WO2006070691A1

WO2006070691A1 - 電流測定装置及び電流測定方法

Info

Publication number: WO2006070691A1
Application number: PCT/JP2005/023626
Authority: WO
Inventors: Keizo Yamada
Original assignee: Fab Solutions, Inc.
Priority date: 2004-12-27
Filing date: 2005-12-22
Publication date: 2006-07-06
Also published as: JP4954470B2; JP2006186103A; TW200628808A

Abstract

　半導体基板などの測定サンプルに対して照射する電子ビームのエネルギーレベルを容易に設定できる電流測定装置及び電流測定方法を提供する。電子ビームが照射された測定サンプルに生じる電流を測定する電流測定装置は、電子ビームの放出が可能なように雰囲気制御されたチャンバーと、電子ビームを設定されたエネルギーで放出する電子ビーム源と、電子ビーム源から放出された電子ビームを測定サンプルの特定場所に照射する照射部と、測定サンプルに流れる電流について少なくとも増幅する電流測定回路を構成する電流計と、前記電流測定回路と基準電位としての接地電位との間にバイアス電圧を印加する電圧印加部とを含む。

Description

明細書

電流測定装置及び電流測定方法

技術分野

[0001] 本発明は、電流測定装置及び電流測定方法に関する。また、本発明は、電子ビーム、イオンビーム、電磁波、音波、振動などを利用して、半導体デバイス製造工程途中のプロセス評価を行うのに好適な電流測定装置及び電流測定方法に関する。本願 ίま、 2004年 12月 27曰 ίこ、曰本 (こ出願された特願 2004— 378122号 (こ基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002] 電子ビーム照射時に流れる基板電流を用いて半導体デバイスのプロセス良否を評価する方法として基板電流法が知られている。この方法は、例えば、特許文献 1、特許文献 2、及び特許文献 3に開示される。

[0003] この方法は、例えばエッチングを終えた状態のウェハに対して、一定のエネルギーを持つ電子ビームを数秒の間、照射し、その時に生じる基板電流の大小あるいは極性からプロセスの状態を知る方法である。例えば IKeV程度の電子ビームエネルギ一が利用され、ピコアンペア (_PA)のオーダーの電流量を利用する。

[0004] この方法では、プロセス結果が同じである場合、同じ基板電流が生じ、プロセス結果が異なる場合、異なった電流が生じる。このことを利用してプロセス状態を把握すること力 Sできる。

[0005] 以上のようにプロセスの相対的な変化を検知する場合、単一のエネルギーレベルを有する照射電子ビームを利用することができる。一方、絶対的なプロセス状態を調ベるためには、種々の加速電圧を組み合わせて利用することが必要である。また、測定感度は電子ビームエネルギーに依存するので、最適な電子ビームエネルギーを測定対象毎に見つける必要がある。このためには、図 14に示すように、電子ビーム源 2 から放出される電子ビーム 3に加えられる加速電圧、即ち高圧電源の電圧 Vhを調整して使用していた。

[0006] 基板電流に基づき精密な電流測定を行うためには、複数のエネルギーレベルを有した電子ビームを利用することが必要である。つまり、全く同じ測定点に対して電子ビームのエネルギーレベルだけが異なる状態で測定を行うことが必要である。しかし、従来は、電子ビームのエネルギーレベルを変えるために電子ビーム発生装置の電源の電圧を変更していた。電源の電圧を変更すると、電子ビームの軸が大きく変化するため、全く同じ場所に正確に電子ビームを照射することが困難であった。そのため、従来の基板電流測定方法では、測定精度が低下するという課題があった。

[0007] また、測定感度を変化させるために非常に低いエネルギーレベルを有した電子ビームを使用する必要があるが、従来における高圧電源の電圧の変更だけでは、非常に低いエネルギーレベルの電子ビームを実現することは困難であった。

[0008] また、従来方法としては、図 15に示すように半導体基板である測定サンプル 4にバィァス電圧 Vbを印加する方法も知られていた。し力、し、この方法では、電流計 5と並列に電源 20が入るため、測定に必要な基板電流が電源 20を介してグランドに流れてしまう。このため実質的に電流計 5に流れる電流が「0」となってしまい測定できない。そればかりか、電子ビーム 3のエネルギーレベルを変えるために、電源 20により数キロボルトという電圧 Vbを測定サンプル 4に加えると電流計 5が破壊するなど、実用的には使えないとレ、う大きな課題があった。

特許文献 1 :日本国特許第 3334750号公報

特許文献 2 :日本国特許第 3292159号公報

特許文献 3 :日本国特許第 3175765号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0009] 本発明の主たる目的は、前述した問題が軽減された電流測定装置を提供することにある。

本発明の更なる目的は、測定サンプノレに対して照射する電子ビーム等のプローブのエネルギーレベルを容易に設定できる電流測定装置を提供することにある。

また、本発明の更なる目的は、測定サンプルして対してダメージを与えることなぐこの測定サンプルに流れる電流の測定における感度と精度とを向上させことができる電流測定装置を提供することにある。本発明の別の目的は、前述した問題が軽減された電流測定方法を提供することにある。

本発明の更なる目的は、測定サンプノレに対して照射する電子ビーム等のプローブのエネルギーレベルを容易に設定できる電流測定方法を提供することにある。

また、本発明の更なる目的は、測定サンプルして対してダメージを与えることなぐこの測定サンプルに流れる電流の測定における感度と精度とを向上させことができる電流測定方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明の第一の側面によれば、プローブを測定サンプルに照射するプローブ照射部と、前記測定サンプルと電気的に結合され前記測定サンプルにプローブを照射したときに前記測定サンプルに流れる電流を測定する電流測定回路と、前記電流測定回路と電気的に結合され前記電流測定回路に電圧を印加する電圧印加部と、を少なくとも含む電流測定装置を提供する。

[0011] 本発明によれば、電圧印加部によって電流測定回路にバイアス電圧を印加することができる。これにより、測定サンプルの電位を制御することができる。そして、測定サンプルが電子ビーム照射で受ける実効エネルギーは、その電子ビームのエネルギー力測定サンプルの電位を引いた値となる。したがって、本発明は、電子ビーム放出源から高エネルギーの電子ビームを放出しても、測定サンプルが受ける実効エネルギーを小さくすることができる。そこで、本発明は、測定サンプルして対してダメージを与えることなぐ測定サンプルに流れる電流の測定について感度と精度を向上させること力 sできる。

[0012] また、本発明の電流測定装置は、前記電流測定回路と電気的に結合すると共に前記測定サンプルに容量結合する容量電極を更に含んでもよい。そして、前記電流測定回路は前記容量電極に流れる電流を測定する。

[0013] 本発明によれば、測定サンプノレに対して直接バイアス電圧を印加せずに、電流測定回路に印加した電圧により測定サンプノレの電位を変化させることができる。そして、測定サンプノレが受ける実効エネルギーは、照射された電子ビームのエネルギーから測定サンプノレの電位を引いた値となる。したがって、本発明は、測定サンプルして対してダメージを与えることなぐ測定サンプルに流れる電流の測定について感度と精度を向上させることができる。また、本発明は、測定サンプノレと電流測定回路（又は電極）とを配線接続する必要がなぐ測定サンプルの測定位置などへの設置及び取り外しが容易となり、実用性を高くすることができる。

[0014] また、本発明の電流測定装置は、前記プローブ照射部による前記測定サンプノレへのプローブの照射によって前記測定サンプノレに発生した散乱電子及び二次電子の少なくとも一方を回収する回収電極を更に含むことができる。そして、前記電流測定回路は、前記回収電極と接続されて前記電流測定回路に流れる電流を測定する

[0015] この構成によれば、電圧印加手段によって電流測定回路にバイアス電圧を印加すること力 Sできる。これにより、測定サンプノレの電位を制御することができる。そして、測定サンプルが電子ビーム照射で受ける実効エネルギーは、その電子ビームのェネルギ一から測定サンプルの電位を引いた値となる。したがって、本発明は、電子ビーム放出源から高エネルギーの電子ビームを放出しても、測定サンプルが受ける実効ェネルギーを小さくすることができる。ここで、低いエネルギーを有する電子ビームは、二次電子放出確率を向上させることができる。そこで、本発明は、測定サンプルへの電子ビーム照射により生じる電流の測定にぉレ、て、測定サンプルして対してダメージを与えることなぐ感度と精度を向上させることができる。

[0016] また、本発明の電流測定装置の前記プローブ照射部は、前記プローブとして働く電子ビームを発生する電子ビーム源と、前記電子ビーム源から放出された電子ビームの一部分を通過させるアパーチャを有するアパーチャ部と、を含んでもよい。この構成によれば、電子ビームについてアパーチャを通過させることにより、ェネルギ一の揃った電子ビームを測定サンプノレへ照射することができる。そこで、本発明は、測定サンプノレの所望部位に高度に焦点の合った電子ビームを照射でき、高解像度に測定サンプルを検查することができる。

[0017] また、本発明の電流測定装置の前記プローブ照射部は、前記プローブとして働く電子ビームを発生する電子ビーム源と、前記電子ビーム源により発生した第 1のエネノレギーレベルを有する電子ビームを前記第 1のエネルギーレベルより高い第 2のエネノレギーレベルに変換する第 1のエネルギー変換部と、前記第 2のエネルギーレベルに加速された電子ビームの一部分を通過させるアパーチャを有するアパーチャ部と、を含んでもよい。更に、前記プローブ照射部は、前記アパーチャを通過した電子ビームの第 2のエネルギーレベルを前記第 2のエネルギーレベルより低い第 3のエネルギ一レベルに変換する第 2のエネルギー変換部を、含んでもよい。ここで、前記第 1のエネルギー変換部は、前記電子ビームを加速する加速電極と、前記加速電極と電気的に結合され前記加速電極に電圧を印加する加速電源と、を含んでもよい。更に、前記第 2のエネルギー変換部は、前記電子ビームを減速する減速電極と、前記減速電極と電気的に結合され前記減速電極に電圧を印加する減速電源とを含んでもよい

[0018] この構成によれば、電子ビームについてアパーチャを通過させることにより、ェネルギ一の揃った電子ビームを測定サンプノレへ照射することができる。さらに、本発明は、減速電極により、電子ビームを第 1のエネルギーレベルから第 2のエネルギーレべノレに変換することができる。そこで、加速電極などで電子ビームのエネルギーをいくら高くしても、測定サンプノレに到達する電子ビームのエネルギーは減速電極によって制御可能である。そこで、本発明は、測定サンプルへダメージを与えることを回避しながら、測定サンプノレの所望部位に高度に焦点の合った電子ビームを照射でき、高解像度に測定サンプルを検査することができる。

[0019] また、本発明の電流測定装置の前記電圧印加部は、前記電流測定回路と電気的に結合され前記電流測定回路に可変電圧を印加する可変電源を含んでもよい。

[0020] この構成によれば、電子ビーム放出源側の設定を変更せずに、可変電源の出力を変更することのみで、測定サンプノレに照射する電子ビームの実効エネルギーレベルを変更することができる。したがって、非常に簡便且つ迅速に実効エネルギーレベルを変更することができる。また、本発明によれば、測定サンプルにおける同一箇所に異なる実効エネルギーレベルの電子ビームを迅速に照射でき、測定精度の向上を図れるとともに、測定のスループットを向上させることができる。

[0021] また、本発明の電流測定装置は、前記可変電源と電気的に結合され前記可変電圧のレベルを制御する電圧制御部を更に含んでもよレ、。前記制御部は、更に、前記電流測定回路と電気的に結合され前記電流測定回路の電流測定タイミングを制御すると共に、前記電流測定タイミングと同期して前記可変電源による前記電流測定回路への電圧印加のタイミングを制御してもよレ、。

[0022] この構成によれば、電流測定回路を介しての測定サンプルへのバイアス電圧印加のタイミングと、電流測定タイミングとを同期させることができる。これにより、電流測定において問題となるホワイトノイズなどを簡便に除去することができ、測定サンプルに流れる電流などの測定について感度及び精度をさらに向上させることができる。

[0023] また、本発明の電流測定装置の前記電流測定回路は、前記測定サンプルと電気的に結合された第 1の入力端子と前記電圧印加部と電気的に結合された第 2の入力端子と出力信号を出力する出力端子とを有し前記測定サンプルに流れる電流を増幅する演算増幅器を含んでもよい。

[0024] この構成によれば、例えば、演算増幅器の負入力端子に測定サンプルを電気的に接続し、演算増幅器の正入力端子にバイアス電圧を印加し、演算増幅器の出力と負入力端子との間に抵抗器を配置した構成とすることができる。このようにすると、バイァス電圧が演算増幅器の負入力端子を介して測定サンプノレに印加される。そこで、本発明は、電子ビーム放出源から高エネルギーの電子ビームを放出しても、測定サンプルが受ける実効エネルギーを小さくでき、測定サンプルに対してダメージを与えることなぐ測定サンプノレに流れる電流の測定について感度と精度を向上させることができる。

[0025] また、本発明の電流測定装置の前記電圧印加部は、前記演算増幅器の前記第 2 の入力端子と電気的に結合され前記第 2の入力端子に可変電圧を印加する可変電源を含んでもよい。そして、本発明の電流測定装置は、更に、前記可変電源と電気的に結合され前記可変電圧のレベルを制御する電圧制御部を含んでもょレ、。そして、前記制御部は、更に、前記プローブ照射部と電気的に結合され前記プローブ照射部のプローブ照射タイミングを制御すると共に、前記プローブ照射タイミングと同期して前記可変電源による前記演算増幅器への電圧印加のタイミングを制御してもよい。

[0026] この構成によれば、制御信号発生部が出力する信号により、測定サンプノレの電位を制御することができる。ここで、演算増幅器用可変電源が出力する可変電圧としては、サイン波、矩形波、ノコギリ波などの周期的な波形でもよぐトリガー的な波形でもよい。これらにより、本発明は、測定サンプルの属性などに応じて、最適な可変電圧を選んで電流測定などをすることができ、より高精度にプロセス評価などをすることができる。

[0027] 本発明の第二の側面によれば、プローブを測定サンプルに照射し前記測定サンプルに流れる電流を発生させる工程と、電流測定回路にバイアス電圧を印加する工程と、前記電流測定回路に電圧を印加した状態で前記測定サンプルに流れる電流を前記電流測定回路により増幅し測定する工程と、を少なくとも含む電流測定方法を提供する。

[0028] 本発明によれば、増幅回路と接地電位との間に電圧を印加することにより、測定サンプルの電位を制御することができる。したがって、測定サンプルが電子ビーム照射で受ける実効エネルギーを、前記電圧によって小さくすることができる。そこで、本発明は、測定サンプルして対してダメージを与えることなぐ測定サンプルに流れる電流の測定について感度と精度を向上させることができる。

発明の効果

[0029] 本発明は、半導体基板などの測定サンプルに対して照射するプローブとしての電子ビームの実効エネルギーレベルを低くしながら、測定サンプルに流れる電流などの測定について感度及び精度を向上させることができる。したがって、測定サンプルに対してダメージを与えることなぐ測定サンプルの属性等の測定について感度と精度を向上させることができる。

[0030] また、本発明は、プローブとしての電子ビームが照射された測定サンプノレにおける実効エネルギーレベルを低くすることができるので、二次電子放出確率を向上でき、測定感度を高くすることができる。

[0031] また、本発明は、プローブとしての電子ビーム源などの設定を変えないで、測定サンプルにおける実効エネルギーレベルを大きく可変できるので、非常に早くエネルギ一レベルを変更できる。したがって、例えば、測定サンプルにおける同じ箇所に異なるエネルギーレベルの電子ビームを迅速に照射することができ、測定精度を大幅に高めながら、測定のスループットを向上させることができる。

[0032] また、本発明は、測定サンプルにプローブとしての電子ビームを照射する態様として、電子ビーム源側及びバイアス電源側のそれぞれで各種設定をすることができる。したがって、測定サンプルにおける実効エネルギーレベルが同一であっても、電子ビーム照射及びバイアス電圧の態様として、レ、ろいろな組み合わせをすることができる。その結果、平均的には同じエネルギーを持つ電子ビームのエネルギー分散状態及び空間分布についての調節が可能となり、用途に応じて最適な組み合わせを選んで、高精度な測定をすることができる。

図面の簡単な説明

[0033] [図 1]本発明の第 1実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 2]本発明の第 2実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 3]本発明の第 3実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 4]本発明の第 4実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 5]本発明の第 5実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 6]本発明の第 6実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 7]本発明の第 7実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 8]本発明の第 8実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 9]本発明の第 9実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 10]本発明の第 10実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 11]本発明の第 11実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 12]本発明の第 11実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 13]本発明の第 11実施形態に係る電流測定装置を示す図である。

[図 14]電流測定についての説明図である。

[図 15]従来の電流測定装置の一例を示す図である。

符号の説明

[0034] 1 チャンバ一

2 電子ビーム源

3 電子ビーム

4 測定サンプル

5 電流計 5a 電流測定回路

6 バイアス電源

7 可変電源

8 制御信号発生部

9 XYステージ

10 電極

11 加速電極

11a 加速電源

12 アパーチャ

13 減速電極

13a 減速電源

14 演算増幅器

20 高圧電源

発明を実施するための最良の形態

[0035] 次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。

[第 1実施形態]

図 1は、本発明の第 1実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。本実施形態の電流測定装置は、チャンバ一 1と、電子ビーム源 2と、電流測定回路を構成する電流計 5と、電圧印加部を構成するバイアス電源 6と、 XYステージ 9とを含む。

また、図 1において、測定サンプル 4は本電流測定装置の測定対象となるものであり、測定サンプル 4には電子ビーム 3が照射される。測定サンプノレ 4は、測定対象となり得るものであれば特に限定するものではなぐ一典型例として、半導体デバイス製造工程の途中における半導体基板が該当する。

[0036] チャンバ一 1は、電子ビーム 3が放出できるように雰囲気制御するためのものである。チャンバ一 1内には、電子ビーム源 2、測定サンプル 4、電流計 5、バイアス電源 6及び XYステージ 9が配置される。電子ビーム源 2は、設定された一定のエネルギーで電子ビーム 3を放出するものである。ここで、電子ビーム源 2が放出する電子ビーム 3 のエネルギーは、高圧電源の電圧 (加速電圧) Vhを可変することで変更可能となつている。高圧電源の電圧は、予め設定された複数の電圧レベルを切り替えることで、変化させることができる。この場合、高圧電源のそれぞれの設定電圧は、電圧値記憶装置に、記憶させてもよレ、。 XYステージ 9は、電子ビーム源 2から放出された電子ビーム 3を測定サンプル 4における所望の場所に照射するための位置決め機構である。 XYステージ 9は、電子ビーム 3を測定サンプル 4の特定場所に照射することを可能にする。この XYステージ 9は、電子ビーム 3を測定サンプル 4の特定位置に照射することを可能にする機構の一典型例であり、必ずしもこの構成に限定するものではない。電子ビームを照射する位置は、前述の記憶装置に記憶させてもよい。

[0037] 電流計 5は、本発明に係る電流測定装置に含まれる電流測定回路の一例である。

すなわち、電流計 5は、測定サンプル 4に流れる電流について少なくとも増幅する回路を含む。電流計 5は、電気的に測定サンプル 4と結合して、測定サンプル 4への電子ビーム照射時に生じる電流を測定する。また、電流計 5は、実際には、機械的な指針による電流計ではなぐ微小な電流を電圧信号などに変換して増幅する演算増幅器などを用いた電流測定回路で構成される。なお、電流測定回路の詳細については後述する。

バイアス電源 6は、本発明に係る電流測定装置に含まれる電圧印加部の一例である。バイアス電源 6は、電流計 5と基準電位、例えば、接地電位との間に電圧 Vmを印加するものである。測定サンプル 4に直列に、電流計 5及び電流計 5バイアス用のバィァス電源 6を接続する。ここで、電流計 5のインピーダンスは非常に小さぐ事実上ゼロとみなせる。したがって、測定サンプル 4を直接バイアスしていないにも関わらず、電流計 5に加えたバイアス電圧 Vmによって、測定サンプノレ 4の電位を変化させることが可能となる。そこで、本実施形態によれば、測定サンプル 4に対して、電子ビームの照射エネルギー Eirから電流計 5に加えるバイアス電圧 Vmを引いた実効エネルギ一を有する電子ビーム 3を、測定サンプル 4に照射する。

[0038] 電圧印加部を構成するバイアス電源 6により、電流測定回路を構成する電流計 5にバイアス電圧を印加して、測定サンプル 4の電位を制御する。そして、測定サンプル 4 が電子ビーム 3の照射で受ける実効エネルギーは、その電子ビーム 3のエネルギー力ら測定サンプル 4の電位を引いた値となる。したがって、電子ビーム源 2から高エネルギ一の電子ビームを放出しても、測定サンプノレ 4が受ける実効エネルギーを小さくすること力 Sできる。よって、測定サンプル 4に対してダメージを与えることなぐ測定サンプル 4に流れる電流の測定について感度と精度を向上させることができる。

[0039] また、バイアス電圧 Vmを変化させることで、瞬時に、測定サンプノレ 4における電子ビーム 3のエネルギーレベルを変更することができる。また、ウェハ等の測定サンプル 4の表面近傍で電子ビーム 3のエネルギーの変換が行われるため、電子ビーム 3のェネルギ一のレベル変更による電子ビーム 3の経路の変化が非常に小さい。従って、例えば、パターンマッチング法を使用した位置決めによって、数 nmオーダーの位置合わせを行った後に、電子ビーム 3の実効エネルギーレベルを変えながら、測定サンプル 4の同一位置、具体的には、数 nmオーダーの位置合わせ精度での同一位置に繰り返し電子ビームを照射することが可能となる。

[0040] また、本実施形態の電流測定装置によれば、測定サンプル 4を流れる電流が直接電流計 5に入力されるので、図 15に示す従来技術のように電流計 5に並列に電源を入れてレ、た場合と比較して、測定サンプル 4で生じた微少な電流を非常に正確に測定できる。

[0041] [第 2実施形態]

図 2は、本発明の第 2実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 2において図 1の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 1実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置が電極 10を更に含む点である。

[0042] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、測定サンプル 4の表面上あるいは近接する位置に、この測定サンプル 4と容量結合するプレート状の電極 10が設けられている。そして、測定サンプル 4と電極 10とは、直流電流又は交流電流が流れることが可能なように電気的に接続されている。この電極 10は、測定サンプル 4の裏面、上面又は側面、あるいはこの面に近接する位置にあってもかまわなレ、。電極 10を測定サンプノレ 4の裏面に配置した場合、電極 10は測定サンプル 4とほぼ同じ大きさを有することで、電極 10は非常に大きな容量を形成することができる。ここで、非常に大きな容量とは、例えば、測定サンプル 4と電流測定装置の筐体との寄生容量等に比較して、非常に大きな容量という意味である。

[0043] 本実施形態の電流測定装置は、測定サンプル 4の下に設けられた電極 10に電流計 5が直接接続されている。更に、その電流計 5に直列に電圧をカ卩えるためのバイァス電源 6が設けられている。測定系に存在する容量成分は、電極 10と測定サンプノレ 4との間にできた容量と、測定サンプル 4と測定装置筐体間に生じる寄生容量が主な成分となる。この中で、測定サンプル 4と電極 10の間に生じる容量は圧倒的にほかの容量と比較して大きい。したがって、測定サンプル 4を直接バイアスしていないにも関わらず、電流計 5に加えたバイアス電圧 Vmによって測定サンプル 4の電位を変化させること力 Sできる。そこで、本電流測定装置は、測定対象の測定サンプル 4に対して、電子ビーム 3の照射エネルギー Eirから電流計 5に加えるバイアス電圧 Vmを引いた実効エネルギーを加えることができる。

また、本実施形態の電流測定装置によれば、測定サンプル 4に電流計 5を直接接続する必要がなぐ実用性を高めることができる。

[0044] [第 3実施形態]

図 3は、本発明の第 3実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 3において図 1の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 1実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置が加速電極 11と加速電源 11aとアパーチャ 12とを更に含む点である。加速電極 11は、電子ビーム源 2から放出された電子ビームを加速するものである。加速電源 11aは、加速電極 11に加速電圧 Vaを印加するものであり、加速電極 11におけるその加速の度合レ、を可変制御するものである。アパーチャ 12は、電子ビーム源 2から放出されて加速電極 11で加速された電子ビームの一部分を通過させるものである。

[0045] 光学の原理によれば、物体を見分ける指標となる分解能は利用する光の波長と同等程度であることが分かっている。電子ビームは波長が非常に短い。例えば、 100e Vの電子ビームでさえ波長は 1オングストロームよりも小さい。し力、しながら、実際に発生し得る電子ビームは大きなエネルギーの分散があり、波長から想定されるよりもはるかに低レ、分解能しか得ることができなレ、。 [0046] 図 3に示す本実施形態の電流測定装置では、加速電極 11及び加速電源 11aを用いて電子ビーム源 2から飛び出た電子ビーム 3をカ卩速電圧 Vaによりー且非常に高いエネルギーレベルの状態にする。例えば、電子ビーム 3を加速電極 11により 5kV程度までエネルギーを増加させる。この状態で非常に小さな円筒形のアパーチャ 12を通過させ、エネルギーレベルの揃っている部分だけを取り出す。その後、図 1に示す第 1実施形態の場合と同様な構成により、測定サンプル 4における実効的な電子ビーム照射エネルギーを下げる。

[0047] アパーチャ 12は、例えば数ミクロンの大きさを有しており、一種のエネルギーフィルターを構成する。電子ビーム源 2から放出される電子ビームはチップと呼ばれる電子ビーム放出電極の広い範囲から放出される。放出される領域は数百オングストロームの範囲と小さな領域ではある力 S、放出される場所によって電子ビームのエネルギーに差が生じる。

この差が生じると、電子ビーム 3をフォーカスした際に、収差が生じて異なった場所に焦点を結ぶため、像がぼけてしまう原因となる。これらは、測定精度を下げる原因になるので、できるだけ等しいエネルギーを持った電子ビーム 3のみを測定に使用したいという要望がある。

[0048] 本実施形態によれば、アパーチャ 12において、電子ビームにおけるエネルギーレベルが揃っている中心部のみが通過する。これにより、電子ビーム源 2から電子ビームが放出された時のエネルギー分散に比べ非常に小さな分散を持つようになる。このような状態の電子ビーム 3は電子ビームエネルギーが低くても良いフォーカスを実現できる。その後、電流計 5に加えられた例えば 4. 5kVというようなバイアス電圧 Vm により、測定サンプノレ 4が実際に受ける電子ビームエネルギーは 500eVと小さなものになる。しかしながら、この電子ビーム 3は非常にエネルギーレベルが揃っており、ビームがシャープにフォーカスするようになる。

[0049] これらにより、本実施形態の電流測定装置によれば、測定サンプル 4の所望部位に高度に焦点の合った電子ビーム 3を照射でき、高解像度に測定サンプル 4を検査すること力 Sできる。

[0050] [第 4実施形態] 図 4は、本発明の第 4実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 4において図 1から図 3の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 3実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置が電極 10を更に含む点である。

[0051] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、測定サンプル 4の下に、その測定サンプル 4との間で容量結合するプレート状の電極 10が付設されている。したがって、電極 10と測定サンプル 4との間は交流的に接続されている。電極 10は、測定サンプノレ 4とほぼ同じ大きさを有しており、他の寄生容量と比較して非常に大きな容量を形成している。そして、測定サンプル 4の下に設けられた電極 10には電流計 5が直接接続されている。電流計 5には、バイアス電源 6によってバイアス電圧 Vmが印加されている。

[0052] このような構成により、測定サンプル 4を直接バイアスしていないにも関わらず、電流計 5に加えたバイアス電圧 Vmによって測定サンプル 4の電位を変化させることができる。そこで、本電流測定装置は、測定対象の測定サンプル 4に対して、電子ビーム 3の照射エネルギー Eirから電流計 5に加えるバイアス電圧 Vmを引いた実効エネルギーをカ卩えることができる。また、本実施形態の電流測定装置によれば、測定サンプル 4に電流計 5を直接接続する必要がなぐ実用性を高めることができる。

[0053] また、本実施形態の電流測定装置によれば、電子ビーム 3のエネルギー分散を小さくするためのエネルギーフィルターを加速電極 11及びアパーチャ 12で構成している。したがって、測定サンプル 4の所望部位に高度に焦点の合った電子ビーム 3を照射でき、高解像度に測定サンプル 4を検査することができる。

[0054] [第 5実施形態]

図 5は、本発明の第 5実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 5において図 1から図 4の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 3実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置が減速電極 13 と減速電源 13aとを更に含む点である。減速電極 13は、アパーチャ 12を通過した電子ビーム 3のエネルギーレベルを変換するものである。減速電源 13aは、減速電極 1 3に電圧を印加するものである。 [0055] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、加速電極 11によって電子ビームが加速されてエネルギー上昇する。その電子ビーム 3はアパーチャ 12を通過してフィルタリングされる。その電子ビーム 3は、減速電極 13によって減速され、測定サンプル 4 に照射する手前でエネルギーレベルが下げられる。

[0056] 例えば、加速電極 11に印可する加速電圧 Vaを lOOkVに設定し、減速電極 13に印加する減速電圧 Vdを 99kVに設定する。すると、測定サンプル 4の表面では実効的に IkeVのエネルギーを持つ電子ビームが得られる。さらに、この状態で電流計 5 に例えば 900Vのバイアス電圧 Vmを印加することにより、実効的に lOOeVのェネルギーを有する電子ビームを実現できる。 5kVを超える高加速状態からいきなり数百 e Vのエネルギーを実現するためには、従来は非常に大きなバイアス電圧 Vmを電流計 5に加えることが必要となり、実用上困難であった。

[0057] 本実施形態の電流測定装置によれば、加速電極 11などにより電子ビーム 3のエネルギーレベルがどのように高くなつても、減速電極 13を用いてそのエネルギーレベルを制御することができる。そのため、電流計 5に加えるバイアス電圧 Vmを小さく設定すること力 Sできる。

[0058] [第 6実施形態]

図 6は、本発明の第 6実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 6において図 1から図 5の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 5実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置が電極 10を更に含む点である。

[0059] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、測定サンプル 4の下に、その測定サンプル 4との間で容量結合するプレート状の電極 10が付設されている。したがって、電極 10と測定サンプル 4との間は交流的に接続されている。電極 10は、測定サンプノレ 4とほぼ同じ大きさを有しており、他の寄生容量と比較して非常に大きな容量を形成している。そして、測定サンプル 4の下に設けられた電極 10には電流計 5が直接接続されている。電流計 5には、バイアス電源 6によってバイアス電圧 Vmが印加されている。

[0060] このような構成により、測定サンプル 4を直接バイアスしていないにも関わらず、減速電極 13と電流計 5に加えたバイアス電圧 Vmによって測定サンプル 4の電位を変化させることができる。そこで、測定サンプノレ 4に対して、電子ビーム 3の照射エネルギー Eirから減速電圧 Vd及びバイアス電圧 Vmを引いた実効エネルギーを加えることができる。また、本実施形態の電流測定装置によれば、測定サンプル 4に電流計 5を直接接続する必要がなぐ実用性を高めることができる。

[0061] [第 7実施形態]

図 7は、本発明の第 7実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 7において図 1から図 6の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 5実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置がバイアス電源 6を備えず、可変電源 7と制御信号発生部 8とを更に含む点である。可変電源 7は、電流計 5と接地電位との間に可変電圧を印加するものである。制御信号発生部 8は、可変電源 7の動作を制御する電圧制御信号を出力するものである。

[0062] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、制御信号発生部 8が出力する電圧制御信号によって、電流計 5に印加するバイアス電圧 Vmを可変制御できる。制御信号発生部 8は、自立発振的な交流信号発生装置でもよいし、外部のコンピュータ（図示せず）からのデジタルあるいはアナログ信号を基に電圧制御信号を生成する装置でもよい。

[0063] 例えば、外部のコンピュータには本発明の電流測定装置を自動制御するためのプログラムが存在し、ある一定のシーケンスに基づいて、測定サンプル 4に流れる電流の測定がなされる。例えば、測定サンプル 4をなす測定対象ウェハ力先ず、ウェハカセットから 1枚ずつ取り出されて、本電流測定装置にロボットによって搬入される。搬入されたウェハはァライメント機構により、正確な位置だしをされ、さらに精密な機械ステージを有するチャンバ一 1に搬送される。

[0064] チャンバ一 1に搬送されたウェハは光学的及び電子ビーム的手段により正確な位置だしが行われる。シーケンスには予めウェハのどの部分を測定するのか記録してあるので、そのシーケンスに従って機械ステージが動作し、電子ビーム 3を照射する位置が定められる。

必要により電子ビームを利用したパターンマッチングなどを行レ、、正確に測定対象位置を決定する。

[0065] 決定された位置に対して、 1回目の電子ビーム照射をバイアス電圧 Vmlで行う。次いで、 2回目の電子ビーム照射をバイアス電圧 Vm2で行う。この 2つのバイアス電圧時に得られる電流をそれぞれ測定して保存する。測定された電流値は適当に補正を掛けた後、所定の方程式に代入をして材料の厚みなどへ変換する。

[0066] [第 8実施形態]

図 8は、本発明の第 8実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 8において図 1から図 7の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 7実施形態との相違点は、本実施形態では電流測定装置が電極 10を更に含む点である。

[0067] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、測定サンプル 4の下に、その測定サンプル 4との間で容量結合するプレート状の電極 10が付設されている。したがって、電極 10と測定サンプノレ 4との間は交流的に接続されている。電極 10は、測定サンプノレ 4とほぼ同じ大きさを有しており、他の寄生容量と比較して非常に大きな容量を形成している。そして、測定サンプル 4の下に設けられた電極 10には電流計 5が直接接続されている。電流計 5には、可変電源 7によってバイアス電圧 Vmが印加されているまた、第 7実施形態の電流測定装置と同じように、電子ビーム源 2、加速電極 11、ァパーチヤ 12、減速電極 13が設けられている。

[0068] 本実施形態の電流測定装置では、第 7実施形態の電流測定装置と同じように、電子ビーム源 2から放出された電子ビーム 3が加速電極 11に加えられた加速電圧 Va によってカ卩速される。加速された電子ビーム 3はアパーチャ 12を通過し、電子ビーム軸中心を形成する電子ビーム 3のみが取り出される。軸中心を形成する電子ビーム 3 のエネルギーは、電子ビーム源 2から放出された時に電子ビーム 3が有するエネルギ一分散に比べて格段に揃っている。エネルギーが揃った電子ビーム 3は減速電極 1 3に加えられた減速電圧 Vdに応じて減速し、測定サンプル 4の手前で低いエネルギ一を有する状態となる。測定サンプル 4の表面の電位は電流計 5に印加されたバイァス電圧 Vmによって制御される。したがって、測定サンプル 4の表面においては、減速電極 13で得られるエネルギーよりもさらに低いエネルギーを持つ電子ビーム 3に変換される。

[0069] 測定サンプノレ 4は容量的に電流計 5と接続されている。しかし、測定サンプル 4と電極 10の間に生じる容量は、測定サンプル 4と電子ビーム源 2との間に生じる容量と比較して非常に大きレ、。そこで、電流計 5に加えられたバイアス電圧 Vmはほとんど電子ビーム源 2と測定サンプル 4との間に実質的に加えられる。

[0070] [第 9実施形態]

図 9は、本発明の第 9実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 9において図 1から図 8の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 7実施形態との相違点は、制御信号発生部 8が測定タイミング信号を出力する点である。すなわち、制御信号発生部 8は、電流計 5の電流測定タイミングと同期して、可変電源 7によるバイアス電圧 Vmの印加のタイミングを制御する制御手段をなしている。

[0071] 換言すれば、本実施形態の電流測定装置では、電流計 5に可変電源 7によりバイァス電圧 Vmを印加するタイミングと、電流計 5が電流を測定するタイミングとを同期させる。

[0072] 測定を行わない通常状態ではバイアス電圧 Vmは非印加又はあるグローバルに設定された電圧に維持されている。そして、電流計 5で測定が実際に行われるタイミングに同期して、電流計 5にバイアス電圧 Vmが印加される。バイアス電圧 Vmが印加されるタイミングは、非常に短い周期の交流信号であっても良いし、比較的長いオンォフ信号であってもかまわない。

[0073] 本実施形態の電流測定装置によれば、電流計 5を介しての測定サンプル 4へのバィァス電圧 Vmの印加のタイミングと、電流測定タイミングとを同期させることができる。これにより、電流測定において問題となるホワイトノイズなどを簡便に除去することができ、測定サンプル 4に流れる電流などの測定について感度及び精度をさらに向上させること力できる。

[0074] [第 10実施形態]

図 10は、本発明の第 10実施形態に係る電流測定装置の全体構成を示す図である。図 10において図 1から図 9の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 8実施形態との相違点は、本実施形態では電極 10を有している点である。

[0075] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、測定サンプル 4の下に、その測定サンプル 4との間で容量結合するプレート状の電極 10が付設されている。したがって、電極 10と測定サンプル 4との間は交流的に接続されている。電極 10は、測定サンプノレ 4とほぼ同じ大きさを有しており、他の寄生容量と比較して非常に大きな容量を形成している。そして、測定サンプル 4の下に設けられた電極 10には電流計 5が直接接続されている。その他の構成部分と動作は、図 9に示した第 9実施形態の電流測定装置と同様である。

[0076] [第 11実施形態]

図 11は、本発明の第 11実施形態に係る電流測定装置の要部構成を示す図である。図 11において図 1から図 10の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態は上記の各実施形態の電流測定装置における電流計 5の具体例としての電流測定回路 5aを示してレ、る。

[0077] 電流測定回路 5aは、演算増幅器 14と、演算増幅器 14の正入力端子にバイアス電圧 Vmを印加するバイアス電源 6と、演算増幅器 14の出力端子と負入力端子との間に配置された高抵抗器 R1とを有してなる。演算増幅器 14の負入力端子には測定サンプル 4が電気的に接続されている。

[0078] これらにより、電流測定回路 5aは演算増幅器 14を用いた電流電圧変換回路を構成している。測定すべき電流は演算増幅器 14の負入力端子に導入される。負入力端子は演算増幅器 14を構成する FETトランジスタのゲートに内部的には接続されており、演算増幅のための元信号となる。演算増幅器 14は 2つの入力端子の電圧差がゼロボルトになるように動作する。そのため、負入力端子に入力された電流と同じ大きさになるように高抵抗器 R1をバイアスする。このバイアスに必要な電圧が演算増幅器 14の出力となる。

[0079] 一方、演算増幅器 14が正常に動作しているときは、演算増幅器 14の正入力端子と負入力端子間の電圧がゼロボルトになるように制御されている。従って、演算増幅器 14の正入力端子にバイアス電圧 Vmを加えると、そのバイアス電圧 Vmと負入力端子の電圧は同じになる。したがって、測定サンプル 4に直接電圧を加えなくても、演算増幅器 14の正入力端子に電圧をカ卩えることで、実質的に測定サンプル 4の電位を変化させることができる。そこで、電子ビーム照射エネルギー Eirから演算増幅器 14の正入力端子に印加されたバイアス電圧 Vmを引いたエネルギーに相当する電子ビームが測定サンプル 4に照射される。

[0080] そこで、本実施形態の電流測定装置は、電子ビーム源 2から高工ネルギ一の電子ビームを放出しても、測定サンプル 4が受ける実効エネルギーを小さくでき、測定サンプル 4に対してダメージを与えることなぐ測定サンプル 4に流れる電流の測定について感度と精度を向上させることができる。

[0081] [第 12実施形態]

図 12は、本発明の第 12実施形態に係る電流測定装置の要部構成を示す図である。図 12において図 1から図 11の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 11実施形態との相違点は、本実施形態ではバイアス電源 6を備えず、可変電源 7と制御信号発生部 8とを有している点である。可変電源 7は、演算増幅器 14における正入力端子に可変電圧を印加する演算増幅器用可変電源をなすものである。制御信号発生部 8は可変電源 7の出力電圧を制御する電圧制御信号を出力するものである。

[0082] すなわち、本実施形態の電流測定装置では、演算増幅器 14に加えるバイアス電圧 Vmを制御信号発生部 8からの電圧制御信号により可変とする。制御信号発生部 8は、電圧制御信号を出力することで、測定サンプル 4における電子ビームの実質的なェネルギーレベルを可変することができる。ここで、電圧制御信号によって可変制御されるバイアス電圧 Vmは、サイン波、矩形波又はノコギリ波などの周期的な信号でもよいし、トリガー的なワンショット信号でもよい。

[0083] これらにより、本実施形態の電流測定装置は、測定サンプル 4の属性などに応じて、最適なバイアス電圧 Vmの印加形態を選んで電流測定などをすることができ、より高精度にプロセス評価などをすることができる。

[0084] [第 13実施形態] 図 13は、本発明の第 13実施形態に係る電流測定装置の要部構成を示す図である。図 13において図 1から図 12の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態と第 12実施形態との相違点は、制御信号発生部 8がアパーチャ 12に対して照射タイミング制御信号を出力する点である。より具体的に述べると、アパーチャ上部に存在するブランキング電極に電圧を印加して電子ビームがアパーチャを通り抜けないようにすることで、電子ビームの照射タイミングを決定する。あるいは、ァパ一チヤ自身の大きさが電気信号によって変化する機構をもちいてもよレ、。

[0085] すなわち、本実施形態の電流測定装置は、演算増幅器 14に加えるバイアス電圧 V mを電子ビーム照射タイミングと同期させる。制御信号発生部 8は、測定サンプル 4に流れる電流の測定を行うタイミングと同期して、アパーチャ 12における電子ビームの断続と可変電源 7でのバイアス電圧 Vmとを制御する。

[0086] 本実施形態の電流測定装置によれば、電子ビームのオンオフタイミングと、電流測定回路 5aでの測定タイミングとを同期させることによって、外部から測定系に入り込む非同期なノイズ (ホワイトノイズなど）を簡便に除去することが可能となる。

[0087] 以上説明したように、本発明の電流測定装置においては、非常に低いエネルギーを持つ電子ビームを利用して測定することができる。低いエネルギーを有する電子ビームは、二次電子放出確率を向上させ、測定感度を高くすることができる。また、低いエネルギーを有する電子ビームは、測定サンプルに対してダメージを与えない。

[0088] また、本発明によれば、電子ビーム源の設定を変えることなぐ電子ビームのェネルギーレベルを大きく変えられるので、高速で電子ビームのエネルギーレベルを変更できる。

このため、電子ビームのエネルギーレベルを変更した後に同じ場所に電子ビーム照射できるので、複数のエネルギーレベルの電子ビームを用いて測定する場合、測定精度を著しく向上させることができ、またスループットを向上させることができる。

[0089] また、本発明によれば、 1つの電子ビームエネルギーを設定するときに、電子ビーム源側及び電流測定回路側のそれぞれで、レ、ろレ、ろな条件の組み合わせができる。例えば、電子ビーム源に印加する高圧電源 Vh、加速電圧 Va、減速電圧 Vd、ノァス電圧 Vm、バイアス電圧 Vmの波形などを組み合わせることができる。その結果、平均的には同じエネルギーを持つ電子ビームのエネルギー分散状態や空間分布についての調節が可能なので用途に応じて最適な組み合わせの電子ビーム照射形態を選んで使用できる。

[0090] 例えば、上述の実施形態では、測定サンプルへの電子ビームの照射によりその測定サンプノレに流れる電流を測定することとしたが、本発明はこれに限定されず、測定サンプノレへの電子ビームの照射によって発生した散乱電子又は二次電子を回収する回収電極を設け、その回収電極に流れる電流について、上記実施形態と同様にして測定することとしてもよレ、。

また、本発明の実施形態においては、電子ビームをプローブとして測定サンプルに照射する例のみ示したが、同様の測定を行うために、光などの電磁波、イオンビーム、音波、振動などを電子ビームの代わりにプローブとして適用することも可能である。

[0091] 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の電流測定装置及び電流測定方法は、上述の実施形態に限定されるものではなぐ本発明の要旨を逸脱しなレ、範囲内におレ、て種々変更をカ卩ぇ得ることは勿論である。

産業上の利用可能性

[0092] 本発明は、電子ビームの照射により半導体基板などの測定サンプノレに流れる電流などを測定する際に、測定サンプノレして対してダメージを与えることなぐその測定について感度と精度を向上させるので、本発明は、各種の電流測定装置及び電流測定方法等に有用である。

Claims

請求の範囲

[1] プローブを測定サンプルに照射するプローブ照射部と、

前記測定サンプルと電気的に結合され、前記測定サンプルにプローブを照射したときに前記測定サンプルに流れる電流を測定する、電流測定回路と、

前記電流測定回路と電気的に結合され、前記電流測定回路に電圧を印加する電圧印加部と、

を少なくとも含む電流測定装置。

[2] 前記電流測定回路と電気的に結合すると共に、前記測定サンプノレに容量結合する容量電極を、更に含み、

前記電流測定回路は、前記容量電極に流れる電流を測定する請求項 1に記載の電流測定装置。

[3] 前記プローブ照射部による前記測定サンプノレへのプローブの照射によって、前記測定サンプルに発生した散乱電子及び二次電子の少なくとも一方を回収する回収電極を、更に含み、

前記電流測定回路は、前記回収電極と接続され、前記電流測定回路に流れる電流を測定する請求項 1に記載の電流測定装置。

[4] 前記プローブ照射部は、

前記プローブとして働く電子ビームを発生する電子ビーム源と、

前記電子ビーム源から放出された電子ビームの一部分を通過させるアパーチャを有するアパーチャ部と、

を少なくとも含む請求項 1に記載の電流測定装置。

[5] 前記プローブ照射部は、

前記電子ビーム源により発生した第 1のエネルギーレベルを有する電子ビームを、前記第 1のエネルギーレベルより高い第 2のエネルギーレベルに変換する第 1のエネノレギー変換部と、

前記第 2のエネルギーレベルに加速された電子ビームの一部分を通過させるァパ一チヤを有するアパーチャ部と、を少なくとも含む請求項 1に記載の電流測定装置。

[6] 前記第 1のエネルギー変換部は、

前記電子ビームを加速する加速電極と、

前記加速電極と電気的に結合され、前記加速電極に電圧を印加する加速電源と、を含む請求項 5に記載の電流測定装置。

[7] 前記プローブ照射部は、更に、

前記アパーチャを通過した電子ビームの第 2のエネルギーレベルを、前記第 2のェネルギーレベルより低い第 3のエネルギーレベルに変換する第 2のエネルギー変換部を、

含む請求項 5に記載の電流測定装置。

[8] 前記第 2のエネルギー変換部は、

前記電子ビームを減速する減速電極と、

前記減速電極と電気的に結合され、前記減速電極に電圧を印加する減速電源と、を含む請求項 7に記載の電流測定装置。

[9] 前記電圧印加部は、

前記電流測定回路と電気的に結合され、前記電流測定回路に可変電圧を印加する可変電源を、

含む請求項 1に記載の電流測定装置。

[10] 前記可変電源と電気的に結合され、前記可変電圧のレベルを制御する電圧制御部を、

更に含む請求項 9に記載の電流測定装置。

[11] 前記制御部は、更に、前記電流測定回路と電気的に結合され、前記電流測定回路の電流測定タイミングを制御すると共に、前記電流測定タイミングと同期して前記可変電源による前記電流測定回路への電圧印加のタイミングを制御する請求項 10 に記載の電流測定装置。

[12] 前記電流測定回路は、

前記測定サンプルと電気的に結合された第 1の入力端子と、前記電圧印加部と電気的に結合された第 2の入力端子と、出力信号を出力する出力端子とを有し、前記測定サンプルに流れる電流を増幅する前記演算増幅器を、

含む請求項 1に記載の電流測定装置。

[13] 前記電圧印加部は、

前記演算増幅器の前記第 2の入力端子と電気的に結合され、前記第 2の入力端子に可変電圧を印加する可変電源を、

含む請求項 12に記載の電流測定装置。

[14] 前記可変電源と電気的に結合され、前記可変電圧のレベルを制御する電圧制御部を、

更に含む請求項 13に記載の電流測定装置。

[15] 前記制御部は、更に、前記プローブ照射部と電気的に結合され、前記プローブ照射部のプローブ照射タイミングを制御すると共に、前記プローブ照射タイミングと同期して前記可変電源による前記演算増幅器への電圧印加のタイミングを制御する請求項 14に記載の電流測定装置。

[16] 前記プローブ照射部は、電子ビーム、イオンビーム、電磁波、音波、振動のうちの少なくとも 1つを前記測定サンプノレに照射する請求項 1に記載の電流測定装置。

[17] プローブを測定サンプルに照射し、前記測定サンプルに流れる電流を発生させる工程と、

電流測定回路にバイアス電圧を印加する工程と、

前記電流測定回路に電圧を印加した状態で、前記測定サンプルに流れる電流を前記電流測定回路により増幅し測定する工程と、

を少なくとも含む電流測定方法。