WO2006061886A1

WO2006061886A1 - 眼用レンズ容器および該眼用レンズ容器のパッケージ品

Info

Publication number: WO2006061886A1
Application number: PCT/JP2004/018219
Authority: WO
Inventors: Masayoshi Tanaka
Original assignee: Menicon Co., Ltd.
Priority date: 2004-12-07
Filing date: 2004-12-07
Publication date: 2006-06-15
Also published as: EP1825775A4; EP1825775A1; JP4579254B2; JPWO2006061886A1

Abstract

　本発明の課題は、特別な道具等を必要とすることなく、コンタクトレンズ等の眼用レンズを容器本体の窪み内に残置させつつ、保存液等の液体を窪みから排出させることの出来る、新規な構造の眼用レンズ容器を提供することにある。　かかる課題を解決するために、本発明は、眼用レンズ容器１０を構成する容器本体１２において、窪み２４の開口部内面２８の平面形状を略ハート形状として、この開口部内面２８におけるハート形下部の狭まった部分では、周方向の曲率半径：ｒａを眼用レンズ１６の前面の曲率半径よりも小さくすると共に、該窪み２４の開口部内面２８におけるハート形両側部では、周方向の曲率半径：ｒｂを眼用レンズ１６の前面の曲率半径よりも大きくし、更に該窪み２４の開口部における内接円の直径寸法を、該眼用レンズの外径寸法よりも大きくした。

Description

明細書

眼用レンズ容器および該眼用レンズ容器のパッケージ品

技術分野

[0001] 本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズを保存液に浸漬した状態で収容して、眼用レンズを提供したり、或いは搬送，保存等する、適宜の用途に用いられる眼用レンズ容器に関するものである。

背景技術

[0002] 従来から、コンタクトレンズを収容するレンズ容器の一種として、ブリスター包装構造のものが知られている。例えば特開平 7— 322011号公報 (特許文献 1)ゃ特開平 9— 23916号公報 (特許文献 2) ,米国特許第 6050398号明細書 (特許文献 3)等に記載されているの力それである。このようなブリスター包装構造のレンズ容器は、一般に、半球状の窪みと開口周縁部から開口方向（窪みの中心軸方向）に対して略直交する方向に広がるフランジ部を一体形成したパッケージ本体を用い、その窪みに眼用レンズや保存液を収容すると共に、プラスチックフィルムやアルミ泊等で形成された蓋体を窪みの開口部に重ね合わせて、該蓋体をパッケージ本体のフランジ部に固着して、窪みの開口部を覆蓋せしめた構造とされている。

[0003] ところで、このようなレンズ容器では、窪みに収容したコンタクトレンズを残したままで、窪みに収容された液体だけを流出させることが必要となる場合がある。具体的には、例えば、コンタクトレンズの提供者において、窪みに保存液とコンタクトレンズを収容して蓋体で封止するまでの工程で、窪みにコンタクトレンズと共に洗滌液等の処理液を入れて適当な処理を施した後に、コンタクトレンズを残して処理液だけを流出せしめた後、保存液を窪みに注入する作業が行われる場合がある。或いは、コンタクトレンズの使用者において、蓋体を剥離して窪みを開口させた後、窪みから保存液だけを排出せしめた後に、窪みに残ったコンタクトレンズを取り出す場合がある。

[0004] このように、窪みに収容された液体を、コンタクトレンズを窪みに残置したままで排出する場合に、その作業を容易に且つ確実に行うことが要求される。そのためには、レンズ容器を傾斜させた際、特別な道具を必要とすることなぐコンタクトレンズを窪み内にとどまらせることが出来て、液体だけが、窪みの開口周縁部における周上の特定位置力も排出されるようにすることが望まし、。

[0005] ところが、前記の各特許公報に記載されて!、る従来構造のレンズ容器では、このような視点からの検討が加えられておらず、窪みの内面形状として、単純な凹形球面形状が採用されているものが多力つた。改良物として提案されているものも、単にコンタクトレンズを取り出し易!、ようにスロープを設けたに過ぎな、ものであった。

[0006] そのために、上述のように窪み力液体を流出させようとした際、コンタクトレンズも一緒に流出してしま！/、易ぐ作業が難し、と、う問題があつたのである。

[0007] 特許文献 1 :特開平 7— 322011号公報

特許文献 2 :特開平 9—23916号公報

特許文献 3：米国特許第 6050398号明細書

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、液体に浸漬して眼用レンズを収容せしめた窪みから、眼用レンズを残置したままで液体だけを容易に排出することの出来る、新規な構造の眼用レンズ容器を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009] 以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載力も当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。

[0010] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 1〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 1の特徴とするところは、

(a)眼用レンズと保存液を収容する窪みを備えたレンズ収納部に対して、該窪みの開口周縁部から外周方向に広がるフランジ状部を一体形成せしめた容器本体と、該容器本体に重ね合わせられて該窪みの開口部を覆う覆蓋シートとを備え、該覆蓋シ一トを該容器本体における該窪みの開口部の周りで全周に亘つて剥離可能に固着することにより、該レンズ収納部を流体密に封止せしめた眼用レンズ容器において、

(b)前記窪みの底部内面を略球状凹面形状として、該窪みの底部内面における縦断面での径方向の曲率半径を前記眼用レンズの前面の曲率半径より大きくする一方

(c)該窪みの開口部内面において周方向の曲率半径を周上で変化させて、該窪みの開口部内面の平面形状を略ハート形状として、

(d)略ノヽート形状とした該窪みの開口部内面におけるハート形下部の狭まった部分では、周方向の曲率半径を前記眼用レンズの前面の曲率半径よりも小さくすると共に

(e)略ノ、ート形状とした該窪みの開口部内面におけるハート形両側部では、周方向の曲率半径を該眼用レンズの前面の曲率半径よりも大きくし、

(f) 更に該窪みの開口部における内接円の径寸法を、該眼用レンズの外径寸法よりち大さくした

眼用レンズ容器にある。

[0011] 先ず、従来構造のレンズ容器について見ると、何れも、眼用レンズを収容する窪みの球状凹形の内面が、その全体に亘つて、そこに収容される眼用レンズの球状凸形の前面の曲率半径: Rよりも大きな曲率半径をもって形成されていた。それ故、窪みに収容された眼用レンズの前面は、その中央の一点で、窪みの内面に対して点接触した状態となっており、レンズ容器を傾けて窪み力も液体を排出させる際にも、眼用レンズは窪み内面に対して僅かに一点で点接触して、るだけであるから、有効な摩擦力や係止作用が発揮され難ぐそのために、液体と共に眼用レンズまで、窪みから排出されてしまう危険性が非常に大きいのであろうという知見を、本発明者は得たのである。

[0012] 力かる知見に基づいて発明された上述の如き本発明に係る眼用レンズ容器においては、窪みを平面視において非円形で略ノヽート形状を有する極めて特殊な形状をもつて形成した。これにより、ハート形下部の狭まった部分を鉛直下方に下げるように容器全体を傾斜させて液体を排出させる作業中に、眼用レンズがハート形下部に移動してくると、ハート形下部の内面の周方向の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する眼用レンズの前面は、窪みにおけるハート形下部の内面に対して周上の 2箇所で接触せしめられる。特に軟ら力いソフトコンタクトレンズ等の場合には、 2箇所の接触部位と、それら接触部位間における眼用レンズと窪み内面との狭い対向面間で液体の表面張力が作用することにより、眼用レンズが窪み内面に沿うようにして変形してより広い領域での面接触状態となって、眼用レンズが窪み内面に接触せしめられることとなる。

[0013] その結果、眼用レンズに対する窪み内面の摩擦や吸着等に基づく係止力や、眼用レンズを周方向両側力挟圧するように当接力が及ぼされることに基づく係止力が有効に作用せしめられ得て、眼用レンズが窪み内面に対して係止され易くなるのであり、特別な道具を使わなくても、眼用レンズを容器内に残置したまま、液体だけを容易に排出させることが可能となるのである。

[0014] なお、本発明は、窪みに収容される眼用レンズや液体の種類や材質等に拘わらず適用可能である。その際、眼用レンズと液体の各比重が略等しいことにより、眼用レンズが液体中に略浮ヽた状態で収容されて！ヽる場合でも、本発明は有利に適用される。蓋し、容器を傾斜させると先ず液体が流出するから、水位が下がり、眼用レンズの一部が水面上に突出する。眼用レンズは、この状態で窪み内面に当接することになるから、眼用レンズの重量によって眼用レンズと窪み内面との当接圧が確保されることとなる。

[0015] し力も、ハート形の先細りの下部を利用して、そこ力も液体を排出するようにされることから、容易から排出される液体を、窪みの開口部の全周上で十分に狭い範囲の一箇所に集めて力排出することが可能となる。それ故、窪み力の液体の排出位置を固定的に特定することが出来て、液を目的とする場所に正確に安定して排出することが可能となるのであり、それによつて、容器力排出された液体の回収等の処理も容易となる。

[0016] また、ハート形の両側の曲率半径が大きい左右部分を利用して、そこから眼用レンズを取り出すことが出来ることから、眼用レンズを窪み内面に滑らせて取り出す場合でも、前述の如き従来構造のレンズ容器と同様に、眼用レンズの前面を 1点だけで窪み内面に当接させて小さい摩擦力や係止力の作用下でスムーズに、且つ良好な作業性をもって眼用レンズを取り出すことが出来るのである。

[0017] さらに、平面視においてハート形という特殊形状を採用したことにより、前述の特許文献 1に記載されて、るものと異なり、排液時の傾斜方向線を挟んだ左右両側で窪みが対象形状とされる。それ故、作業者の利き腕の相違に関係なぐ右利きでも左利きでも、液体の排出や眼用レンズの取り出し等の操作を同様に行うことができるという利便性がある。

[0018] カロえて、本発明に係る眼用レンズケースが特に多用されるコンタクトレンズにおいては、その需要者に関して若年層が多ぐし力も女性が多いという特殊性がある。そのような需要者層にとって、非常に好感のもてるハート形をモチーフとした全体形状を採用しつつ、上述の如き技術的に優れた作用効果を発揮し得るところにも、意匠的および嗜好的なことを考慮した産業上の貢献度に関して、本発明の大きな特徴が存するのである。

[0019] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 2〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 2の特徴とするところは、前記態様 1に係る眼用レンズ容器において、略ノヽート形状とした前記窪みの開口周縁部におけるハート形下部の狭まった下端部の周方向曲率半径: raを、前記眼用レンズの前面の曲率半径: Rに対して、式: 0. 2≤ra/R≤0. 4を満足するように設定したことを、特徴とする。

[0020] 本態様の眼用レンズ容器では、ハート形状としてのレンズ容器の全体意匠を良好に保ちつつ、眼用レンズが 2点で当接せしめられて有効な係止力が安定して発揮され得る窪み内面を、ハート形下部において一層有利に形成することが可能となる。

[0021] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 3〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 3の特徴とするところは、前記態様 1又は 2 に係る眼用レンズ容器において、略ハート形状とした前記窪みの開口周縁部におけるハート形左右の両側部の周方向曲率半径: rbを、前記眼用レンズの前面の曲率半径: Rに対して、式： 1. 2≤rb/R≤2. 0を満足するように設定したことを、特徴とする [0022] 本態様の眼用レンズ容器では、ハート形状としてのレンズ容器の全体意匠を良好に保ちつつ、眼用レンズを滑らせて取り出す作業を容易に且つスムーズに行うことの出来る窪み内面を、ハート形左右の両側部において一層有利に形成することが可能となる。

[0023] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 4〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 4の特徴とするところは、前記態様 1乃至 3 の何れかの態様に係る眼用レンズ容器において、略ハート形状とした前記窪みの底部内面における縦断面での径方向曲率半径: rcを、前記眼用レンズの前面の曲率半径: Rに対して、式： 1. 2≤rc/R≤l. 6を満足するように設定したことを、特徴とする。

[0024] このような本態様に従えば、眼用レンズ容器を略水平に静置した状態下で、窪みの底部に位置せしめられた眼用レンズが、窪み内面に対する局部的な当接等で不自然な歪等を伴うことなぐ安定して収容保持され得るレンズ容器が、著しい大型化を伴うこともなぐ有利に実現可能となる。なお、窪みの底部とは、窪みの最深点から眼用レンズの軸方向高さ寸法と略等しい深さに相当する領域であり、この深さ領域の窪み内面の曲率半径: Rを上式に従って設定することにより、眼用レンズが窪み内に有禾 IJ〖こ収容され得ることとなる。

[0025] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 5〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 5の特徴とするところは、前記態様 1乃至 4 の何れかの態様に係る眼用レンズ容器において、前記窪みの開口部の周りで前記フランジ状部に対して固着せしめた前記覆蓋シートを、前記ハート形状とした該窪みの開口周縁部におけるハート形下部の狭まった下端部において、該フランジ状部に対する固着部から更に外方に延び出させて摘み部を形成し、この摘み部を摘んで該覆蓋シートを該フランジ状部力も剥離させることが出来るようにしたことを、特徴とする。

[0026] 本態様の眼用レンズ容器では、覆蓋シートの開け始めの剥離部分がハート形下部の形状によって狭められて、ることから、覆蓋シートの剥離方向に対して直交する方向に延びる接着面の幅寸法が小さぐ覆蓋シートの剥離強度が小さく抑えられる。それ故、開蓋性が向上されてスムーズな開蓋が可能になると共に、窪みの開口に際して、覆蓋シートの剥離に伴って容器本体に生ぜしめられる揺れ等の反動が抑えられて、保存液が窪みの開口部力大きく零れ落ちることも防止されるのであり、レンズの取り出しが一層容易となる。

[0027] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 6〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 6の特徴とするところは、眼用レンズと保存液を収容する窪みを備えたレンズ収納部に対して、該窪みの開口周縁部から外周方向に広がるフランジ状部を一体形成せしめた容器本体と、該容器本体に重ね合わせられて該窪みの開口部を覆う覆蓋シートとを備え、該覆蓋シートを該容器本体における該窪みの開口部の周りで全周に亘つて剥離可能に固着することにより、該レンズ収納部を流体密に封止せしめた眼用レンズ容器において、前記窪みの底部内面を略球状凹面形状として、該窪みの底部内面における縦断面での径方向の曲率半径を前記眼用レンズの前面の曲率半径より大きくする一方、該窪みの開口部内面における周上の少なくとも一部において、縦断面での径方向の曲率半径が前記眼用レンズの前面の曲率半径より小さい立上り状湾曲部分を設けた眼用レンズ容器にある。

[0028] このような本態様の眼用レンズ容器では、眼用レンズ容器を略水平に静置することにより眼用レンズが窪みの底部に収容位置せしめられた状態下にお、て、眼用レンズの前面より大きな曲率半径の球状凹面力もなる底部内で、眼用レンズが、局部的な変形等を伴うことなく安定して収容され得る。一方、眼用レンズ容器を傾けて液体だけを排出する場合には、液体と共に眼用レンズが底部から開口部に移動した際に、眼用レンズの前面より小さな曲率半径とされた窪みの開口部内面において、窪みの径方向（縦断面方向）の 2箇所で眼用レンズが当接せしめられることとなる。その結果、眼用レンズに対する窪み内面の摩擦や吸着等に基づく係止力や、眼用レンズを周方向両側から挟圧するように当接力が及ぼされることに基づく係止力が有効に作用せしめられ得て、眼用レンズが窪み内面に対して係止され易くなるのであり、特別な道具を使わなくても、眼用レンズを容器内に残置したまま、液体だけを容易に排出させることが可會となるのである。

[0029] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 7〕眼用レンズ容器に関する本発明の態様 7の特徴とするところは、上記態様 6に係る眼用レンズ容器であって、前記眼用レンズ容器力前記態様 1乃至 5の何れかに記載の構成を備えており、前記窪みの開口部内面におけるハート形下部の狭まった部分の中央を挟んだ周方向両側が前記立上り状湾曲部分とされていることを、特徴とする。

[0030] 本位態様に従う構造の眼用レンズ容器では、眼用レンズ容器を傾けてハート形下部の狭まった部分から排液する際、眼用レンズ容器の開口部近くまで液体と共に移動してきた眼用レンズが窪みの内面に対して、その周方向の 2箇所がハート形下部の狭まった部分の中央を挟んだ周方向両側に当接せしめられると共に、縦断方向（径方向)も立上り状湾曲部分における 2箇所で当接せしめられることとなる。それ故、前記態様 1に記載の構成に基づく眼用レンズの窪み内への係止効果と、前記態様 6 に記載の構成に基づく眼用レンズの窪み内への係止効果とも、併せて発揮され得て、より有効に且つ安定して、眼用レンズの窪みからの流出が防止される。

[0031] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 8〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 8の特徴とするところは、上記態様 1乃至 7 の何れかに係る眼用レンズ容器において、前記窪みの開口部内面における周上の少なくとも一部を、該窪みの開口周縁部から深さ方向に少なくとも 2mmの領域に亘つて、縦断面での該窪みの中心軸に直交する平面に対する傾斜角度が 45度以上となる傾斜面としたことを、特徴とする。

[0032] 本態様の眼用レンズ容器においては、液体を排出する際に 45度まで傾けても、窪みの開口周縁部の内面は未だ水平状態か、或いは底部から開口部に行くに従って上方に向力傾斜状態に維持されることとなる。それ故、窪み力液体の殆どを排出させつつ、この未だ略水平状態や上向状態に維持された開口周縁部において、眼用レンズを、まるで引っ掛力つた状態で、窪み内に残置させることが出来る。従って、上述の如き周方向における 2点或いは縦断方向における 2点での当接による係止作用と相俟って、たとえ眼用レンズが窪みの開口部近くまで滑ってきた場合でも、窪みの開口部に留めて、排出されてしまうことを防止することが可能となるのである。

[0033] また、本態様では、眼用レンズを、窪み開口周縁部に引っ掛けるようにして積極的に留めて保持せしめることが出来ることから、排液後に、眼用レンズを、その一部が窪み開口部から外方に突出した状態に保持せしめることが可能となる。このように眼用レンズを、その一部が窪み力外方に突出した状態とすることで、眼用レンズを窪みから取り出す際に、眼用レンズを窪み内面に滑らせることなぐ摘み上げて操作することが出来るのであり、それによつて、眼用レンズのケース容器力もの取り出しを、損傷を回避しつつより安全に行うことも可能となる。

[0034] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 9〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 9の特徴とするところは、前記態様 1乃至 8 の何れかに係る眼用レンズ容器にぉ、て、前記窪みの最深部に位置する前記底部内面の略中央に位置して、前記眼用レンズの前面の曲率半径より小さな曲率半径を有する該円形凹陥部を形成して、該円形凹陥部を φ 1mm— 5mmの開口径で該窪みの底部内面に開口せしめたことを、特徴とする。

[0035] 本態様の眼用レンズ容器においては、眼用レンズ容器を略水平に静置することにより眼用レンズが窪みの最深部に位置せしめられた状態下で、眼用レンズの前面の中央部分が、円形凹陥部の開口周縁部に対して円形の周状に線当たりして支持せしめられることとなる。これにより、静置状態下で眼用レンズの前面の中央一点が窪み内面に対して当接することが回避されることとなり、眼用レンズの容器内での安定支持が実現される。また、中央一点での点当たりで眼用レンズを容器内に支持せしめる場合に比して、線当たりとすることで眼用レンズに作用する外力が分散されることとなり、特に、眼用レンズが、その略中心軸回りで円形環状に当接支持せしめられることから、眼用レンズの中心軸回りで略均等な外力作用が実現され得て、いびつな変形等も防止されることとなり、窪み内での眼用レンズの良好な支持形態が実現され得る

[0036] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 10〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 10の特徴とするところは、前記態様 1乃至 8 の何れかに係る眼用レンズ容器にぉ、て、前記窪みの最深部に位置する前記底部内面の略中央に位置して、 φ 1mm— 3mmの外径寸法で軸直角方向に広がる略平坦な円形平坦部を形成したことにある。 [0037] 本態様の眼用レンズ容器においては、眼用レンズ容器を略水平に静置した保存状態下でも僅かな外力が作用すること等によって、窪みに収容された眼用レンズの前面の窪み内面への当接部位が、円形平坦部上で変位し易くなつている。それ故、窪みの特定部位へ長期間に亘つて眼用レンズが接触し続けることを回避することが可能となる。加えて、眼用レンズ容器の底部内面を円形平坦面としたことで、球状凹面形状とした場合に比して、眼用レンズに対して当接反発力を生ぜしめ易くなる。それ故、例えば一時的な外力の作用で眼用レンズが窪みの底面に押し付けられても、円形平坦部の当接反発力でレンズが浮き上がって変形力も解放され易くなる。その結果、収容状態下における眼用レンズの大きな変形を回避し易いという効果も期待できる。

[0038] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 11〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 11の特徴とするところは、前記態様 1乃至 1 0の何れかの態様に係る眼用レンズ容器において、前記窪みの内面の表面粗さを、その最大高さ： Ryの値が Ry≤ 5 μ mとなるようにしたことにある。

[0039] 本態様の眼用レンズ容器においては、眼用レンズの前面が当接することとなる窪みの内面を比較的滑らかな面としたことにより、眼用レンズの損傷が軽減される。即ち、例えば使用者が眼用レンズを窪みから取り出す際に、眼用レンズを手指で押さえな力 Sら窪みの内面を滑らす場合でも、窪みの内面との擦れに起因する眼用レンズ表面の傷等が効果的に防止されると共に、比較的滑らかな窪み内面によって眼用レンズをスムーズに取り出すことが可能となる。

[0040] すなわち、窪みの内面を滑らかにすると、窪みから液体だけを排出する際に眼用レンズを窪み内に残置させることが難しくなるが、前述の如ぐ本発明では特定形状の窪み内面を採用して、眼用レンズを窪み内面に対して少なくとも 2点で有効に係止し得るようにしたことから、液体の排出時には眼用レンズを窪み内に係止させることを可能と為しつつ、眼用レンズを使用する際には滑らかな窪み内面に沿って容易に取り出すことを可能と為し得たのである。

[0041] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 12〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 12の特徴とするところは、前記態様 1乃至 1 0の何れかの態様に係る眼用レンズ容器において、前記窪みの内面の表面を、サンドペーパーの 800グリッドよりも細かい表面粗さとしたことを、特徴とする。

[0042] このような本態様の眼用レンズ容器においても、上述の態様 11の眼用レンズ容器と同様な作用効果が発揮され得る。

[0043] なお、これら本発明の態様 11又は態様 12において、窪み内面の表面粗さは、余り平滑過ぎるよりも或る程度の粗さを備えている方が、望ましい。それにより、例えば、液体を排出する際に眼用レンズを窪み内に係止させる力を得易いことや、また、特定のレンズ材料とケース材料の組み合わせによって発生するおそれのある眼用レンズの窪み内面への吸着現象を回避出来る等といった効果が期待できる。

[0044] 具体的には、窪み内面の表面は、シボ状の凹凸を備えていることが望ましぐその粗さは、窪み内面を成形する金型に関して「ランクテーラーホブソン社」製の「フォームタリサーフ」を使用した測定値として、水平方向と垂直方向の何れにおいても平均値が 1. 0 m以上であることが望ましぐより好適には同 2. O /z m以上とされる。

[0045] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 13〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 13の特徴とするところは、前記態様 1乃至 1 2の何れかの態様に係る眼用レンズ容器にぉヽて、容器本体を透明榭脂材料によつて形成し、前記レンズ収納部における前記窪みの軸方向での可視光線の透過率を 8 0%以上としたことを、特徴とする。

[0046] 本態様の眼用レンズ容器においては、例えば眼用レンズを収容せしめた商品としての眼用レンズ容器の製造工程や出荷前、出荷後の適当な工程において、眼用レンズ容器の窪みにおける眼用レンズの存否や良否等を、外部から容器を通して、目視により、或いは適当な光学手段により、確認することが可能となる。

[0047] 特に、本態様は、前述の態様 11又は態様 12と組み合わせて好適に採用される。それにより、排液時における眼用レンズの流出を防止しつつ窪み内面の表面粗さが平滑ィ匕されることから、窪み内面での光線の乱れが抑えられることとなる。即ち、本態様に従えば、眼用レンズの流出を効果的に防止し得る、本発明に係る眼用レンズ容器において、眼用レンズの流出防止機能を損なうことなぐ更に、眼用レンズの存否を外部から容易に確認することも可能となるのである。 [0048] さらに、本態様 13は、前述の態様 9や態様 10と組み合わせて有利に採用される。特に態様 9と本態様 13を組み合わせた態様では、円形凹陥部の開口周縁部の当接によって眼用レンズを底部の安定位置に保持し続けることで、眼用レンズの観察ゃ検查を一層精度良く行うことが可能となる。また、態様 10と本態様 13を組み合わせた態様では、例えば眼用レンズ容器に僅かな外力を作用させて加振や変位等させることで、窪みに収容された眼用レンズを円形平坦部上で容易に変位させることが出来ることから、眼用レンズの存否や良否等を光学的に確認しづらい場合などでは、眼用レンズを変位させることで、その確認作業を容易に且つ確実に行うことが可能となる。

[0049] 〔眼用レンズ容器に関する本発明の態様 14〕

眼用レンズ容器に関する本発明の態様 14の特徴とするところは、前記態様 1乃至 1 3の何れかの態様に係る眼用レンズ容器であって、前記フランジ状部において、前記窪みの開口周縁部力外周方向に所定距離だけ離れた位置で、該窪みの開口方向と同じ軸方向上方に向力つて或いは該窪みの開口方向と反対の軸方向下方に向かつて屈曲して延びる段差面を周方向の全周に亘つて連続して形成することによって縁切部を構成し、前記覆蓋シートの固着面を、該縁切部よりも外周側に位置して設けたことを、特徴とする。

[0050] 本態様の眼用レンズ容器においては、眼用レンズがレンズ収納部としての窪みから取り出される際、例えば、眼用レンズ力上力指で押さえられつつ、窪みの底部から開口周縁部に向力つて滑らされて、窪みの開口部から摘み上げられて取り出されることとなる。そこにおいて、容器本体と覆蓋シートの固着面が窪みの開口周縁部の外周側に位置する縁切部よりも外周側に設けられており、縁切部の段差面を挟んで、固着面が窪みの開口周縁部から隔てられていることから、かかる眼用レンズの取り出しに際して、覆蓋シートの剥離により、たとえ接着剤や眼用レンズ容器，覆蓋シート等からなるバリ等が発生して容器本体側の固着面が荒らされても、眼用レンズが容器本体側の固着面に接触することが回避される。それによつて、眼用レンズの取り出しに際しての、ノリへの干渉に起因する損傷が防止されて、眼用レンズの容器本体からの取り出しを、一層容易に且つ安全に行うことが出来るのである。なお、本態様においてより好適には、力かる縁切部は、眼用レンズの取出しに際してのノリ等への接触を回避するために、窪みの開口方向と反対の軸方向下方に向力つて屈曲して延びる段差面をもって形成される。

発明の効果

[0051] 上述の説明から明らかなように、請求項 1乃至 14に各記載の本発明に従えば、窪みに眼用レンズを残置させたままで、液体だけを窪み力容易に排出させることが出来ると共に、眼用レンズの取り出しも良好な作業性を持って行うことが出来る、新規な構造の眼用レンズ容器が実現され得る。

[0052] また、請求項 1に記載の如きハート形状とされた、本発明に従う眼用レンズ容器においては、上述の如き優れた機能を実現しつつ、優れた意匠性を併せ備えることが出来るのである。

図面の簡単な説明

[0053] [図 1]本発明の第一の実施形態としてのブリスターパッケージを構成する容器本体にコンタクトレンズを収容せしめた状態を示す斜視図である。

[図 2]図 1に示された容器本体の平面図である。

[図 3]図 2における III III縦断面図である。

[図 4]図 2における IV-IV縦断面図である。

[図 5]図 1に示された容器本体とカバーシートの形状を説明するための平面説明図である。

[図 6]図 1一 5に示された容器本体の具体的な一設計例を示す平面図である。

[図 7]図 6における VII -VII縦断面図である。

[図 8]図 6に示された容器本体へのコンタクトレンズの収容状態を示す平面説明図である。

[図 9]図 8における IX— IX縦断面説明図である。

[図 10]図 1に示された容器本体において保存液を排出する際のコンタクトレンズの係止状態を説明するための正面説明図である。

[図 11]図 1に示された容器本体にぉ、てコンタクトレンズを取り出す際の状態を説明するための正面説明図である。

[図 12]図 6に示された容器本体を傾けて保存液を排出させる際の状態を示す斜視図である。

[図 13]図 1に示された容器本体において採用され得る底部内面の別の具体的形状の一例を示す縦断面拡大図である。

圆 14]本発明の別の実施形態としての容器本体を示す縦断面説明図である。

[図 15]図 14に示された容器本体の平面図である。

符号の説明

[0054] 10 ブリスターパッケージ

12 容器本体

14 カバーシート

16 コンタクトレンズ

18 保存液

20 レンズ収容部

22 フランジ状部

24 窪み

26 底部内面

28 開口部内面

56 立上り状湾曲部

発明を実施するための最良の形態

[0055] 以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。

[0056] 先ず、図 1一 4には、本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズ用のレンズ容器としてのブリスターパッケージ 10力示されている。このブリスターパッケージ 10は、容器本体 12と覆蓋シートとしてのカバーシート 14を含んで構成されており、容器本体 12に眼用レンズとしてのコンタクトレンズ 16や保存液 18を収容して、カバーシート 14を容器本体 12に剥離可能に固着することにより、コンタクトレンズを密封収容すると共に必要に応じて取り出すことが出来るようになって!/、る。

[0057] より詳細には、容器本体 12は、レンズ収容部 20とフランジ状部 22を含んで形成されている。 [0058] レンズ収容部 20は、全体として略半球殻形状とされており、その内部には窪み 24 が形成されている。この窪み 24力保存液 18等の液体やコンタクトレンズ 16の収容スペースとされている。ここにおいて、窪み 24の底部内面 26は、略凹形球状面とされている一方、その開口部内面 28は、周方向の曲率半径: rが周方向で異ならせられており、平面視において略ノヽート形の開口周縁部形状とされている。

[0059] より具体的には、窪み 24の底部は、窪み 24の中心軸上に位置する中央の最深部から、収容されたコンタクトレンズ 16の軸方向高さ寸法と等しいか少し小さな深さ部分までの領域において、その内面における縦断面での径方向曲率半径: rc力コンタクトレンズ 16の前面 30の曲率半径: Rよりも大きくされている。好ましくは、式： 1. 2≤rc /R≤l. 6を満足するように設定されている。これにより、コンタクトレンズ 16を窪み 2 4内に中心軸を合致させて、下方に凸となる状態で収容せしめた際に、コンタクトレンズ 16の前面中央部分のみが窪み 24の内面に接触し、周縁部においては、当接内面との間に隙間が形成されることとなる。

[0060] これにより、ブリスターノ¾ /ケージ 10を略水平に静置した保存状態下で、窪み 24に収容されたコンタクトレンズ 16は、その前面 30が中心軸上の一点だけで窪み 24の内面 (底部内面 26)の最深部に当接した状態とされるようになっており、コンタクトレンズ 16が、外周部分を局部的に圧迫等されたり不自然な歪等を伴うようなことなぐ窪み 2 4に安定して収容保持されるようになって、る。

[0061] 一方、窪み 24の開口周縁部 (底部よりも開口部側に位置する部分)の内面 28は、周方向の曲率半径が周上で変化しており、全体として平面視（図 2参照)で滑らかな略ノヽート形状を呈するように湾曲している。即ち、図 2の上下方向に延びる中心線: X に関して左右対象とされており、図 2中の下端部がハート形下部の狭まった部分とされていると共に、図 2中の左右両側部分が一対の膨らんだノヽート形両側部とされている。

[0062] そして、ハート形下部では、その内面における周方向の曲率半径: mの値力コンタクトレンズ 16の前面 30の曲率半径: Rよりも小さくされている。好ましくは、式： 0. 2 ≤ra/R≤0. 4を満足するように設定されている。また一方、ハート形両側部では、その内面における周方向の曲率半径: rbの値が、コンタクトレンズ 16の前面の曲率半径: Rよりも大きくされている。好ましくは、式： 1. 2≤rb/R≤2. 0を満足するように設定されている。

[0063] さらに、図 5に示されているように、窪み 24の開口周縁部（開口端縁部）の開口の大きさは、その内接円 32の直径寸法： dの値力コンタクトレンズ 10の外径寸法： Dよりも十分に大きく設定されている。好適には、 1. 2≤d/D≤l . 6となるように設定される。なお、図 5から明らかなように、本実施形態では、窪み 24の開口周縁部において、ハート形状の上端部の一点と、ハート形両側部の各下部（乃至はハート形下部の狭まった部分の左右両側上部）との、計 3点で、窪み 24の開口周縁部が内接円 32に接する形状とされている。

[0064] また、窪み 24の開口部内面 28は、開口周縁部力窪み 24の深さ方向に所定の深さ寸法: L (図 3参照）の領域に亘つて、縦断面における水平軸に対する傾斜角度： ex の値が、 45度以上に設定されている。なお、窪み 24の開口部内面 28の傾斜角度： αを、 45度以上とする領域は、全周に亘っていても良いが、少なくとも排液の予定部位の周辺領域とされる。本実施形態において排液の予定部位は、ハート形状の下部の狭まった部分となる。

[0065] また、後述する如き、コンタクトレンズ 10に対する係止作用を一層有利に確保するために、上記 Lの値は、 2mm以上に設定することが望ましぐ好適には L≥5mmとされる。更に、 αの値も、余り大き過ぎると保存液の排出がし難くなることから、少なくとも排液の予定部位においては、 a≤ 60度とすることが望ましい。

[0066] 更にまた、窪み 24の底部中央には、最深部の中央 (即ち、窪み 24の底部内面 26 の中心軸上）に位置して、円形凹陥部 34が形成されている。この円形凹陥部 34は、凹形球面を有しており、コンタクトレンズ 10の外径寸法: Dよりも十分に小さい直径寸法をもって、底部内面 26の中央に開口している。そして、この円形凹陥部 34の曲率半径: rdの値力コンタクトレンズ 10の前面の曲率半径: Rよりも小さくされている。好適には、円形凹陥部 34の外径寸法: Dは、 φ ΐ . Omm— 5mm程度に設定される。

[0067] 因みに、上述の如き条件に従って設定された窪みの形状の具体的一例を、図 6— 7に示すと共に、そこにコンタクトレンズ 10を収容せしめた状態を図 8— 9に参考図として示す。なお、図 8— 9に示した容器本体 12の窪みの形状は、図 6— 7に示す具体的設計値に従うものであり、収容状態で示したコンタクトレンズ 10は、前面 30の曲率半径を R= 12. 5mmとしたものである。

[0068] 一方、フランジ状部 22は、窪み 24の開口周縁部から、窪み 24の中心軸に直交する方向に広がる平坦部 36と、該平坦部 36の外周縁部から下方に向力つて延び出すスカート形状の台座部 38から構成されている。なお、平坦部 36の上面の内外周縁部は、窪み 24の開口部内面 28と台座部 38の外周面とに対して、それぞれ滑らかなァール面 (湾曲面）をもって接続されている。

[0069] 平坦部 36に関しては、図 1一 5に示されたブリスターパッケージ 10と、その好適な具体的寸法形状を例示した図 6— 9に示された構造例とにおいて、僅かに異なる態様が示されている。

[0070] すなわち、力かる平坦部 36は、図 1一 5に示されたものと図 6— 9に示されたものとの何れも、窪み 24の開口周縁部力外周側に広がって、略一定の幅寸法で周方向の全周に亘つて一体形成されていることに変わりない。そして、その上面に対して、窪み 24を流体密に覆蓋するカバーシート 14が密着固定されるようになっているのである。

[0071] ここにおいて、図 1一 5に示されたブリスターパッケージ 10では、平坦部 36の幅方向中央部分を周方向の全周に亘つて連続して延びる溝状凹所 40が形成されている。この溝状凹所 40の内周壁面が、窪み 24の開口周縁部から外周側に所定距離だけ離隔して、窪みの開口方向と反対の下方に向力つて屈曲して延びる段差面とされており、この段差面によって縁切部が形成されている。

[0072] また、溝状凹所 40の底面には、溝状凹所 40の深さより低い台地状の凸部 44が、全周に亘つて連続形成されている。そして、この凸部 44の平坦な上面によって、カバーシート 14の接着面が形成されている。

[0073] 一方、図 6— 9に示されたブリスターパッケージ 10では、平坦部 36の内周縁部近くを周方向の全周に亘つて連続して延びる周溝 46が形成されている。また、周溝 46の外周側は、窪み 24の開口周縁部が位置する内周側よりも上方に向かって高く突出している。これにより、周溝 46の内周壁面力窪み 24の開口周縁部から外周側に所定距離だけ離隔して、窪みの開口方向と反対の下方に向かって屈曲して延びる第一段差面とされている。また、周溝 46の外周壁面が、窪み 24の開口周縁部から外周側に所定距離だけ離隔して、窪みの開口方向と同じ上方に向力つて屈曲して延びる第二段差面とされている。そして、これら第一段差面と第二段差面によって、それぞれ、縁切部が形成されている。

[0074] また、周溝 46の外周側の全周は、軸方向上方に向かって大きく突出せしめられた環状凸部 48とされている。そして、この環状凸部 48の平坦な上面によって、カバーシート 14の接着面が形成されている。

[0075] さらに、平坦部 36の外周縁部から下方に向力つて延び出して形成された台座部 38 は、平坦部 36から下方に向力つて僅かに外周側に広がったノヽート形筒体形状を有している。台座部 38の軸方向長さは、レンズ収容部 20の軸方向寸法よりも僅かに大きくされており、レンズ収容部 20を外周側において全体的に覆うようになっている。そして、台座部 38の下端周縁部は、全周に亘つて厚肉とされて補強されている。この下端周縁部の下面が、窪み 24の中心軸に対して略直交して広がる支持面 48とされており、机等の平坦で水平な載置面上にこの支持面 48を重ね併せて置くすることにより、窪み 24が略鉛直上方に開口する状態で、ブリスターパッケージ 10を安定して静置することが出来るようになって、る。

[0076] ところで、上述の如き構造とされた容器本体 12とフランジ状部 22を備えた容器本体 12は、製作性やコスト、取扱性等を考慮して強度と耐薬品性に優れた合成樹脂材料を採用することが望ましぐ特に、フッ素榭脂ゃポリアミド，ポリアリレート，ポリエチレン ,ポリエチレンテレフタレート，ポリ塩ィ匕ビニル，非結晶ポリオレフイン，ポリカーボネート，ポリサルフォン，ポリブチレンテレフタレート，ポリプロピレン，ポリメチルペンテン等や、或いはそれらの複合体や多層構造の合成樹脂が好適に採用される。そして、このような榭脂材料を用いた射出成形や真空成形、および圧空成形等によって、容器本体 12がー体成形されることによって、有利に製造され得る。

[0077] ここにおいて、容器本体 12の窪み 24の内面には、後述する窪み 24からの保存液の排出や、コンタクトレンズ 16の取り出しの操作を一層有利に実現可能とするために、適当な表面粗さを設定することが望ましい。この窪み 24の表面粗さは、例えば容器本体 12の成形用金型において、窪み 24の成形面に対して、予め適度な表面粗さや表面性状を付与しておくことによって、有利に実現される。具体的には、成形用金型の表面に対してエッチングやショットブラスト、およびレーザー照射などの処理を施すことによって実現可能である。

[0078] このようにして設定される窪み 24の内面の表面性状は、シボ状乃至は梨地状の凹凸が望ましい。より具体的には、金型の表面状態を示す指標である「MOLD FINI SH COMPARISONS BASED ON THE SPI」 SPI : Society of the PI astic Industry)で規定される 4分類， 12個の中から選択すると、「ブラスト仕上げ見本 (DRY BLAST)」の表面に極めて類似したものが好適に採用される。更に好適には、シボ状乃至は梨地状の凹凸の凹部底や凸部頂は、何れも滑らかな湾曲面形状とされていることが望ましぐそれによつて、コンタクトレンズ 16が容器内壁に吸着することなく、レンズ表面への傷付きがより有利に回避されると共に、コンタクトレンズ 1 6の収容状態で光学的な検査や確認を行う場合の光線の散乱を抑えて作業を容易とすることが出来る。

[0079] 好適には、窪み 24の内面の表面粗さが、その全体に亘つて、最大高さ： Ryの値が Κγ≤5 /ζ πιとされる。或いは、かかる窪み 24の内面の表面粗さが、サンドペーパーの 800グリッドよりも細かい表面粗さとされる。因みに、本発明者が幾つか試作したプリスターパッケージ 10について、コンタクトレンズ 16が容器内壁に吸着することなぐレンズ表面に対する傷付きの問題や透過光線に対する散乱の問題を回避しつつ、コンタクトレンズ 16に対する過度の吸着を回避するのに有効な表面粗さを検討した結果、特に良好なものと認められた 3つのブリスターパッケージ 10 (試料）について、それらの表面粗さの実測値を、下記「表 1」に例示する。なお、採用した表面粗さの性状は、上述の「MOLD FINISH COMPARISONS BASED ON THE SPIJの「ブラスト仕上げ見本」に近い梨地状である。また、評価のために使用したコンタクトレンズ 16は、 HEMA (ヒドロキシェチルメタタリレート）およびシリコンハイドロジェルを素材とする親水性ソフトコンタクトレンズである。なお、ここに例示する好適値は、容器本体 12の材料や窪み 24の表面性状の他、使用する保存液の特性や、コンタクトレンズ 16の材質および形状などによって、大きく異なることのないことが確認されている。

[0080] [表 1] 単位：ミクロン

[0081] なお、上述のようにコンタクトレンズ 16を窪み 24に収容せしめた状態下で光線を透過して直接の目視により或いは画像処理により、コンタクトレンズ 16の存否の判断や、欠けや特性等に関する良否の判断を行う場合には、容器本体 12の窪み 24の形成部位における光線透過率も評価されるべきである。具体的には、そのような検査等に採用する光線である可視光線の軸方向（窪み 24の深さ方向）の透過率が 80%以上とすることが望ましい。

[0082] ところで、窪み 24に保存液とコンタクトレンズ 16を収容せしめた状態下でその開口を覆蓋する、上述のカバーシート 14は、アルミニウム箔と合成樹脂の複合材カゝらなるラミネートシート等によって形成されたものが好適に採用される。そして、容器本体 12 の上面外周形状よりも一回り大きな平面形状とされて、容器本体 12の上面に重ね合わされ、上述のフランジ状部 22の平坦面 36に対して、シートシールや接着等で固着されることとなる。

[0083] このカバーシート 14は、窪み 24内に保存液とコンタクトレンズ 16を収容して密封するものであるが、コンタクトレンズ 16の使用に際しては、手指で摘んで操作することにより速やかに容器本体 12から剥離して窪み 24を開口させ得るものであることが要求される。ここにおいて、本実施形態では、カバーシート 14において、窪み 24におけるハート形下部の狭まった部分力も外方（図 1の下方）に向力つて延び出す摘み部 50 が形成されている。この摘み部 50を手指で摘んで操作することにより、カバーシート 1 4を、接着面の幅寸法が最も狭くされた、ハート形下部の先端部分から、引き剥がすことが出来るようになって、る。 [0084] 上述の如き構造の容器本体 12を備えたブリスターパッケージ 10においては、提供を受けた使用者がコンタクトレンズ 16を使用するに際して、カバーシート 14を容器本体 12から剥離して窪み 24を開口せしめた後、コンタクトレンズ 16を取り出す際、先ず、保存液だけを窪み 24から排出しても良い。蓋し、窪み 24に浸漬されたコンタクトレンズ 16は視認し難ヽだけでなぐ窪み 24に指を差し入れて直接にコンタクトレンズ 1 6を引き上げようとすると、窪み 24を略満たして充填された保存液が溢れ出して周囲を広い範囲で汚すことになる力である。

[0085] 力かる排液 (窪み 24からの保存液の排出）の際、容器本体 12を手で持って、ハート形状とされた下部の狭まった部分 (図 2中の下部)を鉛直下方に下げるように傾斜させるようにする。そうすると、保存液がハート形下部の狭い開口部に集められるようにされることとなり、周方向に広がることを防止されて狭い流路幅をもって、窪み 24から保存液を排出させることが出来るのである。従って、排液が広い範囲に拡散してしまうことを防止して、容易に取り扱うことが可能となる。

[0086] また、その際、保存液に浸漬されたコンタクトレンズ 16も窪み 24から流出しようとする力鉛直下方となるハート形状の下部の狭まった部分では、窪み 24の周方向の曲率半径が、コンタクトレンズ 16の前面の曲率半径よりも小さくされていることから、図 1 0に示されているように、ハート形状の下部の狭まった部分にまで導かれてくると、力力るコンタクトレンズ 16の前面 30力窪み 24の開口部内面 28に対して、周上の 2箇所で接触するようにされる。その結果、コンタクトレンズ 16は、窪み 24との広い領域で当接して、その広い領域で有効な摩擦力や保存液による表面張力の作用によって、窪み 24内に係止状態でとどまるようになるのである。

[0087] 特に本実施形態では、ソフトタイプのコンタクトレンズ 16であることから、図 10に示されているように、コンタクトレンズ 16の前面と窪み 24の開口部内面 28との間に存在する保存液の表面張力の作用でコンタクトレンズ 16が開口部内面 28との当接部分で広、範囲で互いに接触することとなり、コンタクトレンズ 16の中央部分の曲率が大きくなるように、ハート形状の下部を挟んで周方向の両側から挟圧された形状に変形することにより、コンタクトレンズ 16が窪み 24の内面に対して面接触状態となり、保存液による表面張力による吸着作用と相俟って、一層大きな領域で接触して有効な係止力力発揮され得ることとなる。

[0088] それ故、図 12に説明図を示すように、コンタクトレンズ 16を窪み 24内に留めたままで、余分の保存液だけを、窪み 24から排出させる作業を、特別な道具等を使用することなぐ単に容器本体 12を片手でもって傾けるだけの簡単な作業で速やかに且つ容易に行うことが出来るのである。

[0089] しかも、コンタクトレンズ 16は、図 12に示されているように、保存液の排出に際して、保存液と共にハート形下部の狭まった部分の開口部にまで導かれて、その一部が窪み 24の開口部力外方に突出した状態で係止保持されるようになる。それ故、このような排液後の状態下では、コンタクトレンズ 16を、その窪み 24から突出した部分を手指で摘むようにして、極めて容易に取り出すことが出来る。従って、上述の如き容器本体 12においては、排液の作業性だけでなぐコンタクトレンズ 16を摘み出す際の作業性も、大幅な向上が期待出来るのである。

[0090] そして、このようにコンタクトレンズ 16の一部が窪み 24力も突出した状態から、該コンタクトレンズ 16を摘むようにして取り出すようにすれば、容器本体 12を略水平に保持したままで窪み 24内に指先を差し入れて、保存液中でコンタクトレンズ 16を押し付け、窪み 24の内面上でコンタクトレンズ 16を滑らせて窪み 24の開口周縁部から取り出すといった従来構造のブリスターパッケージに多く見られる取出操作を行う場合に比して、コンタクトレンズ 16を窪み 24の内面に擦り付けることもなぐコンタクトレンズ 1 6の傷付き等の問題が有利に回避されることとなる。

[0091] さらに、本実施形態では、少なくともコンタクトレンズ 16が排液時に当接することとなる、上述の如きハート形下部の狭まった部分の周方向両側において、窪み 24の開口部内面 28の傾斜角度： αが、 α 45度とされている。これにより、たとえ容器本体 12 を略 45度まで傾斜させて保存液を排出させた場合でも、窪み 24の開口部内面 28は、少なくとも開口周縁部近くにおいて略水平状態に維持される。それ故、コンタクトレンズ 16の重力作用による窪み 24からの落下も防止されて、コンタクトレンズ 16の流出が一層効果的に達成され得るのである。

[0092] また、本実施形態では、窪み 24の最深部中央に位置して、円形凹陥部 34が形成されており、この円形凹陥部 34の内面がコンタクトレンズ 16の前面 30から離隔位置せしめられるようになつていることから、ブリスターパッケージ 10を水平に載置せしめた搬送や保存状態下で、コンタクトレンズ 16が中央の一点だけで窪み 24の内面に当接支持せしめられることが回避されるようになっている。これにより、コンタクトレンズ 16に作用する窪み 24の内面の当接力を分散させて局部応力を軽減することが出来るのであり、特に円形状に当接させたことで均等で効率的な当接力の分散が実現される。その結果、コンタクトレンズ 16の歪や変形が有利に防止されると共に、窪み 24 の内面への吸着の防止効果も期待できる。なお、円形凹陥部 34の内面は、コンタクトレンズ 16に接触しないことから、円形凹陥部 34の内面には、必ずしも特定の表面粗さを付与する必要がない。

[0093] さらに、本実施形態では、容器本体 12に対するカバーシート 14の固着面力窪み 24の開口周縁部力も外周側に離隔位置していることに加えて、窪み 24の開口周縁部に対して段差状の縁切部を介して位置せしめられていることから、たとえカバーシート 14の剥離に際してノリ等が発生した場合でも、窪み 24からコンタクトレンズ 16を取り出す際に、かかるノリ等がコンタクトレンズ 16に干渉することが効果的に防止され得る。これにより、コンタクトレンズ 16の窪み 24からの取出作業が一層容易となると共に、バリ等の接触に起因するコンタクトレンズ 16の損傷等も回避され得る。

[0094] なお、上述の図 1一 12に示された実施形態では、窪み 24の内面中央に円形凹陥部 34が形成されていた力この円形凹間部 34は、必ずしも設ける必要はない。

[0095] また、円形凹陥部 34に代えて、例えば図 13に要部拡大縦断面が示されているように、窪み 24の中心軸に対して直交して広がる円形平坦部 54を設けても良い。この円形平坦部 54を形成することにより、外力の僅かな入力によってコンタクトレンズ 16が円形辺端部 54上で軸直角方向に容易に変位し得るようにされることとなる。

[0096] その結果、例えば、コンタクトレンズ 16が窪み 24内面の特定位置に接触し続けることが容易に回避され得る。また、前述の如ぐコンタクトレンズ 16の収容状態で光線による検査や確認などを行う場合に、窪み 24内でコンタクトレンズ 16を変位させることが可能となって、確認し難い場合にコンタクトレンズ 16のエッジ等の確認をより確実に行うことが可能となる。なお、このような目的から、円形平坦部 54は、（) da= lmm 一 5mmの外径寸法で形成されることが望ま U 、。 [0097] さらに、前記実施形態では、コンタクトレンズ 16を使用する際に取り出す作業を挙げて本発明の作用効果を説明したが、例えばコンタクトレンズ 16と保存液をブリスタ一パッケージ 10に収納して密封するブリスターパッケージ 10の製造工程においても、同様な作用効果が発揮される。具体的には、例えば、かかる製造工程では、コンタクトレンズ 16と保存液を封止するのに先立って、窪み 24に精製水や洗滌液等の適当な処理液を入れてコンタクトレンズ 16の溶出や洗滌等の処理が行われる。その後、カゝかる処理液を排出して保存液を注入する場合に、本発明に従う構造とされた容器本体 12を採用すれば、コンタクトレンズ 16を窪み 24内に残したままで、特別な道具等を使用することもなぐ処理液を排出させることが出来るのであり、それによつて、ブリスターパッケージ 10の製造の容易化等が効果的に図られ得るのである。

[0098] また、上述の如きハート形状の容器本体 12を有すると共に、フランジ状部 22の外周形状もハート形状とされているプリスターパッケージ 10においては、その複数個を収容箱体に詰め合わせて、効率的に搬送，保存，提供等を行う場合にも優れた効率が達成される。

[0099] すなわち、収容箱体の内部において、各ブリスターパッケージ 10におけるハート形左右の両側部が、別のブリスターパッケージ 10どうしで隣り合う状態で、且つ、互いに隣り合うブリスターパッケージ 10を交互に上下を反対に向けることにより、それら複数の眼用レンズ容器を左右方向に並べることで、複数個のブリスターパッケージ 10を収容したパッケージ品が、有利に提供可能となる。このようなパッケージ品においては、ハート形における上部で幅広で下部で幅狭という、形状上の特徴を巧く利用して、ブリスターパッケージ 10の複数個を、小さな収容箱体に対して効率的に収納することが出来るのである。

[0100] また、図 14には、本発明の別の実施形態としてのブリスターパッケージを構成する容器本体 12が示されている。なお、理解を容易とするために、図 14中では、図 1一 9 と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、図中に同一の符号を付しておく。

[0101] この容器本体 12では、窪み 24の開口部内面 28において、その縦断面での径方向の曲率半径: reの値が、コンタクトレンズ 16の前面 30の曲率半径: Rよりも小さく設定されている領域を備えている。そして、この領域によって立上り状湾曲部分 56が形成されている。

[0102] なお、より好適には、窪み 24の底部内面 26よりも開口部側に位置する立上り状湾曲部分 56の曲率半径： reは、下式を満たすように設定される。

0. 5 ≤ re/R ≤ 0. 9

[0103] すなわち、開口部内面 28を備えた窪み 24を有する容器本体 12においては、それを傾斜させて保存液を排出する際、図 14に示されているように、縦断面で示される径方向において、コンタクトレンズ 16の前面 30は、窪み 24の内面に対して 2箇所で当接することとなる。その結果、周方向の 2箇所で当接することとなる前述の図 1一 9に示された実施形態と同様に、コンタクトレンズ 16の窪み 24内面に対する摩擦力や保存液の表面張力によるコンタクトレンズ 16の係止作用が有効に発揮され得て、窪み 2 4からの排液に際してのコンタクトレンズ 16の窪み 24からの流出が効果的に防止され得るのである。

[0104] なお、このような立上り状湾曲部分 56を備えた容器本体 12の窪み 24は、その全体形状として、前述の如きハート形の開口周縁部を備えたものであっても良いが、それに限定されるものでなぐ例えば図 15に示されているように、中心軸回りで回転対称とされた円形の開口周縁部を備えた窪み 24であっても良い。

[0105] そこにおいて、特に、図 1一 9に示されているハート形の開口周縁部を備えたものにおいて、コンタクトレンズ 16の前面が当接することとなる、ハート形下部の絞られた部分の周方向両側部分において立上り状湾曲部分 56を形成することにより、コンタクトレンズ 16を、図 12に示されている如き排液に際して、周方向の 2箇所に加えて径方向の 2箇所においても、窪み 24の内面に対して当接させることが可能となる。これにより、コンタクトレンズ 16の窪み 24からの流出を一層効果的に防止することが可能となるのである。

[0106] 以上、本発明の実施形態について詳述してきた力これらはあくまでも例示であつて、本発明は、これら実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。

[0107] 例えば、容器本体 12に形成されるフランジ状部の具体的形状や構造，大きさ等は、使用や成形の容易さ等を考慮して適宜に変更可能である。

[0108] また、本発明によるブリスタパッケージは、近視用、遠視用、乱視用、老眼用、およびこれらを組み合わせた眼用レンズ等の各種ディスポーザブルタイプを含むソフトコンタクトレンズの他、ハードコンタクトレンズや眼内レンズ等の各種眼用レンズを収容することも勿論可能である。

[0109] さらに、本発明によるブリスタパッケージは、消費者等の最終利用者への提供用の眼用レンズ容器として採用可能である他、例えば、製造者から医療機関等への提供用の眼用レンズ容器としても採用可能である。

[0110] その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。

Claims

請求の範囲

[1] 眼用レンズと保存液を収容する窪みを備えたレンズ収納部に対して、該窪みの開口周縁部から外周方向に広がるフランジ状部を一体形成せしめた容器本体と、該容器本体に重ね合わせられて該窪みの開口部を覆う覆蓋シートとを備え、該覆蓋シートを該容器本体における該窪みの開口部の周りで全周に亘つて剥離可能に固着することにより、該レンズ収納部を流体密に封止せしめた眼用レンズ容器において、前記窪みの底部内面を略球状凹面形状として、該窪みの底部内面における縦断面での径方向の曲率半径を前記眼用レンズの前面の曲率半径より大きくする一方、該窪みの開口部内面において周方向の曲率半径を周上で変化させて、該窪みの開口部内面の平面形状を略ハート形状として、

略ハート形状とした該窪みの開口部内面におけるハート形下部の狭まった部分では、周方向の曲率半径を前記眼用レンズの前面の曲率半径よりも小さくすると共に、略ノヽート形状とした該窪みの開口部内面におけるハート形両側部では、周方向の曲率半径を該眼用レンズの前面の曲率半径よりも大きくし、

更に該窪みの開口部における内接円の径寸法を、該眼用レンズの外径寸法よりも大きくした

ことを特徴とする眼用レンズ容器。

[2] 略ノヽート形状とした前記窪みの開口周縁部におけるハート形下部の狭まった下端部の周方向曲率半径: raを、前記眼用レンズの前面の曲率半径: Rに対して、式: 0. 2≤ra/R≤0. 4を満足するように設定した請求項 1に記載の眼用レンズ容器。

[3] 略ノヽート形状とした前記窪みの開口周縁部におけるハート形左右の両側部の周方向曲率半径: rbを、前記眼用レンズの前面の曲率半径: Rに対して、式： 1. 2≤rb/ R≤2. 0を満足するように設定した請求項 1又は 2に記載の眼用レンズ容器。

[4] 略ノ、ート形状とした前記窪みの底部内面における縦断面での径方向曲率半径: rc を、前記眼用レンズの前面の曲率半径: Rに対して、式： 1. 2≤rc/R≤l. 6を満足するように設定した請求項 1乃至 3の何れかに記載の眼用レンズ容器。

[5] 前記窪みの開口部の周りで前記フランジ状部に対して固着せしめた前記覆蓋シートを、前記ハート形状とした該窪みの開口周縁部におけるハート形下部の狭まった下端部において、該フランジ状部に対する固着部力更に外方に延び出させて摘み部を形成し、この摘み部を摘んで該覆蓋シートを該フランジ状部力剥離させることが出来るようにした請求項 1乃至 4の何れかに記載の眼用レンズ容器。

[6] 眼用レンズと保存液を収容する窪みを備えたレンズ収納部に対して、該窪みの開口周縁部から外周方向に広がるフランジ状部を一体形成せしめた容器本体と、該容器本体に重ね合わせられて該窪みの開口部を覆う覆蓋シートとを備え、該覆蓋シートを該容器本体における該窪みの開口部の周りで全周に亘つて剥離可能に固着することにより、該レンズ収納部を流体密に封止せしめた眼用レンズ容器において、前記窪みの底部内面を略球状凹面形状として、該窪みの底部内面における縦断面での径方向の曲率半径を前記眼用レンズの前面の曲率半径より大きくする一方、該窪みの開口部内面における周上の少なくとも一部において、縦断面での径方向の曲率半径が前記眼用レンズの前面の曲率半径より小さい立上り状湾曲部分を設けた

ことを特徴とする眼用レンズ容器。

[7] 前記眼用レンズ容器が、請求項 1乃至 5の何れかに記載の構成を備えており、前記窪みの開口部内面におけるハート形下部の狭まった部分の中央を挟んだ周方向両側が前記立上り状湾曲部分とされている請求項 6に記載の眼用レンズ容器。

[8] 前記窪みの開口部内面における周上の少なくとも一部を、該窪みの開口周縁部から深さ方向に少なくとも 2mmの領域に亘つて、縦断面での該窪みの中心軸に直交する平面に対する傾斜角度が 45度以上となる傾斜面とした請求項 1乃至 7の何れかに記載の眼用レンズ容器。

[9] 前記窪みの最深部に位置する前記底部内面の略中央に位置して、前記眼用レンズの前面の曲率半径より小さな曲率半径を有する該円形凹陥部を形成して、該円形凹陥部を φ 1mm— 5mmの開口径で該窪みの底部内面に開口せしめた請求項 1乃至 8の何れか〖こ記載の眼用レンズ容器。

[10] 前記窪みの最深部に位置する前記底部内面の略中央に位置して、 φ 1mm— 5m mの外径寸法で軸直角方向に広がる略平坦な円形平坦部を形成した請求項 1乃至

8の何れか〖こ記載の眼用レンズ容器。

[11] 前記窪みの内面の表面粗さを、その最大高さ: Ryの値が Ry≤ 5 mとなるようにした請求項 1乃至 10の何れかに記載の眼用レンズ容器。

[12] 前記窪みの内面の表面を、サンドペーパーの 800グリッドよりも細かい表面粗さとした請求項 1乃至 10の何れかに記載の眼用レンズ容器。

[13] 前記容器本体を透明榭脂材料によって形成し、前記レンズ収納部における前記窪みの軸方向での可視光線の透過率を 80%以上とした請求項 1乃至 12の何れかに記載の眼用レンズ容器。

[14] 前記フランジ状部において、前記窪みの開口周縁部から外周方向に所定距離だけ離れた位置で、該窪みの開口方向と同じ軸方向上方に向力つて或いは該窪みの開口方向と反対の軸方向下方に向力つて屈曲して延びる段差面を周方向の全周に亘つて連続して形成することによって縁切部を構成し、前記覆蓋シートの固着面を、該縁切部よりも外周側に位置して設けた請求項 1乃至 13の何れかに記載の眼用レンズ容器。