WO2007148399A1

WO2007148399A1 - 編機用選針装置

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Publication number: WO2007148399A1
Application number: PCT/JP2006/312514
Authority: WO
Inventors: Kazuhisa Watanabe; Satoshi Enomoto
Original assignee: Wac Data Service Kabushiki Kaisha
Priority date: 2006-06-22
Filing date: 2006-06-22
Publication date: 2007-12-27
Also published as: TW200801272A

Abstract

　間隔をあけて積層状に配置された複数の選針ユニットと該複数の選針ユニットを収容するフレームから成る編機用選針装置であって、前記選針ユニット２３が湾曲可能に支持された圧電体７と該圧電体７の一方の端部で係合するフィンガ４０から成り、そのフィンガ４０の中間部４３の少なくとも一方に横方向外側に延びる突出部４５Ｒを設けると共に、フレーム３１のバット側端部にフィンガ４０を揺動可能にするスリット２３を設け、前記突出部４５Ｒを前記フレーム３１のスリット２３に挿入する事により、フィンガ４０の揺動の位置決めを行う選針装置を提供する。

Description

明細書

編機用選針装置

技術分野

[0001] 本発明は丸編機の如き編機に用いられる選針装置に関する。より詳しくは、圧電式の駆動機構によって編機における編成針の選針を行わせる編機用選針装置に関する。

背景技術

[0002] 丸編機の如き編機では、フロッピーディスク等の記憶装置に記憶された編成手順に基づき編成針の上下動を選択して、所望の編組織の編地を編成する。そのような編成針の上下動を選択するために各種の選針装置が用いられて、る。

[0003] そこで本発明の選針装置を説明するに先立って、編機における選針作業の概要を図 11、図 12に略示する丸編機に基づ、て以下説明する。

[0004] 図 11は一般的な丸編機の基本的な編成機構を説明する略示斜視図である。図 11 に示すように、丸編機では矢印 Aに示すように回転する編成シリンダ 1の周面に、編成シリンダ 1の長手軸に沿って設けた複数の縦溝（図示せず)の中に編成針 2が摺動可能に配置される。通常、編成針には選針ジャック 12が編成針の下方に当接可能に配置されている。一方、編成シリンダ 1の下方のカム台 15aには所定の間隔で所定の形状の複数の上げカム 15が配置されている。

[0005] 編成の基本原理は次のとおりである。回転する編成シリンダ 1上のそれぞれの編成針 2が上げカム 15により選針ジャック 12を介して上方に押し上げられると、その結果、編成シリンダ 1の上面力も編成針 2が突出する。突出した編成針 2のフックに糸ボビン 6から取り出された糸 5を供給することによって糸のループが作成される。次に、図示しない公知の機構によって編成針 2を下方に下げることによって 1個の編目が編成される。したがって編成針 2に上下運動を与えるかどうかを選択することによって編目を編成したり、編目を編成させないで次の編工程に進ませたりすることができるので、所望の編地を編成することができる。一般に、このような作動を編成針 2に与えるために、編機においては、選針ジャック 12が編成針 2の下方に当接するように配置され、上げカム 15による突き上げの力が選針ジャック 12を介して編成針 2に伝わるようにする。そして、編成手順を記憶する記憶装置を内蔵するコントローラ 4からの情報に基づいて作動する選針装置 3を用いて選針ジャック 12の上げカム 15との係合を選択的に行わせることによって編成針の上下動がコントロールされる。

[0006] 次に編成針 2、選択ジャック 12及び選針装置 3が提供する選針手段との関係を示す図 12を参照して、選針手段として本発明でも用いられる圧電体を用いた場合の選針動作について以下説明する。

[0007] 選針装置 3が備える圧電体 7は電圧の付与方法によって図 12の Aに示すように湾曲させたり、図 12の Bに示すように、図 12の Aとは反対に湾曲させたりすることができる。又、圧電体 7の先端にはフィンガ 9が係合して配置されている。図 12において圧電体 7とフィンガ 9、及び上げカム 15は図面の紙面内に位置決めされ、編成針 2と選針ジャック 12は編成シリンダ 1 (図示せず）と共に図面の紙面の上方から下方 (あるいはその逆）に円運動を行っている。選針ジャック 12は支点 12aを中心として搖動可能であり、且つ上方に選針用バット 13及び上げカム用バット 14が選針ジャック 12から図示の如く側方に突出して設けられている。

[0008] 図 12の Aに示すように圧電体 7が湾曲して、フィンガ 9がストッパ 22に当たった状態では、円運動する選針ジャック 12の選針用バット 13はフィンガ 9に衝突し、その結果、選針ジャックが支点 12aを中心として時計方向に押し出される。このため、ジャック 1 2の上げカム用バット 14は上げカム 15に係合することができず、上げカム 15によって選針ジャック 12は上方に押し上げられることがなぐ編成針 2が上方に押し上げられることがない。

[0009] 一方、図 12の Bに示すように圧電体 7が湾曲している場合には、圧電体 7の先端のフィンガ 9は、編成シリンダ 1と共に円運動する選針ジャック 12の選針用バット 13と衝突しない。このため、選針ジャック 12は垂直方向の姿勢を保つこととなり、その結果、選針ジャック 12の下端の上げカム用バット 14が上げカム 15の傾斜面に沿って上方に押上げられ、それに伴って編成針 2は上方に押上げられることになる。

[0010] このように選針ジャック 12の選針バット 13と圧電体 7の先端のフィンガ 9との係合を選択的に行えば編成針 2の上方移動を要望に応じて自由に行わせることが可能であり、任意の編組織の編地を編成することができる。

[0011] 編成にとってもっとも重要な性能をあげると 1番目は生産性が高いこと、すなわち編成シリンダ 1の回転数を上げることである。編成シリンダ 1の回転数を上げるためには編成針 2の上方移動をコントロールする選針装置 3を高速に作動させることである。そのために高速で作動する各種編成用選針装置が開発されて用いられて、る。

[0012] 例えば本発明の出願人と同一の出願人は、電磁石の吸引または反発力を利用して複数枚のフィンガを揺動可能に構成した選針装置を提案し (特開昭 60— 224845 号公報参照）、従来の選針装置より高速であると共に小型にし、且つ消費電力の節減を達成した。また、本発明の出願人と同一出願人は前述の電磁石を用いた選針装置に代えて、フィンガ自体を圧電体の湾曲により作動させることによって編成針の選針を行わせる圧電方式の選針装置を提案し (特開昭 62— 28451号公報参照）、さらに選針装置の高速化、小型化及び省エネルギー化を達成した。

[0013] 本発明の出願人と同一出願人はさらに前述の圧電方式の選針装置の改良装置を発明し、発明の名称「編機用選針装置」なる昭和 63年特許出願 249967号（1988 年 10月 5日出願）として日本国特許庁に提出した。この日本出願は平成 6年 11月 24 日に特公平 6— 94619として公告され、その後日本国特許第 1969970号として登録されており、対応米国出願も USP5、 027、 619号として登録されている。

[0014] 日本特許第 1969970号による改良型の圧電方式の選針装置を図 13A、図 13B、図 14、及び図 15を参照して以下説明する。図 15に示すように、この選針装置 36では、圧電体 7にフィンガ 9が回動可能に配置され、圧電体 7に電力を印加することによりフィンガ 9が作動する。このフィンガ 9の作動により編機の編成針 2の選針が行われ（より詳しくは選針ジャック 12を介して）、所定の柄組織の編地の編成を可能とする。この編機用選針装置においては、圧電体 7の後端部が回動体 19を介してフレーム 8の圧電体支持部 20に回動可能に支持され、圧電体 7の先端部が回動体 16を介してフインガ 9の後端部の U字溝 17内に回動可能に連結され、圧電体 7の後端部と先端部との間の所定位置がフレーム 8に回動可能に付設した回動体 21により挟持され、且つフィンガ 9と圧電体 7とが一直線上に配設される。

[0015] フィンガ 9は、図 14、図 15に示すように、その中間部にある支持軸用軸受 18aに支持軸 18を通すことによって、支持軸 18を支点として回動可能にフレーム 8に支承される。電圧の印加により圧電体 7が屈曲運動すると、その運動がフィンガ 9の後端の圧電体係合部 9aを上下動させる。その結果、フィンガ 9は支点（支持軸 18)を中心に搖動し、フレーム 8の開口部 10を通って突出するフィンガ 9の先端のバット当接部 9d が上下動する。このバット当接部 9dの上下動によって編成針 2の上昇運動が選択されること〖こなる。

[0016] このように圧電体 7の所定位置を回動可能に支承することにより圧電体は自由に湾曲運動ができるようになり、その結果フィンガ 9の動作速度が格段と上昇し、且つフィンガ 9の先端のバット当接部の移動量が大きくなることが見出された。さらにこのような構成で圧電体を用いることによって圧電体の損傷を少なくして選針装置の寿命を長くすることができた。

[0017] したがつてこの改良型圧電式選針装置 36によれば、フィンガ部材を揺動させるフィンガ作動装置の構造が革新的に改良されているため、選針能力が著しく改良され、現在この種の編機にお、て世界的に広く利用されるようになって!/、る。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0018] し力しながらこの種の圧電式選針装置が広く用いられるようになると、その性能の良さが高く評価される反面、選針装置の構造がやや複雑であると共に、その調節に手間取ると言う問題点が指摘されるようになった。

[0019] 本発明の目的は上述のように従来公知の編機用選針装置の高性能を維持しながら、より構造が簡単であると共にその調節がより容易であり、その結果製造時における作業性の向上による製造コストを抑えることができ、且つ、設備設置及び操業の面にお、てニット業者が扱、やす、編機用選針装置を提供することを目的とする。課題を解決するための手段

[0020] 上記の目的を達成するための本発明による編機用選針装置は、

間隔をあけて積層状に配置された複数の選針ユニットと前記複数の選針ユニットを収容するフレームとを有し、前記選針ユニットは前記フレームに湾曲可能に支持された圧電体と当該圧電体の一方の端部で係合するフィンガとを含み、前記フィンガは支点にお、て前記フレームに対して回動可能に支持されており、前記フィンガを前記圧電体の揺動運動に連動して前記支点を中心に揺動することにより、当該フィンガの圧電体と反対側の端部に設けられたバット当接部を編機の選針用バットの移動軌道内に選択的に進入させる編機用選針装置において、

前記フィンガの前記バット当接部と前記支点との間のフィンガ中間部に、前記支点における回動軸に沿った方向で、且つ少なくとも一方に当該フィンガの外側に向かつて突出する突出部を設けると共に、

前記フレームに前記選針ユニットを収容した時に前記フレームの前記突出部に対応する位置に該突出部を収容可能な空間域を設け、

前記空間域のフィンガ摇動方向の高さがフィンガの所定の揺動幅に対応して定められていることを特徴とする。

[0021] 前記突出部を前記フィンガ中間部の両側に設けるとより好ましい。又、その断面形状を矩形状、又は先広の台形形状にしても良い。

[0022] 又、前記フィンガがバット当接部、該バット当接部の下方の中間部、該中間部の下方に設けた軸受部、該軸受部の下方にあって圧電体の端部と係合する圧電体係合部を有し、前記中間部をバット当接部に向力つて開口した U形状に形成してフィンガの表面に垂直方向の開口部を設けて、棒状部材を前記開口部に挿入してフレームに固定することによりフィンガの回動軸方向の位置決めを行うとより好まし!/、。

[0023] 又、前記フィンガが編機のバットに正常でな、状態で係合した際に破損するように、フィンガの中間部に例えば切欠き部の如き弱部を設けるとより好ましい。

[0024] 又、前記フレームは金属で作られてもよぐ又耐久性のある合成樹脂を用いて成型加工によって製造してもよ!/、。

[0025] なお本願の特徴ある構成はフィンガの中間部よりバット当接部にかけての構成であるので、それ以外の構成については後述の実施例で示すように、各種の対応を採用することができる。

図面の簡単な説明

[0026] [図 1A]本発明の一実施例による編機用選針装置の構造を示す斜視図である。

[図 1B]Aは図 1Aに示す編機用選針装置の側面図、 Bは図 1Aに示す編機用選針装置の正面図である。

[図 2A]図 1A,図 1Bに示す選針装置中の 1選針ユニットにおけるフィンガ、圧電体及びフレームの作動関係を説明するための斜視図である。

[図 2B]図 1A,図 1Bに示す選針装置中の 1選針ユニットにおけるフィンガ、圧電体及びフレームの作動関係を説明するための側断面図である。

[図 3A]図 1A、図 IBに示す編機用選針装置に用いられるフィンガの好ましい一例を示す斜視図である。

[図 3B]Aは図 3Aに示すフィンガの正面図、 Bは図 3Aに示すフィンガの側面図である

[図 3C]図 3Aに示すフィンガに切欠き部を加えた例を示す図である。

[図 4A]図 1A、図 IBに示す編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ましい一例を示す斜視図である。

[図 4B]Aは図 4Aに示すフィンガの正面図、 Bは図 4Aに示すフィンガの側面図である圆 5A]本発明の他の実施例による編機用選針装置の構造を示す斜視図である。

[図 5B]Aは図 5Aに示す編機用選針装置の側面図、 Bは図 5Aに示す編機用選針装置の正面図である。

[図 6A]図 5A、図 5Bに示す編機用選針装置に用いられるフィンガの好ましい一例を示す斜視図である。

[図 6B]Aは図 6Aに示すフィンガの正面図、 Bは図 6Aに示すフィンガの側面図である

[図 7A]図 5A,図 5Bに示す選針装置中の 1選針ユニットにおけるフィンガ、圧電体及びフレームの作動関係を説明するための斜視図である。

[図 7B]図 5A,図 5Bに示す選針装置中の 1選針ユニットにおけるフィンガ、圧電体及びフレームの作動関係を説明するための側断面図である。

[図 8A]本発明の実施例による編機用選針装置に用いられるフィンガの更に好ましい一例を示す斜視図である。

[図 8B]図 8Aに示すフィンガの正面図である。 [図 8C]Aは図 8Aに示すフィンガの側面図であり、 Bは図 8Aに示すフィンガにおける、フィンガ上部軸線とフィンガ下部軸線との関係を示す図である。

[図 9A]図 1A、図 IBに示す編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ましい一例を示す斜視図である。

[図 9B]Aは図 9Aに示すフィンガの正面図、 Bは図 9Aに示すフィンガの側面図である

[図 1 OA]本発明の編機用選針装置に用いられるフィンガの更に好ましい一例であるところの、モジュールフィンガの一例を示す斜視図である。

[図 10B]図 10Aに示すモジュールフィンガの分離組み合わせを説明する斜視図である。

[図 11]丸編機の編成機能を説明するための、丸編機全体の概略斜視図である。

[図 12]編機の編成機能を説明する図であって、 Aは選針装置のフィンガが選針ジャックのバットに係合する状態を示す図、 Bはフィンガが選針ジャックのバットに係合しない状態を示す図である。

[図 13A]従来公知の編機用選針装置の一例を示す斜視図である。

[図 13B]Aは図 13Aに示す編機用選針装置の側面図、 Bは図 13Aに示す編機用選針装置の正面図である。

[図 14]図 13A,図 13Bに示す従来公知の編機用選針装置に用、られるフィンガのー例を示す図であって、 Aは正面図、 Bは側面図である。

[図 15]図 13A,図 13Bに示す従来公知の編機用選針装置における圧電体とフィンガの作動関係を示す側断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0027] 本発明の編機用選針装置の実施例を示す添付図面を参照して本発明を以下詳述する。

[0028] <第 1実施例 >

図 1Aに本発明の編機用選針装置の一実施例 (第 1実施例)の斜視図、図 1Bの A に側面図、 Bに正面図をそれぞれ示す。

[0029] 図 1 Aに示す選針装置 30では 8枚の選針ユニット 32が選針装置 30のフレーム 31 内に間隔をあけて層状に配置されている。図 1 Aに示す選針ユニット 32の斜視図を図 2A、側断面図を図 2Bに示す。図 2A, Bに示すように選針ユニット 32は圧電体 7とフィンガ 40を具備する。圧電体 7はその中間部において回動体 21で支えられ、後方端はフレーム 31に設けられた圧電体支持部 20に収容された回動体 19を有し、前方端には回動体 16が設けられている。一方、フィンガ 40は支持軸 18によってフレーム 31に支承され、その後方端の凹部には圧電体 7の回動体 16が係合し、その先方端は図 1A,図 1Bに示すようにフレーム 31より突出して配置される。

[0030] 図 2Bの側断面図から容易に判るように、圧電体 7に通電された際、圧電体 7は回動体 21を中心としてその前後で湾曲運動し、その湾曲運動は回動体 16を介してフィンガ 40に伝達される。その結果、フィンガ 40は支持軸 18を中心として揺動し、フィンガ 40の上下往復運動が生じる。

[0031] 図 3A,図 3Bは、本発明の図 1A、図 IBに示す編機用選針装置に用いられるフィンガ 40の好ましい一例を示す図であって、図 3Aは斜視図、図 3Bの Aは正面図、 Bは側面図である。

[0032] 先ず図 3A、図 3Bを参照してフィンガ 40の構造及び運動を説明する。図 3Aにおいて一点鎖線 18'は支持軸 18の軸線を示す。フィンガ 40の下部は 3部分に分割されて、 3つの半凹部 46R, 46M, 46Lが形成されている。図 3A,図 3Bに示す如ぐ外側の 2つの半凹部 46Rと 46Lは同じ側に突出しており、中央の半凹部 46Mは外側の 2 つの半凹部 46R, Lとは反対側に突出している。これら、 3つの半凹部 46R、 46M及び 46Lによって支持軸 18が支えられることになる。又、それぞれの半凹部 46R、 46 M及び 46Lの下方にはそれぞれ反対方向に湾曲した突出部 47R、 47M、 47L力設けられ、これら 3つの突出部 47R、 47M、 47Lで形成された空間に、図 2Bに示す如く圧電体 7の回動体 16が係合する。こうして、圧電体 7の湾曲運動に応じてフィンガ 4 0の下部が矢印 16 'に示す方向で往復運動することになる。

[0033] 前述の半凹部 46R、 46M、 46Lの上方には U形状のフィンガ中間部 43が形成され、フィンガ中間部 43の主脚部 43Rの上方にはバット当接部 41が傾斜して伸び、その上面には図示の如くバット当接面 42が形成されている。図 3Aにおいて湾曲矢印 Aは丸編み機のシリンダ 1の回転方向を示し、両頭矢印 41'で示す方向でバット当接部 41は揺動する。

[0034] フィンガ中間部 43の他方には従脚部 43Lが形成される。主脚部 43R及び従脚部 4 3Lには、それぞれ回動軸方向外側に突出する突出部 45R、 45L力フィンガ 40の表面に沿って設けられている。フィンガ 40がフレーム 31内に収容される時には図 2Aに示すように、フィンガはフィンガ摇動ストッパとして作用するスリット 23a内に遊嵌して配置される。このため、フィンガ 40の搖動は、スリット 23aの上下の面に突出部 45R, 45Lが当たることにより制限されることになる。このスリット 23aの高さ h、すなわちフィンガの揺動幅を適切に選定する事により、フィンガ 40の矢印 41 '方向（図 3A参照）での揺動幅を正確に規定する事ができる。

[0035] フィンガ 40の主脚部 43Rと従脚部 43Lの間には開口部 44が設けられている。この開口部 44はフィンガ 40の重量を軽減するのに役立つと共に、図 1Aに示すように複数本の選針ユニット 32のフレーム 31に対する位置を正しく規定するためのフィンガ位置決め部材 33aを開口部 44を通して配置することを可能にする。フィンガ位置決め部材 33aは、フィンガ 40の支持軸（18)方向の位置を規定する。なおフィンガ位置決め部材 33aは平板状の部材で良ぐ図 1A,図 1Bに示すようにその両端をネジ 34 でフレーム 31に固定すればよ！、。

[0036] 開口部 44によって提供される上記フィンガ 40の重量の軽減はフィンガの慣性モーメントを減少させ、それによつて選針装置の応答速度の高速ィ匕を達成できる。

[0037] なお本実施例の選針装置ではフィンガの主脚部 43Rを細長ヽ棒状部材で構成しているので、フィンガ 40が何らかの原因で異常な運動をして編機の選針用バット 13と異常な干渉をした場合にこの部分でフィンガが折れる可能性が高、。異常動作により選針用バット 13と干渉した場合に主脚部 43Rが折れることは、それによつて選針装置 30の他の部分の損傷を防ぐことを可能とするものである。即ち、フィンガ 40は安全のための破損構造を提供するものである。又、本実施例の選針装置 30によれば、フインガ 40の交換は、フィンガ位置決め部材 33aをはずし、支持軸 18を抜くことにより、容易に行うことができる。又、フィンガ 40の搖動範囲を規定するスリット 23aはフレーム 31に作りこまれているので、支持軸 18に対して相対位置が固定されている。よって、フィンガ 40の交換にお!、てフィンガ 40の搖動位置の調整が不要もしくは極めて簡略化される。これに対して、従来の選針装置では、図 13A,図 15に示されるように、揺動位置決め部材 28aと 28bによって形成される開口部で搖動位置が規定される。フィンガ 9の交換においては揺動位置決め部材 28aと 28bを取りはずす必要があり、その結果、フィンガ 9の交換後に搖動位置を規定するための調整が不可欠となってしまつ。

[0038] 尚、上記の観点から、図 3Cに示すように、主脚部 43Rに切欠き 48の如き弱部を設けてもよい。図 3Cでは切欠き 48を誇張して示している力当然、フィンガ 40に必要な強度を維持できる範囲で切欠き 48が設けられることになる。このように切欠き 48を設けたことで、フィンガ 40が何等かの原因で異常な運動をした時にフィンガ 40の一部、この場合は主脚部 43Rが折れ、それによつて選針装置 30の他の部分の損傷を防ぐようにすることが、より確実に達成できる。

[0039] <第 2実施例 >

第 2実施例として、図 4A,図 4Bに本発明の編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ま U、一例を示す。第 2実施例（図 4A,図 4B)のフィンガ 50を第 1実施例（図 1A,図 1B及び図 3A,図 3B)に示すフィンガ 40と比較すれば容易に判るように、第 1実施例に示すフィンガ 40ではフィンガ中間部 43から両側に突出部 45R、 45Lが延びている力第 2実施例のフィンガ 50では突出部 45Rのみとなっている。即ち、フインガの摇動幅を所定幅に規定するための突出部は、図 4A,図 4Bのフィンガ 50で示すように、例えば突出部 45Rを主脚部 43Rの方だけに設けてもよい。尚、従脚部 4 3Lの側にのみ突出部 45Lを設ける構造としてもよいが、バット当接部 41につながる主脚部 43Rに突出部を設けたほうがバット当接部 41の位置精度の観点力も好ましいといえる。

[0040] <第 3実施例 >

第 3実施例として、図 5A,図 5B、図 6A,図 6B及び図 7A,図 7Bに本発明の編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ましい一例を示す。第 1実施例（図 3A,図 3B)のフィンガ 40の図面と第 3実施例（図 6A,図 6B)のフィンガ 60の図面を比較すれば容易に判るように、第 3実施例のフィンガ 60には開口部 44が設けられていない。即ち、フィンガ中間部 61を中実の構造にし、その左右に突出部 45R、 45Lを設けている。勿論この実施例 3においても、実施例 2で説明したように突出部を 45R又は 4 5Lの何れか一方にしてもよ!、。

[0041] このような形状にした場合図 3A,図 3B又は図 4A,図 4Bに示すような棒状のフィンガ位置決め部材を用いることができないが、図 5A,図 5Bの 33bのような板状部材を用いることで、フィンガ 60の支持軸方向の位置を規定することができる。第 3実施例のようなフィンガ 60を用いる場合、フィンガの軽量化、安全のための破損構造を提供できないが、フィンガの構造が簡単になるため、製造コストを安価にすることができる。

[0042] 尚、図 7A及び図 7Bに示した例ではフレーム 31に設けたスリット 23bの断面形状が図示の如く外側に開いた楔形状、すなわち台形形状である。スリットの断面形状は図 2A, Bのスリット 23aに示すような矩形形状でも良いが、図 7A, Bのスリット 23bに示すような楔形状の方がフィンガ 60の突出部 45R, Lとスリットが面対面で接触し易いのでより好ましい。尚、第 1及び第 2実施例の選針装置におけるスリット 23aにこのような楔形状を適用してもょ、ことは言うまでも無、。

[0043] <第 4実施例 >

第 4実施例として、図 8A〜図 8Cに本発明の編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ましい一例を示す。このフィンガ 51の特徴は図 8Cにより明らかに示されて V、るようにフィンガ上部 56がフィンガ下部 57に対して傾斜して!/、ることである。

[0044] 本出願と同一の出願人はこのようにフィンガ上部がフィンガ下部に対して傾斜しているフィンガを平成 12年 7月 14日特願 2000— 214576号として出願した。（平成 14 年 1月 31日公開の特開 2002— 30550公報参照）

本願の編機用選針装置に特開 2002— 30550公報に開示された構造を採用すれば、フィンガ 51を図 12の Aに示されるように選針用バット 13と当たる位置に搖動した際に、バット当接面 42が編成シリンダ 1の側面に正対するようにできる。このため、フインガ 51のバット当接面 42を選針ジャック 12の選針用バット 13に、面対面の関係で当接させることができるようになり、その結果フィンガのバット当接面、選針ジャックのノノトの両者の摩耗を軽減させることができる。

[0045] 本願発明の第 1実施例のフィンガ 40を示す図 3A,図 3Bと第 4実施例のフィンガ 51 を示す図 8A〜図 8Cを対比すると容易に判るように、その外観はほぼ同一である。伹し図 8Cの Aに示すようにフィンガ下部 57の軸線 57X(圧電対 7と支持軸 18の配列方向に沿った軸線）に対してフィンガ上部 56の軸線 56Xがずれている。その結果、第 4 実施例のフィンガ 51は図 8Cの Bに示すように軸線 56Xと、フィンガ 51の回転中心から軸線 56Xに向けて垂直に延びる線分 58から成る L形部材によって回動することになる。このため、バット当接面 42が選針用バット 13に当たる位置において、軸線 56X を選針用バット 13に垂直な状態とすることができる。即ち、上記のようにフィンガのバット当接面 (図 8Aの 42)と選針ジャック 12の選針用バット 13 (図 12の A)とを面対面で当接させることができるようになる。

[0046] <第 5実施例 >

第 5実施例として、図 9A,図 9Bに本発明の編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ましい一例を示す。この第 5実施例では従来公知の支持軸用軸受 18aと圧電体係合用の U字溝 17を具備したフィンガ下部が上述した第 1実施例のフィンガ上部 (フィンガ中間部 43から上側の構造)と一体物 (铸造物）として形成されている。

[0047] <第 6実施例 >

第 6実施例として、図 10A,図 10Bに本発明の編機用選針装置に用いられるフィンガの他の好ましい一例を示す。このフィンガは図 10Bで明らかなようにフィンガ作動部材 130とフィンガ保持部材 140から成るモジュールフィンガである。フィンガ作動部材 130の上部は図 3Aに示す第 1実施例のフィンガ 40の上部（フィンガ中間部 43から上側の構造)と同じ構造で形成される。また、フィンガ作動部材 130の下方の支持部 143の一端には挿入突出部 136が設けられている。一方フィンガ保持部材 140の下方には、支持軸 18を貫通させる支持軸用軸受 18aと、圧電体 7の回動体 16を受け入れる圧電体係合用の U字溝 17が形成されている。又、フィンガ保持部材 140の上方にはフィンガ作動部材 130の連結支持部 143が挿入される凹部 144が形成されている。フィンガ作動部材 130をフィンガ保持部材 140に向けて挿入させると、フィンガ作動部材 130の挿入突出部 136がフィンガ保持部材 140の挿入孔 137に挿入されて位置決めされること〖こなる。図 10A,図 10Bに示した第 6実施例では凹部 144と挿入孔 137によってフィンガ作動部材 130との連結部が構成される事になる。

[0048] なおフィンガ作動部材 130の孔 152とフィンガ保持部材 140の孔 151を図 10Bの如ぐ相互に対応して設け、両孔を貫通させてピン 150を挿入すれば両部材 130、 1 40が相互に位置固定される。またフィンガ作動部材が損傷した場合にはピン 150を外してフィンガ作動部材を交換することができる。

[0049] 上記のようにフィンガを作動部材と保持部材に分けてモジュールィ匕する技術は、本願発明と同一の出願人が 2001年 4月 16日、特願 2001— 117394として出願した特許出願（WO2002— 086216)に開示されている。このモジュールフィンガは製造上および作動上で要求される性能の異なるフィンガ作動部材とフィンガ保持部材を別個の材料で製造して組み合わせるように構成してある。その結果、多種多様のフィンガを比較的少ない種類のフィンガ作動部材とフィンガ保持部材との組合せで構成できるという利点を有する。

[0050] 尚、本願の編機用選針装置の実施例を示す図 1A,図 1B、及び図 5A,図 5Bを従来公知の編機用選針装置を示す図 13A,図 13Bと比較すれば容易に判るように、従来の編機用選針装置ではフィンガ 9側に 2枚の揺動位置決め部材 28a、 28bが用いられているのに対して、実施例の選針装置では 1枚の部材 33a或は 33bが用いられるのみである。又、上述したように、従来の編機用選針装置では揺動位置決め部材 2 8a, 28bにより形成される開口部でフィンガの搖動を規定したが、実施例の選針装置ではフレーム 31に形成されたスリット 23a, 23bがフィンガの搖動を規定する。この事は部品数の単なる減少だけでなく、取り付け精度の厳しヽ部品を排除したと、う利点も有する。

[0051] 又、第 2実施例によれば、更にフィンガのバット当接部又はその近傍に折損部を設ける事により選針装置又は選針ユニットの損傷を事前に防ぐ事ができる。更に、第 1 〜第 4実施例によれば、フィンガはプレス加工で製造する事ができるので高品質のフインガを低コストで製造できる。

[0052] 又、フレーム 31は金属製により形成されてもよいし、榭脂材料を成型加工したものであってもよい。

産業上の利用可能性

[0053] 本願の選針装置ではフィンガの中間部の少なくとも一方に回動軸方向外側に延びる突出部を設けると共に、フレームのバット側端部にフィンガを揺動可能にするためのスリットのごとき空間域を設け、前記突出部をフレームのスリットに挿入する事により、フィンガの揺動幅を規定すると言う簡単な構造にして部品点数を減らすと共に選針装置の精度を向上させることが出来た。それによつて編機の選針用バットと選針装置のフィンガの選択的係合が円滑かつ確実に行われるようになり、編機の高速ィ匕を達成することが出来るようになった。これは需要家側から見れば選針装置の取り扱いがより容易になり、かつ生産効率を向上させるのに役立つことになる。

Claims

請求の範囲

[1] 間隔をあけて積層状に配置された複数の選針ユニットと前記複数の選針ユニットを収容するフレームとを有し、前記選針ユニットは前記フレームに湾曲可能に支持された圧電体と当該圧電体の一方の端部で係合するフィンガとを含み、前記フィンガは支点にお、て前記フレームに対して回動可能に支持されており、前記フィンガを前記圧電体の揺動運動に連動して前記支点を中心に揺動することにより、当該フィンガの圧電体と反対側の端部に設けられたバット当接部を編機の選針用バットの移動軌道内に選択的に進入させる編機用選針装置において、

前記フィンガの前記バット当接部と前記支点との間のフィンガ中間部に、前記支点における回動軸に実質的に沿った方向で、且つ少なくとも一方に当該フィンガの外側に向力つて突出する突出部を設けると共に、

前記空間域のフィンガ摇動方向の高さがフィンガの所定の揺動幅に対応して定められてヽることを特徴とする編機用選針装置。

[2] 前記フィンガ中間部において前記突出部を前記フィンガの両側に設けると共に、前記フィンガの両側の突出部に対応する前記フレームの位置に前記空間域が設けられて!ヽることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。

[3] 前記フィンガの下方部分は 2つの外側部分と 1つの中央部分に 3分割され、前記外側部分は前記回動軸と直交する第 1の方向の側へ突き出る半凹部に成型され、前記中央部分は前記第 1の方向と反対側に突き出る半凹部に成型されており、それによつて前記フィンガを前記フレームに支持させるための支持軸を回動可能に収容する空間が形成され、

前記 2つの外側部分の半凹部の下方を反対側に湾曲させ、且つ前記中央部分の下方を反対側に湾曲させ、それによつて前記圧電体のフィンガ側の回転体を収容する空間が形成され、

更に、前記フィンガ中間部を上方へ延びる主脚部及び従脚部を有する U字形状とし、前記主脚部の上方にはバット当接部が傾斜して設けられており、前記主脚部及び従脚部の少なくとも一方に前記突出部が設けられていることを特徴とする請求項 1 記載の編機用選針装置。

[4] 前記複数の選針ユニットをフレームに収容した後に、フィンガのバット当接部のフレーム内での前記回動軸方向での位置を規定するために、少なくとも一枚のフィンガ位置決め部材が設けられることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。

[5] 前記フィンガ中間部をバット当接部の方向に開口した U字形状に形成して、前記フインガの搖動方向に開口部を設け、

複数の選針ユニットをフレームに収容した時に前記開口部に棒状のフィンガ位置決め部材を揷入してフレームに固定することにより前記フィンガのバット当接部のフレーム内での前記回動軸方向の位置を規定することを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。

[6] 前記フィンガが編機のバットに正常で無い状態で接触した際に折損するようにフィンガの中間部に弱部が設けられていることを特徴とする請求項 3記載の編機用選針装置。

[7] 前記弱部が切欠きであることを特徴とする請求項 6記載の編機用選針装置。

[8] 前記フィンガの前記支点と前記圧電体との係合点とを結ぶフィンガ下部軸線に対して、前記フィンガ中間部力前記バット当接部に至るフィンガ上部軸線が傾斜するように構成されてヽることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。

[9] 前記フィンガがフィンガ作動部材とフィンガ保持部材を含んで成るモジュールフィンガであって、前記フィンガ作動部材が前記バット当接部と該バット当接部より延びる支持部を有し、前記フィンガ保持部材が一方の端部にぉ、て前記フィンガ作動部材の支持部の一部を装着して当該フィンガ作動部材を位置決め可能に形成された連結部と、他方の端部において前記圧電体に係合可能に形成された係合部とを有し、前記フィンガ部材の支持部の一部分を前記フィンガ保持部材の連結部に装着することにより前記フィンガとして用いられることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置

[10] 前記フィンガが金属板を成型加工して作られることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。前記フレームが金属製であることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。前記フレームが榭脂材料を成型加工してなることを特徴とする請求項 1記載の編機用選針装置。