JP2005065762A - 創外固定器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】創外固定器1は、骨9Bの仮想支点9B1を挟む第1部位9B2と第2部位9B3とにそれぞれ挿入される軸状部材61、62を保持固定する一対の保持部材2、3と、保持部材2、3を連結する連結部材4とを備えている。ここで、仮想支点は、変形の中心と、骨折部位または矯正骨切り部位を挟む骨片を回転させる場合の中心と、関節部位の可動中心との少なくともいずれかにより決められる。連結部材4は、保持部材2、3のそれぞれの一端に回動自在に取り付けられる一対の腕部41、42を有し、この一対の腕部41、42は、回動自在に連結されている。これら腕部41、42の回動軸A1、B1およびC1は、仮想支点9B1を向いている。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨の変形の中心と、骨折部位または矯正骨切り部位を挟む一対の骨片を回転させる場合の中心と、関節部位の可動中心とのいずれかにより決められる骨の仮想支点を挟む第1部位および第2部位のそれぞれに挿入される軸状部材を保持固定する一対の保持部材と、この一対の保持部材を連結する連結部材とを備えた創外固定器に関する。
【0002】
【背景技術】
従来から、骨折や変形矯正等の場合に、骨を固定する固定器具として、創外固定器が知られている。この創外固定器は、人体外から固定対象となる骨に挿入される複数の軸状部材と、これら軸状部材を保持固定する保持部材とを備えて構成される。骨の変形矯正を可能とする創外固定器としては、イリザロフ式創外固定器が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この創外固定器は、骨に挿入される軸状部材としての複数のワイヤと、これらワイヤを保持する複数のリング状の保持部材と、これら保持部材間を伸縮自在に連結する連結部材とを備え、変形矯正の中心として設定された支点を取り囲むようにして配置される。
【0003】
このようなイリザロフ式創外固定器では、保持部材に保持されたピンで骨を固定しつつ、連結部材を伸縮させて該骨を延長したり、該骨の変形を解消する方向に捻じる等して、該骨の支点における変形矯正を行う。
【0004】
また、関節を跨いで配置され、関節の負荷を軽減させる創外固定器として、橈骨および中手骨に、複数の軸状部材であるハーフピンを挿入して、手首を固定する創外固定器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図17には、従来の創外固定器12が示されている。
図17に示すように、創外固定器12は、橈骨94Aへ挿入されるハーフピン12A1を保持する保持部材である橈骨トラック12Aと、中手骨94Bへ挿入されるハーフピン12B1を保持する保持部材である中手骨トラック12Bと、これら橈骨トラック12Aおよび中手骨トラック12Bを連結する連結部材である中央ブロック12Cとを備えている。ハーフピン12A1、12B1は、それぞれ、橈骨トラック12Aおよび中手骨トラック12Bの軸方向に対して略垂直に取り付けられ、橈骨トラック12Aおよび中手骨トラック12Bに沿って摺動自在に取り付けられている。
【0006】
また、創外固定器12を構成する中央ブロック12Cは、橈骨トラック12Aおよび中手骨トラック12Bを相対的に回動自在に連結している。すなわち、中央ブロック12Cは、手の甲を上方に向けた場合において、下記(1)〜(3)の運動を可能とするように構成されている。
(1)手首の上下運動に対応する中手骨トラック12Bと中央ブロック12Cとの連結部における屈曲/伸長運動(回動軸Xにおける回動運動)
(2)手首の左右運動に対応する中手骨トラック12Bと中央ブロック12Cとの連結部における橈骨94A/尺骨94Bの変位運動(回動軸Yにおける回動運動)
(3)手首の捻り運動に対応する橈骨トラック12Aと中央ブロック12Cとの連結部における回内/回外運動(回動軸Zにおける回動運動)
【0007】
【非特許文献1】
G. A. Ilizarov 著「 Transosseous Osteosynthesis: Theoretical and Clinical Aspects of the Regeneration and Growth of Tissue 」Springer−Verlag 出版。1992年。
【特許文献1】
特表2001−524859号公報(図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1に記載のイリザロフ式創外固定器では、様々な部材を組み合わせることによって多様で重度の骨の変形矯正を実現できるが、重量が重くかさばるとともに、支点を含む矯正部位を取り囲むように配置されるので、日常生活やリハビリ等に支障をきたし、創外固定器装着者に精神的にも肉体的にも多大な負担をかけるという第1の課題がある。また、特許文献1に記載の片側式の創外固定器では、橈骨トラックおよび中手骨トラックを連結する中央ブロックに形成された3つの回動部が、それぞれが独立して形成されているので、関節の動きに合わせて創外固定器の回動部は回動するが、骨の移動方向に保持部材が追従せずに、関節の動きを妨げてしまい、骨の移動量および矯正の方向に大きな制限が付され、自由度が高くないという第2の課題がある。さらに、これらの創外固定器は、構造が複雑で、骨への取り付けが煩雑であるので、取付作業に時間がかかるだけでなく、創外固定器を装着する術者に高い練度を要求するという第3の課題がある。
これら第1〜第3の課題から、創外固定器の装着者の負担を軽減し、かつ、骨の変形矯正時やリハビリ時等において、骨の移動および矯正方向における自由度が高いだけでなく、構造が簡易で容易に取り付けを行うことができる創外固定器が熱望されてきた。
【0009】
本発明の目的は、装着者の負担を軽減し、自在な骨および骨片の移動および変形矯正を実現でき、構造を簡素化して、術者の練度や経験をあまり必要とせずに装着が容易な創外固定器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の創外固定器は、骨の変形の中心と、骨折部位または矯正骨切り部位を挟む一対の骨片を回転させる場合の中心と、関節部位の可動中心との少なくともいずれかにより決められる骨の仮想支点を挟む第1部位および第2部位のそれぞれに挿入される軸状部材を保持固定する一対の保持部材と、この一対の保持部材を連結する連結部材とを備えた創外固定器であって、前記連結部材は、前記各保持部材に回動自在に取り付けられる一対の腕部を有し、この一対の腕部は、回動自在に連結され、前記各腕部の回動軸が、前記仮想支点に向いていることを特徴とする。
【0011】
ここで、仮想支点は、創外固定器が有する器械的な支点ではなく、創外固定器が装着された骨の骨片が、創外固定器の可動により、回転および可動する際の中心となる骨の仮想上の支点である。
【0012】
本発明によれば、創外固定器は、一対の保持部材と、これら保持部材の端部に回動自在に取り付けられる一対の腕部を有する連結部材とを備えて構成されているので、創外固定器の構造を簡素化することができる。
【0013】
また、連結部材に設けられた一対の腕部が各保持部材に対し回動自在に取り付けられ、これらの腕部の回動軸が仮想支点を向いているので、三次元的に腕部を回動させて、仮想支点を中心として創外固定器を可動させることができる。これにより、骨の形状や捻じれに合わせて創外固定器を装着することができ、軸状部材を確実に骨に挿入して固定することができる。また、仮想支点を中心とした腕部の三次元的な回動により、一対の保持部材を介して、骨の一方の部位に対する他方の部位の相対的な移動を自在に行うことができるので、骨の変形矯正の際に、いずれの矯正方向にも対応することができる。従って、確実に骨を固定することができるだけでなく、骨の移動量および矯正の方向の自由度を向上でき、創外固定器の汎用性を向上することができる。
【0014】
また、関節を跨いで、創外固定器を骨に取り付ける場合、従来の創外固定器では、一方の保持部材の可動時にそれぞれの保持部材の間隔に変化がない。このため、骨に挿入された軸状部材を保持する保持部材が骨の動きに合わせて追従しないので、関節の動きが妨げられるだけでなく、骨に挿入される軸状部材に偏心変位が生じ、軸状部材および装着者に負担をかけることがあった。しかしながら、本発明の創外固定器では、連結部材の回動部が仮想支点に向き、それぞれの腕部が相互に回動することにより、一方の保持部材が関節の動きに対して追従するので、関節の動きを妨げないようにすることができる。従って、創外固定器が関節の動きを妨げるのを抑えることができるとともに、軸状部材が偏心変位を起こすなどして創外固定器が損傷するのを防ぐことができ、装着者に対しても負担をかけないようにすることができる。
【0015】
加えて、創外固定器は、骨の一方から軸状部材を挿入して固定する単支柱の創外固定器として構成されるので、前述の構造の簡素化および、腕部の回動による一対の保持部材の三次元的な配置と併せて、創外固定器の取り扱いを簡易に行うことができ、骨の固定および取り付けを容易にすることができる。また、これにより、創外固定器を取り付ける術者に、特別な練度や経験を要しないようにすることができる。さらに、従来のイリザロフ式創外固定器のように重くかさばることがなく、装着者の肉体的負担を軽減することができるとともに、日常生活やリハビリ等において、創外固定器が装着者にとって邪魔となりにくくすることができ、装着者の精神的負担を軽減することができる。従って、創外固定器装着者の肉体的および精神的な負担を一層軽減することができる。
【0016】
本発明では、前記保持部材に対する前記腕部の回動、および、前記腕部同士の回動を可能とする回動部は、前記保持部材端部および一方の腕部の一端に突設される軸部と、一方の腕部の他端および他方の腕部の両端に設けられ、前記軸部に回動自在に挿通されるリング部と、このリング部の挿通後前記軸部の先端に取り付けられ、前記リング部を前記軸部の基端側に押さえつけるワッシャと、前記軸部に取り付けられ、該軸部の断面外周縁に沿って歯が形成されたウォームホイールと、前記リング部の端部に設けられ、該リング部の内周円の接線方向に延び、前記ウォームホイールと噛合するねじ軸状部材とを備えていることが好ましい。
本発明によれば、回動部における腕部は、ねじ軸状部材の回転により、このねじ軸状部材に噛合するウォームホイールが回転し、このウォームホイールの回転が軸部を介して保持部材または腕部に伝達されることにより、保持部材および他の腕部に対して相対的に回動する。このため、ねじ軸状部材の回転を調整することにより、回動部における腕部の回動角を調整することができる。従って、創外固定器により骨を固定した後であっても、回動部における腕部の回動が許容されるので、変形や捻じれを含む骨の矯正および整復を行うことができる。
【0017】
本発明では、前記腕部は、中間部分が略40°曲折していることが好ましい。
本発明によれば、創外固定器を骨に固定する際に、腕部の略40°の曲折により、回動部における回動軸を仮想支点に向くように固定できる。また、腕部を回動させても、回動軸を常に仮想支点を向かせることができる。従って、前述した仮想支点に回動部が向くことによる効果を常に奏することができる。
【0018】
本発明では、前記各部材は、金属により形成されていることが好ましい。
ここで、金属としては、チタンやジュラルミンを採用することができる。
本発明によれば、創外固定器を構成する部材は、金属製であるので、装着時に人体外に露出する創外固定器の強度を確保でき、変形等を防ぐことができる。特に、金属としてチタンを採用した場合、チタンは腐蝕性が低いので、創外固定器の経年安定性を確保することができる。また、金属としてジュラルミンを採用した場合、軽量な創外固定器を製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)概要
図1には、本発明の第1実施形態に係る創外固定器1の概要斜視図が示されている。
図1に示すように、創外固定器1は、骨を支持固定し、骨の自在な変形矯正が可能な固定具である。この創外固定器1は、骨9の仮想支点91を挟む第1部位である骨端92および第2部位である骨幹93に、それぞれ挿入される軸状部材であるピン61、62を、一対の保持部材としての第1保持部材2および第2保持部材3によって保持固定し、これら第1保持部材2および第2保持部材3を連結部材4によって連結することにより、骨9を固定する。ここで、仮想支点91は、骨の変形の中心と、骨折部位または矯正骨切り部位を挟む一対の骨片を回転させる場合の中心との少なくともいずれかにより決められる骨の仮想上の支点であり、図1の場合は、骨折部位として示している。
なお、第1実施形態では、創外固定器1は、1つの骨を保持固定する固定具として説明するが、関節を跨いで2本の骨を固定する固定具として利用することも可能である。また、創外固定器1は、ジュラルミン製として構成されているが、他の金属、例えば、チタン等によって構成してもよい。
【0020】
ここで、ピン61、62は、金属製のスクリューピンであり、図示を略したが、ピン61、62の先端には、骨端92および骨幹93への挿入がしやすく、また、挿入されたピン61、62が骨端92および骨幹93から抜けにくくするために、ねじ山が形成されている。これらピン61、62は、それぞれの外径寸法が異なり、ピン61の外径寸法は、ピン62の外径寸法に比べ小さく形成されている。これらピン61、62の金属材料としては、ステンレスやチタンを挙げることができる。
【0021】
(2)構成
図2には、創外固定器1の分解図が示されている。
図2に示すように、創外固定器1は、骨端92(図1)に挿入されるピン61を保持する第1保持部材2と、骨幹93(図1)に挿入されるピン62を保持する第2保持部材3と、これら第1保持部材2および第2保持部材3を連結する一対の腕部としての第1リンク棒41および第2リンク棒42を有する連結部材4とを備えて構成されている。
【0022】
(2−1) 第1保持部材2
図3には、第1保持部材2の平面図が示されている。
図2および図3に示すように、第1保持部材2は、パイプ21と、このパイプ21の一方の端部を塞ぐキャップ22と、他方の端部に取り付けられる軸部材23とを備えている。
パイプ21は、骨端92(図1)の骨軸と略平行に装着される中空円柱状の金属製部材であり、このパイプ21の外周面上には、骨端92に挿入されるピン61を保持する複数のピンクランプ71が設けられている。このピンクランプ71は、1本のピン61に対して1つ設けられている。なお、ピンクランプ71の構造は、後に詳述する。
また、パイプ21の一方の端部には、ゴム製のキャップ22が取り付けられ、パイプ21の図示しない開口部を塞いでいる。
【0023】
軸部材23は、パイプ21のキャップ22が取り付けられた端部とは反対側の端部に取り付けられており、パイプ21に連結部材4を回動自在に連結するための部材である。この軸部材23は、略円柱状の台座部231を備えて構成されている。
台座部231の側面には、台座部231の軸方向に略直交する方向に枝部232が形成されている。この枝部232は、軸部材23をパイプ21に取り付けるための略円柱状部分であり、この枝部232の先端部には、図示を略したが、パイプ21の内径寸法と略同じ外径寸法を有し、パイプ21の中空内部に嵌め込まれる略円柱状の嵌合部が形成されている。この嵌合部が、パイプ21のキャップ22により塞がれた端部とは反対側の端部に挿入され、軸部材23がパイプ21に取り付けられる。
台座部231に形成された略円形状の面のうち、パイプ21に取り付けられるピン61の挿入方向に対向する面には、面外方向に突出した軸部233が形成されている。この軸部233は、2つの円柱が中心を同じにして2つ重なったような形状をしており、台座部231の面から突出し台座部231の外径寸法より小さい大径部233Aが形成され、この大径部233Aの先端に、大径部233Aの外径寸法より小さい外径寸法を有する小径部233Bが形成されている。このうち、小径部233Bの側面基端側には、この小径部233Bの軸方向に長い長孔233B1が形成され、また、小径部233Bの側面先端側には、外周に沿って溝233B2が形成されている。
【0024】
(2−2) 第2保持部材3
図4には、第2保持部材3の平面図が示されている。
図2および図4に示すように、第2保持部材3は、第1保持部材2と略同じ構成を有しており、パイプ31と、このパイプ31の一方の端部に取り付けられるキャップ32と、パイプ31の他方の端部に取り付けられる軸部材33とを備えている。なお、キャップ32は、第1保持部材2のパイプ21端部に取り付けられたキャップ22と略同じ構成であるので、説明を省略する。
【0025】
パイプ31は、第1保持部材2のパイプ21より長さ寸法の長い中空円柱状の金属製部材であり、骨9の骨幹93(図1)の骨軸に略平行に配置される。このパイプ31には、骨幹93に挿入されるピン62を保持するピンクランプ72と、このピンクランプ72とパイプ31との間に介在する径調整部材8とが設けられている。
ピンクランプ72は、ピン62をパイプ31に取り付けるものである。このピンクランプ72については、ピンクランプ71と比べ、ピンクランプ71におけるパイプ21に取り付けられる部分と、ピン61より外径寸法の大きなピン62を保持する部分とが大きく形成されている点を除いて略同じ構造である。また、ピン62の保持の仕方も、ピンクランプ71と略同じであるので、説明を省略する。
【0026】
径調整部材8は、ピンクランプ72が取り付けられるようにパイプ31の外径寸法を調整するための部材である。この径調整部材8には、パイプ31の外周面に、パイプ31の軸方向に沿って摺動自在に取り付けられる略円柱状の径調整部81と、この径調整部81の端部に形成されパイプ31を挟持して径調整部材8をパイプ31に取り付ける挟持部82とが一体的に形成されている。
径調整部81は、パイプ31の外周面の一部を覆うように、径調整部81の内面をパイプ31の外周面に当接するように取り付けられる。すなわち、径調整部81の内径寸法は、パイプ31の外径寸法と略一致するように形成されている。この径調整部81の外周面には、パイプ31の軸方向に対する直交方向にピン62を保持するピンクランプ72が、複数、図1、図2および図4においては、3つ取り付けられている。
挟持部82は、断面略U字状をしており、この内側面にパイプ31が当接される。また、挟持部82の先端には、図示しないボルトがパイプ31の軸方向に対する直交方向に挿通されるねじ孔821が形成されており、このねじ孔821にボルトを螺合させ、挟持部82によりパイプ31が締め付けられることにより、径調整部材8がパイプ31に取り付けられる。
【0027】
軸部材33は、第1保持部材2の軸部材23と同様に、パイプ31と連結部材4とを相対的に回動自在に連結するためのものである。
軸部材33は、台座部331を備え、この台座部331の側面には、枝部332が形成され、また、パイプ31に保持されるピン62の挿入方向に対向する台座部331の面には、軸部333が形成されている。
なお、軸部材33において、台座部331および軸部333の構造は、第1保持部材2の軸部材23における台座部231および軸部233と略同じ構造であり、台座部331には、大径部333Aおよび小径部333Bが面外方向に突設されている。
【0028】
枝部332は、第1保持部材2の軸部材23における枝部232と同様に、パイプ31に軸部材33を取り付けるための略円柱状部分であり、図示を略したが、枝部232と同様の嵌合部が形成され、この嵌合部がパイプ31の端部に挿入されている。ここで、枝部332は、台座部331に対して傾斜して形成されている点で、第1保持部材2の軸部材23に形成された枝部232と構造が異なる。すなわち、枝部332は、枝部332の軸方向と、軸部333の軸方向とは略40°の角度で曲折するように、台座部331側面から延出して形成されている。
【0029】
(2−3) 連結部材4
連結部材4は、図2に示すように、第1保持部材2および第2保持部材3の端部に取り付けられた軸部材23、33を介して、第1保持部材2および第2保持部材3を連結する部材である。この連結部材4は、腕部である第1リンク棒41および第2リンク棒42を備え、これらがそれぞれの一端において回動自在に連結された構成とされている。
【0030】
図5には、第1リンク棒41の平面図が示されている。
図2および図5に示すように、第1リンク棒41は、第1保持部材2の軸部材23に回動自在に取り付けられる金属製部材である。この第1リンク棒41は、略L字状の曲折を有する中空円柱状部材である本体411を備え、この本体411の一方の端部には、第1保持部材2の軸部材23に形成された軸部233と係合する係合部412が形成され、本体411の他方の端部には、連結部413が形成されている。
【0031】
本体411の端部に形成された係合部412は、第1リンク棒41を第1保持部材2に回動自在に取り付ける断面略C字状部分である。この係合部412には、略長円形状を有し、互いに対向配置される一対のリング部412Aが、本体411と連続的に形成されている。
それぞれのリング部412Aの略中央には、前述の第1保持部材2の軸部材23に形成された軸部233が挿通する孔412A1、412A2が形成されている。このうち、本体411の曲折の角度が小さく、第1保持部材2に連結される際に、軸部材23に対向する一方のリング部412Aに形成された孔412A1の内径寸法は、軸部材23の軸部233に形成された大径部233Aの外径寸法に合わせて形成されている。また、他方のリング部412Aに形成された孔412A2の内径寸法は、軸部233に形成された小径部233Bの外径寸法と略同じとされている。従って、第1リンク棒41は、第1保持部材2の軸部233に対して、角度の小さい方の曲折面を対向させて取り付けられる。
【0032】
リング部412Aの対向する内面には、ねじ軸状部材であるウォーム412Bと、外周縁に沿って歯が形成され、ウォーム412Bに噛合するウォームホイール412Cが取り付けられている。
【0033】
ウォーム412Bは、リング部412Aの端部、詳述すれば、リング部412Aの内面底部に沿って配置される。このウォーム412Bの中間部分には、図示を略したが、ウォーム412Bの軸方向に沿って螺旋溝が形成され、この螺旋溝がウォームホイール412Cに形成された歯と噛合する。また、リング部412Aの側面に露出するウォーム412Bの両端部には、ウォーム412Bの軸方向に対する略直交方向に溝412B1が形成されている。この溝412B1は、ドライバー等が係合し、この溝412B1を介してウォーム412Bを回転させることにより、ウォーム412Bと噛合するウォームホイール412Cが回転する。
【0034】
ウォームホイール412Cは、第1保持部材2の軸部材23に形成された軸部233との係合の際に、軸部233に取り付けられ、係合部412の両側からリング部412Aに挟まれるようにして、リング部412A内面に配置される。このウォームホイール412Cの外周縁には、前述のように、ウォーム412Bの螺旋溝に螺合する歯が形成されている。また、ウォームホイール412Cの中心には、図示を略したが、軸方向に貫通する孔が形成されており、この孔に軸部233が挿通する。この孔の内面には、軸部233の小径部233B(図3)に形成された長孔233B1に対応する位置に、溝が形成されており、この溝と長孔233B1とは、図示しないキーを介して連結されている。なお、このウォームホイール412Cの回転機構については、軸部233との係合と併せて、後に詳述する。
【0035】
本体411において、係合部412が形成された端部とは反対側の端部に形成された連結部413は、第2リンク棒42を回動自在に第1リンク棒41に連結する部分である。この連結部413は、軸部材23、33と略同じ構造とされている。すなわち、連結部413には、略円柱状の台座部4131と、この台座部4131の略円形の端面から起立して形成される軸部4132とが形成され、軸部材23、33の枝部232、332に該当する部分は、台座部4131の側面から本体411に連続して形成されている。ここで、軸部4132が形成されている台座部4131の面は、本体411の曲折の角度が大きい方に面している。なお、軸部4132には、軸部材23、33の軸部233、333と同様に、大径部4132Aおよび小径部4132Bが形成されている。
【0036】
ここで、第1リンク棒41の本体411は、中間部分が曲折した略L字形状としたが、係合部412の一対のリング部412Aに形成された孔412A1、412A2の中心をそれぞれ結ぶ線と、連結部413に形成された軸部4132の延出方向の中心線とが交差する角度が、略40°となるように形成されている。このように、第1リンク棒41は、中間部分で略40°曲折して形成され、この屈曲の内側を向いて係合部412の孔412A1が形成され、この屈曲の外側を向いて連結部413の軸部4132が形成されている。
【0037】
図6には、第2リンク棒42の平面図が示されている。
図2および図6に示すように、第2リンク棒42は、一方の端部が第1リンク棒41に連結されるとともに、他方の端部が第2保持部材3に連結される。この第2リンク棒42は、曲折して形成された本体421を備えている。この本体421の一方の端部には、第1リンク棒41の連結部413に連結される第1係合部422が形成され、また他方の端部には、第2保持部材3の軸部材33に形成された軸部333に連結される第2係合部423が形成されている。
【0038】
本体421は、略S字状の中空円柱状部材であり、この本体421の両端部に形成された第1係合部422および第2係合部423には、第1リンク棒41の係合部412と同様に、それぞれ一対のリング部422A、423Aが形成されている。これらそれぞれのリング部422A、423Aには、本体421の曲折の内側を向いて孔422A1、423A1が形成され、本体421の曲折の外側を向いて孔422A2、423A2が形成されている。これらのうち、孔422A1、423A1は、第1リンク棒41に形成された軸部4132の大径部4132A(図5)および第2保持部材3の大径部333A(図4)の外径寸法に合わせた内径寸法を有しており、孔422A2、423A2は、軸部4132の小径部4132B(図5)および軸部333の小径部333B(図4)の外径寸法にあわせた内径寸法を有している。なお、第1係合部422および第2係合部423には、前述の第1リンク棒41の係合部412と同様に、これらリング部422A、423Aに挟まれるように、ウォーム422B、423Bおよびウォームホイール422C、423Cが設けられている。これらウォーム422B、423Bおよびウォームホイール422C、423Cの第1係合部422および第2係合部423での配置は、第1リンク棒41の係合部412での場合と略同じであるので、説明を省略する。
【0039】
ここで、本体421の曲折部位について説明する。
本体421の両端に形成された第1係合部422に形成された孔422A1、422A2の中心線と、第2係合部423に形成された孔423A1、423A2の中心線との交差角は、第1リンク棒41の本体411の場合と同様に、略40°とされている。すなわち、本体421は、略40°の曲折を有する部材として構成されている。
【0040】
(3)軸部233と係合部412との係合
以下に、第1保持部材2に設けられた軸部材23に形成された軸部233と、第1リンク棒41に形成された係合部412とが係合して構成される回動部Aについて説明する。なお、第2保持部材3に設けられた軸部材33に形成された軸部333と、第2リンク棒42に形成された第2係合部423とが係合して構成される回動部B、および、第1リンク棒41の連結部413に形成された軸部4132と、第2リンク棒42に形成された第1係合部422とが係合して構成される回動部Cについては、回動部Aの構成と略同じであり、それぞれの回動軸B1、C1を軸とした相対的な回動についても、回動部Aと略同じであるので、説明を省略する。
【0041】
図2、図3および図5に示すように、回動部Aにおいて、第1保持部材2の軸部233は、第1リンク棒41に形成されたリング部412Aのうち、大きな内径を有する孔412A1から小さな内径を有する孔412A2に向かって挿入される。このとき、軸部233が形成された台座部231の面には、孔412A1が形成されたリング部412Aの外面が当接される。ここで、前述のように、孔412A1の内径寸法は、軸部233の大径部233Aの外径寸法に合わせて形成され、他方のリング部412Aに形成された孔412A2の内径寸法は、軸部233の小径部233Bの外径寸法に合わせて形成されている。また、小径部233Bに形成された長孔233B1と、リング部412Aに挟持されるウォームホイール412Cの図示しない内面に形成された溝とは、図示しないキーを介して連結され、ウォームホイール412Cの回転が軸部233の小径部233Bに伝達されるように構成されている。さらに、リング部412Aを挿通した軸部233の小径部233B側面に形成された溝233B2には、孔412A2が形成されたリング部412Aの外面に沿ってワッシャ43が取り付けられ、リング部412Aから第1保持部材2が抜けるのを係止している。このような構成により、リング部412Aの内側面に設けられたウォーム412Bの回転により、このウォーム412Bに噛合するウォームホイール412Cの回転が、キーを介して軸部233の小径部233Bに伝達され、第1保持部材2と第1リンク棒41とが、回動部Aの回動軸A1を軸として相対的に回動する。
なお、図示を略したが、第1保持部材2に形成された小径部233Bの上端が突出するリング部412Aの面に形成されたねじ孔にボルトを螺合させ、このボルトを締め付けることによって、ウォームホイール412Cの回転が規制され、回動部Aにおける第1保持部材2および第1リンク棒41の相対的な回動は規制される。
【0042】
(4)ピンクランプ71の構造と、ピンクランプ71によるパイプ21およびピン61の保持
(4−1) ピンクランプ71の構造
図7および図8には、ピンクランプ71が示されている。このうち、図7には、ピンクランプ71と、パイプ21およびピン61との配置を示す平面図が示されており、図8には、ピンクランプ71の分解斜視図が示されている。
図7および図8に示すように、ピンクランプ71は、第1保持部材2のパイプ21にピン61を保持させるための金属製部材であり、パイプ挟持部材711と、ピン挟持部材712と、パイプ挟持部材711に取り付けられるボルト713とを備えて構成されている。なお、ピンクランプ72は、ピンクランプ71と略同じ構成であるので、説明を省略する。
【0043】
パイプ挟持部材711は、平面視略U字状に形成されている。このパイプ挟持部材711には、略中央にパイプ21が挿通されるパイプ挿通孔711Aと、先端側にボルト713が取り付けられるボルト取付部711Bと、基端側にピン挟持部材712が取り付けられる溝711Cとが形成されている。
【0044】
パイプ挿通孔711Aは、パイプ21の軸方向に略直交する外周面の形状に合わせて形成されており、このパイプ挿通孔711Aの側面は、パイプ21の外周面に当接されるパイプ当接面711A1とされている。このパイプ当接面711A1には、パイプ挟持部材711の基端側に向かって開口した略矩形の開口部711A2(図8)が形成されている。
また、パイプ挿通孔711Aは、パイプ挟持部材711の先端にかけて切り欠かれており、この切り欠きの両脇に取付片711B1、711B3から構成されるボルト取付部711Bが形成されている。
【0045】
ボルト取付部711Bは、パイプ挟持部材711の先端側に形成されており、このボルト取付部711Bには、前述のように、それぞれが対向するように取付片711B1、711B3が形成されている。これら取付片711B1、711B3の側面には、それぞれの取付片711B1、711B3を貫通する方向に、ボルト713(図7)が挿通する孔711B2、および、ボルト713が螺合するねじ孔711B4(図7)が形成されており、ここにボルト713が取り付けられる。
【0046】
溝711Cは、パイプ挟持部材711の基端側に、パイプ21の軸方向に略直交する方向に沿って形成され、この溝711Cに連続して、パイプ挟持部材711の一方の側面に、開口部711C1が形成されている。この開口部711C1に溝711Cに沿ってピン挟持部材712が挿入される。なお、溝711Cの略中央部分は、前述のパイプ挿通孔711Aの開口部711A2と連続して形成されている。
【0047】
ピン挟持部材712は、ピン61を保持する部材であり、前述のように、パイプ挟持部材711に形成された溝711Cに沿って取り付けられる。このピン挟持部材712には、ピン61が挿通する孔712Aと、この孔712Aを挿通したピン61の側面が当接する図示しないピン当接面と、パイプ挟持部材711の溝711Cに嵌め込まれる連結部712Bとが形成され、ピン当接面および連結部712Bにかかって切り欠き712Cが形成されている。
【0048】
孔712Aは、ピン挟持部材712の長手方向に略平行な孔として形成されている。
連結部712Bは、パイプ挟持部材711の溝711Cに沿って嵌め込まれる部分であり、連結部712Bからピン61の軸方向に直交するように切り込まれ、かつ、その端部でピン61の軸方向に沿って形成された略L字状の切り欠き712Cによって、第1連結部712B1および第2連結部712B2に分断されている。このうち、第2連結部712B2は、溝711Cへの挿入方向に対する先端側に形成され、先端が溝711Cの深さ寸法より薄く、略中央がパイプ21の形状に沿って形成されている。また、第1連結部712B1は、挿入方向の基端に形成され、溝711Cの深さ寸法と略同じに形成されている。ここで、第2連結部712B2のパイプ21の形状に沿って形成された部分は、規制部712B3として形成され、ピン挟持部材712をパイプ挟持部材711に連結した際に、パイプ挟持部材711のパイプ当接面711A1に形成された開口部711A2から、パイプ挿通孔711Aの中心に向かって突出する。また、切り欠き712Cがピン当接面に達しており、規制部712B3は、ピン61の方向への可撓性を備えている。
【0049】
(4−2) ピンクランプ71によるパイプ21およびピン61の保持
図9には、ボルト713によってなされるパイプ21およびピン61の保持過程を示すピンクランプ71の平面図が示されている。
ここで、ピンクランプ71によるパイプ21およびピン61の保持について、図9を用いて説明する。なお、ピンクランプ72におけるピン62の保持および径調整部材8を介したパイプ31の保持は、ピンクランプ71の場合と略同じであるので、説明を省略する。
【0050】
ピンクランプ71において、ピン挟持部材712に形成された孔712A(図8)からピン61を挿入し、図示しないピン当接面にピン61の側面を当接させる。また、パイプ挟持部材711に形成されたパイプ挿通孔711Aにパイプ21を挿通させ、パイプ当接面711A1にパイプ21の側面を当接させる。この後、ボルト713を、ボルト取付部711Bに形成された孔711B2に挿通させ、ねじ孔711B4に螺合させ、締め付ける。このとき、ボルト713の締め付けにより、ボルト713の頭部底面が当接される取付片711B1が、他方の取付片711B3に近接するように矢印L方向に移動する。これにより、パイプ挿通孔711Aの内径寸法は小さくなり、パイプ21は、パイプ当接面711A1から径方向内向きに、すなわち、矢印M方向に圧力を受け、締め付けられて保持される。また、このとき、パイプ挿通孔711Aの内径寸法が狭まることにより、ピン挟持部材712の第2連結部712B2に形成された規制部712B3は、パイプ当接面711A1に形成された開口部711A2(図8)から突出しパイプ21側面に当接されていたので、矢印N方向に押しやられる。これにより、規制部712B3のピン61側のピン当接面は、ピン61に対して、ピン61の径方向内向きに圧力をかけることとなり、ピン61は、ピン61に対して圧力をかけたピン当接面と、ピン61を挟んで対向するピン当接面とにより挟持される。従って、パイプ挟持部材711に形成された取付片711B1、711B3へのボルト713の取り付けにより、パイプ21がパイプ当接面711A1により挟持され、かつ、ピン61がピン当接面により挟持され、全体としてピンクランプ71により、パイプ21およびピン61が保持される。
なお、パイプ21およびピン61を保持しているピンクランプ71において、ボルト713を解放方向に回せば、パイプ21およびピン61の保持状態が解除され、これらパイプ21およびピン61は解放される。
【0051】
(5)創外固定器のリンク機構
図10〜図13には、骨に装着された創外固定器1における連結部材4の曲折を示した図、すなわち、創外固定器1の回動部A、BおよびCにおける連結部材4の回動によってなされるリンク機構の動きを示した図である。これらの図のうち、図10には、略弯曲のない骨9Aにおいて、骨軸に捻じれのない骨端9A2および骨幹9A3に創外固定器1を装着した図が示されており、図11には、略弯曲のない骨9Bにおいて、骨軸に捻じれのある骨端9B2および骨幹9B3に創外固定器1を装着した図が示されている。また、図12には、骨9Cの弯曲に対して外側に創外固定器1を装着した図が示されており、図13には、骨9Dの弯曲に対して内側に装着した図が示されている。
【0052】
創外固定器1では、前述のように、回動部Aにおける第1保持部材2および第1リンク棒41と、回動部Bにおける第2保持部材3および第2リンク棒42と、回動部Cにおける第1リンク棒41および第2リンク棒42とは、相対的に回動自在とされ、これにより創外固定器1の三次元的な可動が許容されている。従って、創外固定器1では、図10〜図13に示すように、回動部A、BおよびCにおける第1リンク棒41および第2リンク棒42の回動により、第1保持部材2および第2保持部材3を骨に対して三次元的に配置したり、逆に、回動部A、BおよびCにおいて、第1リンク棒41および第2リンク棒42を回動させて骨端9A2、9B2、9C2、9D2と骨幹9A3、9B3、9C3、9D3とを相対的に移動させることができる。
【0053】
ここで、創外固定器1のリンク機構について、図10〜図13を用いて、以下に説明する。
図10において、創外固定器1が装着される骨9Aは、弯曲がほとんど無く、仮想支点9A1を挟む骨端9A2および骨幹9A3の骨軸に捻じれがない骨である。この骨9Aに創外固定器1を装着した場合、第1保持部材2と第2保持部材3とは同一平面上に配置される。また、創外固定器1に保持されるピン61、62は、骨端9A2および骨幹9A3に対し、同方向から挿入されることとなり、ピン61、62はそれぞれ略平行となる。この状態の創外固定器1において、連結部材4の第1リンク棒41および第2リンク棒42の回動軸A1、B1およびC1は、仮想支点9A1を向くように配置される。
【0054】
図11において、創外固定器1が装着される骨9Bは、弯曲は略無いものの、仮想支点9B1を挟む骨端9B2および骨幹9B3の骨軸に捻じれがある骨である。この場合、第1保持部材2および第2保持部材3は、連結部材4の第1リンク棒41および第2リンク棒42が回動部A、BおよびCにおいて回動することにより、骨軸の捻じれに合わせて配置されるので、同一平面上に配置されない。また、このとき、骨端9B2および骨幹9B3に挿入されるピン61、62は、同一方向から挿入されるのではなく、骨9Bを上方から見た場合に、ピン61、62それぞれが骨軸において交差するように挿入される。この場合においても、図10の場合と同様に、回動軸A1、B1およびC1は、骨9Bの仮想支点9B1を向くように、創外固定器1は構成されている。
【0055】
図12において、創外固定器1が装着される骨9Cは、仮想支点9C1を中心に弯曲しており、この仮想支点9C1を挟む骨端9C2および骨幹9C3の骨軸に捻じれがない骨である。図12では、創外固定器1は、骨9Cに対して弯曲の外側に装着され、第1リンク棒41および第2リンク棒42を含めて連結部材4、第1保持部材2および第2保持部材3は、同一平面上に配置される。すなわち、第1保持部材2、第1リンク棒41、第2リンク棒42および第2保持部材3が創外固定器1全体として骨9Cの弯曲に沿うように第1リンク棒41および第2リンク棒42を回動部A、BおよびCにおいて回動させることにより、同一平面上に配置される。
また、この骨9Cに装着された創外固定器1においても、回動軸A1、B1およびC1は、仮想支点9C1を向くように配置される。これにより、図示は略すが、骨端9C2および骨幹9C3の骨軸に捻じれが存在する場合でも、回動部A、BおよびCにおいて、連結部材4の第1リンク棒41および第2リンク棒42を相対的に回動させることで、骨端9C2および骨幹9C3の骨軸に略平行に第1保持部材2および第2保持部材3を配置することが許容される。また、これにより、第1保持部材2および第2保持部材3に保持されるピン61、62を、骨軸の捻じれに合わせて挿入することが可能である。
【0056】
図13において、創外固定器1が装着される骨9Dは、図12の場合と同様に、仮想支点9D1を中心として弯曲しており、この仮想支点9D1を挟む骨端9D2および骨幹9D3の骨軸に捻じれがない骨である。図13では、創外固定器1は、図12の場合とは異なり、骨9Dの弯曲の内側に装着されている。このとき、連結部材4は、第1リンク棒41および第2リンク棒42が互いに重なり合うように折り畳まれ、第1保持部材2および第2保持部材3は、同一平面上に配置される。
この骨9Dに装着された創外固定器1においても、回動軸A1、B1およびC1は、仮想支点9D1を向くように配置されている。これにより、図11で示したように、骨9Dに捻じれが生じていても、連結部材4を回動させることにより、第1保持部材2および第2保持部材3を、骨端9D2および骨幹9D3の骨軸の捻じれに合わせて配置でき、ピン61、62を骨軸に挿入することが可能である。
【0057】
このように、創外固定器1において、回動軸A1、B1およびC1は、装着される骨の仮想支点を向くように配置され、これら回動軸A1、B1およびC1を軸として、第1リンク棒41および第2リンク棒42から構成される連結部材4を回動させることにより、骨の弯曲および捻じれに対応して、第1保持部材2および第2保持部材3を骨端および骨幹に配置することができる。
【0058】
(6)骨9Aの変形矯正
ここで、創外固定器1による骨9Aの変形矯正について、図10および図11を用いて説明する。
【0059】
(6−1) 骨9Bの捻れの矯正
図11において、前述のように、骨9Bは、骨端9B2および骨幹9B3のそれぞれの骨軸に仮想支点9B1を中心とした捻じれを有している。すなわち、この場合の仮想支点9B1は、骨9Bの変形の中心であり、また、この骨9Bの矯正において、骨切り術を行う場合には、骨切り部位を挟む骨端9B2および骨幹9B3を回転させる中心である。この骨9Bには、前述のように、創外固定器1が取り付けられ、この創外固定器1に保持されるピン61、62は、骨9Aの骨端9A2および骨幹9A3に、それぞれの骨軸に対して略垂直に挿入されている。ここで、回動部A、BおよびCに設けられたウォーム412B、422Bおよび423B(図5および図6参照)を回転させて、第1リンク棒41、第2保持部材3および第2リンク棒42を、それぞれ矢印A2、B2およびC2方向に回動させると、第2保持部材3が矢印S方向に移動するので、第2保持部材3が移動した位置において回転部A、BおよびCの回動を係止する。この矢印S方向への第2保持部材3の移動の際に、第1保持部材2に保持されたピン61は、骨端9A2に挿入されたままであり、かつ、第2保持部材3に保持されたピン62は、骨幹9A3に挿入されたままであるので、第1保持部材2に対する相対的な第2保持部材3の移動に伴い、骨幹9A3は、骨幹9A3の骨軸を軸として矢印S方向に回動する。この操作を、所定の間隔で、所定の期間、所定の角度ずつ実施することにより、図10において示した骨9Aのように、骨9Bの捻じれは解消される。
【0060】
このような骨の捻じれの矯正は、図11に示したような弯曲のない骨9Bに対して実施できるだけではなく、他の形状の骨、例えば、図12および図13に示したような弯曲および捻じれ等を有する骨に対しても実施可能である。また、回動部A、BおよびCにおける回動方向をA2、B2およびC2方向としたが、創外固定器1の第1保持部材2および第2保持部材3が、骨の捻じれを解消する方向に相対的に移動すればよいので、その回動方向は適宜決めてよい。
【0061】
(6−2) 骨9Aの骨延長
図14には、創外固定器1により骨延長を施した骨9Aが示されている。
図10および図14に示すように、骨9Aの骨延長は、ピンクランプ71、72の少なくともいずれか一方を、他方に対して離間するように移動させることによって行われる。すなわち、骨延長は、図10に示すように、第2保持部材3の径調整部材8に取り付けられたピンクランプ72を矢印T方向に移動させ、移動位置で固定することにより行われる。この際、第1保持部材2に保持されているすべてのピンクランプ71と、第2保持部材3に保持されているすべてのピンクランプ72とを離間するように移動させる。この操作を、所定の期間、所定の間隔で、骨端9A2と骨幹9A3との間が所定の距離だけ離間するように行えば、図14に示す二点鎖線で囲まれた仮想支点9A1近傍に骨形成が起こり、骨9Aの骨延長が行われる。
なお、すべてのピンクランプ72が径調整部材8を介して第2保持部材3に取り付けられている場合は、径調整部材8を移動させることによってピンクランプ72の移動を行うことができる。
【0062】
前述の骨延長は、所定の期間、所定の間隔および所定の距離をもって行うとしたが、骨延長対象者および骨延長箇所に合わせて適宜決定すればよい。例えば、対象者によっては、1〜3ヶ月の間、1日0.5〜1.0mm程度の骨延長の速度としてもよい。
また、前述の骨の捻じれ矯正および骨延長は、同時進行させてもよい。さらに、これらの変形矯正においては、コンピュータを用いて、期間、間隔、角度および距離をシミュレートし、得られた結果を変形矯正時に使用する値に反映するようにしてもよい。
【0063】
(7)第1実施形態の効果
本発明の第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(7−1) 連結部材4は、軸部材23、33を介して、第1保持部材2および第2保持部材3を相対的に回動自在に連結し、また、連結部材4を構成する第1リンク棒41および第2リンク棒42は、互いに回動自在に連結されている。すなわち、創外固定器1は、一対の保持部材である第1保持部材2および第2保持部材3と、一対の腕部である第1リンク棒41および第2リンク棒42と、これら部材間に介在する3つの回動部A、BおよびCとを有するリンク機構となっている。また、これらの回動部A、BおよびCの回動軸A1、B1およびC1は、すべて骨9、9A、9B、9Cおよび9Dの仮想支点91、9A1、9B1、9C1および9D1を向くように構成されている。これによれば、各回動部A、BおよびCにおいて、骨の形状に応じて、第1リンク棒41および第2リンク棒42を回動させて、三次元的に創外固定器1を骨に装着することができる。従って、回動部A、BおよびCにおいて、連結部材4の回動角度を自由に調整することにより、複雑な形状の骨に対しても創外固定器1を確実に取り付けることができる。また、連結部材4の回動により、骨に挿入されるピン61、62の偏心変位の発生を抑え、骨や創外固定器1に捻じれ等の負担をかけないようにすることができる。
【0064】
(7−2) 創外固定器1は、前述のように、回動部A、BおよびCにおける第1リンク棒41および第2リンク棒42の回動が許容されるように構成されており、これらの回動は図示しないボルトによって係止される。これによれば、第1リンク棒41および第2リンク棒42を自在に回動させることで、第1保持部材2および第2保持部材3を相対的に移動させることができるので、創外固定器1を骨の変形矯正に供することができる。すなわち、骨に創外固定器1を装着させた状態から、第1リンク棒41および第2リンク棒42を回動部A、BおよびCにおいて回動させることで、第1保持部材2および第2保持部材3を介して、矯正部位を中心として、骨を相対的に回動および移動させることができる。従って、骨の移動量や矯正方向を自由に設定することができ、このような骨の回動および移動と係止とを繰り返すことにより、骨の変形を矯正することができる。また、ピンクランプ71、72を第1保持部材2および第2保持部材3に沿って移動させて、骨延長にも対応することができる。従って、骨の移動量および矯正方向の自由度を向上することができ、骨の自在な変形矯正を行うことができる。
【0065】
(7−3) 創外固定器1は、軸部材23、33を備えた一対の第1保持部材2および第2保持部材3と、連結部材4を構成する第1リンク棒41および第2リンク棒42とを備えるという簡単な構造であるので、創外固定器1全体の構造を簡単にすることができる。
【0066】
(7−4) 創外固定器1は、骨の一方にピン61、62を挿入して固定する片側式の単支柱の創外固定器であるので、前述の骨の形状に合わせて三次元的な配置が可能であること、および、構造が簡易であることと併せて、骨の固定が容易であり、創外固定器1の取り扱いを容易にすることができる。従って、骨折部位および矯正部位を取り囲むように配置される従来の創外固定器に比べ、創外固定器1の取り付けを容易に行うことができ、創外固定器1を取り付ける術者の特別な練度や経験を要せずに創外固定器1を取り付けることができる。また、このことに留まらず、従来の創外固定器と比べ、重くかさばることがないので、術後の日常生活においても邪魔とならず、創外固定器1の装着者の精神的および肉体的な負担を軽減することができる。
【0067】
(7−5) 回動部Aでは、ウォーム412Bの回転が、このウォーム412Bに噛合するウォームホイール412Cに伝達され、このウォームホイール412Cに係合する軸部材23の小径部233Bに、ウォームホイール412Cの回転が伝達されて第1保持部材2および第1リンク棒41が相対的に回動する。これによれば、回動部Aにおいて、ウォーム412Bを回転させることにより、骨端92に挿入されたピン61を保持する第1保持部材2に対する第1リンク棒41の回動角を調整することができる。従って、創外固定器1により骨を固定した後であっても、ウォーム412Bの回転により回動部Aにおける第1リンク棒41の回動が許容されるので、前述のように、変形や捻じれを含む骨の矯正および整復を行うことができる。なお、回動部BおよびCにおいても回動が許容されているので、同様の効果を奏することができる。
【0068】
(7−6) 回動部Aにおいては、ウォームホイール412Cに係合する図示しないボルトにより回動部Aにおける回動が規制される。これによれば、創外固定器1の装着時に不意な力により、回動部Aにおける第1保持部材2または第1リンク棒41の相対的な回動が発生して、創外固定器1に保持されたピン61が偏心変位を起こすことを防ぐことができる。従って、創外固定器1の損傷を防ぐことができ、また、創外固定器1の装着者の骨に負担がかかることを防ぐことができる。なお、回動部BおよびCにおいても同様な構成であるので、同様の効果を奏することができる。
【0069】
(7−7) リンク棒が中間部分で略40°曲折しているので、創外固定器1を骨に装着する際に、回動部A、BおよびCの回動軸A1、B1およびC1を仮想支点に向くように固定できる。また、これにより、第1リンク棒41および第2リンク棒42を回動させても、回動軸A1、B1およびC1を常に仮想支点に向かせることができる。従って、前述した仮想支点に回動軸A1、B1およびC1が向いている場合の効果を、常に奏することができる。
【0070】
(7−8) 創外固定器1は、ジュラルミン製であるので、装着時に人体外に露出する創外固定器1の強度を確保でき変形等を防ぐことができるとともに、軽量な創外固定器1を製造して、装着者への負担を軽減することができる。
【0071】
〔2.第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る創外固定器1Aについて説明する。第2実施形態の創外固定器1Aは、第1実施形態で示した創外固定器1と略同じ構成を備えているが、第2実施形態では、回動部A、BおよびCの構成において創外固定器1と相違点を有する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
図15には、第2実施形態に係る創外固定器1Aが示されている。
図15に示すように、創外固定器1Aは、関節部位の可動中心としての仮想支点である股関節10Aを跨ぐように、骨盤10と、大腿骨11の骨幹111に装着されている。この創外固定器1Aは、第1実施形態の創外固定器1と比べ、回動軸A1、B1およびC1が仮想支点を向くように構成される回動部A、BおよびCの構造が異なる。すなわち、図15においては図示を略すが、回動部Aにおいて、第1保持部材2の軸部材23に形成された軸部233と、第1リンク棒41の係合部412に取り付けられたウォームホイール412Cとがキーを介して連結されておらず、このため、回動部Aにおける第1保持部材2および第1リンク棒41の相対的な回動が、ウォーム412Bの回転によらずに行われる。また、回動部B、Cにおいても同様に構成され、回動部B、Cにおいて、第2保持部材3と第2リンク棒42との相対的な回動、および、第1リンク棒41と第2リンク棒42との相対的な回動が、ウォーム423B、422Bによらずに行われる。
なお、第2実施形態では、股関節10Aを跨ぐように、骨盤10および大腿骨11の骨幹111に創外固定器1Aを取り付けたが、手関節、肘関節および膝関節等の関節を跨いで創外固定器1Aを取り付けてもよい。
【0073】
従って、本発明の第2実施形態によれば、前述の(7−1) 、(7−3) 、(7−4)、(7−7) および(7−8) と略同じ効果を奏することができるほか、以下の効果を奏することができる。
創外固定器1Aは、回動部A、BおよびCにおいて、ウォーム412B、423Bおよび422Bの回転に依存せずに、第1リンク棒41および第2リンク棒42の相対的な回動が許容されるように構成され、回動部A、BおよびCの回動軸A1、B1およびC1は、仮想支点である股関節10Aを向いている。これによれば、回動部A、BおよびCにおける第1リンク棒41および第2リンク棒42の回動時の抵抗を調整することにより、荷重のかかる股関節10Aが部分免荷され、股関節10Aへの負担を軽減することができるとともに、股関節10Aの動きを創外固定器1Aが妨げることを防ぐことができる。ここで、従来の創外固定器では、関節の動きが妨げられるだけでなく、可動時にピンに偏心変位が生じ、ピンおよび装着者に負担をかけることがあった。しかしながら、第2実施形態の創外固定器1Aでは、回動軸A1、B1およびC1が仮想支点である股関節10Aに向いており、それぞれの回動部A、BおよびCにおいて第1リンク棒41および第2リンク棒42が相互に回動することにより、第1保持部材2および第2保持部材3を、骨盤10および大腿骨11の動きに追従するように動かすことができる。これにより、これらの骨に挿入されるピン61、62の偏心変位を抑えて安定して骨を固定できるとともに、創外固定器1Aを装着した関節の動きを妨げないようにすることができる。従って、関節部分の負担を軽減し、創外固定器1A装着者の術後のリハビリ等を早期に行うことができる。
【0074】
〔3.第3実施形態〕
図16には、第3実施形態に係る創外固定器1Bが示されている。
第3実施形態の創外固定器1Bは、第1実施形態の創外固定器1および第2実施形態の創外固定器1Aと比較して、第2保持部材の構成が異なる。すなわち、創外固定器1、1Aにおいては、第2保持部材3は、パイプ31を備え、このパイプ31には、径調整部材8を介してピンクランプ72が取り付けられていたが、第3実施形態の創外固定器1Bにおいては、長管骨を固定する固定部材34が取り付けられており、固定部材34に保持されるピン63、64が挿入される部位は、長管骨の頚部および長管骨の骨幹である。
【0075】
図16に示すように、創外固定器1Bは、骨盤10に挿入されるピン61を保持する第1保持部材2と、骨折部位を含む長管骨である大腿骨11の頚部112および骨幹111に挿入されるピン63、64を保持する固定部材34を備えた第2保持部材3と、これらを連結する連結部材4とを備えている。この創外固定器1Bにおいても、第1リンク棒41および第2リンク棒42の回動部A、BおよびCの回動軸A1、B1およびC1は、骨折部位および関節部位の可動中心としての仮想支点である大腿骨頚部112および股関節10Aを向いている。
ここで、ピン63、64は、ピン61、62のいずれかと略同じものでもよく、また、太さ・形状等を適宜変更してもよい。
【0076】
固定部材34は、第2保持部材3のパイプ31に取り付けられており、大腿骨頚部112に挿入されるピン63を保持するピン保持部材34Aと、大腿骨骨幹111に挿入されるピン64を保持するピン保持部材34Bを備えて構成されている。
ピン保持部材34Aは、図示を略したが、側面視略C字状に構成され、それぞれの先端部をパイプ31が貫通している。このピン保持部材34Aにおいて、パイプ31と対向する面とは反対側のC字状基端部の面に、2本のピン63が傾斜して保持される。これら2本のピン63は、それぞれ角度を異にして保持されており、大腿骨頚部112と大腿骨骨幹111との傾斜角に略合わせて、それぞれ大腿骨頚部112の骨軸に挿入されている。
ピン保持部材34Bは、大腿骨骨幹111に挿入されるピン64を、大腿骨11の骨軸に対して略直交する向きに保持する。このピン保持部材34Bの構造としては、例えば、ピンクランプ72の構造が挙げられ、ボルトの締め付けにより、パイプ31とピン64の把持が同時に行える構造とされている。
【0077】
従って、本発明の第3実施形態によれば、前述の(7−1) 〜(7−8) と略同じ効果を奏することができるほか、以下の効果を奏することができる。
第3実施形態の創外固定器1Bは、第2保持部材3のパイプ31に、長管骨である大腿骨11を固定する固定部材34が取り付けられている。この固定部材34は、大腿骨頚部112の骨軸にそれぞれ角度を異にして挿入される2本のピン63を保持するピン保持部材34Aと、大腿骨骨幹111に挿入される2本のピン64を保持するピン保持部材34Bとを備えて構成されている。これによれば、固定部材34が、大腿骨頚部112が粉砕骨折等を起こした場合、骨粗鬆症の場合、および大腿骨11の骨密度が不連続である場合等において、歩行時における大腿骨11の強度が確保できない等の場合に、大腿骨11を確実に固定して部分免荷を図ることができる。また、第2実施形態の創外固定器1Aのように、回動部A、BおよびCにおける回動がウォームの回転に依存しない構成とすれば、連結部材4のリンク機構により、股関節10Aの動きが妨げられないので、リハビリ時の歩行訓練等を術後早期に行うことができ、早期の社会復帰を可能とすることができる。
【0078】
〔4.実施形態の変形〕
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
[4−1] 前記各実施形態では、術後の骨の固定器として創外固定器1、1Aおよび1Bを採用したが、本発明はこれに限らず、術中の整復装置として採用してもよい。すなわち、創外固定器1、1Aおよび1Bを整復装置として採用する場合、整復対象の骨にピン61、62を挿入して第1保持部材2および第2保持部材3を固定する。このとき、骨の骨折部位を仮想支点として、回転軸A1、B1およびC1が仮想支点を向くように創外固定器1、1Aまたは1Bを固定する。こののち、連結部材4の第1リンク棒41および第2リンク棒42にマニュピレータを装着し、このマニュピレータにより第1リンク棒41および第2リンク棒42を回動させるようにして、骨を正しい位置にて固定する。これにより、術中の骨の固定を行えるほか、固定を行ったまま、術後のリハビリ等の治療に移行することができる。
【0079】
[4−2] 前記第1実施形態では、創外固定器1は、1本の骨9に、また、第2および第3実施形態の創外固定器1A、1Bは、骨盤10および大腿骨11に取り付けられるとしたが、本発明ではこれに限らず、他の骨や、他の関節を跨いで取り付けてもよい。例えば、1本の骨に取り付ける場合として上腕骨や脛骨等の骨に創外固定器を取り付けてもよく、また、関節に跨って取り付けられる場合として肩関節、手関節、肘関節および膝関節等に本発明の創外固定器1、1Aおよび1Bを取り付けてもよい。
【0080】
[4−3] 前記各実施形態では、第2保持部材3に設けられた軸部材33において、枝部332の軸方向は、軸部333の軸方向に対し略40°の角度をもって形成され、第1リンク棒41および第2リンク棒42は、略40°の曲折をもって形成されるとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、回動部A、BおよびCにおいて、第1リンク棒41および第2リンク棒42の相対的な回動が許容され、かつ、回動軸A1、B1およびC1が仮想支点に向くような構成であれば、曲折の有無は問わず、また、曲折の角度は40°に限るものではない。例えば、第1保持部材および第2保持部材の端部に、枝部が略90°以下の角度をもって形成された軸部材が取り付けられ、この軸部材に、曲折のない第1リンク棒および第2リンク棒が連結された構成の創外固定器であってもよい。
【0081】
[4−4] 前記各実施形態では、第1保持部材2のパイプ21は、第2保持部材3のパイプ31よりも長さ寸法の短い中空の円柱状部材であるとしたが、パイプ21、31の長さ寸法は、これに限定されるものではなく、形状および太さ等に関しても、装着される骨の形状等に合わせて適宜選択してよい。
【0082】
[4−5] 前記第1および第2実施形態では、第2保持部材3にピンクランプ72を装着する際に、径調整部材8を用いたが、径調整部材8を設けない構成であってもよい。径調整部材8を設けるか否かは、パイプ31に形状や、取り付けるピン62の太さ等に合わせて適宜決めてよい。
【0083】
[4−6] 前記各実施形態では、ピン61を保持するピンクランプ71は、パイプ挟持部材711およびピン挟持部材712から構成され、ボルト713によってパイプ21およびピン61を保持するとしたが、本発明はこれに限らず、他の構成でもよい。例えば、パイプ21を互いに挟み込むように挟持するとともに、ピン61を挟持することで、パイプ21およびピン61を把持固定するピンクランプであってもよい。なお、ピンクランプ71と略同じ構成を有するピンクランプ72においても同様である。
【0084】
[4−7] 前記各実施形態では、ピン61の外径寸法は、ピン62の外径寸法に比べ小さく形成されているとしたが、ピン61、62の太さや形状等の詳細は問わない。すなわち、ピン61、62が固定する対象の骨を堅固に固定し、ピンクランプ71、72によって第1保持部材2および第2保持部材3に取り付けられる構成であれば、太さや形状は問わず、また、ピン61、62が略同じであってもよい。
【0085】
[4−8] 前記各実施形態では、創外固定器1、1Aおよび1Bは、ジュラルミン製であるとしたが、他の材質により形成してもよい。例えば、チタンを採用した場合、腐蝕性が低いので、経年安定性を確保することができる。また、ピン61、62は金属製とし、金属材料としてステンレスおよびチタンを挙げたが、他の材料を用いてもよい。
【0086】
【発明の効果】
本発明の創外固定器によれば、装着者の負担を軽減し、自在な骨および骨片の移動および変形矯正を実現できるだけでなく、構造を簡素化して、術者の練度や経験をあまり必要とせずに、装着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る創外固定器を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における創外固定器を示す分解図。
【図3】前記実施形態における第1保持部材を示す平面図。
【図4】前記実施形態における第2保持部材を示す平面図。
【図5】前記実施形態における第1リンク棒を示す平面図。
【図6】前記実施形態における第2リンク棒を示す平面図。
【図7】前記実施形態におけるピンクランプを示す平面図。
【図8】前記実施形態におけるピンクランプを示す分解図。
【図9】前記実施形態におけるピンクランプを示す平面図。
【図10】前記実施形態における創外固定器の連結部材の動きを示す斜視図。
【図11】前記実施形態における創外固定器の連結部材の動きを示す斜視図。
【図12】前記実施形態における創外固定器の連結部材の動きを示す斜視図。
【図13】前記実施形態における創外固定器の連結部材の動きを示す斜視図。
【図14】前記実施形態における創外固定器による骨延長後の骨を示す斜視図。
【図15】本発明の第2実施形態に係る創外固定器を示す斜視図。
【図16】本発明の第3実施形態に係る創外固定器を示す斜視図。
【図17】従来の創外固定器を示す斜視図。
【符号の説明】
1、1A、1B・・・創外固定器
2・・・第1保持部材(保持部材)
3・・・第2保持部材(保持部材)
4・・・連結部材
9、9A、9B、9C、9D・・・骨
10・・・骨盤(第1部位)
11・・・大腿骨(第2部位)
41・・・第1リンク棒(腕部)
42・・・第2リンク棒(腕部)
43・・・ワッシャ
61、62、63、64・・・ピン(軸状部材)
91、9A1、9B1、9C1、9D1・・・仮想支点
92、9A2、9B2、9C2、9D2・・・骨端(第1部位)
93、9A3、9B3、9C3、9D3・・・骨幹(第2部位)
10A・・・股関節(仮想支点)
233、333、4132・・・軸部
412A、422A、423A・・・リング部
412B、422B、423B・・・ウォーム(ねじ軸状部材)
412C、422C、423C・・・ウォームホイール
A、B、C・・・回動部
A1、B1、C1・・・回動軸
Claims (4)
- 骨の変形の中心と、骨折部位または矯正骨切り部位を挟む一対の骨片を回転させる場合の中心と、関節部位の可動中心との少なくともいずれかにより決められる骨の仮想支点を挟む第1部位および第2部位のそれぞれに挿入される軸状部材を保持固定する一対の保持部材と、この一対の保持部材を連結する連結部材とを備えた創外固定器であって、
前記連結部材は、前記各保持部材に回動自在に取り付けられる一対の腕部を有し、
この一対の腕部は、回動自在に連結され、
前記各腕部の回動軸が、前記仮想支点に向いていることを特徴とする創外固定器。 - 請求項1に記載の創外固定器において、
前記保持部材に対する前記腕部の回動、および、前記腕部同士の回動を可能とする回動部は、
前記保持部材端部および一方の腕部の一端に突設される軸部と、
一方の腕部の他端および他方の腕部の両端に設けられ、前記軸部に回動自在に挿通されるリング部と、
このリング部の挿通後前記軸部の先端に取り付けられ、前記リング部を前記軸部の基端側に押さえつけるワッシャと、
前記軸部に取り付けられ、該軸部の断面外周縁に沿って歯が形成されたウォームホイールと、
前記リング部の端部に設けられ、該リング部の内周円の接線方向に延び、前記ウォームホイールと噛合するねじ軸状部材とを備えていることを特徴とする創外固定器。 - 請求項1または請求項2に記載の創外固定器において、
前記腕部は、中間部分が略40°曲折していることを特徴とする創外固定器。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の創外固定器において、
前記各部材は、金属により形成されていることを特徴とする創外固定器。
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