亜鉛 5. 0 30. 0

ポリビニルアルコ 5. 0 6. 0

<ケン化度 > < 89モル％> < 89モル％>

<重合度 > 1000 1000

<酸ィ匕亜鉛に対するポリビュルアルコールの割合 >

< 100% > < 20% >

水 90. 0 64. 0

A斗

σ P I 100. 0 100. 0

[0038] 評価

分散性〇〇

分散安定性〇〇

産業上の利用可能性

[0039] 本発明の紫外線遮蔽用水性分散組成物は、水性媒体中での、酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛の分散性および分散安定性が良好で、かつ水性媒体中への酸ィ匕亜鉛等の溶出がない。

Claims

請求の範囲

[1] 酸化亜鉛粒子表面に高密度シリカの被覆層を有する酸化亜鉛を疎水化処理した酸化亜鉛が、ケンィ匕度 75〜95モル⁰ /₀、粘度平均重合度 200〜5000のポリビュルァルコールの存在下で水性媒体中に分散されてなる水性分散組成物であって、前記ポリビニルアルコールの使用量力前記被覆酸ィ匕亜鉛の 10質量％以上であることを特徴とする紫外線遮蔽用水性分散組成物。

[2] 前記疎水化処理が、オルガノポリシロキサンによる疎水化処理である請求の範囲第 1項記載の紫外線遮蔽用水性分散組成物。