明 細 書
注射針製造方法および注射針
技術分野
[0001] 本発明は、薬液等の液体を生体内等に注入する際に用いられる注射針製造方法 およびそれにより製造された注射針に関するものであり、特に、先端径が例えば 0.13 mm程度以下とされた、極細注射針の製造方法および注射針に関するものである。 背景技術
[0002] 従来、注射針の太さは、 0.3mmから 2.0mm程度の外径とされており、比較的細いとさ れている、インスリンの自己注射用のものあるいは歯科麻酔用のものでも 0.2mm程度 以上の外径とされている。
注射時の痛みは、注射針の太さと関係しており、細ければ細い程その痛みを軽減 できることが知られている。また、特に自己注射用のものにおいては、その外径を細く することで、患者の不安感ゃ恐怖感を和らげることができる。
[0003] し力しながら、その一方で、注射針の太さを細くしていくと強度的な問題が生じ、さら に、細い注射針は、必然的にその内径も小さくなり、薬液を生体内へ注入するときの 流路抵抗が過大となることから、注射時に薬液を押し出すために大きな力が必要とな る。
[0004] このような事情から、生体内に穿刺する先端部を細く形成するとともに注射器本体 に接続される基端部を太く形成し、基端部から先端部にかけてはテーパ形状とした 注射針が知られている(下記特許文献 1参照)。
[0005] 特許文献 1 :特開 2004— 41391号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 上記特許文献 1記載のものは、型取りした平板状のステンレス材を丸めて、外形が 先細となる円筒状のものを形成するものである。その他、平板状のステンレス材を円 筒状に丸めて端部同士を接合するととともに、円筒状としたステンレス材を削って外 形が先細となるように形成するものも知られている(ノボノルディスクファーマ社製)。
[0007] し力しながら、上記の先行技術は、いずれも平板状のステンレス材を丸めて円筒状 に形成していることから、丸めて、つき合わせた端面同士を溶接などの手法によって 接合する必要があり、どうしてもその接合部のつなぎ目において液の流れがスムーズ ではなくなる。また、平板状のステンレス材を丸める工程や接合する工程等の煩雑な 工程が増加するため、製造時間および製造コストが増加する。
[0008] なお、ステンレス等の金属細径管の製造技術としては、太径の金属パイプに引抜 加工処理を施して、細径化していく手法も知られている力 金属パイプにこのような引 抜加工処理を施すと、内壁面に細かなしわや襞が形成され、内壁面を研磨加工しな ければ液体のスムーズな流れを確保することが難しい。したがって、注射針の製造に このような手法を用いることは実際には難しい。また、このような引抜加工処理を施す 場合には製造段階でマシン油の使用が必要で、注射針に適用する場合には十分な 脱脂処理が必要とされ、さらに製造工程が煩雑となる。
[0009] 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、細径の円筒形状を作成する際に 接合処理や内壁面の研磨処理を必要とせず、液体のスムーズな流れを確保できると ともに製造工程の簡易化を図ることができる注射針製造方法および注射針を提供す ることを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明の注射針製造方法は、基端部から穿刺用先端部に至る中空の筒体力 な る注射針を製造する方法にぉレ、て、
電铸槽内に電錡金属を配設するとともに電錡液を充填し、注射針用マスタを該電 铸液に浸漬し、電錡処理を行って該注射針用マスタの外表面に電錡金属を付着せ しめ、この後、付着せしめた金属を該注射針用マスタから離型して注射針本体を得る ことを特徴とするものである。
[0011] また、前記注射針用マスタの外形が、前記基端部に対応する大径の基部から前記 先端部に対応する小径の先部までの間でテーパ状とされていることが好ましい。 また、前記注射針用マスタが、前記基部から前記先部に亘つて略均一な外径とさ れた円柱状ロッドであり、
該円柱状ロッドの、前記基端部に対応する大径の基部から前記先端部に対応する
小径の先部に向力うにしたがって電铸金属の付着厚みが小さくなるように、前記電铸 処理を行うことが可能である。
[0012] また、前記電铸金属としてニッケノレまたはニッケル合金を用レ、、前記電铸液としてス ルファミン酸電解液を用いることが好ましい。
[0013] 前記注射針用マスタの基部を金属製ホルダに電気的に接続した状態で保持せし め、該金属製ホルダを陰極に接続するとともに、該注射針用マスタを前記電錡液に 浸漬し、該注射針用マスタを軸中心に回転せしめながら電铸処理を行うことが好まし レ、。
[0014] 前記電铸処理を行う際には、前記注射針用マスタの先部に電錡金属付着防止用 のカバーを配設することが好ましい。なお、カバーの形状によっては、この後の、注射 針先端形状の加工処理が不要となる。
[0015] さらに本発明の注射針は、上述したいずれかの注射針製造方法により製造される 注射針であって、
前記穿刺用先端部の外径が 0.25mm以下とされ、
前記基端部から前記穿刺用先端部の先端面に至るまで、前記筒体の軸線に垂直 な断面がリング形状をなす、注射針先端形状とされていることを特徴とするものである また、前記穿刺用先端部の外径が 0.13mm以下とされていることがより好ましい。 発明の効果
[0016] 本発明の注射針製造方法によれば、電錡処理により注射針用マスタの外表面に電 铸金属を付着せしめ、この付着せしめた金属(電铸体)を該注射針用マスタから離型 して注射針本体を得るようにしてレ、る。
このような手法によれば、注射針用マスタの周囲に所望の形状の金属パイプを作成 することができ、ノ イブ作成に際して従来技術のような接合処理は不要である。した がって、製造工程の簡易化を図ることができ、スムーズな液体の流れを確保すること ができる。
[0017] また、パイプ作成に際して引抜加工処理を施しておらず、パイプ内壁面にしわや襞 が形成されないことから内壁面の研磨処理等が不要である。またこれにより油分を使
用せずともよいことから、脱脂処理が不要である。したがって、この点でも製造工程の 簡易化を図ることができる。
[0018] 勿論、パイプ内壁面は注射針用マスタの外壁面が転写されることになるので、注射 針用マスタの外壁面を例えば鏡面加工しておくことにより、表面粗さが極めて良好な パイプ内壁面とすることができ、さらにスムーズな液体の流れを確保することができる 。また、電铸法を用いているので、外壁面も表面粗さが良好な状態とすることができ、 生体等への穿刺をスムーズなものとすることができる。
[0019] また、本発明の注射針によれば、上述した電錡法を用いて作製しているので、上述 した製造方法の作用効果を同様に享受することができる。また、穿刺用先端部は斜 めにカットせず、穿刺用先端部の先端面に至るまで、軸線に垂直な断面がリング形 状をなしている。すなわち、穿刺用先端部は、軸線に対して回転対称形状とされ、生 体等に穿刺した場合にも組織に与える損傷を最小とすることができる。これは、穿刺 用先端部の外径が 0.25mm以下と細径化されていることから、穿刺用先端部を斜めに カットせずとも、穿刺の痛みを軽減でき、また容易に穿刺することができるからである。 図面の簡単な説明
[0020] [図 1]本発明の実施形態に係る注射針の製造工程を示すフローチャート
[図 2]注射針用マスタの形状の例を示す断面図
[図 3]注射針用マスタがマスタ受けホルダに装着される様子を示す概略図
[図 4]電铸処理により注射針用マスタに電铸金属を付着させる様子を示す概略図
[図 5]注射針用マスタから注射針本体を離型する様子を示す概略図
[図 6]作製された注射針の形状の例を示す断面図
[図 7]本実施形態に係る注射針を針基部に取り付けた様子を示す概略図
[図 8]注射針用マスタの形状の変更例を示す断面図(a)、該注射針用マスタの周囲 に電錡金属が付着された様子を示す断面図(b)、およびその電錡装置を示す概略 図 (c)
[図 9]作製された注射針の形状の変更例を示す断面図
符号の説明
[0021] 1、 1A 注射針用マスタ
2 マスタ受けホルダ
3 スライド咅
3a 爪部
4 ホルダ本体
5 差込部
6 電錡体
6A、 6B、 6C、 6D 注射針
7 受け皿
8 溶液(スルフ 'ァミン酸電解液)
10 電铸槽
11 Niアノード音 β (電極)
20 注射針アツ - [Τィ
22 針基部
発明を実施するための最良の形態
[0022] 以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図 1は本発明の実施形態に係る注射針の製造方法の製造工程を示すフローチヤ ートである。
[0023] まず、注射針用マスタを作成する(Sl)。
このマスタ作成工程にぉレ、ては、注射針内形部の成形型として機能する注射針用 マスタを作成する。材質はステンレス(SUS)等の導電材料又は非導電材料 (プラス チックやナイロン材等を導電処理したもの)を用レ、、外表面が鏡面となるように研磨処 理を行う。外形領域の少なくとも一部にテーパ部を有する注射針用マスタ 1の形状の 一例を図 2 (a)〜(f)に示すが、勿論これに限られるものではなぐ後述する如ぐテ 一パ部を全く有さないロッド形状のものとすることも可能である。なお、図 2 (a)〜(c) に示す注射針用マスタ 1は注射針の先端部を斜めにカットする、図 6 (g)に示す如き 刃先付きのものに対応したものであり、一方、図 2 (d)〜(f)に示す注射針用マスタ 1 は、図 6 (h)に示す如き先端部に刃先を付けていないものに対応したものである。
[0024] なお、注射針用マスタ 1の外径サイズの例として、テーパ部を有するものでは、例え
ば、基部径 (太径)が Φ 0.13、先部径(細径)が φ 0·09〜0·11とされ、一方、後述する、 テーパ部を全く有さないロッド形状のものでは、例えば、 φ 0.125〜0.129とされる。ま た、マスタ 1の長さとしては、例えば、基部長(径が変化していない領域の長さ)が 5m m、テーパ部および先部の長さの合計が 20mmとされる。
[0025] 次に、マスタ受けホルダに注射針用マスタを装着する(S2)。
このホルダ装着工程においては、図 3に示す如ぐ注射針用マスタ 1を、陰極に接 続されるマスタ受けホルダ 2に装着する。このマスタ受けホルダ 2は、黄銅およびステ ンレス等の導電材料からなり、例えば図 3に示す如き形状とされたものである。すなわ ち、図 3に示されるマスタ受けホルダ 2は、先端部に注射針用マスタ 1の基部が嵌揷さ れる差込部 5が形成されており、また、このホルダ本体 4の外周部には、このホルダ本 体 4の外表面を被覆するとともに、必要に応じてこのホルダ本体 4に対してスライド可 能とされたプラスチック製のスライド部 3が係合されている。
[0026] このホルダ装着工程においては、注射針用マスタ 1の基部をマスタ受けホルダ 2の 差込部 5に差し込んで保持させる。また、例えば、差込部 5の所定内壁部を磁石材料 により形成し、ステンレス(SUS)製の注射針用マスタ 1をワンタッチで装着することが できるようにしてもよい。さらに、これとともに、またはこれに替えてチャック式の装着機 構を設けるようにしてもよレ、。
[0027] 次に、電铸処理によって、注射針用マスタ 1に電铸金属を付着させる(S3)。
この電铸処理工程は、図 4 (a)に示すように、電铸槽 10内にスルファミン酸ニッケル 溶液 (スルファミン酸電解液) 8を充填し、この溶液中に、マスタ受けホルダ 2に装着さ れた注射針用マスタ 1、および電铸金属である Ni材(Ni— Au、 Ni— Ti等のその他の 材料とすることも可能)を用いたアノード (実際には、 Ni材等が Ti製等の網により囲ま れるようにして構成されている。以下、 Niアノード部と称する) 11を浸漬する。このとき 、マスタ受けホルダ 2は陰極に、 Niアノード部 11は陽極に、それぞれ接続される。ま た、注射針用マスタ 1の先端はプラスチック製の受け皿 7によってカバーされており、 注射針用マスタ 1の先端にまで電铸金属が付着しないように配慮されている。
[0028] 図 4 (b)、 (c)は受け皿 7の態様を示すものである。図 4 (b)に示す受け皿 7aのもの は刃先を付けた図 6 (g)に対応する注射針 (この後、先端を斜めにカットする処理を
施す) 6Aを作成する際に好適であり、一方、図 4 (c)に示す受け皿 7bは刃先を付け ない図 6 (h)に対応する注射針 6Bを作成する際に好適である。また、注射針用マス タ 1を溶液 8中で移動させるような場合には、受け皿 7を使用する手法では不都合で ある。この場合には、図 4 (d)に示すように、電铸処理前に絶縁材料からなる球状の 樹脂体 7cを注射針用マスタ 1の先端に付設するようにして該先端をカバーし、電錡 処理後に該樹脂体 7cを取り外す手法が好ましい。なお、上記樹脂体 7cが球状のも のに限られるものではないことは勿論である。
[0029] このように設定された状態で、上記陰極と上記陽極との間に所定の電圧を印加する 。これにより、電铸の溶液 8中に所定の電流が流れ (一般的には定電流制御がなされ る)、注射針用マスタ 1の周囲に Niが付着し、所定時間後には所定厚みの電錡体 6か らなる注射針本体が形成される。また、注射針用マスタ 1は、その軸を中心として所定 速度で回転させることが望ましい。このような回転操作を加えることにより、均一電着 を行うこと力 Sできる。
[0030] なお、上記電铸処理時間や上記印加電圧(電流)は、従前のデータ等に基づいて 予め設定しておくようにしてもよいし、注射針用マスタ 1の周囲に付着した電铸金属の 厚みをモニタリングし、その測定値に基づレ、て調整するようにしてもょレ、。
[0031] 次に、注射針用マスタ 1が装着されている状態でマスタ受けホルダ 2を電铸槽 10か ら引き上げ、注射針用マスタ 1から注射針本体である電铸体 6を離型する(S4)。
[0032] 図 5は、注射針用マスタ 1から注射針本体である電铸体 6を離型する様子を示すも のである。すなわち、このホルダ本体 4に対してスライド可能とされたプラスチック製の スライド部 3を、注射針用マスタ 1が差込部 5に差し込まれたままで、注射針用マスタ 1 の先端部方向にスライドさせる((a)の状態から (b)の状態までスライドさせる)。スライド 部 3の先端部は、注射針用マスタ 1の表面に当接する程度まで突出した爪部 3aを有 しており、また、該爪部 3aは注射針用マスタ 1の表面方向に付勢される弾性を有して いる。したがって、スライド部 3を、注射針用マスタ 1の先端部方向にスライドさせるの に伴い、注射針用マスタ 1の表面に沿って該爪部 3aが移動することになる。これによ り、該爪部 3aによって電铸体 6が注射針用マスタ 1から離型され、注射針本体が得ら れる。このような手法を用いれば、注射針用マスタ 1からの電錡体 6の離型が極めて
容易である。また、注射針用マスタ 1は損傷をうけることなく電铸体 6の離型を行うこと ができるので、注射針用マスタ 1の繰り返し利用が可能となり製造コストの低減を図る こと力 Sできる。
[0033] また、上記の手法とは異なり、注射針用マスタ 1をマスタ受けホルダ 2から取り外した 後に、電錡体 6をこの注射針用マスタ 1から離型することも可能である。
[0034] さらに、必要とされる数の注射針を製造するため、上記ステップ S3、 S4を繰り返す か否かの判断を行う(S5)。
[0035] 図 6 (a)〜(f)は、このようにして得られた注射針の形状に係る種々の態様の断面図 を示すものである。この断面図から明らかなように、図 6 (a)〜(f)のいずれの態様に おいても、少なくとも穿刺用先端面から基端部に至る中間部の少なくとも一部におい て外壁面および内壁面がテーパ形状とされてレ、る。
[0036] このうち、図 6 (a)〜(c)に示すものは、上記ステップ 4 (S4)により離型された状態の 注射針本体に対し、その先端面を斜めにカットすることにより得られるもので、いずれ も、その先端部に刃先が形成されている。
この場合、注射針 6Aの外径サイズの例として、例えば、基端部(太径)における外 径が φ 0.23、内径が φ 0.20、先端部(細径)における外径が φ 0.12、内径が φ 0.10と される力 いずれにしても、注射針用マスタ 1の形状により種々の内径、外径のものを 作成可能である。
[0037] 一方、図 6 (d)〜(f)に示すように、穿刺用先端部を斜めにカットすることなぐ穿刺 用先端部の先端面に至るまで、筒体の軸線に垂直な断面力 Sリング形状をなすように したものであってもよい。
[0038] また、該軸線を含む断面において、前記穿刺用先端部より前記基端部側の領域表 面 (テーパ部)における軸線に対するテーパ角よりも、該先端部の領域表面における 軸線に対するテーパ角が大きくなるように形成された、いわゆる多段テーパ形状とさ れている(図 6 (e)参照)。
この場合、注射針 6Bの外径サイズの例として、例えば、基端部(太径)における外 径が φ 0.23、内径が φ 0.20、先端部(細径)における外径が φ 0.10、内径が φ 0.08と される。
[0039] このように、穿刺用先端部を刃先付形状とすることなく形成することにより、生体組 織の損傷を最小限とすることができる。また、穿刺用先端部の外径は 0.25mm以下、 望ましくは 0.10mm程度以下とすることにより、穿刺用先端部を刃先付形状とせずとも 、刺通抵抗を小さなものとすることができ、液の流れをスムーズなものとすることができ る。
[0040] また、図 6 (g)は、図 6 (a)〜(c)に示す刃先付きの注射針 6Aを示す概略斜視図で あり、図 6 (h)は、図 6 (d)〜(f)に示す注射針に対応する刃先を付けていない注射針 6Bを示す概略斜視図である。
[0041] なお、図 7は、本実施形態に係る注射針 6Cを針基部 22に取り付けてなる注射針ァ ッセィ 20を示す概略図であるが、本実施形態に係る注射針の取付態様がこれに限ら れないことは勿論である。
[0042] また、本発明の注射針製造方法および注射針ついては、上記実施形態のものに限 られるものではなぐその他の種々の態様の変更が可能である。
[0043] 例えば、上記実施形態のものにおいては、 1つの注射針を製造する場合について 説明されているが、一般には、多数の注射針用マスタに対して同時に電铸処理を行 うようにし、製造効率を向上させることになる。
[0044] また、電铸槽の形状、電铸液の種類、電铸金属の種類、および注射針用マスタや マスタ受けホルダの形状、構成材料等については適宜変更可能である。例えば、電 铸金属としては、前述した金属材料以外の種々の金属材料 (合金を含む)を採用す ることが可能であり、例えば、 Co— Ni合金等の超弾性あるいは形状記憶性を有する 希土類遷移金属材料等とすることが可能である。
[0045] さらに、図 2 (a)〜(f)に示すものでは、注射針用マスタ 1の外形状が基部から先部 に向かって、テーパ状(多段テーパ状を含む)に変化しており、また、それにより形成 された注射針 6A、 6Bの内径も、注射針用マスタ 1の外形形状に応じて変化するよう に構成されている。し力 ながら、注射針用マスタとしては、例えば、図 8 (a)に示すよ うに、外径が均一とされた円柱状ロッドからなる注射針用マスタ 1Aを用いることが可 能である。図 8 (b)は、外径が均一とされた注射針用マスタ 1Aの周囲に、電铸処理に よって電铸金属を付着させ、外形テーパ状の注射針 6Dを作成する様子を示すもの
である。
[0046] また、図 8 (c)は、注射針用マスタ(芯線) 1Aの外表面に、図 4に示す電铸装置と同 様の電铸装置にて、電铸金属(Ni)を付着せしめる様子を示すものであり、ニッケノレ アノード部(電極) 11から、近距離に設定された基部においては厚ぐ遠距離に設定 された先部においては薄ぐそれぞれ電錡金属が付着せしめられる様子が示されて いる。
[0047] さらに、図 9は、注射針用マスタ 1Aを引き抜いて作成した注射針 6Dの製品を示す ものである。なお、注射針 6Dの外形形状は、図 6の各図に示す注射針 6A、 6Bと略 同様に形成することが可能である。
[0048] このように、注射針 6Dの内径が、基端部から先端部まで均一とされている場合には 、薬液を生体内へ注入するときの流路抵抗を、より小さくすることができ、注射時に薬 液を押し出すための力を小さくすることができるとの利点を有する。