明 細 書
光学活性ピぺリジン化合物の製法
技術分野
[0001] 本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗活性を有するピぺリジン化合物の中間体 の製法及びその中間体を用いた優れたタキキュン受容体拮抗活性を有するピペリジ ン化合物の製法に関する。
背景技術
[0002] タキキニンとは、一群の神経ペプチドの総称であり、哺乳類ではサブスタンス P (以 下、 SPと呼ぶ)、ニューロキュン A及びニューロキニン Bが知られている。これらのぺ プチドは生体内に存在するそれぞれの受容体(ニューロキュン 1、ニューロキニン 2及 び/又はニューロキニン 3)に結合することによって、様々な生物活性を発揮すること が知られている。その中で、 SPは神経ペプチドの中でももつとも歴史が長く詳細に研 究されているものの 1つであり、 1931年にゥマ腸管抽出物中に存在が確認され、 19 71年に構造決定されたアミノ酸 11個からなるペプチドである。
[0003] SPは中枢および末梢の神経系に広く分布しており、一次知覚ニューロンの伝達物 質としての機能の他、血管拡張作用、血管透過性亢進作用、平滑筋収縮作用、神経 細胞興奮作用、唾液分泌作用、利尿亢進作用、免疫作用などの生理活性を有する 。特に、痛みインパルスにより脊髄後角の終末から遊離された SPが 2次ニューロンに 痛み情報を伝えること、及び末梢終末より遊離された SPがその受容体に炎症反応を 惹起することが知られている。このようなことから、 SPは種々の病態(例えば、痛み、 炎症、アレルギー、頻尿、尿失禁、気道疾患、精神病、うつ病、不安、嘔吐など)に関 与してレ、ると考えられており、また SPはアルツハイマー型痴呆にも関与してレ、ると考 えられている〔総説:フイジォロジカノレ'レビューズ (Physiological Reviews), 73卷、 22 9 308頁(1993年)(非特許文献 1)及びジャーナル'ォブ 'オートノミック'ファーマ コロジ一 (Journal of Autonomic Pharmacology), 13卷、 23— 93頁(1993年)(非特許 文献 2)〕。
[0004] タキキニン受容体拮抗活性を有する化合物として、特許文献 1には、式:
式中、環 Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、環 Bは置換基を有して いてもよいベンゼン環を表し、 Rlaは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有し ていてもよい水酸基、置換基を有しているチオール基、置換基を有しているカルボ二 ル基、置換基を有しているスルフィエル基、置換基を有しているスルホニル基、また は式:
R11
12-N
\ で示される基であり、
R11および R12は同一または異なって、水素原子、置換基を有しているカルボニル基、 置換基を有してレ、るスルホニル基、置換基を有してレ、てもよレ、アルキル基もしくはへ テロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を 1乃至 4個 含有する複素環式基を表し、当該複素環式基は置換基を有していてもよぐさらに当 該複素環式基に含まれる窒素原子は酸化されてレ、てもよレ、か、あるいは R11および R 12は一緒になつて、それらが結合している窒素原子とともに、ピペリジノ基、ァザシクロ ヘプチル基、ピロリジノ基、イミダゾリジニル基、へキサヒドロピリミジニル基、チアゾリ ジノレ基、モノレホリノ基、トリァゾリル基、テトラゾリル基およびプリニル基から選ばれる複 素環式基を形成し、当該複素環式基は置換基を有していてもよぐさらに当該複素 環式基に含まれる窒素原子は酸化されていてもよぐ R2は水素原子、置換基を有し ていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよい アルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表し、 Zは酸素 原子または— N(R3)—で示される基を表し、 R3は水素原子または置換基を有してい てもよレ、アルキル基を表し、 R4は水素原子または置換基を有してレ、てもよレ、アルキル 基を表す、
で示されるピぺリジン誘導体またはその薬理的に許容し得る塩が記載されており、そ れら中間体の製法についても記載されている。
特許文献 1:国際公開第 2003/099787パンフレット
非特許文献 1 :フイジォロジカル 'レビューズ (Physiological Reviews), 73卷、 229— 30 8頁(1993年)。
非特許文献 2:ジャーナノレ ·ォブ ·オートノミック ·ファーマコロジー (Journal of Autonomi c Pharmacology), 13卷、 23— 93頁(1993年)。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 公知の製法では、タキキニン受容体拮抗薬の中間体である光学活性な化合物を効 率的に製造することができず、製造コスト面で課題があった。本発明の目的は、タキ キニン受容体拮抗薬の中間体である syn体ピペリジン化合物及び光学活性なピペリ ジン化合物の工業的に有禾 IJな製造方法、ならびにこれら光学活性な中間体を用い たタキキニン受容体拮抗作用を有する光学活性ピぺリジン化合物の工業的に有利な 製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、一般式〔II〕:
式中、環 Aは置換基を有してレ、てもよレ、ベンゼン環を表し、
R2は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミ ノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基また はハロゲン原子を表し、
Mはアルカリ金属または水素原子を表す、
で示される化合物を還元することを特徴とする一般式〔I〕:
式中、太実線はピペリジン環の 2位及び 4位の置換基力 S
syn配置をとる結合を表し、 他の記号は前記と同一意味を有する、
で示される syn体ピペリジン化合物またはその塩の製法に関する。
また、本発明は、一般式〔III〕:
式中、環 Aは置換基を有してレ、てもよレ、ベンゼン環を表し、
R2は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミ ノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基また はハロゲン原子を表し、
Rはァミノ基の保護基を表す、
で示される化合物またはその塩と塩基とを反応させ、一般式〔II〕:
式中、 Mはアルカリ金属または水素原子を表し、他の記号は前記と同一意味を有 する、
で示される化合物を製し、次レ、で得られた化合物〔II〕を還元することを特徴とする一
般式〔I〕:
式中、太実線はピペリジン環の 2位および 4位の置換基力 S
syn配置をとる結合を表 し、他の記号は前記と同一意味を有する、
で示される syn体ピペリジン化合物またはその塩の製法に関する。
で示されるベンゼン環であり、 A1が水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であり 、 A2が水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であり、 R2が水素原子であり、尺が アルコキシカルボニル基またはァリールアルコキシカルボニル基である。
[0010] 上記製法のより好ましい実施形態では、塩基がアルカリ金属アルコラートであり、 M がアルカリ金属である。
[0011] さらに、上記記載の方法により、一般式〔I〕:
式中、環 Aは置換基を有してレ、てもよレ、ベンゼン環を表し、
R2は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミ ノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基また はハロゲン原子を表し、太実線はピペリジン環の 2位および 4位の置換基力 Ssyn配置
をとる結合を表す、
で示される syn体ピペリジン化合物を製し、得られた syn体ピペリジン化合物〔I〕と光 学分割剤とを作用させ、生成する 2種のジァステレオマー塩の溶解度差を利用して、 一方のジァステレオマー塩を分離'採取し、次いで当該塩を分解することを特徴とす る、一般式〔I_a〕または一般式〔I_b〕:
〔I 一 b〕
式中、記号は前記と同一意味を表す、
で示される光学活性ピぺリジン化合物の製法に関する。
さらにまた、上記記載の方法により、得られた一般式〔I_a〕または一般式〔I_b〕
〔I 一 b〕
式中、記号は前記と同一意味を表す、
で示された光学活性ピぺリジン化合物のピぺリジン環の 4位の水酸基に、必要に応じ て、常法により、置換基 R1を導入し、得られる一般式〔I_c〕または一般式〔I_d〕:
式中、 R1は水素原子、置換基を有しているカルボニル基、置換基を有しているスル フィニノレ基、置換基を有してレ、るスルホニル基または置換基を有してレ、てもよレ、アル キル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する、
で示される化合物と一般式〔IV〕
〔 I V]
式中、環 Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、 Rは水素原子または置 換基を有していてもよいアルキル基を表し、 R
4a及び R
4bは、同一または異なって、水 素原子もしくは置換基を有してレ、てもよレ、アルキル基を表す力、または R
4a及び R
4bは 一緒になつてァノレキレン基を形成してレヽる、
で示される化合物と式:
式中、 w
1および w
2は、同一または異なって脱離基を表す、
で示されるウレァ化剤とを反応させ、次いで所望により薬理的に許容し得る塩とする ことを特徴とする一般式〔V_a〕または一般式〔V_b〕:
CV - b ]
式中、記号は前記と同一意味を表す、
で示される光学活性ピぺリジン化合物またはその薬理的に許容し得る塩の製法に関 する。
発明の効果
本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する化合物の中間体である syn 体ピペリジンィ匕合物及び光学活性ピぺリジンィ匕合物の製法ならびにこれら光学活性 な中間体を用いた優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する光学活性ピぺリジン化 合物の製法を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
[0014] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物〔I〕は、化合物〔II〕を還元させ ることにより製造すること力 Sできる。
[0015] 化合物〔II〕の還元反応は、還元剤の存在下、適当な溶媒中または無溶媒中で実 施すること力 Sできる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよぐメ タノ一ノレ、エタノーノレ、プロパノーノレ、イソプロパノーノレ、ブタノーノレ、イソブタノーノレ、 sec—ブタノ一ノレ、 tert—ブタノ一ノレ、テトラヒドロフノレフリノレアノレコーノレなどのァノレコ ール、ジメトキシェタン、テトラヒドロフランなどのエーテル、ベンゼン、トルエンなどの 芳香族炭化水素、ジメチノレホノレムアミド、ジメチルァセトアミドなどのアミド、ジメチルス ノレホキシドなどのスルホキシド、ァセトニトリルなどの二トリル、エチレングリコールなど のグリコール、水またはこれらの混合溶媒を適宜用いることができる力 アルコールが 好適に用いられ、より好適には、メタノール又はイソプロパノールが用いられる。還元 剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム 、水素化ホウ素亜鉛などのホウ素化合物を用いることができ、このうち、水素化ホウ素 ナトリウムが好適に用いられる。還元剤の量は、化合物〔II〕に対して、 1当量から 3当 量が好ましぐ 1. 8〜2. 2当量がより好ましい。本還元反応の反応温度は、 20°C〜6 0°Cが好ましぐ 30°C〜50°Cがより好ましい。反応時間は、反応温度等により異なる 力 通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。本還元反応では、ピペリ ジン環の 2位及び 4位の置換基のシン(syn)選択性が、シン(syn) /アンチ(anti) = 9/1以上と極めて高ぐ特別な立体選択的還元剤を用いることなぐ立体選択的に s yn体化合物〔I〕を効率よく製造することができる。
[0016] また、本発明において用いられる Mとしては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのァ ルカリ金属または水素原子が挙げられ、このうち、ナトリウムが好適に用いられる。
[0017] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物〔I〕は、化合物〔III〕またはその 塩と塩基とを反応させ、化合物〔II〕を製し、次いで得られた化合物〔II〕を還元させる ことにより製造することもできる。
[0018] 化合物〔III〕またはその塩と塩基との反応は、適当な溶媒中で実施することができる 。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよぐメタノーノレ、エタノー
ノレ、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、 sec ブタノール、 tert ブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール、水またはこれ らの混合溶媒を適宜用いることができる力 S、メタノール又はエタノールが好適に用い られる。本反応の反応温度は、 15°C〜60°Cが好ましぐ 45°C〜55°Cがより好ましい 。反応時間は、反応温度等により異なるが、通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20 時間が好ましい。
[0019] 本発明で用いられる塩基としては、アルカリ金属アルコラート、水酸化アルカリ金属 または水酸化アルカリ土類金属などが挙げられ、このうち、アルカリ金属アルコラート が好適に用いられる。当該アルカリ金属アルコラートとしては、リチウムメチラート、リチ ゥムェチラート、リチウムプロピラート、リチウムイソプロピラート、カリウムメチラート、力 リウムェチラート、カリウムプロピラート、カリウムイソプロピラート、ナトリウムメチラート、 ナトリウムェチラート、ナトリウムプロピラート、ナトリウムイソプロピラート、リチウム一 ter tーブトキシド、カリウム tert ブトキシド、ナトリウム tert ブトキシドなどが挙げら れ、このうち、ナトリウムメチラートが好適に用いられる。また、当該水酸化アルカリ金 属としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。当 該水酸化アルカリ土類金属としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが 挙げられる。
[0020] 塩基の量は、化合物〔III〕に対して、 1〜3当量が好ましぐ 1.:!〜 1. 3当量がより好 ましい。
[0021] 本発明で用いられるアルカリ金属アルコラートは、上記反応系内または系外で、ァ ルカリ金属またはアルカリ金属塩とアルコールを用いて製造することもできる。当該ァ ルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが用いられる。当該アルカリ金 属塩としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水酸化アル カリ金属が用いられ、このうち、水酸化ナトリウムが好適に用いられる。また、アルコー ノレとしては、メタノーノレ、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが用いられ、このう ち、メタノールが好適に用いられる。アルカリ金属アルコラートの量は、化合物〔III〕に 対して、:!〜 3当量が好ましぐ 1. 1〜: 1. 3当量がより好ましい。
[0022] 本発明の好ましい実施形態では、塩基がアルカリ金属アルコラートであり、 Mがァ
ルカリ金属である。本発明のさらに好ましい実施形態では、塩基がナトリウムメチラー トであり、 Mがナトリウムである。
[0023] 本発明の化合物〔I〕は、常法により、単離 ·精製することができる。
[0024] 化合物〔V〕の公知の製法としては、例えば、国際公開第 2003Z099787パンフレ ットなどに記載される製法が挙げられるが、必ずしも収率が良くない。本発明では、ィ匕 合物 [V]を効率よく製造することができ、例えば、以下のようにして製造することがで きる。
(式中、 W1および ま、同一または異なって脱離基を表し、 Xは脱離基を表し、他の 記号は前記と同一意味を有する。 )
化合物〔I a〕または化合物〔I b〕は、化合物〔I〕を、常法により、光学分割するこ とにより得ること力 Sできる。光学分割は、例えば、化合物〔I〕と光学分割剤を作用させ 、生成する 2種のジァステレオマー塩の溶解度差を利用して、一方のジァステレオマ
一塩を分離 ·採取することにより実施することができる。
[0026] 光学分割剤としては、例えば、ナプロキセン、 N, 0ージベンゾイノレー D—p—ヒドロ キシフエニルグリシン、ジ一 p—ァニソィル一 D—酒石酸、 N—トシル一 L—フエニルダ リシン、ジ— p—トルオイル—L—酒石酸、 N—トシル—D—ノ リン、ジ— 0—トルオイ ノレ一 D—酒石酸、 N—トシル一 D—フエ二ルァラニン、 N—ベンゾィル一D—フエ二ノレ グリシン、 L—メントキシ酢酸、 N—ベンゼンスルホニル一D—フエ二ルァラニンなどが 挙げられ、このうち、 N—トシル—D—ノ リン、ジ—。—トルオイル— D—酒石酸、 N —トシノレ一D—フエニノレアラニン、 N—ベンゾィノレ一D—フエ二ノレグリシン、 L—メント キシ酢酸、 N—ベンゼンスルホニル— D—フエ二ルァラニンが好適に用いられる。特 に、 (2R, 4S)体である化合物〔I_ a〕を取得する場合、 N—トシルー D—フヱニルァ ラニンが好適に用いられる。当該光学分割剤の量は、化合物〔I〕に対して、 0. 5〜0 . 8当量力 S好ましく、 0. 6〜0. 7当 ft力 Sより好ましレヽ。
[0027] 化合物〔I〕と光学分割剤との反応は、適当な溶媒中で実施することができる。溶媒と しては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよぐ例えば、メタノーノレ、エタノー ルなどのアルコールが挙げられ、このうちメタノールが好適に用いられる。本化合物〔I 〕と光学分割剤との反応の反応温度は、 5°C〜70°Cが好ましぐ 55°C〜65°Cがより 好ましい。反応時間は、反応温度等により異なるが、通常、 30分間〜 24時間であり、 :!〜 20時間が好ましい。
[0028] 本反応により生成する 2種のジァステレオマー塩は、溶解度差を利用して、分別結 晶などの常法を使用することにより、分離'採取することができる。
[0029] 得られた一方のジァステレオマー塩をフリー体にする分解反応は、常法により、該 塩を酸または塩基と反応することにより実施できる。本反応は、適当な溶媒中で実施 すること力 Sできる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよぐ例え ば、水、酢酸ェチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル、クロロホノレム、 ジクロロメタンなどのハロゲンィヒ炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素 またはそれらの混合溶媒が挙げられ、このうち水と酢酸イソプロピルの混合溶媒が好 適に用いられる。用いられる酸または塩基としては、塩酸、硫酸などの鉱酸、ピリジン 、トリェチルァミンなどの有機ァミンなど、慣用のものが挙げられるが、塩酸が好適に
用いられる。本反応の反応温度は、 30°C〜60°Cが好ましぐ 35°C〜45°Cがより好ま しい。反応時間は、反応温度等により異なるが、通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。
[0030] 化合物〔I_c〕または化合物〔I_d〕は、常法により、上記のようにして得られた化合 物〔I_a〕または化合物〔I_b〕のピペリジン環の 4位の水酸基へ置換基 R1を導入する ことで製造することができる。本反応は、国際公開第 2003/099787パンフレットな どに記載の公知の方法によって、実施できるが、本反応は、例えば、適当な溶媒中ま たは無溶媒中で実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶 媒であればよぐ例えば、酢酸イソプロピル、酢酸ェチルなどのエステル、ベンゼン、 トルエンなどの芳香族炭化水素、 tert_ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテ ルなどのエーテル、またはそれらの混合溶媒が挙げられ、このうち、酢酸イソプロピル 及びトルエンの混合溶媒が好適に用いられる。本反応の反応温度は、 10°C〜50°C が好ましぐ 10°C〜30°Cがより好ましい。反応時間は、反応温度等により異なるが、 通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。
[0031] 化合物〔I c〕または化合物〔I d〕と化合物〔IV〕とウレァ化剤との反応は、国際公 開第 2003/099787パンフレットなどに記載の公知の方法によって、実施できるが、 本方法は、例えば、適当な溶媒中で実施することができる。ウレァ化剤としては、式:
式中、 w
1および w
2は、同一または異なって脱離基を表す、
で示されるようなものが挙げられる。 w1および w2としては、同一または異なってイミダ ゾリル基、ハロゲン原子またはフエノキシ基などが挙げられる。ウレァ化剤の具体例と しては、 1, 1 ' _カルボニルジイミダゾール、トリホスゲンまたはホスゲン等のカルボ二 ルジハライドが好ましく挙げられる。また、溶媒としては、反応に悪影響を与えるもの でなければいずれのものでも使用することができ、例えば、ァセトニトリルなどの二トリ ル、ジクロロメタン、クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジェチルエーテル、テト ラヒドロフラン等のエーテルを適宜用いることができる。本反応は、例えば、 0°C〜80
°C、好ましくは、 0°C〜60°Cで実施することができる。反応時間は、反応温度等により 異なるが、通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。
化合物〔I c〕または化合物〔I d〕と化合物〔IV〕とウレァ化剤との反応は、例えば 、以下のようにして実施することもできる。化合物〔I_c〕または化合物〔I_d〕と式:
0
U
Wレ 、w2 式中、 w1および w2は、前記と同一意味を表す、
で表されるウレァ化剤を反応させ、一般式〔VI— a〕または一般式〔VI— b〕:
式中、環 A、
R
2および W
2は前記と同一意味を有する、
で表される化合物とした後、次いで、所望により、化合物〔VI _a〕または化合物〔VI _b〕をその反応性誘導体へ導き、化合物〔IV〕と反応させることにより、化合物〔V_a 〕または化合物〔V_b〕を製することができる。または、化合物〔IV〕と式:
0
U
W1^ 'W2 式中、 w1および w2は前記と同一意味を有する、
で表されるウレァ化剤を反応させ、一般式〔VII〕:
〔V I I〕
式中、環 B、 R3、 R4a、 R4bおよび W2は前記と同一意味を有する、
で表される化合物とした後、次いで、所望により、化合物〔VII〕をその反応性誘導体 へ導き、化合物〔I c〕または化合物〔I d〕と反応させることにより、化合物〔V— a〕ま
たは化合物〔V— b〕を製することもできる。
化合物〔VI— a〕もしくは化合物〔VI— b〕または化合物〔VII〕の反応性誘導体として は、例えば、化合物〔 VI— a〕もしくは化合物〔VI— b〕または化合物〔VII〕において、 W
2を、式:
で示されるような基に誘導した化合物が挙げられる。
[0034] 化合物〔I c〕もしくは化合物〔I d〕または化合物〔IV〕とウレァ化剤の反応は、適 当な溶媒中で実施することができる。本反応の反応温度は、例えば、 0°C〜80°C、好 ましくは、 0°C〜60°Cである。反応時間は、反応温度等により異なるが、通常、 30分 間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。また、溶媒としては、反応に悪影響を与 えるものでなければいずれのものでも使用することができ、例えば、ァセトニトリルなど の二トリル、ジクロロメタン、クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジェチルエーテ ノレ、テトラヒドロフラン等のエーテルを適宜用いることができる。
[0035] 化合物〔VI_ a〕もしくは化合物〔VI_b〕または化合物〔VII〕をその反応性誘導体 へ導く反応は、ヨウ化メチルのような反応性誘導化剤を用いて、溶媒中で実施するこ とができる。本反応の反応温度は、例えば、 0°C〜80°C、好ましくは、 0°C〜60°Cで ある。反応時間は、反応温度等により異なるが、通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。また、溶媒としては、反応に悪影響を与えるものでなければいず れのものでも使用することができ、例えば、ァセトニトリルなどの二トリル、ジクロロメタ ン、クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン等 のエーテルを適宜用いることができる。
[0036] それぞれの反応性誘導体と化合物〔I a〕もしくは化合物〔I b〕または化合物〔IV〕 との反応は、塩基の存在下、適当な溶媒中で実施することができる。本反応の反応 温度は、例えば、 0°C〜80°C、好ましくは、 0°C〜60°Cである。反応時間は、反応温 度等により異なるが、通常、 30分間〜 24時間であり、:!〜 20時間が好ましい。また、 塩基としては、例えば、トリェチルァミンなどのアミンを用いることができる。溶媒として
は、反応に悪影響を与えるものでなければいずれのものでも使用することができ、例 えば、ァセトニトリルなどの二トリル、ジクロロメタン、クロ口ホルムなどのハロゲン化炭 化水素、ジェチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテルを適宜用いることができ る。
[0037] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における環 Aは置換基を有し ていてもよいベンゼン環を表す。ベンゼン環の置換基としては、アルキル基、ハロゲ ン原子、シァノ基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基が挙げられる。環 Aはこれら置換基を同一または異なって 1〜3個有してレ、てもよレ、。
[0038] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における環 Bは置換基を有して いてもよいベンゼン環を表す。ベンゼン環の置換基としては、トリハロゲノアルキル基 、ハロゲン原子、シァノ基、フエニル基、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および 硫黄原子から選ばれる原子を 1乃至 4個含有する複素環式基、アルキル基、保護さ れていてもよい水酸基またはアルコキシ基が挙げられる。環 Bはこれら置換基を同一 または異なって 1〜3個有していてもよい。
[0039] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における環 Aの好ましい例とし ては、例えば、式:
で示されるベンゼン環であって、式中、
A
2および A
3は、同一または異なって、水 素原子、ハロゲン原子、アルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ 基であるベンゼン環が挙げられる。
[0040] また、本発明において用いられる、或いは得られる化合物の化合物における環 Bの 好ましい例としては、例えば、式:
で示されるベンゼン環であって、式中、 Β Β
2および Β
3は、同一または異なって、水
素原子、トリハロゲノアルキル基、ハロゲン原子、シァノ基、フエニル基、ヘテロ原子と して窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を 1乃至 4個含有する複 素環式基、アルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基であるベン ゼン環が挙げられる。
[0041] トリハロゲノアルキル基としては、例えば、トリフルォロメチル基またはトリクロロメチル 基等が挙げられる。ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ば れる原子を 1乃至 4個含有する複素環式基としては、例えば、テトラゾリル基が挙げら れる。
[0042] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における保護されていてもよい 水酸基の保護基としては、置換基を有していてもよいァリールアルキル基、置換基を 有していてもよいシリル基、ァシル基等の慣用の保護基が挙げられる。このうち好まし レ、ものとしては、例えば、ベンジル基、フエネチル基等のァリールアルキル基、 tert— プチルジメチルシリル基、 tert—プチルジフエニルシリル基等の置換基を有している シリル基、ホルミノレ基、ァセチル基、プロピオニル基、マロニル基、アタリロイル基、ベ ンゾィル基等のァシル基が挙げられる。
[0043] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における R1としては、
(1)水素原子、
(2)置換基を有してレ、るカルボニル基、
(3)置換基を有してレ、るスルフィエル基、
(4)置換基を有してレ、るスルホニル基または
(5)置換基を有してレ、てもよレ、アルキル基
が挙げられ、このうち、置換基を有しているカルボニル基および置換基を有していて もよレ、アルキル基が好ましレ、。
[0044] 上記(2)の置換基を有してレ、るカルボニル基の置換基としては、置換基を有してレ、 てもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有している アミノ基、ヘテロ原子として窒素原子および酸素原子から選ばれる原子を 1乃至 2個 含有する単環複素環式基(当該単環複素環式基は置換基を有してレ、てもよレ、。 )が 挙げられる。当該置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基が
挙げられる。当該置換基を有していてもよいアルコキシ基の置換基としては、アルコ キシ基、水酸基またはハロゲン原子が挙げられる。当該置換基を有しているアミノ基 の置換基としては、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ピペリジニル基、モルホリノ基 、カルボキシル基、モルホリノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキ ルァミノカルボニル基、アルカノィルァミノ基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アルキ ノレスルホニル基、アルカノィルォキシ基および水酸基から選ばれる基で置換されてレヽ るアルキル基;ヒドロキシアルカノィル基もしくはアルコキシアルカノィル基で置換され てレ、るピペリジニル基;またはジアルキルアミノスルホニル基が挙げられる。当該単環 複素環式基としては、モノレホリノ基、ピペラジニル基、イミダゾリル基、チオモルホリノ 基、ピペリジノ基、フリル基、テトラヒドロチアゾリニル基またはピロリジニル基が挙げら れる。当該単環複素環式基の置換基としては、水酸基、アルコキシカルボニル基、力 ルボキシル基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基、アルコキシアルキルアミノカル ボニル基、アルキルチオアルキルアミノカルボニル基、アルキルスルフィニルアルキ ノレアミノカルボニル基、アルキルスルホニルアルキルアミノカルボニル基またはモルホ リノ基で置換されていてもよいアルキル基、ォキソ基または水酸基が挙げられる。
[0045] 上記(3)の置換基を有してレ、るスルフィニル基の置換基としては、アルキル基また はチェニル基が挙げられる。
[0046] 上記(4)の置換基を有してレ、るスルホニル基の置換基としては、アルキル基または チェニル基が挙げられる。
[0047] 上記(5)の置換基を有してレ、てもよレ、アルキル基の置換基としては、置換基を有し ていてもよい水酸基、ジアルキルアミノ基またはへテロ原子として硫黄原子、窒素原 子および酸素原子から選ばれる原子を 1乃至 4個含有する単環複素環式基(当該単 環複素環式基は置換基を有していてもよい。)が挙げられる。当該置換基を有してい てもよい水酸基の置換基としては、アルキル基、アルキルスルホニル基またはテトラヒ ドロビラニル基が挙げられる。当該単環複素環式基としては、ピリジル基、ピペリジニ ル基、モルホリノ基、イソキサゾリル基、トリァゾリル基、テトラゾリル基またはピロリジニ ル基が挙げられる。当該単環複素環式基の置換基としては、アルキル基およびフエ ニル基が挙げられる。
[0048] 好ましレ、 R1としては、水素原子;水酸基、アルキルスルホニルォキシ基、テトラヒドロ ピラエルォキシ基、トリァゾリル基、アルキル基で置換されていてもよいテトラゾリル基 もしくはアルコキシ基で置換されてレ、てレ、るアルキル基;モルホリノカルボニルォキシ 基;イミダゾリルカルボニル基;水酸基、モルホリノカルボニル基、ジアルキルアミノカ ノレボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルカノィルァミノ基、アルコキシ基もしく はアルカノィルォキシ基でアルキル基部分が置換されてレ、てもよレ、アルキルアミノカ ルボニル基;水酸基、カルボキシル基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基、アル コキシアルキルアミノカルボニル基、アルキルチオアルキルアミノカルボニル基もしく はヒドロキシアルキル基で置換されてレ、るピペリジノカルボニル基;水酸基で置換され てレ、るジアルキルアミノカルボニル基;ヒドロキシアルカノィル基もしくはアルコキシァ ルカノィル基で置換されているピペリジニルァミノカルボニル基;ォキソピロリジニルカ ルボニル基;ジアルキルアミノスルホニルァミノカルボニル基が挙げられる。
[0049] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における R2としては、水素原子 、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有 してレ、てもよレ、アルキル基、置換基を有してレ、るカルボニル基またはハロゲン原子を 表す。 R2の置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、アルキル基が挙げ られる。 R2の置換基を有していてもよいアミノ基の置換基としては、アルキル基が挙げ られる。 R2の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、アルコキシ基 が挙げられる。 R2の置換基を有しているカルボニル基の置換基としては、水酸基、ァ ルコキシ基またはアルキルアミノ基が挙げられる。好ましい R2としては、水素原子が挙 げられる。
[0050] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における R3としては、水素原子 または置換基を有してレ、てもよレ、アルキル基が挙げられる。 R3の置換基を有してレ、て もよいアルキル基の置換基としては、水酸基、アルカノィル基、アルカノィルォキシ基 、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルアミノ基が挙げられる。好ましい R3とし ては、アルキル基、水酸基で置換されたアルキル基またはアルカノィルォキシ基で置 換されたアルキル基が挙げられ、より好ましい R3としては、メチル基、ェチル基、水酸 基で置換されたプロピル基またはァセチルォキシ基で置換されたプロピル基が挙げ
られる。
[0051] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における R4a及び R4bとしては、 同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表す 、または R4a及び R4bは一緒になつてアルキレン基を形成する。置換基を有していて もよいアルキル基の置換基としては、水酸基などが挙げられる。好ましい R4a及び R4b としては、水素原子、メチル基または水酸基で置換されたメチル基が挙げられる。
[0052] 本発明において用いられる、或いは得られる化合物における Rとしては、ァミノ基の 保護基が挙げられる。当該アミノ基の保護基としては、 tert—ブトキシカルボニル基 の如きアルコキシカルボニル基、ベンジルォキシカルボニル基等の如きァリールアル コキシカルボニル基などが挙げられる。好ましい Rとしては、 tert—ブトキシカルボ二 ル基が挙げられる。
[0053] 本発明に用いられる、或いは得られる化合物としては、環 Aが、式:
で示されるベンゼン環であり、 が水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であり 、 A
2が水素原子、アルキル基またはハロゲン原子である化合物が好ましぐ A
1がアル キル基であり、 A
2がハロゲン原子である化合物がより好ましぐさらに、 A
1がメチル基 であり、 A
2がフッ素原子である化合物が好ましい。
本発明に用いられる、或いは得られる化合物としては、環 Bが、式:
で示されるベンゼン環であり、 B
1がトリハロゲノアルキル基であり、 B
2がトリハロゲノア ルキル基である化合物が好ましぐさらに、 B
1がトリクロロメチル基であり、 B
2がトリクロ ロメチル基である化合物が好ましレ、。
また、本発明に用いられる、或いは得られる化合物としては、 R1が水素原子または ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基であり、 R2が水素原子であり、 R3がアルキル基
であり、 R4a及び R4bが、同一または異なって、水素原子もしくはアルキル基であるィ匕 合物が好ましい。
[0056] 本発明に用いられる、或いは得られる化合物は、遊離の形で、または塩もしくは薬 理的に許容し得る塩の形で、使用することができる。
[0057] 本発明に用いられる、或いは得られる化合物の塩または薬理的に許容し得る塩とし ては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、 フマル酸塩、シユウ酸塩、クェン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ト シノレ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。
[0058] また、本発明に用いられる、或いは得られる化合物またはその塩もしくはその薬理 的に許容し得る塩とは、その分子内塩やそれらの溶媒和物あるいは水和物等をいず れも含む。
[0059] 本発明で得られる化合物〔V_ a〕もしくは化合物〔V_b〕またはその薬理的に許容 し得る塩は、国際公開公報 2003/099787パンフレットに記載の通り、優れたタキキ ニン受容体拮抗作用、特に SP受容体拮抗作用を有し、哺乳動物 (例えば、マウス、 モノレモット、スナネズミ、フェレット、ラット、ノヽムスター、ゥサギ、ネコ、ィヌ、ゥシ、ヒッジ 、サル、ヒトなど)に対する、炎症もしくはアレルギー性疾患(例えば、アトピー、皮膚炎 、ヘルぺス、乾癬、喘息、気管支炎、喀痰、鼻炎、リューマチ関節炎、変形性関節炎 、骨粗鬆症、多発性硬化症、結膜炎、眼炎、膀胱炎など)、疼痛、偏頭痛、神経痛、 搔痒、咳、さらに中枢神経系の疾患〔例えば、精神分裂症、パーキンソン病、うつ病、 不安、心身症、モルヒネ依存症、痴呆(例えば、アルツハイマー病など)など〕、消化 器疾患 [例えば、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ゥレアーゼ陽性のラセ ン状グラム陰性菌(例えば、へリコパクター 'ピロリなど)に起因する異常 (例えば、胃 炎、胃潰瘍など)など]、悪心、嘔吐、排尿異常 (例えば、頻尿、尿失禁など)、循環器 疾患(例えば、狭心症、高血圧、心不全、血栓症など)および免疫異常などの安全な 予防、治療薬として有用である。とりわけ、本発明の化合物〔V_ a〕もしくは化合物〔V _b〕またはその薬理的に許容し得る塩は、脳内移行性が高ぐ且つ低毒性で、副作 用を殆ど示さないため、嘔吐、うつ病などの中枢神経系疾患、頻尿などの排尿異常 の予防、治療薬として有用である。
[0060] さらに、本発明による化合物の製造に際し、原料化合物ないし各中間体化合物が 官能基を有する場合、上記で示した以外にも合成化学の常法により各官能基に適切 な保護基を導入してもよぐまた、必要がなければ、それら保護基を、適宜、除去して あよい。
[0061] 本明細書にぉレ、て、アルキル基とは、例えば、メチノレ基、ェチル基、プロピル基、ィ ソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、 tert—ブチル基、ペンチル基、イソペンチル 基及びへキシル基等の炭素数 1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、好 ましくは炭素数 1〜4のものを意味し、より好ましくは炭素数 1〜2のものを意味する。 アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、 ブトキシ基等の炭素数 1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味し、好ましく は炭素数 1〜4のものを意味し、より好ましくは炭素数 1〜2のものを意味する。アル力 ノィル基とは、例えば、ホルミノレ基、ァセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリ ル基、 tert ブチルカルボニル基等、炭素数 1〜6の直鎖または分岐鎖のアルカノィ ル基を意味し、好ましくは炭素数 1〜4のものを意味し、より好ましくは炭素数 1〜2の ものを意味する。ァノレキレン基とは、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、 トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基等の炭素数 1〜 6のアルキレン基を意味し、好ましくは炭素数 2〜5のものを意味する。さらに、ハロゲ ン原子とは、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を意味し、好ましくは、塩素またはフッ素 が挙げられる。 実施例
[0062] 実施例 1
メタノーノレ 20mlに水酸ィ匕ナトリウム 288mgをカロえた溶 f夜に、 30。C以下で 1—tert -ブトキシカノレボニノレ - 2—フエ二ノレ _ 2, 3—ジヒドロ一 1H— 4—ォキソ一ピリジン 1 . 82gを加えた。反応溶液を 50°Cまで昇温して、同温で 2時間撹拌して、 2, 3—ジヒ ドロー 4 ナトリウムォキシ 2—フエ二ルビリジンを得た。次いで反応溶液を 25°Cま で下げ、イソプロピルアルコール 4mlを加えた後、水素化ホウ素ナトリウム 496mgを カロえた。反応溶液を 35°Cで 16時間撹拌した。その後、 30°C以下で反応溶液に 20 %水酸化ナトリウム水溶液 6gを加え、 25°Cで 1時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、
残渣に水 10mlをカ卩え、 50°Cで 1時間撹拌した。溶液を 30°C以下まで下げ、酢酸ィ ソプロピル 16mlをカ卩えた後、分液した。水層を再度、酢酸イソプロピルで抽出した。 合わせた有機層を 20%食塩水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することによ り、下記第 1表記載の 4—ヒドロキシ _ 2—フエ二ルビペリジン 1. 18g (シン(syn) Zァ ンチ(anti) = 9. 8/1. 0)を得た。 MS : 178 (M+ 1)。
syn/anti比の決定法方法
syn/anti比については、 NMRのピーク比で決定した。
< 1H_NMR測定>
1H-NMR (Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)測定は、 BRUKE R社製 AVANCE400を用いて、 CDC1にて行った。
3
[0063] 実施例 2〜7
対応原料化合物を用いて、実施例 1と同様に処理することにより、下記第 1表の化 合物を得た。
[0064] 実施例 8
メタノール 60mlに水酸化ナトリウム 39mgを加えた溶液に、 30°C以下で 1—tert— ブトキシカルボ二ルー 2— (4 フルオロー 2—メチルフエ二ル)一 2, 3 ジヒドロ一 1 H— 4 ォキソピリジン 6. 00gを加えた。反応溶液を 40°Cまで昇温して、同温で 3時 間撹拌して、 2— (4—フルォロ一 2—メチルフエ二ル)一 2, 3—ジヒドロ一 4—ナトリウ ムォキシピリジンを得た。溶媒を留去後エタノールで置換濃縮し、得られた残渣 4. 1 2gにエタノール 36mlおよびイソプロパノール 36mlを加えて 50°Cに加熱した。その 後、水素化ホウ素ナトリウム 0. 96gを添加して、反応溶液を同温で 2時間撹拌した。 その後、 30°C以下で反応溶液に 10%水酸化ナトリウム水溶液 17mlをカ卩えて 1時間 撹拌した。反応溶液を濃縮して、残渣に水および酢酸ェチルを加えた後、分液した。 水層を再度、酢酸ェチルで抽出した。合わせた有機層を 20%食塩水で洗浄した。得 られた有機層を減圧濃縮することにより、 2- (4 フルオロー 2—メチルフヱニル) - 4—ヒドロキシピペリジン 4. 18g (シン(syn) /アンチ(anti) = 13/l)を得た。 MS : 210 (M + 1)。
[0065] 実施例 9
(1) 2— (4 フルォロ一 2—メチルフエニル) 4 ヒドロキシピペリジン 12· 4gにメ タノール 50mlを加え、 60°Cにカロ温した。溶液に N トシルー D フエ二ルァラニン 3 . 79gのメタノール溶液 25mlを滴下し、 60°Cで 1時間撹拌した。さらに 60°Cで N ト シル一 D—フエ二ルァラニン 8. 52gのメタノール溶液 62mlを 1時間かけて滴下した。 反応溶液を 15°Cまで徐冷後、 1時間撹拌した。析出晶をろ取して、冷メタノールで洗 浄後、 50°Cで減圧乾燥することにより、光学純度 99. 9%ee (光学純度は、常法によ り、 HPLCにて測定)の(2R, 4S) - 2- (4—フノレオ口一 2—メチノレフエ二ノレ)一4—ヒ ドロキシピペリジン · N -トシノレ一 D—フエ二ルァラニン塩 12. 48gを得た。
(2)酢酸イソプロピル 144ml、水 93. 6ml、濃塩酸 14. 4gの混合溶液に 40°Cで、 得られた(2R, 4S) - 2- (4—フルォロ一 2—メチルフエニル)一4—ヒドロキシピペリ ジン ·Ν—トシル— D—フヱニルァラニン塩 36. 0gをカロえ、 30分間撹拌した。反応溶 液を分液して、有機層を分取した。残った水層を再度、酢酸イソプロピルで抽出し、 有機層を分取した。さらに、残った水層に 7M水酸化ナトリウム水溶液を 45°C以下で 加え、約 pHl lに調整した後、酢酸イソプロピルで 2回抽出し、有機層を分取した。得 られた有機層を合わせて、有機層が 5分の 1になるまで減圧濃縮した。残渣に酢酸ィ ソプロピル 180mlを加えて溶解した後、トルエン 3. 6gを加えた。窒素雰囲気下、溶 液に 1, 1 '—カルボエルジイミダゾール 15. 35gを加え、 15°Cで 30分間撹拌した。反 応溶液を水で 2回洗浄した。得られた有機層を 50°Cまで昇温して、エタノールァミン 6. 2gを加え同温で 3時間撹拌した。次いで、溶液に水を 36mlカ卩え、 10°Cまで冷却 し、 1時間撹拌した。析出晶をろ取し、水及び 10°Cに冷却した酢酸イソプロピルで洗 浄した。得られた結晶を 45°Cで送風乾燥することにより、(2R, 4S)— 2— (4 フル オロー 2_メチルフエニル) _4_ (2—ヒドロキシェチルァミノカルボニルォキシ)ピぺ リジン · 1水和物 17. 71gを得た。 MS : 297 (M + 1)。
実施例 10
酢酸イソプロピル 11ml及び水 5. 5mlの混合溶媒を 60°Cまで昇温し、実施例 1で 得られた 4—ヒドロキシ _ 2—フエ二ルビペリジン 1. 15g及び炭酸カリウム lgを順次加 えた。さらに 60°Cで N_ (3, 5_ビストリフルォロメチルベンジル) _N_メチル一アミ ノカノレポ二ノレクロライド 2. 2gを溶液に加え、 19時間撹拌した。 40°Cまで冷却して、反
応溶液にトルエン 11mlを加え、塩酸水溶液で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣 をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸ェチル =80: 20→0: 100)で精製し、 1— {N— (3, 5—ビストリフルォロメチルベンジル) N—メチル }ァミノカルボ二ルー 2_フエ二ノレ _4—ヒドロキシピペリジン 2.48gを得た。 MS:461(M+1)。
[0067] 実施例 11
(2R, 4S)-2- (4—フルオロー 2_メチルフエニル) _4_ (2—ヒドロキシェチル ァミノカルボニルォキシ)ピぺリジン ·1水和物 12.72g及び Ν_(3, 5_ビストリフル ォロメチルベンジル) _Ν_メチル一アミノカルボユルク口ライド 13.58gを用レ、て、実 施例 10と同様に処理することにより、 (2R, 4S)-l-{N-(3, 5_ビストリフルォロメ チルベンジル)一N—メチノレ }ァミノカルボニル一 2 _ (4—フルオロー 2 _メチルフエ ニル) _4_ (2—ヒドロキシェチルァミノカルボニルォキシ)ピぺリジン 8.82gを得た。
MS:580(M+1)。
[0068] 実施例 12
実施例 4で得られた 2—(2, 4—ジメチルフエニル)ー4ーヒドロキシピペリジン 1· 35 g及び N— (3, 5—ビストリフルォロメチルベンジル) N—メチルーアミノカルボニル クロライド 2.2gを用いて、実施例 10と同様に処理することにより、 1— {N— (3, 5- ビストリフルォロメチルベンジル) N—メチル }ァミノカルボ二ルー 2—(2, 4—ジメチ ルフエ二ル)一 4 ヒドロキシピペリジン 2· 79gを得た。 MS:489(M+1)。
[0069] 実施例 13〜85
対応原料化合物を実施例 1、実施例 9、実施例 10に準じて実施することにより、下 記第 2表〜第 14表記載の化合物を得ることができる。
[0070] 参考例 1
テトラヒドロフラン 45mlに窒素雰囲気下、 4—メトキシピリジン 9.09g、ジ一 tert—ブ チルジカルボネート 19.93gを加え、溶液を _10°Cへ冷却した。 _10°Cで溶液に 1 Mフエニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液 100mlを 2時間かけて滴下し 、 _10°Cで 3時間撹拌した。クェン酸 19.09gを水 71.8mlに溶解した溶液に、 30 °C以下で、上記反応溶液を加え、 30°C以下で 45分間撹拌した。溶液を分液した後 、有機層を食塩水で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー
(へキサン:酢酸ェチル =100:0→60:40)で精製することにより、下記第 15表記載 の 1— tert—ブトキシカルボニル一 2—フエニル一 2, 3—ジヒドロ一 1H— 4—ォキソ ピリジン 19. 66gを得た。
参考例 2〜7
対応原料化合物を用いて、参考例 1と同様に処理することにより、下記第 15表の化 合物を得た。
第 1表
実施例番号 R 1
2 3 ΗΟ
2 4 H3CO〜0
2 5
2 6
2 7
0
Η
2 8 HO〜V
0
2 9 丫 (
0
3 0
Η 0
0 Η
3 1
0 0
3 2
第 5表
第 8表
実施例番号 R 1
5 7 HO^
5 8
0
5 9 N丫
0
6 0 N丫 0
0
H
6 1 H N丫 C
0
第 9表 H CF3
R
H3C 0 F
実施例番号 R 1
H
6 2
0
6 3 OK
6 4 H3 丫0
0
6 5 ?
0
6 6 N丫 0
0
o L
[1800]
SSll90/.OOZdf/X3d TlZ6Cl/.00Z OAV
第 1 1表
第 1 4表
第 1 5表
産業上の利用可能性
本発明の製法により、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する光学活性ピベリジ ン化合物ならびにその中間体である syn体ピペリジン化合物及び光学活性ピベリジ ン化合物を効率的に製造することができる。