WO2006070804A1 - テロメレース活性阻害方法および阻害剤 - Google Patents

テロメレース活性阻害方法および阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】テロメレースの活性調節に関与する蛋白質を見出し、テロメレース活性を阻害する手段、並びにテロメレース活性の亢進に起因する疾患の防止および/または治療を可能にする手段を提供すること。 【解決手段】TERT(テロメレース触媒サブユニット)とUSP21との結合、NEDD8化TERTとUSP21との結合、またはNEDD8化TERTのUSP21による脱NEDD8化、を阻害することを特徴とするテロメレースの分解促進方法、該分解促進方法を用いるテロメレース活性阻害方法、前記結合または前記脱NEDD8化を阻害する化合物の同定方法、該化合物を含むテロメレース活性阻害剤、該阻害剤を含むテロメレース活性の亢進に起因する疾患の防止剤・治療剤、前記阻害方法または前記阻害剤を用いる該疾患の防止方法・治療方法、並びに試薬キット。

Description

明 細 書
テロメレース活性阻害方法および阻害剤
技術分野
[0001] 本発明は、テロメレース逆転写酵素(以下、 TERTと略称することもある)とュビキチ ン特異的プロテアーゼ 21 (以下、 USP21と略称することもある)との結合を阻害する ことを特徴とする、 TERTの分解促進方法、および該分解促進方法を用いることを特 徴とするテロメレース活性阻害方法、並びに NEDD8 (neural precursor cell ex pressed, developmentally down― regulated gene 8)ィ匕 TERTと USP21と の結合を阻害することを特徴とする、 TERTの分解促進方法、および該分解促進方 法を用いることを特徴とするテロメレース活性阻害方法に関する。
[0002] また、本発明は、 USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害すること を特徴とする、 TERTの分解促進方法、および該分解促進方法を用いることを特徴と するテロメレース活性阻害方法に関する。
[0003] さらに、本発明は、 TERTと USP21との結合を阻害する化合物、 NEDD8化 TER Tと USP21との結合を阻害する化合物、または NEDD8化 TERTの USP21による 脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法に関する。
[0004] また、本発明は、前記化合物を含んでなるテロメレース活性阻害剤に関する。
[0005] さらに、本発明は、前記テロメレース活性阻害剤を含んでなる、テロメレース活性の 亢進に起因する疾患の防止剤および Zまたは治療剤に関する。
[0006] また、本発明は、前記テロメレース活性阻害剤または前記テロメレース活性阻害方 法を用いることを特徴とする、テロメレース活性の亢進に起因する疾患の防止方法お よび Zまたは治療方法に関する。
[0007] さらに、本発明は、 USP21、 USP21をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオ チドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する形質転換体のう ち少なくともいずれ力 1つ、 TERT、 TERTをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレ ォチドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する形質転換体の うち少なくともいずれか 1つ、並びに NEDD8、 NEDD8をコードするポリヌクレオチド 、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する 形質転換体のうち少なくともいずれか 1つを含有してなる試薬キットに関する。
背景技術
[0008] テロメレースは、真核細胞の染色体末端のテロメァ配列の伸張反応を触媒する酵 素であり、铸型となる RNA分子であるテロメレース RNA (以下、 TRと略称することも ある)と触媒サブユニットである TERTからなるリボ核蛋白質である(非特許文献 1)。
[0009] テロメレースは、テロメァ長を維持することにより、細胞に不死化能 (無限寿命)を与 える。テロメァは真核細胞の染色体 DNAの末端部分に存在する単純な繰り返し配 列であり、染色体の安定性維持に寄与している。細胞分裂において DNAの複製を 司る通常の DNAポリメラーゼでは DNAの最末端までの完全な複製が行われないた め、細胞分裂に伴いテロメァは短縮される。正常な体細胞では一定回数分裂後に増 殖が停止し、細胞の老化あるいは細胞死が生じる。
[0010] テロメレース活性は生殖細胞、各種幹細胞および末梢血リンパ球を除く正常細胞 では検出されない。大多数の正常細胞は、分裂毎にテロメァ長が短縮するためにテ ロメァ長を維持できず、その寿命は有限である。
[0011] 一方、癌細胞等の不死化した細胞の大多数においてはテロメレース活性が検出さ れる。このような細胞では、細胞分裂に伴い短縮されたテロメァがテロメレースにより 伸張され、その結果、テロメァ長が維持される。このことが、癌細胞の無限増殖性獲 得機序の 1つであると考えられる。テロメレースによるテロメァ長の維持が癌細胞の不 死化に寄与することは、アンチセンス RNAを用いて癌細胞のテロメレース活性を消 失させると、 10数回の細胞分裂の後に細胞増殖が停止し、細胞死が誘導されるとい う報告により明らかである。また、癌細胞内でドミナントネガティブ型テロメレースを発 現させることにより、テロメレース活性の消失と細胞分裂に伴ったテロメァ長の短小化 、染色体末端融合の出現および細胞死が誘導されることが報告されている。
[0012] テロメレースの活性ィ匕に関しては、 TERT遺伝子の発現活性ィ匕による活性ィ匕ゃ TE RTのリン酸ィ匕を介した活性ィ匕等が報告されている。前者については、多くの正常細 胞において TR遺伝子の発現は検出されるものの TERT遺伝子の発現は検出されな いのに対し、多くの癌細胞では TRおよび TERT両遺伝子の発現が認められることか ら、癌細胞等テロメレース活性が検出される細胞では何らかの機構により TERT遺伝 子の発現が活性ィ匕されていると考えられている。後者については、癌細胞の核抽出 液を脱リン酸ィ匕処理すると該核抽出液中のテロメレース活性が低減することが報告さ れており、テロメレースの活性化にリン酸ィ匕が関与している可能性が示唆されている( 非特許文献 2)。また、癌細胞由来の核抽出液を Aktやプロテインキナーゼ Cと反応 させることにより抽出液中のテロメレース活性が上昇することが報告されており、これら キナーゼがテロメレース活性ィ匕に関与する可能性が示唆されて 、る(非特許文献 3 および 4)。
[0013] また、本願の優先日の後に、 TERTのュビキチン化、そのプロテアソームによる分 解、 MKRN1が TERTのュビキチン化を促進する E3リガーゼであること、および、 M KRN1によりテロメレース活性が調節されて ヽることが報告された (非特許文献 11、 2 005年 4月 1曰)。
[0014] し力しながら、ュビキチン化 TERTを脱ュビキチンィ匕する具体的な酵素の報告はな く、その他の TERTの翻訳後修飾、例えばァセチル化、グリコシル化、 NEDD8化に よるテロメレース活性調節につ 、ての報告はな 、。
[0015] NEDD8は、ュビキチンとアミノ酸レベルで約 80%の相同性を有するュビキチン様 蛋白質の一つであり、 81アミノ酸残基からなる。ュビキチンは、ュビキチンリガーゼの 作用により、標的である蛋白質内のリジン残基と共有結合する。標的蛋白質内のリジ ン残基に結合したュビキチン内のリジン残基には、別のュビキチンがさらに共有結合 する。このようにして、蛋白質には複数のュビキチンが鎖状に結合する。 1分子の蛋 白質に 1以上のュビキチンが共有結合することによる、ュビキチンによる該蛋白質の 修飾を蛋白質のュビキチン化と称する。また、 1以上のュビキチンにより修飾された蛋 白質をュビキチン化蛋白質と称する。ュビキチンィ匕蛋白質はプロテアソーム依存的 に分解される。そのため、ュビキチンィ匕は蛋白質の安定性の調節に関与していると 考えられて!/ヽる (非特許文献 5)。
[0016] NEDD8は、ュビキチンと同様に、蛋白質の翻訳後修飾の一つとして蛋白質内のリ ジン残基と共有結合する。蛋白質に NEDD8が共有結合することを、蛋白質の NED D8化と称する。 NEDD8化される蛋白質として、複合体型ュビキチンリガーゼの構成 蛋白質の一つであるカリン (Cullin)ファミリー蛋白質が唯一報告されている。また、 C ullinの NEDD8化を介したュビキチンリガーゼ活性調節機構の存在が示唆されてい る(非特許文献 5および 6)。
[0017] NEDD8がー次構造および立体構造レベルにおいてュビキチンと非常に高い相同 性を有して!/ヽること (非特許文献 5)を考えると、蛋白質のュビキチン化が蛋白質分解 のシグナルとして作用しているのと同様に、蛋白質の NEDD8ィ匕がプロテアソーム依 存的な蛋白質分解のシグナルとして作用して 、る可能性が示唆されて 、る(非特許 文献 5)。しかし、 NEDD8化が関与するプロテアソーム依存的な蛋白質分解機構の 存在につ 、ての報告は無 、。
[0018] プロテアソームはプロテアーゼの複合体である。 20Sプロテアノーム、 26Sプロテア ソームおよびフットボール型プロテアノームが知られている。ュビキチン化蛋白質の 選択的かつエネルギー依存的な分解には、 26Sプロテアノームが関与している。 26 Sプロテアソームは、 ATP非依存性プロテアーゼ複合体である 20Sプロテアノームに 2分子の PA700が結合してなる沈降係数 26Sの ATP依存性プロテアーゼ複合体で ある。 20Sプロテアソームは、 7つの αサブユニットからなる αリングおよび 7つの βサ ブユニットからなる βリングが、 α、 β、 β、 αの順に筒状に積み重なって形成された 中空の構造を有する。 20Sプロアノームの上下に ΡΑ700が結合することにより、 26S プロテアノームが形成される。 ΡΑ700は、不活性型として存在するプロテアソームを 活性ィ匕する内在性の活性ィ匕因子であり、多成分複合体であるその構成分子中にュ ビキチン認識サブユニットを保持する。ュビキチンィ匕蛋白質は、 26Sプロテアソーム を構成する ΡΑ700により認識され、プロテアソーム内にリクルートされる。プロテアソ ーム内では、ュビキチンィ匕蛋白質の変性に伴って該蛋白質力もュビキチンが遊離さ れ、該蛋白質は βサブユニットにより分解される。
[0019] NUB1 (NEDD8 ultimate buster— 1)は、 NEDD8と結合する蛋白質であるこ とが知られている(非特許文献 7)。また、 NUB1が 26Sプロテアノームの 19Sサブュ ニットの構成蛋白質である S5aと結合すること、およびその過剰発現により S5aと共沈 降する NEDD8化蛋白質量が増大することが報告されて 、る(非特許文献 8)。これら 報告から、 NUB1は NEDD8化蛋白質の NEDD8部分を認識して結合することによ り、 NEDD8化蛋白質の 26Sプロテアノームへの移行を担うリクルーター蛋白質とし て働いており、その後、 26Sプロテアソームにおいて NEDD8化蛋白質が分解される と考えられる。
[0020] USP21はシスティンプロテアーゼの一つであり、ュビキチン化蛋白質および NED D8化蛋白質力もそれぞれュビキチンおよび NEDD8を切断する脱ュビキチンィ匕/ 脱 NEDD8化酵素としての活性を有して 、ることが報告されて 、る(非特許文献 9)。 また、 USP21と同様に、 DENl (human deneddylase 1)が NEDD8化カリン(C ullin)を脱 NEDD8化する活性を有して 、ることが報告されて 、る(非特許文献 10)
[0021] しかし、 USP21が不特定の蛋白質に対し、脱 NEDD8化活性を有していることは 報告されて 、るものの、 USP21により脱 NEDD8化を受ける蛋白質は同定されて ヽ ない。また、 NEDD8や USP21とテロメレースとの関連、およびプロテアソーム系によ るテロメレースの分解にっ 、ては報告されて 、な 、。
[0022] 特許文献 1:国際公開第 WO01Z67299号パンフレット。
非特許文献 1 :ケラー(Kelleher C. )ら、「トレンズ イン バイオケミカル サイェン シズ(TRENDS in Biochemical Sciences)」、 2002年、第 27卷、 p. 572— 57 90
非特許文献 2 :「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 1997年、第 272卷、 p. 16729— 16732。
非特許文献 3 :「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 1999年、第 274卷、 p. 13085— 13090。
非特許文献 4:「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 1998年、第 273卷、 p. 33436— 33642。
非特許文献 5:「ジーン(Gene)」、 2000年、第 248卷、 p. 1— 14。
非特許文献 6 :「実験医学」、 2004年、第 22卷、第 2号、 p. 69— 75。
非特許文献 7 :「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 2001年、第 276卷、第 23号、 p. 20603— 20609 非特許文献 8 :「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 2001年、第 276卷、第 49号、 p. 46655—46660 非特許文献 9 :「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 2000年、第 75卷、 p. 14212—14216。
非特許文献 10 :「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 2003年、第 278卷、第 31号、 p. 28882— 2889 非特許文献 11 :「ジーンズ アンド ディべ口プメント(Genes & Development)」、 2005年、第 19卷、 p. 776— 781。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0023] 本発明の課題は、テロメレースの活性調節に関与する蛋白質を見出して提供する ことである。また、本発明の課題には、テロメレース活性を阻害する手段を提供するこ とが含まれる。さらに、本発明の課題には、テロメレース活性の亢進に起因する疾患、 例えば癌疾患の防止および Zまたは治療を可能にする手段を提供することが含まれ る。
課題を解決するための手段
[0024] 上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意努力し、テロメレースの触媒サブユニット である TERTが、ュビキチン様蛋白質である NEDD8およびシスティンプロテアーゼ である USP21それぞれと相互作用する可能性をインシリコ(in silico)で予測した。 そして、 TERTが NEDD8および USP21それぞれと結合することを実験的に検証し た。さらに、 TERTが NEDD8化されること、 NEDD8化 TERTが USP21により脱 N EDD8化されること、プロテアソーム依存的に NEDD8化 TERTが分解されることに よりプロテアソーム依存的に TERTが分解されること、 USP21により TERTが安定化 されること、および USP21によりそのシスティンプロテアーゼ活性依存的に細胞核内 テロメレース活性が上昇することを明らかにした。これら実験結果から、 TERTの NE DD8化および NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を介した、プロテアソ ーム依存的な TERT分解制御機構が存在し、本機構により細胞核内のテロメレース 活性が調節されていることを見出し、本発明を完成した。
[0025] すなわち、本発明は、 NEDD8化 TERTと USP21との結合を阻害することを特徴と する、 TERTの分解促進方法に関する。
[0026] また本発明は、 USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害することを 特徴とする、 TERTの分解促進方法に関する。
[0027] さらに本発明は、前記 TERTの分解促進方法を用いることを特徴とする、テロメレー ス活性阻害方法に関する。
[0028] さらにまた本発明は、 USP21と TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法で あって、ある化合物と USP21および Zまたは TERTの相互作用を可能にする条件 下で、該化合物と USP21および Zまたは TERTを接触させ、次いで、 USP21と TE RTとの結合により生じるシグナルおよび Zまたはマーカーを使用する系を用いて、 該シグナルおよび Zまたはマーカーの存在若しくは不存在または変化を検出するこ とにより、該化合物が USP21と TERTとの結合を阻害する力否かを決定することを特 徴とする同定方法に関する。
[0029] また本発明は、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方 法であって、ある化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTの相互作用を 可能にする条件下で、該化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTを接触 させ、次いで、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合により生じるシグナルおよび Zま たはマーカーを使用する系を用いて、該シグナルおよび Zまたはマーカーの存在若 しくは不存在または変化を検出することにより、該化合物が USP21と NEDD8化 TE RTとの結合を阻害する力否かを決定することを特徴とする同定方法に関する。
[0030] さらに本発明は、 USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害する化合 物の同定方法であって、ある化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTの 相互作用を可能にする条件下で、該化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 T ERTを接触させ、次いで、 USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化により生 じるシグナルおよび Zまたはマーカーを使用する系を用いて、該シグナルおよび Z またはマーカーの存在若しくは不存在または変化を検出することにより、該化合物が USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害するか否かを決定することを 特徴とする同定方法に関する。
[0031] さらにまた本発明は、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物を含 んでなるテロメレース活性阻害剤に関する。
[0032] また本発明は、 USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害する化合 物を含んでなるテロメレース活性阻害剤に関する。
[0033] さらに本発明は、前記テロメレース活性阻害剤を含んでなるテロメレース活性の亢 進に起因する疾患の防止剤および Zまたは治療剤に関する。
[0034] さらにまた本発明は、前記テロメレース活性阻害剤を含んでなる抗癌剤に関する。
[0035] また本発明は、前記テロメレース活性阻害方法を用いることを特徴とするテロメレー ス活性の亢進に起因する疾患の防止方法および Zまたは治療方法に関する。
[0036] さらに本発明は、前記テロメレース活性阻害方法を用いることを特徴とする癌の防 止方法および Zまたは治療方法に関する。
[0037] さらにまた本発明は、前記テロメレース活性阻害剤を用いることを特徴とするテロメ レース活性の亢進に起因する疾患の防止方法および Zまたは治療方法に関する。
[0038] また本発明は、前記テロメレース活性阻害剤を用いることを特徴とする癌の防止方 法および Zまたは治療方法に関する。
[0039] さらに本発明は、 USP21、 USP21をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチ ドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する形質転換体のうち 少なくともいずれ力 1つ、 TERT、 TERTをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオ チドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する形質転換体のう ち少なくともいずれか 1つ、並びに NEDD8、 NEDD8をコードするポリヌクレオチド、 該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する形 質転換体のうち少なくともいずれか 1つを含有してなる試薬キットに関する。 発明の効果
[0040] 本発明にお 、ては、 TERTが USP21および NEDD8それぞれと相互作用する可 能性をインシリコで予測し、さらにその可能性を実験的に検証した。その結果、 TER Tが USP21と直接的に結合すること、 TERTが NEDD8化されること、 NEDD8化さ れた TERTが USP21により脱 NEDD8化されること、プロテアソーム依存的に NED D8化 TERTが分解されることによりプロテアソーム依存的に TERTが分解されること 、および USP21が TERTを安定化することを明らかにした。
[0041] これら実証結果から、 TERTの分解(安定性) 1S TERTの NEDD8化および NED D8化された TERTの USP21による脱 NEDD8ィ匕により調節されていることを見出し た。さらに、 USP21がそのシスティンプロテアーゼ活性依存的に細胞核内テロメレー ス活性を上昇させることを明らかにした。すなわち、 TERTの NEDD8化および NED D8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を介した、プロテアソーム依存的な TER T分解制御機構が存在し、本機構により細胞内のテロメレース活性が調節されている ことを見出した。
[0042] したがって、 USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害することにより 、プロテアノーム、例えば 26Sプロテアソームによる NEDD8化 TERTの分解を促進 できる。プロテアソームによる NEDD8化 TERTの分解が促進されることにより、 TER Tの分解が促進され、その結果、細胞内 TERT量が減少する。 TERTはテロメレース の触媒サブユニットであるため、 TERT量の減少によりテロメレース活性は阻害される
[0043] USP21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8化を阻害することは、例えば、 USP 21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害することにより実施できる。したがって、 USP2 1と NEDD8化 TERTとの結合を阻害することにより、プロテアソーム依存的な NED D8化 TERTの分解を促進でき、その結果、 TERTの分解を促進し、テロメレース活 性を阻害できる。
[0044] このように本発明により、テロメレース活性を阻害することができる。そのため本発明 により、テロメレース活性の亢進に起因する疾患の防止および Zまたは治療を実施 できる。テロメレースは、細胞に不死化能 (無限寿命)を与える機能を有し、癌細胞等 の不死化細胞にぉ 、てその活性が検出されて 、る。本発明によるテロメレース活性 阻害により、癌細胞の有限寿命化と染色体の不安定ィ匕による細胞死が誘導できる。 したがって本発明により、例えば、癌疾患の防止および Zまたは治療が実施できる。 図面の簡単な説明
[0045] [図 1-A]TERTと NEDD8の相互作用をインシリコで予測した結果を示す図である。 T ERTと NEDD8の間でローカルァライメントを行 、、高!、スコアを示した領域を図示し た。アミノ酸配列は 1文字表記した。図中の数字は、 TERTまたは NEDD8の各ァミノ 酸配列における、図示した各領域の N末端アミノ酸の位置を意味する。(実施例 1) [図 1-B]TERTと USP21の相互作用をインシリコで予測した結果を示す図である。 T ERTと USP21の間でローカルァライメントを行い、高いスコアを示した領域を図示し た。アミノ酸配列は 1文字表記した。図中の数字は、 TERTまたは USP21の各ァミノ 酸配列における、図示した各領域の N末端アミノ酸の位置を意味する。(実施例 1) [図 2]N末端 FLAG— tag付加型TERT (FLAG—TERT)と N末端 HA— tag付加型 USP21 (HA- USP21)とを一過性共発現させた培養細胞の細胞溶解物(cell lys ate)において、抗 HA抗体( α HA)により HA— USP21の免疫沈降(IP)を行ったと きに FLAG—TERTの共沈降が認められた(レーン 2:下パネル)ことを示す図である 。 FLAG— TERTの共沈降は抗 FLAG抗体( oc FLAG)を用いたウェスタンブロッテ イング (WB)により検出された。一方、 FLAG— TERT単独発現細胞では抗 HA抗体 による FLAG—TERTの共沈降は認められなかった(レーン 1:下パネル)。培養細胞 にぉけるHA—USP21またはFLAG—TERTの発現は、それぞれ抗 HA抗体また は抗 FLAG抗体を用いたウェスタンブロッテイングで確認した(レーン 1およびレーン 2の上パネルおよび中パネル)。(実施例 2)
[図 3]N末端グルタチオン S トランスフェラーゼ(GST)融合 USP21 (GST— USP 21 )および N末端 GST融合 USP21不活性化型変異体(GST— USP21C221A) それぞれと TERTとの結合力 GSTプルダウン(GST pull— down)法を用いたイン ビトロ(in vitro)結合試験にお!、て認められたこと(それぞれレーン 3および 4)を示 す図である。一方、 GSTと TERTとの結合は認められな力つた(レーン 2)。(実施例 2 )
[図 4]N末端 FLAG— tag付加型 TERT (FLAG TERT)と N末端 HA— tag付加型 NEDD8 (HA NEDD8)とを一過性共発現させた培養細胞の細胞溶解物(cell 1 ysate)にお!/、て、抗 HA抗体( a HA)により HA— NEDD8の免疫沈降(IP)を行つ たときに、 FLAG— TERTの共沈降が認められられた(レーン 2:上パネル)ことを示 す図である。 FLAG— TERTの共沈降は抗 FLAG抗体( a FLAG)を用いたウェス タンブロッテイング (WB)により検出された。検出された高分子領域のスメァ状のシグ ナルは 1以上の HA - NEDD8により修飾された TERT ( (HA - NEDD8) - FLA G— TERT)であると考えられた。一方、 FLAG— TERT単独発現細胞では抗 HA抗 体による FLAG— TERTの共沈降および高分子領域のスメァ状のシグナルは認めら れなかった(レーン 1 :上パネル)。用いた細胞溶解物中の FLAG— TERTの量は、 F LAG—TERTを単独で発現させた細胞についても、 FLAG— TERTと H A— NED D8を共発現させた細胞についても、ほぼ同等であった (それぞれレーン 1および 2 : 下パネル)。 (実施例 2)
[図 5]TERTと N末端 FLAG— tag付カ卩型 NEDD8 (FLAG— NEDD8)とを一過性 共発現させた培養細胞の細胞溶解物(cell lysate)において、 1以上の FLAG— N EDD8により修飾された TERT ( (FLAG— NEDD8) - FLAG -TERT)と考えら れるスメァ状のシグナルが高分子領域に検出された (レーン 3:上パネル)こと、およ び該シグナルが N末端 HA— tag付加型 USP21 (HA— USP— 21)の共発現により 顕著に減少した(レーン 4:上パネル)ことを示す図である。 TERTまたは FLAG— N EDD8を単独で発現させた培養細胞の細胞溶解物では、このようなシグナルは認め られなかった(それぞれレーン 1および 2 :上パネル)。また、該シグナルの減少は N末 端 HA— tag付加型 USP21不活性ィ匕型変異体 (HA— USP21C221A)を共発現さ せたときには認められなかった(レーン 5:上パネル)。用いた細胞溶解物中の TERT の量は、 TERTを単独で発現させた細胞、 TERTと FLAG— NEDD8を共発現させ た細胞、 TERT、 FLAG— NEDD8ぉょびHA—USP21を共発現させた細胞、並 びに TERT、 FLAG— NEDD8ぉょびHA—USP21C221Aを共発現させた細胞 のいずれの細胞についても、ほぼ同等であった(それぞれレーン 1、 3、 4および 5 :中 パネル)。用いた細胞溶解物中で HA— USP21または HA— USP21C221Aが発 現されて!/、ることも確認された(レーン 4および 5:下パネル)。(FLAG— NEDD8) FLAG TERTは、抗 TERT抗体 TERT)による免疫沈降(IP)後に、抗 FLA G抗体( ex FLAG)を用いたウェスタンブロッテイング (WB)を行うことにより検出され た。 TERTの検出は、 α TERTを用いたウェスタンブロッテイングにより行った。 HA — USP21および HA— USP21C221Aの検出は、抗 HA抗体(α ΗΑ)を用いたゥ エスタンブロッテイングにより行った。(実施例 3)
[図 6]プロテアソーム阻害剤である MG132で処理した細胞の細胞溶解物にぉ 、て ( レーン 2:上パネル)、 MG132で処理しなかった細胞(レーン 1:上パネル)の細胞溶 解物と比較して、 TERT量の増加が認められたことを示す図である。内在性蛋白質 である j8—チューブリン(j8—tubulin)の量に変化は認められなかった(レーン 1お よび 2:下パネル)。 TERTおよび 13 tubulinの各蛋白質は、それぞれ抗 TERT抗 体( a TERT)および抗 13 - tubulin抗体( α β - tubulin)を用 、たウェスタンブロ ッティング (WB)により検出した。 (実施例 4)
[図 7]N末端 HA— tag付加型 USP21 (HA— USP21)と TERTとを共発現させた細 胞の細胞溶解物にぉ 、て (レーン 3:上パネル)、 TERTを単独で発現させた細胞ま たは TERTと N末端 HA - tag付加型 USP21不活性化型変異体 (HA -USP21C2 21A)とを共発現させた細胞の細胞溶解物と比較して (それぞれレーン 2および 4:上 パネル)、 TERT量の増加が認められたことを示す図である。内在性蛋白質である β —チューブリン( β - tubulin)の量に変化は認められなかった(レーン 1から 4:下パ ネル)。用いた細胞溶解物中における USP21または USP21C221Aの各蛋白質量 は、ほぼ同等であった(レーン 3および 4 :中パネル)。 TERTおよび j8— tubulinの各 蛋白質は、それぞれ抗 TERT抗体( α TERT)および抗 β tubulin抗体 ( α β— tubulin)を用いたウェスタンブロッテイング(Blot)により検出した。 HA— USP21お よび HA— USP21C221Aは、抗 HA抗体( α ΗΑ)を用いたウェスタンブロッテイン グにより検出した。(実施例 5)
[図 8-Α]細胞核内テロメレース活性が低い SaOS2細胞において、 TERTと共に Ν末 端 HA— tag付加型 USP21 (HA— USP21)を過剰発現させることにより、 TERTを 単独で発現させたときと比較して、細胞核内テロメレース活性 (telomerase activit y)が上昇したことを示す図である。 HA— USP21の過剰発現による細胞核内テロメ レース活性の上昇は、 N末端 HA— tag付加型 USP21不活性ィ匕型変異体 (HA— U SP21C221A)の過剰発現では認められなかった。(実施例 6)
[図 8-B]細胞核内テロメレース活性が低い SaOS2細胞の細胞溶解物において、該 細胞に TERTと共に N末端 HA— tag付加型 USP21 (HA— USP21)を過剰発現さ せることにより、 TERTを単独で発現させたときと比較して(レーン 1:上パネル)、 TE RT量の増加が認められたこと(レーン 2:上パネル)を示す図である。 TERTと共に N 末端 HA— tag付加型 USP21不活性ィ匕型変異体 (HA— USP21C221A)を過剰 発現させた細胞の細胞溶解物にぉ 、ては、 TERT量の増加は認められな力つた(レ ーン 3 :上パネル)。細胞における HA— USP21および HA— USP21C221Aの発 現はウェスタンブロッテイング (WB)により確認できた (それぞれレーン 2および 3:下 パネノレ)。 TERTは、抗 TERT抗体 ( a TERT)を用いたウェスタンブロッテイング(W B)により検出した。 HA— USP21および HA— USP21C221Aは、抗 HA抗体( α HA)を用いたウェスタンブロッテイングにより検出した。(実施例 6)
[図 9]N末端 HA— tag付加型 USP21 (HA— USP21)の過剰発現により細胞核内 テロメレース活性(telomerase activity)の上昇が認められたことを示す図である。 このテロメレース活性の上昇は、 N末端 HA— tag付加型 USP21不活性ィ匕型変異体 (HA-USP21C221A)の過剰発現では認められなかった。(実施例 7)
[図 10]HeLa細胞におけるヒト USP21遺伝子の発現を RT—PCRにより検出した結 果(レーン 2および 3)を示す図である。ヒト USP21遺伝子の cDNA断片はェチジゥム ブロマイド染色により検出した。 RT— PCRは、 2組のプライマーペア(primer pair) 、 1F& 1Rおよび 2F&2Rをそれぞれ用いて実施した。レーン 1はサイズマーカー(Si ze marker)を示す。(実施例 8)
発明を実施するための最良の形態
[0046] 以下、本発明について発明の実施の態様をさらに詳しく説明する。
本明細書にぉ ヽては単離された若しくは合成の完全長蛋白質;単離された若しくは 合成の完全長ポリペプチド;または単離された若しくは合成の完全長オリゴペプチド を意味する総称的用語として「蛋白質」 t 、う用語を使用することがある。ここで蛋白 質、ポリペプチド若しくはオリゴペプチドはペプチド結合または修飾されたペプチド結 合により互いに結合している 2個以上のアミノ酸を含むものである。以降、アミノ酸を 表記する場合、 1文字または 3文字にて表記することがある。
[0047] 本発明においては、 TERTが USP21および NEDD8それぞれと相互作用する可 能性をインシリコで予測し、さらにその可能性を実験的に検証した。その結果、 TER Tが USP21と直接的に結合すること、 TERTが NEDD8化されること、 NEDD8化さ れた TERTが USP21により脱 NEDD8化されること、プロテアソーム依存的に NED D8化 TERTが分解されることによりプロテアソーム依存的に TERTが分解されること 、および USP21が TERTを安定化することを明らかにした。
[0048] これら実証結果から、 TERTの分解(安定性) 1S TERTの NEDD8化および NED D8化された TERTの USP21による脱 NEDD8ィ匕により調節されている可能性を見 出した。さらに、 USP21がそのシスティンプロテアーゼ活性依存的に細胞核内テロメ レース活性を上昇させることを明らかにした。
[0049] 一方、 NEDD8は一次構造および立体構造レベルにおいてュビキチンと非常に高 い相同性を有していることから、ュビキチン化修飾の場合と同様に、蛋白質の NEDD 8化修飾がプロテアソーム依存的な蛋白質分解のシグナルとして働 、て 、る可能性 が示唆されている(非特許文献 5)。また、 MKRN1による TERTのュビキチン化およ びプロテアソームによるュビキチン化 TERTの分解も報告されて ヽる(非特許文献 11 )。本発明において、プロテアソーム依存的に NEDD8化 TERTが分解されることに よりプロテアソーム依存的に TERTが分解されることを実証した。本実証結果から、 N EDD8化 TERTは、プロテアソームにより分解されると考える。
[0050] 以上のことから、 TERTの NEDD8化および NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を介した、プロテアソーム依存的な TERTの分解制御機構が存在し、本 機構により、細胞内のテロメレース活性が調節されている可能性を見出した。この TE RT分解制御機構に、プロテアノームが関与していると考える。すなわち、 NEDD8化 TERTはプロテアソームにより分解されると考える。よって、 TERTは NEDD8化され ることによりプロテアソームにより分解され、本分解は NEDD8化 TERTが USP21に より脱 NEDD8化されることにより阻害されていると考える。
[0051] したがって、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害することにより 、プロテアソーム依存的な NEDD8化 TERTの分解を促進することができる。また、 N EDD8化 TERTと USP21との結合を阻害することにより、 NEDD8化 TERTの USP 21による脱 NEDD8化を阻害することができ、その結果、プロテアソーム依存的な N EDD8化 TERTの分解を促進することができる。 [0052] TERTはテロメレースの触媒サブユニットであるため、 NEDD8化 TERTの分解を 促進して TERT量を減少させることによりテロメレース活性は阻害される。したがって 、NEDD8化 TERTの分解を促進することによりテロメレース活性を阻害できる。
[0053] これら知見に基づいて達成した本発明の一態様は、 NEDD8化 TERTの USP21 による脱 NEDD8化を阻害することを特徴とする、 TERTの分解促進方法、および該 分解促進方法を用いることを特徴とする、テロメレース活性阻害方法に関する。また、 本発明の別の態様は、 NEDD8化 TERTと USP21との結合を阻害することを特徴と する、 TERTの分解促進方法、および該分解促進方法を用いることを特徴とする、テ ロメレース活性阻害方法に関する。本結合阻害および Zまたは脱 NEDD8化阻害に より、プロテアノーム、例えば 26Sプロテアソームによる NEDD8化 TERTの分解が促 進され、その結果、 TERTの分解が促進され、細胞内 TERT量が低下し、テロメレー ス活性が阻害される。
[0054] 「TERT」は、テロメレースを構成する蛋白質であり、テロメレースの酵素活性の触媒 サブユニットである。 TERT遺伝子および該遺伝子によりコードされる蛋白質として、 それぞれ配列表の配列番号 1および配列番号 2に記載の各配列で表されるヒト由来 のポリヌクレオチドおよび蛋白質を好ましく例示できる。テロメレースは、真核細胞の 染色体末端のテロメァ配列の伸張反応を触媒する酵素であり、テロメァ長を維持する ことにより細胞に不死化能 (無限寿命)を与える。
[0055] 「NEDD8」は、ュビキチンとアミノ酸レベルで約 80%の相同性を有するュビキチン 様蛋白質であり、 81アミノ酸カゝらなる。 NEDD8遺伝子および該遺伝子によりコードさ れる蛋白質として、それぞれ配列表の配列番号 3および配列番号 4に記載の各配列 で表されるヒト由来のポリヌクレオチドおよび蛋白質を好ましく例示できる。ュビキチン 内のュビキチンィ匕を受ける部位として、そのアミノ酸配列第 48番目のリジン残基が同 定されている。 NEDD8においても第 48番目のアミノ酸残基がリジン残基であること および NEDD8化とュビキチンィ匕のそれぞれの反応機構が類似していると考えられ ることから、 NEDD8のアミノ酸配列第 48番目のリジン残基に別の NEDD8がさらに 共有結合 (イソペプチド結合)することにより、蛋白質に複数の NEDD8が鎖状に結 合していくと考えられる (非特許文献 5)。 [0056] 「NEDD8化」は、 1分子の蛋白質に 1以上の NEDD8が共有結合することによる、 NEDD8による該蛋白質の修飾を意味する。 NEDD8は、標的蛋白質内のリジン残 基に共有結合すると考えられる。蛋白質のュビキチン化と同様、標的蛋白質内のリジ ン残基に結合した NEDD8内のリジン残基に、別の NEDD8がさらに共有結合するこ とにより、蛋白質には複数の NEDD8が鎖状に結合すると考えられる。
[0057] 「NEDD8化 TERT」とは、 NEDD8化された TERT、すなわち 1分子の TERTに 1 以上の NEDD8が共有結合することにより修飾された TERTを意味する。
[0058] 「プロテアノーム」は、好ましくは 26Sプロテアソームである。 26Sプロテアソームは、 ュビキチンィ匕蛋白質の選択的かつエネルギー依存的な分解に関与して 、るプロテア ーゼ複合体である。 26Sプロテアノームの構成サブユニットに結合する NUB1は NE DD8と結合することが報告されている(非特許文献 7)。 NUB1は、 26Sプロテアソー ムの 19Sサブユニットの構成蛋白質である S5aと結合すること、さらに NUB1過剰発 現により S5aと共沈降する NEDD8化蛋白質量が増大することが報告されている(非 特許文献 8)。したがって、 NUB1は NEDD8化蛋白質の NEDD8部分を認識して結 合することにより、 NEDD8化蛋白質の 26Sプロテアノームへの移行を担うリクルータ 一蛋白質として働いていると考えられ、その後、 26Sプロテアソームにおいて NEDD 8化蛋白質が分解されると考えられる。よって、「プロテアノーム」として好ましく 26Sプ 口テアソームを例示できる。し力し、 NEDD8化 TERTのプロテアソームによる分解機 構に関与するプロテアソームは 26Sプロテアノームに限らず、 NEDD8化 TERTの分 解機構に関与する限りにお 、て、 、ずれのプロテアソームであってもよ 、。
[0059] 「プロテアソーム依存的な NEDD8化 TERTの分解」とは、 NEDD8化 TERTが、リ クルーター蛋白質、例えば NUB1の作用によりプロテアノームへ移行した後、プロテ ァソームにお ヽて分解される一連の反応を意味する。
[0060] 本発明において、 USP21と TERTが結合することを明らかにした(実施例 2参照)。
さらに、 NEDD8化 TERTが USP21により脱 NEDD8化されることを確認した(実施 例 3参照)。
[0061] このことから、 USP21が TERTと結合した後、該 TERTが細胞内の NEDD8化機 構により NEDD8化され、その結果生成した NEDD8化 TERTが該 USP21により脱 NEDD8化されると考えることができる。
[0062] 「NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化」とは、 USP21が TERTと結合 した後、該 TERTが細胞内の NEDD8化機構により NEDD8化され、その結果生成 した NEDD8化 TERTから、該 USP21のシスティンプロテアーゼ活性依存的に NE DD8が遊離する一連の反応を意味する。
[0063] このことから、 USP21と TERTとの結合を阻害することにより、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8ィ匕が阻害されると考える。
[0064] したがって、本発明の別の一態様は、 USP21と TERTとの結合を阻害することを特 徴とする、 TERTの分解促進方法、および該分解促進方法を用いることを特徴とする テロメレース活性阻害方法に関する。本結合阻害により、プロテアノーム、例えば 26 Sプロテアソームによる NEDD8化 TERTの分解が促進され、その結果、 TERTの分 解が促進され、細胞内 TERT量が低下し、テロメレース活性が阻害される。
[0065] 「USP21」は、システィンプロテアーゼの一つであり、ュビキチン化蛋白質および N EDD8化蛋白質力もそれぞれュビキチンおよび NEDD8を切断する脱ュビキチンィ匕 Z脱 NEDD8化酵素としての活性を有して 、ることが報告されて 、る(非特許文献 9) 。 USP21遺伝子および該遺伝子によりコードされる蛋白質として、それぞれ配列表 の配列番号 5および配列番号 6に記載の各配列で表されるヒト由来のポリヌクレオチ ドおよび蛋白質を好ましく例示できる。
[0066] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化の検出は、例えば、 TERTの発 現またはテロメレース活性が認められた真核細胞または培養細胞株を用いて、該細 胞または細胞株に USP21を一過性に発現させ、該細胞または細胞株の細胞溶解 液中の NEDD8化 TERT量および Zまたは TERT量を測定することにより実施でき る(実施例 3参照)。 NEDD8化 TERT量および TERT量は、公知のウェスタンブロッ ト法等により測定できる。テロメレース活性は、例えばトラップ法 (TRAP法)等公知の テロメレース活性測定方法により測定できる。 TERTの NEDD8ィ匕は細胞が有する内 在性の NEDD8化機構により行なわれる。脱 NEDD8化した後、細胞溶解液中の N EDD8化 TERT量が減少若しくは消失する場合、または細胞溶解液中の TERT量 が増大若しくは発生する場合には、 NEDD8化 TERTが USP21により脱 NEDD8 化されたと判定できる。細胞は、 NEDD8化 TERTを一過性に発現させた細胞を用 いることもできる。細胞における NEDD8化 TERTの発現は、 TERTをコードするポリ ヌクレオチドを含む適当なベクターと NEDD8をコードするポリヌクレオチドを含む適 当なベクターとを用いて慣用の遺伝子工学的手法でこれらを細胞にトランスフエクシ ヨンすることにより達成できる。
[0067] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化の検出は、例えば、テロメレース 活性が認められな ヽ真核細胞または培養細胞株 (例えば SaOS2細胞等)を用いて、 該細胞または細胞株に USP21および TERTを一過性に発現させ、該細胞または細 胞株の核抽出液が示すテロメレース活性を測定することにより実施できる(実施例 6 参照)。テロメレース活性は、例えばトラップ法 (TRAP法)等公知のテロメレース活性 測定方法により測定できる。 TERTの NEDD8ィ匕は、細胞が有する内在性の NEDD 8化機構により行われる。脱 NEDD8化した後、核抽出液が示すテロメレース活性が 増大または発生する場合には、 NEDD8化 TERTが USP21により脱 NEDD8化さ れたと判定できる。また、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化は、例え ば、内在性テロメレース活性を示す細胞または細胞株 (例えば HEK293T細胞等)を 用いて、該細胞または細胞株に USP21を一過性に発現させ、該細胞または細胞株 の核抽出液が示すテロメレース活性により検出することもできる(実施例 7参照)。
[0068] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化の阻害の検出は、例えば、 TER Tの発現またはテロメレース活性が認められた真核細胞または培養細胞株を用いて 、該細胞または細胞株に USP21を一過性に発現させ、該細胞または細胞株の細胞 溶解液中の NEDD8化 TERT量および Zまたは TERT量を測定することにより実施 できる(実施例 3参照)。 NEDD8化 TERT量および TERT量は、公知のウェスタンブ ロット法等により測定できる。テロメレース活性は、例えばトラップ法 (TRAP法)等公 知のテロメレース活性測定方法により測定できる。 TERTの NEDD8ィ匕は細胞が有 する内在性の NEDD8化機構により行なわれる。脱 NEDD8化を阻害した後、阻害 しな 、場合と比較して、細胞溶解液中の NEDD8化 TERT量が増加若しくは発生す る場合、または細胞溶解液中の TERT量が減少若しくは消失する場合には、 NEDD 8化 TERTの USP21による脱 NEDD8ィ匕が阻害されたと判定できる。細胞は、 NED D8化 TERTを一過性に発現させた細胞を用いることもできる。細胞における NEDD 8化 TERTの発現は、 TERTをコードするポリヌクレオチドを含む適当なベクターと N EDD8をコードするポリヌクレオチドを含む適当なベクターとを用いて慣用の遺伝子 工学的手法でこれらを細胞にトランスフエクシヨンすることにより達成できる。
[0069] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化の阻害の検出は、例えば、テロメ レース活性が認められな 、真核細胞または培養細胞株 (例えば SaOS2細胞等)を 用いて、該細胞または細胞株に USP21および TERTを一過性に発現させ、該細胞 または細胞株の核抽出液が示すテロメレース活性を測定することにより実施できる( 実施例 6参照)。テロメレース活性は、例えばトラップ法 (TRAP法)等公知のテロメレ ース活性測定方法により測定できる。 TERTの NEDD8化は、細胞が有する内在性 の NEDD8化機構により行われる。脱 NEDD8化を阻害した後、阻害しない場合と比 較して、核抽出液が示すテロメレース活性が減弱または消失する場合には、 NEDD 8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化が阻害されたと判定できる。また、 NEDD8 化 TERTの USP21による脱 NEDD8化の阻害の検出は、例えば、内在性テロメレー ス活性を示す細胞または細胞株 (例えば HEK293T細胞等)を用いて、該細胞また は細胞株に USP21を一過性に発現させ、該細胞または細胞株の核抽出液が示す テロメレース活性を測定することにより実施することもできる(実施例 7参照)。
[0070] 「USP21と TERTとの結合」とは、 USP21と TERTと力 複合体を形成するように、 水素結合、疎水結合または静電的相互作用等の非共有結合により相互作用すること を意味する。ここでの結合とは、 USP21と TERTがその一部分において結合すれば 足りる。例えば、 USP21または TERTを構成するアミノ酸の中に、 USP21と TERTと の結合に関与しな 、アミノ酸が含まれて 、てもよ 、。
[0071] 「USP21と NEDD8化 TERTとの結合」とは、 USP21と NEDD8化 TERTとが、複 合体を形成するように、水素結合、疎水結合または静電的相互作用等の非共有結 合により相互作用することを意味する。ここでの結合とは、 USP21と NEDD8化 TER Tがその一部分において結合すれば足りる。例えば、 USP21または NEDD8化 TE RTを構成するアミノ酸の中に、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合に関与しな!ヽァ ミノ酸が含まれていてもよい。 [0072] 本発明において、 USP21と TERTが結合することを明らかにした(実施例 2参照)。 さらに、 NEDD8化 TERTが USP21により脱 NEDD8化されることを確認した(実施 例 3参照)。このことから、 USP21が TERTと結合した後、該 TERTが細胞内の NED D8化機構により NEDD8化され、その結果生成した NEDD8化 TERTが該 USP21 により脱 NEDD8化されると考えることができる。したがって、 USP21と NEDD8化 T ERTとの結合として、例えば、 USP21またはその一部分と NEDD8化 TERTを構成 する TERTまたはその一部分との結合を例示できる。
[0073] USP21と TERTとの結合を阻害するまたは USP21と NEDD8化 TERTとの結合 を阻害することにより、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化が阻害され る。その結果、プロテアソーム依存的な NEDD8化 TERTの分解が促進される。本促 進の結果、 TERTの分解が促進され、テロメレース活性が阻害される。
[0074] USP21と NEDD8化 TERTまたは TERTとの結合の検出は、免疫沈降法、ブルダ ゥン法、ツーハイブリッド法、ウェスタンブロット法および蛍光共鳴エネルギー転移法 等の自体公知の方法により、またはこれらの方法を組合わせて用いることにより実施 できる。 NEDD8化 TERTは、例えば、 NEDD8および TERTを細胞、例えば HEK2 93T細胞に一過性に発現させ、該細胞内の NEDD8化機構により NEDD8化 TER Tを生成させることにより取得できる。該細胞に含まれる NEDD8化 TERTの精製は、 例えば、該細胞の細胞溶解液から、抗 TERT抗体および抗 NEDD8抗体を用いた 免疫沈降法またはァフィ-ティクロマトグラフィー法等により実施できる。
[0075] USP21と NEDD8化 TERTまたは TERTとの結合の検出を実施するとき、 USP21 と NEDD8化 TERTとの結合に続く USP21による脱 NEDD8化反応の進行を阻害 するために、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性に必要な還元剤、例えば、ジチ オスレィトール(DTT)または βメルカプトエタノールを本結合反応液に混在させな!/ヽ ことが好ましい。または、 USP21の不活性化型変異体であって、 NEDD8化 TERT との結合能を有する USP21変異体を用いることも好ましい。このような変異体として、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性の活性部位である第 221番目のシスティンを 他のアミノ酸、例えば、ァラニンまたはセリン等に置換した USP21変異体を例示でき る。 [0076] USP21と NEDD8化 TERTまたは TERTとの結合の阻害の検出は、前記の USP 21と NEDD8化 TERTまたは TERTとの結合を検出する方法を用いて実施できる。 例えば、 USP21と NEDD8化 TERTまたは TERTとの結合により生じるシグナルが、 該結合を阻害する前と比較して低減または消失する場合には、該結合が阻害された と判定できる。
[0077] TERT, NEDD8、 USP21およびこれらの遺伝子は上記各配列で表されるものに 限らず、一般に知られている機能を有する限りにおいて、上記各配列において 1乃至 数個の変異を有する蛋白質および遺伝子であることができる。また、これらの機能を 促進するあるいは欠失させるといった所望の目的のために、上記各配列に 1乃至数 個の変異を導入した変異体を用いることもできる。
[0078] TERT, NEDD8および USP21をそれぞれコードする遺伝子は、例えば、各遺伝 子の発現が認められる適当な起源 (例えば、ヒト脳、腎臓、胸腺および乳癌由来の細 胞)から、自体公知のクロー-ング方法等を用いて容易に取得できる。これら遺伝子 によりコードされる蛋白質は、例えば、それぞれの遺伝子を用いた自体公知の遺伝 子工学的手法により取得できる。例えば、 NEDD8化 TERTは、 NEDD8化 TERT を発現させた細胞の細胞溶解物力ゝら抗 TERT抗体等を用いて得られる免疫沈降物 として調製できる。 NEDD8化 TERTの発現は、 NEDD8をコードするポリヌクレオチ ドを含有する組換えベクターおよび TERTをコードするポリヌクレオチドを含有する組 換えベクターを自体公知の方法により細胞に導入することにより実施できる。細胞内 で発現された NEDD8および TERTは、細胞に内在する NEDD8化機構により、該 細胞内において NEDD8化 TERTを生じる。 NEDD8化機構が存在する細胞として 、例えば HEK293T細胞を例示できる。
[0079] プロテアソームは、プロテアソームを有する細胞力も調製することができる。好ま ヽ 細胞として、例えば、ヒト赤血球を例示できる。プロテアノームの調製は、エマ一リッチ らの方法(「ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、 2000年、第 275卷、 p. 21140- 21148)に従って実 施できる。あるいは、巿販のプロテアソームを用いることもできる。例えば、ァフィ-テ ィーリサーチプロダクツ社 (AFFINITI Researc Products Ltd.、 UK)からプ 口テアソームを購入することができる。
[0080] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化の阻害は、例えば、 NEDD8化 T ERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物を用いることにより実施できる 。 USP21と NEDD8化 TERTとの結合の阻害は、例えば USP21と NEDD8化 TER Tとの結合を阻害する化合物を用いることにより実施できる。 USP21と TERTとの結 合の阻害は、例えば USP21と TERTとの結合を阻害する化合物を用いることにより 実施できる。ここでは、このような阻害効果を有する化合物 (後述する例として競合阻 害効果を有するポリペプチド類、抗体および低分子化合物等が挙げられる)を阻害 剤と称する。
[0081] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物として、例えば 、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性を低減し得る化合物が挙げられる。このよう な化合物として、システィンプロテアーゼ阻害剤を例示できる。システィンプロテア一 ゼ阻害剤は、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性を特異的に阻害する阻害剤が 好ましい。 USP21のシスティンプロテアーゼ活性を特異的に阻害するとは、 USP21 のシスティンプロテアーゼ活性を強く阻害する力 他の酵素の酵素活性を阻害しな いか、弱く阻害することを意味する。
[0082] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物として、例えば 、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物が挙げられる。 USP21と N EDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物として、好ましくは当該結合を特異的に 阻害する化合物、より好ましくは当該結合を特異的に阻害する低分子量化合物が挙 げられる。 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を特異的に阻害するとは、当該結合 を強く阻害するが、他の蛋白質間結合は阻害しないか、弱く阻害することを意味する
[0083] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物として、また、 例えば、 USP21と TERTとの結合を阻害する化合物が挙げられる。 USP21と TER Tとの結合を阻害する化合物として、好ましくは当該結合を特異的に阻害する化合物 、より好ましくは当該結合を特異的に阻害する低分子量ィ匕合物が挙げられる。 USP2 1と TERTとの結合を特異的に阻害するとは、当該結合を強く阻害するが、他の蛋白 質間結合は阻害しないか、弱く阻害することを意味する。
[0084] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物として、 USP21の不活性 化型変異体が挙げられる。好ましい不活性ィ匕型変異体として、 NEDD8化 TERTと の結合能を有する不活性ィ匕型変異体を例示できる。このような不活性ィ匕型変異体は 、野生型の USP21と拮抗して NEDD8化 TERTと結合することにより、 NEDD8化 T ERTに対する USP21の作用を阻害することができる。このような不活性化型変異体 は、後述の USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法を実 施することにより、同定できる。
[0085] USP21と TERTとの結合を阻害する化合物として、 USP21の不活性化型変異体 が挙げられる。好ましい不活性ィ匕型変異体として、 TERTとの結合能を有する不活性 化型変異体を例示できる。このような不活性ィ匕型変異体は、野生型の USP21と拮抗 して TERTと結合することにより、 TERTに対する USP21の作用を阻害することがで きる。このような不活性化型変異体は、後述の USP21と TERTとの結合を阻害する 化合物の同定方法を実施することにより、同定できる。
[0086] 「USP21の不活性ィ匕型変異体」とは、 USP21に、アミノ酸の欠失、置換、付加また は挿入等の変異が導入された USP21であって、 USP21 (野生型の USP21)と比較 してシスティンプロテアーゼ活性が減弱したまたは消失した USP21を意味する。 US P21の不活性ィ匕型変異体は、天然に存在するものであってもよぐ人工的に変異を 導入したものであってもよい。このような変異を導入する手段は自体公知であり、例え ばウルマーの技術(ウルマー(K. M. Ulmer)、「サイエンス(Science)」、 1983年、 第 219卷、 p. 666— 671)を利用して実施できる。変異部位は、例えば、 USP21の アミノ酸配列において USP21のシスティンプロテアーゼ活性に必要な部位を例示で きる。具体的には、本部位として、第 221番目のシスティンを例示できる。該システィ ンはシスティンプロテアーゼの活性部位であり、 USP21のシスティンプロテアーゼ活 性に必須なアミノ酸残基である(非特許文献 9)。
[0087] USP21の不活性化型変異体 (以下、不活性ィ匕型 USP21と称することがある)と N EDD8化 TERTとの結合は、前記 USP21と NEDD8化 TERTとの結合の検出方法 と同様の方法により検出できる。 [0088] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物として、 USP21と NEDD8 ィ匕 TERTとが結合する部位のアミノ酸配列からなるポリペプチドを例示できる。 USP2 1と TERTとの結合を阻害する化合物として、 USP21と TERTとが結合する部位のァ ミノ酸配列力もなるポリペプチドを例示できる。このようなポリペプチドは、蛋白質間の 結合を競合的に阻害することができる。このようなポリペプチドは、 USP21または TE RTのアミノ酸配列から設計し、自体公知のペプチド合成法により合成したものから、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合または USP21と TERTとの結合を阻害するも のを選択することにより得ることができる。このように特定されたポリペプチドに、 1乃至 数個のアミノ酸の欠失、置換、付加または挿入等の変異を導入したものも本発明の 範囲に包含される。このような変異を導入したポリペプチドは、 USP21と NEDD8ィ匕 TERTとの結合または USP21と TERTとの結合を阻害するものが好ましい。変異を 有するポリペプチドは天然に存在するものであってよぐまた人工的に変異を導入し たものであってもよい。このような変異を導入する手段は自体公知であり、例えばウル マーの技術(ウルマー(K. M. Ulmer)ゝ 「サイエンス(Science)」、 1983年、第 219 卷、 p. 666— 671)を利用して実施できる。このような変異の導入において、当該ポリ ペプチドの基本的な性質 (物性、機能または免疫学的活性等)を変化させな 、と 、う 観点から、例えば、同族アミノ酸 (極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親 水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸および芳香族アミノ酸等)の間で の相互の置換は容易に想定される。さらに、これら利用できるポリペプチドは、その構 成ァミノ基またはカルボキシル基等を、例えばアミドィ匕修飾する等、機能の著しい変 更を伴わない程度に改変することができる。
[0089] 上記ポリペプチドは、ペプチド化学において知られる一般的な方法で製造できる。
例えば、成書(「ペプチド合成」、丸善株式会社、 1975年および「ペプチド シンテシ ス(Peptide Synthesis)」、インターサイエンス (Interscience)、ニューヨーク(Ne w York) , 1996年)に記載の方法を例示できる力 これらに限らず公知の方法が広 く利用できる。具体的には、通常の液相法および固相法によるペプチド合成法、例え ば Fmoc法等を挙げることができる。または市販のアミノ酸合成装置を用いてぺプチ ドを製造することができる。あるいは遺伝子工学的手法によりペプチドを取得すること もできる。例えば目的とするポリペプチドをコードする遺伝子を宿主細胞中で発現で きる組換え発現ベクターを作成し、これを適当な宿主細胞、例えば大腸菌にトランス フエクシヨンして形質転換した後に該形質転換体を培養し、次 ヽで得られる培養物か ら目的とするポリペプチドを回収することにより製造することができる。
[0090] USP21と NEDD8化 TERTとの結合の阻害は、 USP21または NEDD8化 TERT を認識する抗体であって、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する抗体を用 いることによつても実施できる。かかる抗体は、 USP21または NEDD8化 TERT自体 、またはこれら蛋白質の断片、好ましくは USP21と NEDD8化 TERTとが結合する 部位のアミノ酸配列力 なるポリペプチドを抗原として自体公知の抗体作製法により 得ることができる。
[0091] USP21と TERTとの結合の阻害は、 USP21または TERTを認識する抗体であつ て、 USP21と TERTとの結合を阻害する抗体を用いることによつても実施できる。か 力る抗体は、 USP21または TERT自体、またはこれら蛋白質の断片、好ましくは US P21と TERTとが結合する部位のアミノ酸配列力もなるポリペプチドを抗原として自体 公知の抗体作製法により得ることができる。
[0092] USP21と NEDD8化 TERTとの結合の阻害は、また、 USP21の発現を阻害する 化合物によって実施することができる。 USP21の発現を阻害する化合物として、 US P遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチドを例示できる。また、 USP21の発現を RN A干渉の手法により低下または消失させ得る siRNA (small interfering RNA)も USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物として例示できる。
[0093] USP21と TERTとの結合の阻害は、また、 USP21の発現を阻害する化合物によ つて実施することができる。 USP21の発現を阻害する化合物として、 USP遺伝子の アンチセンスオリゴヌクレオチドを例示できる。また、 USP21の発現を RNA干渉の手 法により低下または消失させ得る siRNA (small interfering RNA)も USP21と T ERTとの結合を阻害する化合物として例示できる。
[0094] 本発明の別の一態様は、本発明に係る TERTの分解促進方法を用いることを特徴 とする、テロメレース活性阻害方法に関する。
[0095] 「テロメレース活性阻害」とは、テロメレースを構成する TERTが分解された結果、 T ERTの分解前と比較して、テロメレース活性が低下するまたは消失することを意味す る。テロメレースは、铸型となる RNA分子であるテロメレース RNAと触媒サブユニット である TERTからなるリボ核蛋白質である。本発明においては、 TERTの NEDD8ィ匕 および NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を介した、プロテアソーム依 存的な TERTの分解制御機構が存在し、この TERT分解制御機構により細胞内のテ ロメレース活性が調節されている可能性を見出した。一方、 TERT遺伝子を発現して おらず TR遺伝子のみを発現している SaOS2細胞(ヒト骨肉種細胞)は、テロメレース 活性を有さないことが知られている。このことから、テロメレース活性は、 TERT量によ り調節されていると考えることができる。したがって、本発明に係る TERTの分解促進 方法を用い、細胞内の TERT量を低減させることにより、テロメレース活性を阻害する ことができる。
[0096] 本発明の別の一態様は、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物 の同定方法に関する。本化合物の同定方法は、自体公知の医薬品スクリーニングシ ステムを利用して実施できる。例えば、調べようとする化合物(以下、被検化合物と称 する)と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTとの相互作用を可能にする条件を 選択し、当該条件下で、被検化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTとを 接触させ、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を検出することができるシグナルお よび Zまたはマーカーを使用する系を用いて、このシグナルおよび Zまたはマーカ 一の存在若しくは不存在または変化を検出することにより、 USP21と NEDD8化 TE RTとの結合を阻害する化合物を同定できる。
[0097] さらに、本発明の別の一態様は、 USP21と TERTとの結合を阻害する化合物の同 定方法に関する。本化合物の同定方法は、自体公知の医薬品スクリーニングシステ ムを利用して実施できる。例えば、被検化合物と USP21および Zまたは TERTとの 相互作用を可能にする条件を選択し、当該条件下で、被検化合物と USP21とおよ び Zまたは TERTとを接触させ、 USP21と TERTとの結合を検出することができるシ グナルおよび Zまたはマーカーを使用する系を用いて、このシグナルおよび Zまた はマーカーの存在若しくは不存在または変化を検出すること〖こより、 USP21と TER Tの結合を阻害する化合物を同定できる。 [0098] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法において、被 検化合物を USP21および Zまたは NEDD8化 TERTと予め接触させ、その後に US P21と NEDD8化 TERTとの結合反応を行なうことも可能であり、または被検化合物 をこれらの結合反応に共存させることも可能である。被検化合物と USP21および Z または NEDD8化 TERTとの相互作用を可能にする条件は、インビトロのものであつ てよぐインビボ(in vivo)のものであってもよい。例えば TERTの発現またはテロメレ ース活性が認められた真核細胞または培養細胞株を用いることができる。また、 USP 21と NEDD8化 TERTとを共発現させた細胞を用いることもできる。細胞における発 現は、 USP21をコードするポリヌクレオチドを含む適当なベクター、 TERTをコードす るポリヌクレオチドを含む適当なベクターおよび NEDD8をコードするポリヌクレオチド を含む適当なベクターとを用いて慣用の遺伝子工学的手法でこれらベクターを細胞 にトランスフエクシヨンすることにより達成できる。
[0099] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法において、例 えば USP21と NEDD8化 TERTとの結合により生じるシグナルまたは該結合のマー カー力 被検化合物を USP21および Zまたは NEDD8化 TERTと接触させたときに 低下あるいは消失する等の変化を示す場合、当該被検化合物は USP21と NEDD8 化 TERTとの結合を阻害すると判定できる。 USP21と NEDD8化 TERTとの結合は 、簡便には、これら蛋白質の結合の存在若しくは不存在の検出および Zまたは結合 量の変化の測定により判定できる。これら蛋白質の結合の検出は、自体公知の蛋白 質の検出方法、例えばウェスタンプロット法等を用いて実施できる。
[0100] USP21と TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法において、被検化合物を USP21および Zまたは TERTと予め接触させ、その後に USP21と TERTとの結合 反応を行なうことも可能であり、または被検化合物をこれらの結合反応に共存させる ことも可能である。被検化合物と USP21および Zまたは TERTとの相互作用を可能 にする条件は、インビトロのものであってよぐインビボのものであってもよい。例えば TERTの発現またはテロメレース活性が認められた真核細胞または培養細胞株を用 いることができる。また、 USP21と TERTとを共発現させた細胞を用いることもできる 。細胞における発現は、 USP21をコードするポリヌクレオチドを含む適当なベクター および TERTをコードするポリヌクレオチドを含む適当なベクターを用いて慣用の遺 伝子工学的手法でこれらベクターを細胞にトランスフエクシヨンすることにより達成でき る。
[0101] USP21と TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法において、例えば USP21 と TERTとの結合により生じるシグナルまたは該結合のマーカー力 被検化合物を U SP21および Zまたは TERTと接触させたときに低下あるいは消失する等の変化を 示す場合、当該被検化合物は USP21と TERTとの結合を阻害すると判定できる。 U SP21と TERTとの結合は、簡便には、これら蛋白質の結合の存在若しくは不存在の 検出および Zまたは結合量の変化の測定により判定できる。これら蛋白質の結合の 検出は、自体公知の蛋白質の検出方法、例えばウェスタンプロット法等を用いて実 施できる。
[0102] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法は、例えば、 G ST融合 USP21と NEDD8化 TERTとをインビトロで反応させて、グルタチオン榭脂 を用 、たプルダウン法により両蛋白質の結合を検出する試験系を用 、て実施できる 。両蛋白質の結合は、ウェスタンプロット法等を用いて検出できる。
[0103] このような試験系において、 USP21と NEDD8化 TERTとが結合した後、 USP21 のシスティンプロテアーゼ活性による NEDD8化 TERTからの NEDD8の遊離を抑 制または停止するために、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性に必要な還元剤、 例えば、ジチオスレィトール(DTT)または βメルカプトエタノールを試験系に混在さ せないことが好ましい。または、 USP21の不活性ィ匕型変異体であって、 NEDD8ィ匕 TERTとの結合能を有する USP21変異体を用いることも好ましい。このような変異体 として、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性の活性部位である第 221番目のシス ティンを他のアミノ酸、例えば、ァラニンまたはセリン等に置換した USP21変異体を 例示できる。
[0104] このような試験系において、被検化合物を共存させたときに検出される両蛋白質の 結合の量が、共存させないときに検出される結合の量と比較し、低減または消失する 場合には、被検化合物は該結合を阻害すると判定できる。
[0105] 本発明において、 USP21と TERTが結合することを明らかにした(実施例 2参照)。 さらに、 NEDD8化 TERTが USP21により脱 NEDD8化されることを確認した(実施 例 3参照)。このことから、 USP21が TERTと結合した後、該 TERTが細胞内の NED D8化機構により NEDD8化され、その結果生成した NEDD8化 TERTが該 USP21 により脱 NEDD8化されると考えることができる。したがって、 USP21と TERTとの結 合阻害により、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害することができると考える 。よって、 NEDD8化 TERTの代わりに TERTを用いて本同定方法を実施することも できる。
[0106] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法は、例えば、上 述の USP21と TERTとの結合の測定方法を利用して実施できる。具体的には、適当 な動物細胞に、標識物質で標識ィ匕した USP21と該標識物質とは別の標識物質で標 識ィ匕した TERTとを発現させて得られた細胞を用いて細胞内における結合反応を検 出する試験系(実施例 2参照)を用いて実施できる。このような試験系における USP2 1と TERTとの結合の検出は、免疫沈降法やウェスタンブロッテイング等の公知方法 で実施できる。このような試験系に被検化合物を共存させたとき、被検化合物の非共 存下における結果と比較して、結合する蛋白質量が減少するあるいは結合が検出さ れなくなる場合、該被検化合物は USP21と TERTとの結合および USP21と NEDD 8化 TERTとの結合を阻害すると判定できる。
[0107] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法は、また、 GS T融合 USP21と TERTとをインビトロで反応させて、ダルタチオン榭脂を用いたプル ダウン法により両蛋白質の結合を検出する試験系(実施例 2参照)を用いて実施でき る。このような試験系における GST融合 USP21と TERTとの結合の検出は、(i)TE RTを予め標識物質で標識しておき、 (ii) GST融合 USP21と TERTとの結合反応を 行い、(iii)ダルタチオンセファロースと反応生成物を混合し、(iv) GST融合 USP21 と TERTの複合体を分画し、その後、(V)該複合体に含まれる標識物質を検出するこ とにより実施できる。標識物質は、一般に蛋白質の検出に使用されている標識物質 であればいずれも使用できる。例えば、 35s等の放射性同位体等が好ましく例示でき る。このような試験系に被検化合物を共存させたときに検出される標識物質の量が、 被検化合物の非共存下において検出される標識物質の量と比較して低減するまた は消失する場合、該被検化合物は USP21と TERTとの結合および USP21と NED D8化 TERTとの結合を阻害すると判定できる。
[0108] USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法に用いる試験 系として、公知のツーハイブリッド (two— hybrid)法を用いることもできる。例えば、 U SP21と DNA結合蛋白質を融合蛋白質として発現するプラスミド、 TERTと転写活性 化蛋白質を融合蛋白質として発現するプラスミド、および適切なプロモーター遺伝子 に接続したレポーター遺伝子を含有するプラスミドを酵母、真核細胞等に導入し、被 検化合物を共存させた場合のレポーター遺伝子の発現量を被検化合物非存在下で のレポーター遺伝子の発現量とを比較することにより達成できる。被検化合物を共存 させた場合のレポーター遺伝子の発現量が被検化合物非存在下でのレポーター遺 伝子の発現量と比較して減少する場合、該被検化合物は USP21と TERTとの結合 および USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する作用を有すると判定できる。 レポーター遺伝子として、 lacZを例示できる。
[0109] 本発明の別の一態様は、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害 する化合物の同定方法に関する。本化合物の同定方法は、自体公知の医薬品スクリ 一-ングシステムを利用して実施できる。例えば、調べようとする化合物(以下、被検 化合物と称する)と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTとの相互作用を可能に する条件を選択し、当該条件下で、被検化合物と USP21および Zまたは NEDD8 化 TERTとを接触させ、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を検出する ことができるシグナルおよび Zまたはマーカーを使用する系を用いて、このシグナル および Zまたはマーカーの存在若しくは不存在または変化を検出することにより、 N EDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物を同定できる。
[0110] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法に おいて、被検化合物を USP21と NEDD8化 TERTと予め接触させ、その後に NED D8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化反応を行なうことも可能であり、または被 検化合物を該反応に共存させることもできる。被検化合物と USP21と NEDD8化 TE RTとの相互作用を可能にする条件は、インビトロのものであってよぐインビボのもの であってもよ 、。例えば TERTの発現またはテロメレース活性が認められた真核細胞 または培養細胞株を用いることができる。また、 USP21と NEDD8化 TERTとを共発 現させた細胞を用いることもできる。細胞における発現は、 USP21をコードするポリヌ クレオチドを含む適当なベクター、 TERTをコードするポリヌクレオチドを含む適当な ベクターおよび NEDD8をコードするポリヌクレオチドを含む適当なベクターとを用い て慣用の遺伝子工学的手法でこれらベクターを細胞にトランスフエクシヨンすることに より達成できる。
[0111] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法に おいて、例えば NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8ィ匕により生じるシグナ ルまたは該脱 NEDD8化のマーカー力 被検化合物を USP21および Zまたは NE DD8化 TERTと接触させたときに低下あるいは消失する等の変化を示す場合、当該 被検化合物は NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定で きる。
[0112] 本発明において、 USP21が TERTと結合した後、該 TERTが細胞内の NEDD8 化機構により NEDD8化され、その結果生成した NEDD8化 TERTが該 USP21によ り脱 NEDD8化され、 NEDD8化 TERT量が減少すると考えることができることを示し た。 NEDD8化 TERTが USP21により脱 NEDD8化されてその量が減少するのに 伴い、 TERT量は増加すると考えられる。したがって、 NEDD8化 TERTの USP21 による脱 NEDD8化および該脱 NEDD8化の阻害を、 NEDD8化 TERT量および T ERT量により検出することができる。よって、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 N EDD8化を阻害する化合物の同定方法を、 NEDD8化 TERT量および Zまたは TE RT量を指標として実施することができる。 NEDD8化 TERT量を指標として本同定 方法を実施する場合、被検化合物を用いる前と比較して、被検化合物により NEDD 8化 TERT量が増大または発生するときには、該被検化合物は NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定できる。また、 TERT量を指標として本 同定方法を実施する場合、被検化合物により TERT量が減少または消失するとき〖こ は、該被検化合物は NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると 判定できる。
[0113] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法は 、例えば、 USP21、 TERTおよび NEDD8を一過性に共発現させた細胞の細胞溶 解液から、ウェスタンブロッテイングにより NEDD8化 TERTおよび TERTを検出する 試験系を用いて実施できる(実施例 3参照)。このような試験系における NEDD8化 T ERTおよび TERTの検出は、 NEDD8および/または TERTを予め標識しておき、 その標識物質を検出することにより実施できる。例えば、標識物質として HA—tag、 FLAG— tag等を好ましく例示できる。このような試験系において、被検化合物を共 存させたときに検出される NEDD8化 TERTの量力 共存させないときに検出される NEDD8化 TERTの量と比較して、増大または発生する場合には、被検化合物は N EDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定できる。また、被検 化合物を共存させたときに検出される TERTの量が、共存させないときに検出される TERTの量と比較して、減少または消失する場合にも、被検化合物は NEDD8化 TE RTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定できる。なお、被検化合物を共 存させたときに検出される NEDD8化 TERTおよび TERTの総量が、被検化合物を 共存させな 、ときに検出されるこれらの総量と実質的に等 、場合が好ま 、。
[0114] 本発明においては、 USP21が TERTと結合した後、該 TERTが細胞内の NEDD 8化機構により NEDD8化され、その結果生成した NEDD8化 TERTが該 USP21に より脱 NEDD8化されることにより、 NEDD8化 TERT量が減少する一方、 TERT量 が増加すると考えることができることを示した。また、 TERTは NEDD8化されることに よりプロテアソームにより分解されると考えることができることを示した。 TERTがテロメ レースの触媒サブユニットであることを考慮すると、 TERT量の増加によって、細胞核 内テロメレース活性が上昇すると考えることができる。したがって、 NEDD8化 TERT の脱 NEDD8化、該脱 NEDD8化の阻害を、テロメレース活性により検出することが できる。よって、 NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物 の同定方法を、テロメレース活性を指標として実施することができる。テロメレース活 性を指標として本同定方法を実施する場合、被検化合物を用いる前と比較して、被 検化合物によりテロメレース活性が減少または消失するときには、該被検化合物は N EDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定できる。
[0115] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法は 、例えば、 USP21および TERTを一過性に共発現させた細胞の核抽出液が示すテ ロメレース活性を自体公知のテロメレース活性測定方法により測定する試験系を用い て実施できる(実施例 6参照)。テロメレース活性測定方法として、トラップ (TRAP)法 を好ましく例示できる。用いられる細胞として、内在性テロメレース活性を有さない動 物細胞を好ましく例示できる。より好ましくは SaOS2細胞 (ヒト骨肉腫細胞株)を用い ることができる。このような試験系において、被検化合物を共存させたときに検出され るテロメレース活性力 共存させないときに検出されるテロメレース活性と比較して、 低減または消失する場合には、被検化合物は NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定できる。
[0116] NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法は 、例えば、 USP21を一過性に発現させた細胞の核抽出液が示すテロメレース活性を 自体公知のテロメレース活性測定方法により測定する試験系を用いて実施できる(実 施例 7参照)。テロメレース活性測定方法として、トラップ (TRAP)法を好ましく例示で きる。用いられる細胞として、内在性テロメレース活性を有する動物細胞を好ましく例 示できる。より好ましくは HEK293T細胞を用いることができる。このような試験系にお いて、被検化合物を共存させたときに検出されるテロメレース活性が、共存させないと きに検出されるテロメレース活性と比較して、低減または消失する場合には、被検化 合物は NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害すると判定できる。
[0117] TERT, NEDD8および USP21は、これらを遺伝子工学的手法で発現させた細胞 や生体試料力 調製したもの、無細胞系合成産物または化学合成産物であってよく 、あるいはこれらからさらに精製されたものであってもよい。また、 TERT、 NEDD8お よび USP21を遺伝子工学的手法で発現させた細胞を使用することもできる。 TERT 、 NEDD8および USP21は、その性質や機能に影響がない限りにおいて、 N末端側 や C末端側に別の蛋白質やポリペプチド、例えば GST、 β ガラクトシダーゼ、 IgG 等の免疫グロブリン Fc断片、 His— tagゝ Myc— tag、 HA— tagゝ FLAG— tagゝまた は Xpress— tag等の tagペプチド類を、直接的にまたはリンカ一ペプチド等を介して 間接的に、遺伝子工学的手法等を用いて付加してもよい。 TERT, NEDD8および USP21の性質や機能として、例えば、 TERTと NEDD8の結合、 TERTと USP21 の結合、 NEDD8化 TERTと NUB1の結合、 NEDD8化 TERTと S5aの結合、 NED D8化 TERTと USP21の結合、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性、 NEDD8ィ匕 TERTの USP21による脱 NEDD8化等が挙げられる。
[0118] 被検化合物は、例えばィ匕学ライブラリーや天然物由来の化合物、または TERT、 U SP21および NEDD8の一次構造や立体構造に基づいてドラッグデザインして得ら れたィ匕合物等が挙げられる。あるいは、 TERTと USP21の結合部位のアミノ酸配列 力 なるポリペプチドの構造に基づいてドラッグデザインして得られたィ匕合物等も被 検化合物として好適である。
[0119] 本発明の別の一態様は、 TERTの分解を促進する化合物を含んでなるテロメレー ス活性阻害剤に関する。本テロメレース活性阻害剤は、 NEDD8化 TERTの USP2 1による脱 NEDD8化を阻害する化合物を含んでなるテロメレース活性阻害剤であり 得る。本テロメレース活性阻害剤は、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害す る化合物を含んでなるテロメレース活性阻害剤であり得る。本テロメレース活性阻害 剤は、 USP21と TERTとの結合を阻害する化合物を含んでなるテロメレース活性阻 害剤であり得る。
[0120] 本発明の別の一態様は、上記化合物および上記テロメレース活性阻害剤を含む医 薬組成物に関する。上記化合物および上記テロメレース活性阻害剤は、生物学的有 用性と毒性のバランスを考慮して選別することにより、医薬組成物として調製できる。 医薬組成物の調製において、これら化合物や阻害剤は、単独で使用することもでき るし、複数を組合わせて使用することもできる。上記テロメレース活性阻害剤および医 薬糸且成物は、テロメレースの作用やその活性の亢進に起因する疾患の防止剤および Zまたは治療剤として使用できる。また、上記テロメレース活性阻害剤および医薬組 成物を用いて、このような疾患の防止方法および Zまたは治療方法を実施できる。こ のような疾患の防止方法および Zまたは治療方法は、また、上記テロメレース活性阻 害方法を用いることにより実施できる。テロメレース活性の亢進に起因する疾患として 、例えば癌疾患が挙げられる。すなわち、上記テロメレース活性阻害剤および上記医 薬組成物は、抗癌剤として用いることができる。また、上記テロメレース活性阻害剤、 上記医薬組成物、上記テロメレース活性阻害方法を用いて、テロメレース活性の亢 進に起因する疾患、例えば癌の防止方法および zまたは治療方法を実施できる。
[0121] USP21および NEDD8は、ヒト生体の様々な組織においてその発現が認められる
(ュビキタスな)蛋白質である。本実施例において、ヒト子宮がん組織由来細胞である HeLa細胞を用いて、本細胞において、 NEDD8化 TERTおよび TERTのプロテア ソーム依存的な分解機構が存在している可能性を示した。さら〖こ、 RT— PCR法を用 いて、本細胞における USP21の発現を検出した (実施例 8参照)。したがって、癌細 胞においても、 TERTの NEDD8化および NEDD8化 TERTの USP21による脱 NE DD8化を介した、プロテアソーム依存的な TERTの分解制御機構が存在し、この TE RT分解制御機構により癌細胞内のテロメレース活性が調節されていると考える。
[0122] テロメレースは腫瘍の種類に関わらず大多数の腫瘍にぉ 、てその活性が確認され ていることから、本医薬組成物は多様な癌細胞の増殖阻害に有効であると考える。し たがって、本医薬組成物を癌疾患に使用する場合、対象となる腫瘍の種類は特に限 定されず、固形腫瘍または非固形腫瘍のいずれにも適用できる。固形腫瘍または非 固形腫瘍の種類も特に限定されず、テロメレース活性を有するあらゆる種類の腫瘍 において適用できる。例えば、胃癌、食道癌、大腸癌、小腸癌、十二指腸癌、肺癌、 肝臓癌、胆嚢癌、脾臓癌、腎臓癌、膀胱癌、口腔癌、骨癌、皮膚癌、乳癌、子宮癌、 前立腺癌、脳腫瘍、神経芽腫等の固形腫瘍、あるいは白血病や悪性リンパ腫等の非 固形腫瘍等を挙げることができるが、本医薬組成物の適用対象はこれら疾患に限定 されない。
[0123] 本発明に係る疾患の防止剤および Zまたは治療剤は、上記化合物および上記阻 害剤のうち少なくともいずれか 1つを有効成分としてその有効量含む医薬として製造 できる。通常は、該有効成分に加えて 1種または 2種以上の医薬用担体を含む医薬 組成物として製造することが好ま 、。
[0124] 本発明に係る医薬製剤中に含まれる有効成分の量は、広範囲から適宜選択される 。通常、約 0. 00001〜70重量%、好ましくは 0. 0001〜5重量%程度の範囲とする のが適当である。
[0125] 医薬用担体は、製剤の使用形態に応じて一般的に使用される、充填剤、増量剤、 結合剤、付湿剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤および賦形剤等を例示できる。これらは得 られる製剤の投与形態に応じて適宜選択して使用される。
[0126] より具体的には、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコ ール、ポリビュルピロリドン、カルボキシビ-ルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性 デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ぺクチン、キサンタンガム、ァラビ ァゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリ コール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン 、マン-トール、ソルビトール、ラタトース等が挙げられる。これらは、本医薬組成物の 剤形に応じて適宜 1種類または 2種類以上を組合わせて使用される。
[0127] 所望により、通常の蛋白質製剤に使用され得る各種の成分、例えば安定化剤、殺 菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、界面活性剤、および pH調整剤等を適宜使用 することちでさる。
[0128] 安定化剤は、例えばヒト血清アルブミンや通常の L—アミノ酸、糖類、セルロース誘 導体等を例示できる。これらは単独でまたは界面活性剤等と組合わせて使用できる。 特にこの組合わせによれば、有効成分の安定性をより向上させ得る場合がある。 L— アミノ酸は、特に限定はなぐ例えばグリシン、システィン、グルタミン酸等のいずれで もよい。糖類も特に限定はなぐ例えばグルコース、マンノース、ガラクトース、果糖等 の単糖類、マン-トール、イノシトール、キシリトール等の糖アルコール、ショ糖、マル トース、乳糖等の二糖類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コンドロイチン硫 酸、ヒアルロン酸等の多糖類等およびそれらの誘導体等のいずれでもよい。セルロー ス誘導体も特に限定はなぐメチルセルロース、ェチルセルロース、ヒドロキシェチル セノレロース、ヒドロキシプロピノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレメチノレセノレロース、力 ルボキシメチルセルロースナトリウム等の!/、ずれでもよ!/、。
[0129] 界面活性剤も特に限定はなぐイオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤 のいずれも使用できる。界面活性剤には、例えばポリオキシエチレングリコールソル ビタンアルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ソルビタンモノ ァシルエステル系、脂肪酸グリセリド系等が包含される。
[0130] 緩衝剤は、ホウ酸、リン酸、酢酸、クェン酸、 ε アミノカプロン酸、グルタミン酸およ び Ζまたはそれらに対応する塩 (例えばそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム 塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)等を例示できる。
[0131] 等張化剤は、塩ィ匕ナトリウム、塩ィ匕カリウム、糖類、グリセリン等を例示できる。
[0132] キレート剤は、例えばェデト酸ナトリウム、クェン酸等を例示できる。
[0133] 本発明に係る医薬および医薬組成物は、溶液製剤として使用できる他に、これを凍 結乾燥ィ匕し保存し得る状態にした後、用時、水や生理的食塩水等を含む緩衝液等 で溶解して適当な濃度に調製した後に使用することもできる。
[0134] 医薬および医薬組成物の用量範囲は特に限定されず、含有される成分の有効性、 投与形態、投与経路、疾患の種類、対象の性質 (体重、年齢、病状および他の医薬 の使用の有無等)、および担当医師の判断等応じて適宜選択される。一般的には適 当な用量は、例えば対象の体重 lkgあたり約 0. 01 μ g乃至 lOOmg程度、好ましくは 約 0.: L g乃至 lmg程度の範囲であることが好ましい。し力しながら、当該分野にお いてよく知られた最適化のための一般的な常套的実験を用いてこれらの用量の変更 を行うことができる。上記投与量は 1日 1回乃至数回に分けて投与することができ、数 日または数週間に 1回の割合で間欠的に投与してもよ 、。
[0135] 本発明の医薬組成物を投与するときは、該医薬組成物を単独で使用してもよぐあ るいは目的の疾患の防止および Zまたは治療に必要な他の化合物または医薬と共 に使用してもよい。例えば、他のテロメレース活性阻害剤または抗腫瘍用医薬の有効 成分等を配合してもよい。
[0136] 投与経路は、全身投与または局所投与の!/、ずれも選択することができる。この場合 、疾患、症状等に応じた適当な投与経路を選択する。例えば、非経口経路として、通 常の静脈内投与、動脈内投与の他、皮下、皮内、筋肉内等への投与を挙げることが できる。あるいは経口経路で投与もすることもできる。さらに、経粘膜投与または経皮 投与も可能である。癌疾患に用いる場合は、腫瘍に注射等により直接投与することが 好ましい。
[0137] 投与形態は、各種の形態が目的に応じて選択できる。その代表的なものは、錠剤、 丸剤、散剤、粉末剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態や、水溶液製 剤、エタノール溶液製剤、懸濁剤、脂肪乳剤、リボソーム製剤、シクロデキストリン等 の包接体、シロップ、エリキシル等の液剤投与形態が含まれる。これらはさらに投与 経路に応じて経口剤、非経口剤(点滴剤、注射剤)、経鼻剤、吸入剤、経膣剤、坐剤 、舌下剤、点眼剤、点耳剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤等に分 類され、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形、調製することができる。
[0138] さらに本発明の一態様は、試薬キットに関する。本試薬キットは、 USP21、 USP21 をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび該 組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくともいずれか 1つと、 TERT、 TE RTをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよ び該組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくとも!/ヽずれか 1つと、 NEDD 8、 NEDD8をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えべク ターおよび該組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくともいずれカゝ 1つと を含んでなる試薬キットであり得る。好ましくは TERTの NEDD8化に必要な酵素、該 酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクター、該ベクターを含有する形質 転換体のうち少なくともいずれ力 1つを含む。また、本試薬キットは、 TERT, TERT をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび該 組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくともいずれか 1つと、 NEDD8、 N EDD8をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターお よび該組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくとも ヽずれか 1つと、プロテ ァノームとを含んでなる試薬キットであり得る。本試薬キットは、例えば本発明に係る 化合物の同定方法に使用できる。
[0139] USP21、 TERTおよび NEDD8は、上述の製造方法により取得できる。また、ポリ ヌクレオチド、組換えベクターおよび形質転換体は、上述の遺伝子工学的手法により 調製することができる。プロテアソームは、上述の製造方法により調製することができ るし、また、市販のプロテアソームを用いることもできる。本試薬キットは、上記同定方 法において用いるシグナルおよび Zまたはマーカー、緩衝液、並びに塩等、必要と される物質を含むことができる。さらに、安定化剤および Zまたは防腐剤等の物質を 含んでいてもよい。製剤化にあたっては、使用する各物質それぞれに応じた製剤化 手段を導入すればよい。
[0140] 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。 実施例 1
[0141] (TERTと相互作用する機能を有する蛋白質のインシリコでの探索)
テロメレースの触媒サブユニットである TERTと相互作用する機能を有する蛋白質 を、特許文献 1に記載の予測方法に従って予測した。すなわち、 TERTのアミノ酸配 列をある長さのオリゴペプチドに分解し、各オリゴペプチドのアミノ酸配列あるいはそ のアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を持った蛋白質をデータベース中で検索し、得 られた蛋白質と TERTとの間でローカルァライメントを行い、ローカルァライメントのス コアの高 、ものを TERTと相互作用すると予測した。
[0142] 解析の結果、 TERTと相互作用する機能を有すると予測される蛋白質として、 NED D8および USP21を見出した(それぞれ図 1 Aおよび図 1—B)。 NEDD8のァミノ 酸配列(配列番号 4)中には、 TERT由来のアミノ酸残基力もなるオリゴペプチド (AL RGSGA (配列番号 8)、 ARRRGG (配列番号 10)、 VSTLTD (配列番号 12)、 LL GASVLGL (配列番号 14) )と相同性のあるオリゴペプチド (ALRGGGG (配列番号 9)、 ALRGGG (配列番号 11)、 VKTLTG (配列番号 13)、 ILGGSVLHL (配列番 号 15) )が、存在することが分力つた(図 1— A)。 USP21のアミノ酸配列(配列番号 6 )中には、 TERT由来のアミノ酸残基カゝらなるオリゴペプチド (PRAPRCRA (配列番 号 16)、 HASGPRRR (配列番号 18)、 SLPLPKR (配列番号 20)、 GRTRGP (配 列番号 22)、 GRTRGPSDRG (配列番号 24)、 AAEHRL (配列番号 26)、 HRAW RT (配列番号 28)、 TSPLRD (配列番号 30) )と相同性のあるオリゴペプチド(PFA PRARS (配列番号 17)、 RTSGPRPR (配列番号 19)、 SLPIPKK (配列番号 21)、 GRTREP (配列番号 23)、 GRTSGPRPRG (配列番号 25)、 ASEHRL (配列番号 27)、 HRLGRT (配列番号 29)、 TRPLRD (配列番号 31) )が、存在することが分か つた(図 1 B)。
実施例 2
[0143] (TERTと USP21および NEDD8との結合)
TERTが USP21および NEDD8それぞれと結合するか否かを、細胞内共発現系 を用いてインビボで検討した。さらに、 TERTと USP21の結合を、プルダウン法によ るインビトロ結合試験により検討した。 [0144] <材料およびその調製 >
ヒト TERT cDNA、ヒト USP21 cDNAおよびヒト NEDD8 cDNAは、それぞれ ヒト胸腺 cDNA、ヒト腎臓 cDNAおよびヒト脳 cDNA (V、ずれも Clontech社製)力ら、 逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(以下、 RT— PCRと略称する)によりクローニング した。
[0145] 動物細胞用 TERT発現プラスミドは、ヒト TERT cDNAを動物細胞用発現べクタ 一 pCIneo (Promega社製)へ組込むことにより構築した。本プラスミドを、 pCIneo— TERTと呼称する。
[0146] 動物細胞用 N末端 FLAG— tag付加型 TERT発現プラスミドは、開始コドン直前に FLAG - tagコード配列を挿入したヒト TERT cDNAを pCI (Clontech社製)へ組 込むことにより構築した。本プラスミドを、 pCI— FLAG— TERTと呼称する。
[0147] 動物細胞用 N末端 HA— tag付加型 USP21発現プラスミドは、開始コドン直前に H A— tagコード配列を挿入したヒト USP21 cDNAを pCI (Clontech社製)へ組込む ことにより構築した。本プラスミドを、 pCI— HA— USP21と呼称する。
[0148] また、 USP21においてそのシスティンプロテアーゼ活性に必須な第 221番目のシ スティン (該システィンはシスティンプロテアーゼの活性部位である (非特許文献 9) ) をァラニンに置換した不活性ィ匕型ヒト USP21 (USP21C221A)の発現プラスミドを 構築した。具体的には、まず、 USP21遺伝子において該システィンをコードするコド ンをァラニンをコードするコドンに置換した cDNAを作成した (不活性ィ匕型ヒト USP2 1 cDNA)。次いで、開始コドン直前に HA— tagコード配列を挿入した該 cDNAを p CIへ組込むことにより動物細胞用 N末端 HA— tag付加型不活性ィ匕型 USP21発現 プラスミドを構築した。本プラスミドを、 pCI— HA— USP21C221Aと呼称する。
[0149] さらに、大腸菌用 N末端 GST融合 USP21発現プラスミドおよび大腸菌用 N末端 G ST融合不活性ィ匕型 USP21発現プラスミドを、ヒト USP21 cDNAおよび不活性ィ匕 型ヒト USP21 cDNAをそれぞれ pGEX— 4T(Amersham Biosciences社製)へ 組込むことにより構築した。これらプラスミドを、それぞれ PGEX—USP21および pG EX—USP21C221Aと呼称する。
[0150] 動物細胞用 N末端 HA— tag付加型 NEDD8発現プラスミドおよび動物細胞用 N末 端 FLAG— tag付加型 NEDD8発現プラスミドは、開始コドン直前にそれぞれ HA— tagコード配列および FLAG— tagコード配列を挿入したヒト NEDD8 cDNAを pCI (Clontech社製)へ組込むことにより構築した。これらプラスミドを、それぞれ pCI—H A— NEDD8および pCI— FLAG— NEDD8と呼称する。
<インビボ結合試験 (細胞内共発現 Z免疫沈降法) >
細胞数 4 X 105の HEK293T細胞を 5%COの存在下で 37°Cにてー晚培養した後
2
(直径 60mmシャーレ)、 2 μ gの pCI— FLAG— TERTを単独で、あるいは 2 μ gの ρ CI— HA— USP21または pCI— HA— NEDD8と共にフユ一ジーン 6 トランスフエク シヨン リエージェント(FuGENE6 Transfection Reagent、 Roche社製)を用い てトランスフエクシヨンした。 2日間培養後、細胞を回収し、 500 Lの細胞溶解バッフ ァー(Cell lysis buffer : 20mM Tris-HCl, pH7. 4/150mM NaCl/lmM エチレンジァミン四酢酸(EDTA) ZlmM エチレングリコールビス四酢酸(EGTA TritonX- 100/2. 5mM ピロリン酸ナトリウム(sodium pyrophosphat e) /lmM j8—グリセ口ホスフェート(j8— glycerophosphate) ZlmM Na VO
3 4
Zプロテアーゼ阻害剤カクテル(protease inhibitor cocktail) )に懸濁後、氷上 で 20分間放置した。その後、 4°Cにて 14, OOOrpmで 10分間の遠心処理を行い、上 清を回収した。得られた上清を細胞溶解物(cell lysate)として用いた。次に、 450 1の細胞溶解物に、予め 0. 1% 牛血清アルブミン(BSA)でブロッキング処理した 10 1の正常ゥサギ IgG結合ァガロース(normal rabbit IgG— agarose、 Sigma 社製)を加え、 4°Cにて 1時間転倒混和した後、遠心処理を行い、上清を回収した。 得られた上清に 10 1の抗 HA抗体結合ァガロース(anti— HA ( Y— 11 )— agarose 、 Santa cruz社製)をカ卩え、 4°Cにて一晩転倒混和した後、遠心処理によりビーズを 回収した。ビーズを 500 μ 1の細胞溶解バッファーで 4回洗浄した後、 30 μ 1の 2 X SD Sサンプルバッファー(125mM Tris-HCl, pH6. 8/4% ドデシル硫酸ナトリウ ム(SDS) Z20% グリセロール Ζθ. 01% ブロモフエノールブルー)を加え、 100 °Cで 5分間加熱後、その上清を 5— 20% SDS—ポリアクリルアミドゲル電気泳動(P AGE)により分離した。その後、抗 FLAG M2抗体 (Sigma社製)を用いてウェスタ ンブロッテイングを行い、共沈降した N末端 FLAG— tag付加型 TERT (以下、 FLA G— TERTと呼称する)を検出した。また、細胞溶解物中の TERTおよび USP21の 各蛋白質量を抗 FLAG抗体(Sigma社製)および抗 HA (Y— 11)抗体(Santa cm z社製)を用いたウェスタンブロッテイングによりそれぞれ測定した。なお、検出はィー シーェノレ ウェスタンブロッテイング ディテクシヨン キット(ECL western blottin g detection kit、 Amersham Biosciences社:^)を使用して 施した
[0152] <インビトロ結合試験(GST pull— down法) >
GST、 N末端 GST融合 USP21 (以下、 03丁ー113?21と呼称する)ぉょび?^末端 GST融合不活性化型 USP21 (以下、 GST— USP21C221Aと呼称する)は、 pGE X— 4T、 pGEX— USP21および pGEX— USP21C221Aを各々導入した大腸菌 Β L21株で誘導発現後、グルタチオンセファロース(Amersham Biosciences社製) で精製することにより得た。 TERTは、 pCIneo— TERTを铸型としてティーェヌティ 一 ティー 7 クイック カップノレド トランスクリプション Zトランスレーション システム( TNT T7 quick coupled transcription/ translation system、 Promega社 製)にて35 S—メチォニンを用いたインビトロ合成により得た。各 5 gの GST、 GST— USP21または GST— USP21C221Aと TERTを含むインビトロ合成反応液 20 μ 1を 終容量 500 1のバインディングバッファー(20mM Tris— HC1, pH8. 0/140m M NaCl/lmM EGTA、 ImM ジチオスレィトール(DTT) Zl% TritonX— 1 00)中にて混合後、氷上にて 1時間静置した。その後、 20 1のダルタチオンセファロ ース 4B (Glutathione sepharose 4B、 Amersham Biosciences干土製)を添刀口し 、 4°Cにて一晩転倒混和した後、遠心処理によりビーズを回収した。ビーズを 500 1 のバインディングバッファーで 4回洗浄した後、 20 μ 1の 2 X SDSサンプルバッファー (125mM Tris-HCl, pH6. 8/4% SDS/20% グリセロール Ζθ. 01% ブ ロモフエノールブルー)をカ卩え、 100°Cで 5分間加熱後、その上清を 5— 20% SDS — PAGEにより分離した。その後、 FLA3000 (Fuji film社製)を用いて TERTを検 出した。 SDS— PAGEによる TERT検出のコントロールとして、 35S—メチォニン標識 化した TERTを用いた。
[0153] <結果>
FLAG—TERTとN末端HA—tag付カ卩型USP21 (以下、 HA— USP21と呼称す る)とを一過性共発現させた培養細胞の細胞溶解物において、抗 HA抗体により HA — USP21の免疫沈降を行ったときに、抗 FLAG抗体で検出される蛋白質の共沈降 が認められられた(図 2のレーン 2 :下パネル)。共沈降した蛋白質は、 FLAG-TER Tであると考えられた。一方、 FLAG— TERT単独発現細胞では抗 HA抗体による F LAG—TERTの共沈降は認められなかった(図 2のレーン 1:下パネル)。培養細胞 における HA—USP21または FLAG—TERTの発現は、それぞれ抗 HA抗体また は抗 FLAG抗体を用いて確認した(図 2のレーン 1およびレーン 2の上パネルおよび 中パネル)。以上の結果から、 TERTと USP21が結合する可能性が示唆された。
[0154] GST pull— down法を用いたインビトロ結合試験において、 GST—USP21およ び GST— USP21C221Aそれぞれと TERTとの結合が認められた(それぞれ図 3の レーン 3および 4)。一方、 GSTと TERTとの結合は認められなかった(図 3のレーン 2
) o
[0155] この結果から、 TERTと USP21との結合は直接的な結合であることが明らかになつ た。さらに、不活性化型 USP21である USP21C221Aと TERTが結合することが明 らかになつた。
[0156] FLAG— TERTと N末端 HA— tag付カ卩型 NEDD8 (以下、 HA— NEDD8と呼称 する)とを一過性共発現させた培養細胞の細胞溶解物において、抗 HA抗体により H A— NEDD8の免疫沈降を行ったときに、抗 FLAG抗体で検出される蛋白質の共沈 降が認められた(図 4のレーン 2 :上パネル)。共沈降した蛋白質は、 FLAG -TERT であると考えられた。しかし、共沈降した蛋白質を示すシグナルは、 FLAG— TERT の分子量より高分子領域でも検出され、さらにそのシグナルはスメァ状であった。 NE DD8はュビキチン様蛋白質の一つであり、蛋白質の翻訳後修飾の一つとして蛋白 質に共有結合することが知られている。このことから、検出された高分子領域のスメァ 状のシグナルは、 1以上のHA—NEDD8にょり修飾されたFLAG—TERTでぁる可 能性が考えられた。一方、 FLAG— TERT単独発現細胞では抗 HA抗体による FLA G— TERTの沈降および高分子領域のスメァ状のシグナルは認められなかった(図 4 のレーン 1 :上パネル)。用いた細胞溶解物中の FLAG— TERTの量は、 FLAG—T ERTのみを発現させた細胞についても、 FLAG— TERTと HA— NEDD8を共発現 させた細胞についても、ほぼ同等であった(それぞれ図 4のレーン 1および 2 :下パネ ル)。
[0157] 以上の結果から、 TERTと NEDD8が結合することが確認された。さらに、 TERTに 1以上の NEDD8が結合することにより、 TERTが NEDD8化される可能性が示唆さ れた。
実施例 3
[0158] (TERTの NEDD8ィ匕と NEDD8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化)
実施例 2において、 TERTが NEDD8化される可能性が示唆された。そこで、脱ュ ビキチンィ匕 Z脱 NEDD8化プロテアーゼであることが報告されて 、る USP21 (非特 許文献 9)を用いて、 NEDD8化された TERTが USP21により脱 NEDD8化されるか 否かについて、実施例 2と同様の細胞内共発現 Z免疫共沈降法による結合試験によ り検討した。
[0159] <材料 >
TERT発現プラスミド、 N末端 FLAG— tag付加型 NEDD8発現プラスミド、 N末端 HA— tag付加型 USP21発現プラスミドおよび N末端 HA— tag付加型 USP21C22 1A発現プラスミドは、 V、ずれも実施例 2で作製した各発現プラスミドを用いた。
[0160] <方法 >
細胞数 4 X 105の HEK293T細胞を 5%COの存在下で 37°Cにてー晚培養した後
2
(直径 60mmシャーレ)、 pCIneo— TERT(2 g) pCI— FLAG— NEDD8 (2 g )および pCI— HA— USP21 (2 μ g)または pCI— HA— USP21C221A (2 g)を 様々な組合わせで FuGENE6 Transfection Reagent (Roche社製)を用いてト ランスフエクシヨンした。 2日間培養後、回収した細胞を 500 μ 1の RIPAバッファー(2 OmM Tris-HCl, pH7. 4/150mM NaCl/lmM EDTA/lmM EGTA /1% TritonX- 100/0. 5% デォキシコール酸ナトリウム Z〇. 1% SDS/2. 5mM ピロリン酸ナトリウム Zl mM βーグリセ口ホスフェート ZlmM Na VO /
3 4 プロテアーゼ阻害剤カクテル)に懸濁し、 10秒間の超音波処理後、氷上に 20分間放 置した。その後、 4°Cにて 14, OOOrpmで 10分間の遠心処理を行い、上清を回収し た。得られた上清を細胞溶解物として用いた。次に、 450 1の細胞溶解物に、予め 0 . 1% BS Aでブロッキング処理した 15 ΐの protein G - Sepharose (Amersham
Biosciences社製)をカ卩え、 4°Cにて 1時間転倒混和した後、遠心処理を行い、上 清を回収した。回収した上清に の抗 TERT(L— 21)抗体(Santa cruz社製) を加え、 4°Cにて 4時間転倒混和した。その後、 15 μ 1の protein G— Sepharoseを 加え、 4°Cにて一晩転倒混和した後、遠心処理によりビーズを回収した。ビーズを 50 0 μ 1の RIPA bufferで 4回洗浄した後、 30 μ 1の 2 X SDSサンプルバッファーを加 え、 100°Cで 5分間加熱後、その上清を 5— 20% SDS— PAGEにより分離した。そ の後、抗 FLAG M2抗体(Sigma社製)を用いたウェスタンブロッテイングにより N末 端 FLAG— tag付加型NEDD8 (以下、 FLAG— NEDD8と呼称する)により修飾さ れた TERTを検出した。細胞溶解物中の TERT、 USP21および不活性化型 USP2 1の各蛋白質量は、抗 TERT (L- 20)抗体および抗 HA (Y— 11)抗体( ヽずれも Sa nta cruz社製)を用いたウェスタンブロッテイングによりそれぞれ測定した。なお、検 出 ίま ECL western Diotung detection Kit (.Amersham Biosciences社製) を使用して実施した。
[0161] <結果 >
TERTと FLAG— NEDD8を一過性共発現させた培養細胞の細胞溶解物におい て、 1以上の FLAG— NEDD8により修飾された TERTと考えられるスメァ状のシグ ナルが高分子領域に検出された(図 5のレーン 3:上パネル)。 TERTのみまたは FL AG— NEDD8のみを発現させた培養細胞の細胞溶解物では、このようなシグナル は認められなかった(それぞれ図 5のレーン 1および 2 :上パネル)。これら結果から、 TERTが NEDD8化されることが明らかになつた。
[0162] 検出された高分子領域のスメァ状のシグナル、すなわち 1以上の FLAG— NEDD 8により修飾された TERTを示すシグナルは、 HA—USP21の共発現により顕著に 減少した(図 5のレーン 4 :上パネル)。このようなシグナルの減少は HA—USP21の 代わりに不活性ィ匕型 USP21である HA— USP21C221Aを共発現させたときには 認められなかった(図 5のレーン 5:上パネル)。用いた細胞溶解物中の TERTの量は 、 TERTのみを発現させた細胞、 TERTと FLAG— NEDD8を発現させた細胞、 TE RT、 FLAG— NEDD8および HA— USP21または HA— USP21C221Aを共発現 させた細胞のいずれの細胞についても、ほぼ同等であった(それぞれ図 5のレーン 1 、 3、 4および 5 :中パネル)。用いた細胞溶解物中で HA—USP21または HA—US P21C221 Aが発現されていることも確認された(図 5のレーン 4および 5:下パネル)。
[0163] 以上の結果から、 NEDD8化された TERTが USP21により脱 NEDD8化されること が明らかになった。また、 NEDD8化された TERTは不活性化型 USP21 (USP21C 221 A)によっては脱 NEDD8化されないことが判明した。
実施例 4
[0164] (TERTのプロテアソーム依存的な分解)
NEDD8はュビキチン様蛋白質の一つであり、蛋白質の翻訳後修飾の一つとして 蛋白質と共有結合することが知られている。 NEDD8化される蛋白質としては複合体 型ュビキチンリガーゼの構成蛋白質の一つである Cullinファミリー蛋白質のみが唯 一報告されている(非特許文献 5および 6)。また、 Cullinの NEDD8化を介したュビ キチンリガーゼ活性調節機構の存在が示唆されている。一方、ュビキチン化された蛋 白質はプロテアソーム依存的な分解を受けることが知られており、ュビキチンィ匕は蛋 白質の安定性の調節に関与していると考えられている(非特許文献 5)。 NEDD8は 一次構造および立体構造レベルにおいてュビキチンと非常に高い相同性を有して いる。したがって、ュビキチン化の場合と同様に、蛋白質の NEDD8ィ匕がプロテアソ ーム依存的な蛋白質分解のシグナルとして働 、て 、る可能性が考えられる(非特許 文献 5)。すなわち、 TERTの NEDD8化修飾および USP21による脱 NEDD8ィ匕に よる TERTの分解制御機構が存在している可能性が考えられる。そこで、 TERTがプ 口テアソーム依存的に分解される力否かについて検討した。具体的には、以下に示 すように、 HeLa細胞への TERT—過性発現系を用いて、該細胞内の TERT量に対 するプロテアソーム阻害剤 (MG132)の影響について検討した
[0165] <材料 >
TERT発現プラスミドは実施例 2で構築した発現プラスミドを用いた。
[0166] <方法 >
細胞数 8 X 104Zwell(12ゥエルプレート)の HeLa細胞を 5%CO存在下で 37°C
2
にてー晚培養した後、 1 gの pCIneo— TERTを FuGENE6 Transfection Rea gent (Roche社製)を用いてトランスフエクシヨンした。 48時間培養後、プロテアソー ム阻害剤である MG— 132 (Calbiochem社製)を終濃度 25 μ Μとなるように培地に 添加し、さらに 24時間培養した後、細胞を回収した。コントロールとして、 MG— 132 の代わりに等量のジメチルスルフオキサイド(DMSO)を培地に添加して同様に培養 した細胞を用いた。回収した細胞を 60 μ Lの RIPAバッファー(実施例 3に記載の RI ΡΑバッファーと同組成)に懸濁し、 10秒間の超音波処理後、氷上に 20分間放置し た。その後、 4°Cにて 14, OOOrpmで 10分間の遠心処理を行い、上清を回収した。 得られた上清を細胞溶解物として用いた。次に、細胞溶解物を 5— 20% SDS -P AGEにより分離した後、抗 TERT(L— 20)抗体 (santa cruz社製)を用いたウェス タンブロッテイングにより TERTを検出した。また、内在性コントロール蛋白質として細 胞溶解物中の j8—チューブリン(j8— tubulin)を抗 j8—tubulin (H— 235)抗体(s anta cruz社製)を用いたウェスタンブロッテイングにより検出した。検出は ECL we stern blotting detection kit (Amersham Biosciences千土:^) 使用して 施 した。
[0167] <結果 >
MG132を添加した細胞の細胞溶解物において(図 6のレーン 2:上パネル)、 MG 132を添カ卩しなかった細胞(図 6のレーン 1:上パネル)の細胞溶解物と比較して、 TE RT量の増加が認められた。なお、内在性蛋白質である j8— tubulinの量に変化は 認められなかった(図 6のレーン 1および 2 :下パネル)。これらの結果は、プロテアソ ーム阻害剤である MG 132の添カ卩により TERTのプロテアソーム依存的な分解が抑 制されたことを示す。すなわち、 TERTがプロテアソーム依存的に分解されることが明 らかになつた。
実施例 5
[0168] (USP21による TERTの安定化)
USP21が NEDD8化された TERTを脱 NEDD8化することにより TERTのプロテ ァソーム依存的な分解が抑制される力否かについて検討した。この検討により、 USP 21による TERT安定ィ匕の可能性が明らかになる。具体的には、以下に示すように H EK293T細胞への TERT—過性発現系を用いて、該細胞内の TERT量に対する U SP21—過性過剰発現の影響について検討した。
[0169] <材料 >
TERT発現プラスミド、 N末端 HA— tag付加型 USP21発現プラスミドおよび N末 端 HA— tag付加型 USP21C221A発現プラスミドは、 、ずれも実施例 2で構築した 発現プラスミドを用いた。
[0170] <方法 >
細胞数 2 X 105Zwell (6ゥエルプレート)の HEK293T細胞を 5%CO存在下で 3
2
7°Cにてー晚培養した後、 1 μ gの pCIneo— TERTを、 1 μ gの pCI (空ベクター)、 p CI— HA— USP21または pCI— HA— USP21C221Aと共に FuGENE6 Transf ection Reagent (Roche社製)を用いてトランスフエクシヨンした。 2日間培養後、細 胞を回収し、 200 μ Lの RIPAバッファー(実施例 3に記載の RIPAバッファーと同組 成)に懸濁し、 10秒間の超音波処理後、氷上に 20分間放置した。その後、 4°Cにて 1 4, OOOrpmで 10分間の遠心処理を行い、上清を回収した。得られた上清を細胞溶 解物として用いた。次に、細胞溶解物を 5— 20% SDS— PAGEにより分離した後、 抗 TERT (L- 20)抗体(santa cruz社製)および抗 HA (Y— 11)抗体(santa cm z社製)を用いたウェスタンブロッテイングにより TERTおよび HA— USP21をそれぞ れ検出した。また、内在性コントロール蛋白質として細胞溶解物中の j8—tubulinを 抗 13 - tubulin (H— 235)抗体(santa cruz社製)を用いたウェスタンブロッテイン グにより検出した。検出は ECL western blotting detection kit (Amersham Biosciences社製)を使用して実施した。
[0171] <結果 >
HA—USP21と TERTを共発現させた細胞の細胞溶解物において(図 7のレーン 3:上パネル)、 TERT単独または TERTと HA—USP21C221Aとを発現させた細 胞の細胞溶解物と比較して(それぞれ図 7のレーン 2および 4:上パネル)、 TERT量 の増加が認められた。この結果から、 USP21の一過性過剰発現により TERTが安定 化される可能性が示唆された。内在性蛋白質である j8— tubulinの量に変化は認め られなかったことから(図 7のレーン 1から 4:下パネル)、上記 TERT量の増加がサン プル間の蛋白質量の差異によるものではないことは明らかである。用いた細胞溶解 物中における USP21および USP21C221Aの各蛋白質量は、ほぼ同等であった( 図 7のレーン 3および 4 :中パネル)。
[0172] 以上の結果から、 USP21が NEDD8化された TERTを脱 NEDD8化することによ り、 TERTのプロテアソーム依存的な分解が抑制されることが明らかになった。
実施例 6
[0173] (USP21による外来性 TERT依存的細胞内テロメレース活性の上昇)
実施例 2から 5の結果により、 TERTの NEDD8化および NEDD8化 TERTの USP 21による脱 NEDD8化を介した TERTの分解制御機構が存在して ヽる可能性が強く 示唆された。 TERTがテロメレースの触媒サブユニットであることから、このような TER Tの分解制御機構がテロメレースの活性調節に関与していると考えた。そこで、実際 に USP21がテロメレースの活性調節に関与している力否かについて検討を行った。 具体的には、以下に示すように、内在性テロメレース活性を有さない SaOS2細胞 (ヒ ト骨肉腫細胞株)への TERT—過性発現系を用いて、外来性 TERT発現依存的な テロメレース活性に対する USP21過剰発現の影響について検討した。 SaOS2細胞 は、 TERT遺伝子を発現しておらず hTR遺伝子のみを発現しているため、テロメレー ス活'性を有さない。
[0174] <材料 >
TERT発現プラスミド、 N末端 HA— tag付加型 USP21発現プラスミドおよび N末 端 HA— tag付加型 USP21C221A発現プラスミドは、 、ずれも実施例 2で構築した 発現プラスミドを用いた。
[0175] <方法 >
細胞数 4 X 105Zwell(6ゥエルプレート)の SaOS2細胞を 5%CO存在下で 37°C
2
にてー晚培養した後、 0. 8 gの pCIneo— TERTを、 2 μ gの pCI (空ベクター)、 pC I— HA— USP21または pCI— HA— USP21C221Aと共にリポフエクトァミン 2000 ( Lipofectamine 2000、 Invitrogen社製)を用いてトランスフエクシヨンした。 24時 間培養後、細胞を回収し、ェヌィ一 ピーィーアール ヌクレア一 アンド サイトプラ スミック ェクストラクシヨン リエージェンッ(NE— PER Nuclear and Cytoplasm ic Extraction Reagents、 Pierce社製)を用いて核抽出液を調製した。方法は添 付の説明書に従った。核抽出液中の蛋白質濃度をクマシ一 プラス— 200 プロティ ン アツセィ リエージェント (Coomassie Plus— 200 Protein Assay Reagent 、 Pierce社製)で測定後、蛋白質量 20ngの核抽出液を用いて TRAP反応を行った 。 TRAP反応は、 TRAPEZE XL Kit (Intergen社製)を用いて、添付の説明書に 従い実施した。具体的には、 30°Cにて 30分間テロメァ伸長反応を行った後、生成し たテロメアリピート配列の増幅を PCRにより行った。 PCRは、 94°Cで 30秒間、 59°C で 30秒間の反応の後、 72°Cで 1分間の反応を 36サイクル、最後に 55°Cで 25分間 の反応を行なうという条件で実施した。 PCRを行なった後、反応液の蛍光強度を蛍 光分光光度計 F - 2000 (Hitachi社製)を用 、て測定し、核抽出液中のテロメレース 活性を算出した。具体的には、蛍光強度の測定は、 PCRに用いたプライマーに標識 されたフルォレセイン (テロメレース反応産物の指標)およびスルホローダミン(内部標 準の指標)の各蛍光強度を、それぞれの測定波長(lEx=485nmZlEm= 535η mおよび lEx= 585nmZlEm=620nm)で計測することにより行なった。テロメレ ース活性は、内部標準との比( A FLZ ARL)により表した。また、調製した核抽出液 中の TERTおよび HA— USP21の各蛋白質量を、抗 TERT(L— 20)抗体(santa cruz社製)および抗 HA (Y- 11)抗体(santa cruz社製)を用いたウェスタンブロッ ティングによりそれぞれ測定した。
<結果 >
TERT遺伝子を発現しておらず TR遺伝子のみを発現して ヽるために細胞核内テ ロメレース活性が低い SaOS2細胞において、 TERT遺伝子を発現させることによりテ ロメレース活性が上昇した(図 8— A、カラム 2〜4)。さらに、 SaOS2細胞において、 T ERTと共に N末端 HA— tag付加型 USP21 (HA— USP21)を過剰発現させること により、 TERT単独を発現させたときと比較して、細胞核内テロメレース活性 (telome rase activity)が上昇した(図 8— A、カラム 3)。このような細胞核内テロメレース活 性の上昇は、不活性化型 USP21である HA—USP21C221Aの過剰発現では認 められなかった(図 8— A、カラム 4)。この結果から、 HA—USP21の過剰発現による 細胞核内テロメレース活性の上昇は、 USP21のシスティンプロテアーゼ活性依存的 であると考えられる。また、 TERTを一過性発現させた SaOS2細胞の核抽出液中の TERT量をウェスタンブロッテイングにより測定した結果、 HA—USP21過剰発現細 胞の核抽出液において、 HA— USP21を発現させな力つた細胞の核抽出液と比較 して、 TERT量の増加が認められた(図 8— Bのレーン 2 :上パネル)。 HA-USP21 C221A過剰発現細胞の核抽出液においては、 TERT量の増加は認められなかった (図 8— Bのレーン 3 :上パネル)。また、細胞における HA— USP21および HA— US P21C221Aの発現が確認された(それぞれ図 8— Bのレーン 2および 3 :下パネル) [0177] これら結果から、 USP21の過剰発現によるテロメレース活性の上昇は、 TERTの増 カロ〖こよるものであることが示唆された。この結果は、実施例 5に示した USP21による T ERTの安定ィ匕の結果と一致する。すなわち、 USP21による TERTの安定ィ匕により核 内テロメレース活性が上昇したと考えられる。
実施例 7
[0178] (USP21による細胞内在性テロメレース活性の上昇)
内在性テロメレース活性を有する HEK293T細胞を用いて、内在性テロメレース活 性に対する USP21過剰発現の影響について検討した。
[0179] <材料 >
N末端 HA - tag付加型 USP21発現プラスミドおよび N末端 HA - tag付加型 US P21C221A発現プラスミドは、 、ずれも実施例 2で構築した発現プラスミドを用いた
[0180] <方法 >
細胞数 1 X 105Zwell(6ゥエルプレート)の HEK293T細胞を 5%CO存在下で 3
2
7°Cにてー晚培養した後、: gの pCI (空ベクター)、 pCI— HA— USP21または pC I— HA— USP21C221Aを FuGENE6 Transfection Reagent (Roche社製;) を用いてトランスフエクシヨンした。 48時間培養後、細胞を回収し、 NE-PER Nucl ear and Cytoplasmic Extraction Reagents (Pierce社^) 用いて核抽出揿 を調製した。方法は添付の説明書に従った。核抽出液中の蛋白質濃度を Coomassi e Plus - 200 Protein Assay Reagent (Pierce社製)で測定後、蛋白質量 10n gの核抽出液を用いて TRAP反応を行ない、テロメレース活性を測定した。 TRAP反 応および核抽出液中のテロメレース活性の算出は、実施例 6に記載の方法と同じ方 法で実施した。
[0181] <結果 >
HA—USP21過剰発現により細胞核内テロメレース活性の上昇が認められた(図 9 、カラム 2)。不活性化型 USP21である HA— USP21C221Aの過剰発現ではテロメ レース活性の上昇は認められなかった(図 9、カラム 3)。これらの結果から、 HA-U SP21過剰発現によるテロメレース活性の上昇は、 USP21のシスティンプロテアーゼ 活性依存的であることが明らかになった(図 9)。すなわち、 USP21がそのシスティン プロテアーゼ活性依存的に細胞核内テロメレース活性を上昇させることが判明した。 実施例 8
[0182] (癌細胞株における USP21の発現)
ヒト子宮癌由来細胞株である HeLa細胞において USP21が発現しているか否かに ついてを RT— PCRにより検討した。
[0183] <方法 >
HeLa細胞から総 RNAを調製し、 USP21 mRNAを RT— PCRにより検出した。 具体的にはまず、 HeLa細胞から RNeasy Mini Kit (Qiagen社製)を用いて総 R NA 調製後、 Omniscript reverse transcriptase (Qiagen社製)を用いて HeL a細胞由来 cDNAを合成した。調製した HeLa cDNAを铸型として、 HotStarTaq DNA polymerase (Qiagen社製)およびヒト USP21遺伝子特異的プライマーを用 いて PCRを実施した。反応液を 2. 5%ァガロースゲルで電気泳動し、ェチジゥムブ口 マイド染色により目的の PCR産物を検出した。ヒト USP21遺伝子特異的プライマー は、フォワードプライマー 1 (1F、配列番号 32)とリバースプライマー 1 (1R、配列番号 33)、フォワードプライマー 2 (2F、配列番号 34)とリバースプライマー 2 (2R、配列番 号 35)の 2通りの組合わせをそれぞれ使用した。両プライマー組共に、 lOlbpの US P21 cDNA断片が増幅されるように設計した。
[0184] <結果 >
USP21の HeLa細胞における発現を 2通りのプライマーの組み合わせで RT— PC Rにより検討した結果、 、ずれのプライマーの組み合わせにお 、ても予想されるサイ ズ(101 bp)の増幅産物が確認された(図 10のレーン 2および 3)。なお、使用したヒ ト USP21遺伝子特異的プライマーは、イントロンをはさむように設計してあるため、増 幅された PCR産物はゲノミック DNA由来のものではない。
[0185] 以上の結果から、 TERTの NEDD8化および NEDD8化 TERTの USP21による 脱 NEDD8化を介した、 TERTの分解制御機構が存在し、この TERT分解制御機構 により細胞内のテロメレース活性が調節されている可能性が強く示唆された。
産業上の利用可能性
[0186] 本発明によれば、テロメレース活性を阻害する化合物の同定方法を提供できる。例 えば、 USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害する化合物の同定方法、 NEDD 8化 TERTの USP21による脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法等を提供で きる。
[0187] また、本発明によれば、テロメレース活性を阻害することができる。さらに、テロメレ ース活性の亢進に起因する疾患の防止および Zまたは治療を実施できる。テロメレ ースが癌の種類を問わずほとんどの癌細胞で発現しており、生殖細胞以外の正常体 細胞ではほとんど発現していないことから、本発明は例えば、多様な癌疾患の防止 および Zまたは治療に有効であると考えられる。
[0188] このように本発明は、テロメレースが関与する細胞増殖や細胞老化のメカニズムお よびテロメレースの作用やその活性の亢進に起因する疾患等に関する基礎的研究 等に有用である。さらにテロメレース活性の亢進に起因する疾患、例えば癌疾患に用 V、る医薬や治療法の開発に非常に有用である。
配列表フリーテキスト
[0189] 配列番号 1:ヒト TERT遺伝子。
配列番号 2:ヒト TERT遺伝子 (配列番号 1)によりコードされる蛋白質。
配列番号 3:ヒト NEDD8遺伝子。
配列番号 4:ヒト NEDD8遺伝子 (配列番号 3)によりコードされる蛋白質。
配列番号 5:ヒト USP21遺伝子。
配列番号 6:ヒト USP21遺伝子 (配列番号 5)によりコードされる蛋白質。
配列番号 7 :配列番号 6のアミノ酸配列において、第 221番目のシスティンのァラニン への置換変異を有する設計されたポリペプチド。 配列番号 8: NEDD8の部分配列(配列番号 9)と高 、相同性を有する、 TERT (配列 番号 2)の部分配列。
配列番号 9: TERTの部分配列(配列番号 8)と高 、相同性を有する、 NEDD8 (配列 番号 4)の部分配列。
配列番号 10: NEDD8の部分配列(配列番号 11)と高 、相同性を有する、 TERT ( 配列番号 2)の部分配列。
配列番号 11: TERTの部分配列(配列番号 10)と高い相同性を有する、 NEDD8 ( 配列番号 4)の部分配列。
配列番号 12: NEDD8の部分配列(配列番号 13)と高 、相同性を有する、 TERT ( 配列番号 2)の部分配列。
配列番号 13: TERTの部分配列(配列番号 12)と高い相同性を有する、 NEDD8 ( 配列番号 4)の部分配列。
配列番号 14: NEDD8の部分配列(配列番号 15)と高 、相同性を有する、 TERT ( 配列番号 2)の部分配列。
配列番号 15: TERTの部分配列(配列番号 14)と高い相同性を有する、 NEDD8 ( 配列番号 4)の部分配列。
配列番号 16 :USP21の部分配列(配列番号 17)と高い相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 17 :TERTの部分配列(配列番号 16)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 18 :USP21の部分配列(配列番号 19)と高い相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 19: TERTの部分配列(配列番号 18)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 20: USP21の部分配列(配列番号 21 )と高い相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 21: TERTの部分配列(配列番号 20)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。 配列番号 22 : USP21の部分配列(配列番号 23)と高い相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 23: TERTの部分配列(配列番号 22)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 24: USP21の部分配列(配列番号 25)と高 、相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 25: TERTの部分配列(配列番号 24)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 26 :USP21の部分配列(配列番号 27)と高い相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 27 :TERTの部分配列(配列番号 26)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 28 :USP21の部分配列(配列番号 29)と高い相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 29: TERTの部分配列(配列番号 28)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 30: USP21の部分配列(配列番号 31)と高 、相同性を有する、 TERT (配 列番号 2)の部分配列。
配列番号 31: TERTの部分配列(配列番号 30)と高い相同性を有する、 USP21 (配 列番号 6)の部分配列。
配列番号 32 :USP21 cDNA断片が特異的に増幅するよう設計された PCR用フォ ワードプライマー。
配列番号 33 :USP21 cDNA断片が特異的に増幅するよう設計された PCR用リバ 一スフ。フィマー。
配列番号 34 :USP21 cDNA断片が特異的に増幅するよう設計された PCR用フォ ワードプライマー。
配列番号 35 :USP21 cDNA断片が特異的に増幅するよう設計された PCR用リバ ースプフィマー。

Claims

請求の範囲
[1] NEDD8 (.neural precursor cell expressed, developmentally down— regu lated gene 8)化テロメレース逆転写酵素 (TERT)とュビキチン特異的プロテア一 ゼ 21 (USP21)との結合を阻害することを特徴とする、 TERTの分解促進方法。
[2] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)による NEDD8 (neural precursor c ell expressed, developmentally down— regulated gene 8)ィ匕ァ口メレ ~~ス 逆転写酵素 (TERT)の脱 NEDD8化を阻害することを特徴とする、 TERTの分解促 進方法。
[3] 請求項 1または 2に記載のテロメレース逆転写酵素 (TERT)の分解促進方法を用い ることを特徴とする、テロメレース活性阻害方法。
[4] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)とテロメレース逆転写酵素(TERT)との 結合を阻害する化合物の同定方法であって、ある化合物と USP21および Zまたは T ERTの相互作用を可能にする条件下で、該化合物と USP21および Zまたは TERT を接触させ、次いで、 USP21と TERTとの結合により生じるシグナルおよび Zまたは マーカーを使用する系を用いて、該シグナルおよび Zまたはマーカーの存在若しく は不存在または変化を検出することにより、該化合物が USP21と TERTとの結合を 阻害する力否かを決定することを特徴とする同定方法。
[5] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)と NEDD8 (neural precursor cell expressed, developmentally down― regulated gene 8)ィ匕ァ口メレ ~~ス逆 写酵素 (TERT)との結合を阻害する化合物の同定方法であって、ある化合物と US P21および Zまたは NEDD8化 TERTの相互作用を可能にする条件下で、該化合 物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTを接触させ、次いで、 USP21と NED D8化 TERTとの結合により生じるシグナルおよび Zまたはマーカーを使用する系を 用いて、該シグナルおよび Zまたはマーカーの存在若しくは不存在または変化を検 出することにより、該化合物が USP21と NEDD8化 TERTとの結合を阻害するか否 かを決定することを特徴とする同定方法。
[6] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)による NEDD8 (neural precursor c ell expressed, developmentally down— regulated gene 8)ィ匕ァ口メレ ~~ス 逆転写酵素 (TERT)の脱 NEDD8化を阻害する化合物の同定方法であって、ある 化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTの相互作用を可能にする条件下 で、該化合物と USP21および Zまたは NEDD8化 TERTを接触させ、次いで、 US P21による NEDD8化 TERTの脱 NEDD8ィ匕により生じるシグナルおよび Zまたは マーカーを使用する系を用いて、該シグナルおよび Zまたはマーカーの存在若しく は不存在または変化を検出することにより、該化合物が USP21による NEDD8化 T ERTの脱 NEDD8化を阻害するカゝ否かを決定することを特徴とする同定方法。
[7] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)と NEDD8 (neural precursor cell expressed, developmentally down― regulated gene 8)ィ匕ァ口メレ ~~ス逆 写酵素 (TERT)との結合を阻害する化合物を含んでなるテロメレース活性阻害剤。
[8] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)による NEDD8 (neural precursor c ell expressed, developmentally down— regulated gene 8)ィ匕ァ口メレ ~~ス 逆転写酵素 (TERT)の脱 NEDD8化を阻害する化合物を含んでなるテロメレース活 性阻害剤。
[9] 請求項 7または 8に記載のテロメレース活性阻害剤を含んでなるテロメレース活性の 亢進に起因する疾患の防止剤および Zまたは治療剤。
[10] 請求項 7または 8に記載のテロメレース活性阻害剤を含んでなる抗癌剤。
[11] 請求項 3に記載のテロメレース活性阻害方法を用いることを特徴とするテロメレース活 性の亢進に起因する疾患の防止方法および Zまたは治療方法。
[12] 請求項 3に記載のテロメレース活性阻害方法を用いることを特徴とする癌の防止方法 および Zまたは治療方法。
[13] 請求項 7または 8に記載のテロメレース活性阻害剤を用いることを特徴とするテロメレ ース活性の亢進に起因する疾患の防止方法および Zまたは治療方法。
[14] 請求項 7または 8に記載のテロメレース活性阻害剤を用いることを特徴とする癌の防 止方法および Zまたは治療方法。
[15] ュビキチン特異的プロテアーゼ 21 (USP21)、 USP21をコードするポリヌクレオチド
、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する 形質転換体のうち少なくともいずれか 1つ、テロメレース逆転写酵素 (TERT)、 TER Tをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび 該組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくとも!/ヽずれか 1つ、並びに ΝΕ DD8 (neural precursor cell expressed, developmentally aown— regulat ed gene 8)、 NEDD8をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する 組換えベクターおよび該組換えベクターを含有する形質転換体のうち少なくともいず れか 1つを含有してなる試薬キット。
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