WO2007138659A1

WO2007138659A1 - 創外固定器

Info

Publication number: WO2007138659A1
Application number: PCT/JP2006/310561
Authority: WO
Inventors: Hitoshi Hirata; Masahiro Tatebe; Takaaki Shinohara
Original assignee: National University Corporation Nagoya University
Priority date: 2006-05-26
Filing date: 2006-05-26
Publication date: 2007-12-06
Also published as: WO2007138722A1; JPWO2007139031A1; EP2030583B1; EP2030583A1; KR20090027656A; US20090287212A1; CN101453959B; US8366710B2; CN101453959A; JP4304321B2; KR101377734B1; EP2030583A4; WO2007139031A1

Abstract

　創外固定器におけるピンの挿入方向に極めて高い自由度を与える。　骨に挿入される複数のピンと、前記複数のピンのそれぞれに連結されるボールジョイントと、前記ボールジョイントを連結する複数の連結部を備えた棒状部材であって、当該複数の連結部の位置を少なくとも当該棒状部材の長手方向に調整可能な棒状部材とを備える創外固定器を提供する。

Description

創外固定器

技術分野

[0001] 本発明は骨折した骨の固定を行う創外固定器に関する。

背景技術

[0002] 骨折を治療する際に骨を整復して固定する器具として、創外固定器が知られている。創外固定器においては、一般に、骨に挿入するピンとピン同士を連結する部材とを備え、この部材とピンとが相対的に動力ないように固定することで骨を整復した状態で固定する。

[0003] 例えば、日本国特許第 3740640号公報においては、骨折した部位を跨ぐ複数の部位に複数のピンを挿入し、各部位にぉ、てクランプによって複数のピンを固定する。また、各クランプは、両端にボールジョイントを備える棒状部材で連結され、固定される。

[0004] また、日本国特開 2004— 298253号公報においては、ボールジョイントのボールと当該ボールを覆うソケットとを兼ねるボールジョイント手段によってピンを固定する技術が開示されている。

発明の開示

[0005] 上述した創外固定器においては、ピンの挿入方向に制限があり、生体に対して正確にピンを挿入し、適正な整復を行うことは困難であった。

[0006] すなわち、日本国特許第 3740640号公報においては、ボールジョイントや長さが可変の棒状部材によってクランプ同士を連結する際の自由度が向上するが、骨に挿入するピンはクランプによって固定されるのでピンを挿入する際の自由度はやはり大きく制限されてしまう。

[0007] 具体的には、日本国特許第 3740640号公報においては、複数の太径ピン 5をクランプ 3によって保持し、また、複数の細径ピン 6をクランプ 4によって保持するため、複数の太径ピン 5ゃ細径ピン 6は同じ平面内に配置されていることが必要となり、また、ピン同士の距離や角度が制限される。生体にピンを挿入する際には、ピンの挿入位置を正確に制御することは極めて困難であり、骨に対するピンの挿入をやりなおすこともできない。従って、ピンの挿入方向に極めて高い自由度がなければ、創外固定器の扱、が極めて困難になってしまう。

[0008] また、日本国特開 2004— 298253号公報においては、ピンがボールジョイント手段のボールを貫通した状態で使用されるため、ボールの回転角度が制限される。さらに、ボールジョイント手段がボールとソケットとを兼ねているため、隣接するボール同士の距離を変更することができない。従って、ボールの回転角度とボール同士の距離が制限された状態で創外固定器の取付を行う必要があり、ピンの挿入方向はやはり大きく制限される。

[0009] 本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、ピンの挿入方向に極めて高

Vヽ自由度を持たせることが可能な創外固定器を提供することを目的とする。

[0010] 前記目的を達成するため、本発明では、複数のピンのそれぞれに対してボールジョイントを連結するように構成し、さらに、ボールジョイントに連結される棒状部材においてボールジョイントと棒状部材との連結部の位置を少なくとも当該棒状部材の長手方向に調整できるように構成した。

[0011] すなわち、複数のピンのそれぞれに対してボールジョイントを連結し、当該ボールジョイントを介してピンと棒状部材とを固定することにより、全てのピンと棒状部材との相対的な位置関係に極めて高い自由度を持たせることができる。従って、複数のピンのそれぞれがどのような向きで骨に挿入されていたとしても、その向きに影響されることなく棒状部材によってボールジョイント同士を連結し、ピンを固定することができる。

[0012] また、本発明においては、複数のピンのそれぞれに対してボールジョイントを連結するので、ある部位に複数のピンを平行に挿入するなどピン同士の距離や角度に制限はないし、ピン同士が同一の平面内に配置される必要もない。従って、創外固定器を取り付ける際にピンの挿入角度を全く考慮することなぐ骨の整復に必要な位置、および方向にピンを挿入することができ、極めて使い勝手の良い創外固定器を提供することができる。

[0013] さらに、本発明においては、棒状部材とボールジョイントとを連結する連結部の位置を、少なくとも当該棒状部材の長手方向に調整可能である。従って、複数のピンを任意の方向で骨に挿入した結果、各ピンに連結されたボールジョイント同士がどのような距離であったとしても、その距離に合わせながら棒状部材とボールジョイントとを連結することができる。このため、極めて使い勝手の良い創外固定器を提供することができる。

[0014] なお、ボールジョイントは、ボールとボールに対して回転可能なソケットとを組み合わせて形成され、当該ボールジョイントを介してピンと棒状部材とを連結することにより、両者の相対関係に高い自由度を持たせることができればよい。従って、任意の方向に挿入したピンにボールジョイントを連結し、ボールジョイントの位置によらずに棒状部材を連結して創外固定器を形成するように、ボールの大きさとソケットの大きさとを調整可能であるし、その可動範囲を調整可能である。

[0015] 棒状部材は、ボールジョイントに対して連結可能であり、かつ、その連結部を少なくとも棒状部材の長手方向に調整可能であればよい。従って、棒状部材自体の長さを調整して連結部の位置を調整する構成としてもよ!ヽし、棒状部材における複数の箇所でボールジョイントを連結可能に構成してもよ、し、複数の部材によって棒状部材を構成するとともにそれらを連結する角度を調整することによって連結部の位置を調整可能に構成してもよぐ種々の構成を採用可能である。

[0016] さらに、ボールジョイントの構成として、ボールとソケットとのいずれか一方を前記ピンの先端に取り付ける構成を採用しても良い。この構成によれば、ピンがボールを貫通することがないので、ピンに影響されることなくボールを回転させることができ、ピンの先端 (骨と逆側の端部）に対して極めて高い自由度で棒状部材を連結することができる。

[0017] なお、ボールとソケットとのいずれがピンに連結される構成であってもよぐボールがピンに連結される場合にピンの先端にボールを連結する構成を採用可能である。このとき、ボールの外周においてピンと逆側にソケットを連結するので、ソケットはピンの先端にお、て極めて高、自由度で向きを決定することができる。

[0018] ソケットがピンに連結される場合であっても、ソケットがピンの先端に連結されることにより、ピンの向きにかかわらず、ソケットに収容されるボールを回転することができる。なお、ソケットをピンに連結する際には、ボールジョイントを介してピンと棒状部材とを連結することができるようにソケットをピンに連結することができればよぐソケットをピンに連結する際の向き等を適宜調整可能である。

[0019] ボールジョイントに対する連結部の位置を調整するための棒状部材の構成例として、第 1〜第 3の棒状部材をねじ機構によって連結し、第 1の棒状部材を回転させることによって長さを調整できるように構成してもよい。すなわち、第 2および第 3の棒状部材をねじ機構によって第 1の棒状部材の両端に連結できるように構成し、第 1の棒状部材の両端におけるねじ機構にて一方のねじ溝を右ねじ、他方のねじ溝を左ねじによって構成する。

[0020] この構成によれば、第 1の棒状部材に対して第 2の棒状部材をある回転方向に回転させながらねじ込むことが可能であり、第 1の棒状部材に対して第 3の棒状部材を逆向きに回転させながらねじ込むことが可能である。従って、第 2および第 3の棒状部材を第 1の棒状部材に連結した状態で第 1の棒状部材をある方向に回転させれば、第 2および第 3の棒状部材の双方が回転しながら互いに近づくように移動し、第 1の棒状部材を逆向きに回転させれば第 2および第 3の棒状部材の双方が互いに遠ざかるように移動する。

[0021] この結果、第 1の棒状部材の回転によって第 1〜第 3の棒状部材を組み合わせた部材全体の長さを調整することが可能になる。従って、極めて容易に棒状部材の長さを調整可能になり、この調整によってボールジョイントとの連結部の位置を調整することが可能である。

[0022] なお、第 1〜第 3の棒状部材においては、ねじ機構によってその組み合わせの長さを調整可能であればよぐ例えば、第 1の棒状部材を筒状の部材で構成してその内壁にねじ溝を形成するとともに第 2および第 3の棒状部材を円柱状の部材で構成してその外壁にねじ山を形成する構成等を採用可能である。むろん、第 1〜第 3の棒状部材においていずれを筒状にしても良いし、いずれにねじ溝を構成してもよぐ種々の組み合わせを採用可能である。

[0023] さらに、ボールジョイントに対する連結部の位置を調整するための棒状部材の構成例として、複数の棒状部材を連結することによって棒状部材を形成し、その連結角度を調整できるように構成してもよい。例えば、 2個の棒状部材同士を連結することによつてボールジョイント間の棒状部材を形成し、当該 2個の棒状部材が相対的に回転できるように構成する。

[0024] この構成にぉ、て 2個の棒状部材のそれぞれの端部にボールジョイントを連結すれば、当該 2個の棒状部材同士を相対的に回転させることによってボールジョイントの連結部の位置を調整することができる。なお、当該連結部においては少なくともある平面内で 2個の棒状部材が回転できるように構成すればよぐむろん、この連結部をボールジョイントによって構成し、高い自由度で回転できるように構成してもよい。

[0025] さらに、ボールジョイントを構成するソケットとしては、ボールの一部を覆う本体と棒状部材を挿入する挿入部とを備える構成としても良い。この構成において、前記本体において、前記ボールの重心をその内側に配置可能な凹部を形成すれば、この凹部内にボールを配置して自由に回転させることができ、自由な回転角度でボールに対するソケットの向きを決定することが可能になる。

[0026] また、当該本体において前記凹部の逆側に挿入部を突出させれば、当該挿入部に穴を形成することによって容易に棒状部材を連結可能になる。当該棒状部材を当該穴に挿入した状態で固定するためには、棒状部材を固定可能に構成すればよい。以上の構成によれば、ボールジョイントによってピンと棒状部材との向きを自由に決定しながら、当該ボールジョイントによってピンと棒状部材とを容易に連結可能な構成を提供することができる。なお、前記本体における凹部は、ボールジョイントにおけるボールを配置して固定することができればよぐボールの径と略同一径の略半球状の凹部であっても良いし、矩形の凹部であってもよぐ凹部の端面と凹部の最深部との距離がボールの半径より大きぐボールの重心が凹部の端面より内側（凹部側）に配置されるように構成すればょ、。

[0027] また、この構成において、ボールとソケットとを固定するための構成例としては、本体にねじ穴を形成し、ねじを介してボールとソケットとを固定する構成を採用可能である。このとき、ボールに対してねじおよび凹部の壁面が少なくとも 4力所で接触し、当該 4力所の接点を頂点とする 4面体の内側にボールの重心が配置されて、ればよ、

[0028] この構成においてさらに好ましい例として、本体において外面力前記凹部に到達する複数のねじ穴を形成する構成を採用可能である。この構成によれば、複数のねじ穴のいずれかまたは組み合わせによってボールとソケットとを固定することができる。従って、本体がボールに対してどのような向きであっても、ねじ止めが容易な穴を選択してボールとソケットとを固定することができ、極めて容易に創外固定器の取付を行うことができる。この効果は、創外固定器が小型である場合や、創外固定器を取り付ける部位が複雑な形状をしているときに特に顕著に現れる。

[0029] 以上の創外固定器は、骨を整復し、骨折を治療する治療方法に適用することができる。むろん、人体および動物のいずれの骨折に対しても利用することができる。また、創外固定器の大きさは特に限定されないが、本発明にかかる創外固定器においては、ピンを骨に挿入する際の自由度が極めて高いので、生体の構造が複雑な部位や微小な骨、複雑骨折であってもその治療に適用することができる。

図面の簡単な説明

[0030] [図 1]図 1は、本発明の一実施形態に力かる創外固定器の例を示す図である。

[図 2]図 2は、ピンおよびボールの構造を説明する説明図である。

[図 3]図 3Aは、ソケットの説明図であり、図 3Bは図 3Aの A— A断面図である。

[図 4]図 4は、棒状部材の説明図である。

[図 5]図 5は、本発明の一実施形態に力かる創外固定器の例を示す図である。

[図 6]図 6は、本発明の一実施形態に力かる創外固定器の例を示す図である。

[図 7]図 7は、本発明の一実施形態に力かる創外固定器の例を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

[0031] ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。

(1)創外固定器の概略構成：

(2)ピンおよびボールの構成：

(3)ソケットの構成：

(4)棒状部材の構成：

(5)他の実施形態：

[0032] (1)創外固定器の概略構成：

図 1は本発明の一実施形態に力かる創外固定器の例を示す図である。同図においては人間の手の骨 10を示すとともに、その一部の骨 11が部位 11cで折れている状態を例として示している。当該骨折している骨 11は骨 11aおよび骨 l ibからなり、整復した状態で固定するために本実施形態に力かる創外固定器 200を取り付ける。

[0033] 図 1においては、骨 11aと骨 l ibとを整復するため、それぞれにピン 210を挿入した状態を示しており、治療を行う際には皮膚の上力もピン 210を刺し、ピン 210を骨 11a , l ibに挿入する。ピン 210において、骨 11と逆側の先端にはボールジョイント 220 が連結される。

[0034] ボーノレジョイント 220はボーノレ 221とソケット 222とを備えており、ボーノレ 221にソケット 222を被せた状態にて高い自由度でソケット 222の向きを変更することができる。ソケット 222には、ねじ溝が設けられた穴が形成されており、当該穴に対して六角穴付き止めねじを挿入してソケット 222をボール 221に対して固定することができる。

[0035] ソケット 222には棒状部材 230を挿入可能な挿入部が形成されており、この挿入部に対して棒状部材 230を挿入してねじ止めすることによって棒状部材 230をソケット 2 22に対して固定することができる。棒状部材 230は、第 1の棒状部材 231と第 2の棒状部材 232と第 3の棒状部材 233とを備えている。

[0036] 第 1の棒状部材 231は略円筒の部材であり、外壁の中央には穴が形成されているとともに両端の内壁にはねじ溝が形成されている。第 2の棒状部材 232と第 3の棒状部材 233とは略円柱の部材であり、一方の端部にはねじ溝が形成されている。第 1の棒状部材 231の両端に形成されたねじ溝は、一方が右ねじであるとともに他方は左ねじであり、一方に第 2の棒状部材 232のねじ溝が対応し、他方に第 3の棒状部材 2 33のねじ溝が対応して、る。

[0037] 従って、第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233を回転させて第 1の棒状部材 231の内部に進入させる際の回転方向は互いに逆向きであり、第 2の棒状部材 23 2および第 3の棒状部材 233が第 1の棒状部材 231に挿入された状態で、当該第 1 の棒状部材 231を回転させることによって第 2の棒状部材 232と第 3の棒状部材 233 との距離を互いに近づけ、または遠ざけることができる。このため、本実施形態においては、第 1の棒状部材 231を回転させることによって棒状部材 230の長さを調整することがでさる。 [0038] 以上のように、本実施形態においてはピン 210の先端にボールジョイント 220を連結し、ソケット 222に対して棒状部材 230を連結する。また、棒状部材 230の長さを調整可能であるため、棒状部材 230とボールジョイント 220とを連結する連結部 (本実施形態においてはソケット 222の挿入部にてねじ止めされる棒状部材 230上の部位 )の位置を容易に調整することができる。

[0039] 従って、ピン 210の挿入方向によらず極めて高い自由度でピン 210とボールジョイント 220と棒状部材 230との固定を行うことができる。すなわち、ピン 210を骨 11a,骨 l ibに挿入する際には、皮膚にピン 210を刺し、皮膚の内側でピン 210を骨 11a,骨 l ibに到達させるので、骨 11a,骨 l ibの形状や状態を視認しながらピン 210の挿入作業をすることはできない。

[0040] また、骨 11a,骨 l ibは生体内部に存在し、かつ、骨折しているため生体内で固定することは極めて困難であり、ピン 210の挿入に伴って骨 11a,骨 l ibが押されることにより位置や向きが容易に変動し得る。従って、ピン 210を生体内の骨における所望の位置に挿入したり、所望の角度で挿入することは極めて困難である。

[0041] し力し、本実施形態においては、どのような角度で骨 11a,骨 l ibに対してピン 210 を挿入したとしても、皮膚の上に露出しているピン 210の先端にはボール 221が連結されているため、各ボール 221に対して所望の向きでソケット 222を被せることは極めて容易である。

[0042] また、棒状部材 230においては、ねじ機構によって第 2の棒状部材 232および第 3 の棒状部材 233を第 1の棒状部材 231に対して挿入することが可能であり、また、第 1の棒状部材 231を回転させることによって長さを調整可能である。従って、ピン 210 の挿入方向によらず、極めて容易にピン 210とボールジョイント 220とを連結し、さらにボールジョイント 220と棒状部材 230とを連結することができる。

[0043] 例えば、予め、第 1〜第 3の棒状部材を連結した状態で、第 2の棒状部材 232とソケット 222とを仮止めし、第 3の棒状部材 233とソケット 222とを仮止めしておく。そして、任意の位置、向きで骨に挿入されたピン 210の先端に連結されたボール 221の一方にソケット 222の一方を被せながら、棒状部材 230の長さを調整して連結部の位置を微調整すれば、他方のソケット 222を他方のボール 221に対して極めて容易に被せることがでさる。

[0044] 各ソケット 222を各ボール 221に被せることができれば、ねじによってボール 211とソケット 222を固定し、棒状部材 230をソケット 222に固定することによって、創外固定器 200の装着を完了することができる。

[0045] なお、本実施形態にぉ、て、ピン 210以外の装着順序は特に限定されな、。例えば、骨に対してピン 210を挿入した後にボール 221に対してソケット 222を仮止めしておき、ソケット 222の揷入部に第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233を揷入し、それらの間に第 1の棒状部材 231を配置してねじを連結するなど、種々の装着順序を採用可能である。むろん、創外固定器 200の装着に際して仮止めを解除したり、仮止めによるねじの締め付けを強めたりするなどの作業を適宜採用することは可能である。

[0046] (2)ピンおよびボールの構成：

次に、本実施形態に力かるピン 210およびボール 221の構成を詳細に説明する。図 2は、ピン 210およびボール 221の構造を説明する説明図である。ピン 210は略円柱の部材であり、その一方の端部においては図 2に示すように先端に近づくほど細くなるとともにねじ溝 210aが形成されている。

[0047] ボール 221は、略球体であり、ピン 210を挿入する穴 221aと当該ピン 210をねじ止めするためのねじ穴 221bとを備えている。すなわち、穴 221aはボール 221の中心を通る穴であるとともにその内径はピン 210の外形と略同一である。従って、ピン 210を穴 221aに嵌め込むことができる。

[0048] ピン 210は、穴 221aに嵌め込まれた状態で、ねじ穴 221bを介して六角穴付き止めねじ 221cにてねじ止めされる。本実施形態においては、ピン 210の先端にボール 221を連結する力むろん、ピン 210がボール 221を貫通しないようにピン 210をねじ止めしても良いし、ピン 210がボール 221を貫通するようにねじ止めした後に、ピン 2 10の一端を切断してピン 210の一端にボール 221が連結されているように構成してちょい。

[0049] いずれにしても、ピン 210の先端にボール 221を連結し、ピン 210がボール 221を貫通していない状態にすることによって、ピン 210とソケット 222とが干渉しない全ての範囲をソケット 222の可動範囲とすることができる。この結果、ソケット 222の向きに極めて高い自由度を与えることができる。

[0050] (3)ソケットの構成：

次に、本実施形態に力かるソケット 222の構成を詳細に説明する。図 3Aはソケット 2 22にお、てボール 221に接触する面を下側、棒状部材 230を挿入する挿入部を上側にして示した図であり、図 3Bは図 3Aの A— A断面図である。なお、図 3Aにおいては、その内部構造を破線で示している。

[0051] ソケット 222は、略半球状の外形を有する本体 222aと当該本体 222aから突出した略円柱状の挿入部 222bとを備えている。本体 222aの内側には略半球状の凹部 22 2cが形成されている。当該凹部 222cはボール 221の径と略同径の半球を本体 222 aからくり抜くようにして形成されている。従って、ソケット 222をボール 221に被せながら高い自由度でソケット 222の向きを調整することができる。

[0052] 本実施形態においては、本体 222aの壁面の 4力所にねじ穴 222dが形成されている。当該ねじ穴 222dは、本体 222aの外壁力本体 222aの内部に形成された凹部 2 22cに達するように形成された同径の穴であり、各ねじ穴 222dは、本体 222aの外周円上に略均等に形成されている。なお、当該ねじ穴 222dは、複数個形成されていればよぐむろん 4個に限定されず、適宜その数を調整可能である。

[0053] ねじ穴 222dには、六角穴付き止めねじ 222eをねじ込むことが可能であり、ボール 221にソケット 222を被せた状態で 1個以上のねじ穴 222dに六角穴付き止めねじ 22 2eをねじ込むことによって、ソケット 222をボール 221に対して固定することができる。なお、本実施形態においては、ねじ穴 222dの軸を通る線の交点力ボール 221を凹部 222cに接触させたときの当該ボール 221の重心位置と一致するように構成されている。従って、本実施形態の凹部 222cは、ボールの重心をその内側に配置可能な凹部である。

[0054] なお、固定に際して使用するねじ穴 222dの個数は固定に必要な強度に応じて選択することができる。また、本実施形態においては、上述のように本体 222aの外周円上に 4個のねじ穴 222dが形成されており、任意のねじ穴 222dを利用してソケット 22 2をボール 221に対して固定することができる。従って、ソケット 222の向きにかかわらず、人体の部位と干渉することなく六角穴付き止めねじ 222eをねじ込むことが可能なねじ穴 222dを選択することができ、極めて容易に当該ねじ込み作業を実施することがでさる。

[0055] 前記挿入部 222bは、ソケット 222の本体 222aの外面から凹部 222cの逆側に突出しており、略円柱状であるとともに当該円柱の軸に対して略直角の方向に延びる挿入穴 222fを備えている。当該挿入穴 222fの内径は、第 2の棒状部材 232と第 3の棒状部材 233との外径と略同径であり、第 2の棒状部材 232や第 3の棒状部材 233を挿入穴 222fに挿入することができる。

[0056] また、挿入部 222bには、その上端力もソケット 222の内側に延びるねじ穴 222gが形成されており、六角穴付き止めねじ 222hをねじ込むことが可能である。従って、挿入部 222bに第 2の棒状部材 232や第 3の棒状部材 233を挿入した状態で、ねじ穴 2 22gに六角穴付き止めねじ 222hをねじ込むことによって、棒状部材 230をソケット 22 2に対して固定することができる。固定することができる。

[0057] (4)棒状部材の構成：

次に、本実施形態に力かる棒状部材 230の構成を詳細に説明する。図 4は棒状部材 230を構成する第 1の棒状部材 231と第 2の棒状部材 232と第 3の棒状部材 233とを説明する説明図であり、第 1の棒状部材 231においては、その内部構造を破線で示している。

[0058] 第 1の棒状部材 231は略筒状の部材であり、その中央に穴 231aが形成されているとともに当該穴 231aより両端側の内壁にはねじ溝 231b, 231cが形成されている。ねじ溝 231bとねじ溝 231cとにおいては、溝の旋回方向が逆向きであり、例えばねじ溝 23 lbが右ねじであればねじ溝 231cが左ねじである。

[0059] 一方、第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233は、略円柱状の部材であり、その一方側にねじ溝 232a, 233aがそれぞれ形成されている。第 2の棒状部材 232 と第 3の棒状部材 233との外径は、第 1の棒状部材 231の内径と略同一であり、図 4 において、ねじ溝 232aの旋回方向はねじ溝 231bに対応し、ねじ溝 233aの旋回方向はねじ溝 231cに対応している。

[0060] 従って、第 2の棒状部材 232をねじ溝 231cに対してねじ込み、第 3の棒状部材 23 3をねじ溝 231cに対してねじ込むことが可能である。ここで、上述のように、ねじ溝 23 lbとねじ溝 231cとにおいては溝の旋回方向が逆向きであるので、第 2の棒状部材 2 32を第 1の棒状部材 231に対してねじ込む際の旋回方向と第 3の棒状部材 233を第 1の棒状部材 231に対してねじ込む際の旋回方向が逆向きである。

[0061] この結果、第 1の棒状部材 231を第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233に対して相対的に回転させることによって、第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233を互いに近づけ、または互いに遠ざけることができる。すなわち、第 1の棒状部材 231を第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233に対して相対的に回転させることによって棒状部材 230の長さを調整することが可能である。なお、本実施形態においては、第 1の棒状部材 231を回転させて棒状部材 230の長さを調整するため、当該第 1の棒状部材 231における外側の表面に滑り止めのために溝などを形成しても良い。

[0062] 第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233において、ねじ溝 232a, 233aと逆側に形成される円柱部 232b, 233bは上述の挿入部 222fに挿入可能であるとともに、六角穴付き止めねじ 222hによってねじ止め可能な部位である。従って、第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233をソケット 222に固定する際には、第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233を挿入部 222fに挿入した状態で棒状部材 230 の長さを調整し、円柱部 232b, 233bにおける任意の位置に六角穴付き止めねじ 22 2hを接触させて固定することができる。

[0063] すなわち、円柱部 232b, 233bに対して六角穴付き止めねじ 222hを接触させる位置 (連結部の位置）を棒状部材 230の長手方向（図 4の L)に調整することができる。このため、ピン 210がどのような向きで骨 11に挿入され、当該ピン 210に連結されたボール 221同士の距離がどのような距離であったとしても、棒状部材 230の長さを調整し、容易にボール 221同士の距離に対応させることができ、極めて容易に創外固定器 200の固定作業を行うことができる。

[0064] なお、本実施形態においては、棒状部材 230の長さが調整可能であることにより、棒状部材 230の長さができるだけ短くなるように調整した上でソケット 222を連結することができる。従って、創外固定器 200の大きさをできるだけ小さくすることができ、創外固定器 200の使用者の活動に与える影響を抑えることができる。

[0065] また、第 2の棒状部材 232および第 3の棒状部材 233において、六角穴付き止めねじ 222hを接虫させるために円柱咅 232b, 233bを設けている力ねじ溝 232a, 233 aをつぶさないようにして固定する限りにおいて、ねじ溝 232a、 233aに六角穴付き止めねじ 222hを接触させて固定することも可能である。

[0066] (5)他の実施形態：

本発明においては、複数のピンのそれぞれにボールジョイントを連結し、棒状部材とボールジョイントとが連結部によって連結可能であるとともに、当該連結部の位置を棒状部材の長手方向に調整可能であればよぐ上述の実施形態の他、各種の実施形態を採用可能である。例えば、棒状部材は円柱部材によって構成することも可能である。

[0067] 図 5は、棒状部材を円柱部材によって構成した実施形態に力かる創外固定器 201 の例を示す図である。同図において、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号で示している。図 5に示す実施形態においては、上述の棒状部材 230の替わりに棒状部材 235を採用しており、当該棒状部材 235は円柱状の部材であるため極めて簡易な構成によって創外固定器 201を提供することができる。

[0068] この構成においては、棒状部材 235の任意の位置に対してソケット 222を連結することができるので、やはり、どのような向きでピン 210が骨に挿入されていたとしても、当該 210に連結されたボール 221に対してソケット 222を被せることは極めて容易である。従って、ピン 210の挿入方向に影響されることなく極めて容易に創外固定器 20 1の装着を行うことができる。

[0069] さらに、棒状部材の向きに自由度を持たせる構成を採用することも可能である。図 6 は、棒状部材の向きに自由度を持たせた実施形態に力かる創外固定器 2020の例を示す図である。同図においても、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号で示している。この実施形態においては、棒状部材 236が 2個の棒状部材 236a, 23 6bと回転機構（236c〜236e)とから構成されて！、る。

[0070] 棒状部材 236aは環状部材 236cに連結され、棒状部材 236bは環状部材 236dに連結されてヽる。また、環状咅材 236c, 236dの穴【こねじ 236eを挿人し、図示しな!ヽナットにて環状部材 236c, 236d同士を連結し、固定することができる。従って、環状部材 236c, 236dを合わせてその穴にねじ 236eを挿入した状態とすれば、ねじ 236 eを中心にして棒状部材 236a, 236bを共通の平面内で回転させることができる。

[0071] また、棒状部材 236a, 236bは円柱状であるため、当該棒状部材 236a, 236bをソケット 222に連結する際にその連結部の位置を任意に選択することができる。従って、どのような向きでピン 210が骨に挿入されていたとしても、棒状部材 236a, 236bにおける回転角の調整と、ソケット 222に対する棒状部材 236a, 236bの連結位置の調整と、ソケット 222をボール 221に被せる際の向きとを調整することによって、極めて容易に創外固定器 202の装着作業を行うことができる。

[0072] むろん、本実施形態において、環状部材 236c, 236dを固定する手法はねじ 236e とナットの組み合わせに限らず、環状部材 236c, 236dを相対的に回転させることができる限りにおいて種々の構成を採用可能である。また、本実施形態においては、棒状部材 236a, 236bが共通の平面内で回転するように構成した力むろん、ボールジョイント等によってより高ヽ自由度で回転できるように構成してもよ、。

[0073] さらに、ピンに対してボールジョイントのソケットを連結する構成を採用しても良い。

図 7は、ピンに対してボールジョイントのソケットを連結する例を示す図である。同図においても、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号で示している。すなわち、ピン 210とボールジョイント 220との構成は上述の実施形態と同様である力ピン 210に対するボールジョイント 220の連結手法および棒状部材の構成が上述の実施形態と異なっている。

[0074] 具体的には、ピン 210に対してボールジョイント 220のソケット 222を連結するようになっており、ピン 210をソケット 222の揷入部 222fに挿入し六角穴付き止めねじ 222 hにてソケット 222をピン 210に固定する。むろん、挿入部 222fの径をピン 210の径に合わせるなどの調整は適宜実施可能である。

[0075] 本実施形態における棒状部材は、第 1の棒状部材 237a、第 2の棒状部材 237b、第 3の棒状部材 237cを備えており、上述の実施形態と同様に第 1の棒状部材 237a が略円筒状、第 2の棒状部材 237bおよび第 3の棒状部材 237cが略円柱状の部材である。また、第 1の棒状部材 237aにおける両端の内壁には逆向きの旋回方向のねじ溝が形成されており、第 2の棒状部材 237bと第 3の棒状部材 237cとのそれぞれにはこのねじ溝に対応したねじ溝が一方の端部に形成されている。

[0076] 従って、第 2の棒状部材 237bおよび第 3の棒状部材 237cを第 1の棒状部材 237a に対してねじ込めば、第 1の棒状部材 237aを回転させることで長さを調整可能な棒状部材 237を構成することができる。第 2の棒状部材 237bと第 3の棒状部材 237cとにおいて、ねじ溝の逆側の端部はボール 221の穴 221aに挿入可能であり、六角穴付き止めねじ 221cにて第 2の棒状部材 237bおよび第 2の棒状部材 237bをボール 2 21に対して固定することができる。

[0077] むろん、ここでも穴 221aの径ゃ第 2の棒状部材 237bおよび第 3の棒状部材 237c の径を適宜調整可能である。なお、本実施形態においては、ボール 221と第 2の棒状部材 237bおよび第 2の棒状部材 237bとを連結する部位が連結部に相当する。上述のように第 1の棒状部材 237aを回転させることで棒状部材 237の長さを調整可能であるので、本実施形態にお!、ても前記連結部の位置を棒状部材 237の長手方向に変ィ匕させることができる。

[0078] 以上の構成において、ピン 210に対してソケット 222を連結する際には、ピン 210を中心としてソケット 222を自由に回転させることができる。また、第 2の棒状部材 237b および第 3の棒状部材 237cにボール 221を取り付けた状態で棒状部材 237の長さを調整可能である。従って、骨に対してピン 210がどのように挿入されていたとしても、ソケット 222の向きと棒状部材 237の長さとを調整することによって創外固定器 203 の装着を容易に完了することができる。

[0079] さらに、上述の実施形態においては、ピン 210を分離した骨 11a, l ibのそれぞれに一本ずつ挿入する例を示した力むろん、複数のピン 210を骨に挿入し、任意の 2 組をボールジョイントおよび棒状部材で連結する構成を採用しても良い。また、一本のピン 210を複数の骨に対して挿入しても良い。例えば、図 1においてピン 210を骨 11aに貫通させ、骨 11 aを貫通したピン 210をさらに骨 1 lbに挿入して整復しても良い。すなわち、骨折の状態や骨の大きさ、整復に必要とされる強度などに応じて適宜ピン 210の挿入手法を変更可能である。

[0080] さらに、上述の実施形態においては、各部材の固定に六角穴付き止めねじを利用していたが、すりわり付き止めねじを利用して部材を固定しても良いし、ねじ以外の各種固定手段を採用可能である。例えば、ボール 221とピン 210との連結やボール 22 1とソケット 222との連結を嵌入とするなどの構成を採用可能である。さらに、上述の実施形態においては、略半球状の凹部 222cを有する略半球状の本体 222aを例として示したが、凹部はボールを配置してボールを自由に回転させることができる形状であればよく略半球状に限定されない。また、本体 222aも略半球状に限定されず、矩形など、種々の構成を採用可能である。

産業上の利用可能性

本発明は、骨折の治療に使用可能である。また、骨折の治療用具の製造業者が製品として提供可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 骨に挿入される複数のピンと、

前記複数のピンのそれぞれに連結されるボールジョイントと、

前記ボールジョイントを連結する複数の連結部を備えた棒状部材であって、当該複数の連結部の位置を少なくとも当該棒状部材の長手方向に調整可能な棒状部材と、を備えることを特徴とする創外固定器。

[2] 前記ボールジョイントはボールと当該ボールに取り付けられるソケットとを備え、前記ボールとソケットとのいずれか一方が前記ピンの先端に取り付けられることを特徴とする請求項 1に記載の創外固定器。

[3] 前記棒状部材は第 1の棒状部材と当該第 1の棒状部材における両端のそれぞれにねじ機構を介して連結される第 2および第 3の棒状部材とを備え、前記両端のねじ機構は、一方が右ねじであり他方が左ねじであることを特徴とする請求項 1または請求項 2の、ずれかに記載の創外固定器。

[4] 前記棒状部材は 2個の棒状部材を備えるとともに、当該 2個の棒状部材は前記連結されるボールジョイントの間において少なくとも平面内で回転可能に連結されることを特徴とする請求項 1〜請求項 3のいずれかに記載の創外固定器。

[5] 前記ソケットは、前記ボールの重心をその内側に配置可能な凹部が形成された本体と、当該本体における前記凹部の逆側に突出するとともに前記棒状部材を挿入して固定可能な穴が形成された挿入部を備えることを特徴とする請求項 2〜請求項 4のいずれかに記載の創外固定器。

[6] 前記本体は、外面力前記凹部に到達する複数のねじ穴が形成されており、当該ねじ穴にねじを挿入することによって前記ボールとソケットとを連結することを特徴とする請求項 5に記載の創外固定器。